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【ジョジョ】ゼロの奇妙な使い魔【召喚74人目】

1 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 20:38:27 ID:g3OWQ/JZ
携帯でご覧の方は携帯ビューアのorz もしくは携帯用2chブラウザiMona をご利用ください
【orz】http://orz.2ch.io/top.html
【iMona】http://imona.net/
     _      ここは「ゼロの使い魔」と「ジョジョの奇妙な冒険」のクロスSSスレよ。
    〃 ` ヽ     他にも避難所にしか掲載されてないSSとかもあるから一度見てみなさい 
    l lf小从} l /    投下中は空気読んで支援しなさいよ 荒らしはスルーだかんね
   ノハ{*゚ヮ゚ノハ/     職人さんは荒らし防止にトリップを付けてよね
  ((/} )犬({つ'      次スレは900か950を踏んだ人が立てること
   / '"/_jl〉` j      480KBを超えた場合も立てるのよ。 わかった?
   ヽ_/ィヘ_)〜′

【ジョジョ】ゼロの奇妙な使い魔【召喚73人目】
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1195409423/l50

●まとめサイト                               ,〜'´  ̄ヽ
http://www22.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1.html         ミハ^^ヽヽ(  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
●避難所.                           ____. -' ヽル::::д)ζ <批判は避難所だ!君の意見を聞こうッ!
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9292/     =='、 ̄ニ|::... . . . . ...::::: :: ::〉:::.:ヽ     |_________________
●ジョジョの奇妙なAA集               ' ´   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`!:::::::::::.. :i
ttp://jojoaa.web.fc2.com/                         `y::::::. ::ト、
●ジョジョスレUPローダ                            〉::::::::. .::`ヽ
ttp://vblave.hp.infoseek.co.jp/                        ハ:::::::: ..:λ:i
●アニメAA保管庫 ゼロの使い魔ページ                /:::::::::: .:/::::i´
ttp://aa.tamanegi.org/anime/zero-tsukaima/
*******************************************************
*スレ運営について意見のある方は運営議論スレへどうぞ    . *
*http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9292/1184936505/ *
*******************************************************


2 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 20:38:53 ID:g3OWQ/JZ
第一部+第二部
ジョナサン 卿 ブラフォード シュトロハイム シーザー スケコマシーザー
究極生命体カーズ様 ワムウ様 スト様 石仮面+ブルりん+吸血馬

第三部
承太郎 法皇花京院 一巡花京院+平賀才人 メロン花京院
ジョセフ アブドゥル ポルナレフ イギー 
DIO様 ンドゥール ペットショップ ヴァニラ・アイス ホル・ホース
ダービー兄 ミドラー デーボ エンヤ婆 アヌビス神 ボインゴ 

第四部
東方仗助 仗助+トニオさん 広瀬康一 アンリエッタの康一 虹村億泰 ミキタカ+etc 間田
シンデレラ カトレアのトニオさん 岸辺露伴 静(アクトン・ベイビー)+露伴
デッドマン吉良 猫草 キラー・クイーン 

第五部
ブチャラティ ポルナレフ+ココ・ジャンボ(亀ナレフ) アバ茶 ナラ・アバ・ブチャ組
ルイズトリッシュ マルコトリッシュ ナンテコッタ・フーゴ アバ+才人 ジョルノ  ミスタ
ディアボロとドッピオ プロシュートの兄貴 リゾット ローリングストーン 偉大兄貴
ギアッチョ メローネ 俺TUEEEディアボロ ペッシ ホルマジオ スクアーロ
暗殺チーム全員 紫煙+緑日 ブラック・サバス セッコ 亀ナレフ+ジョルノ イルーゾォ
サーレー

第六部
引力徐倫 星を見た徐倫 F・F アナスイ ウェザー エルメェス エンポリオ ヘビー・ウェザー
プッチ神父 帽子 ホワイトスネイク 白蛇ホワイトスネイク

SBR
ジャイロ+才人 ジョニィ マイク・O
リンゴォ マウンテン・ティム Dio

バオー+その他
橋沢育郎 バオー犬 味見コンビ(露伴+ブチャ) 決闘ギーシュ タバサの奇妙なダンジョン


3 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 20:39:09 ID:g3OWQ/JZ
・スレッドが1000に満たなくとも、480kbをオーバーした場合には新スレを。
・行数は最大で60行。 一行につき全角で128文字まで。
・4096Byts、全角だと2048文字分。
・専用ブラウザなら文字数、行数を管理してくれるので目安がつけやすいかも。


4 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 20:41:25 ID:si/lzfw5
>>1
  ∩∩      血  管  乙  攻  撃  !      V∩
  (7ヌ)                              (/ /
 / /                 ∧_∧            ||
/ /  ∧_∧     ∧_∧  _(´∀` )   ∧_∧   ||
\ \( ´∀`)―--( ´∀` ) ̄      ⌒ヽ(´∀` ) //
  \       /⌒   ⌒ ̄ヽ、ペイジ /~⌒    ⌒ /
   |      |ー、      / ̄|    //`i プラント /
    | ジョーンズ|  | ボーンナム/ (ミ   ミ)  |    |
   |    | |     | /      \ |    |
   |    |  )    /   /\   \|       ヽ
   /   ノ | /  ヽ ヽ、_/)  (\    ) ゝ  |
   |  |  | /   /|   / レ   \`ー ' |  |  /

5 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 20:46:55 ID:oI0NcTaA
>>1乙です

6 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 22:04:32 ID:+9MMfBe2
>>1乙!>>1乙!

7 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 22:12:22 ID:BzuFn/3V
>>1
            H  /y'
        /ヽ  H  /y'                  
         /`  }_ ヽTァr-,、       /7に仁二仁二仁ィ7
        /   |こ=y7 ̄`ヽ>、   /7        //
      /   } ,,{ペ.f!{    ,ノソ  ノ丿       xく/
     ./ヽ  ,j} jf}气`ハ、  ,H  />'      /> '′
    |{ハ}} ,,ィリ州|い{,mヾコエ>゙ /7      /7′
     |ルjム=.' iif !ケy ,==ミ、_,/>'     ノ7′         ;′
     k<.9ノリ jリ|ひ!((.・>.)!┴'゙      「 }          /|
    __|77ァ''´   |Y,ィ`ァ'-ヘ         ゝ`仁二仁二仁二シ
  _r'「{|,;if|'   j; ビ了父ィソ ,/y  
 /_,>ィ|,fリ     |,八八/^′/y'zZ   こ、これは>>1乙じゃなくて
 |__/ム|イ    ,イ}|ゾY^ンYメYイ ⌒ヽ   血管針なんだから
  ,.く::7ト,    州こ^ニ^/⌒ヾィ´    勘違いしないでよね!
/;゙ `>| W! _,,ィ化儿>'⌒ヾ/.:: /;l
f.::::,ィl{{リヾ比"  jf|}y' `ヾ//.:::: /;f}}
 / ,ノ| f|\V"l; |7 `ミ/^!/.::::: /,,,,,,
f{G/| {{V,ハ wリト~ミ八/.:::::: /,;;;;;;;;

8 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 22:23:52 ID:cRTLrPH8
三三三三三三三  (     |    >>1
三三三三三     ))    |
三三三三)ミ,((^^彡ミ彡  /    きさまッ!
三三三三 ((三三  6)彡//\
三三三∩三ミl三三  /ミ彡 /) |  おつかれさんッ!
三三三|彡ミ三l三 / \ / /、 |
三三三ヽ_)二 | ̄ ノ / ミl :l、\
三 /二 /ミ ‐v-― ´/ )ミ/ / /ヽ ̄ ̄ ̄ ̄
三/  ̄ /ミ   lミ   (_/ 三`´`´`´

前スレが埋まったよ

9 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 22:26:32 ID:WxhEQnN2
          __________,,,,
         .7;:::::::::::::;:::::::::::;::::::::;;;;;;;;ヽ
         !;;;;;;;;;;::::::::;;;;;;;;;;;;;:::::;;;;;;;:::;;!
      __!;;;;;;;;;;;:::::::::;;;;;!jojo!;;;;;::::;:::|
         〃 {_{⌒   ⌒ リ| l │ i|
         レ!小l●    ● 从 |、i|  オレが前スレを埋めた……>>776の時点でな
          ヽ|l⊃ 、_,、_, ⊂⊃ |ノ│  そして新スレ>>1に乙した…やれやれだぜ
        /⌒ヽ__|ヘ   ゝ._)   j /⌒i !
      \ /:::::| l>,、 __, イァ/  /│
.        /:::::/| | ヾ:::|三/::{ヘ、__∧ |

10 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 22:49:48 ID:7BuVn2jY
\\   First kiss か ら 始 ま る ふ た り の 恋 の              //
  \\   H I S T R Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y !    //
   \\       こ の 運 命 に 魔 法 か け た             //
     \\ 君 が 突 然 あ ら わ れ た ァ ァ ―――z___  ッ! //
             ,ィ =个=、      _        _         _       ,。='゚=。、
    〃  ̄ ヘ   〈_/´ ̄ `ヽ    〃 ` ヽ.    〃  ^ヽ   〃 `´`ヽ.    〃了⌒ヽ
   くリ 7"バlキ〉>∩ { {_jイ」/j」!〉∩  l lf小从} l∩.   J{  ハ从{_,∩ {lヽ从从ノl∩.  ノ {_八ノノリ、∩
    トlミ| ゚ー゚ノlミ| 彡. ヽl| ゚ ヮ゚ノj| 彡 ノハ{*゚ヮ゚ノハ彡  ノルノー゚ノjし彡 ヾヘ(゚)-゚イリ彡 (( リ ゚ヮ゚ノノ))彡 >>1乙!>>1乙ゥ!
.    /ミ/ノ水i⊂彡  ⊂j{不}l⊂彡 ((/} )犬⊂彡.   /く{ {丈}⊂彡   /_ノ水⊂彡   /ノOV⊂彡
     / く/_jl ハ.   く7 {_}ハ>    ./"く/_jl〉`'l   l く/_jlム! |    }J/__jl〉」.   (7}ヽ/∧
   .ん'、じ'フ .ノ   ,,,,‘ーrtァー’  ,,,,,,んーし'ノ-,ノ   レ-ヘじフ〜l   ノんi_j_jハ_〉    /__ ノ_j
  ,,-''´  ̄ヽ    |!i!ii| ∩.    |!i!ii| ∩.    ,、 、      |!i!ii| ∩.    |!i!ii|∩.    |!i!ii| ∩
  ミハ^^ヽヽ(∩. ( ゚∀゚)彡  (;゚Д゚)彡   ,ヘハ@ヘ∩.  ( ゚∀゚)彡  ( ゚∀゚)彡  ( ゚∀゚)彡
  ル ゚∀゚)ζ彡   (  ⊂彡.   (  ⊂彡.   ゞ ゚∀゚)彡  (  ⊂彡.   (  ⊂彡.   (  ⊂彡.
  (  ⊂彡゛    |   |     |   |     ( ノ::⊂彡.  |   |     |   |     |   |
   |   |      し ⌒J.    し ⌒J.   │  │   し ⌒J.    し ⌒J.    し ⌒J
   し ⌒J.                     し ⌒J.


11 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 23:02:06 ID:itMBDVll
          r-‐ゞ'""ミヘヘvt_、,,,_ 、
         ノ彡 ヾ\ミヽ    `zハ
        rノノ三ミ \/ヾ  、、 .彡人
        ,イノ, ィ⌒'T''''゙''''} }} ミミ三  ζ
      (({ i(   |__, ヒ|ノ_ヽ-ミ三彡ミミ
         t,,、ii)   f━` ,-━-、 ヾミt⌒i  じょうだんッ! ハハハハ?
      (' ゙r┐  '| ij ! ij   ≡τ}  
     ('` ̄'''T‐‐,.、ィ::ソ_ ij_、   .,二ノi  じょうだんですよぉ〜〜〜っ
     {ミ二 t'F'''´●二゙::::::::ノ   // ||||
   /!ヽ-´イ   ´〒='''´ij /σ.lll|   >>1君乙
  イ |⌒''''イノヽヽ   | ̄ ̄,、-'' _-‐‐i||
 /<ヽ_,-‐//   `‐t彡‐'''´    ||  召喚されないからって
 >       i     |‖   ,、-''´´ ̄
..´ \   ,、-''i     乃 ,、-''           ヒガんでるわけじゃないですよォォォォォ(涙)

12 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 00:08:22 ID:Ie1DxEQP
            , -―  ――-、
             /に    (ニ==\   久しぶりの出番ッ!いくぜッ!!
         //')      に二) (ヽ   新スレを立てやがったなッ!
         〃____,r^)__,r、(ニユ|  よく立ててくれたよなぁぁぁぁぁぁ
         i!   ● / /●  ヾヽヽ,!      >>1鬱!……
          ヽニ⊃,// ⊂⊃}:}ソi   …じゃなくて>>1モツ!
        /⌒ヽ__ ヘ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~/⌒ヽ
      \ /:::::  >,、 __, イァ/   /
.          \     |三/ []「/__ /
         `ヽ「ミヾr‐ 、[]「ヾ三/


            , -―  ――-、
             /に   u (ニ==\   …は違う…
         //')  u    に二) (ヽ  うぐぐ………
         〃____,r^)__,r、(ニユ|  >>1己…じゃない……
         i!   ● / /● uヾヽヽ,!  >>1没でもなくて……
          ヽニ⊃,// ⊂⊃}:}ソi
           ヘ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~`=ーノ
           /⌒l,、 __, イー-<
.          /lilili/ |三/^ oOo,ヽ
          |三 lキヾr-、[] 「! (ニ }



13 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 00:14:15 ID:wtIuEKzS
          __________,,,,
         .7;:::::::::::::;:::::::::::;::::::::;;;;;;;;ヽ
         !;;;;;;;;;;::::::::;;;;;;;;;;;;;:::::;;;;;;;:::;;!
      __!;;;;;;;;;;;:::::::::;;;;;!jojo!;;;;;::::;:::|
         〃 {_{⌒   ⌒ リ| l │ i|
         レ!小l●    ● 从 |、i|   >>12
          ヽ|l⊃ 、_,、_, ⊂⊃ |ノ│   『乙』か?
        /⌒ヽ__|ヘ   ゝ._)   j /⌒i !
      \ /:::::| l>,、 __, イァ/  /│
.        /:::::/| | ヾ:::|三/::{ヘ、__∧ |


14 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 00:30:53 ID:oVUaqx5z
            _. -=ニ::_Z ̄ニ=-  .._
        / (:_: ;r'": :/:: ̄:7''ヽ:,r': ̄`ヽ、
        /: : : : : :ヽ、:_(_: : : (:: : : :\,r=‐':"⌒ヽ._
      / : : : : : ; ': : : : : : ̄::ヽ、__/: : : : : l: : :/ミノ
     ' : : : : : / : : : : : : :__:ヽ_: /:: :l: :l: : : : l : ゙‐'ヽ
     l: : : : : :;' : : : : : : (((//゙ハ、 : l: :l : : : l: : : l : ',
.    l: : : : : :l: : : : : : : : : : : :`Vノ : l: :l: : : ,' : : ;': l:ll   >>12
    l: : : : : :l: : : : : : : : : : : l: :/:l :l: :l: :l:: :/ /::/: :;リ|    乙だな
    l: : : : : :l : : : : : : : : : : l: :l::ノ: }: :} l / /::/レj:/::|  
.     l: : : : : l: : : : : : : : : : :l: :|/_;イ_;イ_;リ、// .ノ/:|  
     '; : : : : l: : : : : : : : : ::l: :|ニニ ‐--ミ`' } ,ィチj゙ :|   
    /´ヽ: : : :l; : : : : : : : : :l: :|z't'ツ"_>`` '" {^~ |: :|   
  / ¶′\: :ll : : : : : : : : l: :| `~¨´ (::"′   ',ノl: :j    
,r‐{   , \ll : : : : : : : :l: :| :.           ∨ノ:|
  ! ¶′',  r、\: : : : :::::l: :| :.      .._ /´): :l
 ¶′   \ ヾ>、\: : : ll: :|  :.       __-了:/::;'
エエエュ┬r 、\ `ヾ>、\:ll: :|   :   ‐.._'´¨´ノ:/::/
―‐ - 、 ̄`<〉、 ヽ、._`^‐-\ト 、 :      ̄「V/
 ¶′   \ `<〉、 \` ー==┬''^ヽ、 ...__ ノ
   ¶′  \ `〈>、 ヽ`:r'"||  ,タ ¶ }
¶′    ¶′ヽ  `〈>、ヽ i || ,タ  /


15 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 01:04:29 ID:Ie1DxEQP
            , -―  ――-、
             /に    (ニ==\  
         //')      に二) (ヽ 
         〃____,r^)__,r、(ニユ|  ………………。
         i!   ◯ / /◯  ヾヽヽ,!
          ヽニ⊃,// ⊂⊃}:}ソi
           ヘ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~`=ーノ
           /⌒l,、 __, イー-<
.          /lilili/ |三/^ oOo,ヽ
          |三 lキヾr-、[] 「! (ニ }


            , -―  ――┛┗
             /に    (ニニ┓┏ 
         //')  u   に二) (ヽ  知ってんだよオオオォォォッ!! 
         〃____,r^)__,r、(ニユ|  国語の教師か
         i!  ●`' ./ /´●uヾヽヽ,!  テメーらはよオオオォォォッ!
          ヽニ⊃,// ⊂⊃}:}ソi   べ、別に久しぶりなのにすぐ反応があって嬉しいだなんて思ってないんだからねっ
        /⌒ヽ__ ヘ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~/⌒ヽ
      \ /:::::  >,、 __, イァ/   /
.          \     |三/ []「/__ /
         `ヽ「ミヾr‐ 、[]「ヾ三/ 

16 :名無しさん@お腹いっぱい:2007/12/01(土) 01:13:03 ID:CoGFRkin
>>9
どなただすかァー!?ちゅるやさんなのか?

17 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 01:16:48 ID:2nRkmpos
>>16
          __________,,,,
         .7;:::::::::::::;:::::::::::;::::::::;;;;;;;;ヽ
         !;;;;;;;;;;::::::::;;;;;;;;;;;;;:::::;;;;;;;:::;;!
      __!;;;;;;;;;;;:::::::::;;;;;!jojo!;;;;;::::;:::|
        l:::::::{:::l ,     ー-j从:ヽ::::::::.
        | ::i::ル{/     ●  !:: ト、::::::',
        l ::l::ハ ●   ,、_, ⊂⊃|ノ::::::::  俺の名はじょーたろーん
         ヽ::Viヘ⊃  ヘ _)  |:: |::::::::::::
            `|l: :::ゝv-、_〕l_,.イ<|:: |_:::::::::::
          |l:::: i/  lフヘ_____j|:: |/ス、:::
          |l:::: |  l:::::::::V==|:://  ゝ::
          |:!::: fk__,仏\ヽ l/人/::::ノ
          |::l:: 下ミ彡\ヽV/  ヾ/

18 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 02:41:41 ID:ffvORybG
じょ〜たろ〜ん!?こいつは新たな萌えって奴ですかぁ〜

19 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 03:02:52 ID:BQfk9k4m
スカロン店長ことミ・マドモワゼルが新たな萌えだと聞いてすっ飛んで来ました
そしてたまにはジェシカが目立つSSがあってもいいと思うんだ…

20 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 08:00:44 ID:+0b6ichW
>>19
チョコ先生召喚があるじゃないか

21 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 08:49:35 ID:SrTNEVrg
壺で知ったが、ルイズ世界デビューしたんだなwww

22 :名無しさん@お腹いっぱい:2007/12/01(土) 09:38:21 ID:CoGFRkin
あれは英国流のジョークです。本気にしないように!
わかってるとは思うがな

23 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 10:40:50 ID:koDoHF8g
英国人のセンスはよく分からん。
まぁルイズはともかく、あのドラゴンがユニオンジャックに追加されるのは面白そうではある。

ジョナサンやジョセフがどう思うかは知らんが。

24 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 15:49:02 ID:fwJWo+Xs
時を吹っ飛ばした

25 :風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/12/01(土) 17:32:40 ID:1ywOU8Bn
J2を優勝する程度の能力

コンサドーレおめでとう新スレおめでとう一番槍投下を40分くらいから

26 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 17:40:25 ID:1ywOU8Bn

女盗賊が投獄された地下の監獄。
杖もない、金属もない、身動きもとれないで脱出は不可能だと早々に決め付け、観念した女盗賊。
眠りにつこうと思っていた刹那、階段の上からコツコツと靴の音が聞こえてくる。
「『土くれ』だな」
男は低い声を出した。

「あんた、何者?」
フーケは男に問い掛ける。男は質問には答えずに
「再びアルビオンに仕える気はないか?」
「ふざけたことを言わないで、それ以上そんな話をするようなら助けに来てもらったところ悪いけど死んでもらうよ」
半透明で薄緑色のゴーレムのような物体が現れる。
「物騒だな、勘違いをするな。アルビオンの王家に仕えろと言っているのではない。あそこの王家はもうすぐ倒れる」
「バカどもがドンパチやってるらしいからね」
「その片方のバカの誘いだ。トリステイン貴族などという枠を越え、この世界を憂う貴族たちの連盟だ。目的はハルケギニアの
統一、そして最終的には『聖地』を奪還する。手始めにあそこの風石と造船技術を頂く。造船所のお上は掌握済みだ、
最後の詰めに、そしてこの先の夢をキャンバスに描くためにお前のような優秀なメイジが一人でも多く欲しい」
フーケは肩をすくめて笑う。
「バカ言わないで、夢は寝ながら描くものよ。私は貴族が嫌いだし、ハルケギニアの統一なんかには興味が無いわ」
男は更に低い声を出す。
「断っても構わん。牢獄に転がっている死体にまで頼むほど人材は足りていないわけではないからな」

フーケはため息をつく。
「なら最初からそう言いなさいよ」
「そうか、なら話は早い」
男はフーケに杖を投げつけ、衛兵から奪ったであろう鍵で扉を開け、拘束具を外す。
「好きに脱出するんだな、三日後にラ・ロシェールの『サンジェルマン』で待っている」

フーケは男に杖を向ける。
「あんた、私をバカにしてるんじゃないの?殺すなんて脅した後に杖を渡されてそのまま従うほど従順じゃないね。
『ジャッジメント』!」

フーケのスタンドが檻を破壊し、杖からは男に向かって石礫が飛ぶ。

しかし、そこに立っていた男はもう影も形もなく、今度は数人『その男』が階段から降りてくる。
「『土くれ』、なかなか頭の回転が速いが、相手の属性もクラスもわからないまま攻めるのは感心しないな」
数人の『男』が同時に同じ声を出し、エコーのように響く。男は重なり合い、一人になる。
「『偏在』かい、一瞬で消えたのは魔力温存のため当たる前に引っ込めたのかい?」
「『偏在』の部分はその通り」
「ずいぶんと余裕だね、偏在は偏在に重なれない、あんたが本体だってのはわかりきってるのにね!」

もう一度フーケは石礫を飛ばす。
今度こそ男の体を捉らえる。
そして、男の体は消える。
「なッ!これも『偏在』!?」

今度は一人増えた『男』が階段から降りてくる。
「どうだい、力の差というものがわかったかな?これで断るようでも、ここの裏に墓標くらいは立ててやる」
フーケは再度ため息をつく。
「わかったわよ、完全敗北ね。当面の間は大人しく従ってあげるわよ」
「そうか、ではラ・ロシェールでな」

男は重なり、今度こそ一人になり、そして、今度は一人も居なくなり、消えた。

27 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 17:41:38 ID:1ywOU8Bn


 * * *


「で、ワムウ、わかってるの?ふざけたことしないで大人しくしてなさいよ?」
「ああ、大体わかった。この国の姫が学校の視察に来るのか、また騒がしくなりそうだ。俺は適当なところにいる」
「そうはいかないわよ、使い魔と主人は一心同体、あんたも出ないと失礼に当たるのよ」
「面倒だな」
「だから大人しくしてなさいって言ってるのよ」

ルイズはワムウに言い聞かす。
先ほどコルベールが珍妙な格好で授業に割り込み、姫殿下が行幸されると伝えて今日の授業は中止となった。

姫殿下が通過するというだけでその街道はさながらパレードで、近隣の一般人が多く集まっていた。
王室の紋章の入ったレリーフが街道に並べられ、ユニコーンの引く馬車の中からアンリエッタ姫が手を振る。

「トリステインバンザイ!」
「アンリエッタ姫殿下バンザイ!」
「マザリーニ枢機卿バンザーイ!」
「君に会えてよかった!」

脇の民衆から歓声が沸きあがる。

馬車は魔法学院の正門をくぐり、整列した生徒が一斉に杖を掲げる。
アンリエッタ姫が馬車を降りると、歓声があがる。姫は優雅に手を振る。

ワムウが呟く。
「あれがそのアンリエッタ、か」
いつもならば姫を呼び捨てにするなんてといってすごい剣幕でまくしたてるルイズだが、ルイズはその呟きには答えなかった。
視線の先には姫の近衛兵であろう羽帽子をかぶり、グリフォンにまたがっている貴族がいた。
ワムウは鼻を鳴らし、ルイズが見とれている隙に人ごみから抜け出していった。


 * * *


日も沈み、二つの月が部屋を照らす。
鍵をかけないことが暗黙の了解となっている窓が外から開き、ワムウがルイズの部屋に入ってくる。
てっきり、途中でいなくなったことについてなにか言われるとでも思っていたが、
ルイズは放心状態で入ってきたことにも気づかないようであった。
が、ワムウは気にも留めず、部屋に来る目的であった先日買った剣を拾い再度窓から出て行こうとした。
その時、ドアが規則正しくノックされる。
ルイズはハッとしたように立ち上がり、ドアを開ける。
そこには頭巾を被った少女が立っていた。

「静かに」
少女は呟き、杖を出す。
それを一振りすると光の粉が部屋に舞う。

「ディテクトマジック?」
魔法の正体にルイズが気づき、怪訝な顔をする。
「どこに耳が、目が光っているかわかりませんからね」
と頭巾の少女は返事をし、頭巾を外す。

その少女は、昼間歓迎式典を行った相手である
「お久しぶりね、ルイズ・フランソワーズ」

アンリエッタ姫であった。

28 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 17:42:39 ID:1ywOU8Bn

彼女は感極まったようにルイズを抱きしめる。
「ああ、ルイズ、ルイズ、懐かしいルイズ!私の友達のルイズ!」
「姫殿下、こんな下賎なところにお越しになられるなんて…」
「ルイズ、そんな堅苦しい行儀はやめてちょうだい!あなたにまでよそよそしい態度をとられたら、私死んでしまうわ!」
「ああ、そんな姫さま…」

二人は昔話に花を咲かせる。ワムウはそれをつまらなそうに眺める。

「……忘れるわけ無いじゃない、あの頃は毎日が楽しかったわ。なんにも悩みなんてなくって」
アンリエッタはため息をつく。

「姫さま?」
「あなたが羨ましいわ、王国に生まれた姫なんて、籠の鳥も同然…飼い主の機嫌次第であっちにいったりこっちにいったり…」
憂鬱げに外の月を眺め、呟く。
「ルイズ、私結婚するのよ」
「…おめでとうございます」
アンリエッタの陰のある言葉にルイズは手放しでは喜べなかった。

「…あら、そこに立っているのはどなた?」
アンリエッタはワムウに気づき、尋ねる。
「私の使い魔です、姫さま」
アンリエッタは感嘆の声を上げる。
「すごいじゃないルイズ、こんなすごい亜人を召還したなんて!あなたって昔から変わってると思ったけれど…
こんな使い魔みたことないわ!」
「そ、そんな…確かにすごいことはすごいですが私の命令に従うことなんて滅多に無くて…」
「そんな謙遜することないわよ」
「まだ数日しか立ってないのに決闘騒ぎに色々と言えない事まで…もし使い魔にするならイモリかこいつを選べと言われたら
迷わずイモリを選びますわ」
ルイズは憮然とする。それに合わせるようにアンリエッタはため息をつく。

「どうしたんですか姫さま」
先ほどからの過剰ともいえるおかしな様子にルイズが尋ねる。
「…いえ、なんでもないわ・・・ごめんなさい、あなたに相談できるようなことではないのに…」
「なんでもおっしゃってください、姫さま。そんな様子ではとんでもないお悩みを抱えているんでしょう?」
「いえ、話せません…悩みがあるなんてことは忘れてちょうだい、ルイズ」
「そんな、私を友達なんて呼んでいただいたのに、悩みを話せないのですか?」
ルイズは語勢を強める。
アンリエッタは嬉しそうに微笑む。
「嬉しいわ、ルイズ。今日初めて私を友達と呼んでくれて。わかりました、そこまで言うのなら話しましょう」

「外しても構わないか?」
ワムウは面倒ごとに巻き込まれるのは勘弁だと思い、なおかつこの姫には大してよい印象を持っていなかった上での発言だったのだが
「あら、人語も介するのね!お気遣いは嬉しいけれども使い魔と主人は一心同体、外さなくて構いませんよ」
やんわりと一蹴される。

そして、静かに話し始める。
「これから、話すことは、他言無用ですよ…私はゲルマニアの皇帝に嫁ぐことになったのですが…」
「ゲルマニアですって!あんな野蛮な成り上がりどもごときのうすっぺらな藁の家が深遠なる姫様の砦に踏み込んで来るのッ!」
ルイズが甲高い声をあげ、語を荒げる。
「ええ、でも仕方ないの…反乱を起こしたアルビオンの貴族がこのまま順当に王家を倒せば、トリステインに攻め込んで
くるでしょう……地理上は隣接しているようなものですし、ゲルマニアの軍事力は驚異的、ガリアとは政治的主張が
似通っています…あの反乱軍は腐敗した王家を倒すのが目的だといっていますが、その建前で同じような政治形態の
トリステインに攻めてくることはリンゴを幹から切ったら地面に落ちるくらい確実なの…
それで、軍事的庇護を受けるためにゲルマニアと同盟を結ぶのに私が嫁ぐことは致し方ないのです……」

