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【ジョジョ】ゼロの奇妙な使い魔【召喚70人目】

1 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 19:52:08 ID:nSq8FjqR
携帯でご覧の方は携帯ビューアのorz もしくは携帯用2chブラウザiMona をご利用ください
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【iMona】http://imona.net/
     _      ここは「ゼロの使い魔」と「ジョジョの奇妙な冒険」のクロスSSスレよ。
    〃 ` ヽ     他にも避難所にしか掲載されてないSSとかもあるから一度見てみなさい 
    l lf小从} l /    投下中は空気読んで支援しなさいよ 荒らしはスルーだかんね
   ノハ{*゚ヮ゚ノハ/     職人さんは荒らし防止にトリップを付けてよね
  ((/} )犬({つ'      次スレは900か950を踏んだ人が立てること
   / '"/_jl〉` j      480KBを超えた場合も立てるのよ。 わかった?
   ヽ_/ィヘ_)〜′

【ジョジョ】ゼロの奇妙な使い魔【召喚69人目】
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1191947281/l50

●まとめサイト                               ,〜'´  ̄ヽ
http://www22.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1.html         ミハ^^ヽヽ(   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
●避難所.                           ____. -' ヽル::::д)ζ <批判は避難所だ!君の意見を聞こうッ!
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9292/     =='、 ̄ニ|::... . . . . ...::::: :: ::〉:::.:ヽ     |_________________
●ジョジョの奇妙なAA集               ' ´   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`!:::::::::::.. :i
ttp://jojoaa.web.fc2.com/                         `y::::::. ::ト、
●ジョジョスレUPローダ                            〉::::::::. .::`ヽ
ttp://vblave.hp.infoseek.co.jp/                        ハ:::::::: ..:λ:i
●アニメAA保管庫 ゼロの使い魔ページ                /:::::::::: .:/::::i´
ttp://aa.tamanegi.org/anime/zero-tsukaima/
*******************************************************
*スレ運営について意見のある方は運営議論スレへどうぞ    . *
*http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9292/1184936505/ *
*******************************************************

2 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 19:54:04 ID:nSq8FjqR
第一部+第二部
ジョナサン 卿 ブラフォード シュトロハイム シーザー スケコマシーザー
究極生命体カーズ様 スト様 石仮面+ブルりん+吸血馬

第三部
承太郎 法皇花京院 一巡花京院+平賀才人 メロン花京院
ジョセフ アブドゥル ポルナレフ イギー 
DIO様 ンドゥール ペットショップ ヴァニラ・アイス ホル・ホース
ダービー兄 ミドラー デーボ エンヤ婆 アヌビス神 ボインゴ 

第四部
東方仗助 仗助+トニオさん 広瀬康一 アンリエッタの康一 虹村億泰 ミキタカ+etc 間田
シンデレラ カトレアのトニオさん 岸辺露伴 静(アクトン・ベイビー)+露伴
デッドマン吉良 猫草 キラー・クイーン 

第五部
ブチャラティ ポルナレフ+ココ・ジャンボ(亀ナレフ) アバ茶 ナラ・アバ・ブチャ組
ルイズトリッシュ マルコトリッシュ ナンテコッタ・フーゴ アバ+才人 ジョルノ  ミスタ
ディアボロとドッピオ プロシュートの兄貴 リゾット ローリングストーン 偉大兄貴
ギアッチョ メローネ 俺TUEEEディアボロ ペッシ ホルマジオ スクアーロ
暗殺チーム全員 紫煙+緑日 ブラック・サバス セッコ 亀ナレフ+ジョルノ

第六部
引力徐倫 星を見た徐倫 F・F アナスイ ウェザー エルメェス エンポリオ ヘビー・ウェザー
プッチ神父 帽子 ホワイトスネイク 白蛇ホワイトスネイク

SBR
ジャイロ+才人 ジョニィ マイク・O
リンゴォ マウンテン・ティム Dio

バオー+その他
橋沢育郎 バオー犬 味見コンビ(露伴+ブチャ) 決闘ギーシュ タバサの奇妙なダンジョン

3 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 19:56:27 ID:nSq8FjqR
・スレッドが1000に満たなくとも、480kbをオーバーした場合には新スレを。
・行数は最大で60行。 一行につき全角で128文字まで。
・4096Byts、全角だと2048文字分。
・専用ブラウザなら文字数、行数を管理してくれるので目安がつけやすいかも。

4 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 20:08:24 ID:IvvY4BiR
もしかして新スレですかァーーーッ!

5 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 20:09:05 ID:Su6g15ah
最高に>>1乙ってやつだぁッ

6 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 20:12:01 ID:AC5h+w8S
            , -―  ――-、
             /に    (ニ==\
         //')      に二) (ヽ   新スレを立てやがったなッ!
         〃____,r^)__,r、(ニユ|  よく立ててくれたよなぁぁぁぁぁぁ
         i!   ● / /●  ヾヽヽ,!      >>1鬱!……
          ヽニ⊃,// ⊂⊃}:}ソi   …じゃなくて>>1モツ!
        /⌒ヽ__ ヘ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~/⌒ヽ
      \ /:::::  >,、 __, イァ/   /
.          \     |三/ []「/__ /
         `ヽ「ミヾr‐ 、[]「ヾ三/


            , -―  ――-、
             /に   u (ニ==\   …は違う…
         //')  u    に二) (ヽ  うぐぐ………
         〃____,r^)__,r、(ニユ|  >>1己…じゃない……
         i!   ● / /● uヾヽヽ,!  >>1没でもなくて……
          ヽニ⊃,// ⊂⊃}:}ソi
           ヘ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~`=ーノ
           /⌒l,、 __, イー-<
.          /lilili/ |三/^ oOo,ヽ
          |三 lキヾr-、[] 「! (ニ }


7 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 20:16:03 ID:qXau00D4
>>6
            -‐ '´ ̄ ̄`ヽ、
          /・・/:・,へヾヽ・:\  
         〃 {_{ル'´    リ|l.│・:i| 
         レ!小ノ    `ヽ フ|l:i・ i|  
          ヽ|l ●   ●  |: ・|ノ! 
          |l⊃ 、_,、_, ⊂⊃j |・, |  それは>>1乙なのさ
        /⌒ヽ__|ヘ   ゝ._)   j /⌒i !
      \ /X)| l>,、 __, イァ/  /.|
       '<X)( i|l:::: i "Tーイ'{ヘ、__∧|
        \,,t|l:: lヾ#| /##X:::彡'
          |l::・:lX)(∨X)(X)(X|'

8 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 20:19:00 ID:RTpla1ks
          ,r_.ェ-_、_
          /::と Z つ:::`ヽ、
         /::::::::::::(._フ" ):::::::::ヽ
       ':::::::/:::::::::`'''´::::::::::::tタ',
       l:::::::f:::(((ぅ:::l::::i:::l::::::l:::l:::',          よくやったぞ!>>1
       l:::::::i:::::::l:_:_:|_:_凵⊥l-|:l::|          この究極乙がッ!
      ',:::::::!::::::|で6ラ')ノィ5ラ川
       ヽ::::i::::::l  ''"'( ::{;i::::j::リ`二ヽ-、   __  もう一ペン出てきたら
       {ヽ::l::::::l     、.ノ::://ニ二:.eヽ ヽ‐=' O)  てめーを卿の養子にしてやる!!
       ハ \:::::l  ∈=':〃ニニニ::.’i }e、ヽ ̄
      ム e,\ヽドェ.、二ノ=-‐'`iニFl |  e、\   >>6
     /ヾ〉  e、`r― - = 二⌒i lニF|e|、_e、      乙だっ!!!
   /e、 ヾ〉 e、  \ _/ (r \| |-F|’| \ e、
  /  e、  ヾ〉  e、 //"   \rぅ|eF|el   \
 {e、\  e、ヾ>、/ l |l  \_.ノ´l’E|’!
  \._ `ミ>、/ ,イ[|l ll 、ヽ、.ノ, ,' 〃| l
   ヽ ,e´//e' rタ´e' `7''`r'' // (()j l
    \ /´{ rタ'´e' e'/ e、∨/ e、 ¨ l


9 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 20:26:09 ID:QJggfx1i
|ノルリル
レ=0=ル
|・ω・`) そ〜〜・・・
|o乙o
|―u'

|ノレルリル
| レ=0=ル
|(´・ω・`)
|o   ヾ
|―u' >>1乙乙ゥッ! <コトッ

10 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 20:35:52 ID:AC5h+w8S
>>7-8


      /  ̄ ̄ \
      /         ;,
      l <に)> ,r─┴-、     ト  ゥ  ー  ト  ゥ  ー
    /l      ー‐┬‐ノ    | ̄ ̄             __|__ |
  /,/丶        , ; .      |ー― \/ ´ ̄| 「 ̄`  |   | \/
/,/  /` ー--‐ く         |__ /\ 匚]__ !__,  |_ |  __/
/   ノムヘ /\/ヽ 〉ヽ
    ,/  ヽ(T) (T)   ヽ      (そのとおりでございます )
   / ,ヘ ヽ       ヽ 




11 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 20:48:05 ID:33UWa6VH
\\   First kiss か ら 始 ま る ふ た り の 恋 の              //
  \\   H I S T R Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y !    //
   \\       こ の 運 命 に 魔 法 か け た             //
     \\ 君 が 突 然 あ ら わ れ た ァ ァ ―――z___  ッ! //
       ,,,,,,,      ,,,,,,,      ,,,,,,,      ,,,,,,,      ,,,,,,,      ,,,,,,,
      |!i!ii|∩.    |!i!ii| ∩.   |!i!ii| ∩.   |!i!ii| ∩.    |!i!ii| ∩.   |!i!ii| ∩.
     ( ゚∀゚)彡  ( ゚∀゚)彡  (;゚∀゚)彡  (;゚∀゚)彡  ( ゚∀゚)彡  ( ゚∀゚)彡 >>1乙!>>1乙!
     (  ⊂彡.  ,,,,(  ⊂彡.  ,,,(  ⊂彡.   (  ⊂彡.   ,,,(  ⊂彡.  ,,,(  ⊂彡   ,,,,,,,
  ,,-''´  ̄ヽ    |!i!ii| ∩.    |!i!ii| ∩.    ,、 、      |!i!ii| ∩.    |!i!ii|∩.    |!i!ii| ∩.
  ミハ^^ヽヽ(∩. ( ゚∀゚)彡  (;゚Д゚)彡   ,ヘハ@ヘ∩.  ( ゚∀゚)彡  ( ゚∀゚)彡  ( ゚∀゚)彡
  ル ゚∀゚)ζ彡   (  ⊂彡.   (  ⊂彡.   ゞ ゚∀゚)彡  (  ⊂彡.   (  ⊂彡.   (  ⊂彡.
  (  ⊂彡゛    |   |     |   |     ( ノ::⊂彡.  |   |     |   |     |   |
   |   |      し ⌒J.    し ⌒J.   │  │   し ⌒J.    し ⌒J.    し ⌒J
   し ⌒J.                     し ⌒J.

12 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 21:26:16 ID:amspOGgM
このスレを立てた>>1の覚悟に敬意を表するっ!!!

13 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 21:42:17 ID:Vze7kD4q
>>4
YES! YES! YES!  ”OH MY GOD”

14 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 21:59:01 ID:Pk5KoPjj
>>1乙!
そして次の名無しの発言は「>>1乙すると心の中で思ったならッ!既に行動は終了しているんだ!>>1乙したッ!!」だ。

15 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 22:06:58 ID:DjyeqsnZ
>>1乙すると心の中で思ったならッ!既に行動は終了しているんだ!>>1乙したッ!!

16 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 23:11:36 ID:NBbM78mJ
             / ̄ ̄ ヽ,
  ─ = ニ ニ   ,/        ',
     ─ =ニ  {0}  /¨`ヽ {0},  バ〜カ!
   - - ─ ニ .l   ヽ._.ノ   ',
─ = ニ ニ 三 . リ   `〜'′   ',,           / ̄ ̄ ヽ,
          / ̄ ATYUMO  ̄\         /        ',
── = ニ   /=、。。。。。。。。。。。。。。。。r=、ヽ        |    {0}  /¨`ヽ 
 ─ =ニ三 (◎ ヽ-─────(◎  )       .l        ヽ._.ノ <>>1乙! 
    ノ◎、  |\  \       /  / |  /◎、  リ       `〜' )
   (_,rへ `ソ  /> ◎)      (◎く|  レ' ,rへ )  |          ノ
─ = ニ  \◎'/ /       \ ヽ、◎/     |二二二二二二二|
         ノ /          \ ヽ .      |_______|
 ─ =ニ三 ( ◎(             ) ◎)     (_⌒ヽ  /⌒_)
    ─ =  ー、_ら          ⊂、_,r´       ,)ノ `J  U´ '、(, )))
               アッチュ アッチュ アッチュ        アッチュ アッチュ アッチュ

17 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 23:55:40 ID:uOjA2UTz
このままッ!!【>>1乙】を!この!
レスの中に…………つっこんで!書き殴りぬけるッ!

18 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/19(金) 01:21:59 ID:O/qBGoRC
よし誰もいないな……投下してもいいかなー(タモさん)

19 :ゼロと奇妙な隠者:2007/10/19(金) 01:23:10 ID:O/qBGoRC
 パーティは城のホールで行われた。明日の夜を迎えられない王党派の貴族達は園遊会のように着飾り、御馳走が所狭しと並べられたテーブル達の間に立ち並んでいる。
 ジョセフ達は華やかで物悲しいパーティを会場の隅で眺めていた。
 パーティの最初に行われた、若きウェールズ皇太子と年老いた国王ジェームス一世のスピーチは臣下を思う王の意気と、死をも恐れぬアルビオン王党派の誇りを改めて証明するものだった。
 王は臣下に暇を出し、臣下達は誰一人としてヒマを受け取らず、死のみが待つ戦に赴くことを躊躇わない。
 ただ立ち上がるだけでさえ足がよろめくほど年老いた王は、揺ぎ無い忠誠を誓う家臣達を見つめる目に涙を浮かべながら、アルビオン王国最後の宴の始まりを高らかに宣言した。
 こんな滅亡寸前の王国にやってきた賓客が珍しいらしく、借物の正装に身を包んだルイズ達の元に貴族達は代わる代わるやってきては酒を料理を勧めてくる。
 まだ宴が始まったばかりだというのに、酒が回っているかのように陽気で朗らかに振舞う貴族達は、明日死に赴く悲壮さを微塵たりとも感じさせない。
 そんな彼らの誰もが最後に「アルビオン万歳!」と叫んで去っていく。
 さしものジョセフもこの宴を馬鹿正直に楽しめるはずもない。だがそれでもジョセフは貴族達に愉快な冗談を返し、彼らの喧笑を巧みに引き出していた。
 タバサは勧められた料理を次々と胃袋に収め、キュルケはあくまで宴の雰囲気を崩さぬよう、優雅と気品を漂わせて貴族達との会話に花を咲かせていた。
 ギーシュもややぎこちなさを感じさせるとは言え、それでもなお懸命に明るい場に相応しい振る舞いをしようとしていた。が、結局耐え切れなくなったのか会場の隅に座り込んでいた。そんなギーシュを見つけたウェールズが彼に歩み寄ると、二人で何やら会話を始める。
 ワルドは社交辞令を巧みに用い、どこに出しても恥ずかしくないパーティ向きの態度で貴族達と語らっていた。

20 :ゼロと奇妙な隠者:2007/10/19(金) 01:24:21 ID:O/qBGoRC
 しかしルイズは明る過ぎて物悲しいこの宴に耐え切れなくなったらしく、静かに首を横に振ると外に出て行ってしまった。
 足早にこの場を去ろうとする主人の姿に、ジョセフは手に持っていたワイングラスをテーブルに置くと自分もホールを去ってルイズの後を追いかけた。
 城中の人間がパーティ会場に集まっている今、城内はまるでホールとは別世界のように静けさと月明かりばかりが支配する広大な箱庭と化していた。
 真っ暗な廊下を、ジョセフは波紋の灯りを集めた右腕をかざし、時ならぬ太陽光を頼りに歩く。誰の気配もない以上、特に波紋を隠す必要もない。
 やがてホールの喧騒も届かない礼拝堂に辿り着くと、ルイズがそこにいた。
 ステンドグラス越しに堂内を照らす月明かりの中、長いすに座った少女は微かな嗚咽を漏らし続けていた。
 始祖ブリミルの像へと続く長いすの間に敷き詰められた絨毯の上を歩いていくと、ほのかな波紋の光に気付いたルイズが後ろを振り向いた。
 泣いていたことを何とか隠そうと目元を何度も拭うけれど、拭っても拭ってもルイズの両眼からは涙が止まることはない。
 やがてジョセフがルイズの横に腰掛けてしまえば、ルイズはたまらなくなってジョセフの胸に顔を埋めて抱きついた。
 ジョセフが来るまでも、ジョセフが来てからも、必死に泣くのを止めようとしていたが、堤防に押し留められていた水流が堤防を破るように感情があふれ出し、迸った。
 子供……いや、赤ん坊のように縋り付いて泣きじゃくるルイズを、ジョセフは無言のまま両腕で頭を包み込んで抱き締めた。
 パーティが続いている城内で、わざわざ礼拝堂に来るような奇特な人間はいない。ルイズはひたすらに泣き、流す涙も枯れた頃、充血した目でやっとジョセフを見上げた。

21 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/19(金) 01:25:11 ID:pOf8DrKI
いる そして支援

22 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/19(金) 01:25:54 ID:dMbCZQZ8
sien

23 :ゼロと奇妙な隠者:2007/10/19(金) 01:26:42 ID:O/qBGoRC
 それでもしばらくはしゃくり上げる声にならない音が小さな唇から漏れ続けていたが、それも大分落ち着いてきた頃、ルイズは悲しげに言った。
「いやだわ……、あの人達……どうして、どうして死を選ぶの? 訳判んない。姫様が逃げてって言ってるのに……恋人が逃げてって言ってるのに、どうしてウェールズ皇太子は死を選ぶの?」
 ジョセフはルイズを胸に抱いたまま答える。
「直接聞いた訳じゃないが、殿下は王族としての責任を果たすために死地に向かおうとしとる。生き延びるより壮絶に討ち死にしなきゃ守れないものもあるっつーこっちゃないんかの」
「……何よそれ、よくわかんないわ。愛する人より大事なものがこの世にあるって言うの?」
「あると言う事だろうな、少なくとも殿下にはな」
「わたし、説得する。もう一度説得してみるわ」
「多分ムリじゃろうな。ルイズでもなくてわしでもな」
「どうしてよ」
「レコンキスタのやり口からして、皇太子がトリステインに亡命なんかしたらレコンキスタがトリステインに攻め込む口実を与えることになる。んーまァそうでなくても、何か難癖つけて攻め込んでくるだろうがなッ。
大きな理由としてはそれが一番だろうが、わしはもう一つ理由があると思っている」
「……何よ」
「アンリエッタ王女がゲルマニアの皇帝と政略結婚せねばならんというのを知ってしまったからじゃ。ブリミルに誓った永遠の愛は今でも皇太子の中に根付いておる。そりゃあ皇太子だって自分の好きな女を他人なんぞに渡したくはねーわな。
 だがレコンキスタがいつ攻め込んでくるか判らない状況で、ゲルマニアと同盟を結べないトリステインは一溜まりもなかろう。

24 :ゼロと奇妙な隠者:2007/10/19(金) 01:27:51 ID:O/qBGoRC
 アルビオン王国は明日滅びることは確定、トリステイン、引いてはアンリエッタ王女を救う為には自分ではなくゲルマニア皇帝と結婚させる以外に道はない。
 故に、王女の未練の種になる自分が立派に討ち死にしてみせることで、王女の中から未練を取り払おうとしている、わしにはそう見える。
 愛する女に生きていて欲しいからあえて死んでみせる、わしの世界でもそういうこたァしてのけられる奴はそうはおらん。ウェールズ皇太子は随分と立派な皇太子じゃよ」
 それに、とジョセフは思った。
 もし生き延びてしまえば、王女が馬の骨に嫁ぐのを見送らなければならない。
(そいつぁイヤじゃよなァ)
 だがそれは言わない。言ってしまえばこれまでの話がダイナシになる。
 ルイズはぽつりと、呟くように言った。
「早く帰りたい……トリステインに帰りたいわ。この国嫌い、イヤな人達とお馬鹿さん達でいっぱい。誰も彼も自分のことしか考えてない。残される人たちのことなんて、どうでもいいんだわ……」
 若い少女に、全てを察しろというのは酷な話である。だからジョセフはその言葉を否定も肯定もせず、ただルイズの小さな頭を撫でていた。
「でも、でも……!」
 ルイズはジョセフのシャツをぎゅ、と握り締めて、搾り出すように呟いた。
「例え結婚できなくったっていいじゃない! 好きな人が生きててくれればそれだけでいいのに! 死んだら二度と会えないのに!」
 ヴァリエール公爵家三女でもメイジでもなく、ルイズという一人の少女の言葉だった。論理的ではないが、一理ある。

25 :ゼロと奇妙な隠者:2007/10/19(金) 01:29:02 ID:O/qBGoRC
 ジョセフは黙って、胸の中に抱いたルイズの頭を撫でている。ルイズは頭を撫で続けられながら、はっとした顔でジョセフを見上げた。
「……ジョセフ、右手出して」
「右手か?」
 包帯が巻かれた右腕を差し出すと、ルイズが手ずから包帯を解いていく。包帯が取られてしまえば、昨夜電撃で焼け焦げた無残な火傷の痕は、既に殆ど治っていた。
 ほぽ治りつつある腕を見て、安堵の溜息を漏らした。
「……良かった、殆ど治ってる」
「心配してくれたのか?」
 その言葉に途端に真っ赤になった顔で、あ、う、と言葉にならない声を断続的に発し、その後でちょん、と脇腹をつついた。
「……私を守るためにあんな大怪我したんだもの。心配だってするわ――ってカンチガイしないでよ! 使い魔がケガしたんだから主人が心配するのなんて当たり前じゃないの!」
 何も言っていないのに一人でヒートアップしてあたふたと言い訳を始めるルイズを、もう一度ジョセフはわしゃわしゃと撫でた。
「ルイズは本当に優しい子じゃな」
「ななな何を言ってるのかしらこのボケ犬!」
 茹で上がったタコのような顔で懸命に反論を試みるが、ジョセフはただ優しげに微笑んでいるだけだった。
 やがてルイズがジョセフの腕から離れると、もう一度長椅子に座り直した。
 しばし静寂が二人を包む。その沈黙を破ったのはルイズだった。
「ワルドに、結婚しようって言われたの」
「……そうか」

26 :ゼロと奇妙な隠者:2007/10/19(金) 01:30:11 ID:O/qBGoRC
 無感情に答えたのは、感情を出すと殺気じみたそれしか出ないのが判っているからだった。
「ワルドは……憧れの人だったわ。もしかしたら初恋だったかもしれない」
 けれどルイズはジョセフの返答につっかかりもせず言葉を続ける。
「でも……今はどうなのか、自分でも判らないのよ」
 互いの父が交わした結婚の約束。頼り甲斐があって優しいワルド。
 幼いルイズがぼんやりと思い浮かべていた未来、それが現実になろうとしているのに、今のルイズはそれを無邪気に喜ぶ気にはなれなかった。
 明日滅びる国を目の当たりにしているからだろうか。違う。
 親友の思い人が死地に向かうのを見送らなければならないからだろうか。違う。
 十年前の美しい思い出、十年も経った昔の思い出。
 魔法衛士隊グリフォン隊の隊長になったワルド。昔の思い出のまま、再び自分の前に憧れた憧れの人。
 そんな彼が結婚しようと言ってくれたのに。どうして、使い魔の老人に相談なんかしているのだろうか。
 自分でも判らなかった。だから答えが欲しかった。
 今、自分の心に影を差しているものの正体が、知りたかった。
「……ねえ、ジョセフ。結婚ってどんなもの? ジョセフが結婚した時、どんな気持ちだった? 結婚したら何が変わった? ――どうして、結婚したいって思ったの?」
 混乱した心を映す様に、ルイズの問いは順序を得なかった。
 ただ心に浮かんだ由無し事を問いかけただけだった。
 不意の質問をぶつけられたジョセフは、ふむ、と顎に手を当て考えた。
「そーじゃなァ、んじゃわしとスージーQの馴れ初めから話すとするか。わしがエリザベス母さん……その時はリサリサと名乗っていたが、母さんの召使をしていたのがスージーだった」

27 :ゼロと奇妙な隠者:2007/10/19(金) 01:31:17 ID:O/qBGoRC
「え……ジョセフって貴族なんでしょう? どうして召使と……」
「んあー、わしの世界じゃ五十年前でも身分制度がかンなり平坦になっとったからのォ。わしを育てたエリナお祖母ちゃんもその辺りは気にしない教育をしとったからな。後で結婚した時ゃ普通に喜んでくれた」
 ふむ、とステンドグラスを見上げて咳払い一つ。
「スージーは小生意気で小憎たらしくて大分粗忽モノだったが、なかなか可愛かった。まー憎まれ口ばっかり叩き合ってたが、嫌いじゃあなかった。
 で、柱の男達との決着をつけたわしは幸運にも漁船に助けられ、一命を取り留めた。ちょーどわしを助けた漁船のオヤジが母さんと知り合いだったんで、そのまま館に運ばれて療養することになった。
 あん時ゃマジで死ぬかと思ったわい。左手ブッた切られるわ火山の噴火に巻き込まれるわものすごい高さから海面に叩きつけられるわ左手に海水がシミてそりゃーいてェのイタくないの」
「話が横道にそれてるわよ」
 ジト目のルイズのツッコミに、ジョセフは悪びれず答える。
「まァまァ、そんだけ大変だったんじゃ。で、あれやこれやバタバタしてたもんで館にゃわしとスージーQとシュトロハイムだけだった。で、シュトロハイムに迎えが来て、その場しのぎじゃが義手も貰った。でも満足に動けんかったんで、スージーに看病されっぱなしでな」
 右手で顎を弄りつつ、五十年前の光景を思い出す。
「ありゃー、もうそろそろ春になる頃合で、三月になったばかりにしちゃけっこう暖かい昼のことだったな。ベッドに寝転がってスージーにリンゴむいてもらってな、食ったんじゃ。
 それがなんかえらくウマくてなァ、スージーと一緒に食べてうめェうめェって言い合っとったんじゃ。で、食い終わってもう一つリンゴむいてもらったんじゃが、その時のスージーの横顔がえっれェキレーでなァ」

28 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/19(金) 01:31:19 ID:pOf8DrKI
支援

29 :ゼロと奇妙な隠者:2007/10/19(金) 01:32:28 ID:O/qBGoRC
 脳裏に刻み付けたその光景を思い起こし、ジョセフはニシシと笑う。
「その時直感した、『こいつとならけっこーウマくやっていけるんじゃね?』とな。で、『結婚しちまおうぜ、スージーQ』と考える前に口に出とったな。スージーも驚いちゃおったが、満更でもない顔してニッコリ頷いたんじゃよなァーッ」
 くくくくく、と膝をバンバン叩くジョセフだが、横で聞いていたルイズは呆れ顔だった。
 何故いい年したジジイのノロケを聞かされなくてはいけないのか。
「ジョセフ、今の話の何処に私が参考になる点があったのかしら」
「本題はこっからじゃよ。結婚なんてそうメンドくさく考えるコトでもなくてな、やっちまえばそんな大したコトでもないんじゃな。逆に考えたら、本当に大好きな相手とならわしみたく考えんでスパンッと出来るようなモンなんじゃ。
 だがルイズは考えてしまう。何故結婚を躊躇うンか、そこを自分の胸に聞いてみたほうが早いじゃろ」
「…………」
 ルイズは、口を閉ざして思考に耽る。
 何だろう。ヴァリエールの三女だというのにゼロだと笑われるおちこぼれメイジなのに、スクウェアメイジと結婚できるはずないからだろうか。
 妻の話をするだけでこんな嬉しそうな顔する使い魔を元の世界に戻すまで結婚なんかしてられないからだろうか。
 それは理由の一つだ。決して小さくはない。だが決定打じゃない。
 じゃあ何、と考えようとして――ルイズの耳が真っ赤になった。
 かなり早いうちにそこに行き着こうとはしていた。でもその考えを懸命に否定しようとしていた。だが何度考えを巡らせても、そこに辿り着く。
 それが本当の気持ちなのかなんて、判らない。でも確かめる価値はあるんじゃないだろうか。

30 :ゼロと奇妙な隠者:2007/10/19(金) 01:33:39 ID:O/qBGoRC
 例え使い魔だろうと老人だろうと。
 どんなに感情が高ぶった時でも、異性の胸に抱きついて縋り付いて泣いた事などなかったのだから。
 意を決して、顔を上げる。そうすればじっと自分を見つめているジョセフと視線が合い――
「ふんッ!!」
 裂帛の気合と共に、渾身のチョップがジョセフの脇腹に入った。
「え、えェーッ!? わ、わし今何も悪いことしとらんぞ!?」
「う、うるさいうるさいうるさいッ!」
 脇腹をさするジョセフから顔を背け、荒くなった呼吸と、胸の中で暴れる心臓を宥めにかかる。
 これはマズい、これはどうしようもない。ここに来て目を背けている訳には行かなくなった。これは大きすぎる。これでは結婚できるはずがない。
 たった今、自分の中を駆け巡った感情は、ワルドの側で感じた事はなかった。
(ど、どうしよう……いいえ、落ち着くのよルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール! こういう時は素数を数えればいいってどこかの神父様が言ってたような気がするわッ!)
 そういう思考に走ること自体混乱のきわみにあるという事からも目を背け、ブツブツと素数を数えるのを訝しげな目で見られながら、何とか心拍数を平常に戻した。
 ふぅ、と吐息を漏らしたルイズは、ちら、とジョセフを横目で見た。
「……ね、ジョセフ。さっきの話の続き……聞きたいわ」
「続きか? でも聞いてて面白い話でもないとは思うがな」
「……いいの。私が聞きたいの」
 あの悲しいパーティに戻るよりは、幸せばかりが詰まったジョセフの話を聞いている方がずっといいだろう、と。まだ幼い少女にとって、幸せな幻想はまだ必要だった。

31 :ゼロと奇妙な隠者:2007/10/19(金) 01:34:47 ID:O/qBGoRC
 それからまた、ジョセフの昔語りが始まった。
 色んな事があって、色んな嬉しい事や色んな悲しい事があって、色んな幸せな事があって。
(……ああ、やっぱり。ジョセフを元の世界に戻すまで……結婚なんかしてられないわ)
 と、責任感の強いルイズは思い。
(……そう言えば、ジョセフが奥さんにプロポーズしたのって……春先だ、って言ってたわ)
 ラ・ロシェールを出てからここまで張り詰め続けていた気が弛緩し、疲労が眠気を引き連れてきていた。
 うっすらと波紋を纏うジョセフの真横は、何となく春の日差しの中にいるような心地よさ。
 もうルイズに眠気に抗いきるだけの理由はどこにもなかった。
 ジョセフの腕に寄ってしまった頭を引き戻す余力すらない。
(ああ……これなのかな。こういう気分だったのかしら……ジョセフが、結婚してもいいって思った気分って……)
 緩やかに着実に眠りに落ちる直前、うわ言の様に、ルイズはジョセフに囁いた。
「ねぇ……後で、結婚断りに行くから……」
 きゅ、とシャツの裾を摘んで、言った。
「一緒に、ついてきて……」
 ことり、と眠りに落ちた。

 *

 故郷のヴァリエールの領地。忘れ去られた中庭の池。そこに浮かぶ小舟の上。
 ルイズは、誰かの膝の上に座り、当たり前のように誰かに背中を寄せていた。
 誰も知らない秘密の場所のはずなのに、この場所を知ってるのはもう一人だけのはずなのに。

32 :ゼロと奇妙な隠者:2007/10/19(金) 01:36:19 ID:O/qBGoRC
 目の前で誰かの手が器用にリンゴをむいている。
 しゃりしゃり、と小気味良い音を立ててむかれたリンゴは、誰かの手で二つに割られる。
 半分ずつになったリンゴをそれぞれの手に取り、それぞれがかじる。
 まるで蜜のように甘かった。
 二人で美味しい美味しいと笑い合って、食べ終わるとまた背中を預けて寄りかかる。
 ふと手を上に伸ばして、誰かの帽子を手に取った。
 それは羽帽子ではない。茶色でちょっとボロい帽子。
 それを頭に被って、あははと笑う。
 そんな、夢だった。

 *

 キュルケ、タバサ、ギーシュはパーティが終わろうとするホールを後にし、給仕にどこで寝ればよいかを聞いた部屋へと向かっていた。
 すると暗い廊下の向こうからこつこつと歩いてくる足音が聞こえ、ふとそちらを向いた三人は――開いた口がふさがらない、とばかりに口をぽかんと開けることになってしまった。
 廊下の向こうからやってきたのはジョセフとルイズ……正確に言えば、ルイズをお姫様抱っこして歩いてくるジョセフの姿。
 大好きなおじいちゃんにだっこされて安心して寝入っているルイズと、至極当然とばかりにルイズをだっこして歩いているジョセフ。
(なんというバカ主従……!)
 戦慄にすら似た思いを抱くに至った少年少女の気持ちも知らず、ジョセフは声を掛けた。
「お、バーティ終わったか」

33 :ゼロと奇妙な隠者:2007/10/19(金) 01:37:27 ID:O/qBGoRC
「あ、ああ……終わったよ、ジョジョ」
 気分の優れない様子で頷いたのはギーシュだった。
「んじゃ、三人にちょいと頼みたいコトがあるんじゃが。頼まれてくれるか?」
 ジョセフの頼み、を聞いた三人は、首をかしげた。
「別に構わないけど……それで何をするの?」
 三人の疑問を代表して聞いたキュルケに、ジョセフはニカリと笑うだけだった。
「ま、それは後で種明かししてやろう。何もなかったらごめんちゃいじゃがなッ」
 くくく、と笑ったジョセフは、三人にどこで眠ればいいんじゃろか、と聞いて共に客人用の部屋へと歩いていく。
 ルイズ主従にあてがわれた部屋は、二人用の部屋であった。粗末ではあるがベッドは二つあり、片方のベッドにルイズを寝かせて自分ももう片方のベッドに腰掛けた。
 ややあって、ドアをノックする音が聞こえる。
「どちらさんかね?」
 扉も開けずに声を投げる。
「私だ。ワルドだ」
「主人は寝ておりますがね。用があるなら明朝にでも」
 他人行儀で無愛想な返事にも構わず、ワルドは冷たい声で言った。
「君に言っておかねばならない事がある」
「なんですかな?」
「明日、僕とルイズはここで結婚式を挙げる」
「はあ」
 ものすごいどうでもよさそうに答える。
「婚姻の媒酌を勇敢なウェールズ皇太子に頼めるならこれほど光栄なことはない。皇太子も快く引き受けてくれた。決戦の前に、僕達は式を挙げる」

34 :ゼロと奇妙な隠者:2007/10/19(金) 01:38:50 ID:O/qBGoRC
 ジョセフは言葉が続く間、小指で耳をほじっていた。
「君も出席するかね?」
「挙げるんなら出席しますがね」
 ルイズが既に断る気でいることは言わない。
「そうか。では主人の晴れの式に参列するといい」
 くぁ、と欠伸をしつつ答える。
「了解しました。んじゃ用事はそれだけですかな」
「ああ」
 それを最後に廊下を去っていく足音が聞こえる。
 まだ安らかな寝息を立てるルイズを寝かせたまま、ジョセフは手洗いに向かった。


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35 :隠者の中の人 ◆4Yhl5ydrxE :2007/10/19(金) 01:42:08 ID:O/qBGoRC
以上投下したッ!
なんかまだワルド戦に到達しないのはどういうことなのか自分でも判らない…スタンド攻撃を食らっている!?
ちなみにジョセフのプロポーズは完全に創作です。本当にありがとうございました。
かなり執筆速度が落ちてて自分でもヨンボリだけどそれでも読んでくれると嬉しいのです(´・ω・`)

36 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/19(金) 01:44:23 ID:A5gI6yT6
>ちなみにジョセフのプロポーズは完全に創作です。本当にありがとうございました。
実際そんな感じだったんじゃあないかなァと思ってしまったw


37 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/19(金) 02:10:14 ID:UNb9IMJC
隠者の作者さんGJ!

