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【ジョジョ】ゼロの奇妙な使い魔【召喚73人目】

1 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 03:10:23 ID:A0QOi9PN
携帯でご覧の方は携帯ビューアのorz もしくは携帯用2chブラウザiMona をご利用ください
【orz】http://orz.2ch.io/top.html
【iMona】http://imona.net/
     _      ここは「ゼロの使い魔」と「ジョジョの奇妙な冒険」のクロスSSスレよ。
    〃 ` ヽ     他にも避難所にしか掲載されてないSSとかもあるから一度見てみなさい 
    l lf小从} l /    投下中は空気読んで支援しなさいよ 荒らしはスルーだかんね
   ノハ{*゚ヮ゚ノハ/     職人さんは荒らし防止にトリップを付けてよね
  ((/} )犬({つ'      次スレは900か950を踏んだ人が立てること
   / '"/_jl〉` j      480KBを超えた場合も立てるのよ。 わかった?
   ヽ_/ィヘ_)〜′

【ジョジョ】ゼロの奇妙な使い魔【召喚72人目】
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1194821444/l50

●まとめサイト                               ,〜'´  ̄ヽ
http://www22.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1.html         ミハ^^ヽヽ(   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
●避難所.                           ____. -' ヽル::::д)ζ <批判は避難所だ!君の意見を聞こうッ!
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9292/     =='、 ̄ニ|::... . . . . ...::::: :: ::〉:::.:ヽ     |_________________
●ジョジョの奇妙なAA集               ' ´   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`!:::::::::::.. :i
ttp://jojoaa.web.fc2.com/                         `y::::::. ::ト、
●ジョジョスレUPローダ                            〉::::::::. .::`ヽ
ttp://vblave.hp.infoseek.co.jp/                        ハ:::::::: ..:λ:i
●アニメAA保管庫 ゼロの使い魔ページ                /:::::::::: .:/::::i´
ttp://aa.tamanegi.org/anime/zero-tsukaima/
*******************************************************
*スレ運営について意見のある方は運営議論スレへどうぞ    . *
*http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9292/1184936505/ *
*******************************************************


2 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 03:11:14 ID:A0QOi9PN
第一部+第二部
ジョナサン 卿 ブラフォード シュトロハイム シーザー スケコマシーザー
究極生命体カーズ様 ワムウ様 スト様 石仮面+ブルりん+吸血馬

第三部
承太郎 法皇花京院 一巡花京院+平賀才人 メロン花京院
ジョセフ アブドゥル ポルナレフ イギー 
DIO様 ンドゥール ペットショップ ヴァニラ・アイス ホル・ホース
ダービー兄 ミドラー デーボ エンヤ婆 アヌビス神 ボインゴ 

第四部
東方仗助 仗助+トニオさん 広瀬康一 アンリエッタの康一 虹村億泰 ミキタカ+etc 間田
シンデレラ カトレアのトニオさん 岸辺露伴 静(アクトン・ベイビー)+露伴
デッドマン吉良 猫草 キラー・クイーン 

第五部
ブチャラティ ポルナレフ+ココ・ジャンボ(亀ナレフ) アバ茶 ナラ・アバ・ブチャ組
ルイズトリッシュ マルコトリッシュ ナンテコッタ・フーゴ アバ+才人 ジョルノ  ミスタ
ディアボロとドッピオ プロシュートの兄貴 リゾット ローリングストーン 偉大兄貴
ギアッチョ メローネ 俺TUEEEディアボロ ペッシ ホルマジオ スクアーロ
暗殺チーム全員 紫煙+緑日 ブラック・サバス セッコ 亀ナレフ+ジョルノ イルーゾォ
サーレー

第六部
引力徐倫 星を見た徐倫 F・F アナスイ ウェザー エルメェス エンポリオ ヘビー・ウェザー
プッチ神父 帽子 ホワイトスネイク 白蛇ホワイトスネイク

SBR
ジャイロ+才人 ジョニィ マイク・O
リンゴォ マウンテン・ティム Dio

バオー+その他
橋沢育郎 バオー犬 味見コンビ(露伴+ブチャ) 決闘ギーシュ タバサの奇妙なダンジョン


3 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 03:58:08 ID:xMSUM2U4
オラオラ、たまちゃん様が3getしちゃうぞ〜?
ひれ伏せ無能な糞人間共めが!!!
〜⌒〜⌒〜⌒〜/⌒\〜⌒〜
⌒〜⌒〜⌒〜/  `・ω)ミ
〜⌒〜⌒〜⌒〜 U彡〜⌒〜⌒〜⌒
〜⌒〜⌒〜⌒〜⌒〜⌒〜⌒〜⌒〜⌒〜

>>2二足歩行でアザラシより早ぇの当たり前じゃんかよ(プ
>>4気安くたまちゃんなんて呼ぶんじゃねーよ童貞(プ
>>5デブヲタじゃ泳げないかな?(プ
>>6鶴見川より臭ぇぞ(プ
>>7俺をバックに家族で記念撮影なんかしてんじゃねーよ(プ
>>8海に帰れ?てめーが土に還れよキモいから(プ
>>9(俺以外)以下は鶴見川の水でも飲んでろってこった(ゲラ

4 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 06:36:05 ID:FSuZRlqI
たまちゃん……ハッ!

5 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 07:12:17 ID:Qc6+KNgi
・スレッドが1000に満たなくとも、480kbをオーバーした場合には新スレを。
・行数は最大で60行。 一行につき全角で128文字まで。
・4096Byts、全角だと2048文字分。
・専用ブラウザなら文字数、行数を管理してくれるので目安がつけやすいかも。

6 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 08:37:08 ID:ddt0OstY
     ハ   n   _      )Vヽ-ヘ ,ハ  ノヘ  __ _  ,ハ   ノl   __
  )ヽノ;;;;;`ヘノ;;;;ヽ/;;(ノ`ー、_ノ`;;;;;;;;;;;;;;;`";;;;`=";;;;;;V;;;(ノ;;V`';;;;;`ー";;;;ヽ-'^;;;;;V7
  Z:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ろ
  >;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;>
<;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;=-''''''ヾ;;;;;;;;;;;;;;;;〃''''‐=:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;)
  ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;| |     ヾ、;;;/      `i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;フ
ヽ,,ィ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;| |     :::::::      | |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ、
  'ヽ,,-ヘ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|」    :::::::::::::::     | |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ハ;;;;;;;;;;;;;;;;;へ) ̄
  '"||   ||`''"|| レ'||V`^,:ベミ. ,,,,,,,,,,,;;;;;::    ::;;;;;,,,,,,,,,, )|;;べ-、N^Vr‐、 )/^,ニ,"
   ||   ||   ||  ||  |'(/|'",-‐  - ゛   "-‐ -、"''|<イ'!. ヽ.  |  l   | .|   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   ||   ||   ||  ||  l,//| ‐=ニ'ニ=‐'i""i'‐=ニ'ニ=‐ || |,人- ヽ |'‐ |  .i‐ .| < 召喚されたいねェ〜〜
  . .    ヽ`< ̄ ̄ ̄ V六V  ̄ ̄ ̄>'ノ_. ヽ__ヽ.|  |  |  |   \_______
     ,,,..-r-┬┬iiiiiiirェエl"'''=====イ .ド====='''"/~ヽ.`lliiヽ. `|‐-| |"'' |、_/~'l
      十十┼┼l|||||'-〈;;;;;;;|     ヽ(  )/    ./   ||=.||||〉''- !.,, y′ .| ,/` /
.     | | | | l|||||'-‐ヽ;;;;;;||./    ,.-ニ-、   ヽ∧ ー''ヽ/\_ "'丶_/` ./‐l、
      | | | | ||||||'-/\\l \  ̄ 一  ̄ / ヽ  ノ⌒‐、  ヽ. /` _/ ――\
.     | | | | |||||'‐/;;l;;;l\ヽ:::::ヽ      /    |'´      l_,.-''"   /-――――|
.     | | | |.|||||'_/;;;l;;;;l;;;;l〉 | ::::`ー--―'′    ∧      ′     /,--――――|
.     | | | |||||||||| | | | \\   ::::::::    /∧\_      ,.イ/// ̄~'''-二|


7 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 08:38:12 ID:ddt0OstY
忘れてた!
>>1乙!!!

8 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 09:29:19 ID:ZwY0hK2H
>>1>>1乙ゥ!

9 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 14:47:40 ID:lTmf6uJb
携帯でwikiが見れないんだが、なんでだ?

10 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 18:03:22 ID:E1s8olwq
ー-ニ _  _ヾV, --、
ニ-‐'' // ヾソ 、 !ヽ
_/,.イ / /ミ;j〃゙〉 }U }
..ノ /ハ  〔   ∠ノ乂 {
 ノノ_,,,,.... --―''''ヽ________________
/ ̄_,,,,.... --―''''"
  |_ >>1
...,,,_""''''―-- ....,,,,_
_|::::::::| ̄ ̄. `ヾ:フ |::::: ̄"|''''―-- ....,,,,_
、|::::::::|    ∠ニニ} |:::::::::|/          ̄""''''―-- ....,,,,_
トl、::::l   {⌒ヽr{ |:::::::::|
:::::::丶、   ヾ二ソ |:::::::/|
::::::::::::::丶、 `''''''′!:::::::/〈
:::::::::::::::::::::`'ァ--‐''゙:::::::/::::ヽ
\;/:::::::::::::/::/:::::::::::://:::::〉
::`ヽ:::ー-―'´::::::::::::::::/-ニ::::(



11 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 18:10:18 ID:UbtBFZfd
>>10
サイク乙w

12 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 18:13:52 ID:lBXNJR+o
            H  /y'
        /ヽ  H  /y'                  
         /`  }_ ヽTァr-,、       /7に仁二仁二仁ィ7
        /   |こ=y7 ̄`ヽ>、   /7        //
      /   } ,,{ペ.f!{    ,ノソ  ノ丿       xく/
     ./ヽ  ,j} jf}气`ハ、  ,H  />'      /> '′
    |{ハ}} ,,ィリ州|い{,mヾコエ>゙ /7      /7′
     |ルjム=.' iif !ケy ,==ミ、_,/>'     ノ7′         ;′
     k<.9ノリ jリ|ひ!((.・>.)!┴'゙      「 }          /|
    __|77ァ''´   |Y,ィ`ァ'-ヘ         ゝ`仁二仁二仁二シ
  _r'「{|,;if|'   j; ビ了父ィソ ,/y  
 /_,>ィ|,fリ     |,八八/^′/y'zZ   こ、これは>>1乙じゃなくて
 |__/ム|イ    ,イ}|ゾY^ンYメYイ ⌒ヽ   血管針なんだから
  ,.く::7ト,    州こ^ニ^/⌒ヾィ´    勘違いしないでよね!
/;゙ `>| W! _,,ィ化儿>'⌒ヾ/.:: /;l
f.::::,ィl{{リヾ比"  jf|}y' `ヾ//.:::: /;f}}
 / ,ノ| f|\V"l; |7 `ミ/^!/.::::: /,,,,,,
f{G/| {{V,ハ wリト~ミ八/.:::::: /,;;;;;;;;

13 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 18:45:46 ID:hLZ2NLkJ
\\   First kiss か ら 始 ま る ふ た り の 恋 の              //
  \\   H I S T R Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y !    //
   \\       こ の 運 命 に 魔 法 か け た             //
     \\ 君 が 突 然 あ ら わ れ た ァ ァ ―――z___  ッ! //
             ,ィ =个=、      _        _         _       ,。='゚=。、
    〃  ̄ ヘ   〈_/´ ̄ `ヽ    〃 ` ヽ.    〃  ^ヽ   〃 `´`ヽ.    〃了⌒ヽ
   くリ 7"バlキ〉>∩ { {_jイ」/j」!〉∩  l lf小从} l∩.   J{  ハ从{_,∩ {lヽ从从ノl∩.  ノ {_八ノノリ、∩
    トlミ| ゚ー゚ノlミ| 彡. ヽl| ゚ ヮ゚ノj| 彡 ノハ{*゚ヮ゚ノハ彡  ノルノー゚ノjし彡 ヾヘ(゚)-゚イリ彡 (( リ ゚ヮ゚ノノ))彡 >>1乙!>>1乙ゥ!
.    /ミ/ノ水i⊂彡  ⊂j{不}l⊂彡 ((/} )犬⊂彡.   /く{ {丈}⊂彡   /_ノ水⊂彡   /ノOV⊂彡
     / く/_jl ハ.   く7 {_}ハ>    ./"く/_jl〉`'l   l く/_jlム! |    }J/__jl〉」.   (7}ヽ/∧
   .ん'、じ'フ .ノ   ,,,,‘ーrtァー’  ,,,,,,んーし'ノ-,ノ   レ-ヘじフ〜l   ノんi_j_jハ_〉    /__ ノ_j
  ,,-''´  ̄ヽ    |!i!ii| ∩.    |!i!ii| ∩.    ,、 、      |!i!ii| ∩.    |!i!ii|∩.    |!i!ii| ∩
  ミハ^^ヽヽ(∩. ( ゚∀゚)彡  (;゚Д゚)彡   ,ヘハ@ヘ∩.  ( ゚∀゚)彡  ( ゚∀゚)彡  ( ゚∀゚)彡
  ル ゚∀゚)ζ彡   (  ⊂彡.   (  ⊂彡.   ゞ ゚∀゚)彡  (  ⊂彡.   (  ⊂彡.   (  ⊂彡.
  (  ⊂彡゛    |   |     |   |     ( ノ::⊂彡.  |   |     |   |     |   |
   |   |      し ⌒J.    し ⌒J.   │  │   し ⌒J.    し ⌒J.    し ⌒J
   し ⌒J.                     し ⌒J.

14 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 19:11:58 ID:sNGBoGSJ
  \
   \\          /ビシュユウウゥゥゥ
      \、、 ゛   ",,//
        ゛     ",,         ∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧
       ゛、 ∩   ,,"       <
        ゛ | hn "        <   『キラークイーンッ』!
   ,ヘ__∧   <);@;|  \      <   『>>1乙の爆弾ッ』!
   |     |   |;;;;;;;|    \\    <
   |@ @|  ,|;;;;;;;;|,          VVVVVVVVVVVVVVV
    ヘ д /  ( " )
γ⌒`YTTTTY ̄〃(()
(氏≫|| | | | | "__ノ へ
 ヽ__ノノー― ̄ ,,,,   |〃l )
  \彡ー  // __|_ヘ \;;;;;|
    \_/ ( _|__)  |;;;;|
       \_( _|__)〔|;@;|
        /|| ||(@)|| リ~~
       / ̄ ̄//⌒ヘ|
      |_/⌒V/|

15 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 21:03:58 ID:RjZVdpdl
さて10分に投下して、新スレのトップバッターを飾っても構いませんねッ!?

16 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 21:06:28 ID:thtnRT6W
トップバッター狙ってたが一手どころか一時間は遅れたぜ

17 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 21:07:41 ID:DwkMGbw+
くっ、0時前後に投下する修正には抗えんので一番手を譲ろう!支援する

18 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 21:07:45 ID:fLtClzXw
歩道が空いてるではないか(キロバイト的な意味で)

19 :ゼロいぬっ!:2007/11/19(月) 21:12:29 ID:RjZVdpdl

夜空を埋め尽くさんばかりの大艦隊。
その周囲を哨戒しているのは数多の竜騎士。
地上においても兵士が網の目のように張り巡らされている。
ギーシュが望遠鏡で覗き込むのは、何万という大軍によって包囲されたニューカッスル城。
自身の経験、知識と照らし合わせて城への進入経路を探す。
そして彼はそこから最適の結論を導き出した。
「……よし、帰ろう」

弱音を吐いた瞬間、彼の後頭部に鈍痛が走る。
ギーシュが振り返ると、そこには石を持ったキュルケの姿があった。
“何て物で殴るんだ、この女は”と非難めいた目線で彼が涙ぐむ。
それを気にする事も無く、石を捨ててキュルケは怒鳴った。
「バカ言わないでよ! ここまで来て引き下がれるものですか!」
ぴんと立てた人差し指でギーシュの胸を突付く。
彼女の覚悟はとっくに固まっている。
そうでなければシルフィードでアルビオンに行こうとは思わないだろう。
そして、キュルケに続くようにタバサも口を開いた。
「それにルイズが危ない」
彼女は既にワルド子爵が反逆者という事を嗅ぎ付けていた。
内と外に敵を抱えた状態では脱出さえも不可能。
今にも砲火を交えかねない両者を睨みながら焦りを押し殺す。


あの後、フーケ退治の祝いという事で彼女達は宴に招かれた。
連れて行かれたのは『女神の杵』という貴族専用の宿。
そこの主人が気前良く場所を提供してくれるという。
今すぐにでもルイズ達を追いかけたのは山々だったが、
さすがにフーケを相手にして心身共に疲労していた。
せっかくの厚意を断るのもなんだし、休憩を兼ねて彼女達は誘いを受けた。
そして辿り着いた高級宿は荒れ果てていた。
テーブルは倒され、幾重にも矢が突き刺さっていた。
同様に床もそこかしこに矢が刺さり、辺り一面が血に染まっている。
更に壁には弾痕。まるで戦場跡を思わせる光景に一同言葉を失った。

20 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 21:12:38 ID:7rr81Iy5
歩道の雪を除雪しておきました

21 :ゼロいぬっ!:2007/11/19(月) 21:14:00 ID:RjZVdpdl
そして、その惨状の中心で酒を煽る一人の酔っ払い。
状況説明を求める店主達を無視し、そいつは酒を飲み続ける。
その態度に激昂した一人が襟首を掴むも引き剥がす。
「うるさい、うるさい、うるさーい!
僕は客だぞ! 好きに飲ませないって言うのか!?」
雄叫びを上げて酔っ払いが立ち上がり、そして転倒した。
支離滅裂な言動に主人達も呆れ果てる。
だが状況を見る限り、男が関わっている事は確かだ。
衛兵にでも突き出すかと相談する人垣から、ひょこりと二人が顔を覗かせる。
そして酔っ払いの寝顔に、彼女達の目が丸くなった。
そこにいたのはギーシュだった。
ルイズ達を追跡する為の手掛かりを発見し、猛禽類の如く目を光らせる。

しかし、このままでは確実にお縄となってしまう。
そして事情を話せないとなれば長期拘留は確定だ。
かといって知り合いだと言ったら弁償しなければならないかもしれない。
だがキュルケはそんな事で怯む女ではない。
むしろ障害が多ければ多いほど彼女は燃えるのだ。
人だかりを押し退けてキュルケはギーシュの下へとツカツカと歩む。
何事かとざわめく群衆の中、彼女はギーシュに爪先で蹴りを入れた。
無論、当たる直前で勢いを殺した上でだ。
しかし、痛がり屋のギーシュから漏れる嗚咽に一同が震え上がる。

「酒に溺れて暴れ回るなんて貴族の屑ね、ここで死んだ方がいいわ」
そう言いながらキュルケは倒れたギーシュを踏み躙る。
勿論、乗せた足に体重は掛けていない。
平民ならまだしも貴族を足蹴にするキュルケに彼等は完全に凍りついた。
「ねえ、そこの貴方」
「は、はい! 何でしょうか!?」
びくりと身を震わせながら主人はキュルケに応じる。
彼を見据える視線は冷酷で人としての情など感じられない。
逆らえば自分もどうなるか分からない。
ただひたすらに怯える彼にキュルケは言い放った。
「衛兵に渡す? 何を生温い事を。
他の貴族達の顔に泥を塗った彼には相応の罰が必要よ」
「と言いますと?」
「決まっているわ。私の家に連れて帰って拷問に掛けるのよ。
生皮を剥いで爪を毟り取って七日七晩塩に漬けるの。
自分から殺してくださいって口にするまで徹底的にね」
ぶるりと自分の身を震わせながらキュルケは告げた。
彼女の頬は興奮によって朱に染まっていた。
艶やかな唇を舐め取りながら浮かぶ妖しげな色気。
その姿を見た群集はギーシュを憐れみに満ちた眼差しで見下ろす。
まるで屠殺場に運ばれる豚を見るかのように。

「それじゃあ私はコイツを貰っていきますので、宴は皆さんだけで愉しんでくださいな」
そう言うなり、さっさとギーシュをレビテーションで運び去った。
残されたラ・ロシェールの人々はポカンと口を開けたまま、
酔っ払いを攫っていく赤い髪の少女達を見送る。
後に彼等はこの日の事を『正に嵐のような一夜でした』と語った…。

22 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 21:16:04 ID:Sip+E02x
支援

23 :ゼロいぬっ!:2007/11/19(月) 21:16:45 ID:RjZVdpdl

「さあ、もう大丈夫よギーシュ。
私のおかげで助かったんだから感謝しなさいよ」
宿から少し離れた場所でキュルケは彼を下ろした。
未だに群集に捕らえられる事を恐れているのか、
怯える彼を得意の笑顔で落ち着かせる。
我ながら完璧な妖精のような微笑み。
しかし、それは逆効果だった。

「ぎゃー! 生爪を剥がされるー!」
「だから、それはあの場を切り抜ける為の方便で…」
「塩漬けだけは! 塩漬けだけはお許しを!」
「人の話を聞きなさいよ!」
「い、命ばかりはお助けを!
学院に残した三人のガールフレンドが僕の帰りを待って…」
キュルケに土下座し喚き散らすギーシュ。
いつの間にか、その背後にはタバサが回り込んでいた。
そして一言だけ告げると彼を井戸へと突き落とす。
「うるさい」
あああぁぁぁ…という残響音の後に水柱が上がった。
その横で平然と読書に耽る親友の姿を目にし、
キュルケは空恐ろしい物を感じていた。

井戸から引き上げられたギーシュは完全に酔いを醒ましていた。
どうやらキュルケの言動が彼のトラウマに触れてしまったらしい。
だが、それも冷たい井戸水を浴びた事で戻ったようだ。
さっそく追跡を再開しようとする彼女達を彼は止めた。
「今行っても足手纏いになるだけさ。
だって彼に加えて魔法衛士隊の隊長までいるんだ。
精神力も使い切った僕達なんか必要ないよ」
アニエスを行かせたのは彼女の功績にする為だ。
大した実力も無いのに命懸けでアルビオンに行く気はなかった。
しかし彼の言葉にタバサは反応を示した。
『血で描かれた不名誉印』
『森の上空で見かけた不審な影』
そして『巨大な獣に引き裂かれたような痕』
もし、その隊長が裏切り者だとすれば全てが符合する。
突如としてタバサの背筋に走る悪寒。
幾度もの死線で鍛え抜かれた直感が危機を知らしていた。
口笛を吹き鳴らし、彼女はシルフィードを呼んだ。
もはや一刻の猶予も無い。
彼女達を乗せた竜はアルビオン目指し夜空を舞う。

24 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 21:17:18 ID:rv2bIsmD
支援

25 :ゼロいぬっ!:2007/11/19(月) 21:18:44 ID:RjZVdpdl

それが丸一日前の出来事。
アルビオンに到着した彼等は貴族派から身を潜め、
ひっそりとニューカッスル城が一望できる丘に辿り着いた。
ここまで発見されずに来れた時点で奇跡。
そして城に入るにはもう一段階上の奇跡が必要となる。
そんな事、始祖でもなければ叶いはしない。
シルフィードだって瞬く間に撃墜されるだろう。
諦観したギーシュの顔を、キュルケが地面に押し付ける。
「何の為にアンタをここまで連れてきたと思ってるのよ!?
いくら敵の数がいても地下までは目が届かないでしょ!
アンタの使い魔にトンネル掘らせて地下から行くのよ!」
「それこそ無茶だ!」
ぷはっと土から顔を上げてギーシュが反論する。
彼だって自分の使い魔の事を忘れるほどアレではない。
地面の下から行く方法だって考えた。
しかし、アルビオンは内部に無数の空洞を持つ浮遊大陸だ。
もし運悪く掘削中にその空洞を掘り当てたらどうなるか。
当然、トンネルは崩壊し落下する事になるだろう。
空洞の大きさ次第では地面に叩き付けられて重傷、
最悪の場合は空に放り出される可能性だってあるのだ。
トンネルの距離が伸びれば伸びる程、その危険性は増していく。
何の障害にも当たらずに城まで辿り着くなど、
兵士の合間を縫って歩くのと何ら変わらないのだ。

「…ごめん」
激昂するギーシュに彼女は謝った。
そこから辛そうに彼は目線を外す。
もし危険性を知っていたとしてもヴェルダンデが彼女の使い魔なら行かせただろう。
だけど、他人のパートナーに命を賭けろとは言えない。
自分達だけが安全な場所から指示を飛ばすなど出来ない。
だから、彼女は謝罪を口にした。
全ての人間が自分と同じ考えではない。
それを押し付ける事こそ彼女は嫌ったのだ。

俯きながら彼は別の手段を模索する。
それ以外に方法は無いと分かっていても暗中に光を求めた。
ギーシュはヴェルダンデの事を良く知っていた。
ジャイアントモール、恐らく使い魔としては風竜にも劣らない。
城壁さえも地下から打ち崩せるし、トンネルを使った移動には何度も助けられた。
だが、唯一の欠点はその臆病な性格だ。
地面に潜り戦いを避ける事が多かった所為だろうか、
落とし穴を掘って戦えた筈なのにフーケの時も宿の時もそれをしなかった。
使い魔は主に似たものが呼ばれると言うが、
ヴェルダンデの心の弱さは僕が持つそれと同じだ。
例え、命令されても動かないだろう。
そう思っていた彼の前で一際大きな砂煙が上がった。

26 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 21:20:32 ID:Sip+E02x
更に支援

27 :ゼロいぬっ!:2007/11/19(月) 21:20:59 ID:RjZVdpdl

見ればヴェルダンデが土を掻き分けて穴を掘っていた。
主に命じられる事も無く、ひたすらに土砂を穿り出す。
地中で生涯を過ごしているのだ、当然ここを掘るのが危険だと知っている。
だけど行かなければ仲間達が危機に晒される。
振り絞った微かな勇気で恐怖を振り払う。
自分よりも小さな戦友、彼の姿が目蓋に焼き付いている。
土塊の巨人にも群がる傭兵達にも恐れる事無く、彼は立ち向かった。
そこにヴェルダンデは彼の内に秘めた勇気を見つけた。
そして、それは自分の主人であるギーシュにさえも変革をもたらした。
以前なら自ら進んで、フーケや傭兵達と戦おうとしなかっただろう。
だがギーシュは今、怯えながらも恐怖に立ち向かっている。
それに応えられずして何が使い魔だ!
主人が変われたというなら自分だって変われる筈!
いや、今こそ生まれ変わるのだ! 
この無駄に大きい体のどこかに必ず勇気が詰まっている!、

「ヴェルダンデ!」
文字通り暗中に道を切り開く己が使い魔にギーシュが叫ぶ。
それに驚いて舞い上がる砂煙はピタリと止んだ。
手の止まったヴェルダンデに歩み寄って、
彼はキツ過ぎない様に使い魔の体に縄を結んだ。
よく見れば、その端はギーシュの体に結ばれた縄に繋がっていた。

「命綱だ。もし君が落ちそうになったら僕が支える。
もし、君が助からないような状況だとしても君一人で逝かせはしない。
主は使い魔と運命を共にする者、契約は口約束なんかじゃない」

主の言葉を聞き遂げて再びヴェルダンデは地中を掘り進む。
地面を抉る前足に恐怖はない。
この先に繋がっているのは奈落なんかじゃない。
見えない闇に恐れなど感じない。
城に無事に辿り着くのは奇跡? それがどうした。
それ以上の奇跡を自分は知っている。
ギーシュと出会えた奇跡、それに勝る物など有りはしない。
そんな当てにならない確率なんかに惑わされない。
目の前の見えない栄光、それに向かってヴェルダンデは突き進んだ…!

縄をシルフィードに括りつければいいと、
彼等が気付いたのはそれから十分後の事だった。


28 :ゼロいぬっ!:2007/11/19(月) 21:23:03 ID:RjZVdpdl

「結婚式…こんな時にかい?」
「こんな時だからこそです、陛下。
生きて帰れるか判らぬ決戦だからこそ思い残さぬように」
突然のワルドの発言に困惑していたウェールズだが、確かにワルドの言う事にも一理ある。
しかし、二人がそのような仲だったとは知らなかった。
何しろルイズは自分の前でそんな素振りを見せなかったのだから。
まあ愛する者同士が結ばれるというなら、喜んで祝福しよう。
それが叶わない身だからこそ、彼は自分の事のように思えるのだ。
「おめでとうミス・ヴァリエール」
ウェールズは少女の決断に微笑みで応えた。
しかし彼女は何の反応も示さず、自分が見えているかも危うい。
快活であった少女の面影など何処にも無い。
不審に思うウェールズにワルドは弁明する。
「結婚式を前に緊張しているのです、心配ありません。
……そうだろう、ルイズ?」
「はい」
ワルドの問い掛けに彼女は応じる。
それに加えて、決戦を前にしている事もあるのだろう。
そして彼女の使い魔も未だに行方が知れない。
先行きが不安になるのも仕方ない事かもしれない。
彼女には誰か支える人間が必要なのだ。
それをワルド子爵が担ってくれるなら彼女にとっても幸いだ。

「分かった、私が立会人を務めよう。
アンリエッタの親友と客人からのお願いだ、無碍に断れまい。
他の者は手が離せないから少々寂しくなるが、構わないかね?」
「陛下さえいてくだされば、それで十分です」
「では準備に取り掛かろう。
しばらく時間が掛かるが、それまで彼女の気を和らげてあげるといい」
「数々のご配慮、痛み入ります」
礼を告げてワルドはその場を立ち去った。
彼も緊張しているのか、どこか態度が余所余所しい。
まるで劇を演じているかのようにさえ思える。
“支えが必要なのは、彼女だけはないか”
そう思いながらも二人の前途に幸せがあらん事をと祈る。

29 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 21:23:41 ID:rv2bIsmD
カッコいいのに抜けてるギーシュ支援

30 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 21:23:42 ID:Sip+E02x
しえん

31 :ゼロいぬっ!:2007/11/19(月) 21:24:25 ID:RjZVdpdl

「待て!」
中庭を並んで歩くワルド達の背に声が投げ掛けられた。
振り返ると、そこには息を切らせたアニエスがいた。
まるで興味無さげに視線を向けるワルドを無視し、彼女はルイズに怒鳴る。
「結婚式とはどういう事だ! アイツを探さなくていいのか!?」
その言葉に彼女は何の反応を示さない。
アニエスを見る彼女の瞳は空虚なものだった。
答えようともしないルイズの態度に、アニエスが歯を鳴らす。
掴み掛かろうとする彼女とルイズの間にワルドが割って入る。
「いいかげんにしないか! 彼女は疲れているんだ!」
それは諭すような言い方だったが、彼の手は杖に掛かっていた。
近付けば容赦なく斬り殺すという明確な意思表示。
だが、構う事無くアニエスは歩み寄る。

「おまえにとってアイツは大切じゃないのか!?
一緒に戦ってきた仲間じゃないのか!?
それとも只の道具に過ぎないというのか!?
どうした! 違うなら違うと言ってみせろ!」
叫ぶアニエスの声が届いていないのか、ルイズは表情一つ変えはしない。
ワルドの口元で呟くように詠唱を始める。
しかし、彼等の前方から巡回中の兵達がやって来るのが見えた。
僅かに舌打ちすると、ワルドは彼等に向かって叫んだ。
「その平民を取り押さえろ!」
きょとんとする彼等の前には、貴族の淑女に掴み掛かる女兵士の姿があった。
それは伝統を重んじるアルビオン王国からは考えられない暴挙。
咄嗟に彼女を抑えつけて、その場に組み伏せる。
事が終わったのを見届けてワルドはルイズを連れて立ち去ろうとした。
しかし、アニエスは地面に這い蹲りながら叫び続ける。
「私の問いに答えろ! 
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール!」

ワルドの表情に苛立ちが浮かぶ。
平民の分際で煩わしい事、この上ない。
そんなにも納得できないというのならさせてやろう。
彼はルイズの耳元で何事か囁いた。
それを受けて彼女はアニエスの方へと振り返る。
そして彼女に向けてルイズは言い放った。
「使い魔は…只の道具よ。アニエス」

それをアニエスは聞き取れなかった。
ルイズがそんな事を言うとは思えなかったからだ。
だけど判ってしまった。
今の彼女は自分の使い魔の事など、どうでもいいのだと。

32 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 21:26:15 ID:Sip+E02x
支援

33 :ゼロいぬっ!:2007/11/19(月) 21:27:20 ID:RjZVdpdl
「さあ気が済んだだろう。二度と僕達には近付かないでくれ」
ワルドに肩を叩かれて彼女は去っていった。
その後姿を見上げるようにして見つめる。
遠くなっていくルイズの姿に、ただ悔しくて涙が溢れた。
この場にいない、彼の分まで彼女は泣いた。

何故、こうも彼女が変わってしまったのか。
その問いに答える者はいない。
だが、降り注ぐ月の光は彼女に味方した。
視線の先で月明かりを反射して輝く何か。
それは小さな硝子の欠片。
ただ歩いていたのでは気付かなかっただろう。
地面を這い蹲って初めて見えるようになる。
砕けてはいるが描かれた曲線は、それが瓶であった事を告げる。
そして、彼女は思い出した。
ワルド子爵がここで彼女に酒を飲ませた事を。

「っ……!」
腕を伸ばして彼女は破片を握り締めた。
手の内から流れ落ちる自身の血。
それに構う事なく彼女は拳に力を込める。
そうでもしなければ彼女は耐える事が出来なかったのだ。
胸中より溢れる、この焼き尽くすような怒りを…!

「ふぅ…」
ワルドは安堵の溜息を漏らす。
不愉快だったがアニエスを排除できたのは幸運だった。
もし、結婚式に参加するとしたら彼女ぐらいだ。
その場でウェールズを暗殺するつもりのワルドにとっては、
障害の一つと成り得る存在だった。

自分に風が吹いてきているのを感じる。
あの決断は間違っていなかった。
正しい決断には始祖の祝福というべき幸運が付いて回るのだ。
それを彼は自分の身で確信していた。
不意に、彼の隣に付き従うルイズが立ち止まった。
「どうしたんだい、ルイズ?」
ワルドが驚きながらも彼女の顔を覗き込む。

色を失った硝子のような彼女の瞳。
そこから一筋の雫が零れ落ちていた…。


34 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 21:28:53 ID:sNGBoGSJ
支援

35 :ゼロいぬっ!:2007/11/19(月) 21:31:01 ID:RjZVdpdl
以上、投下したッ!
婿養子にいく事になったワルドはそこで、
行き遅れの姉という小姑に徹底的にいびられる日々を体験する。
果たして彼は生き残れるのか!?
次回『ヴァージンロードを血に染めて』、お楽しみに!

36 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 21:33:42 ID:4n84+yod
ワルドォォオオーッ!
てめーの根性は! 畑に捨てられ、カビが生えてハエもたからねーカボチャみてえにくさりきってやがるぜーーーッ!!

37 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 21:35:14 ID:LSVz8MCT
>>35
ちょww余韻だいなしww

38 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 21:40:01 ID:rv2bIsmD
GJ!
アニエスがいつブチ壊すかと思ってヒヤヒヤしてたら予告www
余韻台無しwww


39 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 21:45:31 ID:sNGBoGSJ
余韻台無しだwww
でもGJ!
そしてヴェルダンデの黄金の精神に敬意を表する!!

ワルドは口に出すのさえ憚られる方法で粛清されればいいと思うよ

40 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 21:50:45 ID:okftGiKI
>>39
口に出すのさえ憚られる……宮刑かい?

41 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 22:22:08 ID:LSVz8MCT
>>40
ワルドを宦官なんかにしたら政治が乱れますよタブン

42 :風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/11/19(月) 22:25:30 ID:thtnRT6W
う〜〜ううう あんまりにも…HEEEEYYYY あァァァんまりにもォオオオォ
AHYYY AHYYY AHY CUTEEEEEEEEEEEEE!!
おおおおおおれェェェェェのォォォォォルイズゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ〜〜〜!!

ふぅ、すっきりしたぜ。俺はちと興奮しやすい性格でな。 激昂して二次元に入ろうとすると、
泣き喚いて投下することにしているのだ。

それでは投下する。例のごとく短め。

43 :風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/11/19(月) 22:26:36 ID:thtnRT6W
男の小屋。
外から大きな足音が聞こえる。
タバサが外のゴーレムを見つけ、全員小屋から出て、臨戦体制に入る。

男はいきり立つ。
「あれがフーケとやらかッ!あのような木偶人形我が重機関砲で穴だらけにしてみせるわァアアアッ!」
「やめた方がいい、弾の無駄」
「ゴーレムに多少穴開けたところで数秒で元通りよ」
二人が止める。

「シルフィードなら待機させてる、私が本体を狙う」
「上空からタバサが魔法で本体を狙うから、私と貴方とミス・ロングビルでゴーレムの動きを止めるわよ」

口笛を鳴らすと上空から風竜が飛んでくる。それにタバサは杖を持って飛び乗り、ゴーレムの斜め下の森を旋回し始める。

「くらえッ!重機関砲ゥウウウウッ!スカッとするぜーッ!!」
キュルケはルーンを唱え、炎を飛ばす。
魔法と弾丸がゴーレムの脚部を襲う。
穴が空き、修復のために動きが止まる。
そこを森から急上昇したシルフィードとタバサ。
タバサ得意の氷の矢が正確にフーケに突き刺さる。

「やったわ!」

しかし、そのフーケの影は土となり、崩れる。
シルフィードの真下から石礫が飛来し、直撃する。

「きゅいきゅいーーッ!」

数キロ離れた地点に滑空しながら落ちていく。

「つ、土人形!?どういうこと、あんな精巧に動きまでする人形はスクウェアでもそう…」
「うおォォォォォオオオッ!」

シュトロハイムの脚が崩れる。
鉄でできていた二つの義足は水銀に錬金されていた。

「なんだかわからないけど…あのフーケの人形は囮だったのね…ミス・ロングビル、気をつけて…」
錬金の射程距離は長くは無い以上、その辺りに潜んでいると考える。

その時!
杖を持ったフーケが飛び出してくる。

とっさにファイヤーボールを放つが、それは土人形であった。
後ろから石礫が飛んでくる。

「その程度のちゃちな細工じゃ『微熱のキュルケ』は止められないわよッ!」
あらかじめ攻撃が来ることは予測していたため、さっと身を避けようとする。

しかし、それをミス・ロングビルが後ろから羽交い絞めにして抑えつける。

「あ、貴方も土人形だった…」
キュルケは正面から石礫を受け、嗚咽を漏らす。

羽交い絞めにされたままのキュルケは暴れる。
「は、放しなさいよッ!」
「嫌よ、だって貴方を食べちゃいたいから…」
ロングビルの土人形は歯を立てる。

44 :風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/11/19(月) 22:28:03 ID:thtnRT6W
しかし、ロングビルの胴体が粉々になる。
「はあ…はあ…錬金なんて慣れないもの使わせないでよ…とっとと出てきなさいよ…」
フラフラで杖を構えるのすらおぼつかない。

しかし、表情を変え、気丈であろうとし、杖を構える。

「出てこないなら…炙り出すだけよッ!」
杖を構え森に火を放つ。
乾いていた木はあっという間に燃え上がる。
「ぬう、貴様なにをしているゥウウウウッ!正気か貴様ァアアアアッ!」
上半身だけの男が叫ぶ。
「見てのとおりよ、森に火をつけて本体をあぶりだすのよッ!森中燃やせばいくらなんでも出てくるでしょうッ!」

森から煙が立ち昇る。
その煙の中からのそり、と杖を構えフードを被った女が出てくる。
「森中に…火つけなくて済んだわね……この距離なら、その怪しい土人形も、ゴーレムも関係ないわ…」

杖を構え、ルーンを唱える。
「食らいなさい!私の『ファイアーボール』ッ!」

しかし、その炎弾はフーケの手前で弾かれる。
「なにがこの距離ならだって?」
薄緑色の魔人のような人形が姿を現す。

「願い事を言えッ!」


「な、なによこれ…」
「俺の名はジャッジメント…この『土くれのフーケ』の使い魔かなにかだと思ってもらえればいい…
私は立ち向かうもの…スタンドと呼んでいる」

「こ、来ないでッ!」
「いいだろう、だが願い事は今日は2つまでだ。主の機嫌がお前のせいで悪いのだからな…Hail 2 U!」

タバサとルイズの土人形ができる。
「キュルケ」
「キュルケ」
二人が迫ってくる。

「ひッ!や、やめて…」
キュルケは杖を構え、たじろぐ。

「逃げないで」
「キュルケ、いくら仲悪いからって言っても魔法なんか私に放たないわよね?」
二つの土人形がキュルケに迫る。

「やめてえええッ!」

キュルケが悲鳴をあげる。
が、それはフーケの石礫の直撃を受け、遮られる。

「やれやれ、かなり手間取っちゃったね」
フーケは上半身だけの男を見据える。
「貴様ッ!この体を戻しやがれェエエエッ!」

「あら、まだ喋れたの?なかなか不死身ね。あなたのその胴体だけはかなり強力な『固定化』がかかっているみたいだし…
やっぱり近づくのは危ないわね……じゃあ、私のゴーレムの拳で潰されてもらおうかしら、破壊の杖の使い方なら聞き出したしね」

巨大なゴーレムが近づき、フーケがその肩に乗る。
そして、数歩近づき、ゴーレムの拳を振り下ろす準備ができる。

45 :風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/11/19(月) 22:29:19 ID:thtnRT6W
「覚悟はいいかしら?辞世の句があるなら聞いてあげてもよろしくてよ?」
「土くれのフーケ………ヨーロッパの格言にこんなのがある。『カップを唇まで近づけても、こぼすことはよくある』」


小屋の前に少女と少年が立っていた。
「やれやれ、遅いぞ若きヒーローども、脚さえあれば俺一人でもやれたと思うがなァアアアッ!」

「あんた達はッ!?死んでいたはずッ!」
「運が悪かったわね、私たちがワムウの主人と決闘の相手で」
「彼が本気で殴ってきたら気を失わないなんてことありえないからね、少なくとも殴る軌道が僕にも見えたしね」

ルイズとギーシュが立っていた。
「なぜ!心音は服の中になにか挟むなりしていくらでも誤魔化せるとは思うけれど、脈が止まっていたのは…」
「転がっていた石ころをわきの下にはさんで動脈を圧迫すると手首の脈が止まるのよ、まさかここまで綺麗に決まるとは
思わなかったけれどね、ミス・ロングビル」
「僕も青銅の板を錬金してわきに石を挟めなんていわれたとき何をするかわからなかったよ。もっとも、死んだと思って声をかけたのは
うかつだったね、土くれのフーケ」

正体がバレたとはいえ、フーケは表情を崩さない。
「あら、そんなこと言っていいの?隠れていれば生きて帰れたかもしれないのに…口封じしなきゃいけないわね!」

フーケはゴーレムの上から杖を構える。
二人もゴーレムに向けて杖を構える。

「ギーシュ、私の言った作戦は覚えてるわよね!ゼロとドットじゃまともにやっちゃ勝てないんだからね!」
「わかってるさッ!僕だってこんなところで死ねないよ!」

ギーシュが杖を振り、叫ぶ。
「ワルキューレッ!」


To be contined...

46 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 22:30:01 ID:lBXNJR+o
し、しえんっ

47 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 22:30:02 ID:7W1LAouh
支援

48 :風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/11/19(月) 22:30:40 ID:thtnRT6W
げつようび・・・げつようび・・・

ユリイカも糞らしいし…死にたくなってきた…
防御無し試練でもしてこよう 試練は孤独なダンジョン…私に力を与えてくれる…

49 :風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/11/19(月) 22:31:44 ID:thtnRT6W
おっと言い忘れてた 投下終了であります、サー!
あと犬の人お疲れ様です

50 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 22:32:51 ID:DwkMGbw+
GJ!

ディアボロwwww
月曜日症候群大変だな
自分は木曜が一番嫌いだ 真ん中の水曜終わって後二日もあると思うと死ぬ

51 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 22:34:14 ID:thtnRT6W
>>50
今週は金曜日が味方ですよ!まあ俺ニートだからまったく関係ないけど

52 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 22:35:25 ID:ELWHK4NQ
>転がっていた石ころをわきの下にはさんで動脈を圧迫すると手首の脈が止まるのよ

魔少年ならぬ魔少女ルイズw

53 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 22:36:45 ID:thtnRT6W
>>52
ジョジョも好きですけどビーティも好きです
おじさんXとか微妙にネタ撒いてますけどね
誰かマジックとかトリックとかの知識が豊富な人長編書いてくださいよ、ネッ!

54 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 23:00:00 ID:7y51vA7u
前スレ>>864は私に「勇気」を与えた・・・

55 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 23:26:54 ID:95g9S9OW
ユリイカの荒木との対談の世界に腐女子呼んだの誰だよ…。
まじ帰れこいつって世界だったな

56 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 23:32:00 ID:UUgGrqj+
>>52
「魔少女」に一文字加えれば「魔法少女」だ!!


……って、ルイズはゼロだったんだな、スマソ。

57 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 23:34:27 ID:FdxIrJf5
>>54
頑張って花京院書いてください
それと遅くなったが>>1

58 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 23:57:16 ID:FdxIrJf5

連レスすまん

59 :使い魔は引き籠り:2007/11/20(火) 00:00:50 ID:DwkMGbw+
それじゃあ投下を始めようと思いますよ
メイドと引き籠りだと更正不可能じゃないか?って最近気づいた
頑張れキュルケ

60 :使い魔は引き籠り:2007/11/20(火) 00:02:39 ID:DwkMGbw+
足の下でノビてる糞ガキの襟首を持ってぐいと引き寄せる。
盆が滑って落ち、見えたクリーム塗れの顔は鼻血垂れ流しで最高に滑稽だった。
こういうのは人質をとるみたいで全く好きじゃないんだが・・・・
ガキにナイフを突きつけないのは、ただオレの『尊厳』を守るためだ。

人込みをかき分けて、久々に見るピンク頭が現れた。

「イルーゾォっ!?」
こんだけ近ければ、問答無用で吹っ飛ばされる、って事は無い筈・・・・貴族のお友達まで一緒に吹っ飛ぶからな。
「ずっと見ないと思ったら・・・・何してるの?!ギーシュに何をしたのよ!」
「平民から貴族様に『いい気になるなよ糞野郎』ってアドバイスしただけだ。知ってたか?オレ達だって生きてる」

ルイズは息を呑む。初めて気づいたって顔だな?
そういえばオレに、『身の回りの世話をしろ』とかって言っていた。
「そんでもってもう少し生きて居たいんだ。帰りたいんだよ。だから『言う事聞かない平民は爆殺よ!』なんて色気は出すな」
何、偉そうに言ったってオレのしてる事は命乞いだ。仲間に知れたらぶん殴られる。
でもオレは何としてでも帰りたかった。オレの居場所は仲間の所だ。
仲間のためにオレは絶対に帰るし、何処に居たってやることは同じだ!

「労働の対価ってもんがわかってない連中に、長々付き合う気は無い」
――――『尊敬』出来ない上司の為に働いたら負けだと思ってる。 (職業:鏡警備員 男性)


「い、言いたいことはそれだけかよォ・・・・『平民』の・・・・生まれつきの下民の癖に・・・・」
「ギ、ギーシュ?!」
「貴族に、て、手をあげたなッ?!許されない・・・・事だぞ・・・・」

『ご主人様』の代わりに返事をしたのは、襟元からぶら下がってる糞ガキの方だった。
間髪入れずに再度地面へと叩きつける。
「よう、元気だったみたいだなマンモーニ!」
「何するんだよ!本ッ当に無礼な平民だな!お前、こんな事してどうなるか判ってるのかッ?!」
ガキは更にヒートアップして、何やらオレに薔薇を突きつける。
「や・・・・やめてギーシュ!」

畜生、コイツもスタンド使い・・・・いや、それだけじゃない。オレの推測が間違ってなければ、この食堂はスタンド使いだらけだ。
今でこそ突然の暴力に静まり返っちゃいるが、『貴族』同士の妙な連帯感でも感じて攻撃されれば、俺は骨も残らないだろう。
それだってな、やらなきゃあいけない事はあるんだよ。
今にも膝が笑い出しそうな最悪の状況でも、こればっかりは譲れない。
『信念』だけは譲れないッ!


61 :使い魔は引き籠り:2007/11/20(火) 00:04:15 ID:asQ7sxfM
「ごめんなさい、ギーシュ・・・・私から謝るわ。
そいつは私も知らないド田舎から来たもんで、此処のルールがわかってないの!ねえ、ちゃんと躾けておくから」
「いいや限界だ!『殺す』ねッ!
『決闘』だッ!貴族同士の決闘は許されちゃあいないが、こいつは平民だ。関係ないだろう?」
ギャラリーがザワつく。『決闘』だって?(どこまでも古風だな)

「『決闘』なら・・・・男と男の勝負なら、どっちかが死んだってしょうがない事さ。
僕はお前に『貴族の誇り』を侮辱された事が我慢ならない!お前だって何やら言い分があるんだろう?それとも素直に謝るか?」
「『死んだってしょうがない』?」

ふうん、決闘。本当に男と男、ようするに一対一の勝負なら、状況はグンと良くなる
(未知のスタンド使いとオレ。以前変わりなく劣悪な条件だが、最低ってよりはマシだ)
「ギーシュって言うのか?お前がどんなつもりで『死』を口にしたか判らないけどな・・・・」

相手の口から出た『死』が、オレ達のそれとはあまりにも重みが違って笑いが零れた。
『死』ってものはそんな風に、スカスカの軽いモノじゃあない。
人一人ぶんの人生をずっしり吸ったそれは、何時だってオレ達の右肩にのしかかる。

「殺っていいなら、オレは殺る。」

「で、出来るもんか、『平民』の癖に・・・・」
「やめて、やめてギーシュ!」
「五月蝿い!『ヴェストリ広場』だ、平民。逃げるなよ!
お前はすぐにでも、素直に謝っときゃあよかったって後悔する事になる。」
クリーム塗れのマントの裾を翻し、ギーシュはモーゼのように人込みを割って出て行った。

不味い事をした、という自覚はあった。
普段のオレならこんな状況、膝をガタガタ笑わせながら涙目で鏡を探してる。

ルイズは静かだ(オレもまだ爆発してないし。)ギャラリーのアホどもも騒ぐばっかりで
誰一人止めようとも加担しようともしなかった。今のところ危険は無いだろう。
だが、オレの命は未だルイズががっちり握っていて、今は気まぐれで生かされているようなもんだ。
『貴族の誇り』だとか言っていたから、あのガキの殺し合いごっこに付き合うまで、その気まぐれは続くかもしれない。

「『ご主人様』だったか?」
そういえばいやに静過ぎると思って、声をかけた。
ルイズは顔を伏せこちらを見ない。
「オレの言いたいことは判ったよな?オレは『貴族』を『尊敬』しない。」
「・・・・・・・・・なんで・・・・」
そうだろう。
今まで尽くされて当然だったコイツに、オレの言う事は判らない。今まで『判ろうと』しなかったからだ。
「『オレが自分だったら』?って考えてみな。」

ルイズは小さく呟いた。「私が、ゼロだから?ゼロだから『尊敬』出来ないの?」
意味はわからなかった。
だが、苦々しげに吐き出すところを見ると、その『ゼロ』には『貴族』の根本を揺らがせる特別な意味があるんだろう。
オレはこの少女に返事をしない。何故ならたった今から、『全てを行動で示す』からだ。
「黙って見てれば、わかるんじゃないか?」


62 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 00:06:28 ID:qUNeY7UT
支援ッ!

63 :使い魔は引き籠り:2007/11/20(火) 00:07:00 ID:asQ7sxfM

静かな気持ちでギーシュとか言う糞ガキの背中を追う。
武器はナイフと『マン・イン・ザ・ミラー』。鏡ナシ。そうなるとオレのスタンドは、近くのものを人間に色がついた程度の力でぶん殴る事しか出来ない。
流石に生身よりは幾分硬いが、スタンド同士の戦いじゃあ碌な威力は期待できないだろう。
あのギーシュとか言うガキのスタンドが遠距離型なら、終わり。

じゃあ、こう考える事は出来ないか?
オレが今までこのナイフ一本で『仕事』をしてこれたのは、全部『マン・イン・ザ・ミラー』の力だといっていい。
オレの相棒は、何時だって至らないオレを助けてくれた。・・・・だから。
今回ばかりは、オレがこいつを守ろう。
オレの死は『マン・イン・ザ・ミラー』の死。死ぬわけには行かない。
『マン・イン・ザ・ミラー』に守られるばかりだった昔のオレを乗り越えて――――オレは成長しなくちゃならない。

ビビるな、逃げ出すな、心に『焦り』が現れたら、動揺したオレは必ず負ける。
心に『覚悟』を強く持て・・・・死なない。何が起ころうとも、オレはこの肉体にしがみつくッ!


「イルーゾォさんッ!」

呼び止められた。仕事を放り出してかけて来たんだろう、息を切らせてそれでも言った。
「行かないで下さい!・・・・殺されちゃう・・・・」
「『死なないさ』。」

シエスタは今にも泣きそうな顔でオレを見ている。
スタンド使いと、ほぼ無力なオレ。この歴然とした力の差に、誰よりも絶望しているんだろう。
その目に溜まった涙は、オレが死んだら零れるか?

「笑えよシエスタ。明日から平民の扱いが良くなる」


夢の中で体験した、八つの死を思い返した。
まだ何の事かもわからないそれは、オレの背中をそっと押す。

――――待っている人と、場所があるんなら。きっと勝てよイルーゾォ――――

背後の気配が小さく溢れた。『マン・イン・ザ・ミラー』がオレを応援してるんだ。そんな風に判断した。

64 :使い魔は引き籠り:2007/11/20(火) 00:08:53 ID:asQ7sxfM
投下終了。PCの時計がずれてるせいでIDが面白い事になってるけど気にしないで欲しい。

かがみけいびん は たからかに はたらなかいせんげん を した!
いや、労働が嫌いって訳じゃないんだよ。うん。拘りが変な方向に向いているだけで。

65 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 00:09:53 ID:V05WwEz5
グッドだ。一瞬鏡警備員を格好良いと思ってしまったぜ。

66 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 00:12:21 ID:rNXaYRQJ
かっこいいぜ鏡警備員
でもチームの皆(特に兄貴とか)には見せられない姿だぜ

67 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 00:15:02 ID:ugBi17YS
> 『死』ってものはそんな風に、スカスカの軽いモノじゃあない。
> 人一人ぶんの人生をずっしり吸ったそれは、何時だってオレ達の右肩にのしかかる。

これはシビれた
なんだかんだ言っても暗殺チームなんだよな

68 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 00:15:30 ID:LkvGwjNz
かっこいいイルーゾォなんてイルーゾォじゃない!
なんて思ってしまった俺は末期らしい

69 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 00:28:17 ID:asQ7sxfM
皆あんまりじゃないかwwww
イルーゾォは今まで充電してたんだよ!

70 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 00:34:42 ID:bzNqv5mH
富樫が連載を続けているんだし、イルーゾォも本気を出さなければいけないよな

71 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 00:48:47 ID:PKeWX6wC
なにイルーゾォ、鏡が無い?
逆に考えるんだ
「ナイフだってちゃんと光を反射して鏡同然になるから『鏡なんて無くてもいいや』」
と、考えるんだ

72 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 01:09:15 ID:QXHt3oj/
ワルキューレがピカピカしてるに一マン・イン・ザ・ミラー

73 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 01:24:24 ID:N9RL+hey
寧ろガンダールヴ効果で鏡いらなくね?な事になる。に10ペリカ

74 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 01:59:48 ID:f397o2n1
マン・イン・ザ・ミラーのミラミララッシュに一イルーゾォ

75 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 02:13:49 ID:g5vybxzG
コルベールの頭でも鏡の代用は可能って事か。

76 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 02:46:56 ID:4M8gxGHn
しびれるイルーゾにしびれる

77 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 07:07:51 ID:pIpG2SuR
まずは鏡を取り返すべきだな

78 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 07:10:13 ID:pIpG2SuR
鏡に引きずり込むときに対象の頭から上は許可しないで確殺のはず。
まあ別に両手両足許可しないでも十分だけど・・・・・

79 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 08:00:41 ID:+4ivU1UG
作者の邪魔になるような事書くのやめよ〜ぜ

80 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 09:00:06 ID:sUovoGe7
だが断る
この俺が最も好きな事のひとつは自分がやられて嫌だと思うことを積極的に行う事だ…

81 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 09:13:39 ID:ocro5Ige
>80

・・・それただの嫌な奴じゃん。

82 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 09:32:49 ID:Rpu6qo2A
>>80
どういう性格してんだwww
花京院乙w

83 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 10:02:13 ID:KFgO0/Fo
いや露伴だろww
花京院はアレだ、
「この僕が最も好きな事のひとつは自分のやりたくない仕事を他人に押し付ける事だ…」

84 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 10:55:23 ID:bwFxv1Oj
鏡の中でも魔法が使えるかどうかについて

85 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 10:59:17 ID:g5vybxzG
「許可しない」と明言しなければ使えると思う。

86 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 11:01:49 ID:sUovoGe7
錬金とかは無理かもね

87 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 12:18:45 ID:g5vybxzG
土系は身に付けている物の錬金以外は無理だろうね。
ギーシュのワルキューレを見て身に物を変化させるスタンドと勘違いした
イルーゾォが「身に付けている物は許可しない。」で素っ裸にされ戦意喪
失するギーシュ、おマチさん、ワルドを想像した。

88 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 13:00:24 ID:iJEECKLf
普通に杖は許可しないで一発だと思うが

89 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 13:23:25 ID:FWKbGmgM
逆に杖のみ許可するでも可能だな

90 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 13:32:14 ID:QysP11Qw
此処はドSなエピタフ使いの多いインターネ(ry
携帯で見た途端に俺涙目wwww
わくわくしてくれたみたいで嬉しいけど

91 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 13:36:57 ID:4M8gxGHn
未だに暗殺チームが負けた理由が解らない
老化の最中にギアッチョで冷やすか鏡の中にいるだけで勝てるだろ


92 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 14:09:01 ID:QXHt3oj/
固まって行動するのは危険だと判断したんじゃないか?
自分のチームに無差別範囲攻撃の出来る奴(メタリカでカミソリ大量生産・ホワイトアルバムで雪祭り・グレイトフルデッドで老人ホーム)が三人も居るんだから敵にいないとも限らない(現にチョコラータ&セッコがいた)


93 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 14:13:45 ID:WXsEHbq/
「俺の仲間が調べてる」的な発言もあったし単純に分散してなきゃジョルノ達の後を追えなかったんじゃないか?

94 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 14:53:30 ID:ac5zwTOm
最近展開予想する人達がいますが、マナー違反ですよ

95 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 15:11:21 ID:+4ivU1UG
作者が書き難くなるだろう、選択肢がせばまってさ。
更新遅くなってヤキモキすんのは俺らだぞw

96 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 15:29:22 ID:UsSJj7cA
某作者としては予想を見てその裏をかく展開を考えるのが面白かったりするんだが
少数派なんだろうか・・・。投下中にエピタフするのはどうかと思うがw

97 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 15:34:21 ID:QysP11Qw
もっと後くらいのエピタフなら裏切れるからこっちとしても楽しいけど
ギーシュ戦は書き終わってるんだ・・・ごめん
「やっぱりこうなったか」って言われたら辛いな

98 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 15:36:33 ID:RlR1SJ7W
エピタフと被っちまっても俺は構わないぜェェェェェーー〜〜ッ!!
中身なんだよォォォーッ求めてるのはよォォォおおおお
断じてサーフィスじゃねぇんだッ

99 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 15:37:07 ID:aI8IN0TG
まあそれだけ皆が続きをwktkしながら待っているということさ
個人的には、問題は決闘後じゃないか?って気がするが

100 :名無しさん@お腹いっぱい:2007/11/20(火) 16:40:48 ID:ucFs63Wx
ロハンでもカキョーインでもいいから自重しろ
もっと作家さんに対して敬意を払えっ!!!

101 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 18:15:19 ID:wFmtqULI
そう、俺達はSSを喰わねば生きていけんのだ。
SSの一粒一粒には神様が宿ってると昔の人も言っておるわ。

102 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 18:22:42 ID:ddCHOCP+
>>101
『SSの一粒一粒』ってさあ…『SSの一文字一文字』…じゃあない?なあ〜?
国語の先生よォォォォ

103 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 18:47:29 ID:z+LPGngZ
>>101
「今日」よりも「明日」なんじゃ!

104 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 18:53:32 ID:Y73hv/w8
ねーちゃん! あしたって今さ!

105 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 18:53:59 ID:5JGgX1zh
ココ・ジャンボだが>>64
○はたらかないせんげん
×はたらなかいせんげん
になってますぜ

106 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 18:59:05 ID:asQ7sxfM
>>105
ありがとう、ついでに言えば「かがみけいびん」にもなってるんだぜ!清書忘れ甚だしすぎる・・・・orz
本文はいつも2回ぐらい見直す(そして見落とす)
よく文字の前後が入れ替わるんだよな、何でだろう。

107 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/11/20(火) 22:21:44 ID:Ng4N/rO9
投下します

108 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 22:22:22 ID:sUovoGe7
しえんっ

109 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 22:22:31 ID:Ro7d4Hql
支援するせかい。

110 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/11/20(火) 22:23:05 ID:Ng4N/rO9
第三十一話 『湖畔ダイバー』

 ロンディニウムの城の一角にある鍛錬のための場所。そこに一人の男がいた。剣に酷似した杖を構えている。
 ヒュッ、という風を切る音とともに鋭い突きが放たれる。最初は一突き一突き丁寧に、そして今は―――
「シッ!」
 目にも留まらぬ高速の剣技となっている。しかし丁寧さが損なわれるわけではなく、より正確に、それでも流れるように、だ。その様はまるで―――
「まるで『閃光』だな子爵」
 その声にワルドは手を止めて正面を向く。鍛錬のために裸になった上半身に汗が浮いている。
「これは閣下、お見苦しい恰好で申し訳ございません」
「いや、気にする必要などないよ子爵。君がそうして鍛練を積み力をつけることは、ひいては余の力となるのだからな」
 相変わらずの笑いを浮かべるクロムウェルの傍らにはシェフィールドが控えていた。貴族として染みついた思考で、さすがに女性の前で裸は失礼かと思い、地面に置いたタオルを拾って体をさっと拭き服を身につけていく。当然、銀のロケットも。
「しかし、閣下には申し開きのしようもありませぬ。閣下より賜った竜騎士隊、それらを全て失うだけではなく先発隊までも守りきれず失う羽目になってしまったのは、ひとえにこのわたくしの力のなさであります・・・」
 膝を突き深々と頭を垂れるワルドにクロムウェルは責めるでもなく言う。
「なに、君の失敗が原因ではないだろう」
 頭を垂れているワルドは判断に困っていた。アルビオンの力の象徴でもある『レキシントン』号を筆頭とした強大な艦隊。圧倒的な数的有利。だが結果は大敗。
『勝利はこれ疑いなし』というクロムウェルの言葉通り、自軍でこの結末を予期できた者はだれもいないだろう。現に今アルビオン軍の中には動揺が縦横無尽に駆けめぐっているのだ。
 だが、クロムウェルには動揺が一切見られない。本当の大物なのか、ただ単に現状が理解できぬド低脳なのか・・・・・・
 その時、首から垂れ下がるロケットがワルドの目に入った。
 そうだ。たとえ目の前の男が始祖だろうが神だろうが自分には関係ない。泥船だろうと構わない。途中で沈むのなら沈め。ならば俺は泳いでいくまでだ。
 歴代の英雄達は皆こう言っている。『信奉すべきは神でも金でもない。最後にお前を救うのはお前の剛力唯一つ』だと。あくまで貴様は道先案内人だ、『閣下』。不案内だとわかればその瞬間に貴様の役目は終わるのだ。
 『ガンダールヴ』を翻弄した事実が、ワルドの体に自信を漲らせている。ロケットの表面をなぞると、その冷たい感触が興奮する自らをなだめているように感じた。
「そう、失敗の原因は他にあるのだよ」
 クロムウェルが片手を上げると、傍らのシェフィールドが報告書らしき巻物を要約して読み上げた。
「なにやら空にあらわれた光の球が膨れ上がり、我が艦隊を吹き飛ばしたとか」
「つまり、敵に未知の魔法を使われたのだ。これは計算違いだ。誰の責任でもない。しいてあげるなら・・・・・・、敵の戦力分析を怠った我ら指導部の問題だ。一兵士のきみたちの責任を問うつもりはない。是非とも鍛錬に励んでくれたまえ、子爵」
 クロムウェルはワルドに手を差し出した。ワルドはそこに口をつける。
「閣下の慈悲のお心に感謝します」
 上辺を取り繕いながらワルドは桃色の髪を思い出していた。思えば、あの飛行機械にはルイズも乗っていた。ならばあの魔法は、あの光は恐らく『虚無』だ。仔細は解らないがまず間違いないだろう。
 そして、その使用者がルイズだとすればどうだろうか。ワルドの見込んだとおり、ルイズは素晴らしい才能を秘めていたのだ。
 しかし、それではクロムウェルの『虚無』とはあまりにかけ離れすぎている。生命を操ったクロムウェルに対して、ルイズは謎の光だ。どちらも、個人が操るにはいささか強大すぎるとも思えるが・・・・・・
「あの光に関して、余は一つの可能性を考えておる。恐らくは『虚無』ではないかというな・・・。あまり考えたくない事実だが、あれほどの魔力、スクウェアクラスでさえ持ち合わせているかどうか」
 最後の部分は自分への皮肉かとワルドは眉をひそめた。
「もっとも、余とて『虚無』の全てを理解しているとは言い切れぬ。『虚無』には謎が多すぎるのだ」
 シェフィールドがあとを引き取る。
「長い、歴史の闇の彼方に包まれておりますゆえ」

111 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 22:24:16 ID:sUovoGe7
んっ

112 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/11/20(火) 22:25:24 ID:Ng4N/rO9
「歴史。そう、余は歴史に深い興味を抱いておる。たまに書を紐解くのだ。始祖の盾、と呼ばれた聖者エイジスの伝記の一章に、次のような言葉がある。数少ない『虚無』に冠する記述だ」
 クロムウェルは詩を吟ずるような口調で、もったいぶって次の言葉を口にした。
「"始祖は太陽を作り出し、あまねく地を照らした"」
 『ガンダールヴ』や『虚無』についてならば、ワルドとて歴史を調べているのだ。よっぽど知っていると言ってやろうかと思ったが、何とか抑えて相づちを打った。
「・・・なるほど、あの光は小型の太陽ともいえなくもない」
「謎が謎のままでは、気分が悪い。目覚めも悪い。そうだな、子爵」
「おっしゃるとおりです」
「トリステイン軍は、アンリエッタが率いていたと言うではないか。ただの世間知らずのママッ子かと思っていたが、どうしてどうして、やるではないか。あの姫君は『始祖の祈祷書』を用い王室に眠る秘密をかぎ当てたのかもしれぬ」
「王家に眠りし秘密とは?」
「アルビオン王家、トリステイン王家、そしてガリア王家・・・・・・、もとは一本の矢だ。そして、それぞれに始祖の秘密は分けられた。そうだな?ミス・シェフィールド」
「閣下のおっしゃるとおりですわ。アルビオン王家の秘宝は『風のルビー』ともう一つ・・・・・・。しかしいずこに消えたのか、風のルビーは見つからず、もう一つは未だ調査が済んでおりません」
 ワルドは地味な感じのするその女性を見つめた。深いローブで顔を隠しているために表情が窺えない。働きぶりを見ればクロムウェルの秘書にも見えるが・・・、どうしてなかなか、ただの秘書ではなさそうだった。
 強い魔力は感じない。しかし、クロムウェルにここまで重用されるからには何か特殊な能力があるのだろう。
「いまやアンリエッタは『聖女』、ウェールズは『勇者』として崇められ、アンリエッタに至っては女王に即位するとか」
「敵の士気は昂揚し、外の敵に対してはどこまでも強気で攻められるでしょう」
 なんとも含みのある言い方だ。ワルドはシェフィールドに注意を向けるようにした。
「真に失礼ながら、今の我が軍にトリステインを再び攻める力はありません。力を蓄えなければなりませんが、かといってその間攻め手を緩めては敵もまた身を休めてしまうでしょう。ですから、今度はトリステインの中から攻めるのです」
「理想的ではありますな。しかしながら、当てはあるので?」
「以前よりトリステインの中枢に位置する人物とコンタクトをとり続けておりますわ。すでに彼者は我らの同士」
「手の早いことだ。それで、そのものに何をさせるつもりだ」
「新型の銃と、流れのヒットマンを紹介して差し上げましたわ。そのヒットマンは世を儚んでおり、命を惜しまない人物でしたので・・・」
 それは恐らく凱旋パレードでの暗殺未遂事件のことだろう。ワルドにも情報は入ってきていたが、この女が一枚噛んでいるとは思わなかった。
「しかしながらミス。その者を使った作戦はすでに失敗に終わっていると聞き及んでいるが?」
「それはあくまで敵の目を中に向けさせるためのものですわ、子爵。自分の体の中に病気があると知れば、人は不安になりますでしょう?本命ならばかねてよりトリステインに忍ばせておりますわ。そう、この『白の国』アルビオンを破滅へと導いた悪魔―――」
 そこで、シェフィールドの口元が妖しく歪んで見えた。
「『白の粉』がトリステインを覆い尽くすでしょう・・・」
「うむうむ!そう言うわけだ子爵。トリステインは病魔に冒された患者も同然。我々は力を蓄え、その間トリステインには存分に弱って貰おうではないか」
 はっはっは、と笑いながらクロムウェルたちは城に消えていった。しかしワルドは鍛錬を再会する気にはなれなかった。先ほどのシェフィールドの妖しげな笑みが脳裏にこびりついて離れないのだ。
 あの笑みはただ妖艶なだけではない。あれは裏切り者の笑みだ。そう、自分と同じ。クロムウェル以外に信じ崇拝しているものがある奴の笑みだ。
「クッ・・・面白くなってきたな」
 思わず口元が歪んだ。だが奴が誰であろうと、何に仕えていようと関係ない。自分と母の邪魔さえしなければ興味の欠片も沸きはしない。
「しかし、クロムウェルも暢気なものだな、どうも。トリステインは体内に病気を持った患者と言っていたが・・・・・・貴様の腹の中には爆弾が二つはあるというのに・・・」
 杖を振るうと旋風が起き、地面に置かれた帽子が巻き上がった。それを掴んで頭に乗せる。
「死が友人だというのならば、この俺が一生遊んで暮らせるようにしてやろう。クロムウェルも、『ガンダールヴ』もな」


113 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/11/20(火) 22:27:57 ID:Ng4N/rO9

「っくしょい!」
「なんだ、風邪かいウェザー?」
「なに!なら私が暖めて・・・」
「いや、大丈夫ですから結構です」
 ウェザーはアニエスの申し出をキッパリと断った。そもそも本当に風邪ではないのだ。大方、誰ぞが噂でもしているのだろう。
「だが、四十度の熱出してても見にくる価値があるぜ。この光景はよォ」
 今一同が立っている丘から見下ろすラグドリアン湖は青く眩しく、陽光を受けて湖面がガラスの粉を塗したように瞬いているのだ。波打ち際まで下りてみると、水中が透き通って見える。話では、夜中でも月光に照らされて水中が透けて見えるとか。
「ヘンね」
 その湖面を見つめながらモンモランシーが小首を傾げた。
「うした?」
「水位が上がってるわ。昔、ラグドリアン湖の岸辺は、ずっと向こうだったはずよ」
「ホントか?」
「ええ。ほら見て。あそこに屋根が出てる。村が飲まれてしまったみたいね」
 モンモランシーの指差す先に、藁葺きの屋根が見えた。一同はそこで、澄んだ水面の下に黒々と家が沈んでいることに気付いた。モンモランシーは波打ち際に腰を下ろすと、水に指をかざして目を瞑った。
 そしてしばらくの後に立ち上がると、困ったような顔をした。
「水の精霊はどうやら怒っているようね」
「それでわかるのか?」
「舐めないでよね。わたしは『水』の使い手、香水のモンモランシーよ。このラグドリアン湖に住む水の精霊とトリステイン王家は旧い盟約で結ばれているの。その際の交渉役を、『水』のモンモランシ家は何代もつとめてきたわ」
 今は色々あって他の貴族が務めているけどね、と付け加えた。
「その水の精霊に会ったことはあるのか?」
「小さい頃に一度だけ。領地の干拓を行うときに水の精霊の協力を仰いだのよ。大きなガラスの容器を用意して、その中にはいってもらって領地まで来てもらったわ。
 水の精霊はプライドが高いから、機嫌を損ねたら大変なのよ。実際機嫌を損ねて、実家の干拓は失敗したわ。父上ってば、水の精霊に向かって『歩くな。床が濡れる』なんて言ったもんだから・・・・・・」
「水の精霊ね・・・どんな形なんだ?」
 精霊というと、どうしても『あのピノキオ』を思い出してしまうために何だかいい印象が持てないウェザーだった。
「そう言えばわたしも話しに聞いただけで知らないわね」
「ぼくもだ」
「私も」
 ルイズたちも気になるようだった。『水』のイメージとして綺麗な感じはするが、どうなのだろうか、と。


114 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 22:28:06 ID:dOB0vqJR
支援!!!