アンリエッタは手で顔を抑え、下に向ける。

「そうだったんですか…」
ルイズは沈んだ声で言う。

29 :風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/12/01(土) 17:43:40 ID:1ywOU8Bn

「それで、礼儀知らずのアルビオンの貴族派どもは私の婚姻を妨げるための材料を血眼になって探しているのです」
「…では、もしかして姫様の婚姻を妨げる材料があるのですね?」
ルイズはその意味を察し、尋ねる。
アンリエッタは悲しげに頷き、ひざまずき、顔を両手で覆う。
「おお、始祖ブリミルよ、この不幸な姫をお救いください…」

ルイズの顔は紅潮し、興奮した様子でまくしたてる。
「では姫さま!その婚姻を妨げる材料とはなんなのですか!」
アンリエッタは呻き声を出すように呟く。
「…私が以前したためた一通の手紙なのです…それがアルビオンの貴族派に渡れば、それをゲルマニアの皇帝に届けるでしょう」
「どんな内容なのですか?」
「それはいえません…ですが、それをゲルマニアの皇帝が読めば、この私を許さないでしょう。そうすれば婚姻は潰れ、
あのアルビオンの貴族派にトリステイン一国で立ち向かうことになります…それだけは避けなければなりません…」

ルイズはアンリエッタの手を取る。
「して、その手紙はどこにあるのですか?私、姫さまの御為とあれば鬼が島でもヒンタボ島でも夢見が島でも向かいますわ!」
「それが…現在火中にあるアルビオン王家のウェールズ皇太子が…」
「プリンス・オブ・ウェールズ?あの凛々しい皇太子様が…では、姫さま!この『土くれ』のフーケを捕らえた
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールとその使い魔にその任務、お任せください!」
「ああ、そんな無理よルイズ!現在火中であるアルビオンに赴けなんて危険なこと、頼めるわけがありませんわ!」
「何をおっしゃいます! 姫さまとトリステインの危機とあらば、私見過ごすわけにはいけません!」
ルイズは強い意思を伝える。
「この私のためにそこまで言って下さるの!これが誠の忠誠と友情というものなのですね!ありがとうルイズ!」
アンリエッタは感涙したように眼を手で拭う。

ワムウが自分たちの言葉に酔っている2人の話に割り込む。
「俺も行くのか?」
「当たり前でしょ、連れて貰えないとでも思ったの?」
「断る。受身の対応者である悲劇の姫気取りの尻拭いなど俺がやるようなことではない」
ルイズは顔を紅潮させる。
「なななな、なに言ってんのよあんたは!すみません姫さま、私の教育が悪くて…」
「言った通りだ、若いとは言え姫なのだろう?心酔している者も多くいるようだしな。一国で事を構えられるだけの国力と軍事力を
整えるなり、アルビオンに介入して反乱の目を摘んでおくなり、開戦を察知して安全なうちに手紙を回収することもできた。
だが、それを怠ったのはお前の責任だ。結婚による同盟も一つの選択肢であることを割り切っているならともかく
敗戦が確実になるまで行動をおこさず、悲劇の姫を気取っているような奴にただで手を貸すほど暇でないんでな」
「ワムウッ!姫様になんたる失礼を!謝りなさい!」
「いえ、ルイズいいのです。彼の言うとおりです、これは私の責任です…ただで、とおっしゃいましたね?
ならば…母君からいただいたこの『水のルビー』を差し上げましょう。どうか、ルイズをお守りください」
アンリエッタは右手の薬指から指輪を引き抜き、ワムウに差し出した。
「そんな姫さま、畏れ多い…」
「ワムウッ!姫殿下になにをしたァーーッ!」

ギーシュが扉を開けて現れ、ワムウを怒鳴る。
すかさずワムウが殴り飛ばし、片方の手で指輪を受け取る。
「いいだろう、この依頼引き受けた。他言無用だったな?こいつは終了まで軟禁でもしておけ、なんなら証拠も残さず食うが」
ワムウの物騒な発言と拳を意に介さず、ギーシュはアンリエッタの前にひざまずく。
「姫殿下!その任務、どうかこのギーシュ・ド・グラモンにもお申し付けください!」
「あら、グラモンといえば…ワイルドキャット……じゃなくて…西部の投手でもなくて…」
「グラモン元帥の息子です、姫殿下!」
「知ってますわよぉおお!あなたも、私の力になってくれるとおっしゃるのですか!」
「ええ、もちろんです!加えて貰えるとしたらこれはもう望外の喜びに違いありません!」
「ではお願いしますわ、ギーシュさん」
ギーシュはひざまずいたまま深く礼をする。

「では、明日の朝に出発してください。貴方たちに始祖ブリミルのご加護かありますように」

30 :風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/12/01(土) 17:45:37 ID:1ywOU8Bn
 * * *

ラ・ロシェールの『サンジェルマン』。
一人の男と一人の女。

「…それで、お前には『女神の杵』亭を襲ってもらう。狙いはワルドとルイズ以外…たぶんあの使い魔だけだろう、その殺害だ」
「使い魔一人殺すのに私を使うのかい?自分を過信してるわけじゃないが、随分無駄な使い方だね」
「あの使い魔を舐めるな、『ゼロの使い魔』だ、なにが起こるかわからん。それにお前一人だけではない」
「やれやれ、あんたは敵の実力を過信しすぎじゃないか?まあ、軍人なんてのはそれがお似合いなのかもしれないけどね
せいぜい丘の向こうの見えない敵に怯えてな。それで、私以外に襲うのはどんな連中なんだい?」
「お前と同じ貴族くずれのメイジだ、『同じ』、な。報酬の先払い分だ」
女は報酬の袋を開け、中身の量をみて驚く。
「使い魔一人殺すのにこんなに金を積むなんて、軍人の貴族さんは違うわね」
「相方も同額だ、文句は無いだろう。それに、戦争と暗殺と人脈に金を惜しむほど馬鹿なことはない。
コストパフォーマンスを考えればお前たちの力量ではむしろ割安だ」

フーケは袋をしまい、話を再開する。
「で、その相方とはいつ落ち合えるんだい?」
「二日後の同じ時間で先ほど言った『女神の杵』亭で下見も兼ねてもらう」
「わかったわ、任務はワルドとルイズ以外の殺害ね、あんたの言うように好きなように暴れさせてもらうさ」
「暴れるだけなら相方の方が上だ、対象以外の尊き犠牲がどれくらいでるか…ああ、心が痛むな」
「心にもないことを、じゃあ私は行かせて貰うよ、ここの勘定も報酬に含めときな」
女は店を出、扉の鈴が鳴る。

残された男は呟く。
「ふむ、勘定か。やれやれ、自腹など払うのもな、俺への報酬とさせていただこうか」

男は、一瞬のうちに姿を消していた。


31 :風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/12/01(土) 17:46:48 ID:1ywOU8Bn
投下終了。
途中でコテ外れてましたね

クリスマスまでに3巻ラストまで持ってく予定だったけれどもこれは間に合わないな

32 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 18:02:46 ID:upJrowkF
投下乙です
そういやフーケとの戦いのときはワムウいなかったな
相方がかなりの実力者でないと喰われちまいますよw

33 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 18:50:20 ID:5S9zOQem
乙っ!レコンキスタなんてワムウ一人で食べきれそうな希ガス

そういやワルドはワムウとの戦いどうする気だろう
相手は髪飾りで小型のカマイタチを飛ばしてくる規格外なんだが
最悪風のスペルを見て「憶えたぞっ!」してきそう

スクウェア程度だと真っ向勝負したら即死しそうな悪寒
やっぱり何かしらのスタンドを身につけてるんだろうか

ところで神砂嵐とカッタートルネードは
どっちの方が破壊力あるんだろうか

34 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 18:57:24 ID:5S9zOQem
済まないageてしまった

35 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 18:58:40 ID:IRi2cgAP
発生の早さで神砂嵐じゃね?

36 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 19:08:24 ID:5S9zOQem
>>35
そういう事じゃあなくて
単純に威力だけ考えたらどうなるのかなって

実戦だとどうしても無詠唱なワムウに
メイジだと対応できそうにないし

そおいや魔法は使うメイジで威力が変わるんだっけ?

37 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 19:08:43 ID:dUqcnapB
>>33
神砂嵐は大理石も粉々ですぜ

38 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 19:14:44 ID:1ywOU8Bn
戦いは威力じゃないっておじさんが言ってた
魔法の強みは射程と応用性、威力の調節だと思って書いてる
大戦略でも自走砲強いし戦いは射程だよ兄貴

39 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 19:18:26 ID:Jb6cztvr
くだるくだらないは頭の使い方ということか


これは微妙に違うか

40 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 20:15:38 ID:mjMFtBFc
>>38
そのへんは…両方とも戦いの天才みたいだし
互いの策の練り方しだいか?

41 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 20:16:49 ID:5S9zOQem
皆の言いたい事は痛いほどわかるんだけどよぉー
やっぱり真正面から打ち合うのも
戦いの醍醐味の一つじゃあないか
例えばGガンの師匠とドモンの石破天驚拳の打ち合いとか

皆だって見たくないか、カリン様とワムウが
真正面から魔法と神砂嵐をぶつけ合ってるシーン

42 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 20:24:29 ID:1ywOU8Bn
>>41
だって真正面から打ち合ったらワムウ様に勝てる人がゲフンゲフン
とりあえずギーシュが無想転生くらいは身に付けないと追いつかん

43 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 20:35:48 ID:5S9zOQem
>>42
だからギーシュやロリドじゃあなくてカリン様を
例えとして出してるんじゃない

まぁプッツンした女王で妖精な姉さまでも
凄味補正でなんとかしそうだけど
               __
           ,...-‐ '´::::::::: `ヽ、  
             /::::/ヘry∧:::::::..::\
         /...:/〈/レ'^ 'V\:::::..:::::ヽ    ところで作家さん、更新はまだかい?
         i:::::{Nノ    `ヽ |l:::. ::.: |
         !: : l ●    ●. |i:::::.. ::i|
       (Z)ノ:,、:l⊃ 、_,、_, ⊂⊃::::::::::ヽ(Z)
        /⌒ヽ_::!ヘ   ゝ._)   j /⌒i ::ハ:ヘ
      \ /:::::|::::l>,、 __, イァ/  /(R) (I)
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       `ヽ<::::::.. ::!ヾ、__//:::::::...::/    \|^oメ^|/

44 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 20:55:51 ID:hZ7+hKQl
誰だ貴様!!

45 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 21:06:13 ID:9M/0Tkz2
真正面からの撃ち合い・殴り合いも良いが、隠者ジョセフみたいな『搦め手を使うスタイル』や、
女教皇ギーシュみたいに『能力差を知恵と覚悟で補う』戦い方も良いし、
サブ・ゼロギアッチョみたいに『困難は仲間と協力して乗り越える』ってのも良いし、個人々々で好みの戦い方はあるよな。

46 :名無しさん@お腹いっぱい:2007/12/01(土) 21:18:47 ID:CoGFRkin
>>43
鉄の人・・・なのか?

47 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 21:37:35 ID:5S9zOQem
>>46
               __
           ,...-‐ '´::::::::: `ヽ、  
             /::::/ヘry∧:::::::..::\
         /...:/〈/レ'^ 'V\:::::..:::::ヽ    オレの名はりじょっと
         i:::::{Nノ    `ヽ |l:::. ::.: |     スタンド名はめたりか〜んさっ!
         !: : l ●    ●. |i:::::.. ::i|
       (Z)ノ:,、:l⊃ 、_,、_, ⊂⊃::::::::::ヽ(Z)
        /⌒ヽ_::!ヘ   ゝ._)   j /⌒i ::ハ:ヘ
      \ /:::::|::::l>,、 __, イァ/  /(R) (I)
.        /:::::: |_/:::i'  |三/::{ヘ、__∧、|     r―y、
       `ヽ<::::::.. ::!ヾ、__//:::::::...::/    \|^oメ^|/


48 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 21:48:30 ID:OlwtA6PY
やあドッピオくんっ
鉄分はあるかい?

ゴメン、そろそろ自重する

49 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 21:50:44 ID:hZ7+hKQl
どんどん一属が増えてくな

50 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 21:51:05 ID:nIfiFyNY
>>43
うれしい事いってくれるじゃあないの。
俺は避難所に投下してもかまわずにほいほい本スレに宣伝する男だぜ?


校正がまだだから、十一時ごろね。もちろん避難所。

51 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 21:52:51 ID:2nRkmpos
>>50
            /'rイイvイ ノ|イ,へ、
           lV l~V,イ^レ' ν;;/ ノ て、.
             /し' / ,ィγ'`ヽ ヽ ノ ̄;; `>
          `> /ヽノ?,三ヽハイィ ;,,'`て
         〃 _イヽレ /  し| l │て'" 
         | / ●    ●   V|て   関係ない
          ヽ|,⊃ 、_,、_, ⊂⊃ ;;メ,    投下しろ  
        /⌒ヽ__ ヘ   ゝ._)   ,j '/⌒i      
      \ /:ノ:ィ:| l>,、 __, イ★/;;;;;;/
        \'  〈《:::::::::::::::::》 〉人. ∧

52 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 21:59:28 ID:hZ7+hKQl
今度はでぃおーんか

53 :サブ・ゼロ ◆oviEMgpce6 :2007/12/01(土) 22:07:13 ID:UvYJz6Kv
や、やっと書き終わった・・・。時間が無くて校正は今からだが
それが終わり次第投下する!・・・出来るはずッ!恐らく15分には投下出来るはずだ!

54 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:08:04 ID:XURafnl4
うひょおおおおおw待ってたぜw

55 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:10:35 ID:2nRkmpos
             ∧___∧   
            , -ミ´   ,シ`ヽ、  
            / ,.ヘ`=='''へ ヾ ヽ    
         //, /       `、k ゙.|,   
         ‖, / ⌒   ⌒  | .l !|,   
.         |l i l ●   ● u! l、l|    
         ‖ |⊃ 、_,、_, ⊂⊃|ノ! |  投下を祝福する
        /⌒V_'! |l、  ゝ._) , '|i/⌒i!|   
      \ /::/|i l. >.、 ___ , イ |/;;;;;;/'!|    
        ヾシXl lXー--‐一'!lXXYl l|     
        〃YX!XXXXX∩`!キxxメ!l|

56 :サブ・ゼロの使い魔(1/8):2007/12/01(土) 22:15:32 ID:UvYJz6Kv
「・・・何やってんだ、おめーら」
部屋の扉を開けたまま、肩にデルフリンガーを担いだ状態でギアッチョは
しばし固まった。
厨房でルイズ達と別れてから数時間を剣の訓練に費やし、今戻って来た
彼の眼に飛び込んだものは、
「あ、おかえりギアッチョ」
「お邪魔してます」
足りない分はキュルケあたりの部屋から持ってきたものか、しっかり
五人分揃えられた椅子に座り円卓の騎士よろしく丸テーブルを囲む
ルイズ達の姿だった。
「シエスタの嬢ちゃんまでいるじゃねーの 今日は半ドンか?」
やけに俗な言葉でデルフがギアッチョの疑問を代弁する。シエスタは椅子を
引いて立ち上がると、律儀に礼をしてからそれに答えた。
「はい マルトーさんに掛け合ったら快く許してくださいまして」
「・・・理由はそいつか?」
ギアッチョはテーブルの上に丁寧に広げられた数枚の地図に眼を向ける。
「ロマンだよギアッチョッ!!」
両手で勢いよく地図を叩いて、ギーシュが興奮した面持ちで声を上げた。
「見たまえ!宝の地図だよ!宝、財宝、進化の秘法!」
「ああ?」
「宝探しは男のロマンさ!男に生まれたからには、心躍る冒険の一つや
二つ夢見て当然!いや、見ないでどうするッ!!」
「あんた毎日冒険してるじゃない」
主に女性関係で、と突っ込むルイズの言葉も、熱苦しい情熱を振りまいて
語るギーシュの耳には届かないらしい。キュルケはやれやれという風に首を
振ると、一人と一本に説明を始めた。
「ほら、折角こんな関係になったんだしシエスタも入れてどこかに
遊びに行こうって話になったのよ それで、最近私が買った地図のことを
思い出してね」
「貴族の割に野趣溢れる選択だな・・・こういうなぁ人を雇って探させる
もんじゃあねーのか?」
「貴族と言っても私達は所詮子供だしね、大金持ってるわけじゃないのよ
それに、ま・・・ギーシュじゃないけど、ちょっと夢があっていいじゃない?」
ギアッチョはもう一度並べられた地図に眼を落とす。どれもこれも、いかにも
作り話じみたうさんくさい代物ばかりである。胡乱な視線に気付いたらしい、
タバサが本をめくる手を止めずに口を開く。
「・・・確率は低い でも伝承や噂と矛盾する内容は見当たらない」
「行ってみる価値はある、っつーわけか」
桃色の髪を揺らして、ルイズがギアッチョを見上げた。
「・・・ダメ?」
「何でオレに許可を求めんだ ・・・ま、いいんじゃあねーのか」
「見たとこどれもそう遠くはなさそうだしな」地図にルイズ達がつけた
印を見ながら応じる。「死なねー程度に頑張って来な」
「何言ってるの?あなたも行くのよ」

57 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:15:56 ID:bSKMeFci
支援する!

58 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:16:32 ID:8iW1D258
支援

59 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:16:38 ID:1ywOU8Bn
さぶぜろだああああ
わくわく

60 :サブ・ゼロの使い魔(2/8):2007/12/01(土) 22:17:06 ID:UvYJz6Kv
「・・・何?」
キュルケの言葉に、ルイズのベッドに無造作に下ろしかけた腰を一瞬止める。
「同行」
「おめーらで行きゃあいいだろーが」
「皆で行くからいいんじゃないか!」
「だからおめーらで行けば・・・」
「ダメよそんなの!皆で行くんだから、ギアッチョがいなきゃ意味ないわ!」
五人は喧々囂々主張を交わす。この数日を特に鍛錬に充てるつもりの
ギアッチョとしては、それが潰れることは歓迎出来ない。一方ルイズ達は
誰か一人欠けても意味が無いと主張し、彼らの議論は中々収束しない。
「・・・あのっ」
おずおずと声を掛けたシエスタに、全員の視線が集中する。慌てて机上の
地図を一枚掴み、ギアッチョに差し出して言った。
「これ、『竜の羽衣』って宝物の地図なんです」
「・・・?」
「さっき話してたんですけど、これ実は私のひいおじいちゃんの持ち物で」
「おめーの故郷か?そりゃあ奇遇だな」
「はい、それで・・・あの ・・・何にもない村なんですけど、一つだけ
――とっても綺麗な草原があるんです 私、ギアッチョさんにも見て
貰いたくって」
「・・・・・・」
「・・・ダメ、でしょうか」
ギアッチョの冷たい双眸が、シエスタの不安げな瞳を捕える。
「・・・・・・しゃーねーな 保護者が必要だってことにしとくぜ」
小さく溜息をつくと、両手を上げて降参の意を示した。同時に、その場が
わっと歓喜に沸く。
「よく言ったッ!それでこそ男だよギアッチョ!」
「おめーに男がどうとか言われたくねー」
「お手柄よシエスタ!」
「きゃっ!?だ、ダメですミス・ツェルプストー!」
再びロマンを語り出すギーシュの横で、キュルケがシエスタを抱き締める。
珍しくというべきか、歳相応にはしゃぐ彼らだったが、
――あ・・・・・・
嬉しそうに笑うシエスタと、その視線の先にいるギアッチョに――ルイズの
胸はちくりと痛んだ。すぐに理由に気付いて、それを吹き飛ばすように彼女は
強く首を振った。

61 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:18:41 ID:7JK2x5BF
支援

62 :サブ・ゼロの使い魔(2/8):2007/12/01(土) 22:19:57 ID:UvYJz6Kv
「それじゃ、明日はちゃんと起きるのよ」
「わ、分かってるわよ!」
キュルケ達を見送りに出た廊下。今朝のことが頭をよぎり、ルイズは思わず頬を
染めて返答する。一瞬怪訝げな表情を浮かべたキュルケだったが、自室の扉を
開くと特に詮索することも無く手を振った。
「そ、じゃあ二人ともお休みなさい」
「お休み・・・また明日」
「じゃあな」
無理矢理見送りに引っ張り出したギアッチョと三人で挨拶を交わし、キュルケは
あくびをしながら扉を閉めた。同時に、ルイズが同じく自室の扉を開ける。
「さ、わたし達も早く寝ちゃいましょ 明日は早いんだから」
ギアッチョは声を出さずに、肩をすくめてルイズに応えた。

ぱたり、と扉が閉まる。その音に被せて、
「・・・ギーシュ・・・」
廊下の角に姿を隠して、見事な金糸の髪を持つ少女は――怒りと不安と悲しみの
入り混じった声で恋人の名を呟いた。


ニ脚に戻った椅子に腰を下ろして、ギアッチョは最近見方を覚えた水時計を
覗く。もうすぐ深夜に差し掛かる頃合だった。中々スケジュールが定まらず、
夕食を終えて入浴を終えた後も六人はあれやこれやと打ち合わせを続けていた。
もっとも、その半分以上は他愛の無い雑談に割かれていたのだが。
「ほら、さっさと寝るわよギアッチョ!寝坊なんてしたら許さないんだからね!」
「・・・随分と楽しそうじゃあねーか」
「そ、そう見える?」
「見えるも何も・・・っつーやつだ」
二人は背中を向けたまま会話する。
「おめーがそんなに笑顔でいんのは見たことねーからな」
「えっ・・・ええ?」
ぺたぺたという音がギアッチョの耳に届く。大方、今頃気付いて反射的に自分の
顔でも触っているのだろう。
「・・・単純なガキだな」
「ぅ・・・わ、悪かったわね・・・」
自分の行動を見透かされたと気付いたらしい、ルイズは小さく拗ねた声を出す。
「・・・別に、いいんじゃあねーのか」
「え?」
「おめーらみてーなガキがよォォォ〜〜〜〜、小難しいことばっか考えてて
どーすんだっつーのよ そうやってあいつらと笑ってるほうがよっぽど歳相応
だろーが」
毎度巻き込まれるのは勘弁だが、と小さく付け足して、ギアッチョはフンと
鼻を鳴らした。

63 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:20:45 ID:7JK2x5BF
支援

64 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:20:54 ID:8iW1D258
支援

65 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:21:20 ID:SLfifQQk
サブゼロキター!支援!

66 :サブ・ゼロの使い魔(4/8):2007/12/01(土) 22:21:54 ID:UvYJz6Kv
「・・・そ、そう・・・」
若干の沈黙が場を支配する。微かに衣擦れの音が聞こえた後、
「・・・もういいわ」
着替えの終了が告げられた。といっても、ギアッチョは何ら興味を示さずに
黙り込んだままだったが。
「・・・あの」
「何だ」
ベッドの上に座り込んだまま、ルイズはどこか眼を泳がせながら問いかけた。
「わたし・・・笑ってたほうが、いい?」
「・・・・・・」
ギアッチョは肩越しにルイズを振り返る。
「・・・まぁ 年中辛気臭ぇ顔されるよりゃあよっぽどいいだろ」
何とはなしに軽い答えを返すが、ルイズの表情は予想に反して緊張したまま
だった。既に薄く染まっていた頬を更に赤くして、毛布をいじりながら口を開く。
「・・・・・・じゃ、じゃあ」
「まだ何かあんのか?」
「わっ、わわ・・・笑ってたほうが、か、か、かか・・・可愛い・・・?」
「・・・・・・ああ?」
コントよろしく椅子からずり落ちそうになった身体を何とか持ち直す。
「バカかてめーは」とあしらおうとしたが、ルイズが存外真面目な顔でこちらを
見ていることに気付いて、ギアッチョは思わず言葉を飲み込んだ。
物の本によれば、弟子の質問にどう答えるかで師匠はその真価が問われると
言う。しかしこのような場合に一体何と答えて然るべきなのか、ギアッチョには
皆目見当がつかなかった。
――そもそも、こいつは何を求めてやがるんだ
片手で特徴的な髪をいじりながら、ギアッチョは改めてルイズに眼を向ける。
毛布を抱き締めた格好で、ルイズは上気した顔に不安げにも期待するようにも
見える色を浮かべている。
自慢ではないが、生まれてこの方連想ゲームや伝言ゲームに勝った試しなど
一度とて無い男である――最も、敗北よりもブチ切れてゲーム自体を台無しに
したことのほうが多いのだが――、ルイズの心の機微など解ろうはずもなかった。
「あー・・・」
何と言っていいものか、ポーカーフェイスの下でギアッチョは白旗を揚げたい
気分だった。――その時。

コンコンと、扉を小さく叩く音が聞こえた。

67 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:22:43 ID:7JK2x5BF
支援

68 :サブ・ゼロの使い魔(5/8):2007/12/01(土) 22:23:54 ID:UvYJz6Kv
「夜分遅くにすまんの、ミス・ヴァリエール 起こしてしまったかな」
扉の向こうに居たのは、誰あろうオールド・オスマンその人であった。
「い、いえ・・・大丈夫です それよりもこんな格好ですいません、今着替え――」
「いや、それには及ばんよ 忘れておったこちらが悪いんじゃからの」
「忘れ・・・?」
小首をかしげるルイズに、オスマンは古びた一冊の本を差し出した。
「本来ならば昼に渡すべき物だったんじゃが・・・いやすまぬ、職務に忙殺
されてすっかり忘れておったのじゃ」
「それは・・・ご苦労様です」
とりあえず受け取りながら、学院長に労いの言葉をかける。ミス・ロングビル
――土くれのフーケがいなくなってから、まだ新しい秘書は雇っていないらしい。
それでは忘れてしまうのも仕方が無いだろう。
「・・・それで、これは・・・?」
「うむ それはの、『始祖の祈祷書』と呼ばれる古文書じゃ」
「始祖の――こ、国宝じゃないですか!」
それがどうして、とルイズが疑問を継ぐ前に、オスマンは静かに説明を始めた。
「アンリエッタ王女が、この度目出度くゲルマニア皇帝との結婚を執り行う
こととなった」
「・・・・・・!」
ルイズは絶句する。こうなることは分かっていたはずなのに、刺すような痛みが
彼女の心を抉った。オスマンは数秒ためらうように沈黙したが、やがてゆっくりと
説明を再開する。
「おぬしも聞いたことはあろう トリステイン王室の伝統では王族の婚儀の際に
貴族から一人の巫女を選出し、その祈祷書を手に式の詔を詠み上げさせる慣わしが
あるのじゃ」
「ま、待ってください!それは――」
「うむ 王女はおぬしを巫女に指名した」
「姫様が・・・」
ルイズはハッとして顔を上げた。こっそり左右に目配せすると、オスマンは
ルイズを見返して言う。
「望まぬ結婚じゃ、王女も――おぬしも辛かろう しかし、ならばせめて親友に
祝ってもらいたいのだろうとワシは思う ・・・どうじゃ、引き受けては
くれんかの」
元より選択肢など無い。数多いる貴族の中から、アンリエッタはこの自分を選んで
くれたのだ。一体どうしてそれを拒否出来ようか。
「・・・謹んで拝命致します」
始祖の祈祷書を両腕に抱いて、ルイズは静かに一礼した。

69 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:24:14 ID:2nRkmpos
支援だッ

70 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:24:16 ID:8iW1D258
支援

71 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:24:19 ID:7JK2x5BF
支援

72 :サブ・ゼロの使い魔(6/8):2007/12/01(土) 22:25:54 ID:UvYJz6Kv
「・・・・・・どうしよう」
「何がだ」
扉を閉めると同時に、ルイズは弱った顔で呟いた。
「聞いてたでしょ?詔の内容はわたしが考えるんだって」
「みてーだな」
ギアッチョはさして興味も無いと言った風に返す。
「わたし、そういうの苦手なのよ 全っ然思いつかない」
「・・・受けちまったもんはしょうがねーだろ」
「それはそうだけど、しかもそれを国賓の貴族達の前で詠み上げるなんて・・・」
「考える前に弱音を吐くんじゃあねーよ」
「うう・・・」
ギアッチョのあまりの正論にルイズは言葉も無く溜息をつく。
「何にせよ今日はもう寝とけ」
「・・・うん」
言いながら寝床へ向かうギアッチョに習ってルイズもベッドへ足を向けるが、
ふと立ち止まって後ろを振り返った。
「・・・ねえ、ギアッチョ」
「何だ」
「・・・・・・やっぱり、ベッドで寝たい?」
「・・・今更だな」
毛布を広げながら、ギアッチョは首だけをルイズに向けて答えた。
「そりゃあよォォ クッションよりも硬い床が好みなんてヤローはそう
いねーだろうぜ」
「――そう・・・よね・・・」
悄然と俯くルイズに、フンと鼻を鳴らして言葉を重ねる。
「別に何とかしろたぁ言わねーよ 金もスペースもねぇのは分かってんだ
こういう所で寝るのは慣れてるしな」
事実、ルイズに金は無かった。昨日の自分とギアッチョの治療費に加えて、
キュルケ達の反対を押し切って彼女らの分までを負担していたのである。今の
ルイズの財布では、今日の糊口を凌ぐことすら難しかった。そんな現状を
把握した上での発言だったが、
「ん・・・」
いつまでも床で寝させていることへの罪悪感からか、それを聞いてルイズは
複雑な顔になる。

73 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:26:19 ID:8iW1D258
支援

74 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:27:05 ID:SopXq8OL
今日のオヤツはソルベだったよ支援

75 :サブ・ゼロの使い魔(7/8):2007/12/01(土) 22:27:57 ID:UvYJz6Kv
「・・・・・・あ、あの」
しばし言おうか言うまかといった仕草を見せた後、ルイズは小さく深呼吸を
して意を決したように口を開いた。
「・・・や、やっぱりいつまでも床なんてあんまりよね だ、だから、その、
・・・ベ、ベ・・・」
そこで言葉が止まる。ギアッチョの怪訝な眼差しから逃げるように、ルイズは
俯いて毛布を抱き締めた。
「・・・だからオレぁ別に――」
「ベ、ベベベベッドで寝てもいいわっ!」
ギアッチョの言葉を遮って、一息に言い切った。
「ああ?」
ギアッチョは視線をルイズの下に移す。ベッドというのは――普通に考えてこれの
ことだろう。
「・・・おめーはどうすんだ」
「そ、それはわたしも隣で・・・」
「・・・・・・」
「あ、ちっ、ちち違うわよ!変な意味は全然無いんだから!た、ただあの、昨日
二人で使ってもスペースに問題無いって分かったし、ギアッチョの為にわたし何も
出来て無いし・・・だ、だからその・・・!」
ギアッチョの沈黙をなんと捉えたものか、ルイズはブンブンと手を振って釈明した。
ギアッチョはそれでも少しの間黙考していたが、すぐに顔を上げて口を開いた。
「・・・ならそうさせてもらうぜ」
「これから寒くなってくるかもだしやっぱり床は不衛生だし・・・って、え?」
投げられたのは、ルイズの予想と全く反対の言葉だった。毛布を担いで数度埃を
落とすと、ギアッチョは何の迷いも無くベッドへやって来る。
「えっ、えええ!?ちょちょちょちょっと待って!!まままだ心の準備が――!」
「何の準備だよ」
ルイズの心境も知らず、ギアッチョはあっさりとルイズの反対側に寝転がった。
「とっとと寝るぞ 明日遅刻したくねーならな」
「・・・・・・バカ」
「何か言ったか」
「な、何でも無いわよ!おやすみっ!」
ギアッチョから顔を背けてそう言うと、ルイズもそそくさと毛布に潜り込む。
それを確認して、ギアッチョは静かに眼を閉じた。

76 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:28:53 ID:7JK2x5BF
支援

77 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:29:50 ID:2nRkmpos
支援

78 :サブ・ゼロの使い魔(8/8):2007/12/01(土) 22:29:54 ID:UvYJz6Kv
――変わったのは・・・どうやらオレだけじゃあねーらしい
静謐に身を委ねて、彼はぼんやりと考える。勿論、自分はルイズの何を知って
いるわけでもないのだろう。ルイズと共に過ごしたのは、まだたかだか数ヶ月だ。
しかし、その数ヶ月で自分はルイズの涙も笑顔も知った。だからこそ解る。
自分が変わったように、ルイズも変わったのだと。
ルイズの提案を受けた背景にはそういう思考があった。知り合ってすぐのルイズで
あれば、貴族のベッドで平民が寝るなど自分の私物で無くても許しはしなかった
だろう。――だから。昼にシエスタに言ったように、まさか本当に保護者になる
つもりなどは毛頭無いが――ルイズが自分を気遣うならば、それを受け入れて
やるぐらいの度量はあってもいいだろうと、そう思う。
――プロシュートの野郎は、こんな心境だったのかもな・・・
それは、ギアッチョが一番理解出来ないと思っていた感情だった。軽い自嘲を
口元に浮かべて――ギアッチョは今度こそ眠りの底へ落ちて行った。

79 :サブ・ゼロの使い魔(8/8):2007/12/01(土) 22:31:42 ID:UvYJz6Kv
以上、投下したッ!
最近投下頻度がどんどん落ちている・・・
危機感を覚えつつも改善出来ない自分がもどかしい。

80 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:31:43 ID:LmW67GsA
ギア千代さんフリーダム支援!!