38 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/19(金) 02:39:52 ID:fF4gGZ/A
>36
俺もだw

39 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/19(金) 04:04:08 ID:nXCuv06F
>>23
ルイズのこういう二重基準なところは好きになれんなぁ

40 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/19(金) 04:17:41 ID:R1Y0JSql
隠者の人GJ!

>>36
同意w
事実はどうあれ、らしさは十二分だよな。

41 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/19(金) 06:47:00 ID:ECvTVoeJ
隠者の人GJ!
ワルド戦は一つの関門だから楽しみだ
このルイズとジョセフだと
先のエピソードがどう展開されるのかが気になるなあ

42 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/19(金) 06:52:31 ID:04i9On0o
隠者さんGJ!

43 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/19(金) 13:21:26 ID:r3bgH61M
ジョセフはきっとぬか喜びするワルドを悪知恵でどん底に叩き落しそう……

44 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/19(金) 16:52:00 ID:uhkLVR/Y
GJ!
でも細かい話をすると、ジョセフとシュトロハイムはカーズとの決戦後には一度も会ってないよ
ジョセフは自分の義手を「性能イマイチだからシュトロハイムに頼めばよかった」って言ってたし

45 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/19(金) 17:55:37 ID:tKE5RxgD
隠者GJ!!!

46 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/19(金) 18:06:01 ID:XU+jFhkX
>>44
>シュトロハイムに迎えが来て、その場しのぎじゃが義手も貰った。
と書いてあるから、シュトロハイムを迎えにきた人がその場でくれたってことじゃね?


47 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/19(金) 19:16:06 ID:cvm6q311
じゃああのキリキリする義手は波紋でロケット貫手になるシュトロハイムハンドだったーてーのか!w

しかしらしいな、あの軽さがなんとも言えんらしさだw

48 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/19(金) 19:33:30 ID:A5gI6yT6
むしろシュトロハイムが自分の手をだな…

49 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/19(金) 19:46:59 ID:1BovlxVs
隠者の人GJ!
なんという惚気ジジイ。おかげで力がわいてきた。
課題を乗り越えたらまたSS執筆再開しよう。

50 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/19(金) 20:19:45 ID:UkX13W7J
隠者さんGJッス!!
いやぁ何から何までジョセフらしさが生きてますね〜

>>49
応援しても構いませんねッ!?

51 :名無しさん@お腹いっぱい:2007/10/19(金) 21:48:37 ID:6tFNQsVQ
「応援した」なら使ってもいいッ!!!

52 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/19(金) 22:41:12 ID:5LjFP2eC
『50分から投下する』は使っても構いませんねッ!?

53 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/19(金) 22:46:46 ID:gGjZtAK1
投下するといったとき(ry

いけいッ!!!

54 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/19(金) 22:46:56 ID:MKIVCjWW
「今から私用」「投下を見る」両方できないのが非スタンド使いの辛いところだな
私用をブッチする覚悟はできてるか?俺はできてる

55 :ゼロいぬっ!:2007/10/19(金) 22:49:23 ID:5LjFP2eC

互いの顔が視認できる距離でワルドの足は止まった。
剣士には遠く、メイジには近すぎる間合い。
両者の中間に位置するワルドに男が問い掛ける。
「テメェ、初めからあの犬の事を知ってて…。
いや、本当の狙いはあいつの実力を測る事か!?」
それを聞きながらワルドは愉しげに笑う。
さすがに戦場を渡り歩く傭兵の頭を務めるだけはある。
魔法が使えぬが故にその洞察力や判断力で生き抜いてきたのだろう。
しかしその経験も全く異質の存在には対応できないという訳か。

「君は実に良くやってくれた。支払った金に見合う働きぶりだったよ。
彼女が戦ったのは少し前でね、今の実力がどれほどか予想が付かなかったんだ。
だがおかげで私は何の危険も冒さずに彼の実力を知る事が出来た」
もしフーケの情報を過信し変身前の暗殺に挑んでいれば返り討ちにあったかもしれない。
だが僅かな期間でこれだけの成長を見せるとは驚愕するより他に無い。
弱点と記されていた炎もあまり効果的ではないようだ。
しかもアレはまだ全力ではない。彼の本領は変身してから発揮される。
それにガンダールヴとしての力も見ておく必要がある。
やはり自分自身の手で直接確かめるしかないという事か。
とりあえず目の前の問題から片付けるとしよう。

「さて役目を果たした以上、君が逃げるのを手伝ってもいいのだが」
「はっ! テメェがそんなタマかよ!
染みの一点も気になるから臆病者なんだろうが!
連中に余計な事喋る前にここでバラす気満々じゃねえか!」
男の言葉にワルドは目を丸くする。
なまじ洞察力があるというのも考え物か。
本当は逃がしても良かったのだが思わぬイレギュラーが混じった。
空から追跡されては逃げ場などどこにも無い。
武器など狙わずに始末してくれれば手間が省けたものを…。


56 :ゼロいぬっ!:2007/10/19(金) 22:51:32 ID:5LjFP2eC

「確かに。君に言われて思い出したよ、僕は臆病者だった」
腰に差した杖をワルドが引き抜く。
それは杖というよりもレイピアに近い形状をしていた。
頭領も何度も戦場で目撃しているそれは実戦用の杖。
剣とも打ち合える強靭さを持つ戦場の武器。
悠然と構えるワルドを前に頭領の額から一筋の汗が流れ落ちる。
(物腰から只者じゃねえとは分かっていたがこれほどとは…)
観察する度に歴然としていく彼我の実力差。
これを逆転するのは不可能、ならば奇襲を仕掛け一瞬の勝機に賭けるのみ。
男の利き手は腰に帯びたサーベル、逆の手は背に隠したナイフに当てている。
ただ一つだけ、この状況で男には光明があった。
それは自分が『メイジ殺し』だと相手に知られていない事。
実力を読み違え油断しているのならば隙もある。
頭領が一歩踏み込むもワルドは動かない。
それを余裕によるものと理解し男は口を開いた。
「別にあんたを恨んじゃいねえよ。あんたは仕事を依頼し俺はそれを引き受けた。
部下がやられちまったのも俺が相手の実力を測り損ねたからだ」
「成る程。実に殊勝な考えだ」
サーベルに掛けていた男の手が離れていく。
戦闘放棄とも思える行為にワルドの気が一瞬揺らぐ。

「だが! 知らぬ間に捨石にされた連中の無念は別!
そのケジメだけは付けなきゃならねえんだよ!」
離れた手が振り抜かれた。
同時に風を切って男から放たれる『何か』。
投擲されたそれが月明かりに反射して光る。
凶器と判断したワルドは咄嗟に避けようとした。
だが、それは凶器ではなかった。
彼の目前を一枚の金貨が通り過ぎていく。
「返すぞ! テメェの金だ!」
ワルドが姿勢を崩した瞬間、踏み込んで土を蹴る。
舞い上がる土と砂でワルドの視界を奪う。
同時に首筋に振り下ろされるサーベル。
必殺の間合いで放たれた一撃が容易く杖に受け止められる。
だが、これで良い。そうさせる為に仕掛けたのだ。
「おおぉぉぉぉ!!」
「ぬぅ…!?」
雄叫びを上げながら己の片腕にあらん限りの力を絞り込む。
メキメキと頭領の筋肉が膨張し音を立てて力を生み出す。
まるで万力で締め上げるように杖を押し込んでいくサーベル。
頭領の体躯は伊達ではない。
メイジ相手では並の技など無意味。
膂力だけを練り上げて彼は『メイジ殺し』と呼ばれるに至った。
杖を振れなければメイジは無力。
彼は相手の杖を抑え付ける腕力を以って魔法を封じるのだ。

「この代償は金じゃ済まされねえ…命で払って貰う!」
逆の手に掛けたナイフを抜き放つ。
それで首を掻き切って仕留めるのが彼の『メイジ殺し』。
刃が煌めいた瞬間、鮮血が辺りに飛び散った。

57 :ゼロいぬっ!:2007/10/19(金) 22:54:16 ID:5LjFP2eC

「はぁ……あぐ……」
カランと血に濡れた刃が地面に落ちる。
ナイフを握っていた手も赤く染まり血が滴り落ちる。
いや、手や刃物に付いたものなど男の腹から流れ落ちる血に比べれば微々たる物だった。
男は自らが生み出した血溜りの中に膝を屈した。
まるで懺悔するような姿勢のまま背後へと振り返る。
そこには自分に爪を突き立てる鷲の頭を持った巨大な怪物。
「これは、グリフォン……テメェ、魔法衛士隊か!?」
「それを君が知る必要はない」
返答と同時にそのまま縦に引き裂かれる傷口。
既に致命傷であったにも拘らずに振り下ろされた爪が臓腑を切り裂いた。
新たに口から吐き出されたものを加え血溜りが広がっていく。
もはや顔を上げる気力も無く、消えてゆく視界の端で彼が目にした物。
それは自分が投げた一枚の金貨。
彼はそれに必死に手を伸ばした。

くそったれ、ここで終わりか。
しみったれた農民になんざなりたくはなかった。
テメエの腕一つで成り上がって貴族どものような暮らしをしてやる。
そんな思いで戦場を駆け回って、仲間が出来て、失って、また仲間が出来て、失って…。
その内、部下を引き連れてまるで大将きどりで暴れ回った。
仕事終わりにアイツ等と一緒にバカやりながら飲む一杯は格別だった。
世界は自分を中心に回ってる。
そんな気さえしてたんだが…とんだ井の中の蛙だったようだ。
結局、俺はそこらに転がってる連中と同じ。
誰かの捨石になって終わるだけの人生だった。

彼の手が金貨に触れる。
金属の冷たい感触が残された彼の熱を奪っていく。
それでも彼は金貨から手を離そうとしない。
まるで自虐的に笑みを浮かべる。

冷てえし硬えな…こんなちっぽけな物の為に命懸けてたのか。
結局は部下も金も何も残らなかったなあ。
今更言っても取り返しなんてつく訳がねえ。
さんざ殺しておいて自分の番になったら懺悔なんざ虫が良すぎる。
せいぜい無残に醜態晒してくたばってやるのが連中への俺なりの供養だ。
せめて先に死んでいった部下達の為に野郎の腕の一本も持って行きてえが…。
「へ、へへ……ざまあねえぜ…」
それを最期に糸が切れたように男の体が沈んだ。
男の屍に目を向ける事なくワルドは立ち去る。
「さてルイズ達と合流しなくてはな」
この惨状を前にして彼の表情には何の変化も無かった。
残忍でもなければ冷酷でもない。
彼の態度は『無関心』そのものだった…。


58 :ゼロいぬっ!:2007/10/19(金) 22:57:21 ID:5LjFP2eC

「これで全員か?」
ギュッと捕まえた連中を縄で縛り上げて並べる。
どうして積荷の中に縄があるのか疑問に思うギーシュだったが、
それを彼女に聞くのが怖くて口を閉ざし言われるがまま黙々と従う。
ルイズの使い魔は次々と気絶させた賊を咥えて運んできた。
その彼が動かないという事はもう森には誰も居ないのだろう。
「ところで、こいつら何者なの?」
「ただの盗賊さ。交易商狙いのね」
ルイズの問いに答えたのは聞き慣れぬ人物のものだった。
その声のした方に皆が一斉に視線を向ける。
見れば森の中から一人の男がこちらに歩み寄ってくる。
「誰だ!?」
彼が唸りアニエスが剣に手を掛ける。
男が羽飾りの付いた帽子を僅かに上げて顔を晒す。
「あ……」
その顔にルイズは覚えがあった。
長き月日を経ようとも変わらない面影。
幼き日に彼とは何度も会っている。
屋敷の中で一人心細かった私を慰めてくれた人。
貴族の誇りと有り様を私は彼から学んだのだ。
だからこそ魔法が使えなくとも貴族であろうとした。
彼の姿は遠い日の私の憧れだった。
「……ワルド様」
「久しぶりだねルイズ」
驚くばかりの私に対してワルド様の笑顔を浮かべる。
それは私に安心を与えてくれたあの頃から何ら変わらない。
彼を見上げるような視線は今も同じ。
だけど昔はしゃがんでもらわなければよく見えなかった顔が、
背が伸びた今ではハッキリと見える。
あれから貴族らしく振舞って日々を頑張ってきた。
私は理想としていたあの背中に少しは追いついたのだろうか…。

「ルイズ、しばらく見ない間に君はとても素敵になったね。
女性としても貴族としても立派に成長した証さ」
「そんな、ワルド様。私なんてまだまだ…」
ワルドがルイズの頭を優しく撫でる。
心の内を読まれたのかと驚くルイズの横で、
“あのルイズが謙遜してる!?”と仰天する男共。
ルイズの知り合いという事もあってか殺気を和らげるも、
未だにワルドを警戒しているアニエスが問う。
「ミス・ヴァリエールの知人とお見受けするが名前と目的を聞かせて頂きたい」
「これは失礼。つい婚約者に再会できたのが嬉しくてね」
「つまらん言い訳はいい……って婚約ッ!?」
ワルドの一言にアニエスの顔が引き攣る。
彼の視線の先にはミス・ヴァリエールの姿。
突然のワルドの発言に彼女はワタワタと忙しなく身振り手振りしていた。
どうやら驚きすぎて声が出ないようだ。
そういえばミス・ヴァリエールは幾つぐらいなのだろう?
体型から推察すれば13、14歳ぐらいか。
しかも見た感じ、政略結婚ではなくて男の方が熱を上げている。
つまり、この男はそんな年齢の少女に婚約を申し込んだのか?
(……こいつもモットと同類か)
もっとも異性である分、ワルドの方が僅かにマシか。
別の意味でも警戒を厳にせねばならんなと固く誓う。

59 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/19(金) 22:59:50 ID:1Cb7ZB74
支援

60 :ゼロいぬっ!:2007/10/19(金) 22:59:52 ID:5LjFP2eC
ようやく落ち着きを取り戻したルイズがワルドの発言を否定する。
「そんなの、子供の頃に交わした冗談のようなもので……」
「ひどいなルイズ。僕はあの頃からずっと本気にしていたんだよ」
「!!?」
そのやり取りを聞きながらアニエスが呆然と立ち尽くす。
ミス・ヴァリエールが現在よりも幼い頃にそんな約束を!?
(マズイ……この男、筋金入りだ!)
賊と一緒に憲兵に引き渡した方がいいかもしれない。
よし、そうしよう。とりあえず目的に不審があると言っておけばいいだろう。
公爵家の令嬢が乗った馬車を追い回していたと衛兵に伝えれば向こうが『適切な処置』をしてくれる。
「ああ、話が横道に逸れたようだね。
僕はジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド子爵。
魔法衛士隊でグリフォン隊の隊長をしている者だ」
「…ここに来られた御用向きは?」
身分を明かした途端にアニエスの目が鋭さを増した。
王族の警護に当たるべき衛士隊がこんな場所で、
しかも婚礼も間近に迎えた時期に王宮を離れるなど有り得ない。
ミス・ヴァリエールの知り合いである為、
身分を偽っている可能性は低いが不審である事には違いない。
「君たちと同じだよ」
「なんだと…?」
「ウェールズ皇太子に手紙を届ける任務、正確にはその護衛。
それがここにいる理由だが納得したかな?」
「……………」
ワルドの返答は納得できるものだった。
あの時、姫様は護衛を一人付けるという話をしていた。
それを必要ないと断ったが後になって思い直したというのも有り得る。
私も戦力不足は否めないと思っていた。
しかし、それはあの犬の実力を目の当たりにする前の話だ。
あの異常なまでの索敵能力があれば不必要な戦闘も避けられる。
今でも十分に戦力は足りていると思うが多いに越した事はない。
だが、一応は確かめておく必要があるか。
「護衛は既に断った筈だが…」
「ああ、知っているよ。
だけど姫様に無理を言ってお願いしたのさ。
僕のルイズに何かあっては大変だからね」
「……成る程。愛ゆえの行動という訳か」
「そういう事だ」
冷やかす口調もワルドはあっさりと受け流す。
完全にミス・ヴァリエールしか目に入ってない。
正直、呆れるのを通り越して賞賛したくなってくる。

61 :sage:2007/10/19(金) 23:02:16 ID:E8nhfXRc
四円

62 :ゼロいぬっ!:2007/10/19(金) 23:03:07 ID:5LjFP2eC
「しかし、盗賊にしては装備が整いすぎているのが気になります」
大型のボウガンを多数、それ以外にも火炎瓶を飛ばしてきた簡易の投石器等。
しかも各自の装備にバラつきが無く、まるで軍隊のようだ。
「大方、傭兵崩れだろう。王党派に付いていた傭兵の大部分は離れ、
こちらに逃げ込むか、貴族派に鞍替えするかしたらしい」
「つまりは…もう予断を許さない状況だと?」
「ああ。さっさと衛兵に引渡して先に進んだ方が賢明だろう」
「ですが船もすぐに出航する訳ではありませんし、念の為にも尋問しておくべきでは?」
ふむ、と髭に手を当てながらワルドは考え込む。
そして愉快そうに笑みを浮かべた後に返答した。
「君は実に慎重だな。枢機卿が姫様のお目付け役に命じただけはある。
ではこの件は君に任せよう。善処したまえ」
「はっ!」
ワルドの意を受けてアニエスが森へと数人ほど連行する。
これから何が行われるのか想像してガタガタ震えるギーシュの前を素通りして、
再びルイズの下へとワルドが歩み寄る。
しかし、それを一匹の犬が遮った。
彼は感じていた、敵意ではない別の臭いを。
それが何かは分からない。
だがルイズの使い魔として危険から遠ざけようとした。
「君は確かルイズの使い魔だったね。
姫様から聞いているよ。今までルイズを守ってくれてありがとう」
伸ばされたワルドの手が彼の頭をガシガシと撫でる。
コミュニケーションのつもりか握手代わりに彼は受け取った。
しかし触れていた手に突然砕くような力が込められる。
「でも、もう必要ないよ。ルイズは私が守るからね」
挨拶などではない、それは宣戦布告そのものだった…。


「何やってるのよ、もう終わっちゃったじゃない」
先導するタバサの後に付いたキュルケが文句を言う。
格好良く登場しようとしたものの既に戦いは終結したようだ。
火の手も上がらずに静寂を取り戻した森が何よりの証拠。
あまりにも呆気ない決着だが彼の実力からすれば当然の結果だろう。
森の奥深くに踏み込んだタバサの足が止まる。
どうかしたの?と覗き込んだキュルケも言葉を失った。
そこに広がるのは一面、血で彩られた惨劇の跡。
その中心で倒れている男は体に大穴を空けられ絶命していた。
「何よこれ!? ルイズ達がやったって言うの?」
「……違う」
恐れる事無く彼女は足を踏み入れた。
男の屍骸に近寄るとその傷口を検分する。
やはり、これは剣や槍によるものではない。
大型の獣の爪で引き裂かれたのだろう。
となると彼でもない。
かといって食い荒らされた形跡もない。
誰かの使い魔か、または獣を模したゴーレムかガーゴイルという可能性もある。

63 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/19(金) 23:03:08 ID:1Cb7ZB74
ここまで筋金入りのロリドは久しぶりだw支援

64 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/19(金) 23:04:35 ID:MKIVCjWW
未成年淫行・・・ロリロリロリロリロリロリロリロリ支援

65 :ゼロいぬっ!:2007/10/19(金) 23:05:09 ID:5LjFP2eC
ふと月光を受けて反射する何かにタバサの目が留まった。
それはトリステイン王国発行の新金貨だった。
男の手は金貨を取るように伸ばされていた。
「最期まで金に執着するなんて無様な死に様よね」
「……………」
「あ。そんなの拾うの止めなさいよ」
キュルケの言葉を聞き流しながら金貨を拾う。
金貨は当然のように男の血で汚れていた。
しかし、それは意図的に付けられたものだった。
金貨に描かれた王家の紋章に書かれた十字の血痕。
それは恐らく男が最期に遺したメッセージなのだろう。
そしてタバサはその意味に即座に気付いた。
判らない筈がない、それは彼女も良く知るものだからだ。
この紋章に書かれた血の十字は不名誉印を表している。
そして不名誉印を刻まれる理由の大半は一族の者の中に“反逆者”が出た場合だ。
彼女は力強く金貨を握り締める。
嫌な予感がする。いや、予感で済むならそれに越した事はない。
彼女達と合流しなければならない、そんな気持ちに急き立てられた。


街道沿い寄りやや奥まった所にある大木に傭兵達は縛り付けられた。
まるで木を一周するように互いの縄を結ばれている。
目隠しと猿轡をされて非難の声を上げる事も出来ない。
もっとも相手は素人だ。
戦場で受ける拷問の恐怖に比べれば児戯に等しい。
彼等はそう高をくくっていた。
「さてと、始める前に言っておくが私は仕事熱心な性質でな」
手に皮手袋を嵌めながら女は語り掛ける。
そして掌を開いたり閉じたりして感触を確かめるとナイフを抜く。
「あまり簡単に喋られても拍子抜けで困る」
次の瞬間、耳をつんざく絶叫が響いた。
そいつの声を聞かせる為に猿轡は外されていた。
互いに繋がった縄にギシギシと暴れ回る衝撃が伝わる。
誰がやられているのか、何をやられているのか分からない。
分からないのに恐怖だけが募っていく。
その直後、肌に生暖かい水が掛かった。
否。水などではない、これは血だ。
まさか、やられているのは隣の奴なのか?
それが終わったら次は自分の番なのか?
ガタガタと奥歯が音を立てて震える。
悲鳴が途絶えた直後、彼女の呟く声が明確に聞こえた。
「なんだもう終わりか…まあいい、代わりは幾らでもいるからな」
「むぐー、むぐ、むぐむぐー!!」
「んー? 何を言ってるのか分からんな」
つかつかと歩み寄ってきた女が目隠しを外す。
彼はその光景を二度と忘れる事は無い。
薄暗い森の中、神秘的に輝く二つの月明かりを受けて輝く金の短髪。
……その彼女の顔が例えようも無く笑っていた事を。


66 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/19(金) 23:06:23 ID:I0ddA897
支援

67 :ゼロいぬっ!:2007/10/19(金) 23:08:34 ID:5LjFP2eC
以上、投下したッ!
思ったより話が進みませんでした。
次回は『ラ・ロシェール買出し紀行』
久しぶりにあのキャラが登場!

68 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/19(金) 23:10:11 ID:A5gI6yT6
アニエスさんドSだなあ

69 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/19(金) 23:22:13 ID:vUAzj/DO
ワルドや傭兵の親分のキャラ立てつつ、使い終わったシーンを用いて伏線が…
上手いなあ。GJ

70 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/19(金) 23:23:33 ID:UkX13W7J
ドSなんて言うレヴェルじゃない…拷問狂としてやっていけるぜアニSさん!!
GJッスよ!!

71 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/19(金) 23:57:00 ID:1BovlxVs
傭兵の親分…。花京院となるか?GJ!

72 :ゼロの兄貴:2007/10/20(土) 00:06:47 ID:3b9B+C3e
こいつは臭ェーーーッ!ドSの臭いがプンプンするぜェーーー!こんなGJはした事がねぇほどになぁーーー!
だが、ドSはより強いドSに遭遇した時属性が反転するという法則が世の中にあってだな…

ルイズ組ヴァリエール家襲撃前編、挿絵使用投下10分後に受け入れよろしくてー?
書いててジンマシン出そうになったかもしれんが…まぁこらえてくれw

73 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/20(土) 00:12:17 ID:KB+qTLgo
>>72
兄貴ィ!いつでもOKですぜ!

74 :ゼロの兄貴:2007/10/20(土) 00:15:58 ID:3b9B+C3e
猫の姿なぞ見えないのに猫の鳴声がするだのでプチ幽霊騒ぎが起こっているが、正体はもちろん猫草である。
その猫草がヴァリエール家に住み着いてから約二ヶ月。
「…マジか?」
「ええ、明日の夜ぐらいに着くって姉様がフクロウで」
「ウニャ!ニャ!ニャ!ニャ!」
ボールを転がして遊んでいる猫草の鳴声を背景に出た言葉が『マジか?』である。

覚悟はしていたが遂に来た。元ギャングをしてこれほどの反応を示す物。
つまり、遂にルイズがここに帰ってくるという事だ。
無駄に広い領地なので老化もあるし、まぁ大丈夫だとは思うが一応警戒態勢に入らねばならない。
「ニャギ!フギャ!ニャン!ニャ!」
「ルセーぞ」
何かヒートアップしてきた猫草の上に布を被せる。
しばらくもがいていたが、寝たようだ。自由奔放もいいとこである。
草だが猫。猫だが草。奇妙という言葉が最も似合う生物。
そして、その奇妙な生物を見て一発で猫だとのたまったカトレアのド天然さも。
ある意味似た者同士かもしれない。違うのは健康の問題ぐらいか。

この後、カトレアが先発して旅籠まで出迎えに行った。もちろん、動物満載の馬車で。
なお、猫草は居残りである。こいつ、猫だけあって人の好き嫌いが結構激しい。
多分、エレオノールあたりを見れば空気弾を撃ちこみかねない。
布の下でゴロゴロ音を出して爆睡している猫草の顎の下を触る。
紛れもない植物の感触に僅かに伝わる音の振動。…イタリアは猫が多いが、こいつ程好き勝手やってる猫もいねーだろとマジに思う。
とりあえず今は、来るべき来訪者に備え仕事を済ませておかねばならなかった。


そのヴァリエール家領地を進んでいるのは、ルイズ、エレオノール姉様、犬、シエスタの四名。
この前から三日後。さらに犬がアンリエッタとキスしていたという事で、色々格下げである。
まぁそれだけ気になっているという事かもしれんが。
職業メイドたるシエスタも何故居るかというと、エレオノール曰く『ど、道中の侍女はこの娘でいいわ』とのことだが、実際のところ理由は別にある。

75 :ゼロの兄貴:2007/10/20(土) 00:17:40 ID:3b9B+C3e
ルイズを連れ戻しに学院に乗り込んだ姉様であるが、幾分勝手が分からないので見当違いなところまで入ってしまっていた。
「まったく…あの子ったら、戦争に着いていくなんて勝手なことを言って」
文句たれながら院内を歩くエレオノールだが、戦争という事でそれなりにルイズの事を心配しているようだ。
次に入ったのは風の塔。いい加減魔法でこちらの存在をアピールしようかと思ったが、そんな事やったら多分マズイので自重する。
人に聞けばいいのだが、不機嫌オーラ全開でドS丸出しのエレオノールに近付きたがる人はあまり居ないらしい。
メイジであれ平民であれドMはそうそう居ないものだ。

段々ムカついてきたのだが、倉庫の前で声が聞こえた。
丁度いい。人が居るなら聞こう。というか口を割らす。
ギャングの考え方になってきたが、妖精さんの件で一杯一杯なのである。

だが、入ると同時にエレオノールの顔が歪む。
視線の先には水兵服とスカートに身を包んだ…いやそれだけならまだいいが、小太りの『メーーーーーン!』だったからだ!
「はぁ…んぉ、ハァハァ…かか、かわいいよ…」
しかもなにやら悶えているご様子。扉を開けた様子にすら気付いていない。
「ぼ、ぼくはもう…う、うあああ」
生涯初めて見てはいけない物という物を見てしまった気がするが、気の強いエレオノール。これしきの事でひるんだりはしない。
「あなた、なにやってるの!」
「ひぃぃいいいいい」
その声に逃げようとした人が足をもつれさせ床をのた打ち回っていたが、その近くには『嘘つきの鏡』があった

まず真っ先に嫌悪感が先行したし、こんな人の居ないとこでコソコソ怪しい事をやているということで、その背中を思いっきり踏んだ。
「使用人の分際で、こんな場所でなにやってるのかしらね…しかも、そんな格好で…汚らわしいわッ!」
踏んでいる足の力を強める。あの使用人(兄貴)に頭が上がらなくなったせいで、ストレスというものが溜まっているのだ。
「あ!んあ!あ!ふぁ!」
豚のような悲鳴をあげていたが、少々上気した顔で男が答え始めた。
「こ、この服があまりんも可憐すぎて…で、でもぼくには着てくれる人が居ないから…う、うぉぉお!」
「それで自分で着て、その『嘘つきの鏡』でって事?…情けないわねッ!」
グリィ!
そんな音が聞こえそうなぐらい足をグリグリと動かすと、男が悲鳴をあげるが、どことなく悦んでいるような気がする。
「ハァハァ…あの時見た姿はまさに感動だ!ぼくのハートは可憐な官能で焦げてしまいそうさ!
  だから、その想いのよすがに、せめてこの鏡に自分の姿を映して…ああ、ぼくは…ぼくはなんて可憐な妖精さんなんだ…!あぁああああッ!」
即席とはいえ士官訓練を二ヶ月終え、空軍に配属され水兵服を見て彼が思い出したのは、あのルイズの姿。
乗艦する前に水兵服を一着かっぱらい、わざわざ抜け出して学院に戻ってきてのご乱行である。
そして『妖精さん』。今最もエレオノールが聞きたくない言葉にして忘れたい言葉だ。
それをわざわざ思い出させてくれたこのド変態をどうしてくれようかと思い、さらに踏む力を強める。

「あ!ああ!誰か知らないけど、あなたみたいな美しい人に踏まれて、我を忘れそうだ!う、うお、うおお!」
「おだまり!」
「ふひぃぃ!こんなところで可憐な妖精さんを気取ってしまったぼくにもっと罰をッ!お願いだ!ぼくの顔を踏んでくれ!
  我を忘れた僕の罪と一緒に押しつぶしてくれ!そうだ、圧迫だ!呼吸が止まるぐらい!もう耐えられないッ!踏んでくれ!早く!」


「 『  圧  迫  祭  り  』 だ  ッ  !  ! 」

76 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/20(土) 00:18:57 ID:KB+qTLgo
支援!

77 :ゼロの兄貴:2007/10/20(土) 00:19:50 ID:3b9B+C3e
「まだ言うか!」
二回目の禁句。それに従い、顔を思いっきり踏み付け、鞭を取り出し打つ。
「もっとだ!もっと乗って!強くッ!ふぎぃ!?あぐ!ほごぉ!あぎぃ!」
「黙れと言っている!この豚!」
「ぶ、豚……?ああ、そうさ、ぼくは豚だ…!この醜くて卑しい豚にもっと罰をォーーーーーーー!!あ!あ!んああぁああああ!」
別世界に到達した男が気絶したが、その表情は達している。
「まったく…平民はこれだから…」
養豚場の豚を見るような目で気絶した男を見ているが、実際のところ平民ではなく、ここの生徒である。

が、扉の方から音。
そこにいたのは、かなり顔を赤らめているメイド。ご存知シエスタだ。
「ああ…やっぱり貴族の方達って、あの小説に書かれているような事を……」
『バタフライ伯爵夫人の優雅な一日』
トリスタニアで今人気の読み物らしく、倹約派のシエスタも自費で購入し読んだばかりである。
内容は『高貴な女性の口にはできない欲求が積もり積もって…』。言うまでもなくR指定相当の物だが、この世界にそんな概念など無い。
今のシエスタの目の前の光景は、どう見てもドMの豚に鞭を振るって悦に入っているドSの女王様なのだから、そう思うのも仕方無い。
小説にもそんな話があっただけに、もう間違いない。

ふとエレオノールと視線が合う。
マズイ。イケナイモノを見てしまったと思い、下手すれば次に鞭が振るわれるのは自分だと判断したようだ。
「ごご、ごめんなさい!」
踵を返し走り去ったが、テンション絶賛上昇中である。
どこか、うっとりしたような感じで顔を赤らめながら走っているが、まぁ無理も無い。

だが、エレオノールはそうはいかない。
『HOLY SHIT!』である。当人にしてみれば、そんなつもりは無かったが、状況的にそうなってしまっていると今更ながら理解した。
顔を踏んでいた足。手に持った鞭。『豚』発言。
状況証拠だけで殺人罪が立件できそうな勢いだ。
そしてそれを見られてしまった。
「ごご、ごめんなさい!」
そう言って顔を赤らめさせながら逃げ出したメイドを見て、血の気が本気で引く。
『妖精さん』だけではなく『女王様』という称号まで頂いてしまえば、再起不能どころか自殺モノだ。
さらに平民の中での噂が伝わる速度が恐ろしく早い事も知っている。
そして、それは何時か貴族の中にも…
『ヴァリエール家の長女が婚約を解消された理由は、夜な夜な伯爵を鞭で打っていたからだ』

「ま、待ちなさい!ていうか待って!お願い!」
そんな噂が貴族社会で流れる事を想像しながら、必死になって追いかける。
生涯これ程焦った事は無い。前回の件を一気に更新して最高記録である。

そして誰も居なくなった倉庫の中で、散々踏まれ、鞭で打たれ、罵られた男。
マリコヌルが達してしまっている顔で何かに目覚めていた。

78 :ゼロの兄貴:2007/10/20(土) 00:22:07 ID:3b9B+C3e
というわけで、必死こいて説明し監視も兼ねて連れてきたという事である。
なお、半分涙目だったのは言うまでも無い。
「サイトさん…世の中知っちゃイケナイ事って結構あるんですね…」
「一体何が…」
どこか遠くを見て達観したような表情のシエスタと才人が乗った馬車と
その後方にエレオノールとルイズが乗った馬車が続くが、前の馬車よりも立派な後ろの馬車からは妙なオーラが滲み出ている。
「ね、姉様…学院でなにふぁいだ!いだい!あう!」
「いい事、ちびルイズ?世の中には知らないでいい事が沢山あるの。それなのに、なんで見に寄ってくるのかしらね……?見なくてもいいものをッ!!」
今にも、この世はアホだらけなのかァ〜〜〜〜ッ!
と言いながら目に指を突っ込まんばかりにルイズの頬をエレオノールがつねる。
今ならギャングのボスも立派に務まりそうだ。
「わ、わかりまひた…」
「戦争に行くだなんて。あなたが行ってどうするの!しっかりお父様とお母様に叱ってもらいますからね!」
「で、でも…この前の任務の時は…」
「あなた、戦争がどういう物か分かってるの?街での任務なんかとは一緒にしない!」
情けない声をあげて押し黙るが、エレノオールですらこれだ。ルイズには烈風を説得できるか非常に不安だった。

そんなギャングのボスと化さんばかりのエレオノールを乗せた馬車の前の才人だが、気分は暗い。
ルイズが戦争に参加するという事は、自分もゼロ戦ひっさげての参陣となる。
戦争なぞ17年生きてきて初めての体験だ。正直言えばやりたくなぞないが
あの時のアンリエッタを見て『この可哀想なお姫様の手助けをしてやりたい』という気持ちが湧き上がっていた。
そういえば、姫様も結構胸が大きかったなー。
ああ、この戦争終わったらセーラー服着た姿見たい。多分、いや絶対似合う。清純そうだし。

そんな、けしからん妄想を犬がしていると、シエスタが曇った顔をして話しかけてきた。
「サイトさんも、アルビオンに行くんでしょう?」
「え?…ああ、うん」
シエスタも似合いそうだなー。と引き続き煩悩モード満載だったが、とりあえず現実に戻った。
「わたし、貴族の人達が嫌いです…自分達だけで殺し合いをすればいいのに…わたし達平民も巻き込んで…」
「戦争を終わらせるためだって言ってたけどな」
「戦は戦です。サイトさんが行く理由なんて無いじゃないですか」
元が同じ故郷という事で、それなりに、というかかなり親しくはなった。
「そうなんだけど…あいつが、そのままいるんだったら…多分、ルイズと一緒に行ってたと思うんだ。だから俺も」
実際のところ、その『あいつ』は親玉狙いで真正面からドンパチやる気は全く無い。
「死んじゃ嫌ですからね…知ってる人がいなくなるってのは、もう見たく無いんです」
ああ、もう可愛いなチクショー。ルイズとは大違いだ。いや、ルイズも可愛いけど精神的な意味で。
そんな事を思いつつも、プロシュートとの距離は確実に狭まっていた。

79 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/20(土) 00:23:55 ID:KB+qTLgo
支援!