115 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 22:29:47 ID:Vso/E5OR
白い粉ー?!支援

116 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/11/20(火) 22:30:52 ID:Ng4N/rO9
「ものすごーく、綺麗だったわ。そう、美しい!スゴイ美しいのッ!百万倍も美しい・・・・・・」
 恍惚とするモンモランシー。その時、木陰から老農夫が一人、一行の元へとやってきた。
「もし、旦那様。貴族の旦那様」
「どうしたの?」
 モンモランシーが尋ねると、農夫は拝むように手を組んだ。
「旦那様がたは、水の精霊との交渉に参られた方々で?でしたら助かった!はやいとこ、この水を何とかして欲しいもんで」
 一行は顔を見合わせた。どうやらこの農夫は湖に沈んでしまった村の住人らしい。
「わたしたちは、ただ、その・・・・・・湖を見に来ただけよ」
 まさか水の精霊の涙を取りに来た、ということもできず、モンモランシーは当たり障りのないセリフを口にした。
「さようですか・・・・・・。まったく、領主様も女王様も、今はアルビオンとの戦争にかかりっきりで、こんな辺境の村など相手にもしてくれませんわい。畑を取られたわしらが、どんなに苦しいのか想像もつかんのでしょうな・・・・・・」
 はぁ、と農夫は深いため息を漏らした。
「いったいラグドリアン湖になにがあったの?」
「増水が始まったのは、二年ほど前でさ。ゆっくりと水は増え、まずは船着き場が沈み、寺院が沈み、畑が沈み・・・・・・。ごらんなせぇ。今ではわしの屋敷まで沈んじまった。
 この辺りの領主様はご領地の経営などより、宮廷でのお付き合いに夢中でわしらの頼みなど聞かずじまい」
 よよよ、と農夫は泣き崩れた。
「長年住み慣れた土地が無くなっちまったのもありますが、このままじゃわしら村民は全滅してしまいます・・・・・・」
 かすれそうな声で絞り出した農夫に、アニエスが進み出て助け起こした。
「ご老人、私は見ての通り騎士だ。この村の現状を女王陛下にお伝えしてみよう」
 アニエスの言葉に老人はハッと目を見開き、再び泣き崩れてしまった。
「ありがとうごぜぇます・・・ありがとうごぜぇます・・・」
 その様子を見ていた一行は、感心したように眺めていた。
「ふうん・・・惚れ薬を飲んでいても、困った人は捨て置けないって騎士道精神は忘れないのか?」
「え?う〜ん、どうかしら・・・基本は惚れてしまった者を第一優先に行動するハズなんだけど・・・」
 ウェザーに話を振られたモンモランシーは考え込むように腕を組んだ。
「鋼の精神力ってやつじゃないかな」
「ギーシュあなたってそういうの好きそうだものね」
 ルイズのからかいにギーシュは頭をかいた。

117 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 22:32:23 ID:sUovoGe7
しえん

118 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/11/20(火) 22:34:12 ID:Ng4N/rO9

 農夫が愚痴を言いたいだけ言って去ったあと、モンモランシーは腰に下げた袋からなにかを取り出した。それは一匹の小さなカエルであった。鮮やかな黄色に、黒い斑点がいくつも散っている。
 カエルはモンモランシーの手のひらの上にちょこんとのっかって、忠実な下僕のようにまっすぐにモンモランシーを見つめた。
「カエルッ!」
 カエル嫌いなルイズが悲鳴をあげてウェザーの背に隠れた。しがみつきながら毛を逆立てて威嚇する様はまるで猫である。
「自己主張の激しいカエルだな・・・・・・ド派手で毒々しい。ヤドクガエルか?」
「毒々しいなんて言わないで!わたしの大事な使い魔なんだから!」
 どうやらその小さなカエルがモンモランシーの使い魔らしい。モンモランシーは指を立てて使い魔に命令した。
「いいことロビン?あなたたちの古いお友達と、連絡が取りたいの」
 モンモランシーはポケットから針を取り出すと、それで指の先をついた。赤い血の玉が膨れ上がる。その血をカエルに一滴垂らした。
 それからすぐに、モンモランシーは魔法を唱え、指先の治療をする。ぺろっと舐めると、再びカエルに顔を近づける。
「これで相手はわたしのことがわかるわ。もっとも、覚えていればの話しだけれど。じゃあお願いね、ロビン。水の精霊に盟約の持ち主の一人が話をしに来たと伝えてちょうだい」
 ロビンはそれに頷くと、ぴょんと跳ねて水中に消えていった。
「さ、あとは待つだけよ」
「そんなもんなのか。じゃ、さっきの百万倍も美しい水の精霊についての続きを聞かせてくれよ」
「そうねえ・・・まず、水の精霊は人間なんかより遙かに長く生きている存在なのよ。始祖ブリミルが光臨した六千年前よりも昔から、ね。
 その体に既存の形は無いわ・・・自在に姿形を変え・・・・・・そう、まるで水ね。そしてその体は陽光を受けてキラキラと七色に・・・・・・」
 そこまでモンモランシーが口にした瞬間、離れた水面が光り出した。
「おでましね。百聞は一見に如かず。見た方が早いわ」
 岸辺より三十メイルほど離れた湖面の下が眩く光り、まるでそれ自体が意思を持っているかのように水面が蠢いた。それから餅が膨らむようにして、水面が盛り上がり、まるで見えない手にこねられているようにして、盛り上がった水が様々に形を変える。


119 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 22:36:11 ID:YrjwSezo
お天気おじさん支援

120 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/11/20(火) 22:36:19 ID:Ng4N/rO9
 湖からロビンが這い上がり、跳ねながら主人のもとに帰ってきた。そのロビンの頭を撫でたモンモランシーは、水の精霊に向けて両手を広げ、口を開いた。
「わたしはモンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシ。水の使い手で、旧き盟約の一員の家系よ。カエルにつけた血に覚えはおありかしら。覚えていたらわたしたちにわかるやりかたと言葉で返事をして頂戴」
 すると、ぐもぐもと蠢いていた水の精霊が、モンモランシーそっくりの形をつくり、微笑んだのだ。ただ、そのサイズは一回りほど大きいのだが。
 なるほど、確かに美しい。宝石が塊となって動いて見えるのだ。
 しばし様々な表情を作り出していた水の精霊だったが、それから無表情になりモンモランシーの問いに答えた。
「覚えている。単なる者よ。貴様の体を流れる液体を、我は覚えている。貴様に最後に会ってから、月が五十二回交差した」
「そう、よかった。水の精霊よ、お願いがあるの。厚かましいとは思うけど、あなたの一部をわけて欲しいの」
 一部という単語に一同は怪訝な顔をして見せたが、モンモランシーはそれらを無視して前を向いたままだ。そして、しばらくしないで水の精霊がにこりと笑みを見せた。
「やった!OKみたいだ!」
 しかし、ギーシュの喜びも虚しく、向こうから出てきたセリフは真逆のものであった。
「断る。単なる者よ」
「そりゃあそうよね。残念でしたー。さ、帰ろ」
 あっさりとモンモランシーは背を向けたが、すぐに踵を返して水の精霊に向き直った。
「ってな具合にいけたら楽なんだけど、今回ばかりはそうもいかないのよね。わたしが捕まっちゃうってのもあるけど、それ以上にわたしのせいで他人様に迷惑かけてるかと思うと、寝覚めが悪くてしようがないわ!」
 少し語調を強めて言ってみるが水の精霊は無反応だ。腰に手を当てて指まで立てているモンモランシーにまったく反応を示さない。
 気まずい沈黙の中、ウェザーが口を開いた。
「盟約とか、一部とかよくわからんが・・・・・・タダで貰おうとするのがいけないんじゃないのか?」
「う〜〜ん・・・・・・ねえ、水の精霊。あなたがあなたの一部をくれると言うのなら、わたしたちもあなたのために何でもするわ」
 すると再び水の精霊は蠢き、ふるふると震えたかと思うとピタリと止まり、
「よかろう」
 と言った。
「世の理を知らぬ単なる者よ。貴様は何でもすると申したな?」
「ああ、言った」
 う、と尻込みするモンモランシーに代わってウェザーが答えた。
「ならば、我に仇なす貴様らの同胞を、退治してみせよ」
 一行は顔を見合わせた。
「退治?」
「さよう。我は今、水を増やすことに精一杯で襲撃者の対処にまで手が回らぬ。よって、その者どもの退治ができれば、望み通り我の一部を進呈しよう」
「ああ、やっぱり厄介事だわ・・・・・・」
「豚箱にはいるのとどっちが厄介かなんてことは・・・・・・」
「言われなくてもわかってるわよッ!もう!こうなったらトコトンやってやるわよ!」
 こうして、ウェザーたちは水の精霊を襲う連中の退治をする羽目になったのだった。

121 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 22:37:53 ID:wT3zEZOq
sien

122 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/11/20(火) 22:38:14 ID:Ng4N/rO9

 襲撃者たちは夜になると、魔法を使い水中に侵入し、遙か湖底の奥深くにいる水の精霊を襲うというのだ。一行は水の精霊が示したガリア側の岸辺の木陰に隠れ、作戦を立てていた。
「水中か・・・・・・」
「たぶん風の使い手ね。空気の球をつくって、その中に入って湖底を歩くんじゃないかしら。水の使い手なら水中でも呼吸が出来るけど、水の精霊相手に水を使うなんてのは自殺行為だわ。だから、風ね。空気を操り、水に触れずにやってくるに違いないわ」
「でも、水の精霊って傷つけられるのかしら?水に手を突っ込んでも水は痛がらないと思うんだけど・・・・・・」
 ルイズの疑問はもっともだった。規格の違うものを相手にするときは未知だらけなのだ。
「水の精霊は動きが鈍いし・・・・・・それにメイジならただの水と精霊の見分けはつくわ。水の精霊は魔力を帯びてるからね。近づいて、強力な炎で体を炙る。徐々に蒸発して・・・・・・、気体になったらさすがにもとの液体として繋がることは出来なくなっちゃうわ」
「繋がる・・・?」
「水の精霊は、まるでコケのような存在なのよ。千切れても繋がってても、その意思は一つ。個にして全。全にして個。わたしたちとは全く違う存在なのよ」
「ふーん・・・」
「そして相手が水に触れていなければ、水の精霊の攻撃は相手に届かない」
「偉そうな割りには制限の多い奴なんだな」
「まったく・・・・・・。水の精霊の怖さをちっとも知らないのね。いい?少しでも精神の集中が乱れて、空気の球が破れ、一瞬でも水に触れたら心を奪われるのよ。他の生物の生命と精神を操る事なんて、あの水の精霊には呼吸と大差ないわ。
 それと、水の精霊にとっては襲撃者とわたしたちの区別なんてついてないと思うから、水に落ちたらお終いね」
「なかなか肝の据わった奴らみたいだな。それじゃあ水に入られる前に勝負をつけるしかないか。こっちはまあ、そこそこの数だが・・・」
「あ、そのことなんだけど」
 モンモランシーが挙手した。
「わたしは戦いの方は無理だから、戦力には数えないでね」
 その代わり後方で回復の援護ができるわ、とフォローした。
「となると、モンモランシーを抜いた四人か・・・・・・、アニエスお前戦えるか?」
 くっつきそうなくらい近い隣でアニエスはずっとウェザーを見ていたのだが、話を振られて視線が合ってもそらすことはなかった。
「ウェザーが必要だと言うのなら、水の精霊とでさえ戦って見せよう」
「バカ、そいつを守るのが俺達の役目だぞ」
 ウェザーは手頃な枝と石を数個手元に集める。それから空を見て、湖を見た。と、ギーシュが少し不安そうに尋ねてきた。
「大丈夫かな、ウェザー。もし敵が大人数だとしたら・・・・・・」
「心配するな。当方に迎撃の用意ありってな」
 そう言って枝で地面に円を描いた。どうやら湖のようらしい。
「これから言う作戦はお前の魔法が火蓋を切るんだ。最初でこけたら全部こける・・・・・・いけるな?」
「・・・・・・ああ」
 ギーシュは目に力を込めて返した。それに満足そうに頷いて、ウェザーは描いた湖の周りに石を置き始めた。
「まずはギーシュが・・・・・・」

123 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 22:38:43 ID:sSunPVZl
支援 On You Crazy Diamond

124 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/11/20(火) 22:40:29 ID:Ng4N/rO9

 作戦会議も終え、あとは見張りを交代で行いながら夜を待つのみとなった。時刻はまもなく夕方に入る頃だろう。
 現在の見張りはアニエス。一緒にいてくれとぐずられたが、作戦のために休養は必要だと言うと、職業柄理屈に納得できてしまったのか名残惜しそうに離れていった。
 見張りの順番を上手いこといじり、少しの間とはいえ自由を手に入れたウェザーはしばし近くをぶらついたあと、湖畔の林の木に背を預けて座るルイズを見つけて歩み寄った。
「はあああああ〜〜〜〜、ため息出るなあ。こういう湖って・・・・・・。ほっとする・・・美しい・・・こーゆー湖のある湖畔に家を持って日向ぼっこしながら子供時代のこと思い出してノスタルジイにひたりてえなあ〜〜〜」
「・・・・・・ぷっ、なーにジジ臭いこと言ってんのよ」
 何やら近寄りがたい雰囲気を出して祈祷書を開いていたルイズだったが、ウェザーのセリフに思わず吹きだしてしまった。木にもたれてウェザーはルイズにリンゴを差し出した。
「そろそろ腹がへる頃だと思ってな、みんなの分も買ってきたんだ」
「へえ、気が利くわね」
 ルイズが受け取るのを見ると、ウェザーはもう片方に持った真っ赤なリンゴに豪快にかじりついた。それを見てルイズもマネしてかじりつくが、ルイズの小さな口ではかみ切れずに歯形だけが残ってしまう。
「ガハハハ、へたっぴだなあ。無理せずにチビチビ食えばいいじゃねえか」
「う、うるさいわねえ、言われなくたってそうするわよ!」
 頬を赤く染めて浅くかじりつくルイズ。その様子を笑ってみていたウェザーだったが、軽い調子でルイズに尋ねた。
「なんか今日は元気がないが・・・・・・どうかしたのか?」
 その言葉に、ルイズは口に運んでいたリンゴを下ろした。手元のそれをしばらく眺めていたが、ゆっくり訥々と話し始めた。
「実はね、『虚無』のことなんだけど・・・・・・がっかりさせたくなくて、姫さまにも言えなかったことなんだけどね・・・・・・」
 本当はウェザーとアニエスのことが気になりすぎてだなんて口が裂けても言えないルイズだが、しかしそのもったいぶった言い方にウェザーは先を促す。
「なんだよ。言やいいじゃねーか」
「実は・・・・・・・・・『虚無』の魔法、『エクスプロージョン』があれ以来唱えられなくなっちゃったのよ・・・」
 驚愕の事実にウェザーは目を見開いた。
「それはもう『虚無』が使えないってことか・・・・・・?」
「そういうわけじゃないみたい。唱えられないって言うのは、最後までって事なの。練習していたときも、何度唱えようとしても途中で気絶しちゃうのよ。一応爆発はするんだけど」
「気絶?どういうことだ」
「たぶん・・・精神力が足りないんだと思うの」
「精神力ゥ?」
「そ。魔法は精神力を消費して唱えていることは知ってるわよね?」
 ウェザーは頷いた。それは初期の授業で聞いていることだった。そして精神力を使い、どれだけの系統を足せるかでクラスが決まるということも。
「で、精神力が最後まで持たずに切れちゃったのに無理して唱えようとすると気絶しちゃうわけ。伝説の『虚無』の系統だもの。強力すぎてわたしの精神力が足りないんだわ」
「でも、この前は唱えられた」
「そこなのよね・・・・・・どうしてかしら・・・・・・」
 ドットがスクウェアクラスの呪文を唱えられないように、精神力の絶対量に上限がある以上はルイズも『虚無』の詠唱が不可能なはずなのだ。だが、事実ルイズは一度唱えている。

125 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 22:42:44 ID:wT3zEZOq
「再支援シタッ!」

126 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/11/20(火) 22:43:07 ID:Ng4N/rO9
「精神力は寝れば回復するから、睡眠もちゃんととってるんだけどなぁ・・・・・・」
「そうだな・・・例えば、お前が実はもの凄い精神力の持ち主だったとかはどうだ?今まで魔法が成功することのなかったお前の精神力は、家から出られない犬のフラストレーションのように溜まり膨らみ、しかしそれを全てあの一回で使ってしまった・・・とか」
 確かにこれなら一晩寝れば元に戻るはずの精神力の回復の遅さの説明にはなる。他のメイジの精神力がエリー湖くらいだとするならば、ルイズの精神力プールはカスピ海並なのかも知れない。だとすれば、そこに再び水を満たすことはかなりの時間を要するというものだった。
「そうね・・・そうかもしれないわ・・・・・・」
「だとすれば、次最後まで唱えられるのはいつくらいかね・・・・・・」
「一月かかるか・・・・・・一年かかるか・・・・・・」
「十年とかな」
「冗談言わないで!」
「だが、魔法は一応成功してはいるんだろ?その、爆発が」
「そうね。規模は小さいけど、爆発はする。『虚無』は本当に未知のことばかり。呪文詠唱の途中でも効力を発揮する呪文なんて、聞いたことないもの」
 さすがは伝説、右も左も解らないとはこのことだろうかとウェザーは湖面を見ながら思った。リンゴをかじる音だけが響いた。
「・・・・・・なんにせよ、今晩にそなえて寝ておくべきだな。お前は後方支援だが、切り札的な位置でもある。少しでも精神力を回復しておけ」
 そう言うとルイズの隣に腰を下ろした。
「あんたいいの?アニエスの所にいなくて・・・・・・」
「俺はご主人様の使い魔でありますから、ハイ」
 ふざけた調子でそう言ったウェザーは、肩に何かが触れるのを感じてそちらを向いた。ルイズの桃色の髪と、心なしか赤くなっている顔が見える。
「これはあくまで最近その使い魔の仕事もサボりぎみの使い魔に、わたしがわざわざ仕事を作ってあげるだけなんだからね」
「感謝の極みに恐悦至極」
「ちゃ、ちゃんと時間になったら起こしなさいよ!」
「了解」
「へ、変なことしないでよ!」
「しねーよ」
 しばらくはもぞもぞと動いていたルイズだったが、そのうちに大人しくなった。ウェザーも作戦でかなり使うであろう力のために仮眠に入った。

127 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/11/20(火) 22:46:39 ID:Ng4N/rO9

 二つの月が天の頂点を挟むようにして光っている。一日の内でもっとも闇が深くなる時刻がやってきたのだ。
 そんな時刻にこのラグドリアン湖の岸辺に人影が現れた。人数は二人、大と小と区別はしやすいが、漆黒のローブを纏っているために素顔はおろか性別もわからない。
 その二人組は水辺に立つと杖を掲げた。呪文を唱える小さな声が歌うように湖に染み渡りだしたのと同時に二人組の足下の土が隆起し、大きな手が二人の足を固定した。それに合わせて背後の木陰から影が飛び出してくる。
 槍らしき武器を持ったその影は、三十メイルの距離を凄まじい勢いで五秒とかからずに縮めた。
 しかし、二人組の反応はさらにすばやかった。迫りくる数瞬の間に、大影が足下の戒めを炎で焼き払い、それが終わるか終わらないかという絶妙のタイミングで小影が横に飛んだ。同時に風の魔法で大影を柔らかく飛ばし、距離を取ったのだ。
 その間わずか三秒。結果突撃してきた影は二人の間を通過してそのまま湖に落ちていく。
「うわあああああッ!」
 しかしこの叫びはその影のものではなかった。横に跳んだ二人は突っ込んできた影を見ていたためにお互いが向き合う形になっていたのだが、そこへ別の二つの影が剣を振り上げて背後から襲いかかったのだ。
 一瞬。一瞬だけローブの二人組は驚いたようだったが、すぐに対処した。大小の影は自分の背後の敵ではなく、相方の背後の敵に照準を合わせたのだ。振り向く時間が無くなる分、行動は迅速になる。
 ローブの二人の顔面を避けて進んだ火球と風は、正確に襲いかかる者達に向かった。その二人は何とか攻撃を避けるが、その間にローブの二人は再び合流して詠唱に入りだした。
 先の魔法は状況から脱するための威嚇だったが、今度のは本気だ。片方が詠唱をずらしているのはお互いが隙を作らないための作戦だろう。
 だが、二人の集中力は再び途切れることとなってしまった。またも何かが足を掴んでいるのだ。だが、今度は土ではない。別の何かだ。
 二人組が足元を見ると、どうやら手らしいのだが、それは湖から伸びている。そして、何かを考える暇もなく、二人組は湖の中に飲まれていった。

128 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/11/20(火) 22:49:18 ID:Ng4N/rO9

 水飛沫の上がった湖面の波紋も静まった頃、木陰からルイズとモンモランシーが顔を出した。
「作戦は上手くいったのね」
「うん。一応ね」
 それに答えたのはギーシュだった。ローブの二人組を背後から襲ったのはギーシュとアニエスである。
「作戦通りウェザーが水中に引きずり込んだよ」
 ウェザーの作戦はこうだった。ギーシュの『ワルキューレ:ブリュンヒルデ』の突貫によって敵を分断し、背後から強襲する。それで決着が付くのならばそれでいいが、もしもの保険にとウェザーが水中に身をひそめていたのだ。
 しかし夜でも浅い場所なら透けて見えるラグドリアン湖でなぜ接近に気付かれなかったかというと、『全反射』を利用したのだ。
 ウェザーの話では、『オゾン層を操作してこの湖畔に降る光の角度と空気の屈折率を変える。『ヘビー・ウェザー』の応用だ。カップに入れたコインが見る角度によっては消えて見えるの知らないか?『全反射』っていうんだよ。
 エネルギーはバカみたいに食うから、範囲も狭くて長持ちしないがな』ということなのだが、この中の誰もが曖昧な顔をしたものだ。コルベールがここにいたのならば食いついてきたのだろうが。
 実際に月を映し出すだけで湖の様子は窺えない。だが、それも徐々に薄れ、やがて中の様子が少し見え始めた。
「ウェザーだ!」
 ギーシュの指差す場所には、雲の潜水服を纏ったウェザーの姿と、向き合うように構えている大小ローブの姿があった。しかしそれもすぐに見えなくなる。暗くてよくは見えなかったが、全反射を解いたのはどうやらそちらに回す余裕がないからのようだ。
「あの咄嗟で風の呪文を唱えていたのか・・・」
「この策は失敗だな。奴らはかなりの手練れだぞ、二対一はキツイ・・・・・・よし!」
 やおら湖に飛び込もうとするアニエスをギーシュが慌てて取り押さえた。
「放せ!私が援護に行くッ!」
「だから、生身で入ったら水の精霊に心を奪われるんだってば!」
 つまり、ルイズたちはただ指をくわえて見ているしかないのだ。ギャーギャーと暴れるアニエスたちをよそに、ルイズは自分がどうすべきかを考えていた。
(指をくわえてみているだけなんてイヤ!ここでなにもできなかったら、わたしは・・・わたしは何のためにこの力を持ったのか・・・・・・)
 ぎりっ、と歯がゆさに拳を握るが、そこで祈祷書を持っていることに気がついた。そして、まるで本が開けと囁いているかのような声が聞こえてきたのだ。誘われるままにページをめくっていくと、『エクスプロージョン』以外のページが読めるようになっているのに気がついた。
 だが、そこに書かれた古代ルーン文字を見て力が抜けそうになった。
「・・・・・・ディスペル・マジック?これでどうしろっていうのよ・・・」
「ああ!水面が揺れているッ!」
 水中の戦いは熾烈を極めているのかも知れない。考えている暇はない。この魔法が今出たのには何か意味があるのだ。
 そう信じてルイズは詠唱を始めた。

129 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 22:50:26 ID:sUovoGe7
スゲーボリュームで支援が間に合わない支援

130 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 22:52:11 ID:N9RL+hey
追いついたッ!支援をくらえッ!!

131 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/11/20(火) 22:54:34 ID:Ng4N/rO9

 水中に潜ったウェザーは舌を巻いていた。引きずり込んだはいいが、まさかあの咄嗟に魔法で水の精霊の干渉を防ぐとは思わなかった。
 水面を通ってきた揺らめく月光をバックに、体勢を立て直した二人は潜水服を着たウェザーを見ると、何かを話し、杖を構えた。ウェザーも身構える。
 先に動いたのは大きい方だった。一直線に湖底目指して潜り出す。どうやら水の精霊を先に攻撃しようとしているらしい。そうはさせじとウェザーも潜る。
 潜水服は取り込んでおいた空気を排出することで加速して進めるが、ウェザーが吸う分の空気の残量もあるので無駄遣いは出来ない。
 すぐに追いつくかと思われたが、回り込むウェザーの目の前を水を切って進む風が通りすぎた。視線を向けると、小さい方が杖をウェザーに向けているのだ。先にこちらを片づけないといけないらしい。
「かかってこいってか?」
 ウェザーが接近を試みると、それを阻止するように風を飛ばしてくる。それをスタンドで弾きながら進む。あと少しで射程距離だが、何か違和感を感じる。
 あれほどの反応を見せていた手練れが、なぜか大人しすぎる。水中だからといえばそれまでだが、その部分が小骨のように引っかかりだしたのだ。
(何かがあるッ!)
 その瞬間、後から気配を感じ慌てて振り向くと、湖底に向かったと思っていた大きい方がいつの間にか背後に戻ってきていたのだ。恐らくはこれが狙いだったのだろう。すでに向こうの射程距離だったのだろう、杖の先から炎球が放たれた。
 ウェザーは咄嗟に潜水服の空気を排出してそれをギリギリでかわす。水中だからだろうか、炎球はすぐに萎んで消えてしまったが、ウェザーは挟まれる形になってしまった。しかも今回は少しでも傷を負えば、水の精霊の餌食になってしまうという条件付きなのだった。
 だが、それ以上にウェザーを焦らせているのは空気残量がなくなりつつあることだった。敵もここが正念場と腹をくくったのか強力な魔法を唱え始めた。
(く・・・これしかない!)
 二つの杖の先から強烈な風と巨大な炎球が放たれるのと同時に、ウェザーは残りの空気を使い体を上方に持っていく。そして自分がいた場所に向けて風圧の拳を放った。
 三つの力はその地点でぶつかり、圧縮し合う。そして逃げ場を求めて力が一気に外に向けて炸裂したのだ。もの凄い力で押し上げられたウェザーとローブの二人は巨大な水柱とともに空中に投げ出された。

 最初にルイズの異変に気付いたのはギーシュだった。謳うような声が耳に入り、振り向けばルイズが詩を諳んじているのだ。いや、詩ではない。これは・・・詠唱?
 続いて気がついたモンモランシーが声をかけようとしたが、それをギーシュが制した。
「彼女には・・・今のルイズには何も届きはしないよ」
 魔法を扱うものであれば一目見ただけでこのルイズの凄まじい集中力に驚くことだろう。
 いったい彼女は何をしようとしているのか。かすかな期待が胸の内に生まれ始めたとき、背後で轟音がした。
「何が起きたんだ!」
「上だ!ウェザーたちが出てきたんだ!」
 事態を見まもっていたアニエスが空を指差すと、確かにウェザーとローブの二人が見えた。しかもウェザーの雲の潜水服は背中が大きく裂けてしまっている。あれで落ちたのでは間違いなく水の精霊の餌食だ。
 そして待ってましたとばかりに水の精霊が水面に現れる。もごもごと蠢くと、次の瞬間には湖が波打ち、何かの形を作り出したらしい。
 横からでは見えないが、真上――ウェザーたちから見ると、湖が悪魔の顔のようになり、口を開いて落ちてくるのを待っている、とでも言ったところだろうか。
 さらに悪いことに、ここで二対一の差が出た。大きい方が小さい方にレビテーションをかけたのだ。体制を立て直し、ウェザーの方を向かせると、小さい方が杖から魔法を放つ。
 スタンドでガードしても下に押されてしまい水の精霊に捕まることは必至。ギーシュたちも魔法での援護をしたいがいささか遠すぎる。
 誰もが最悪を想像したとき、眩い光が辺りを包んだ。
「ウェザァァ――――ッ!」

132 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 22:57:26 ID:dOB0vqJR
作者体調は大丈夫なのか?頑張れ支援!

133 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 22:57:41 ID:f0JFlq/W
S・H・I・E・N・!

134 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 22:57:58 ID:yRa7vmbc
「支援した」なら使ってもいいッ!

135 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/11/20(火) 22:58:43 ID:Ng4N/rO9

 飛びそうな意識の中、敵の杖が自分に向くのをウェザーは人ごとのように感じていた。意識を繋ぐのに必至で体が動かない。
「くっそ・・・」
 搾るような声が漏れたが、それだけだった。しかし、魔法をスタンドで防ごうとしたその瞬間に辺りが眩い光に包まれた。
「ウェザァァ――――ッ!」
 ルイズの声がする。光に包まれると、不思議と心が落ち着いた。あの時と同じだ。タルブと、同じだ。
 光は敵を包み込むと、放った風をかき消し、レビテーションまで無効化させてしまったらしい。真っ逆様に湖に落ちていった。しかしそれはウェザーも同じだった。どうする間もなく着水する。
「プハッ!」
 すぐさま顔を出すが、水の精霊の攻撃らしきものは感じない。顔も消えてしまっている。ルイズの放った光に目でも眩んだのかと思っていると、二人組も湖から空気を求めて顔を出してきたのだ。攻撃しようかと腕を振り上げたが――
「まってウェザー!あたしたちよ!キュルケとタバサ!」
 ローブの下から現れたのは学校を休んで出かけていたハズの二人だった。
「お、お前ら何やって・・・・・・」
「それはあとよダーリン!下から水の精霊が来てるわ!」
 ウェザーには見えないが、メイジであるキュルケたちには今まさに迫る水の精霊が見えるのだろう。だが、再び風を纏う精神力はなく、岸まで泳ぐには距離がある。
 絶体絶命には変わりはなかった。だが二人は慌てず、タバサが指笛を吹く。そして間をおかずに羽ばたきの音が。
「きゅいきゅい!」
 どこからやってきたのか、シルフィードが最大速力で湖面を駆け、すれ違いざまに三人は首や翼にしがみついた。手の形を作り出し捕まえに来た水の精霊は、しかし紙一重で取り逃すこととなった。

136 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 22:59:36 ID:3214uiA7
ようこそ支援の世界へ

137 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 22:59:51 ID:sSunPVZl
しらないのかい?応援だよ!
祭りのときみたいにスレが燃えあがるんだッ支援だッ!

138 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 23:01:46 ID:ugBi17YS
sien

139 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 23:01:58 ID:N9RL+hey
SIENABEEEEEEE!!!!!

140 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/11/20(火) 23:02:46 ID:Ng4N/rO9

 モンモランシーの『水』の魔法で治療を受けながら、ウェザーたちはキュルケたちの話を聞いていた。焚き火に焼かれる肉の匂いが鼻をくすぐる。
「しかし、お前らがあそこまで出来るとは・・・正直侮ってたぜ」
「まあね。これでも修羅場はくぐってきたつもりよ。あなた達の作戦も分断とか奇襲とかよかったけれど、連携は心の繋がりだからね。その点あたしとタバサは以心伝心、ハート・トゥー・ハートってやつ?」
「でも、なぜ君たちは水の精霊を襲っていたんだい?」
「何であなた達は水の精霊を守っていたの?」
 肉をつつきながら尋ねたギーシュに、キュルケがそっくり返してきた。と、その話しそっちのけでアニエスが焼けた肉をウェザーの口に持っていく。
「さあ焼けたぞ!私が捕ってきた肉だ、存分に味わえ!あ〜ん」
「いえ、前回十分堪能させていただきましたので結構です!」
「遠慮することはない。貴様のために捕ってきたのだからな。ほら、あ〜ん」
 アニエスはついにはウェザーを押し倒して実力行使に出始める。ドタバタと暴れる二人を苦笑いしながら見てギーシュがキュルケに答えた。
「あれをなんとかしにね。『水の精霊の涙』が必要なんだけど、そのための条件が君たちを倒すことだったとは」
「『水の精霊の涙』?じゃあやっぱり惚れ薬のせいだったのね」
 惚れ薬の単語にモンモランシーが反応してしまい、当然それを見逃すキュルケでもなかった。
「作ったのあなただったのね。大方ギーシュにでも飲ませるつもりだったんでしょうけど、ギーシュの手綱くらい握れなきゃあ自分に自信がないって言ってるようなものよ」
「うっさいわね!そのギーシュが浮気ばっかりするからいけないんじゃない!あの浮気性はもはや重病よ?悪性腫瘍なのよ!」
「もとを辿ればぼくのせいなのかもしれないけど、それにしたって二人とも酷くない?」
 ガックリと肩を落とすギーシュだった。そしてキュルケも困ったように隣のタバサを見つめる。彼女はただじっと、焚き火の炎を見ているだけだ。
「参っちゃったわねー。あなたたちと戦うわけにもいかないし、かといってここで退いちゃうとタバサの立つ瀬がないし・・・・・・」
「タバサが?何かあるのか?」
「え?あ、そ、その、タバサのご実家に頼まれたのよ。ほら、水の精霊のせいで水かさが増して、おかげでタバサの実家の領地が被害に遭ってるらしいの。それであたしたちが退治を頼まれたってわけ」
 となれば手ぶらで帰すわけにも行かない。しばし考え込んでから、ウェザーは結論を出した。
「ようは水が引いて土地が戻ればいいんだろ?だったら交渉して決着つけりゃあいい。幸いこっちにゃ『水』の使い手がいるんだからな」
 視線が一気に自分に集まったモンモランシーは「え?あ、あたし?」と狼狽えていたが、ウェザーに促されて水際に立ち、水の精霊の呼び出しを開始した。しばらくしないで水の精霊がモンモランシーの姿で現れる。
「・・・・・・・・・・・・お前たちか。不思議な光のせいで襲撃者を逃したようだが、何用だ?」
 思い出すのにタイムラグがかなりあった辺り、ウェザーごと飲み込もうとしたのは覚えていないのだろう。さすがは悠久を生きる存在。
「逃がしてはいないわ。もうあなたを襲うものはいなくなったのよ。約束通り体の一部をちょうだい」
 モンモランシーがそう言うと、水の精霊は細かく震え、体から水滴を飛ばした。それをギーシュが持っていたビンで慌てて受けとめる。そして、もう用はないとばかりに沈みだした水の精霊をウェザーが呼び止めた。
「もう一つお願いだ。水かさを増やすのをやめることは出来ないのか?もちろんタダとは言わん。理由があるなら聞くし、力になれるならなる」
 そのセリフに水の精霊は様々な仕草を見せたが、やがてしゃべり出した。
「お前たちに任せてよいものか我は悩む。しかし、お前たちは我との約束を守った。ならば信用してもよいと思う」
 回りくどい言い方で切り出すと、水の精霊は唄うように語りだした。要約すると、古より守ってきた秘宝が二年くらい前に人間が盗んだ。水かさを増やすのはそれを探すためであって、見つけるまでは底なしに増えるらしい。
「よーするにだ、その秘宝を取り返せばオールオッケーなんだろ。秘宝の名前はなんだ?」
「『アンドバリ』の指輪。我が共に、時を過ごした指輪」
 聞いたことがあるわと言ったのはモンモランシーだ。


141 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/11/20(火) 23:05:47 ID:Ng4N/rO9
「『水』系統伝説のマジックアイテム。たしか、偽りの生命を死者に与え、傀儡の如くに扱えるという・・・・・・」
 モンモランシーの説明にギーシュ、キュルケ、タバサ、そしてさすがのアニエスも互いに顔を見合わせた。
「そりゃまたけったいなモンをパクッたもんだな。誰が欲しがるんだか・・・・・・」
「恐らくはクロムウェルね・・・聞き間違いじゃなければ、アルビオンの新皇帝よ。間違いないわ・・・タルブ村での戦闘の時、レコン・キスタはアルビオンで死んだウェールズ皇太子の部下たちの死体を操って襲ってきたわ」
 ウェザーとルイズが目を見開いた。短い間では合ったが、同じ城の中で過ごした時もあった仲だ。やるせなさと同時に、吐き気を催すようなやり口に怒りが沸いてきた。
「いいだろう。その『アンドバリ』の指輪は必ず取り返してやる。彼らの魂の安らぎのためにもな」
「わかった。ならば約束通り水を増やすのをやめよう。我はお前たちの寿命が尽きるまで待とう。明日も未来も、我には変わらぬ・・・・・・」
 水の中に姿を沈めながらそう言い残した。しかし、いざ消えようとしたところでタバサに呼び止められた。タバサが他人を呼び止める事に全員が驚いていた。
「待って水の精霊。あなたはわたしたちの間で『誓約』の精霊と呼ばれている。その理由が聞きたい」
「単なる者よ。我とお前たちでは存在の根底が違うゆえ、理解ができかねる質問だ。が、おそらくは我の変わらぬ存在に、お前たちは変わらぬ何かを結びつけ祈るのだろう」
 タバサは頷き、目を瞑って手を合わせた。いったい誰に何を誓っているのか。キュルケだけがその肩を優しく抱いた。
「それではぼくも」
 そう言ってギーシュが胸を張り高らかに宣言した。
「ギーシュ・ド・グラモンはこれから先、如何なる時もモンモランシーを愛し守ることを誓います!」
「ギーシュ・・・・・・ふ、ふん。ちっとも嬉しくなんか無いんだから。あんたの事だから、どうせ三日坊主でしょうからね」
 素直でないモンモランシーに一同は苦笑した。その時、アニエスがウェザーの裾を引いた。
「私たちも誓おう」
「・・・できかねるな」
 ウェザーの言葉にアニエスは眉をひそめた。もしかしたら泣きそうなのを必至で堪えているのかも知れない。
「なぜだ?やはりこんな筋肉女ではダメなのか?女らしさが足りなかったのか?」
「そうじゃあねーよ。ただ、今のお前じゃ話にならないってことさ。この件に片がついて、それでも誓って欲しいって言うなら考えてやらないでもないがな」
 そしてアンリエッタの頭を優しく撫でた。
「オメーはキレイだよ。そこんところは自信持っていいぜ」
 アニエスは俯いてしまったまま動かない。しばらくの沈黙の後にキュルケが切り出した。
「そう言えばダーリン、あたしたち付近で悪事を働いていたスタンド使いを一人捕まえたのよ!」
「何ッ!大丈夫だったのか?」
「ふふーん、あたしとタバサにかかったらちょちょいのちょいよ。ねータバサ」
「それでも全滅間際だった」
「あん!バラしちゃやーよ、せっかくのお手柄なんだから脚色して褒めて貰おうと思ったのに」
 タバサが言うからには本当なのだろう。スタンド使い対メイジならば、先制攻撃がとりやすいスタンド使いにアドバンテージがあるものだ。ましてメイジはスタンドに干渉できても視認できない。そのハンデを覆しての勝利となればこれは大殊勲ものだった。
「ふぁあぁあ・・・何か眠くなって来ちゃったよ」
 ギーシュのあくびが伝染したのか、急に眠気が全員の瞼にのしかかってきた。
「あたしたちは報告に戻るわ。ダーリンたちはどうするの?」
「せっかく来たんだし、湖畔で野宿も悪くないさ」
 翌朝スタンド使いの身柄を引き渡すことにして、キュルケたちはシルフィードに跨り深夜の空に飛び立っていった。
 ウェザーたちも持ってきた毛布を纏い、疲れに引きずられるように眠りに落ちていった。対面の木には仲良く頭を預け合って寝ているギーシュとモンモランシーの姿が。ウェザーも木にもたれて寝ようとすると、右にルイズ、左にアニエスが寄りかかってきた。
「ものすっごく寝にくいんだが」
「がまんしなさい」「耐えてくれ」
 問答無用で同時にそう言われて、反論する間もなく二人は睡眠に入ってしまった。
「ったく・・・・・・」
 ため息を漏らしながらもそれほどイヤな感じがしないのはどうしてだろうか。
 空と湖。四つの月が見える湖畔に吹く風は初夏にしては冷えるが、五人の体は温かかった。


142 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 23:09:13 ID:sUovoGe7
エンッ

143 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/11/20(火) 23:09:14 ID:Ng4N/rO9

「で、本当に治るんだろうな?」
「大丈夫。これで失敗でまた同じ苦労するのはわたしもイヤよ」
 翌日、件のスタンド使いを引き取り一行は学園に帰ってきた。スタンド使いは火傷などの重傷を負っており、処置はしたが意識不明のままだった。もっとも、犯した罪の重さから死罪は免れないとのことである。
 帰ってきてまずモンモランシーの部屋に駆け込み、突貫作業で調合を済ませて解除薬を完成させたのだ。モンモランシーは額の汗を拭いながら、椅子の背もたれにどっかと体を預けて疲れたようにそう言ったのだった。
「よし、これを飲めアニエス」
「うっ・・・!く、臭いぞ、これ」
 何を混ぜたらこうなるのかと言うような臭いがるつぼから立ちこめている。アニエスが拒むのも当然と言えるが、ここは無理にでも飲んで貰わなければならない。
「これは・・・そう、特訓だ。毒に対する耐性をつけるために用意した特訓なんだ」
「特訓・・・ウェザーが私のために用意してくれたのか!ならばどんなものであろうと飲み干してみせよう!」
 言い放つとウェザーの手からるつぼを奪い取り、一気に飲み干した。さすがに一気はまずくないかと一同が心配そうに見守る。と、そんな中でモンモランシーがウェザーの脇をつついた。
「取り敢えず覚悟しといた方がいいわよ」
「覚悟?」
「だって、惚れ薬の効果でメロメロになってた時間の記憶はまるまる覚えてるわよ。アニエスって人がどういう性格かは知らないけど、自分の意志とは無関係にあれだけのことやってればねえ・・・」
 だったらお前の方が危険なんじゃないかと言いかけたところで、ひっく、としゃっくりが一つ聞こえてきた。
「ふぁ?」
 間の抜けた声を出したあと、憑き物が取れたように表情がハッキリとしてきた。そしてみるみる顔を紅潮させ、額に血管を浮かばせて引きつった笑みを見せた。
「あー・・・まず殴る?」
 一撃くらいは覚悟してやるかと奥歯を食いしばったが、アニエスは引きつった笑みのままそれを辞退した。
「私はこのあともスタンド使いの取り調べがあるんでな。これで失礼する」
 指の関節をごきごきと鳴らしながらそう言ってのける。この時ウェザーは心の底からスタンド使いを捕まえたキュルケとタバサに感謝したという。あとは質問が拷問に変わらないことを祈るのみだ。
 アニエスは出ていくときにルイズとすれ違った。
「治ってよかったわね」
「ああ、そうだな。君の使い魔を借り受けて君にも迷惑をかけたな。だから―――」
 最後の部分はルイズにもよく聞き取れなかったが、アニエスは歩みを止めることなく去っていった。

 罪人を運ぶ護送馬車に乗りながらアニエスは空を見ていた。
「キレイ・・・・・・か」
 力が物言う職場上、腕を磨くことのみを考えて生きてきた。それが自分の目的のためにもなることは解っていたからだ。だから、面と向かって『キレイ』だなんて言われたことはない。
 アニエスが最後に言った言葉は「また迷惑をかける」だった。それがどういう意味を持つのかは言った本人でさえよくわからなかったが、少し興味が湧いてきた。
「なにか良いことでもおありでしたか?」
 隣の御者の声に我に返った。顔を触ってみれば、なるほど、確かに笑んでいたようだ。
「そうだな。疲れたけれど、いいことだったよ」
 空は夏らしく高く、入道雲が昼寝をするかのように横たわっていた。

 後日談として。
 誰が流したのか『アニエスがウェザーに惚れている』という噂が王宮に広まり、その後の二人の様子から『アニエスはウェザーに捨てられた』に発展し、アニエスを隊長に据えた新組織の銃士隊の面々から、ウェザーはしばらく刺すような視線を浴び続けたとか。

To Be Continued…


144 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 23:12:58 ID:dqRdW6a5
GJ!!

145 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/11/20(火) 23:13:19 ID:Ng4N/rO9
以上投下完了!
骨折は八割回復しました。支援サンクスです
そろそろさんざん引っ張ってきた薬編に突入します。
でもその前にキュルケとタバサのスタンド攻略を

146 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 23:15:12 ID:sUovoGe7
投下乙!

147 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 23:15:38 ID:ugBi17YS
GJです

148 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 23:16:15 ID:sSunPVZl
ちょっと 0・2・8・0(オー・ツー・ハーレー)

149 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 23:20:29 ID:Ro7d4Hql
>148
ジャイロ、自重ww

ヘビーゼロの作者GJ!!!

150 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 23:32:12 ID:N9RL+hey
GJ!!
キュルケ達が倒したスタンド使いや『白の粉』やらが気になる、続きを楽しみにしてるぜ!!

151 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/20(火) 23:36:06 ID:yPx1y6ps
>そしてアンリエッタの頭を優しく撫でた。

そしてアニエスの頭を優しく撫でた。

だな

152 :使い魔は引き籠り:2007/11/21(水) 00:58:17 ID:gSzJC6gz
遅くなりました。今日も投下行きます!

153 :名無しさん@お腹いっぱい:2007/11/21(水) 01:00:11 ID:mNphIQ9r
きゃもぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!

154 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 01:00:53 ID:Hbv8oD3t
ばっちこーい!!

155 :使い魔は引き籠り:2007/11/21(水) 01:00:54 ID:gSzJC6gz
「オールド・オスマン。食堂で生徒が騒いでいまして、
何事かと思い見てまいりましたら・・・・『彼』が、騒ぎを起こしています。」
「ほう、あのカメレオン君も、やっと人の目に映るようになったんじゃの。」
「真面目に聞いてください!大騒ぎなんですよ!」

コルベールが血相を変えて、一冊の古書を差し出し『ガンダールヴです!』と部屋に飛び込んできたのはつい昨日の事だ。
なんでも、彼(ミス・ヴァリエールが彼を見なかったかと、散々聞いて回っていたので覚えてしまった。イルーゾォという変わった名だ。)
の左手に現れたルーンが、始祖ブリミルの伝説の使い魔、『ガンダールヴ』と同じものだというのだ。
「ガンダールヴが透明になれるという記述は何処にもないようじゃの」というと、やはりふざけないで下さいと突っぱねられた。

「ミスタ・コルベールの言うように強力な使い魔なら、ミスタ・グラモンが危険ではないでしょうか?
『眠りの鐘』の使用許可申請も出ていますし・・・・」
「何、彼だってドットといえどメイジなのじゃ。そう一方的に負けはすまい。それに」
「それに?」

鏡は再び、広場に対峙するイルーゾォを映し出していた。
ギーシュと彼の間には、青銅の甲冑兵『ワルキューレ』が立ちふさがっている。
その長い槍と反対に、イルーゾォの手には短いナイフが一本だけ。

「彼にはちと、分の悪い戦いかも知れんの。」



ヴェストリ広場についてみると、その中央に糞ガキが胸を反らせて立っていた。
「逃げずに来た事は褒めてやろう。『平民』に僕らの誇りが理解できるか不安だったんだ。」
いつの間にか食堂から流れていたギャラリーは、遥か遠くでわっと沸いた。
「この『青銅のギーシュ』の『ワルキューレ』が君の相手をしよう。平民には過ぎるぐらいだが、ライオンはウサギを狩るのでも全力を尽くす。」

『青銅のギーシュ』?(『鏡のイルーゾォ』みたいなもんか?)ならばこの銅像が奴の能力。
しっかりと地面を踏みしめこちらに近づいてくる――――実体を持っている?だとしたら願ったりだ。

「勝負はどちらかが音を上げるまで。もっとも上げるとしたら君だけど・・・・立会人はここに居る全員だ、いいね?」
「構わない。」

糞ガキの薔薇の動きを合図に、青銅像が馬鹿正直に殴りかかる――――
顔面を狙った攻撃を、姿勢を下げて避ける。そのまま後ろに抜ければ女騎士は緩慢に振り返った。
右腕から振り下ろされた槍(こんなもん止まって見えるぐらいだ)の横っ腹をマン・イン・ザ・ミラーが薙ぎ、
体制を崩したそいつの首元をナイフで掻っ切る・・・・!

やはり青銅、傷はついたが硬く、刺さったナイフが途中で止まる。(本体にダメージは無い様子)
舌打ち一つして引き抜き、バックステップで距離をとり――――次の瞬間には地面に突っ伏していた。
不意の攻撃だ、背中から!第二撃を警戒して素早く起き上がる。


156 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 01:01:20 ID:I418DeF/
紫煙

157 :使い魔は引き籠り:2007/11/21(水) 01:02:06 ID:gSzJC6gz

「ギーシュ!一人相手にワルキューレ二体なんて酷いんじゃないの?!」
昨夜の女の声が聞こえた。二体!そう早くない動きの変わりにコンビネーションか、複数のスタンドだなんてついてない。
二体に背後を見せない位置まで身体をずらし・・・・更に腕をつかまれる。
「言っただろう?全力を出すと・・・・二体で終わると思われちゃあ困るね!」

咄嗟相手の腕にナイフで傷をつけ、そこをマン・イン・ザ・ミラーで強打する。
右腕を失い一瞬動きを止める一体をカヴァーし、もう一体が切りかかる。すんでで避ける。全部で四体、まだいるか?
距離をとるのはナシだ、多いなら同士討ちを狙う。避ける逸らすなら出来るだろうが、これ以上背中から攻撃を貰うのはヤバい。
デカく振りかぶった一撃を避けて先の一体の横を抜け、再度首を狙う。先程のとは違う一体。
これも途中で刃が止まるが、引き抜きざまに肘で強打すると大分傾いだ。
正面、更に二体から攻撃。目の前の銅像で受け(弱った首が見事に吹っ飛んだ。相手は馬鹿か)マン・イン・ザ・ミラーで殴りかかる。
右手から落としたのが一体、首をもいで動きを止めたのが一体、さっき切れ込みを入れた奴もやはり容易に首が落ち、残り一体・・・・

「い、意外とやるじゃあないかッ!」

違う、増えた。無限増殖か?動かないのを抜かしたら5体だ。
おまけに痛覚なんざ無いようで、千切れた右腕で殴りかかってくる。5体同時は流石に避けきれず、いくらかマトモに食らった。畜生ッ!
「意外とよく動くな・・・・だけど僕のワルキューレは同時に7体、お前を確実に仕留めるぞ!」

内臓にクる一撃を受けて、もんどりうって身体を投げ出す。続く攻撃が右足に降り、重たい金属の感触が脹脛の骨を踏み潰す。
「・・・・ッ、ぐ、ぁ」
絶えろ!まだ左足が動くじゃあないか、立ち上がれ・・・・!次いで右腕をもへし折ろうと迫る一撃を左手で受ける。
ビリビリ痺れ、左手の甲が溶けるように熱く滾る。一瞬視界が白んで頭を振った。
足を引きずり立ち上がる。再び右腕へ攻撃。倒れこむように避け、マン・イン・ザ・ミラーが再び頭を飛ばしにかかる
・・・・が、今度は明らかにパワーが負けた。一瞬怯んだ銅像は、構わず俺の腹を殴る。

痛い、痛い、泣きそうだ。右足は熱暴走したみたいに滅茶苦茶な信号を脳に送り、そのくせちっとも働かない。
無我夢中でナイフを振るい、三体目の首筋を抉る。「どうした『マン・イン・ザ・ミラー』、頭を・・・・ッ」


背中に迫る斬撃をマン・イン・ザ・ミラーが受けていた。
実体からスタンドへの攻撃は無効。それでもパワー不足のマン・イン・ザ・ミラーは重圧に腕を震わせ、その衝撃はオレへと帰ってくる。
右腕から飛び火したみたいに左手まで熱を持つ。焦げ付く痛み同士相殺してやけに意識がハッキリする。
(また助けられた――――『マン・イン・ザ・ミラー』。背中は、お前に預けていいんだな?オレを守ってくれるんだな――――)
どっと安心感が押し寄せ、しかし同時にオレの刃は鈍る。『一人で殺る』と決めたって言うのに。

懇親の力で三対目の首を思い切り殴り(拳の裂ける感触がした)それでも繋がった部分はナイフで裂いた。
ぐっと握りこむたびに、力が湧き出るような気がする。別のワルキューレが二体、そのナイフを叩き落とそうと手を伸ばし、
それを掻い潜る様に懐へもぐりこむ。胸を抉ってやったが、意にも解さない。細い部分じゃあないともぎ取る事も出来ないだろう。
背後、マン・イン・ザ・ミラーに逸らされた槍が、右肩を抉る。
大丈夫だ、傷は浅い!右足と違ってまだ動く・・・・!


そう。だが、右足は動かない。
フットワークを失ったオレは、マン・イン・ザ・ミラーが止められなかった刃のいくつかを避けられず、
全身に傷を増やしてゆく。
暫く一進一退の攻防が続き、動くワルキューレは残り3体まで減った。だが此処へきて、ついに青銅の重い打撃を右手で受ける羽目になる。
強い痺れに思わずナイフを取り落とす――――

158 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 01:02:27 ID:4nNWB2Sj
支援

159 :使い魔は引き籠り:2007/11/21(水) 01:03:44 ID:gSzJC6gz
途端。
今まで気にならなかった、全ての傷の痛みと熱が、倍以上に膨れ上がって襲ってきた。
とっくに全身ボロボロで、右足が無事だって立っていられる状態じゃあなかったのだ。
意思と関係なく身体が弛緩する。何度目か地面に横たわる感触で、戦意が音を立てて崩れていく。
(駄目だ、駄目だ、泣くなよイルーゾォ!ここで負けたらお前は暗殺者じゃない!)
腕を伸ばしてナイフを掴もうとしたところで、ワルキューレが『それ』を踏み砕いた。

「ハハ・・・・そんなにコイツが怖いのか、坊ちゃんよお。ナイフが怖くて仕方ないんだな・・・・」
「負け惜しみを言うなよ、平民。」

オレの右手は歯痒さとともに残骸を掴む。柄も刃も砕けて欠片ばかり、とてもナイフとは言えなかった。
先ほどまで溢れていた力が戻らない。何故だろう?武器を手にすれば戦える。そんな確信があったのに。
考えて、思い至る。

欠片だって急所に突き立てれば命を奪えるだろう
だが、そこまで手を伸ばす余力すらなかった。
オレはもう、どうやったって――――コイツを『武器』だと思えないのだ。


ギーシュ、『青銅のギーシュ』と呼ばれる彼は、造花の杖を振りワルキューレを退ける。
悠々とした足取りでイルーゾォに近づき悪戯に、蹲る男を覗き込んだ。
油断と驕りからくるその行動は『暗殺者』を激昂させるに十分だったが、その激情があって尚、イルーゾォの身体は動かなかった。
「謝れば許してやるさ。本当は土下座ぐらいさせてやりたいが、今のお前には無理だろうしね!」
「・・・・・・・誰、が・・・・・・ッ」

頭上から振る嘲笑に打ちのめされる。
欠片を引き寄せ、これで戦うんだと自身に鞭打つのに、歯向かうように動かない全身。


「強情を張るね。そんなもんでどうしようって言うんだよ、そんなのもう――――」
強く握りすぎて血の滲む銀の欠片に映る、自分の情けない泣き顔と、それを笑う『青銅のギーシュ』。

「『鏡』くらいにしか使えないじゃないか。」




少年の嘲笑は刹那、銀の欠片に飲み込まれて消える。
「『マン・イン・ザ・ミラー』・・・・オレも、奴も『鏡』だと思うなら・・・・・『許可』、出来る・・・・・ッ!!」

160 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 01:04:35 ID:4nNWB2Sj
支援

161 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 01:05:19 ID:GIKKgjiW
sien

162 :使い魔は引き籠り:2007/11/21(水) 01:05:49 ID:gSzJC6gz
以上投下終了。
スーパーイルーゾォタイム終了のお知らせ。
次回より通常営業を再開させていただきます。

エピタフ失敗した奴らの賭けた、マンミラだの10ペリカだのは頂いて行きますよ!

163 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 01:09:46 ID:4nNWB2Sj
クソッ!
マン・イン・ザ・ミラー持って行かれた!
でもGJ!

164 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 01:13:16 ID:hSql2sJW
いつからダービーになったんだ引き篭りの中の人w
通常運営にワクテカなんだぜ

165 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 01:16:55 ID:F4XAUj1d
GJ!おぉ…GJ!
これは予想外の展開だ!!
頑張れ鏡警備員!!

しかしマン・イン・ザ・ミラーほど本体に思われてるスタンドはないな
もはや新ジャンル「スタンドデレ」状態だw

166 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 01:28:09 ID:M/d/6k+A
>>165
なんだそのスタンドw

167 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 01:47:44 ID:h8YKcDHy
おお、鏡警備員が頑張っている!
でもスーパータイム終了なのかよw これからじゃないのかぁぁあーっ! GJ!

168 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 01:48:14 ID:yzDYecM8
GJ!!
まさかのガンダールヴ効果を使わずのスーパーイルーゾォタイム、これはまさに『鏡の世界へようこそ、ギーシュ』
10ペリカはイルゾーへのご祝儀って事でお納めください。

169 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 04:17:50 ID:FFYfGzEW
>>168
使いまくってたじゃないかガンダールヴ効果。
使ってたから苦戦したとも見れるが。

170 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 04:22:01 ID:qlFM7p3l
そろそろ仮面とか承太郎成分が恋しくなってきた

171 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 04:42:21 ID:YVfAZNdm
別の人が投下して10レス以内にそれは
デリカシーがないと思うわ。

172 :名無しさん@お腹いっぱい:2007/11/21(水) 05:06:48 ID:mNphIQ9r
>>170
作家さんに対して、敬意を払えっ!

173 :170:2007/11/21(水) 06:28:23 ID:qlFM7p3l
別に作家さんに敬意を払わないとかそんな事は無かったんだが確かに不適切だった
すいませんでした、半年ROMってます

174 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 08:03:52 ID:CMW+BjN4
引きこもりGJ!
イルーゾォかっこいいよイルーゾォ

175 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 09:25:13 ID:dWbzjkK8
マンインザミラーの忠臣ぶりとイルーゾォが向ける信頼にほろりときたぜ……
言葉は交わせずとも一心同体。いい関係だなあ

176 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 10:57:40 ID:RFu88cNz
しかしこんな大勢の前でスタンド能力使っちゃってこれからどうするつもりなんだろうか?

177 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 11:30:12 ID:Eg7NQmGR
MIMってどのくらいの大きさのものまで引き込めるんだろう
自分の持てる程度かな?

178 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 11:33:34 ID:f6VV2g+t
引き篭もりの方GJ!
っていうかこれからじゃないのか! スーパーイルーゾォタイムはっ!

>>176
また引き篭もるんじゃね?w

ところで、マンミラの『許可』宣言って宣言を言い終わらないと発動できないのかな?
鏡に自分を映したのにタバサに遮られたから少し気になった。


179 ::2007/11/21(水) 11:35:58 ID:YUDUh+mP
『ジョジョの奇妙な冒険』の名台詞が百人一首に
http://news.ameba.jp/hl/2007/11/8720.html

180 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 12:37:20 ID:2Jd+3AhG
>>177
本体が「これ以上は無理」と思うまで。
その気になれば、時天空だって引きずり込めます。

181 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 12:41:36 ID:dLKNSij3
ってことはゲッペラーもできるのかww

182 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 15:48:28 ID:4vFqHqen
しかし来年の正月は各所で『酒ッ!』とか『さすがディオ!』とかの叫びが蔓延しそうだなw

183 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 16:30:34 ID:gSzJC6gz
>>178
アバッキオ・ジョルノ戦を参考にした
マンミラ(もしくはイルーゾォ)が相手を『掴んで』引き込んでたから接触の必要があるかと。

184 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 19:26:28 ID:rCjKw1Ia
『だがウィルスは許可しなィィィ!!!』はあるのかな?(ジョジョ百人一首
あ、鏡さん乙

185 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 19:32:31 ID:DD75yqek
残念だが発売は2月で正月に間に合わず
1部〜3部の台詞が対象なので5部は無いんだ

186 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 19:33:16 ID:5QfIuDz4
百人一首は1〜3部までらしいぞ
ぶっちゃけ顎買った方が良い

187 :風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/11/21(水) 20:06:42 ID:csr+2plz
あ、ありのまま今起こったことを話すぜ!
不自然なところに鏡があったのでこれで俺もルイズに会えるウフフフフと言って飛び込んだら
いつのまにか鏡の世界にいた
な、何を言っているかわからねーと思うが俺もなにをされたのかわからなかった・・・
頭がどうにかなりそうだった…
ファンタジーだとかメルヘンそんなチャチなもんじゃ断じてねえ、
もっと恐ろしい投下するぜ

188 :風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/11/21(水) 20:07:52 ID:csr+2plz
「わかってるさッ!僕だってこんなところで死ねないよ!ワルキューレッ!」

フーケの巨大なゴーレムの前に二体のワルキューレが現れる。
ルイズは男の上半身を自分たちの後ろに置く。

「あら?あなたは確か七体まで出せたはず…出し惜しみしてるなんて余裕ね」
フーケはキュルケとタバサの土人形を出し、向かわせる。

構わずワルキューレがゴーレムの脚部に突っ込む。
フーケのゴーレムが片方のワルキューレに蹴りをかまし、粉々に砕ける。
そこを上がっていないほうの足をルイズが呪文で爆破する。

「宝物庫を壊したときから不思議だったけれど…再生が遅いわ、なんの呪文なの…?」
フーケが呟く。

フラフラの状態のフーケのゴーレムに片方のワルキューレが突っ込み、フーケのゴーレムを押し倒す。
フーケのゴーレムは尻餅をついた形になる。

「錬金ッ!」
ギーシュがワルキューレと、ワルキューレの破片を錬金し、変形させる。
フーケのゴーレムの足を青銅で固定する。
丁度、フーケのいる位置の高さはワルキューレほどになる。

「これで、対等というところかしら?」
ルイズがフーケの召還する土人形をひきつけて、爆破する。

「私が上ッ!お前らが下だッ!!」
フーケは悪態をつき、石礫を放つ。
ルイズ達に正確に石礫は飛んでくる。

「この高さならァアアアッ!迎撃可能ゥウウウウッ!食らえ重機関砲をォオオオオッ!」
飛んできた石礫は粉々になり、破片が周辺に着弾する。

「どう、わかった?もうそのガラクタのゴーレムは乗り捨てて、大人しく投降しなさい」
「脚なんて飾りですわ!あんたらみたいな小娘にはわからないのね!」
青銅で固定されている部分を殴って破壊し始める。

「ま、こうなると思ってたわ、ギーシュ、残りも作戦どおり頼むわよ」
「はあ、こんな作戦だけどやるしかないのか」

ギーシュはちょっと落ち込みながらルーンを唱え、残りのワルキューレ五体を召還する。
その五体のワルキューレは四角形でフーケを囲み、一体だけ背後に一歩離れて立っていた。

男が口を挟む。
「フフ、そのような陣形で囲むのか、ワルキューレで五角形に囲むでは呼びにくい…この俺が名付け親(ゴッドファーザー)に
なってやろう!そうだな、森の守り神という意味のソナタ・アークティカというのはどうかな!」
「その呼び名、その名前グーだね!ベリーグーだッ!」
「やれやれ、男ってのはこんなのばっかしなのかしら」
ため息をつきながら杖を振り土人形を爆散させる。

「やれやれ、なにかと思えばこんなちゃちな作戦かい、考えてることがわからないわね」
フーケのゴーレムは拳を振るい、正面のゴーレムから順に一撃で破壊していく。

男はうろたえる。
「う、うろたえるんじゃあないッ!ドイツ軍人はうろたえないッ!」
「うろたえてるのはあんただけよ」
しかし、ルイズは冷静と見つめている。もっともギーシュはワルキューレのあまりの脆さに呆然としていたが。

189 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 20:09:30 ID:gSzJC6gz
支援wwww

190 :風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/11/21(水) 20:09:43 ID:csr+2plz

破壊した途端!そのゴーレムの頭部に入っていた燃料…小屋にあった暖炉に使われていた液体燃料…がフーケに降りかかる。
「臭いでわかるように燃料をぶっかけたわ…食らいなさい!私の爆発を!」
ルイズは杖を振る。


フーケは高らかに笑い出す。
「あはははは!なに考えてると思ったらそんなことかい!あんたら土くれのフーケをなめてるんじゃないの!」
ガソリンは次々と泥に姿を変える。
「液体の燃料なんて滅多にみないけど、しょせんは化石燃料!この程度の錬金、鉛筆の芯をボキッと折るようにできるわよ!」

ルイズの呪文が頬を掠める。
呪文は後ろの最後のワルキューレの顔面に着弾する。まだそのワルキューレは動けるようだが、攻撃の成果は期待できなさそうだ。

「やれやれ、最後は同士討ちかい?悲しいねえ、じゃあとっととあんたらを始末して…」

フーケは最後まで言葉を言い終えることはできなかった。
杖を落とす。

フーケは縛られていた。

「な、これは…ロープ!?いつのまに高所にいる私を縛ったの!」

そう…先ほどの五体のワルキューレの中にロープを仕込み、一体目から四体目までのワルキューレはガソリンを撒いて
気をそらしている隙に錬金しフーケのゴーレムに外側に落ちないよう突起に引っ掛けておく。
そして最後のワルキューレには両方の先端を入れておき、片方の先端を頭部、もう片方の先端を肩に入れておく。
頭部の先端には錘をつけておき、頭部を破壊すれば、片方の先端だけ落ちていき、フーケは縛られることになる。

ロープに簡易とはいえ縛られ、身動きができなくなり、ゴーレムから落ちる。
もうそれほどの高さではないため怪我はないが、そこにはルイズが立っていた。

「燃料といい、ロープといい、色々小屋から拝借しちゃって、ごめんなさいね
さあ、土くれのフーケとはいえ、杖がなければなにもできないわよね?人間そっくりで話す土くれを
作るなんて…今思えば学校で襲われたときに助けたミス・ロングビルも土くれだったわけね。
…さあ、もう諦めなさい」


「そうね…確かにこのスタンド…ジャッジメントは魔法も干渉するし…魔法と同じように精神力が必要…」
フーケが、不適に笑う。

「だけれどもね、杖はいらないのよ!『ジャッジメント』!」

ジャッジメントがルイズに殴りかかる。

「あんたの…スタンド、って言うのね。実はほんの少し前にあなたみたいなのと戦う機会があってね、不運だったわね
杖を落としても使えるようだったから、手は打っておいたのよ」



191 :風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/11/21(水) 20:10:48 ID:csr+2plz

後ろから叫び声が聞こえる。
最後に残ったワルキューレの胴体からだ。
「ギクシャクする脚もないがァァァァァ!おれの機関銃は完了ォォォォッ!そしてくらえッ!MP40機関銃をォオオオオッ!」

地面にいるフーケに向かって弾丸の雨が降り注ぐ。
後ろからとっさに攻撃され、ジャッジメントで致命傷になりそうなものは叩き落したものの、何発かの弾丸がフーケに突き刺さり、
フーケは痛みで気を失った。


 * * *


「それにしてもあの作戦…まるで僕のワルキューレがかませ犬扱いじゃないか!一撃でやられる前提で作戦を立てるなんて!」
「実際そうだったでしょ、なによ、文句でもあるの」
「いや、でも…一つのワルキューレにロープの先端と錘、もう一つの先端、そして胴体に男を組み込んだ僕の錬金の上手さは
特筆すべきものがあったんじゃないかね?」
「だからどうだってのよ、私は作戦立てたのに土人形破壊で忙しかったのに、あんたは自分のワルキューレがやられる様を
呆然と見てただけじゃない。土なんだからあんた得意の錬金で分解できたでしょ?」
「う…で、でも僕が居なければこの作戦は…」
「消火終わった」
火をつけた森の消火に行っていたタバサたちが帰ってくる。

「それにしても、ミス・ロングビルが『土くれのフーケ』だったなんてね」
「意外」
「精巧で話す土人形を生み出すなんて恐ろしすぎるわよ…でもルイズ、私たちを人形とはいえ躊躇なく爆破したらしいわね。
あんたの図太さには呆れるわ。それに比べて私は繊細すぎわたね」
「タバサはともかくなんであんたの土人形を爆破するのにためらわなきゃいけないのよ」
「あら、ルイズとはいえ一応知り合いだから躊躇った私とは大きな違いですね、そんなんだから胸がないのよ」
「む、胸は関係ないでしょ!」
タバサが割って入る。
「起きる前に運ぶ。シルフィードに乗って」
「ああ、そうだった!早くしないと!」
ルイズたちは気絶したままのフーケを乗せる。

「ルフトバッフェ(ドイツ空軍)出身の俺でも竜には乗ったことなかった
…だが我がドイツの空軍は世界一ィィィ!乗れんことはないイイィーッ!」
ギーシュが仮止めして一応五体満足な男が叫ぶ。

「きゅいーきゅいー…(怪我明けに六人は辛いのねー!)」
シルフィードがバタバタする。
「この怪我だと六人は辛いみたいだから、乗らないで」
「む、むう、まあしょうがないな……かなり興味があるが…」
「あとでまともな土メイジも送る」
シルフィードが飛び立とうとする。

「そうか、配慮感謝する…そして、金髪の少年と桃色の少女!貴様らには危ないところを助けられた、我が
ドイツの軍人ならば鉄十字章の申請をするところだが…生憎ここはドイツではない…感謝しかできなく、すまない」

飛び上がったシルフィードに男はいつまでも右手を斜め45度に掲げていた。

192 :風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/11/21(水) 20:11:56 ID:csr+2plz
投下終了。
ちなみにワムウ様は鳥坂さんのライバルの兎と戦ってたとかいないとか

193 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 20:15:52 ID:gSzJC6gz
投下乙 GJ!
ドイツ軍人が喋るだけで笑えるのは何故ww

194 :風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/11/21(水) 20:21:28 ID:csr+2plz
ってか縛ったときの様子がわかりにくいなーと思って即席で図を用意してみたが
ttp://pict.or.tp/img/31260.jpg
よけいわからんなこれ

195 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 20:30:42 ID:MIzL+qPE
乙ww
かわいいよかわいい

196 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 20:45:00 ID:23274x2x
鏡警備員&ワムウ様GJです



>>162
私、賭けに負けたけど本当にイルーゾォが欲しいんすかw
ミラミララッシュをブチかまされますよwww

197 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 20:50:39 ID:csr+2plz
一家に一体マンインザミラー

198 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 21:31:33 ID:226b3Oyt
実用性ならマンインザミラーだが、
ロマンを求めるなら(?)、男は黙ってグリーンデイ


199 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 21:41:09 ID:h8YKcDHy
マチルダさん亀甲プレイw その一言で縛った様子はバッチリだぜGJwww

200 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 22:12:01 ID:kLLF6qfb
>>198
グリーンディを使って
「俺は上!手前が下!」
って言う方が更にロマン感じない?