81 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:32:12 ID:bSKMeFci
ギアッチョの地味なデレかたはいい
心が洗われる

82 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:34:01 ID:SLfifQQk
俺サブゼロを読むと自然と顔がニヤけちまう奇病にかかってしまったようなんだ…

GJ!!相変わらず二人の近付いてるんだかなんだか分からない距離感がベネ

83 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:34:32 ID:2nRkmpos
          /´ ̄ ̄‖ ̄~ヽ
         // /ノ゙' " `ヽ   \
        / / / /  ー- ヽ   ヽ
.       l '  /,/,__,-‐ー-ヘЩ   }   ディ・モールト(非常に)
.       |i ___ r'"~:::::::::::〔●〉::::ト、  ス    ディ・モールト(非常に)
        /:::::)i"●,r‐-―一-、::シ ,i'"      投下乙!
      /:◎:yi ヘ⊃   ,_,⊂⊃l  //
      ( ̄~"ヽ、,ゝ、_,`´     ィ //       Wツンデレベリッシモ良いぞッ!
.      \    |=| "ー‐-イ'^i、/_
.       ||\,,_」;;:l、,,,,_,」:]:;;;;;;,:::ヽ、
.       ~|「 |"゙゙))::::::::T:::::::::((:::::)):::((|

84 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:39:18 ID:fJ8y8ogV
GJ!
>>82
奇遇だな
俺もさぶぜろを読むと唇の両端がニィイと吊り上がる悪役笑いが浮かぶんだ

85 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:39:37 ID:SopXq8OL
サブ・ゼロGJ!
デレギアッチョ可愛いよデレギアッチョ


86 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:42:14 ID:ffvORybG
サブ・ゼロさん乙&ぐっじょぶ!ですた
爽やかで心洗われましたよ

87 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:45:57 ID:nIfiFyNY
一言……許すと……
校正してて支援とGJができなかった俺を許してくれ……
そのひとことで俺は救われるんだ。

ツンがデレを! デレがツンを引き立てる!
「ハーモニー」ッつーんですかぁ?(ry

88 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:50:09 ID:ffvORybG
許しを願ったとき、すでに許されry

89 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:54:22 ID:OlwtA6PY
超GJってやつさぁ〜〜!

90 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 23:19:50 ID:QzAXD7Jq
>サブゼロ
GJ!
しかし寝ぼけたギアッチョがスタンド発現したら豪い目に合いそうだwww

>風
>知ってますわよぉおお!
姫様wwww
相変わらず小ネタが多くてGJ!
一番笑ってるかも

91 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 23:32:49 ID:9M/0Tkz2
サブさんGJ!!
ギアッチョとルイズを見てたら胸が熱くなって、その上何だか不思議な気分に成っちまう…
ひょっとしたら俺も病気にかかったのかもしれんな。

92 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 00:08:35 ID:dEVLrfTe
メイドインヘヴン!

世界は一巡し……
皆メイドになr…げふんげふん、IDが変更される!!

93 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 00:18:12 ID:+vKTLiqG
>>92
お前のせいでメイド姿のワムウとシュトロハイムと
ヴァニラとアヌビス神とワルドが浮かんだじゃねえか!

94 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 00:24:17 ID:cvJbnU7J
>>93
メイド服着た剣って何だよwwwww

95 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 00:31:21 ID:OokDIq9u
フリル付きアヌビス神・・・・・・


ありか・・・・・・いや、ねーな

96 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 00:35:55 ID:2/52svW8
>>アヌビス+メイド

ジャッカルの顔をした獣クサイメイド………

97 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 00:39:16 ID:9/dVBTH/
それよりも一巡した世界にアヌビス神が錆びずに辿り着けたのだろうか

98 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 00:46:05 ID:aEw8J7do
立派なイタリアンコックの包丁として!!

99 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 00:47:57 ID:Em7Alu/W
ああそんなネタあったなww

100 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 01:03:53 ID:ojiPiofp
むしろ一巡後のアヌビスは剣どころかとらを押さえつけてる槍に

101 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 01:07:25 ID:OokDIq9u
--------ここからアヌビススレ-------

102 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 01:15:48 ID:cVymTQdu
だが断る
ここから先はこの僕のスレだ。

103 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 01:39:56 ID:w1BtRxNO
良かったら…45分ぐらいから小ネタを投下しても…いいですか?

104 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 01:42:11 ID:Em7Alu/W
GO!

105 :ヤバイ「RUNE」がIN!! :2007/12/02(日) 01:45:32 ID:w1BtRxNO
行きます。





ゼロのルイズこと、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは緊張していた。
今まで挑戦した魔法は全て失敗。成功率ゼロ。何一つ上手く行ったことが無い。だが、今回は失敗するわけには行かない!
春の召喚の儀式を乗り越えなければ、トリステイン魔法学院の二年生に進級できないのだ!
前の生徒達が次々に使い魔の召喚に成功して行き、ついに自分の番になる。ただでさえ小柄で小さいルイズの身体は緊張と重圧のせいでさらに縮みそうだ。
(大丈夫…きっと成功するわ…)
心の中で呟く。
(いや、成功する!このルイズ・フランソワーズなら出来るッ!!絶対召喚できるッ!!)
自分を励まし、呪文を唱え始める。
「宇宙の果てのどこかにいる私の僕よ!
神聖で美しく、そして最強な使い魔よ!!
私は心より求め、訴える!我が導きに答えなさいッ!!」
そして杖が振り下ろされ…
ドグォ――z__ンッ!!
「く、空間が火を吹いたッ!?」
「ルイズの奴また失敗してるぜw」
「いい迷惑だよ全く」
「いや…待て!クレーターの中に何かいるぞ?!」
「うそだろ!マリコルヌ!」
「ああ、嘘だ…と思ったけど、何かちっこいのが動いてるぞ!」
召喚された物にルイズが近づく。
「…これって…カエル?」
そこに居たのは、一匹のカエルだった。
「ふーむ。珍しいカエルだな…」
教師のコルベールがいつの間にやら隣で呟いた。
「何はともあれミス・ヴァリエール!召喚成功おめでとう!」
頭を輝かせながら労いの言葉を掛けてくる。
言われたルイズの方はというと…
(う…成功したのは嬉しいけど…ちょっと両生類ってやつはニガテで、き…気持ち悪いわ)
「どうかしましたか?さあ、早くコントラクト・サーヴァントを。」
「は、はい!」
(…仕方が無いわ。何回か失敗するかと覚悟していた所に、一発で成功してこいつが出てきたんだもん…
これがわたしに最良の使い魔なのね…。それに!貴族とは!敵に後ろを見せない者の事ッ!!私は貴族よ!やってやるわ!……敵じゃないけど)
意を決してカエルに両手を伸ばすルイズ。
(ううう〜…やっぱり気持ち悪いわ!ひんやりとしていてヌメヌメしてるし…お腹がぶよぶよじゃないッ!何でこんなに柔らかいのよ!肋骨無いんじゃないの?!)
何とか顔の高さまでカエルを持ち上げた。
カエルの方は大人しくしている。
多分、召喚された影響だろう。

106 :ヤバイ「RUNE」がIN!! :2007/12/02(日) 01:46:41 ID:w1BtRxNO
(……先にカエルに口付けしたモンモランシーを尊敬する……毒かもしれないのに…
こんな気持ち悪い生き物に平然と口付けしたあんたをッ!)
「…ミス・ヴァリエール?」
カエルと見詰め合っているルイズを、コルベールが急かす。
「今やります!……う…我が名はルイズ・フランソワーズ……ル・ブラン・ド…ラ・ヴァ……ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。このカエ…者に祝福を与え、我の使い魔となせ!」
ゆっくりとカエルに顔を近づけるルイズ。
そして唇と唇が触れ合った。
………
(……思ったより唇は硬いのね)
そんな事を考えていると、カエルがジタバタ暴れだした。
ただでさえ嫌いなカエルが両手の中で暴れですのだからたまったものじゃあない!
「ちょ、ちょっと!暴れないでって!大丈夫よ、使い魔のルーンが刻まれているだけ…」
言いかけたルイズは、自分の異変に気づく。
熱い!左手が熱い!!そして痛いッ!!
(何?何この痛みはッ!!痛すぎる!!)
「…ぁぁぁあああああああああああッ!!」
我慢しきれず悲鳴を上げるルイズ。
カエルを放り出し、右手で左手を抑えるが、余りの痛みに立っている事も出来なくなりガクッと膝を付いてしまう。
「ミス・ヴァリエール!!どうしたのかね?!!」
コルベールが慌てて駆け寄る。
それも間に合わず、地面に倒れるルイズ。
丁度顔の前に倒れて来た自分の左手。
(…おかしいわ……手の甲のところがおかしいわ…)
薄れ行く意識の中、闇に包まれていく視界に手が映る。
(急におかしくなった…この手、ルーンが……刻まれてる!はっ!!
なるほどうわははははははは、使い魔にされたのはわたしでしたァぁぁぁ!いつの間にかぁぁぁー!)
何が起きたのかを理解したルイズはそのまま意識を失った。
その広場には、
気絶したルイズと、医者を呼ぶよう叫ぶ教師、
呆然とそれを眺める生徒達とその使い魔達。
そして……
見知らぬ異国の文字が書かれた謎のトランクが残されていたという。



その後…
ルイズ――自分に刻まれたルーンの能力と失敗魔法、そして『迂闊にカエルに口付けした事の反省』を生かし大いに成長(精神的な意味で)。
       君主であり友人でもあるアンリエッタからさまざまな任務を受け全て達成。史上初の『虚無の使い手+アヌb…ガンダールブッ!』となり、
       本来詠唱中は無防備となるが、ガンダールブの能力により、詠唱しながら杖を仕込んだ喋る剣で戦うことが出来、その戦闘能力は他の虚無の使い手の追従を許さなかった。
       さらにガンダールブの力で戦うのではなく、逆に思いっきり『逃げながら詠唱ぅ〜!』は、貴族らしからぬと批判されたが、誰にも打ち破られる事が無かったと言う。
       それらの事から、ハルケギニア最強の戦士として歴史にその名を刻む事となった。

涙目のルカ――ジョルノに適当な説教を垂れ生存ッ!!

広瀬康一のトランク――トリステイン魔法学院に保管されている。発明好きな名物先生の機嫌を取ると見せてくれる。

107 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 01:47:48 ID:w1BtRxNO
以上、『広瀬康一のトランクからゴールドエクスペリエンスで作られたカエル』を召喚しました。
使い魔に能力与えるより、自分がその能力持った方が良かったじゃないですか?ブリミルさん。
そんな気持ちを作品に込めました。
ゴールドEが作った生物が魔法を反射できるのかですが?そこん所だがオレにもようわからん。
では。

108 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 01:51:02 ID:+vKTLiqG
何が召喚されたのかと思ったらあの時のカエルかw
面白かったGJ!

受けたダメージを反射させる能力って
何処行ったんだろうな

109 :アンリエッタ+康一 ◆3D2JBRgybs :2007/12/02(日) 02:07:55 ID:x4bOV9zO
夜も遅いですけど自分も15分から投下しても構いませんか?

110 :アンリエッタ+康一 ◆3D2JBRgybs :2007/12/02(日) 02:15:31 ID:x4bOV9zO
反応無くて寂しいけど気にせず投下

何とか三人の追っ手から逃れた康一とマザリーニは、一時近くの部屋の中に逃げ込んでいた。
薄暗くて部屋の中はよく見えないが、机と椅子に幾つかの本が納められた書棚があるだけのようだ。
当然ながら人は居ない。窓があるとはいえ、明かりもつけずにこんな場所にいる人間は怪しすぎる。
そして二人は追っ手に気付かれぬように明かりはつけられないので、充分怪しい人間であると言えた。

「あっぐァ…!」
「マザリーニさんッ、大丈夫…じゃあないですよね」
ピチャリ、と水滴の滴る音がした。そしてその水は赤黒い。
先ほどの氷の矢を、康一は致命傷になる分は防御できたが全てを防げた訳ではなかった。

康一も所々で学ランが引き裂かれ、地肌までも切り裂かれている。
しかしマザリーニはもっと酷い。ザックリと足が裂けて、傷口を押さえても血が止まらないでいるのだ。
これがこの部屋へ逃げ込んだ理由。足がこの状態で追っ手から逃げ切ることは難しい。
一旦落ち着ける場所が必要だった。

「くそっ、とりあえず何か包帯みたいなのでキズを押さえないと…!」
康一は窓に取り付けられたカーテンをACT2の『チョキン』のしっぽ文字で切り落とし、
それを長い布状に裂いてマザリーニの足の傷に巻きつけキズを圧迫する。
血を止める為でも、キズを圧迫しすぎるのは良くないらしいが、そんな加減は康一には分からない。
今は何とか血を止めて、早急に水魔法で治療するべきなのだ。

「痛いと思いますけど我慢してくださいよ、マザリーニさん」
「できる限りしますが、これは、我慢できる痛みを、超えてい、あづッ!」
明らかに苦悶の表情を浮かべて、カーテンをきつくキズに巻かれるマザリーニ。
痛みなのか、血を失った為なのか、多分両方だろう。その顔色はどんどんと青白くなる。

血が完全に止まった訳ではないが、巻き終わったカーテンの端をACT2がしっぽ文字で切り落とした。
「ひとまずはこれでいいと思います。でも早いトコ治療しないと不味いかもですよ」
「むぅ…いえ、それよりも大切なのは、この書類を姫様の元へ必ず届ける事です。
これを姫様へと届けるのが、今一番大切な事。それに比べれば、私の手当ては二の次。
いざとなれば私を置いていってでも構いません。何としてでも姫様にお届けせねば」

マザリーニの手にある書類の束。彼はキズを負いながらもこれを手放さなかった。
痛みを堪えて所々うめくような口調だが、マザリーニは誓った忠義を果たさんとする。
真に国を、アンリエッタを案ずる姿は、父性のように逞しい優しさを備えていた。

111 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 02:15:52 ID:HJK9Vsev
支援

112 :アンリエッタ+康一 ◆3D2JBRgybs :2007/12/02(日) 02:16:58 ID:x4bOV9zO
『S・H・I・T。シカシ一個問題ガアリマスネ』
いつの間にかACT3が宙に浮いている。マザリーニの話を聞いていたらしい。
「ああ、その通りさ。僕達は生きてアンリエッタさんの所へ帰ります。
マザリーニさんを置いてくなんて、僕は自分でムカついちゃって出来やしませんよ」

康一とACT3の顔が同時に、ニヤリと笑う。とても不敵な面構えになった。
「まず状況を整理しといた方がいいと思うんですけど。
僕達がやるべきことはその書類をアンリエッタさんのところに届ける事。
そして多分ですけど、これは他の人の手は借りられない」

「何故です。この騒ぎに気付いた衛兵や衛士が、誰かここへ向かってくる筈では?」
先ほどの爆裂音はかなりの大きさだった。夜の城では余計に響くだろう。
気付いて人が集まって来るのではないだろうか。しかし康一は首を横に振った。
「さっき曲がり角で攻撃を受ける直前に気が付いたんですけど。
資料庫へ向かう時に、あの曲がり角で衛兵の人とぶつかりそうになったの、マザリーニさん覚えてますか?」

「それは、覚えておりますが。それがどうされました?」
「僕達、もと来た廊下を戻ってた訳ですから、そのブツかりそうになった衛兵の人とは会わなくちゃいけないですよね?
でもその人はいなかった。そもそも他にも衛兵の人はいたはずなのに、その人達ともすれ違わなかった。
これってどう考えても、ありえないですよね」

マザリーニ、沈黙。言葉の代わりに一段と目つきが厳しくなる。
「つまり……人は少なくともこの辺りにはいない。敵に排除されたと、そういう事ですかな?」
一つ、康一が頷いた。それともう一つ。
「前にアンリエッタさんを襲ったヤツは、音を消す魔法を使ってたらしいじゃあないですか。
多分今回も隠蔽の為に、その魔法が使われてるんじゃあないかと僕は思うんですけど」

黙考するマザリーニ。サイレントを使われたなら、魔法が生み出す破壊音を人が聞きつけるのは不可能だ。
「恐らく奴らの狙いはこの書類とそれを知った私達二人を始末する事でしょう。
もう四・五分もすればこの部屋も見つかってしまう。早く行動を起こさねばなりますまい」
今頃奴らはディティクトマジックで自分達を探している事だろう。残り時間は少ない。

「とりあえず僕達にある選択肢は二つ。書類を届ける為に、敵を「倒す」か「足止め」をしとかなくちゃならない。
方法は二人で逃げるか、二手に分かれるかになります、けど。
この場合は……やっぱり二手に分かれた方が良さそうですよね」
康一はマザリーニの重症を負った足を見ながら、そう言った。

113 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 02:18:04 ID:HJK9Vsev
支援

114 :アンリエッタ+康一 ◆3D2JBRgybs :2007/12/02(日) 02:18:21 ID:x4bOV9zO
マザリーニの足のケガは重症だ。多少は布で圧迫しているためマシになったが、それでも二人で動くのには支障をきたしすぎる。
「……情けない。今の私では敵に背を向けるしかできませぬ。
何たる屈辱っ。コーイチ殿、真に面目の次第もありませぬ」
眼前の敵から、若い少年を盾にして逃げることしかできない。マザリーニの誇りが揺らぐ。

しかし康一はなんのそのってな感じだ。度胸はあるし意外と慣れたモンである。
「大丈夫ですって。ほら、僕って結構荒っぽいことするの向いてますし。それに僕達は仲間なんです。
今はドーダコーダ言う前に生きる事を考えるんです。僕たちはそれを必死でしなくちゃあいけない。
必死で、必死で、生きてこの事を伝えなきゃあならない。何よりもアンリエッタさんを守る為に」

以前、同じような場面があった。虹村億泰。康一の親友の一人。
彼は兄、虹村形兆を殺害したスタンド『レッド・ホット・チリ・ペッパー』に挑んで苦い敗北を味わった。
そのまま屈してしまいそうになる億泰を、康一は勝つ為でなく守る為に戦えと言った。
『チリ・ペッパー』を倒す為に、勝つ事のできる人を、守れと。

大きな目的のために、目の前を見るのではなく、その先へと向かう道を示した言葉。
今、期せずして康一はマザリーニに対して同様の事を伝えた。
正直に言ってマザリーニには僅かだが康一を軽く見ていた気がする。
本当につい先日現われたばかりの、特殊な能力を持つとはいえ平民の使い魔。

話をしてみると、見た目通りに結構気弱な印象を受けた。
だが今の彼はどうだ?そんな様子は微塵も無い。
否、彼にだって恐怖はあるだろう。しかし彼は恐怖を克服している。
アンリエッタを守る為にと、勇気を出して恐怖をねじ伏せた。

マザリーニは今までの自分のつまらない意地を恥じた。
恥じると同時に康一への尊敬が生まれた。そして更に心が生への渇望で沸騰する。
生きたい。生きて、あの寂しそうな姫を守りたい。
自分が本当の孫のように思える、可憐な女の子を、この手で守ってやりたい。

ああ、生きたいなぁ。生きていたいよ。
他の事など自分の全てから消えて、その単純な一つだけが残った。
「生きて…守る為に戦う……!」
マザリーニの心で熱い灯火が燃え盛った。

115 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 02:19:00 ID:HJK9Vsev
支援

116 :アンリエッタ+康一 ◆3D2JBRgybs :2007/12/02(日) 02:19:43 ID:x4bOV9zO




未だ終わらぬ舞踏会の広間。まだまだ夜はこれからと誰も彼もが浮かれている。
その中でアンリエッタは幾多のダンスの誘いは断り、一人静かに広間の端で宴の席を外れていた。
「やっぱりコーイチさんが傍にいないと、何だか落ち着かないわね」
独りごちるアンリエッタが自分でも意外そうに呟いた。

確かに意外と言えばそうだろう。この間だ二週間もない時まではこれが普通だった。
華やかな王宮の真ん中で、貴族のご機嫌取りを黙々とこなす毎日。
蝶よ花よと持て囃されて、しかし真に自分を思ってくれる者など僅か一握り。
その一握りでさえ、殆んどは政務や任務に忙殺され会える事など数少なかった。

だが今はどうだろう。自分が召喚した使い魔はいつだって傍にいてくれた。
彼はとてもイイ人だ。大抵の事には嫌な顔もしないし、あってもシブシブ付き合ってくれる。
しかも自らの意思とは関係なく、異世界から無理やり喚ばれて来たというのにだ。
「多分わたくしには出来ないわね」

自覚はあるが、自分は結構な世間知らずだ。
それが王族としては普通なのだが、それでは異世界に行くとかになったら通用しないだろう。
多分行ったなら、母や今は亡き父を想って女々しく泣くのが関の山。
彼のようにあっさりと適応する事は極めて難しいと言わざるをえない。

「コーイチさんは故郷に帰りたくはないのかしら?」
自分だったら帰りたい。この世界に置いてきてしまったモノの元へと何をしてでも帰りたい。
多分彼も自分の故郷へ帰りたいと望んでいるんだろう。
だけど今は召喚してしまった自分の為にと働いてくれているのだ。

こんなのは康一に対して凄く卑怯な行いじゃあないのか?
何だか後ろ指を指されたような、酷く後ろ暗い気分になった。
早く自分を狙う者を割り出して、康一の帰る方法を探さなくてはならない。
そもそも王宮の内部に通じている者が犯人だろうと目されているのだ。

もしかすると今この舞踏会に出席している中の誰かが犯人である可能性だってある。
アンリエッタは自分の想像に少しだけゾクリとした。思わず肌身離さず持ち歩く杖を強めに握り締める。
杖を持っていると少しだけ安心した。それでも傍に広瀬康一がいるのと、比べるのもおこがましいチッポケな安心感だが。
こんな事でも今は無いよりマシ。早く時間が過ぎてくれることをアンリエッタは祈った。

117 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 02:20:03 ID:HJK9Vsev
支援

118 :アンリエッタ+康一 ◆3D2JBRgybs :2007/12/02(日) 02:21:08 ID:x4bOV9zO
アンリエッタは広間を見渡す。何とも実の無い宴だが、ただ漠然と見ているだけよりは良いかもしれない。
今日は酒を飲む気分ではなかったが、少し杯をあおろうか。
自分も宴の中へ混じろうと考えて足を動かす、がピタリと歩みを止めた。
広間の端の方で全体が見えていたから分かったのだが、一人足元が覚束ない者が広間にいる。

グラグラと足が揺れて今にも崩れそうで、本当に足の中に骨が入っているのか疑わしい。
顔に覚えのある女性の貴族だが、顔が少し赤らんでいる。酒でも飲みすぎたのだろうか?
少々危なっかしいとアンリエッタは思って、さりげなく彼女の傍へと行って声を掛けた。

「もし、失礼ですが御気分が優れないのですか?よろしければ部屋を用意させますが」
しかしいつまで経っても、声を掛けた女性はアンリエッタの方を見ようともしない。
聞こえていなかったのか?酔っているのならそれもありえるだろう。
気を取り直してもう一度声を掛けようと思ったときだった。

グラッと彼女の体が揺れたかと思った時には、すでに自分の体は押し潰されていた。
「きゃあっ!」
どすんっ、と崩れ落ちた彼女の体に押されて、アンリエッタは床へと押し倒される。
そんなに痛くはなかったが少し衝撃が胸を打つ。

アンリエッタの悲鳴を耳にした周りの貴族等が、床に組み合って倒れる彼女等を見た。
突然見るとアンリエッタの上に女の貴族がのしかかって、いかにも鼻血もののヤバイ感じのアレだが、
非力なアンリエッタが床でじたばたしているのを見咎めて慌てて助けに入る。
「ご無事ですか姫さま!?」

「わたくしは大丈夫です、それよりもこの方が…!。
もしっ、もしっ!大丈夫ですか、お怪我はありませんでしたかっ!」
助け起こされたアンリエッタは、床に倒れ伏す女貴族の体を揺さぶって呼ぶ。
にわかに騒ぎを聞きつけた貴族達がアンリエッタの傍へと集まってきた。
それに気付いたアンリエッタはこれ以上騒ぎになるのは不味いかと杖を持った。

「…ううっ」
瞬間。アンリエッタを助けた内の一人、壮年の貴族がドスンと床に倒れこんだ。
目はやや白目気味で虚ろ。時々ピクピクと指先が動いている。
貴族が倒れた後の周囲の者達は、何が何だか分からない、といった表情。
そして沈黙の中で誰かが小さく悲鳴を漏らすと、ざわめきは打ち寄せる細波のように、広間全体へと広がっていった。

119 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 02:21:31 ID:HJK9Vsev
支援

120 :アンリエッタ+康一 ◆3D2JBRgybs :2007/12/02(日) 02:24:03 ID:x4bOV9zO
投下完了、支援してくださったHJK9Vsevさんに感謝
今回の投下で言いたいことは唯一つ、おじーちゃーん!
やっぱりおじいちゃんキャラが自分は結構好きみたいです

121 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 02:24:41 ID:HJK9Vsev
GJでした

122 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 02:26:56 ID:+vKTLiqG
GJでした!
支援しそこねて申し訳ない!