80 :ゼロの兄貴:2007/10/20(土) 00:24:39 ID:3b9B+C3e
「こんなもんか」
一通りの仕事を終えて一息つく。
後ろで猫草がゴロゴロ鳴きながら寝ているのがムカつくがまぁ良しとしよう。
後は他のヤツに任せて適当にバックレてれば大丈夫なはずだ。
大体何時も飯食うときにあんな人並ばせる必要があんのかと。
刺客が紛れてたら死ぬぞ。と、元暗殺者として常々思う。
メイジといっても飯時を狙われたらどうしようも無いはずだ。
常に警戒してんのか、単に城の中に居るから安心しきってんのかのどっちかだとは思うがイタリアなら軽く2〜3回は死んでいると考えなくもない。
プロはリスクを恐れてこういう所はあまり狙いたがらないのだが、追い込まれてテンパったカタギが自爆覚悟で襲撃してくる事がある。
後先考えていないだけに、そういう素人が一番怖い。
もちろん、暗殺チームはそんな事関係無しに殺ってきたが。

適当にバックレてる間に飯も終わったようで、一応の警戒はしているが視界の範囲にルイズの姿は無かった。
が、カトレアの部屋の方からルイズの短い悲鳴。数人の使用人が何事かと出てきたが
続いて『ニャーン』という鳴声が聞こえたので猫草だな。と納得した。
普通はああいう反応だろう。やはりカトレアは何かが違う。

次いで遭遇するとマズイのがシエスタだが
これは、性格的に勝手が分からない場所だけあって、あまり部屋の外から出ないから大丈夫なはずだ。

そして、問題無いのが才人だ。
老化してりゃあバレやあせんだろうし、顔を合わせたのも一回だけだ。
むしろ、ここは後退するより前に出て才人から近況情報手に入れるのが得策かもしれないと判断した。
そう決めると早速行動開始だ。軽く捜したがすぐ見付かった。
つーか、負のオーラ全開でマンモーニさを限りなくアピールしていた。
説教した後のペッシがあんな感じだ。

81 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/20(土) 00:27:03 ID:IjYwp5mV
サイト視点では
小ボス…ギーシュ
中ボス…ルイズ
ラスボス…プロシュート兄貴
みたいな感じで支援

82 :ゼロの兄貴:2007/10/20(土) 00:27:45 ID:3b9B+C3e
元暗殺者に完全ロックオンされたとは露知らず、改めて身分差というものを痛感させられていた才人が浸っていると声を掛けられた。
もちろんヴァリエール家仕様で、髪型変えて、老化しているダンディさ300%増しのプロシュートである。
「シケた面してなにやってやがる。使い魔がルイズの側にいなくていいのか?」
「え、ああ。凄い城なんで、なんだか気後れしちまって。って、いいんですか?お嬢様を呼び捨てにして」
「構うこたぁねー。バレなきゃいいんだよ。バレなけりゃあな」
限りなくタメ口で軽く話しかけてきた男に気が緩んだのか、多少才人が明るくなる。相変わらず立ち直りだけは早いようだ。

「で…どんなだよ?使い魔ってのは」
「どんなって……優しい時もあるけど、犬って言われたり、鞭で叩かれたり…」
叩かれていたりするのは、まぁ自分に責任があるのだが、ダーティ入っている時、人はどんどんそっちに進むものである。
「たっく…全然、変わってねーな」
「昔から、あんなだったんですか?」
昔っつっても、月単位の事だ。そうそう変わりはしない。
「ああ、一回怒ると中々おさまんねーからな。そんなに嫌なんだったらさっさと逃げちまえ。稼ぎ口ぐらいは紹介してやんぜ?」
「それはできませんよ。一応、俺はあいつの使い魔だし……それに逃げたら、前のヤツに負けたような気がして」
(意地だけは一端ってワケか)
よもや目の前の男が、先代だと思っていないようでどんどん話してくれるが
纏めると『あまりの貴族っぷりにビビって身分の違いを思い知り凹んでいる』という事らしい。

「少しそこで待ってろ」
プロシュートが厨房に消えていったが、しばらくすると壜を一本持ってきてそれを投げてきた。
「うわ!危ねぇ…これ、何ですか?」
「見りゃ分かんだろ。酒だ」
落としそうになったがなんとか受け取る才人だったが、不思議そうな顔をしている。
「いや、それは分かりますけど」
「適当にかっさらってきたが…まぁそこいらの安酒よりは良いモンだと思うぜ」
「いや、いいんですか?ここで働いてるのに」
「ハッ…!言ったろーが、バレなけりゃあいいんだよ。部屋がアレだろーからな。酒ぐらいは良いモン飲んでも構わねーだろ?」
全ての思考は、『ギられた方が悪い』。まさにギャング。
「あ、ありがとうございます」
「じゃあな。面倒だろうが、やるならトコトンやりな」
ナイスミドル!!
軽く笑いながらの顔を見て才人が本気でそう思う。
今の精神状態ならホイホイついていってしまいそうだ。
無論、誘ってもいないので、ついて来られても困るのだが。


ヴァリエール家に来てようやく人間扱いを受けたような気がして泣きそうな才人だったが
とりあえず、廊下で飲むのもなんなので部屋に戻る事にしたのだが、先客がいた。
「遅い」
「…シシ、シエスタさん?」
部屋の中には、グビィと荒れている英国貴族を髣髴とさせる飲みっぷりのシエスタがいた
目が完全に据わっている。なんというかギャングっぽい。
「せっかく遊びにきたのに、居ないってのはどういう事れすか」
「い、いや、ちょっと話してて」
「ミス・ヴァリエールとですか。なんだかんだ言ってやっぱりそうですか」
「俺はルイズの事はなんとも…」
「まぁいいサイト。お前も飲め」
スゴ味を含ませた声でシエスタが呟く。ドスが効いててなんか怖い。
「い、いただきます」
怖いので差し出されたままの酒を飲む。
この後、才人が潰れるまで酔っ払いと使い魔によるほぼ一方的な酒リレーが行なわれる事になった。

83 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/20(土) 00:28:20 ID:KB+qTLgo
説教かっ!?支援

84 :ゼロの兄貴:2007/10/20(土) 00:30:38 ID:3b9B+C3e
酒リレーが開催されている中、ルイズはカトレアの部屋にまだ居た。
何故か知らんが、猫草を挟んで一緒に寝ている。
最初は驚いたものの、猫草が出す空気クッションが気に入ったらしい
そのうちルイズが毛布被って外に出て行ったが、向かった部屋の先はある意味地獄に近かった。

「あら、いらっしゃい。ミス・ヴァリエール」
「なな、なんであんたがいるのよ!」
「する事が無いので遊びにきただけれすけど」
酒で顔を赤くしているシエスタと、なにか分からんが喰らえッ!的な感情で赤くしているルイズ。
こちらも対照的である。
そして、潰れている才人。もう少し飲んでいれば、ドッピオみたいに釘を吐いているような姿が見られたかもしれない。
「ミス・ヴァリエール」
「な、なによ…!」
こんな部屋でなにやってたのかと想像して、沸騰しかけのルイズだったが、シエスタの妙な迫力に押されていた。
「飲め」
ズイィっと差し出される酒瓶。プロシュートが見るに見かねて才人にギってきたのを渡したやつだが、もう半分程開いている。
「どうしたのよ、これ」
「とりあえず、飲め」
「そんな事いいから、自分の部屋に戻りなさい」
負けじと言い返したが、シエスタがルイズに顔を近づけてきた。
「サイトさんの事、好きなんでしょ?ハッキリ言ったらどうですか」
「な、な…!」
唐突に本丸を攻められルイズがうろたえる。『ジャーーーン ジャーーーーン』という音が聞こえそうなぐらいに。
「ち、違うわよ!な、なんでこんなヤツ…」
必死になって否定したが、気になっている事は確かで、現在心拍数絶賛上昇中だ。
そんな様子のルイズをシエスタがジーっと見つめ…
「……汗かいてますね」
「こ、これは暑いだけで、べ、別に…ひゃわん!」
ルイズの頬を伝う汗を舐めたッ!
「この味は…嘘をついてる味です…!ミス・ヴァリエールッ!」
「あ、あう…うぅ…ふひゃあ!」
「どうなんですか?…質問は既に…拷問に変わってるのれす」
汗を舐められるなぞ初体験だったので戸惑っていたのだが、続けざまにシエスタがルイズの平原…もとい胸を触っている。エロイ
「や、やめ……この、ぶぶぶ、無礼者…ひぁ!」
「無駄です。無駄無駄。そんな板じゃサイトさんは振り向いてくれません。わたしが大きくしてさしあげます」
遂に両の手でガッシリとつかみ始めた。…つかむ箇所があるかどうか知らんが。
「い、板じゃないもん」
「一度言った事を二度言わなきゃ分からないってのは、その人の頭が悪いって事です。贔屓目に見ても板です」
完全にギャングと化したシエスタだが、構わずにルイズの平原を掴んで手を動かしている。

とりあえず満足したのか手を離すと転がっていた酒瓶を抱えると外に出ていった。
「ひっく。早めに捕まえないと待ってるだけになるんですから」
「あ……」
少しだけ落ち着いた口調でそう言ったが
ここ数ヶ月任務やら、ザ・ニュー・使い魔のおかげで頭の隅に追いやってあまり考えなかったが、意味する事に空気の読めないルイズも気付いた。
「そういえば、そうだったっけ…死んだかもしれないなんてとてもじゃないけど言えないわ……」
実際のとこ生存云々どころか同じ場所にいるのだが、全く気付かれては無いというのはプロと素人の差というやつだろう。

85 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/20(土) 00:33:14 ID:KB+qTLgo
支援したと思った時には(ry

86 :ゼロの兄貴:2007/10/20(土) 00:33:36 ID:3b9B+C3e
そして、寝るべく廊下を闊歩しているプロシュートの視界に入った珍妙な生物がそこに居た。
「…なんだこいつは」
目の前に映るのは、空の酒瓶抱いて廊下で倒れている非常によく見知った顔。
さすがにメイド服ではないが、猫草に負けないぐらい爆睡かましているシエスタだ。
「うお…酒クセー。なんであいつにやった酒持ってんだこいつ」
とりあえず、邪魔というか、こんなとこで寝てられても困る。
こんだけ潰れてれば起きないだろうとして抱えると運ぶ。とりあえず、部屋の場所は聞き出せたので運んだ。

「オレはこんなキャラしてねーぞ」
文句言いながら、シエスタをベッドに放り投げるように運んだが、介護キャラじゃあない。
相手を介護が必要にさせるように追い込んだ事は数え切れないが。
そんな事を考えながら、ドアの方に向き直って外に出ようとしたが、後ろからプレッシャーというかスゴ味を感じた。

そう…擬音が出んばかりにシエスタが立ち上がっていたからであるッ!
「な…ッ!バカな…こいつ起きて…!うぉおおおお!?」
急だったので、さすがの元ギャングも対処できずに押し倒される形となったが、色々とヤバイ。

何だ、この状況は!?カタギに元ギャングが倒されるってどういう事だよッ!
それ以前に、このヤローどういうつもりだ!起きてたならせめて言いやがれ!クソッ馬鹿にしやがってッ!
いや、この場合ヤローって言うのか?男じゃねーしな。あー、もうそんな事はどうでもいい。メローネでもいいから助けやがれってんだド畜生が!
http://www.hp.infoseek.co.jp/v/b/l/vblave/cgi-bin/source/up0411.jpg
http://www.hp.infoseek.co.jp/v/b/l/vblave/cgi-bin/source/up0409.jpg

0.5秒の間にそんな事を考えたが、バレちまったモンは仕方無い。
ルイズとかにバレるよりはマシだ。
失敗は前向きに利用しなくてはならないとリゾットも言ってたはずだ。

「おい、オメー…とりあえず退け。どういうつもりか知んねーがな……こいつ……寝てやがる」
反応が無いので妙だと思ったがどうも寝ボケていただけのようだ。
一先ず安堵したが、そう安心してられない。
こんだけ焦ったのも久しぶりだ。
シエスタを引っぺがすが、スーツに涎が付いている。ヴァリエール家の私物の方だからいいが、持ち込んだ方だったら説教かましてるとこだ。
壁に背を預け溜息を吐いたが、引っぺがしたシエスタが重力に従ってもたれ掛かってきた。

87 :ゼロの兄貴:2007/10/20(土) 00:35:37 ID:3b9B+C3e
試しに頬を少し強めにつまむ。
反応は無い。まぁ大丈夫だとは思う事にした。
というか、最近マジで胃が痛くなってきたかもしれない。今度水のメイジにでも診てもらおう。
手を離したが、シエスタは変わらない顔で爆睡している。
「しっかし…のん気そーな面ぁしてやがんぜ」
ペッシを除いた暗殺チームは寝ている時もかなり神経使っていた。
ギアッチョやイルーゾォはともかくとして、プロシュートは殆どの時はスタンドを出して寝ている。
今もそうだ。これも結構スタンドパワーを使うのである。

ルイズ達もそうだったが、かなり無防備な寝顔のシエスタを見て、少しばかり羨ましくなった。
襲撃を気にせず寝ていた時なぞ何時以来だったかと思ったが、思い出せそうに無い。
難儀な商売やってたなと思ったが、別段後悔はしない。

相変わらず、涎垂らして爆睡決め込んでいるシエスタだったが、なんかの夢でも見ているのだろうか腕を掴まれた。
「…やっと捕まえ…もう離しま……から……」
「なに見てやがんだかな」
この元ギャング、よもや自分の事だとは全く思わないし、思おうともしない。この元ギャングも大概ド天然である。
いい加減出たいので、腕を振るが、ガッシリと掴まれて離れない。
手でこじ開けてもすぐ、また掴んで離れない。
「……起きてんじゃねーだろうな」
これで狸寝入りだったら相当黒い。ブラック・サバス並に真っ黒だ。

どうしたもんかと、髪掻きながらマジに考えたが対処法が思いつかない。
典型的な強打者タイプのボクサーだ。普段が打つ方だけに、こういう打たれ方をされると弱い。
しかも、悪意無しにされると反撃のしようも無い。ある意味、こういうのが真の邪悪というのかもしれない。
「こいつまだ持ってたのか。メローネに売りつけられたモンなんだがな…そんな良い物か…?」
面倒だと思いながら視界に入ったのは、この前くれてやった飾りだ。
メローネに半分押し付けられんばかりに売りつけられたのだが、案外気に入っていた。
それを欲しい言われた時は、まぁ世話なってたしくれてやったのだが、他人がそこまで常備するようなモンでも無いだろとは思う。

徹夜で他のヤツの仕事引き受けて、バックレるための暇作っていたため、多少なりとも寝ておきたかったのだが
現状、無理矢理引っぺがすにしても何か知らんが妙に喰らいついてくる。
腕を飛ばされようが脚をもがれようともな!と言わんばかりに
これ以上強くやると起きて面倒な事になりかねない。かといってこのまま寝ると洒落にならない気がする。
「仕方ねー…気が済むまで居てやっが、これでゼロ戦の貸しはねぇからな」

その内離れんだろと思っていたが、結構粘る。一時間経っても離れやしない。
「くそ…何なんだこいつ…」
元ギャング。しかも暗殺者にこんだけ遠慮が無いヤツってのは見た事が無い。
いい加減もうどうでもよくなってきた。
出たとこ勝負。そう考えると寝る事に決めた。
眠いものは眠い。こいつが起きるより早く起きればいい事だ。
バレたらバレたで黙らせばいい。こんだけ広けりゃルイズ達には聞こえないだろう。
何時もと同じようにグレイトフル・デッドを出したが思い直す。
横でアホみたいに涎垂らして爆睡しているヤツを見たら、スタンド出して寝るのがバカらしくなってきたからだ。
メタリカなら気にしなくてもいいんだがな、と思うと寝た。
同じ場所で寝る元ギャングと現役メイド。相変わらず実に奇妙な組み合わせであった。

ルイズ― 潰れている才人を見てムカついたのか一発蹴り入れてカトレアの部屋に戻った。
     …が板と言われた上、色々やられたので部屋に付く頃には半泣きだった。
猫草―常に18時間ぐらいは寝て、起きている時は食ったり遊んだり、犬とは違って充実している。
マリコルヌ―覚☆醒!

88 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/20(土) 00:35:58 ID:/U6l3bKW
支援

89 :ゼロの兄貴:2007/10/20(土) 00:39:06 ID:3b9B+C3e
投下したァーー!
いや、ホント。こうね、絵師ディシ様には超感謝
酔っ払いシエスタさんとルイズの絡みをどないしょと思ったが、こういう形になったが…まぁこらえてくれ
圧迫祭りだッ!

90 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/20(土) 00:41:02 ID:IjYwp5mV
マゾコルヌGJ!


91 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/20(土) 00:41:46 ID:KB+qTLgo
>>89
兄貴乙したッ!
シエスタに平原が荒らされるなんて……タルブ村の復讐のつもりなのか!
……いいなぁ〜。俺も摘んでみた(ry




それとマルコメ自重しろwww

92 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/20(土) 00:42:10 ID:KJC43w2v
GJ!GJゥ!

93 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/20(土) 00:47:17 ID:67BJtf78
マルコが覚醒したように、姐サンも覚醒しているんじゃあないか?
ともあれ無駄に男前な兄貴絵も含めてGJ

94 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/20(土) 01:00:19 ID:iI5Y5Re0
GJ!!シエスタうらやましい

95 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/20(土) 05:35:49 ID:dsAUgmP+
兄貴GJ!だが…

板だから いいんじゃあないか・・・

96 :来訪者:2007/10/20(土) 05:44:57 ID:rlb5wHGL
予定の半分しかかけてないが…投下するね

97 :ゼロの来訪者:2007/10/20(土) 05:49:55 ID:rlb5wHGL
「…何も問題はありません。健康そのものです」
「本当か?本当なのか!?」
カトレアを診断した主治医に、ヴァリエール公が詰め寄る。
「はい…薬を使った形跡すら感じられません」
力なく首を振る主治医の姿に、がっくりと肩を落とす公爵。
「あらあら、心配しなくても私はほら、こんな事も出来るようになりましたわ!」

          グオン

   「「座ったままの姿勢でジャンプを!?」」

育郎の治療を受けてすぐに、カトレアはルイズが止めるのも聞かずに、
その健康体がどれ程のものかを試しだした。
「ブラボー!おお、ブラボー!」と叫びながら突如浮き上がったり、
「かけよトロンベ!」と叫びながら自分の愛馬で屋敷中を走り回ったり、
その他諸々、その様はミス・アンチェインとでも呼びたくなるほどだった。
「何故…こうなってしまったのだ?」
「病が裏返ったとしか…」
「…なんだそれは?」
「今まで掛かっていた負荷がなくなり、急激に身体が活性化したのと合わさって」
「まあ…何はともあれ、カトレアの身体は治ったのです。
 この際些細な事は気にしないでおきましょう」
溜息をつきつつ、二人の背後にいたヴァリエール公爵夫人がつげる。
「些細な事…か?」

98 :ゼロの来訪者:2007/10/20(土) 05:51:25 ID:rlb5wHGL
「些細な事…か?」
ヴァリエール公の呟きを無視して、夫人はカトレアに向き直る。
「カトレア、貴方も元気になって嬉しいのはわかりますが、貴族たる者が
 そのようにはしゃぐなど…みっともないとは思わないのですか?」
カトレアは手を口に当て、あらあらと言いながら頭を下げる。
「ごめんなさいお母様。身体があんまりにも軽くなったものですから、
 心まで軽くなったみたいで。不思議ですわね」
そう言ってケラケラと笑うカトレアに、つい再び溜息がでてしまう。
「あ…あの、お父様、ちいねえさまは?」
声のほうを見ると、部屋の外で待っているよう言われたルイズが、カトレアが
心配だったのだろう、堪えきれずに部屋に入ってきていた。
「こら、ルイズ!待ってなさいと言われたでしょう」
同じように廊下で待っていたエレオノールが、ルイズを連れ出そうとするが、
それをヴァリエール公が制する。
「かまわん、エレオノール。ルイズ、心配しなくとも異常は見当たらんそうだ」
「あれで…ですか?」
エレオノールが見ている方に視線を向けると、カトレアが部屋に追いてあった
ワインをグラスに注いでいた。ただコルクぬきが見つからなかったのか、ビンの
底に指を刺して穴を開け、そこから注いでいる。
「カトレア!」
その時公爵夫人の凛とした声が部屋に響き、部屋にいる全員の身が硬くなった。
「…なんでしょう?」
部屋の中にいる人間全員が、緊張した面持ちでカトレアと公爵夫人を見る。
「…行儀が悪いですよ」
「それもそうですね」


99 :ゼロの来訪者:2007/10/20(土) 05:53:47 ID:rlb5wHGL

「あー…なんだ、よくぞ我が娘カトレアを…その…治療してくれた。感謝する」
口ごもりながらも、ヴァリエール公が育郎に感謝の言葉をかける。
「は、はぁ…」
対する育郎は、どこかすまなさそうな顔をしている。
「ほら、もっと堂々としてなさいよ。治ったんだからいいんじゃない。
 ルイズも、ほら。だいたいこういう事言うのは、貴女の役割でしょ?」
キュルケが育郎と、いろいろと疲れた表情をするルイズに声をかける。
「どう見ても病気には見えない」
「うん…まあ、そうなんだけどね」
タバサの言葉に頷くが、やはりどこか釈然としない表情をするルイズ。
「ああ、俺様も長い事生きてるけど、あれほどの「アンタは黙ってなさい!」
 …わーったよ」
「その…ごめん」
「い、いいのよイクロー。あんたが謝らなくても」
「何をコソコソと話しているのかな!?」
「い、いえ。なんでもありませんわお父さま!」
焦る娘の様子に今日16度目になる溜息をつき、とにかく今回の事はこれで
良しとしよう。そう自分を無理やり納得させる。
「ルイズ、とにかく今日は友人といっしょにゆっくりとしていきなさい。
 久しぶりに家族がそろったのだ。カトレア達も積もる話もある事だろう」
「えっとお父様…今日は日帰りのつもりだったので、休みの届けをだしては」
ルイズの言葉に笑いながら答える公爵。
「なに、一日授業を休むぐらいどうという事は…」
背後からの凄まじいプレッシャーに、言葉が止まるヴァリエール公。

100 :ゼロの来訪者:2007/10/20(土) 05:55:42 ID:rlb5wHGL
「あなた…」
そのプレッシャーの発生源。己の妻の声に、ヴァリエール公の背筋が凍る。
「あるな!うむ!やはり無断で授業を休むなど言語道断!」
「あら…久しぶりにルイズと一緒に寝ようかと思ってましたのに」
娘の不満げな声に、溜息をつきながら公爵夫人が口を開く。
「…夕食ぐらいはとって行きなさい。エレオノール、カトレア、食事の準備が
 整うまでルイズと一緒にいていやりなさい」
「わかりましたわ、お母様」
「は、はぁ…母様がそう言うなら。ほら、貴方達こっちにきなさい」
ルイズ達とともに、部屋を出ようとしたカトレアが、ふと何かに気付いた様子で
ヴァリエール公の方に振り向く。
「そうですわ!」
「な、なんだカトレア?」
少し驚いた様子の公爵に、いつものような無邪気な笑顔でカトレアは告げた。
「お友達も学校があるからしかたないとして、あの使い魔さんだけでも
 泊めていってはどうかしら?」
「は?」
「ルイズの話も聞きたいし、それに私を治してくれたお礼もしたいですし」
「お、お礼…ど、どういう意味だカトレア!?」
「そんなに凄かったの!?」
「ちょっと、なにやってんのよキュルケ!?」

101 :ゼロの来訪者:2007/10/20(土) 05:56:44 ID:rlb5wHGL
突如現れたキュルケに続いて、ルイズと呆れた顔をしたエレオノールが
再び部屋に入ってくる。
「貴方達なにやってるのよ…お父様、どうかしたのですか?」
「あ、うむ。カトレアがそこの使い魔だけでも泊めてはどうかと言ってな。
 まったくどういうつもりなのか…」
「へ?イクローを?なんで?」
「だって貴女が魔法学院でなにをしているか、使い魔さんに話を聞きたいし」
「凄かったのね…」
じゅるり
「キュルケ?」
再び溜息をついて、何か言ってやりなさいとエレオノールを見るヴァリエール公。
「……別に、かまわないでしょう」
「エレオノール、お前まで!?カリーヌ!」
最後の頼みと、妻に視線を向ける。
「カトレアを治したのは事実です。
 平民とはいえ、それなりの待遇でもてなすべきでは?」
「わかった…ルイズ、お前もそれでいいかい?」
「あ、はい」
どうにも釈然としないといった表情のルイズだが、納得できないのは公爵自身
も同じである。カトレアはともかくとして、何故エレオノールまで?
その時、公爵の頭にある考えが浮かんだ。
「まさか…いや、しかし…」
「どうかなされたのですか、あなた?」
「い、いや…なんでもない」

102 :来訪者:2007/10/20(土) 06:01:20 ID:rlb5wHGL
投下終了

ああ…話がさっぱり進まない…
というわけで、冒頭半分と入ってみたものの、次ははたして半分に見合った量になるのか
書いて見なければ分からない
短かったら久々の外伝第2弾だ





103 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/20(土) 06:43:04 ID:e8+HJnbL
来訪者の作者さんGJ!ちい姉さま弾けすぎてて素敵すぎっす(笑)

104 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/20(土) 07:13:53 ID:x/7ZkB5A
もはや波紋戦士と同スペックかw
そしてキュルケ…GJだ、もっとやれッ

105 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/20(土) 07:25:36 ID:cIY/IkGB
カトレアさんは肉体的にハジケまくり
キュルケさんは精神的にはじけまくり

どっちも自重しろw

106 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/20(土) 08:13:41 ID:7oH0ffYQ
座ったままの姿勢でジャンプ吹いたwwwおそってくるぅ!
イクロー、カトレアさんのリミッターを外しすぎたなwww

107 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/20(土) 09:09:27 ID:Qz3PNiQX
健全な精神は健全な肉体に宿る
つまり弾けた肉体には弾けた精神が宿ると言うことッ!
GJ!

108 :名無しさん@お腹いっぱい:2007/10/20(土) 09:35:08 ID:9kMNzgLR
ちい姉さま直ってヨカッタネ☆のはずなのに
なぜだか微妙に気まずい・・・。

なにはともあれ、GJでござる。

109 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/20(土) 10:32:12 ID:5+w3qiWG
カトレアはいつ謎の食通になったんだ

110 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/20(土) 11:46:04 ID:jD6+jFbE
来訪者GJ!!
食通自重www

111 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/20(土) 13:20:22 ID:Pq33LfHQ
カトレアがはっちゃける…キュルケもはっちゃける…
板挟みという形になるな…

112 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/20(土) 15:02:51 ID:yCUVdcrT
GJ!なんだろう、全て上手くいってるはずなのにこのダイナシ感w
そして発言がピンクになってそろそろここに投下できなくなるんじゃないかと要らぬ心配をしている俺が居る。
つまりはあなたの書くキュルケは素晴らしいということだ。

113 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/20(土) 15:46:23 ID:301rar66
GJ!
皆、ちいねえさまとキュルケに気を取られているがヴァリエール公爵も相当だぞこれ……
つか公爵可哀想だよ公爵

114 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/20(土) 16:07:40 ID:lTGnNGba
懲りずに妄想次回予告だ!

公爵の胸に渦巻く不安は的中した
究極の嫁き遅れ生物エレオノール、最高にハイになったカトレアの凄まじい攻撃(性的な意味で)が育郎に襲いかかる!
そんな絶体絶命の危機にかって拳を交えた強敵(とも)が助っ人に現れた!!

「こいつはおどれーた」
「あなたは…モット伯!?」
「YES , I am!!」

次回は、「婿養子はモット伯!? ヴァリエール家、希望の未来へREADY GO!!」にご期待下さい

尚、この妄想の提供は誰よりもヴァリエール家の未来を考える執事のジェロームがお送りします

115 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/20(土) 16:32:10 ID:a475oeP2
よりにもよってモット伯が登場かwwwww
どっちであろうとモット伯におねーさまが奪われるのは
厭過ぎるwwwwww

しかしこの予告だと我らがキュルケの出番が無いではないか
それを上回らんとおねーさま二人が大暴走…こいつはおでれーた

でも最近ミス・ロングビルの出番がない…
さびしいよぉ…ボス。いつもの様に出番ください…待ってます…出、番。

116 :名無しさん@お腹いっぱい:2007/10/20(土) 17:11:09 ID:8S5RnDlD
アンリエッタ「ですから・・・私たちは1日でも早く聖地をエルフの手から取り戻すためにも
       虚無の四人の使い手、四人の使い魔、四つのルビー、四つの秘宝を集めなければ
       ならないのです・・・・・ってどうしました?みなさん」
マザリーニ「・・・・・陛下 ルイズの使い魔が泡を噴いてひっくり反っております・・・」

117 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/20(土) 17:40:05 ID:OlVmCaNk
>>116
ミスタか?w

118 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/20(土) 18:05:58 ID:Pq33LfHQ
ジェローム自重しろw

119 :初代スレ506:2007/10/20(土) 19:03:03 ID:veJT+Hjn
10分に投下。

120 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/20(土) 19:09:25 ID:sslRvzAM
支援する!

121 :使い魔は静かに暮らしたい:2007/10/20(土) 19:10:58 ID:veJT+Hjn
灰色の空間をただひたすらに歩く。目的地はキラークイーンの右腕だ。
もともと、この空間は白かったはずなのだが、今では一部の隙間もなくすっかり灰色に染まっている。あのときのままだ。なぜだろうか?
自分の夢なのに意味がわからないなんておかしなことだ。いや、おかしくは無いか。自分の夢の意味を知らない人間なんて五万といるもんな。
夢の意味なんて単純なものでなけりゃあ、そういったものの専門家でもない限りわからないものだ。
キラークイーンが聞こえる方へ進んでいくと、やがてキラークイーンの右腕が見えてきた。今度は歌ではなく腕を目印にして歩き出す。
この空間にはキラークイーン以外何もない。だからここ来ればキラークイーンのもとに行くしかないのだ。
そして歩いているとき、不意にあのときの闘いのことを思い出す。そしてその中に違和感があることに気がついた。
対峙したキラヨシカゲ。灰色に染まる世界に消える透明な壁。顔にぶち当たるシアーハートアタック。腹を貫くキラークイーンの左腕。
無くなった左手を押えるキラヨシカゲ。絶望し、頭に銃弾をぶち込まれ爆発したキラヨシカゲ。崩壊する世界。
違和感の一つはこの灰色だ。あのときのよく見るとあのときの灰色じゃない。あのときの灰色よりいくらか白みがかっている。なぜだ?
もう一つの違和感は、この空間だ。キラヨシカゲが崩れ去ったあのとき、この空間は崩壊したはずだ。なのに未だにこうして存在している。
夢だからいくら壊れても平気なのか?夢ってのはそんなものなのか?考えても考えても答えは出ない。自分のことだってのにわからないってのはもどかしいもんだな。
そんなことを考えているうちにキラークイーンにたどり着く。相変わらずサビは聞こえない。だがそれがいい。キラヨシカゲとは違うっていういい証だ。
右腕しか見えないのもやっぱりいい証だ。右腕は私だけのもので、サビ以外も私だけのもの。自分特有のものってのは最高だな。
そんな気分に浸っていると視界の隅になにかどす黒いものが映った。慌ててその黒いものに目を向ける。
自分の中で、この世界で黒いものといえばキラヨシカゲ以外に思い浮かぶものは無いからだ。そして目を向けた先にあるものに私は驚いた。
それはどす黒い染みだった。黒の中にあろうと発見できるとまで思うほどのどす黒い染み。
キラークイーンの位置から考えると、そこはキラヨシカゲが崩れ去った場所に他ならない。なんでそんな場所にこんなどす黒い染みがあるのだろうか?
答えは出ないまま、いつもどおり私の意識は暗転した。

122 :使い魔は静かに暮らしたい:2007/10/20(土) 19:12:03 ID:veJT+Hjn
パートW 使い魔は穏やかに過ごしたい

「水兵リーベ僕の船ななまがりシップ……」
「ななまがりシップスクラークですね」
「だめだな。なかなか覚えれない」
「焦らなくても、ゆっくり覚えていけばいいですよ」
「ニャー」
穏やかな陽光をその身に受けながら、私はシエスタと共にベンチに座っていた。もちろんただ座っているだけじゃない。シエスタから文字を教わっているのだ。
アルビオンが攻めてきたあの戦いからすでに1週間ほど過ぎていた。城下町はてんやわんやの大騒ぎらしいが学院では特に変わったことはない。
いつも通りの日常が繰り返されている。いつも通りというのは素晴らしいことだ。下手に騒ぐよりよっぽどいい。
騒ぎがあればこうしてシエスタに文字を教えてもらうことなんてできなかったからな。そう、私はシエスタに文字を教えてもらっている。
タルブの村が焼き尽くされたあの戦いで、シエスタは死んでいなかった。村の人間も殆んど死ななかったらしい。
全滅、あるいは8割がた死んでいると思っていただけに、随分と運がいいと思う。その運のよさを私に分けてほしいくらいだ。
「情…………………気品優雅さ……ああ?」
「情熱思想理念頭脳気品優雅さ勤勉さ」
「…………これ一体何が書いてあるんだ?」
「さあ、前にも言いましたけど結構難しいことが書かれてる本ですから」
シエスタが学院に帰ってきたとき、シエスタは私を見るなり泣きながら私に抱きついてきた。それはそれは驚いたものだ。
いきなり抱きつかれたこともそうだが、私の中じゃあ既にシエスタは死んだ事になってたからな。死人に抱きつかれたらそりゃあ驚くに決まっている。
泣きながら抱きつかれるってのは正直鬱陶しかったが、引き剥がすようなことはしなかった。さすがにそれはひどすぎるだろうからな。
仕方なく自分から離れるまで好きにさせておいた。やがてシエスタは泣き終え、私に礼を言った。助けてくれてありがとう、と。
意味がわからなかった。私は何かを助けた覚えなんてない。タルブの村は私が着いたときにはすでに火の海だったしな。
シエスタが言うには、村の何人かが巨大な戦艦に向かって飛ぶゼロ戦を見たらしい。シエスタの父もそれを見たそうだ。
そのあと、小さな太陽が現われたことから、あれは私が起こしたものだと判断したらしい。確かにゼロ戦は飛ばしたがあの光を放ったのはルイズだけどな。
それにしてもあのとき、ゼロ戦を見ていた奴がいるんだな。そのことに驚いたよ。
「キラヨシカゲってどう書くの?」
「えっと、こうですね」
本当に、本当に穏やかな時間だ。デルフと話す以外で心穏やかになる瞬間があるとは夢にも思わなかった。なぜこうも穏やかでいられるのだろうか。
それはきっと、今隣にいる人間がシエスタだからだろう。隣にいるのがルイズだったらこうもいくまい。あれは人の形をした何かだ。
そんなものの隣にいて、安心しろというほうが無理なんだ。ルイズを見るたびにあの光を思い出す。ルイズを見るたび恐怖心が心をかき乱す。
未知に対する恐怖が私の平穏を妨げる。この恐怖心を心から失くすためには、ルイズを殺すしかないんじゃあないか?
「ヨシカゲさん?」
「なんだ?」
「どうかしたんですか?少し顔が怖いですよ」
「……そうか」
ルイズを殺すべきなんじゃないか、最近こればかり考えている気がする。いや、実際こればかり考えている。ルイズを殺して得られるメリットを考えてみる。

123 :使い魔は静かに暮らしたい:2007/10/20(土) 19:13:10 ID:veJT+Hjn
ルイズを殺せば『虚無』系統の使い手はいなくなる。それによって『虚無』に対する恐怖が無くなる。自由の身になれる。
デメリットはなんだ?
ルイズは貴族の中でも身分が高い。王族とも付き合いがあり、お姫様の友人でもある。ってことは殺した場合……、怪しまれる。追究される。尋問される。
それも徹底的にされるだろう。一番近くにいるのがいつも私だ。絶対に怪しまれるに決まっている。逃げれば自分が犯人だといっているようなものだしな。
一生お尋ね者になってしまうかもしれない。いいベッドで眠れてうまい食事を朝昼夕きっちり取れる、この生活も手放すことになる。
ルイズは、魔法が使えるようになった。いつかだかルイズはこう言っていたな。
呪文をきちんと使いこなせる立派なメイジになりたいって。他のメイジが普通にできることを自分も普通にできるようになりたいって。それができただけで満足だって。
ルイズはその満足への足がかりを手入れた。だが、私はどうだ?『幸福』から遠のいたような気がする。
なぜ、こんなにも私がルイズに恐怖を抱いているのか、それはルイズが『虚無』を使えるからに他ならない。
私はあれ以来虚無を見ていない。しかしその力は、はっきりとまぶたの裏に焼きついている。
火』『水』『風』『土』、これらの系統はこの学院にいる限り、結構日常的に見られるものだ。だから慣れきっている。
慣れているものに人間ってのはそれほど恐怖を感じないものだ。だが、『虚無』は違う。ありゃあ今まで見てきた魔法とは全くの別物。
格というか次元が違う。一目見てわかる異常。明らかなる未知。それが『虚無』を身近で見て、そして感じた私の印象だ。
ルイズは個人で戦局を変える未知なる力を秘めている。そんな化け物の近くにいて気が休まるものか。
ルイズがあの力を私に使ってこないとも限らないのだ。あんなものを使われたら私はとてもじゃないが対処できるとは思わないね。対処できないからこそ怖い。
ふと横に目を向けると猫が私の心配などよそにウトウトしている。それを見ているとなんだか、こう、腹立たしい。こっちは真剣に考えているってのになんだその態度は!
とりあえず肩に乗っている猫を掴み後ろに向かって放り投げる。
「ニャ〜〜〜〜!?」
「え?なんですか今の泣き声?」
「なんでもない」
「あれ?猫ちゃんは?」
脱走してもルイズなら、使い魔に逃げられるなんてメイジの恥だとか言ってお尋ね者にしそうだな。
そうだ、いっそ事故に見せかけて殺したらどうだろうか?スタンドならおそらく可能だ。
……こんなこと考えるなんてまさしく『幸福』じゃないって証拠だよな。本当にどうしてこんなことになっちまったんだろ。
「ハァ〜……」
「ヨシカゲさん。本当にどうかしたんですか?なにか心配事でもあるんですか?少し様子がおかしいですよ?}
「なんでもないさ」
「でも「なんでもない。それよりこれは何て読むんだ?」……これはですね」
穏やかに、時間が過ぎていく。
どうしてこんなことになったのか?どうして私がこの世界に来てしまったのか?私の問いに答えられる人間なんているわけも無かった。

124 :初代スレ506:2007/10/20(土) 19:14:12 ID:veJT+Hjn
以上。

125 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/20(土) 19:17:26 ID:sslRvzAM
なによりも速さが足りない!
と書こうとしたらもう投下終わってた
乙!!!