201 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 22:48:16 ID:TNuRQTOx
>200
なんかその台詞、負けフラグ?

202 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 22:49:33 ID:yzDYecM8
【チープトリック】
誰とも交わらず、群れず、相容れず、貴方だけのクールな時間を演出し、憂いと静かなる決意が貴方を包む…
貴方は孤独と静寂を伴侶とする『孤高の一匹狼』になるのです。

【アヌビス神】
強大な敵であろうとも…堅固な壁であろうとも…仇成す物は、遮る者は切り捨てる。
その美しく妖艶なる刃を携える姿はまさに『剣豪』貴方はきっと万人から羨望の眼差しを向けられる事でしょう。

【ノトーリアスB・I・G】
喩え自らの身体が滅びても、その先に死しか無くとも貴様だけは倒してみせる。
一撃必殺、覚悟完了。
敵を倒す覚悟を決めた時に、貴方の魂はまさに『戦士の中の戦士』として美しく輝く事でしょう。

これこそまさに漢のスタンド。

203 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 22:49:54 ID:Rc8N36Bh
>>200
それなんてポルポル君?

204 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 22:54:29 ID:Gp/Y8Wdh
ヘビーGJ!アニエスフラグ!アニエスフラグ!
鏡ヒッキーGJ!地味ーゾォ格好良いよ地味ーゾォ
風虚無GJ!亀甲プレイとなwww

ところでタバサ召喚ディオを書いても…いいかなぁ〜〜ッ?
って言いたいがタバ冒読んでないから書けねぇなぁ〜

205 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 22:56:45 ID:M/d/6k+A
>>202
↑はねえよwwwwww

206 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 23:08:14 ID:qYmt9b5e
タバサがディオを召喚………

ディオの登場シーンに数ページつかったり、タバママが
「娘の使い魔が捕まるのは見たく無いはない」
とか言い出した後にディオからタバサをかばって刺殺されるのか………

207 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 23:12:28 ID:6QSCEAWk
>>204
さあ明日にでもすぐ文庫本2冊を買って来る作業に(ry

俺もゴージャス・アイリン召喚の連載ネタが次々と頭に浮かんで困っている
現在鋭意ストップ中の長期連載と短期連載がそれぞれ残ってるとゆーのに…

208 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 23:14:29 ID:CINLl3+p
ん〜さぁてどうしよう
資料用にJOJO A GOGOを買ったのは良い
買ったのは良いんだが…でかすぎねぇかコレ?

209 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 23:16:50 ID:Rc8N36Bh
>>202
じゃあ俺も一つ

【ハイウェイ・トゥ・ヘル】
「この苦しみは誰にも判らない」
そんな哀しみから解放してくれる素敵なスタンド
きっと彼女なら、この苦しさを分かち合える

210 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 23:23:23 ID:Rc8N36Bh
なぁ>>208…ガッつくようだがくれないか?
僕の好物なんだ。

211 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 23:27:51 ID:5DTg6+zO
>>208
      /             ヽ
     /  : な ・   い ・    |
     |   : い ・  い ・     |
     {   : か ・  ん ・     |
      ゙i    :   じ ・     }
      `ヽ   :   ゃ ・    /
   ,-='"´ヾ\ :   あ ・  /
   ⌒T^ヽヾミリr‐-、,_  ,-='⌒\
  ヾ、 ! iミ、ヽ、゙" /ノノ_/|// _ノ´ノヽ
  ヘ,=、,,_ヽ、   ^ト、,_二=、,, /‐|
  "^___,,,ノ`     `ヾ-=、ノ 彡  ,ィ
   (彡‐'´      ,、==、、  } -彡'
     ,、r==、     !"r‐、ヽ  `i",ィ'
  ゝ  ソ r' 。i      ヽ゚,シ   }_シ
  {   、`ーノ /⌒ヽ  ̄    レ⌒ヽ
  ノ    ̄      _,,ィァ   //^} }
 ヽ、    ト─=ニニ‐ノ    iヽ / ノ
  、{、i,    ``'ー─‐‐'´,    i-‐'/
 、`ー-i,    `ー‐      /ー'´
  `'ー‐'ヘ          /
    r'~`!`'、,ー、,,___,/-/-v'⌒ヽ,r-、
 -‐'^, -'ヽ  `'=---┬''~´/‐-リ r==、|
  '´    \ □] i| □ノ  /ヽ,ー‐' |
        ゙──┴‐'~ /   `ーイヽ

212 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 23:31:49 ID:POR0zPZz
ヤバイ!!引き篭りさんやヘビーさん頑張ってる!!
僕もそろそろ頑張んないと!!

213 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 23:33:07 ID:yzDYecM8
【パープルヘイズ】
貴方を取り巻く香りは死の香り…
その香りはとても危険で、とても野性的な獣の香り…
『野獣』の香りに周りの人々は崩れてしまうでしょう。

214 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 23:45:14 ID:kLLF6qfb
>>213
あれは使った本人も対象になったはずだが、
それゆえ使いたがらないんだが、
周りは兎も角自分も崩れるのはどうかと。

215 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 23:47:08 ID:GfVI0T13
妄想が何とか形になってきた感じだな。自分。
ところでここでss書くに当たって最低限抑えておくべきゼロ魔側の資料って
単行本12冊+タバ冒2冊でいいのか?
アニメだのマンガ版だの公式資料集(?)だのはちょっと食指が動かないんだが・・・

216 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 23:52:26 ID:Q251ruX6
アニメがあるとルイズの部屋の内装だのが分かったりして地味に便利だったりするけどまぁ絶対に観とけってもんではないなw

217 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 23:54:46 ID:yzDYecM8
>>215
一応それで十分だと思う。
でもアニメのキャラとか出す可能性があるなら、アニメも見たほうが良いんじゃないかと思う。

218 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 23:55:02 ID:6QSCEAWk
>>215
それで十分。ただこのスレだと、アニメ第一期のオリジナルエピソードに登場した
ジュール・ド・モット伯爵というキャラが大人気でどのSSにも良く登場するから
この人が出る話だけ目を通してみてもいいんじゃないかとは思う(確か4話だったはず)

…そして誰でもいいからゲーム版のこと、時々で思い出してあげて下さい

219 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/21(水) 23:56:45 ID:POR0zPZz
>>218 だが断る!


220 :使い魔は引き籠り:2007/11/22(木) 00:03:36 ID:gSzJC6gz
>>196
正直いらない

今日も投下行くぜ!
イルーゾォにチープトリックくっつけたら凄く楽しそうに鏡の中で暮らすと思う
ていうか死にさえしなければチープトリック欲しい。あれ可愛くないか。

221 :使い魔は引き籠り:2007/11/22(木) 00:04:49 ID:gSzJC6gz
私の使い魔はボロボロだった。
当たり前だ。ギーシュの『ワルキューレ』七体相手に、刃物一つで立ち回るだなんて冗談が過ぎる。
それでも彼は闘った。
脇腹や両腕から血を滲ませ、右脚を腫らし、けれどそんな事は気にもならないと言わんばかりに。
闘う彼は、まるで『今までずっとそうしてきた』程に自然だった。
闘いの中に日常を見出すような表情は、召喚した日に見た覇気の無い顔とも、私を拒否して逃げ回る態度とも全く違って
私は彼が判らなくなる。

イルーゾォは健闘虚しく、傷だらけで広場の中央に倒れ伏す。それを見て涙が零れた。
彼が見ておけと言ったのは、『死んでも屈さない』、とそういう事だったのだろうか?

対照的に無傷のギーシュが彼を笑った。彼のただ一つの武器を取り上げて、非を認め詫びろというのだ。
イルーゾォは当然のようにそれを断る。
彼の堅い意志を、ギーシュは再度笑う。この後なんか、見なくったってわかった。イルーゾォが音を上げるまで、一方的にいたぶるのだろう。

観衆の殆どがそれを望んでいるから。

イルーゾォの言う『貴族様』は、彼が命を賭した決闘すら、ショーと同じものだと思っている。
傷だらけの『平民』に同情するものは、数える程も居なかった。

イルーゾォ、もう謝って。ギーシュもこいつを許してやって!
そう叫びたかったのに(隣りでキュルケが、同じような事を既に叫んでいた)喉が上手く動かない。

観客が大きくざわめく――――涙でよく見えないが、ワルキューレが何かしたに違いない――――

涙を拭って前を見て、驚愕した。
ギーシュが、完全に消失して居たのだ。ワルキューレ達が主人を失って崩れ落ちる・・・・

「ギーシュッ?!」

モンモランシーの悲鳴を背に受けて、私は走り出していた。
『死んでも屈さない』なんかじゃない。
『死なないし屈さない』――――私の使い魔は、誰よりも『自分が生きる事』に真剣だった。



222 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 00:05:09 ID:0hS3plB1
支援

223 :使い魔は引き籠り:2007/11/22(木) 00:05:51 ID:ZeS32S/b

オレはもう満足に働かない頭で、『鏡』になった小さなかけらを見つめていた。
オレの背後に映り込んだ糞ガキは、怯えた表情で辺りを見回す。
鏡の中は『死の世界』だ。生物も風も温度も無い死んだ世界に、慣れないものは誰だって震える。
その糞ガキを、オレと同じだけ血塗れの『マン・イン・ザ・ミラー』が背後からぶん殴った。
ガキは突然の衝撃に悲鳴を上げ(たようだった)逃げ出した。それを更に追いかけ、蹴りつける・・・・
スタンドも武器も取り上げられ、戦況は一転してオレのワンサイドゲームだ。――――『いつも通りの』。

オレは何をやっているんだろうと思った。
さっきまで『一人でこの試練を乗り越える』と燃えていたってのに、結局全部スタンド任せだ・・・・

バカらしくなって、折れた右脚の分だけ(我慢ならない痛みだ)適当に苛めてやってから、鏡の外に放り出す。
(あっという間に俺に劣らずボロ雑巾になった糞ガキは、泣きながら小さな声で謝罪を繰り返していた。)
やっぱりオレは『マン・イン・ザ・ミラー』の能力無しじゃあ何にも出来ないんだな。
いつに無くマジに闘っても、『鏡』がなけりゃあガキにも負ける――――

情けなくって泣けて来た。人を殺せない『暗殺者』なんてとんだ笑い種で、守る『誇り』も『信念』も途端に安っぽくなった気がした。

意識が落ちる寸前に、ルイズか駆け寄ってくるのが見えた。
「大丈夫?!」なんて聞いて来るのがおかしくて、口角を吊り上げる。大丈夫そうに見えるかよ?


そして意識を手放した。



ぴくりとも動かなくなった使い魔を見て肝が冷える。し、死んじゃったの?嘘よ・・・
恐る恐るイルーゾォを覗き込むと、血塗れの腹の辺りが小さく上下していた。まだ息が――――

「『レビテーション』!重傷だけど、まだ死んでないわッ!タバサ、治癒魔法出来る?!」

・・・キュルケ?あのう、何処でお知り合いに?

「全部はとても無理。」
「医務室に運ぶから、応急処置で構わないッ」

何だか知らないがテキパキと指示を出すキュルケに、私の使い魔は取り上げられる。
・・・・まあしょうがないわ。イルーゾォは助けなきゃいけないし、あたしレビテーション使えないし。
そういう事なら礼を言おうと「あり・・・・」まで言ったところで、イルーゾォの身体が勢いよく目の前をスッ飛んで行った。
勿論私は無視で。
「あり・・・・あり・・・・アリーヴェデルチ。」
ベタに誤魔化したところで、知らない声が再び耳を劈く。

「イルーゾォさあんっ!嫌です、死んじゃうなんてそんな!」
「貴女!医務室のベッドをすぐに使えるようにして。後、氷やタオルの準備お願い!」
「は、はい!」

・・・・メイド?あのう、一体どなたですか?

「助かりますよね・・・・イルーゾォさん・・・・!」

もしもしすみませんけど。
貴女とキュルケ、『なんで』意気投合してるの?
あのう、そのう、わたし。そこに混ざれない雰囲気かしら・・・・?



224 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 00:06:05 ID:F/IuVa88
チープトリックのCV(脳内設定)がルイズの中の人と同じだ

225 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 00:06:09 ID:BnQW4kXz
支援

226 :使い魔は引き籠り:2007/11/22(木) 00:07:14 ID:ZeS32S/b

やっと私が自分の使い魔に会えたのは、あいつが医務室に詰め込まれて5時間もたった頃だった。
その辺に転がっている水属性のメイジを、キュルケが半分脅すみたいに集めて(それでもモンモランシーは断固拒否した)
医務室につくまでに殆ど流血は無くなり、校医の先生はその迅速な対応に甚く感激していた。
それでも骨折やら臓器の内出血やらで酷い怪我らしく、(「面会謝絶よ!」と何故かキュルケが言った)あいつの意識が戻ったのは一時間前。
それを聞きつけたあたしがやってきて・・・・

「本当に怖かった・・・・私てっきり、イルーゾォさんが死んじゃうかと・・・・!」
「な、な、泣くなよっ」

ベッドサイドでさめざめと泣くメイドに途方にくれ、行き場をなくした手が零れる涙を掬おうとしたあたりで
私の聞こえよがしな咳払いに気づいた二人はぱっと離れた。死んじゃえば良かったんだこんなやつ。
「お邪魔だったら出て行くけど」
「いえっ、と、と、とんでもございません・・・・!」

真っ赤になって飛び出していくメイドを目で追って、何だか凄くやるせない気分になった。
何この、迷子になった飼い犬をやっと見つけたと思ったら、慎ましくも幸せそうなご家庭で『クロ』と呼ばれて可愛がられていたような気分は。

「お邪魔虫」
「五月蝿い!何時からそんなご身分になったってのよ!」
「ま、まだ言うのか!」

イルーゾォは久方ぶりに対面したと思ったら、警戒心をむき出しにこっちを見る。
少しばかり目を離した隙にすっかり『貴族不信』になってしまったようで(その辺は、あの戦いを見た後なら納得できるけれど)
とても私達の関係は、『主人』と『使い魔』とは言えなかった。

「まあ・・・・ね、命に別状が無くって、良かったんじゃない?」
「『おかげさまで』」
「皮肉屋!」
「お邪魔m」
「五月蝿い!ああもう、話が先に進まないじゃない!私が対等に話してあげようって言ってるのにィッ!」

バンドエイド越しに頬っぺたを抓ったら、下に切り傷があったみたいで大げさに痛がられる。
なんでかなあ。なんでこんなになっちゃったのかなあ。もっと従順だったり、かっこよかったり、頼りがいがある使い魔が良かったのになあ。

「ここの医療はピカ一だから。もう一度寝て、起きた頃には全快だって。」
「嫌に早くないか?『そういう能力』の奴が居るのか?」
「ずいぶん持って回った言い方をするじゃない。まあ、そうね。水属性・医療魔術のエキスパートが控えてるわ」



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」

イルーゾォが、警戒も何もあったもんじゃない間抜け面でこっちを見てる。

「は、は?じゃないわよ。魔法よ魔法。それしかないじゃない!
貴方を召還して、モノを浮かせて、青銅像も作り出した。・・・・貴方だって何か魔法を使ったでしょ。」

確かに見た。ギーシュが身体を虚空に飲み込まれるように消えて、再び現れた時にはくちゃくちゃだった、
私は見たこともないあの魔法。平民なのに、何であんなことが――――

イルーゾォはたっぷり間を空けた後、これ以上ないってくらい眉根を寄せてこういった。


「イカレてんのか?」


私の正拳突きがクリーンヒットして、イルーゾォは『もう一度寝』たっきり、丸半日意識が戻らなかった。

227 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 00:07:17 ID:MwcVN/2S
支援

228 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 00:07:50 ID:LJNqlByh
支援

229 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 00:07:55 ID:BnQW4kXz
支援

230 :使い魔は引き籠り:2007/11/22(木) 00:08:41 ID:ZeS32S/b
以上投下終了。
ルイズ には フラグ が たっていない!
恋するキュルケは強い子です。

231 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 00:09:47 ID:MwcVN/2S
支援

232 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 00:10:06 ID:O9nSPSVj
警備員の鏡支援

233 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 00:11:22 ID:gMwrdWUv
ヒロインフラグだけを狙ったように外すとは…!器用だなイルーゾォ!GJ!

234 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 00:12:49 ID:O9nSPSVj
俺が遅い…!この俺がスロウリィ!?

>>230
おちゅかれ!

ルイズだけハブw

235 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 00:15:09 ID:LJNqlByh
ルイズだけ…ww

236 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 00:18:45 ID:MwcVN/2S
GJ!
……別に無理してルイズとくっつく必要も無いよね。
書ききれるならキュルケでもシエスタでも構わないわけだ。

237 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 00:22:27 ID:wggh35bH
GJ!!
イルーゾォ。何かカッコイインダケド・・・。

238 :味見@本スレ出張:2007/11/22(木) 00:34:57 ID:MK9GJh4C
避難所に「投下」なんてありませんよ… ファンタジーやメルヘンじゃあないんですから。

239 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 00:37:46 ID:IfOdNzE1
頼るも何もスタンド能力は本人の才能だ
誇れイルーゾォ、マン・イン・ザ・ミラーは全スタンド最強考察でも上位に位置する能力だ。

240 :味見@本スレ出張:2007/11/22(木) 00:37:46 ID:MK9GJh4C
って、警備員閣下が投下されてるウッ!!!
いいねェ。『平民』と『貴族』の扱いの違いがよく出てるぜ。

シエスタ!シエスタ!

241 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 00:52:16 ID:xFS2Y2CY
鏡警備員の更新を毎日wktkしてる
イルーゾォ素敵だよイルーゾォ

242 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 00:58:44 ID:9Joy8FbB
スタンドの力は君の力だよイルーゾォGJ
さて、避難所も見てくるか

243 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 02:17:02 ID:C5r5lWmZ
なんという警備員…これはどう見てもGJ
しかし、更新が早いな…二日に一度投下する…そんな時期がオレにもありました…

次回、兄貴、襲撃中の魔法学院をさらに襲撃 というのをやりたいんだが…グレフルが使い辛くてな…
火の人相手だと、一瞬でケリが付く…どう直触りに持っていったもんか

244 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 02:39:40 ID:VWLeiHsr
>>243
あっけなくても良いんじゃないかな。それがジョジョの世界で、スタンドの怖さなんだから
無理に原作通りにしなくても、大事なのはその後の展開だ

245 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 02:39:43 ID:4358fd3/
突然ですが座談会
変態メローネ「イルーゾォ貴様ッ、玄人だなッ!」
警備員イルーゾォ「何の事だメローネ?」
兄貴プロシュート「ぶっ殺すと思ったら、確実にぶっ殺せマンモーニが。」
サブギアッチョ「鏡警備員の鏡ってのはスゲー良く解る。イルーゾォの能力は鏡だからな。
だけど、警備員ってどういう事だ―――鏡の中に引篭って警備が出来るのかッ、
あいつは鏡の中だと紙一枚動かせないだろッッッ、警備出来る物ならやってみやがれッつーんだッ。
この警備員って言葉スゲーむかつくぜ!クソックソックソッ…。」
本気ホルマジオ(どんな能力でも使い道次第だぜギアッチョ。)
鉄リーダー(まあ、急いで戻ってきても俺達は全滅だからな…
現実を諦めるなよ別の世界のイルーゾォ。)
姉ェペッシ(続きが無いから参加出来ない…どうしよう兄貴。)

246 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 02:59:05 ID:C5r5lWmZ
>>244
いや、巻き込むから近くの重症コッパゲ先生もポックリ逝きそうでさぁw
範囲がえげつない分やっぱ使いづらい…

247 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 09:52:52 ID:rCoVWJyb
コッパゲの頭部に致命的なダメージ!

248 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 10:35:42 ID:vuPxso+8
コッパゲって何歳だっけ

249 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 12:04:38 ID:2TJkeSeK
17歳だにゃんっ☆

250 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 14:51:25 ID:9n0uXWQF
>>249
エレオノール姉さま自重

むしろメンヌヴィルが何歳なのか気になるな…アニエスが子供の頃からああだったのかと思うと

251 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 15:13:12 ID:QfhZGE9w
>>247
逆だ!!
頭部からの放熱によってコルベール生存ッ!!

252 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 16:57:53 ID:SQrby+PX
>>245
座談会を投下するのはいい・・・だが「座談会」の前に
『題名』を付けるのをわすれているんじゃないか?

題名を付けなくても良いと学校で教えているのかッ!

253 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 17:55:25 ID:rwpNmn+1
『突然の座談会』じゃあいまいち呼びにk(ry
『暗殺チーム座談会』なんてのはどうかな!

254 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 21:02:08 ID:RqiaD7Z0
又時が止まった…

でも…寂しいよぉ…。作者さん…待ってます…投稿

255 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 21:10:54 ID:I2gd5oaV
じゃあ、15分から投下しますね。

256 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 21:11:33 ID:n+7tE8dP
前スレにチョコラートきたようだがしばらくきてなくて落ちてた、保管庫で見たが

改めてチョコ先生は長編に向きそうにないと思った

257 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 21:13:40 ID:CWIextkW
歩道がまだまだ空いてるではないか
どんどん行け

258 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 21:14:14 ID:GA5lA/F0
そもそもラブコメラノベに超極悪人を主人公に据える自体間違ってるからな
書きにくいに決まってる というかチョコ先生ほどのゲスあんまりいないしな

259 :ゼロいぬっ!:2007/11/22(木) 21:17:48 ID:I2gd5oaV

ヴェルダンデの前足が地面を抉り取る。
地上を駆ける馬と変わらぬ速度で、アルビオンの地下を掘り進む。
どれほど進んだのか、残りはどれほどか等と考えたりはしない。
城の地下に到るまで穴を掘り続ける、その覚悟だった。

しかし、自慢の爪が突如として前方の土に弾かれた。
どうやら埋まっていた岩か何かにぶつかったらしい。
それがどれほどの大きさがあるのかは判らない以上、
迂回は致命的なロスに繋がりかねない。
故に、強行突破を決断する。
今の自分を止める事は誰にも出来ない。
シャベルのように揃えられた爪がギラリと輝く。
そして、そのまま渾身の力を込めて振り下ろした。
だが、鈍い音を立てて尚も障害は爪を弾く。
その頑丈さに唖然としつつも、ヴェルダンデは諦めない。
こうなれば気力が尽きるのか先かの根競べである。
いつもの三倍の回転を加えたり、前足を光って唸らせたりと執拗に攻撃を繰り返す。
そして遂にその努力が実ったのか、目前の障壁に亀裂が走った。

おおっ!と自分の勝利に沸くヴェルダンデ。
だが、その目前で自壊するかのように亀裂が広がっていく。
見れば、岩だと思っていたそれは人工的なブロックの集合体。
破裂する寸前の風船というべきか、自分が付けた小さな傷をキッカケにして、
内側からの圧力に耐え切れなくなった外壁が崩壊しようとしているのだ。

この壁の向こうに何があるのか判らない。
しかし直感的に危機を察知したヴェルダンデは即座に土を掛けて埋め戻す。
まるで“見なかったことにしよう”と言わんばかりに。
イタズラを隠す子供のような姿だが、本人は至って真剣だ。
だが壁の崩壊を防ごうとする、その行動も無駄に終わった。
壁を打ち砕いて吹き出したのは荒れ狂う濁流。
洪水ともなれば家屋さえも容易く飲み込む勢いの前では、
ヴェルダンデであろうとも例外なく無力。
元来た道を倍以上の速度で流されていく。

「な…なんだ、何が起こったんだ!?」
地下から響き渡る轟音と振動。
それに驚いたギーシュが咄嗟に穴を覗き込む。
浮遊大陸のアルビオンで地震など起こり得ない。
考えられる要因は唯一つ。
「ヴェルダンデ! 無事かい!?」
自分の使い魔からの返答は無い。
何が起きたか判らず不安に揺れるギーシュの前に、
『言葉通り』ヴェルダンデが飛び出してきた。
それも波濤を伴って砲弾の如き速度で!

260 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 21:19:19 ID:n+7tE8dP
支援

261 :ゼロいぬっ!:2007/11/22(木) 21:19:46 ID:I2gd5oaV

トンネルから凄まじい勢いで吹き上げる水柱と、
ぽーんと宙に打ち上げられるヴェルダンデの巨体。
それに弾き飛ばされてギーシュも空を舞う。
主従が地面に叩き付けられると同時に、
吹き出した水が雨となって降り注ぐ。

「…多分、水道に穴を空けた」
「まあ無事に済んだだけでも儲けモノよね」
コートで雨を防ぎながらタバサが冷静に分析する。
キュルケは気にも留めず、腰に両手を当てて溜息をついている。
見れば、水に濡れたブラウスが肌に張り付いて透けている。
そんな裸にも見える格好を隠そうともしない彼女に、
何故かタバサの方が恥ずかしく思えてしまう。
止む無くギーシュが起きる前に、荷物の中からタオルを取り出して彼女にそっと掛ける。
それにキュルケが感謝の笑みで応える。
他に人がいたら仲のいい姉妹だと思うだろう。

「痛たたた…」
腰を擦りながらギーシュが身を起こす。
不測の事態に『レビテーション』さえ使えなかった。
見渡せばヴェルダンデも起き上がり、濡れた体を振るって水気を飛ばしていた。
唯一の救いはヴェルダンデが無事だった事ぐらいか。
今の異変に兵士達も気付き、こっちにむかって一団が移動しつつある。
迎撃するのは容易いが、それでは騒ぎを大きくするだけだ。
次から次に敵に押し寄せられては壊滅は火を見るより明らか。
焦るギーシュの視界の端で何かが蠢く。
敵かと警戒する彼の目の前に現れたのは、地面に横たわる見慣れた犬の姿。
“何で彼がこんな所に…?”
その疑問を口にする間もなく彼は跳ね起きた。
そして辺りを見回して城の位置を確認すると、
落ちていたデルフを拾って丘を凄まじい勢いで駆け下りる。
突如現れた獣に困惑する敵の合間を抜けて、一目散に走り去る。
それを見送りながらギーシュも続こうとした。
「よし! 今なら敵陣も乱れている! 敵中突破できるかもしれない!」
しかし、走り出そうとするその襟にタバサが杖を引っ掛ける。
鶏が絞め殺されたような声を上げるギーシュに彼女は説明する。
「私達はこっち」
彼女が指差す先にあるのは、今も水を湛えるヴェルダンデのトンネルだった。


262 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 21:20:29 ID:n+7tE8dP
支援する!

263 :ゼロいぬっ!:2007/11/22(木) 21:22:36 ID:I2gd5oaV

ニューカッスル城内の礼拝堂。
そこには始祖ブリミルの像の前に立つウェールズの姿があった。
彼が着ているのは皇太子の礼服。
本来は国王の礼服を着るべきなのだが、
ウェールズ用に仕立て直した物など準備できる筈も無い。
それでもパーティの際にも軍服を着ていた彼だ。
礼服に着替える事自体が、この式に掛ける彼の想いの表れだった。
そのウェールズの前に立つのは、式を挙げるルイズとワルドの両名。
二人とも緊張しているのか、無表情なまま壇上に立つ自分を見上げる。

「それでは、これより式を始める」
ウェールズの厳かな宣誓が礼拝堂に響き渡る。
そして僅かに咳払いし、古くからの伝統通りに続ける。
「この式に異議のある者は今すぐに名乗り出よ。
それが出来ぬというならば永久にその口を閉じよ」
自分で言いながら呆れてしまう。
今、この場にいるのは自分を除けば二人だけ。
一体、どこの誰が異議を申し立てるというのか。
儀礼の決まり事とはいえ無駄な手順に苦笑いを浮かべる。

だが、両者の意思を確認する次の段階へ進もうとした瞬間!
礼拝堂の扉は大きな音を立てて開け放たれた!

三人の視線が、突然の侵入者へと向けられる。
そこには小銃を構えるアニエスがいた。
その銃口の先にはワルドの姿を捉えている。
背にはもう一挺の銃を背負い、腰には剣を帯びていた。
まるで戦にでも赴こうかという重装備。
とても仲間の門出を祝うような格好ではない。

「アニエス! 冗談なら今すぐ止めるんだ!」
「無礼は承知の上! ですが陛下に聞いて頂きたい事があります!」
それを証明するように、彼女の指先は引き金に掛かっている。
アニエスの気迫に飲まれて、ウェールズの言葉が詰まる。
追い払ったと思った彼女の登場に、ワルドが苦虫を噛み潰した表情を浮かべた。

「ワルド子爵は水の秘薬を用い、彼女の心を操っています!」
「下らん世迷言を! 陛下、耳を貸してはなりません!
そして神聖な儀式を妨害した彼女にこそ処罰を!」
アニエスの言葉をワルドは否定する。
突然の乱入から始まった口論にウェールズも困惑していた。
しかしアニエスの言う事にも一理ある。
それほどまでに彼女の態度の急変化は異常だった。
たとえ、結婚式や決戦を後に控えていたとしてもだ。
だが、それも薬の所為というのなら頷ける。
感情を失ってしまったかのような少女を見据える。
彼女の姿を見て、ウェールズは何か引っ掛かりを感じた。
心を狂わせる薬ならば惚れ薬の類だろう。
けれども彼女の様子はそういった者達とはどこかが違う。
その上、ウェールズには確かな覚えがあった。
彼女と同様、虚ろな表情をした人間の姿に。

264 :ゼロいぬっ!:2007/11/22(木) 21:24:21 ID:I2gd5oaV
「ならば『ディテクト・マジック』を!
疑いが晴れたならば私は喜んで罰を受けましょう!」
「減らず口を…!」
奥歯を噛み締めたワルドが杖に手を掛ける。
このままアニエスを殺すのは容易い。
だが、彼女を殺せばウェールズに警戒されるだろう。
いっその事、彼女に従いルイズに『ディテクト・マジック』を掛けるか?
虚無の魔法だというのならば、簡単に探知出来るとは思えない。
しかし、例え僅かであろうと露見する危険があるなら避けるべきか。
ちらりとワルドが視線を背後に向ける。
そこには何の危機感も無く立ち尽くすウェールズの姿。
それを見て口元に僅かな笑みを浮かべた。
(殺るなら…今か)

「いいだろう! ならば我が手で無実を証明しよう!」
ワルドが大仰に杖を掲げる。
口元で呟くルーンは小声で聞き取れない。
二人の視線がルイズに向けられた瞬間、彼の杖を中心に風が巻き起こった。
彼女に向けていた杖が一転、ウェールズへと突き出される。
刹那。ウェールズとワルド、両者の間に鮮血が飛び散った。
抉られた脇腹を抑えながらウェールズの身体が壁際に吹き飛ばされる。
獲物を仕留め損ねたワルドの口から舌打ちが漏れる。
彼が狙って弾き飛ばしたのではない。
斬りかかる直前、危機を察知したウェールズが背後に飛んだのだ。

「ワルド子爵。君は…『レコンキスタ』の手の者か?」
苦悶の声に混じってウェ−ルズが問い詰める。
彼にはルイズの様子に思い当たる物があった。
それはアルビオンを裏切った重臣達の態度だ。
他者の意のままに操られる人形と化した者達の姿。
それに気付けたからこそ、ワルドの不意打ちにも対応できた。

だが、ワルドは答える必要はないとばかりに風を纏い突進してくる。
体勢を崩したウェールズに避ける術はない。
そして傷付いた身体では満足に杖も握れない。
ワルドの猛攻を前に、彼の杖は弾かれ床の上を滑っていく。
武器を奪い、勝利を確信したワルドが杖を突き出す。
しかし、直前で彼は攻撃の手を止めて背後に跳躍した。
その直後、彼の眼前を一発の銃弾が通り抜ける。
ワルドが忌々しく睨む先には、白煙を上げる銃口を向けるアニエスの姿。
彼女は即座に撃ち終わった銃を捨てて、背に負った銃を構え直す。

265 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 21:25:08 ID:n+7tE8dP
支援

266 :ゼロいぬっ!:2007/11/22(木) 21:26:17 ID:I2gd5oaV
「動けば…撃つ」
それで脅しのつもりだろうか、彼女の言動にワルドは苦笑いする。
どこから来るのか分かっている銃など恐れる必要はない。
何の苦も無く風で弾道を曲げられる。
ウェールズが杖を失った今、僕を止められる相手はいない。
もはや何の脅威も感じず、ワルドはウェールズを始末しようとした。
しかし、次にアニエスが告げた言葉が彼の動きを止める。
「勘違いするな、貴様ではない。
私はミス・ヴァリエールを撃つと言ったのだ!」
「何だと…!?」
彼の目が驚愕に見開かれる。
見れば、銃口は確かにルイズへと向けられていた。
ウェールズを討ちにいったが為に、彼とルイズとの距離は離れている。
今からでは助けに向かう事さえ出来ない。
たとえ、アニエスを討とうとしてもルイズと刺し違えるだろう。

「貴様、正気か!?」
「彼女とて売国奴に従うぐらいならば死を選ぶ!」
アニエスはそう確信していた。
短い間だったが共に過ごしてきた仲間だ。
彼女の誇りは痛いほどに理解できる。
時には不愉快に感じた事もあったが、それでも彼女はルイズを認めていた。
だからこそ今の彼女の姿は見るに忍びない。
元に戻らないというのなら、せめて自分の手で楽にしてやりたい。
そんな気持ちが胸の内より込み上げてくる。

何故ワルドがミス・ヴァリエールにそこまで執心するのか。
その理由は判らないが、利用できるならなんでも利用する。
杖を下ろし、ワルドは抵抗する素振りを見せない。
それでもアニエスは注意を払い続ける。
もし、僅かでも隙を見せれば自分が死ぬと判っているから。
膠着状態が続く中、不意にワルドが口を開く。

「売国奴…? それは違う、僕は誰よりもあの国を愛している。
父が愛し、母が愛した、美しきトリステインを…!」
「戯言を…! それが国を裏切った者の言う事か!」
「僕は取り戻したいだけだ! あの誇り高き貴族の時代を!
偉大なる王と勇敢な騎士達が集う、あのトリステインを!
宮廷に蔓延る、利権を貪るだけの寄生虫共からッ!!」
激昂するワルドの雄叫びに彼女は怯んだ。
それは本心からの言葉だったのだろう、
いつの間にか彼の表情からは仮面が剥がれ落ちていた。
ハァハァと荒い息を吐きながらワルドは睨み続ける。
アニエスではなく、彼女の背後に見えるトリステインの重臣達を。

彼にとって心の支えは貴族としての誇りだった。
母親を失ってからは彼に残されたものはそれだけとなった。
幼き日より憧れ、ずっと理想を追い求め続けた。
その果てに辿り着いたのは落胆だった。
誰も国の明日など考えもせず享楽に明け暮れ、
餌に群がる豚のように利益を奪い合うだけの宮廷。
そして、それを咎める事さえ出来ない無力な姫。
彼がトリステインに絶望するのは時間の問題だった。
衛士一人が現状を変えられる筈も無い。
そんな宮廷に染まる事も出来ず、純粋だった心は醜く歪んだ。
そして彼は願ってしまった、全てを犠牲してでも取り戻したいと。

267 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 21:27:00 ID:oy5rNr4M
ルイズを操った事がウェールズ生存につながるとは支援

268 :ゼロいぬっ!:2007/11/22(木) 21:28:17 ID:I2gd5oaV
「君ならば判るだろうアニエス!
あの国の中枢が腐り切っている事を!
二十年前のダングルテールの虐殺を生き延びた君ならばッ!」
「っ……!」
びくりと彼女が体を震わせる。
自分の過去が知られていた事に僅かに動揺を示す。
しかし、ワルドはそれを見逃しはしない。
畳み掛けるように彼はアニエスに手を差し伸べた。

「もし君が『レコンキスタ』に来るというなら受け入れよう。
わざわざ信頼を得て登りつめる必要も無い。
君が仇を討とうというのなら最善の道だろう」

ワルドの誘いに彼女は揺れた。
確かに今のままでは仇を討つのに、
どれだけ時間が掛かるか知れたものではない。
ましてや『レコンキスタ』相手にトリステインが勝てる保証はない。
少しでも早く同胞の無念を晴らしたいというなら、
トリステインから『レコンキスタ』に鞍替えすべきだと判っている。
それなのに彼女は頷けずにいた。
その迷いがどこに起因するのか判らずに戸惑う。

不意に、彼女の掌に痛みが走った。
目をやれば、そこには血に染まった布が巻かれていた。
それは割れた硝子を握り締めた傷跡。
(ああ、そうだったな…)
ぎゅっと小銃を握り締めて構え直す。
動揺に震えていた照準が再び平静を取り戻す。
そして、高らかに返答を告げた。

「断る」
「な、に…?」
ワルドが思わず聞き返す。
彼はアニエスが受けると確信していた。
復讐に囚われた者は、目的の達成しか目に入らなくなる。
それなのに彼女は誘惑を断ち切ったのだ。
予想を裏切られた彼が何故だと呟く。
それに笑みを浮かべて彼女はハッキリと答えた。

「知らなかったのか?
私は“おまえのような貴族”が大っ嫌いだと」


269 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 21:28:57 ID:n+7tE8dP
チョコ先生の頭かわいいよ支援

270 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 21:30:39 ID:n+7tE8dP
支援

271 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 21:31:39 ID:n+7tE8dP
紫煙

272 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 21:31:56 ID:TuIp6+5c
支援

273 :ゼロいぬっ!:2007/11/22(木) 21:32:30 ID:I2gd5oaV
以上、投下したッ!
次回から急展開の予定なので反応が不安。
前回の予告もふざけたから反応を聞きそびれたし。


274 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 21:43:28 ID:+EHBnSTS
ワルド…
あんたの精神は重く冷たい『鉛』だ。
だが、誇りを求め誇り高き彼女を壊してしまったとき悲しみ後悔した、
ワルド、彼女とともに壊れてしまうまでは鉛色だがあんたの心は光を放っていたよ。
GJ

275 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 21:46:06 ID:EuMu8ScR
誘惑を振り切ったアニエスGJ
でもアニエスがレコンキスタ参加するって展開もアリだな。

276 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 21:57:35 ID:RqiaD7Z0
>>275
いやいやいやいや
アニSさんが敵役とかいやだから!
こういうヒロイン的なポジションのアニSさんは
貴重じゃあないか!もっと大事にしようよ

277 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 21:58:52 ID:GA5lA/F0
本日中に コルベールきさまを殺す わたしの銃で!

278 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:12:57 ID:bEslsZkH
アニメ化された頃からゼロの使い魔読んでない
今何巻まで出てるかわからんが読んでおいた方がいいかな・・・
ここのSSとか他のSSでいろんな使い魔を見たからか
サイトに馴染めない気がするw

279 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:19:39 ID:VWLeiHsr
>>275
"貴族"がつくった"貴族"のための軍だぜ?

280 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 22:31:42 ID:riNS0lfr
このアニSの最も好きなことは
自分で強いと思っている奴に対してNOと言ってやることだ!

281 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/22(木) 23:15:01 ID:rwpNmn+1
時を消し飛ばすッ!

282 :使い魔は引き籠り:2007/11/23(金) 00:04:51 ID:8pSXH4ag
今日も投下するよ!
最近寒くて外出たくないなと思いながら外出たくない人の話し書いてる
これはマズい。

283 :使い魔は引き籠り:2007/11/23(金) 00:07:52 ID:8pSXH4ag
ギーシュ・ド・グラモンの朝は爽やかに始まる。
誰に起こされる訳でも無くすっきりと目覚め、彼が溺愛する使い魔に朝の挨拶と抱擁を与えてから
清潔感漂う(正し少しばかり趣味が悪い)白の制服に袖を通して、自分の身体に特別違和感の無い事を確認する。

正直一昨日はどうなる事かと思ったけど、まあそこは僕だし
どんな逆境へ追い込まれようと平民に返り討ちにされたと揶揄されようと、華麗に立ち直るのが僕のいい所さ。
調子は悪くない。毟ろ少しばかりの空腹感が健康を感じさせる。
実家に泣き付いて取り寄せた高価な回復薬だけではない、
僕に劣らず優秀な水属性のメイジ、モンモランシーによる献身的な看病のお陰だろう。
こればっかりは、僕の日頃の行いの賜って奴だな。フフ、人徳人徳ゥ!

朝食を食いに行く前にまず身嗜みを整えようと洗面台の前に立ち、ヘアブラシに手が伸びた所で全身が硬直した。

鏡に映る人影は二つ。

振り返る、誰もいない。
再び鏡を見る。先ほどより少し接近した男は、忘れもしない一昨日の『平民』の――――

目が合うと、鏡の男はニヤッと笑った。

「っぎゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁヒィッ」




ルイズはいい加減激昂していた。


昨日自分がちょっとカッとなったばかりに、イルーゾォは結局丸半日寝込むハメになってしまって、
それについては素直に謝罪してもいい、と思っていた。
それだけでは無い。
どうやら『魔法』を知らないらしい彼に詳しい説明を聞かせてやろうとも思っていたし、
粗末な食事(もっとも、イルーゾォはそれを見た事すら無いが)も改めるつもりだった。

それに、彼は「『尊敬』出来ない奴の為に働く気は無い」と言った。今までは『使い魔は私のために働く』のが当然と思っていたけれど、
ああも真直ぐに主張されてはね除けられる程、私は自分に自信が無い。

『尊敬』に足る人物になりたい。その為に、『今の私』を知って貰うのが誠意だと思った。

『ゼロ』とは何か、打ち明ける気でいた。


まあそれでご推察の通り、意を決して訪れた医務室はもぬけの殻だった訳で。


284 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 00:09:27 ID:Se5rHlFr
支援
ワムウ様とかと違ってまだインドアかよw
ある意味アクティブだがw

285 :使い魔は引き籠り:2007/11/23(金) 00:10:06 ID:8pSXH4ag

「あァァの野良使い魔ァ!今度こそ絶対、絶ッッッ対取っ捕まえてやるんだk
「ダーリン!お見舞いに来・・・・あれ?」

私の心の叫びを遮る声の主は、ドアを勢い良く開け医務室に飛び込んできた見るからに健康そうな女性。
まあキュルケさん、ごきげんよう、何か御用ですか?つーかダーリンって何ぞ。
「・・・・ダーリンは?」
「ダーリンは知らないけどイルーゾォは逃げたわ」
「(イルーゾォって言うのね?変わった名前)もう、何してるの!自分の使い魔ならちゃんと見張ってなさい。ずっと居られたら邪魔だけど」
「何か言った?!」

キュルケは意外とあっさり引き下がって、脇にいるタバサ(静かにしてただけで、ちゃんと居たのよ)に向かって
ねえ〜一緒に探すの手伝ってくれるう?と語尾をだらしなく延ばして頼んでいる。
タバサがチラッとこっちを見た。

――――『頼むべき。口だけ。協力する』

あの名前も知らないメイドを除けば、逃げ出したイルーゾォを見たのはキュルケだけだった。
どうやら捕まえようとしていたらしいし、食堂でタバサが彼に気づいたのも『キュルケの手鏡』を見たせいだ。
私が意地を張らなければ・・・・
・・・・ううん、違う。1人よりも3人の方がいい、それだけよ!

一つ息を呑んで、心を決めて。歩き出す二つの背中に声をかけた。

「きゅ、キュルケがイルーゾォを探すっていうんなら、協力してあげてもいいわ!」
「何言ってるのよ、貴方の使い魔でしょう。」
「協力するのは私たち・・・・」

キュルケとタバサは、顔だけ振り返って私を迎える。
「何処から探す?」

世界が少し広がった、気がした。



こんなに天気がいいんだからとりあえず中庭を探そう、というキュルケの提案を半ば直感で却下して(天日に当てたら溶けかねない)
室内を重点的に探す事で話がまとまった。
イルーゾォは私の知らないうちにあのメイドに懐いていたから、まずは厨房だ。

「イルーゾォさんですか?はい、今朝いらっしゃいましたよ。」
屈託のない絵顔で私を迎えるメイド(キュルケが小さい声で「勝った!」って言ってたけど私には何の事だかさっぱり!)は、
やはり頻繁にイルーゾォと会っているらしい。というか、餌付けしているらしい。
一瞬帰ってこないのは彼女のせいじゃあ?と思ったけれど、使い魔の世話をして貰っておいてそれは筋違いだと思い直す。
「何処へ行ったか判らない?」
「あの・・・・申しあげにくいのですが。」
メイドはたっぷり逡巡した後、申し訳なさ気な表情で私を見下ろして、小さく「『暫くアイツの来ないところへ』・・・・と。」

・・・・どうせ小さく言うなら、キュルケ達に聞こえないようにして欲しかった。
「あの、乱暴はやめてあげてください。」
「確約は出来ないッ・・・・!」

自分はギーシュのワルキューレと真正面から戦ったくせに、こんなか弱い女の子捕まえて何言ったのよう!


286 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 00:10:17 ID:DEeYlvJo
支援だ!

287 :使い魔は引き籠り:2007/11/23(金) 00:12:49 ID:8pSXH4ag

「むぐう!ん゛――――――!ん゛――――――!!」
「五月蝿いな騒ぐなよ!どうせ誰にも聞こえやしないんだ」

見えない掌に顔面を掴まれる感触のすぐ後に、まるで水面に沈むように鏡の中に引き入れられた。
目の前には昨日の平民、爽やかな朝は一転パニック日和。この感覚は初めてじゃあない、一昨日体験したばかりで
『見えない力』を感じたすぐ後に周囲の雰囲気ががらりと変わるのも、やはり同じだった。

唯一違うのは、頭を掴んだ掌が離れる事なく、(一昨日はサッと離れて、次いで背後から衝撃が降って来た)
そのまま僕の口を塞ぎ、がっしり掴んで離さない事だ。

「落ち着けって」
無茶言うな!見えない相手に殴られるのがどれほど恐いかわかるかい?!

・・・・あれ?わかるかな。良く考えれば、多分こいつの魔法だよ。これ。
何故平民が魔法を使えるのかは知らないけれど(そもそも平民が『使い魔』になる時点で意味がわからない)
もがく僕を面白くも無さそうに見ているこいつが原因って事でまず間違い無いだろう。
「・・・・むぐぅ」
「よし、気が済んだか?」

僕が抵抗をやめると、案外すんなりと『見えない力』は離れて、それきり何もしてこない。

景色全体に薄く灰色をまぶしたような死んだ雰囲気の部屋は、しかし確かに僕のものだ。
左右が綺麗に反転されているせいで違和感が付きまとうが、部屋中に僕の私物が溢れている。
ヴェストリ広場もそうだった。急に薄ら寒くなって、ギャラリーが消失し僕一人取り残される。

「ぼ、僕の部屋に何をした?!」
「『お前に』何かしたんだ。『引き入れた』んだよ、見えなかったのか?」

引き入れる。そう、僕は洗面台の鏡に頭から突っ込んだ。産まれて初めての体験だ。
振り返ると僕が引きずり込まれた鏡があり、そのむこうにはやはり洗面所が映り・・・・『僕と平民が映っていない』?!

「ど、どういう事なんだよこれはッ」

何か起こっている!けど、これがどんな魔法なのか、何のためなのか、一つもわからないじゃないか!

「五月蠅いな、騒ぐなって言うんだ・・・・おい」
「な、何さ」
「『マジで見えない』のか?」
平民は僕の目の前でふわふわと手を振って見せた後、人差し指だけ突き出して、つんと一度空振りさせる。
「だから何が・・・・あだっ」

額を小突かれた。まただ!また見えない攻撃が――――

「マジだ・・・・」

おい平民!何驚いたような顔で見てるんだよ!一体何がしたいんだよッ!!

288 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 00:14:09 ID:jGNvxgX7
間に合え!支援!

289 :使い魔は引き籠り:2007/11/23(金) 00:15:17 ID:8pSXH4ag
投下終了。

ルイズが今まであんまりな扱いなんで、イルーゾォの勘違いの帳尻あわせもしなきゃだし
デルフ買いに行くまではルイズわっしょいして行きたい。

290 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 00:16:45 ID:Se5rHlFr
ルイズかわいいよルイズ


291 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 00:18:17 ID:jGNvxgX7
ごめん間に合わずorz
イルーゾォが真実に気づきだしたか

292 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 00:18:57 ID:kC1Y6gNq
GJ!
ギーシュw

293 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 00:51:09 ID:C5G9ielF
>>289
デルフ買いに行くまではルイズわっしょいして行きたい。

つまりそれ以降はずっとキュルケ&シエスタのターン!
ということですな!なんて天国!明日も期待します。

294 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 00:57:45 ID:H8s5CaLp
やっとイルーゾォがスタンド使い≠メイジに気づき始めたか。
イルーゾォはやればできる子。そう思ってる。

さてと、これから俺はどっちにすべきかな。
このまま投下するか、それとも……。

295 :隠者の中の人 ◆4Yhl5ydrxE :2007/11/23(金) 00:59:01 ID:15vhDG97
よし、では5分辺りから先にわしが投下しようッ!

296 :ゼロと奇妙な隠者:2007/11/23(金) 01:05:28 ID:15vhDG97
 ギリ、と歯噛みをしながらも、ジョセフは自分に襲い来る無数の魔法を見……ハーミットパープルに絡め取ったワルド達に波紋を流すことさえ出来ず、掴んだ勝利をむざむざ手放す他無かった。
 自分に飛来する魔法を吸収する事は出来る。だが、無数に飛んでくる魔法を吸収しつつ、ハーミットパープルでワルドの捕獲を継続するのは随分と難しい。
 ハーミットパープルを解除し、デルフリンガーを構えたまま素早く魔法の嵐から身をかわし、飛びずさる。そのせいでワルドからかなり距離を離す事となってしまった。
「いい判断だ相棒! 俺っちもあんだけの数を全部吸い込めたかどうかはイマイチ記憶が無いんでな!」
「せっかく勝ったっつーのにッ……あんまり有能なのも考えモンじゃなッ!」
 ニューカッスルのメイジ達に憎まれ口を叩きながらも、絶対的有利が圧倒的不利に変わったのは何ともし難い。
 これが隠者の結界から解放された四体のワルド達だけでも厳しいのに、周囲から集まってくる三百のメイジ達を向こうに回して勝てるとは思えない。
 幾らジョセフと言えども、目は前にしかついていない。横も後ろもカバーし切れない。
 しかもワルドは、これで自分が直々に手を下さずとも、ニューカッスルのメイジ達に後始末を任せればよくなったのだ。例えジョセフかメイジ達のどちらが勝とうとも、レコン・キスタに利する結果になるのだから。
 魔法に巻き込まれないように素早く距離をとるワルド達には、窮地を見事脱した会心の笑みが浮かんでいた。
 対するジョセフは、この場での戦いを既に諦め、目は素早く逃走経路を探し――

 不意に、主人の姿を見つけた。

297 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 01:05:50 ID:gjbnky4o
おじいちゃん。ひとつ支援だ!

298 :ゼロと奇妙な隠者:2007/11/23(金) 01:06:55 ID:15vhDG97
「騙されないでっ! そこの男……そのワルドこそが本当の裏切り者っ! レコン・キスタの暗殺者よッ!!」
「ルイズ!?」
「ルイズ……!」
 驚きで名を呼んだジョセフと、忌々しげに名を呼んだワルドの声が重なった。
 ルイズは「部屋で待っていろ」と言うジョセフの後を追いかけたくなる衝動にかられ、危険だと判っていても爆発音のした天守へと向かってしまった。
 しかし今はそれが功を奏した。
 矢継ぎ早に呪文を唱えていたメイジ達が突然現れた第三者の少女の言葉に詠唱を止めたのを見て、ルイズは必死に走り出し、両腕を大きく広げてメイジ達の前に立ちはだかった。
「私はトリステイン王国ヴァリエール公爵家が三女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール! あの老人は私の使い魔、ジョセフ・ジョースター! あのワルドこそがウェールズ皇太子の暗殺を謀った張本人! 賊の奸計に乗せられないで!」
 息せき切って言い放つルイズの言葉が、メイジ達に戸惑いを走らせた。
「ど、どういう事だ?」
「ヴァリエール……あのヴァリエール公爵家か!?」
「私に聞かれても……!」
 ルイズの言葉は効果覿面、メイジ達に動揺が巡る。
 平民の言葉など斟酌する必要もないが、それがアルビオンでも知られたヴァリエール家令嬢の言葉となれば話が違う。
 しかも彼女が言うには、信じ難いがあの老人が使い魔だと言う。駆けつけた中にはイーグル号に乗っていた船員もいる為、老人が使い魔だという事は真実と受け止める者も少なからずいる。

299 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 01:07:28 ID:5QSjUH7O
隠者キター!支援!

300 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 01:07:45 ID:H8s5CaLp
支援

301 :ゼロと奇妙な隠者:2007/11/23(金) 01:08:11 ID:15vhDG97
 俄かに信じられる話でもないが、少女の言い分が正しいとすれば、メイジとして軽々とあの老人に手をかける訳には行かなくなった。
 まして二人の貴族の言い分が真っ向から対立している今、どちらに味方すればいいか、と言う難題にすぐさま答えを出せる者がそうそういる訳でもない。「とりあえず両方殴ってそこから話を進めよう」などと思い切った大胆な思考が出るのも期待出来ない。
 結果、メイジ達は如何様に動いていいか判らず、周囲の仲間達と顔を見合わせてどうするのか相談せざるを得なくなった。
 ひとまずジョセフから危険が去ったのを見計らい、続けてルイズは自分に出せる精一杯の大声で叫んだ。
「ジョセフっ!! 今よ、ワルドをやっつけて!!」
 言われずとも、ジョセフは既に動いていた。
 同時に、ワルド達も。
 だがジョセフの両眼と切っ先がワルドに向いていたのに対し、ワルドの杖は全てがジョセフに向いていなかった。一人の杖が向くその先には――ルイズ!
 その意味が判らないジョセフではない。
「貴様――ッ!」
 ワルドの魔法を止めるには、デルフリンガーは無論、ハーミットパープルですら遠い。先ほど飛び退いたせいで、彼我の距離が10メイル弱離れていたからだ。
 完成したウインドブレイクがルイズに放たれれば、ただの少女でしかないルイズは避けることすら許されず、まるで羽毛のように吹き飛ばされ、地面に叩きつけられ、転がった。
「ルイズゥゥゥーーーーーーーーーッッッ」
 轟く、としか形容できないジョセフの雄叫び。
 義手に刻まれたルーンが太陽にも劣らない光を放ち、デルフリンガーもルーンに負けぬほどの眩い光を放った。

302 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 01:08:25 ID:jGNvxgX7
ハーミットシエン

303 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 01:08:37 ID:Iqa1ltiU
支援

304 :ゼロと奇妙な隠者:2007/11/23(金) 01:09:26 ID:15vhDG97
(き……切れた、相棒の中でなにかが切れた……決定的ななにかが……)
 デルフリンガーでさえ戦慄を覚えるほどの心の高まり。
 目の前で主人を傷付けられたジョセフの怒りは、並大抵のものではなかった。
 ぞくり、とデルフリンガーに嫌な予感が走る。
「おい、ちょ、待て相棒! 俺は波紋やスタンドにゃ対応してな――」
 それ以上デルフリンガーは言葉を続けられなかった。
 一瞬でデルフリンガーを覆いつくしたハーミットパープルが、炎を吹き上げたからだ!
「うあっちぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!?」
「我が友モハメド・アヴドゥルの技ッ!!」
 剣が炎を吹き上げたのを目の当たりにし、四人のワルドが身構えようとし。臨戦態勢を整えられたのは、三人だけだった。
 10メイルあるはずの距離から、ワルドの目を以ってしても反応できないほどの速度で伸ばされた炎の茨が、一人のワルドを燃やし尽くしていたからだ。
「何?」
 予想だに出来ない事態に、ワルド達の口からは呆けたような声しか出なかった。
「魔術赤色の波紋疾走(マジシャンズレッド・オーバードライブ)!!」
 燃え上がるワルドを一顧だにせず、デルフリンガーからハーミットパープルを切り離したジョセフは――ワルド達の視界から、消えた。
 一瞬の間を置いて現れたジョセフは、一体のワルドの腹に深々と剣を突き刺していた。
 だが、真に驚くべきことは別にあった。
 腹を突き貫かれているはずなのに、その遍在は『既に全身を突き貫かれていた』のだ。
 残りのワルド達は、ジョセフの煮えたぎる溶岩のような視線でねめつけられた。

305 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 01:09:58 ID:Iqa1ltiU
支援

306 :ゼロと奇妙な隠者:2007/11/23(金) 01:10:41 ID:15vhDG97
「次にお前は『馬鹿な、一体いつの間にそれだけの攻撃をした』と言う」
「馬鹿な!? 一体いつの間にそれだけの攻撃をし……はっ!?」
「我が友、ジャン=ピエール・ポルナレフの技! 針串刺しの刑ッ!!」
 剣を勢いよく振り上げた風圧が、遍在の名残を掻き散らす。
 ここに至ってワルドは、目の前の男が怪物以外の何物でもない事をやっと悟った。
 並の手段では到底勝つどころか、自分の命さえ拾うことが出来ない――!
「こ……この、バケモノがぁーーーーーーーーーーーーっっ!!」
 それでも恐慌に陥らずなおも戦闘を続行しようとしたのは、ワルドにたった一片残された貴族の矜持であったかもしれない。
 それでいて勝利の為に手段を選ぶなどという悠長な考えを打ち捨てる。
 残り一体だけとなった遍在のワルドは、決死の覚悟で低い体勢でジョセフに急接近すると、杖での渾身の刺突をジョセフではなく、デルフリンガーへと向けた!
 真の能力を開放しているデルフリンガーはエア・ニードルの風の渦さえ吸収するが、それに構わず打ち合わせた杖を内側から外側へ、絡め取るように押し上げる形で円を描き――ジョセフの手から力ずくで剣を弾き飛ばした!
「いくら人間離れしていようが肉体は人間のそれだな、ガンダールヴ!!」
 人体の構造上、関節の稼動範囲には限界がある。右手首を掌を上向けるように回し、更に外側へ向かって捻ってしまえば自然と柄を握る指の力が緩み、そこにもう一押しすれば剣を弾き飛ばすのも容易い。
 だがワルドはなおも次なる手を用意していた。
 剣を弾き飛ばしたワルドは、渾身の突きで崩れた体勢を立て直して杖での必殺の一撃を加える為の僅かな隙さえ、ジョセフに渡すつもりはなかった。
 この抜け目の無い使い魔は、一呼吸の間を与えればそこから勝利をもぎ取る男……故に、ワルドは手段を選ばなかった。選べなかった!
 ワルドはそのままジョセフの腰へタックルを掛け、自らの身体そのものでジョセフの動きを封じにかかる!

307 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 01:11:06 ID:Iqa1ltiU
支援

308 :ゼロと奇妙な隠者:2007/11/23(金) 01:11:50 ID:15vhDG97
「ぬうッ!?」
 それを避けようとするジョセフを、ほんの、ほんの僅かな差で捕らえ……しがみ付く!
「私の勝ちだっ、ガンダールヴ!!」
 後ろに飛びずさった本体のワルドは、既に魔法の詠唱を完成させようとしていた。
 その魔法は、これまでのたびでジョセフに唯一にして多大なダメージを与えた、『ライトニング・クラウド』!
 魔法を吸収するデルフリンガーを弾き飛ばし、再びジョセフが剣を手にするよりも早く必殺の魔法を叩き込む――ワルドがジョセフを倒す手段は、それしか存在しなかった。
 その為に貴族として、スクウェアメイジとして恥ずべき泥臭い手段を用いなければならない所まで追い詰められた。
 だがそれを悔い、躊躇える余裕など存在しない。
 たった一体残った遍在を捨て石とし、見苦しく使い魔にしがみつく己の背も、今の彼には屈辱の具とすら成り得ない。
 今のワルドにあるのは、圧倒的な怪物に全身全霊を懸けて立ち向かわねばならぬ、生存本能に買って生き延びろと追い立てられる焦燥感、ただそれだけであった。
(――まだか! まだ完成しないのか!?)
 唱え慣れたはずの魔法が、余りにも長く感じられる。
 あと五節、四節、三節――!
 焦りながらも、詠唱を間違える失態など犯さない。
 腐り果てようとも、魔法衛士隊の隊長を務めた実力は健在だった。
 使い魔は死力を尽くしてしがみ付く遍在を振り払うことも出来ず、一歩も動けないまま――

309 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 01:12:11 ID:H8s5CaLp
ブラボー!おお……ブラボー!支援

310 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 01:12:17 ID:Iqa1ltiU
支援

311 :ゼロと奇妙な隠者:2007/11/23(金) 01:12:59 ID:15vhDG97
(勝った! 勝ったぞ、ガンダールヴ!!)
 残り、二節!
「ライトニング――」
 残り、一節!
 その瞬間、ジョセフを押さえ付けている遍在が消し飛んだ。
 だが、あの距離では踏み込もうとする速さより、瞬きすら出来ぬほんの僅かな差で、完成した電撃がジョセフを焼き尽くす!
「クラウ――」


 ジョセフは、一歩も動かなかった。動けなかった。
 ワルドは……魔法を完成させることが、出来なかった。
 勝負が決したその時、向かい合う二人の男からは、奇しくも左腕部が失われていた。
 だが、失った理由は大きく異なる。
 ワルドは、ジョセフの手によって、左腕を肘の下から吹き飛ばされた。
 ジョセフは。ガンダールヴの能力で非常に強化された波紋で、自らの義手をワルドへ向けて撃ったのだ。
 貫手と呼ばれる手刀の形で放たれた義手には大量の波紋が流されており、音さえ超える速度で放たれた義手がワルドの腕を切り飛ばした瞬間、その傷口から奔った波紋が彼の詠唱を止めたのだった。
 それに加えて必中を期する為に義手にはハーミットパープルが絡み付き、その片端はジョセフの腕と繋がっていた。
 ワルドの遍在の名残を媒介としたそれは狙いなど付ける間もないあの刹那、標的を狙い違わず打ち抜くホーミングの役割を果たすと同時に、目的を果たした義手がはるかかなたに飛んで破壊してしまうことの無い様に留める命綱の役目も果たしていた。

312 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 01:13:19 ID:Iqa1ltiU
支援

313 :ゼロと奇妙な隠者:2007/11/23(金) 01:14:17 ID:15vhDG97
 空中で発射の速度を殺しながら、再び義手はハーミットパープルに導かれてジョセフの左腕へ戻っていく。
 思い出したように、ワルドの傷口から血が垂れ、噴出す頃、ワルドの口から奔ったのは呪文などでは、ない。
「うおぉぉぉぉおおおおおぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおお!!?」
 野獣めいた、咆哮。
「腕が、腕が!? 私の、腕がああああぁぁぁぁああああ!!?」
 この光景が現実でないことを確かめようと、血の迸る傷口を、左腕があるはずの場所を抑える。
 しかし生まれてから共にあった左腕は、既に其処にない。
 少し横を見れば、『かつて左腕であった肉体』が転がっている。
「ばっ……馬鹿な、馬鹿なあああああああ!!!!」
 義手を戻し、五指が動くのを確かめたジョセフは、叫びを上げて蹲るワルドを見つつ、今頃になって額から噴出した冷や汗を右の袖で拭った。
「今のはマジで危なかったわいッ……タックルかけたのが遍在じゃなかったら、わしも死んどったぞ」
 今一体何が起こったのか、改めて説明することにしよう。
 剣を弾き飛ばされ、ワルドにタックルを掛けられたジョセフは、辛うじて足の裏に吸着する波紋を流し地面に足を吸い付けて転倒させられるのはこらえた。
 だがもう一体のワルドが呪文を唱えているのが見え、ジョセフは息を呑んだ。忘れるはずが無い、あれこそ自分の右腕を焼いた『ライトニング・クラウド』。
 今、ただデルフリンガーを自分の手から離す為だけに放たれた乾坤一擲の攻撃、形振り構わぬタックル。

314 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 01:14:20 ID:Iqa1ltiU
保守

315 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 01:15:23 ID:Iqa1ltiU
支援

316 :ゼロと奇妙な隠者:2007/11/23(金) 01:15:46 ID:15vhDG97
 その全てが、如何なる手を用いてでもジョセフを殺害する決意の表れだった。
 自分にしがみ付くワルドと、飛び退いた場所から魔法を詠唱するワルド。
 剣を弾き飛ばした理由を斟酌するまでも無い。攻撃手段を奪う為ではなく、防御手段を奪う為。
 この状態を打破するには、手段はただ一つ。ワルドの魔法が完成する前に詠唱を妨害するしかない。
 この状況で使える武器は、左右の腕に一つずつ。これだけあれば、どうにか出来る。
 まずジョセフは両腕に波紋を流す。一つ目の武器、左腕の義手。これを波紋で射出してワルドに波紋を流せば魔法は止められる。狙いを付ける余裕が無いのは、ハーミットパープルで誘導をかければなんとでもなる。
 そして、『右腕の武器』に波紋を流す。
 右腕の武器とは……意外! それは包帯ッ!
(こっちが本当の我が師にして我が母エリザベス・ジョースターの技ッ! 蛇首包帯ッ(スネークバンテージ)!!)
 ワルドに焼かれた右腕に巻かれた包帯、それは立派に波紋を流す武器となる。波紋で硬質化した包帯を操り、自分にしがみ付くワルドを突き刺して流した波紋で一気に遍在を吹き飛ばす!
 そして自由になった左腕をワルドに向け――撃ち放つ。
 シュトロハイムと共に漁船に救出されて館で療養していた時、シュトロハイムが用意した数々の義手の一つにあった機能を、まさか今になって波紋で代用する破目になるとは思わなかったが。
「……我が友、ルドル・フォン・シュトロハイムの技ッ。有線式波紋ロケットパンチッ! ナチスの技術は確かに世界一だったかもしれんなッ!」

317 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 01:16:24 ID:Iqa1ltiU
支援

318 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 01:17:04 ID:o4v7lV9Y
波紋+ガンダ+スタンド+神(ジョセフ)の頭脳 はチートな強さ、支援

319 :ゼロと奇妙な隠者:2007/11/23(金) 01:17:34 ID:15vhDG97
 あの時は超高速で義手を発射出来る能力などいらなかったので、とりあえず丁重に辞退(ただ何故かシュトロハイムと大喧嘩する切っ掛けになった)したが、そのアイディアがジョセフの命を救ったことのは確かな事実だった。
 しかもほんのコンマ数秒でもワルドに到達するのが早まるよう、指先を伸ばすことにより、長さを伸ばすと共に空気抵抗を減らした事が功を奏した。
 それと同時にワルドが一つ、致命的なミスを犯していたのも幸運だった。
 もし剣を弾き飛ばし、タックルを仕掛けるのが遍在でなく本体であったなら、ワルドとジョセフは今頃ライトニングクラウドで焼かれて良くて瀕死、運が悪ければ即死の憂き目にあっていたことだろう。
 しかしワルドは最後の最後で、自分の命を惜しんだ。戦いの場において自らの命を惜しむ行為に走って勝てるほど、戦闘の潮流は甘くは無かったという事だ。
 もし肉体を持つワルドがしがみ付いていれば、蛇頭包帯でワルドを倒したとしても、左腕を自由にし切ることが出来ず、波紋ロケットパンチはワルドの魔法を妨害できなかっただろう。
 風の遍在であり、波紋で吹き飛ぶ肉体しか持っていないワルドがしがみ付いたことにより、波紋で止めを刺した瞬間にジョセフの自由が取り戻されたのだから。
 様々な要因と強運、そして戦いの年季の差で勝利をもぎ取ったジョセフは一歩、また一歩、とワルドへゆっくりと近付いていく。
 ルイズが吹き飛ばされてから、客観的に見れば余りに短い時間。月は僅かにもその位置から動いておらず、この戦いを見守ったメイジ達にとっては、どのような攻防があったのかさえ理解している者はいない。
 もはや意味を成さない呻きしか上げられないワルドを、なおも怒りの収まらない目で見下ろす位置に立ったジョセフは、静かに言葉を紡いだ。
「今のがルイズを侮辱されたわしの分だ、ワルド」

320 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 01:17:46 ID:Iqa1ltiU
支援

321 :ゼロと奇妙な隠者:2007/11/23(金) 01:18:45 ID:15vhDG97
 そしてワルドの長い髪を引き千切らんばかりに無理矢理引っつかんで立ち上がらせると、空いている右腕でワルドの左頬に鉄拳を叩き込んだ。
「うげぇえええええっ」
 鼻血さえ噴き出すが、いつの間にかワルドの首に絡み付いていたハーミットパープルが、倒れることさえ許さない。
「これは貴様が裏切ったわしの友人、アンリエッタ王女殿下の分!」
 続いて左腕が、ワルドの顔面を歪ませた。
「これが貴様が暗殺しようとしたウェールズ皇太子の分!」
「や、やめ――」
 左腕を吹き飛ばされ、二発の鉄拳を叩き込まれたワルドは既に戦意さえ喪失しているのは明白だった。
「そして今からのは全部ッ!」
 そんな些細な事には構いもせず、ジョセフは両手を固く握り締め――
「貴様に裏切られたルイズの分じゃあーーーーーーーッッッ」

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ」

 ジョセフの拳が目にも留まらぬ速さで連打され、その全てがワルドの身体に減り込む。

 倒れることも許されない拳の嵐の中、朦朧とする事さえも許されぬ激痛の中、ワルドはガンダールヴだけではない人の姿を見た。

322 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 01:18:52 ID:Iqa1ltiU
支援

323 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 01:19:08 ID:jGNvxgX7
じいさんハッスルしすぎだ支援

324 :ゼロと奇妙な隠者:2007/11/23(金) 01:19:58 ID:15vhDG97
 金髪を立てた、ゴーレムめいた容貌の軍服の男が。
 奇抜なデザインの帽子を被った優男が。
 艶やかな黒髪を靡かせる若い女が。
 ガンダールヴに似た、黒髪黒目の青年が。
 年老いたガンダールヴと共に拳を繰り出し、自分を叩きのめしているのが見えた。

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ」

 見知らぬ人間の姿は更に増えていく。

 褐色の肌をした亜人めいた風貌の奇妙な服装の男が。
 見慣れぬコートらしき服を着た神経質そうな細身の青年が。
 銀髪を立てた奇妙な髪型をした男が。
 ――生意気そうな子犬までもが。
 コートにも似た奇妙な服を着、奇妙な飾りのついた帽子を被った男が。

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ――ッッッ」

 幾人もの人間もの拳を受け、断ち切れる寸前の意識が最後に見たのは、やはり。
 忌々しい使い魔の姿だけだった。

325 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 01:20:22 ID:Iqa1ltiU
支援

326 :ゼロと奇妙な隠者:2007/11/23(金) 01:21:34 ID:15vhDG97
「オラーーーーーーッッッ」

 ハーミットパープルの呪縛から解き放たれた瞬間、ワルドの顔に減り込んだ拳は、決して軽くは無いワルドを容易く吹き飛ばし――固定化の魔法が厳重に掛けられた城の壁に激突したワルドの体が、壁に小さくは無い亀裂を入れた。
 ボロ雑巾、という形容が可愛らしく思えるほどの惨状を晒すワルドを静かに見下ろし、ジョセフはゆっくりと指差した。

「貴様の敗因はたった一つ」
 帽子を被り直し、言った。
「貴様はわしを怒らせた。ただそれだけだ」

 ドーーーーーz_____ン


 To Be Contined →

327 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 01:21:55 ID:Iqa1ltiU
支援

328 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 01:22:50 ID:o1Un6tk/
アリーデヴェルチ
支援!