123 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 02:52:11 ID:qfLtj4dU
サブちゃんも康一もしえんできなくてごめんよ。
相変わらずのクオリティ。感服するぜ。
後どうでもいい余談だけど止血ってアクト2のピタリ…とかピタッ
で止まらないかな?www無理かwww

124 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 02:55:42 ID:zT0dO0Wy
GJですぅ。

125 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 03:28:45 ID:FaS4oMPJ
ドラドラで治ったらギャグだなあw
GJっした。

126 :アンリエッタ+康一 ◆3D2JBRgybs :2007/12/02(日) 03:44:52 ID:x4bOV9zO
>>123自分もしっぽ文字で止血とかできないかなと考えたんですが、
ちょっと都合が良すぎるかなと思って止めておきました
それにしっぽ文字は複数に分けて使えるのか分からないのもあります
じゃないと止血している間に、しっぽ文字が使えない康一君がフルボッコですのでw

127 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 05:33:44 ID:XobvpjdV
しっぽ文字は使った後回収しないと使えないはず

128 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 07:05:04 ID:qfLtj4dU
ああ、そうか。回収しなきゃダメなのかwww
納得です。

129 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:39:39 ID:NrO6WWrt
露伴の家で連射してなかったっけ>しっぽ文字

130 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 13:40:19 ID:QABO95+X
>>129
それはその、あれだ
スタプラの指が最初の時だけ伸びたりチャリオッツが後半から甲冑を脱ごうともしなかったり
GEに殴られると最初の時だけ感覚が暴走したりするのと同じだ、きっと

131 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 13:56:26 ID:ArDXzizo
>>108
>受けたダメージを反射させる能力って何処行ったんだろうな
涙目のルカに
「こいつはまだそれほどぼくに忠実なわけではないんだ
こいつはただ自分の身を守っている守っているだけで
こいつにはこいつの「命」がある」
って言ってるから変化させた生き物の扱いになれていったんじゃね?

132 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:43:19 ID:9FpvIAEm
パープルヘイズのワクチンを蛇から作って以降、ダメージ反射の描写が無いので、ウィルスの影響だと思ってる。

133 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 16:02:22 ID:OgZ96mYL
ああ、そんなのもあったね(笑)

134 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 16:49:32 ID:FaS4oMPJ
あのワクチン携帯してれば、紫煙は使い勝手良くなるよな。紫煙自体が一発キャラだったんで意味無いけどw

135 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 17:08:32 ID:/zGd6Zbi
そういえば最近見ないフーゴの人帰ってきてほしいな〜。
直後の展開がギーシュが溶けた汚泥と化す以外にあんまり予想できないけど

136 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 17:43:48 ID:NrO6WWrt
ウィルスは進化する

137 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 20:05:45 ID:Iv4L3U7e
DIO様の続きが気になる…

138 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 20:13:07 ID:hM/W13ds
皆さんが他の職人さんを待っている所すまないが…九時頃から投下させていただいて構いませんね?
支援絵を頂いて、一気に書いてしまえたんだ。
名無しさん、『許可』をいただけませんか?

139 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 20:13:48 ID:+V/t1xhZ
自分はもう連載中の作品は
全部続きが気になってるぜ!

愉快な暗殺チームとか変態とかスト様とかスケコマCとか

140 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 20:15:15 ID:dEVLrfTe
            /'rイイvイ ノ|イ,へ、
           lV l~V,イ^レ' ν;;/ ノ て、.
             /し' / ,ィγ'`ヽ ヽ ノ ̄;; `>
          `> /ヽノ?,三ヽハイィ ;,,'`て
         〃 _イヽレ /  し| l │て'" 
         | / ●    ●   V|て   関係ない
          ヽ|,⊃ 、_,、_, ⊂⊃ ;;メ,    投下しろ  
        /⌒ヽ__ ヘ   ゝ._)   ,j '/⌒i      
      \ /:ノ:ィ:| l>,、 __, イ★/;;;;;;/
        \'  〈《:::::::::::::::::》 〉人. ∧

141 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 20:20:27 ID:YxjPz+ch
番鳥、DIO、絶頂、俺TUEEEEEE
…orz

142 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 20:27:17 ID:aEw8J7do
まとめサイトの方は、更新履歴の古いやつ残ってないから
作品がどれくらい前から途切れてるのかわかりにくいんだよな・・・。
鮫とか…

143 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 20:28:00 ID:LF5VMNCv
>>138
投下を許可するッ!!!

144 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 20:29:18 ID:bA902Xdi
兄弟スレのまとめみたいに最終更新日を表示するようにするとか・・・

145 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 20:34:06 ID:cCavRKrK
支援絵ってことは亀さんか

146 :兄ィ:2007/12/02(日) 20:42:05 ID:QK26bn7p
ok
それじゃあ支援茶でも淹れながら投下を準備しようか…
対メンヌイル戦前哨戦で、あの人が出るよ

147 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 20:45:55 ID:YxjPz+ch
                                          ○________
                               支援するー      |:|\\:::::||.:.||::::://|
                                              |:l\\\||.:.|l///|
                         __ ィ   ,. -――- 、     |:|:二二二二二二二 !
                        /    L /        \.   |:l///||.:.|l\\\|
                / ̄ ̄ ̄ ̄ 7 / / f  / /   l l l lハ  |:|//:::::||.:.||:::::\\|
  ト、     ,.    ̄ ̄Τ 弋tァ―    `ー /   从 |メ|_l  l_.l斗l |ヽ V |:| ̄ フ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  ヽ \__∠ -――く  __       .Z¨¨\   N ヒj V ヒソ l .l ヽ\| / /
   ヽ  ∠____vvV____ヽ   <   ≧__/ ゝ、t‐┐ ノ .|┐ ./ /
.    \\_____ivvvvvvvv|   V.    (  (  /Tえハフ{  V / /
       \!      |   / 入_.V/|      >-ヘ  \:::∨::∧   / ∠ ____
 __  |\       l/V  _{_____/x|    (_|::::__ノ   }ィ介ーヘ ./  ,. ---―――
  )-ヘ j ̄} /|        /___/xx|       _Σ___/| | |V::::ノ/ ∠___
  {  V  /`7.         /___./xXハ    ( |:::::::::::::::::ハ   >' ____二二二
.  \_   |/        /___l XX∧     __≧__::::::::/:∧/   `丶、
    |   ヽ        /____|]]∧  __|__L.∠ ム'  <`丶 、 `丶、
    |     ',         {     |]]]>'  __      ∧ l\ \   丶、 ` 、
   ノ     }       l ̄ ̄ ̄.|] >' ,. '  ̄ / .// :/  V'  \ ヽ    `丶\/
  / ∧   { \      |      .|>' /      // :/ :/ :   ', l   \ ヽ  ,.-――┬
 入ノ. ヽ  く  ヽ______7 ー―∠__    〃  l :/    :l l     \V
`ー′   \  `<  | {      /   | /〃   :|/  __V/ ̄| ̄ ̄{_

148 :兄ィ:2007/12/02(日) 20:48:12 ID:QK26bn7p
HAHAHAHAメンヌイルって誰だよ…
最近、キーボードのzとvが効き辛くて困る…

Gジェネ魂やりながらサイド支援だッ

149 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 20:59:25 ID:y5mhv2N/
>>142
そのページの編集履歴見ればいいんじゃないの?

150 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:02:35 ID:hM/W13ds
予告どおり、投下させていただきます。
今回も避難所に外伝もいきます(外伝の方が何故か長いですが)



あ、ありのまま今起こったことを話す!

僕は、愛しのモンモランシーからもらった香水をうっかり落としてしまった。

その日は良い陽気で、友人達との会話も弾んでたしワインもおいしかった。
だけどまだそんなドジ踏むほど酔っちゃいない…!
だから、落とした事に関して僕に非は無いと先に言わせて貰おう。あえて言うならこのポケットが悪いんだ!

それはともかくなんだ。
さっさと拾いたいところだったけど、実は僕は浮気の真っ最中なので不用意に拾う事は出来ない。
まだ手を握った位だが、貴族としてオトコとして可愛らしいシニョリーナを泣かすわけにはいかない。

その香水が大切な物であることも事実!
だが…大事なものだからこそ不用意に拾う事はできない。
大事な物だからってうっかり拾って浮気がばれるなんてことになったら…正に本末転倒だからね。

僕はそう思いそ知らぬふりで友人達と談笑を続ける。
先ほど言った理由から談笑を続けながらも僕がどうしようかと悩みだした瞬間、床に落ちた香水の前に亀が通りかかった。
その亀には見覚えがあった。
何せその亀の甲羅には鍵が刺さっていたからね。

そう…確かコイツは。
そうだ、ゼロのルイズの亀だ!

だが亀に何ができるわけでもない。
と、僕が思った瞬間に目の前に香水の瓶が現れた。

「おい、落としたぜ」

その亀は間違いなく僕に言った。
亀のくせにレビテーションを使って僕の前に香水瓶を差し出したことからそれは間違いないだろう。

「?何の事だね?僕の物ではないが…」

咄嗟に僕は嘘をついた。
苦しいとは思うが、この場さえ切り抜ければどーとでもなる!
見た目どおり、亀は間抜けだった。
敬虔な教徒である僕にはブリミルのご加護があるらしい。
内心、僕は笑みを浮かべていた。それが顔に出てくるのを抑えようとしたが、駄目だ。
どうしても笑顔になってしまう。

「そうか。確かに女ものっぽいしな…悪かったな」

亀がしゃべるのには驚かされたが、僕の期待する返事を聞いた安堵から笑ってそれを許し後で回収する事にした。
やれやれ、亀が間抜けで助かったよ。

後は機会を窺い取り戻すだけだ。
友人達との談笑に戻りながら僕は亀がどうするか聞き耳を立てていた。

亀がメイドを呼び止める声が背中に聞こえた。

いいぞ!気が効くじゃあないか!

151 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:06:40 ID:hM/W13ds

僕はそう思った。なのに…!

メイドはまぁ、平民にしては中々可愛いんじゃないかな?
亀相手にも笑顔を見せてしっかり相手をするのはちょっとだけ好感が持てるじゃないか。

「亀なのにしゃべれるなんて凄いですね。それで御用はなんでしょうか?」

その亀は…!メイドにこう言いやがったんだ!

「あぁ、コイツが落ちててな。誰かが踏んだり蹴って割っちまっても手間だし、すまねぇがコイツをゴミ箱に捨てといてくれないか?」
「は「貴様何をするだー!」」

しまった!
思わず声を張り上げたせいで注目が集まるのを感じる!
不味い、不味いぞ!

狼狽しながらサッと動かした視線には興味本位にこちらを見つめる同級生、下級生、上級生までいる!
…僕は震える指で髪をかきあげた。それを目ざとく見ていた友人達がニヤニヤしている気がしたが、黙っているなら何も言わない。
だから待っていてくれ。

「なんだよ?アンタのじゃないんだろ?」

亀の指摘に僕は言葉に詰まる。
確かにそう言ったが、ちょっと位感づいてくれたっていいじゃないか?
思っても仕方が無い…僕はこれ以上注目を集めずにすませようと一つ咳払いをした。

「も、勿論だ。だが「あぁ…なるほど。わかったぜ」」

どもる僕を見ていた亀は、何故か合点が行ったような様子でメイドから瓶を返してもらう。
おお!もしかして察してくれたのか!?

一気に好転した事態に僕は余裕を取り戻す。
なんだつまらない、周囲からそんな声が聞こえたような気がするがしったこっちゃない。
僕は震えの止まった手でワインを飲んだ。

渇いた喉に染み渡る良い味だった。

「助かったぜ。言われなければひどい事をしちまうところだった…あんたは紳士のようだな。私はカメナレフと呼ばれている。よかったら名前を聞かせてくれないか?」

難関を乗り越えて一服する僕にそう言葉がかけられた。
言ったのはルイズの亀。
散りそうだった好奇の視線が引き止められてしまった。

だが、世辞を言われて悪い気はしない。
それにコイツには助けてもらうことになるわけだしね、僕は亀相手にだが、奇妙な友情が芽生えるの感じた。
名前を教えてやってもいいんじゃないかって位にはね。

「何、当然のことしただけさ。僕はギーシュ。武門の家グラモン家」
「ギーシュか、もう一度礼を言っておくぜ!」
「あぁ、ルイズの使い魔君。いいんダヨ別に。貴族として当然ことだからね」

心のどこかでまだ動揺してしまっていたらしい。
酔っ払ったような語調で言ってしまったが、間抜けな亀は気付かなかった。フフッいいぞ。凄くいい!
亀はまたレビテーションのような力を使って香水を運んでいく。

152 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:09:53 ID:dEVLrfTe
支援

153 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:09:55 ID:LF5VMNCv
支援!

154 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:10:20 ID:hM/W13ds
それにまた驚かされるが、いやいやお陰で助かっ…

「貴様っ!何のつもりだ!?」
「あん?ギーシュ。お前が教えてくれたんじゃねーか」

なんと、亀はテラスに行き香水の中身を捨てやがった!
奴がわけのわからないことを言う間にも、香水の中身が…あぁ!
モンモランシーの僕への気持がこもっているせいか!?

言葉では言い表せないほどに…香水が、モンモランシーに貰った香水が!
風に舞い光を受けて美しく散っていく。

僕の口は、間抜けに開いていたことだろう。追い討ちをかけるように亀が言う。

「ゴミはゴミ箱に捨てる。だが容器の中身は空にする…誰だってそーする」

重々しい口調、しかも断言している!
なんだコイツ?

僕の中に流れるグラモンの血が、亀の口調に込められた真意を嗅ぎ取ったのだろう。
亀の言葉に、僕は知らず一歩退いて椅子にぶつかった。

「時々忘れちまうんだが、ギーシュ。お前が教えてくれて助かったぜ」

こ、コイツ何をいってるんだ?
回収の時そんな作法があるなど聞いたことがない!
この亀の故郷の作法だとでも言うのか?
い、いや…それこそまさかだ。亀の世界だぞ?
ということは…つまりコイツは、天然とか、うっかりなんてちゃちなもんじゃない…!

はっきりと浮かんだその考えに、僕はもう一歩退いてしまい…椅子が倒れたが、僕はそんなものに構う余裕など無かった。

こ、コイツ。間抜けと思っていたが、まさか!

冷や汗が流れる度に、僕の中でその思いつきが正解だという思いが強くなっていく。
戦慄する僕に、気の良さそうな態度で言い終えた亀は、集まった観衆の好奇の視線をより一層集めようとするかのように、メイドへ空になった香水のビンを投げた。

空中で回転するビンはスローに見え…その間に僕の耳にははっきりと周りの囁き声が聞こえた。

嫌になるほどはっきりとだ!

「おい、あれってまさかミスモンモランシーの?」

ほら、もう誰かの囁き声が聞こえる。し、しかし誰だ!? 何故モンモランシーの物だと断言できる!?

疑問が一瞬僕の頭を過ぎったが、僕は狼狽する心をなんとか抑えようと必死だったのですぐにそれは忘れてしまった。
しかもその試みは無駄だった。忙しく脈打つ心臓の音はもはや静まる事を忘れていた。

155 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:10:35 ID:PyW+ed1t
支援スタ

156 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:11:30 ID:QK26bn7p
S.I.E.Hッ!

157 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:11:33 ID:EvEeZLyl
確かに中身入りの香水なんてゴミ箱に捨てちゃダメだな支援

158 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:13:15 ID:dEVLrfTe
処分する人が困るんだよな、中身入りの香水って支援

159 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:15:11 ID:BMu/cVT6
下水に流すのも処理場に負担がかかるから止めてよね支援

160 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:15:27 ID:hM/W13ds
もう僕のシャツは汗びっしょりで…足も震えている。
頼む。言わないでくれ。お願いだ…!
僕は自然と始祖ブリミルに祈りを捧げていた。
神に縋るのは自分に出来る事を全てやりつくした後、そう教えられていたが、今が正にその時だった。

僕にはもう…

もう…縋るものがそれしか残っていないんだ……

僕が何かを言おうと、更に泥沼になるだけじゃあないのか?
そんな諦めの言葉が僕の胸を埋め尽くしていて気の利いた言葉が浮かんでこない。

「え?あれ落としたのギーシュじゃないのか?」

ついに…ついに誰かが言ってしまった。
知らず握り締めていた手から力が抜けて解けていく。

僕は『終わった。何もかも』と心の中で呟き…訪れてしまった終わり、既に心のどこかで覚悟していた恋の終わりをどこか心穏やかに迎えて肩を落とす。
防ぎたかった最悪の事態に陥ってしまった、そう思った。

だが…


本当の最悪とはこの先にあったんだ。


まだこの程度なら振られるだけ…そう言ってしまっても、いい!と思うほどの最悪が、どこかから囁かれた。

「わかったぜ…これはつまり!ギーシュはモンモランシーと付き合ってたけどゴミみたいに捨てるって事なんだよ!」

は?

最初、それを聞いた僕の頭は真っ白になった。

周りにいる観衆達もそうだっただろう。だが彼らはすぐに立ち直った。

そうすぐに…

「「「「ナナナナンダッテー!」」」」

思考を停止した僕を置いてけぼりにして、細波のように静に…だが深く素早くその出鱈目は浸透していった。
僕は違うと否定したかった。

だがそれよりも先に誰かが合点がいったとでも言いたげな重々しい声で言う。

「なるほど…全ては、ギーシュのパフォーマンスって事か…それなら説明がつく。こんな人目につく場所…それも昼食が終わったばかり、皆が談笑を楽しもうかって時の食堂で香水のビンを落とすなんてありえないからな」
「だが君。よく考えても見てくれたまえ。普通、この衆人環境の中で中身まで捨てるか? 成る程…これが正に外道って事か。吐き気を催すぜ。昼食の余韻が台無しだ」

皆の気持を代弁する言葉だったのだろう。
吐き気を催す! 
その言葉と共に、周囲の視線は急速に冷え、冷たい熱とでも言うような恐ろしいものを帯びていった。

ち、違う!違うんだ!

真っ青になりながら周囲を見渡すが、既に周りの視線は極低温!
ブチ砕けてしまいそうな寒さの中、僕はその中に、美しいものを見たんだ。
それは友人達に守られたモンモランシー…僕の愛しいあの人が、見事な縦ロールを風に靡かせ去っていく様子が見えた。
追いかけようとするが、亀が視界に入り僕は足を止めてしまった。

しかもそこへ―「ギーシュ様っ!」

161 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:17:28 ID:cCavRKrK
引火するからモニターの前のよいこの皆はちゃんとポルナレフを見習いましょう支援

162 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:17:41 ID:EvEeZLyl
これは今まで見た中でも有数に最悪なギーシュ支援

163 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:17:45 ID:dEVLrfTe
なんという因縁付け、食堂には夜神月の性格のキバヤシがいる支援

164 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:17:51 ID:hM/W13ds
「ゲ、ケティ…」

僕の止まっていた足は、モンモランシーを追いかける所か逆に…一歩退いてしまった!
それが、またいけなかったんだ!

まだ手しか握った事の無い浮気相手が僕に抱きついてくる!
柔らかい感触は嬉しい…それだけは胸を張って言える。
そこに関しては、僕に嘘は無い。紛れも無い真実がそこにはある…着やせするタイプと見た!

だが…だが今はもう少し、もう少しだけでいいんだ! 空気読んでくれ!

「申し訳ありません!私、貴方を勘違いしておりました…貴方は、ミスモンモランシーと付き合っている、と…」
「あ?え?」

ば、ばれてたの?

そう思いながら周りの視線に怯える僕は視界に収まったままだった亀のこう、僕も初めて向けられたんでよくわからないんだが…殺気立った視線を感じた。
亀は、先ほどの場所でまだ僕をジッと見ている。
ふいに僕は気付いた。

コイツ、やはり計算か?

僕は悔しさに歯を強くかみ締めていた。
ケティはそんな僕を邪魔するように…自分の存在を主張するように更に力を込めて抱きついてきた。

「そんな私の為にこんなことを…! あぁ、貴方が私だけを持ってくださっていることが、頭でなく心で理解できましたわ!」

OK落ち着くんだ。ギーシュ、父上も言ってたじゃあないか!
たとえ一見四面楚歌な事態であろうと、どこかに希望が「最低だな、ギーシュ。いや、ここはあえてゲーシュと呼ばせてもらおう! うっかり騙されたぜ…まさかここまで計算してたなんてな。恐ろしい野郎だぜ」

冷静になろうとする僕にかけられた侮蔑の言葉は、間違いなく亀から発せられていた。

…ハハ、もう間違いない。

顔を俯かせ、僕は笑っていた。
ケティが不思議そうな顔をして、僕を見つめてくる。
だがそんなものはどうでもよかった。

コイツ計算だ。この食堂で、敵はコイツだったんだ!

間抜けな亀なんかじゃなあない!

恐るべき敵だったんだ!

「ちょっぴりでも紳士だと思っちまった私の間違いだったな! 平気でかつては好きだと言った女を泣かせるとは、紳士どころか男の風上にもおけねー!!」

その言葉に同調する雰囲気が、食堂を包んでいた。

165 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:19:18 ID:+vKTLiqG
KKY(亀 空気 読めてないよ!)
支援

166 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:19:44 ID:EvEeZLyl
いい語呂だなゲーシュ支援

167 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:21:20 ID:dEVLrfTe
ゲーシュとヒドナレフ支援www

168 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:22:15 ID:hM/W13ds
深い、僕にとっては逸れに加えて重過ぎる深い沈黙が食堂を包んでいたような気がした。
給仕達や、アルヴィース像までが僕に白い目を向けて見下しているような気がした。

もう…もう駄目だ。

「このギーシュ…もはや、容赦せん!」
「あん?」

僕の突然の雄叫びは亀の癇に障ったようだが、むしろそれがいい!
僕はポケットから真っ白な手袋を!

『命を惜しむな。名を惜しめ』

この学院へ入学した時にその言葉と共に父上から頂いた純白の手袋を取り出した!
同時に教わっていたこの手袋の正しい使い方が、今ははっきりと理解できていた…この手袋は、この亀のような奴に投げつける為の物だ!

そう思った時には既に僕の怒りが正当な事、なんら恥じるところが無い事を表すかのような白一色の手袋が宙を舞い、亀へとぶつかっていた。

『決闘を申し込む!そう思った時には既に決闘は始まっているんだ!』

兄上、未だその境地には至っておりませんが、思った時には既に投げつけておりました。
今なら兄上の真剣な眼差しが僕にも理解できる。

「キサマァッ!決闘だ!」

僕の手はかつてない力で握り締められ、かみ締めた奥歯が砕ける音がしていた。
血の味が口に広がり、心臓の音がうるさくて周りの音も聞こえない。
僕の怒りは今、頂点に達しているのだ。

以上です。
決闘は次で…

それと支援絵を描いてくださった方。感謝いたします。
GJだった。グラッツェと書き込むよりこっちの方が感謝を表せるかなと思う…だからこのまま避難所にジョルノも投下してくるよ。
ではまた

169 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:25:58 ID:dEVLrfTe
乙!!!

しかしギーシュは亀に決闘を挑むよりも黒キバヤシをとっちめるのが先だと思うんだがなwww
まぁ人間頭に血が上るとバカになるからしかたないよねw

170 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:26:33 ID:QK26bn7p
もうケティとくっつきゃいいだろこのゲーシュはw
GJw


171 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:27:01 ID:+vKTLiqG
GJそして乙でした!
ギーシュが何か可哀想だ
そして空気読んでください享年36歳

172 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:30:39 ID:rM4TL8Bx
GJ!そういえばポルって空気読めてない時あるよなw
そしてギーシュ超がんばれw

173 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:30:42 ID:EvEeZLyl
GJこれはひどいwww
エロナレフにゲーシュの倍の人生経験があるとは思えねえw

174 :兄貴:2007/12/02(日) 21:40:35 ID:QK26bn7p
Gジェネ魂は無理ゲーなんじゃないかと思えてきたが…投下してもいいかなぁ〜〜〜?45分ぐらいから・・・

175 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:42:18 ID:bA902Xdi
支援するぜェ、兄貴ィ!

176 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:45:19 ID:cCavRKrK
シエングルベール
シエングルベール
レスがふるー

177 :ゼロの兄貴:2007/12/02(日) 21:47:23 ID:QK26bn7p
遂に艦隊出撃し、どこか人が少なくなったような首都トリスタニアをお馴染みのローブで身を包み歩いているのは、ご存知…もとい久しぶりのフーケだ。
「はぁ…わたしもヤキが回ったかね」
そう呟いたのは、今頃部隊を率いてある場所に向かっているある男のせいだ。
フーケ自身は、裏の情報を生かしトリステインの内情を探るという事で別に動いていたが、正直乗り気ではない。
一応の義理はあっても義務は無いし、あの男を嫌悪しているというのが大きいだろうが、それでもやらなければ己の身が危ないのだ。

そろそろ、合流するかとして人通りの少なくなった通りを歩いていると、後ろから肩に手を置かれた。
ロングビル時代の習慣で蹴りが飛びそうになったが、目立つと不味いので耐える。
「悪いけど、わたしはあんたみたいなヤツは知らないよ。向こうへ行きな。蹴り殺すよ」
少なくともこんなヤツに肩に手をおかれる覚えは無い。
適当にあしらったつもりだったが、その手に力が篭る。
杖を引き抜き、追い散らそうかと思ったが、そうする前に相手が声を出したが…フーケの頭の中に絶望ォォォォだねッ!という妙な髪形の男の声が響いた。

「よォーーー会いたかったぜぇ〜?フーケェ」
その声がフーケには地獄の門番の声に聞こえた程だ。
恐る恐る後ろを振り向きフードを被った相手の顔を見て、相手がそれを外した瞬間、息が止まる。
胃が痙攣し反吐を吐く一歩手前だ。
だが、それでも反吐の代わりに声を吐き出そうとするが巧くいかない。
「で、で、で、で、ででででで…」
「あ?何だよ」
「出たァーーーー!!」
「ルセーな。人を化物みたいに扱うんじゃねぇ」
やっとの思いで叫びと共に息を吐き出したが、想定外にも程がある。
「な…なんで、こんな所に…あの娘と一緒にアルビオンに……あぐ!」
「こんな所で何叫んでんだてめーは。そういう事は向こうで話しようや……な?」
かなりうろたえていたフーケが大人しくなったが腹が少し凹んでいる。
グレイトフル・デッドで殴ったためだ。
本気で吐きそうなフーケを半分引き摺りながら人気の無い場所へ連れて行く。
さながら事務所の奥に連れて行かれる債権者のようだ。
人は居たが、全員関わる気は無いようで誰も寄ってこない。
都会が寒いのはどこでも同じである。

178 :ゼロの兄貴:2007/12/02(日) 21:49:23 ID:QK26bn7p
「ゲホ…!…いきなり何すんだい!」
「あんな場所で騒いだら困るのはオメーだろ?感謝しろよ」
確かにそうだ。未だフーケの首に掛けられた懸賞金は解かれてはいない。
もっとも、殴る必要も無いのだが。
「…そもそも、なんであんたがこんな所に居るのさ」
「使い魔ってのクビになったからな。仕事探してんだよ」
言いながらスデにルーンの消失している左手を見せたが、半信半疑っぽい。
「馬鹿言うんじゃないよ。契約ってのは死なないと解けないんだ。見たところ、死体ってわけでもないし」
「死人か。ま…似たようなもんだろ」
実際の所イタリアでは死亡扱いなので一回死んでいると言ってもいい。

「で、仕事って何さ」
「クロムウェルって奴を殺りに行くんだが…ワルドと組んでたって事は『レコン・キスタ』だよな。アルビオンの道案内しろ」
「…は?」
「いや、アルビオンに行く方法は分からねーわ。行けたとしても地理が分かんねーわで、お前に会えて助かったぜ」
何言ってんの?この人。という目を向けてきているが、無理も無い。
「聞こえなかったか?オメーの組織の頭を暗殺するから案内しろ。って事だ」
「…何言ってるのか分かってるのかい?つまり、あたしは敵って事だよ」
最初こそテンパっていたものの、そこは一級の盗賊。
暗殺という言葉を聞いて顔付きが変わった。
「その態度、聞く耳持たない。…って事か?」
「他を当たりなよ。せいぜい無駄な努力でもするんだね」
まぁ無理も無い。
敵にいきなり協力しろと言ってするやつは居ない。

179 :ゼロの兄貴:2007/12/02(日) 21:51:57 ID:QK26bn7p
「仕方ねーな……ああ、言い忘れたが肌の手入れはしといた方がいいぞ。『歳』取ると…シワが出るって言うからよ……」
「わたしはまだ23だよ!シワなんて……ハッ!」
そこまで言うと思い出した。
こいつの…!この男の魔法を越えた能力をッ!
(ま…まさか…)
急いで杖を取り出し、錬金で鉄板を作り覗き込んだが本気でヤバイと思った!
「と…歳を取っているッ!」
「じゃあな。『そのまま』元気でやれよ」
半ば唖然とするフーケを後にとっととその場を後にする。
無論、直で適度に老化させただけとはいえ、永久持続するわけではない。
スタンド能力を詳しく知らないからこそ通用する…ハッタリである。
「ま、待ちなよ!話は最後まで…」
やっとこさ我に返ったが、ぶっちゃけもう居ない。
スデにフーケの遥か先を後ろ手を振りながら歩いている。

一分後
「どうした?そんぐらい走っただけで息切れするたぁスタミナ不足だな」
「ハァー…ハァー…待ちな…って言ってるだろ…!」
「おいおい、聞く耳持たないんじゃあねぇのか?」
程よく50手前ぐらいまで老化していたフーケが猛ダッシュでプロシュートを追いかけていたが
やはり老化の影響でもうバテて息が上がっている。
広域老化進行中なら死んでもいいぐらいなのだが、そう考えるとまだ運が良い方だろう。

「き、気が変わっただけだよ。案内するよ。アルビオンをね」
職業柄、多少の脅しや尋問などには意にも介さないだろうが
この場合は別だ。
キュルケにおばさんと言われてはいるが、まだ23。
言わば『絶好調ッ!誰も僕を止める事はできないッ』的な年齢である。
だからこそ、この老化の能力はキツイ。女性であるならなおさらだ。
『レコン・キスタ』にもそれ程拘っていないのもあるが、あったとしても多分結果は同じだ。

180 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:52:05 ID:LF5VMNCv
しえん!