126 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/20(土) 19:32:44 ID:p0kUD5ML
元素記号にクーガーって一体どんな本だよwww
乙!
相変わらず吉良は人間にはデレないなw

127 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/20(土) 19:36:22 ID:lTGnNGba
相変わらず腹黒いなヨシカゲ
つーかヨシカゲの対人関係の考え方って敵になった時に対処できるかどうかが前提なのかw

128 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/20(土) 20:10:11 ID:AbP055q/
乙!

むやみに恐れてたら自分で幸福を遠ざけるって気付くのは何時になるかな

129 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 00:56:53 ID:/oGNEinB
時は止まったか否か?

130 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 01:39:47 ID:SNgPjt8u
さすが、元ボスキャラは黒いな。いい感じだ。

131 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 08:44:59 ID:YKpQcpGg
GJでした。

132 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 09:54:50 ID:pxaBlkoR

           血       管       針       攻       撃  !
                       ・                   H /y'
                      /ヲ∴’                 LiニTヽ
                        jミf                  /\     ヽ>、
       r'^7  .r'^7     f{ヽ    E{                 /`  }こY`y'7 ,ノソ    /ソ
       iーl  iーl  ,ー-Y(-、.   }ヨ  _/゚ ̄>ー、   /   }::;,|ヘ/ fi{ . H     H
      ,. '´iーlニニ!ーl r'´ツ/y,}ヨど≧ァ〈〕〕〕〕)  / /..  /::、::. j}::;;|爻メハ_ノソ r―┬</
    /XX,iーl____,iーl \'´,イ/ヲ ノ{人 jiヽ}  _ ノl。 l...   |{ハj::.. .ィ州い{/}ミ、_ /y' ̄ ̄
   {ニ{ニスi_」  ヽ_ノ、.E}ムハ/ヲy巡_,jパシリ77フ  l。:..l。.    kル!:<●ソ:|ケy●ーヘエ/
   {ニ{ニハ\; ; ; ; ;;/}_E}ミY\y火、j,/}_))\,xtfハ、::\。 ...|ァ"⊂⊃;;;|,、_,父⊂ン
   {゙}ハ'^ ● M ●lス}从●_}ラ::{●スjr'(●)  ャハ::::ヾ....r|'::.   : ::j;;|ノ ハハノ  ,r/⌒)
    \``⊂⊃、元_, ⊂lノi⊂⊃、_,、_,⊂「⊂⊃.、_,、_,} \::}/>!:.   イ};:北_, イー、 /: `ー..イ
    i⌒ヽ j  (_.ノ   ノ/⌒)(wwノKノ⌒)イ (_.ノ Z__,ノ//⌒)    ..::ト、/^ヽィ/: : : : : :ス
    ヽー={ヽ>、 __, イアlヽ,/ニニ_イ::::::;/x>、 __, イ_/xff!/>-ィイ化y^ヾ/^/i: : :: : :/:/
     \ニ}γ⌒Y⌒ヽ爪/;;;;;;;;;;;/ }::/ 三チト| L//l  /\.! f! v'レ〈_//:::|: : :: /:,イ


133 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 10:05:44 ID:P1yhJ6/X
            H  /y'
        /ヽ  H  /y'
         /`  }_ ヽTァr-,、
        /   |こ=y7 ̄`ヽ>、
      /   } ,,{ペ.f!{    ,ノソ  ノ丿
     ./ヽ  ,j} jf}气`ハ、  ,H  />'
    |{ハ}} ,,ィリ州|い{,mヾコエ>゙ /7
     |ルjム=.' iif !ケy ,==ミ、_,/>'    厂 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄⌒ヽ
     k<.9ノリ jリ|ひ!((.・>.)!┴'゙     /           |
    __|77ァ''´   |Y,ィ`ァ'-ヘ      |  ボ ー ン ナ ム  |
  _r'「{|,;if|'   j; ビ了父ィソ ,/y  _,厶             /
 /_,>ィ|,fリ     |,八八/^′/y'zZ    \______,/
 |__/ム|イ    ,イ}|ゾY^ンYメYイ ⌒ヽ
  ,.く::7ト,    州こ^ニ^/⌒ヾィ´
/;゙ `>| W! _,,ィ化儿>'⌒ヾ/.:: /;l
f.::::,ィl{{リヾ比"  jf|}y' `ヾ//.:::: /;f}}
 / ,ノ| f|\V"l; |7 `ミ/^!/.::::: /,,,,,,
f{G/| {{V,ハ wリト~ミ八/.:::::: /,;;;;;;;;
fハ `ヽ.| ll{{V∧VF ,イ /.::::::::::/.............
;ifツ\_ハ、j}}}l>、ヾレシ´.:::::::::;/,;;;;;;;;;;.;.;..

134 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 11:39:29 ID:svGrSBJt
しかしルイズを殺しちゃったら、使い手というデルフとの大事な絆が消えるぞ吉良w

135 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 15:53:19 ID:2Zc593iF
人が居たら投下しようかと思ってる。


136 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 15:54:15 ID:dSZyM1Z7
支援準備完了

137 :見えない使い魔:2007/10/21(日) 16:00:29 ID:2Zc593iF
寺院がある。立派な大きさではあるが、手入れをされていないので屋根や壁は錆でくすみ、
門柱は崩れ、鉄の柵は歪んでいる。ここはとうの昔に廃墟となった村、いまはオーク鬼と
呼ばれる亜人の巣と成り果てていた。
森林を開拓して作り上げたのはいいのだが、近くにそいつらが住み着いていたので襲われ
てしまったのだ。領主に兵の派遣を要請しても無視をされたので村人はとっくに出て行っている。
タバサはそっと木の陰に隠れ、寺院を覗いた。もうすでに作戦は始まっているので、まもなく
中から豚に似たオーク鬼が来るはずだ。その証拠にさっきから悲鳴がこだましていた。
やがて、戸が乱暴に開け放たれ血だらけになったオーク鬼が外へと走ってきた。
ンドゥールの水でやられた仲間の血だ。そいつらはそのまま門を開けようとする。
だが、そうはさせない。
『ウインディ・アイシクル』
タバサの魔法、氷の槍がいくつも彼らの前方に突き刺さる。オーク鬼の先頭が
足を止め、次々とぶつかっていく。そこに大きな炎が飛び込んでいった。キュルケの
ファイアーボールだ。オーク鬼は見かけとは裏腹の俊敏さでそれを避けるが、炎が
地に着いた途端、彼らはより大きな炎に包まれてしまった。これはギーシュが錬金で
作り上げた油、地に染み渡らせていたのだ。しかし、それでも全滅とはいかない。まだ
数頭生き残っている。そいつらはタバサ、そしてキュルケが隠れている木に向かって
走り出した。と、その姿が消える。
ぷぎい、ぴぎい、と声がする。ギーシュの使い魔、ヴェルダンデが掘った穴に落っこちたのだ。
「やったわね」
キュルケがタバサの隣に降り立ち、別のところに隠れていたギーシュも彼女らに近づいた。
そして三人で穴を覗き込む。必死に登ろうとしている様が見えたが、ギーシュは錬金で作った
油を大量に中に注ぎ、キュルケが使い魔のフレイムに火を吹かせた。

138 :見えない使い魔:2007/10/21(日) 16:02:25 ID:2Zc593iF
夜、寺院の中庭で火を起こし、シエスタが料理を作っていた。なにかのシチューのようで
ある。その傍らではンドゥールたちが寺院に残されていたものの物色をしていた。
「やっぱりろくなもんがなかったわねえ」
「見つかったのは、銅貨と真鍮のネックレスぐらいか。ま、こんなものだろうね。
ンドゥール、君はいるかい?」
「いらん」
「だろうね」
とはいえ戦利品ではある。ギーシュは記念にそれらを袋に包んだ。ちなみにこれで七件目
であるため少々荷が嵩張ってきていた。そろそろ捨てるか魔法に使うかしなければならない。
ギーシュでもやろうと思ったらナイフにするということもできる。
ちと疲れるが。
「みなさんできましたよ。どうぞ、お食べください」
シエスタが出来上がった料理を配っていく。パンとシチューという、学院にいたころでは
考えられないほど質素な食事ではあるが不満はない。あろうはずもない。
シエスタが作るものが旨いためだ。なんでも実家に伝わる料理であるらしい。
「しかし、あなたもよくやるわよね。私たちだけじゃあどうなっていたことか想像したくもないわ」
「大したことありませんよ。罠とかなら簡単に作れますし、ンドゥールさんも捕まえるのを
手伝ってくれましたから」
「いやいや謙遜することはないさ。これも一種の才能だよ。うん、今日も美味しい!」
ギーシュは口を大きく開けてシチューを食べる。彼は以前、シエスタに理不尽な言いがかり
をつけていたこともあるが、すでにわだかまりはとれているようであった。
五人は夕食を食べ終えた後、これよりあとのことを話し始めた。
「僕はね、そろそろ学院に戻ったほうがよくないかと思うんだ」
「そうよねえ。誰にも言わずに出てきちゃったんだもん。きっとカンカンだわ。そういえば、
シエスタはいいのよね」
「ええ。マルトーさん、料理長からンドゥールさんを手伝うんだったらかまわないって
言われてますから。なんならそのまま帰省してもかまわないって」
「そうなの。じゃあ、シエスタを実家に送り届けてから学院に戻るとしましょうか」
「い、いいんですか?」
「いいわよ。亜人との戦いにも慣れちゃったからこれ以上の進歩はなさそうだし。
三人もいいでしょう?」
肯定の返事が返ってきた。
「それで、実家はどこなの?」
「タルブっていう村です」

139 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 16:03:12 ID:dSZyM1Z7
支援

140 :見えない使い魔:2007/10/21(日) 16:03:59 ID:2Zc593iF
五人がシエスタの地元であるタルブの村に着くと、それはそれは大騒ぎになった。
貴族が三人もやってきたのでシエスタの家族は急ぎご馳走を用意し、村長さえも
挨拶をしに出向いてきていた。ンドゥールはやれどう紹介すればよいものかシエスタは
悩んだが、結局奉公先で世話になっている人ということで落ち着いた。
そうして食事を終えると、ンドゥールたちはシエスタに案内され村を回ることにした。
夕日で赤く染まった草原。彼女は、はにかんだ笑顔で、これがこの村のもう一つの
宝であると言った。
「でも、ンドゥールさんには見えないんですよね」
「ああ」
「………すいません。こんなこといっちゃって」
「かまわん。それに、風は感じることができる。いいものだ」
シエスタは心の底から嬉しそうに笑った。
「……あちゃー」
「ん、どうしたんだいキュルケ?」
「見なさいよあの子の顔、恋する乙女じゃない」
言われギーシュもシエスタを見る。確かにどこか熱っぽくンドゥールを見つめていた。
そうか、好きなのか。きっかけはなんだったんだろう、と、思ったらすぐさまわかった。
自分の醜い行いである。ちょっと死にたくなった。
「で、どうするんだい?」
「どうするもねえ、今からどっかに消えるのは不自然でしょ。それに、私もダーリンを
譲る気は毛頭ないわ」
ふふ、と、キュルケは笑った。
「シエスタ、もう一つの宝だってことは、まだ名物みたいなものあるんでしょ?
案内してくれない?」
「あ、は、はい。こちらです」
シエスタは見えないようにため息をつき、歩き出した。ギーシュはンドゥールの後ろを
歩きながらキュルケに向かって言った。
「君は本当に意地が悪いね」
「お黙り」

141 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 16:04:34 ID:dSZyM1Z7
支援

142 :見えない使い魔:2007/10/21(日) 16:05:27 ID:2Zc593iF
道中のシエスタの説明によると、その宝というものは奇妙な張りぼてであるとのことだった。
なんでも『竜の羽衣』というたいそうな名前はついているものの、鉄の板やらが組み込まれ
ただけのもので、実際はただの大きな置物と化しているとのことだった。シエスタの曽祖父
がそれで空から飛んできたとのことだが、本当に飛ぶ姿を見た人物は一人もいないので嘘
つき扱いをされ、そのうちどこにも行くあてがなかったので村に住み着き始めたのだそうだ。
「ここにそれがあるんです」
シエスタは四人を奇妙な形をした寺院に連れてきた。丸木で組み立てられた門に石ではなく
板と漆喰で作られた壁、木の柱、白い紙と綱で作られた紐飾り、とても一般的なものとはいえ
なかった。
「どうぞ。お入りください」
シエスタに促され、足を踏み入れようとしたギーシュたちだったが、ンドゥールの手にさえぎられた。
「な、なんだい?」
「……中に一人いるな」
「え、そういえば、お父さんがこれに興味を持った旅人が泊まっているって言ってましたけど、
その人でしょうか」
「恐らくそうだろう。しかし、この足音は……」
ンドゥールはそう言ってすたすたと中に入っていった。シエスタたちもそれを追って中に入る。
すると、ンドゥールの言ったとおり、一人の男が『竜の羽衣』らしきものの前に立っていた。

143 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 16:06:12 ID:dSZyM1Z7
支援

144 :見えない使い魔:2007/10/21(日) 16:07:12 ID:2Zc593iF
彼は深緑のコートを羽織り、黒い眼鏡をかけていた。じっとその『竜の羽衣』を見つめて
いたがンドゥールたちに気づき、こちらに振り返った。
「すみません。勝手に入ってしまって。すぐに出て行きます」
小さく頭を下げ、彼は外に出て行こうとしたがンドゥールの目前でとまった。
その瞬間、二人の間に奇妙な空気が形成された。ギーシュは鳥肌が立った。キュルケも
つばを飲んだ。のどかな村の中であるというのに、一瞬にして戦場になったかのようであった。
「なあ、そこの人」
男のほうが口を開いた。彼はンドゥールに向かっていっている。
「僕は君に出会ったことがあるかな? どうも初見の気がしないんだが」
「一度、会ったことがある。いや、正確ではないな。やりあったことがある。
それが正解だ」
「……失礼だが、名前を尋ねてもいいかな?」
「ンドゥールだ。花京院典明」
空気があまりの緊張に固まった。シエスタは気を失いかけ、ギーシュもキュルケも
全身を汗で濡らしていた。身も凍るほどの殺気がぶつかり合っているこの場に耐えられない。
「念のために尋ねよう。エジプトの砂漠で出会った、水と一体化するスタンド使いか?」
「そうだ。法王の緑。目は治っているようだな」
「ああ。君につけられた傷は完治したよ。跡は残っているけどね」
ずず、と、花京院と呼ばれた男の背後に人型の像のようなものが浮かび上がった。
ンドゥールも腰につけた水筒の蓋を外す。
まさに一触即発。
だが、爆発は封じられた。

145 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 16:07:40 ID:dSZyM1Z7
花京院キター! 支援

146 :見えない使い魔:2007/10/21(日) 16:09:50 ID:2Zc593iF
「なにやってんだいあんたら!」
喝が入った。その怒声で充満していた殺気が掻き消え、花京院とンドゥールは
臨戦態勢を解いた。おかげでギーシュたちは呼吸が楽になった。九死に一生を
得た気分だったが、それをした人物を視認すると、礼を言う場合ではなくなった。
なぜならその人物は、ギーシュにとって苦い思い出のある女だったからだ。
「お前、『土くれ』のフーケ!」
「やあ」
彼女は包帯を巻かれた手を上げた。
「奇遇だね。言っとくけどやりあう気はないから、杖は出すんじゃないよ」
ふざけたことをぬかされた。とはいえ、こんなところで戦いをおっぱじめるわけにも
行かないのでギーシュもキュルケも杖を出すことはなかった。
「上出来。それで、あんたたちはなんでこんなことにいんの? その、ンドゥールまで連れて」
「マチルダ、彼らと知り合いなんですか?」
花京院が少し戸惑っているような彼女に尋ねる。どうやらこの二人は知り合いのようであった。
「ま、顔見知りみたいなもんさね。ほら、あんたらも積もる話があるようだし、
とりあえずここを出ようじゃないか。話ぐらいなら聞いてあげるよ」
突如現れたフーケに言われ、各々は寺院を出て村に戻っていった。シエスタはどういうことなのか
説明を求めていたが、ンドゥールは答えず、ギーシュもキュルケも事態がよくつかめていなかった。

147 :見えない使い魔:2007/10/21(日) 16:11:31 ID:2Zc593iF
六人はタバサのいるシエスタの家に向かった。すると客人が増えたとまたてんや
わんやになるところであったが、フーケがシエスタの父に挨拶すると彼は、村長の
とこにとまってた人たちか、と言って落ち着いた。『竜の羽衣』に興味がある旅人と
いうのはフーケと花京院の二人のことだったのだ。
「それで、どっから話そうかね」
「まずは、どうしてここにいるか。それを教えてもらいたいわ」
キュルケが物怖じせず言った。フーケはよどみなくすらすらと答える。
「なに、ちょっとヨシェナベっていう珍しい料理があるって聞いてね。食べに寄っただけさ。
言っておくけど、盗みをするつもりはないからね。討伐隊が組まれちゃたまんないし」
「たしかに。それで、その彼とはどういう関係なのかしら。お仲間がいるなんて知らなかったけど」
「そりゃね。だってこいつと知り合ったのはあんたらと別れたあとだったんだ。知ってるわけがないさ」
「そう。で、そっちのノリアキ? あなたと私のダーリンはどういう関係なの?」
「ダーリン?」
キュルケの言葉を聞き、花京院はンドゥールに目を寄せた。
「そいつのことであってるよ。といっても、全然相手にされちゃいないようだがね」
「うるさいわよ」
むすっとキュルケはむくれた。この旅の途中も、どんなにアタックしたところで
ちっともなびきはしなかったので自信を失いかけていたりする。
「ああ、僕と彼とはね、一度戦ったんだ。そのときは僕の負けだったけども」
「それだけ?」
「それだけだ」
ンドゥールも肯定したのでそれ以上の追求はできなかった。フーケも何か聴きたそうに
していたが、口をつぐんでいる。
「質問は終わりましたか?」
花京院がキュルケに尋ねた。
「ええ、こっちからはね」
「それでは僕からも聞かせてもらいます。というより、お願いがあります。
あの寺院に飾られてある御神体、譲ってはもらえませんか?」

148 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 16:11:41 ID:dSZyM1Z7
マチルダ姉さんナイス仲裁。支援

149 :見えない使い魔:2007/10/21(日) 16:14:34 ID:2Zc593iF
「えっと、それは、なぜなんでしょうか。父によると、あれは墓碑銘が読めるものが
いればその人に譲るようにと、おじいちゃんが遺言を遺したらしいのですけど」
「僕は読めます。海軍少尉、佐々木武雄、それがあれの持ち主」
シエスタは花京院の剣幕に押されながらも尋ねた。
「あ、あの、理由を教えていただきませんか? なぜあんなものが必要なのか」
「あれは、僕の生まれた国で作られた機械です。あなたの曽祖父が乗ってきたと
いう話を聞きました。墓も遺品も確かめたので間違いありません」
「本当なのか?」
ンドゥールが尋ねる。花京院は肯定した。
「君は見えていないからわからないだろうが、御神体と言うのは飛行機だ」
「ひこうき?」
ンドゥールと花京院以外のメンバーが疑問符を並べた。そんな言葉を始めて聞いた。
「要は空飛ぶ機械。誰にも信じてもらえなかったみたいだけどね」
「なぜだ?」
「ガス欠さ。調べさせてもらった。たぶん飛び立ったものの気づいたらこんなところに
いたんだろう。途方にくれただろうね」
花京院はやれやれというジェスチャーをした。
「そういえば、お前はどうやってこの世界に来た」
「僕は気づいたらここにいたよ。君の主人に殺されたあとにね」
「俺も似たようなものだ。お前の仲間に倒され、自害したあと気づいたら召喚された」
「つまり、互いにどうやってここに来たのかわからないと」
「そのようだな」
はあ、と、二人そろってため息をついた。話からして敵同士だったようだが、いまは同じ
身の上であるようだった。キュルケは情報を交換し合う二人を眺め、なんかこの世界
とかわけがわからないけど別にいいか、と思った。
「それで、飛行機に乗ってどうするのだ?」
「あれの持ち主は東からやってきたらしいからね。東に飛んでいけば、なにか戻るため
の手がかりが見つかるかもしれない」
「そうか」
ンドゥールが小さな声で答えた。まるで胸に何かが詰まっているみたいだ。
「君は戻りたいとは思わないのか?」
「戻れば『あの方』のためにお前とお前の仲間たちと戦う。それは誇りが失われる。
負けたのだ。俺は。それを覆そうとする行為など、許せん」
「しかし、もう決着はついているはずだ。確かめてみたくはないかい? 
僕は、君の主人に倒されたのだからね」
「そうなのか。となると、もうすんでいるか。『あの方』か『あの男』のどちらが勝利しているものか、
もう一度会いたいものだ」

150 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 16:14:51 ID:rKcBz6mU
リアルタイムで読めるとは嬉しい支援。

151 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 16:16:47 ID:dSZyM1Z7
支援仲間が増えて嬉しい支援

152 :見えない使い魔:2007/10/21(日) 16:16:48 ID:2Zc593iF
翌朝、ギーシュたちは荷を纏めて出発の準備をしていた。学院からふくろうが
飛んできてお叱りを受けたのだ。おまけに罰則も。予想していたことなので
生徒の三人はしょうがないかと受け入れた。シエスタはそのまま残っていて
かまわないとのことだった。
ンドゥールは、花京院とフーケを御神体の飛行機に連れてきていた。彼は左手で
機体に触れる。すると、ぼうっと彼の左手に刻まれているルーンが淡く光った。
「それはなんだ?」
「ガンダールヴという使い魔のルーンであるらしい。これのおかげで、この飛行機の
情報も知ることができる。日本で作られたゼロ戦、らしい」
「ゼロ戦。第二次世界大戦の代物か。すごいものが落ちてるものだ」
「なんなんだいそれ」
ちんぷんかんぷんのフーケが花京院に尋ねた。
「戦闘機ですよ。こっちだと竜に乗って空を飛ぶでしょ? 僕のいた世界は、
これに乗って戦うんです」
「へえー」
じろじろとフーケはその『ゼロ戦』を見つめる。とても空を飛ぶようには見えない。
いいとこカヌーに羽をつけた大きなおもちゃである。
「でも、これをどうやって運ぶんだい? ガソリンとかいうのがなくて動かないんだろ?」
「ギーシュのコネで学院に運んでもらう。花京院、お前も来るか?」
「ああ。僕もいく。調べ物もしてみたいからね」
「じゃ、私とはここでお別れだね」
それは仕方のないことだ。学院に戻れば彼女の顔を知るものが大勢いる。そんなところ
にいけば捕縛されてまた処刑を待つ身になる。それは勘弁願いたいのだ。
マチルダは乾いた息を吐いて二人に言った。
「達者でね」

153 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 16:17:58 ID:35e/hwwm
悪の美学支援

154 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 16:18:10 ID:dSZyM1Z7
支援

155 :見えない使い魔:2007/10/21(日) 16:19:31 ID:2Zc593iF
学院に『竜の羽衣』とともに帰ると、軍人から運送代を請求された。そのことについては
まったく考えていなかったンドゥールは困った。花京院は金を持っていたものの全然
足りなかった。
しかし、コルベールという教師が代金を肩代わりすると申し出てきた。
「いいのか?」
「かまわないさ。ただ代わりに研究させてくれ。こんな興味深いものを見たのは
生まれて初めてだよ」
花京院は興奮している彼を見て、少し驚いているようだった
「それで、どうやって空を飛ぶんだね? ささ、早く飛ばしてみてくれたまえ。おお、
好奇心でこんなに震えてきている」
「ガソリンがないのでできん。これと同じものがあれば空を飛ぶことができる」
ンドゥールはタンクに残っていたガソリンをコルベールに渡した。その匂いはやはり
独特であったようだ。彼がすぐに鼻をつまむ。
「わかった。わかったよ。すぐに錬金してみるからね。それまで待っていてくれたまえ」
コルベールはそういい、走ってその場を離れていった。
「すごい人だな」
「ああ、この世界では珍しい人物だ。初歩的なエンジンをも作っていたので協力してくれる
だろうとは思ったが、まさかここまでとはな」
「……そういえば、僕はここにいていいのか? 入る許可なんかもらっていないんだけど」
「そうだな、一応学院長のもとにいったほうがいいだろう。案内してやる」
そう言ってンドゥールが歩き出したところ、宿舎から一人の少女が走ってきた。その足音に
彼は気づき、花京院もそちらを見やる。疾走してきているのは桃色の髪をした少女、
ルイズであった。
彼女は勢いを弱めることなく二人に近づき、どん、と、ンドゥールに飛びついてきた。
「どうした。いきなり」
「うるさいうるさいうるさい! ようやく帰ってきたと思ったらこんなところでのんびりしてて、
すぐに私のところに来なさいよ! 私の使い魔だって自覚あるの!」
「……」
「考え込むな!」
ルイズはその小さな手でンドゥールを叩いた。怒っているようだが力は入っていない。
なぜかぼろぼろと泣いていた。
「どうなっているんですか一体」
蚊帳の外にいる花京院はそんなことを呟いた。
目を丸くしている。

156 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 16:19:52 ID:vvSnA5+o
何という巡り合わせ支援

157 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 16:20:20 ID:itu2WIBN
追いついた支援

158 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 16:22:16 ID:dSZyM1Z7
花京院スルーされる支援

159 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 16:22:32 ID:vvSnA5+o
ルイズ可愛いよ支援

160 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 16:22:34 ID:F7MnebV5
追い付いてないが、
とりあえず支援。

161 :見えない使い魔:2007/10/21(日) 16:22:59 ID:2Zc593iF
ルイズはここしばらく授業に身が入らなかった。朝起きるのもかったるく、食事も
あまり摂ることはなかった。それでも惰性で出席はしていたのだが教師の言葉も
ほとんど耳に入らず、毎日毎日外を眺めていたのだった。おかげで集中しなさいと
怒られることがしばしばあった。
ところが、今日、亜人退治に出た連中が帰ってくると知って心が躍った。いつもいつも
自分の後ろから響く音が戻ってくる。そりゃあ嬉しかった。
しかし、迎えに行かずに自室で報告を受けようなんて思ったのにいつまでたっても
きやしない。貧乏ゆすりをしながらも辛抱強く待っていると、なんだか中庭がざわつき
だしていた。いらいらしたのでそちらを見やると、ンドゥールがコルベールと知らない男
の三人で話し込んでいた。
腹が立った。あいつは主人の下に来ないでなにをしているのかと。なんでそんな
知らないやつと親密になっているのかと。
メラメラと嫉妬が燃え上がった。相手は男だがそんなことは関係なかった。男色は
珍しいものではないのである。
走った。走ってンドゥールの下に駆けつけた。視界に入れると、なんだかもう久しぶりに
あったから胸の中が爆発しそうなぐらい切なくなった。だから飛びついてそれから殴った。
けれど隣の緑の男はその自分をなんだかおもしろそうに見ていて余計に腹が立った。
なんなのよと憤りたかったが、彼女は目から出所不明の涙が出てきてなにも言葉にならなかった。
それから緑の男、花京院はコルベールの助手ということでこの学院に居座り変な置物を
ンドゥールと一緒に調べ始めた。それがまたルイズにとって腹立たしいことだった。
洗濯や掃除などはやってくれるのだが、授業にンドゥールはついてこずにずっと中庭で作業をしている。

つまり一日の大半、せっかく帰ってきたのに離れて生活しているのだ。近くにいるというのに
顔を合わせることがほとんどない。それは彼がいなかったときより辛く、寂しさが染み入ってきた。
それに、理由が理由だった。
東に元の場所に戻る可能性があり、あのヘンテコな置物であれば飛んでいける。
それはつまり――、帰りたい。そういうことじゃないのか。
と、色々あったおかげで、ルイズはすねた。

162 :見えない使い魔:2007/10/21(日) 16:25:16 ID:2Zc593iF
「いや、ここに来られても困るわよ」
「……」
ルイズがいるのはキュルケの部屋。深夜、いつまでたってもンドゥールが来ない
もんだからならこっちも出て行ってやるとばかりに駆け込んだのだ。
隣に。
そんなことをしたところで彼なら簡単に居場所がわれるというのはわかっているのに。
キュルケは大仰にため息をついてベッドに倒れこみ、窓に張り紙をする。今日は密会は
中止と書いたものだ。念のためサイレントもかけて声が漏れないようにもした。
「ルイズ、あなたね、言いたいことがあったらはっきり言いなさいよ。私は心の中を
読めるほど器用じゃないんだから」
「……わかってるもん」
「じゃあ言いなさいよ。なにか言いたいことがあるからここにきたんじゃないの?」
「………どうやったら、」
「んん?」
「どうやったら、男はなびくの?」
「はあ?」
さすがにこの質問には面食らった。キュルケは確かに男漁りが趣味であるため
他の女子よりかはこの手の事は詳しい。けれども、いくらなんでもそんなことを、
しかも仇敵ともいえる間柄の相手から尋ねられるとは考えもしなかった。
なにしろ一般的には貴族も平民も関係なくはしたないことなのだから。しかし、相手は
想像がついた。そんなのただ一人しかいない。
「ダーリンを誘惑するのなら協力しないわよ」
「な、なんであんなの誘惑しなくちゃいけないのよ!ばっかじゃないの! ばっかじゃないの!」
「そうだからここに来たんじゃないの。それともなに? 彼以外の、そうね、
あのカキョーインとかいう男でもたらしこむつもり?」
「いやよ! そんなわけないじゃない!」
こりゃ会話にならない。キュルケはルイズの首根っこを捕まえて部屋からぽいっと出した。
付き合ってられないのだ。
それでもちょっとした助言をくれてやる。
「ルイズ、なびいてほしいのなら本人に直接いきなさい。回りくどいことをせずにね。
あなたにできるのはそれぐらいでしょ」

163 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 16:25:44 ID:vvSnA5+o
支援だ!

164 :見えない使い魔:2007/10/21(日) 16:27:45 ID:2Zc593iF
猫のようにつまみ出されたルイズは、結局自分の部屋に戻るしかなかった。けれども
いまだにンドゥールは中庭にいて戻る気配はなかった。あの変な置物を使いどこへ
飛んでいくのだろう。空を飛ぶなんてことは全然信じていないが、仮に本当だとしたら、
彼はやはり『あの方』のもとへ戻るつもりにちがいない。
いくらなんでも目の前に餌がぶらさがっていたら誰だって飛びつくものだ。
それが、いくらどんな騎士より誇り高い男であろうとも。
ルイズはベッドに飛び込み毛布を頭から被った。涙が頬を伝っていった。シーツで
ぬぐっているうちにいつしか鼻水もでてしまった。初雪のように白い肌は真っ赤に
なってしまった。あまりに、あまりに悔しかったのだ。
存在の価値が違いすぎる。自分では『あの方』には勝てない。ルイズはキュルケに
色仕掛けの方法を学んでも無意味だってのはわかっていた。彼がそんな単純な男
であったなら心の葛藤は消えていることだろう。でもそれは彼ではない。彼でなければ
駄目なのだ。彼だからこそこんなに苦しんでいるのである。
ルイズは静かに、一人、寂しく、孤独に、泣いた。行ってしまうのか、やはり、と。
彼女には友達がいる。キュルケやタバサ、ギーシュ、あまり親交を深めているわけ
ではないがシエスタというメイドだってそうだ。それに教師だって己の努力を認めて
くれている人たちがいる。だが、ンドゥールは、影のように付き従い、何度も命を助けて
くれたあの使い魔は、いつしか彼女たちよりさらに一線越えた存在になっていた。
だから悲しい。だから、キュルケの言ったように『本人に直接いく』というようなことはできない。
反対できない。きっと命令すれば、恩義に厚い彼はここに留まるだろう。ルイズには
それがなんとなくわかっていた。
だが、そうするとンドゥールの心に喜びは生まれない。彼の意思でここに留まってもらいたいのだ。
仕方ないからとか、命を救ってくれたからとか、そんなんじゃあ駄目なのだ。
大事な存在だから、自由にさせてあげたいのだ。
ルイズは泣いた。泣いて泣いて、泣き崩れた。
そのためドアが開く音も、聞きなれた杖の音にも気づかなかった。

165 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 16:29:48 ID:vvSnA5+o
畜生!こっちのルイズはみんな可愛い支援

166 :見えない使い魔:2007/10/21(日) 16:30:13 ID:2Zc593iF
ギッと、ベッドが軋んだ。どうしたのかとルイズが思うより早くごつごつした指が
彼女の頭をなでてくれた。それをしてくれたのは、他の誰でもないンドゥールだった。
彼は湿った布巾をルイズの手に握らせた。
「顔を拭け」
「……いらないわよ。風呂に入ったんだから綺麗なままよ」
「涙で汚れてるだろ」
ルイズはぐっと歯を噛んだ。泣き声を彼は聞いたからここにやってきたのだ。
もう隠すこともできないので諦めて顔を拭く。
痛かった。
「俺は、お前を慰めるようなことはできない」
ンドゥールが急にそんなことを語りだした。毛布からわずかに顔を出してルイズは
彼を見上げる。低い声。
「以前にも言ったが、俺にできることは戦うことだけだ。お前の命を脅かすものを排除する。
それだけしかできん。しかし、生きていくにはそれだけでは不足ということも知っている。
それも俺のように欠落した人間でないならなおさらだ。戦う以外で、俺は手助けができない。
お前が何に苦しんでいるのかはわからない。どうやったら癒すことができるのかわからない。
すまないな」
謝られた。ンドゥールにはなにも悪いことない。
なのに気に病んでいる。
心配させてしまっている。
ルイズはそれが心苦しかったが、嬉しかった。
醜い感情、負担になっているのに。殺したかった。暗部を消したかった。
「………もうやだ」
「なにがだ?」
「自分がいやなの。もうすっごくいや。かっこわるいし、馬鹿だし、」
「魔法が使えないからか?」
「違うもん。そんなのどうでもいいもん」
「そうか」
ンドゥールは優しく、慣れてない手つきで頭をなでた。しばらくそうしていると、
ルイズは泣きつかれたためゆっくりと眠ってしまった。
彼女はその日、自分が誰かの盾になっている夢を見た。
誰かを、大事な誰かを守っていた。守られてばかりじゃない。
嬉しかった。

167 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 16:31:45 ID:rKcBz6mU
猫のようにつまみ出されながら支援

168 :見えない使い魔:2007/10/21(日) 16:34:07 ID:2Zc593iF
タルブの村、フーケ=マチルダは花京院と別れた後もそこに逗留していた。ワルドに
つけられた傷は深く、水魔法を日に何度か使っていくことでどうにか完治はしたものの
元の状態には戻っていない。リハビリが終わるまではしばらくゆっくりするつもりだったのだ。
しかし、そんなことを言ってられない事態になってしまった。
ある日のことだった。泊まっている村長の家で身体を動かし、どこにも違和感がないことを
確かめていたら、大気を揺るがす爆発音が耳に突き刺さってきたのだ。直後には地震の
ような震動も伝わってきた。

これは明らかに自然の現象ではない。彼女は村長たちと一緒に急ぎ外へ出た。
まず視界に入ったのは何隻もの船が落下している光景だった。山肌にぶつかり黒煙を
上げるもの、森に落下し暴虐の火を撒き散らかすもの、様々だったが、共通点があった。
偶然落ちたものではない。落されたのだ。
マチルダにとって予想外であった。ワルドが戦争をもうすぐ起こすといっていたことは
覚えている。しかし、まさか不可侵条約をあっさり破って仕掛けてくるとは夢にも思わなかったのだ。
「村長さん、村人を非難させな」
「ま、まさか、戦争なのですか?」
「そうさ。しかも………あいつらろくでもないことをするみたいだ」
上空から生まれて初めて見るような巨大な船が下りてくる。それが錨を草原に下ろし
停泊すると、何頭ものドラゴンが飛びたちまっすぐ村にやってきていた。
これは戦争だ。それも、相手は条約を破る歴史的に見てもそういない厚顔無恥。
礼儀や配慮など持ち合わせているはずがない。そんなやつが、敵に遠慮をするか? 
いいや、示威行為として、見せしめとして、盛大な炎を上げるだろう。
マチルダの勘は当たっていた。
ドラゴンは村の上空に飛来すると、家々に火を吹きかけたのだ。
「逃げな! 焼き殺されちまうよ!」
マチルダが叫ぶ間にも火は燃え移っていく。防衛の術がないためたったの三頭で
十分だというのだろう。空飛ぶ相手は厄介ではあるが、マチルダならば相手はできる。
だが、敵はこれだけではない。戦うというのならばその後ろとも事を構えなければ
ならない。そんな覚悟はない。
こんなところで死ぬわけにはいかないのだ。
そのはずなのに、彼女は杖を持ち走っていた。

村の入り口では男連中が女子供を外に逃がしている。村長からの指示が早かった
ためにいまのところ怪我人はいない。転んだ人がいるだけだ。しかし、彼らに向かって
一頭のドラゴンが近づき鎌首をもたげ、火を吹いた。メイジでもなんでもない平民が
防ぐことはできない。が、突然に地が盛り上がり彼らの盾となった。
火は村人に届くことはなかった。

169 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 16:35:55 ID:rKcBz6mU
おマチさんを支援だ!!