329 :隠者の中の人 ◆4Yhl5ydrxE :2007/11/23(金) 01:22:59 ID:15vhDG97
 以上、投下したッ!
 ジョセフとシュトロハイムって究極カーズ戦の後会ってないんじゃね? というツッコミはあるかと思うッ! そりゃそうだ、原作じゃ会ってないんだから。
 だが『ゼロと奇妙な隠者』では噴火に吹っ飛ばされて二人とも漁船に救出されたということになっている。参考文献は隠者37の
>「まァまァ、そんだけ大変だったんじゃ。で、あれやこれやバタバタしてたもんで館にゃわしとスージーQとシュトロハイムだけだった。で、シュトロハイムに迎えが来て、その場しのぎじゃが義手も貰った。でも満足に動けんかったんで、スージーに看病されっぱなしでな」
 という一文……実は間違ったフリして伏線を張っていた……!(ゴゴゴゴゴ)
 この世界ではそうなっている……! というかあのキリキリする義手は誰から貰ったんだろ……中の人の妄想ではナチスから貰ったという設定を採用している……! ワールドヒーローズ大好きだ……!

 しかし実はわざとまだ盛り込んでいない要素がある……
 劇中の時間は深夜、決戦前夜ッ!
 次回予告! 「ニューカッスルの決戦にヤバいジジイがINッ!」 お楽しみに!

330 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 01:24:05 ID:jGNvxgX7
じじいかっこよすぎるぜGJ

331 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 01:24:52 ID:gjbnky4o
ジョセフと愉快なオールスター乙ッ!


332 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 01:24:52 ID:H8s5CaLp
GJ!
なんというリンチ……ジョセフ爺ちゃん、強いな。
さすがジョナサンの孫。爆発力も受け継いでいた、というわけか。

333 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 01:25:01 ID:s/pXicv7
最後のオラオララッシュには一瞬うしとらとかガッシュとかを幻視したわ
作者マジにGJ

334 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 01:25:33 ID:C5G9ielF
>>324
乙っ!

しかし>>褐色の肌をした亜人めいた風貌の

あやまれ!ブ男にあやまれ!
そこまで人間離れしてないぞ!

335 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 01:28:10 ID:5QSjUH7O
このオラオララッシュはチョコラータ戦の無駄無駄ラッシュに匹敵するんじゃあないか?
老いてなおますます盛ん!GJ!!

336 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 01:28:33 ID:Iqa1ltiU
GJ!
ここまでボコるとは。

>亜人
これはひどいw



337 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 01:33:49 ID:IveAv0Vi
なんというハッスルジジイフェスティバル…
翌日は間違いなく筋肉痛と腰痛の地獄w

338 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 01:36:47 ID:x2LzmRZF
ここで逃げ切れないでとっ捕まる、しかもキレイじゃないワルドって珍しいな
オラオラGJ!

339 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 01:44:01 ID:H8s5CaLp
さて、ではそろそろ投下。
前回までのあらすじ
タバサのほれ薬効果が解除された。ウェールズが王宮に向かっているらしい。

ま、基本的に原作準拠だから、気軽に読んでくれ。

340 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 01:44:46 ID:o4v7lV9Y
GJ!!


1!
ドガァ
2!
ドボォ
3!
バキィ
4!
グシャァ
5!!
ドグシァアー
ワルド…再起不能
ジョセフ「うゎあっはっははは!!
どうだ!! ここに波紋が溜まってきただろう!!!」


カッとなって書いた、反省はしている

341 :ゼロと奇妙な鉄の使い魔 1/13 ◆PEFli7wTN2 :2007/11/23(金) 01:46:05 ID:H8s5CaLp
 アンリエッタとウェールズが出会ったのは今から三年前、ラグドリアン湖の
湖畔にハルケギニア中の王侯貴族を招いて催された大園遊会の時期である。
 毎日毎日、絶え間なく続く行事に辟易したアンリエッタはパーティを抜け出
し、ラグドリアン湖で水浴びをしていたところ、偶然、散歩していたウェール
ズに見つかったのだ。出会った二人はたちまち恋に落ち、夜毎、抜け出しては
ラグドリアン湖の湖畔で逢瀬を重ねるようになった。

 湖水に石が投げ入れられる音に、ファントムマスクをつけたウェールズは茂
みから姿をあらわし、誰もいないことを確認すると、合言葉を口にした。
「風吹く夜に」
 すぐに待ち合わせ相手からの返事が返ってくる。
「水の誓いを」
 二人は相手の姿を認めると、ウェールズはマスクを、アンリエッタはフード
を外し、駆け寄った。そのまま手を握り合い、ラグドリアンの湖畔を歩く。
 二人が話すのは、このラグドリアン湖に住むという水の精霊の話や、アンリ
エッタが逢瀬という目的を知らせず影武者を頼んでいるルイズという少女につ
いてなど、些細な話ばかりだ。アンリエッタはそれで構わなかった。大遊園会
が終わるまでの限られた期間の、この夜の一時だけは彼女はトリステインの王
女ではなく、ウェールズを愛する一人の女性でいられたのだ。
 だが、二人は決して結ばれることはない。お互いに好意を持っていることを
悟ってもいたし、口に出してもいたが、王族という身分は好きな相手と結ばれ
ることが許される立場ではないのだ。もしも二人の関係が公に知られたら、二
人はもはや顔をあわすこともできなくなるだろう。
 ある時、ウェールズは無理に明るい声を作ってこう言った。
「ははは……、お互い面倒な星のもとに生まれたものだね。こうやって、ただ
しばらくの時間をともに過すときでさえ、夜を選び、変装して、影武者まで立
てなければままならないとは! 一度でいいから、アンリエッタ、君と二人、
太陽のもと、誰の目を気にすることもなくこの湖畔を歩いてみたいものだ」
 それを聞くとアンリエッタは目をつむり、ウェールズの胸に寄り添う。
「ならば、誓ってくださいまし。このラグドリアン湖に住む水の精霊のまたの
名は『誓約の精霊』。その前でなされた誓約は、違えられることがないとか」
「迷信だよ。ただの言い伝えさ」
 ウェールズは微笑んだ。事実、水の精霊が人前に姿を現すことはほとんどな
いため、その言い伝えを確かめた者はいない。
「迷信でも、わたくしは信じます。信じて、それがかなうのなら、いつまでも
信じますわ。そう、いつまでも……」
 そういったアンリエッタの瞳から一滴、涙がこぼれ落ちる。ウェールズが優
しく慰めるが、アンリエッタの悲しみは収まらない。ウェールズは現実を見る
がゆえに、アンリエッタが傷つかないよう、冗談めかしたり、一歩引いたよう
な態度を取ってしまうことがある。それがアンリエッタには悲しかった。
 やがてアンリエッタはドレスの裾をつまんで湖の中へ入っていく。
「トリステイン王国王女アンリエッタは水の精霊の御許で誓約いたします。ウ
ェールズ様を、永久に愛することを」
 それからアンリエッタはウェールズにも促した。
「次はウェールズ様の番ですわ。わたくしと同じように誓ってくださいまし」
 ウェールズは水の中に入り、アンリエッタを冷やさぬよう、抱きかかえる。
アンリエッタはウェールズの肩にしがみつき、誓いの言葉を待った。ウェール
ズは困ったような顔でアンリエッタに呟く。
「誓約が違えられることはないなんて、ただの迷信だよ」
「心変わりするとおっしゃるの?」
 ウェールズは黙祷するように考え込むと、神妙な面持ちで口を開いた。
「アルビオン王国皇太子ウェールズは水の精霊の御許で誓う。いつしか、トリ
ステイン王国王女アンリエッタと、このラグドリアン湖の湖畔で太陽のもと、
誰の目もはばかることなく、手をとり歩くことを」
 それを聞いたアンリエッタはウェールズに顔を寄せ、聞こえぬように囁く。
「……愛を誓っては下さらないの?」
 そのとき、湖面が光で瞬いた。
 二人は顔を見合わせたが、それが月の光の反射なのか、水の精霊が誓約を受
け入れたしるしなのか、二人にはついに分からなかったが、二人は寄り添い、
いつまでもラグドリアンの美しい湖面を見つめ続けた。

342 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 01:47:27 ID:5QSjUH7O
鉄待ってたぞォ!!!支援!

343 :ゼロと奇妙な鉄の使い魔 2/13 ◆PEFli7wTN2 :2007/11/23(金) 01:47:36 ID:H8s5CaLp
第二十四章 怒りの日 前編

 女王アンリエッタの侍女兼警護役を任じられているアニエスは、巡回中、ふ
と、中庭に視線をとめた。アニエスには平民であり、魔法は使えない。それ故
に魔法以外の部分ではメイジに劣らぬよう、あらゆる鍛錬を欠かしていない。
その鋭敏な感覚が、中庭に人影がよぎるのを見取った。気のせいか、自分と同
じ、巡回の兵士かとも思ったが、何か勘に引っかかるものを感じた。
 一瞬、主であるアンリエッタに報告すべきか迷う。しかし、女王は既に就寝
しているはずの時刻である。それに一国の王の警護を平民一人に任せるわけも
なく、各所には魔法衛士隊の精鋭が警護に配置されている。それでも巡回して
いるのは、アニエスの、少しでもアンリエッタの役に立ちたいという意欲の顕
れである。
 しばし後、違和感を確かめようと、アニエスは中庭へ足を進めた。
 人影を見たと思った場所にたどり着き、周囲を見渡したが、特に異常は見ら
れない。
 気のせいだったか、と呟き、アニエスは声が出ないことに気がついた。
(これは……『サイレンス』?)
 そう思った瞬間、アニエスは横に跳んだ。直後、アニエスがいた場所を音も
なく風の槌が通り抜ける。振り向くと、背後にいつの間にかフードを被った男
が杖を構えて立っていた。どうやら音が出ぬよう、まず『サイレンス』をかけ
その範囲外から呪文で攻撃してきたらしい。
 アニエスは相手を認識すると同時に、引き抜いた護身用の短剣を相手の心臓
目掛けて投擲する。短剣は狙い過たず侵入者の胸に突き立った。他に賊がいる
可能性を考え、腰に帯びた剣の柄に手をかけ、引き抜こうと力を込める。しか
し、何百、何千と抜いてきたはずの剣は、ぴくりとも動かない。
「!?」
 アニエスは剣の柄に目をやる。そこには何もいない。だが、まるで剣を押え
つけられているような圧力をアニエスは感じた。戸惑うアニエスの身体を、無
数の風の刃が襲う。吹き飛ばされ、倒れ伏すが、音が消されているため、物音
ひとつ立たず、叫びすらあげられない。無念を思いながら、襲撃者を確かめよ
うと顔を上げると、先ほど短剣を投げつけて倒したはずのフードの男が、短剣
を引き抜き、背を向けて去っていくところだった。
(そんな馬鹿な……確かに……)
 真っ赤に染まった短剣の刃を見つめながら、アニエスは気を失った。

344 :ゼロと奇妙な鉄の使い魔 3/13 ◆PEFli7wTN2 :2007/11/23(金) 01:48:42 ID:H8s5CaLp
 アンリエッタは束の間の回想から戻ってきた。今のアンリエッタはラグドリ
アン湖のほとりではなく、トリステインの城の、女王となってから使い始めた
亡き父王の居室にいる。
 ベッドに横たわっていた身を起こし、脇のテーブルに置いてあったワインの
瓶をつかむと、杯に注いで一気に飲み干す。女王になってからは、その重責に
かかる心労とともに、以前はたしなむ程度だった酒量も、増すばかりである。
ほとんどの決議はほぼ決定された状態で持ち込まれ、アンリエッタはその裁可
を下すだけなのだが、今までほとんど飾りとして決断することもなかった彼女
にとっては、それはかなりのストレスを伴っていた。今でも飾りではあるもの
の、女王ともなれば飾りなりの責任が発生しているのだ。その重圧の逃げ場と
して、アンリエッタは酒を選んでいた。酔えば眠れるからだ。とはいえ、まさ
か酔っ払っている姿を臣下に見せるわけにもいかないので、こうして隠し持っ
ているワインを夜中にこっそりと飲んでいるというわけだ。
 再びワインを注ぎ、杯を煽る。
 酔いが深まってくると、決まって先ほどのように十四歳の夏の、短い期間を
思い出す。アンリエッタにとってはあの時間はほんのわずかな、生きていたと
実感できていた、大切な思い出だった。酔いが深まってくると、今の現実が夢
で、あの幸せな時間こそが現実なのであって欲しいと願うほどに。
「どうして貴方はあのときおっしゃってくれなかったの?」
 顔を覆う手の下から涙が一筋流れ、しかし次の瞬間、はっとした。女王たる
者、涙を流しているところを見られるわけにはいかない。慌ててそれをぬぐっ
た。こんなことではいけないと思いつつ時計を見ると、もう夜も遅かった。明
日には戦争を終らせるためにゲルマニア大使との折衝が待っていることを思い
返し、最後の一杯を飲もうとグラスに手を伸ばす。
 そのとき、扉がノックされた。
 アンリエッタはガウンを纏うと、扉に向けて誰何した。
「このような夜更けに誰です?」
「僕だ」
 その声を聞いたとき、アンリエッタは自分が知らぬ間に眠って夢を見ている
のか、飲みすぎで酔っ払っているのだと思った。それほど衝撃的だったのだ。
しかし、その疑念を打ち消すようにもう一度声がする。
「僕だよ、アンリエッタ。扉を開けておくれ」
「ウェールズ様……? 嘘よ、そんな……貴方はアルビオンで戦死なされたは
ずでは……。こうして風のルビーだって……」
 アンリエッタは指をなぞる。そこには確かに形見の風のルビーがある。
「死んだのは影武者さ。敵を欺くにはまず味方からっていうだろう? それと
も、僕が生きているのが信じられない? まあ、仕方ないね。では本物の証拠
を聞かせよう」
 しばらく相手は間をおくように黙る。ほんの数秒だったが、アンリエッタに
はまるで何十分にも感じた。
「風吹く夜に」
 ラグドリアンの湖畔で幾度も聞いたその言葉を聴いた途端、アンリエッタは
警戒心も疑問もすべて忘れて扉を開け放った。
 夢にまでみたその人物が、そこには立っていた。
「ウェールズ様…………。本当に、よくご無事で……」
「やあ、アンリエッタ、相変わらずだね。なんて泣き虫なんだ」
 ウェールズはむせび泣きながら抱きついたアンリエッタの抱き返し、その頭
を優しく撫でる。
「なぜ、もっと早くいらしてくださらなかったの?」
「すまない。だが、敗戦の後、敵軍の追求が厳しくてね。場所を転々としてい
て、このトリスタニアにも二日前にやってきたばかりなんだ。君が一人でいる
時間を調べるのにも手間取ってね。まさか、死んだはずの僕が堂々と君に面会
を申し込むわけにもいかないだろう?」
 そう言うと、ウェールズはいたずらっぽく笑った。アンリエッタはその懐か
しい笑顔を、笑っているような、すねているような、さまざまな感情がまざっ
た表情で見つめていた。
「相変わらず意地悪ね。どんなに私が悲しんだか……。どんなに寂しい思いを
したか、貴方にはわからないのでしょうね」
「わかるとも。だからこうやって迎えに来たんじゃないか」

345 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 01:49:51 ID:gjbnky4o
隠者と鉄って…今日は御大登場デーですか支援

346 :ゼロと奇妙な鉄の使い魔 4/13 ◆PEFli7wTN2 :2007/11/23(金) 01:50:08 ID:H8s5CaLp
 しばらく二人は抱き合っていたが、やがてウェールズは言った。
「アンリエッタ、僕と一緒にアルビオンへ来てくれ」
「ご冗談を! ウェールズ様はアルビオンへ戻るつもりなのですか? みすみす
拾った命を捨てに行くようなものですわ!」
「それでも、僕は戻らなくちゃならないんだ。アルビオンをレコン・キスタの
手から解放しなきゃならない。そのためにアンリエッタ、君が必要なんだ」
「そんな……、お言葉は嬉しいですが、無理ですわ。王女の頃ならともかく、
わたくしは今や女王なのです。好むと好まざるとにかかわらず、国と民がこの
肩の上にのっております。無理をおっしゃらないでくださいまし」
 アンリエッタは首を振るが、ウェールズはその顎に手をかけ、瞳を覗き込み
ながら、更に熱心な言葉でアンリエッタを説き伏せにかかる。
「無理は承知の上だ。でも、勝利には、いや、僕には君が必要なんだ。負け戦
の中で、僕は気づいた。どれだけ僕が、君を必要としていたかってことを。ア
ルビオンと僕には勝利をもたらしてくれる『聖女』が必要なんだ」
 アンリエッタは頭の中が痺れるような感覚を味わっていた。酔いと寂しさと
が、愛しい人に必要とされているその感動を加速させる。
 それでも必死にアンリエッタは首を振った。
「これ以上、わたくしを困らせないでくださいまし。お待ちくださいな、今、
人をやってお部屋を用意いたしますわ。そのお話は明日、また……」
 身体を離そうとしたアンリエッタの手をウェールズは優しく掴み、引き止め
る。
「明日じゃ間に合わない」
 そしてウェールズはアンリエッタを抱き寄せ、彼女がずっと聞きたがってい
た、そしてウェールズが決して言わなかった言葉をあっさりと口にした。
「愛してる、アンリエッタ。だから僕と一緒に来てくれ」
 相手を騙す時に効果的なことの一つに、相手にとって都合のいい「現実」を
語ることがある。極端な話、相手が切望している「現実」を提示さえすれば、
そこに多少の矛盾があったしても、相手は都合のいいように解釈し、その矛盾
から目をそらしてしまう。
 そしてそれは一国の女王が相手であっても例外ではなかった。死んだはずの
最愛の人が生き延びており、自分を愛し、必要としてくれる。その「現実」は
アンリエッタを瞬く間に侵食し、冷静な思考も、王族としての義務感も遠い彼
方へと押し流していった。
 ゆっくりと、ウェールズはアンリエッタに唇を近づけ、何か言おうとしたそ
の口はそれで塞がれた。
 アンリエッタの脳裏に、ラグドリアン湖での甘い記憶がいくつも浮かんでは
消える。その無防備な精神は眠りの魔法に抵抗することができず、アンリエッ
タは眠りの世界へと落ちていった。

347 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 01:51:00 ID:5QSjUH7O
支援!

348 :ゼロと奇妙な鉄の使い魔 5/13 ◆PEFli7wTN2 :2007/11/23(金) 01:51:51 ID:H8s5CaLp
 シルフィードに乗ったルイズたち一行が王宮に到着したのは、深夜一時を回
った頃だった。既にアンリエッタが連れ出されたことは王宮の者たちも気づい
ており、中庭は大騒ぎだったが、ルイズたちはかまわずその中央に降り立つ。
 即座に魔法衛士隊が周囲を取り囲み、マンティコア隊隊長が誰何の声を上げ
る。しかし、隊長は以前にもこうやって降りてきたルイズたちを覚えており、
その顔を見ると眉をひそめた。
「またお前たちか! 面倒な時にばかりやってきおって!」
 そう毒づく隊長に、風竜の背から飛び降りたルイズは詰め寄る。
「姫様は!? いえ、女王陛下は無事ですか?」
 答えを渋るマンティコア隊長の鼻先に、ルイズはアンリエッタから授けられ
た許可証を突き出す。
「私は女王陛下直属の女官です! 陛下直筆の許可証も持っているわ! 私は陛
下の権利を行使する権利があります! 直ちに事情の説明を求めるわ!」
 それを確認した隊長は流石に驚いたようだが、そこは軍人らしく上位権限者
に従って説明を始める。
 竜の背に乗っていたキュルケは、その様子を目を丸くして見ていた。
「ルイズったら、すごいじゃない。いつあんな権限を手にしたのかしら?」
「例の、タルブ平原の功績だ」
 横にいたリゾットが説明する。
「ああ、なるほどね。あれだけのことをすれば、当然か。でも、ちょっと悔し
いわね。水をあけられちゃったみたいで」
 言葉とは裏腹に、キュルケは機嫌がよさそうに言う。ルイズの出世を喜んで
いるのだろう。
「……ルイズはいい友人を得たな」
 リゾットの呟きにキュルケは照れくさそうに笑うと、中庭に視線を移した。
「それにしても、すごい騒ぎねー」
 中庭には松明を持った兵隊や、杖の先に魔法の明かりを灯した貴族が、あち
こちに走り回っている。どうやら賊は逃走時に強行突破したらしく、各所に破
壊の痕があった。
「貴方、みつからないようにしなさいよ?」
 キュルケは竜の背でじっとしていたフーケに話しかけた。その口調にはから
かいの響きがある。
 だが、からかわれたフーケは無言で頷くと、フードを被り直し、下を向く。
そのらしくない反応に、キュルケは拍子抜けした。フーケの性格なら、何か言
い返すか、あるいは状況を楽しむように余裕を持って返すと思ったからだ。学
院からここまでの二時間程の空の旅で、フーケは一言も口を利いていない。何
か考え込んでいる様子だった。もちろん、それは今から会うであろう因縁があ
るという人物のことであろうことは想像に難くない。
「……ウェールズに会ってどうするつもりだ?」
 リゾットが声をかけるとフーケはゆっくりと顔を上げ、頭を振ると、弱弱し
く答えた。
「さあね……。ちょいと顔を見たいだけなのかもね……」
 言葉とは裏腹に、その顔には好奇心はない。その表情から読み取れる感情は
『困惑』だった。フーケ自身、どうしたいのか、決めかねているのだろう。
「……わかった。だが、油断するなよ。相手は俺たちの知るウェールズではな
いだろうからな」
 フーケは再び考え込むように顔を伏せた。キュルケがため息をつく。
「まあ、仕方ないわね。助けてもらったこともあるし、いざというときはあた
したちがフォローするわ」
 そこにルイズが風竜の背に飛び乗ってきた。
「姫様を攫った賊がラ・ロシェールの方へ逃げたわ! 国外に逃がす前に追い
つかないと!」
「王宮から追撃は?」
「魔法衛士隊のヒポグリフ隊が向かってるわ! 私たちも急ぎましょう!」
 場の空気が緊張したものになる。タバサが合図すると、シルフィードは飛び
立った。
「低く飛んで! 相手は馬を使ってるらしいわ!」
 シルフィードは一声鳴くと、あっという間に城下町を飛び出し、街道沿いに
低空飛行を始めた。鋭敏な鼻先で風の流れを読み、夜の闇を物ともせずに飛ん
でいく。

349 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 01:53:17 ID:UOmTOZoN
支援

350 :ゼロと奇妙な鉄の使い魔 6/13 ◆PEFli7wTN2 :2007/11/23(金) 01:53:18 ID:H8s5CaLp
 トリスタニアからラ・ロシェールに向かう街道に何人もの人影や馬や、馬の
身体に鷲の翼と嘴を持つヒポグリフが倒れている。彼らは王宮から誘拐された
王女を助けるべく駆けつけた魔法衛士隊の一部隊、ヒポグリフ隊だったが、無
残にもこうして野にその骸を曝すことになった。
「貴方は……一体、誰? なぜ、魔法衛士隊を……」
 アンリエッタは殺害者であるウェールズに、肌身離さず腰に下げている水晶
の光る杖を突きつける。
「僕はウェールズさ。……疑うのかい? なら、その魔法で僕を殺し、仇を討
てばいい。君に疑われてまで生きている価値はない」
 二人はそれきり沈黙し、次にアンリエッタの口から漏れたのは魔法の詠唱で
はなく、嗚咽だった。
「僕を信じてくれるね、アンリエッタ」
「でも…こんな……」
「複雑な事情があるんだ。後で話すよ。僕を信じてついてきてくれ」
 アンリエッタは項垂れて膝を突き、その場から動かない。ウェールズはアン
リエッタの手をとると、優しくアンリエッタを立たせた。
「今はわからないかもしれない。ただ、君はいつかのラグドリアン湖の誓い通
りにしてくれればいい。それともあの時から、君は変わってしまった?」
「……変わるはずがありませんわ。貴方に誓った愛は私のたった一つの生きる
拠り所だったのですもの。私は貴方を永久に愛し続けます」
「そうとも。水の精霊の前での誓いは決して違えられることはない。君は己の
その言葉だけを信じていてくれ。後は全部、僕に任せてくれればいい」
 アンリエッタは自分に言い聞かせるように何度も頷く。自分の言葉と記憶に
縛られた彼女には、それ以外の道はなかった。
『ヒヒ、よく言うぜ……』
 その場に嘲笑が響く。アンリエッタは何の反応も見せない。まるでその声が
聞こえていないようだった。だが、ウェールズはそれを軽く目線でとがめた。
『ククク……。しかし、どうする? 移動手段はなくなったが……』
 その声なき声を聞いたウェールズが合図すると、周囲からウェールズ配下の
騎士が起き上がった。その身体には先ほどの魔法衛士隊との戦いで致命傷とも
思える傷がついているにも関わらず、彼らは無傷と変わらぬ動きを見せた。も
はやアンドバリの指輪によって命とは別の動力で動いている彼らにとって、肉
体の多少の損傷など、さしたる問題にならないのだ。死者の集団は一つの意思
で動いているが如く、何の言葉も交わさずに黙々と戦闘で倒れた馬車を引き起
こし、草むらの中へと散っていく。

351 :ゼロと奇妙な鉄の使い魔 7/13 ◆PEFli7wTN2 :2007/11/23(金) 01:55:21 ID:H8s5CaLp
 シルフィードが警告の鳴き声を上げ、空中で停止した。ルイズたちが眼下を
のぞくと、多数の人や動物の死体が転がっている。
「ここで待っていてくれ。安全を確認する」
 そういいおいて、リゾットは風竜の背から飛び降りた。警戒しながら、地に
倒れ伏している死体を調べていく。生存者がいるかもしれないし、相手の攻撃
の方法が死体からわかるからだ。
 リゾットの左手に持たれたデルフリンガーは黙ってその様子を見ていたが、
あることに気がついた。
「王宮の衛士ばかりだな……」
 倒れている死体はいずれも、トリステイン王国の紋章をマントに縫い付けて
いる。そうでない人間の死体は一つもなかった。
「一国の精鋭メイジの一隊を相手に、一人の犠牲も出さずに圧勝できる戦力が
敵にあると思うか?」
「よほど大人数ならともかく、あんまり考えられねえなあ……」
 それきり二人とも沈黙する。
 そうやって生存者の確認をしていると、一人、息のある騎士がいた。顔を確
認すると、見覚えがある。
「ん……? こいつ……。こいつはまだ息があるな……」
「じゃ、上にいる嬢ちゃんたちを呼んで治療しようぜ」
「……いや、それはまだだな」
 そうリゾットが答えた直後、周囲を囲む草むらから一斉に魔法が放たれる。
「リゾット!」
 ルイズが叫ぶ。その攻撃はガンダールヴのスピードを持ってしても回避不能
なタイミングに思えた。だが、リゾットはメタリカの磁力による反発を利用し
て爆発するような急加速を行うと、生存者を抱えたまま、魔法の合間を縫うよ
うにしてそれらをかわしてのける。
 デルフリンガーから安堵のため息が漏れた。
「ふぅ〜、危ねえ……」
「やはり待ち伏せか……」
 暗がりから拍手が響く。暗がりからウェールズたち、アルビオンの貴族が姿
を現した。その姿を見て、リゾットはやはりウェールズが正気でないことを悟
る。なんとなく表情に生彩というか、意思が感じられないのだ。
「お見事。まさか完全に避けられるとは思わなかったよ」
「待ち伏せは……予測できたからな……」
「ふむ……。どうしてだい?」
 その言葉に、リゾットは地面を指差した。
「お前、頭脳が間抜けか? 馬車の轍が草むらの中に消えているし、ここに転
がっている馬の数を見れば、お前たちが移動手段を失っていることは明白だ」
「なるほど」
 素直に感心したような声を出すウェールズに、上空から声がかかる。
「ウェールズ皇太子!」
 風竜の背のルイズに視線を投げかけると、ウェールズは微笑した。
「降りておいで、大使殿。いや、ミス・ヴァリエール」

352 :ゼロと奇妙な鉄の使い魔 8/13 ◆PEFli7wTN2 :2007/11/23(金) 01:56:58 ID:H8s5CaLp
 風竜の背から降りてくるルイズたちを見て、ウェールズがふと、フーケに目
をとめた。
「君は……」
「ふん、久しぶりじゃないか、ウェールズ。私を覚えてるかい?」
 いいながらフードを外し、素顔を明らかにすると、ウェールズは僅かに目を
見開いた。
「まさか……マチルダか? 無事だったのか……」
「はん! そうさ。あんた達、アルビオン王家に家をつぶされたサウスゴータ
の娘だよ」
「貴方、アルビオンの貴族だったの?」
 ルイズが尋ねると、フーケは黙って頷いた。
「君がミス・ヴァリエールたちと一緒にいるのは意外だが……、いまさら何の
用だい?」
「別に。ただ、あんたが王家にあるまじき醜態をさらしてるって聞いたから、
哂いに来てやったのさ」
 皮肉っぽい笑みを浮かべるが、ウェールズは微笑みを動かさない。
「悪いがマチルダ。僕は今、君に関わってるだけの暇がないんだ。君の家の運
命には同情するが、ね……」
 ウェールズがそういった途端、フーケの雰囲気が変わった。
「今……同情する、って言ったのかい?」
 低い声で訊き返すと、ウェールズは微笑みを深くした。
「そう、僕だって君たちをあんな目には合わせたくはなかったんだが、王家の
命に背いたのは君たちだ。気の毒に思ってもどうにもできなかったんだよ」
 それを聞くと、フーケ、いや、マチルダ・オブ・サウスゴータはぶるぶると
身体を振るわせ始めた。彼女の身体を貫くのは屈辱の怒りだった。
 彼女はウェールズに再会して何と言ってもらいたかったのか、それは本人に
すらわからない。謝罪の言葉を口にして欲しかったのかも知れないし、もしか
したら馬鹿にされることで自分とアルビオン王家が相容れないものであること
を確認したかったのかもしれない。
 だが、彼女がどれほど苦難の道を歩み、どれだけ苦痛を感じながら盗賊に身
を落としたか、それを知りもしない癖に、その境遇に追いやった者の端くれに
安易に同情される。これだけは許すことはできなかった。彼女の父の苦渋の決
断と、自分の通ってきた道、それら全てを中途半端な思いやりと『気の毒』の
一言に汚された気がしたのだ。
「ウェールズッ!」
 その怒りは魔力となって迸り、マチルダは半ば無意識に一瞬で魔法を完成さ
せていた。その唐突さ、そして速度に、その場で対峙していた者は誰一人反応
することができず、気がついたときにはウェールズの身体は大地から生えた岩
の槍によって貫かれていた。
「ウェールズ様!!」
 悲鳴のような声と共に、ガウン姿のアンリエッタが駆け出してくる。槍は心
臓を貫いており、常人ならば即死のはずだった。だが、ウェールズは水魔法を
かけようとしたアンリエッタを片手で押しとどめる。
「心配はいらないよ、アンリエッタ」
 ウェールズが身体を引いて石の槍を抜くと、見る間に傷が塞がっていく。
「無駄だよ。僕を殺すことは、君たちにはできない」
「何……だって……?」
 フーケが呆然と呟いた。偽りの命を与えるとは聞いていたが、まさか殺して
も死なない、というのは予想外だったのだ。

353 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 01:57:35 ID:UOmTOZoN
支援

354 :ゼロと奇妙な鉄の使い魔 9/13 ◆PEFli7wTN2 :2007/11/23(金) 01:59:10 ID:H8s5CaLp
「分かって貰えたなら、退いてくれないか? 僕もアンリエッタの前で無用な
戦いはしたくない」
 そう告げるウェールズの隣に、アンリエッタはじっと佇んでいた。彼女に向
けて、ルイズが叫ぶ。
「姫様、こちらにいらしてくださいな! 帰りましょう!」
 アンリエッタはわななく様に唇を噛み締め、俯く。
「そのウェールズ皇太子は、ウェールズ様ではございません! クロムウェル
の『アンドバリ』の指輪で蘇った亡霊です!」
 ルイズの必死の訴えかけに、しかしアンリエッタは嫌々するように首を振る
と、ルイズたちに告げた。
「ルイズ、道を開けて! 私たちを行かせてちょうだい!」
「姫様、何故です!? 姫様は騙されているのです! 今、姫様も目の前で見た
ではありませんか!!」
 それを聞くと、アンリエッタはにこりと笑う。それは世界中の全てを敵に回
すことを理解しつつ、なおかつそれを躊躇わない者の笑みだった。
 狂気すら宿らせ、アンリエッタは高らかに愛を謳う。
「全て知っているわ。ルイズ、貴方は本当に人を好きになったことがないから
分からないのよ。本当に好きになった人になら、何もかもを捨ててでもついて
行きたいと思うものよ。嘘かもしれなくても、信じたいものなの。私は水の精
霊の前で誓ったのよ。『ウェールズ様に永遠の愛を誓います』と。もう自分の
気持ちに嘘はつけないわ」
「姫様!」
「命令よ、ルイズ・フランソワーズ。道を開けてちょうだい!」
 ルイズはアンリエッタの決死の硬さを知った。例えトリステインを滅ぼすと
しても、アンリエッタは行くというだろう。絶望に、杖を掲げ持つ手がゆっく
りと下がって行く。
 その手を、横から別の手がつかんだ。顔をあげると、リゾットだった。
「本当にそれでいいのか……?」
 一言だけ問うと、じっとルイズを覗き込む。そのひたすらに深い目に、ルイ
ズは自分の心の奥底まで見通されるような気がして、思わずルイズは目を逸ら
した。俯いたルイズをおいて、リゾットは前に出る。その表情や視線は常のよ
うな無表情なものだったが、何故かいつにない冷たさを感じさせた。
「ど、どきなさい……。これは命令よ」
 搾り出すようにいうアンリエッタを一瞥すると、リゾットは淡々と、呟くよ
うに話し始めた。
「お前は自分が愛のために動いていると、思っているようだが……、それはた
だの逃避と裏切りだ……」
 その言葉に、アンリエッタの身体が一瞬、強張る。
「お前は辛い現実から逃げるために、お前を慕う部下と国民を裏切り、その責
任をウェールズに、誰よりお前を愛していたはずの男に押し付けている……」
 氷のようだったリゾットの眼差しが、唐突に怒りの色を帯びる。
「それが彼らの、何よりウェールズ本人の信頼と尊厳をどれだけ踏み躙ってい
るか、お前は分かっているのか……?」
 今や、リゾットは怒りを隠してはいなかった。自分を信じてついてきた人間
を裏切り、その尊厳を踏み躙る。それはリゾットにとって最も許せないことの
一つだった。ボスを裏切った動機も組織への忠誠と信頼を裏切られ、ソルベや
ジェラートの尊厳を踏み躙られたことが切欠だったのだから。
 デルフリンガーをアンリエッタに向けて突きつける。
「分かってやっているならば、俺はお前を許さん……! ウェールズやルイズ
の心を裏切った報いを……、この場で受けさせる!」
 だが、この場面において、リゾットは選択を誤った。怒りは怒りを呼ぶ。無
自覚だった事実を指摘され、アンリエッタは胸に刃を突き立てられるような痛
みを感じたが、同時にそれは燻っていたリゾットへの憎しみを燃え上がらせる
ことになった。
「黙りなさい! ウェールズ様を見殺しにした貴方に、ウェールズ様を語るこ
とは許しません!」
 アンリエッタが杖を振ると、リゾットを囲むように水の壁が出現し、リゾッ
トを押しつぶそうとする。磁力を利用した跳躍でそれを回避したリゾットを狙
い、ウェールズの風の魔法が飛ぶ。だが、ウェールズの眼前でその魔法は爆発
した。ルイズの『エクスプロージョン』だった。

355 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 01:59:29 ID:5QSjUH7O
支援!

356 :ゼロと奇妙な鉄の使い魔 10/13 ◆PEFli7wTN2 :2007/11/23(金) 02:01:06 ID:H8s5CaLp
 静かな声が響く。
「お止めください、姫様……」
「ルイズ、貴方まで私の邪魔をするの?」
 アンリエッタがルイズを見て、息を呑む。ルイズは涙を流していた。
「いいえ、姫様。私はあくまで姫様の味方です。ですが、だからこそ先の命令
はきけません」
 悲しげに、しかし決然とルイズは言う。
「仰せの通り、私は本当に人を好きになったことがないのかもしれません。そ
の証拠に、私は姫様を諫めるだけの言葉を編むこともできません」
 ルイズの記憶に、アルビオンで過ごした一夜がよみがえる。リゾットを見る
と、僅かに驚いたような顔でルイズを見つめていた。
「ですが、この選択が姫様を破滅においやることだけはわかります! 姫様へ
の忠誠と友情にかけて、私は姫様の命に従うことはできません!」
 今なら逃げることなく死んでいったウェールズの、そして主人の命令を聞か
ず、自分を残してタルブの村へと飛んだリゾットの気持ちが少しだけ理解でき
た。相手の望み通り振舞うことは必ずしも相手を思いやることではないのだ。
 かといって、ルイズにはアンリエッタの気持ちを否定することもできない。
自分も同様の立場に立てば、同じ選択をするかもしれない。それに今、一番苦
しみ、悲しんでいるのはアンリエッタだ。彼女のその苦しみをルイズは想像す
る事しかできない。だが、だからこそ友である自分がアンリエッタを傷つける
ことをも覚悟して止めなければならない。ルイズはそう思っていた。
 決然と覚悟を決め、自分を見つめてくるルイズを見て、アンリエッタは動揺
した。それきり、ルイズもアンリエッタも口を開かず、向かい合ったまま、時
間だけが過ぎていく。
 と、ウェールズがアンリエッタを後ろから抱きしめた。
「君は僕を信じてくれればいい……。愛してる、アンリエッタ」
 その言葉は麻薬のようにアンリエッタを蝕んだ。反論しようとするルイズた
ちを黙らせるように、周囲のアルビオンの騎士たちが魔法を放つ。タバサが空
気の壁を作り出して防ぐが、数が多かったため、いくつかがすり抜けた。
 その一つ、火球がフーケに襲い掛かる。普段ならともかく、感情が頂点から
急激に落ち込んだため、一時的な虚脱状態に陥っていたフーケはそれを避ける
ことができない。
「ぼーっとしないで!」
 間一髪、キュルケが炎を放ち、空中で火球を相殺する。
「しっかりしなさい! 来るわよ!」
 激しく揺さぶられ、フーケの目に焦点が戻る。
「す、すまないね……。もう大丈夫」
「頼んだわよ!」
 かくて戦いが始まった。

357 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 02:01:19 ID:gjbnky4o
しえん

358 :ゼロと奇妙な鉄の使い魔 11/13 ◆PEFli7wTN2 :2007/11/23(金) 02:02:28 ID:H8s5CaLp
 戦局はウェールズたちに有利に進んでいた。何しろ、人数が多い上に、ほと
んど一個体であるかのような見事な連携を使う。その上、ダメージを受けても
勝手に修復されるため、ほとんど防御する必要がない。
 対して、リゾットたちはデルフリンガーで魔法を吸い込むといっても、その
量には限界があるため、どうしても魔法で防御しなければならない。防御に回
る分、手数が足りないのだ。
 相手は精神力を温存するためか、ほとんどドットの弱い攻撃しか繰り出して
こないが、それでも当たり所が悪ければ致命傷になる。ルイズたちはじりじり
と押されていた。
「どうするの、ダーリン!? このままじゃ……」
 キュルケが溜まりかねて指示を仰ぐ。
「さて、どうするかな……。確かに防御に徹していても、勝ち目はない……」
 リゾットは先ほどまでの怒りを抑え、考えを巡らせる。手早く方針をまとめ
ると、ルイズにデルフリンガーを手渡した。
「ちょ、ちょっと何よ!?」
 突然のことに驚くルイズに、リゾットはいつものように冷静に話しかける。
「デルフと一緒に敵の攻撃を吸収していてくれ」
「お、おい、相棒、そんないきなり……」
「あんたはどうするのよ?」
 ルイズの言葉に、リゾットは視線をウェールズに移した。
「俺はやつらを倒す方法を探す。みんな、しばらく持たせてくれ」
「……援護は?」
 タバサが呟くように問う。
「余裕があれば頼む。だが、こちらの防御を優先させてくれ」
「分かった」
 タバサに続き、キュルケとフーケが頷くのを確認するとリゾットはメタリカ
を使って長く強固な短刀に変えたナイフと、銅線を巻きつけた鉄の棒を取り出
す。敵へと駆け出そうとするリゾットを、ルイズは呼び止めた。
「リゾット、姫様のこと……、助けてあげて」
 その言葉にリゾットはしばらく動きを止めたが、結局それに答えず、駆け出
した。
「ちょっと、待ちなさいよ! ……きゃっ!?」
 直後、デルフリンガーが魔法を吸い込み、ルイズは驚いて手放しそうになる。
「おい、もっとしっかり握ってくれよ、貴族の娘っ子!」
「仕方ないでしょ。剣なんか握ったことないんだから!」
 ルイズはデルフリンガーを構え直した。
「相棒のことなら心配するな。ご主人様の友達を殺そうとするような奴じゃね
えよ」
「分かってるわよ! 全く……ご主人様に剣を持たせるし、余計な心配かける
し、碌な使い魔じゃないわ。後でお仕置きなんだから……」
 ぶつぶつ言いながらも、ルイズは重さにひっぱられるようにしてデルフリン
ガーを振り回し、魔法を吸収し始めた。

359 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 02:02:59 ID:jGNvxgX7
メタリカ支援

360 :ゼロと奇妙な鉄の使い魔 12/13 ◆PEFli7wTN2 :2007/11/23(金) 02:03:53 ID:H8s5CaLp
 一方、単身、飛び出してきたリゾットを仕留めるべく、メイジたちは呪文を
唱え始める。呪文はリゾットがこちらに接近する前に完成し、デルフリンガー
を持たない彼を吹き飛ばす予定だった。
 しかし、ガンダールヴのルーンによって強化された脚力にメタリカの磁力に
よる反発力を加えたリゾットのスピードは相手の予想を遥かに上回る。呪文が
完成する直前に先頭のメイジに到達すると、短刀で喉を切り裂いて詠唱を強制
的に中断させ、同時に隣にいた別のメイジに帯電した鉄棒を押し当てる。電撃
を浴びたメイジは身体から煙を出しながら倒れた。肉の焦げる、嫌な臭いが広
がった。
 そのままリゾットは敵メイジを攻撃しつつ、道を切り開き、奥にいたウェー
ルズの元に跳んだ。すれ違いざまに杖を持つ手を切り落とし、走り抜ける。
「やるじゃないか。だが、ここまでだ」
 ウェールズの言葉とともにウェールズたちに背を向けたリゾットを追うよう
に、呪文を唱え終わった攻撃魔法の雨が降る。仮に味方に誤射しても再生し、
一個体のごとく動く彼らならではの反撃速度だったが、その魔法は突如として
空中に出現した氷の壁に遮られた。
「何っ!」
 驚きの声を上げるウェールズたちを尻目に、リゾットは迂回してルイズたち
に合流する。
「助かった。感謝する……」
 リゾットがタバサに礼を言うと、氷を張った張本人は、いつもと同じように
無表情に頷いた。 
 と、そこにルイズの声が飛んだ。
「ちょっと、リゾット! いつまでこのボロ剣を持たせておくのよ!」
「ボロ剣って……伝説に向かって酷くねえ?」
「あんたなんてボロ剣で十分よ!」
 不機嫌を隠そうともしないルイズから、デルフリンガーを受け取る。
「悪かったな……」
「べ、別にいいけど……。それより……」
「アンリエッタのことなら、保留しておく。今は戦いに勝つことが先決だ」
 ルイズの機先を制するようにいう。
「ダーリン、何か糸口は見つかった?」
 尋ねるキュルケに、リゾットは曖昧に頷いた。
「多分、だがな……。ここからの相手の対応次第だ」
 そういってリゾットはウェールズに振り返るが、ウェールズは微笑を浮かべ
てそこにいた。
「往生際が悪いね」
「口を開くな。お前が何を喋ろうとウェールズに対する侮辱になる」
「ウェールズは僕さ」
 ウェールズが落ちた腕を拾い、切断面を合わせると、すぐに元通りになる。
「……やっぱり無駄なのかしら……」
 ルイズが苦々しく呟くと、その頭にリゾットの手が置かれた。見上げるルイ
ズに、リゾットは敵に目を向けたまま淡々と、しかし力強く断言する。
「いいや……、無駄じゃない。奴らを倒すヒントが見つかった。お前たちが時
間を稼いでくれたお陰だ」
 不思議そうな顔をする一同に、リゾットは指示を始めた。

361 :ゼロと奇妙な鉄の使い魔 13/13 ◆PEFli7wTN2 :2007/11/23(金) 02:05:14 ID:H8s5CaLp
 戦闘が再開してすぐ、戦いは先とは違う様相を呈した。タバサとルイズが魔
法、リゾットがデルフリンガーや鉄棒の電撃で防御や足止めをしたと思うと、
キュルケの炎球がメイジを燃やし尽くし、フーケのゴーレムがメイジを上から
叩き潰す。
 倒されたメイジが復活しないのを見て、ウェールズの顔がわずかに曇る。そ
の表情を読んだリゾットは確信とともに呟いた。
「やはりここまでダメージを与えれば、再生はしないか……」
 動く死者といえど、燃やし尽くされたり、切断する、潰すといった広範囲の
細胞へのダメージは再生しにくいらしい。その証拠に、先の攻撃の際、電撃で
焼かれたメイジの肌には今も焦げ痕が残り、ウェールズは切り離された腕を拾
いあげて治療した。逆に言えばその種のダメージを行動不能になるくらい一気
に与えなければ倒せないということだが、この場にはトライアングルクラスの
火のメイジであるキュルケと、同じく土のメイジであるフーケがいる。相手に
再生不能のダメージを与えることは可能だった。
「やれやれ、対処法を見つけられてしまったか……。だが、それだけで勝てる
とは思わないでほしいな」
 そういうと、ウェールズたちはキュルケとフーケに攻撃を集中し始めた。負
けじとリゾットは前でデルフリンガーを振るい、次々と魔法を吸収する。
「ああ、やっぱり持つのは相棒に限るわ……」
「ここが正念場だ……。デルフ、頼んだぞ」
「まかせときな、俺のガンダールヴ!」
 タバサ、ルイズもそれぞれに魔法を駆使し、防御に徹する。その魔法の応酬
の隙間を縫うようにして、キュルケの火が、フーケのゴーレムが一人一人、敵
を燃やし、打ち倒していく。
「行けるわ! このままなら勝てる!」
 何人か倒した頃、キュルケが声を上げる。確かに、戦況は徐々に逆転しつつ
あった。だが、リゾットの長年の暗殺の経験は、状況とは逆に、まだ完全なる
『勝ち方』ができていないことを告げていた。今までメタリカの能力を派手に
使わなかったのも、その経験が能力濫用の危険を告げていたからだ。
(なぜ、威力の弱い魔法しか使ってこない……? 何か、あるな……)
 弱点が知られた以上、ウェールズ側はその弱点を突くことができるキュルケ
とフーケを多少の損耗は覚悟してでも全力で攻撃しなければならない。だが、
敵は攻撃をその二人に集中こそしているものの、未だにドットの魔法しか使っ
てこない。それに人数が多いにもかかわらず、展開せずに密集して攻撃を続け
ている事も気になった。
(まるで視線を一方向に固めるような……。そうか!!)
 その瞬間、リゾットは敵の狙いに気づき、後ろを振り向く。そして叫んだ。
「キュルケ、伏せろ!」
「え?」
 聞き返したキュルケは、背後から軽い衝撃を受け、よろめいた。振り返ると
最初にリゾットが助けた生存者……アニエスが立っていた。その手には血に塗
れた剣が握られている。
(誰の……血?)
 そう、他人事の様に考えながら、キュルケは地面に崩れ落ちた。

362 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 02:05:45 ID:OEObzapP
支援だ!

363 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 02:07:35 ID:OEObzapP
支援するぞぉーーーっ!

364 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 02:07:39 ID:Lw0zuzzr
しえん

365 :◆PEFli7wTN2 :2007/11/23(金) 02:07:47 ID:H8s5CaLp
以上で投下終了。
支援、ありがとうございました。

他の書き手さんみたいなオリジナル要素があまりないなー……。

ところでシルフィードとシェフィールドって名前が似てるよね。
だからドーダコーダいうんじゃないけど。

366 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 02:08:23 ID:jGNvxgX7
鉄の人乙

そして名前に関しては同意せざるを得ない

367 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 02:11:33 ID:gjbnky4o
乙!
オリジナル要素? ここまで熱い戦闘描写は完全にオリジナル要素だと思うよ。

368 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 02:20:22 ID:5QSjUH7O
GJGJ!!続きが非常に気になる引き方だ!

369 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 02:23:44 ID:abg5dUOh
GJ!

370 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 04:28:24 ID:lF6IsuR/
gJ!

371 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 04:39:58 ID:rJ8xdm0Z
ルイズが絡む戦闘はほぼ原作基準で単調なヴァトルしかできん身からしたら何をヤッダァーバァアア

兄ィが進まないわ、いい加減、0083の方も三部仕上げんといかんわで…ヘヴンズ・ドアが欲ぃ…
短編三部作と思ってやってたら、二部以降やたら長くなってもうね…

372 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 07:59:13 ID:0AItnXHd
鉄分補給完了ッ!GJでしたー!

373 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 10:06:12 ID:Z8JP5ewH
GJッ!!
リーダーかっこいいよリーダー

374 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 10:45:06 ID:vemhnqkM
隠者の人GJッ!
友人の技を使うジョセフかっこいいよジョセフ!
二部のリミックスと三部の文庫呼んだばかりだからニヤニヤしちゃうぜ!

鉄の人GJッ!
激しいバトル展開に続きが超楽しみだ!

あと、>>371の兄ィの人も自分のペースで頑張ってください!

375 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 16:21:38 ID:lF6IsuR/
キング・クリムゾン!

それにしても時飛びすぎだろ・・・


376 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 16:37:32 ID:L3ceel0D
最近仮面さんを見ない気がする・・・

377 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 17:12:13 ID:fL2Cy1Lg
投下をしたいが中々進まないジレンマ・・・いや、俺は仮面の人じゃないけども。
毎日投下出来る人が信じられないぜ・・・。

378 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 17:30:02 ID:lGUaKJWs
>>377

      、--‐冖'⌒ ̄ ̄`ー-、
     /⌒`         三ミヽー-ヘ,_
   __,{ ;;,,             ミミ   i ´Z,
   ゝ   ''〃//,,,      ,,..`ミミ、_ノリ}j; f彡
  _)        〃///, ,;彡'rffッ、ィ彡'ノ从iノ彡
  >';;,,       ノ丿川j !川|;  :.`7ラ公 '>了
 _く彡川f゙ノ'ノノ ノ_ノノノイシノ| }.: '〈八ミ、、;.)
  ヽ.:.:.:.:.:.;=、彡/‐-ニ''_ー<、{_,ノ -一ヾ`~;.;.;)
  く .:.:.:.:.:!ハ.Yイ  ぇ'无テ,`ヽ}}}ィt于 `|ィ"~
   ):.:.:.:.:|.Y }: :!    `二´/' ; |丶ニ  ノノ
    ) :.: ト、リ: :!ヾ:、   丶 ; | ゙  イ:}  それは逆に考えるんですよ
   { .:.: l {: : }  `    ,.__(__,}   /ノ
    ヽ !  `'゙!       ,.,,.`三'゙、,_  /´  『焦って誤字脱字のオンパレードする』より
    ,/´{  ミ l    /゙,:-…-〜、 ) |『じっくりゆっくり自分のペースで納得のいく物に仕上げる』方が良い。
  ,r{   \ ミ  \   `' '≡≡' " ノ    そう考えるんですよ。
__ノ  ヽ   \  ヽ\    彡  ,イ_
      \   \ ヽ 丶.     ノ!|ヽ`ヽ、
         \   \ヽ `¨¨¨¨´/ |l ト、 `'ー-、__
            \  `'ー-、  // /:.:.}       `'ー、_
          `、\   /⌒ヽ  /!:.:.|
          `、 \ /ヽLf___ハ/  {
              ′ / ! ヽ

379 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 18:03:34 ID:R3cXiwSE
ハルケギニアに墳上召喚されたらほぼ最強だよな
時速60キロ以上の速さで移動する手段なんてないだろうし
でも、風竜なら60キロ以上のスピードでるんかな?

380 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 18:14:29 ID:p3la2lbB
>>379
あれ対象が空中に居たらどうなるんだろ?
フライで30メートルくらい上昇できれば流石に追跡は不可能のような…

381 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 18:25:16 ID:0AItnXHd
仮面さんマダー?

382 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 18:29:07 ID:R3cXiwSE
>>380
大丈夫なんじゃねぇの?
テレポートするし

383 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 18:29:36 ID:ZEwM3+hG
>>380
 スタンドはそもそも浮いている。空を飛べないのは射程距離の問題で、遠隔自動操縦バージョンなら問題ない。
 それにハイウェイスターは瞬間移動だってできる。

384 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 18:38:17 ID:c9fBsceC
忘れられがちだけどハイウェイスターは幻の部屋を作れる

385 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 18:43:59 ID:OEeZ6EEx

50分から投下させていただきたいんですが構いませんか?
短いんだが、ちょっぴりある意味限界に挑戦してみたら切が良かったから投下の許可が欲しい…あぁ、それと避難所にも外伝2を叩き込む予定だ。

386 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 18:45:26 ID:dmzJxH7S
遠距離、自動追尾がハイウェイスターの真骨頂

387 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 18:48:48 ID:CW4h5jI3
触れたら無敵とかどんだけ厨能力なんすか

388 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 18:50:27 ID:R3cXiwSE
関係ない投下しろ

389 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 18:51:18 ID:dmzJxH7S
特性的に本体がボロボロの方がハイウェイスターは強いのではないかと考える。

390 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 18:54:09 ID:OEeZ6EEx

い、今見えるモノをありのまま伝えるぜ!

わ、私は使い魔として召喚されちまったが契約はパスした。
その翌日、私は私を召喚したメイジ、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール…長いな、良し!

このジャン・ピエール・ポルナレフが(勝手に)ゴッドファーザーになってやろう!

亀の中で一人ポーズをとるのは中々切ないものがあったが、私は構わず朝っぱらからテンションを上げていく。

ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール …良し、極一部のジャパニーズの言葉で『ヘタレかつ自己中』という意味の、ルル…い、いやこれは不味そうな気がするな!
偉大な政治思想家、ロマン主義文学の先駆であり露出狂だったある男と同じ名前、ルソーと呼ばせていただこう!

ん〜む、悪くない気がするぜ。
いやまて…これなら単にルイズでいいのか?

まぁそれはいいとして、私が亀だからって何の警戒心も持たずに着替え始めるルイズを置いて私は部屋を出たんだ。

すると、隣の部屋からグンパツな美女が出てきた。
結論から言おう、彼女は…情熱的な女性だと思うぜ。

褐色の肌。あの気だるげにも写る眼差し…それに胸。

詰め物とか寄せてあげているとかそんなちゃちなもんじゃねー!
天然ものの脅威をまざまざと見せ付けられたぜ!

何?テファの胸も見ただろうって?
不思議な事だがそんな声が聞こえた気がした私は軽く毒づく。
け、決して亀の中で顔を合わせて話せる相手がいなくて寂しいとかそういうわけじゃないぜ?

ゴホンッ、ともかくだ。アレもいいがコレもいい…つまり、そういうことだ。

そうこうしているうちに彼女の目に私の入った亀が止まったらしい。
燃えるような赤い髪を色っぽくかきあげながら尋ねてくる。

「あら? 貴方、確かゼロのルイズが召喚した「カメナレフとおよび下さい美しい方」

思わず俺は紳士らしく貴婦人に傅くような面持ちで答えていた。
私の言葉に気をよくしたその人が笑い、私の亀に影を与える物体が揺れた…おお。ヴラヴォー。
「まぁ亀なのにお上手ね!」
「ハハッ! 無骨な亀にも…花が美しい事くらいはわかるのですよ」

亀を覗き込む為に見下ろすその体勢…その、谷間が眩しいです。
だがそんな考えなど悟らせない口調だったはず…ちなみにカメナレフってのはここにいる間の偽名だ。
亀の中の人が私だと知られるのは不味いからな。意味?

意味なんかねぇーッ!
亀の中から出れねぇ私には、どんなことでも楽しもうというポジティブシンキングがあるだけの事だッ!
あえて言うならその方が楽しいからだッ!
それ以外はどーでも良いんだよッ!

一人熱くなる私と動揺にお世辞を言われ悪い気はしないらしいキュルケは高笑いをしていた。
一人冷静なヒトカゲの視線が痛いような気がするぜ。

「おーっほっほっほ! 本当にお上手ね。貴方が亀じゃなかったら面白くなったかもしれないわね! あら、ヴァリエール。おはよう」
高笑いをピタリと止めて、彼女はルソ、いやルイズに微笑みかけた。

「あなた中々見る目のある亀を召喚したじゃない」
「うるさいわね。あんたには関係ないでしょ」
「あたしも一昨日、使い魔を召喚したのよ。誰かさんと違って、一発で呪文成功よ」

391 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 18:56:02 ID:dmzJxH7S
支援

392 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 18:56:49 ID:r9/mUC3M
>>379
火竜ですら最高時速120km、風竜に至ってはゼロ戦の速度に匹敵(500km/h)
余裕で60kmなんて突破するぜ?

393 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 18:57:19 ID:OEObzapP
支援だアアア

394 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 18:59:31 ID:OEeZ6EEx
「あっそ」

不機嫌かつどうでもよさそうにルイズが口を尖らせている。
寝起きってだけじゃねーな。これはこいつなりにこれから受ける屈辱に耐えようとしているんだろう。
ルイズの態度からすると多分、キュルケが何を言わんとしているのか既に予想が付いているように見えた。

「どうせ使い魔にするなら、こういうのがいいわよねぇ。フレイムー」

自分の優位を疑わない彼女に呼ばれて現れたのは巨大なトカゲ。
デカイ。前にジョルノが生み出したジャイアントモールも熊位あったが、この世界の生き物ってのはでかいのが多いのか?
そのデカイトカゲはしっぼが燃えていた。口からも火が迸っていて中々熱そうだ。

そいつを見た私の感想としては、ジョルノの前に出たら一瞬で鱗引っこ抜かれるだろうなコイツってとこか。

所詮爬虫類。鳥頭を持つ私のマジシャンズレッドには遠く及ばない。
爬虫類と目があった。
亀が怯むのを感じる…不味いな。このままでは私とコイツの力関係は傍から見ればアイツが上ッ私が下ッだ。
私は慌ててマジシャンズレッドを出すと亀を下がれないように捕まえてヒトカゲを見た。

だがこのヒトカゲ…素無視だ。
私がマジシャンズレッドに息がかかるような距離で睨ませてみても、廊下の奥から奪取させ月面宙返り1/2捻りを決めさせても、顔を舐めさせて『こいつは嘘をついている味だぜ』と囁いてみてもも全く無視された。

…あ、そうか。
私はいい加減暴行を加えようかという直前になり、その理由に気付いて手を叩いた。

コイツスタンドが見えないのか。
困ったな…悩み始めた私の邪魔をするようにルイズとルイズとは正反対な彼女が何か言い合っている。
それで分かったが、胸とか色々と素晴らしい彼女はキュルケという名前のようだ。
その時良かった事といえばそれくらいだった。
私がこのヒトカゲにどうやって上下関係を理解させるかを思いつくより先に、キュルケとルイズの口論が終っちまってヒトカゲとキュルケは先にどっか行っちまったんだ。

「くやしー! なんなのあの女!自分が火竜山脈のサラマンダーを召喚したからって「あの胸じゃそれも仕方あるまい。許して「…カメナレフ。今ムムム胸が、ど、どうとか聞こえたんだけど!?」

…不味いな地雷を踏んだか?
まぁ色々とルイズにはないところを備えているのは一目で分かるからなぁ…

「おっとご主人様、そろそろ急がないと朝食がなくなっちまうんじゃねぇかなぁ?と使い魔は思います。うむ」
「ちょっと待ちなさい! 私の話は終ってないわよ!」

嫌なこった。
私はルイズを置いていかない程度の速さで亀を抱えたままマジシャンズレッドをキュルケが消えた方に向かわせる。
ジョルノ、頼むから早く来てくれ…多分コイツの相手はかなり忍耐が必要だ。

自分がかなり態度が悪いのを棚に上げて私はそんなことを考え…食堂の前を普通にスルーして行っちまった。

「ちょっと! カメナレフ! ご、ご主人様を置いてどこまでいくつもり!? アルヴィースの食堂はここよ!」
「アッレー? いやーすまんすまんちょっと考え事を「アンタはここで待ってなさい」…飯は?」

ルイズは笑顔だった。
その笑顔を見た時私は思ったんだ。こいつは間違いなくサドの気があるぜ。
サド野郎と暫く一緒にいた私にはわかる。

「ご主人様の話を聞かないような使い魔にあげるご飯はないわ」

395 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 19:00:40 ID:LK4QLmTa
ポルポル自重w そういやそのヘタレの別名も……

396 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 19:05:18 ID:OEeZ6EEx

そう言ってルイズが指を指す方向には、同じく召喚され使い魔にされてしまった動物達がぞろぞろと向かっていく部屋があった。
どうやらそこが使い魔用の食堂らしい…私が人間でもあっちだったのか凄く気になってきたが、それは考えない事にした。

こんな事ならこの亀をテファの使い魔にしとくべきだったぜ。
良い匂いがしてくる食堂は貴族用だから、亀は食事中は出ていろとも言われた。
私はマジでこんなの相手に使い魔やることになるかもしれなかったのかと思いゾッとした…最初にここに呼ばれてたら今頃本当に使い魔になって使い魔用の部屋でこう雁首並べて飯食ってるフクロウやら蛇やらカエルやらと同じように従順に従う事になっちまってたのか?
契約の魔法(コントラクト・サーヴァントだったか?)には呼ばれた動物に主人に好意を持たせたりする力があるような話を聞いたのはもっと後のことだが…呼ばれた使い魔どもはどいつもこいつも主人の命令にきっちり従ってたんで、私はなんとなく感づいていた。

昨日まで野生だった蛇とカエルとフクロウとヒトカゲが仲良く飯食ってんだぜ?
しかも部屋は魔法で作り出された部屋で、メイド達が自分たちの食事を持ってくるのをちゃんと待っている。

なんとも言えん気持悪さだった。
それは、漫画家のロハン・キシベが萌えーとか言いながら描いた三十人の男子中学生に手を出す子供淫行教師を主人公にしたMANGAとかあったら多分同じような気持悪さだろうなって感じだ。

ルイズから飯抜きを言い渡された私は暇すぎるんでそんなことを考えて時間を過ごす。
隣に座るサラマンダーの飯がすげーうまそうに見えてくるが、まぁ幽霊だから食わなくてもしにはしない。
我慢するとしよう。

既に食い始めた奴らもいて横から飯を食う音がしてくるが無私だ無視。
なんか本を読むなりなんなりすりゃいいのかもしれんが、そうすると熱中してぼろが出てしまうかもしれんので私はそれも我慢する。
途端にやることがねーんで暇になっちまうが、ジョルノならともかく私には横の蛇がでかかろうが、トカゲが生意気にも漫画肉齧ってようがそこまで興味はない。

そういや、なんかの折りにジョースターさんから借りたMANGA返してないが、というか私の家はどーなってんだろうな。
ディアボロにやられて以来家には帰ってねぇんだが…まぁ爺さん達がどーにかしてくれてるんだろう。
戻れたら様子を見に行ってみるのもいいかもしれんな。

暇だった私はちょっと妄想してみる。
生真面目な私にはちょっとばかし荷が重いが…もし、あの爺さんが召喚されたならどうなるだろうな?

…ここでもうまくやるんだろうなぁ。あ、多分嬉々としてルイズとキスするからダメか。
承太郎の奴はあれで家族思いだから浮気した爺さんにオラオラを食らわせかねん。

ふむ…承太郎なら?
こっちもこっちで速攻でルイズに気合を入れそうだ。
花京院は?
こいつもよくないな。アイツプライド高いから。
アヴドゥル…アイツむっつりだからなぁ、キュルケに誘惑されてホイホイついていって…そんでルイズに俺と同じ目に合わされる。
マジシャンズレッドを見ているとそれが目に浮かんじまうぜ。
イギーは問題外だ。奴がルイズに従うわけがねぇ。

ふぅ、ちょと暇つぶしに考えてみたが、旅の仲間達の中でこっちでうまくやっていけそうなのはどーやら私だけのようだな。
承太郎の真似をして『やれやれだぜ』と言いながら苦笑した私は亀をマジシャンズレッドで持ち上げ、ルイズの所に向かう事にした。
いつのまにかサラマンダーに食い物を分けてもらってた亀が珍しく暴れるが、とりとめもない事を考えてちょっと機嫌が上向きになった私はどーやってルイズの機嫌を直すかで頭が一杯になっていて気付かなかった。

しかたない。ここは私が大人になって下手に出ることにするか。



以上です。
カメナレフはジョルノと同じく使い魔にはなってないんでガンダールヴ能力無いんですが、どーやって契約させよう…

ハイウェイスターの恐ろしさは、スタンド使いには見えない&(複数の足型になって襲ってくるから)避けにくいも加わると手のつけようが無いんじゃあないかなぁと思う。

397 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 19:11:40 ID:8I6PFJCO
ハイウェイスターも本体に反比例した強さのスタンドの一つだな。
亀ナレフの中の人GJ”

398 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 19:20:20 ID:dmzJxH7S
GJ、大人になってというか大人げないよ、ポル。

399 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 19:23:02 ID:CW4h5jI3
GJです

400 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 19:39:53 ID:hKElBDrC
GJ、
細かいことを言うようだけど
>スタンド使いには見えない
じゃ無くて、
>スタンド使い『以外』には見えない
の間違いでないかい?

401 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 20:09:21 ID:kzZhuUUU
GJ〜!
>三十人の男子中学生に手を出す子供淫行教師を主人公にしたMANGA
性別を変換しただけで何という変態ッぷり・・・

402 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 20:16:34 ID:/UpPkdjC
亀ナレフGJ!
避難所でもコロネ良かったよ

403 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 20:42:48 ID:ZbOU3+tB
亀ナレフGJ!
ポルナレフも中の人も頑張って!

404 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 20:46:26 ID:FPVRp7k1
>>389
本体が快調の時に吸いまくったら、回復通り越してデブりそうな感じ?

405 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 21:09:59 ID:X/evVlIN
亀ナレフGJ!
ルイズがギアス手に入れたら・・・どんな使い魔召還しても服従w
そう言えば姉妹スレでもそういう話題があったような・・・
>>404
その発想はなかったw

406 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 21:17:55 ID:eq1cHfpM
亀の人GJ!
避難所のコロネもおもしろかったぜ。
そして鉄の人ッ!!
待ってたんだぞおおおおおおおおおおおおッ!!
次回が非常に気になる。マジ超絶GJ!