181 :ゼロの兄貴:2007/12/02(日) 21:53:27 ID:QK26bn7p
「いやいや、オレとしても無理言ったと思うしな。オメーにも都合があるだろうし、残念だが他を当たるよ」
多少演技掛かっているが、追い込む為の一手だ。
普段のフーケなら通用しないだろうが、ディ・モールトパニくっているので、こうなればトコトン追い込んで利用しやすくすることにした。
まさに外道…いや、まさにギャング!
「……あ……ない……」
「何ィ?聞こえねーなァーーー」
なおも先へ進もうとしたが
フーケの呟くような言葉に対し、某六聖拳伝承者のように返す。
女だろうが、敵であるならば手加減無用というだけに一切の容赦は無い。
スト様もビックリだ。
「わ…わたしに、アルビオンを案内させてくださいッ!!」
「そこまで言われちゃあな。しっかり頼むぜ」
逆に向こうから頼んできたところで、あっさりと承諾の意を示す。
テープがあれば録音しておくとこだが、無いので仕方ない。
手のひら返したように態度を変えたプロシュートにハメられた事に今更気付いたフーケだがもう遅い。
強要され渋々承諾したというのなら、途中で反抗する機を窺う気にもなるが
ハメられたとはいえ自分から頼み込む形になってしまったのでは、精神的な残り方が違う。
黄金や漆黒と呼ばれるような精神を持っていれば別だろうが、生憎とフーケはそこまでは持っていない。

「こ、この…悪魔が憑いてるんじゃなくて悪魔そのものだよ……」
地面に手と膝をつき、力なく顔を地面に向けているフーケがやっとの思いで言葉を吐き出したが
敵組織を広域老化でまとめて潰した時なぞ、悪魔はもちろん死神だの何だの言われているので今更気にしたりはしない。
当の『悪魔』は淡々と返すだけだ。
「ああ、よく言われる」

182 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:54:05 ID:bA902Xdi
支援

183 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:54:38 ID:QK26bn7p
猫に弄ばれる鼠と同じだ。
相手の気分しだいでどうにでもなる。
窮鼠猫を噛むと言うように、隙を見て魔法で攻撃ぐらいはできるだろうが
所詮、鼠の攻撃。少しひるむぐらいですぐに追いつかれる。
そうすれば老化という、ある意味死ぬより最悪な能力が待っている。
まして、射程は200メートル程もある。到底逃げ切れるものではない。

完全に何かを諦めたような目でこっちを見てきているが、全く悪いとは思っていない。
一応、殺る、殺られるを体験した仲なので、殺らないだけマシというヤツだ。

「で…案内するのはいいとして、アルビオンへはどうやって行くつもりだい?」
「その辺りも期待してんだがな。どうやってここまで来たんだよ」
「こっちはワルド連れての隠密。行きだけの一方通行だよ」
「あのヤローか…オメー確か盗賊だったよな。裏のルートとかで無いのか?」
「無理だね。あったとしても、これからドンパチやろうって国に好き好んで行くやつが居るもんか」
「あ?オメーの帰りはどうすんだ。大体、何しにきたんだよ」
戦時とはいえ、フーケが出たとなれば追われる事は確実である。
そんな国に目的も無しにやってくるとは思えない。

「ヤボ用だよ。あんたが気にする事じゃないさ」
「まぁいいがな…仕方ねぇ、ジジイに頼むとするか。あんだけ歳食ってりゃ何か知ってんだろ。行くぜフーケ」
あのジジイになら知られても、何とかなるだろうという事からだったが
言いながら後ろを振り向くと、見た瞬間速攻でフーケの肩を掴んだ。
「おい、テメー…言った傍から何逃げようとしてんだ」
「い、いや…あの学院に行くのはちょっとね」
あの場所で一犯罪やらかしたのだから、行きたくないのは当然だが少しばかり様子が妙だ。
「…何か妙だな。何かあんな?おい」
「あー…いや」
ハッキリ言わないので、顔を近付け尋問する。
正直距離が近いが、ペッシ的対応である。

184 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:55:31 ID:aEw8J7do
支援

185 :ゼロの兄貴:2007/12/02(日) 21:57:13 ID:QK26bn7p
「……メンヌヴィルって聞いたことないかい?」
「知らねーな。誰だよ」
「白炎のメンヌヴィル。伝説とまで言われてる傭兵で戦場とは言え
  楽しみながら人を焼き殺すような外道さ。そうさね、あんたがあの森の中でわたしの腕を掴んだ時のような目をしてたよ」
そうは言ったがフーケ自身はメンヴィルとプロシュートが似ているっちゃあ似ているが、全く同じだとは思っていない。
メンヌヴィルというのは、人を笑いながら殺せるようなヤツと見たが、プロシュートはそうではないと見ている。
必要があれば老若男女区別なく殺るという点では違い無いだろうが、少なくとも楽しんだりはしていない。
もっとも、『ブッ殺す』と心の中で思った時点で足元に死体が転がっているような男とどっちがマシと言われれば迷うとこだが。

「あいつは、こっちに来る前に、オーク鬼を20匹焼いたんだ。
  楽しそうに話してくれたよ、人が好きだから焼く。その焼ける匂いが興奮させるんだと。わたしとした事が背筋が寒くなったよ…あれは」
「で?そのメンヌヴィルがどうした」
「……あー、もう仕方ない、言ってやるよ。
  …今、学院を襲ってるのがメンヌヴィルの部隊なんだ。人質にするつもりさ」
そう聞いたが、中々良い手だと思う。
戦争なんだから、何でもアリだ。卑怯もクソも無い。やられた方が悪いという価値観だけに、全く敵対心というものが沸いてこない。

「そうか。ならすぐに人が死ぬ心配はねーな。行くぜ、おい」
「…やめときなよ。助けに行くつもりなんだろうけど」
「誰が助けに行くなんざつったよ。アルビオンに行く為にジジイの手を借りたいが敵が居るから排除する。シンプルで良いじゃあねーか」
「行きたいなら一人で行っとくれ。わたしは死ぬ気は無…」
踵を返そうとしたフーケだが、何かにガッシリと掴まれて動けないでいる。
プロシュートの両手は空いているし、周りに人は居ない。
「そうか、なら選ばせてやるよ。オレと学院に乗り込むか…ここで老化するかだ。オレはどっちでもいいぜ?」
「…ッ!」
選択とあるが、行くも地獄、退くも地獄というやつだ。
ベネ(良し)という選択肢は一切存在しない。
「こ…このドSめ…」
ドSと言ったが、ギャングであるからには自然とそうなるものである。
ブチャラティでさえ、必要があればジッパーを使い尋問をしている。

フーケがカタギであれば別にこうもしないが、メイジであり、敵であるからには容赦はしない。
第一、存在を知られたからには、余計な事を…特にワルドあたりに知られたらやりにくくなる。
一段落付くまで手放す気は全く無い。

186 :ゼロの兄貴:2007/12/02(日) 21:58:47 ID:QK26bn7p
「分かったよ!行けばいいんだろ!行けば!」
半ばヤケクソだが、まだ学院に乗り込むほうが先があると判断したようだ。
「心配すんな。白炎って事は火だろ?なら一瞬でカタが付く。オメーの出番はねーよ」
無論、巻き込むだろうが仕方の無い犠牲というやつだ。
巻き込むとは言っても馬鹿みたいに火を放っていなければ、解除すれば十分助かる。
敵が死ななくても、倒れている間に杖をヘシ折るか殺ってしまえば何も問題無い。
(火だと都合がいい…どういう事だ?あの宿の時、偏在はともかく一緒に居たタバサって娘は老化してなかったね。確か二つ名が…)

「雪風…か。そうか、あんたの妙な力は温度で変わるんだ。周りの温度が低ければ効かない。そうだろ?」
「50点ってとこだな。だが、流石だな。名うての盗賊ってだけあった中々の洞察力だよ」
「ま、まだ何かあるのかい…」
「何、そんな大した違いじゃねーよ。周りの温度じゃあなくて、体温ってとこだがな」
「どう違うんだよ」
「体温だからな、氷かなんかで冷やせばそれでいい。ま…動き回っちまえば関係なくなるが」
「…そんな弱点話していいのかい?情報持ってクロムウェルのとこに駆け込むかもしれないよ」
「困るのはオレだしな。オメーを巻き込んで足手まといになられる方が厄介だ。それにだ…」
「へぇ、言ってくれるね」
手の内をある程度晒した事に多少安堵し、メンヌヴィルと組むよりは良いかと思ってきたフーケだったが…甘かった。


フーケの肩をガッシリとグレイトフル・デッドで掴み、スゴ味と冷静さと殺意が混じった声で言い放つ。
「裏切ろうとしたら直を叩き込めばいいだけだからよォ。直触りは…関係無いんだぜ…?」
「あ…あ…」
なおも続けるが、フーケは聞いちゃいない。
「オレに直を使わせないようにしてくれる事を期待してんぜ。えぇ?おい」
そう言ってグレイトフル・デッドの手の力を強めた瞬間、人気の無い裏路地に若い女の叫びが響た。


プロシュート兄貴&フーケ ― チーム『はぐれ犯罪者コンビ』ほぼ一方的に結成

187 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:59:28 ID:bA902Xdi
兄貴ッ・・・何てドSッ・・・!

188 :ゼロの兄貴:2007/12/02(日) 22:00:56 ID:QK26bn7p
投下したッ!
二部の真ん中ぐらい以来だね、この人は
次どうしようかマジで…

189 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 22:02:13 ID:cCavRKrK
おつ
コルベールと共闘フラグか?w

190 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 22:03:13 ID:EvEeZLyl
いじめられてるフーケさん……これを見てると……なんというか……その……フフ……興奮……しちゃいましてね
GJです

191 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 22:09:57 ID:LF5VMNCv
なかなか良いコンビじゃないか!wwGJ!!!!

192 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 22:15:30 ID:9OOGODAN
フーケが味方になるSSはあるが、子分にするというのは新鮮だな

193 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 22:20:49 ID:pOtSma5I
次回、頭部に迫る魔の手!
コルベールは自らの炎によって体温を上げてしまう
そこに襲い掛かるのは兄貴の老化攻撃
果たしてコルベールは髪の毛を守ることができるのだろうか

194 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 22:40:30 ID:Em7Alu/W
GJ!兄貴の人お疲れさんです。

あともう少しで投下できそうなんだが
まだ待っててください。

195 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:39:27 ID:Dr2naZ+q
兄貴さん、亀さんGJ!
では194さんより先に45分から投下しますけど構いませんねッ!?

196 :ゼロいぬっ!:2007/12/03(月) 00:47:20 ID:Dr2naZ+q

「っ………」
苛立たしげにワルドが噛み締めた歯を鳴らす。
冷静に状況を分析しながら彼は撤退を決意する。
単独で撃退するには奴は危険すぎる。
ましてや遺体と手紙は必ず持ち帰らなければならない。
ここで戦う必然性など無い。
決して敗北などではない、これは後の勝利を得る為の一手だ。

未だ意識を朦朧とさせるルイズを避難させる使い魔を警戒しつつ、
ワルドは割れたステンドグラスへと視線を向ける。
奴も上空までは追って来れない。
あそこからフライで逃れるのが最善だろう。
だが、それでは飛行中の無防備な姿を晒す事になる。
(……時間稼ぎが必要か)

ワルドが詠唱を終える。
同時に、彼の両脇に出現する二体の偏在。
それが彼に残された最後の戦力だった。
二人同時に詠唱される『ライトニング・クラウド』。
動けないアニエスにのみ集中した狙い。
もはや形振りを構ってはいられない。
一斉に降り注ぐ雷に、アニエスの視界が白に染まる。

瞬間。その閃光を蒼い異形が遮った。
分泌液の影響か、彼の痛覚が麻痺していた。
身体も心からも痛みが消え失せていく。
いつの間にか自分の身体を物のようにしか感じられなくなっていた。

いや、今はこれでいい。
不必要な事は考えなくていい。
無駄な痛みが無いというのなら好都合。
雷に打たれて焼かれようとも、直後にデルフの投擲で一人を仕留められる。

デルフを咥える彼のルーンから輝きが失われた。
主であるルイズが倒れた為、彼をバオーから守っていた楔も弱まっていた。
余分な思考と感覚を削ぎ落として、彼は戦闘生物“バオー”として特化していく。

「相棒! 雷に向かって俺を振れ!」
突如、迫り来る雷を前にしてデルフが叫んだ。
意味を理解出来ぬまま、彼はその言葉に従った。
バオーの支配下にありながら二人の信頼は健在だった。
左右より来る稲妻に向けてデルフリンガーが一閃される。
その太刀筋は“言葉通り”雷を真一文字に切り裂いた。
触れれば容易く人間を感電死させる『ライトニング・クラウド』。
しかし、それは効果を発揮する事なく力の大半をデルフに吸収され、
僅かな残滓が宙へと散らされるのみ。

197 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:48:09 ID:EEndTWPN
支援

198 :ゼロいぬっ!:2007/12/03(月) 00:48:34 ID:Dr2naZ+q

「バカな…」
信じられないといった呟きがワルドの口から漏れる。
しかし、事実を目の当たりにして否定する事は出来ない。
「何を驚いてやがる…?」
デルフがワルドに不思議そうに問いかける。
魔法を吸収した瞬間、赤錆の浮いた刀身が輝きを放つ。
内より広がる光に押し出されるように剥がれ落ちていく錆。
そして、光の中から姿を現したのは一振りの剣。
その威容は正しく伝説の剣と呼ぶに相応しい。

「伝説の“ガンダールヴ”が振るった剣が! 
“最強の生物”が振るう剣が!
ただの剣だとでも思ったのかよ! ワルドさんよォ!」

礼拝堂に響き渡るデルフの雄叫び。
もはやワルドの顔には驚愕しか浮かばない。
使い魔が只者でない事は知っていた。
だが、その剣までもが尋常の物では無いなど予想だにしていなかった。
その動揺が伝播しているか、偏在までもたじろぎを見せる。
ワルドが見せた一瞬の隙。そこを突いて“バオー”が飛ぶ!
片足を失っているにも拘らず、その動きは弾丸に匹敵する。

魔法を吸収するというのならば迎撃は無意味。
だが『エア・ニードル』までは無効化できない。
そうでなければ今までの剣戟を防ぎ切れなかった筈だ。
偏在達が迫り来る“バオー”を迎え撃つ。
ぶつかり合う刃と杖の間で火花が散る。

斬り合いとなれば分が悪い相手だが、
こちらは二対一で相手は片足の刃も使えない。
そして理由は不明だが“ガンダールヴ”のルーンの輝きが鈍い。
それを証明するように、奴はただ力任せで打ち付けるだけの剣を振るう。
そこには、かつての犬とは思えぬ技量の冴えはない。
力押しだけでは二体の偏在相手に勝つ事は出来ない。

“時間稼ぎは…成った”
そう確信するワルドの耳に酷く鈍い音が響いた。
異音のした方向へ視線を向けたワルドが我が目を疑う。
まるで棒切れを振り回すかのような稚拙な剣。
それを受けた偏在の腕があらぬ方向に捻じ曲がっていた。
見れば、剣を振るった怪物の歯も砕け散り、
柄を噛み締めた口からは血が流れ落ちていた。
その一撃は自身が損傷する前提での暴走。
杖を振るうことが出来なくなった偏在に容赦なく浴びせられる針。
瞬く間に炎に包まれた偏在が風の中に消え失せていく。

199 :ゼロいぬっ!:2007/12/03(月) 00:49:55 ID:Dr2naZ+q

「お、おい! 相棒!?」
デルフの気遣う声も遠い。
すぐさま残りの偏在へと刃が向けられる。
荒れ狂う暴風の如き剣を受け流しながら偏在は後退する。
一撃ごとに腕が持っていかれそうな衝撃が走る。
その最中、跳躍し距離を取った偏在が『ウインド・ブレイク』を放つ。
障害物を巻き上げながら迫る嵐をデルフが切り払う。
だが、風に巻き上げられた物までは防げない。
長椅子や祭壇など数多の残骸が一斉に“バオー”へと降り注いだ。
舞い上がる砂埃に視界を奪われつつも偏在は残骸の山へと近付く。
あの程度で殺せるとは到底思えない。
しかし逃れる隙は与えなかった。
この下に確実に奴は埋まっている筈だ。
その出てきた瞬間を確実に仕留める!

杖を突き付けたまま出方を窺っていた。
その直後、偏在の膝が崩れ落ちた。
石にでも躓いたのかと思った右足は膝から下が失われていた。
足元の石床には、いつの間にか大きな穴が穿たれている。
そして、その中で爛々と輝く金色の瞳。
理解した直後、偏在の身体は床下へと吸い込まれた。
そこに杖を振るうスペースなどある筈もない。
瞬時にして原形を留めぬまでに破壊された偏在が消失していく。

穴から這い出てきた“バオー”の見上げる先にはワルド本体のみ。
その傍らにはウェールズの遺体が置かれていた。
恐らく、偏在が相手をしている間に運んできたのだろう。
だが、もはや邪魔する者は誰もいない。
逃げ場など何処にも無いし、何処にも作らせない。
今度こそ完全に丸裸となった彼へと歩み寄る。
しかし、ワルドは笑みを浮かべる。
敵の実力も状況も判った上で、自分の勝利を確信した。

「動くなッ!!」
周囲に響いたのは確かにワルドの声。
だが、聞こえてきたのは目の前からではなく逆の方。
その声に振り向いた先にいたのは先程と同様の偏在。
しかし構えた杖は彼ではなく、その腕に抱えたルイズへと向けられている。

この偏在は水門を守らせていたものだった。
だが“バオー”が水路から脱出した事で無意味となり、急遽呼び戻したのだ。
先に出した二体の偏在は時間稼ぎだけではなく、
“バオー”の注意をルイズと偏在から逸らす為の物でもあった。

200 :ゼロいぬっ!:2007/12/03(月) 00:51:03 ID:Dr2naZ+q

「脅しに乗るなッ! そいつに彼女は殺せん!」
「いや、出来る。僕達には生命を司る“虚無”の力がある。
最悪、彼女を一度殺して甦らせれば済む話だ」

アニエスの言葉を冷たく否定する。
彼は本気で最悪の手段として考慮に入れていた。
殺してしまえば彼等に生き返らせる手段はない。
手を下す事に躊躇はあるが、出来ないという事はない。
ワルドは自らの手でルイズの精神を壊そうとしたのだ。
それが彼女の死を意味すると判っていながら…。
一度緩んだ箍はあまりにも脆い。
他人の手に落ちるぐらいならばと彼は黒い決意を滾らせる。

(そうすれば彼女を手に入れられるのは僕だけとなる…)

自身の思考に浸るワルドは気付かない。
抱き上げた直後、彼女の意識が明確になっていった事。
そして、彼の言葉を聞いたその肩が悲しく震えていた事に。

「さあ、剣を捨てて貰おうか」
そう言い放つ偏在の足元にはルイズの杖が転がっている。
杖を失った彼女が自力で脱出する事は不可能だ。
一か八か、捨て身で攻撃を仕掛けようとするもデルフを手放す。
向こうが失う物は偏在のみだ。
いざとなれば刺し違えてもルイズを殺せる。
それだけは決してさせてはならない。
ここは黙って従い、機を待つ他に無い。

彼は感じていた。
遠くから迫ってくる懐かしい臭いを。
それはトリステインから駆けつけてくれた戦友達の臭い。

「さて、と」
ウェールズを抱えてワルドはフライを詠唱する。
ルイズを人質に取っている今、奴を殺す事が出来るかもしれない。
だが、我が身可愛さにルイズを見捨てる可能性もあるだろう。
いくら“虚無”といえど完全に溶かされては蘇生できまい。
彼女を奪い返すチャンスがあるなら、ここは見逃してくれるだろう。
ここはウェールズと手紙、そしてルイズを手に入れた事で良しとすべきだ。

「…待ちなさい」
呟くような小さくか細い声。
それに飛び立とうとしたワルドの身体が静止した。
偏在が自分の腕へと視線を向けた。
そこには大粒の涙を零すルイズの姿があった。
鼻先に突きつけられた杖のせいか、彼女の抵抗は無い。
しかし、ワルドの杖は確かに震えていた。

201 :ゼロいぬっ!:2007/12/03(月) 00:52:11 ID:Dr2naZ+q

「どうして…? どうしてなの、ワルド…?
何で私にあんな薬を飲ませたの? どうして私にアイツを…」
ルイズの言葉が自身の嗚咽に遮られる。
彼女には洗脳時の記憶が明確に残っていた。
杖を振るう自分に向けられた、彼の悲しい瞳を覚えている。
守りたかった物を、彼女は自分の手で傷付けてしまった。
その悲しみが容赦なく彼女の胸を抉る。

「違うんだルイズ! あの怪物は存在してはいけないんだ!
生きていれば全ての生物を滅ぼす、奴はそういう物だ!」
“バオー”の危険性を説く言葉も彼女には届かない。
必死に首を振って聞き入れようともしない。
元より彼女を騙して薬を飲ませた男の声など届く筈がなかった。
それでもワルドは弁明を続ける。

「君に薬を飲ませたのは間違いだった。
だけど君の力は世界を変えられるほど強大な物だ。
愚鈍な連中に渡していいものじゃない。
だからこそ、君に『レコンキスタ』に来て貰いたい。
君だって自分の力を認めぬ連中よりも、
その価値を知っている彼等の方が素晴らしいと理解できる筈だ」

事前にワルドはフーケから情報を得ていた。
ルイズが魔法を使えぬ事にコンプレックスを感じている事も知っている。
そして、教師や生徒達から白い目で見られている事もだ。
かつての自分同様、彼女は今のトリステインに絶望している。
自分を認めてくる人間がいれば、彼女は頷くと信じていた。

「…いらない」
「え?」
彼女の呟きに思わず聞き返す。
何を言ったのか、それさえもワルドには理解できない。
次の瞬間、囁くような言葉は劈くばかりの叫びに変わった。

「いらないッ! そんな力なんていらないッ!
アイツだって成りたくて怪物に成ったんじゃないッ!
私もアイツも力なんていらないのに…!
どうして放っておいてくれないの…!」

彼女はただひたすらに叫び続けた。
あらん限りの声で、喉が裂けんばかりに胸の内を吐き出す。
それは自分の宿命に耐えかねた少女の悲鳴だった。

202 :ゼロいぬっ!:2007/12/03(月) 00:53:43 ID:Dr2naZ+q

「ルイズ…!?」
力を追い求め続けたワルドに彼女の気持ちは判らない。
手にした力を放棄するなど考えられない。
ましてや伝説の“虚無”の力だ。
それさえあれば全てを手に入れられる。
なのに、彼女は拒絶を示した。
困惑するワルドに、彼女は問う。

「どこでこうなってしまったの…?
私達は、もう以前のようには戻れないの…?」
「そうだ。時は戻りはしない。
僕の進む道は前にしかないんだよルイズ」

その返答にルイズは俯いた。
彼はルイズの知るワルドではなくなっていた。
中庭の池に浮かべたボート、そこにはもう彼はいない。
振り返るべき過去を彼は自らの手で捨て去った。
無くなった物は決して戻らない。
憧れの人は既にこの世には存在していなかったのだ。
悲しい決意と共に、彼女は自らの懐へと手を伸ばした。

「ごめんなさい…ワルド様」
突然、ルイズが謝罪の言葉を口にした。
彼女の断り文句と聞こえた彼の耳に、カチリと小さな音が響いた。
刹那。高らかに響き渡る炸裂音と共に、偏在の心臓は破裂した。
倒れ逝く偏在の眼に映ったのは、拳銃を手にしたルイズの姿。
それは出立前にアニエスから託された物。
彼女がそんな物を持っているとはワルドも思わなかった。
杖を失えば無力と勝手に思い込んでいたのだ。
完全に不意を突かれた偏在が消えていく。
だが、その視界の端にこちらに向かって走る怪物の姿が映った。

瞬間。彼の胸中にドス黒い感情が駆け巡る。
それはルイズを奪われたくなかったのか、
あるいは奴からルイズを奪い取りたかったのか、
ワルド自身でさえ理由は判らなかった。

気が付けば、彼は自分の杖を振り上げていた。
目の前に赤い花弁のような血飛沫が舞う。
消えゆく視界の中で、彼はその姿を目に焼き付けた。
胸元に赤い華を咲かせたルイズ・ド・ラ・ヴァリエールを…。


203 :ゼロいぬっ!:2007/12/03(月) 00:56:25 ID:Dr2naZ+q
以上、投下したッ!

204 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:59:44 ID:24ZuwSPT
ここで銃かああああ!GJ!
ルイズかっこいいよかっこいいよルイズ、でもどこか哀愁が漂ってるよ。

205 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 01:01:28 ID:yeSuLRsT
いぬさんGJそして乙!
哀れというか、悲しいワルドだな……

206 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 01:55:21 ID:grqa8HkW
やっべえ銃の存在すっかり忘れてたよGJ!!
そして互いに想いあってるのにすれ違うルイズとワルド……

207 :使い魔は引き籠り:2007/12/03(月) 02:44:44 ID:std9dzyQ
専ブラの問題解決。間あけちゃってごめん。
前みたいに毎日投下は出来ないけど、また今日から頑張るよ!