170 :見えない使い魔:2007/10/21(日) 16:36:55 ID:2Zc593iF
ドラゴンに跨る兵士は背後に振り向いた。そこにはマチルダがいた。彼女が守ったのだ。
「貴様、メイジか」
「そうだよ。まったく、こんなことガラじゃないんだけどね」
「ならば我らレコン・キスタに入れ。貴様の腕なら相当な地位につけるぞ」
ため息をつく。
「あのさあ、なんであんたら馬鹿の一つ覚えみたいにそんなことしか言えないんだい?」
「ほう、何度か言われたことがあるのか。ならば、入るつもりはないのだな?
このような状況においても」
マチルダの周囲には、前方のものを含めて三頭のドラゴンがいた。なるほど、まともに
戦って勝てるわけがない。だが、それならまともに戦わなければいいのだ。
マチルダは前に歩いた。
「入ると、決めたのか?」
「んなわけないでしょばか」
ドラゴンが背後からハエのように飛ばされた。村人を救った土、それをゴーレムに
変えたのだ。さらに間断いれずにもう一頭のドラゴンをも殴り飛ばす。最後のやつは
腕の届かないところに逃げ出してしまったが、船に戻すつもりはなかった。マチルダは
燃え盛る家の中から焦げた柱をゴーレムで取り出し、投げつけた。
「おおあたりっと。やれやれ。貧乏くじ引いちゃったわね」
そう言ってマチルダも村から出ようとしたところ、背後から爆発音がした。自分以外にも
メイジがいたのだろうかと思ったが、そうではないと徐々に知ることになった。
爆発は一度ではすまなかった。何度も起こった。マチルダは、それが魔法や自然で起こった
ものではないということもわかった。爆発したところからは火も煙も昇ってこなかったからだ。
普通そんなことはありえない。
不審がるマチルダの耳に奇妙な声も聴こえてきていた。
「……………ジャネェー」
人間のものとは思えない、ひどく無機質な声。いや、音というべきである。マチルダはゴーレムの
頭に飛び乗って村を見回し、その声の主を見つけようとした。
一番近い家が爆発した。火は消し飛んだが、そこから彼女のほうに向かってくる小さな物体があった。
それが爆発を起こしたのか、確信はなかったがゴーレムに殴らせた。
つぶれた。そう思った瞬間、ゴーレムの腕が爆発して消えた。マチルダは爆風に
飛ばされ地面に降り立った。
「今ノハ人間ジャネェー」
髑髏が付いた走る車、それがその声の主だった。
「……なんだいこりゃ」
それはゴーレムの胴体に突っ込み、圧倒的な質量を持つそれをあっさり爆発させて消し去った。
塵一つ残っていない。
マチルダの背筋が寒くなった。あんなものを食らえばどうなるかわかりきっているからだ。
どうかこっちに振り向かずどっかに行ってくれればと願ったが、そんなわけがなかった。
その子供のおもちゃのような車は彼女に振り向き、走ってきた。
「今ノハ人間ジャネェー」
「―――じょ、冗談じゃないよまったく!」

171 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 16:38:49 ID:iPyaC5fR
支援

172 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 16:39:01 ID:rKcBz6mU
土くれのフーケから怪傑おマチさんにジョブチェンジ!!と思ったら相手コレかよ的支援DADADA!!

173 :見えない使い魔:2007/10/21(日) 16:40:10 ID:2Zc593iF
冗談じゃなかった。マチルダは生まれてこの方、これ以上の恐怖を味わったことがない。
ワルドはまだ人間だった。だから驕りと油断があり、隙を突くことができたのだ。ところが
今回の敵は己の意志というものが存在しない。そのため油断や驕りが生まれることもない。
ただただ自動的に爆破させているのだ。
それだけでなく自慢の巨大ゴーレムのパンチをものともせず、あっさりとこの世から
消し去ってしまうほどの能力を持っている。
救いがあるとするならそれは一つ、空を飛べないことだ。
「これで飛行能力までついてたらって考えると、ぞっとしないね」
フライを使い、マチルダは恐ろしい敵から逃れることができていた。しかし、そいつは
マチルダの真下から離れようとはしない。それを利用していっそアルビオンの船に
ぶつけてやろうとも考えたが、途中で殺されるか、そうされなくともどのみちなんらかの
対抗策を用意されているに違いなかった。
やるだけ無駄である。しかし、ではどうする。
打撃は無意味、かといって魔法を使ってどうにかなるとは思えない。こいつは大火に
突っ込んで爆発させまくったのだから。

……どうしてわざわざ火の中に突っ込んでいったのか。

マチルダは村のことを思い出す。目の前の車は燃えている家を爆発させて回っていた。
それなのにいまはマチルダ自身を追ってきている。人間を狙っている、のは間違いない。
だが、識別する方法は視覚的なものではない。なにか、条件があるはずだ。
そうでなければ、車の近くに落ちたときに殺されている。なぜあのときゴーレムに向かった
のか。なぜ燃えている家を爆破させていたのか。
その理由は―――温度。
ゴーレムはドラゴンの火を浴びて熱せられていた。だから先に向かったのだ。
しかし、答えがわかったところで、どうだというのか。学院の宝物庫に匹敵する頑丈さを
どうやって攻略するのか。いや、それより、どうやってこの状況を脱するのか。
そのうち魔力は切れてしまう。そうなったら…………

174 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 16:40:28 ID:vvSnA5+o
マチさんガンバ支援

175 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 16:41:37 ID:iPyaC5fR
JOJOっぽい戦闘になっていきた支援

176 :見えない使い魔:2007/10/21(日) 16:42:19 ID:2Zc593iF
マチルダが悩んでいると、視界に数十人の軍勢が入ってきた。彼らは恐らくここら一帯の
領主であるアストン伯とその兵士たちだろう。領土内に侵攻されたので黙っちゃおれんと
ばかりに出征してきたのだ。

その行為はすばらしいものだ。領民を捨てずに戦いにきたのは。
だが、彼女に言わせれば、それは勇気でもなんでもなく蛮勇である。確実に、死ぬ。
ノミが人間に勝てるか。
彼らはそのままマチルダのほうに近寄ってきた。車は距離があるからかまだ彼女の真下にいる。
「貴女に尋ねるが、村人たちはどうなった」
精悍な顔つきをした男だった。鎧の装飾からして伯爵だろう。
「みんな無事さ。家や田畑はあんなことになっちまったけどね。それより、あんまりこっちに
近寄るんじゃないよ。あたしの真下にいるやつが村をあんなふうにしやがったんだ」
正確には違うが、こうでも言っておかなければ不用意に近づいて爆死してしまう。
余波にやられてはたまらないのだ。
ところが、いいのか悪いのか、この伯爵はモットとは大違い。
善人だった。
「わかった。なら、まずは貴女を助けよう」
伯爵がそう言うと、一人のメイジが詠唱を始め、よりにもよってファイアーボールを
投げてきた。突如生まれた高温、車はそれにまっすぐ向かい、爆発した。
「今ノハ人間ジャネェー」
「よ、余計なことを!」
車はマチルダ以外の温度に気づいてしまった。
馬、人間、よりどりみどりだ。
「逃げな! そいつは『ぶっ壊れ』ない!」
せっかくの警告を聞いちゃいなかった。一人の兵士が馬から下りて剣を叩きつける。
しかし、パキンとあっけにとられるほどの間抜けな音を立てて真ん中から折れて
しまった。
そして、その無知な兵士はこの世から消えた。

177 :見えない使い魔:2007/10/21(日) 16:44:45 ID:2Zc593iF
マチルダは即座にフライを切った。すると重力の鎖に絡め取られ落ちていくが
その最中に遠くへファイアーボールを投げ込んだ。車はそちらに向かって
走っていく。そして、爆発した。
「なんなのだあれは! 彼は一体どうなったのだ!」
「死んだんだよ。よくわかんないけど、あの車は温度が高いところに走って
爆発するんだ。跡は残らない」
マチルダの話を聞いても伯爵はまだ半信半疑だったが、もう一度遠くに火をつける
と車はそちらに向かっていき爆発した。
「……何者かの使い魔であるのか?」
「わかんないけど、その可能性はあるわね」
もしくは、花京院と同じスタンドか。これならもっと話を聞いておけばよかったと
考えかけたが、いまはそんな場合ではなかった。車は彼女らの方向に走ってきている。
また遠くに火を点けて遠ざける。
「尋ねるが、村人たちはいずこに」
「南の森。そっちに避難しているよ」
「そうか。皆のもの、あの魔物は私が引きつける。その間に村人たちを館へ誘導しろ」
「……正気かい?」
「無論。こういうときに殿を勤めるのがメイジである。貴女は逃げても構わんぞ」
「そういわれてハイハイ逃げられたらいいんだけどね」
「人がいいな。『土くれ』のフーケよ」
「ばれてたのかい。まったく、こんなのあたしのガラじゃないのに。
なんでこうも貧乏くじを引かされるのかね!」
マチルダはあちらこちらに火をつけて兵士たちのために時間を稼いだ。アストン伯も
協力してくれるが、いつまでもこんなことをしていられない。
そのうち精神力か体力が尽きてしまい世界からさよならだ。
「案はあるかい?」
「ある。極々簡単な方法がな」
「マジで? じゃあやってみなよ」
アストン伯は短く詠唱すると、車の前方に水を生み出した。そして、衝突した瞬間、
がちがちに凍らせてしまったのである。車はごろごろと残った勢いで転がったが、
爆発するようなことはなかった。マチル

ダは恐る恐る触れてみても分厚い氷に覆われているせいか爆発はしない。たぶん、
標的を抹殺するためにある程度近づく必要があり、それを温度で確かめるのだが、
氷に覆われているためそれを感知できないのだろう。
「……機転が利くじゃないか」
「お褒めに預かり光栄だ。しかし、なにもかもが遅かったようだ」
二人の視線の先には、陣を広げ始めているアルビオンの軍隊が見えた。元々数十人の
軍勢など歯牙にもかけていない。使い魔かなにかがこのような事態になろうとどうだっていいのだ。
「一泡、吹かせてやりたいもんだね」
「まったくの同感だ。彼奴らは、罪なきものたちの命を軽々と奪おうとしたのだ。
貴族ではない。もはや蛮族である」
「ともかくいまは待ちだね。それしかできない」
「うむ。貴女も館に来るといい。どうせ盗むものは何もないが気落ちしないでくれたまえ。
いや、一つあったか。ものではないがな」

178 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 16:46:18 ID:rKcBz6mU
うおお頑張れと捻りの無い言葉しか出てこない支援!

179 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 16:46:31 ID:vvSnA5+o
コッチヲミロォ支援

180 :見えない使い魔:2007/10/21(日) 16:46:41 ID:2Zc593iF
王宮ではレコン・キスタの侵略戦争に対して会議が進められていた。しかし、
まったく進むことはない。ただ情報が真偽に関わらず飛び交っているだけに
過ぎず、参加している誰もが内容を把握し切れていなかった。
確かなことは戦争が始まったこと、王女の婚姻が延期になったこと。
たったの二つだった。

その騒々しい会議室から離れた宮廷の中庭では、とうに魔法衛士隊が出陣の
準備を終えていた。ただ、状況が状況だけにすぐさま出ることはできないということを
面々はわかっていた。これがもし、周到な準備をしてからの『正々堂々』とした戦争で
あれば話は違っていただろうなと衛士の一人であるアニエスは思っていた。
そもそもグリフォン隊の隊長が裏切り者だと判明してからまだ半年もたっていない。
混乱は表面上治まっているに過ぎず、部隊の再編成はまったく進行していない。そこへ
狙ったかのように、いや、狙って戦争だ。
このまま反抗せずに降参という可能性もある。
「困ったものだ。なあ、4」
『腹減った。干し肉くれ』
アニエスはため息をつき、話し相手の小さな人間らしきものに小さく切り分けた肉を
与えた。彼か彼女かの額にはあるルーンが刻まれており、見た目は使い魔のようで
あるため彼女は一応貴族連中に混じって隊に入ることはできた。だが、所詮平民で
あることには変わりない。
彼女は常に最前線で命を張らなければならない。
『さっきの話だけどよぉー、アニエス、たぶんお前の心配は無用だぜ』
「なぜだ?」
『そりゃあお前が不吉だからだよ。俺がついているんだぜ。安全なんてものとは程遠いさ。
なにせ、元の主人つうか本体だかいうやつはその不吉を嫌って俺を認めなかったぐらいだからな』
4は腹を抱えて笑った。
『ほれ見ろ。姫様がでてきたぜ』
彼の言うとおりだった。王女は中庭に出てきて出撃を伝え、自らもユニコーンに跨った。
『やっぱ俺がついてるから不吉だな。今度ばかりは死ぬかもしれないぜえ』
「死なない。死ねないからな」

181 :見えない使い魔:2007/10/21(日) 16:48:42 ID:2Zc593iF
ルイズはンドゥールと学院の玄関先で王宮からの馬車を待っていた。アンリエッタの
結婚式に出るためである。
ちなみに、いまだに詔は完成していない。はっきり言うと才能がないというのもあるが
ンドゥールが旅立ってから数日前、あの夜が明けるまですっかり忘れてしまっていた
からだ。キュルケやギーシュには呆れられてしまい、それでも即興でなんとかしようと
したがどうにもならなかったので王女の側近であるマザリーニに助言を頂こく腹積もり

であった。
しかし、それも結局無駄なことだった。
ンドゥールがピクリと妙な動きをした。ルイズがどうしたと尋ねる前に彼は地べたに
座り込み、杖を耳に当てた。
「……なにか聴こえるのね」
「…………馬車が来るのであったな。ルイズ」
「ええ、そのはずよ」
「いま来ているのは馬一頭だ。それもなんらかの、喜ばしくない事態を伝えに来ている。
限界以上の速度を出しているために馬が疲弊しているのが足音でわかった」
ルイズは目を細めて遠くを見やった。その数分後、彼の言ったとおり早馬が駆けてきた
。乗っているのは服装から王宮のものであった。その人物はルイズたちの前で馬を止めると
焦った口調で学院長の居室を尋ねてきた。
教えられると一目散に走っていく。
「なにがあったのかしら。ンドゥール、聴ける?」
「ああ、できる。サイレントとかいう魔法は使う暇もないだろう」
それからしばらくし、ンドゥールはルイズに語った。
「宣戦布告、だそうだ。アルビオンが不可侵条約を破り攻め入ってきた。現在、タルブが
占領されているそうだ」
シエスタの故郷であるとンドゥールは教えてやった。
「村は全焼だが村人は全員無事だが………そこに陣を張りラ・ロシェールで軍同士が
にらみ合っているとのことだ。準備が早かったのか制空権を取られて難儀しているらしいな」
「つまり、戦争が始まった、のよね」
「そうだ」
ルイズはそれを聴き、頭が真っ白になってしまった。また戦争、また人が死ぬ。どうしても
アルビオンの人たちを思い出してしまう。
「なんなのよあいつら。なんでそんなに戦争が好きなのよ。なんでそんなに奪いたいのよ」
「さあな。よほど不足なのだろう。だから戦争など仕掛けるのだ」
ンドゥールが歩き出した。そのあとをルイズがついていく。
「どこへいくの?」
「花京院を起こす」
そう言って、彼が向かったのはコルベールの研究室であった。
花京院はそこで寝泊りしているのだ。

182 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 16:48:45 ID:rKcBz6mU
つーかアストン伯がかっこええ!!支援

183 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 16:52:13 ID:vvSnA5+o
なんて縁ギの悪い数字なんだ支援

184 :見えない使い魔:2007/10/21(日) 16:52:23 ID:2Zc593iF
いきなり起こされすこし不機嫌であったが、事情を聴くと花京院ははっきり目が冴えた
ようだ。すぐさまコルベールを叩き起こしてゼロ戦を動かせるようにしてもらった。
ガソリンをゼロ戦に注いでいる間にルイズが二人に尋ねる。
「これで、どこにいくつもりなの?」
「タルブの村だ。そうだろ?」
「ええ。なにせこのゼロ戦は譲り受けたとはいえ、あの村に骨をうずめた
佐々木武雄さんの誇りであり魂だったんです。助けにいきますよ。君はどうするんだい?」
「シエスタには恩を受けている。命の、というわけではないが、放っておくわけにもいかん。
それに、あの村にはフーケだったかマチルダもいる。俺はアルビオンであいつに
助けられ……てもないな。もともとあの場に残ったのはあいつが原因だったか。それでも、
指を奪っておいてなにも復讐をされなかったのでな、ついでに助けにいくか」
「彼女はついでか。サポートはしてくださいよ。毎日操縦法を教えられていてもぶっつけ本番なんですから」
「わかっている」
二人はゼロ戦の風防を開いて乗り込もうとしたのだが、
ンドゥールのマントが弱い力で引っ張られた。
「私も連れて行きなさい」
ルイズだった。
「……詰めれば三人で乗れるんじゃねー? ああ、久しぶりの発言がこれか」
なにかを諦めたような口調でデルフリンガーが言った。それはその通りではあるが、
行き先に問題がある。
「なにをしにいくのかわかってるのか?」
「わかってるわ。わかってるからいくのよ。それに、あんたは私の使い魔。目の届かない
ところで勝手をされるわけにはいかないもの。それに、なんだかね、こう、根拠はないけど
いけそうな気がするの」
「まあいいんじゃねお二人さんよ。嬢ちゃんが危なくなるような事態になったら相棒が
責任もって守ればいいんだし」
「そうですね。大体危なくなるっていうときは僕たちも危ないんですから。
それじゃあ乗ってください。一度、元の場所で飛行機が墜落したことがあるので祈っててくださいね」
花京院が冗談気味に笑い操縦席に座った。その背後、元々無線機が詰め込まれていた
スペースにンドゥールとルイズが座った。クッションが敷かれてあった。
それは、いつか二人でどこかに飛び立つからだろうとルイズは思い、少しだけ苦しくなった。
コルベールが前方から風を吹かせる。花京院は慎重にだが適切なスピードで作業を
すすめていく。ここ数日、彼は学院に来てからンドゥールに付きっ切りで操縦法を
教えてもらっていた。
何度も何度も繰り返し行ってきた。
間違いはない。
ゼロ戦は、いま、再び空へと駆け上る。

185 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 16:53:38 ID:rKcBz6mU
事態も急変しているが、意外なメンツがここぞとばかりにッ!?まだまだ支援ッ!!

186 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 16:53:42 ID:7JEXR0W5
投下が夜中で無くてよかった支援

187 :見えない使い魔:2007/10/21(日) 16:55:14 ID:2Zc593iF
書き上げているのはこれで終わりです。
ちなみにアストン伯、ちゃんと原作の3巻に出てきてますよ。描かれることなく戦死しましたけど。

あと、デルフリンガーが嫌いなんじゃないんです。ジョジョキャラを主観にして
ストーリーをすすめないってことにしてるんで話に入ってこないんです。

188 :見えない使い魔:2007/10/21(日) 16:56:19 ID:2Zc593iF
支援ありがとうございました。礼は忘れたらいかんですよね。

189 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 16:56:47 ID:iPyaC5fR
GJすよ!!
MOTTO伯が活躍するSSが多い中、アストン伯がスポットライトを浴びるとはw

190 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 16:56:52 ID:rKcBz6mU
投下乙です!
>一度、元の場所で飛行機が墜落したことがあるので祈っててくださいね
ジョセフ噴いた。

191 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 16:59:15 ID:vvSnA5+o
GJゥ!!
これからの展開を思うだけでwktkが止まらない……続きがよみてぇぇぇぇえ!!

192 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 17:02:57 ID:dSZyM1Z7
GJ!!
アストン伯かっこいぃぃぃッ!!

193 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 17:03:10 ID:pHLx+xnG
>>188
GJ! いい盛り上がり方で期待も鰻登りです。

194 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 17:10:24 ID:LxVFjVp3
ちょっwww前に書いたセックスピストルズ4がwwww
まさかの出来事に思わずGJ!

195 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 17:39:56 ID:pxaBlkoR
  __          l  〃 --+--    ノ‐+−  _⊥- 、ヾ                     ┃┃
     ´  , '~l~ヽ   ト、    _く,ム    ‐+‐    ノ   l     、________   ┃┃
  、__  ヽ_ノ ノ  |    l三l三l    ‐‐┴‐‐  ´   `′ ア               ツ  ・ .・

                  , -―‐- 、_    ,__,、__, -=―=-.、__,、___, 
                /'シ -==ヾ   ` 、  \   ノ::::::::V::::::::゙ 、  /
                ,//γ⌒``ヽ ヽニ ┛┗  `ー:::::::::::::::::::::::::::::`-'
              ‖/=?==~ヾ`ー ┓┏  〈::::::(l||l)::::::::(l||l):::::::〉 GJ
               )) \,  、/`ー、 l | リ   l:::::::::::::: , 、:::::::::::::::l
              ((| ●   ●  ),)').)   ヾ;「'VWWWWV|;;/ 
               ))⊃ 、_,、_, ⊂⊃川(  /⌒ヽL/WWWWN」 /⌒ヽ
            /⌒ヽj|l\  ゝ._)  シノ ?/⌒i:::::;;ノ~- _ノハヽ_ -~l;;;;:::::::::l  
           \ /:::ヽ,_、>、 __ , /メ,_、/::::::/'''''   ー、_ ,−'   , ""''';
             ヾ::::ヾ ?《、__》 〉 人::::::∧\  ==  == / 、 ノ.l 


196 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 18:05:02 ID:svGrSBJt
どこに捨ててんだミスタw
ンドゥールは見えないから、花京院が操縦するのはいいが、大丈夫なのか?ゼロ戦は防御もろくて墜ち易いぞw

197 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 18:09:59 ID:pHLx+xnG
ンドゥールが操縦して、花京院がスタンドで飛び道具担当すればベスト?

198 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 18:10:44 ID:lzdTa0Df
>>196
きっとエースコンバットとかやりこんでただろうから大丈夫さw

199 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 18:11:32 ID:pxaBlkoR
                 ''';;';';;'';;;,.,                  ザッ
                  ''';;';'';';''';;'';;;,.,   ザッ
     ザッ            ;;''';;';'';';';;;'';;'';;;          角砂糖はあるかい
                    ;;'';';';;'';;';'';';';;;'';;'';;;
     角砂糖はあるかい    ,.〜^,.〜^,.〜^..〜^      ザッ    うおおう!
                   ⌒vv⌒yv⌒vv⌒yv⌒vv、
 うおおう!         , '´ ̄`ヽ −^, '´ ̄`ヽ −^, '´ ̄`ヽ         角砂糖はあるかい
ザッ           ,‐ '´ ̄`ヽ ,‐ '´ ̄`ヽ ,‐ '´ ̄`ヽ ,‐ '´ ̄`ヽ
           ,‐ '´ ̄ ̄`ヽ__‐ '´ ̄ ̄`ヽ _‐ '´ ̄ ̄`ヽ    ザッ
       , -―  ――-、        , -―  ――-、        , -―  ――-、
.      /に    (ニ==\    /に    (ニ==\    /に    (ニ==\
    //')      に二) (ヽ //')      に二) (ヽ. //')      に二) (ヽ
    〃____,r^)__,r、(ニユ| 〃____,r^)__,r、(ニユ| 〃____,r^)__,r、(ニユ|
    i!   ● / /●  ヾヽヽ,! i!   ● / /●  ヾヽヽ,! i!   ● / /●  ヾヽヽ,!
     ヽニ⊃,// ⊂⊃}:}ソi  ヽニ⊃,// ⊂⊃}:}ソi  ヽニ⊃,// ⊂⊃}:}ソi
 /⌒ヽ__ ヘ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~/⌒ヽ.ヽ__ ヘ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~/⌒ヽヽ__ ヘ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~/⌒ヽ
 \ /:::::  >,、 __, イァ/   / /:::::  >,、 __, イァ/   / /:::::  >,、 __, イァ/   /
.   \     |三/ []「/__ /. \     |三/ []「/__ /. \     |三/ []「/__ /
    `ヽ「ミヾr‐ 、[]「ヾ三/   `ヽ「ミヾr‐ 、[]「ヾ三/   `ヽ「ミヾr‐ 、[]「ヾ三/



200 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 18:14:29 ID:iPyaC5fR
大量発生したしぇっこさんウゼェw
しぇっこさんは1点モノだから価値がある。

201 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 18:28:02 ID:rKcBz6mU
>>198
花京院!貴様エースコンバットをやりこんでいるなッ!!
こうですか(ry

202 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 19:02:06 ID:bNTvieP6
さり気にオリジナルスタンド(!?)なbSかよ!!
鬼子ちっくで不吉な感じで、ミスタも存在をスルーするわなー

203 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 20:13:44 ID:bdzlE4Cp
つーか零戦って3人も乗れるんだ

204 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 20:21:27 ID:KfC4YMf0
軽さ重視の零戦にそんなスペース作れるかな
まあファンタジーなんだからよしとしておこうw

205 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 20:24:43 ID:iPyaC5fR
>>204
ルイズはちっちゃいからンドゥ〜ルさんが抱え込んでいるのさ。
ちっちゃいコって最高だよね。

206 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 20:30:50 ID:OX5jG2uk
後ろの機材取っ払って複座にすれば何とか三人入れないこともない
一人は小柄であることが前提条件だけど

207 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 20:35:54 ID:Rr0G8EVu
>>206

> 後ろの機材取っ払って複座にすれば何とか三人入れないこともない
何も問題はない
> 一人は小柄であることが前提条件だけど
なにも 問題は ない

208 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 20:37:01 ID:kq4GhvM+
当時の日本人規格のコクピットはJOJOキャラにはかなりきついと思うけどね

209 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 20:43:52 ID:jSrggIFn
当時も生きてた荒木がジョジョキャラを作ってるから問題ない
ジョジョの世界での日本人は昔からあのサイズ

210 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 20:49:20 ID:iPyaC5fR
>>209
>当時も生きてた荒木が

「偶々聞いてしまった。」とか、「偶然目撃した。」
ってのが只の言い訳にしかならないことってあるよね?
なんだろう…、トンデモナイ地雷を踏んでいるような気がするのは。

211 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 20:50:04 ID:bdzlE4Cp
ちょっと調べたけど、零戦って極限まで軽量化したため、
胴体内のあらゆるフレームに孔空けてたぐらい徹底してたそうで(※いわゆる「バカ孔」の事)。
3人どころか2人も無理っぽい。

212 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 20:51:41 ID:kq4GhvM+
一般人と敵役を含む名のあるキャラではかなり体格が違う気がするが…

213 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 20:53:15 ID:pHLx+xnG
その前に、下ろした機械はなんkgだったんだ?

214 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:01:46 ID:bdzlE4Cp
>>206 つか、零戦の(操縦席の)後の機材なんて図見る限り無いぞw


215 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:04:12 ID:iPyaC5fR
>>214
佐々木機はカスタム機だったと思えば良いです。

216 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:04:53 ID:5QGwb0I8
まぁ、自分の背筋辺りの服を掴んで持ち上げれば空飛べるわけだし、スタンドならかなり軽く出来るんじゃね? とか行ってみる。

217 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:26:46 ID:v8swcIFh
ゼロ戦の話で盛り上がっている所で済みませんが。
35分から投下して構いませんねッ!?

218 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:28:07 ID:/YSNHQU0
SS投下が優先だ。
待ってるぜ

219 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:29:23 ID:wOXYkcU7
>>217
俺達は支援をする…何も心配する必要など無い
だから『投下した』を使ってくれッ!

220 :ゼロいぬっ!:2007/10/21(日) 21:35:18 ID:v8swcIFh

“最強の兵を集めれば最強の軍隊が出来るというものではない”
子供の頃、父上に教えられた言葉だ。
如何に個々が優れていようとも数が揃おうとも統制の取れない軍隊など無力。
あの頃はよく分からずに聞いていたが、今は実感できる。
無敵の生命力を持った使い魔。
トリステイン王国屈指のスクエアメイジ。
『メイジ殺し』の警備隊隊長。
これだけのメンバーが揃っているというのに安心できない。
むしろ、キュルケ達と一緒にいた時の方が頼もしかった気がする。
それもその筈か、チームワークなんて欠片もないのだから。
彼は主人の前に現れたワルド子爵に唸り声を上げるし、
ワルド子爵の方もどこか彼を煙たがっているような印象を感じる。
その中間にいるルイズは慌てふためくのみ。
そして僕は森から時折聞こえてくる悲鳴に怯えていた。
本当に心休まる時間がない。

悲鳴が聞こえなくなってしばらく経った後、
草むらを掻き分けながらアニエスは戻ってきた。
「やはり誰かに雇われていたようです。
『念入り』に『質問』したので嘘ではないでしょう」
脱ぎ捨てた皮手袋がびしゃりと音を立てて地面に張り付く。
……きっと汗で濡れていたんだろう。
そうに違いない。それ以外に考えられない。
赤黒く見えたとしてもそれはただの錯覚に過ぎない。
「ほう。意外に早かったな、賊ならまだしも傭兵相手に」
「ええ、根気よく『説得』を繰り返したら向こうから『是非話を聞いてくれ』と…」
子爵と笑顔で会話するアニエスの言葉の一つ一つから恐怖を感じる。
耳を塞いでギーシュは現実から逃れようとしていた。

「しかも連中、メイジの女には手を出すなと命令されていたそうです」
「つまり、ルイズを捕らえようとしていたのか。任務妨害の線が濃くなったな」
ワルドの推察にアニエスは黙って頷く。
もしルイズを火矢で攻撃してしまえば密書が燃えてしまう恐れがある。
いや、それよりも重要なのは何故ルイズが持っていると分かったのか。
どう考えてもこの任務にミス・ヴァリエールが参加すると確信していたとしか思えない。
この中に裏切り者がいる? いや、それは早計か。
王宮内部の人間の可能性も否定できない。
どの道、引き返す事が出来ない以上、先へと進むのみだ。

221 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:36:09 ID:McXVDrkd
アニS支援

222 :ゼロいぬっ!:2007/10/21(日) 21:36:48 ID:v8swcIFh
「では急ぎラ・ロシェールに向かいましょう。
これ以上遅くなると宿が取れなくなりますので」
「心配ない。僕が先に行って宿を確保しよう。さあ、行こうルイズ」
そう言うとグリフォンに騎乗しルイズに手を差し伸べる。
急に出された手にルイズは戸惑う。
ちらりと視線を向けた先には唸る使い魔の姿。
その気まずい沈黙を打ち破ったのはデルフだった。
「おいおい。ガキじゃねえんだからお使いぐらい一人出来るだろ?」
「………!」
相手は子爵だというのに、まるで立場を弁えない発言に一同が凍った。
彼の剣だからだろうか、相棒に向けられた態度にデルフも腹に据えかねていたのだ。
「失敬な。僕は単に彼女に泊まる宿を選んでもらおうと…」
「そんなの適当で構わねえだろうが。別に一緒の部屋に泊まるって訳じゃねえんだからよ」
「と…当然じゃないっ! そんな、男女二人が同じ部屋だなんて!」
口論する二人の間に、顔を真っ赤にさせながらルイズが割って入る。
まあ貴族として育っただけあってルイズの貞操観念はしっかりしていた。
ワルドの方は隙あらば同室にしようとでも思ってたのか、少し残念そうな顔を浮かべていた。
その時、ギーシュは“別に一緒でも僕は構わない”と言おうとした。
しかしアニエスの姿を目に留めた瞬間、彼は気付いてしまった。
もし男女同室で二部屋になった場合。
ワルド・ルイズのペアは成立しているのだから必然的に彼はアニエスと同室になるのだ!
「僕も反対です! まだ結婚前の男女が同じ部屋だなんて!」
この密命に参加した経緯を知っているルイズから、
“今更、何言ってんのコイツ?”という視線を向けられながらも反対を表明する。
アニエスの方も明らかに冷たい視線でワルドを見つめる。
どうも旗色が悪い、そう判断した彼は話を区切った。
「そうか…だが、まだ時間はたっぷりある。ではまたラ・ロシェールで落ち合おう」
必死に外套にしがみ付いて懇願してくるギーシュを煩わしそうに振り払うと、
彼はグリフォンを飛ばし夜の闇の中へと消えていった。

その後を馬車を駆り追うもまるで速度が違う。
ガタガタと軋む音を聞きながらルイズは自分の使い魔に話し掛ける。
「そんなに警戒しないで。ワルド様は悪い人じゃないわ」
「……クゥン」
まるで宥めるかのように触れる主人に彼は縮こまる。
彼も分かっている、自分一人で出来る事など高が知れている。
任務を無事に終える為には互いに協力しなければならない。
しかし彼には何か嫌な臭いが常に付き纏う。
それに意図的に自分とルイズを切り離そうとしているのだ。
今、ルイズを失ってしまったら自分はどうなるのか。
彼女はこの世界に残された絆なのだ。
それを失う事は彼が存在する理由を失う事に等しい。
脳裏に浮かぶコルベール先生の示した“もう一つの道”。
ワルドにルイズを託して自分は元の世界へと帰る。
彼女が信頼しているのなら間違いはない。
もう本当に自分は必要ないのかもしれない。
それでも彼女を見届けたいと思うのは我が儘なのだろうか…?