407 :ゼロいぬっ!:2007/11/23(金) 23:14:01 ID:hsSKstel
ほのぼのしててGJ!
休日だから込み合ってるみたいですけど構わず二十分から投下してもいいですねッ?

408 :ゼロいぬっ!:2007/11/23(金) 23:21:46 ID:hsSKstel

「ここまでだ! 杖を捨てろ!」
狼狽するワルドに尚もアニエスは詰め寄る。
全てを失い、ぽっかりと空いた心の空洞。
復讐を遂げるまで決して埋まるまいと思っていた空白。
いつの間にか、そこには共に過ごしてきたルイズ達の存在があった。
それが彼女をトリステインに繋ぎ止めたのだ。

彼女自身も気付かぬ内に、アニエスは過去の自分を取り戻しつつあった。
憎悪に満ちた復讐者ではなく、軍人としての彼女でもない。
村の仲間達に囲まれて、楽しげに笑う少女としての自分を。
もし仇を討った所で、彼女に残されるのは空虚な日々だけだ。
そこには何も残らない筈だった。
しかし、今は違う。きっと彼女は取り戻せる。
いつか新しい仲間達と笑い合える日が来るだろう。
勿論、ルイズと一緒にだ。

「ワルド子爵! ミス・ヴァリエールを元に戻して貰おう!」
「…それは出来ない。もう手遅れだよ」
「何だと…?」
俯くようにして告げられた言葉に、アニエスが揺れる。
走馬灯の如く、彼女の脳裏をルイズとの思い出が巡った。
本心を隠す自分とは逆に、思った事をそのまま口と表情に出す、
太陽のように明るかった少女の姿。
それがずっと無機質な人形と化したままだというのか。
アニエスの困惑する様子を窺いながら、
まるで過ぎ去った過去を想う様にワルドは続けた。
「彼女に飲ませたのは“虚無”の力を宿した魔法薬だ。
誰がどのような手段を取ろうとも、彼女は決して元には戻らない」
「…嘘だ」
「それが例え僕自身であろうともだ」
「デタラメを言うなァ!」
絶叫と同時に、彼女の銃身が激しく揺らいだ。
心の動揺は直接、筋肉に伝わって照準を乱す。
制御できない身体の作用、その一瞬をワルドは逃さなかった。
アニエスが裏切らなかった理由。
それはアンリエッタやルイズ達に起因する物と、彼は看破していた。
だからこそ事実を知れば必ず動揺する。
ワルドはそう確信していたのだ。
非情に徹せぬアニエスの甘さをせせら笑いながら。

照準が外れた事に気付いた彼女が立て直しを図る。
だが、そうはさせじとワルドが床を蹴って飛び掛かった。
その瞬間、彼は背後へと力強く引き寄せられる。
何事かと振り返る彼の眼に飛び込んできたのは、
自分の外套を掴むウェールズの姿と迫り来る拳だった。

409 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 23:25:22 ID:gAV3ck+X
支援したいと思ったときにはもう支援しているんだね兄貴!

410 :ゼロいぬっ!:2007/11/23(金) 23:29:32 ID:hsSKstel
「ワルドォォーーー!!」
雄叫びと共に放たれた一撃を受け、視界に火花が散った。
頬に減り込んだ拳に激しく脳を揺さぶられる。
死に掛けのどこにそんな力が残されていたのか。
殴り飛ばされたワルドが踏鞴を踏む。
しかし堪えきった瞬間、続け様に拳が叩き込まれる。
今度は腹部を貫く打撃に、ワルドの背がくの字に曲がる。
肺から吐き出された空気に呻きが入り混じる。

「アンリエッタを! ミス・ヴァリエールを!
信頼を裏切り利用した貴様だけは決して許さん!」

ワルドは完全に油断し切っていた。
戦場を経験しているとはいえ自分より格下の相手だ。
更には杖を失い、手傷をも負っている。
それが王としての振る舞いも投げ捨てて、
自分に殴り掛かって来るなど予想も出来なったのだ。
だが、彼我の実力差は歴然。
死ぬ前の無駄な抵抗だと判りきっている。
それを証明するように、激しい動きにウェールズの傷口が開く。

「ぐっ……」
苦悶を噛み殺してウェールズは傷口を抑える。
だが手で塞がるような傷ではない。
溢れた血液が指先の合間から流れ落ちていく。
手を当てた場所を中心に赤黒く染まる礼服。
もはや放置しても出血多量で助かるまい。
止めを刺そうと詠唱を始めた直後、
ウェールズは逆に自分の傷口を己の手で押し広げた。
そして噴き上げる血を掬い上げて、ワルドの眼に叩き付ける。

「ぬ…!?」
今度はワルドから苦悶の声が上がった。
視界を奪われたばかりか、異物が眼に入り込む痛みが彼を苦しめる。
だが、それも一瞬の事。すぐさまワルドは体勢を立て直そうとした。
しかし、その機を逃さずウェールズは彼に掴み掛かった。
互いが縺れ合うようにして床へとワルドを押し倒す。

「刺し違えてでも貴様だけは!」
圧し掛かったウェールズの手が杖を抑え、
もう一方の手でワルドの首を締め上げていく。
ワルドは人間の精神力を侮っていた。
それは魔法を使う為の力を意味するのではない。
杖が無くとも常識では計り知れぬ力を発揮するのだ。
ワルドへの怒りが、彼に残された最後の力に火を点した。
そして天の配剤というべきか、倒れた燭台が彼の手元に転がり落ちる。
蝋燭を立てる為の台の先は鋭利に尖り、突き立てれば首をも貫く。
それを手に取り、ウェールズは吼えた。

411 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 23:30:49 ID:gAV3ck+X
続けて支援だ!

412 :ゼロいぬっ!:2007/11/23(金) 23:33:37 ID:hsSKstel
「貴様の思い通りにはならん! 私は生きてアンリエッタと…!」
「止めろ…止めろォォー!!」

その直前。振り下ろされる筈だった腕が止まった。
何が起きたかも判らずにウェールズが静かに背後へと振り向く。
そして、信じられない物を目にするように彼女を見上げた。
自分の手を掴む人形じみた少女の姿を。
「…ミス・ヴァリエール」
突然現れたルイズに気を取られた一瞬、
ワルドは彼の腕を振り解いて杖を突き上げる。

刹那。ワルドの顔に鮮血が散った。
既に血を流し切っていたのか、返り血は霧のように薄い。
ウェールズの体を貫く杖を押し込みながら彼は謝辞を述べる。
「ありがとうルイズ。やはり僕の味方は君だけだよ」
最後に叫んだ言葉を命令と受け取っただけだが、
ワルドには彼女が自分の意思で助けてくれたように思えたのだ。

「………!」
ウェールズの口が大きく開かれる。
だが悲鳴を上げる力さえ残されていなかったのか、
打ち上げられた魚のように口を開閉するのみ。
それでもワルドを睨む眼は健在だった。
眼を合わせているだけで激しい怨嗟の念が伝わってくる。
それに不快を示しながら、肉を裂きながら杖を下ろしていく。
想像を絶する激痛に、ウェ−ルズの瞳孔と唇が大きく開かれた。
更なる苦痛を与えながらワルドは囁く。
「ウェールズ陛下。陛下のその執念に敬意を表し、良い事を教えてあげましょう。
僕の目的の一つは貴方の死…正確に言えば、その遺体なのです」
「……!?」
憎しみに満ちたウェールズの目に困惑の色が混じる。
自分が死に逝く今、そんな事を明かして何になるというのか。
だが、元より身動き一つ出来ぬ身。
それを理解できぬまま、彼はワルドの言葉に耳を傾けるしかなかった。

「人を操る“虚無”の力、それは何も生者に限った話ではありませぬ」
「!!?」
「お分かり頂けたようですな。
今度は貴方自身が愛しきアンリエッタ姫を傷付けるのだ。
己の意思とは無関係にな!」
ワルドが死の間際に告げたのは呪いだった。
最期まで己を貫き通したなどという誇りは与えない。
その為に、一縷の望みさえない絶望的な未来を告げた。
自分が死して尚も敵に利用されるという事実。
それも愛するアンリエッタを騙す為と知れば、
このまま朽ち果てていく事がどれほど口惜しい事か。

「……ワルドォ…!!」
悲鳴さえ上げなかった喉が声を絞り出す。
掠れきっているにも拘らず、その迫力にワルドは気圧される。
だが、彼へと伸ばされた手は届く事無く宙を掻いて落ちた。
振り絞った力はウェールズの命と共に尽き果てた。
やがて糸が切れた操り人形のように彼の両腕が垂れ下がる。

413 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 23:38:13 ID:gAV3ck+X
まだだ、まだ支援するぞ

414 :ゼロいぬっ!:2007/11/23(金) 23:38:20 ID:hsSKstel

「貴様ァァー!!」
アニエスの絶叫と銃声が礼拝堂に木霊した。
ウェールズに当たる事を恐れ、彼女はワルドを撃てなかった。
だが彼が殺された以上、引き金を引く事に躊躇はない。
放たれた弾丸はワルドの額めがけて飛んでいき、
当然のように突風によって弾道を捻じ曲げられた。
その直後、放たれた『エア・カッター』が入れ違いに彼女を襲う。
それを受け止めた鉄の銃身が二つに切って落とされる。
役に立たなくなった銃を捨てて、彼女は剣を構えた。
一息で距離を詰め、彼女の目前に迫るワルド。
肩口から切り下ろす『エア・ニードル』の一撃を受け止める。
そこから反撃に転ずるアニエスの剣を背後に飛んで躱す。
既に詠唱は終わっていたのか、着地と同時に『ウインド・ブレイク』が放たれた。
破城槌の如き圧力に、彼女の身体が壁に叩き付けられて沈んだ。
口からは唾に混じって血反吐が吐き出される。
絶え絶えになった意識と呼吸で、彼女は落とした剣へと必死に手を伸ばす。
しかし、その直前で剣をワルドが蹴り飛ばす。
残された最後の武器が床を滑りながら彼女の視界から消えていく。

「……殺せ」
ワルドを見上げながらも蔑むような視線を向ける。
どう足掻こうとも、もはや勝ち目はない。
どの道、ワルドも遅かれ早かれ終わりだ。
敵陣のど真ん中で暗殺を決行したのだ。
騒ぎが起きれば兵士達も気付いて駆けつけて来るだろう。
この城から奴が生きて帰れるとは思えない。

口元に嘲笑を浮かべた瞬間、腿に激痛が走った。
言葉にならない悲鳴がアニエスの口から洩れる。
見下ろす先には、自分の脚を深々と貫く杖の存在。

「殺せ? “殺してください”の間違いだろう」
何の感慨も感じず、ワルドは突き刺さった杖を捻る。
瞬間、巻き込まれた筋肉や腱が鈍い音を立てて引き裂かれていく。
アニエスが耐え切れぬ痛みに再び絶叫を上げる。
それに一切関心を寄せる事無くワルドは続けた。

「とっくに城門は落ちている。今頃、城内は地獄と化しているだろう」
「っ…!?」
「つまり、ここには誰も来ない。少なくとも君の味方はな」
言い終わった直後、血に染まった杖が引き抜かれる。
その苦痛にアニエスが苦悶を浮かべる。
外套で血を拭き取りながら、赤黒く染まった傷跡をワルドが眺める。
そして彼は満足そうに笑った。
醜悪な笑みにワルドの口元が歪む。

「その傷では足も動かせまい。
わざわざ僕の手を汚すまでもない。
下衆な傭兵連中にせいぜい可愛がってもらえ。
存外、下手に抵抗するより生き残れるかも知れんぞ」
「……っ!!」
ワルドの言葉に吐き気を覚えた。
そして反抗さえ出来ない無力な自分にも。
ただ敗れるだけならば、ここまで屈辱を味わわずに済んだ。
しかし、彼はそれを許さなかった。
ウェールズの誇りも魂の安息も、全てを奪った。
“敗れた者は全てを失え”そう言わんばかりに…!

415 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 23:40:48 ID:8+nqCpUQ
支援するッ!

416 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 23:41:16 ID:x1oiaW69
支援

417 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 23:41:22 ID:8+nqCpUQ
支援するッ!

418 :ゼロいぬっ!:2007/11/23(金) 23:41:29 ID:hsSKstel

倒れ伏したアニエスが見上げる先には、
始祖ブリミルの姿を模ったステンドグラスが月明かりに輝いていた。
あの日…村が焼かれて以来、彼女は信仰を捨てた。
毎晩祈っていた始祖様は村を包む炎から誰も守ってくれなかった。
だからこそ自分の手で復讐を果たそうとした。
大罪人に下される始祖の天罰などに期待する事もなく。

だけど、もし本当にハルケギニアの大地に貴方様の加護が届くというのなら…。

助けてください。
純真な心を奪われ人形に変えられた友を。
死後も愛しき者を傷付ける為に利用される王を。
城内で抵抗も許されず無残に踏み躙られる者達を。

「は……」
手を合わせて祈りを捧げるアニエス。
それを見てワルドが鼻で笑った。
そんな弱者の祈りなど始祖は聞き届けない。
始祖が力を貸すのは何かを成すべき者にのみだ。
その資格がない者など見向きもされないのだ。
そして、それは僕達をおいて他にない。

「さあ、行こうかルイズ」
彼女の手に肩を回し『フライ』を唱える。
しかし、ふと彼女の視線が自分以外に向けられている事に気付く。
その見上げる先には、始祖の描かれたステンドグラス。
まさか彼女も奇跡が起きると信じている訳ではあるまい。
奇妙な行動に違和感を感じながら立ち去ろうとした瞬間!

甲高い悲鳴を上げてステンドグラスが砕け散った。
雨のように降り注ぐ色取り取りの硝子。
その最中、外套でルイズを庇いながら彼は凝視した。
ステンドグラスを突き破って舞い降りた一匹の蒼い獣の姿を…。

419 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/23(金) 23:41:34 ID:gAV3ck+X
休日前とはいえ、なんという重さか
だが支援する


420 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 00:05:18 ID:g9Wx2W3M
支援!後終わったら投下予約します(鏡

421 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 00:08:08 ID:oHrKioGL
C-EEEN!

422 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 00:08:50 ID:9RSFWayJ
板復活? ゼロいぬ氏は? 無事なのか?

423 :ゼロいぬっ!:2007/11/24(土) 00:12:25 ID:oFSGfTvB
以上、投下したッ!
まさか、これを言い終わる直前で止まるとは…。
次回、『ゼロの使い魔』対『ゼロ』!
段々と話が欝というか重たくなっていきます。
この重さの中、支援してくれた方々には感謝を!

424 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 00:15:49 ID:TuJg5n1b
投下乙!

明日は休日だからここ最近の更新分まとめて
読めるのが嬉しいぜ


425 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 00:15:50 ID:9RSFWayJ
>>423
GJ!
久しぶりに胸糞悪くなったぜこのワルドには・・・

426 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 00:20:35 ID:TuJg5n1b
>>420
そしておいでませ 居る蔵さんw

427 :使い魔は引き籠り:2007/11/24(土) 00:21:01 ID:g9Wx2W3M
続いて投下しても構いませんねッ
人多杉に阻まれるんでちゃちゃっと済ませてしまいたい

428 :使い魔は引き籠り:2007/11/24(土) 00:22:06 ID:g9Wx2W3M
厨房でないとすると、私達は一気に行き場を失って早くもぐだぐだし始める。
特に良案も浮かばなかったので一旦中止!テラスで休憩。とりあえずはキュルケの使い魔・フレイムに捜索を頼んだ。
「そうよルイズ、貴方の使い魔なんだから、視覚でも聴覚でも共有すればいいのに。」
「うぐ。・・・・出来るんならとっくにしてるわよ!私の使い魔は他よりずうっと変なんだもの、出来ない事もあるの。」
「出来る事は?」
「あーあーあー聞こえない聞こえなーい」

ばつが悪くなって、カップに少しだけ残った紅茶でずーずー音を立てる。(先生方に見つかったら絶対に怒られる)
キュルケは虚空に視線を逃がし(フレイムの視界を覗いているのだろう)「ゴミ箱の中も、花壇の裏にも居ない」と
半ば自棄を起こしたように呟いた。見なくたって居ないと判るところを探すほど、本当に、消えちゃったみたいに居ないのだ。
「タバサ、何か思いつかない?居そうな所。」
「消えた。」


「消えたあ――――!!」

うおう、何事。すっかり諦めムードで和んでいた私達の耳朶を強打する声、主はモンモランシーだ。

彼女らしくなくうろたえて、ツカツカとルイズに詰め寄る。
「ギーシュが朝から居ないのよッ!荷物も杖も部屋に置きっぱなしで居なくなっちゃったの!
そしたら貴方の使い魔も居なくなったって言うじゃない!ねえ、まさか仕返しとかしてないわよね?確かにギーシュはやりすぎたけど、彼だって・・・・」
「しししししないわよそんな陰湿な!多分恐らくしないと思うわ、いくらイルーゾォでも・・・・」
・・・・どうだろう。見た感じ陰湿そうだし意外と行動力があるし。正直自信ない。
自分の言を今一度見直す私をぐいと押しやって、話を聞いていたキュルケがきっぱりと言い放つ。
「ダーリンはあれだけ正々堂々と戦ったのよ!仕返しなんてギーシュがしても、ダーリンはしないわ!」
言い切った。すごいなあ、その信頼は何処から来るんだろう。私イルーゾォの事良く知らないんだもの。キュルケはもっと知らない筈だけど。
「ギーシュだってしないわよ!」
そうかな、しそうだけどな。影から、とか。

あっという間に口論を始めてしまった恋する女二人(ただただ感心するばかりだった。恋は盲目って奴かも。)を眺めていると
タバサがくい、と袖を引いた。
「何?」
「ギーシュが消えたなら、『イルーゾォ』は帰ってくる。」

タバサはまっすぐな目でこちらを見て、「よかった。」と微笑んだ。(笑うところは始めてみた気がする。)
「・・・・何故?」
「彼は魔法を知らなかった」
「そうよ」

『イカレてんのか?』は思い出すだけで腹が立ったけど、そう、確かに彼は魔法を知らなかった。
(その癖自分は魔法としか思えないような方法で消えたり消したりする。)

「帰ってくるつもりがないなら、魔法は知らなくていい。一人で消える。
・・・・ギーシュをつれて消えたなら、彼は魔法を知りたいの。」

そこまで言ってタバサは、視線を本へと戻した。

429 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 00:24:27 ID:5VAxblKM
シエンスルゾー

430 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 00:24:46 ID:ZyJtC2Cg
支援だッ

431 :ゼロいぬっ!:2007/11/24(土) 00:25:20 ID:oFSGfTvB
ルイズ達のほのぼのした感じがいい! 支援だ!

432 :使い魔は引き籠り:2007/11/24(土) 00:25:38 ID:g9Wx2W3M

ルイズの使い魔の平民は、何故か勝手知ったる様子で僕の部屋(だと思うんだけど、左右が反転している)を歩き、
勝手に僕の椅子に腰を下ろしてから「まあ座れよ」と言った。
「自信がないけど言わせて貰う、ここは僕の部屋だろう?」
「お前の部屋だけど『オレの世界』なんだ」
いいからさっさと座れ、とこの上なく邪険に扱われて、しぶしぶもう一つの椅子を引き寄せ・・・・ようとしたら
椅子の方から勝手にこっちへ来た。レビテーションというよりは、見えない使用人が気を利かせたって感じだ。

「そんなにビビるなよ、お前臆病だって言われないか?カッコ悪いぞ?ちょっと世間話をしようってだけなんだ」
何か凄く言いたい放題言われてる気がするけれど、まあいいさ、座ろうじゃないか。
良くわからない事だらけだが、今は害意が無いらしい。それならまあ、世間話くらい付き合ってやっても構わないよ、僕としても。

「実は昨日、最高に頭の痛くなる噂を耳にしたんだよ。魔法が何とかって」
「魔法?」
「ある訳無いよな?(・・・・無いって言え)」
「無い訳ないじゃないか、此処を何処だと思ってるんだい?」
「そんな難しい事オレに聞くな!」

おお、頭を抱えたよ。魔法を知らない平民なんて何処の田舎に存在したんだろう。ルイズの奴、器用に召還したものだ。
でも、そうなるとこの意味のわからない状況はなんだろう。無意識で使える魔法なんてあるのか?

「スタンドを『魔法』って呼んでいるのかも知れない、とも思ったんだ。でもお前は確かに見えてない」
(マン・イン・ザ・ミラーがギーシュの眼前で猫騙しをして見せた。遊び心だ。)
「『スタンド』?」
「『別』、なのか・・・・スタンドとは別に、ここには『魔法』があるんだな・・・・?」

そのスタンドってのは一体何だい?彼が魔法を知らないように、僕は『スタンド』を知らない。好奇心がツンツン(ry
ブツブツと何かを呟く平民は(どうやら『魔法』を信じるか否か、自分に折り合いをつけているらしい。)意を決したように一呼吸置くと、
「『魔法』について教えてくれ、何も知らないんだ。」と言った。

「だが断る!このギーシュがもっとも好きなことのh」
「・・・・『世間話』は既に、『拷問』へと変わっているんだぜ・・・・!」
「すいません調子乗りました。だけど少し待ってくれよ。僕は思うんだけれど」

何も無いはずの場所から物凄い威圧感を感じて脂汗をかきながら、僕は続ける。

「君は僕との決闘に引き分けた!・・・・・・・・あ、うん、別に君の勝ちだっていいんだ。うん。そっちにしておこうかな・・・・
それだから、もう僕達の間に『貴族』と『平民』の落差は無い事になると思わないか?そうだろ?」
「お、おお。」
「だったら『対等』だ。何も困ってる君を見捨てようとは思わないさ。
僕が『魔法』について教えてやるのは全く構わないから・・・・君の言う『スタンド』って言うの、僕に教えてくれないか?」

僕は『戦い』を経て彼に、一種の絆のようなものを感じている。お互いを認め合った男の友情って奴だ。
彼の方はどう思ってるか判らないけれど・・・・

「イルーゾォ。名乗るのはすっかり忘れてたな。」
・・・・ね。

433 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 00:27:37 ID:5VAxblKM
再「支援」したっ!

434 :使い魔は引き籠り:2007/11/24(土) 00:27:57 ID:g9Wx2W3M

(いいや俺が上!貴様が下だ!)
何を隠そう、この手の質問をギーシュにしているのは、この先何度戦ってもこいつには勝てると踏んだからだ。
他の奴は(認めてしまおう、全員魔法使いらしい)何が出来るんだかさっぱりわからないが、
少なくともコイツは先日、『全力で戦う』とハッキリ言った。それで勝ったんだ、恐れる事は無い。

シエスタ以外に協力者が出来れば正直ありがたいし、
考えてみれば『スタンド能力』だって『魔法』と同じくらいにファンタジーでメルヘンだ。
交換条件としてこれほど適当なものも無い。悪くない・・・・か?

『虚無』という魔法の使い手は今は絶え、魔法の属性は現存するもので土・水・火・風の四種類。
一人一つ以上得意科目のようなものを持ち、(それに関する『二つ名』を持つんでわかりやすい。ギーシュは『青銅』、土だ。)
優秀な魔法使いほど使える魔法や属性の数が増える。

「『微熱』『雪風』『香水』『風上』・・・・ああ、あとそうだね。『ゼロ』だ。」
「ああ、聞いた事がある。ルイズだろう?爆発ってことは火属性か?」
「何でもかんでも消し飛ばすのが火属性だと思ってたらキュルケに怒られるよ。
・・・あれはな、魔法が失敗してるだけさ。『レビテーション』でも爆発、『アンロック』でも爆発、所により大爆発・・・・
『魔法の成功率ゼロ』のルイズ。あいつに属性なんて無いよ。」

――――失敗?てっきり『爆発させる魔法』だと思っていたが、あれは事故なのか?
少し違和感を感じる。確かに『爆発しか出来ない』のは不便かもしれないが、威力が異常だ、十分戦力に・・・・
・・・・平和ボケしきったこいつらは、そんなこと考えないのかもしれないが。

だが『なんでも爆発する』のは危ないな。やはりルイズには要注意だ!とんでもない事が起こりそうな気がする――――

他にはコモン・マジックだとか呼ばれる属性の関係しない魔法も存在し、難易度はずっと低いらしい。(それもルイズは失敗するらしいが)
まったく『魔法』って奴の数は限りなく膨大で、オレ達の『スタンド』は往々にして単一の能力しかないものだから、
成る程『魔法』のイメージに違わずなんでも出来るって印象を受けた。これから先魔法使いと戦う羽目になったら、随分面倒な思いをするだろう。
「なあ、これぐらいでいいかい?僕ばっかり喋っているじゃあないか」
「がっつくなって、まだ全然わからねえよ。」
「じゃあ実際にいくつか見せようか、その方が早いかもね」

そうだな、実際詠唱だのなんだのオレにはイマイチピンと来ない。危険さえなければ実際に見てしまったほうが・・・・
「あれ?」
左右の狂った部屋で不便そうに、『造花の杖』を探し出したギーシュは違和感を訴える。
杖が机に、机が床に接着されてしまったように、ぴくりとも動かないのだ。
「どうした、何してる?」
「杖がないと魔法は使えないんだ。けれど、あれえ・・・・?」
「ふうん。」
ギーシュが悪戦苦闘する様を見て、『杖を渡してやる』ついでに『スタンド』の事を少しだけ、教えてやってもいいかと思う。
『マン・イン・ザ・ミラー』は性質上、有利な状況と不利な状況が露骨に分かれて危なっかしいんだが、
どうせこいつ等に『マン・イン・ザ・ミラー』は見えないんだ。いいかな・・・・

435 :使い魔は引き籠り:2007/11/24(土) 00:29:29 ID:g9Wx2W3M
鏡警備員とギーシュはお互いにコイツ駄目な奴っぽいな、と思ってる

折角今まで毎日投下してきたってのに
ついに書き溜めた貯金が無くなった・・・・ッ!明日はお休みだ!

436 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 00:29:40 ID:oFSGfTvB
ドジこいたー! ギーシュとの友情に再支援だ!

437 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 00:34:05 ID:9RSFWayJ
ありのまま起こった(ry
『支援しようと思ったら何時の間にか読み耽っていた!』
超スピードだとか催眠術だとか(ry

・・・とにかくGJだッ!

438 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 00:35:09 ID:ZyJtC2Cg
GJ
ギーシュと友情が芽生えたかな?

439 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 00:36:26 ID:W8SjkURI
今おこったことをありのままに話すぜ
支援しようと思ったら投下が終了していた!
何を(ry

440 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 00:39:05 ID:oFSGfTvB
>>『スタンド能力』だって『魔法』と同じくらいにファンタジーでメルヘンだ。
特に貴方の“鏡の世界”なんて能力は特にね。
鏡警備員さん、GJ!

441 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 00:44:23 ID:PSWxxYzY
今おこったことをありのままに話すぜ
ゼロいぬの感想書こうと思ったら次の投下が終了していた!
何を(ry
とりあえず、おれが思う確かなことはワルド! てめーのツラを次話で見た瞬間、オレはたぶん…プッツンするだろうということだけだぜ!
地獄でウェールズに詫び続けろ腐れワルドォオオオー!
そして、この負の感情はイルーゾォとギーシュのヘタレコンビの会話で中和されたw

442 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 01:01:13 ID:3xc6TKxb
いいえ確かにスタンドは奇妙な存在ですが、ファンタジーでメルヘンなのはあなただけです

鏡警備員乙!
最近久しぶりにイルーゾォ戦のあたりを読み返したんだが、この作品を読んだ後だと鏡の世界のルールがすげぇ判りやすかった


しかしアバッキオってどうやって手首切り落としたんだ?
破片は拾えないんだから、落ちてる破片に何度も擦り付けてギコギコと・・・?
ぎゃああああああ(AA略

443 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 01:04:33 ID:9OfVJN1q
吉良吉影がシアーハートアタックを自由に動かすために
手首切り落としてたのを見る限り同じことをしたと思う。

444 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 01:12:49 ID:S5RqZCbk
鏡の外に出てる半分の体+スタンドで何とかしたのでは?
>>アバ

445 :732-733:2007/11/24(土) 01:20:36 ID:5WN4ZugE
いぬの人&鏡の人ともにGJだっ!

>>442
ボヘミアン・ラプソディーもメルヘンのカテゴリーに入ると思うんだ。

446 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 01:26:50 ID:FnOkhlaw
ところで帽子はまだ?

447 :アンリエッタ+康一 ◆3D2JBRgybs :2007/11/24(土) 02:50:10 ID:22L1CaGl
人がいるか分からないですけど、55分に気にせず投下してみます

448 :アンリエッタ+康一 ◆3D2JBRgybs :2007/11/24(土) 02:55:15 ID:22L1CaGl
始祖ブリミルの子孫である代々のトリステイン王族が住まう王城。
広大な敷地に多大な財を投じて建造されたそれは、見る者を感動させるほど雄大だ。
そんな大きな城の中を歩いて移動するのは、かなりの時間を要する。
端から端まで歩いて何分かかってしまうのだろうか?

とにかくマザリーニと康一は城を駆け回った事により数分で、広間から資料庫へと到着した。
まだ十代の現役高校生であった康一はそこまで息は切れていないが、マザリーニは結構息切れしている。
普段書類仕事ばかりでこれほど走ったのは久しぶりのマザリーニ。
壁に手をついて絶え間なく荒い呼吸をしながら酸素を取り込む彼は、これから毎日15分は軽くでいいから運動しよう、と心に誓っている真っ最中。
歳は取りたくないものですな。

そんな自らの衰えを実感しているマザリーニは何とか、多少呼吸は荒いが普段程度の体力を取り戻す。
「ゼハァー……、ではコーイチ殿。少し見張りをお願いいたします」
マザリーニはゆっくりと歩き出し資料庫の扉をくぐり、康一も促されて後に続いた。
資料庫の中は薄暗い。マザリーニは手近にあったランプを見つけて明かりを灯す。

そのランプを手に持って室内をかざすと、マザリーニにとっては見慣れた、康一にとっては初めて見る光景。
大きな幾つもの棚に、本と化した書類の束が整然と収められている
そんなランプの心もとない明かりで映し出される光景に、基本的に気の小さいタイプの康一はちょぴりブキミだなぁと思った。
雰囲気はマジで夜の学校といった感じである。

「私の記憶通りなら、恐らくこの辺りの書棚に納められて……あったっ!」
ランプ片手に書棚をあさっていたマザリーニが嬉々として叫ぶ。
それを聞いた康一は、見張っている資料庫の入り口からマザリーニに駆け寄った。

「見つかりましたか!?」
康一が聞くと、マザリーニは書類の束をとランプを手近の机に置く。
そしてもう一度書類の束の題目を確認して、重々しく頷いた。
「私の考えが正しいなら、これに間違いありませぬ」

マザリーニは慣れた手つきで、素早く書類の束を捲り出して内容を一枚一枚確認する。
薄暗いランプの明かりでは書類の字を読みづらくとも、そんな事は彼の集中力の前には障害にもなり得ないちっぽけなモノだ。
それほど今のマザリーニは他のものは目に入らないほど、一点を見つめている。

449 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 02:56:24 ID:uOxGJC3n
SSの投稿!支援せずにはいられないッ!

450 :アンリエッタ+康一 ◆3D2JBRgybs :2007/11/24(土) 02:56:57 ID:22L1CaGl
そしてそれは突然。はた、とマザリーニの手が止まる。
彼が見つめているのは『書類の日付』。重要な書類というのは記録の為に日付を記しておくものである。
その日時の日付を彼は探していた。この日付が探していた物であるという証明だ。
「見つかりましたぞっ!」

マザリーニは興奮して康一に向かって叫んだ。
「やったッ!どれですかッ!」
「これです。あと日付が同じ書類が数枚。やむおえず同じ日付になる筈の目的外の書類も作成したのでしょう。
そしてこの日付が同じ書類の中に、我々が探していた書類が眠っている…!」

指差して書類を示すマザリーニが、ギュッと握り拳を作った。
冷静な彼がこれほど興奮するのはかなり珍しい。それほど今の彼は達成感に満ち溢れていた。
「じゃあこの書類の事を調べる前に、早くアンリエッタさんに報せに行きましょうッ!」
それもそうだ。この事はイの一番にアンリエッタに報告しなければならない。

マザリーニは書類の束を小脇に抱えて、ランプを片手に立ち上がる。
ここへ来る途中の廊下はあちらこちらにランプが付いていたが、それでも夜なので薄暗かった。
一度は廊下に立っていた衛士と走っていたという事もあるが、曲がり角で衝突しそうになったぐらいだ。
そのため手に持ったランプは資料庫の備品なのだが、マザリーニは気にせず職権乱用で持ち出す事に決めたらしい。

「では早く姫様へ御報告しに参りましょう」
そう言って小走りで資料庫を退室するマザリーニに、康一もまた続く。
来る時と違って今度はランプに書類も抱えている為、さすがに走って行くのは少し問題があると考えたようだ。

廊下は長い。この夜の薄闇もその感覚を助長させる。
しかも今のマザリーニと康一は、緊急の要件でアンリエッタの元へと向かっている最中。
心理的にも無限とは言わないが、途方もなく長い道のりに思える事だろう。

どの程度移動したのか?一分か?二分か?
時間の感覚も曖昧になるが、康一の感覚では恐らく三分はまだ経っていないように思える。

それ位に康一は移動してきて、ある事に気が付いた。

451 :アンリエッタ+康一 ◆3D2JBRgybs :2007/11/24(土) 02:58:54 ID:22L1CaGl
「ちょっと……待ってくれませんか?………マザリーニさん」
康一は自身の言葉での静止を待たずに、マザリーニの服の裾を掴んで有無を言わさず引き止める。
「むっ。コーイチ殿?一体どうされました?」
急に引き止められたマザリーニは問いかけるが、康一は何も言わずに人差し指を口の前に持ってきた。

「静かに。話しはちょっと待って下さい…」
ズギュゥン!とエコーズACT1が康一の頭に乗っかるようにして出現した。
そして康一の意思で新たな目となったACT1が、薄暗い廊下の宙を疾走する。

向かう先はすぐ目の前の廊下の曲がり角。
(別に僕の気のせいならそれでもいいッ。だけど何だか良くないッ!良くない感じだッ!)
ACT1は曲がり角をすぐさま曲がって辺りを見渡す。
そして分かった。居ないのだ。そこに居る筈の者が、そこには居ない。

瞬間、康一の背中が総毛立った。
人間及び生物は本能的に危機を察知する事があるというが、これがその危機察知能力だろう。
凄まじき恐ろしさ。その恐怖の正体は「死」の恐怖。

この時点での康一には理由が掴めなかったが、彼はその本能に従った。
掴んでいたマザリーニを床に引き倒し、自身は彼にのしかかるようにして床に伏せるッ!
その躊躇のない、僅かな瞬間が生死を分けた。まさに瞬間。

ゴウゥッ!!と、容赦ないエネルギーを持った球体が二人の僅か数十センチ上を通り過ぎたからである。
二人の上を通り過ぎた球体は、そのまま二人の進路方向だった曲がり角の壁に着弾。
球体に込められたエネルギーは、途方もないパワーとなって開放された。
それは夜の静寂を物の見事に破る、爆裂ッ!

「おオぉおおォッ!」
解き放たれた衝撃は、着弾地点が康一とマザリーニからは離れていた為に怪我などの被害はない。
しかしACT1は曲がり角のすぐ近くに居た為に衝撃はかなり受けた。
スタンドは物理的なダメージは受け付けないが、衝撃などはそのままスタンド使いへと通る。

そのフィードバックなのだろうか。康一は頭の中が少しクラクラしていて即座の行動は多少無理がある。
だが今はその無理を通さなければ生き残れない。
康一は気合を自身に叩き込みマザリーニを助け起こす。

452 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 03:01:19 ID:9OfVJN1q
支援

453 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 03:01:39 ID:/eln67rk
支援

454 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 03:10:25 ID:6cuJjZsO
四円

455 :アンリエッタ+康一(代理):2007/11/24(土) 03:16:16 ID:nUJwep6H
「ぅう…これは、一体…コーイチ殿?」
「状況は凄くヤバイ感じみたいですよ、マザリーニさんッ」
助け起こされたマザリーニが見た物は、赤の勢力。
触れれば火傷する、燃え盛る火炎であった。

火炎。火。それはメイジの四系統の一。
つまり先ほどの球体は火炎の球弾。「ファイヤーボール」か「フレイムボール」だろうか。
火は高価そうな絨毯に引火してパチパチと更に燃え盛っている。
その音はヤケに小気味良く、スッと耳にしみ込んだ。

そこまでマザリーニは考えた所でバッと背後を振り向いた。
普段夜は薄暗い廊下だが、燃える炎のお陰で明かりには苦労しない。
揺れる炎の明かりによって映し出される人影。
その数は三。

人影が身に着けている衣服はボロボロであちこちが引き裂かれている。
その裂けた衣服から覗く肌もまたボロボロだ。
至る所にある、赤く腫れ上がったミミズ腫れがとても痛々しい。
しかしマザリーニの頭に最初に浮かんだのは、別の事だ。

それは「こやつ等の衣服は何処かで見たような?」という考え。
芋蔓式に手繰り寄せられた記憶の糸は、即座にマザリーニにこいつ等が誰であるのかを告げた。
「まさか…貴様等、抜け出しおったのか…!」
マザリーニが言った「抜け出す」という言葉で、康一もハッと閃く。

その人影達の顔は前に一度見た。そしてその時もこんな修羅場が繰り広げられていた筈。
コイツ等の顔はまさしく、あの新月の晩に戦った者達。
この城の地下牢にブチ込まれている筈の三人のメイジ達が、表情の無い幽鬼が二人を静かに見つめていた。

僅かな沈黙があっただろうか。だが数瞬の沈黙は破られる。
その者達の内の一人が魔法の詠唱を開始したからだ。
反射的に康一はヤバイと感じてマザリーニを引きずり、未だ炎が燃える曲がり角に向かって走り出す。
しかし魔法から逃れられるほどには動きは素早くない。

456 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 03:17:59 ID:6cuJjZsO
私怨

457 :アンリエッタ+康一(代理):2007/11/24(土) 03:18:21 ID:nUJwep6H
詠唱が完成。開放された魔法は氷の矢へと変換され、康一とマザリーニの背後から迫る。
氷の矢は、皮を裂いて肉を貫く。容赦などありえない魔法が二人を襲ったッ!
「エコーズACT3ッ!」
康一は咄嗟にACT3を発現して、その拳と体の面積での防御を試みる。

唸る連弾の拳撃ッ。超人的なパワーの篭った拳はいとも容易く氷の矢を砕くッ!
しかしこの距離で同時に降り注ぐ、全ての氷の矢を破壊出来るほどのスピードはACT3には無い。
当然ながら防御できる範囲には限りがあり、その範囲外の攻撃は二人に到達するッ!

「うぐぅッ!」「ヌおぉッ!」
到達した氷の矢は二人を簡単に引き裂く。
しかし不幸中の幸いなのか、ACT3が二人を体で庇ったお陰で致命傷となる傷は無い。
その為、何とか走ることは可能。逃走は続行できる。

そして二人は燃える絨毯の上を転がるように飛び越し、曲がり角を曲がれた事で敵の視界から姿を消した。
視界に入っていない対象に魔法を掛けるのは難しい。
文字通り、火事場の馬鹿力。これで一旦追撃を逃れる事に康一とマザリーニは成功した訳だ。
しかし当然だが、黙って二人を逃がすほどコイツ等は甘くは無い。

三人は表情を一片たりとも変えずに追撃を開始する。
そう、一片たりとも変わらない。その表情にも、瞳にも、感情は無い。光は無い。
まるで生気を感じさせない三人は、それぞれ同時に走る。チープだが、まるでそれは機械の在り様。

ただ手に持った杖だけが、生きている事を証明するかのように輝いた。

458 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 03:20:37 ID:6cuJjZsO
死縁

459 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 03:20:49 ID:nUJwep6H
規制に引っ掛かってしまわれたようなので代理投下したッ!
アン+康一の人GJ!そして乙でした!

460 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 06:58:50 ID:FnOkhlaw
康一君、ほんと頼りになるヤツだぜ。

461 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 10:28:29 ID:K+ou3h5L
>ゼロいぬワルド
『誇りと何かを守るための戦い』『絶望のみ残された敗北』
『少女ルイズへの執着と、輝かんばかりの非道』
美しい〜〜〜っ こんな美しい悪は・・・・・・
滅多に見れねぇ〜〜ぇ

462 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 12:08:05 ID:3HwVnd6F
ポルポルと聞くと、ついポルポを召喚したらどうなるのか考えてしまうが

何度考えても、ベッドと思われスルー。そしてサイト召喚。残されたベッドがしばらくして起きるも、街までの移動に体力が持たず餓死

くらいしか思いつかないんだ…

463 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 12:21:50 ID:3BZyXD3Q
>>462
物語とポルポのダイエットを同時進行させたらいいんだよ。
毎回のラストに「現在のポルポの体重:○○kg」って表示されるやつ。

464 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 12:48:29 ID:BtN6fHsO
コルベールブートキャンプと聞いて

465 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 13:50:35 ID:lqd8QcOI
メンヌヴィルブートキャンプの方が脂肪燃焼させてくれそうな気がする
脂肪以外も燃えるかもしれんが

466 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 14:25:57 ID:3BZyXD3Q
董卓のへそに刺した灯心に火をともしたら
三日三晩燃えると申したか

467 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 14:49:39 ID:Cza6uxsL
キャラ的にはスカロンブートキャンプでも…駄目だな、吐き気を催す

468 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 14:57:21 ID:AcDcXiyI
ポルポが召喚されてブラックサバスが矢を持ったままだったら・・・

アニSさんあたりをスタンド使いにしてみたい

469 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 15:04:32 ID:TuJg5n1b
>>468
それだと一番最初にスタンド使いの試験を受ける可能性があるのは
ギーシュになるんだがw

あいつがバッドカンパニーとか発現したら手がつけられねぇw

470 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 15:40:19 ID:PYseuwxW
ヘタレだからせいぜいザ・ロックあたりだろ
重いし

471 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 16:01:47 ID:AIhlAUj3
矢に刺されて死ぬ所しか想像出来ないのは何故なんだぜ?

472 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 16:09:06 ID:uQmsiY78
>>469
すぐに思いついたのがハイウェイスターな俺
使い魔同様に鼻が利いて追跡にうってつけだ

473 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 16:11:03 ID:PYseuwxW
控えめに言ってもミケランジェロの彫刻の様に美しいと思わないかい?僕のヴェルダンテ

474 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 16:16:18 ID:EyeJPwOj
ヤバい、噴上とギーシュが被った

475 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 17:33:11 ID:KpvQX84k
ギーシュがスタンド使いに…
避難所のギーシュの奇妙な決闘が一番に浮かんだわ

476 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 18:08:59 ID:K+ou3h5L
>ハイウェイ・ギーシュ
いや、それは私も考えたが。
『ヘタレ・三股・ナルシスト』でも、
女三人納得させきれるだけの『甲斐性・器のでかさ』があるだろヤツには。
プレイボーイ気取って女にヘコへコ頭下げてるギーシュとの決定的かつでっかい差だ。
となるとなんだろ、

ラット戦でのプレッシャー負け描写でもいざというときには跳ね返せる、
後外見(髪型)を馬鹿にされるとキレルことから、
以外にクレイジー・ダイヤモンド(八つ当たりで決闘、戦争では武勲を立てました)とかかも。

キレやすさで、
すぐにキレてナイフを振り回す、心にヒーローがいる辺りから、
エアロスミス(父・兄・グラモン家を誇りに思っている)
上に同じ、大事なモノがあることと常識はずれなキレかたから、クリーム

ヘタレに重きを置くなら、
優秀な兄にコンプレックスがある、未熟が故の(チリペッパー、アトム・ハート・ファーザー戦)暴走、
でもまるでダメなわけでもない、陽気で気のいいやつ、
ザ・ハンド
上に加え、コンプレックスの裏返しゆえ、傲慢になり派手な女遊びを繰り返す。
タスク

シンプルにナルシスト(っぽい)、
スケアリーモンスターズ(フェルデナンド博士のヤツね)


  …コンだけこじつけると『ハイウェイ・ギーシュ』が一番現実的だな(個人的にはタスクに一票)。

477 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 18:14:08 ID:M2A8k4d/
ゼロ魔キャラをスタンド使いにしちまうのは難しいぞ
巧くやらなきゃ只の原作レイプだからな

478 :風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/11/24(土) 18:31:24 ID:PYseuwxW
ちくしょう東京民め
今日のアンダーワールドのライブ行きたかったぜ
投下は勝利!

479 :風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/11/24(土) 18:32:25 ID:PYseuwxW

任務を果たし、フーケは気絶している間に校舎内にある牢の中で捕縛しておいた。
ジャッジメントを出せても、本体が動けなければ脱獄は不可能、という理由でだ。
つまり手錠でフーケを柱に固定してあるのは決してオスマンの趣味でも性癖でもない。たぶん。

「なるほど、スタンドか…」
校長室で任務を終えてきた4人の話を聞く。

「なにか心当たりでもあるんですか?」
キュルケがオールドオスマンに尋ねる。
「うむ、ないことも無いが、明言は避けておこう…じゃが、近いうちに何か伝えられるよう努力しよう。
そして、『土くれのフーケ』捕縛の功で『シュヴァリエ』の爵位申請を、宮廷に出しておいた。追って沙汰があるじゃろう。
ただし、ミス・タバサはすでに『シェヴァリエ』の爵位を持っているからにして、精霊勲章の授与の申請をしておいた」

三人の顔が輝く。タバサは無表情のままだったが。
「本当ですか!」
キュルケが声を上げる。
「ああ、本当じゃ。そして君達は今日の『フリッグの舞踏会』主役も勤めてもらう。明日からもその勢いで勉学も頼むぞ。
とにかく、我が友人の命を守ってもらったことについて、心より感謝させてもらう」
全員が感謝を言葉をオールドオスマンに投げかけ、全員が部屋から出て行こうとする。
「おっと、ミス・ヴァリエールには話があるので残ってくれないかな」

部屋を出ようとしていたルイズは怪訝な顔をしつつも、きびすを返す。
ルイズ以外は部屋から出て行き、扉が閉まる音がする。

ルイズは不安そうに尋ねる。
「も…もしかして、退学ですか…?」
オスマンは吹き出す。
「カッカッカ、そんな心配は無用じゃ。第一退学になる生徒のために爵位申請などするものか!」
ルイズの表情が和らぐ。
「話というのは、君の使い魔のことじゃ。ワムウ、と言うらしいが…彼は何者なんじゃ?」
「は、はあ…私にも少ししかわかりませんが…どうやら異世界から来たらしくて…」
その答えにオスマンは驚く。
「なんと、異世界からとな…もしかして『地球』だとか『ドイツ』などとか言っていなかったかね?」
「『ドイツ』はわかりませんが…『地球』を知らないのか、と尋ねられたことはあります」

オスマンは少し考え込む。
「実はな、あの破壊の杖も、護衛を依頼した男も異世界…つまり『地球』から来たらしいのじゃ。わしも
彼にその話を伝えておくから、君からも詳しい話を使い魔君から話を聞いておいてくれ」
「は、はい、わかりました…善処はします…」
命令をまったく聞かない使い魔を問い質すなどできるのだろうか、という思いが強いが一応承諾はする。
「そして…もう一つ…驚くと思うが…あの使い魔のルーンは始祖ブリミルの使い魔の一体、『ガンダールヴ』のものじゃ。
なんでも、どんな武器でも自在に操ると言う。この事は基本的に他言無用じゃ」
「ほ、本当ですか!」
ルイズは驚いて、過去のワムウを思い出すが武器を握っていたのは武器屋にいったときだけで、使いこなしていた描写を
思い出せない、というかない。あのボロ剣が使い手、とか言っていたような気もするがあの剣はそこまで博識には見えない。
「ああ、本当じゃ…まあこの話題はおいておいて、そろそろ君も舞踏会を楽しんでくるといい、ご苦労じゃった」
「はい、それでは」

ルイズが出て行き、扉が閉まる。
「それにしても…異世界の住民…ワムウ…超人的…男の言っていた『柱の男』そっくりじゃ……偶然とは思えんし、
もしかするとミス・ヴァリエールはわしらが思っていた以上にとんでもないものを召還してしまったんじゃろうか…
まるで爆弾じゃな…ミスタ・コルベールすら相手にならない以上、湿気ってることはないようじゃしな…」

オスマンはため息をつき、窓の外の二つの月を眺めた。

480 :風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/11/24(土) 18:33:28 ID:PYseuwxW

 * * *


「あら、退学じゃなかったの?」
律儀にルイズを待っていたキュルケとそれに付き添っていたタバサ。
「大きなお世話よ、それよりワムウしらない?」
「あら、あなた自分の使い魔も呼び出せないの?」
「呼び出せるだけのただのサラマンダーとは違いますからね」
「あら、言ってくれるわね?」
「なんたって、私の使い魔はガンダ・・・」
他言無用と言われたのを思い出して口をつぐむ。
「ガ、ガンダムなみに強いんですからね!」
その発言にキュルケが固まる。
(な、なにを言っているのこの子…?ルイズはこんなときに意味の無いことを言うような女ではない!)

「ど、どうしたのキュルケ急に黙っちゃって…?タバサ、なんで黙ったかわかる?」

(『機動戦士ガンダム並に強い』…『軌道戦士並に強い』…『軌道は強い波で戦死』…『この星の軌道が崩壊』!?
そ、そうか…そういうことだったのか!!またも関わることになるというのか!!ノストラダムスの大予言!)

「私にだって…わからないことぐらい…ある……」
「そ、そう…」

そこにギーシュが入ってくる。
「やあ!フーケを倒した立役者!主役!ギーシュの登場の時間だよベイビー!」
「ねえ、ギーシュ、ワムウ知らない?」
「ワムウかい?見なかったが…そんなことより舞踏会がもうすぐ始まるよ?遅れる前に着替えてきたほうがいいんじゃ…」

ルイズは壁の時計を見る。
「あああ!もうこんな時間じゃない!ワムウとあんたのせいよ!早く着替えてこないと!」
なぜか意味もなく突き飛ばされるギーシュ。

彼はつぶやく。
「やれやれ、僕の見せ場はまだかなあ…」


481 :風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/11/24(土) 18:34:31 ID:PYseuwxW

* * *


「ヴァリエール公爵の息女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールのおなーーりーーッ!」
衛士がルイズの到着を告げ、楽師が音楽を奏で始める。
周りの男が群がるが、全員断りバルコニーに行く。

「あら、ワムウあんた来てたの」
バルコニーの先の木に立っているワムウ。

「騒がしかったんでな、なんの騒ぎだこれは」
ルイズに尋ねる。
「舞踏会よ、ちょっと任務で活躍してね、私たちが主役よ」
「そうか」
「なによ、少しくらい誉めてくれたっていいじゃない」
「引き受けた役目を終えるくらい当然だ」
「言ってくれるわね、あんた、あとで部屋にちゃんと着なさいよ、話があるから」
「気が向いたらな、それよりお前は主役なら踊らないのか」
「掌を返して媚を売るような奴らしかいない間はお断りよ」
「表面しか見ないような奴など爆発させればいいだろう」
「やあルイズとその使い魔、ごきげんよう。どうだい僕と踊らないかい?」
空気を読まずにギーシュが話に割り込んで来る。

「あら、丁度いいわね、ワムウの言う通りにしてみましょうか?」
「その役目は私よ」
モンモンラシーが腕を組んでギーシュの後ろに立っていた。
「あらモンモンラシー、私もちょっと一番働いてないのに主役ぶってるのがちょっと鼻についててね…
『抜きな! どっちが速いか試してみようぜ』……ってヤツだわ」
「え…ちょっと待っ…」
「『爆風』で『発破』すると書いて『爆発』!」「ビンゴォ!舌を引きちぎった!」
ギーシュはバルコニーから吹っ飛び、墜落した。
「ひでぶッ!」


ワムウがギーシュに呟く。
「しかし人間よ、これだけは覚えておけ。人間負けてしまったら負けだ」
なぜかワムウも一発殴る。


ギーシュ――完全敗北。

482 :風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/11/24(土) 18:36:01 ID:PYseuwxW
投下終了

オスマン「ミスタ・コルベールすら相手にならない以上、湿気ってることはないようじゃしな…
ブリミル しけてるぜブリミル 今日は仕事さぼって寝るか
やる気がしねぇ やる気がしねぇ だけど部下には腹が痛くてと伝えるおいらさ」

483 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 19:21:18 ID:n55dFU5p
GJ!
LIVEアルバム出るらしいからそれで我慢しようぜ

484 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 19:28:04 ID:fxdvA/6d
これをもっていけ…G(グッド)andJ(ジョブ)!

485 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 19:58:57 ID:TzigHzdq
来いッ!ガァァンダァム!
…読んだら叫びたくなった

486 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/11/24(土) 20:13:52 ID:nPg0BEFE
ワムゥ様GJであります。
そして投下します。
時間軸は前話の前

487 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/11/24(土) 20:16:30 ID:nPg0BEFE
外伝 『Shallow guy』

 朝日の射し込む廊下をカツ、カツ、カツとブーツを鳴らして歩く女が一人。
 高い背に豊満な体つきをしており、胸などは今にもシャツからこぼれ落ちそうな程だ。さらには褐色の肌とルビーのように赤い瞳が蠱惑的な雰囲気を醸しだし、それらをまとめて彩る鮮やかな炎髪は情熱に燃えている。
 その美女の名はキュルケ。ここ、トリステイン魔法学園の生徒である。そのキュルケがある扉の前で足を止めた。そしてノックもせずに勢いよく戸を開け放ち、部屋の主の名を呼んだ。
「ターバサ!」
 タバサと呼ばれた少女はベッドの上で何やら作業をしていたようだが、キュルケの声にゆっくりと視線を動かした。
 タバサは実年齢よりも幼く見せる小柄な体躯と、人形のように作りのいい顔に眼鏡と澄んだ青髪を持つ青眼の少女だ。
「・・・・・・何?」
 それだけだった。それもいつものことなのでキュルケは今さら気にはしない。そしてタバサの許可を得ずに部屋へ上がる。これもいつものことなのでタバサは今さら気にはしない。
「あら、荷物なんかまとめて旅行にでも行くの?」
 ベッドの上には旅行用のカバンと荷物が積まれており、タバサはそれを詰め込む作業の途中だったらしい。もっとも、荷物の大半が本で埋まっており、衣服などはほとんど見あたらない。
「ちょっとちょと!あなたそんな荷物でどこ行く気?隣の家に遊びに行くにしたってもっとマシな荷をつくるわよ!」
 キュルケはそう言うとタバサからカバンをひったくり、中の本をベッドにぶちまけた。そして空になったカバンを持ってタンスを開け、勝手に服やら下着やらを物色し始めたのだ。
「せっかくの旅行なんだからおめかししなきゃダメよ。いい男はどこにいるかわからないのよ!あなた基はいいんだからもっと飾りなさいっていつも言ってるでしょ?ほら、突っ立ってないで日用品を持ってきなさいな」
 ぽけーっとキュルケの背中を見ているだけだったタバサだが、そう言われてとことこと最低限必要なものをカバンに入れる。その時こっそりと本を一冊忍ばせようとしたが、次の瞬間には見つかってしまった。
「旅行は普段と違うことしなきゃ意味ないわよ。それよりあなた、同じシャツしか持ってないのね・・・・・・キャー何この下着!後にクマさんが縫いつけてあるわ!あん、そんな恥ずかしがらないでよ、カワイイ趣味じゃない。
 ・・・『今は普通のを穿いている』?普通って今あたしが穿いてるみたいな黒くてエロ・・・・・・冗談よ、そんなふくれっ面しないの。でもせっかくだからこの下着は持っていきましょう」
 そんなやり取りをしながらも、数十分後には荷造りが完了していた。タバサはベッドに積まれた本の山を見ている。押し問答の末、一冊だけ持っていくことを『許可』されたのだ。そしてそのキュルケはというと、
「忘れ物はない?ハンカチは持った?旅先で困ったらちゃんと人を頼りなさいよ?」
 タバサの身を整えていた。その様子は姉妹というよりは母と娘と言った方が適切である。
 と、そこでふとキュルケはタバサがどこに行くのか聞いていない事に気が付いた。
「ねえタバサ、そう言えばあたしあなたがどこに行くのか聞いていなかったわ」
「・・・実家」
 少しの逡巡があっての答えだった。しかしタバサの口数の少なさから、いつものことであるように聞こえるが、それでもキュルケにはその少しの逡巡に何か異質を感じていた。そして、次の瞬間には言葉が口から紡ぎ出される。
「あたしも行くわ」
 キュルケが少しの迷いも見せずに言うものだから、タバサはしばしの硬直の後に『許可』してしまった。
 行動派のキュルケはそうと決まればと指を鳴らした。しばらくしない内に廊下からザザザザと擦るような音が聞こえ、フレイムがタバサの部屋に顔を出す。
「交通手段はどうするのタバサ?」
「迎えがもうすぐ来る」
「そ。まあ荷造りと休暇願を出す時間はあるわね。フレイムー」
 ご主人様の声にきゅるきゅると答えると、火トカゲはちょこちょこと可愛い動作で、しかし迅速に走り去っていった。キュルケはフレイムに簡単な荷造りを命令したのだ。そしてキュルケは窓に寄りかかって外を見る。
「あたしはあそこの人に休暇願を出せばOKね」
 視線の先には朝早くからゼロ戦に張り付いているコルベールの姿があった。

488 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/11/24(土) 20:20:28 ID:nPg0BEFE
 タバサを先に門に向かわせてキュルケはゼロ戦に足を運んでいた。季節は夏に入り始め、朝でも少しむあっとする。日はまだ天上に差し掛かってはいないとはいえそれでも日差しが刺さるようだ。
「今年の夏は猛暑になりそうね・・・」
 手で日を遮りながらひとりごつ。そして気付けばゼロ戦の目の前に付いてしまっていた。
 暑さで思考が緩くなっているのかもしれないと思いながら、操縦室のコルベールに声をかけた。しかし返事がない。
(そんなに熱中してるのかしら?ただでさえ暑いって言うのに・・・)
 ゼロ戦を叩いて見たり揺すってみたりするが、どれも反応がなかった。しかたなくキュルケは自ら登ることにした。作業用にと立ててある梯子を使い、開いた風防を覗く。
「ちょっとせんせ・・・・・・あら」
 なんと、コルベールは操縦室の中で眠りこけていたのだ。計器類でも見ていたのか、席に座った状態から大きく俯き、重心が前に傾いている姿勢で眠っているのだ。起きたら間違いなく首の筋を違えているだろう。
 眼鏡は器用に鼻に引っかかり落ちるのを防いでいたが、工具とおぼしき物は手から滑り落ちて、手だけが持っていた形で固定されている。
 キュルケは少し身を乗り出して俯いた顔を覗き込んだ。油で汚れた服や顔。寝不足からか少しこけた頬とうっすらとしたクマが見て取れるが、なぜだろうか、キュルケにはとても楽しそうに笑っている気がした。
秘密基地遊びをする子供のように、無垢で好奇心に満ちた笑顔とでも言うのだろうか。とにかく、心地よさそうな疲労なのだと理解できた。
「・・・・・・・・・」
 知らず知らずのうちにキュルケは手を伸ばしていた。そしてあとほんのわずかで触れそうだというところでコルベールが身をよじった。驚き慌てて手を引っ込める。
(あ、あたし何やろうとしてたのかしら・・・)
 引っ込めた手を見つめながら葛藤するキュルケ。この鼓動の速さは果たして寝返りに驚いたからだろうか?
「・・・・・・・・・ふむ」
 そう呟くと、すでにタバサを待たせていることを思い出して梯子から飛び降りた。タバサを待たせてから五分くらいだろうか。
「ごめんタバサ。ちょっと遅れちゃうわ」
 心の中で友に謝りながらキュルケは急いだ。

 門の前で待つこと十分弱。タバサは本を開きながら友が来るのを待っていた。傍らにはすでに荷物を持ったフレイムとシルフィード、屋敷から派遣された御者が手持ちぶさたにしている。
 御者などは火トカゲと竜に挟まれて肩身が狭そうだが、タバサはまったく動じていない。と、やおらタバサが本を閉じた。そして図ったかのようなタイミングで学園の方から真っ赤な髪を揺らしながらキュルケがやってきた。
「ゴメンゴメーン」
「問題ない」
 舌を出すキュルケに短く答えて馬車に乗り込む。キュルケもそれに続く。シルフィードはフレイムを背に乗せると羽ばたきと共に空に舞い上がり、それを合図に馬車が動き出した。
「・・・遅かった」
 再び本を開いたタバサは視線を上げることもなく呟いた。
「何をしていたの?」
「ん?ああ、ちょっと厨房にね」
 この後、目を覚ましたコルベールがゼロ戦の翼の上にハンカチと休暇届、そしてコーヒーが置いてあるのを見つけるが、それはまた別の話。

489 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 20:23:11 ID:C3IAJqsf
中々良い雰囲気だな支援

490 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/11/24(土) 20:23:27 ID:nPg0BEFE

 魔法学院から延びる街道を南東へひたすらくだり続けてどれくらい経っただろうか。すでに日は真上に差し掛かり、気温も上昇の一途を辿っている。しかしキュルケは暑さにめげている様子もなく窓から顔を出してきゃあきゃあと騒いでいた。
「タバサ、ほら見て!すごい!牛よ!牛!ほら!あんなにたくさん!」
 街道のそばには牧場があり、そこでは牛たちがひたすら平和に草を食んでいる。
「草を食べてる!もー、もーもー」
 牛たちは見向きもしないのだがお構いなしにキュルケは鳴き真似をした。しかし、それだけ騒いでも牛以上にタバサはそちらを見向きもしない。相変わらず本を読んだままだった。キュルケはつまらなそうに、両手を広げた。
「ねえタバサ。せっかく学校をサボって、帰省するんだからもっとはしゃいだ顔をしなさいよ」
「来てよかったの?」
 予想外の切り返しに反応まで少し変な間ができてしまった。
「・・・ああ、ウェザーたちのこと。まあ、大丈夫でしょ。ああ、あの女騎士のことなら全然問題ないわよ。気にならないって言ったら嘘になるけど、あの手のタイプはあんなアプローチの仕方しないもの。あたしが言うんだから間違いないわ。どうにも裏がありそうなのよね」
 そこでふとキュルケはウェザーのことを考えてみた。
 初めはルイズが召喚した変わった平民だと思っていた。ギーシュを一蹴した時、いつもの情熱が沸き上がってきて誘惑もした。だが、その情熱は今までにない燃え上がり方だったことは確かだ。
 だけれどフーケ討伐やアルビオンへの旅にタルブ、さらにはスタンド使いとの激しい戦いを経た今はどうだろうか。
 うん、確かに情熱は燃えている。途中、平民やエルフといった誤解もあったが自らの力と過去を話してくれたりと信頼は上がっている。事実頼りになるし。だがそれは戦友にたいする情であるようにも思えてしまう。今だってお付き合い出来るのならしたいと思っているのに。
 黒衣に不思議な帽子という神秘的な恰好。見た目からは絶対にわからない実年齢。そしてその年齢に相応しい落ち着きと、それに反するような若く荒々しい一面を持っている。
 対してコルベールなどは年齢相応といった感じで、頭頂部が目立つ。着飾らない服装に見た目も中身も大人しい。しかも研究好きときている。ただ、好きなことを見つけるとまるで宝物を前にした子供のように夢中になるそのギャップがいいのだが・・・
 って!なんでそこであの人が出てくるのよ!
 頭の中がもやもやとしてきたキュルケは気を紛らわすために無理矢理話題を変えることにした。
「そ、そうそう!あなたのお国がトリステインじゃなくって、ガリアだって初めて知ったわ。あなたも留学生だったのね」
 それはタバサの荷造りの際に見た国境を越えるための通行手形でわかったことだ。キュルケもタバサの陰には薄々気付いてはいた。タバサは、トリステインとゲルマニアと国境を接する旧い王国――ガリア王国の出だったのだ。
 

491 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 20:24:19 ID:NaYag5q2
携帯のからしえん

492 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/11/24(土) 20:25:27 ID:nPg0BEFE
 留学に何か理由があったであろう事は想像に難くない。それが大なり小なり・・・だ。
 ハルケギニアは大洋に突き出たゆるやかに弧を描く巨大な半島だ。ウェザーの世界で言う、オランダとベルギーを合わせた程度の大きさのトリステインを挟むように、北東のゲルマニアと南東のガリアが位置している。
 それぞれの国土の面積はトリステインの十倍ほどもある。トリステイン人が自嘲気味に『小国』と母国を呼ぶのはそんなわけだ。
 さらに南の海に面した小さな半島群には、かつてのゲルマニアのような都市国家がひしめき覇権を争っている。それらの一つに宗教国家ロマリアもあり、法王庁があるそこは始祖ブリミルと神に対する信仰の要だ。
 ハルケギニアを東に進むと蛮族や魔物の住まう未開の地が横たわる。その先には広い砂漠が広がり、その不毛の土地を切り開く能力を持ったエルフ達が『聖地』を守っている。そしてさらに東にあるのがロバ・アル・カリイエ――『東方』である。
 大洋とハルキゲニアの上を行ったり来たりしている浮遊大陸アルビオンはまた別だ。あれはあくまでアルビオンであって、厳密にはハルケギニアではない。
 探りを入れるようにキュルケが尋ねた。
「なんでまた、トリステインに留学してきたの?」
 しかし、タバサは答えない。じっと本を見つめたままだ。そのときキュルケは気付いた。本のページが、出発したときと変わらないことに。めくりもしない本を、タバサはじっと見つめている。
 キュルケはそれ以上尋ねるのをやめた。留学とこの帰省になにか事情がある、にせよ話したくなったときに自分から口を開くだろう。この子の不思議な雰囲気の正体もそのときわかるだろう。
 正確も年齢も違う二人が親友なり得たのは妙に馬が合うとうだけでなく、触れられたくないことにお互い無理矢理踏み込んできたりはしないからだった。タバサはそのあまり開かれることのない口によって。キュルケは年長の気配りで。
 留学という点において、二人にはそれなりの理由があるのだ。
 今向かっているガリア王国は、噂によると内乱の危機を孕んでいるらしいとのことだった。外憂よりも内患で手が回らないからなのかアルビオン侵攻にも中立を保っている。そんなドロドロの内政で、要人の暗殺、テロなどということはよくあることだ。
 まさかタバサは――――
 しかしキュルケはその考えを頭ごと振って取り払った。そんなことがあるはずがない。それに、もしそうだとしてもどうと言うことはない・・・・・・はずだ。
 陰鬱とした気分を晴らすために空を見上げると、シルフィードが風に乗って宙返りを決めていた。ちなみにその背にはフレイムも張り付いているのだが。

493 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 20:27:34 ID:EOve50kg
支援!