と言うわけで投下します。

208 :使い魔は引き籠り:2007/12/03(月) 02:46:07 ID:std9dzyQ
オレは女の笑顔がこんなに怖かったのは初めてだね、マジに。
「さあイルーゾォ、別に怒ってなんか無いの。大人しくして、名前特技その他色々ありったけ全部吐きなさい」
だから杖を向けるなよ、畜生・・・・後ずさるまま部屋の隅まで追い込まれ、もう逃げ道はない。観念するオレ。
(イルーゾォ自身は気づく事すらないが、『コントラクト・サーヴァント』は彼の思考にある程度干渉し、
ことルイズに対し恐れは抱けど実際に拳を振るおう、という気を起こさせない。)

ギーシュは(途中から共犯って雰囲気だったくせに!)帰還を喜ぶ恋人に抱きしめられてデレってるし
まるっきり誘拐犯扱いのオレをメガネ女は感情の失せた目で見つめ、
反対に褐色肌の方はなにやら熱っぽい目で嘗め回す。(おい、好意的なら助けてくれよ!おいったら!)
「ほらッ!早く言いなさいよッ!!」
「はい!イタリアから来ましたイルーゾォ、特技は鏡の世界を行き来する事、職業は暗殺者です!」


・・・・。・・・・・・・・。


うわあ、凄く嫌な間。凍った空気。
テンション上げて聞き出した本人はビシッと固まったっきり動かねえし
抱き合う恋人同士は着信中の携帯電話宜しくガタガタブルブル震えだした。
メガネ女は何処から突っ込んでいいやらわかりません、と顔に書いてあるようだし
褐色肌も余りの事に血の気が引いて、肌の色が普通になってた。そんな訳は無い。


やがてルイズがおずおずと口を開く。
「い、今まですみませんでした・・・・殺さないで下さい・・・・」
「いえいえこちらこそ、殺さないで下さい。」

ラチが開きやしねえんだ全く。

「そんで、ええと?オレに何か用だったんだろ」
正直じっとして居たかった所を無理矢理引きずり出され、一刻も早くバックレたいオレとしては
この恐ろしい状況をすぐさま切り上げて鏡を探す旅に出るのが最優先。後、シエスタに癒されたい。
冷静に考えれば考えるほどに、向こうとこちらの戦力の差がマジに規格外で、その上わずらわしい事に
お向こうさんはオレの千分の一だって頭を使って動いてない。
オレがいくら理詰めで保身のために動いたって、向こうはそんな事意にも介さず力を振るうだけ。

だんだん判ってきたぞ。特にギーシュと十数分づつの格闘と会話を経て、脳の片隅で組み上げる。

こいつらがオレに向ける意思は、『敵意』でも『害意』でもなくただの『圧力』だ。
支配して当然という意思なんだ。
だから今オレが置かれている状況は、例えば『自分のボールペンが机の上から転がり落ちたから拾い上げた』のと同じように
『いないと不便だから、居たほうがいいから捕まえた』と、こういうことだ。

しかし此処へきて、拾い上げたボールペンはボールペンじゃない、って事に奴らは気づく。
もっと血の染み込んだ、鋭いものさ。



209 :使い魔は引き籠り:2007/12/03(月) 02:46:43 ID:std9dzyQ
皆が次々と使い魔を召還する中、私だけ幾度も失敗する。
まあ、これは普通に予測できた事だ。
召還した使い魔は、なんと人間で、魔法を知らない平民だった。
まあこれだってあるかもね。予測こそ出来なかったけど、十分キャパシティに収まる。
魔法を知らない平民は、けれども不思議な力を使う。
・・・・これだって。鳥が空を飛べるように、魚が海を泳ぐように、私達に少し難しい事を、平気でやってのける使い魔は少なくない。大丈夫。

使い魔の正体は、暗殺者だった。
もうこれは、どうしようもなく『有り得ない』。

だってまず、暗殺者、って言ったら人を殺すじゃない。
もうそこから駄目。だってね、人前じゃあ絶対にこんな事言わないわ、けれど殺人鬼って言うのは怖い。凄く怖い。
私が貴族で、殺人鬼が平民でも、それでも怖いもの。
人を殺すような奴は、全員牢屋の中にいるべきなのよ。それが秩序ってものなの。

それだけじゃない、しかも『暗殺者』。一人や二人じゃあないぜ!って感じがひしひし伝わってくる。
しかも『正々堂々と誇りを賭けて』みたいな私達『貴族』の考えは全然通じないでしょう、『暗殺』っていうからには。
『貴族』は例え戦争だろうと誇りを持って戦うって私は信じてる。背中からグッサリ、なんてことはあってはならない。
けれど、『暗殺者』だったら違うんじゃあない?どうだろう。今まで知り合いに『暗殺者』がいなかったから、よく判らないけど。

決定的な脳味噌のつくりの違いだと思う。そしてそれは、私にとって完全に『他の生物』と同じぐらいの隔たりを持つ。
私は今まで何回だって『ぶっ殺してやるんだから!』って思ったけれど、
『よし、今から殺す』って言うのは無い。そんな選択肢は無いの。だって人は殺しちゃあいけないもの。
決闘を仕掛けたギーシュだって同じだわ!きっと口ばっかりで、思っても見なかったはずよ。


目の前にへたり込んで『暗殺者です』と言いやがった私の使い魔を見る。
笑っていた。それはもうニヤニヤと。
どうやら『暗殺者』っていうのは本当らしい。私達の心にちょっとずつでも(たくさんって訳じゃないわ!)芽生えた恐怖を
すぐさま嗅ぎ取って愉悦をもらす。そう、恐怖するって事は、自分が相手より弱いと認めること。
力ばかりじゃあない、メンタルとか、可能性とかの話。

私達五人がかりで今彼を取り押さえようとしたら、物凄く簡単だ。
でも、その結果の先に『イルーゾォの死』は有り得ない。
私達は殺せない、でも目の前の男は『オレは違うぞ』ってきっと思ってる。
逆に、凄く凄く難しいけれど、イルーゾォは私達を殺せる。その『可能性』がある・・・・

ニヤニヤ笑いは信憑性に直結していた。
「話は終わりか?」
言外に『殺さないさ、そんなに怖がるなよお嬢ちゃん』みたいな含みを感じて悔しかった。

――――上から押さえつけたから、押さえつけ返される。

じゃあどうするの?ルイズ。
杖を突きつける手が震える。怖かった。使い魔が殺人鬼なんて酷い受難。運命を呪う。イルーゾォの存在を恨む。
私は、私は――――


210 :使い魔は引き籠り:2007/12/03(月) 02:49:17 ID:std9dzyQ
「関係ないわ。あ、あなたが暗殺者でも、私は貴方の主人なの。」

言った。
怯えも震えも飲み込んで、きっぱりと言った。『使い魔は主人の言う事を聞け。』従属は私の魔法で決定されている。
だから抗うな。

この選択は褒められたものじゃあない自覚はある。
この使い魔の人格ってものを、踏みにじる結果になるかもしれないけど。
それでも私はイルーゾォを召還して、決めた。何よりも『尊敬に足る主人になる』と。

イルーゾォの顔から笑みは消えていた。冷えた瞳は侮蔑と憎悪を含んで、私を透かして誰かを睨む。
ほら、彼は支配者を嫌っている。
彼はきっと覚えがあるのだ。抗い得ない力でもって支配し、配下の人格を一切省みない『主人』ってものに。

私がやっと成功させた魔法。
呼び出された使い魔は、今までもずうっと誰かの使い魔で、そして主人を恨んでいた。
これは乗り越えるべき試練だ。――――なにも、魔法の力で屈服させようというわけじゃないの。

彼が仕えても構わないと思うような主人にならなくちゃいけない。
『そういう主人』になるには・・・・自分の使い魔を恐れているようじゃいけないと思った。

「ルイズ?」
キュルケが私の背中に声を投げる。
それに続くように、ギーシュもそういう言い方は無いんじゃないか、と言った。
恐れから言っているのか、彼への憐憫で言っているのかは判らなかった。
――――両方だと思う。

「わかった。仕えろって言うんだな?わかったよ。」
冷えた瞳のままで、彼は無理矢理に笑顔に似たものを作る。ぎちっと軋む音すらしそうだった。
「暗殺者に何をさせる?ああ、前に言ってたな。身の回りの世話だったか。
掃除か、洗濯か、何かな・・・・?どれも得意って程でもない。――――お勧めは暗殺、なんだけど。」
「いらないわ。人殺しなんてもうさせない。」

何故だか漠然と抱いていた、彼と友人同士のように笑いあう未来が、ぱりんと音を立てて崩れる。
私達は、対等になることは決して無い。私がそれを選択した。
(それでも私は、これこそ彼への敬意の現れだと断言できる。)

「明日、外出するから。――――身辺の警護みたいなものだと、思ってくれればいいから――――予定を空けておいて。」
言外に命令であると含ませる。彼はそれを受けて、ふんと鼻を鳴らして頷いたあと、不機嫌に部屋から出て行った。
少なくとも今日はもう彼の顔を見ないだろうという確信がもてた。


「なんでもっと、素直になれないのよ!」

じゃあどうしたらよかったの?キュルケはずるい。手放しで彼のためだけに行動できるんだから。
イルーゾォがもし、キュルケの使い魔なら・・・・その台詞、私が貴方に言ったはずよ!

211 :使い魔は引き籠り:2007/12/03(月) 02:52:09 ID:std9dzyQ
投下終了。さあ寝るぞー!

ルイズが絡むとほんわかしなくてごめんよ。
でもルイズには立派な上司になって欲しいと思ってる。どっかのヘタレとは違う。
いつかこの微妙な上下関係に信頼が生まれると信じたいね

212 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 03:10:11 ID:Iem+tHz9
いるぞぉさん乙でした、「シエスタに癒されたい」ってのが泣けるわ〜

213 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 03:20:37 ID:grqa8HkW
鏡警備員が普通の警備員に格上げになった、のかなあ?
なんつうか互いにびびり合いながら少しづつ理解しあうのがGJ

214 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 06:41:01 ID:yeSuLRsT
引き籠りさんGJそして乙でした!
そうだよな、普通は暗殺者が目の前に居たらビビるよな
基本的なことを忘れてた
このビビり合い主従の明日はどっちだ

215 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 07:44:24 ID:uZDlzEM7
殺さないでくださいの部分でヘルシング後書き風の絵柄に脳内変換されたGJ!

216 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 15:00:53 ID:d5O49Lch
>>215
あれ、俺がいる

キュルケフラグ後退したかな。鏡を無くした鏡警備員は、次回新たな鏡を手に入れられるのか
G〜J〜

217 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 15:40:53 ID:24ZuwSPT
投下しちゃおっかなー

218 :仮面のルイズ:2007/12/03(月) 15:41:56 ID:24ZuwSPT
「そんなに堅くならなくてもいいわよ」
「はっ、はい!」
シエスタは、エレノオールの気遣いに緊張して、かえって体を強ばらせていた。
モンモランシーはシエスタの隣に座り、馬車の窓から外を眺めている。
シエスタとモンモランシーの二人は、エレノオールの乗ってきた馬車に乗り込み、ラ・ヴァリエール領へと移動している最中だった。

シエスタとモンモランシーは魔法学院の制服姿、手持ちの小道具を入れた小さなバッグを脇に置いている。

エレノオールは飾り気のない白を基調とした服を着ており、魔法アカデミーの紋章が胸に刺繍されていた。

エレノオールは波紋についてシエスタに質問するが、緊張しているシエスタはうまく説明できず、そのたびにモンモランシーが説明を補足する。
だが、魔法学院では習わないような専門用語が出てくる度に、モンモランシーも狼狽えてしまう。
「オールド・オスマンの論文では、波紋はメイジも平民も等しく持つモノだとされているわね。体内を循環する血液に波紋は本来備わっていて、副次的作用として覚醒作用と浄化作用が……」
水系統を基にした、人体構造の研究にも目を通しているエレノオール。
彼女の知識はモンモランシーとは比較にならない程深かった。
「は、はい、たぶんそんな感じだと思います」
モンモランシーは冷や汗をかきつつ、曖昧な受け答えで誤魔化すことしかできなかった。

しばらく馬車がすすみ、外の景色が移っていくと、シエスタもようやく馬車の雰囲気に慣れてきた。
強ばっていた肩から力が抜け、どこか懐かしむように外の景色を見つめる。
「シエスタ?」
モンモランシーがシエスタ側の窓から外を見ると、外には草原が広がっており、その遙か先には森林が見えていた。
そよ風に吹かれた草花が柔らかい太陽の日差しを受けて輝いている、シエスタは故郷を思い出していた。
「あ、はい」
「あんまりきょろきょろしちゃ駄目よ」
「すいません、あの、草原が綺麗だったもので…」
エレノオールも外を見る、そして、少し目を細めてから、座席に座り直した。

「ルイズは、変わった子だったわ。あの子ったら子供の頃、カトレアのためにこの草原まで花を取りに来たのよ」
「ルイズ様が、ですか?」
ルイズと聞いて、シエスタが反射的に聞き返した。
「ええ。ヴァリエール家の中庭に、小さな花の種が風に乗って飛んできたの。
カトレアが『どんな花を咲かしているのでしょうね』なんて言うから、ルイズったら馬で遠乗りした時に、泥だらけになるまで花を探してたのよ。
この草原はルイズが花を探した場所なの」

「…そうですか」
「ねえ、魔法学院ではルイズがいろんな人に迷惑をかけたのでしょう?あの子、どんな事してたのか、教えて欲しいわ。それと貴方ルイズのこと知っているみたいだし、貴方のこと教えてくれないかしら」

モンモランシーはツバを飲み込んだ。その時の音が、やけに大きく聞こえたので、自分が緊張しているのだと理解できた。
魔法学院でルイズが何をしでかしたか、どれだけ被害を被ったか、馬鹿正直に話すわけにはいかない。
その上、シエスタはシュヴァリエを賜ったとはいえ元平民、貴族の上下関係厳しいトリステインで、田舎出身の平民がラ・ヴァリエール家の人間を診察するなど考えられない。

しかしシエスタは、隣で頭を悩ませているモンモランシーの思惑など知ったことではない、馬鹿正直に話をしてしまった。
「私がオールド・オスマンに『波紋使い』だと告げられる前は、魔法学院のメイドとして過ごしていました」
「……メイド?」
「はい、オールド・オスマンは、私の曾祖母『リサリサ』に恩を返すつもりで私を雇って下さったそうです」

219 :仮面のルイズ:2007/12/03(月) 15:43:04 ID:24ZuwSPT
隣に座るモンモランシーは『やっちゃった』と言わんばかりの視線でシエスタを見ていた。
ラ・ヴァリエール家の長女に『私は元平民です』などと言おうものなら、その場で馬車から放り出されてもおかしくない。
いや、怒り狂って自分も一緒にうち捨てられてしまうかもしれない、そんな物騒な未来予想図がモンモランシーの頭をよぎった。

「そうだったの。オールド・オスマンは貴方を保護していたとしか言っていなかったわ」
「保護ですか?」
「ええ。きっと、貴方が怪しまれるのを防ぐためじゃないかしら」

モンモランシーの予想に反して、エレノオールはシエスタが元平民である事実を受け止めていた、それどころか、あらかじめ知っていたかのような反応だった。

エレノオールは、リサリサと出会った後のオスマンが、どんな苦境に立たされていたのかを話し始めた。
当時、人間と亜人はまったく別の系統で発生した生物だとする学説と、人間と亜人は一つの根源から枝分かれしていったとする学説が対立状態にあった。

そんな時にオールド・オスマンは、『波紋』という未知の説を打ち出したのだ。
あらゆる生命体が持つ力であるが故に、系統魔法や先住魔法の力を底上げするという『波紋』は、すべての生物は根源が一つだと証明するものでもあった。

そのため、対立する学者達から命を狙われたのだ。
幸いにもオールド・オスマンの唱えた『波紋』は、ごくごく微々たる力でしかなかった、そのため彼自身の老化を遅らせることはできたが、他人にそれを分け与えることはできず、『波紋』はアカデミーから忘れられていった。

だが、それはオスマンの策でもあった。
『波紋』をメイジ同士の争いに利用されぬために、波紋使いである『リサリサ』の存在を隠すために、あえて『波紋』を役立たずであると印象づけたのだ。

シエスタを魔法学院で雇っていたのは、リサリサの血を引く一族へのせめてもの恩返しであった。
シエスタが『波紋使い』の素質があると知ってからは、シエスタを保護するために雇っていたのだと対外的に説明している。
そのためエレノオールは「オールド・オスマンは、シエスタを保護するために魔法学院で雇った」と思いこんでいるのだ。



「オールド・オスマンの研究は確かに素晴らしかったわ。でも、改めて読んでみると不思議な点がいくつかあるわね。たとえば貴方のような『波紋使い』の存在を隠すために、わざと不完全に書かれているみたい」
「そ、そうなんですか」
オールド・オスマンという人物の底知れなさに、シエスタは少しだけ驚いた。
モンモランシーも驚いている、スケベ爺が実は凄い人だった、そんな風に考えているに違いない。

「もし、その当時貴方のような『波紋使い』が世に出ていたら、きっと『先住魔法を使うエルフの間者だ』と誤解されて解剖されていたでしょうね。オールド・オスマンの先見性には驚かされるわ」

エレノオールがシエスタの瞳を見つめる。
「さ、この話はもういいでしょう。ルイズの話を聞かせてくれないかしら」
「はい。私がルイズ様からお声をかけて頂いたのは……」

エレノオールは、シエスタとモンモランシーの話を寂しそうに聞いていた。
モンモランシーが、ルイズの勝ち気さに愚痴を言うと、『あの子はそういう子だから』と言って笑った。
シエスタが、ルイズは魔法学院で働いている平民達にも気を配っていた、メイド仲間からも尊敬されていたと語ると、エレノオールは『あの子も成長したものね』と言って、ほんの少しの間だけ…声を殺して泣いた。

220 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 15:43:44 ID:miRbtlbZ
しえんだー

221 :仮面のルイズ:2007/12/03(月) 15:44:05 ID:24ZuwSPT
「…ごめんなさい、ちょっと、取り乱しちゃったわね」
エレノオールはそう言いながら、涙で濡れた目元を拭った。
「父が倒れたの。ルイズが死んだって聞かされて、相当こたえたんでしょうね。私も父も、魔法の出来ないルイズを叱ってばかりだったわ」
顔を上げると、シエスタとモンモランシーの顔を交互に見つめて、エレノオールは笑う。
「魔法が使えなかったら、貴族は貴族として認められないの。だから私も父も厳しく接してきたわ。でも、一度もルイズを褒めてあげられなかった……きっと、私と、父様を、ルイズは恨んでいたでしょうね」


「そんなことはありません。絶対に、そんなことはありません!」
シエスタの口調が強くなり、エレノオールが少し驚いた。
「ルイズ様は、土くれのフーケに立ち向かったんです。『立場における責任を果たす』と私に仰って下さったのは、他ならぬルイズ様です!そんなルイズ様が家族を恨んでいるだなんて……絶対に、絶対にありえません!」

「ちょ、ちょっとシエスタ、無礼よ!」
モンモランシーがシエスタの肩を押さえる、はっとして、シエスタの興奮は一瞬で冷めた。
「あ……す、すみません、あの、興奮してしまって」

急におどおどしだすシエスタを見て、エレノオールは、静かに微笑んだ。

「いいのよ。気にしないで…ね。到着したら妹にも、父にも、母にも、その話を聞かせてくれないかしら」
「…はい」

ごめんなさい、と、シエスタが心の中で謝った。
ルイズは生きている。
それも、吸血鬼として。
でも今は、シエスタが知る『尊敬するルイズ様』の姿をエレノオールに語るべきだと思った。
シエスタはもう一度、心の中で謝った。
もしルイズが心まで吸血鬼になっていたら、自分はルイズを殺さなければならないのだから。





エレノオールは、少しだけ救われた気がした。
自分の気の強さは、ルイズを厳しく教育するために養われたのかもしれないと思った。
ルイズが死んで以来、覇気が抜けてしまったのは自分だけではない、父も母も、口には出さないが心が疲れ切っている。
ルイズを溺愛していた、ルイズは誰よりも愛されていた!
でもそれをルイズに語ることはできない、ルイズが貴族として、メイジとして一人前にならなければ、自分たちが死んだ後残されたルイズが苦労する。
だからルイズに厳しく接してきた。

そして、厳しく接し続けたままルイズは死んでしまった。

いや、ルイズを『貴族らしさ』という言葉で死に追いやったのは自分達だ。
本音を言えば、どんなに無様でも、ルイズには生きていて欲しかった。

けれども、シエスタの言葉を聞いて、自分たちがいつまでも悲しんではいられないのだと気付かされた。
父の教えが、母の教えが、自分の教えがルイズに伝わり、ルイズの言葉が、シエスタに受け継がれている。

ルイズは本当に立派になったのだ、そして死んだ。
だから自分たちもラ・ヴァリエール家の人間として、役目を果たさなければならない。

魔法アカデミーで一番刺々しい茨だったエレノオール、彼女の棘は、ルイズの死と共に落ちたのだ。



エレノオール、モンモランシー、シエスタ。
三人を乗せた馬車がラ・ヴァリエールの居城に到着する頃には、漆黒の空に二つの月が浮かんでいた。

222 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 15:44:43 ID:miRbtlbZ
しえんだー

223 :仮面のルイズ:2007/12/03(月) 15:45:53 ID:24ZuwSPT
「いらっしゃいませー」
その日も『魅惑の妖精亭』は繁盛していた。
ルイズは扉を開けて入ってきた客に屈託のない笑顔を向け、空席へと案内する。
フードを被った客は、席に案内されるとルイズを見上げて小声で呟いた。
「何をしてるんだこんな所で」
「え?……やだ、何言ってるのよ、貴方が教えてくれたんでしょ?」
フードの影から覗く瞳と金髪には見覚えがある、まごうことなき銃士隊のアニエス、その人だった。
「潜伏には魅惑の妖精亭がいいって言ったの、貴方じゃない」
「それはそうなんだが…」
「無駄話をしに来た訳じゃないんでしょ?ご注文は?」
「とりあえずコレとこれを貰おうかな」
「はい、ワインとシーザーサラダね、承りました」
トレー片手に厨房へと入っていくルイズを見て、アニエスは小さく呟いた。

「冗談のつもりだったんだが……」



ルイズとワルドが潜伏先に選んだのは、城下町ではそれなりに人気の酒場『魅惑の妖精亭』だった。
アニエスの部下がこの店で働き、情報収集を務めていたことがある。
そのため『情報収集を兼ねるなら魅惑の妖精亭がいい』と言ってしまったのだが。
アニエスとしては、アニエスの息がかかった秘薬屋や、郊外の隠れ家に潜伏して欲しかったが、すでに働き始めている以上取りやめろとは言えない。

露出度の高いキャミソール姿で給仕をするルイズ、それを見て、アニエスは再度ため息をついた。
今のルイズはルイズであってルイズではない。
『ロイズ』という偽名を名乗っているだけではなく、姿形も大きく違う。
まず、背が高い。アンリエッタより10サントは高い。
その上胸が大きい、中に何を詰めているのか知らないが、とにかく膨らんでいるのは確かだ。
そして髪の毛は茶色の染料で染められ、王宮を出る前に『固定化』をかけられている。
顔立ちも違う、鼻はほんの少し高く、いつものルイズよりほんの少し面長になっており、しかも口元には黒子までついている。
ごくごく親しい人間でも、一目で彼女をルイズだと見抜くのは難しいだろう。

「反則的だな…あの能力は」
アニエスは、変身前のルイズを思い出し、静かに呟いた。




厨房に注文を届けたルイズは、この店の店主であるスカロンと二〜三言言葉を交わして、再度表に出て行く。
皿を洗いながらそれを見ていたのは、精悍な顔立ちの男性、ワルドだった。

店主のスカロンは、ワルドがルイズを見ていたのに気付くと、ワルドに近づいて肩を叩く。
「ロイズちゃん頑張ってるわねー!ロイドちゃんはお兄さんとして気になるかしら!」
「ええ、まあ」
髭を蓄えた中年の男性が、くねくねと体を揺らしながらオネエ言葉で喋るのはちょっと不気味だ、しかしミノタウロスを相手にするより遙かに気楽だ。
ワルドは照れくさそうに笑いつつ、皿洗いを続けていた。

この店でワルドは『ロイド』ルイズは『ロイズ』と名乗っている。
二人は訳ありの没落貴族という設定で、身分を問わずに雇ってくれる『魅惑の妖精亭』にやってきた…
そういう設定なのだ。
ワルドは人間の腕と見まがう程精巧な義手を巧みに操り、皿洗いを続ける。
水をくむのが面倒なので、義手に仕込んだ杖から、魔法で水を継ぎ足しつつ、延々と皿を洗っていった。

ふと、手を休めて、給仕口から店内を見渡す。
料理を運んでいるルイズと目があって、ウインクを返された。

「訳ありの没落貴族か…駆け落ちみたいで悪くないな」
トリステインの貴族らしくない、奇妙な満足感に包まれて、ワルドは笑った。


224 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 15:46:31 ID:miRbtlbZ
しえんだー

225 :仮面のルイズ:2007/12/03(月) 15:48:16 ID:24ZuwSPT
ルイズはこの店で、ブルリンと旅をした数日間のことを思い出していた。
注意深く周囲を観察し、人々の会話に耳を傾ける。
ただそれだけのことなのに、ルイズの耳には刺激的な話がどんどん入ってくるのだ。
あの時ブルリンと会わなければ、五感をフルに使うことも無かったろうし、情報収集の大切さも気付いていなかったかもしれない。

商売のために高等法院の許可貰うに、どんな抜け道を使うとか。
脱税スレスレの節税方法とか、北側の衛兵のいい加減さとか…
アニエスの部下が、情報収集のためこの店に赴いたこともあるそうだが、その理由が分かる気がした。

特に気になるのは、アンリエッタに関する噂だった。
アンリエッタは聖女といわれ湛えられているが、すべての平民がアンリエッタを湛えているわけではない。
そもそもの原因となったウェールズ皇太子との恋愛話は平民達の噂の的だった。
アンリエッタとウェールズが以前から恋仲だったと、まことしやかに噂されているが、ラブレターのことまでは噂されていなかった。
二人を称えるもの、けなす者、酒場には多種多様な客が来る。
ルイズは、この不思議な空間を気に入っていた。

「ねえちゃんワイン注いでくれよ!」
そう言いながら、酔った客の一人がルイズの尻を撫でる。
ルイズはすぐに振り向いて、テーブルに置かれているワインの瓶を手に取った。
「お触りはいけませんよ」
そう言って笑顔でワインを注ぐ。
ワインをつぎ終わり瓶をテーブルに置くと、その客はルイズの腕を掴んで、酒臭い息を隠そうともせずルイズに顔を近づけた。
「なあ仕事の後どうだい?俺とさぁ…あ、あれ〜?」
ルイズは男の腕を払い、逆に握り返す。
「お客様、飲み過ぎですわよ」
掌から少しずつ、少しずつ血を吸っていく。
「あ〜…飲み過ぎたか…なあ〜………」
みるみるいうちに顔色が青くなり、男は眠るようにテーブルに突っ伏した。

「あら大変!」
それを見た他の店員がルイズに近づく、青ざめた客を見て、どうやら酒に悪酔いしたと思ったらしい。
「ロイズちゃんは注文を取りに行ってくれない?この人よく酔っぱらって寝ちゃうのよ」
「解ったわ、ありがとう、ジェシカさん」

そう言ってルイズはテーブルを離れる。
心なしか、ルイズの胸は先ほどより少し膨らんでいる気がした。




226 :仮面のルイズ:2007/12/03(月) 15:49:41 ID:24ZuwSPT

夜も遅くなり、客が少なくなった頃、黒髪の少女ジェシカがルイズを呼んだ。
「ね、ちょっとこれ手伝ってくれる?」
ジェシカの前には木箱が置かれており、そこには沢山の食材が入っている。
「わかったわ」
ルイズは短く返事をすると、重そうな木箱を軽々と片手で持ち上げた。
「どこに持って行けばいいのかしら」
「え……えーと、ついてきてくれる?」
ジェシカは、少し狼狽えながら倉庫へとルイズを案内した。

倉庫の中で木箱を開け、中身を棚に並べていく。
すると、不意にジェシカがルイズに耳打ちした。
「ねえねえ、あったしー、わかっちゃった」
「え?」
「訳ありって言ってたけど…身分違いの恋とか、駆け落ち?」
ルイズは唇を手に当て、少し考える仕草をすると、首を横に振った。
「私とロイドは兄妹よ」

だが、ジェシカは不敵な笑みを漏らすと、人差し指を立てて顔の前で左右に振る。
「あたしはね、パパにお店の女の子の管理も任されてるのよ。女の子を見る目は人一倍だわ。ねえねえ、どんな訳があるのよ。ただの駆け落ちじゃないでしょ?誰にも言わないから、ね?教えてよ」
ルイズが黙っているのを見て、ジェシカは微笑む。
「もしかしてぇ…貴族のロイドさんが、メイドの貴方に恋しちゃった…とか?」

内心では『あたしは公爵令嬢よ』と思っていたが、そんなことは口には出せない。
ルイズはジェシカの顔を見つめて、一つ、質問してみることにした。
「どうしてそう思ったの?」
「だって、あの人プライド高そうだもの。貴方はお尻を触られても飄々としてるじゃない、こういう仕事慣れてるでしょ」

ルイズは心の中で、少しだけ苦笑いをしていた。
自分はいつの間にか、平民が板に付いていたようだ。
「私が貴族で、あの人は従者だったの」
「まさかぁ!」
ジェシカが口を手で覆いつつ、笑う。
つられてルイズも笑い出した。

「本当よ」
「本当に?」
「じゃあ嘘でいいわ」
「何よ、ずるーい!」

ころころと笑うジェシカを見て、ルイズはふと何かを思い出した。



『そうだ、この笑顔…シエスタに似てる』

227 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 15:50:27 ID:miRbtlbZ
しえんだー

228 :仮面のルイズ:2007/12/03(月) 15:54:07 ID:24ZuwSPT
その頃、洗い物を終えたワルドは、ルイズよりも一足早く部屋に戻っていた。
ルイズとワルドに与えられた部屋は、ベッドが二つ並んでいるだけの小さな部屋で、余計なものは一切置かれていない。
ベッドの下に置かれていたデルフリンガーを取りだすと、鞘から少しだけ引き抜いてベッドの上に置く。
『ずいぶん繁盛してんなあ、この店。どーだい皿洗いは?』
「意外と疲れるものだな」
『そりゃそーだろ、ところで、嬢ちゃんは』
「ルイズなら倉庫だ、女性同士の内緒話だろう」
デルフリンガーと話をしつつ、ワルドは先ほどルイズから渡された紙切れをポケットから取り出す。
アニエスから渡された紙切れには、リッシュモン追跡の様子が簡潔に書かれていた。

「…………商人、か」
『ん?』
「メイジが商人に化けているようだ、そいつがリッシュモンの手先らしいな」
『そいつをどーするんだい』
「捕まえるさ、聞くまでもなかろう?」
『その後だ、殺すのか?』

ワルドは顎に手を当てて、しばらく考えこんだ。
「……衛兵に引き渡すさ」
『おでれーたな、おめえ、あのギラギラした殺気がサッパリ消えてやがる』
「ルイズのおかげだよ」

そう言いながら、ワルドはデルフリンガーをベッド脇に立てかけた。
「彼女の苦悩に比べたら、僕なんてちっぽけなものさ」

デルフリンガーも同じ事を考えていた。
彼女は、自分の幸せを犠牲にした分だけ、その周囲にいる人を助けている気がする。

『あー…考えてもしょうがねえなあ』
「ん?」
『なんでもねえ。おめえが嘘を言ってないのは解った。嬢ちゃんを悲しませんなよ』
「そのつもりさ」


ルイズは、フーケに、ワルドに、ティファニアに、アンリエッタに、ウェールズに、アニエスに『頼られている』
だが、彼女が『頼れる』人は居ない。







彼女が本来頼るべき母は、シエスタとモンモランシーの二人の到着を、笑顔で迎えていた。

To Be Continued →

229 :仮面のルイズ:2007/12/03(月) 15:56:48 ID:24ZuwSPT
投下したッ!


>>使い魔は引き籠り
反則的能力のイルーゾォにどう対処するのか気になる。
それにしてもルイズ、プライドは高いよね、これがいい方向に傾くといいなあ。


230 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 15:59:13 ID:miRbtlbZ
GJ&投下乙!
どんな状況でもルイズは胸がコンプレックスなんだね・・・(´;ω;`)ウッ…
スカロンはある意味ミノさんより危険な相手

231 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 16:16:31 ID:2oYR/oRK
GJ!
しかし見所いっぱいあったのにレスの文面がルイズに給仕されたいとしか思いつかない
私は破廉恥な人間かも知れん……。

232 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 17:12:22 ID:opGkFuH8
>>231
ギジェ乙

>だが、彼女が『頼れる』人は居ない。
ルイズが頼れる相手か…、デルフは話し相手つーか愚痴の聞き役だしな

233 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 17:55:26 ID:Iem+tHz9
仮面さんGJ!GJ!!GJ!!!
ベネ、ディモールトベネっすよ ルイズの苦悩と成長に泣ける
願わくは誤解が解けハッピーエンドになってほしいものです

234 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 19:37:55 ID:O03opuEr
後れたが兄貴GJ
暗殺者と盗賊コンビに期待せざるを得ない

235 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 19:41:29 ID:yQEhV2z3
さて、今どのくらいいるかな?
5人以上そろったら投下します故。

236 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 19:44:31 ID:e9K0brUS
一人目!