223 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:37:32 ID:2Dj+h4K7
アニSこわいよアニエス支援

224 :ゼロいぬっ!:2007/10/21(日) 21:38:38 ID:v8swcIFh

「申し訳ありません! 全ては私の油断が招いた事態!」
学院長の前でコルベールは頭を下げた。
それも床に手を付き土下座を繰り返していた。
そんな彼を見ながらオスマンはパイプを吹かしていた。
しばらく閉じていた目を開いて彼はコルベールに語り掛ける。
「もう頭を上げなさい、過ぎた事は仕方ない」
「しかし…」
「盗まれた物は資料と君のノートだけなんじゃな?」
「…はい」
むう、と髭に手をやりながら彼は考える。
犯人はアカデミーの人間ではないだろう。
そんな手間を掛けずとも捕獲した後で調査は可能だ。
わざわざこちらの警戒を強めるような真似はしない。
だとすれば誰が何の為に彼の情報を得ようとしたのか。
考えられるとすれば捕縛あるいは始末する為か。
極秘裏に姫様が訪ねて来られた事に関係があるのかも知れん。
「…解析はどこまで進んでおった?」
「はい。彼が火を嫌う性質がある事と水中では活動できない事など、
彼の弱点に関する事柄が判明していました」
やはり無敵のように思えても弱点はあったか。
そうでなければ厳重な警備を敷こうとも調査など行えまい。
しかし、そんなのは些細な事に過ぎない。
オスマンは更に核心へと踏み込む。
「それだけではあるまい」
「!!」
コルベールが顔を上げる。
そこには自分を射抜くような学院長の視線。
かつて賢者と讃えられた彼の迫力は健在だった。
まるで始祖に懺悔する罪人のように平伏す。
“人が変わるのは何かを知った時”
愛や強さを知った時、あるいは逆に挫折や絶望を知った時、
その瞬間、人はかつての自分とは違う人間へと変わるのだ。
コルベールの態度がおかしい事にオスマンは気付いていた。
最近は資料室ではなく自分の研究室に入り浸るようになり、
主に“竜の羽衣”を使えるようにする研究に没頭していた。
盗難に気付くのが遅れたのもそれが理由だ。
オスマンの知る限り、コルベールは与えられた仕事を放置する人物ではない。
何かしらの理由、思う所があっての行為とそれを黙認していた。
いつかは自分から口にすると信じ黙っていた。
だが、そうも言っていられない状況になったようだ。
「君は何を知った? 何故、それを儂にも黙っておる?」
「それは…」
「君の悪い癖だ、全てを自分が背負い込む必要はない。
例えそれがどんなに辛い事実だとしてもだミスタ・コルベール」
自分自身、重荷に耐えかねていたのだろう。
コルベールはその一言に救われた気がした。
目から零れ落ちようとする涙を堪えながら彼は全てを話した。
このハルケギニアに迫る“重大な危機”。
そして、その引き金と成り得る“彼”についてを……。


225 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:41:50 ID:JhMnpY1g
産卵情報きちゃったかー!?支援

226 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:42:36 ID:2Dj+h4K7
これがバオーだッ!そいつに触れることは支援を意味するッ!

227 :ゼロいぬっ!:2007/10/21(日) 21:42:43 ID:v8swcIFh

日付が変わる前に馬車は目的地に辿り着いた。
港町ラ・ロシェール。
山間にある町ながら活気付いているのはそれが理由。
岩壁を直接削り取ったかのような建物は土のメイジの手による物だ。
その端には巨大な世界樹が鎮座している。
目新しいものだらけの町で彼ははしゃぎ回る。
タルブ村に行く時には立ち寄らず話を聞くだけだった。
しかし聞くのと実際に目にするのでは全然違う。
まるで初めて町に訪れた時のような興奮に舞い上がる。
「そういえば、おまえは鼻が利くんだったな。それでワルド子爵を…」
アニエスの言葉も聞こえず串焼きの露天に鼻をひくつかせる。
完全に無視された形になった彼女の額に青筋が浮く。
「私をおちょくってるのかァ!?」
「ちょっとアニエス、落ち着いて!
仕方ないわよ、ここまで何も食べずにいたんだからっ!」
剣に手を掛ける彼女を必死にルイズが抑える。
チームワークの重要さは彼女も理解している。
こほんと咳払いして気を取り直す。
要は空腹さえ満たせばいいんだろう。
アニエスが渋々お金を払い、ぱたぱたと尻尾を振る彼に串焼きを買い与える。
はぐはぐと器用に前足を使って彼はそれを平らげた。
それを見届けて再び彼女は指示を飛ばす。
「これで気は済んだか? では早速ワルド子爵を…」
向き直った瞬間、彼の姿は消えていた。
いつの間にか彼は別の露天商の所で冷やかしをしていた。
アニエスの頭から聞こえてくる断線の音。
「よし殺そう。きっと始祖も許してくれる」
言うが早いか彼女は剣を引き抜く。
腰に抱きつくルイズを引きずりながら露天商の下へと向かう。

周りが小物や飾り物を売ってる中、その商人は剣を並べていた。
武器の露天とは珍しいと思っていた彼女に商人の声が掛けられた。
「ああ、やっぱりあの時の貴族様か!?」
ルイズの視線が商品から商人へと移る。
そこにあったのはパイプを吹かす悪そうな赤鼻の親父面。
どこかで見た記憶はあるのだが思い出せない。
ふと使い魔の引くソリに付けられたデルフが目に入った。
「ああっ! あの時の武器屋の店主!」
「お久しぶり。その節はどうもお世話になりやした」
帽子を取って親父は丁寧に頭を下げる。
そういえばアニエスから居なくなったと聞いていたけど、
こんな所で露天をやってるとは思わなかった。
それはデルフも同感で腐れ縁の友人のように尋ねる。
「よう、元気そうだな親父。こんな所で何やってんだ?」
「けっ、元気なもんかよデル公。こっちは店失くして素寒貧だっての。
んでもって一か八か、アルビオンまで売り込みに行こうってんじゃねえか」
「あちゃあ、そりゃあ悲惨だな」
デルフが親父を哀れむように呟く。
売られる以前も経営難だったが戦場に行くほどに深刻になっていたとは。
別に流れ弾に当たって死のうと構わないが一応は知り合いだし助け舟を出しておくか。

228 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:43:25 ID:JhMnpY1g
親父さんがマジでいたー!? 支援

229 :ゼロいぬっ!:2007/10/21(日) 21:45:22 ID:v8swcIFh
「親父、金貸してやろうか?」
「へっ…バカ言うんじゃねえよ。
売っ払った剣に情けを掛けられるほど落ちぶれちゃいねえよ」
親父の返答は力が篭っていた。
これ以上言っても親父の誇りを傷付けるだけだとデルフは黙った。
(…しかし意外に心意気のある商人なんだな)
今まで見れなかった親父の一面に感じ入る。
…しかし親父は勘違いしていただけなのだ。
デルフがまさか大金持ちになっているなど誰が想像できるだろうか。
冗談のつもりで彼は千載一遇の好機を笑い飛ばしてしまったのだ。
「だけどよ売れるのか? 今や銃だの大砲だのの時代だぜ」
デルフの指摘はもっともだ。
フーケのような盗賊から身を守るならともかく、
戦場となれば旧式然とした装備など当てにはならない。
矢も弾く全身鎧も鉛玉の前では容易く貫かれてしまうのだ。
「そんな物が一商人の手に入るかよ。
それに俺は気に入らねえんだよ、ああいうのは。
必要以上に殺し過ぎる武器なんざ害悪以外の何者でもねえ」
「…そうだな」
木箱に立掛けてあった剣を抜きながら親父が語る。
それに思う所あったのかデルフも同意する。
言った所で時代の流れは変えられない。
次第に剣など誰にも見向きもされなくなる。
そんな物にしがみ付く自分は愚か者以外の何者でもないか。
「だが貴族派はともかく王党派には売れるかもな。
何でももう火の秘薬も硫黄も無くて鉄砲も大砲も碌に使えないとか」
「それ本当なの!?」
急に迫ってきたルイズに驚きながら親父が頷く。
「ちょっと前に王党派に付いてたって傭兵から聞いたから間違いねえよ。
ニューカッスルの城に篭城してるけど、もう時間の問題だって…」
あの時は矢がよく売れてなー、と雑談する店主の言葉も届かない。
ふらりと倒れこみそうになったルイズの背を駆けつけたワルドが支えた。
「おっと、大丈夫かいルイズ?」
「……ワルド様」
「少し休んだ方がいい。宿まで送るよ」
返事も聞かずにお姫様抱っこでルイズを持ち上げグリフォンに乗せる。
そして自分も飛び乗りアニエス達に向き直る。
「『女神の杵』という所だ。後で君達も来てくれ」
要件を告げるとさっさとグリフォンを走らせるワルド子爵。
それを追いかけようと彼が走り出す。
まだ少し親父と雑談を楽しみたかったが仕方ない。
デルフは別れを口にしようとしたが親父は雑談に夢中だった。
「それにしてもあの石頭の女隊長さえ居なけりゃな」
「あ…」
なんかヤバイ予感。単刀直入に言うと死亡フラグ。
親父に注意を呼び掛けようとしたがソリは既に走り出している。
”OH MY GOD”と親父の無事を祈りつつデルフは心中で別れを告げた。
(…下手すると今生の別れになりそうだがな)

230 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:45:41 ID:JhMnpY1g
支援

231 :ゼロいぬっ!:2007/10/21(日) 21:47:48 ID:v8swcIFh
「きっとあっちも頭と同じで固てえんだぜ!
胸だきゃあデカイって噂だったけど全部筋肉なんじゃねえのか?」
デルフがいなくなった事に気を留める事も無く親父は続ける。
だははは、と笑いながら新任の警備隊長の事を肴に品の無い話で一人盛り上がる。
その一方でどんどんと青ざめていくギーシュ。
彼の背後から漂うのは混じりけの無い純粋な怒り。
振り返れない。振り返ってはいけない。
下手に触れれば自分も巻き込まれかねない。
ギーシュは心と思考を無にして路傍の石に徹した。
そんな話を十分近くした所で親父が尋ねる。
「ところで貴族の兄さん、後ろの別嬪さんはどなただい?」
「お初にお目に掛かる。私はアニエス」
目を閉じ頭を抱え込み蹲るギーシュの上で交わされる二人の挨拶。
アニエスの差し伸べた手を親父は笑顔で受け取った。
美人とお知り合いになれてヘラヘラと笑う親父。
「所属は城下町の警備隊、その隊長だ」
親父の顔が一瞬にして凍りついた。
その刹那、メキメキと音を立てて手が握り潰されていく。
悲鳴を上げる間もなくアニエスは親父の首に腕を回し喉を潰した。
そして、そのまま人気の無い路地裏へと連行していく。
「どうやら町の治安活動について話があるようだな。
市民との交流も仕事の一環、少し付き合ってもらおうか?」
「え、ちょっ、待っ……」
僅かに搾り出した親父の声にもアニエスは耳を傾けない。
二人の姿が視界から消えた直後に響く鈍い打撃音の連続。
(まさか殺してはいないよな…)
恐る恐る路地裏に近づくギーシュ。
その彼の前に突如、血塗られた腕が飛び出してきた。
「ひっ……!」
「誰か…助けて……」
亡者の呼び声にも似た声を残し、力尽きた腕が地面に落ちる。
直後、助けを求めて伸ばされた腕は路地裏に引き込まれて消えた。
なおも続けられる地獄絵図を想像しギーシュは戦慄し、
そして恥も外聞も無く彼はその場から全力で走り去っていった…。


232 :ゼロいぬっ!:2007/10/21(日) 21:49:46 ID:v8swcIFh

「……ううん」
グリフォンに乗せられたルイズはうつらうつら舟を漕いでいた。
無理もない。休む間もなく馬車で走り続けた上に襲撃を受けたのだ。
その小さな体にどれほどの負担を溜め込んでいたのだろうか。
もっとも指示を出した自分が言うのも可笑しな話だ。
「ルイズ」
「ん……」
彼女の顔を見下ろす。
目蓋がとろんと落ちかけ、首をゆらゆらと動かしている。
半ばまで夢の中にいる、そんな状態だ。
きっと彼女がそんなだから思わず口にしてしまったのだろう。
僕はいつの間にか言うべきではない事を話していた。
「世界中の人間と一人の大切な人、どちらかしか助けられなかったら君はどうする?」
「……そんなの決まっているわ。一人の為に全てを犠牲には出来ない」
「ああ、そうだね。君はそう言うと思っていた」
その返答は自分が彼女に教えた貴族の心構えだ。
たとえ肉親が盾に取られようとも非情に徹さなければならない時がある。
それを忘れれば多くの犠牲を払う事になる。
貴族とはそれだけの決断を迫られる存在なのだ。
両親が健在の時は自分もルイズと同じ答えだった。
守るべき物に価値がないと知らされる前までは……。
「だけど世の中には一人の人間を選ぶ者もいる。
どちらが正しいのかなんて誰にも決める権利はないと僕は思う」
「……私には分からないわ」
「いいんだよ。君には無関係な事なんだから」
そう、彼女が思い悩む必要などない。
その前に僕が終わらせる、彼女が苦渋の選択を強いられる前に…。
ワルドが背後へと振り返る。
そこにはソリを引く一匹の犬の姿。
グリフォンの速度を以ってしても振り切れない。
余程主人であるルイズが大切と見える。
それはきっと彼女も同じか。
正直、妬ましい気持ちで胸が一杯になる。
しかし、それもあと僅かの事。
果たして自分にあの怪物が討てるのだろうか?
いや、討たなければならないのだ。
ルイズの為、レコンキスタの為、ハルケギニアの為、
そしてルイズを想う使い魔自身の為にも。

「異世界の獣よ。お前は何故この地に降り立った?
お前の存在は災いしか招かないというのに……」
呟くようなワルドの言葉は流れていく風の中に消えていった。


233 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:49:48 ID:JhMnpY1g
【嗚呼親父……】武器屋の親父に黙祷する【地雷踏んじゃって……】支援

234 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:49:53 ID:jxakAMxn
アニS自重www
支援

235 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:51:17 ID:VhmZTm9c

そういやまとめサイトって更新停止してる?支援


236 :ゼロいぬっ!:2007/10/21(日) 21:51:57 ID:v8swcIFh
以上、投下したッ!
次回はアルビオンに出立予定!

237 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:52:07 ID:JhMnpY1g
そーだよなぁ……。バオーの産卵に関してはどの種族であっても退く事はできないよなぁ。
切ないぜ……。GJっしたー!

238 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 21:56:22 ID:tlzwvuSR
アニSさんSってレベルじゃねーぞwwwwww

239 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 22:08:01 ID:pHLx+xnG
アニエスはもう「悪夢」の二つ名を得てもいいなw
ちゃんと思うところのあるワルドといい、懐かしの親父さんといい、作者さんGJでした。

240 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 22:20:07 ID:fAmOPjvc
GJでした。

んで、零戦の話だけど
実の所、零戦の操縦席の後は空洞。
そこに人を乗せて運ぶケースも実際にあった(かなり狭いけど)。
重量に関してだけど零戦は60kg爆弾2発を積めるようになってるから人一人くらいは大丈夫。
実際、複座の練習機も存在する。

241 :初代スレ506:2007/10/21(日) 22:29:11 ID:OzkmJBm/
GJ!アニエス怖いよ。

そして35分に投下。

242 :使い魔は静かに暮らしたい:2007/10/21(日) 22:35:30 ID:OzkmJBm/
シエスタにまた明日文字を教えてもらう約束をし、足元にいる猫を足で小突きながら寮へと足を向ける。ルイズの部屋に戻るためだ。
怖いだ殺したいだ逃げ出したいだ思っていても結局は惰性でルイズの部屋に足が向かってしまう。日々の習慣とは考えてみるとすごいものだと感心したのは記憶に新しい。
ルイズは、自分が『虚無』の系統であることを今のところ誰にも話していないらしい。そりゃあ御伽噺クラスの魔法だからな。誰も信じるわけがない。
もし使えるなんてわかった日にはどんなことになるだろうか?私にはさっぱり想像がつかない。
と、そんなことを考えているうちにルイズの部屋の前についてしまう。随分と早くついてしまったものだ。本当ならもう少し時間をかけるつもりだったのに。
今度からちゃんと意識してゆっくりと歩くことにしよう。
カチャ……カチャ……カチャ……カチャ……
ドアを開けようとしてノブを掴むとき、ふとカチャカチャという音が断続的に聞こえてくることに気がついた。この音は一体なんだろうか?
カチャ……カチャ……カチャ……カチャ……
鍵が開いたり閉まったりする、そんな音。この音はどうもドアから聞こえてくるようだった。なぜこんな音がこんな断続的になっているのだろうか?
カチャ……カチャ……カチャ……カチャ……
聞けば聞くほど鍵が閉まる音、開く音だ。間違いない、このドアの鍵はさっきから、もしかしたら私がここに来る前から閉まったり開いたりしている。何故か!
坊やだからさ。……絶対に違うな。考えられる可能性は、ルイズがさっきから鍵を閉めたり開けたりしている、というものだ。
しかし、そんなことになにか意味があるのだろうか?その意図はさっぱりつかめない。だからといって、このまま部屋の前にボケッと立っているわけにもいくまい。
部屋に入ることを選択した私は意を決し、手に力を込めドアノブを回そうとするが、回らない。
「あれ?」
がちゃがちゃ。
「あれあれ?」
ノブが回らない。一体何故?と思うまもなく今は鍵がかかっているからだと思い至る。次に音が聞こえたときはきっと鍵が開く音だ。
そう思い、鍵が開く音を待っていたが、先ほどとはうって変わり何の音も聞こえない。どういうことだ?もしかして開け閉めするのに飽きたのか?
飽きたとしたらせめて鍵を開けてからやめろよな。まだ私が部屋に入ってないんだから。仕方が無い。
「ルイズ。鍵を開けてくれないか?」
「ミーー」
部屋の中にいるはずのルイズに声をかけながらドアをノックする。これなら声に気がつかなくてもノックの音で気がつくだろう。
案の定、ノックのすぐあと、鍵の開く音がした。ノブを回しドアを開け、やっと部屋の中に入る。
「おかえりなさい」
ルイズはベッドのに座りながら私にそう言ってきた。
「あ、ああ。ただいま」
私はそれに少々驚きながらルイズに言葉を返す。驚いた理由は、ルイズがおかえりなさいなんて声をかけてきたことと、その声がえらく上機嫌だったからだ。
普段ルイズは私が部屋に戻ってきてもそれほど声をかけない。かけたとしても「遅い!」とか「どこ行ってたの?」なんてものだ。
それが突然「おかえりなさい」ってのは驚かないほうが無理ってもんだ。
ルイズの顔を見てみる。その顔は少し緩んでいてやはりえらく機嫌がよさそうだ。一体どうしたのだろうか?少し気味が悪い。
……あれ?ちょっとおかしくないか?なんでルイズがベッドに座ってるんだよ。ルイズは今さっきドアの鍵を開けたはずだ。
鍵は手動だから開けるためには当然ドアの前までこなければならない。だから鍵が開いた瞬間に私はドアを開けたんだから、当然ルイズはドアの前にいるはずだ。
なのにルイズはドアの前からそれなりに離れたベッドに座っている。私がドアを開く一瞬でベッドに座れるか?座れるわけが無いだろう。いったいどうやったんだ?
この疑問はあっさりさっぱりかっちりくっきりきっぱりちゃっかり即座に解消された。何故ならルイズが行動を起こしたからだ。

243 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 22:35:58 ID:F7MnebV5
ゼロ戦に乗るときは、間田や康一みたいになります。

244 :使い魔は静かに暮らしたい:2007/10/21(日) 22:36:34 ID:OzkmJBm/
ルイズは横に置いてあった杖を手に取ると、杖をドアに向け何かを唱えた。すると鍵がかかる音がしたのだ。
ルイズは、魔法でドアの鍵を開けたり閉めたりしていたのだ。そう、魔法でだ。
「……ルイズ。お前、魔法が使えるようになったのか」
「ふふん、驚いた?簡単なコモン・マジックならきちんと成功するようになったのよ。まだ、四大系統は失敗するけどね」
ルイズが立ち上がりもう一度ドアに杖を向ける。すると再びドアが開く音がした。さらに閉まる音が聞こえてくる。
「わたしって成長してるのかしら?ううん、きっと成長してるのよ!これからもっともっと使える魔法が増えていくに違いないわ。
わたしもみんなみたいに魔法が使えるようになるのよ!」
ルイズは、まさに喜色満面といった感じだった。そりゃあ今まで魔法が使えなかったのが、簡単な魔法だとしても使えるようになったんだ。
『ゼロ』と呼ばれなくなんるんだ。嬉しくて当然だろう。はしゃいで当然だろう。だが、私はルイズが成長するかもしれないと思うと、怖くて怖くて仕方が無い。
これ以上成長したら一体どんな化け物になるというんだ?『虚無』の他に『火』『水』『風』『土』が使えるようになるかもしれないなんて……
せめてもの救いは、今のところルイズが私に攻撃的な意識を持っていないということだ。持っていたら今頃私はこの世にいないかもしれない。
それは考えすぎだとしても、大怪我ぐらいは負っているかもしれない。今でこそ私を人間扱いしているが、前はしていなかったんだ。
日常的な罵倒に餌レベルの食事、鞭で叩こうとしてきたことすらあった。ルイズはそんなことを平気でできる奴だ。
『虚無』を人に使って怪我を負わせるぐらい簡単にやってのけるだろう。
「ねえ、わたしってどうなっちゃうのかなあ?」
ルイズはそんな思いなど知らず話しかけてくる。
「わたしが『虚無』を使えるようになったなんてあんた以外誰も知らないわ。
わたしが唱えた『エクスプロージョン』は城下や王軍の間では『奇跡』でかたがついてるみたいだけど、でも、そのうちお城にバレると思うわ。
そしたらわたしどうなると思う?」
「さあ、私に聞かれてもわからないな」
知るかそんなもん。というかなんでバレるんだ。だれもお前が『虚無』を使ったところなんて見てないだろうが。いや、待てよ。
あの光の正体を城の連中が探るとしたらまず初めに現地で調査するはずだ。そしたら当然タルブの村の連中に聞き込みをするだろう。
そしたら村の何人かはゼロ戦を目撃しているから、そのことを話すに違いない。ゼロ戦が飛んでいった後に『虚無』の光が現われたんだからな。
ゼロ戦がタルブの村にあったことはすぐにバレるだろう。そしたら誰が持っていったかもすぐにわかるだろう。
そこからルイズの場所に辿り着くのは時間の問題だ。おお、確かに近いうちに城の連中にバレるな。
だが、バレたところでわたしには痛くも痒くも無い。困るのはルイズ一人だ。
この結論に納得し、猫を肩に乗せながら椅子に座り込む。そしてすぐ近くに置いてあるデルフを傍らに引き寄せる。
「ちゃんと考えなさいよ。ご主人さまがこんなに困ってるのに」
「そんなこと言われてもな。実際私の国じゃありえない問題だからな。想像もつかないよ」
「まったく、役に立たない使い魔ね。せっかく相談してるのに」
ルイズが『虚無』だと城の連中にバレた場合、私としてはルイズを表舞台から消し去ってくれるようなことになってくれると嬉しい限りだ。
そうすれば、私がルイズを殺したわけでもなく、ルイズのもとから逃げ出したわけでもなく、合法的に自由になれる。二度とルイズに会わなくてすむ。最高だな。
だが、ひとつ問題がある。それは私が『虚無』の使い魔であるということだ。もしルイズが表舞台から消えるようなことがあれば私も消えるんじゃないか?
可能性が無いわけじゃあない。十分にありえる話だ。チッ!本当にルイズは厄災しか運んでこないな。迷惑はなただしい。
あのとき感じた美しさはなんだったのだろうか?まるで面影が無い。今では恐怖と災厄を私にもたらす化け物だから当然か。
そういえば、あの劇場で杉本鈴美は言っていた。『吉良吉影』に安心を与えることは許さない、って。

245 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 22:37:28 ID:zZtkMssX
支援

246 :使い魔は静かに暮らしたい:2007/10/21(日) 22:37:38 ID:OzkmJBm/
だが、それはキラヨシカゲに対してのはずで私というキラヨシカゲにではなかったはずだ。そしてキラヨシカゲはもういない。間違いなく。
だったら杉本鈴美が私というキラヨシカゲに執着し、安心を与えないようにする意味など無いはずだ。だとしたらこれは運命か?
私に降りかかる不幸は全て運命のせいなのか?それとも試練なのか?この不幸を乗り切った先に『幸福』があるのか?そういう運命なのか?
運命が私の味方ならどれだけよかっただろう。そしたら私は簡単に『幸福』になれそうなのに。
「あ、もうすぐ食事の時間ね。行きましょう」
「ああ」
椅子から立ち上がり猫を振り落とす。
「ちょっと!前から言ってるけどそういうことやめなさいよ。かわいそうでしょ」
「心配ない。こいつはマゾヒストだからな」
「まったく、なんで懐かれてるのかさっぱりわからないわ」
とにかく、考えていても仕方が無い。結局、運命があろうが無かろうが、どうでもいい。運命が敵だろうが味方だろうが、どうでもいい。
自分が今、不幸かそうでないのか、それすらもどうでもいい。
私はただ、運命があろうと、運命が敵だろうと、自分が今不幸だろうと、必ず『幸福』に辿り着いて見せる!
……ただ、それだけだ。

247 :初代スレ506:2007/10/21(日) 22:39:03 ID:OzkmJBm/
以上。

魔法が使えるようになったら今まで使えなかったから嬉しくて何回も使うんじゃないかなと思う。

248 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 22:43:07 ID:zZtkMssX
GJ!
毎回ひどい目にあってるのに懐いている猫は確かにマゾかもしれないw

249 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 23:18:22 ID:Rr0G8EVu
「ロックアンロックロックアンロックロックアンロック……」と一人部屋で黙々と繰り返す様ははたから見ると実にホラーだろうな
GJ!

250 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 23:20:15 ID:pHLx+xnG
さながら空の鍋をかき回すような…ですな
原作でも魔法無駄遣いしてなかったら、大事な局面でもうちょっとピンチにならなかったのかな?

251 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 23:36:19 ID:2Dj+h4K7
   ∧,,,,,∧
  ミΦÅΦミ ぬこかわいいよぬこ
   〃 ;;;;;ミ
 ヽ(,, JJノ

252 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 23:42:52 ID:dD88W+K5
見えない使い魔GJ!
花京院がンドゥールと接触してどうなるかと思った、大事にならないでなにより。

ゼロいぬGJ!
>「よし殺そう。きっと始祖も許してくれる」
koeeeeeeeeeeeeeeeee!


吉良GJ!
怖いよマジで怖いよ吉良
でもこのルイズって原作より理知的?


253 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/21(日) 23:51:54 ID:4XHuRsTJ
投下乙です。
犬はSすぎて危険、武器屋のおやじぃー!

吉良は良い感じに殺伐としてますね、ルイズが使い魔として信頼してるのに見事に空回りしてるのが素敵デスw

>>252
サイトと違って嫉妬に狂ったり、自身を口説いた後に
他所の女に色目を使うような事をしてないので理性が残ってるのかと。

いや、虚無の魔法的には、イライラとかの感情の揺れがエネルギー源なので良い事ばかりでもなさそうですが。

254 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 07:40:42 ID:ipGdzVSp
今までにない時間停止。

255 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 07:55:40 ID:mhZEHcKd
ま、丸々7時間以上だとおぉぉ!!
これは辻褄が合わない!俺はスタンド攻撃を食らっている!!

256 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 07:57:13 ID:lUtK/yEL
んっふっふぅ……
これは、巧妙な叙述トリックだ!!

257 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 09:42:40 ID:m83miSy2
          , -‐ '´ ̄ ̄`ヽ、
         /・・/:・,へヾヽ・:\
        / :,・'/ /レ'/   ヽ ヽ:・:ヽ    
        l:.::・{:l 〈ソ'   ー-j从:フ(;;)ヽ
        | :・i:ル{レ'     ●` li!: ト、::.',  知らぬまに時を
      ((/⌒)i"●    ⊂⊃: |ノ::i:.il      飛ばして
      /   yi ヘ⊃   ,__,   l|:: |:::・::.l    でぃあぼろーん
      (  /ス、,ゝ、_ `´   ィ<|:: |;;;)::.l
       '<X)( i|l:::: i "Tーイ'^ァレ'l_::::::.l
        \,,t|l:: lヾ#| /##/X)(ヽ'i
         |::|l::・:lX)(∨X)(X)(彡, | :ji

258 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 12:43:16 ID:TcG8uZDM
吉良GJ!
せっかく相談持ちかけられてるのにw

259 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 15:00:02 ID:m83miSy2
          , -‐ '´ ̄ ̄`ヽ、
         /・・/:・,へヾヽ・:\
        / :,・'/ /レ'/   ヽ ヽ:・:ヽ    
        l:.::・{:l 〈ソ'   ー-j从:フ(;;)ヽ
        | :・i:ル{レ'     ●` li!: ト、::.',  またまた時を
      ((/⌒)i"●    ⊂⊃: |ノ::i:.il      飛ばして
      /   yi ヘ⊃   ,__,   l|:: |:::・::.l    でぃあぼろーん
      (  /ス、,ゝ、_ `´   ィ<|:: |;;;)::.l
       '<X)( i|l:::: i "Tーイ'^ァレ'l_::::::.l
        \,,t|l:: lヾ#| /##/X)(ヽ'i
         |::|l::・:lX)(∨X)(X)(彡, | :ji

260 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 15:32:05 ID:iXJocfra
今度は七万人戦でどさくさに紛れてルイズ抹殺を狙うのか、ヨシカゲ?

261 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 17:58:24 ID:hUWIlQj2
まじでルイズ殺しちゃうのか?

262 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 18:43:30 ID:kqo93mAE
ルイズが虚無であるとバレると静かに暮らせなくなる…
つまり、虚無だとばれたくない…

ばれたくない………


バイツァ・ダストの出番じゃね?

263 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 21:22:46 ID:aDn+aY8D
それだと虚無と知った奴を残らず始末していくことになるが。

264 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 21:39:39 ID:NGBDpWZm
虚無と爆弾ッ!!この世でこんなにも相性のいいものはあるだろうかッ!?

265 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 21:43:50 ID:hUWIlQj2
吉良もいいけど早く仮面に来てほしいところだ。

266 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 21:45:44 ID:aMrRVehM
仮面の忍者吉影

267 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 22:15:05 ID:L8suB2HN
>265
私もファンだし早く読みたいけど、
ファンだからこそ!時間をかけてもらいたい。



だってほら、原作に追いついちゃうし…
(追いついたら『新作出るまで休載』が私の理想)

268 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 23:41:15 ID:y5if7Vnw
『お気に入りの小説は直ぐにでも読みたい』、『でもお気に入りだからこそ、職人さんのペースで書いて欲しい』
二つの相反する感情に苛まされるのが「ファン」の辛い所だよな…

269 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/22(月) 23:41:47 ID:/r2O9r6V
まる一日投稿がないだと!?辻褄が合わn(ry

270 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 00:02:20 ID:hUWIlQj2
静かに暮らしたいからじゃね?

271 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 00:07:34 ID:pXSqtb4a
寧ろここは逆に考えればいいんじゃね?
「一日くらい投稿が無くたっていいんじゃね?」って

272 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 00:08:26 ID:KmY82Tw/
なぁに、かえって免疫力がつく!

273 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 00:09:47 ID:ClvOxVx6
ですな、というわけで0時を過ぎたんで早速未だに題名は思いつかないんだけど続きを投下したい。
一言でいい…また『許す』と投下の許可を与えて欲しい。
それだけでいいんだ…それだけで私は救われる。今の私には必要なんだ。
『許す』を…!

274 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 00:12:00 ID:Ma1g0y2B
歩道が広いではないか


275 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 00:18:23 ID:pXSqtb4a
支援するぜッ

276 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 00:21:22 ID:LEDByT+0
なに?タイトルが思いつかない?逆に考えるんだ
@シュトロハイムが来て助けてくれる
Aハンサムな書き手は題名を思いつく
B後付け。現実はそんなもんである

277 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 00:22:35 ID:JgWkoqa1
いずれ血管針攻撃4人組が呼び出されるに花京院の魂を賭けるぜ

278 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 00:23:34 ID:u0NE2dW2
逆に考えるんだ。
タイトルなんて無くても内容で評価されるさと考えるんだ。

279 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 00:25:40 ID:AgG1clCQ
『許すッ』と心の中で思ったのならッ!
その時既に行動は終わっているんだッ!!

280 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 00:27:41 ID:ClvOxVx6
あ、ありのまま今起こったことを話すぜ!

毎日が日曜日である私は、昨日も遅くまで亀の中で雷獣シュートの練習をしていたんでいつもどおり昼過ぎに起きた。
ちょっとばかし壁にボールの後がついていたがそれは気にしないでヘアースタイルをセットする。
半ばこの形に固定してしまっているようなものだが、私の髪も少しくらいは寝乱れてしまうからな。
櫛を通して鏡の前で左右から確認し、所々に修正を加えて私の自慢のヘアスタイルは完成する。

そしてジョルノが入れておいてくれた朝飯を食べてたっぷりシエスタした後に亀から顔を出した。
すると何故か女性の黒い下着が目の前に広がっていた。
…亀が女性の足元にいたらしい。
何か髪が重い感じがするんで見上げてみると、髪の毛がひっかかって女性のスカートを押し上げていた。

……えーっと?
リアクションに困った私はそのまま亀の中に戻った。
あ、ありのままに話したぜ…
………
な、何を言ってるかわからねぇだろうが私にも一瞬何が起きたのか分からなかった!
わざとだとか孔明の罠だとかそんなちゃちなもんじゃねー運命のいたずらを味わったぜっ!

「言いたい事はそれだけですかエロナレフさん」
声に振り向くとそこにはジョルノがやれやれって顔をしながら立っていた。
その表情からするに、私はいつの間にか声にだして言っちまってたみたいだな。
妙に冷静に私は考えていた。
何故って?
ジョルノが発している雰囲気が…これは、何か、ヤバイっ!?って感じさせるからだ。

「逃げろーっ!」

狭い亀の中を逃げてみた私は一瞬の後壁に激突して気絶した。
思考と体の動きがまるで一致しなかった…薄れていく意識の中、ジョルノの声を聞いた気がする。

「既に。ゴールドエクスペリエンスであんたに生命エネルギーを与えた。どうやら、魂だけの人間に生命エネルギーを与えても加速するようだな」

気絶した私を見下ろしながらジョルノがそんなことをいっていたような気がする。

………気がついた私はソファ出寝そべっていた。
余っているソファではジョルノが本を読みながら何かを図面などを書いていた。
どうやらジョルノの奴が運んでくれたらしいと私は察した。
だがジョルノのせいでそーなった気もするんで、私の第一声はこれだった。

「で、あの麗しい太ももが例のお姉さんなのか?」
「…ええ」

ジョルノは気がついてから最初にした質問がそんなことだったからか、どうもいつも冷たいジョルノの視線が更に冷たい気がするぜ。
コイツは根に持つタイプだから気をつけないとな。まぁ今はそれより気になる事がある。
私は寝かせられていたソファから起き上がり、座りなおした。
ジョルノとは机を挟み、向かい合う形になる。

「帰る手段はありそうか?」
「いいえ。ですが、面白い話を聞きました」
そう言って余り肩を落とした風も無く、ジョルノは机の上に一枚のケースを置いた。
私もそんなにがっかりしてないからわかるんだが、それはそう簡単に…ちょっとマチルダお姉さんに効いてみた位で帰れるとは思っていなかったからだろう。
だから余りがっかりしてないし、落ち着いて次の行動に移れる。
私はジョルノが取り出したケースに入っている物をしげしげと見つめた。
大して珍しい物でもない。普通のCDに見える。
それが私の感想だったが、ジョルノはマジな顔で言った台詞に、このCDの価値は激変した。

「マチルダさんの荷物に入っていたのを頂きました。ちょっと聞いてみたんですが、コレも召喚された物だそうです」

281 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 00:31:41 ID:ClvOxVx6
本当ならそれだけでも驚くべき事だ。
私達にこれ、他にも召喚されたものがあるだろうって風に考えられるってことだからな。
この世界は科学技術なんて発達してないから機械類はゴミ以下なんだろうが、それでも召喚されたものとなると大切に保管されてるかもしれねぇ。
保管されていなくても、変なものが召喚された話とかその残骸は残ってるかもしれない。
もしそうなら、そんな召喚された物を探せば、何か帰る手がかりくらいは掴めるかも知れないと私は考えた。

だが、ここまでで十分驚いていた私だったが、ジョルノは私を更に驚かせるような情報を得ていた。
ジョルノは驚いている私の目の前でケースからCDを取り出し、なんと頭に突っ込んだ!
目を見開く私の前で、CDはズブズブと音を立ててジョルノの頭にめり込んでいく。
そして、ジョルノはマジシャンズレッドを…昔、私を助けて死んでしまった男のスタンドを出して見せた。

「じょ、ジョルノ、それは一体…!?」
「僕にもよくわかりませんが…こういう物らしいです。マチルダさん達は頭に差すと吹っ飛ばされるマジックアイテムくらいに考えていたようですが。
使う才能があればこれを頭に差すことでディスクに記録されたスタンドを使用できるようです」

そう説明したジョルノはマジシャンズレッドに目を奪われる私に怪訝そうな顔をした。
表情の変化に気付いた私も我に返り、机に身を乗り出してジョルノに迫った。
思いっきり近づいたジョルノの表情は何の変化もねぇ。結構慣れた様子だった。

「…ジョルノ。すまないがそれは、私にくれないか?」
「ポルナレフさん、まさかって感じですが。このスタンドの事を知ってるんですか?」
「ああ、それは…」

説明しようとした私の頭にマジシャンズレッドのディスクが突き刺さる。
…弾き飛ばされるかとも一瞬思ったが、ディスクはそのまま私の頭に入りきった。
それに気を取られていた私の心の隙間にスッと入り込んでくるようなジョルノの声が聞こえてくる。

「いいですよ。それがあれば僕の手を借りなくても自由に行動できますしね」
「あ、ああ」

言うとジョルノは立ち上がり、自信に満ちたゆっくりとした足取りで外へと出て行く。
マジシャンズレッドを見る私の表情から、何か察したのかもしれない。
あれで時々勘が鋭い時がある野郎だから不思議な事じゃない…私はチッチッとアブドゥルを真似たポーズを取る。

「アブドゥル。またお前に助けてもらう事になるなんて思っても見なかったぜ」

そう言って笑みを浮かべる私の背後に鳥頭の半裸魔人が立っていた。
スタンド使いにしか分からない炎の熱さが、どうにも懐かしいぜ。

「マジシャンズレッド!」

私の指示に従い、マジシャンズレッドは意外に俊敏な動きで亀から飛び出していく。スタンドの視界で状況を確認!
ガキどもや先ほど失礼を働いてしまった綺麗なお姉さんがいる。
スタンドが見えるかどうか、まずは確認しておこう。

踊れっマジシャンズレッド…!