494 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/11/24(土) 20:27:58 ID:nPg0BEFE

 国境までの旅をゆるゆると進め、ようやく関所にたどり着いた。トリステインの衛士に通行手形を見せて石門をくぐると、もうそこはガリアである。ガリアとトリステインは言葉も文化も似通っているために、『双子の王冠』と並んで称されることも多い。
 そして石門を挟んでガリアの関所がある。今度はガリアの衛士に手形を見せることになる。衛士は開いた馬車の扉に顔を突っ込み、タバサとキュルケの通行手形を確かめて、言いにくそうに告げた。
「ああ、この先の街道は通れないから、迂回してください」
「どういうこと?」
「ラグドリアン湖から溢れた水で街道が水没しちまったんです」
 ラグドリアン湖と言えば、ハルケギニア百景を言えと言われれば最初の三つのどこかで出てくるほど有名な名所だ。穏やかな場所のハズだが、氾濫したのだろうか?
 街道をしばらく進むと開けた場所に出た。街道のそばをゆるやかに丘がくだり、ラグドリアン湖へと続いている。だが、そのラグドリアン湖の浜は見えず、花や木が湖面から恥ずかしがるように顔を覗かせている。明らかに水位が上昇していた。
「あなたのご実家、この辺なの?」
「もうすぐ」
 タバサはずいぶんと久しぶりに口を開いた。しかしすぐに黙りだ。街道を山側へと折れた馬車は一路タバサの実家へと進む。
 森の中へ入りしばらく進むと、樫の木が繁っている場所に出た。木陰で休む農民の脇にはリンゴの籠が置いてあり、それを見つけたキュルケが馬車を止めさせ、農民を呼んだ。
「おいしそうなリンゴね。いくつか売ってちょうだいな」
 農民がかしこまってリンゴを取り出すと、キュルケは引き換えに銅貨を渡した。
「こここんなにもらったら、籠一杯分になっちまいます」
「二個でいいわ」
 キュルケは一つをタバサに渡すと、その赤く大きな果実にかじりついた。シャクッ、という小気味いい音と共に果汁が溢れる。
「おいしいリンゴね。ここはなんていう土地なの?」
「へえ、この辺りはラグドリアンの直轄領でさ」
「え?直轄領?」
 王が直接保有、管理する土地のことだ。
「ええ、陛下の所領でさ。わしらも陛下のご家来様ってことでさあ」
 農民たちは笑った。確かに土地の手入れは行き届いた、風光明媚な場所である。王様が欲しがるのも無理はない。
 ん?待てよ・・・
「直轄領が実家って・・・・・・タバサあなたもしかして・・・・・・」
 タバサは黙って俯いたままリンゴを見て動かない。と、そこへ農民が声をかけてきた。
「でも、最近はよくねえ事続きなんでさあ。ラグドリアン湖の水は増えるし、神隠しはおこるし・・・・・・いったいどうなっちまうのかって、あっしらは不安でしょうがないですよ」
「神・・・隠し?」
「そうでさぁ。もう何人も、何軒もやられてる。家の中にいた一家全員が一瞬にして消えちまったり、でっけえ牛がいなくなったり・・・この辺りじゃ女子供は危ないからって家の中にいるんですけど、密室でも神隠しは起こりやして、手だてがないんでさあ・・・・・・」
 なかなかにショッキングな事件だが、今はタバサの方が気になって仕方なかった。

495 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/11/24(土) 20:30:30 ID:nPg0BEFE

 それから十分程度でタバサの実家の屋敷が見えてきた。旧く、立派な造りの大名邸である。門に刻まれた紋章を見て、キュルケは思わず息を呑んだ。交差した二本の杖。そして"さらに先へ"と書かれた銘。まごうことなきガリア王家の紋章である。
 だが、近づけばその紋章に×の傷が付いているのが見えた。不名誉印だ。王族でありながらその権利を剥奪された家・・・・・・
 玄関前の馬周りにつくと、一人の老僕が近づいてきて馬車の扉を開けた。恭しくタバサに頭を下げる。
「お嬢様、お帰りなさいませ」
 他に出迎えの者はいないのを訝しみながらキュルケも続いて馬車を降りる。と、そこでキュルケは老僕に尋ねた。
「お宅ってトカゲは出入り禁止かしら?」
「家のどこかに尻尾を置き忘れなければ構いませんよ」
 キュルケの意を汲んでくれたのだろう、老僕はキュルケに合わせた。しかしこの冗談にもタバサは無反応だった。いつもならダメ出しなりなんなりするはずなのに。
 二人とトカゲ一匹は老僕に連れられ、屋敷の客間へと案内された。赤を基調にした絨毯にシックな家具が備え付けてある。壁のデスクの上にはシンプルな花瓶と花が一輪。手入れの行き届いた綺麗な邸内だ。が、しんと静まり返っており、まるで葬式か通夜だ。
「まずは父上にご挨拶したいわ」
 しかしタバサは首を振る。「ここで待ってて」と言い残して客間を出ていってしまった。取り残されたキュルケはソファーに体を預けた。視線の先、窓の外ではシルフィードがとぐろを巻いて休んでいるのが目に入る。影の長さがもう夕方近くだと教えてくれる。
「それにしたって静かね」
(オーク鬼に襲われたあとの街だってもうちょっと賑やかでしょうな)
 キュルケの声に答えたのは床に腹這いになっているフレイムだった。手入れの行き届いた絨毯がお気に召したのか目元が緩んでいる。
「そう、確かに手入れはされてるわ・・・・・・だのにこの息苦しさは何かしら。そう、まるで換気していない教室みたいな、停滞して澱んだ空気・・・・・・」
 その時、先ほどの老僕が入ってきてキュルケの前にワインとお菓子を置いた。しかしそれに手をつけることもなくキュルケは尋ねた。
「このお屋敷、随分と由緒正しいみたいだけど、あなた以外に人がいないみたいね」
「挨拶が遅れまして。このオルレアン家の執事をつとめておりまするペルスランでございます。おそれながら、シャルロットお嬢様のお友達でございますか?」
 キュルケは頷いた。オルレアン家のシャルロット。それがタバサの本名らしい。オルレアン家と言えば、ガリア王の弟、王弟家だったはずだ。
「どうして王弟家の紋章を掲げずに、不名誉印なんか門に飾っておくのかしら」
「お見受けしたところ、外国のお方と存じますが・・・・・・、お許しがいただければお名前をお伺いしても?」
「ゲルマニアのフォン・ツェルプストー。タバサの・・・まあ、親友よ」
 キュルケの言葉に老僕は切なげなため息を漏らした。
「お嬢様は『タバサ』と名乗ってらっしゃるのですか・・・・・・ふむ。お嬢様がお友達をこの屋敷に連れてくるなど、絶えてないこと。お嬢様が心許すかたなら、かまいますまい。ツェルプストー様を信用してお話しさせていただきます」
 ペルスランは深く一礼をして語りだした。
「この屋敷は牢獄なのです」

496 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/11/24(土) 20:33:56 ID:nPg0BEFE

 タバサは屋敷の一番奥の扉をノックした。返事はない。いつものことだ。この部屋の主がノックに対する返事を行わなくなってから五年が経っている。その時タバサはまだ十歳だった。
 タバサが扉を開く。大きく、殺風景な部屋だった。ベッドと椅子とテーブル以外、他にはなにもない。開け放した窓からは爽やかな風が吹いている。
 この何もない部屋の主は自分の世界への闖入者に気付いた。乳飲み子のように抱えた人形をぎゅっと抱き締める。
 それは痩身の女性だった。もとは美しかった顔が、病のために見る影もなくやつれている。彼女はまだ三十代後半のはずだが、二十も老けて見えた。
 伸ばし放題の髪から覗く目が、まるで怯えた子供のようだ。わななく声で女性は問うた。
「だれ?」
「ただいま帰りました。母さま」
 タバサは女性のそばで深々と頭を下げた。しかし母と呼ばれた人物はタバサを娘とは認めない。どころか、目を爛と輝かせて敵意を剥き出しにして言い放つ。
「下がりなさい無礼者。王家の回し者ね?わたしからシャルロットを奪おうというのね?誰があなたがたに可愛いシャルロットを渡すものですか」
 タバサは身じろぎ一つせずに頭を垂れ続けた。
「おそろしや・・・・・・この子がいずれ王位を狙うなどと・・・・・・誰が申したのでありましょうか。薄汚い宮廷のすずめたちにはもううんざり!わたしたちは静かに暮らしたいだけなのに・・・・・・下がりなさい!下がれ!」
 母はタバサにテーブルの上のグラスを投げつけた。タバサはそれを避けなかった。頭に当たり床に転がる。母は抱き締めた人形に頬ずりをした。何度も何度もそのように頬をすりつけられたせいか、人形の顔はすり切れて綿がはみ出ている。
 タバサは悲しそうに笑う。それが今の母の前で見せる、唯一の表情だった。
「あなたの夫を殺し、あなたをこのようにした者共の首を、いずれここに並べに戻って参ります。その日まで、あなたが娘に与えた人形が仇共を欺けるようお祈りください」
 開けた窓から入ってきた風がカーテンを揺らす。猛暑だというのに、湖から吹く風は避暑にはもってこいの涼しさだった。だが、タバサには肌寒かった。

「継承争いの犠牲者?」
 キュルケがそう問い返すとペルスランは頷いた。
「そうでございます。今を去ること五年前・・・・・・先王が崩御なされました。先王は二人の王子を遺されておられたのです。現在王座についておられるご長男のジョゼフ様、そしてシャルロットお嬢様のお父上であらせられたご次男オルレアン公のお二人です」
「あの子は、王族だったのね」
「しかし、ご長男のジョゼフ様はお世辞にも王の器とは言いにくい暗愚なお方でありました。オルレアン公は王家の次男としてはご不幸なことに、才能と人望に溢れていた。したがって、オルレアン公を擁して王座へ、という動きが持ち上がったのです。
 宮廷は二つに分かれて醜い争いを始めました。結果オルレアン公は謀殺されました。狩猟会の最中、毒矢に胸を射抜かれたのでございます。さぞや無念であったでしょうに、ご不幸はそれだけにとどまらなかったのです。
 ジョゼフ様を王座にと担ぎ上げた連中は、次にお嬢様を狙いました。将来の禍根を断とうと考えたのでしょうな。連中は王宮で酒肴を振る舞うからと奥様とお嬢様を呼びつけました。そして当然のようにお嬢様の料理には毒が盛られておったのです。
 奥様はそれを知り、お嬢様をかばいその料理を口にされたのです。それはお心を狂わせる水魔法の毒。以来奥様は心を病まれたままでございます」
 絞り出すような老僕の告白に、キュルケは言葉を失っていた。

497 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 20:35:13 ID:EOve50kg
支援支援ン

498 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/11/24(土) 20:37:13 ID:nPg0BEFE
「お嬢様は・・・・・・その日より言葉と表情を失われました。快活で明るかったお嬢様はまるで別人のようになってしまわれた。しかしそれも目の前で母が狂えば無理からぬこと。
 そのお嬢様は母とご自分の身を守るために、進んで王家の命に従いました。困難な、生還不能とまで言われた任務に志願し、見事果たして帰ってこられたのです。王家への忠誠を示したのです。
 だがそれでも王家はお嬢様を冷たくあしらいました。本来なら領地を下賜されてしかるべき功績にも関わらず、シュヴァリエの称号のみを与え、外国に留学されたのです。そして心を病まれた奥様をこの屋敷に閉じこめた。体の良い厄介払いというわけです」
 ペルスランは口惜しそうに唇を噛んだ。
「そして未だに宮廷で解決困難な汚れ仕事が持ち上がると、今日のようにほいほい呼び出しこき使う!父と母の仇に牛馬の如くに!これを悲劇と言わずなんとしましょうか!人は・・・どこまで人に残酷になれるのでしょうか」
 キュルケはタバサが口を開かぬ理由を知った。決してマントに縫いつけぬシュヴァリエの称号。馬車の中で本を眺め続けていた理由も解った。
 『雪風』。それが彼女の二つ名だ。心の中に吹き付けるその風の冷たさ、それだけはキュルケには知ることは出来ない。
「奥様もお父上もお忙しい方でした。幼い頃のお嬢様は随分と寂しい思いをなされたことでしょう。そんなお嬢様に奥様が人形をプレゼントなさったのです。お忙しい中、ご自分で街に出て下々の者に交じり、手ずからお選びになった人形でした。
 その時のお嬢様の喜びようと言ったら!その人形に名前を付けて、まるで妹のように可愛がっておられました。今現在、その人形は奥様の腕の中でございます。心を病まれた奥様はその人形をお嬢様と思いこんでおられるのです」
 キュルケはハッとした。
「『タバサ』。それはお嬢様が、その人形におつけになった名前でございます」
 扉が開いてタバサがあらわれた。
「王家よりの指令でございます」
 苦しそうに懐から手紙を取り出すペルスラン。タバサはそれを受け取り、無造作に封を開いて読み始めた。そして、軽く頷く。
「いつ頃取りかかられますか?」
 まるで散歩の予定を答えるように、タバサは言った。
「明日」
「かしこまりました。そのように使者に取り次ぎます。御武運を・・・」
「ちょっと失礼」
 いきなりキュルケがタバサの手から手紙をひったくり読み始めた。タバサは咎めるようにキュルケを見上げた。しかしキュルケはその視線を気にすることもなく読み進める。
「ふむふむ、成る程ね。オーケー、あたしも手伝うわ」
 タバサとペルスランは驚いて目を見開いた。
「手伝っちゃダメだなんて、一文字も書かれてないわ」
「危険。ここで待っていて」
「ごめんね。ペルスランさんに全部聞いちゃったの。だから、あたしもついていくわ。まして、危険ならなおさら、ね」
 タバサは答えず、俯いてしまった。ペルスランはその二人の様子に感動でもしたのか、目の端に水滴を浮かべている。
「っ・・・失礼。いやはや、年をとると涙腺が緩んでしまいますな。では、私はお夕食の用意をいたしましょう」
 そう言って部屋を出ていった。

 バ オ ン !

 その瞬間、まるで馬車にでも引っ張られるかのような勢いでペルスランが扉の影に吸い込まれていってしまった。
「え?ちょ・・・と!」
 慌てた様子のキュルケにタバサも顔を上げた。
「ちょ、ちょっと・・・あなたの執事さんが吸い込まれていっちゃたんだけど・・・・・・」
 二人は慌てて吸い込まれていった場所を見てみるが、いたって普通の扉だった。ただそこに、ペルスランの靴が落ちていなければだが。

499 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/11/24(土) 20:40:23 ID:nPg0BEFE
「ペルスラン?」
「今さっきそのペルスランがここに吸い込まれたように・・・・・・あたしには見えたんだけど」
「きゅるきゅる!」
 二人の後にいたフレイムが声を上げて二人を呼ぶ。
「どうしたのフレイム?」
(窓の外を見てくれ)
 促されるままに見たそこには、先ほどまで横たわっていたシルフィードがいたはずだ。だが、あの一瞬で消えてしまっている。羽ばたきの音も無く、飛んだとも考えられない。タバサが感覚の共有をしようと試みるが、
「・・・・・・ダメ」
「意識がないってこと?」
一体何が起きているのか。目の前で人が消えていく。これではまるで田舎の伝承の神隠し――――
「神隠し・・・・・・そうか、このことだったのね」
 農民が話していた神隠しとは恐らくこの事だったのだろう。確かに実際あってみて解るが、理解の外だ。神の仕業だと混乱するのも頷ける。
「けど、生憎とあたしの信心は薄くてね、神隠しだなんて信じないわ。取り敢えず状況整理を――――」
「母さま・・・・・・母さまッ!」
 タバサがかつてないほど焦りを見せていた。汗を額に浮かべて呟いているかと思うと、廊下に向かって駆け出した。
「タバサッ!」
 廊下に飛び出るすんでの所でキュルケがタバサの腕を掴む。しかしタバサは自分の腕が千切れてでも駆け出しそうな勢いで、止まる気配を見せない。
「落ち着いてタバサ!」
「放して・・・・・・放してッ!」
 咄嗟の行動だったのだろう。タバサは振り向きザマに杖を振ってしまった。そしてその先端がキュルケの頬をしたたかに打った。ガギッ、という鈍い音でタバサはようやく我に返った。
「あ・・・・・・」
 キュルケは口の端から一筋の血を流しながら、それでもタバサの腕を放しはしなかった。そしておもむろにタバサの腕を引いて抱き締めた。
「落ち着いて、タバサ。大丈夫だから・・・・・・」
 キュルケの声が、体温が、鼓動がタバサの心を落ち着けていくのがわかった。タバサはキュルケの胸を軽く押して離れる。
「もう大丈夫・・・・・・ごめんなさい」
「いいのよ。気にしてないわ。友達だもの」
 和やかな雰囲気だが、フレイムの声が場の緊張を再び戻した。
「きゅるきゅる!(ご主人!タバサ嬢!お互いに離れないで!背中を預け合って死角を消すんだ!)」
 フレイムの指示通りに三人は部屋の中央に集まりそれぞれが外を向いて構える。
「いい、タバサ?あなたのお母上はまだ無事よ」
「なぜ?」
「もしこの犯人が話をどこかで聞いていたりして、あなたの母上を先に神隠しに遭わせたのならば、人質に使うでしょう?ペルスランには悪いけど、使用人じゃ人質にはならないってことがわかってるみたいね」
 キュルケの言葉にタバサは頷いた。それを確認してキュルケが改めて切り出す。
「取り敢えずは状況の整理からね」
「メイジの可能性がある」
 タバサの言葉に頷くと、二人はディティクトマジックを部屋に向けて放った。しかし反応はナシ。魔法は使われていないということは――――
「まさか・・・・・・スタンド使いとか?」
「可能性はある」
 だとしたら最悪だ。攻撃は見えない上に、遠隔操作型の場合は本体への攻撃がほとんど不可能に近い。射程はどれくらいか?攻撃方法は?本体は近くにいるのか?
(射程は恐らく二〜三メイル程度だろう)
「フレイム、何で解るの?」
(この部屋の中央から老僕が引き込まれた扉までがちょうど五メイルくらいだが、敵の攻撃が無いと言うことは敵の射程は長くてもその程度だと言うこと。そしてシルフィードさえも捕まえてしまうということは神隠しに大きさは関係ない、と見るべきでしょう)
「と言うことは、敵は近距離型で、この近くに潜んでいる・・・ってこと?」
「扉だけとは限らない。恐らくはこの部屋のどこか・・・・・・」
 キュルケたちはすでに敵の胃の中に入ったも同然というわけだ。どこから攻撃が来るのか、どうやって攻撃しているのか、それらの未知が恐怖を呼び、精神を蝕み体力を奪っていく。
「目的は物取りかしら?農民の言う牛も盗っていったところを鑑みるに、殺人が目的ってワケじゃなさそうだけど・・・・・・」
(だからといって捕まるわけにもいかないでしょう。農民が殺されているのは事実です)

500 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 20:40:56 ID:fxdvA/6d
しえn

501 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/11/24(土) 20:43:31 ID:nPg0BEFE
「じゃあ、ペルスランもシルフィードも?」
 最悪の映像が浮かぶ。だが、タバサはそれを否定した。
「まだ生きている」
「どういうことタバサ?あなたわかるの?」
「ウェザーが言っていた。『直接姿を見せないと言うことはそれ自体が弱点でもある』。戦闘自体に自信がないのなら、保険として人質は残しておく」
 そして人質の数は多ければ多い方がいい。タバサはすでにいつもの冷静さを取り戻していた。静かに辺りに目を配る。
 だが、のんびりもしていられなかった。持久戦になればこちらが明らかに不利だし、タバサの母親の様子も気になる。
「・・・・・・ねえフレイム」
 キュルケが視線を部屋に向けたままフレイムに呼びかける。
(同じことを考えていましたよ。ただ・・・・・)
フレイムも呼ばれるのがわかっていたかのように淀みなく返事を返す。
「わかってるわ。敵の攻撃方法が解らないと・・・・・・耐えきれなくて敵の位置が掴めないわね」
 その言葉にタバサが反応した。
「掴める?敵を倒せるの?」
「え、ええ・・・多分。けれど、敵の攻撃方法が解らない以上はダメね。取り敢えず手当たり次第に攻撃でも・・・・・・」
「謎を解かなければ攻撃してもやられるだけ」
 タバサはそれから少しだけ考え込むように黙り込んだ。それから、チラリとキュルケを見た。
「あなたにはまた『借り』ができた」
 そしていきなり扉に向けて走り出したのだ。
「『敵』を倒せるんでしょう?お願い・・・・・・」
「タバサッ!あなたいったい何を!」
 みるみる扉に近づいていくタバサにキュルケは焦っていたが、フレイムは冷静にその行方を見ていた。そしてタバサの手が扉に触れた。
「タバサ!」
 キュルケが息を呑む。だが――――何も起きない。
「え?」
 これはタバサも予想外だったのか、怪訝な顔をしながら一歩退いた。

 ガ オ ン !

 まさにその瞬間だった。扉の横の壁に掛けられた絵画がガタンと浮き上がるのと同時にタバサの背中に穴が空いたのだ。
「タ・・・タバサ!」
「こ・・・これ、は・・・・・・」
「魔法で逃れてッ!タバサッ!」
 キュルケが駆け出すが、タバサは額縁の裏に引き込まれてしまった。からんっ、と乾いた音を立ててタバサの杖が転がる。
「そ・・・そんなッ!タバサァ!どうしてしまったの!」
 それでも額縁に駆け寄ろうとするキュルケの足をフレイムがくわえて止めた。
(その額縁には触らないでください。いや、下がっていろ!あのお嬢さん、冷静なだけだと思っていたが、さすがはあの青いの、シルフィードのご主人様。奇抜というかクレイジーと言うか・・・・・・)
「・・・・・・・・・でも」
(だからこそ落ち着くんだご主人様。タバサのお嬢さんの行動を無駄にしたくはないでしょう?だからご主人様、その額縁に触れるのはいけない)
「・・・そうね」
 フレイムに促されて元の位置に戻った。
(とにかくこれで敵の攻撃方法が『何かの影から穴を開ける』ということはわかった。用意はいいかご主人様!)
「いつでもいいわよ」
 キュルケの言葉を合図に、フレイムは大きく息を吸い込み、火炎の息として吐き出した。狙いは額縁のある壁。火炎の息は壁を焦がし絵画を焼き落とした。だが、そこには何もなかった。
(こ、これは・・・・・・)

502 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 20:45:42 ID:fxdvA/6d
支援

503 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 21:07:20 ID:ZyJtC2Cg
支援?

504 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 21:07:41 ID:n55dFU5p
支援!

505 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/11/24(土) 21:08:21 ID:nPg0BEFE
 信じられないと言った足取りでよたよたとフレイムが壁に近づいた瞬間、袋に穴を開けるような音がフレイムの首筋から聞こえてきた。
「フレイム!」
「きゅ・・・きゅる・・・(こ・・・こいつは・・・)」

 ガ オ オ ン !

 キュルケの手は空を切り、フレイムも壁の隙間に吸い込まれてしまった。
「そんな・・・・・・い、いや!イヤァァァッ!」
 キュルケはまるで錯乱でもしたかのように手当たり次第に壁に物を投げつけた。テーブルや椅子に始まり、お菓子は潰れ、ビンごと投げたワインは中身を部屋中にぶちまけて割れてしまった。
 投げる物がなくなり、キュルケが無言になって初めて声が聞こえてきた。
「フ、フフフ・・・窓の外・・・花が咲き始めてるなぁ〜夕方なのに。夕顔が咲いているって事はよォ・・・・・・・・・」
 男の声のようだが、声の聞こえてくる方向が掴めず、まるでこの部屋自体が喋っているような錯覚に陥りそうだった。
「フフフ・・・フフフフ・・・・・・ここはもうそろそろ夏ってことか?まあ関係ないが。とうとうひとりぼっちになっちまったな、お前・・・フフフ」
「あ、あなたいったいッ!」
「あっあ〜〜♪待て待て待て、あっあっあ〜〜♪」
 キュルケの動きを牽制するように声を被せてきた。
「しゃべんのはこのオレだ・・・オレが仕切る。オメーは黙ってろ!メソメソした女は嫌いなんだよ。強気の女を屈服させなきゃ面白みがねーんだ。オレが質問して答えろって命令するまで口を塞いでろ!
 耳クソをカッポじるのは許可してやるがよ、フフフ・・・・・・いいな!」
「・・・・・・・・・・・・」
「よーし、フフフ・・・・・・オレはオメーをワザと最後まで残してやったんだぜ?オメーのことはいつだって自由に始末できるし、オメーの仲間はみんな生きてる・・・いや、『生かして』ある『仮死状態』だ・・・・・・
 ありがたく思え・・・殺して湖に捨てることも出来たんだ・・・お魚さんたちが食べやすいように細切れにしてなあ〜〜〜。それでだ・・・・・・おまえさえ素直なら仲間は元通りになる事もできる・・・・・・」
 男はそこで一拍置いた。
「この辺の奴を襲って、寝食には困らねえんだが・・・・・・いかんせんもう一つが満足しねえ。三大欲求って言うくらいだしなぁしかたないんだが・・・困った事にこの辺にはオレ好みの女がいない。
元々この屋敷は襲うつもりだったが、まさかそこにお前みたいないい女が現れるとわな。だから、オメー、今からここでストリップショーしな・・・・・・ウヒヒヒ!オレの目の前で真っ裸になれば仲間は解放してやるぜェ――――ッ!」
 下卑た笑い声が部屋中から聞こえてくる。
「あなた・・・・・・ガリア王家の放った刺客・・・?」
「ああ?・・・・・・・・・・・・何か・・・オメー・・・わかってねーなあ〜〜〜〜〜・・・ブッ殺すぞッ!テメーッ!コラッ!」
 キュルケはその時確かに何かが近づいてくる気配を感じた。そしてそれは足下にやってきて――――通り過ぎていった。
「いいか・・・・・・テメーが声に出して良いのは『はい』だけだ!それ以外の『言葉』をひとっ言でもその便器に向かったケツの穴みてーな口から吐き出して見ろ!
 『一言』につき仲間一人殺す!『何?』って聞き返しても殺すッ!クシャミしても殺すッ!命令に逆らえばまた殺すッ!」
「・・・・・・・・・」
「いいな!注意深く神経使って答えろよ・・・それじゃあ改めて命令するぜ・・・オメーは今からここでストリップショーを・・・・・・するんだ」
「夜顔よ」
 キュルケの答えに一瞬時が止まってしまった。
「?・・・・・・あんだと?」
「だから、夜顔よ・・・あれは夕顔じゃないわ。夜顔よ。どうやって見分けるか?実をならすのが瓜科の夕顔よ。あれは朝顔昼顔でお馴染みの夜顔。実はならないわ」
「・・・・・・ひとりブッ殺すッ!」
「やってみなさいなッ!あなたがどこにいるかわかったわ!火傷しても構わないって言うならねッ!」
 キュルケの声が起爆剤にでもなっていたのか、タイミング良く壁に火の手が回る。勢いよく燃えさかる炎はあっという間に部屋中を包んでしまった。

506 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/11/24(土) 21:10:24 ID:nPg0BEFE
「な・・・何をやってるッ!テメーッ!」
「さっき物を投げたのは錯乱したからじゃあないわ・・・・・・『練金』で油に変えたワインを部屋に撒き散らすためよ!さすが王弟家、良いアルコール使ってるのかしら、よく燃えるわ」
「へ、部屋に火を放っただと!」
 男の声は明らかに慌てている。それはそうだろう。すでに自分のケツにも火が着いているのだろうから。
「フレイムの攻撃は不発じゃあないわ。火炎はワインで火を広げるための種火。フレイムはわざと隙を見せてあなたに捕まったのよ。意識が途切れる瞬間、壁と壁の隙間に吸い込まれる映像が見えたわ」
「見えた・・・・・・だとぉ?」
「そう。メイジは自分の使い魔と感覚を共有できる。貴族を狙うにしては予習が足りなかったみたいね。もうバレたんだし、焦げるのがいやならさぁ――――出てくる事ね!」
「あああじいいぃッ!うぐううぅあッ!あっちいいいいい!」
 すると、部屋がぐらりと揺れた。壁には亀裂が走り、それは徐々に部屋全体に広がっていき、まるでヘビが古い皮を脱ぐかのように部屋が崩れ落ちた。
「部屋は『二つ』あったッ!」
 その光景はだまし絵のようでもあった。崩れ落ちた下には先ほどと全く同じ部屋があったのだ。
「部屋の中にもう一つ部屋を薄っぺらに被せて隠れていたわけだ。家具も何も同じ薄っぺらくして、あなたはその表面の薄っぺらな部屋の中を移動してあたしたちを攻撃していた・・・・・・解らないはずね。そこだけは尊敬してあげる」
 男が壁のデスクの影から這い出て来る。体の所々に火傷が見受けられた。周りを気にする余裕もないのか、かなり荒っぽい動作だったために花瓶が倒れて割れてしまった。
「屋敷中に火をつけずに済んだわね・・・・・・」
「テメーいかれてんのか?仲間が死んでもいいのか!」
「死なないわよ。隠れてシコシコするしか出来ないインポ野郎は自分の身を守る盾をそう簡単に手放したりはしないでしょう?」
 キュルケがそう言うと、男はポケットから薄っぺらくなったタバサを取り出した。キュルケにはスタンドは見えないが、首筋に何かを突き立てているのはわかる。
「そばに来るんじゃあねーっ!仲間をブッ殺すぜ!」
「あたしがそんなシャバイ脅しにビクつくような女に見えて?やめれば許してあげる。でもタバサを刺した瞬間にあなたを燃やし尽くすわ」
「ナメんな!メイジが魔法を使うには呪文がいるんだろ?それぐらいは知ってるぜ!確かにオレのソフト・マシーン、格闘には向いちゃいねえが、テメーの魔法が届く前にこのガキの喉をカッ切るくらいはできるぜ!」
「無駄よ。周りが見えていないあなたじゃね・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
 ガンマンが早撃ち勝負をするような心境。先に動いたのはどちらだっただろうか。
「きゃはははあ―――ッ!」
 男はタバサの喉をカッ切ろうとして――――炎上した。だがキュルケは炎を飛ばしてはいない。
「あっばぁあああぁぁあッッ!」
「『練金』」
 キュルケが唱えたのは『練金』だった。呪文も短く発生も早いこの魔法で、男の倒した花瓶――――の中の水を油に変えた。それにより燃えさかる壁の炎が男に一気に燃え移り焼き払ったのだ。
「ウェザーの言ったとおりね。隠れて攻撃するって事はそれが弱点・・・・・・遅いわ」
 男は最早スタンドの力を維持できないのだろう。ポケットからフレイム、シルフィード、ペルスランが次々と元に戻って現れる。もちろんタバサも。
「炎を『出す』だけが能じゃないわ。炎を『操る』から『微熱』なのよ。あなたじゃあたしの情熱は受けとめきれなかったみたいね」
 だが男からの返事は無かった。横たわった黒こげに一瞥をくれてキュルケは呟いた。
「ウェルダン通り越して黒こげね。ご自慢の三半規管みたいな髪型が見る影もないわ・・・・・・」

507 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 21:11:53 ID:n55dFU5p
しえ

508 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/11/24(土) 21:12:42 ID:nPg0BEFE

 その夜、キュルケとタバサは同じ部屋で寝た。気が張りつめて疲れたのか、タバサはすぐにベッドに入って眠ってしまった。キュルケも疲れてはいたが、逆に目が冴えてしまい、ソファーの上で頬杖付いて考え事をしていた。
 結局あの後、火は消し止められ、被害はあの部屋一つだけで済んだ。一応謝ってはおいたが、犯人を倒すためにはしかたなかったと言うことで特にお咎めはなかった。むしろペルスランには感謝され、豪勢な夕ご飯を振る舞って貰ったくらいだ。
 タバサの母親も無事だった。けれど、安否を確認するときのタバサの悲痛な顔を、キュルケは忘れることが出来そうになかった。
 犯人は取り敢えずの応急処置を施して縛り上げてある。ガリアで起きた問題ゆえ、ガリアに引き渡すのかと聞いたところ、タバサは首を横に振って否定した。
「あの男にスタンド使いを渡すのは危険すぎる」
 そう呟いたタバサは唇を強く噛んでいた。結局、トリステインまで運んで処罰して貰う事で話はまとまったのだった。農民にしてみればどっちで裁こうが大した違いではないのだろう。とくに問題はなさそうだった。
 あるとすればそれは明日からの任務か。
(正直疲れたわ・・・・・・しっかり休まないと命を落とすかもね)
 強がってみせたが、実際精神的にはきつかった。ゲルマニア出身のキュルケに死はそう遠い存在ではないが、死なないに越したことはない。改めてウェザーが味方にいるありがたみを噛み締めた事件でもあった。
 そんなことを考えていると眠気がやってき始めた。ベッドに入ろうかと立ち上がると、タバサが寝返りを打った。眼鏡を外した寝顔は、どこまでもあどけない少女である。
「母さま」
 タバサのこぼした寝言にキュルケがぴくんと反応した。
「母さま、それを食べちゃダメ。母さま」
 寝言でタバサは何度も母を呼んだ。額にじっとりと汗が浮かんでいる。
 キュルケはベッドに入り込み、タバサを抱き締めた。
 その温かさに気付いたのか、タバサが身をよじってキュルケの胸に顔をうずめる。キュルケに母を感じたのかもしれなかった。そして、しばらくしないでタバサは再び静かに寝息を立て始めた。
 キュルケはタバサと自分がどうして上手くいくのか、その理由が解った気がした。
 タバサの心は凍てついてなどいない。本当は春のような朗らかな心の持ち主なのだ。それが、母を失った悲しみにより冬が訪れてしまったのだ。雪風と言う名の孤独が、その心を閉じこめた。
 子供をあやす母の声で、キュルケは優しく呟いた。
「いいわ、シャルロット。あたしの微熱で、あなたの心の雪風を取り払ってあげる。吹かせてあげるわ、春一番。だから安心してお休みなさい」
 
 キュルケのこの誓いは、次の日彼女達が湖で再会した仲間たちと共に果たされることとなるが、それはまだ先の話だった。


509 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 21:14:40 ID:EOve50kg
ズッケェロ!支援!

510 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/11/24(土) 21:15:14 ID:nPg0BEFE
投下完了!
途中で書いた残り分が消えちゃって探すのに手間取ってしまいまして、ご迷惑をおかけしました。
shallow guy=薄っぺらなヤツ=ズッケェロでした。
次回からいろんな人間が絡み合うようにできればな〜、なんて・・・

511 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 21:19:53 ID:PYseuwxW
薄っぺらな乙(グッジョブテクスチャー)

512 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 21:20:18 ID:ZyJtC2Cg
GJでした

513 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 21:21:09 ID:ESqojxHi
GJ!
このフレイムは堕落していない!

514 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 21:52:30 ID:fxdvA/6d
GJ!

515 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 22:13:23 ID:l3SoBtGs
GJでした!
三半器官みたいな頭バロスw
そしてフレイムかっこいいよフレイム

516 :うわっ面:2007/11/24(土) 23:05:19 ID:2lRwCTBU
23:10から投下させていただいてもよろしいですかッ!

517 :うわっ面:2007/11/24(土) 23:09:55 ID:2lRwCTBU
召喚されたうわっ面







いつの間にか気を失ってしまったらしい。間田は仰向けのまま、ゆっくりと目を開けた。

「う・・・・」
眩しい。太陽の光が双眸に突き刺さる。―――太陽?
そんなバカな。自分は学校から帰宅する途中だったはず。そんな時間帯に真上を見上げても、日の光に
目を焼かれるようなことはまずない。
今度は直に太陽を見ないように注意しながら、頭を持ち上げる。
視線の先には雲ひとつない青い空が広がり、太陽がさんさんと輝いていた。

「・・・・・ど、どうなってんだ・・・」
慌てて上半身を起こす。すると、身体を支えるため地面についた手のひらに、妙な感触が伝わってきた。
草だ。それもきれいに刈り揃えられた芝生。冷たいアスファルトの上ではなかった。

「・・・・・・・・・・・・・」
右を見る。灰色の壁が目に入った。視線を上にずらすと壁と同じ色の塔が見える。
まるでお城の中にいるようだった。

「杜王町にこんな場所あったっけか?」
今度は左を見る。黒いマントを身につけた妙ちきりんな連中が見えた。
なんだあれ。新興宗教か。しかし時代錯誤な格好してやがるな。
まるでRPGの登場人物がそのまま現実世界に出てきたかのような、古めかしい格好をしている。
あの青い髪の女の子なんて、でけえ杖持ってドラゴンまで従えてるぞ・・・って。
「・・・・・・・ドラゴン!?」

スタンド使いか、と間田は思わず身構えるが、よく見るとドラゴンは『実体』だった。
間違いなく、モノホンの血の通った『生き物』だ。
「ホントに・・・どうなってんだよ?」
そう呟き、頭を抱える。すると、すぐそばで草を踏みしめる音がした。
―――反射的に正面を見る。

「あんた、誰?」
ド派手な桃色の髪に、鳶色の瞳を持った女の子が間田を見下ろしていた。

518 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 23:10:58 ID:8DItBg1L
支援だッ

519 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 23:11:07 ID:7i/1xD9M
なんとコイツが!

身長はデフォルメモードか?
支援

520 :うわっ面:2007/11/24(土) 23:11:07 ID:2lRwCTBU
「・・・・俺は・・・間田敏和」
「どこの平民?」
「平民だぁ?」
聞きなれない言葉に、間田は思わずオウム返しで答える。
今どき、人のことをそんなエラそーに呼ぶ文化なんてあるんだろうか。
訝しげに女の子を観察していると、いつの間にか周りにいた黒マントの連中のひとりが声をあげた。

「ルイズ、『サモン・サーヴァント』で平民を呼び出してどうするの?」
誰かがそう言うと、間田を見下ろしている女の子以外の全員がどっと笑う。
「ちょ、ちょっと間違っただけよ!」
女の子は振り向き、鈴のようによく通る声で怒鳴る。
「間違ったって、ルイズはいつもそうじゃん!」
「さっすが、ゼロのルイズは言うことが違いますなァ〜」
再び爆笑が沸き起こる。
ルイズと呼ばれた女の子はそっちを睨みつけると、人垣に向かって叫んだ。

「ミスタ・コルベール!」
人垣が割れ、ハゲ頭の中年男性が姿を現す。
間田は吹き出しそうになった。彼があんまりな格好をしていたからだ。
手には長い杖を持ち、真っ黒いローブを身に着けている。漫画やゲームに出てくる『魔法使い』そのまんまの格好だった。
その男に向かって、ルイズがお願いします、とかもう一回やらせてください、とか言いながら腕をぶんぶん振っている。
「あの! もう一回召喚させてください!」
「それはダメだ。ミス・ヴァリエール」
ミスタ・コルベールと呼ばれた男は首を横に振る。
召喚?なんだそりゃ。ファンタジーやメルヘンじゃないんだから。それとも、この子は頭がカワイソーなことになってるのか。
間田は気味悪げにルイズとコルベールを眺めていたが、しばらくするとルイズががっくりと肩を落とし、こちらに向き直る。

「あんた、感謝しなさいよね。平民が貴族にこんなことされるなんて、ありえないことなんだから」
「はあ? 貴族?」
アホか、と間田は付け足した。中世のヨーロッパじゃあるまいし、今どきそんなものいるわけがない。
間田を無視して、ルイズは諦めたように目を瞑り、手に持った指揮棒のようなものを振る。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。
この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」
朗々とわけのわからない言葉を並べると、ルイズは座ったままの間田に顔を近づけてくる。

「な、何すんだ」
「いいから・・・じっとしてなさいよ!」
がし、とルイズは間田の頭を押さえ、頭突きするかのような勢いで間田の薄い唇に自らの唇を重ね合わせたッ!
ズキュウゥゥゥン、と奇妙な効果音が周囲に鳴り響いたとか鳴り響かなかったとか。

521 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 23:11:39 ID:67htpjP8
支援

522 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 23:12:47 ID:PYseuwxW
ペッシペッシペッシよぉ〜 オメーはマンモーニなんだよペッシ!
ビビッたんだ・・・ 甘ったれてんだ! わかるか?え? 俺の言ってる事.
「支援する!」と心の中で思ったのならッ! その時すでに行動は終わっているんだッ!

523 :うわっ面:2007/11/24(土) 23:14:33 ID:2lRwCTBU
「ん・・・・・・・・」
「・・・・・・・・!?!?!?」
一方、初対面の女の子にいきなりファーストキスを奪われた間田敏和!
スタンドも月までブッ飛ぶ衝撃ってやつを、間田は身を持って体感していた。
ああー、でもあったかいッ! そして柔らかいッ! 女の子と手すら繋いだことも無いというのに、いきなりキスとは!!
俺って果報モンだなあ、とか思った直後。

「―――うわっチィィィィィ!?」
「キャアッ!? なっ、何すんのよ!」
突如として間田の左手の甲に、焼きごてを押し付けられたかのような熱さと痛みが走った!
思わずルイズを突き飛ばし、手の甲を押さえてうずくまる。
「ぐぅぅ・・・あ、熱ッ・・・・!」
呻く間田に、ルイズの呆れたような声が届く。
「使い魔のルーンを刻んでるだけよ。すぐ終わるからしばらく我慢してなさい」
「つ、使い、魔ァ?」
痛みは徐々に引いていく。恐る恐る右手をどけると、見たこともない文字が手の甲に刻まれていた。
コルベールが近寄り、呆然としている間田の手を取ってその文字をしげしげと観察する。

「ふむ・・・・・珍しいルーンだな。さて、それじゃあ皆、教室に戻るぞ」
コルベールはそう言うと、ふわりと宙に浮かび上がった。周りにいた黒マント達もそれに続く。
去り際に、黒マントの連中が何人か、ルイズに声を投げかけてきた。
「ルイズ! お前は歩いてこいよ!」
「あいつ、『フライ』はおろか『レビテーション』も使えないんだぜ」
「その平民、あんたにはお似合いよ!」
口々にルイズを馬鹿にした言葉を残し、黒マントたちは塔の高いところにある窓に吸い込まれるように入っていく。
間田はその様子をぽかんと口を開けて見つめていた。

「空、飛びやがった・・・・・・」
スタンドかと思ったがどうも違うようだ。スタンドのヴィジョンはまったく見えないし、何よりあれだけの人数が『空を飛ぶ』という同じ能力を持つスタンドを有しているとは考えられなかった。
自分の知らない未知の能力なのか、それとも―――。
間田は先ほどまでのことを思い返す。コルベールのどこからどう見ても『魔法使い』な格好。ルイズが口走った『召喚』という単語。そして、左手の甲に突如出現したこの妙な文字。

空を飛ぶという事象も、こう考えれば納得が――――。

「・・・・いくわけねーだろ。マンガの読みすぎだな、『魔法を使ってる』なんてよォ〜」
頭を振ってこの馬鹿げた考えを断ち切る。起きたばっかりで頭がまともに働かないんだろう、そう考えることにした。

空を飛ぶ謎は結局解明できていないのだが、間田はそんなことはどうでもいいとばかりに立ち上がった。
まずここがどこなのかハッキリさせなくては。連中がどんなヤツらか考えるよりも、まずそっちを確かめる方が重要だ。
そう思い、憮然とした表情で突っ立っているルイズの肩を叩く。
「なあ、ここはどこなんだ?」
ルイズは振り向いた。間田をジト目で見ながら、『なんでこんなのが使い魔なのよ・・・』と呟く。
そして仏頂面を崩さず、不機嫌そうに言った。

「トリステインよ。そしてここはトリステイン魔法学院」
「・・・・・・ハイ?」
ルイズの口から出た言葉に、思わずマヌケ面で聞き返す間田。
魔法学院、と彼女は確かに言った。『まほう』という地名・・・・・ではなさそうだ。

「聞こえなかった? それとも頭脳がマヌケ?」
「・・・・・『まほう』って、まさかあの『魔法』か?」
「あの、って何よ。魔法は魔法でしょ? はぁ、陰気臭いうえにとんでもない田舎者なのね。魔法を知らないなんて」
「空飛んでたのも魔法?」
「そうよ、当たり前じゃない! ・・・ああもう、授業が始まっちゃう・・・! ほら、教室に行くわよ!」
苛立った様子でルイズは踵を返し、塔の入り口に向かって行く。
「あ、おい!」
間田は慌てて地面に落ちていた自分の荷物を回収し、ルイズの後を追う。

これが虚無のメイジ、ルイズと、優しくてタフで頼りになる(予定の)使い魔、間田敏和の出会いだったのである。

524 :うわっ面:2007/11/24(土) 23:15:31 ID:2lRwCTBU
ルイズは不機嫌だった。今日召喚した使い魔のせいである。
ベルトだらけの奇妙な服を着た、17、8歳くらいの平民の少年だ。彼は部屋についてから、色々なことをルイズに聞いた。
ここはどこなのか? ルイズたちは何者なのか? 貴族とは? 平民とは? 質問は多岐に渡った。
トシカズ、と名乗った彼はひっきりなしに質問を繰り返す。それこそ子供でも知っているようなことまで聞いてくるものだから、ルイズはいい加減イライラしていたのだ。
おまけに、最後には『自分は違う世界から来た』とのたまった。これにはさすがのルイズも『こいつはイカれてるのか?』という疑念を持たざるを得なかった。
しかし、ルイズから見て間田の言動はハッキリしているし、何より彼が語る異世界とやらの様子が非常に詳細で、クスリ漬けのイカレポンチの狂言だとはとても思えなかった。


「・・・・でも、いくらなんでも信じられないわ。違う世界なんて・・・」
ルイズは困った顔で言う。テーブルを挟んだ向かい合わせの位置に座った間田は、夜食にともらったパンをかじりながら、神妙な顔つきでうんうん頷いている。

「俺も最初は夢でも見てんのかと思ったけどな、アレを見て確信したぜ。ここは間違いなく別の世界だ」
そう言って、窓を指差す。空には紅と翠の、それぞれ大きさの違う二つの月が浮かんでいる。間田の話では、自分のいた世界には月はひとつしかないのだという。

「別の世界に来た割にはえらく落ち着いてるじゃない」
「わけのわかんねーことが連続するとかえって落ち着くもんだ」
もし自分が異世界とやらに来てしまったのなら相当に取り乱してしまうだろう。ルイズはそう思ったが、目の前の使い魔の少年は異様に落ち着いた態度で、パンの最後の一口を口に放り込んでいた。

この落ち着きっぷりに、やはりこの平民は自分を騙しているのでは?という疑念が拭えないルイズは、あることを間田に問う。
「何か、証拠を見せてよ。あんたが住んでる異世界の物とか持ってないの?」
「・・・・証拠ねえ」
ルイズの問いに、間田は一緒に召喚された自分の通学鞄を取り出す。
写真つきの教科書でもあれば良かったのだろうが、あいにく置き勉ばかりしていたため、登校中に買ったマンガ雑誌しか入っていなかった。
仕方なく、間田は『ピンクダークの少年』が表紙を飾っているそれをテーブルの上に置く。

「何これ?」
「俺の世界の本」
「絵ばっかりじゃない。あんた絵本を読む趣味でもあんの?」
「絵本じゃねえ! んだよ、マンガがねーのか、ハルケギニアってのは」
ルイズはページをパラパラとめくる。確かに、四角い枠で区分けされたページにはディフォルメされた絵と見たこともない文字が書かれており、ハルケギニアのものではないということがわかる。
しかし、これだけでは・・・とルイズが悩んでいると、間田と一緒に召喚されたらしいもう一つの荷物が目に入った。
その荷物―――大きなナップザック―――は、所々がいびつに歪んでいて、わずかに開いた口の部分からは、入りきらなかったのか太い木の棒が一本飛び出している。

525 :うわっ面:2007/11/24(土) 23:16:48 ID:2lRwCTBU
ルイズはその変な荷物を指差す。
「あっちは何?」
「え?・・・・・・いや、あれは・・・。その、ちょっとな」
先ほどまでの冷静さもどこへやら。急にしどろもどろになった間田に、ルイズはピンと来た。
――――この平民は、何か怪しいモノを持っているッ!

人が見せたがる物は別に見たくもないが、人が隠そうとする物はすごく見たい。
今のルイズはまさにそれだった! すかさず間田に高圧的な態度で迫る。

「いいから見せなさいよ。それとも何? ご主人様に見せられない物でも入ってるのかしら?」
「そんなん入ってねーよ」
「じゃあ見せて」
間田は舌打ちし、ナップザックのジッパーに手をかける。
ジィィィ、と口を大きく広げ、飛び出していた木の棒を引っ張り出す。

ズルズルと少しずつ全身像が露になる、その怪しい荷物とはッ!


「・・・・・・・・・何これ」
先ほどと全く同じ言葉を、全く違う調子で言うルイズ。
「えーっと、木の人形、かな?」
『だから見せたくなかったんだ』といった感じの表情の間田。

ナップザックの中に押し込められていた怪しい荷物。
それは関節が人間とほぼ同じように曲がる、人間と同サイズの木製の人形だったのである。
ルイズは知るよしもないことだが、この人形はご存知の通り、間田のスタンド能力を発揮するための媒体。
人形に触れた人間そっくりに化けるコピー人形なのだ。
このバカでかくてクソ重い人形を、間田はナップザックに入れて毎日持ち歩いていたのだった。

もちろん、知らない人間が見ればそれはそれは白い目で見られるのだが、目の前にいるルイズも例外ではなかった。
完全に変態を見る目つきになっているルイズに、間田は慌てて話題を変えようとする。

「な、なあ! ところで使い魔って何すりゃいいんだ?」
「・・・・そうね」
首を傾げて考え込むルイズに、間田は無事話を逸らせたことにほっと息をつく。
やがて、ルイズが口を開いた。

「使い魔には主人の目となり耳となる能力が与えられるんだけど・・・できないみたいね。何にも見えないし、聞こえないもの」
「はぁ」
「あと、秘薬の材料を探してくること。あんた、できる?」
「全然わからん」
にべもなく言う間田。ルイズはため息をつき、続ける。

「最後に、主人を守ること・・・・は、もっと無理そーね」
「何でだよ?」
「オーク鬼とかトロール鬼とかに一発でやられちゃいそうだもん」
ま、あんたじゃその辺の平民にも負けちゃいそうだけどね、とルイズは付け足した。
間田は付け足された悪口にカチンと来たが、言い返すよりも新たに飛び出した単語の意味を知るほうを優先した。

「オークとかトロールって何だ?」
「亜人よ。一匹で手練の戦士5人に匹敵する力を持っていて、人間を食べる怪物なの」
「・・・・そんなのがいるのかよ・・・・」
間田は急に怖くなった。まるでゲームのような世界だと思っていたが、そんなゲームよろしくモンスターまで棲んでいるとは思いもよらなかった。
もし道端でそんなのとエンカウントしたら秒殺されてしまいそうだ。サーフィスは直接戦闘には向かないし、人間じゃない連中をコピーできるとは限らないからだ。

526 :うわっ面:2007/11/24(土) 23:18:45 ID:2lRwCTBU
「・・・・やっぱり、元の世界に返してくれ」
「は?」
「だ、だってそーだろ!? なんか話聞いてると俺、役に立たないっぽいし・・・俺なんか送り返して、また新しい使い魔呼べばいいじゃねーかッ!」
見よ! このブザマな主人公(ヒーロー)の姿を。間田は見たこともない怪物の姿に怯え、優しくてタフで頼れる男になるという誓いも忘れ、元の世界に戻してくれと懇願している! だが! だからといって間田がこの物語の主人公の資格を失いはしない! なぜならッ!!

「無理よ・・・送り返す魔法なんてないもの」
「・・・マジで?」
「マジよ」
間田が主人公の資格を失うとすれば、それは間田が死んだときだけなのだッ! 
契約した使い魔が死なない限り、サモン・サーヴァントの呪文を唱えても召喚のゲートは出現しない。間田は死ぬまでこの世界に居続け、この高飛車な女の子の使い魔として暮らさなければならないのだ。
もちろん、ルイズもこんな死にそーなコオロギみたいな男を使い魔とするのはごめんだった。今すぐブチ殺して新たな使い魔を召喚したいというのが本音なのだが、そんなくだらないことで罪に手を染めることはしたくない。
それに、たとえ無知でなんの取り柄もない平民だとしても、一応は初めて成功した魔法の成果なのだ。

「だからあんたには私の身の回りの世話をやらせてあげるわ。掃除、洗濯、その他雑用」
「・・・・・・・・・わかったよ」
間田は露骨に嫌そうな顔をしたが、先ほどのオークだのトロールだのとやり合うよりはマシだと考え、渋々頷いた。
それに、衣食住はこの子に世話してもらうことになるのだ。言うことを聞いておかないと食事を抜くくらい平気でやりそうな気もする。
ルイズはその答えに満足そうに微笑み、ブラウスのボタンをはずし始めた。
当然、間田は目を丸くする。

「ちょ、何やってんのォ!?」
「? 寝るから着替えてるんだけど」
「・・・・男が部屋にいるのにか?」
「男って、あんた使い魔じゃない。別に気になんないわ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
いつもの間田なら鼻の下を伸ばしながらチラチラ着替えを拝むのだろうが、さすがにそんな気は起きなかった。
人はペットが部屋にいても気にしない・・・それと同じ。要するに、自分は人間扱いすらされていないのだ。
使い魔とは思った以上に待遇が悪そうだ。そう考えた間田の頭に、柔らかいものが投げつけられた。
手にとって見ると、それはッ!

「こっ、こっ、これわァァ〜〜ッ!?」
脱ぎたてホヤホヤの、パンティーがッ!!
「それ朝になったら洗濯しとい・・・・・って、何でポケットに入れてんの?」
「え!? ああ〜ゴメンゴメン! つい興奮・・・じゃなくて、何でもない! 何でもないから!」
「・・・? 変なヤツね」
ルイズは寝巻きに着替え終わると、ベッドに潜り込む。
ランプを消そうとすると、部屋をキョロキョロ見回している間田が目に入った。

「俺はどこで寝りゃいいんだ?」
「あー、忘れてたわ」
ほい、とボロい毛布を間田に投げる。

527 :うわっ面:2007/11/24(土) 23:19:53 ID:2lRwCTBU
「布団が見あたらねーんだけど」
「布団? そんなの必要ないでしょ。それじゃ、おやすみ〜」
パチンと指を鳴らすとランプが消え、あたりは闇に包まれる。
間田は仕方なく固い床に寝転んだ。毛布を被ると、どっと疲れが押し寄せてくる。

「ハァ。寝る場所もマトモに与えられないなんて、奴隷と似たようなもんじゃねーか・・・」
耳を澄ますと、ふかふかのベッドの中からルイズの気持ちよさそうな寝息が聞こえてくる。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
なんとなく悔しくなって、ポケットに手を突っ込み、さっき入手したパンティーを取り出す。
まだルイズのぬくもりがかすかに残っている。
固い床の寝床も少しはマシになった気がする。やってることは最低だが。


こうして、間田の使い魔生活第一日目は幕を閉じた。
彼は無事に元の世界に帰ることができるのか。そして、優しくてタフで頼りになる、ハードボイルドな男になることはできるのか・・・。

結末は、まだ誰も知らない。









.....To Be Continued →

528 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 23:21:23 ID:PYseuwxW

間田変態だけど俺も召還されたときパンティ隠してしまっておいたからキモチわかるわ

529 :うわっ面:2007/11/24(土) 23:22:08 ID:2lRwCTBU
以上、投下したッ!
なんとなく間田っぽくない喋り方になってしまいました・・・。
優しくて(ry を目指すうちに性格が丸くなったと思ってくだせえ。

530 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 23:32:14 ID:faRR6k0z
GJ!

何?間田っぽくない喋り方になってしまっただって?

逆に考えるんだ

彼は元々このような喋り方だったのだが

仗助戦では無理をしてああいう喋り方をしていたんだと考えるんだ

531 :始球走 ◆k7GDmgD5wQ :2007/11/24(土) 23:36:33 ID:PlJWOTfU
うわっ面 GJ!

予約無ければ45分から投下したいのですが、ア〜〜イイッスかねェ〜〜〜〜。

532 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 23:42:26 ID:n55dFU5p
>>528


533 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 23:42:55 ID:zrHn4Ni7
うわっ面、特にパンティーへの反応は納得してしまった…GJだッっっっっ!!!


534 :Start Ball Run 1/6:2007/11/24(土) 23:47:03 ID:PlJWOTfU
話は二日前に遡る。
才人が魔法学院の生徒に追い掛け回され、ルイズが行った錬金の魔法が成功したと思われたその日――、学院長室と呼ばれる部屋で、誰かと誰かが話す声がした。
一人はこの魔法学院の学院長を務めるオールド・オスマンと呼ばれる老齢の大魔道士。
そして彼と、机を挟んで会話をする、一人の男。その姿は静かに、かつ毅然とした態度でオスマンと対峙していた。
「……王宮も、余程暇と見える。こんな内容に勅使をよこすとはのう」
オスマンは勅使として来た男の持っていた文書を受け取ると、ちらと眺めただけで、ひらひらと紙を振る。
「オールド・オスマン、内容がどうであれ、公文書をそのように扱ってもらっては困ります」
男は変わらずの直立姿勢で、オスマンの態度を諌める。
「……ふむ。“最近トリステイン城下を荒らしまわる怪盗あり。土くれと仇名されし盗賊に注意されよ”  ここをどこだと思っておるんじゃ」
オスマンが不満を隠さずに言う。
「仰るとおりです。ですが」
男はそれでも、然として姿勢を崩さない。
「わかっとるよ。注意は怠らんわい。……じゃがの。いくら世紀の大怪盗だろうが、貴族だらけの魔法学院にくる度胸があるかの。虎穴より恐ろしい場所じゃぞ、ここは」
「そのように考えた貴族は多いのです。貴族に牙を向く愚か者、身の程を知れと。……ですが結果として屋敷に侵入され、賊に財宝を奪われた者が後を絶えません」
メイジを敵に回すことの恐ろしさを、二人は良く知っている。それゆえにオスマンはメイジを敵に回す怪盗のことが信じられず、男はメイジを手玉にとる怪盗を恐れているかのような口ぶりだった。
「貴公のご忠告はよく賜った。痛み入るのう。……用件は以上かね」
オスマンはゆっくりと目を瞑ると、文書を机にしまった。
「いえ。実はもう一つございまして……」
勅使がさらに畏まって口を開こうとしたとき。
「失礼します」
学院長室のドアがコツ、コツと二回叩かれる。
ミス・ロングビルが、紅茶のポットとカップをトレイに載せて、部屋に入ってきた。
「おお、すまんの。ミス・ロングビル。それじゃ二人分、注いでくれんかのう」
「かしこまりました」
ミス・ロングビルが芳しい香りの紅茶を静かに注いでいく。
勅使の男も、ソファに腰を下ろし、彼女の淹れた紅茶の香りを楽しんでいた。
「すまんがミス・ロングビル。外してくれんか?」
深々と頭を下げたロングビルが、静かにドアを閉めて出て行くと、オスマンの表情はまた険しいものになった。
「さて、そのもう一つとは」
「美しい女性ですな。さすがはオールド・オスマン。見る目が違う」
真面目に聞いてやろうとしたのに、今度は勅使のほうがはぐらかしたので、オスマンの皺はますます深くなった。
「おぬし」
「いえ、申し訳ありません。美しい女性の姿はどうしても追ってしまいますので」
一口だけ飲んだ紅茶をテーブルに置くと、男は立ち上がる。
「アルビオンの情勢が、思わしくありません」
遠く窓の向こうを見るように、男は言った。
「あの国の内乱は末期か……。王家が潰れれば、また国を巻き込んで戦争が起こるのう」
曇った表情で、オスマンはまた一口、紅茶を含む。
「そうなれば国中の貴族が総力を挙げ、戦争に立ち向かわなければなりません。王宮貴族の一派はすでに、その準備を進めています」
その際には、と男は続けるが、オスマンがその先を口にする。
「この魔法学院も戦争に加われと、王宮の御達しかの?」
「場合によっては……ですが。王宮内に、そのような意見が犇いているのも、事実です」
ふむぅ、とオスマンは唸るように息を吐いた。
「そうならんことを、祈るだけじゃのう」
それは、老人の本音だったのだろう。
「王宮からの言づては、これで以上です」
男は窓に寄り、外の景色を眺めた。
「ところで、オールド・オスマン。ここからは、私個人のお願いなのですが」
窓の景色から目を離さず、男は言う。
「……なんじゃ。これ以上暗い話題じゃないじゃろうな」
彼は口元に笑みを浮かべながら、老人に言う。
「さすがは天下に名だたるトリステイン魔法学院。野に咲く花すら美しい」
オスマンは黙ったまま、彼をじっと見据えた。
「私の屋敷の女中が一人、行方知れずになりましてね。一人減っただけなのですが、これがどうにも不便で仕方がない。そこで、貴族の給仕に長けた学院のメイドを一人、私の屋敷に招き入れたいのですよ」
いかがでしょう? と彼は臆面も無く尋ねる。
「貴公……」
男の突然の申し入れに、オスマンは訝しむ。
「モットです」
私の名前は、モットと申します。と、王宮の勅使――モット伯は、笑みを浮かべるのであった。

535 :Start Ball Run 2/6:2007/11/24(土) 23:48:27 ID:PlJWOTfU
「……ん。んっ〜〜〜〜〜〜! あーよく寝た」
背伸びしながら大きく息を吸い込んで、まだ残る僅かな眠気を吹き飛ばす。
ルイズ達と庭先で派手な火遊びをやらかしたキュルケが、三日ぶりにお目覚めであった。
「あら、やだ……。あたしったらこんな格好して」
毛布一枚にくるまっただけのあられもない姿で彼女は今まで寝ていたのである。
ま、いっか。と彼女は杖を振ると、箪笥やクローゼットから、今日の気分に合った洋服が出てきた。
それをするすると着こなしながら、キュルケは自慢の長い赤髪をそろえていく。
さあ、今日はどんな方法で、彼らを誘惑しようかと考えを練りながら。
突然、くるるる、とお腹が鳴った。三日も何も食べてなかったのだから、仕方ない。
お腹の鳴る音を聞いてしまうと、不思議と何か食べたくなってしまった。
彼らに会う前に食堂に行って、何か作ってもらって小腹でも満たそうと、キュルケはいそいそと部屋を出る。
その時、小さく馬のいななきが聞こえてきた。
窓から外を見ると、遠目からでも分かる桃色の髪と、愛しの想い人達が、馬でどこかに去っていく途中だった。
「え〜〜。出かけちゃうの〜〜〜〜?」
彼女にとっては、これは予想もしていないことだった。
二人がルイズと出かけてしまったら、誘惑のしようが無いのだ。
「……そーねぇ。だったら、追いかけちゃいましょ」
お腹がすいていたことなどもう忘れて、キュルケは駆け足で女子寮の五階を目指す。
友達の助けを借りるために。
虚無の曜日は、この世界に住む者なら誰もが好きな日である。丸一日、自分の好きなことがしていられる日だからだ。
……最も、平民からすれば一年働き通しというものも少なくないため、本当の意味でこの日を満喫できるのは、貴族だけということになるが。
魔法学院女子寮の五階に部屋を持つタバサは、この虚無の曜日が大好きな一人である。
自分が好きな読書を、一日中続けられるからだ。
そして、他の人間と関わらなくて済むというのも、好きな理由だった。
だが、今日はそのどちらも、破られることになる。
ドアが猛烈な勢いでノックされる。その音がうるさいので、タバサは『サイレント』の魔法をかけた。すると幾ら待ってもドアを開けてくれないことに業を煮やした相手は、『アンロック』を使って強引に部屋に入り込んできた。
普通ならもうここで、『ウィンド・ブレイク』の一つもお見舞いするところだが、入ってきた人間が彼女の友達――キュルケなら、そうはいかない。
こうやって彼女から話されるのは三日ぶりだが、どうやら無事に回復したらしいことを、彼女は自分の目で確認した。
ちなみに、三日前にキュルケを部屋まで連れて行ったのは、タバサとルイズだった。
『レビテーション』をかけるも、三階まで送り届ける力がなかったタバサに代わり、軽くなったキュルケをルイズが背負って運んだのであった。
部屋のベッドを見るなり、ルイズがポイッとキュルケを投げたのはどうかと彼女は思ったが。
さらにどうでもいいことだが、瀕死のギーシュは男二人に部屋まで連れて行かれたが、あとはどうなったか知らない。
あれ以来彼の姿は見ていないので、案外大変なことになっているかもしれない。どうでもいいが。
「タバサ! お願い助けてぇ!」
タバサが手にしていた本を取り上げるなり、キュルケが潤んだ目で懇願してきた。
「……と言うわけなのよ! お願いタバサ! 力を貸して!」
あのルイズの使い魔を追いかけるのに、タバサの使い魔の力が必要だと、キュルケは力説する。
本当は一日本読んで過ごしたいし、なにも自分が助けなくってもよさそうな気がしたが、友達のたっての頼みなので、タバサは断ることはしなかった。
もぞもぞとベッドの上から降りると、部屋の窓に近づく。
その際、キュルケが窓の近くにいたので、
「ちょっとそこ」
と言って、掌を突き出す。
次にピースサイン。
最後は親指と人差し指で丸を作った。
あっけにとられたキュルケが後ろに下がると、開けた窓の向こうに、タバサは口笛を吹いた。
そのまま窓の向こうに身を投げる。
これがタバサの外出の方法だと知っていたので、キュルケも窓枠に足をかけ、飛び降りようとした。
……あれ? さっきのタバサのあれって……、もしかして、ギャグ?
ちょっとそこ、指4本(し)、指2本(つ)、指で○(れい) ……ってことなの?!
「誰よそんなツマんねーの教えたの!」
そう怒鳴るように言って、キュルケも身を躍らせた。
彼女も背中でしっかりと受け止めたタバサの使い魔――シルフィードが、翼を大きく羽ばたかせると、彼女達の姿は、すぐさま天空に小さく消えていった。

536 :Start Ball Run 3/6:2007/11/24(土) 23:50:44 ID:PlJWOTfU
トリステイン城下町。その一番の大通りと呼ばれているブルドンネ街を、ルイズと使い魔達は歩いていく。
「あ! なあルイズ! あれ!」
「あれは酒場よ」
「じゃ、あれ!」
「衛士の詰め所ね」
「……衛士って何?」
「王宮と城下町を守護する兵隊のこと」
「へぇ」
才人にすれば、初めて見るものが多いのだ。興味を引くものが多いからあっちこっち行ってしまう。
「あんまり遠くに行くんじゃないのよーーーー!」
そうは行っても、もう才人の姿は豆粒と化していた。ったく……。と呆れたように、ルイズは零す。
「……ねえ、あんた」
「あ? なんだおチ……、いや、ルイズ」
ルイズが、並んで歩くジャイロに声をかけた。
「ご主人様」
「ああ?」
「ほら、言いなさいよ。あんたは私の使い魔なんだから」
「ルイズ」
「ご主人様」
「ルイズ」
「ご主人様」
「ル……」
「ちゃんといいなさいよぉ!」
げしっと蹴りが見舞われる。ルイズからすれば、ジャイロには一度もご主人様と呼ばれたことが無かった。丁度いい機会なので、呼ばせてみようと企んだのだが。
「ふん! もういいわよ! あんたの忠誠はよっくわかったわ!」
「なにがわかったんだか……。おー痛てェ」
そっぽを向くルイズと、腹を押さえてうずくまるジャイロ。
「あんた……。どうして女王陛下に会いたかったの?」
それを聞いてみようと思った。
「別に」
と、彼は答えた。
「嘘よ」
「じゃあ逢わせてくれるか?」
「それは駄目」
それは出来ない。そんなことは彼だってわかっているはずなのに。
「そんじゃ言わねェ」
「意地っ張り。……もういいわよ」
お互いに、そっぽを向いて。二人はそれから暫く、無言で街道を歩いていく。
ルイズがあたりを見渡す。お目当てを見つけたらしく、真っ直ぐ向かうと、そのうちに剣の絵が描かれた看板をぶら下げた店に辿り着く。どうやらそこが、武器屋のようだった。
「ここね。 ……ほーーら! サイトーー! すぐにこっちに戻って来なさーーーーい!」
大声で呼ばれ、才人が二人の元に戻ってくる。
「なにしてんのよ! 手間かけさせないでよ。もう」
「い、いや。なんかあるもん全部珍しくってさ」
楽しそうにそう声を弾ませる才人に対して、ルイズは呆れたように息を零した。
「はしゃぎすぎて、預けた財布落さないでよ」
「心配すんなって。こんなに重いもの、落せばすぐにわかるっての」
「盗まれるってこともあるの! とにかく用心してよね」
そう言って、ルイズは武器屋のほうへ、一人でずんずんと進んでいく。
「なあ……ジャイロ。ルイズとなんかあったのか?」
その後ろ姿を見て、なにか思うところがあったのか、才人がジャイロに尋ねた。
「あー? なんもねーよ」
「なんもねーわけねーだろ。あの態度は絶対にあいつ怒ってるんだって。……ったく。お前も今朝からおかしーぞ。いきなりルイズに突っかかるし」
さっきの勝負のことだ。
「突っかかったわけじゃねーよ。……忘れんな。オレ達には目的があるんだ。そのためにはよォ……」
「シエスタのことなんか、どーなったっていいってんだろ」
ジャイロが、才人を睨みつける。
「テメェ……。まだ根に持ってんのか」
才人も、見上げるように、睨み返す。
昨日聞いた話だ。……シエスタが、学院を去ったのだと。

537 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 23:50:49 ID:zrHn4Ni7
支援!