237 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 19:45:04 ID:Rzczt6FT
ふたりめ。

238 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 19:45:23 ID:kzfbRbtw
私は、多分三人目だから……

239 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 19:45:23 ID:DdZiJj1f
GJ!
>心なしか、ルイズの胸は先ほどより少し膨らんでいる気がした。
ルイズ!!貴様一体何人の命をその胸の為に吸い取った!?
というエレオノール嬢の叫びが聞こえた気がしたw

>>235
三人目かな?

240 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 19:46:20 ID:qyWWyEMN
          ____      \  [] []
      ,. <ゝ<><ヽ.    /  o o
     /´ ,ニニニヽ/\.ヘ  \
      /、└'7/厶ヽ\, へハ  /  
.    |{Z_//イ,lブ-| |\,/|  \ 四人目だとォーーーッ!!
      |Tz>::..`>¨´!| |/\.|   /
     | | \フ J u 〉\/ >  ̄\/\/\   /\/\/
.     | ト、 '}三> u ,>''"´´゙>.、       \/
     | 」 ヽ`!¨´ ,r'´,ニニニ, ,==
     l.ノ ̄ヽ-‐f゙ //__/∠_
         ,. -{,/ r―ァ / ̄ ̄ノ
      ソ⌒X乂ヽ.!__,ノ ィ"´ ̄

241 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 19:47:10 ID:Rzczt6FT
>>240
違うねっ 五人目だ!

さあ投下を。

242 :奴隷 ◆CR2IDhbEVw :2007/12/03(月) 19:48:22 ID:yQEhV2z3
グッド!17コマ投下開始ッ!!

243 :slave sleep〜使い魔が来る 1/17:2007/12/03(月) 19:49:34 ID:yQEhV2z3
ドォォォォン・・・

遠くから爆発音が聞こえる。
「おかっぱさん!今の爆発音って!」
「『爆発』音か…?」
今聞こえたのは確かに爆発がおきた時に起きる音。そう、ルイズが失敗して起こる爆発はこういう音を出す。
イルククゥがハッとしてブチャラティに言う。
「つまり、そこにあなたのご主人様がいるってことよね?きゅいきゅい!」
「だがルイズが爆発を起こしたということは、すでにルイズの身に何かが起きていると言うこと。
一刻の猶予も無い!急げ!爆発音のしたほうに走るぞ!」
ブチャラティは走る。ルイズの危機を救うために。
(おかっぱさん…。あの子を心配している。同じ使い魔の私にはよくわかる…。
私もお姉さまにさっきから何度も問いかけているのに返事が無いのね。きっとお姉さまの身にも何かあったのね!
急がないと!お姉さま待ってて!)
イルククゥも走る。タバサの身を案じつつ。

待ち合わせ場所へ走る三人の耳にもその音が届く。
方角はちょうど自分の向かっている目的地の方角から。
「これは…爆発音?」
真っ先に気付いたのは金髪の青年、ウェールズ。
ウェールズが真っ先にその音に警戒する。
それに続いてマリコルヌ、ギーシュも爆発に気付く。
だが彼らが抱いていたのは別の想像。
「ギーシュ!今のは『ゼロのルイズ』の爆発じゃあないか!?」
「かもしれない!キュルケの言うとおりブチャラティが来ているとしたら当然ルイズもいるだろう。
使い魔のブチャラティがこの町に来ているとすれば用事は普通に考えるなら『ルイズの買い物のお供』だろうからね!
そしてこの爆発音は、彼女も今危険に晒されているということに繋がるッ!」
その時ウェールズが疑問を浮かばせる。
「『ルイズ』?」
「ブチャラティの主人で僕達のクラスメイト、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
ブチャラティを召喚した本人です。」
「ヴァリエール…。ヴァリエール公爵の…。」
ウェールズにはその名前に聞き覚えがあった。
「そうか。いや、急がなくてはな。彼女も助けに行かなくては…。」



244 :slave sleep〜使い魔が来る 2/17:2007/12/03(月) 19:50:33 ID:yQEhV2z3
ゴロツキメイジチームリーダーとルイズの生き残りを賭けた戦いは佳境に入っていた。
「やった…!ゼロの私がここまでできるなんて…すごい!!」
しかし相手はまだ動くのをやめていなかった。ルイズに負わされた瓦礫のトラップという予想外のダメージで
肉体的にも精神的にもショックを受けているであろう、それでも執念からか動くのをやめなかった。
「ぐ、ううう、ガホッ!がああ!クソッ!なんでこのオレがここまで押されてやがる…!」
荒々しい声をあげ、欠片を引き抜きながら動いているのを見たルイズはまた緊張が走ったのを確認する。
「この…!よくもっ!よくも顔に…ぐうっ!腹に、腕に傷を…!!やせっぽちのチビガキがッ!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・!!!!!!!

ルイズもリーダーのその迫力に思わず息を呑む。
「この…鼻持ちならない…温室育ちの…貧弱でやせっぽちの能無しビチグソ野郎の分際で…!
よくもこのオレに傷を…傷を!!!」
リーダーがすごい形相で睨んでくる。
「ぜってぇにバラしてやる!!切り刻んで!五体を引き裂いて!生き肝えぐり出して!
血肉を味わうことで!てめえの残酷な死で清算してやるッ!!BIIIIIIIIIIIIITCH!!!!!!」
再び目の前が赤く染まったような錯覚が起きた。ルイズの目の前の男の狂気がむき出しになる。
その形相にルイズの背筋は縮みあがった。
「なにコイツ!?精神的にキテる…!ヤバすぎるッ!!」



245 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 19:51:00 ID:qyWWyEMN
支援

246 :slave sleep〜使い魔が来る 3/17:2007/12/03(月) 19:51:14 ID:yQEhV2z3
ルイズがブチャラティを探しにふたたび走り出す。
「FWOOOOOOOOOOOOOOO!!!」
リーダーが目をギョロつかせてルイズを睨む。
ルイズは右に曲がる。そこには階段があった。この階段を曲がれば表通りには近くなる。
「階段…!チャンスだわ!」
「逃がすかよォ!!」
ルイズが大急ぎで階段をあがるが、リーダーは凄い。一気に4段抜かしである。
当然2段抜かしが限界のルイズではすぐに追いつかれる。
「HYAAAAAAAAAAAHAAAAAAAAA!!!!刻んでやるよォ!!」
だがルイズは不意に後ろを向き、
「『レビテーション』!!」

ドカンッ!!

不意に天井が崩れる。
ルイズの狙いは上ではみ出ていた屋根。それを爆破したのだ。
「アンタが下!私が上よ!!変態野郎!!」
「なんだとォォォォォォ!!!!」
屋根が瓦礫となりリーダーを飲み込む!!
ルイズはそれを全く躊躇せずこう言った。
「地形の相性を考えて動くべきだったわね。アンタたちゴロツキは魔法で平民にデカイ顔してたぶん、
メイジ同士の戦いはてんでダメね!」
ルイズは伊達に『ゼロ』呼ばわりされていない。気位が高い彼女だからこそ今までの人生常に努力と背中合わせに
生きてきた。ありとあらゆる魔法の知識やその用途は頭の中にいっぱい詰まっている。
失敗だらけで努力家のルイズならではの戦いだった。
彼女が最後の台詞を言い切る前にルイズは階段を上りきる。
(やった!この階段さえ上ってしまえば表通りはすぐよ!)



247 :slave sleep〜使い魔が来る 4/17:2007/12/03(月) 19:51:58 ID:yQEhV2z3
「貴様が下だ!チビ女がッ!!」
リーダーが瓦礫を振り切りながらそう言うとルーンを唱えて飛び上がる。
「『フライ』で先回りを!?」
ルイズが壁に杖を向ける。
「『レビテーション』!!」
爆音とともに穴が開く。ルイズはすかさず壁の向こうに逃げた。
「機転の…きくヤロー…だぜ!あんな爆発しか能の無いゴミ女のくせに!生意気なんだよォ!!
HEYYYYYHAAAAAAAAAA!!!」
発狂したような声をあげリーダーがそのまま穴へと続く。
だが穴をぬけた先は建物の中。ルイズは逃げたつもりが逆に追い詰められていたのだ。
「しまったっ!!」
「つっかまーえたァ〜〜。ウヒヒヒヒヒヒヒヒアヘアヘアヘラ!」
杖であるナイフをいとおしそうに舐め、ルイズに切っ先を向ける。
今度こそルイズを殺すために照準を合わせたのだ。
「『エア・カッター』ッ!!」
リーダーがルイズに呪文を唱える。だがルイズはすでに読んでいたと言わんばかりに杖を振るう!
「『レビテーション』ッ!!」
リーダーの攻撃が発射される前に二つ目のカフスを爆破!攻撃をそらす。
だがそれはリーダーの作戦だった。今放たれた風の刃はごくごく小さいものだった。
(あらかじめカフスをぶっ壊しておけばよォ〜〜。肝心なとどめを妨害されたりしねーよなァ〜〜!!
壊すのめんどくせーからこっちから爆破させてやったぜ!!)


248 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 19:52:10 ID:qyWWyEMN
支援

249 :slave sleep〜使い魔が来る 5/17:2007/12/03(月) 19:52:51 ID:yQEhV2z3
「しまったッ!!もう攻撃はそらせないッ!!」
「逃げたつもりが建物の中!冷静でいられなかったのはドコのドイツさッ!!
このまままず頚動脈を切ってから…おたのしみはそれからかなァ!?」
ナイフを向けてとどめを刺そうとする。だがルイズの目はまだ生き残ろうと言う意思が消えてない。
このメイジを倒すか!ブチャラティと合流するかが生き残るための道!!
何不自由なく暮らしてきたルイズは今!!初めて生き残りを賭けた試練を乗り越えようとしているッ!!
「まずはこの石をッ!!」
ルイズの次の行動。石を『3つ』投げたッ!!
「『レビテーション』!!『レビテーション』!!『レビテーション』!!『レビテーション』!!」
リーダーの懐に投げ込んだ石が爆発を起こすッ!!
「うぐえッ!!クソッまだやるつもりか?お前にはもう助かるすべは無い、
もう諦めて楽になれば…?」
爆発の影響で起きた煙で一瞬視界が遮られる。そしてリーダーは触覚で感じ取った。
ルイズが煙に紛れて逃げていくのを。
「一時しのぎだ…。こんな手を使って何になる…ハッ!!」
リーダーは攻撃を喰らい一瞬もうろうとなった意識が戻った瞬間やっと気付く。
「4回唱えたはずなのに…。喰らった爆撃は3回?残りの一回で何を爆破した!?」
ルイズが向かう先には!4つめのの失敗魔法で爆破された壁の穴ッ!!
「このあたりには何回も来てるのよ…。この方向に真っ直ぐ行けばブルドンネ街の中央部に出るはずッ!!
「コイツッ!攻撃と同時に退路を切り開いてやがったッ!!生き残るための道を…。追い詰められたことで
生き残るための執念が表立って出てきやがったかッ!!」



250 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 19:53:33 ID:DdZiJj1f
これは…支援のレスだぜ

251 :slave sleep〜使い魔が来る 6/17:2007/12/03(月) 19:53:56 ID:yQEhV2z3
しかしリーダーの顔からは笑みが消えない。
「だがよォ〜〜〜。俺だってこの辺りを庭のように歩いているんだぜ?
いくらお前がこの町を歩きなれてるからって結局ここでの戦いをホームゲームにしてるのはこの俺様だぜ?
その道を使えば確かに中央街まで真っ直ぐいけるだろうよ…。途中曲がる道もないからなぁ〜。」
ルイズが一瞬振り返ってこっちに向かいながらリーダーがルーンを唱えているのが見えた。
「何?このいやな予感は?私は何か…ミスをしている?」
「その走るスピードなら!こっちの『座標指定』と『呪文詠唱』のほうが圧倒的に速いッ!!『トルネード』ッ!!」
ルイズは遠くから『トルネード』のルーンが聞こえた時に背中がゾクリとする感覚を味わった。
理由は簡単。この逃走経路には大きな欠点があったことに気付いた事で。
目の前にトルネードが立ちふさがったことで自分のミスに気付いたのだ!
「足止めを…しまった!まっすぐ行けば…途中曲がる道がないからこそ!
この道を塞がれたらもう私はこの位置から逃げられないッ!!」
ルイズが壁に杖を向ける。
「『レビテーション』!!」
「グッド!!その瞬間を待ってたんだッ!!お前が避けるために壁を爆破するために!
一瞬横を向いて呪文を唱えるときに無意識に行う『減速』の瞬間をッ!!」
リーダーが走りながら唱えていた次の呪文を開放する。
「くらえッ!『エア・カッター』ッ!!」
放たれたのはまたしても小さな刃。だがその一撃は壁を爆破されたと同時に
ブチッっと音を立ててルイズの右足に当たるッ!!
「ぐッ!……あああッ!!!足がッ!!」
「よし!今の音は右のアキレス腱が切れたなッ!!これでもうお前はちょろちょろ逃げることは
出来ないッ!!やっと追い詰めたぜッ!!」


252 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 19:54:54 ID:Rzczt6FT
『支援』する

253 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 19:54:58 ID:kzfbRbtw
支援!

254 :slave sleep〜使い魔が来る 7/17:2007/12/03(月) 19:55:03 ID:yQEhV2z3
リーダーが自分の血で汚れたナイフをルイズに突きつけようとする。
「いいかげん…死んでおきなッ!!」
「それは無理だわ。」
ルイズが右足を抑えていた手を離し近くの石を掴みとって軽く上方向に投げる。
重力に引っ張られ下に落ち、体勢を崩したルイズの胸の高さまで落ちた時。

「今私は…今までで一番生き延びる事に必死だから。」

ルイズが再びコモン・マジックを唱える。そして当然のように石は爆破するッ!!
「な、なにいいいいいいいいいいいいい!!!!!!」
ドカンッ!!という爆発音と共に爆破の衝撃はリーダー以上にルイズ自身を襲う!!
だがその衝撃でルイズは逃走経路を抜けて竜巻を回避する。
「ゴホッ!!な、なんとしてでもあの場所に…!行きさえすれば…!!」
だが。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………。

「キレ…てんのか…この野郎…。自分をふっ飛ばしてまで…俺に殺されるのがイヤか…?」
リーダーが目の前に立ちふさがる。
(くっ…。やっと…。あの竜巻をよけて…やっとここまで生き延びたのに…もう…これ以上動けない…。
せっかく…一生懸命あがき続けたのに…!!)
「聞いてんだよ…。俺に殺されるのがそんなにイヤかッて…てめーに聞いてんだよ…!!」
「当然よッ!!」
ルイズが力を振り絞ってリーダーを威嚇する。
「あんたなんかに殺されるなんて…貴族としての誇りが傷つくわ…!
そんな目に会うくらいなら…いっそ自分の力で死んだほうがマシよッ!!」
狂人を前にして彼女はそう言ってのけた。
もう自分の舌を噛む力も残ってないはずのその体で。
周りから馬鹿にされながらもそれでも貫き続けた『誇り』のために。
なにより、今自分を必死で探してるであろう『彼』の行動をその喉が切り裂かれるその瞬間まで
信じているからこそ。
「そいつぁ大層な心意気で。その誇りを粉々に崩せば…さぞかし気持ちがいいだろうなぁ〜。」
リーダーがナイフを振りかぶる。

255 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 19:55:11 ID:DdZiJj1f
支援すると思っ(wry

256 :slave sleep〜使い魔が来る 7/17:2007/12/03(月) 19:55:50 ID:yQEhV2z3
「ヒャハハハハハハハハハハハハハ!!!!!さようならだじゃじゃ馬女!!せいぜい俺を楽しませろよォ!!」

来てくれる…!!

リーダーの手が振り下ろされる。

――――――きっと来てくれる…!!!


手にしたナイフが一直線にルイズの首へと向かう。



―――――――――――――アイツは…必ず来てくれる!そう…信じさせてくれる…!!

―――――――――――――――たとえそれがどんなに信じられなくてもそれをやってのけるのが『アイツ』だから!!

ルイズの喉に切っ先が。
切っ先がルイズの喉の皮膚を破る。
このまま声帯や呼吸器が切り裂かれる…リーダーはそう信じて疑わなかったが。

「ウリアアアアアアアアアアア!!!」

切っ先が皮膚を切った瞬間、それとほぼ同じタイミングでリーダーのわき腹に一撃が叩き込まれた。





257 :slave sleep〜使い魔が来る 9/17:2007/12/03(月) 19:56:42 ID:yQEhV2z3
ルイズの目が見開かれる。
見間違えるはずが無いその人物が目の前にいた。
彼女の奮闘はその男がかけつけるまでのコンマ一秒間に間に合ったのだ。
その男の到着はルイズに安堵を起こした。
相手が自分に与えた恐怖は暖かな環境で育った自分には計り知れない物だったのに。
不可能を可能に変えて見せた男が!
優しさと厳しさを合わせ持つ男は駆けつけてくれたからッ!!

「…間に合ったな。」
「ああ、相棒。マジに危なかったようだがセーフみたいだぜ。」

彼が自分を案ずる声が聞こえた。
優しく、暖かい物が心の中に広がった気がした。
「その傷…ずっと戦っていたのか。驚いたな。そしてゾッとしたよ。もしもう少し遅かったら…。
いや、そもそも戦ってくれなかったら…。結局間に合わなかっただろう。
…がんばったなルイズ。本当に…よくやってくれた。」
弱弱しく笑うルイズに彼は微笑み返す。
「あとはオレにまかせてくれ。」
「遅いわよ…。主のピンチにはもっと早くかけつけなさいよね…。ブチャラティ。」



258 :slave sleep〜使い魔が来る 10/17:2007/12/03(月) 19:57:38 ID:yQEhV2z3
「きゅい!やった!間に合ったのね!!」
イルククゥが後ろから追いつく。
「イルククゥ。ルイズを頼んだぜ。コイツはオレがやる。」
「わかったわ!さあ、お嬢さん!一緒に行きましょう!!きゅい!」
「へ?ブチャラティ!?誰なのこの女!!わっ!ちょっと!急に背負わないでよ!」
ブチャラティが起き上がるリーダーに向き合う。
「コイツがベックの親玉か。ルイズの爆発を立て続けに喰らっている割りに立ち上がるとは
ずいぶん頑丈なようだな。」
「クソッ!こんな時に来るなんて!だが従者が一人増えて何だってんだ!何をそいつに期待してるかしらねーが
そいつからは魔力を全く感じない!ただのメイジ殺しだ!そんなのが来たところで何ができ…?」
リーダーがわき腹に違和感を感じる。わき腹にはジッパーが貼られていた。
わき腹に喰らった一撃がそのままジッパーを発現させたのだ。
「な、なんだコレは!?なんでこんなコトができる!?」
ブチャラティが少しだけ出ていたデルフを完全に抜き、全く躊躇した様子を見せず
みねではなく刃のほうで切りかかる。
「フンッ!俺に斬り合いで挑む気か!?」
リーダーがナイフで受けるがブチャラティはそのまま踏み込む。
全身の力をデルフにこめて『体当たり』の要領でリーダーをレンガの壁に弾き飛ばしたッ!!
「おおおおおおおおおおおおおあああああああああああああッ!!!!!!!」
「こ、コイツ…!なんてパワーを…ガアッ!!アアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
ルイズは今この瞬間自分は『とてもツイていた』と思った。
本当に危ないところでブチャラティが間に合ったことを心から本当にツイていたと考えた。
なぜこの局面で自分にツキが回ってきたのか自分でも不思議に思ったほどに。

     ・・・・・・・・・・・・・・
その幸運はルイズだけのものではなかったからだろうか。


259 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 19:59:53 ID:qyWWyEMN
支援だッ!

260 :slave sleep〜使い魔が来る 11/17:2007/12/03(月) 20:00:14 ID:yQEhV2z3
「あ…その壁…!その壁の向こう側にッ!!まさかッ!!きゅい!!」
最初にその何かに気がついたのはイルククゥ。
だがその事に気付いた時にはブチャラティは壁に押し付けたリーダーにさらに大きな一撃を叩き込む。
その衝撃で後ろの壁がぶっ壊れるほどの一撃を。


「いや、その身一つでよくここまで戦い抜いたよ。これほどの健闘、オレは永久にお前を『憶えて』おこう。」
アヌビスの美しく輝く刀身をタバサの細腕でキュルケに向けて振りかぶる。
「タバサ…!!」
だが振りかぶった刀が振るわれる事はなく、

オオオオオオオオン!!!!!

「ぐあああああああああああッ!!!!!!」
「な、なんだぁ!?コイツら…うぐぇッ!!」
ブチャラティが
弾いたリーダーの体がタバサに乗り移ったアヌビスを弾き飛ばす。
「ブチャラティ!?」
キュルケが突然の来訪者に目を見開く。
ブチャラティ、ルイズの両名がそこにいる意外な人物に驚いた。
「おまえ…キュルケか?何をしている?」
「間違いない…キュルケだわ。何でここに「お姉さまッ!!」」
言いかけたルイズの台詞を遮ったのはイルククゥだ。
「やめて!おかっぱさん!!お姉さまが下敷きになってるわ!!このままだとお姉さままで巻き込んじゃう!!」
「お姉…さま?」
最後の一撃でとうとうのびていたリーダーが下敷きにしていたのはキュルケの親友の『タバサ』だ。
「タバサも?ていうかあれ!?アンタお姉さまってタバサが!?」
「あっ。」
イルククゥが口を押さえた。今一瞬明らかにブチャラティがこっちを見て疑いの目を向けてきた。



261 :slave sleep〜使い魔が来る 12/17:2007/12/03(月) 20:01:12 ID:yQEhV2z3
「なんだオマエらはッ!!あれ?てめーらさっきあの店でデル公を買っていった奴じゃあねえか?」
タバサが起き上がった。まずブチャラティが驚いたのはその小柄な体で大の大人一人ぶつけられてピンピンしていた
と言う点。もう一つはブチャラティの記憶の中のタバサはたしかこんな言葉使いをする子ではなかったという点だ。
「タバサ…?」
「ブチャラティ!!気をつけてッ!!」
傷を抑えてキュルケが起き上がっていた。必死な表情でブチャラティに説明する。
「ブチャラティ!これはスタンド攻撃よッ!!タバサはその刀で操られているッ!!」
「何ッ!?」
すぐにタバサに向き直る。アヌビスがタバサの口でそのまま喋り始める。
「そうか。お前やっぱ『スタンド使い』だな?『タバサ』の記憶では『ブチャラティ』と言う名前らしいが。
…うん?タバサの記憶にはコイツのデータがねーのか?ツイてねーな。」
それを聞いたキュルケが思い出す。なぜタバサが知らなかったのか。
「そうよ!タバサはあの決闘に来ていなかったッ!!あの子にはブチャラティがすごいことやってギーシュを
倒したとしか言ってなかったからッ!!」
しかしそれを我関せずといった感じでブチャラティがアヌビスを睨む。
その殺気に一瞬アヌビスが押されるほどだ。
やがてブチャラティが口を開く。
「…いますぐに、タバサを離してもらえるか?」
「それは無理だな。戦いはまだ続いているんだぜッ!!」
ブチャラティとアヌビスが互いに飛ぶ。
「ブチャラティ!!『アヌビス神』の刃に気をつけて!!そいつはすり抜けて任意の対象だけを斬る能力を
持っているわッ!!そしてそいつは一度受けた攻撃は完全に憶えて二度と通用しなくなる!」
ブチャラティがデルフを叩き込む。アヌビスは冷静にそれを受けとめる。
「相棒!ガードはするなッ!!すり抜けると言うことはアヌ公の刃はガードできねぇッ!!何が何でも攻め続けろ!!」
デルフがそう言うや否やブチャラティが連打する。
「ハッ!どうした!?『スタンド』を使わなくていいのか?このまま続けたところでどんどんお前の動きを
憶えていくだけだぜ!?」




262 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 20:01:37 ID:DdZiJj1f
『支援』した!

263 :slave sleep〜使い魔が来る 13/17:2007/12/03(月) 20:01:55 ID:yQEhV2z3
ルイズがイルククゥの背中でギリと歯噛みする。
(どんどん成長するスタンド…。無駄な攻撃をしたら奴に覚えられてしまう…。
ブチャラティはおそらくギリギリまでスタンドを使わない…。おそらくタバサを
傷つけることをためらっているから…。)
「ダメ!お姉さま!やめて!おかっぱさんを傷つけないでッ!!」
イルククゥが動揺してタバサに声を投げかけるがそれは届かない。
その一方、ブチャラティが考えているのは当然タバサを助ける方法。
そのためにアヌビス神を分析することに集中していた。
「キュルケッ!!近くに本体らしい奴は見てないか?」
「ダメよ!町中探したけどそんな感じの奴はどこにもいないッ!!」
(だがこいつの動きは近距離パワー型の物だ。自動追跡型や遠隔操作型にしてはあまりにも動きが複雑すぎる。
まるでタバサ自身が本体のような…。)
ブチャラティはそこまで考えて意見を出す。
(まさか…。いやそうとしか考えられない。)
ブチャラティが一歩離れてアヌビスに言う。
「わかったぜおまえの正体。なるほどな、これではキュルケもわからないわけだ…。
いきなりこういう変則的なスタンドに出会ってしまってはな。」
「え?」
「キュルケ。こいつの本体は探しても無駄だ。こいつに本体はない。こいつは本体が死んでもなお残り続ける
『一人歩き』型のスタンドだッ!!」
「正解だ。こうも簡単に答えにたどりつくとは驚きだぜ。だがわかってどうする?
結局コイツを開放するにはコイツを傷つけるほかないと言うのに。」
「ブチャラティ…!!」
キュルケが怪我を押して立ち上がろうとする。


264 :slave sleep〜使い魔が来る 14/17:2007/12/03(月) 20:02:30 ID:yQEhV2z3
だがブチャラティはキュルケを止めた。
「動くな、キュルケ。タバサは必ず助ける。」
そういうブチャラティの目に迷いはない。
デルフを上段に構えてアヌビスに振り落とす。
「向かってくるかッ!とうとうコイツを傷つけてまで戦う決心がついたか!」
「いいや!そんな必要はない!」
振り落とされたデルフの刃をアヌビスの刃が受け止めた。その瞬間をブチャラティは見逃さなかった。
「今だッ!!『スティッキィ・フィンガース』ッ!!」
S・フィンガースの拳はタバサの両手首に当たる。タバサのしなやかな両手にジッパーが発現する。
そのジッパーが開いてタバサはアヌビスを『自らの手ごと』落とした。
「何ッ!?こ、この能力は!?しまった!!」
「ウリァッ!!」
ブチャラティはそのまま床に落ちたアヌビス神のみねを思いっきり蹴り飛ばす。
手からアヌビス神が離れて洗脳が解けたタバサはそのままガクンと力尽きる。
「お姉さまッ!!」
イルククゥがタバサを即座に抱えた。ルイズが背中からタバサの様子を見る。
「大丈夫。気を失ってるだけよ。手当てすれば直るわ。」
キュルケがタバサの無事を確認してブチャラティに言う。
「いったいどうして…?」
「一人歩きするスタンドと言うことはタバサを操っているのはあの刀そのものということになる。
だからあの刀を手から離してしまえば洗脳は解けるだろう。だからジッパーでタバサの手ごと落とせば
ほとんど傷つける必要も無くタバサを助けられると言うことだ。」
つまるところブチャラティは自分が苦労したタバサの開放を簡単にやってのけてしまったのだ。
素早く、それでいて華麗で全く無駄なく。
そんなブチャラティを見て彼女は、キュルケは思った。
『なんてカッコいいのかしら…!』と。
「ああ〜。ブチャラティ。ねえ、私からひとつお願いがあるんだけど…。私、あなたのことを『ダーリン』と呼ばせて
もらってもいいかしら?」
「無理。」



265 :slave sleep〜使い魔が来る 15/17:2007/12/03(月) 20:03:33 ID:yQEhV2z3
「もーう、ダーリンのけちんぼー。」
「断っても結局言うのか…。」
「ちょっと!キュルケ!何勝手なこと言ってんの!?」
ブチャラティがふと思い出し、蹴り飛ばしたアヌビス神を見る。
「そうだ…。キュルケ、コイツを封じる方法はないのか?今回はなんとか引き離すことに成功したが、
このまままた誰かに持たせたらやっかいだぞ。」
ブチャラティの言葉にキュルケがハッとした。
しかしその時あることを思い出す。
「でも待って。考えても見ればアヌビスを最初に持ったのは私だけど、なんで私は操られなかったのかしら?
タバサと取り合いになったときもいきなりタバサが洗脳されたわけではなかったみたいだけど…。」
「その辺りに何か奴を完全に封じるヒントがあるんじゃあないか?もう少し思い出せないか?」
キュルケがうーん、うーん、と唸っているうちにルイズが何かに気付いた。
「そういえば…この刀さっき武器屋に寄って見たときは抜き身になってなかったと思うけど、
コレの鞘はどうしたの?」
「それだわ!!」
キュルケが思い出したように大声を出し、ルイズが驚いてイルククゥの背中からずり落ちる。
「イタッ!ちょっと!どうしたのよ急に!!」
「鞘よ!!タバサが操られたのは私達が揉め合った時に鞘が抜けてからだったわ!!もしかしたら
あの鞘があれば完全に動きを封じることができるかも!!」
心配そうな顔で背中に引き上げるイルククゥの背にルイズが戻る。
その時、肝心なことを忘れてたように指摘した。
「で、鞘は?」
「ああ、武器屋に忘れてきたわ…。でもそんなに遠くは無いから今から取りにいけば…。」
そう言いかけたキュルケの顔が青ざめる。
指差す先にいたのは…。

「ゲホッ!…ヒヒヒ…ヒャハハハハハハ…!!」


266 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 20:04:04 ID:kzfbRbtw
支援するぞっ!