私の指示でマジシャンズレッドが彼らの隣でフレンチカンカンを披露する…勿論、素無視された。
………天国のアブドゥルが泣きそうな気がしたので遊ぶのはこれくらいにするか。ジョルノの視線もかなり冷たいしな。
私はマジシャンズレッドに亀を持たせ、外へと運ばせる事にした。
行動は気づかれぬうちに行うはずだったが、素早く動き出した亀に気付いたガキが一人。
突然加速した亀に驚きながらも追いかけてくる。
チッガキにやるキャラメルとかはない事もないが、味を占めちまうからな。
私はマジシャンズレッドに全力でこの場から離脱するよう命じる…暫く追い掛け回される羽目になっちまったが、亀だけとはいえやっぱり自由に動けるってのはいいぜ。
一人で森の散策だってできるんだからな。マジシャンズレッドに亀を小脇に抱えなおさせ、私はもっと更に全力疾走させた。
少しずつだが、こいつの扱いになれていく感じがするぜ。
そうやって気を抜いちまっていたからだろう。

282 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 00:33:40 ID:ClvOxVx6
私は何かにぶつかった。

「おっとすまねぇ」

余所見をしてたわけじゃないが、嬉しさの余り周りに気がいってなかったのも確かだ。
私は謝りこれもマジシャンズレッドの口でそう言いながら見上げると、頭一つ分以上上に醜悪な顔があった。
…これが、ジョルノが言ってたオークって奴か?

この世界には亜人とか怪物って呼ばれてる奴らがいる。
種類によって知能とかが違うが、そいつらは生身の人間じゃとても勝てない。魔法とか道具とか、頭を使わないとな。
そいつらを完全に排除する事ができないんで畑とかが広げにくいそうだ。

ばったり会っちまったオーク鬼は、十近い。
そいつらは私と同じように大いに驚いていた。
亀が宙に浮かんでいるのを見るのは初めてだったようだし、我に返っても人間のメイジの仕業と疑って周囲を警戒しだしたようだ。。
私もその間に我に返っていた。驚かされたが私の戦闘者としての経験はまだまださび付いてはいない。
軽くマジシャンズレッドの炎で火あぶりの刑に処す。

アブドゥル。確か、こんな感じだったか?
「ムゥンッ、赤い荒縄(レッド・バインド)!」

ポージングと共にマジシャンズレッドから炎が放たれる…!
蛇のようにうねる炎の縄が伸びオークを捕らえていく。
体を焼く拘束具を引きちぎろうと暴れるオーク達へ、少しずつ扱いに慣れる私は更に幾重にも縄をかけていく。
これがアブドゥルなら、既に炎の熱でオークの体を墨に変えちまったのかもしれねぇ。
今の私の限界は、体を拘束し首を締めながらゆっくりとこいつらをミディアムにしてやる程度だった。


「で、軽くボヤになりかけたと言うわけですか」
「…ああ」

散歩から帰った私は亀の中で正座していた。
ジョルノが何時に無く悩ましい表情で私を見下ろしている。
確かにちょーっとばかしマジシャンズレッドで調子に乗っちまったせいで危うく森火事になりかけた。
だが、あのよ。
その…目、怖いぜ?

「今日からポルナレフさんには風呂の用意を手伝ってもらう予定でした。こっちに来てから入浴できませんでしたからね」
「あ、ああ。マジシャンズレッドの炎なら湯を沸かすくらい簡単だぜ」

なんとなく機嫌が悪そうなジョルノの申し出に私はマジシャンズレッドを出して炎を吹かせる。
我が友アブドゥルが得意とした蛇の炎。一瞬で水くらい沸騰させてやるぜ。
名誉を挽回しようと意気込む私だったが、ジョルノは冷めた表情のまま言う。

「そうですね。暫くは湯を沸かしたり料理の手伝いとか以外には使っちゃダメですよ」
「何ぃっ!?」

それはあんまりだ。
私は不服を述べようと思ったが、「何か?」と言うジョルノの顔がギャングっぽかったので止めておくことにした。
あ、明日言うっていう考えもあるよな。

ジョルノはコップに入れた水をテーブルの上に乗せる。
暖めて見せろってことか?
そういう意味だと取った私はマジシャンズレッドを呼び出し湯を沸かそうとした。
だがしかし、マジシャンズレッドの炎は一瞬で水を熱い水蒸気に変えて亀の中に煙を作り出す…勿論木でできたコップも丸焼けだぜ!
誤魔化すように私は明後日の方向を見る。あぁ、マジシャンズレッドの表情まで冷たく見えるぜ。
「…フッ、少し強すぎたようだな」
「練習しておいてくださいね」
「…任せておけ」

283 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 00:36:56 ID:u0NE2dW2
ポルポルwwwwwwww

284 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 00:37:05 ID:ClvOxVx6
私にはそう言うしかなかった。
ジョルノは軽くため息をついて外へ出て行く。
暫く私は言われた通りに素直にマジシャンズレッドを扱う練習をしていた。
だがその時、微かにコオオオッと言う音が聞こえた気がして、私は外へ視線を向けた。
奇妙な音だ。呼吸音にも聞こえるが…おおっ!
私は思わず感嘆の声を上げた。
先ほどの音は、外にいるジョルノの口から発せられており!
その手には逆さまの水の入ったコップが握られている!

「フフン、やはりツンデレだったか。それが波紋だジョルノ!」

ジョルノは興奮した私に少し浮かない顔を見せた。
私は不思議がった。逆さにしても零れない水は、波紋を習得したという証拠だ。
なのに、なんで浮かない顔をしてやがるんだ?
尋ねようとした私に、ジョルノは自分から説明を始めた。

「これくらいは昔から出来ましたからね」

あん?
ジョルノの発現に唖然とする私から視線を外し、ジョルノは不服そうに、しかし真剣な顔でコップの中に光る指先を突っ込む。
波紋で水が更に固定され、ジョルノの逆の手がコップを持ち上げていく…しかし水は零れない。

「見せてくれるじゃねぇか!」

ブラヴォーという私に、ジョルノは冷やかな視線を向けてくる。
私はそれを不満に思った。

「おいおいなんだその顔は。それが出来りゃあ結構スゲーはずだぜ!」
「僕のママンは、これが育児放棄の原因だと言ってましてね」
「はぁ?」
視線だけじゃねぇ。冷やかな笑みが、ジョルノの顔に広がっていた。
「時々お湯に沈まないベイビーが怖かったとか、寮に入る前そんなような事を言っていましたよ。かなりのビッチでしたから本当かどうか怪しいものですけどね」
「そ、そうか…」

なんと言っていいかわからなかった私は、どうにかそう相槌を打つ。

「それを聞いた僕は、呼吸の仕方を完全に変えてみました。すると、髪がすっかり金色になったんですよ」

私はジョルノの見事な金髪を見上げながら尋ねた。
ジョルノは、冷やかさはなりを潜めた、普段どおりの爽やかな笑みを見せながら頷いた。

「昔、僕の髪は真っ黒でしたよ。まぁそんなことは今の色が気に入ったんで、すっかり忘れちまってたんですけどね」

波紋により固定された水が、完全にコップから離れ…だが完全に離れた瞬間!
水は形を維持する事ができずに爆発してジョルノの手をびしょ濡れにした。

「この通り僕の波紋は集中が甘いみたいです。ポルナレフさん、その爺さんの話。後で聞かせてもらえますか?」
「お、おう。任せな…あーっと、何から話せばいいだろうな」
私は頭をかきながら、今夜話すジョセフ爺さんの若い頃のエピソードを思い出していった。


以上です。ごめん。ちょっとやりすぎたかもしれない。

285 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 00:37:26 ID:ALfzfTt6
鳥頭半裸魔人がフレンチカンカンとかwww
支援

286 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 00:42:25 ID:YZMBt5i8
支援
波紋を使えるとは、さすが実質ジョナサンの息子

287 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 00:47:56 ID:NTbh25Oh
魔術師の赤キター!


288 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 00:50:47 ID:pXSqtb4a
GJ
魔術師の赤はディアボロの大冒険から来たのか?
つかジョルノスタンド発現が金髪の原因じゃあないのかww

289 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 00:58:57 ID:L639Ua75
波紋を止めたからdioの血が目覚めてあんな髪型に…

290 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 01:31:04 ID:wrSxplsb
あの三連コロネは吸血鬼パワーの名残ですかいwwww

291 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 01:33:17 ID:okAqUnLR
血管針パワーが逆流してると見た

292 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 01:38:59 ID:mxah7ufi
エロナレフ色々とダメだwww

293 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 02:13:09 ID:jQQiO6Ew
うらまやしいぞエロナレフw
おマチさんの下着見れるなんてwww

294 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 08:27:39 ID:31+axBBG
GJでしたー
ヤバイ、ここでまさかのマジシャンズレッドの
登場にニヤニヤが止まらない


295 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 09:06:49 ID:ODf4F+xg
しかし魔術師の赤は本当に強いよ
火炎に熱の攻撃もできるし、生命探知とか技も多い
炎は結構遠距離まで届くから普通の近距離パワー型だと手も足も出ない気がする

296 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 09:14:54 ID:ho77Jduz
中々出現してくれなかったが、出てきてからはDISCの合成に欠かせな(ry

297 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 10:00:38 ID:LkknGSuG
レッド・バインドって炎のくせに、相手を焼かないで締め付けることも出来るんだよな。
承太郎との戦いじゃ呼吸が辛くなるだけに手加減していたみたいだし…
魔術師の赤とポルナレフはなんか運命的だな!GJ!

298 :仮面のルイズ:2007/10/23(火) 10:58:07 ID:LkknGSuG
投下する…!

299 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 10:59:20 ID:ImtY+tUb
リアルタイムで投下に遭遇だと!?支援する!!!

300 :仮面のルイズ:2007/10/23(火) 11:02:25 ID:LkknGSuG
トリステインの城下町、ブルドンネ街では、タルブ戦の戦勝記念パレードが行われていた。
聖獣ユニコーンが先頭をゆく馬車を引いており、その馬車にはアンリエッタが乗っていた。
王女の馬車に続き、戦争に参加した高名な貴族達の馬車がゆっくりと後を追う、その周囲には魔法衛士隊が警護を務めており、華やかさと凛々しさを備えた見事なパレードとなっていた。

「アンリエッタ王女万歳!」「トリステイン万歳!」「ウェールズ王子万歳!」

観衆の熱狂もすさまじく、通りに面した建物の中から外から、パレードに向けて歓声が投げかけられていた。
この戦いでアルビオンの巨艦『レキシントン』を打ち破ったのが、アンリエッタとウェールズの魔法であることは既に知られている。
優れたるトリステインのメイジ達は、数で勝るアルビオンの軍を押しのけ、その上戦艦を落とすほどの魔法を放ったと噂が流れていた。
その噂は半分が正解で、半分が嘘だ。
だが、圧倒的に不利な戦争を勝利したという事実が、その噂に信憑性を与えていた。

いつの間にかアンリエッタへの人気は、貴族平民を問わず高まり、聖女とまで呼ばれるようになっていた。
マザリーニはここぞとばかりに、トリステインに亡命していたウェールズの存在を明らかにした。
『王家にのみ伝わる始祖ブリミルの大魔法』により、アンリエッタとウェールズがトリステインを勝利に導いた、と。

神聖アルビオン帝国の卑怯なだまし討ちを流布した上で、一日か二日遅れてウェールズとアンリエッタの噂を流す。
少々英雄譚じみた噂は予想以上に効果があり、世論はウェールズに同情的、かつアンリエッタとの結婚を望む声が大きくなっていた。

戦勝記念のパレードが終わり次第、アンリエッタは戴冠式を受けることが決定している。
アンリエッタの母である太后こうマリアンヌより王冠を受け渡され、晴れてアンリエッタは王女から女王になるのだ。
マザリーニ枢機卿を筆頭にして、主立った貴族達は皆これに賛同しており、隣国ゲルマニアへの牽制も兼ねて反対する者は皆無であった。
ゲルマニアとの軍事同盟を保ちつつ、ゲルマニア皇帝とアンリエッタとの婚約を破棄するために、少しでもアンリエッタの立場を高めておく意図もあった。
アルビオンの空軍がどれほど強大かはゲルマニアもよく知っているし、その矛先が自分たちにも向けられているのも知っている。
それをトリステインは一国で退けたのだから、アルビオンにとってトリステインとの軍事同盟は無くてはならぬものなのだ。

馬車の中から手を振るアンリエッタの笑顔は、大きな戦に勝ったというのに、決して浮かれてはいなかった。
凛々しく、そしてどこか慈しむような眼で、観衆に向かって手を振っていた。
ゲルマニア皇帝との婚約は解消される予定であり、いずれはウェールズ皇太子と結婚し、二人の恋は結ばれようとしているのに、アンリエッタの笑顔にはほんの少しの陰りがあった。


ブルドンネ街の中央広場には、何人かの衛士に護衛され、監視されている者達がいた。
彼らは捕虜となったアルビオンの貴族達だが、貴族である以上はそれなりの待遇がある、彼らは杖を取り上げられ、監視されながら捕虜として過ごしていた。
だまし討ちという不名誉極まりない戦い方をしたアルビオンの軍人だが、軍人としての職務を全うするために行った戦法であり、彼ら自身には責任はないと判断されている。
そのため、檻に入れられるわけでもなく、トリステインの城下町であれば監視付きで自由に行動できるのだ。
もし彼らが逃げ出そうものなら、逃げ出した者達は貴族の名誉も、家名も地に落ちてしまう。
誇りを重んじる彼らにとって、それが死に等しい行為であると自覚している。
だからこそ、彼らは決して逃げ出そうともせずパレードを見つめてていた。
「ああ」

301 :仮面のルイズ:2007/10/23(火) 11:05:59 ID:LkknGSuG
捕虜の一団の中から、精悍な顔立ちの男が、アンリエッタの乗る馬車の後ろ…ウェールズ皇太子の乗る馬車を見つけ、声を上げた。

声を上げた男は、こアルビオンの戦艦に乗り数々の武勲を立てた男であり、日差しの強い雲の上を海として、戦場としていた男であった。
名をサー・ヘンリー・ボーウッド。彼は隣にいる一人の貴族を肘で小突きつつ、話しかけた。
「ホレイショ、ぼくたちを負かした『聖女』と、殿下のお通りだ」
ホレイショと呼ばれた貴族は、肥えた体を揺らしながら右手を自分のおでこにあて、困ったような仕草をしつつ答えた。
「いや、まったく見事なものだ、ときにお二人は結婚されるのだろうかね。ボーウッド、君はどう思う?」
二人は、戦艦の上で軍人として職務に就いている時とは別人に見えるほど、砕けた雰囲気で会話をしていた。
「皮肉なものだ、王党派に弓を引いた僕が、今はトリステインでウェールズ皇太子が結婚されるのを楽しみにしている、本当に皮肉なものだ」
「やはり君もお二人の結婚が楽しみなのか」
「ああ」

ボーウッドは職務に忠実な軍人であり、心情的には王党派であった。
軍人である以上、上官が貴族派であっても逆らうことはできない。
レキシントンの後甲板から指示を下したとき、何の迷いもなくトリステインに砲撃を加えていた。
だが、それでも心の何処かで、彼自身、王党派としての心情と、貴族派の軍人としての職務の矛盾に苦しんでいたのかもしれない。

捕虜になった今だからこそ、二人の結婚を祝福できる。
ホレイショにしても、他の捕虜達にしてもその心情は同じだったようで、アンリエッタとウェールズ皇太子の馬車を見つめては、安堵ため息をついていた。

「それにしてもだね、少し浮かれすぎではないかとも思うのだよ。いくら我々に勝利したとはいえ戦争が終わったわけではない。それに女王の即位など前例のないことを…」
ホレイショの言葉を聞いて、ボーウッドは笑みを浮かべた。
「ホレイショ、きみは歴史を勉強すべきだよ。かつてガリアで一例、トリステインでは二例、女王の即位があったはずだ」
ボーウッドの言葉を聞いて、ホレイショはオーバーなしぐさで頭をかいた。
「歴史か、なるほど。だとすれば僕たちは歴史の一ページになれたかね?」
「数で勝る僕たちに勝利したのだから、歴史に刻まれぬはずはないだろう。それに、王家に伝わる巨大な魔法、あの謎の騎士、すべて驚くべき事づくめだ」
ホレイショは体の贅肉をゆらしてハハハと笑った後、ボーウッドの肩に手を乗せた。
「王家の魔法を直々に受けた僕らは、これを名誉なことと誇るべきかね!いや、負け惜しみではなく本当に名誉だと僕は思うのだ。その上、あのいけすかぬクロムウェル!」
ボーウッドはクロムウェルと聞いて、複雑そうな表情をした。
「クロムウェルが計画した、船を落として民草ごと焼き尽くす作戦を、あの光が!すべて消し飛ばした!驚いたね!」
それに気づいたのか気づかないのか、ホレイショは興奮したまましゃべり続けた。

ボーウッドは頷いた。
ラ・ロシェール上空に現れた光の玉が、瞬く間に巨大にふくれあがり、ラ・ロシェールに向けて落ちようとしていた輸送船を跡形もなく消滅させてしまったのだ。
驚くべきことに、その光は誰一人として殺さなかった、輸送船から脱出挺で避難した者達も、空を飛ぶ兵士達も、地上に落ちた我々も、誰一人として殺さなかった。
未だ健在だった戦艦に対しても、風石を焼き尽くしただけで、人間への直接的な影響はなかった。
光の津波はクロムウェルの発案した『悪あがき』のみを消滅させたのだ。

既に高度を下げていた艦隊は、巨大な竜巻と巨大な光の本流を受けて、戦意を失った…いや、正確には、見とれてしまっていたのかもしれない。
地上部隊もそれに見とれて戦意を喪失してしまったのか、戦いは止んでしまっていた。
ボーウッドは知らぬことだが、あの光の本流は地上部隊の指揮官クラスに埋め込まれた『ルイズの肉片』を焼き尽くし、戦意を喪失させていたのだ。 

それは本当の意味で奇跡だったのかもしれない、なぜなら、本体を失った肉片がその後どうなるか……まだ、ルイズにすらはっきりとは分かっていないのだから。



302 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 11:06:21 ID:ODf4F+xg
支援とは職人の進むべき道を切り開くことだッ!

303 :仮面のルイズ:2007/10/23(火) 11:07:24 ID:LkknGSuG
ボーウッドは軍人としての自分を思い出した。
忠実に、確実にアルビオンが勝利できる戦法を考えたはずだ、いわば全力を出し切って、そして負けた。
クロムウェルに荷担したとして斬首されてもおかしくはない、それでも、トリステインの奇跡に賞賛を送らずには居られなかった。
「奇跡の光だね。まったく、あんな魔法は見たこともきいたこともない。いやはや、我が『祖国』は恐ろしい敵を相手にしたものだ!」
ボーウッドは自分の声が少し大きすぎるかと思ったが、周りはパレードでもっとやかましい。
こんな時でも声の大きさを気にしている自分が逆に恥ずかしくて、隣に立つホレイショに気づかれぬよう、顔を少し伏せて笑った。


ふと、顔を上げると、ハルバードを持ったトリステインの兵士が目に入った、捕虜の一団を監視し、警護する役目を負った者だ。
「きみ。そうだ、きみ」
兵士は怪訝な顔をしたが、すぐにボーウッドに近寄る。
「お呼びでしょうか? 閣下」
兵士は丁寧な物腰でボーウッドの言葉を待った、捕虜であっても貴族には相応の礼儀を尽くすべく教育されているのだ。
「ぼくの部下たちは不自由していないかね。食わせるものは食わせてくれているかね?」
ボーウッドの質問に、兵士は直立不動のまま答えた。
兵士の話によると、捕虜となったアルビオンの兵士達は一カ所に集められ、トリステイン軍への志願者を募っているらしい。
そうでない者は強制労働が課されるが、戦勝の勢いとウェールズ皇太子の存在に押され、ほとんどの者達が志願する予定だそうだ。
捕虜にも、強制労働を受ける者にも、決して餓えさせることはありませんと力強く答える兵士に、ボーウッドは苦笑を浮かべた。
ボーウッドはおもむろにポケットから金貨を取り出すと、兵士にそれを渡した。
「これで勝利を祝して、一杯やりたまえ」
兵士は姿勢を正してから、にやっと笑って言った。
「おそれながら、閣下のご健康のために、一杯いただくことにいたしましょう」
立ち去っていく兵士を見つめながら、ボーウッドはどこか晴れ晴れとした気持ちで呟いた。
「ホレイショ、もし、この忌々しい戦が終わって、国に帰れたらどうする?」
「もう軍人は廃業するよ。なんなら杖を捨てたってかまわない。あんな魔法を体験してしまった後ではね」
ボーウッドは大声で笑い出した。
「気が合うな! ぼくも同じ気持ちだよ!」

ボーウッドとホレイショが笑いあっている影で、一人の捕虜がつぶやいた。
「あの『騎士』は、いったい何なのだ?」
その呟きは、パレードにかき消されるように消えていった。







時間は移り、夜、トリステインの王宮。
久しぶりに屈託のない笑みを見せ、パレードに参加していたマザリーニも、執務室ではいつもの厳しい表情に戻る。
幾人かの従者に指示を飛ばしつつ、先ほど急使によって届いた書状を確認する。
ゲルマニアから届けられた書状には、アンリエッタとゲルマニア皇帝との婚約を解消する旨が書かれていた。
軍事同盟は維持することになったが、以前とは違い、ゲルマニア側はトリステインを下手に見ることができなくなっていた。
マザリーニは休憩すると言って従者を下がらせると、大きくため息をついて天井を見上げ、た。
「石仮面殿は、どこにおられるやら」

椅子から立ち上がり、窓から外を見ると、警護のマンティコアが月明かりに照らされているのが見えた。
城下町の方角が、普段よりも明るそうに見えているのは、決して気のせいではないだろう。
少なくともあと三日はお祭りのような雰囲気が続くと予想できた、その間城下町を警備する衛士が苦労する。
お祭りの雰囲気に乗じて、間者が城下町に入り込むことも考えられる、マザリーニは情報収集を得意とするアニエスのつてで、城下町を探らせようと考えていた。



304 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 11:07:42 ID:Jw7d6ZGp
ヘイル トゥー ユー(支援をあなたに)!

305 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 11:08:05 ID:ImtY+tUb
キラークイーン聴きつつ支援

306 :仮面のルイズ:2007/10/23(火) 11:08:31 ID:LkknGSuG
ところでそのアニエスがまだ帰ってこない。
彼女は、予定の時刻になっても『石仮面』が帰還しないので、タルブ村周辺で痕跡を探している。
タルブ戦から数日が過ぎようとしていたが、未だになんの手がかりもないというのはおかしい。
人間を遙かに超える吸血鬼の力、それを持ってしても、アルビオンの軍隊に立ち向かうのは容易なことではない。
万が一、『石仮面』が…いや、ルイズが死んでしまったら、アンリエッタ姫は一生それを気に病んでしまうだろう。

アンリエッタが女王となれば、今までマザリーニが担ってきた内政と外交、二つの重石が軽くなると思い喜んでいた。
その二つをアンリエッタにまかせ、自分は相談役として退き、補佐に努めようと思っていた。
しかし、このままではアンリエッタ姫が救われない、友達を戦場に行かせて死なせたとして自責の念に囚われてしまうかもしれない。
もし、ウェールズ皇太子がアルビオン奪還を計画し、戦争を推し進めようとしたら、アンリエッタはルイズの敵を討とうと躍起になるだろう。

それでは駄目だ。
マザリーニは、権力と財力を知っている。
知っているからこそ、権力でも、財力でも思い通りにならない事ばかりが起こるのだと、人生にあきらめを感じている。
アンリエッタは、ウェールズは、暗君となるのであろうか、それとも『聖女』と称えられる名君になるのであろうか?

マザリーニは月を見上げ、眼を細めた。

コンコン、とノックの音が聞こえる。
「アニエスが帰還しました」
扉の外で待つ侍従に、マザリーニは間髪入れずに答えた。
「すぐに、ここへ」






アンリエッタはウェールズと共に、人気のない会議室へと向かっていた。
パレードで見せていた笑顔はどこへいってしまったのか、アンリエッタは今にも泣き出しそうな表情をしている。
ウェールズはアンリエッタを支えるように、その傍らを歩いていた。
会議室にはすでにマザリーニと、アニエスがいて、二人の到着を待っていた。
ウェールズとアンリエッタが会議室に入ると、アニエスが鍵を閉め、ウェールズがディティクト・マジックで室内を調査する。
すると、机の上に置かれたものに、何か妙なものを感じた。
見てみるとそれはルイズの使っていた大剣に酷似しており、9割ほど鞘に納められていた。

「…? これは、彼女が使っていた剣か」
「剣?剣だけですの?アニエス、ルイズは、ルイズはどうしたの!?」

アンリエッタの辛そうな声に、痛ましさを感じつつ、ウェールズはサイレントの魔法で会議室の中を包み込んだ。
それを確認してから、下座からアニエスが報告を始める。
「報告致します、本日正午………」

アニエスの報告は、ルイズの捜索に関することから始まった。
タルブ村周辺、ラ・ロシェール周辺、東西南北の森、草原、等の地域ではルイズの痕跡は一つしか見つからなかった。
唯一の手がかりは、ルイズの使っていた剣であり、アニエスが預かっていた鞘と完全に一致した。
タルブ村とラ・ロシェールでは臨時の野戦病院が設置されており、魔法学院から派遣された治癒のメイジ二人と、そのお目付役にも話を聞いたが、ルイズの姿を見た者はいなかった。

「ルイズ…わたし、わたし、ルイズを…死なせて…」
「よすんだ、アンリエッタ」
報告を聴いたアンリエッタは、泣き崩れそうになったが、ウェールズが凛とした姿勢でそれを咎めた。
「でも…」
「まだ死んだとは決まっていない。それに、君が悲しむのは彼女にとっても不本意のはずだ」

『かっこいいこと言うねー』


307 :仮面のルイズ:2007/10/23(火) 11:10:17 ID:LkknGSuG

「「!!?」」
突如聞こえてきた声に、アンリエッタとウェールズが驚いた。
マザリーニはアニエスに命じて、デルフリンガーを鞘から抜き出すと机の上に置き、白銀色の刀身を見せた。
『あー、そっちの王子様にも言ってなかったっけ、俺はデルフリンガー、嬢ちゃんの相棒さ』
「インテリジェンスソード?」
アンリエッタが呟く、ウェールズは呆気にとられたのか、眼をぱちくりさせてデルフリンガーを見つめていた。

頃合いを見計らってアニエスの報告が再開される。
魔法学院の学院長秘書である『ミス・ロングビル』が、デルフリンガーに偶然呼び止められ、デルフリンガーから王宮に届けるよう頼まれた。
それを偶然アニエスが発見し、馬を飛ばして王宮へとデルフリンガーを持ち帰って…この場合は連れて帰ってきたのだ。
インテリジェンスソードには特殊な魔法がかけられているので、最初はデルフを訝しんでいたが、アニエスが預かった鞘にピッタリと収まったので、ルイズの使っていた剣だと証明されたのだ。

『いやー、あの光を使ったのはいいんだけどさ、嬢ちゃんものすごく慌ててたんだよね。そのせいで自分まで余波を食らっちまったんだ』
「それで、ルイズは、彼女は無事なのですか?」
テーブルの上に身を乗り出すようにして、アンリエッタが問いかける。
『無事だと思うぜ、それに一応、嬢ちゃんは死んだことになってるから、人目を避けて帰ってくるって言ってたしなあ、時間がかかるのは仕方ないんじゃねーか』
「そうですか…」
ようやくアンリエッタは安堵したのか、大きくため息をついて、席に座った。
「デルフリンガー殿でしたな、貴殿は王宮で預かることになりますが」
マザリーニはちらりとアニエスを見やりながら言った、すると、デルフもそれを察したのか、カチャカチャと鍔をならしつつ答えた。
『待ってるだけじゃ退屈だな、アニエスの嬢ちゃん、俺を使わねーか?』
「私が? 武器に使ってくれと言われるのは光栄だが、私には大きすぎる」
『石仮面の嬢ちゃんが見つかるまでの間さ、それに俺なら系統魔法を吸い込めるし、ちょっと役立てるかもしれね』
「系統魔法を吸い込むだって?」
ウェールズが驚いて声を上げる、他の三人も驚きこそしたが、声は出さなかった。
マザリーニはアニエスから視線をはずし、デルフリンガーを見た。
「ニューカッスルから脱出した騎士、タルブ戦で活躍した騎士の噂を利用しましょう。デルフリンガー殿と似た大きさの剣を大量に作らせます」
『なるほど、『騎士』にあこがれる傭兵達にそれを配るって寸法か』
「確かに、それならアニエスがデルフリンガーを持っていても、その他大勢の一人として片づけられるか」
マザリーニの発案にウェールズが感心した。



「では、アニエス、デルフリンガーさんと協力して引き続きルイズを探して頂きますわ。」
アニエスは杖の代わりに手のひらを掲げて、「御意」とだけ呟いた。

「それとですな」
会議が一段落付いたところで、マザリーニが口を開いた。
「デルフリンガー殿を見つけた、ミス・ロングビルですが……アニエスの報告では、貴族の立場を追われたメイジだとか」
マザリーニが視線をアニエスに向けると、アニエスは首を軽く縦に振りつつ、まぶたを軽く閉じて目礼した。
それを見たマザリーニは、上着のポケットから一通の報告書を取り出した。
「以前オールド・オスマンからシュヴァリエの爵位申請があって、内偵をしました。ロングビルは偽名です。マチルダ・オブ・サウスゴータ。それが彼女の本名のようですが…」

デルフリンガーは内心でギョッとしたが、彼には顔がない。
その動揺は悟られることはなかった。

だが、その代わりに、ウェールズ皇太子の目が驚きに見開かれていた。


308 :仮面のルイズ:2007/10/23(火) 11:11:23 ID:LkknGSuG
薄暗い空間の中でワルドは目を覚ました。
自分の置かれている状況が分からず、とにかく起き上がってあたりを見回そうとしたが、体に走る痛みに顔をしかめた。
ここはいったいどこだろう? 自分は確か……。石仮面と戦って、ルイズが…

痛みにもかまわずガバッと起きあがり、辺りを見回した。
隙間のある板張りの壁と、申し訳程度のテーブルが置かれているだけの粗末な小屋。
机の上には、いつも首から下げていたペンダントが置いてあった、ワルドは痛む足を引きずりつつ立ち上がると、ペンダントを握りしめ、切り株で作られた椅子に座った。

「目を覚ましたのね」
「 あ、ああ」
小屋の入り口から声がした、振り向いてみると、そこには粗末な布で股間と胸を覆ったルイズが立っていた。
小脇に抱えた薪を、ぶちりぶちりとむしって、壁際に置かれた土製のかまどに投げ入れる。

すると火はすぐに勢いを増し、ほだ火の臭いが部屋の中に充満していった。
「何から、話そうかしら」
「……………」
ルイズの言葉に、ワルドは何も答えられなかった。
何を聴けばいいのか、そもそも、目の前にいる少女は本当にルイズなのだろうか。
胸と股間に粗末な布を巻き付け、髪の毛を蔓草か何かでアップにしたルイズの姿は、とても貴族とは思えない。
だが、確かに彼女はルイズだと、ワルドの本能が告げているような気がして、目を離すことができなかった。
それに彼女は自分を今すぐにでも殺せる、昨日、オーク鬼を殺したように…

「…! うえっ」
首だけになったルイズを思い出し、ワルドの体が震えた。
死体など見慣れているはずのワルドだったが、首だけになっても死なぬ化け物を見てしまったからだろうか、激しい嘔吐感に襲われた。
だが、内臓が痙攣するだけで、胃液の一滴すら出てこなかった。
「大丈夫?」
顔を上げると、ルイズが心配そうにワルドの顔を見ていた。
不思議と、嘔吐感が止まった。
差しだそうとしたルイズの手が中途半端なところで止まっている、ワルドはルイズの手を取ると、その感触を確かめた。
「…ルイズ、君は、どうして…いや、まさか、クロムウェルの言っていた『虚無』の力なのか? ルイズ、君は」
ルイズは、ワルドの言わんとしていることを何となく理解した。
「クロムウェルの力は虚無じゃないわ、あれは先住魔法の込められたマジックアイテム、『アンドバリの指輪』の力よ」
「先住魔法…指輪…」
「心当たり、あるの?」
ルイズは先ほどまでワルドが寝ていた藁束のベッドの上に座ると、自分の膝に肘をついた。

「君は、暖かい」
ワルドはそう言いながら、先ほどルイズの手を握った両手を見つめる。
「だが、クロムウェルが生き返らせた人間は、皆冷たかった」
「かりそめの命なのね……」
「………」

しばらく、沈黙が流れた。
小屋の壁は木板で作られており、その隙間から月明かりが見える。
ぼんやりとそれを見つめながら、ルイズは自分でもよく分からない感情に浸っていた。
このまま時が止まれば…

「僕は」
ワルドの呟きで、意識が現実に引き戻される。
ルイズは視線を合わせることもなく、じっと黙って、ワルドの言葉を聞いた。
「母は自殺するような人じゃない。そう思って、母の死が自殺だったのか、あらゆる手を尽くして調べた。でも結果は自殺だった、遺書も残っていたんだ」

309 :仮面のルイズ:2007/10/23(火) 11:12:25 ID:LkknGSuG
ワルドの母は、ワルドを高等法院で働かせようと思っていたそうだ。
だが、意外にもワルドは魔法衛士隊として抜擢された。
ワルドは優秀だったが、それでも百人に一人の逸材扱いだった。
魔法衛士隊として王族の身辺警護を務めるには、それ以上の逸材でなければならない。
ワルドの母は、ワルドを高等法院に行かせようとしていたが、ワルドはそれを断り、魔法衛士としての一歩を踏み出した。
そのとき、ワルドの母は遺書を残して自殺したらしい。
ワルドの母が埋葬されるときには、高等法院のリッシュモンが参列した。
「君は高等法院で埋もれるような人材ではない。母の名誉のため頑張りなさい」と言ってくれたリッシュモンに、当時のワルドは感激を覚えた。

それからというもの、一心不乱に任務に務めたが…政治に近づけば近づくほど、トリステインの腐敗が目に付く。
母の守ろうとしていた名誉はこんなものではない、そんな思いがワルドの心に生まれていた。
レコン・キスタの誘いを受けた理由は、クロムウェルが死者を蘇らせると聴いたからだ。
ワルドは二重スパイのつもりでクロムウェルに接近したが、母を蘇らせるという思いが日に日に強くなり…そして、トリステインからの離反を決意した。
そのすぐ後に、ルイズが死んだと聞かされたのだ。

「もう涙など、忘れたと思っていたよ」
そう言ってワルドははにかんだ。
心の内をすべて吐露して、安堵したのだろうか。
つられて、ルイズの表情も少しだけ柔らかくなった。

「ねえ、ワルド、貴方『なぜ始祖ブリミルは残酷な運命を課したのか』って言ってたわよね。私もそう思うの」
そうして、ルイズも自らの身に起こった出来事を話し始めた。
サモン・サーヴァントで現れた石の仮面、吸血鬼化、死の偽装。
傭兵との出会い、運命に導かれるようにニューカッスルへ。
ワルドとの再会を経て、貴族派の包囲を脱出し、ウェールズを連れてトリステインへ。

そこでようやく、ルイズは自分の魔法がどの系統なのかを知った。

「笑っちゃうわよ、私……ようやく自分の系統がなんなのか知ったのに、もう家族にも、ツェルプストーにも自慢できないのよ」
「虚無か…」
「何よ、しんじてくれないの?」
「信じるよ、あのようなものを見せられてはね」
ルイズの投げた肩当てが命中し、ワルドは風竜の上から落とされた。
だが、かろうじて杖を手放さなかったおかげで、ワルドは『レビテーション』を唱えることができた。
落下の速度は殺しきれなかった上、着地の衝撃で杖が砕けてしまったが、ワルドは何とか意識を保つことが出来たのだ。
「あの光…君が子供の頃から、ずっと魔法を失敗していたのは、失敗じゃなかったんだ。すべては虚無に引き寄せられていた」
「虚無なんて皆伝説だと思っているから、失敗するたびに家庭教師が姉と比較して私を責めたわ…ワルド様が私をかばって下さったの、よく覚えているわ」

ワルドは返事をせずにきょとんとした顔でルイズを見ていた。
少しの間をおいて、顔を俯かせると、ワルドは小声で呟いた。
「ワルド様…か、僕はもう、ただの裏切り者だよ」
握りしめたペンダントの感触を確かめつつ、ワルドは言葉を続けた。
「ルイズ、僕は君に捕らえられて良かったのかもしれない。君は僕なんかよりもずっと誇り高い。僕はもう貴族には戻れない……僕は、裏切り者としておとなしく処刑されることにしよう」

「……そう」


310 :仮面のルイズ:2007/10/23(火) 11:15:11 ID:LkknGSuG
ルイズは、何を言っていいのか分からなかった。

何年も前に捨てられた村の、壊れかけた小屋の中で、ワルドと二人。

ニューカッスル城でジェームズ一世をはじめとする王党派を何人も殺し、ウェールズをも殺そうとしたワルド。

ブルリンを殺そうとしたワルド。

裏切り者のワルド。

憎い敵のはずなのに、なぜかワルドを恨みきれない。

それを考えると、ふと、自分は政治に向いていないなと気づき、自嘲気味になる。

人を甘やかすことは簡単だ、人を甘やかして、自分を見てもらえる、それだけで自尊心は満たされる。

だが、罰することは難しい、その肩に掛かる責任の重さから逃げたいと、心底から思った。


「ねえ、ワルド、あなた望みはある?」
「望み?」
「十中八九、あなたは処刑されるわ。その前に一つ、私に出来ることなら」

ワルドは、ぶるっ、と身震いさせた。

おそるおそる、手の中に収まっていたペンダントを、ルイズに渡す。

ペンダントの蓋は開かれ、中には一人の女性の絵が描かれていた、ルイズはその人がワルドの母であるとすぐに気づき、ペンダントを返した。


「もう一度、母に会いたいんだ」
「……いいわよ」



食屍鬼は作らない。

その約束を驚くほど簡単に破る自分に、ルイズは不思議な満足感を感じた。

身も心も吸血鬼になってしまったのだと、今更になって再確認した。

そして二人は、翌日の夕方になるまで、藁束のベッドで抱き合って眠た。

甘えたくても甘えられないルイズの心情を察したのか、ワルドは服を着たままルイズを抱きしめ、時々、頭を撫でた。

それでもルイズの心は満たされない。

『神の左手 ガンダールヴ』

オルゴールから聞こえてきた一節が、ルイズの頭の中でいつまでも響いていた。






To Be Contined →

311 :仮面のルイズ:2007/10/23(火) 11:17:41 ID:LkknGSuG
投下したッ!