538 :Start Ball Run 4/6:2007/11/24(土) 23:51:36 ID:PlJWOTfU
彼女には、心残りがあった。
学院の給仕に不満など無い。貴族達の時折見せる冷たい対応も、平民ならば誰もが受ける仕打ちであり、受け入れてしまえば存外、苦にはならなかった。
住み込みで食事付き。衣食住足りている生活で、これ以上の望みは無かった。
それはこの場所に来ても――、いや、この場所の待遇の方が、学院より遥かに良い。
月に一度支払われる給金も、学院のときより破格であり、労働時間も短い。
屋敷の主は仕事用の制服のみならず、休日や非番日に来て歩けるように、私服まで拵えてくれた。
ここまでされて不満など、あるはずも無い。
なのに、心に残っている。
あの人の顔が、心に残っている。
それが、シエスタ心を重く、締めつけるのだった。
シエスタがこの館に来て、今日で二日目になる。
彼女は、ここに自分の足で赴いたわけではない。自らの意思でここに来たわけではない。
なのに……、今自分はここにいる。
望んだわけではないのに、ここにいる。
そして、ここから抜け出せずにいる。
窓の外を眺めて、時折飛び交う小鳥を見つめた。
私も――あのくらい自由なら。
「鳥のように、どこまでも行けたら、いいのに」
自分の運命は、こうなるのだと――受け入れたくないのに、私は、抗らえないでいる。
許されるのなら。もし、本当に許されるのなら。
「戻りたい……。助けて……、サイトさん。………………ジャイロさん」
小さく、本当に小さな一滴が、床に落ちた。

「……才人がよォ、ここの生徒共によってたかられてあのザマだ。シエスタ、わりーが薬箱を持ってきてくれ」
シエスタがジャイロの後ろを見ると、見るも無残なぼろ雑巾と化した才人が横たわっている。
「わ! わかりました! いまお持ちしますから!」
これは大変だと、シエスタは慌てて厨房の棚の奥にある薬箱を取りに行った。
「さって……。よォ。塩梅はどーだ才人?」
息も絶え絶えの才人が、あうあう言いながら答える。
「凄く、痛いDEATH」
「だろーな……。見えねーから気がつかねーと思うが、オメーの背中、ザックリいってんな。こりゃ痛てーはずだ」
「痛すぎてよくわかんねーけど……。もしかして、やばい?」
「かなりやべーな。こりゃ出血多量で失血死コースだ」
ますます才人の顔が青くなった。
「ま、心配すんな。これで縫えば傷はふさがるからよ」
そういって取り出したのは、えらく煤汚れた糸だった。
「……え? ……え? ちょ、なにすんの?」
「静かにしてろよー。余計なとこまで縫っちまうからよォ」
そう言うなりジャイロは、才人の傷を糸をつけた針を刺して縫い合わせていく。
麻酔も無く、太い糸をこれまたぶっとい針でぐりぐりと強引に突っ込まれて縫われる。
当然のことながら、もの凄く痛い。
「あ、あだだだだだだ!! いで! いでいでえ!! いでえっでの!!」
「暴れんな! 我慢しろこんぐれー。死ぬよりマシだろーが!」
「し、死んだほーがマシだこんなの! もっと! もっとやさしく! やさしくプリーズ!」
「ったく、注文多いなオメー」
仕方なく、気持ち分、優しくはしてやる。
「いやもうダメ! 許して! ほんとにダメだって! もっとやさしく! やさしくお願い!」
「気色悪りィ声だすんじゃねーよ!!」
「あ……。 あっ! ダメ! そこダメ! あっ! あっ!! アッ――――――ッ!!」
ジャイロが治療に奮闘し、才人は痛みを耐えている。
二人ともそれで手一杯で、他のことに気を回す余裕なんてなかった。
後ろから、おもいっきりシエスタが見ていたことも、……彼らは気付かなかった。
薬箱をどさっと落して、シエスタはその場から駆け出す。
その顔は、酷く蒼褪めていた。

539 :Start Ball Run 5/6:2007/11/24(土) 23:52:25 ID:PlJWOTfU
「おう! 戻ったかシエスタ! 早速だが夕食の準備に――」
厨房から顔を出したマルトーが戻ってきたシエスタに声をかける。が、シエスタはふらふらとした足取りで奥に引っ込んでしまった。
大丈夫か、あいつ。とマルトーは心配そうに奥を覗くが、すぐに料理長と声をかけられ、厨房に戻って行った。
「……そんな」
バタン、と荒く閉めたドアにもたれかかるように、シエスタはうずくまる。
「まさ、か……。あの二人が、そんな」
蒼褪めたシエスタの唇は、ふるふると寒そうに奮え、その震えは全身を駆け巡った。
「……そんな、そんな関係だったなんて……っ!」
そういえば、と彼女は彼らのことを振り返る。
あの二人はよく一緒にいて、いつも仲が良さそうで。
ジャイロさんはまるでお兄さんのような人で。
サイトさんは同じ年頃の、明るい男の子だったと思っていた。
それでもまさか、二人はそんな間柄だったなんて、夢にも思わなかった。
「……ひどい」
裏切られたと、思った。
なぜそう思ったのか、わからない。
だけどこれで、あの二人の間に自分が入り込む余地はないんだと思えてしまう。
それがとても、悲しくて、シエスタの目には涙が溜まっていた。
……いつのまにか、眠ってしまったのか。
「……スタ。…………エスタ。……シエスタや……起きなさい。起きなさいシエスタ」
誰かに呼ばれた声で、シエスタは目を醒ます。
「はっ……。す、すみません料理長! ただいま厨房に――」
「起きましたね、シエスタ」
そこにいたのは、料理長ではない。全く知らない、白髪のおばあさんだった。しかもふよふよ浮いている。後ろから後光が射している。怪しさ大爆発である。
「……え。……あの、どちら様でしょう」
「シエスタ、貴方が私を知らないのも無理はありません。ですが、私は貴方をよく知っていますよ」
知らない人からそう言われても、ますます怪しさが募るだけである。
でも……、シエスタは心の中で、この人は自分にとって、重要な意味を持つ人だと気付く。
「あ……。ま、まさか。まさか貴方は!? 私の?!」
「ええ。あなたの曾お祖母ちゃんですよ」
まさかの曾祖母光臨であった。
「え、ええ?! 曾お祖母ちゃんが、どうしてここに!?」
「可愛い曾孫の悩みだもの。いても経ってもいられず、応援に来たのよ」
なんというご都合展開だろう。
「な、悩みって……」
「シエスタ、貴方はいま恋をしているのね」
どきん、と心臓が高鳴った。
「こ、恋?! 恋って!?」
「曾お祖母ちゃんはなんでもお見通しなのよ、シエスタ。……でも、その男の子は」
そうなのだ。それを思い返して、シエスタは顔を伏せる。
「シエスタ。そんなに悲しい顔をしないで。その男の子は、別にシエスタのことが嫌いなわけじゃないわ」
「でも……。でも曾お祖母ちゃん。その人は……」
「諦めちゃダメよシエスタ。逆に考えるのよ。あの子は男の子が好きなんじゃない」
曾祖母の優しい語りかけに、シエスタは顔を上げる。
「あの子は本当の愛に気がついていないだけなの」
「本当の、愛……?」
「そうよシエスタ。本当の、真実の愛(ラヴ)というものはね、男と女の間にしか存在しえないの。今のあの子は、それが見えないゆえに一時の気の迷いと欲望の捌け口を求めているだけ」
「……じゃ、じゃあ曾お祖母ちゃん! もし、もしもその真実の愛を教えることができれば!?」
「ええ。彼は貴方の元に還ってくるわ」
シエスタの顔に笑顔と、希望が戻ってくる。
「本当! 本当なのね曾お祖母ちゃん!」
その問いかけに、曾祖母はにっこりと笑った。

540 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/24(土) 23:53:36 ID:zrHn4Ni7
アッー!!支援

541 :Start Ball Run 6/6:2007/11/24(土) 23:54:11 ID:PlJWOTfU
「だけど気をつけてねシエスタ。彼は移り気よ。正しい道を指し示しても、それを貴方と歩んでくれるとは限らないわ」
ゆっくりと天上の光に吸い込まれるように、曾祖母は光の彼方へ消えていく。
「うん! うん! わかったわ曾お祖母ちゃん! 私、頑張るから!」
その明るい彼女の笑顔に安心したのか、曾祖母の姿が消えた。
「頑張ってねシエスタ……。曾お祖父ちゃんもかなりの奥手だったけど、真実の愛でゲットできたのよ……。貴方も、幸せに……おなりなさい」
「見てて! 見ててね曾お祖母ちゃん! 私、頑張るからーーーー!」
シエスタは、光り輝く天上にいつまでも、いつまでも手を振っているのであった。

「おい! おいシエスタ! 大丈夫か! しっかりしろい!」
肩を揺らされて、目を醒ます。 目を開けると、マルトーの大きな顔が目に飛び込んできた。
「お、おば……。 ひぃゃやあああああ!」
びっくりして思わず大声を上げてしまうと、マルトーはシエスタが目覚めたことを確認し、立ち上がる。
「おい大丈夫かシエスタ。いきなり奥に引っ込んだと思えば、気絶してたんでびっくりしたぜ。どっか具合でも悪いのか?」
「い、いえ。そういうわけじゃ……」
「まあいいや、体が動くなら手伝ってくれ、夕食の準備が間に合わねえ」
は、はい。わかりましたと、マルトーの後を、シエスタはついていく。 このときから、シエスタには希望という名の目標ができた。
彼に真実の愛(ラヴ)を教えるのだ。それがいつか、自分の幸せになるのだと、彼女は固く心に信じた。
そしていつものように夕食の準備に取り掛かろうとしたとき。
「シエスタ君だね?」
誰かに後ろから呼び止められ、振り向いた。 彼女の視界が、暗転する。

        ***

「なあ親父さん! 本当のことを言ってくれよ!」
「すまねえ『我らの剣』よ……。俺にも、詳しいことは話されちゃいねえんだ」
「そんな……。配置換えだか栄転だか知らないけどさ! 急すぎるだろ!」
才人が憤りを隠さず言い放つ。
それをマルトーは、黙って受け止める。
「止せ才人。親父さんが悪いわけじゃねぇ」
ジャイロが才人を諌める。
「だけどよ! シエスタは本当にそれを望んだのか!? 貴族の屋敷に行くなんて、本当に!?」
「世話になった親父さんに黙ってまで行ったんだ。望んで行ったんだろ」
ジャイロの言い草に、才人は腹が立った。
「勝手なこと言うなよ! シエスタがそんなことするわけないだろ! 世話になった親父さんなら、必ず挨拶ぐらいしていくさ!」
「どうだかな」
「ジャイロ……。なんだよその言い草。冷たすぎるんじゃないのか!」
「止してくれ『我らの剣』! 『我らの銃』! 俺達の身内のことで、お前らに揉めて欲しくねえ……」
項垂れるマルトーが、また一杯、酒をコップに注いだ。才人はそれが空になるのを見ていたが……、ジャイロは黙って、外に出る。
「ま、待てよジャイロ!」
才人がその後ろを追いかける。
「才人、オメー何勘違いしてやがる」
苛立った声で、ジャイロが言う。
「何ぃ……?」
「オレ達はこの世界の人間じゃねえ。いずれは……、去らなくちゃならないんだ。別れが少し、早くなっただけだ。それを、忘れてんじゃねえのか」
ジャイロの鋭い視線が、その言葉と共に、才人の胸に刺さる。
「だからってよ……。だからって! 納得できんのかよ!」
「オレ達がでしゃばってどうにかなるもんじゃねえだろ! この世界にはこの世界の決まりってのがあるんだ! シエスタは、それに従っただけなのかもしれねえ」
才人は黙った。ジャイロの背中を睨みつけたまま。
「そのどこぞの貴族のところに行った方が、あいつにとっては幸せなのかもしれねえ。……受け入れろ。あいつは……自分の意思で、ここから去ったんだ」
それだけ言って、ジャイロは夜の闇へ進んでいく。
「なあジャイロ!」
その背中に、才人が叫んだ。
「そうじゃなかったら、どうするつもりなんだよ!?」
答えること無く――彼は才人の前から、姿を消した。

「なにしてんのよあんた達。ほら、入るわよ」
石段を登り、羽扉に手をかけながら、ルイズは二人に声をかける。
彼らの上空で、一羽の鳥がゆっくりと、旋回していた。

542 :始球走 ◆k7GDmgD5wQ :2007/11/24(土) 23:55:59 ID:PlJWOTfU
以上投下したズラ。
この流れは……いよいよもって修正不可能……

543 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 00:04:42 ID:7VgQSrWu
乙ズラ!

544 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 00:10:22 ID:JzlG/0kp
GJズラ!

545 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 00:10:43 ID:qWeNIJ2k
乙しちまったズラ
もうGJだズラ

546 :名無しさん@お腹いっぱい:2007/11/25(日) 00:24:13 ID:nITVvT7H
乙でズラ。
GJ!でございましたでズラ。

547 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 00:42:18 ID:jIiLdQ93
ひいお祖母ちゃん自重wwwwwwwwwww

548 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 05:10:04 ID:4s43vw1u
キングクリ(ry

549 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 09:19:12 ID:SBQDNMif
スタープラチナ・ザ・ワールド!
5時11分の時点でオレが時間を止めた

550 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 09:29:19 ID:fsNdew6z
神父もホリディで休暇中か……。
職人の降臨を待つぜ。

551 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 10:54:14 ID:V69NyKhc
関係ない。(新ネタを)書け。

552 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 12:17:39 ID:Gy8MRx04
GJ!

あああ曾御祖母ちゃんがハルコンネンにしか見えねええええ

553 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 15:56:03 ID:NKp+gygv
キング(ry

554 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 15:56:53 ID:NKp+gygv
しまったァーーーー!
sage忘れたっ!

スマンかった

555 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 17:54:32 ID:De8xQO6p
最後の…MIH…
避…難所…で…す…
受け取って…ください…

556 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 20:16:47 ID:/XwlxkHA
黒人は大体カッコいい
白人は短パンにリュックが多い

557 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 20:28:27 ID:/XwlxkHA
>>556
スマン誤爆した


558 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 21:19:46 ID:p1UBqzoW
白い肌をした黒人はモコモコ帽子がよく似合う

559 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 21:57:20 ID:z/9PwY45
自分も妄想して書いてみてるけど
短編どころか小ネタにすらならないorz
ホント、作者の皆さんは偉大だな……

書きたい場面はあるのに書く力がなくて悲しいぜ……

560 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 23:17:06 ID:zu5rZ+O/
>>559
頑張れ!期待しているぞ!


そういえば4部の小説が明日発売なのに話題にならないな?

561 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 23:21:03 ID:RPo5shMl
だって…もう各所で早売りされてるんだぜ…>4部小説

562 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 23:28:00 ID:NKp+gygv
>>561

たまちゃん……ハッ!な小説になってるぞ

563 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/25(日) 23:29:17 ID:fR1jERSq
たまちゃんって…ネコ野郎?

564 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 00:23:06 ID:OQTEZeBN
又時が止まった…
ボス…待ってます…更…新…

565 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 00:38:41 ID:PqMSEliH
う…嘘をつくな…今日が月曜日だなどと…
嘘をつくな――――ッ!!

566 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 00:47:57 ID:b8Z6X5t9
自分もまだ出てないキャラで書き始めたんだが……
どうみても避難所行きです。本当にありがとうございました。
しっかり連載出きる職人様に嫉妬しちまうぜ。

567 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 00:53:49 ID:vGtaeg1W
>>566
安心しろ、自分が書きかけのキャラなんて
すでに先に書いてる人が3、4人はいるんだぜorz

568 :使い魔はヒッキー:2007/11/26(月) 01:00:48 ID:Juev3T4F
携帯からごめんなさい。
マイパソコン専ブラが嫌いみたいで入れるとニートになるんだ
非難所に投下したいんだけど対サル用でおk?

569 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 01:21:43 ID:45CImQR8
どうしても無理ならいいんでないかな

570 :使い魔は引き籠り:2007/11/26(月) 01:35:14 ID:Juev3T4F
ありがとう、投下しておきました。
これどうしたもんかなあ。

571 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 01:35:40 ID:N+EL8UqQ
>>567を見て、じゃあ「このキャラで長編書けるとは思わなかった」ってのは何だろうな、と考えた俺

まずは言うまでもなく石仮面、
次がジョジョ魔スレ初期では召喚直後に勝手にブチ切れるだろうから無理とされていたギアッチョ、
あるいはスタンド単体で召喚されてる白蛇

このあたりがすぐに思い浮かんだな

572 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 02:00:16 ID:OQTEZeBN
>>571
その話題ならばやはりチョコ先生は欠かせんな
それこそ星の数ほど名作達が生まれてきたが
そもそもチョコ先生が主役の長編は一つもなかったっけ

無論短編ならまた違うし、それ以前に
ゲス野郎すぎて主役側に回れない事が一番の問題かな
しぇっこさんは皆の人気者なのにな

いっそワルド辺りに召喚させて悪人街道驀進させたらどうだろう?
唯、ワルドも真性のゲス野郎とは違うのが問題なんだよな
ゲス野郎呼ばわりされるゼロ魔キャラって誰かいないかな?

573 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 02:01:13 ID:OZ5iV8/L
リッシュモンとかは?
メンヌヴィルもアリかと。

574 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 02:06:22 ID:9VJbBMrz
避難所のイルーゾォを代理投下してやりたいんですが構いませんねッ?

575 :使い魔は引き籠り(代理):2007/11/26(月) 02:08:37 ID:9VJbBMrz
「うわー、浮いた!」
「浮いてるんじゃないんだ、スタンドが手にとって持ち上げてるだけで」
「詠唱無しで浮かせられるのかい?なんでも?!」
「話を聞け!無視するな!」
『何も物が動かない』世界そのものよりも、ただ『物が動く』だけに酷く興味を示すギーシュ。
否、ただ動かすだけなら彼にだって出来るのだろう、ただその物体が
どの方向へ、何のためにだとか言う秩序を持たずふわりと浮き上がったのが面白いらしい。
オレはマン・イン・ザ・ミラーに『そこの造花を手に取れ』と命じただけで、
それをその後どうしろだとかは特に注文をつけていなかった。
マン・イン・ザ・ミラーは造花を手に取り注意深く覗き込んだ後、それに向かって手を伸ばしたギーシュから
ひょいと造花を遠ざけて、暫く手を止めた後に俺の傍らに置いた。

「その『スタンド』っていうのは、魔法が意思を持ったようなものかい?」
「さあ?意思があるかは良くわからない。見るからに自由意志を持ってべらべら喋る奴もいるし、
本体の意思をそのまま口に出しているだけの奴もいる。分身みたいに動くんだ。
逆に意思なんて持ちようも無い形をしてるのもある。本体の言う事を聞くのだけは確かかと思ったら、そうで無い奴もいる。」
「結局何なんだい?」
「さあ。オレが知りたいくらいだ。」
ギーシュはマン・イン・ザ・ミラーを目で追う。と言っても、『ここに居るんじゃあないか』と推測して見ているだけだから
どうもずれた場所を凝視していて、『マン・イン・ザ・ミラー』の方からギーシュの視線にあわせて動いた。
「使い魔と魔法をごったにしたみたいだ」
「『使い魔』ね・・・・そんな感じもするな。それで」

魔法の方は見せてくれないのか?というと、杖を手に取らなければ無理だと返ってきた。
なんと面倒くさい。鏡が無けりゃ何も出来ないと少し自信喪失していたが、それも吹っ飛ぶようだった。
そんな明確すぎる弱点をぶら下げてメイジって奴らは何故平気な顔をしているんだ?
『マン・イン・ザ・ミラー』のがずっとマシだ。鏡が無くてもぶん殴れるからな。

「じゃあ、ちょっと『マン・イン・ザ・ミラー』、洗面所までもってって・・・・よし、『許可』しろ。これでどうだ?」
ふわふわと鏡の前から返ってきた造花は、なんとなく冷え切っていた先ほどとは違って
造花なりに生き生きと色を取り戻していた。
「おお、触れるようになってる。」
「外のそいつを鏡の中に持ってきたんだ。そいつは『本物』だ。」
「さっきのは?」
「『鏡に映った造花』だから、外側だけだな。見た目以上の意味はもって無いから、電化製品なんかは許可しないと動かない」
「デンカ・・・・?何?」
「気にするな、ほら」
何かやって見せろよ、と言うとギーシュは『錬金』を唱えて衣服のボタンを別の金属に変えた。

576 :使い魔は引き籠り(代理):2007/11/26(月) 02:09:44 ID:9VJbBMrz
モンモランシーは、自分の頭がおかしくなったのかと思った。
無用心に開け放されたギーシュの部屋を覗いたところ、人っ子一人いないと言うのに
部屋中に転がるギーシュの私物が出たり消えたり浮いたり落ちたり、ポルターガイストだってもう少し大人しいだろうと言う
お祭り騒ぎが現在進行中なのだ。
(『鏡の中』で男二人が自分の特技を見せ合って、ギーシュが『青銅製の鏡』を作り出した辺りで
オレ達が組んだら結構強いんじゃあないか?とテンションを上げているのをモンモランシーは知らない。)
「どうしたの?モンモランシー。中へ入らないの?」
「ルイズ・・・・」

イルーゾォ捜索は、まだ続いていた。『犯人は現場に帰ってくる』という根拠の無い定説に基づき、
何故かモンモランシーを筆頭に少女四人はギーシュの部屋を訪れる。

タバサは『勝手に帰ってくる』と結論付けたものの、モンモランシーの方では自分の恋人を半殺しにした薄気味悪い使い魔を信用できなかったし、
ルイズだって「そう、じゃあ勝手に帰ってくるまで待つか」という訳にもいかなかった。
使い魔を自分の思い通りに出来ないんじゃあ当面『ゼロ』は払拭できそうに無いし、
それに、一人の人間として、きちんとイルーゾォの事を判りたい。そう思ったのだ。
「あたしもね、ダーリンと一対一で語らい合いたいわ。まだお互いの事を知らなさ過ぎるもの・・・・」
何故こうも意味合いが違って聞こえるのか知らないが、要するにキュルケもまた、待つだけなんか性に合わないのだ。
「放っておけばいいのに」
タバサだけが、少しイルーゾォに同情する調子で呟いた。

「ルイズ・・・・貴方も?その、部屋が変になってる。私だけじゃない?」
「・・・・・・・・っ!」
ルイズは、自分の頭がおか(ry
「な、何これ?!何が起こってるの?」
「『消失』・・・・」

タバサが、やはりそうかと言うように呟く。
「イルーゾォ、居る。ギーシュも・・・・ずっと居た。」

ルイズは思考を巡らす。
そもそも、イルーゾォが忽然と『消え』、再び『現れる』事は誰しもが知っていた。
目にとまるのはその『消え』『現れる』一瞬の事象ばかりで、『消えている』間一体何処に居るのだろうとか、そんな事は考えもしなかった・・・・
「透明になってるだけ、って事?」
「違う。透明になるだけなら、現れる必要は無い。ずっと透明で居るだけで安全・・・・」
タバサは言い終わらないうちに、手に持っていた本を思い切り投げた。
「何?!」
デスクから人一人分の余裕を持って引かれた椅子の上、『人が座っていて不思議じゃない』その場所をめがけ本は飛んで行き、
そして『叩き落とされた』。

「どんな仕組みかは、彼に聞けばいい。ルイズ、頑張って。」
タバサに背中を押される。ううん、やっぱり良くわからないけれど。私に何か出来る事があるの・・・・?

部屋に一歩足を踏み入れ、良くわからないうちに杖をぎゅっと握る。
何も無いはずの空間がぴりりと、私を警戒した。

577 :使い魔は引き籠り(代理):2007/11/26(月) 02:10:53 ID:9VJbBMrz
「うわっ、何あれ?」
ギーシュが驚いたようにドアを指差す。
音も無く開いたドアから勢い良く分厚い本が飛んできた。
咄嗟に『マン・イン・ザ・ミラー』が叩き落とすが、軽率だったかもしれない。
堰を切ったように部屋中の小物が渦を巻いて暴れだし(まだ日中だぞ。ポルターガイストだってもうちょっと大人しいだろう)
『マン・イン・ザ・ミラー』はオレにぶつかりそうになる幾つかを忙しく叩き落とす。
「おいギーシュ!こりゃ何だ?さっきの『レビテーション』か?」
「いや、タバサの杖がある、多分風の魔法だと思う!部屋の中で風が起きてるんだ!!」
部屋に4本の杖が浮いている。一つは目に見えてメガネ女のものだとわかるが、残りは区別がつかない。
花瓶だの万年筆だのの直撃を食らって悲鳴を上げるギーシュを尻目に、
先ほど奴が作り出した鏡を『マン・イン・ザ・ミラー』が持って駆ける。
『外』では空中を落下する鏡に映る、一つだけ明らかにデカい杖に『マン・イン・ザ・ミラー』が手を伸ばす――――

「『マン・イン・ザ・ミラー』、杖を『許可』しろ!杖だけだ!」

やはりと言うか杖さえ取り上げれば異変は収まり、
しかしそれは『先ほどの旋風はオレにとって危険だった』と教えてしまったことにもなる。
それだけじゃない――――

空中で少女四人を睨み付けていた鏡が、破片も残さず弾け飛んだ。


ほら見たことか、嫌な予感がした!『ゼロ』の爆発はオレにとって危険なものだ!
多少砕けるならばむしろ有利なぐらいだが、『無くなってしまう』なら訳が違う。
鏡が無ければオレは無力だ!そして何より、たった今証明された・・・・『マン・イン・ザ・ミラー』と『爆発』、俊敏性と射程が段違いだッ!
このままじゃあ・・・・・・・・!
「ギーシュ!洗面台行――――」


瞬間、世界が裏返るような浮遊感と共に背景が瞬き、「やっぱり『鏡』に関係しているようね!」と勝ち誇った声が振ってくる。

ルイズだ――――やはり気づかれていた――――存外に恐ろしいぞ、『爆発』ってモノは。
この短時間に、『マン・イン・ザ・ミラー』の射程内の鏡を、片っ端から吹っ飛ばしたって言うのか?
(正確には、何も『爆発』で鏡を消失させずとも、初歩の錬金で一時的に鏡に成り得ない物質に変えればいいだけなのだ。
ギーシュの部屋以外には迷惑がかかるだろうと、キュルケ・タバサ両名が錬金をかけた。)

『鏡の世界』は勿論鏡が無ければ維持できず、射程内に鏡が無くなったせいで反転世界は霧散し放り出された先は『現実』だ。
こんな事態は初めてで、ぐにゃりと歪んだ空間を見たときは胃が裏返るかと思った。

「もう逃げようなんて考えない事ね!」
ルイズに杖を突きつけられて――――向けんな、頼むから。爆発したくない――――観念する他無いようだ。
絶対安全で最良のスタンド『マン・イン・ザ・ミラー』・・・・『魔法』なんてものの存在で、オレの取り戻しかけてた自信は見事粉砕されるハメになる。

578 :使い魔は引き籠り(代理):2007/11/26(月) 02:12:25 ID:9VJbBMrz
@現実と鏡の世界で物体は同じように動く
A鏡の世界で物体を動かせるのはマンミラのみ
B引き込むにはマンミラが触れる必要あり
C衣服は身につけている者が『自分の体の一部』と思える範疇まで。
 ポケットの中身はおk、本やカバンは駄目。襟元でイガイガして気になる洋服のタグとかも駄目。
他に魔法については原作のパープルヘイズの時のイメージで
鏡の外で発生する『事にしてある』。注釈が多くてゴメン。

---------------------------------------------------------
以上代理投下終了。ついにルイズに掴まったか鏡警備員…!GJ!!

579 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 02:20:44 ID:jCsUHaHC
乙。
なかなか反則的な能力だけど油断したな

580 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 02:31:56 ID:ac9PN7iA
GJ
しかし、鏡がこの世から一つ残らず消えたわけじゃなし、
鏡にペンキをかけただけで無理やり放り出されるってのはどうかと…

しかし、マン・イン・ザ・ミラーは能力ばらしたら極端に不利になるスタンド、
ばれた以上、鏡を守れないぞw、そして守れてないぞ警備員www

581 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 03:10:08 ID:Juev3T4F
代理投下ありがとうございます。

『ペンキのブッ掛かった鏡』であるうちは平気じゃあ無いかな、鏡だし
溶けたりしたらどうだかは考えておくべきですね。
『鏡の世界から出られなくなる』も考えたけど能力キャンセルの方が自然と判断した。
正直アドバイス求むwww

582 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 03:47:19 ID:ac9PN7iA
出られなくなる、出口の鏡を探して走り回る羽目になる、が自然だと思いますが、
反則最良スタンドですしこの程度の弱体化は、イマイチスッキリしないけど
妥当だと思います。

スッキリできるようなアイディアはわたしにゃ出せないッス、すいません。

583 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 04:11:06 ID:tWVxmIT8
スタンドの説明に鏡の世界に「ひきずりこむ」能力と書いてあるので、
鏡自体がないと新しい出入り口を探すハメになるんでは。
ジョジョ読み直してみたけど鏡の世界を「作る」能力とはどこにも書いてなかった。

「マン・イン・ザ・ミラーの世界」ってセリフはあったけど。

584 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 06:00:44 ID:C18rZa2s
ゲームやったら鏡同士全てつながってれるように感じた

585 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 07:11:16 ID:D982OWHT
マンミラの能力は自分の部屋から外の世界を眺める様なものだと思ってる。

586 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 10:01:42 ID:tmMRQWu4
じゃあ今回は、びびり過ぎて無意識のうちにスタンド解除しちゃったってことか。
それでいいのか鏡警備員

587 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 10:09:25 ID:2T6QEr+p
鏡の世界内で錬金で作った衣服じゃないものはいきなり外に現れるのか?

588 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 12:50:10 ID:h7Y4BNm2
>>586みたいに無意識のうちにという感じにするか、固定化の影響で解除されたことにするか。
いや固定化にそんな効力があるのかどうかはわからないけど。
でもそうすることによってルイズたちや鏡警備員には範囲内に鏡がなければ維持できないと思わせておくこともできるし。

589 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 15:58:24 ID:ZSaibOQz
しかし、なんというか

本当に

鏡警備員『居る蔵』の奇妙な冒険になっているなw

590 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 17:09:13 ID:IaoiWRo8
本当にマフィアで殺し屋なのか疑問に思うほどヘタレきっているな

591 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 17:14:26 ID:b8Z6X5t9
だが、それがいい

592 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 17:14:47 ID:vGtaeg1W
いつもマンミラ最強ww俺TUEEEwwwでやってきたから多少甘さがあるんじゃね?

593 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 17:14:56 ID:dpxXFV+R
私的な意見だけど…
鏡の中の世界の死都の中を走り回れる位だし、あくまで鏡は出入り口じゃないかな、と思ってる。

個人的には、鏡の中の世界でスタンドパワーが尽きたらどうなるのか気になるな。
引き込まれただけの人間は元に戻るけど、スタンド使いは現世に戻れないので必死に出口(鏡)を探す羽目になるとか(笑

594 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 17:16:10 ID:lE9hX52G
鏡が割れて出口を探すイルーゾォを想像しちまったぜ
それはともかくGJ!
今後のパワーバランスに期待するぜw

595 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 19:46:30 ID:ac9PN7iA
私>508なんですが
読み返したら、『射程内に鏡が無くなったせいで』って書いて有りましたね、
原作の戦いじゃ、数メートルおきに鏡が設置してありましたし、
マン・イン・ザ・ミラーは無敵!って感じの印象が強かったもので、
その場から鏡がなくなったため放り出されたと勘違いし、
的外れなことを言ってしまい、大変失礼しました。



『本体の死亡による解除』で外に出られたことから、
入り口は必用でも『出口は必ずしも必用ではない』と推測も出来る。
(解除による脱出は、入れる出すによる時のような細かい指示が出来ず、
持ち込んだ何もかもが放り出されてしまう?)
出入り口は破片で十分
(射程内の鏡が本体が鏡と認識出来ない状態になる、できないほど塵になった場合強制解除?)、

外の『物』の動きは鏡の中に影響するが、鏡の中でおきたことは外に一切影響しない。
(作者さんには失礼だが『出たり消えたり』は兎も角『浮いたり落ちたり』は変)


この世に鏡がある限り自動車でも、ゼロ魔世界ならシルフィードでも持ち込めば何処までも行ける、
相手の部屋で持ち込んだパンでもかじりながら待っていれば、無敵無敗。
といった解釈のマン・イン・ザ・ミラーが『短編 鏡の中の使い魔』で、
現実世界に鏡が数十メートルおきに必要、射程内の鏡が残らず消滅した場合強制解除。
な、能力がばれたらかなり弱いスタンド『長編 使い魔は引き篭り』ということで良いでしょうか、

596 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 19:51:04 ID:/fJNgVdj
きっとトラウマで弱体化してるんだよ
多分イルーゾォが自信を取り戻せば元に戻る……のか?
でもルイズが主人だとへこたれ続けるんだろうなぁ、入る蔵さんはw

597 :595:2007/11/26(月) 20:01:59 ID:ac9PN7iA
×>508 ○>580
申し訳ありませんでした。

598 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 20:14:04 ID:Juev3T4F
しばらく見てていっそ『ビビって解除した』にしちゃおうかと思ったけど
上手くまとめてくれて有り難い。ちっちゃい訂正は
原作の基準でマンミラの鏡世界に関する射程(打撃等は別)は数百mらしい
『浮いたり落ちたり』はギーシュが魔法を見せてやってる(レビテーションのつもりね。イルーゾォに直後に言わせてみた)んだけど描写不足だった。
マジにスタンドは難しいよ・・・・こんなの思い付いたのはいったい何処の神なんだ?

正直スタンド描写以上に気を使ってるのは
キャラクターに「イルーゾォがいるぞ」って言わせない事。
もうこの一点のみ。

599 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 20:30:58 ID:hdMAecpK
確かスタンドを考案したのは究極生物

600 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 20:36:09 ID:h7Y4BNm2
>>599
波紋を使える年をとらない究極な生物だな。

601 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 20:46:02 ID:r6iyEteX
究極生物アラキが手から緑の光を出すgif画像を見たことがある
あんなに違和感の無い合成初めて見た

602 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 20:47:34 ID:hdMAecpK
それ多分合成じゃn(ry

603 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 20:51:16 ID:2dGZoQPq
シスの暗黒卿ベネディクト16世
プーチン大統領に匹敵するな


604 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 21:13:56 ID:mtEZ0lJd
>>593
どこかのミラーワールドみたいに段々身体が消滅していき…
「俺は只、幸せになりたかっただけなのに…!!」

605 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 21:16:28 ID:r6iyEteX
>>604
ファイナルベント(必殺技)が集団リンチからのシャイニングウィザード乙

606 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 21:24:26 ID:vGtaeg1W
>>604
英雄になりたいギーシュ君とかりそめのお友達フラグと申したか

607 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 23:26:23 ID:ItsYVBgD
えー、長い間投下しなかった者ですが50分から投下してもよろしいでしょうか?
『許可』を!それだけが俺のこの緊張を幾分でも晴らしてくれるんです

608 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 23:27:37 ID:RF9+/wnC
投下しないのを「許可」しないぃぃぃぃぃッ!

609 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 23:27:51 ID:Tr9ExWwn
道がガラガラではないか、行け。

610 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 23:28:17 ID:qVfr6sT/
歩(ry

611 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 23:28:23 ID:LXVU4hfP
マン・イン・ザ・ミラー! >>607を許可しろ!

612 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 23:37:41 ID:fWf0hkUL
50分とはなかなかゆとりを持った感じで俺を寝させないトラップだな

613 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 23:38:01 ID:BNneXUUc
ようこそ『支援』の世界へ…

614 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 23:44:51 ID:76ehGkGq
キングクリムゾンッ!
時を50分まで吹っ飛ばせ!

615 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 23:47:41 ID:Q0of9Dku
>>607支援するううう

616 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 23:51:05 ID:ItsYVBgD
じゃあ投下開始しまっせ


今、シーザーはルイズの後に従っている。
ルイズ自体は先ほどのやり取りからか機嫌を損ねたのかズンズンと振り向くことも無く先に行く。
シーザーには背中しか見えないが顔を見るまでも無く「私、不機嫌よ!」といった表情をしているであろう。

 気まずい…非常に気まずい…
 確かにおれがからかったのが悪いのかもしれないが、こうもダンマリを決めこまられると声も掛けづらい…

シーザーはそう考えて、この重苦しい雰囲気の打開の為にどう声を掛けるか頭の中であれこれ考え、俯きながら歩く。
するとルイズの足が止まった。自然、シーザーの足も止まる。
何故立ち止まったのかルイズに尋ねようと目線を上げると見たこともない光景が広がった。
やたらと長いテーブルが並んでいた、一つのテーブルで100人は優に座れるであろう。それが三つ並んでいるのだ、たかがテーブルでも迫力がある。
ルイズと同じ色のマントを着けている生徒は真ん中に、左隣のテーブルには少し大人びた生徒が思い思いに歓談をしている。彼らは三年生なのだろう、彼らのマントは紫色だ。
右隣には茶色のマントを身に着けたメイジ達であった。推測するに一年生だろう。まだ学園生活に慣れていないのだろうか、顔が強張っている。
その様子がシーザーには微笑ましかった。自分がリサリサの所に行った時もあのような感じだったからだ。
過去のことを思い出した所為であろうか、今朝起きた原因になった夢を思い出した。

究極生物となったカーズ、軍用機に乗って逃げるJOJO、火山へと諸共に突っ込むJOJOとシュトロハイムというナチス軍人、赤石の本来の使い方、噴火する火山。

思い出すごとに暗澹な気分になってくる、特に最後の光景が夢とは思えない圧倒的な現実感が有った。

 あれは所詮夢でしかない!何を不安になることがある。ああいうことにしないために戻るんだろ?
 ならば今は目の前の壁に集中するべきだろう


割れないシャボンとめげないメイジ
おはよう!格差ごはん



617 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 23:52:20 ID:ItsYVBgD

ルイズはそんなシーザーが考えていることなど露程も知らない。
だが、この『アルヴィーズの食堂』の豪華絢爛な装飾に茫然自失したのだろうと考え、先ほどのやり取りの鬱憤も多少晴れた。
自然、機嫌も良くなる。機嫌が良くなれば口も軽くなってくる。

「これが『アルヴィーズの食堂』よ。ここ、トリステイン魔法学院で教えるのはメイジとしての教育だけではないのよ」

どう?すごいでしょと言わんばかりの表情である。
シーザーも先ほどのダンマリよりもマシなのでその話題に飛びついた。
彼は生粋のイタリア人だ。不機嫌な女の子が居たら機嫌を良くさせたいというのはシーザーという人間の根元に根付いている。

「たしかにこの食堂は凄いな。ここまでの物は見たことが無い」
「メイジはほぼ全員が貴族なの。『貴族は魔法をもってしてその精神となす』っていうモットーのもと、貴族たるべき教育も受けるのよ」
「なるほどね、だからこその…」
「そうよ、だからこその貴族の食卓にふさわしいこの食堂。平民なんかには一生入ることも出来ないんだから感謝してよね」
「たしかに、この隅々まで行き届いた装飾などは見たことが無い」

シーザーも高級レストランに入った経験はあるが、今目の前にしているのは今までのとは次元が違う。
全てのテーブルには飾りつけがされている。しかし、一つ一つの装飾のレベルの桁が違うのだ。
テーブル自体もそうだが、上品な装飾の燭台。目立つような物ではないが自己主張している数々の花に、籠に盛られた瑞々しい果物。
一つ一つはシーザーも過去に入店した所に有るだろうが、それら一つ一つの調和が見事に取れている。
だが、何よりも目を奪われたのは壁際に並んでいる小人の彫像である。
失踪する前の父がナポリ一の家具職人だった影響だろうか、シーザーはその彫像に興味が沸いた。

「アレは一体何なんだ?」
「あぁ、アレはこの食堂の名前の由来にもなった小人よ」
「本当に良く出来てる…今にも動き出しそうだ。まさか夜中に動くなんてことはないよな?」
「よく知ってるじゃない、動くわよ」
「動くのか!」
「動くっていうか踊ってるわ。ほら早く椅子をひいてちょうだい、なに落ち込んでるのよ。気の利かない使い魔ね。」


618 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 23:52:50 ID:76ehGkGq
しえん

619 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 23:53:24 ID:ItsYVBgD

 改めて現状を確認すると眩暈がしてくる。本当におれはもと居た所に帰れるんだろうか?
 まぁ今は目の前のことに集中するべきか。
 そして使い魔云々以前にレディファーストだ、まずは椅子を引いてやろう。

シーザーは恭しくルイズに椅子を引いてやる。
ルイズは礼も言わずに引かれた椅子に座った。続けてシーザーも隣の空いてる椅子に座った。

「しかし朝から凄い量だな」

シーザーの言も最もである。まずはメインであろう大きな鳥のローストがデン、デン、デンと並んでいる。大人数で分けて食べるのであろうが、迫力がある。
他にも大皿に山盛りになっているマリネであったり、鱒の形をした大きなパイ。それにワインなどが並んでいる。
正直、朝から食べるものじゃない。

「しかし、昨日から何も食べてないしな。ここは調理してくれた人に感謝しつつ…」

ふと、隣から冷たい視線を感じて一旦目の前の料理から目を離す。
その視線の主はルイズであった。なんかこう、目が据わっている。先ほどまでの機嫌は一体何処へ消えたというのだ。

「一体どうしたんだいシニョリーナ、おれはこれからこの料理を食べようと思うんだが」
ルイズは無言で床を指差した。そこには皿が置いてある。
特異な能力を持っている人間が見たら「かもすぞー」とでも聞こえるかもしれない。
しかし、ここにはそんな人間は居ないのでポツネンと寂しく置かれた皿しかない。

620 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 23:54:32 ID:r6iyEteX
最近どこに行ってもジョジョがみあたらない支援

621 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 23:54:34 ID:ItsYVBgD

「皿があるな」
「あるわね」
「テーブルの上に有るものとは天地ほどに差が有るものが置いてあるな」
「ほんとはね、使い魔は外なの。アンタは私の特別な計らいで床ね」

 別の世界だかなんだか知らないけどこの生意気な犬を使い魔然としなきゃまた周りからバカにされるわ。
 そのためにはこういった食事を使ったこういった躾をしなきゃ。
 使い魔の躾は最初が肝心だし、ここいらで上下関係をビシッと叩き込まなきゃね!

シーザーの目に映るはテーブルの上の物に比べること自体が間違っているような食べ物であった。
二、三の申し訳程度な肉のかけらがスープの中で揺れている。皿の端にはこれまた硬そうなパンが二切れ、ポツンと置いてある。
もう一回テーブルの上の料理を見る。朝食とは思えない豪華さだ、否が応にも涙が出てくしまいそうだ。
正直、貧民街で食っていた物の方が目の前のスープよりもマシかもしれない。
しかし、今は丸一日以上は物を食べていないということで強く主張してくる腹の虫を治めるのが先だろう。

「まったく、色々な意味で涙が出てくる」

空腹加減と比例した力ない呟きは虚空に吸い込まれるように消えた。
幸いなるかな、ルイズ他の貴族達は何やら始祖ブリミルやら女王やらに感謝の祈りをしている。
正直な話、何処がささやかな糧なのかと本当に思っているのか問い詰めたい。
いや、むしろ問い詰めるというよりか断固抗議したい所だが今は食うのが先決だ。
動物は食べられる時には食べて腹に溜めておく、そして力を蓄えておくのだ。
それをシーザーは理屈ではなく貧民街時代の経験から悟っていた。

 しかしこれじゃあ本当に野良犬と同じか、 ルイズの台詞もある意味的を射ているな…
 だが、飼い慣らされはしねぇ、今は使い魔とやらをしながらあそこへ戻る手段を何としてでも探さなければならない!
 出なければ俺はツェペリの姓を名乗る資格はないんじゃないのか?

だがまずは何にしても腹を満たすことだ。
だが、この硬そうなパンの切れ端とスープだけでは流石に足りない。

622 :風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/11/26(月) 23:54:47 ID:fWf0hkUL
波紋編が仮面さんとジョセフさんしかいなくて
さびしかったよォ〜〜ボス

しえん

623 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 23:56:39 ID:ItsYVBgD

「なぁ、せめてそこのローストチキンを少しくれないか。これじゃあ足りない」
「ダメよ、肉は癖になるもの。ほらこの皮をあげるわ」
「あぁ、涙が出てきたよまったく」

こうして、シーザーのハルケギニアに来て初めての朝が幕を開けたのである。



取りあえず生存報告もかねて投下
しかしみじけぇ!そしてこの板って何行まで投下できるの?誰か教えてください

624 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/26(月) 23:59:02 ID:LXVU4hfP
>>623
GJ!

詳細は>>5

625 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 00:01:17 ID:ItsYVBgD
>>624
あ、なるほど
最近このスレ来なかったからこんなんはいってたのか

626 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 00:28:18 ID:KI/W6NVn
4・5部も大好きだが、2部も大好きだぜ!
自分のペースで良いので良作をこれからもお願いします。
GJ!

627 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 02:23:33 ID:PSeBjXne
キング(ry

628 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 05:20:10 ID:oGVzE0uP
ttp://sageuploader.if.land.to/cgi-bin/1upload/src/sage1_2956.jpg

629 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 08:54:56 ID:WbxG96AP
なあ……>>628は何処に行ったんだ?
さっきから姿が見えないんだが……。

630 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 09:20:56 ID:oVqXuCQE
何度か見たけど相変わらず>>628は違和感が無いし面白すぎる

631 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 12:35:17 ID:6Ypv2LOZ
誰もいない…今がチャンスだ

632 :仮面のルイズ:2007/11/27(火) 12:36:39 ID:6Ypv2LOZ
ロングビルは口を半開きにして、呆然としていた。

安宿の一室で、ルイズとワルドがミノタウロスと戦った時の様子を、ロングビルに聞かせていたのだ。

壁に寄りかかっているロングビル、目の前には、ベッドに座り足を投げ出している少女がいる。

この少女が魔法を使わずにミノタウロスを倒したなど、誰が信じられるだろう。

元々知能が高く生命力も並はずれて強いミノタウロス、頭に深い傷を負っていたとはいえ、それを倒してしまうなど普通は信じられない。

だが、ロングビルはそれが嘘ではないとよく解る、ルイズと対峙したとき、ロングビルは鉄の塊を練金で作り出し、ルイズを挽肉同然にしたのだ。
それでも彼女は生きていた。

細い手足のこの少女が、ルイズが獰猛なミノタウロスを倒した姿を想像しようとして……目眩がした。



「どうしたの?」
ベッドの上に座るルイズがロングビルの顔をのぞき込む。
「ちょっと、あんたの無茶苦茶さに呆れてただけよ…まったく、あんたがいりゃトリステインは安泰だねえ」
ロングビルが両手を肩の高さにあげ、掌を上に向けて『やれやれ』というジェスチャーを交えて呟く。
「そうでもないわよ」
それを見たルイズは、少し自虐気味に笑った。
「私はいずれ倒されるわ…誰かにね。私ほど権力者にとって不都合な存在は無いのよ」
「そうかもしれないけどさ」

正直、ルイズが誰かに殺される姿など、想像できない。
虚無の魔法と、吸血鬼の力を持つルイズを殺せる人間などこの世に存在するとは思えない。
仮に強力なエルフが相手だとしたら、ルイズでも危険かもしれない。
しかし、ロングビルの知るエルフはといえば、ティファニアとその母だけ。
温厚で戦いを嫌うエルフが如何に強力な魔法を使ったとしても、シエスタの波紋が吸血鬼にとって猛毒だとしても、ルイズを殺せるとはとても思えなかった。

ルイズは、ふとカーテンの隙間から外を見た、既に夕日が差しており、空は赤くなっている。
「そろそろ外も暗くなるわね……学院に戻らなくていいの?」
「そうだね、じゃあ、あたしはこれで帰らせて貰うわ」
そう言ってロングビルがドアノブに手をかける、ルイズはちらりとワルドに目配せしてから、ロングビルと共に部屋を出た。

廊下で、ルイズはロングビルに耳打ちする。
「ティファニアがね、『危険なことはしないでね』って言ってたわよ」
「…あの子に、会ったのかい?」
ロングビルがルイズの顔をまじまじと見る、ルイズは笑みを浮かべると、いたずらを思いついた子供のような笑顔を見せた。
「私、アルビオンに潜入したって言ったでしょ?そこで…ほら、子供達も元気だったわ」「ああ…そっか、元気ならいいのさ」
静かに笑みを浮かべるロングビル、どこか懐かしそうに目を細めていた。
「まだワルドに知られたくないから、ここで簡潔に言うわ。彼女は私と同じ系統の使い手よ」
「………」

先ほどのはにかみは何処へやら、ロングビルの口元は笑ったままだが、目つきは途端に厳しくなった。
「詳しいことはこの紙に書いてあるわ。読んだらすぐ燃やして」
ルイズは、胸に巻いたボロ切れの中から、宿帳の切れ端らしき紙を取り出士、ロングビルに手渡した。
無言でそれを受け取ると、ロングビルは急ぎ足になり、ぱたぱたと階段を下りていった。

633 :仮面のルイズ:2007/11/27(火) 12:39:13 ID:6Ypv2LOZ
階段を下りていくのを見届けたルイズは、すぐにワルドの待つ部屋に戻った。
ギィ、と不快な音を立てて開かれる扉を見て、ワルドが意外そうに呟く。

「おかえり、早かったな」
「見送るだけだもの」

ルイズは返事をしつつ、ボロボロのマントを放り投げて、ボロ布の下着姿になった。
その姿は、とても貴族とは思えないみすぼらしい姿だが、その眼光は先ほどまでとは違い、鋭く輝いていた。

ルイズは両手を上に上げて背伸びをし、ボキボキと音を立ててながら身長を変化させる。
アンリエッタとの身長差は約5サントほど、それぐらいなら体の中に入った吸血馬と自分の骨だけで調節できる。
それが終わると、今度は髪の毛を引っ張り長さを揃える、そして顔の筋肉を指で押しつつ、表情を確認していく。
宿に入る前に手に入れてきた染料を髪の毛にふりかけ、わしわしとかき回すと、ルイズの髪の毛は深い紫色に染まっていく。

それを見てワルドは、ルイズがアンリエッタに変装しようとしているのだと理解した。

「…凄いな。”フェイス・チェンジ”でも身長までは変えられれないのに。どこからどう見ても姫様じゃないか…ん?」

ルイズの姿は、表情さえ調節すればアンリエッタ姫そのものとしか思えないほどだ。
しかし、魔法衛士として間近でアンリエッタを見ていたワルドには、ルイズの変装には致命的な欠陥があると気づいてしまった。
「”フェイス・チェンジ”みたいに顔も変えられれば便利なのだけど。 ……ちょっとワルド、どこ見てるの?」

「いや……」
ワルドの視線に気づいたルイズが、ワルドを見つめ返したが、ワルドは顔を逸らしてしまった。

「どこ見てたの…?」
ルイズがワルドに詰め寄る。
「いや、何でもないさ、本当に」
ワルドは誤魔化したが、視線は明らかにルイズの胸を見ていた。
「どこ比べてるの?」
「いや。本当に、何も」


その日、安宿の一室から断末魔の悲鳴が上がった。

634 :仮面のルイズ:2007/11/27(火) 12:40:15 ID:6Ypv2LOZ
深夜。
二の月が雲に隠れ、トリステインの空が暗闇に覆われた頃。
女王となったアンリエッタの居室へと、一人の女騎士が急いで足を進めていた。
アンリエッタの居室を警護する衛士は、女騎士の足音に気が付くと、それを制すかのように扉の前に立ちふさがった。
「こんな時間に、陛下に何用だ」
衛士は、あからさまに女騎士を見下した態度で、冷たく言い放った。
「銃士隊アのニエスが参ったとお伝えください。私は、いついかなるときでもご機嫌を伺える許可を陛下よりいただいております」
衛士は苦い顔をした、アニエスはそれを見て「またか」と思った。
アニエスはシュヴァリエを得たが、平民であるが故に、王宮内での扱いは酷く悪い。
女王アンリエッタの身辺警護を担当する親衛隊の肩書きも、王宮内でのやっかみの前では、どこか頼りなかった。

この衛士にもやっかみはあった、魔法衛士隊よりも強い権限を、平民の女傭兵風情が持っていいはずがないと考えていた。
衛士はアニエスを見下したまま、慇懃に言い放つ。
「陛下はお休みあそばされておる、日が昇ってから出直……」


アニエスは、身長で勝る衛士を、無言で見上げていた。
あからさまにアニエスを見下していた衛士の態度、特にその表情が、みるみる恐怖に変わっていくのだ。
いつの間にかアニエスの後ろには、一人の男が立っていた。
マザリーニ枢機卿である。

「君、火急の用だ。陛下にお取り次ぎを願う」
「ハッ!」
マザリーニが静かに言い放つと、衛士は慌てて敬礼し、居室の扉を開いた。

アニエスとマザリーニの二人は、冷や汗をかいている衛士を無視して、静かにアンリエッタの居室へと入っていった。








それからしばらくして、マザリーニ、アンリエッタ、ウェールズの三人が、アンリエッタの執務室に集まった。
ウェールズは寝間着も兼ねられる簡素なシャツに、上着を着てマントを羽織っている。
つい先ほどまでデルフリンガーと話をしていたらしく、デルフリンガーはウェールズが携えて来た。
デルフリンガーをテーブルの上に置くと、鞘から二割ほど刀身を露出させ、デルフリンガーも会話に参加できるように準備した。

それが終わると、コンコンとノックの音が響き、返事を待たずに扉が開かれた。

執務室に入ってきたのは、ボロボロのマントを羽織った女性。
次に入ってきたのはフードを被った男だったが、その男は首に枷が嵌められており、首と右腕が枷でつながれていた。
更にその背中にアニエスが剣を向けている、アンリエッタは驚き「まあ」と呟いて、口元を隠した。

執務室の扉が閉じられると、ウェールズは杖を持ち『ディティクト・マジック』続けて『サイレント』のルーンを唱えた。
外界の音が遮断され、不自然なほどの静けさが執務室を包む。

『よー嬢ちゃん。元気そうで良かったぜ』
「久しぶりねデルフ、姫様も…今は陛下と及びすべきかしら。それに皇太子殿下も、枢機卿も、お久しぶり」
ボロボロのフードを外してルイズが微笑む。
それを見て、アンリエッタは思わず席を立ち、ルイズに近寄った。


635 :仮面のルイズ:2007/11/27(火) 12:41:17 ID:6Ypv2LOZ
「ルイズ…心配したのよ、ああ、でも無事で良かったわ」
アンリエッタがルイズに近づいて手を取ると、ルイズは困ったような顔をするばかりで、アンリエッタの手を握り返そうとはしなかった。
「どうしたの?」
「あの…私、しばらくお風呂に入ってないのよ。今の私ちょっと臭いわよ」
アンリエッタが鼻で息を吸うと、確かに汗のような、焦げ臭いような、埃くさい臭いが鼻につく気がした。
「……そ、そんなこと気にしなくても良いですわ」
と言いつつも、アンリエッタはルイズから手を離す、ルイズは仕方がないとでも言うように苦笑した。
「話が終わったら風呂を用意させますわ。それにしても……」

アンリエッタが、フードを被った男に視線を向けると、つられて皆の視線が集中する。


「………陛下も、皇太子殿下もよくご存じのはずよ」
ルイズはそう呟きつつ、男の顔を隠しているフードをめくり、顔を露出させた。
そこにいたのは、裏切り者のワルド子爵その人だった。

「なっ」
ウェールズは咄嗟に杖を手に取った。
執務室が緊張感に包まれ、マザリーニ、アンリエッタの視線も途端に厳しくなる。

「殺気立つのは止めて。とりあえず…そうね、アルビオンに潜入した時のことから説明するわ」
ルイズはそう言って微笑む。
マザリーニは、驚いたままのアンリエッタ、席から腰を浮かせているウェールズの二人に着席を促す。

アンリエッタが自席に着いたのを見届けてから、ルイズとデルフリンガーによる報告が始まった。





井戸水が、洗脳効果を持った水の先住魔法に汚染されていたサウスゴータ地方の都市。
自称6000歳のデルフリンガーが、水の先住魔法から『アンドバリの指輪』を思い出した。
アンドバリの指輪はどんな怪我もたちどころに治す力を持つ、それどころか、死者を操ることも、生きている人間の心を操ることもできるという。
ルイズはワルドに発言を促した、実際に死者が蘇る姿を見ていたのは、この場ではワルドしか居ないのだ。

ルイズが『ディスペル・マジック』で解除した水の先住魔法。
ワルドが目撃した『クロムウェルによる死者蘇生』
デルフリンガーの記憶に残る『水の先住魔法との戦い』

それらの情報は、アンリエッタ、ウェールズ、マザリーニの三名だけでなく、ワルドに剣を向けているアニエスをも驚かせていた。

そもそも、アルビオンの王党派にも落ち度が無かった訳ではない。

ウェールズの父、ジェームス一世は厳格で誇り高い王であった…と言えば聞こえはいいが、若くして王になった時から強烈な貴族権威主義であった。

国力を高めるため、王は崇高な理念を持って自ら機敏な政治を行った…と言えば聞こえは良いが、視点を変えれば独裁色の強い政治であったことも否めない。

反乱軍レコン・キスタ、彼らの革命が成功したのは、クロムウェルの持つ『アンドバリの指輪』の力だけではない、アルビオン貴族達の不満も同時に爆発していたのだ。

トリステインに幻滅し、レコン・キスタの誘いを受けたというワルドの話を聞き、ウェールズは自身の双肩に戦死者の重みを感じた気がした。


更に、ワルドとの戦い、船を吹き飛ばした虚無の魔法、ワルドの母、裏で糸を引いていたリッシュモン、ミノタウロスとの戦い……

想像を超えた話が、ルイズの口から語られていった。

636 :仮面のルイズ:2007/11/27(火) 12:43:48 ID:6Ypv2LOZ
一通りの話をし終えると、皆は一様にため息をつく。

ウェールズは考える。
家臣達を殺したワルドにも、ワルドなりの事情があった。
ワルドの行った裏切り行為は決して許されることではないし、許してしまうこともできない。
だが、ウェールズは、ワルドにどこか…なぜか同情してしまう。
処刑すべきか、行猶予を与えるべきか、思うように決考えられない、少しだけ苛つきを覚えた。

マザリーニにしてもそうだ、リッシュモンにはそれなりの信頼を置いていた。
100%信頼していた訳ではない、少なくとも仕事の面では信頼できると思っていた。

だが、ワルドの母が辱められたと聞いたとき、アニエス達の調査によって、ぼんやりと浮かんでいた不自然な金の動きが、はっきりと一つに繋がった。
マザリーニは、自分の甘さを恥じた。

アンリエッタはうつむいていた。
膝の上に置いた手が強く握りしめられ、肩は小刻みに震えている。
アンリエッタの視線がワルドに移るが、ワルドは何も言わず、ただ黙って突っ立っていた。

しばらくの沈黙の後、アンリエッタが口を開く。
「…ワルド子爵の処遇については、後ほど伝えます。しばらくは杖を取り上げ、王宮で監視下に置くことになりますが……ルイズはそれでかまいませんか?」
ルイズは、隣に立つワルドを見る、ワルドはルイズにほほえみを返すばかりで、何も言わなかった。
「ワルドは…リッシュモンに復讐して、死ぬつもりで帰ってきたの。リッシュモンを殺す権利を保障してくれれば何も言うことは無いわ」
「わかりました、アニエス、ワルド子爵を王宮内に監禁し、直ちにリッシュモンの身辺を調査しなさい」

「いや、お待ち下さい」
突然、マザリーニが口を開いた。
「王宮内ではいけません、すぐに気付かれてしまうでしょう。……しばらくの間、石仮面様と共に地下に潜伏して頂けませんか」

マザリーニ提案はルイズにとって有り難かった。
しかしウェールズの表情を見ると、納得がいかないとでも言いたそうな顔をしている。
ワルドは、ニューカッスル城で王党派を百人近く殺したのだ。
それを野に放つなど、ウェールズが納得できるはずがない。

「殿下。私は、ワルドに復讐を果たさせると約束しました。ワルドの処刑はそれまで待って頂けませんでしょうか、決して逃がしはしません。」
ルイズがウェールズに向き直る。
ウェールズは目を閉じた。


死んでいった家臣達を思い出す。
彼らは、ウェールズの決断を許してくれるだろうか?
家臣達は想像の中でただ微笑むばかりで、何も言ってはくれない。
残されたアルビオン王族としての重責、それがウェールズの肩に重くのしかかった。

「…『石仮面』殿を…いや、友人としてミス・ルイズを信用しよう。ワルド子爵の処遇は僕から口出ししないことにする」

「僕は、ワルド子爵の行いを許すことはできない。また彼の汚名を返上することは許さない。だが……君を憎みきれないのも確かだ」

「戦艦『ロイヤル・ソヴリン』の艦長を務めたサー・ヘンリー・ボーウッドという男がいる。彼は職務に忠実な軍人だからこそ王軍に牙をむいた」

「憎むべきは戦争だ、君個人を憎んでどうにかなるものじゃない…僕が言いたいのは、それだけだ」



ワルドは、ただ黙ってウェールズに跪いた。


637 :仮面のルイズ:2007/11/27(火) 12:45:54 ID:6Ypv2LOZ
すべての話が終わる頃には、既に空は明るくなっており、居室に戻ったアンリエッタを身支度を調える侍女達が迎えていた。

結局彼らは一晩中会議をして、徹夜してしまったのだ。
若いアンリエッタとウェールズはともかかく、マザリーニは眠そうに欠伸をしながら部屋に戻っていった。

ワルドは手かせを外されたが、顔を隠した状態で王宮の地下倉庫に匿われている。
そこで昼を寝て過ごし、夜になったらルイズと共に城下町へと出る予定なのだ。



ルイズは、王宮に務める兵士達が使う水場で、体の汚れを落とした。
用意された平民風の着替えを着て、厚手のローブを身にまとう。
そして、そのままウェールズの部屋を訪ねた。

ウェールズは徹夜の疲れをみじんも見せず、来客に応対していた。
各地に散らばったアルビオン王党派の貴族と連絡を取り合い、レコン・キスタ打倒の計画を練らなければならない。
ウェールズに、休んでいる暇など無いのだ。

ルイズを部屋に通したウェールズは、部下に命じて人払いをする。
ルイズはデルフリンガーを背負ったままウェールズの部屋に入り、ソファに腰掛けた。

向かい合わせに座ったウェールズが、ふぅー…と長いため息を吐く。
「だいぶ疲れてるわね」
「まあね。……君こそ疲れてないのかい?」
「ミノタウロスでお腹いっぱいよ」
「やれやれ、その体力は羨ましいな……」
ウェールズはまた欠伸をして、目をこすった。
子供の頃に遊んだ友人達は皆死んでしまった、海賊に扮してお互いに笑いあった仲間達も皆死んでしまった。

今、ウェールズが欠伸をするほど気を許せるのは、ルイズとアンリエッタしか居ない。


ルイズは、そんなウェールズを不憫に思ったが、不憫だと口に出すことはかえって失礼だと思い、黙っていることにした。

侍女の持ってきた紅茶を一口飲み、カップをソーサーの上に置く。
ほんの少し、沈黙が流れた。

「大公に、忘れ形見がいたわ」
「…なんだって?」

ルイズの呟きは、ウェールズを一瞬で覚醒させた。

「名はティファニア。大公の娘さんよ、今はサウスゴータ地方で、小さな孤児院を開いて隠れ住んでいるわ」
「そ、それは、本当なのか?」
「本当よ。直接会ってきたもの」
「そうか…」
ウェールズが顔を押さえて、俯いた。

「ねえ、これは絶対に約束して欲しいの。ティファニアを権力争いに巻き込まないで。いずれ彼女の存在は知られると思けど。それまでは彼女を争いに巻き込まないで欲しいの」
「ああ、解っているよ、解っているとも。 アンリエッタにも、マザリーニ枢機卿にも言わなかったのは、それを心配してのことだろう?」
「ええ」
「心配も無理はないさ。用心に越したことはない」
「そうね。ハーフエルフだと知られたら大変だものね」

「………」

ウェールズの顔は、『美男子が台無しだ』と思えるほど、驚きに染まっていた。

638 :仮面のルイズ:2007/11/27(火) 12:47:14 ID:6Ypv2LOZ
「そんな顔して驚かないでよ。彼女から聞いた話を全部話すわ、だからよく聞いて」

ウェールズが頭を振って気を取り直す、すぐさま『サイレント』と『ディティクト・マジック』を唱え、ルイズに続きを促した。

ルイズの口から語られたのは、ウェールズにとって驚くべき”真実”であった。
大公がエルフを妾にしていただけでなく、娘までいたという事実。
確かに『始祖ブリミルへの重大な反逆』だと言われれば、それまでかもしれない。
しかし、目の前には吸血鬼と化していながら人間に味方するルイズがいる。
ウェールズは、エルフに対する認識を改める必要があると感じた。

「それと、貴方から預かっていた『風のルビー』。それとニューカッスルから脱出したときに持っていた『始祖のオルゴール』これもティファニアに預けてあるわ」

「それは虚無の使い手である、君が持っていた方がいいんじゃないか?」

「いいえ、私の分はアンの持っている『水のルビー』と『始祖の祈祷書』よ。『風のルビー』と『オルゴール』は彼女が持つべきモノなの」

「まさか」

「そのまさかよ。王族の血を継承しているが故に…ね」

ウェールズはしばしの間思案し、呟く。
「ハーフエルフか…ロマリアが黙っていないな。ダングルテールの大虐殺の件もある…」
「アニエスもダングルテールの大虐殺を調べてるとか言ってたわね。それって何なの?」ルイズの質問に、ウェールズは言いにくそうに口ごもったが、意を決したのかルイズを見据えて語り出した。

「ダングルテールという村があった、そこはトリステインには珍しい移民中心の村だったそうだ。その村で流行した疫病を広げないために、村人が全員焼き殺された」
「……何よ、それ。アニエスがそれを調べてるってことは、もしかして」
「彼女の出身地はダングルテールらしい。僕も最近知ったことなので詳しくないが、どうもロマリアの先代教皇がそこに絡んでいるらしい」

ロマリアと聞いて、ルイズが首を捻る。
「なぜロマリアが関係するのよ」
「二十年近く前、トリステインとアルビオンで新教が流行ったんだ。ダングルテールの住人は新教に鞍替えしたんだが…どうやらそれが原因で異教徒狩りの標的にされたらしい」
「じゃあ、疫病が出たと言うのは?」
「アニエスは全くの嘘だと言っていた。ダングルテールに出入りしていた行商人からの証言でもそれは明らかだそうだ」
「冗談じゃないわよ……」
「エルフを敵視するのは、始祖ブリミルの歴史から見て仕方ない事だ。だが、ミス・ティファニアが虚無の使い手として生まれたのは、始祖のお導きだと主張すれば……」

「もしティファニアの存在が知られても、ロマリアを牽制できるかもしれない?」
ルイズの結論に、ウェールズが頷く。


「ティファニアか…その人は、争いが嫌い、復讐も嫌いなのか………それなのに、僕たちは人間同士で、何をやっているんだろうね」

ウェールズの呟きは、『サイレント』に包まれた部屋の中に消えていった。

639 :仮面のルイズ:2007/11/27(火) 12:49:03 ID:6Ypv2LOZ
一方、時を同じくして、魔法学院に一台の豪華な馬車がたどり着いた。

従者が馬車の扉を開け、金髪の女性が馬車の中から下りてくる。

馬車を出迎えたのは魔法学院の学院長オールド・オスマンと、モンモランシー、そしてシエスタだった。

「オールド・オスマン。お久しぶりでございますわ」

優雅に一礼した金髪の女性に、オールド・オスマンは満足そうに頷き、挨拶を返した。

「久しぶりじゃのう、アカデミーでは元気でやっておるかね?」

「ええ、オールド・オスマンの22年前の論文、読みましたわよ。精神力の根底を探る方法としての波紋法とその応用…でしたわね」

ちらりと横を見ると、先ほどから緊張のあまり固まっている二人が視界に入った。

「貴方がシュヴァリエを賜ったミス・モンモランシーと、ミス・シエスタね。噂は聞いているわよ」

「「はっ、はい!」」

二人は緊張して、同時に返事をしてしまう。

金髪の女性は、そんな二人にも一礼し、名を名乗った。


「私はエレオノール・アルベルティーヌ・ル・ブラン・ド・ラ・ブロワ・ド・ラ・ヴァリエール。
ラ・ヴァリエール公爵夫妻からの依頼を伝えに参りました。
モンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシ。
並びにシエスタ・シュヴァリエ・ド・リサリサ。
お二人の『治癒』の力をお借りしたく参りました。
私の妹、カトレアを助けるために協力をお願い致します」


シエスタは思った。

この人、ルイズ様の面影がある。





To Be Continued →

640 :仮面のルイズ:2007/11/27(火) 12:51:35 ID:6Ypv2LOZ
投下したッ!
ちょっと間が開いてしもうたよ、ごめんよ。

641 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 12:52:58 ID:vI+Kan6s
風邪で休んだ事がこんなに良い事になるとは思わなんだ
仮面乙ッ!
ワルド胸ばかりみんなwww

642 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 13:03:20 ID:Gg5int7g
仮面乙です。
ここのワルドもおっぱいソムリエなのか?(w
シエスタのヴァリエール家訪問・・・
ヴァリエール家はルイズの敵に回ってしまうのか、それとも吸血鬼でも家族として受け入れられるのか・・・
いい方に向かって欲しいなぁ・・・

643 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 13:07:42 ID:BnfTziIa
GJ!
カトレアだけが真実に気付くも誰にも信じてもらえず心労で倒れるにルイズの胸を賭ける

644 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 13:09:51 ID:uKQ4P4tw
仮面乙&GJ!
吸血鬼になっても胸は…(´;ω;`)ウッ…

645 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 13:54:57 ID:osZufCqn
つ【つめもの】

646 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 13:58:36 ID:CTJmNs4l
そこで以前小ネタであった風船を胸にIN!!ですよ。

647 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 14:26:50 ID:wWeITZD4
仮面さんGJ!
ワルド何処見てんだw

648 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 14:27:00 ID:Gg5int7g
風船では割れるッ!
故に、ここは一つ、オーク鬼の脂肪を胸の中に・・・

649 :名無しさん@お腹いっぱい:2007/11/27(火) 15:23:41 ID:EiaMe+pq
つ メロンパン×2

650 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 19:05:05 ID:ERCHoIg8
>>649
っ 紅い月

651 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 19:19:20 ID:9oreEtAv
昨日、ヘビー見てすぐ寝たから今更思った事
ゴメン、途中までメローネかと思ってたw

652 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 20:39:15 ID:l80m+j1i
パソコンで繋がらない。投下デキネェ。 スマン、サーレーさんもう少し先に伸びそうだよ。orz

653 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 21:12:40 ID:I6IgE2VB
>652
人大杉ですか?
PCからは今現在、2ch専用ブラウザでないと見られなくなってます。
復旧は未定です。

専用ブラウザが無理なら、避難所に投稿プリーズ(w
避難所にはまとめサイトから行けます。


654 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 21:25:35 ID:WZHaT2i+
専ブラ入れてるから分からんかったが
まだ繋がりにくいの続いてるのか

655 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 21:35:24 ID:I6IgE2VB
>654
繋がりにくいどころか、管理者の方がCGIを止めて、普通のブラウザからアクセスできなくしてるみたいです。


656 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 22:06:27 ID:7BovO823
では、先に十五分から投下しますが構いませんねッ!?

657 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 22:08:09 ID:/CHLNQiG
支援するッ

658 :ゼロいぬっ!:2007/11/27(火) 22:17:15 ID:7BovO823

城壁を飛び越えた瞬間、彼の触角が城内に満ちる敵意を感じ取った。
そして、次々と掻き消されていく生命の臭いに、
抵抗さえ許されずに消えていく悲しみの臭いまでも。
彼の鋭敏な感覚は末期の瞬間さえも明確に伝えてくる。

我が身を引き裂かれるような思いで、彼はその惨劇を黙殺する。
全てを差し置いても、彼はルイズを優先した。
後で彼女に咎められる事になっても構わない。
嫌われたとしても後悔はない。
一刻でも早く、彼女の元に駆けつけたかった。
悲鳴も断末魔も振り切って、彼は走る。
ただ彼女を守りたいが故に。
そして、礼拝堂に辿り着いた彼を待っていたのは、感情のない瞳で見下ろす主の姿だった。

「離れろ嬢ちゃん! そいつは裏切り者だ!」
彼女の傍らに立つワルドを見たデルフが叫ぶ。
しかし、彼女は何の反応も示さない。
それどころか話し掛けられている事さえ判らないのか、
デルフの姿さえも瞳に映そうとはしない。
「無駄だ…。彼女に声は届かない。魔法薬で心をやられている」
返答さえ返さない彼女の代わりに、苦悶交じりにアニエスが告げた。
脚に深々と穿たれた傷を外した外套で縛り上げる。
しかし溢れ出す血は容易く白地の生地を赤黒く染め直し、留まる事を知らない。
更に、それ以上に筋や腱の断裂が酷い。
ワルドが宣言した通り、ここから動く事さえままならない。
あるいは二度と思い通りに動かせないかもしれない。
護衛と言いながら何一つ出来なかった悔しさに、彼女は唇を噛んだ。

彼は目の前の光景を認めたくはなかった。
だが、アニエスの言葉以上に“バオー”の触角が真実だと告げる。
ルイズから感じる臭いは、あの船団から感じた物と全く同質。
そして何よりも、今の彼女は彼の知っているルイズではなかった。

「ルイズ。どうやらまた僕達の邪魔者が来たようだ。
だけど一人では心許ない。…手伝ってくれるね?」
「……はい」
耳元で囁くような命令にルイズは前へと進み出る。
倒れ伏すウェールズの遺体を、まるで雑草のように踏み付けながら歩く。
そしてワルドを庇うようにして、ルイズは彼と対峙した。

叫びたかった、“これはルイズじゃない! 彼女の名で呼ぶな!”と。
彼女は誇り高く在り続けようとした。
たとえ、それで死ぬ事になろうとも悔いは無かった筈だ。
それなのにワルドは彼女から誇りを奪った。
生きる意味さえ失った、ただの操り人形に貶めた。
許されざる冒涜に、彼が低い唸り声を上げる。

659 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 22:18:01 ID:/CHLNQiG
支援

660 :ゼロいぬっ!:2007/11/27(火) 22:19:05 ID:7BovO823

彼女の杖が振り上げられる、その瞬間。
疾風の如き動きで“バオー”は彼女の懐へと飛び込んだ。
魔法を使う隙さえも与えまいと一息で距離を詰めた。
彼の力を以ってすれば昏倒させるのは容易い。
それからワルドを倒せばいい、治療法は後で必ず見つけ出す。
しかし、彼の目論見はワルドに見透かされていた。

ルイズへと近付いた瞬間、ワルドのエア・カッターが放たれた。
その狙いは彼ではなく、その背後にいるアニエスに向けられていた。
足の動かせない彼女には避ける術がない。
咄嗟に彼は身を投げ出してアニエスを庇う。
吹き抜ける風の刃の直撃を受けて脚に裂け目が走った。
そこから溢れ出す血に視線もくれず、着地と同時に再び駆け出す。

しかしルイズの杖が振り下ろされた瞬間、視界が爆風に覆われる。
それは感じ取るべき臭いも巻き上げ、彼の感覚を奪った。
身の危険を感じ横に飛んだ直後、エア・ハンマーが床を粉砕する。
舌打ちしつつもワルドは尚も追撃し続ける。

ワルドの魔法とルイズの爆発。
それらが互いの欠点を補い合ってルイズに近付く隙を与えない。
恐らくルイズが魔法を使ってきたならば、これほどの苦戦はなかった。
彼女の爆発が起こる場所は、まるっきりデタラメなのだ。
狙い通りに起きる事もあれば、見当外れな箇所が吹き飛ぶ事もある。
それが相手の敵意を感知して行動する彼の判断を惑わせている。
そして、飛来してくるのではなく何の前触れも無しに起こる爆発は避けられない。
ランダムに起こる爆発に巻き込まれない事を願うしかないのだ。

だが、運は彼に味方しなかった。
遂に至近で起きた爆発が彼を飲み込んだ。
爆風に弾き飛ばされた体が投げ出されて床を転がる。
同時に千々に砕けて飛び散った破片が皮膚を貫いていく。
痛みを堪えつつ身を起こし、自分の負傷を確認する。

その光景に彼は戦慄を覚えた。
見れば、前脚が吹き飛ばされている。
彼の脚は外ではなく、内部から爆裂していた。
それも皮膚を覆う装甲も全て無視してだ。
爆心地は自分の前脚の中にあったのだ。
受けたダメージの大きさ以上に、より重大な事実が彼に衝撃を与えた。
彼女の爆発はどこでも起こり得る。
そこが他人の体内だろうとも一切の例外はない。
…もし万が一、自分の脳内で爆発が起こったならば。

刹那。彼の身体を異常な量の分泌液が巡る。
止めろと心で叫びながら、彼は必死にそれを抑え込んだ。
分泌液が増えたのは怪我の治療の為だけではない。
爆発を脅威に感じた寄生虫“バオー”が力を与えているのだ。
自分を守る為に、その発生源であるルイズをも殺そうとしている。
衝動に押し流されそうになる自我を、彼は必死に繋ぎ止める。
彼女が貴族でありたいと思ったように、彼も“バオー”ではなく自分でありたかった。

661 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 22:20:06 ID:/CHLNQiG
試演

662 :ゼロいぬっ!:2007/11/27(火) 22:20:52 ID:7BovO823

「諦めたまえ。君は彼女に捨てられたのだ。
そんな使い魔のどこに生きる場所…いや、生きる意味がある?
これ以上苦しむ事はない。主の望むままに甘んじて死を受け入れたまえ」

ワルドの嘲笑に交じって響く爆発音。
巻き起こされた爆発に彼が身を伏せる。
それでも雨のように降り注ぐ破片は容赦なく彼を傷付けていく。
頭を上げた彼の目前には、顔色一つ変える事なく杖を振るう彼女の姿。
一体これは何の悪夢だろうか…。
必ず彼女を、ルイズを守ると誓った筈なのに、
今、自分は彼女の手によって殺されようとしている。

もう彼女を殺すか、彼女に殺されるか。
それしか道は残されていないというのか…?