267 :slave sleep〜使い魔が来る 16/17:2007/12/03(月) 20:04:36 ID:yQEhV2z3
真っ赤に充血した眼球、爆発でボサボサになった髪。
表情だけでその男の狂気は伝わってきた。
リーダーが意識を取り戻していた。
「コイツ…!あれだけの攻撃をくらってまだ…?」
リーダーが這いつくばって喋る。
「よくも…!てめえら…ここまでコケにしやがって…!!ヒヒハハハハ…!
全員皆殺しにしてやる…!!五体をバラバラに引き裂いてやる…!
なあ、わかってんだろォ?『妖刀』さんよォ!?」
リーダーが手にしようとしているのは…アヌビス神!!
「まずいッ!!相棒!!コイツアヌ公を使うつもりだぜッ!!」
「ヒャハハハ…!いい判断だぜ妖刀…!!一瞬でオレの殺人衝動と殺しの技術に気付くとは…!
だからさっき操っていた女の『治癒』でやられる前にオレを治したんだろ!?
気が利くぜェ!ここまですばらしい得物は始めて見た!!」
ブチャラティが止めるまもなくリーダーがアヌビスを手に取ったッ!!

「アッハッハッハッハッハッハッハ!!!!これでてめえら皆殺しだッ!!
桃色のチビも…!おかっぱ頭も…!みんな、みんなブッ殺してやる!!
妖刀!!テメエにオレの体を貸してやるッ!!どうかこのムカつく野郎どもを
殺させてくれェ!!!ハハハハハハハハハハ!!!ヒャハハハハハハハハハハハ!!!!!!…!」

瞬間、リーダーが完全に沈黙した。そして口がまた開かれる…。

「なんてサイコ野郎だよ…。コイツらを殺るために自分の体すら投げ打つとはな!
そして!なんてすばらしい!『タバサ』の体も動きやすかったがここまで刃物で斬ることに特化していて、
なおかつ魅力的なくらい頑丈なボディ!!これほどオレに向いたボディも珍しいッ!!」
ブチャラティの顔に汗が浮かぶ。
「なんて事だ…!復活しやがった!!」




268 :slave sleep〜使い魔が来る 17/17:2007/12/03(月) 20:05:42 ID:yQEhV2z3
「もはや運命じみた物すら感じる…!!なんだよコイツの記憶…!!
本名”鮮血”の『キャラバン・サライ』だと!?信じられねえ!!
コイツ!500年以上前に妖刀になった時に捨てた俺の名を持ってやがるとは!!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・・・・・!!!!!!!!!

ブチャラティは胃の中に入れられた鉛を押し込むように唾をのみ、口を開く。
「キュルケ!!タバサを連れて今すぐ安全な場所に避難しろ!!」
「そんな!!一人は無茶よ!!私も!!」
「そいつはやめときな。オレの能力はオレ自身がおまえの情報を覚えているんだ。
一度闘った相手はたとえ持ち主が変わったとしても絶対に、
絶対に絶対に絶っ…
                       〜〜〜対に負けなああああああああああああィィィ!!」
ブチャラティが再び構える。
「『スティッキィ・フィンガース』ッ!!」
「ちなみに断っておくがッ!!さっきの開放はもう通用しないぜ!!その手はもう覚えたからな…。
スタンド+魔法の妙技、味わってもらおう!!」
「そうか。こちらは片付ける相手がひとまとまりになって大助かりだがな…。」

「いくぜッ!!このキャラバン・サライ容赦せんッ!!」

対峙するブチャラティとアヌビス。
戦いは激化する。
いよいよ昼間の町の恐怖に終止符は打たれる。

               リタイヤ
『雪風』のタバサ      再起不能       

To Be Contined →






269 :slave sleep〜使い魔が来る 17/17:2007/12/03(月) 20:07:02 ID:yQEhV2z3
投下終了…。
この次終わったらやっと本筋復帰とかバカすぎだろ…。

もう流石に懲りました。次回、とうとう決着なので
よろしければ見てください。

270 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 20:10:55 ID:kzfbRbtw
GJそして乙でした!
ここでまさかのキャラバン・サライ!!
次回も楽しみです!

271 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 20:12:34 ID:qyWWyEMN
GJです
これからの展開にwktk

272 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 20:16:14 ID:iqfigHcL
GJだけど○人以上そろったら〜ってのはなあ

273 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 20:23:42 ID:yQEhV2z3
すいません。一回やってみたくって…。

274 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 21:36:47 ID:uZDlzEM7
GJ!
ジッパーはマジ便利。
>>273
それじゃあ仕方ないな

275 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 22:20:11 ID:cfrfBRaY
>>268
タバサが「再起不能」ってオカシクネ?

「再起可能」の間違いなんでしょ、でしょ?

276 :始球走 ◆k7GDmgD5wQ :2007/12/03(月) 23:46:37 ID:pFkavzry
GJ!
そして50分から投下したいのですが、あぁ〜イイっすかねェェェ〜〜〜
                                             と。

277 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 23:50:20 ID:6q3Ul/sf
もう50分ではないか。行け!

278 :Start Ball Run 1/4:2007/12/03(月) 23:50:41 ID:pFkavzry
長く手入れされていないであろう羽扉の蝶番がぎいぃ、と軋んだ音を立てた。
武器屋の中は薄暗く、外の明かりなど少しも奥まで届かない。
その暗がりに、ぽつんとランプの明かりが灯るだけで、鬱蒼とした雰囲気が醸されていた。
ランプが少しだけ、揺れては動く。どうやら武器屋の店主がいるらしい。脚立らしき足台に上がってランプの油を注ぎ足すと、店主はまた店の奥へ引っ込んでいった。
ルイズが入ろうかどうしようか、少しだけ迷ったように足を止める。後ろの二人は先頭が動かないものだから、店の入り口で同じように突っ立ったままであった。
「入んねえのか?」
ジャイロが、ルイズに促すように聞く。
「い、いま入ろうとしてたんじゃないの」
意を決したようにルイズが中に踏み入る。ランプの明かりで店の奥が見えるところまで来たとき、店主がパイプを咥えながら、奥から出てきたところだった。
じろり、と店主はルイズと、才人とその後ろにいたジャイロを一瞥する。一通り顔を眺め回すと、ルイズの胸にあった五芒星の紋章を見据えた。
「こりゃ珍しい。今日はなんのガサ入れでやしょう? 生憎うちは衛士の兵隊さん方にも贔屓にさせてもらってますんで、怪しいこたぁ何一つしちゃいませんがね」
どうやら店主は、ルイズが捜査か何かで来た貴族だと思ったらしい。
ルイズは眉間に小さく眉を寄せると、ふぅ、と少しだけ呆れたように息を吐いたあと。
「客よ。買い物にきたの」
と言った。すると店主は目を大きくひん剥くとこう言った。
「こりゃあたまげましたぜ。貴族様がこんなところでお買い物になるたぁ、いや、本当に珍しい」
剣や槍、弓は兵隊が使うものというのが、この世界の定理である。杖を振って魔法をひけらかす貴族が持つには、剣は重いし雑把な無用の長物のはずだからだ。
しかも必要になるときは、屋敷や領地の兵隊分をそっくり買い求める。だからますますこんな街中の武器屋に、わざわざ買い物にくる貴族は珍しかった。
「別にわたしが使うわけじゃないわ。使い魔が使うの」
そう言って、ルイズが視線を動かす。店主もつられて視線を向けると、なるほど、いかにも剣を使いそうな男が一人。
「かしこまりました。それでは貴族様。少々見繕って良い品物をご用意いたしますので、暫くお待ちのほどを……」
そう言って、店主は揉み手のまま奥へと引っ込んでいく。
「なんだ? あのオッサン奥に行っちまったぞ?」
店の中に乱雑に並べられた剥き身の剣を籠から取り出して物色していた才人が、店主の行動を見て不思議がる。
「ここにあるヤツよりいいモンを取りに行ったんだろ。高価な品物は軒先に並べたりしねーもんだ」
「そっか……。まあ物騒なとこだもんな」
ショーウィンドウに高価な時計やブランド品を惜しげもなく飾って展示できるのが当たり前だと思っていた才人には、この世界の防犯意識が何処となくズレて感じられた。
「さて……。それじゃどれを見せてやろうか……?」
店主は腕組みしながら、貴族に売りつける武器を選ぶ。
生半可なものではいけない。なまくらを売りつけてもいいが、バレたらあとで首を飛ばされるかもしれない。ここはやはり、店一番の品物を買ってもらおう。なにせどんな兵士も高すぎて買ってくれないんだから、こんなときでなければ売れやしない。
やがて、店の奥から出てきた主人が持ってきたのは、長く、それでいて肉厚に鍛え上げられた両刃の大剣であった。宝石が埋め込まれ、見るだけでも吸い込まれるほどの美しさがある。さらに鞘と柄には、金で装飾まで施されている。
「これなど、いかがでやしょう? ゲルマニアの高名な錬金魔術師シュペー卿が鍛えた一品でございましてね。長さは1.5メイルの大業物でさあ。魔法がかかっておりますから刃こぼれもせず、固い鉄さえ一刀に切り離しますぜ。まあそうそう世に出るもんじゃございませんな」
自信たっぷりに、店主は剣を薦める。かなりの業物なのだろう。
「す……、すげえ。この剣すげえ!」
才人は一目見るなり気に入ってしまった。アクセサリーに夢中になる女の気持ちがわかった気がした。
「これほどの一品なら、貴族様のお連れ様にもお似合いでしょうなあ」
そう言って、店主は持ってみろとばかりに、才人……の後ろにいるジャイロに、剣を差し出す。
「え?」
「は?」
「ニョホ」
この時やっと、才人はこの剣が自分のために出されたものではないことに、気がついたのであった。

279 :Start Ball Run 2/4:2007/12/03(月) 23:52:24 ID:pFkavzry
「あのね……。剣を使うのはこっちなの。こっち」
ルイズが、才人の頭を指差して言う。店主はなぜかがっかりしたように眉を八の字に曲げると、え〜こっちなのぉ〜と言いたげに才人を見た。
「……いいんだ。……どうせ、どうせ俺なんて……」
影薄いですよ。いつもジャイロの前の前座扱いですよ。空気ですよ。キン○マンの前のテ○ーマンですよ。
武器屋の薄暗がりに隠れるようにしゃがみ、のの字を指先でこねるように描いていた。
「あ〜……。悪りィんだがよ。オレはな、剣は使わねェんだ。それよりもよ、そこにあるソレ、譲ってほしいんだがよ」
ジャイロは店主に突き出された剣を押し戻すと、店の隅っこに置かれていた、錆の浮いた古い金床を指差した。
「……あんた、うちを素材屋か鉱物商と勘違いしちゃいませんかい? 武器屋に来て武器も買わずに鉄くずよこせってなぁねえでしょう」
気分を害したように、店主が言う。
「ちょっと、武器ならちゃんと買うわよ。その鉄塊ももらうわ。……で? それいくらなの?」
ルイズが店主に、立派な造りの大剣の価値を尋ねた。それにまた機嫌を良くした店主は、揉み手をしながら。
「おやすかあありませんな。エキュー金貨で二千で。新金貨なら三千でございます。へえ。……あ、鉄くずの分ならサービスさせていただきますが」
そう言われて、この世界の価値観がどれほどのものなのかわからない才人は、のの字を描きながら聞いているだけだったが、それを聞いたルイズが、たかっ、と呟く。
「な……、なにそれ? ちょっと、高すぎるわよ!? 庭付きの屋敷が買えるくらいじゃないの!」
ルイズが慌てる。そんなに高い剣があるとは、夢にも思っていなかったようだ。
「こいつは紛れも無く名剣ですぜ。それほどの価値があると思っていただきませんと」
いかがでしょう、と店主がまた尋ねる。
「なあ……。オメー、一体いくら持ってんだ?」
ジャイロが小声で、ルイズに持ち金を聞く。
「あんな高い剣買えないわよ! 新金貨で百しか持ってきてないのに!」
なぜジャイロが小声で尋ねたのか理解できないルイズは、大声で手持ちの額をぶちまける。少々足りないくらいなら、上手いこと交渉してみようと思ったのにね。……まあ、百ではどの道無理だろうが。
その大声は店主の耳にも入り、店主はそそくさと大剣をしまった。
「まともな大剣なら、いくら安くても相場は二百でさあ。……ご用意できましたら、またお越しくださいよ」
「なんだよ……。買えないんだ」
のの字をまだ描いている才人が、部屋の暗がりから、がっかりしたような声をあげる。
「しかたないじゃない。買えるのにしましょ。こんなにあるんだし」
「貴族なんだろー……。貧乏だなー……」
「あ・の・ね! あんたと! こいつの! 治療代いくらかかったと思ってんのよ!」
そうなのだ。ギーシュとの決闘で負った傷を治した秘薬やら魔法の支払いがあり、ルイズのお小遣いは大分無くなっていたのだ。
「しゅ、しゅいましぇぇん……」
暗い部屋の片隅で、体育座りになって体を丸める才人であった。
「へっ! ガキがおもちゃねだるみてえに剣欲しがって、いい年こいた大人が鉄くず欲しがるたあ笑わせやがる!」
突然、暗い武器屋のどこからか、威勢よく悪態を吐く声が聞こえてきた。店主は、その声に苦い顔をする。
「おまけに、欲しがる剣は宝石いっぱいくっついたキンキラキンときたもんだ! どこのパーティで振り回すってんだ!?」
「おい! やめねえか!」
店主が大声で怒鳴るが、声はますます声を荒げる。
「うるせえ! 大体小僧! おめえの貧弱な体で剣なんか振り回せるか! おとといきやがれってんだ!」
「なんだと!」
いきなり罵詈雑言並べられて頭にきた才人が、声のする方へ向かう。しかし、そこには誰もいない。
「あ、あれ? ……おかしいな」
「どこに目ぇつけてやがる!」
自分の真下からいきなり声がしたので、才人はびっくりして後ろに下がる。そこにジャイロが近づき、ひょいと一本の剣を掴んで持ち上げた。形と拵えは立派な大剣だが、ずいぶんと古い剣なのだろう。いたるところに赤錆が浮かんでいる。

280 :Start Ball Run 3/4:2007/12/03(月) 23:53:51 ID:pFkavzry
「よさねえかデル公! こちらはお客様だぞ!」
「へっ! 何がお客様だ! ものの価値も知らねえ貴族の娘っ子と貧弱な小僧! それと変なヤツの集まりじゃねえか!」
「ニョホホ。こいつは……」
ジャイロがおかしそうに笑う。
「け、剣が喋ってる!?」
才人もびっくりする。そしてルイズは、やや困惑したような顔で。
「それって……、インテリジェンスソード?」
「へ、へえ。さようです貴族様。どこの魔法使いが造ったんでしょうねえ。意思を持ち、喋る剣なんて。いや、こいつは喚くわ五月蝿いわケンカ売るわ馬鹿にするわで、買い手もつかずほとほと困っておりまして……」
店主が愛想笑いでそう説明すると、剣は再び騒ぎ出した。
「馬鹿野郎ふざけんじゃねえや! こちとらつまんねえ奴に使われるなんざ願い下げだ!」
「いい加減にしやがれ! 今すぐ黙らねえと明日の朝には溶かして鉄くずにしてやるぞ!」
剣と店主がいがみ合う。やれるもんならやってみやがれ。おう上等だやってやらあとお互いに荒れた声を上げる。そこに。
「なあルイズ。これ買おうぜ」
才人が、そう言ってきた。
「え〜。こんなの買うの」
「いいじゃん。喋る剣なんて、面白いし。なあオッサン、この剣いくら?」
ルイズとしては、汚くて古い剣なので気乗りはしなかったが、その剣なら厄介払いで百で結構でさあ。ついでに鞘と鉄くずもお付けしますんで、と言われてしまい、ほかに買える剣も無かったから、この剣を買うことに決まった。
剣を買うための新金貨百枚、しっかりと勘定すると、店主はそっけなく毎度あり、と言った。
「なあジャイロ、その剣くれよ」
才人がジャイロから剣を渡されると、その剣をまじまじと眺めた。
「なあ、お前」
「ちがわ。ちゃんと名前がある。おりゃあデルフリンガーさまよ」
「そっか。俺は才人。平賀才人。よろしくな、デルフリンガー」
そう言われて、剣はしばらく黙った。まるで才人を観察するかのように。
「おでれーた。見くびってた。……さっきのヤロウは心得はあるようだったが、おめーには……無ぇな。……けど、そっか。おめ、使い手か!」
何故か嬉しそうに剣は声を上げた。
「使い手?」
「自分の実力もわかんねーのか。まあいい。ま、これからよろしく頼むぜ相棒!」
「ああ。こっちこそよろしくな」
「ついでによろしくな! 貴族の娘っ子! 相棒の相棒!」
「む、娘っ子……」
その言い方に気分を害したルイズが、ぴくぴくと瞼を痙攣させた。
「相棒の相棒だぁ?」
ジャイロも、なんで自分がそう言われたのかよくわからず聞き返す。
「おうよ! 俺を握るのが俺さまの相棒! おめーはそのまた相棒よ! よろしくな!」
こんな調子で、剣は武器屋を出るまでも、出てからも、暫く一振りで喚きまくっていた。
やがてその騒々しさが途絶え、武器屋の店主は一息つくと、また羽扉が開く音が聞こえた。

281 :Start Ball Run 4/4:2007/12/03(月) 23:55:02 ID:pFkavzry
以下の証言は、トリステイン城下を収める衛士を勤めるA氏から聴取したものである。

「――あの日、俺はまた折れてしまった剣を仕立て直しに、あの武器屋に向かったんだ。
いい加減、あの武器屋で三回買った剣ばかり折れるんで頭にきてたんだな。
とにかく一言文句を言ってやろうと思っていたんだ。まあ、随分腹を立てていたわけだ。大人げなくな。
そうしたら、……暗いんだ。店の雰囲気が、じゃない。
あの愛想笑いが気味悪い店主が、客が来たのにずっと後ろを向いて座っていやがるんだ。
口からはなにやら呪詛のようなものを吐きながら俯いて、俺は新手の呪いでも受けちまったのかと思ったぜ。
まあ、そんなことずっとやっててもらちがあかない。俺は店の親父に言ったんだ。
『お前んとこの剣がまた折れたぞ。これで三度目だ。どうしてくれる』ってな……。そしたらあの親父いきなり、
『うるせえええ! 今日はもう店じまいなんだよおおお! なに勝手に入ってきてんだこの○○○○がァーーー!!』
って喚きだしてな。椅子は投げるわパイプは投げるわ売りものの剣は投げるわ、大騒ぎさ。
俺は命からがら斧や槍をかわして外に逃げ出したんだが……運が悪いことに、ランプに投げた斧が当たっちまってな……。
古い店だったからな……。あっという間だったぜ……。
親父か? 焼け跡からは出てこなかったって言ってたからなあ……。
骨まで燃え尽きちまったのか……。それとも、うまいこと逃げ出したのか……。今となっては――、分からずじまいだがな」

                 ――以上、某月某日に起こった、ブンドルネ街火災の目撃証言より、抜粋――

282 :始球走 ◆k7GDmgD5wQ :2007/12/03(月) 23:56:37 ID:pFkavzry
以上投下したズラ。
さーて次回そろそろシエスタさん死闘編にいってみよー。

283 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 23:59:13 ID:5PdeIlSK
GJ
親父にやばいのがInしちまったのか?


284 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 00:11:43 ID:ok0Vm8qs
キュルケに例の剣を安く買い取られたからじゃね

285 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 00:23:07 ID:KwjXq7NW
きっとデル公が買われて行っちゃったからだよ。

286 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 12:05:11 ID:mD0Nkaks
また時が飛んだか・・・
ボス、頑張りすぎです。
始球走サイト、デルフの登場で出番増えるのかな・・・むしろ減りそうだがwwwwww

287 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/12/04(火) 12:58:08 ID:20gZsXiG
時が飛んだのなら投下したという『結果』を残さなければ。
というわけで投下します。
あ、あと今回は導入部分で、31.5話です

288 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/12/04(火) 13:00:30 ID:20gZsXiG
interval 31.5

「アニエス隊長」
 トリステインの王宮の廊下を歩いていたアニエスはその声に足を止めて振り向いた。
「どうした?」
 声の主はアニエスが隊長を務める銃士隊の隊員の女だった。
彼女でなくとも、女王の身辺警護を主な任務とする銃士隊の隊員は全員が女性という異例の形を取っている。
「あ、あの、治安強化の件でトリスタニアの警邏隊との連携や増員の書類なんですけど・・・・・・まだ隊長のサインをいただいていなくて・・・・・・」
 隊員は抱きかかえるようにして書類を持っていた。アニエスはそれを見てすまなそうに言う。
「ああ、すまない。迷惑をかけてしまったな」
「い、いえいえ!だ、大丈夫ですから!」
 緊張した様子の隊員は必至に手を振って問題ないのをアピールしている。アニエスもその必至さにたじろぎながら答えた。
「そ、そうか・・・・・・そうだな」
 呟くと隊員の腕の中から書類を引き抜いてしまった。いきなりの行為に目を見開いてしまう隊員。
「私が代わりに行っておこう。トリスタニアだったな?」
「そそそそんなっ!隊長のお手を患わせることではありません!それに隊長もお忙しいですし・・・・・・」
 しかしアニエスは涼しい顔で笑い、
「なに、任務でこれからトリスタニアの方へ行かなくてはならないんでな。ついでに持っていくだけだよ。君もまだ仕事には慣れないだろう?有事に動けるようたまには休んでおくと良い」
 優しく肩を叩いたのだ。
「引継はミシェルに任せてあるから、何かあったら頼れ」
そして靴を鳴らして颯爽と去っていく。その後ろ姿を見つめながら、隊員はほぅ、とため息を付いた。そこへ影から様子を見守っていた他の隊員が二人、駆け付ける。
「ちょっとちょっとぉ〜〜!隊長に優しい言葉かけてもらっていいな〜〜ッ!」
「ああ・・・・・・もうダメ・・・ステキすぎて平静を保ってられないっ!もう私この服洗わないから・・・・・・」
「いっそのこと『固定化』をかけて貰うというのはどうだろうか?」
 きゃいきゃいと騒ぎ出す三人。
「ほふぅ・・・あの輝く金髪に澄み切った青い目・・・・・・凛々しい目と顔立ち・・・・・」
「あの声で号令かけられただけで痺れるよねー。立ち居振る舞いもいちいちカッコイイし」
「君たち、隊長のよさはそのストイックな性格にもあることを忘れてはいけないな」
「そのうち誰かアタックするかな?」
「えー?でも何だかそう言う空気にさせてくれないよねみんな。なんて言うのかなあ・・・暗黙の了解?」
「アニエス隊長はみんなのもの、か?」
「そうそう!」
「そう言えばこの前の帽子男!アニエス隊長にあんなに構われてるのにすっごいイヤそうな顔してんの!許せない!」
「噂ではアニエス隊長を振ったとか・・・」
「いやいや。あたしが聞いた話ではさんざん弄んでボロ雑巾のように捨てたと・・・」
「や〜ん、隊長かわいそー。やっぱりみんなで慰めてあげようよ〜」
「身体で?」
「モチのロンで!」
「騒いどらんで仕事しろ」

289 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/12/04(火) 13:02:52 ID:20gZsXiG
 三人がきゃいきゃいと騒いでいたところに野太い声が割って入った。三人がその声の方を振り向くと、マンティコア隊の隊長がぬおおっ、と立っていた。
「ド・ゼッサール様!いや、もちろんこれからいくところです」
「あ、おい!ちょっと待て!」
 逃げるように立ち去ろうとする三人を呼び止めて、少し詰まったように喋りだした。
「あー・・・その、だな・・・アニエスはどこにいるかわからんか?」
「隊長・・・・・・ですか?でしたら先ほどトリスタニアに出向かれましたが」
「む・・・そうか。ならば副長はどうした?」
「ミシェル副長なら高等法院長に呼ばれて今はいないようですが」
「そ、そうか・・・・・・仕方ない、行っていいぞ」
 許しが出た途端に三人は走り去っていった。「そう言えばミシェル隊長もいいよねー」と聞こえたがよくわからない事にした。
「女三人寄れば姦しいと言うが・・・・・・」
 ゼッサールは首にかいた汗を拭う。どうにも今の若い娘と話すのは難しい。
「ジェネレーションギャップを感じるとは俺も年をとったかな・・・・・・」
「何を言っている?」
 いきなり後から声をかけられたが、ゼッサールは驚かない。誰の声かは解りきっていたからだ。
「もう練兵はすんだのか?」
「我がヒポグリフ隊は集中力も世界一ィィィィッ!密度が違うわッ!」
 ヒポグリフ隊の隊長が手を上げて答える。相変わらずのテンションだ。
「でもお前、この前お前のところの副長と銃士隊の娘が楽しげに歩いているのを見たが、女にかまけていて良いのか?」
「それを言うならお前の所のやつだって裏で密会してたって言うぞ」
 二人は顔を見合わせて苦笑した。ゼッサールがため息をつくと、隊長がその肩を叩く。
「ま、若い奴らに任せておけばよかろう、そういうのはな」
 わっははは、と笑いながら歩き去っていく旧友の背を見つめながら、ゼッサールは先ほどから気になっていたことを心の中で反芻する。
(しかし、高等法院長が?確か大の平民嫌いだったと思うが・・・・・・)

290 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 13:05:09 ID:v6csrGGq
支援

291 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/12/04(火) 13:05:16 ID:20gZsXiG

 高等法院長執務室。
 普段は法の番人の最高位が机に向かっている場所だが、今日その場所には二人の人間がいた。
 窓の外を眺めながら後ろ手に腕を組む貫禄のある男が一人。
 そして、その男に向けて跪き、傅く騎士が一人。
 男は窓枠をなぞりながら、騎士に質問した。
「それで、銃士隊での動きの方はいかがしておる?」
「は、銃士隊自体には動きはありませんが、アニエス隊長が女王陛下直々に任務を貰ったそうです」
 顔を上げて答えた騎士は、驚くことに女だった。紫がかったショートカットに、気の強そうな眼差しはどこかアニエスを連想させる。その服装もアニエスのものと大差はない。
 それもそのはず。この女騎士は銃士隊の副長であるのだから。
「ふむ・・・・・・で、その内容は?」
「それは・・・・・・その・・・・・・」
 男は女騎士が言い淀むと、体を室内に向けて歩み寄ってきた。
「ミシェル。君が言いにくいのも解る。自分の隊の極秘事項だ。だが君がその銃士隊に入ったのは何のためだったかを思い出してみなさい」
 その言葉にミシェルと呼ばれた女騎士は拳を握りしめた。
「君の父上が王宮の何者かによって汚職の濡れ衣を着せられ、貴族の地位を剥奪された。追いつめられた父上は自害し、母上も・・・・・・」
「リッシュモン様・・・・・・わたしは・・・・・・」
「さぞ辛かったであろうなあ。だから君はこうしてこの王宮に、平民として潜り込んだのであろう?お父上とは親しく付き合っておったから、そのような悪事をするような人物でないことは私がよくわかっておる。
そして、その仇をとるためには、君の持つ情報と私の力を使えばより早くたどり着けるはずだ。私とてできるものなら仇をとりたいのだ」
愛を説く僧のように、優しく諭すリッシュモンに、ミシェルは心の底から感激し、感謝した。そして口を開く。
「アニエス隊長は首都トリスタニアでの昨今の治安悪化とある『組織』の関連性の調査に向かったとのことです」
「なんと、まことか!」
 リッシュモンはふむ、とか、ううむとか呟きながら顎に手をやる。
「いや、実はだな、最近怪しいと踏んでいた大臣とその『組織』との間に繋がりがあるという情報を掴んだのだ」
「それではッ・・・!」
「待て待て、焦ってはいかん。あくまで情報だ。ここは隊長殿に調査を進めてもらい、しっかりとした証拠を掴んでもらえばいい」
 やおら立ち上がったミシェルをリッシュモンは静かに諫める。たとえ初対面の相手でも、疑うことなく信じてしまうであろう優しい微笑みを浮かべてミシェルの肩を叩いた。
「我々の仇までもう少しだ。これからも銃士隊や魔法衛士隊の動向は逐一知らせてくれ」
「はい。王宮での事情に精通したリッシュモン様のお力のおかげです」
「うむ。私も力を貸さぬ訳にはいかぬからな。しかしこんな孝行娘を持って、天国のお二人もさぞ喜んでおることだろう」
 ミシェルは最敬礼を取り、リッシュモンの執務室を後にした。
「――――天国、か」
 後に残ったリッシュモンは懐の杖を一振りした。机の上の羊皮紙が一枚と羽ペンがふわりと手元に飛んできた。そこに何事かを走り書きをすると、鳥籠の中のフクロウにくわえさせて窓から放した。
 その軌跡を追うでもなく、リッシュモンは椅子にどっかと腰を落とす。背もたれに体重をかけて天上を仰ぎ見た。
「いくら払えば閻魔は天国に連れて行ってくれるかな・・・・・・」
 そこに人がいれば、リッシュモンのその笑みに思わず背筋を冷やしたことだろう。
天を仰ぐその顔には、先ほどまでの暖かい笑みなどそこにはなく、ドス黒い闇に彩られた笑みが張り付いていた――――

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292 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/12/04(火) 13:06:59 ID:20gZsXiG
以上投下完了!
今回はこれだけ。次回はそこそこ長いかと・・・
銃士隊は平時は女子校のノリで、アニエスはもてると思うんだ、うん。


293 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 15:18:11 ID:IeioyK/Q
GJ!
リッシュモン吐き気を催す邪悪

294 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 16:47:26 ID:Pd37NJtp
ふへへ
SBR14巻と岸辺露伴は動かない読んできたぜ

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