ならば何故、自分は目覚めたのか。
あのままなら、こんな悪夢を見なくて済んだ。
それが生きる事の放棄と取られようとも、
こんなにも辛いのならば永遠に眠り続けていたかった。

いっそ出会わなければ良かった。
ルイズと出会わないまま、研究所で最後を迎えるべきだった。
そうすれば彼女はきっとこんな姿にならずに済んだ。
自分とは無関係に、彼女は自身の生涯を謳歌できた筈だ。

何故だ、どうして彼女だけを操った?
そんな魔法薬があるなら、何故自分に使わなかった?
研究所の人間のように、自分を利用する気だったのだろう?
ならば、あの水道に流せば飲ませる事だって出来た筈だ。
彼女と共に心を壊してくれば一緒にいられたかもしれない。

瞬間。彼の脳裏に閃きが走った。
もし自分に“使わない”のではなく“使えない”のだとしたら…。
その予測が正しいかどうかなど判らない。
しくじれば今度こそ窮地に追い込まれる。
一縷の望みを乗せて彼は最後の賭けに出た。

663 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 22:21:21 ID:04vFmLDu
試練

664 :ゼロいぬっ!:2007/11/27(火) 22:22:35 ID:7BovO823

倒れ伏したまま、彼は蒼い飛針“シューティング・ビースス・スティンガー”を放つ。
だが、それはワルドを狙った物ではない。
射線上にいるルイズを迂回して命中させるのは不可能。
彼が放ったのは彼女の手前の床。
横一列に突き刺さった毛から次々と上がる火の手に、瞬時にして目前が炎に包まれる。
「ちっ……!」
ワルドが飛び散る火の粉を外套で払い除ける。
火勢に押された程度で退きはしない。
しかし、手紙やウェールズの遺体は別だ。
それが燃えてしまっては元も子もない。
だが、奴自身も炎が弱点なのだ。
いずれ向こうから我慢し切れずに飛び出してくる筈だ。
そこを迎え撃てばいい、ただそれだけの事。

炎の壁に遮られ、陽炎のように揺らめく向こう側。
そこにワルドは三本脚で駆ける彼の姿を見つけ出した。
向かう先にあるのは彼の千切れた脚。
なるほど、炎を目隠しにして取りに行くつもりだったのか。
だが、甘い。狙いさえ判ってしまえば、こちらの物だ。
動き回る相手を狙わずとも、脚の方を撃てば当たるのだ。
どんな狩りよりも遥かに容易い。

ワルドが詠唱するのは『ウインド・ブレイク』
放たれたそれは周囲の炎を巻き込んで彼を焼き尽くす風の砲弾となる。
詠唱を終え杖を振り上げたまま必殺の機を窺う。
それは彼が脚を目前にした瞬間だった。
勝利を確信してワルドの杖が振り下ろされる。
しかし、その直前で彼は直角に曲がった。
「何だとッ!?」
方向転換した彼の視線の先にはルイズの姿。
初めから彼女に近付く事が目的だったのだ。
速度を落とさずに、加速した身体を足を失った状態で制御する。
いや、無理な急制動が筋肉と腱をズタズタに引き裂いていく。
それを彼は力と意思で真っ向から捻じ伏せる。
そして、彼は自ら炎の中に飛び込んでいった。

皮膚と体毛に燃え移る炎。
火傷よりも炎そのものを恐れ、寄生虫“バオー”が騒ぎ立てる。
本能に匹敵する支配に逆らいながら、彼は炎の壁を突破した。
勢いのままに、彼はルイズへと圧し掛かり床へと倒す。
残された前脚で彼女の腕を押さえつけながら見下ろす。
その自分を見上げる硝子玉のようなルイズの瞳。
それを見据えながら牙を彼女へと近づけた。

「止めろォォーー!!」
ワルドの詠唱も間に合わない。
彼女へと迫る確実な死に、喉が裂けんばかりの絶叫を上げた。
アニエスも眼前の光景に目を背ける。
彼女も同じくルイズを殺そうと銃を向けた。
だが引き金を引く事は出来なかった。
たとえワルドの揺さぶりが無くとも撃てなかった。
ルイズの笑顔が脳裏に浮かび、彼女を躊躇わせたのだ。
大切に想う人を自分の手で殺さなければならない。
それは身を引き裂かれるよりも遥かに苦しい。
今の彼は苦痛の中で、選択を迫られているのだ…。

665 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 22:23:09 ID:/CHLNQiG
シェーン

666 :ゼロいぬっ!:2007/11/27(火) 22:25:09 ID:7BovO823

彼とルイズが向かい合う。
こうして互いの顔を見合わせるのは何度目だろうか。
彼女が着飾った夜の舞踏会の時。
惚れ薬騒動でタバサの事を任された時。
そして船に飛び乗って再会した時。
幾つもの思い出が頭の中を駆け巡る。
いずれは平凡な日常に融けていく記憶。
だけど、その始まりを忘れる事は生涯ないだろう。

彼女と出会った陽だまりの中庭。
その時と同じように、彼は顔を近づけてルイズに口付けした。
口内の血が牙を伝って彼女の体内へと入り込んでいく。

あの瞬間、彼は思い出したのだ。
自分の身体には魔法薬が効かない。
それは惚れ薬を飲んだ時から判っていた事だった。
なら、この身に流れる力…あらゆる傷をも癒す回復力、
それを含んだ血液なら彼女を治せるかもしれない。
その閃きに彼は全てを賭けたのだ。
そして寄生虫“バオー”自身も彼に力を貸した。
彼にとってルイズは生きる目的であり意味。
それが彼の生きようとする意思を強めるなら、
ルイズを助ける事は運命共同体である自分にとっても大きな意味を持つ。

「あ…う…」
嗚咽のような声が彼女の口から漏れる。
詠唱でもなければ、ワルドに命令されたわけでもない。
それは魔法薬を飲まされて以来、初めて彼女が口にした言葉だった。
色彩を失った瞳に意思の光が戻っていく。
同時に、目元に湛えていた雫が頬を伝って零れ落ちた。

「そんなバカな…! こんな事が…!?」
抵抗する力を失ったルイズを見てワルドは狼狽した。
この世界において『虚無』の力は絶対だ。
彼等にとって始祖は神に等しい。
『虚無』とは神の力そのものなのだ。
だが、それさえもあの怪物は覆すというのか!

ルイズが正気を取り戻した喜びは“バオー”の恐怖に掻き消された。
世界を滅ぼす獣の力を彼は目の当たりにしていた。
その怪物が今、ワルドを殺意に満ちた視線で射抜く。
それは抵抗を排除するといった受身の物ではなく、排除を目的とする漆黒の意思。

667 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 22:26:38 ID:/CHLNQiG
紫炎

668 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 22:26:49 ID:BnfTziIa
支援

669 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 22:27:30 ID:04vFmLDu
血液支援

670 :ゼロいぬっ!:2007/11/27(火) 22:27:40 ID:7BovO823

彼はずっと気付かない振りをしていた。
本当は前から気が付いていたのに自分を騙していた。
ルイズを守ると誓った時から、彼女に悟られまいと隠し続けた。
だけど、もうそれも終わる。
彼女を傷付けられた時、ハッキリと理解できた。

多くの仲間達の命を弄んだ研究員達。
戯れで自分の命を奪おうとした学院の生徒。
己の野望を叶える為に、平然と命と誇りを奪う『レコンキスタ』。
今も快楽交じりに無抵抗な相手を殺し続ける貴族派の傭兵達。

自分は“人間”に確かな憎悪を感じている…。

そう自覚した彼は心の中で何かにヒビが入る音を聞いた。
それは“バオー”という獣を繋ぐ“理性”という名の鎖から響く悲鳴だった。

671 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 22:28:59 ID:xP7qzL47
悪の帝王なワルド支援

672 :ゼロいぬっ!:2007/11/27(火) 22:29:25 ID:7BovO823
以上、投下したッ!
次回はバオー無双の予定。

673 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 22:37:17 ID:/CHLNQiG
ゼロいぬ投下乙ッ!!


674 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 22:39:47 ID:WGPq2Aaa
バオー・乙ド・フェノメノン!

675 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 22:40:57 ID:0yOrsoZ0
これが! これが!  これがッ! これが乙だっ!

676 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 22:41:31 ID:Sr9MxhpH
そいつに触れることは乙を意味するッ!

677 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/27(火) 22:55:31 ID:wWeITZD4
いぬさんGJそして乙!

少しずつ、一人と一匹の別れが近付いてるのが辛い……

678 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/28(水) 02:53:24 ID:J/yYjm1c
いぬにラスボス化フラグが立ったような…
いつもながらお早い更新乙っした!

679 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/28(水) 09:44:02 ID:IxnSLGDA
やっと読み終えた…
仮面さん、いぬさん、GJでした!

680 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/28(水) 19:02:09 ID:ECZ0dE7c
10時間も時が吹き飛んだな

681 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/28(水) 19:17:27 ID:8yjCS9dp
乙一小説を読むのにみんな忙しかったにブ男の魂を賭けよう

682 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/28(水) 19:32:04 ID:dYG5A00E
乙一の小説はおもしろかった
そこはみとめよう
だがやっぱりドドドドドとかゴゴゴゴゴが無いジョジョは
ジョジョではない

683 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/28(水) 19:55:42 ID:0nbfn/7i
まあ小説にゴゴゴゴとかドドドドとか入っててもどうかとは思うが

684 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/28(水) 20:18:39 ID:nKS2HTOk
つまり挿絵にドドドとかゴゴゴがあればよかったのに残念だったね、と

685 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/28(水) 20:53:16 ID:Ql2qJQtB

逆に考えるんだ。ゴゴゴゴやドドドを入れても構わない凄みがあればイイと考えry

まぁそれはともかく9時15分頃からから投下を行いと思うんですが
一言でいい…『許す』と投下の許可を与えて欲しい。
それだけでいいんだ…それだけで(題名は相変わらず思いつかないけど)私は救われる。
今の私には必要なんだ。名無しさん、『許す』を…!

686 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/28(水) 20:55:41 ID:BOrB/YWn
許可するッ!

687 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/28(水) 20:56:00 ID:mToRH5ym
>>685
かもす
……じゃなかった
許す!

688 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/28(水) 20:57:39 ID:vmnn7uMf
知らねーのかマヌケッ!
「投下する」ってのは縁起がいいんだ!
3つ投下するのもいい!
5つ投下するのもいい!
そして「4つ」投下しても縁起がいいんだ!

こーゆー場合は名無し側が気を利かせて支援するべきなんだ!

689 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/28(水) 20:57:42 ID:JUmRFL8E
許すも許さないもないですよ
メルヘンやファンタジーじゃないんですから

投稿お待ちしております

690 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/28(水) 21:17:42 ID:C0cV3nFm
わたしは投下を待つ……平和に投下を見てみせる。
わたしは投下されたSSを読まずにはにはいられないというサガを背負ってはいるが…
絶対にSSを読んでみせるぞ!

ところでオリゼーって有益なグリーンディのような気がしてきた。
もやしもんの洗脳効果侮れんw

691 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/28(水) 21:20:04 ID:Ql2qJQtB


今回もちょっとだけ避難にも行こうかなと…ポルをもうちょっと大人にした方がいいですか?とか思いながら投下させていただきます。


い、今起こったことをありのまま話すぜ!
私を召喚したルイズが石を錬金しらた爆発が起きた…な、何を言ってるか分からないと思うが私にも何が起こったのかわからなかった。
錬金なんてちゃちなもんじゃねーもっと戦闘向きな魔法を味わったぜ!
出したままのスタンドで私は周囲の惨状を見る。
爆発で壊れた教室の備品!
砕けた石の破片が食い込んだ壁!

マジシャンズレッドがスタンドでなかったらと思うとゾッとするぜ…
ルイズが使い魔は外と言うんでおとなしくマジシャンズレッドで授業を盗み見してたんだが、私が生身なら同席を希望して爆発の影響下にいたはずだ。
ジョルノが見つけてくれるまで、無駄なストレスとダメージは回避すべきだからな。ラッキーだったぜ。
ルイズが魔法を使うときは離れておくのがベストだな。

周りの連中が言っていることを盗み聞きした感じでは、絶対に失敗して爆発を起こすらしい。
顔を合わせる度にじゃれあってるキュルケとかが言っているから間違いないんだろう。
なんだかんだ言って、ルイズと一番仲がいいのは彼女だからな。
騒ぎを聞きつけてきた教師もそこの所を理解しているらしく、ルイズにくれぐれも魔法を使わずに片付けろと罰を命じている。

しかし…失敗すると確実に爆発するなんてことがありえんのか?

テファの魔法の話やマチルダお姉さんの魔法を直に見た私は、なんか頭の隅っこのほうで引っかかるものがあった。

「まぁ気のせいか」

私はそう結論付けると、マジシャンズレッドに亀を持ち上げさせる。
所詮私は魔法に関しては殆ど知識が無いからな。専門家どもが言ってるならそーなんだろう。
外で待っているふりをしてるのも暇なんでな。

私は他の生徒が出て行くのを見届けてから教室に入った。
広い教室は擂鉢状に近い形をしている。
魔法で全部作られてるってのがまた凄いな。

外から見ているだけだった私は改めて中に入って感慨に耽った。
だがそれも視線を中央に向けるまでの話だ。
後ろの席ほど高い位置にあり、どこの席についても教師の姿が見えるようになっているんだが…その教師が立つ壇上で一人で片づけをしてるってのは、見栄えがよくなかった。

不機嫌そうなルイズは、同時に傷ついているように見えちまうじゃねぇか。
今まで見たどの表情よりルイズの表情は暗く沈んでいて泣いているようにさえ私の眼には映った。

亀を抱えたマジシャンズレッドは、ルイズへとゆっくり近づいていく。

「何しにきたのよ?外で待ってるように言ったでしょ。あんたに片づけができるわけないんだから、おとなしくしてなさい!」

私が入ってきた事に気付いたルイズはちょっとばかしヒステリックな調子でそう言った。
こちらを見ようともしないが、背を向けたまま顔を拭くような仕草をしたのには、流石の私も気付いていた。

確かにルイズの言うとおりではある。私はできれば話し相手とかだけにしときたいんだ。
こんな小娘の世話なんて面倒臭いからな。
だが、ここでルイズ一人に片付けさせるのは時間がかかる。
そうするとコイツ、飯食いっぱぐれたり次の授業に遅れちまうかもしれない。
そう考えた私はマジシャンズレッドを動かして教室を片付け始める。

べ、別に一人でやらせるのはかわいそうだとかそんなことはこれっぽっちも思ってねぇぜ!

692 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/28(水) 21:22:20 ID:novXp499
ツンデレ支援

693 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/28(水) 21:22:58 ID:VqDiKP3K
なんというツンデレ支援

694 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/28(水) 21:23:13 ID:RMvOYnhO
ツン・デレール・ポルナレフ支援

695 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/28(水) 21:24:42 ID:Ql2qJQtB
私がマジシャンズレッドを使い片づけを創めるとルイズは驚き、私が能力を隠していたことを責めてきたが、ピンチの時に使った方が守るのに有利だと考えていたと嘘をついておいた。

自分の使い魔の思っても見ない能力にルイズは喜んだようだが、同時に使い魔のほうがまともに魔法が使えることにショックを受けたようだった。
魔法じゃなくてスタンドなんだが、誤解を解くのも面倒だから放っておく。

ルイズがどう思おうがマジシャンズレッドは名前の通り私の傍らに立ち、私を助ける。
重要なのはそこなんだからな。
だが、落ち込んだのを放っておくのは天国の奴になんか言われちまうかもしれん。

私は肩を竦めた。

仕方がないなっ!
私はこんな柄じゃあないんだが…こんな時誰より頼りになる承太郎ならなんと言って慰めるだろうか?
常にクールで頼りになった戦友はあれで時に優しさを見せる野郎だった。
アイツなら、一体どう言って慰めるだろうな?

私はそれを思い浮かべながらちょっと考えた。
勿論手を動かしながらだったが、私は言葉を選びながらルイズに語りかけた。

「ルイズ、貴族ってのは威張るだけの能無しばっかだ「なんですって!」」

落ち込んでいたルイズの顔は赤く染まり、興奮しているのが丸分かりだった。
一瞬落ち込んでいた方がいいんじゃーねぇのーっと思ったが、言い出したからには遣り通すべきだろう。
しかし、何か、違うな…おかしい。奴は簡単にやってたもんだが…

怒りを増したルイズに多少慌てながらも、私は一つ咳払いをして方向修正を図る。
落ち着け。落ち着くんだポルナレフ…まだ、修正可能なはず。

「魔法も威張る為にしか使ってねー。ご主人様、そんな貴族の中でアンタの魔法は何より容赦がねぇ…戦闘以外で人に向けて使うんじゃねーぜ?」
「つ、つつ使い魔如きにまで!馬鹿にされるいわれはないわよ!ああ、アンタ、お昼抜きだからね!」

癇癪を起こしたルイズは言い捨てて何処かに行っちまった。
おいおい、まだ教室片付いてねぇぜ?

周りを見渡し、残っているゴミや薄汚れちまってる教壇などを見て私はため息を付いた。

条太郎教えてくれ…俺はどこで間違えたんだ?

『てめぇの間違いはたった一つ。シンプルな答えだ…てめぇはルイズを怒らせた』

そんな幻聴が聞こえた気がするが、私はため息を一つ零しただけで片づけを再開する。
都市を食って私も落ち着いたって事だな。

あの旅の頃の私なら、絶対にこんな片付けはしないぜ。
ため息を吐いた数だけ教室は片付けられていった。

ジョルノ。さっさとてめーも来てくれ。
俺には10代の学生のテンションに付いていくのはつらいものがあるぜ。

逆に考えると私が年老いているか10代の学生も付いていけないほど大人気ないのか、だが…それは考えない事にした。

696 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/28(水) 21:28:17 ID:fC1WhvSq
支援

697 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/28(水) 21:28:40 ID:RMvOYnhO
ポルポルと承り太郎では精神の根っ子のところが違う。ネタキャラとシリアス担当だからな。 

698 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/28(水) 21:29:25 ID:Ql2qJQtB


…ポルナレフさんがそんな事になっている頃。
当然だがそんなことなど知る由も無い僕はまだガリアにいた。
知っていたら何かしたのかというと…それはまた別の話ですけどね。

少し、組織の状況について話しましょう。
アルビオンはレコンキスタを中心にあっさりと独占できた。
碌でもない人達が多かったが…それだけでもない。
王族への反感も高まっている中で麻薬に逃げる者もいれば、数で負け、連戦連敗しても戦わなければならない自分を鼓舞する為に精神高揚剤として必要とする悲しい人もいた。

どう使われようがそれらは黒い金ですが…アルビオンで独占しようと他の国の市場ってものがあるし、アルビオンは戦争状態に入ってしまったのではっきり言うと不味い市場だ。
戦争状態は、色々と裏事を進めるのは楽な時もあるが、平時より更に平民の事は省みられないし簡単にインフレ状態に陥ったりするからな。

僕にとっては、麻薬に頼りきりな組織を作っても仕方が無いからと準備を始めていた他の事業を開始するにはいいきっかけになったのが皮肉でしたが…

組織は既にゲルマニアには展開を始めている。
少し落ち着いたんで今度はこちらで市場調査ってわけです。

故郷に比べ、こちらはまだ全てにおいて幼い。
パッショーネは色々な場所で競争に打ち勝つ為に洗練してきた…その手法や向こうで既に使い古されたやり方などを少し変えればつまらない程に形になる事がある。そのお陰で急速に拡大する事が出来ているが、壁もいくつかある。

一番厄介なのは、どこに行ってもある程度の規模になると貴族が出てくる点だ。
間抜けな者が多いとはいえ、利権を握っている上法と慣習で守られているのはとても厄介だ。

だがそんな彼らの幾人か、麻薬を買った貴族達から遠回りしてコネは手に入れている。

二つ目の問題は人手だ。犯罪者や商人、農民、善良に生きているが更に下の人達…彼らの中から才能を拾い上げ、人を育てなければならないって言うのが酷く難しい。
平民の中、貴族の中にも志が高いものが多いとしても、だ。

ゲルマニアはそうして拾い上げた彼らとその下に既にいた人達に任せてある。
妙なプライドを持った奴も多かったが、パッショーネ流に調教したので問題ないでしょう。

長くなりましたが、要するに順調ってことです。
お陰で今はちょっとした旅行気分。観光や買い物も思ったよりできてテファも喜んでいる。
この国のガーゴイルも出来れば商品に加えたい所だ。
色々と考えながら僕は目的の大体8割程度は達成し、最後の調査場所での調査と売り込みを行っていた…んですが、そこで思わぬアクシデントに見舞われた。

夜半になり屋敷の主人の部屋で騒動が起きた。
まだ眠りに付かず、今日決まった商談を加えた絵を考えている時だった。
一瞬テファの事が気になったが、観客になるまではうまく行きました。
腕の良いメイジを見る機会は余り無かったのですが、とても参考になりました。
今度スクエアも見たいな。

僕に直接関係する話ではなかったのですが、知っている女の子がその中心にいたので僕は少し首を突っ込んでみました…
危険なら少し手を貸すつもりでしたが、彼女は僕が思っているよりも優秀なメイジだったので、その必要もありませんでしたが。

そうして、見物を終えて程なく朝を迎えた僕は、テファと朝食を取りながら騒動の主役となったアイテムを可能なら記念に手に入れることを決めました。
簡単に手に入るとも思えませんが、とても得難い物に見えましたからね。

どうやって手に入れるか考えながら、僕はテファと別れて彼女を常に視界に納められ、また人目に付かぬパーティ会場の隅でこの園遊会で出会った貴族達の何名かと話していました。

「…では帽子が届くのは少し先になりますか?」
「ええ。特殊な作り方をしておりますから」

699 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/28(水) 21:34:24 ID:Ql2qJQtB

テファの被る帽子を物欲しそうにみる貴族に答えながらジョルノはダンス眺め、ステップを記憶していく。
幾つか覚えてきたが、また少し違うのが興味深い…それに水を差すようにその貴族は囁いてくる。

「来月に間に合わせたかったのですが…どうにもならないものですか?」
「フ〜ム………何か理由がおありのようですね。聞かせていただけますか?」

テファの長い耳を隠す為に、僕は彼女にドレスなどと共に帽子を用意した。
貴族達が着飾って集まる会場で咎められないよう華やかななものにしてみたが…もう少しフェミニンな装いにした方がこの園遊会の雰囲気に合っていたかもしれない。
今着ているのも悪くは無いが、余り強く印象付けたくないからな。
だが同時にこちらでは帽子は余り使われていなかった帽子を衣装選びをする時選択肢の一つに数えられるようにはしなければならない。
どれだけ大人しいデザインのものを用意しても周りに身につけている者が一人もいないと目立って仕方が無い。
そう考えて手は打ったのだが―僕は目だけを動かして会場の中を確認する。
組織の者の手でプレゼントされた帽子などが幾つか見えた。
今あるドレスなどに飽きているような噂を聞いたご婦人達に『他国で流行の兆しが』とか適当な言葉と共にお送りしたのだが、その中の何人かが帽子を身につけているようだ。
もう少し数がいた方がいいのだが、それは今後地道に増やしていくしかない。
まだ全て始めたばかり…少しずつ広げていく事が大事だ。

「それは…その、なあ」

理由如何によっては期間を早めると匂わせた僕に、彼は照れた様子でそっぽを向いた。
人目につかぬよう隅の中でも木陰になっている場所を選んだのだが、はっきり分かるほどだ。
その様子だけで、少し都合してあげるつもりだったが彼の友人が僕が何かを言い出す前に口を開いた。

「彼の結婚記念日なんですよ。コイツ愛妻家で有名でしてね。まぁッこんな田舎では妻と過ごす時間には事欠かぬというわけでして…」「また貴様は勝手に…!」

照れ隠しからかより気色ばむ彼とそれをなだめようとする友人達を見るに、彼らとは今後も清い付き合いができそうだなと僕は考えていた。

「まぁ…お恥ずかしい話ですが、そういうわけです。妻が懇意にしている商人がトリスティンのある貴婦人が帽子に凝り始めたとかなんとか…私には全くわからんのですがね」

すまん。それ嘘ですよ。

かなり鵜呑みにしているらしい彼と彼の友人には、少し骨を折るのも悪くない事だろう。
僕は彼をからかっている友人の一人に声をかける。
その貴族はガーゴイル作りに定評がある、と聞いておりそれの作成と製法を少し教えてもらう約束をしていた。

「そうでしたか…男爵。貴方にお願いしていたガーゴイルの件、早めても構いませんか?」
「これ以上かね? それは少し…あぁ、それで少し早まるのかね?」
「ええ。実は僕も知人への土産が無いと帰れない立場でしてね」

本当はその技術を全く違う目的に使うつもりだが、それはまだ教えられない。
彼らの口からもし広がってしまえば予定が大きく狂ってしまうからな。
そう考える僕を他所に、貴族達はその口下手な愛妻家殿をからかい始めた。
僕は彼らに調子を程ほどに合わせながら、園遊会の雰囲気を楽しみ…ふいに周囲から歓声が上がった。

「イザベラ様がダンスを披露なさるそうですよ」

誰かがそう言ったのを聞き、ジョルノは内心首を傾げた。
昨日襲われていた知り合いの少女かそれとも本人かはともかく、そんな事をするタイプではないと思っていたからだが…
その間にふらふらと、その王女様が観客席から舞台へと向かっていく。
それまで舞台で踊っていた、薄い布を幾重にも纏った女達がそれにあわせて舞台中央にスペースを作り少女を迎えいれた。

700 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/28(水) 21:36:55 ID:BOrB/YWn
イザベラ様支援

701 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/28(水) 21:37:39 ID:Ql2qJQtB

誰かがそう言ったのを聞き、ジョルノは内心首を傾げた。
昨日襲われていた知り合いの少女かそれとも本人かはともかく、そんな事をするタイプではないと思っていたからだが…
その間にふらふらと、その王女様が観客席から舞台へと向かっていく。
それまで舞台で踊っていた、薄い布を幾重にも纏った女達がそれにあわせて舞台中央にスペースを作り少女を迎えいれた。

王女は不自然なほど素早くそこへとたどり着き、周囲へ笑顔を見せながらナイフを振り上げた。悲鳴が上がる。
辺りが騒然とする中、僕は笑みを浮かべていた。
視線の先では、主賓のガリア王女が探していたアイテム(インテリジェンスナイフ)に操られて裸で踊りはじめていた。
『地下水』と呼ばれ、人を操る力と何種類かの系統魔法、持ち主を操って行う格闘も中々の腕を持つナイフが日の光を反射して冷たく輝いていた。

やれやれ、どこの誰かは知らないが…これで楽に手に入れられるかもしれないな。

僕は笑みを引っ込めて席を立つ。
周りでは止めるか、いや王女の芸術だとかどーでもいい事で騒いでいるようだが、いい加減見るに耐えないですしね。
澄み切った空へと僕は咎めるような視線を向けた。
上空を嬉しそうに旋回する影は、確かに僕の知る少女の竜だった。


以上です。
ポルに私ではなく俺と言わせたい私は多分3部好き…

702 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/28(水) 21:38:52 ID:BOrB/YWn
ジョル&ポルの人乙です。

703 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/28(水) 21:41:26 ID:pO+ZobWQ
支援する!

704 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/28(水) 21:41:27 ID:fC1WhvSq
ポルポル&ジョルノGJ!
コロネはすでにタバサと知り合いなのか…

705 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/28(水) 21:44:09 ID:VqDiKP3K
GJ

706 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/28(水) 21:44:58 ID:novXp499
>>704
外伝嫁

707 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/28(水) 21:45:40 ID:0nbfn/7i
乙です

708 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/28(水) 21:47:02 ID:vmnn7uMf
おつ

709 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/28(水) 22:22:34 ID:MIiP+sbV
ジョルノとポルの方GJそして乙!
さすがイタリア男ジョルノだな
イザベラ様にもフラグを立てるとは!
……って、奴は英日ハーフだっけ

710 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/28(水) 22:24:42 ID:JUmRFL8E
ジョルノ&ポルポルの職人さんGJでした
ポルポルがルイズを怒らせる失言に痺れたよ、やっぱりポルポルは凄いや

711 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 00:38:55 ID:AskmQa1t
最近避難所にも顔を出す事にしたんだ
そこにはなんと元気な職人さん達の姿が!

「もうサルになんかひっかからないよ」とのお言葉

それにしてもこの職人、ノリノリである


御免調子に乗り過ぎた

712 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 02:21:17 ID:bmZklb8X
そこにはサルさんにひっかかる>>711の姿が!

713 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 02:33:21 ID:Y6BqsHCs
つまり>>711も職人ということか。
何ともうれしいことじゃないか

ジョルポルの人GJ

714 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 11:26:53 ID:lUAfPtSa
まだまだ時間を止めていられるぞ!

715 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 15:03:21 ID:cCki/2AE
仮面のルイズ最高です!!
頑張ってくれ

716 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 17:47:11 ID:wJLPLZhP
ボス〜なんか投下されるまでの時を吹っ飛ばしてくださいよぉ

717 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 22:14:54 ID:0tRRHZq9
時がぶっ飛ばされまくってるな。

718 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 22:35:24 ID:Ez4Mt6Kw
神父様…早く仕事にもどってくださいよ…

719 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 22:56:21 ID:2UrqlpzE
まぁ減速するのは仕方ないだろう
いつもこうなると言われるようにいままでが異常だったんだろ


720 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 22:56:28 ID:LzqwxM64
神父様は今ダーティなところに十字架を落としてしまって困っているのです

721 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 23:00:45 ID:FveC8yo4
それはスティクス神父www

722 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 23:25:19 ID:Ez4Mt6Kw
>>720
違う違う。神父様は今ちょっとベルファストで
化け物狩りしてる所

723 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 23:26:59 ID:Wn03HYgv
神父なら今私の隣で寝てるよ

724 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 23:27:51 ID:Ez4Mt6Kw
>>723
アッー!乙

725 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 23:29:30 ID:6usB5UnI
>>723
DIO様乙
MIHはあとホワルバが手に入れば完成するんでもう少し待ってください

726 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 23:31:14 ID:LzqwxM64
>>725
ボス乙

727 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 23:31:35 ID:wJLPLZhP
>>725
それよりもエアロスミスが出ない
一回能力DISCがバイツァしたからまた探さないといけないんだ

728 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/29(木) 23:52:18 ID:Ez4Mt6Kw
俺は最近吉良で統一するつもりで集めてるんだ
だもんで強化がめんどくさいのなんの

729 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 00:02:31 ID:pFjsDyO9
キラー・クイーンがでない…
キラー・クイーンがでれば、次に…と思ってるんだけど、
ホワイト・スネイク、ウェザー・リポート、ホワイトアルバム、ハーヴェスト、ドラゴンズ・ドリーム、
何故ヤツだけでない!
もったいなくて捨てれねーんだよ、DIOの骨が大量に余ってんだよ!
ボヘミアンに挑戦できねーんだよ!

730 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 00:02:37 ID:bQc0ZnI6
流れを切ってすまないが、座談会ネタを思いついたので10分に投下してもおk?

731 :シエスタ座談会:2007/11/30(金) 00:11:27 ID:bQc0ZnI6
星屑シエスタ「『座談会』…自分とおしゃべり出来るなんて不思議ですね。不思議と言ったら…私の所に承太郎さんっていう不思議でとっても優しくて、頼りになる人がいるんです。皆さんの所はどうですか?」
静かシエスタ「私の所では使い魔の方でヨシカゲさんって、少し変わってらっしゃいますけど優しくて頼もしい方がいらっしゃるんですよ」
魂シエスタ「シーザーさんは『波紋』っていう洗濯に便利な技が使えるんですよ……Hな所はよくないと思うんですけどね…」
来訪者シエスタ「イクローさんは人間の魂に近づこうと努力している本当に立派な悪魔さんなんですよ!!」
サブ・ゼロシエスタ「私の所は使い魔のギアッチョさんだけじゃなくて、貴族のミスタ・グラモン、ミス・ツェルプストー、ミス・タバサ、それにミス・ヴァリエールが優しくてとっても素敵なんです。」
風虚無シエスタ「ミス・ヴァリ…ルイズさんは優しい方ですよね…あの方はただの平民の取るに足らないメイドである私の為に戦って、私の事を『お友達だ』って言ってくれたんです」
仮面シエスタ「ルイズ様は…立派な方ですよね…(ルイズ様…貴女は喩え世界が変わっても『貴族』なのですね。私は『吸血鬼』の貴女でなく、そんな『貴族』の貴女を滅ぼさなければいけないのですか…?)」
帽子シエスタ「そう!ルイズ様は!!何処の世界でもルイズ様は最も最も最も最も最も最も最も最も美しいイイイイイイイ!!!!!!((*´Д`)/lァ/lァ/ヽァ/ヽァ ノ \ア ノ \ア / \ ア )」
DIO魔シエスタ「この世にDIO様より美しい者も、物も存在する筈有りません」
白蛇シエスタ「サイトさんの手と比べてしまったならこの世の全ては霞んで見えてしまいます」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

DIO魔シエスタ「『貧弱なお子様』」
白蛇シエスタ「『貧民上がりの負け犬吸血鬼』」
DIO魔&白蛇シエスタ「「……もう一度言って貰えますか?」」

┓¨┓¨┓¨┓¨┓¨┓¨┓¨┓¨┓¨┓¨┓¨┓¨┓¨┓¨┓¨┓¨┓¨┓¨┓¨
┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ 

???シエスタ「そんなに素敵なら…」
兄貴シエスタ・ヤバイ量のお酒がIN!!ver「そんなに素敵にゃら…告白れも何れもすればいいじゃないれすか!!!!」
DIO魔&白蛇シエスタ「「な…貴女には関係の無い事で…」」
兄貴シエスタ「そんな事どうれも良いんれす!!」
兄貴シエスタ「なんれ貴女達こんな所で油を売ってるんですか?無駄な時間を過ごしてもし戻った時に大切な人が居なくっていたらろうするんれすか?
大体大切な人を自慢したい気持ちは解りましゅが、人に売るのは喧嘩を売るような真似はいけません!!
そんら事をしては逆に貴女達の大切な人が悲しんでしまいます!!それで良いんれすか!?良い筈無いれしょう!!
それに……アーダコーダ……しかも!!…ウンタラカンタラ…」
DIO魔&白蛇シエスタ「「助けて(ください)サイトさん(DIO様)…」」
兄貴シエスタ「聞いてるんれすか!?ふたいとも!?!?!?」

732 :シエスタ座談会:2007/11/30(金) 00:14:28 ID:bQc0ZnI6
DIO魔&白蛇シエスタ――説教くらって『もう二度と兄貴シエスタを怒らせないようにしよう…』と決意する。ギリギリ再起可能。

説教食らってないシエスタ達――直ぐに逃げたので何とか説教に巻き込まれずにすんだ。最も恐ろしい酔っ払いの片鱗を見る。

兄貴シエスタ――そのあまりの迫力から『酔いどれのシエスタ』と呼ばれ、『オールド・オスマン』や『烈風カリン』と並ぶ生きた伝説となる。

星屑シエスタ――もし、自分に『好きな人と幸せに暮らすENDがある事』を兄貴シエスタにバレてしまってたらDIO魔や白蛇とは違った形で絡まれていたのかも…と内心ビクビクしてた。

以上、投下したッ!!

733 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 00:34:34 ID:pFjsDyO9
GJ
自分も、とある座談会を避難所に投下しようかと思ってるんだけど、
まとまらなくてねぇ

734 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 00:53:10 ID:2yH3AUOa
シエスタすげえ乙

735 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 00:56:40 ID:X7bauOm4
シエスタだけでもずいぶん個性があるなー

736 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 01:14:52 ID:ZlLB1/3n
GJ! いい、実にいい!
ほとんど一言二言しか話してないのに特徴がありありと出ている。
『貴様、これらの作品を読み込んでいるなッ!?』って言いたくなる程に!
おまえの作品に対する姿勢ッ! 僕は敬意を表するッ!

そして、その中に含まれていなかった事にショックを隠しきれないッ!
シエスタの出番、あまり無いからかなあ…。



737 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 01:24:07 ID:Z8gcEGCI
>>736
よう、俺。

738 :来訪者:2007/11/30(金) 07:23:02 ID:rdJBlCZk
前回ぼちぼち最低野郎どものゲームが出るからしばらくハマって書けなくなると思って間が空くと書いた
しかしSD魂のゲームがでるまでに一本かいとこうと思っていたが、間に合わず
昨日はとりあえずちょっとやってから、仕上げようとしたんです
こうして朝日を拝んでいるのは、きっとキングクリムゾンを喰らったせいではないかと…

とりあえずちょっとだけ投下

739 :ゼロの来訪者:2007/11/30(金) 07:24:20 ID:rdJBlCZk
「はい?」
エレオノールの言葉に世にもマヌケな声をあげてしまう育郎。
「だから、私の胸をもうちょっと大きくできないか聞いてるのよ!」

エレオノールは、いわば才色兼備を地で行く女性である。
魔法の腕は言うに及ばず、学問を良く修め、若くしてアカデミーの研究者として
その非凡な才を発揮している。容姿に関しても、特殊な趣味の人間でもない限り、
彼女が美しくないと言う者はいないだろう。
無論、それは生まれついての才だけでなく、彼女自身の努力によるものも大きく、
それゆえに揺ぎ無い自信と誇りを培っていた。
だからこそ、とある事を成せぬ理由が

    『 結 婚 で き な い 』

のが何故か、彼女にはわからなかった。
ただ単に性格が半端なくきついからだけなのだが、残念ながら彼女はその事に
気付いていない。
己を完璧とまでは言わずとも、そこらの淑女になど劣らぬという自負もある
エレオノールにとって、同年代の友人たちが次々と結婚していくなか、一人
取り残されるという現状は耐え難いものであった。
そんなエレオノールであるが、唯一つ、己自身欠点と認めている部分があった。

胸が小さい事である。


740 :ゼロの来訪者:2007/11/30(金) 07:25:11 ID:rdJBlCZk

どっちかというと、胸がないと言った方が正しい。
となれば、『胸を大きくして』と言うよりも『胸をあるようにしてほしい』と
言う方が正しい表現な気もするが、どうでも良い事なので放っておこう。
と言う事で、バーガンディ伯爵との婚約を解消されたエレオノール嬢にとって、
婚約解消の原因、とまではいわずとも、この…機能的な胸がもうちょっとこう…
なんとかなっていたら、なんとかなったのではないかなぁ、そう考えたのである。
もちろん彼女自身も努力をしなかったわけではない。数々の豊胸グッズや
民間治療?を試してきたのだが…当然の事ながら失敗を積み重ねていた。
さすがのエレオノールも諦めかけていたその時、彼女の目の前に長年身体の
弱かった妹を、非常識なまでに健康にした医者が現れたのである。
この男ならなんとかしてくれるのではないかと、一縷の希望を胸に秘め、
婚約解消の傷心の中、エレオノールは恥を忍んで、忍びきれないので酒の力で
勢いをつけて育郎の部屋までやってきたのである。

「あの…そういうのはちょっと…」
が、即座にその希望は潰えた。
「う、嘘おっしゃい!この私の言う事が聞けないって言うの!?」
エレオノールが赤い顔をさらに真っ赤にして育郎につかみかかる。
「別にカトレアぐらいにしろって言ってるわけじゃないのよ!?
 ちょっと!ほんのちょっとでいいから!」
「お、落ち着いてくださいエレオノールさん!
 ほら、随分と飲んでるみたいですし」
「それがどうしたのよ!?しらふでこんな事頼めるわきゃないでしょ!」


741 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 07:25:36 ID:lR/CBqbj
シ・エ・ン

742 :ゼロの来訪者:2007/11/30(金) 07:26:00 ID:rdJBlCZk

「むう、やはり駄目だったか…」
扉の前で聞き耳を立てていたヴァリエール公爵が、エレオノールの大声に思わず
そう呟いてしまう。一瞬『やはり』とか考えるのは親として如何な物か?
と思ったが、それは平民が貴族に言い寄られて恐れ多いから、と無理やり
思うことにする。
「さて、どうするか」
このまま部屋に入っては、下手をすればプライドを傷つけられたエレオノールが
あの平民の首の一つでもしめている光景を拝む事になりかねない。そうなれば
責任をとらすどころか、我が娘の凶行を必死で止めねばならなくなる。
となれば暫く様子をうかがう方が良いだろう。もしかすると耐えられず部屋から
逃げ出す平民を捕らえる事ができるかも知れない、そうなればこっちのものだ、
無理やり責任を取らせばよい。
しかし問題がないわけではない。
下手をすればエレオノールが怒りのあまり、あの平民を半殺しどころか全殺しに
してしまう可能性も否定できないのだ。
「まあ、その時は無かった事にするか」

743 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 07:27:03 ID:lR/CBqbj
公爵マジ外道支援

744 :ゼロの来訪者:2007/11/30(金) 07:32:08 ID:rdJBlCZk

「落ち着きましたか?」
育郎はつかみかかるエレオノールを、なんとかなだめて、椅子に座らせることに
成功させていた。
「ええ、落ち着いたわ。だからどうして私の頼みが聞けないか答えなさい」
「いや…そんなこと言われても」
むしろどうして自分が胸を大きくできると確信しているのか、逆に聞きたい
ぐらいなのだ。そんな事言われても困る。
「言えないなら私の胸を大きくしなさい」
「………」
どうやら酔いと執念とか渇望とか、なんかそんな物が混ざり合って思考が
おかしくなっているようだ。
「そもそもなんでそんなに…その…」
『必死なんですか?』という言葉が出掛かるが、なんとか飲み込む。
「大きくしたいんですか?」
「なんで…ですって?」
ゆらりと幽鬼の如く立ち上がるエレオノール。
「あの…エレオノールさん?」
「そもそも男が胸の大きい娘が好きなせいでしょうが!
 あんな脂肪の塊の何処がいいのよ!何処のがいいのよ!
 なんで私には無いのよ!ちくしょう!」
迫り来る拳を見ながら育郎は、『何処の世界でも酔っ払いはたちの悪いものなん
だなぁ』などと、何処か諦めながら考えたのだった。

745 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 07:32:16 ID:N5y3MKHq
紫煙するぜ

746 :来訪者:2007/11/30(金) 07:33:52 ID:rdJBlCZk
投下終了

このエレオノールさんは大量にアルコールが入っています
本当のエレオノールさんは理性的な人間です
中身も17歳だし

747 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 07:35:49 ID:lR/CBqbj
来訪者さん乙&GJ
エレオノールさんはどこでも壊れる運命なんだなぁ。
まぁいっか。原作でもそんなんだし(w

748 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 08:23:06 ID:gum/29Yj
GJ!


僕は機能的な方が好きだけどな〜

749 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 11:18:34 ID:m3jx0KbZ
GJ!

私も機能的な方が… ただ、性格が重要だから、ルイズよりタバサさんの方がベネッ!(おぃ

750 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 11:22:21 ID:sRk1TFuK
トリスティンにはキツイ性格がたまらんっというような猛者はいないのかね

751 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 11:25:00 ID:m3jx0KbZ
はっ… そういえば彼が居たな。<猛者
エレオノールさんには、マルコメ味噌を進呈しようッ!

752 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 11:45:00 ID:bQc0ZnI6
風上のマゾコルヌ、種馬のギーシュ、馬鹿犬の才人、オールドスケベ・オスマン。
なんだ結構御姉様の相手居るじゃないか。
>>736>>737
最初はもっと色んなシエスタを出す予定だったんですが、「これ小ネタってレベルじゃねーぞ」という長くてクドイ文章になってしまったので泣く泣く削る事になってしまいました。

753 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 12:59:11 ID:aMg7dCHB
おっぱいは大好きです
でもおしりとふとももも大好きです
GJ!
>>752
よし
避難所にフル投下だ

754 :風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/11/30(金) 20:26:28 ID:wgauF7sq
うひょー

http://www.mediafactory.co.jp/files/d000172/zero13-thumb10.jpg

ゼロの使い魔13 聖国の世界扉
……あ、あんたなんか帰っちゃえばいいのよ

才人が元の世界へと帰るための方法を探してあげたい。でも、才人に帰ってほしくない。
二つの気持ちに戸惑うルイズ。
一方、里心がついた才人だったが、ハルケギニアで仲良くなった人たちを見て、心が揺らいでいく。
「こっちの世界にいてもいいんじゃないか」と思い始める才人。
そんな折、女王アンリエッタより、ロマリアへと来てほしいと連絡がくる。
“虚無の担い手”であるルイズとティファニアへ告げるべきことがあるという。
それは、“虚無”に関する重要な秘密だというが――。
アンリエッタの、ロマリアの意図は何か? ガリア王ジョゼフの思惑は――?
大人気の異世界使い魔ファンタジー、急展開の第13弾!

755 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 20:27:35 ID:wgauF7sq
うおうコテつけたまんまだった

756 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 20:30:04 ID:ZlLB1/3n
35分から埋めつつ投下したいんですけど構いませんねッ!?

757 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 20:33:56 ID:si/lzfw5
 | 三_二 / ト⊥-((`⌒)、_i  | |
 〉―_,. -‐='\ '‐<'´\/´、ヲ _/、 |
 |,.ノ_, '´,.-ニ三-_\ヽ 川 〉レ'>/ ノ 
〈´//´| `'t-t_ゥ=、i |:: :::,.-‐'''ノヘ|
. r´`ヽ /   `"""`j/ | |くゞ'フ/i/        かまわん
. |〈:ヽ, Y      ::::: ,. ┴:〉:  |/          投下しろ
. \ヾ( l        ヾ::::ノ  |、
 j .>,、l      _,-ニ-ニ、,  |))
 ! >ニ<:|      、;;;;;;;;;;;;;,. /|       ___,. -、
 |  |  !、           .| |       ( ヽ-ゝ _i,.>-t--、
ヽ|  |  ヽ\    _,..:::::::. / .|       `''''フく _,. -ゝ┴-r-、
..|.|  |    :::::ヽ<::::::::::::::::>゛ |_   _,.-''"´ / ̄,./´ ゝ_'ヲ
..| |  |    _;;;;;;;_ ̄ ̄   |   ̄ ̄ / _,. く  / ゝ_/ ̄|
:.ヽ‐'''!-‐''"´::::::::::::::::: ̄ ̄`~''‐-、_    / にニ'/,.、-t‐┴―'''''ヽ
  \_:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\ /  /  .(_ヽ-'__,.⊥--t-⊥,,_
\    ̄\―-- 、 _::::::::::::::::::::__::/  /  /   ̄   )  ノ__'-ノ
  \    \::::::::::::::`''‐--‐''´::::::::::/  / / / ̄ rt‐ラ' ̄ ̄ヽ ヽ
ヽ  ヽ\   \:::::::::::::::::::::::::::::::::::::/      /    ゝニ--‐、‐   |
 l   ヽヽ   \:::::::::::::::::::::::::::::::/           /‐<_   ヽ  |ヽ

758 :ゼロいぬっ!:2007/11/30(金) 20:35:44 ID:ZlLB1/3n

一方、ギーシュ達は水路内を一路ニューカッスル城を目指していた。
丘を包囲された彼等はヴェルダンデの開けたトンネルへと潜り込んだ。
本来なら水で満たされたそこは通り抜けなど出来る筈がない。
しかし、湖底で水の精霊とも戦った事のあるタバサには可能だ。
あの時と同じように、空気の玉を作り出して自分達を保護する。
そうやって彼等は水路へと侵入を果たしたのだ。

しかし周囲を壁に囲まれた水路の中では方向感覚も危うい。
城を目指しているつもりが、全然違う方へと向かっているかもしれないのだ。
胸中に沸く疑心を振り払いながら、彼等は自身の感覚を信じ突き進む。

そして彼等の前に巨大な水門が現れた。
異常な厚みを誇る鋼鉄の壁が行く手を遮る。
しかし、同時に彼等は確信した。
この先は必ず城内へと繋がっている。
恐らくは水路を伝って進入してくる敵を警戒しての物だろう。
無言でタバサが壁に触れた。
所々に破壊を試みた痕跡が残されている。
それに水圧で掛かる負荷の後押しもある。
今なら私でも壊せるかもしれない。
そう思い至った直後、彼女が動きを止める。

この水路、今まで歩いただけでも相当の距離があった。
まだ入り口さえも見ていないのだから、まだ続いているのだろう。
どれぐらいの貯水量か想像するだに恐ろしい。
ヴェルダンデの開けた孔から幾分抜けたといっても未だ危険。
ここは新たに小さな孔を開けて水を抜くのが先決だ。
しかし安全を優先するタバサに対し、キュルケはもう限界だった。
元より他人の視線を集めるのが好きな彼女である。
それが敵の包囲を掻い潜ったり、身を潜めたりなど性に合う訳がない。
ましてや出口を前にしてまどろっこしい真似など出来はしない。
二人の制止を振り切り、彼女は溜めに溜めたストレスを炎に乗せて解き放つ。


城門を潜り抜け、中庭を中心に兵士の一団が展開されていた。
それを指揮しているのは貴族派の士官。
率いられている兵士達の手には新式の小銃が握られている。
城内から響く銃声や断末魔、それに彼は呆れたように溜息を漏らす。
ワルド子爵が内より城門を破って後、貴族派の軍勢は電光石火の勢いで城内に踏み入った。
迎撃どころか防衛の準備さえも許さない完全な奇襲作戦。
瞬く間に彼等はニューカッスルを制圧できる筈だった。
しかし、半刻を過ぎても未だに王党派の抵抗が続いている。

頭数ばかりで実の伴わない軍隊に頭を悩ませる。
やはり無駄に兵を損耗させまいと傭兵を使ったのが仇となったか。
いかに戦闘慣れしているとはいえ、奴等は正規の兵ではない。
今頃、私掠に走って城内で金目の物か女子供でも物色しているのだろう。
だからといって、これ以上の兵を送り込んでも混乱を招くだけだ。

だが、ただここで手を拱いているつもりはない。
それに、傭兵達の暴走を差し引いても抵抗が長引き過ぎているのが気になる。
衰えたとはいえ、王党派にはバリーを初めとする数多くの優れたメイジ達がいる。
それは前もって王族と共にワルド子爵が排除しておく計画になっていたが、
もしも彼が討ち漏らしていたならば、魔法も使えぬ傭兵共では相手にさえなるまい。
かといって、真っ向からぶつかり合えば犠牲が大きすぎる。
故に傭兵達がその数を減らし、メイジが精神力を消耗させた所で正規兵を突撃する。
漁夫の利を狙うような形だが、元より使い捨ての駒。
誇りも持たぬ連中に掛ける情けなど無い。
いや、それさえも利用する我々貴族派も同じ事か。

759 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 20:36:22 ID:g3OWQ/JZ
支援しつつ、その間に新スレ立てさせていただきます。

760 :ゼロいぬっ!:2007/11/30(金) 20:37:22 ID:ZlLB1/3n

突如、中庭に響き渡る轟音。
それに隊列を整えていた兵達も俄かに騒ぎ始める。
雄叫びに似た異音は水門の方から聞こえてきていた。
包囲するように兵達が辺りを取り巻く。
「これは一体…!?」
完全に封鎖した筈の水路から何故音がするのか。
一部の兵士達からは、水圧に耐え切れなくなったのでは?との声も上がる。
もし、そんな事になったならば全員助かるまい。
押し寄せる濁流に城を包囲した兵達も一瞬にして流される。
下手すればニューカッスル城とて倒壊する恐れがあるのだ。
崩壊の脅威に怯える彼等の前で水門に亀裂が走る。

「た、退避ィィーーー!!」
指揮官に言われるまでも無い。
その光景を見た兵達が蜘蛛の子を散らすように逃げ出す。
我先にと互いを押し退けあいながら走る彼等の背中に水流が迫る。
人の足で鉄砲水から逃れられる筈など無い。
あっという間に彼等は水流の中に飲み込まれていく。
溢れ出した水は中庭一杯に広がり、ようやくそこで留まった。

「むう…全員無事か?」
泥沼化した地面から士官の男が身を起こす。
辺りには自分同様に泥塗れになった兵士達の姿。
予想よりも小さな被害に胸を撫で下ろす。
恐らく何処かより水路の水が漏れていたのだろう。
自分の手元に目をやると、杖が失せている事に気付いた。

「おい。誰か私の杖を知らないか?」
「……あ。ここに落ちてましたよ」
自分の問い掛けに誰かが答える。
目の前には差し出された自分の杖。
若干、汚れているが折れたわけではなさそうだ。
「おっと済まないな」
杖に手を伸ばそうとした瞬間、ふと顔を上げる。
そこにいたのは金髪の好青年。
見覚えの無い顔に首を傾げながら彼の服装に目がいく。
身を包むのは軍服ではなく私服。
つまり、彼は貴族派ではなく……。


「王党派か!?」
その一言にギーシュが凍りつく。
彼等が王党派ならば、そんな事は聞かない筈だ。
既に城内に敵が入り込んでいたのか。
最も安全と思われた城内は最も危険な場所と化していた。
それは自ら怪物の口の中へと飛び込むに等しい愚行だった。

761 :ゼロいぬっ!:2007/11/30(金) 20:38:42 ID:ZlLB1/3n

混乱していた周りの兵達も一斉に彼等に銃口を向ける。
それも十や二十程度じゃききやしない。
離れ離れにならずに済んだタバサ達は旋風の守りを張って防ごうとする。
しかし、彼女達から離れてしまった僕までは庇い切れない。
助けを求めるギーシュの瞳にタバサが何事か呟くのが映った。
何かの助言かと僅かに動く彼女の唇を必死で読み取る。
(…ガンバ)
「無理に決まってるだろォォー!? あ、わ…ワルキューレ円陣隊形!」
瞬時に四方を囲むように展開される青銅のゴーレム。
しかし全弾を防ぎ切るのは不可能…というか半分も防げるかどうか。
それだけでも人間一人挽肉にするのには十分すぎる。
横殴りの雨の如き鉛の玉を想像しギーシュの顔が青ざめる。

「っ撃ぇ…!」
号令一下、一斉に下ろされる小銃の撃鉄。
しかし弾丸は飛ばず、着火点から気の抜けた炸裂音がするのみ。
突然の故障に兵士達が困惑する中、ギーシュははたと気付いた。
そういえば父上が言っていた事だが、未だ銃や砲といった物は完成品とは程遠いらしい。
特に、銃口から水が入ったりすると中の火薬が湿気て撃てなくなる為、
大雨の日や渡河などでは大いに悩まされると聞いた。
恐らくは先程の濁流に浸かってしまったのだろう。

「…………」
「…………」
ギーシュと士官の男が互いに顔を見合わせる。
隙を突いて自分の杖を取り返そうと伸ばされる手。
サッとそれを躱し、ギーシュは杖を奪られないように上へと掲げる。
それに合わせて背後から襲い掛かったワルキューレが男を羽交い絞めにした。

「動くな! お前達の指揮官がどうなってもいいのか!?」
襟の階級章を確認したギーシュが叫ぶ。
その恫喝に銃を捨てて剣を抜こうとした連中は牽制された。
狼狽する兵達を前にしても、士官の男は余裕の笑みを浮かべる。

「フッ…無駄な事を。我が軍には敵の脅しに屈する弱卒など…痛たたたッ!!
やめんかッ! お年寄りは大事にしろと親から習わなかったのか!?」
ギチギチと締め上げられていく関節の痛みに泣き言が入る。
一瞬にして態度を急変する指揮官に、ギーシュも兵達も困惑を示す。
「え? だって脅迫には応じないんだろ?」
「ばかもんッ!! あんなの建前に決まっているだろうがッ!
兵士達の手前、ああ言わざるを得んのだ! それぐらい判れ!
退役を前にして持病の腰痛が悪化したらどうしてくれる!?
今、辞職したら軍から年金貰えんのだぞ!?」
「…あ、はい。済みません」
男の気勢に思わずギーシュが飲まれそうになるが、
それでも男を離さず盾にしたまま中庭から一目散に逃走した。
後から兵士達が自分に付いてくる様子はなかった。
そして少し距離を取った所で、喚く男を木に縛り付けて猿轡しておく。
連れて歩くには邪魔だし、無事で返すには危険すぎる。
ここに隠しておけばまだ人質に取っていると思って下手には動けまい。

762 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 20:40:16 ID:g3OWQ/JZ
新スレ立てました支援。

【ジョジョ】ゼロの奇妙な使い魔【召喚74人目】
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1196422707/l50


763 :支援:2007/11/30(金) 20:42:18 ID:d+HzAPkX
支援

764 :ゼロいぬっ!:2007/11/30(金) 20:42:33 ID:ZlLB1/3n

「さて、これからどうするべきか?」
何とか窮地から脱出を果たしたものの、危機に変わりはない。
しかしもう二度と水路は使えないだろう。
中庭には兵士達が大挙してるし、制圧された丘にも戻れない。
シルフィードでの脱出も不可能だとすると……。
“あれ? ひょっとして逃げ場がない?”
新たに判明した真実を前に僕は立ち尽くした。
直後、自分の後頭部に容赦なく響く激痛に振り返る。
「そんな事、後で考えればいいでしょ! 今は行動あるのみよ!」
「だけどルイズ達がどこにいるかも判らないのに…」
背後に鈍器じみた石を持って立つキュルケに非難じみた目で反論する。
場所も判らずに動き回れば、敵に発見される確率が高まる。
戦場の中を無策で行動するのは、あまりにも危険すぎる。

「……多分、あそこ」
突然のタバサの発言に二人が視線を向ける。
彼女の指差す先には、ステンドグラスの割れた礼拝堂らしき建造物。
タバサは彼の性格を熟知している。
彼ならば他に一切目をくれずルイズへと向かう筈だ。
そして丘を駆け下りた方向の先にあったのが、あの建物。
少し根拠に欠けるが他に当てもない。

タバサの進言通りに、礼拝堂を目指す彼等の目に不吉な影が過ぎる。
それは礼拝堂より立ち上る黒煙。
他の建物からは火の手が上がっていないというのに、
戦術的に価値もない礼拝堂が何故燃やされているのか?
“あそこで何かが起きている!”
口には出さずとも三人は直感した。
一刻も早く合流しなければと不安に胸を掻き立てられながら、
彼等は一路、礼拝堂へとひた走る!


「御無事ですか?」
猿轡を外されて男が激しく咳き込む。
同時に後ろ手に回されていた手の縄も解かれる。
ギーシュ達が去った後、秘密裏に数人の兵士が追跡していたのだ。
そして解放されたのを確認し、彼は部下に救出された。

765 :ゼロいぬっ!:2007/11/30(金) 20:43:35 ID:ZlLB1/3n

「追いかけますか?」
「バカを言うな。たかが三人相手に予備戦力を動かせるか」
目先の事に囚われる部下を一喝して、男はゆっくりと自分の身体を解す。
今更、数人の増援が何になるというのか。
まさか、この包囲から抜け出せると本気で信じてる訳ではあるまい。
どうせ敗れるのならば、仲間と共に死のうと決めたのだろう。
自分の命さえ顧みない無謀ともいえる勇気に、無用となった人質を殺そうともしない誇り。
明日のアルビオンを担うべき若者の命が失われていく事に、悲しみを通り越して憤りさえ覚える。
こんなやり方で本当に新しい時代がやって来るのか?
その時、一体誰がアルビオンを導いていくというのか?

「せめて、あのような者達が我が軍に十人といたならば…」
「は? 今、何と仰いましたか?」
「独り言だよ、歳を取るとやたら多くなるものさ」
部下にそう返事しながら背筋を擦る。
それほど窮屈に縛られなかったものの、
冷え込んできた所為か、腰骨にやたら痛みが走る。

「…寒いな」
「深夜ですからね。兵士達に暖を取らせますか?」
「そうだな。ついでに銃の点検も済ませておくように伝えろ」
「はっ!」
指揮官の命を受けて部下が引き下がる。
その背中に、男は聞き取れないような小さな声を掛けた。

「夜だからではない、アルビオンに寒い時期が訪れようとしているのだ」

展望さえ見えないまま、戦線を広げようとする上層部。
自国民を無視し、軍事力だけが肥大化していく軍隊。
それに協力する何処かよりの強力な支援。
陽の光さえ差し込まない、どこか冬の到来に近い感覚を彼は肌で感じていた。


766 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 20:44:25 ID:si/lzfw5
紫煙【パープルヘイズ】

767 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 20:45:18 ID:pFjsDyO9
握り締められた鉛よ、体温を超えられないはずの鉛よ、
紅く輝くまで熱をもて!支援。

768 :ゼロいぬっ!:2007/11/30(金) 20:46:28 ID:ZlLB1/3n
以上、投下したッ!
予告した所まで書き進められなかった。
しかしシリアスが増してくると、
この三人と使い魔たちの存在がオアシスのように感じられる。
>>762
スレ立て、乙!

769 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 20:48:52 ID:g3OWQ/JZ
ゼロいぬ乙&GJッ!

・・・貴族派って一体・・・

770 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 21:39:04 ID:azpTL68e
この名もない士官さん、使い捨てにはちょっと惜しいキャラだったなw
いぬさんGJ!それと>>762乙!

771 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 22:13:45 ID:h6g/xt+2
今日のわんこ乙!

772 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 22:18:13 ID:cRTLrPH8
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773 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 22:20:46 ID:cRTLrPH8
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   .l : : `''- ..,,,,,,,,,............ --‐‐: : : : : ,.. --‐‐‐‐‐、,: : : : : : : : : .`" `: ." .....,,二,゙,゙_,゙.    '"..,,`'-、 .,.‐''‐、
    ヽ: : : : : : :    : : : : : : : ._.... .‐" - ‐"'-_,;ニ_ `''-,: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : . ̄ ̄´.  :     ヽ_/
     ヽ.: : : : : : : : ._、: : : ., ''ミ,, .ヽ . ヽ .---...'、/ / /`,",、 `\,,: : : : : : : : : : : : : : : : : : : _..-'"-": : : 、 .'、
      `' ...‐-‐'''"´: : / ‐ ,, "  ... ..、  / ,i`'- '....'-._./   .../ ‐- ..,,_.: : : : : .-‐'"´: : : : : : : : : : .ヽ " . -、
     ,.. ‐'' ,二ミ"'- : ! ヽ ヽ ` /  !    .´        /'"/`,、 i‐ ´.l: : : : : : : : : : : : : : : : : : : ` /
   /,..-''"    : : : : ...l .-‐ l゙: .,ゝ  ."            `.\/_/ヽ´‐ ": : : : : : : : : : : 、.  ..,,,,....、  ,゙''''
  .,i'./ ´       : : : : .ヽ,,,,,,./ i"  ..-、   ._,,..--......,,    ../ !´ -,i / : : : : : : : : : : : : .`"'‐---‐ l
.___!       ,,, -'''""___   ヽ‐'' .i' ."'''''''-''ニ'''''-..,: `ヽ     ` .- .、: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : /
 : : .``''‐、,  / _,, -'"    `" .|, .!- |      `''- ,`'i .l    ../ ;;_  |: : : : : : : : : - ..,_: : : : : __ ./
    : : : : `./ .,/´  ._.. -‐‐-..,,_: ヽ  "         "." .,  /     / : : 、.: : : : : : : : .`""´´/
     : : : : : l.` .i''"´     .,,,,,゙'‐ヽ.  --- ..,,,      .,./ /.`/ 、"' / ..、: : : .`'‐ .._.: : : : ,, /
 : : : : : : : : : : l ` ''"/      .'" 、 `''-..,,    .'‐ ._,,.. / : : ヽ,__..‐',,,,, : .` ............ -`-'"´
   : : : : : : : : : ヽ  . ,/,゙_     /    ., ``"''''''"´´.-、,'-、.: ヽ .、   `'-、.ヽ
   : : : : : : : : : : .´ ./  ._./   . /  ,./ ´: : : : : : : : : : : : : .ヽ ゙l: ,゙..,,,,,_    ...l \,
  : : : : : : : : : : : : ,  .\, ,/´ ./     : : : : : : : : : : : : : ! .,./    .`;;  !: .! : : : `'-、
  : : : : : : : : : : : : : . l,.   ´    ./       : : : : : : : : : : ,, .!     l   `'、: : : : : : .ゝ
 : : : : : : : : : : : : : : .、 \    l,  !     :  : : : : : : : : : ./  \,,,,,,,,.../ i'. ̄ヽ  : : : : : /
 : : : : ,i': :  : : : : : : l゙  `'-..,,." l.: : : : : : : : : : : : : : /      ,/´ |. .,./ : : : : : /
、 : : / : : | :  : : : : . l  .,   `'-..ゝ: : : : : ._,, ---‐'" . 、   ./  -,  .`'".ヽ: : : : : : . \
..ヽ: !: : : .,!:  : : : : : ヽ  `-,,.    ,゙..--'"   ,     ゙l ../,,,,   .` _/ . ! `"'''''-,: : \

774 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 22:21:16 ID:9MjEIJDb
>埋メイクイーン
……じゃがいもですか?

775 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 22:22:22 ID:cRTLrPH8
>>774
YES YES YES

776 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/30(金) 22:22:31 ID:WxhEQnN2
                                           _            _j匚_`T
                                              ,'   /           _}__,ノヾこレ-、
                                             ,'   ./          ,r‐レ'´- .-‐1l  `l  俺がスレを埋めた…
                                  、wwィ           ,'   /          |  |_   | ヘ.  ',
                                〈 `V、       ,'   ./              <´ ! __ | ,ハ  ',
                               ,  -‐ ーく ヘ       ,'   /     .        | ,ノミ.---ソ T´  ノ
                            ,ノ´厂丶.  \L     ,二.´             ノ´ / 、   ̄┌ '^>!'´
                            _,∠∠     lヽ!   }    {  {            | /   \  └.r'゙リ
                    rュ」^レ',´ .// . `ヽノ‐‐{ ` 7'゙    `"´            レ1   / ',    い、
                    {ヨ ,r'´ 八」.   {   ノ`""ヽ__                    / .|  /   、   { . 丶
                      `7゙    ,ノ''!   `l  L.ィ´_ n┘             ,   ''"´ ̄ ~"''  、  \  `l   \
                   ┌{_    j.  〉   _`ヽ [H」L!┘         .,  '´,   ''"´!  「~"''  、丶,ハ   \ 、}
                  !  )  く   ヽ〔`´ .`K__           ,  '´,  '´   ー一'll  | イ    .\\.\.  ヘ
                      `〔  ,ノ、    `ヾ´   `ヽ.__       /´, <.       , |l  |"´! ~"''  、>'7´`'  {
                   チ‐1ノ     __ ー‐─ 、rべ    //´ >`""" 了゙Y´  .!l  ! |.   / _ ,'      ゙ヽ.
                       /.   ''"´,r.' ´   `ァ'´./ ~"''    //_,/´        ! . |   レ‐h |.  r ''"´__`ヾ ''   ,.  ':,
             ,   ''"´    ,r'´    /  /       `V        |  !__,!___!j  `ア´rヘ. .',     `'  ':,
              ,ノ´       ,r'´    ,r'── ャ- .._      ',. '' 二"゙丁¨´   |   |      /´ ,'.  ',  ',        `l
.          /       , ィ'´      'ー,z'ニ', ',   ~"''  .._ \──┴──.┐ |      ,'   ,'.   ',  ',       ト、
.         /  -‐ ''7"´ ,' ,'      ,r'´   .', ',           ~"7\       |  |     ,'   ,'.    ',  ',        l. ':,
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    /       ,'  ,' ,'.    /             /,r'´ ̄ \    ',   |  `!  ,! !     |   |      ',  ',       l.   ',
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     /'' "~    _ ,ム,    !              |  |  | O | .| |     | |   |     !    |.   ',       ',  ',         ト .._ \ 

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