312 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 11:19:32 ID:ODf4F+xg
なんだとーーー!?食屍鬼作るのだとッ!
まさか食屍鬼作ってルイズに死亡フラグが立っちゃうのか?
正直背筋が寒くなってくるよGJ!

313 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 11:20:24 ID:ImtY+tUb
>『神の左手 ガンダールヴ』
使い魔召喚フラグ!?なんにしてもGJ!

314 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 11:23:14 ID:JaOP5Kq6
な、なんだってー!?
ワルドグール化ですかぁ!?

315 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 11:58:29 ID:uRWtoMzY
グールにするのはワルドママンの方じゃね?

316 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 12:08:57 ID:JaOP5Kq6
>>315
なるほど
グーラーワルドママンか
自殺の真相を聞かされてリッシュモン惨殺決定の予感
ワタシハ グーラー ○○ コンゴトモヨロシク

317 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 13:07:28 ID:HxKkChaI
>アルビオンにとってトリステインとの軍事同盟は無くてはならぬものなのだ
ゲルマニアにとって

318 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 13:13:00 ID:uRWtoMzY
>>316
人妻の自殺の後に小悪党が出てくると・・・なにやら裏がありそうだが予想は無粋だな。

319 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 13:14:58 ID:bMaiY2bo
GJ!
グール作っちまうのか!?

320 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 13:20:15 ID:rYUehVcz
>>315
そういえば石仮面の吸血鬼って骨だかチリだかからでもグール作れるんだったか

321 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 14:29:49 ID:Ekbtmg/U
タルカスとブラフォードは300年前の人間だからな。
この世に強い恨みを残している、という補正があると考えても
ここ数年前程度なら余裕だろう。

322 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 14:40:23 ID:nrKksybh
ほう、と溜息の出るようなルイズとワルドのしっとりした雰囲気
基本原作通りなのに、内情と取り巻く状況の違いでぐっと趣を変える戦勝パレード
仮面はいい。とてもいい。

323 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 15:58:23 ID:UuL7S3hB
このきれいなワルド、ものすごい死亡フラグを感じるんだがどうか。

324 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 15:58:39 ID:2NKd8ZtW
仮面の人GJ!相変わらず先が読めないぜ。

あと、
>それをトリステインは一国で退けたのだから、アルビオンにとってトリステインとの軍事同盟は無くてはならぬものなのだ。
ここのアルビオンはゲルマニアじゃないのかい?

325 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 18:06:21 ID:pD8NMURR
ワムウ書いているけど1話目の長さってだいたい何行くらいが妥当なのかなあ
結構バラつきがあるとはいえ60行は短すぎる気がするなあ

326 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 18:09:32 ID:5xFMWEsB
>>325
気にせず投下すべし。
もっと少ないのもある。

327 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 18:10:20 ID:YZMBt5i8
GJ!!
ワルドとルイズの心境が複雑だ………


>粗末な布で股間と胸を覆った
ブリーチのネリエルを連想したかも

328 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 18:14:25 ID:9dOfobPb
>>325
個人的には短い方がサクサク読めて楽だ。
疲れている時は長いのは読む気が萎えてしまう。
でも、書きたいだけ書けばいいと思うよ。



関係無いけど貴族連中は廊下でワムウとすれ違う時は気を付けないと死ぬなww

329 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 18:19:01 ID:ww7Eq3Hi
>>328
契約の時点でルイズが喰われるw
そういえば究極カーズ様召喚の話の続きはもう投下はされないんだろうか…

330 :風と虚無と使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/10/23(火) 18:28:33 ID:pD8NMURR
推敲しきれてない部分は許可しなァアアアアアいッ!
稚拙ですがどうかお許しください

短いと思ったんで大分水増しして水太りしてる点もすまなかったシーザー

331 :風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/10/23(火) 18:29:53 ID:pD8NMURR

教室の一角。マントを羽織った少年少女達の間に、大男が倒れていた。
気を失っているようだが、それでもその雰囲気にはなにか語るべくないものがあった。
「へ、へいみん?」
「そもそも人間?」
「ゴーレムとかじゃない・・・よな?」
「ざわ……ざわ……」

筋肉質であり、マントや宝石などの小奇麗なものはつけていないことから、貴族ではないことはわかる。
しかし、彼の頭には角。彼の両肩にも角。人間ではないのか、人間、あるいは亜人だとしても平和的な人間でない可能性が
非常に高そうだとメガネの少女は冷静に分析した。

「ゼロのルイズ!なにを呼び出したんだ!」
「何度も失敗して、成功したと思ったらこれかよ!」
「まともに使える魔法はないのか!」
教室から少女に向けて野次が飛ぶ。

桃色の髪の少女が叫ぶ。
「こ、コルベール先生、やっぱりこの大男とも『契約』しなければいけませんか?」
「ミス・ヴァリエール、例外はありませんよ。」

少女は少し唸った後、諦めたように気絶しているであろう大男に近づく。
「き、貴族にこんなことされるなんて……普通は一生ないんだからね!」と気絶している大男に話し掛ける。

そして、彼の顔に顔を近づけ、唇をあわせた。
左手の甲が光る。

「ROOOOAHHHHHHH!!」
それとほぼ同時に大男が叫び声と同時に目を覚ました。
(な、なんだこの痛みはァーーッ!このような痛みは……例えるなら、そう『波紋』ッ!
それに…なぜ俺はこんなところにいるッ!?)

叫び声をあげた大男の迫力から、本能的に命の危険を感じて逃げるようにして
教室の出口へ向かうものが現れる。

「女ァーーッ!俺になにをしたーーッ!」
少女はその叫び声に怯み、数歩下がりつつ答えた。その前にさりげなく髪の薄い男性が立つ。
「つ、使い魔のルーンを刻んでいるのよ。すぐ終わるから、あ、安心しなさいよ…」

左手の甲の光が収まり、痛みが治まった大男は状況を確かめようとする。

(俺は、『エイジャの赤石』を賭けて、ピッツベルリナ山神殿遺跡で、古代ローマの戦車戦を行い…
ジョセフと戦った末……奴に敗れて死んだはず……
しかし、無い筈の両腕!両足!胴体!全て元通りだ……どうなっているんだ?俺は死んだのではないのか?
死んだことに悔いはない。一人のジョセフを戦士に成長させ、その戦士に全力を持って戦い、
敗れて死んだということは誇りでもあるし、名誉でもある。
が、しかし……生きている……死ぬ前の走馬灯という奴でもなさそうだ……)

彼は少女に向き直って強く問い詰める。
「女、ここはどこだ……俺に何をした。」
「さ、さっき言った通りよ。あんたを私が『サモン・サーヴァント』で召還して使い魔の契約をしたの。
つまりあんたは私の使い魔。わかった?平民だからわからない?」
「『サモン・サーヴァント』だと?確か人間どもの言葉で『召使』だったか……俺に召使をやれと?」
「だからさっきから使い魔だって言ってるでしょ。主人である私の望むものを見つけてきたり、守ったりするのよ。
使い魔は主人の目となり、耳となる能力を与えられるはずなんだけど……まだ契約して時間が短いからかしら、
なにも見えないし聞こえないけど……そうそう、もちろん主人である私には絶対服従ね。」
「先ほど召還などといったか……よくわからんが何か普通の人間どもとは違う能力を持っているようだな?
死の淵に居た俺を五体満足までに回復させるのだからたいしたものだ。場所もどうやらピッツベルリナ山神殿遺跡でもなさそうだ……」

332 :風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/10/23(火) 18:31:04 ID:pD8NMURR
「あ、あんた?魔法も知らないの?どこのド田舎のド平民よ!?ピッツベルリナ山なんて聞いたことないわよ!
だいたいあんた、人の話聞いてないでしょ!あんたは私の使い魔になるの!わかってるの?」
少女はルーンを結べたこともあって面食らいつつも少し強気に出ていた。
が、使い魔に素直になる気を微塵も感じられないためにただでさえ常日頃バカにされている少女は
焦り、いらついていた。

が、やはり大男の返答は少女の望むものではなかった。

「体のいい召使い兼ボディーガードなどをなぜ俺がしなければならない?俺が従うのは強者だけだ。断る。」
「は、はぁ?あんた、人の話わかってるの?大体強者って……平民だか亜人だかしらないけど、
仮にもここは魔法学校。これだけの貴族に囲まれて勝てると思ってるの?」
「そう思うなら……試してみるか?力づくでここを出ても構わなんしな。」
大男はなめ回すようにクラス見る。その迫力に短く声をあげるもの、後ろに倒れるものなどがいたが、各自同じようなものであった。
「……が、この部屋には俺の相手をできるような者はいないようだな……そこの男は見込みがありそうだが、生憎リングがないものでな。さ、どけ」
「だ、誰がどくっていうのよ!私がどくのは道にマリコルヌが落ちてるときだけよ!」
少女は数歩後ろに飛びのき、杖を向ける。
「ミス・ヴァリエール!貴女は下がっていなさい!」
男が叫び大男に杖を向ける。ぶつぶつと何事か唱えた後に杖の先から炎の玉が大男へ向かう!

しかし彼は、片手だけで、その巨大な炎の玉を払いのけた。
まるで、ハエを払うかのように。

普通の相手であればかわすのも難しいタイミング、威力も普通の相手であれば手で払いのけることなど選択肢にすら
入らなかったであろう威力。まさに絶妙な攻撃であった。
惜しむらくは、放った相手が普通の相手ではなかったことだ。

「ここの人間どもは波紋の一族とは違う……なにか不思議な能力を持っているようだな……魔法学校などといっていたが…
これらを『魔法』と呼んでいるのか?だが、威力も工夫も足りなかったな。貴様でこの程度ならば……たかが知れるな」

彼は致命傷どころか火傷すらしていない。
怯む様子もなく、彼は起き上がった。そして、光、前の世界であれば忌むべきものであった光の差す
窓の方向へ走り出し、その方向にいた先ほど攻撃してきた杖を持った男に蹴りを放とうとするッ!
起き上がった勢いによる攻撃と脱出を同時に行う。彼の戦闘のセンスは失われていなかった。
1対1ならば確実に仕留めていただろう。1対多でも彼の神経が研ぎ澄まされた、彼が言えば激昂するであろうが
油断していない状況であればその蹴りは入っていたであろう。しかし、彼はその男以外を敵としてみなしていなかった。

伏兵は男の後ろの少女だった。

333 :風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/10/23(火) 18:32:21 ID:pD8NMURR

少女が叫ぶ。
「コルベール先生……下がるなんてできません……敵に……敵に背中を向けないやつを貴族と呼ぶんです!
『ファイアー・ボール』!」
先ほどの少女が大男に杖を向け、なにかを飛ばす。

大男は先ほどと同じタイプの攻撃であると断定し、同じ対処を試みた。
片手をなにかが飛んでくる方向に出し少女を見据える。

「馬鹿の一つ覚えかッ!MOOOOOO!!」
片手でそれを払いのけようとした…が!それが腕に着弾した途端!爆発をおこしたッ!
彼女の唯一の『得意技』である爆発が大男を包む!
轟音が部屋を包む。教卓の上の備品が少々吹っ飛ぶ。教卓も吹っ飛ぶ。しかし、それでも大男は立っている…はずだった。

その大男の類まれなる身体能力をもってすれば、この程度の規模の爆発では驚きすらしなかっただろう。
しかし、大男は立てなかったッ!爆発による煙が舞っている中、彼はひざまずいていた。
その爆発は『普通』の爆発ではなかった。

(か、体が痺れるッ!う、動けんぞッ!幸い体は無事のようだが……これはまるで『波紋』ではないかッ……MOOOOOO……!
しかし、この少女…波紋戦士には見えん……シーザーのシャボン玉のような攻撃のように攻撃してきたなにかに波紋を含めているなら、
俺の体の神経は破壊されるはずッ!しかし、動けないだけでそれはない……さらに、無意識下の波紋戦士でもしているはずの
波紋の呼吸をしていない。そして、なによりもッ!戦いについて場数を踏んでいる雰囲気、こういった命の危険に大して無防備すぎる……
つまり、この程度の能力を持った人間はこのあたりにはいくらでもいるということか?
ということは、俺に適うだけの戦士がまだどこかにいるのではないだろうか?
我が柱の男たちの敵は波紋戦士たちだけだと思っていたが……少し…興味がでてきた…この魔法とやらに)

強者と戦いこそ全てである大男は心境の変化とともに立ち上がった。

そして、煙がはれたのち、少女は立ち上がった大男に話し掛けた。
「これで貴族と平民の格の違いがわかったでしょう!おとなしく使い魔になりなさい!」
「……いいだろう……少しの間、その使い魔とやらになってやろう……」
「少しの間って…ま、今のところはまあいいってことにしておいてあげる。
じゃあ、使い魔には名前が必要ね。あんた、名前ある?」


風の戦士が、二度目の二〇〇〇年ぶりの目覚めを果たした。

「俺の名はワムウ。風の戦士ワムウだ。」



風と虚無と使い魔 召還潮流

334 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 18:32:51 ID:aT0Mbm5g
うっかりワムウの影を踏んでヌッ頃されるルイズを幻視した
あれルーンの洗脳効果とか関係ないし

335 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 18:41:34 ID:aT0Mbm5g
うおあ投稿来てた
GJ!
これからの展開に期待!

336 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 18:48:46 ID:YZMBt5i8
GJ!!

ワムウ蹴りは打撃というより斬れるし………

337 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 18:50:31 ID:ye9BCf/r
どう見ても亜人だろ、ルイズさんwww

338 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 18:52:39 ID:JaOP5Kq6
現在verワムウなら亜人だな…アレ誰だよ

339 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 18:53:40 ID:pD8NMURR
てか対ワムウの手綱代わりにルイズに波紋もどき持たせてみたけどどうしようこの先
虚無≒波紋って設定だとギーシュもフーケもワルドも塵になってしまう

340 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 18:58:26 ID:LkknGSuG
ワムウ様!ワムウ様じゃないか!
戦士として純粋すぎた男が来たとは…使い魔のルーンが手綱代わりになってくれるんだろうか、先が気になる。


>それをトリステインは一国で退けたのだから、アルビオンにとってトリステインとの軍事同盟は無くてはならぬものなのだ。
ごめんなさい間違えました。
アルビオン→ゲルマニアっす。

341 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 19:22:45 ID:aT/dEnbf
思いつく限りでは今召喚されてないのって(短編除く)
ペイジ・ジョーンズ・プラント・ボーンナム
ヌケサク
デス13(マニッシュボーイ)
カメオ
アレッシー
J・ガイル
チョコラータ等

やっぱあつかいづらそうなのが多いな

342 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 19:25:24 ID:pD8NMURR
タルカスとかポコとかツェペリさんとかエシディシとか
ロギンズ&メッシーナ師範代とか由花子とか
有名なキャラなのに召還されてない人たちのことも思い出してあげてください

ブルりんですら召還されてるのに

343 :初代スレ506:2007/10/23(火) 19:33:53 ID:bMaiY2bo
40分に投下してもー?



344 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 19:36:11 ID:pD8NMURR
YES!YES!YES!

345 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 19:36:14 ID:aT/dEnbf
支援だ、支援をして落ち着くぞ!

346 :使い魔は静かに暮らしたい:2007/10/23(火) 19:40:51 ID:bMaiY2bo
今、城下町では王女アンリエッタが大変な人気を集めている。いや、もはや王女ではなく女王アンリエッタだったな。
なぜ女王が人気を集めているのか?それはこの前の戦いで数で勝るアルビオン軍を打ち破ったからだという。そのおかげで『聖女』と崇めたてられるほどだ。
アンリエッタは女王となったため、当然のごとくゲルマニア皇帝との婚約は解消された。だからといって同盟も解消されるわけではないらしい。
何故かはよく聞いてないので知らないが、私には特に関係のないことだろう。さて、なぜ今こんなことを考えているのか、それはこれから聖女アンリエッタに会うからだ。
今朝、アンリエッタからの使者が私たち(正確に言えばルイズ)のもとへやってきた。用件は不明。ただアンリエッタが呼んでいる、とだけしかわからない。
そしてルイズがこれを断るはずも無く、私たち(もちろんデルフは連れて行く)は用意してあった馬車に乗って王宮にやってきたのだ。
やれやれ、今日もシエスタに文字を教えてもらう予定だったのにこんなことになるとは。シエスタにこのことを言う暇も無かったな。帰ったら一応謝っておこう。
一言謝ればシエスタはどうせ許してくれるに違いない。……多分だけどな。
それにしても一体どんな用件なのだろうか?やはり『虚無』のことだろうか?というかそれ以外に考えられない。きっとルイズもそう思っていることだろう。
使者に案内され王宮を歩いていると、やがてある部屋の前に到着した。扉の前には護衛のような人間が控えている。きっとここにアンリエッタがいるのだろう。
「陛下。お越しになられました」
「通して」
控えていた人間が部屋の扉を開く。開かれた扉の先には、アルビオンに行く原因を作ったアンリエッタがいた。当然といえば当然だが。
ルイズは一歩部屋に入り恭しく頭を下げる。私もそれに習い、帽子を外し頭を下げる。下げなかったらルイズに色々言われそうだからな。
「ルイズ、ああ、ルイズ!」
アンリエッタは嬉しそうな声を上げながら、ルイズに駆け寄りそのままルイズを抱きしめる。抱きしめられたルイズは頭を下げたままだ。
なので私も頭を下げ続ける。
「姫さま……、いえ、もう陛下とお呼びせねばいけませんね」
「そのような他人行儀を申したら、承知しませんよ。ルイズ・フランソワーズ。あなたはわたくしから、最愛のおともだちを取り上げてしまうつもりなの?」
その言葉にルイズは顔を上げホッと一息ついたような顔でアンリエッタを見詰める。私も頭を上げる。さすがに帽子は被らない。
「ならばいつものように、姫さまとお呼びいたしますわ」
「そうしてちょうだい。ああルイズ、女王になんてなるんじゃなかったわ。退屈は二倍。窮屈は三倍。そして気苦労は十倍よ」
アンリエッタは心底つまらなそうにそう呟いた。やれやれだ。王族ならそれを耐え切れ。それが義務なんだから。
それに最愛のおともだちなら、わざわざおともだちを死地に行かせるようなことはしないでほしい。死に掛けたんだぞ。私が。
「このたびの戦勝のお祝いを、言上させてくださいまし」
暫らくの沈黙ののち、ルイズはアンリエッタ向かってそんなことを言った。女王が何も話さないので、一応当たり障りのない話題を振ってみたのだろう。
この話題にアンリエッタは意外な反応を見せた。ルイズの手を握ったのだ。そして、この勝利はルイズのおかげだと言い切った。
ルイズはハッとした表情でアンリエッタを見つめ、私は何の反応も示さなかった。どうせバレるのはわかっていたんだから驚く必要も無い。
「わたくしに隠し事はしなくても結構よ。ルイズ」
ルイズはアンリエッタにそう言われながらもまだとぼけようとしたが、アンリエッタが渡した羊皮紙を見て観念した。羊皮紙には調査報告が書いてあるのだろう。
そんなことを思いながら二人を見つめていたが、不意にアンリエッタがこちらを向いてきたので少し動揺する。もちろん表には出さない。一体私に何の用があるのだろうか?
「異国の飛行機械を操り、敵の竜騎士隊を誘導し撃滅したとか。厚く御礼申し上げますわ」
「身に余る光栄です」
アンリエッタの言葉に頭を下げる。だが、竜騎士隊を撃滅ってのは過剰だな。6騎しか殺してないのに。それに礼を言うより報酬をくれたほうが嬉しい。できれば現金だ。

347 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 19:42:28 ID:aT/dEnbf
支援だぁ

348 :使い魔は静かに暮らしたい:2007/10/23(火) 19:43:08 ID:bMaiY2bo
「あなたは救国の英雄ですわ。できたらあなたを貴族にしてさしあげたいぐらいだけど……。あなたに爵位をさずけるわけには参りませんの」
「当然ですわ。使い魔を貴族にするだなんて」
五月蠅い。化け物は黙ってろ。しかし爵位か。できるものならほしいものだ。そうすればルイズのもとにいなくてもいい暮らしができる。
ルイズを殺した場合のデメリットが一つ減るわけだ。
その後、アンリエッタは私たちを褒め称えた。ルイズは小国を与えられ大公の位を授けてもいいくらいだとかなんとか。
正直よくわからないが、すげえ地位を与えてもいいことらしいな。そんなことを言われルイズは恐縮した様子で謙遜するが、
「あの光はあなたなのでしょう?ルイズ。城下では奇跡の光だ、など噂されておりますが、わたくしは奇跡など信じませぬ。
あの光が膨れ上がった場所に、あなたたちが乗った飛行機械は飛んでいた。あれはあなたなのでしょう?」
そんなふうに言ってくるのだ。否定する暇すら与えないとはこのことだな。
ルイズはさすがにもう否定するのは無駄だと諦めたのだろう。始祖の祈祷書のことを、『虚無』のことを、あの空で起こったことを話し始めた。
その話を聞くとアンリエッタは、こんなことを話し始めた。始祖ブリミルは三人の子に王家を作らせ、それぞれに指輪と秘宝を遺したという。
そしてトリステインに伝わるのが『水』のルビーと始祖の祈祷書らしいのだ。これだけ聞くと、アンリエッタはかなりありえないことをしたんじゃないか?
王家に代々伝わるものを簡単に人にあげたんだぜ?しかも『水』のルビーは売り払ってもいいとか言っていたはずだ。
無計画なのか、それとも迷信と思って信じてなかったのか。多分両方かもな。
それと、もう一つ驚くべきことがわかった。始祖の力、つまり『虚無』は王家にあらわれると、王家の間では言い伝えられてきたらしい。
つまり、『虚無』を使えるルイズは王家の血を引いてるってことだ。それはアンリエッタの口からもはっきりと明言された。
ラ・ヴァリエール公爵家の祖は、王の庶子。なればこその公爵家だってな。いやいや、本気で驚いたね。
身分が高いとは思っていたがまさか王家の血を引いているとは。そうなると殺した後は私が考えている以上に追及されるよな。絶対に。
ルイズはルイズで自分が王家の血なんて引いていないと思っていたらしく、結構驚いていた。
「では……、間違いなくわたしは『虚無』の担い手なのですか?」
「そう考えるのが、正しいようね。これであなたに、勲章や恩賞を授けることができなくなった理由はわかるわね?ルイズ」
確かに、もしルイズに恩賞を与えればルイズの功績は白日の下に晒されるだろう。それは『虚無』が白日に晒されるのと同じだ。
『虚無』の力欲しさにルイズは様々な輩に狙われるに違いない。
「ルイズ、誰にもその力のことは話してはなりません。これはわたくしと、あなたとの秘密よ」
それが妥当だろうな。というか二度と使うなくらいは言ってほしい。ルイズもアンリエッタの言葉ならきちんと聞いて以後使わなくなるだろうからな。
そしたら私は万々歳だ。恐怖が完全に拭い去られるわけではないが、随分と減ること間違いない。
アンリエッタの言葉にルイズはなにやら考えているような態度で口を噤んでいた。しかし、何かを決めたような表情をするとルイズがゆっくりと口を開き始める。
それはアンリエッタに『虚無』を捧げたいというものだった。それに対してのアンリエッタの答えは、
「いえ……、いいのです。あなたはその力のことを一刻も早く忘れなさい。二度と使ってはなりませぬ」
というものだった。私の言ってほしいことをずばりと言ってくれたから、このときばかりは女王を見直したね。このときだけだけどな。
しかしルイズは、この力はアンリエッタを助けるために神様が授けてくれたものだとか言って聞きやしない。
さらに自分がいかに『虚無』をアンリエッタに捧げたいかを力説までし始めた。そして『虚無』を受け取ってくれないなら杖をアンリエッタに返すという。
『虚無』を捧げられることを拒否していたアンリエッタだが、そんなことを言われて心打たれたらしく、二人はお互いを抱きしめあった。つまり受け取るということだ。
「これからも、わたくしの力になってくれるというのねルイズ」
「当然ですわ、姫さま」
どうやら三文芝居はこれで終わりらしい。

349 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 19:43:25 ID:4RIV0oMq
支援


>>341>>342
ウィルソン・フィリップス上院議員も忘れないで下さい

350 :使い魔は静かに暮らしたい:2007/10/23(火) 19:44:10 ID:bMaiY2bo
「ならば、あの『始祖の祈祷書』はあなたに授けましょう。しかしルイズ、これだけは約束して。決して『虚無』の使い手ということを、口外しませんように。
また、みだりに使用してはなりません」
「かしこまりました」
私的には、わたくしが使ってもいいと言うまで使うな、くらい言ってほしいんだがな。
そんなみだりに使用するなと言っても、ルイズなら感情に任せて周りを気にせず使いかねん。結局、私の恐怖心はこのままというわけだ。
「これから、あなたはわたくし直属の女官ということに致します」
アンリエッタはルイズにそう言うと、羊皮紙になにやら書き花押をつける。
それはアンリエッタ曰く、王宮を含む国内外へのあらゆる場所への通行、警察権を含む公的機関の使用を認めた正式な許可証らしい。
その許可証がルイズに手渡される。ルイズはこれで『虚無』という力だけでなく、強大な権力まで手に入れたことになる。どれだけ力をつけるのだろうか?
化け物がこれ以上の化け物になるのかと思うと憂鬱になりそうだ。これ以上調子付かなきゃいいんだが……
「あなたにしか解決できない事件がもちあがったら、必ずや相談いたします。表向きは、これまでどおり魔法学院の生徒としてふるまってちょうだい。
まあ言わずともあなたなら、きっとうまくやってくれるわね」
アンリエッタはルイズのそう語りかけると、また私の方へ向き直る。今度はなんだ?褒めるなら報酬で示してほしい。
アンリエッタは体中のポケットを探り始め宝石や金貨を取り出した。そして私に近づいてくると私の帽子にそれらを入れてくる。
……マジかよ。
「これからもルイズを…・・・、わたくしの大事なおともだちをよろしくお願いしますわね。使い魔さん」
マジ?これマジィ!?本物か!?本物だよな!?これって俺にくれるってことだよな!?マジで報酬をくれるのか!?
帽子に入れられた宝石や金貨をマジマジと見つめる。
「え、これ……、私に、ですか?」
「ええ。是非受け取ってくださいな。ほんとうならあなたを『シュヴァリエ』に叙さねばならぬのに、それが適わぬ無力な女王のせめてもの感謝の気持ちです。
あなたはわたくしと祖国に忠誠を示してくださいました。報いるところがなければなりませぬ」
別に忠誠なんてしてないし、ここは祖国でもない。さんざん巻き込まれた結果、ここいるだけだ。だがそんなものはどうでもいい。
今注目するべきものはこの金貨と宝石だ。俺の、俺だけの金!俺が自由に好き勝手できる金だ!まさか化け物といることでこんな恩恵があるとは思っても見なかったぞ!
いや、働いたら報酬があるってのは当然なんだけどな。幽霊だって報酬がもらえるんだから。
「ありがたく受け取らせてもらいます」
アンリエッタに頭を下げ、一応感謝の意を表しておく。このほうが好感がいいだろう。また感謝の気持ちがほしいからな。なるべく好印象になるように心掛けなければ。
そして私とルイズはアンリエッタに別れを告げ王宮を出た。……帰りの馬車は用意されていなかった。

351 :初代スレ506:2007/10/23(火) 19:45:19 ID:bMaiY2bo
以上!



352 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 19:45:24 ID:aT/dEnbf
血管支援攻撃

353 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 19:47:09 ID:aT/dEnbf


もはやルイズが化け物扱いで吹いたwww

354 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 19:48:13 ID:lLOVQj09
化け物言い過ぎwいっそ清々しいなwwGJ!!

355 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 20:21:41 ID:LkknGSuG
ヨシカゲの腹黒さは凄いな…
ルイズ視点との違いがものすごく楽しみになってしまう

356 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 20:29:48 ID:cvxTa/Lt
GJ!
さすが無機デレのヨシカゲ
無機物(金)に対してデレまくりだ

357 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 20:37:20 ID:cEMU0ZwC
GJ!
>帰りの馬車は用意されていなかった。
の辺りで無意識にイラっときてしまった俺はきっと潜在的なヘイト

358 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 20:38:59 ID:pXSqtb4a
GJッス
吉良が狂喜しているぞコレ
幽霊でも報酬貰えるぞとかもウケタ
ところで、帰りの馬車用意しろよアン様w

359 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 22:29:30 ID:7yve8b2I
幽霊の時も仕事してたし、デッドマン吉良は報酬さえ払えばいろいろやってくれそうだよね。
そういう意味ではクロスされてるキャラの中で一番動かしやすいかもしれない。
もちろん、トリステイン的に。

360 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 22:34:11 ID:zgdTHbKf
GJ!
>俺の、俺だけの金!俺が自由に好き勝手できる金だ!
気持ちは分かるが落ち着けwwwww

361 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 22:42:55 ID:dRoEqhOD
文無し居候の身で働き口も無く、化け物と思ってるヤツに
着いて行かなきゃならないんだから、思わぬ大金が転がり込んできて
興奮するのも良くわかる。
でも落ち着けwww

362 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 22:45:37 ID:ImtY+tUb
これで「使い魔の物は主人の物、主人の物は主人の物」ってジャイアニズムやられたら殺しそうだなwwww

363 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 22:49:53 ID:qDADc/4x
まて・・・
「アンリエッタは体中のポケットを探り始め宝石や金貨を取り出した。そして私に近づいてくると私の帽子にそれらを入れてくる」
と書いてある・・・
アンリエッタおこずかいにしては多すぎだろwwwwww
どんだけポケットに入れてんだよwwwwww

364 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 23:02:21 ID:IR66Qg5C
最初からあげるつもりで持ってきてたんじゃない?

365 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 23:24:15 ID:cvxTa/Lt
頭を叩けば耳から金粉が出てくるぜ、きっと

366 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 23:27:23 ID:pXSqtb4a
>>365
女王陛下に何やっているんだ貴様あああああああああ
ってアニSさんに殺られるぞ…

367 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 23:27:26 ID:M1tZCSjz
>>365
それなんておビッチゃまくん?

368 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 23:27:56 ID:dRoEqhOD
鼻の穴に黒真珠詰め込んでたり尻穴から金塊か?

369 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 23:37:58 ID:wrSxplsb
常にエキュー金貨30万枚分の金銀宝石を体中に仕込んでるのかよwww

にしてもこの吉良ノリノリであるwww

370 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 23:43:19 ID:0MQEIts5
ルイズが寝てる間に、杖をK・Qで爆弾に変えとけば、安心じゃね?

371 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/23(火) 23:46:39 ID:PzwUhjSS
いやいや金粉少女じゃね?

372 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 00:00:12 ID:9dOfobPb
ゲェエエエエエといいながら口から金の剃刀を吐き出すとか

373 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 00:17:59 ID:YuR6PrcC
>>372
メタリカ、力を振り絞りすぎw

>>367>>368
シブいねぇ…おたくら、まったくシブいぜ…

374 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 00:50:00 ID:VpXaJvPB
吉良落ち着けwwwwwwww

375 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 01:29:52 ID:zDCOZJwZ
>>371H×H?

376 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 01:31:07 ID:v0j0DQVq
吉良怯え過ぎわろた

377 :アヌビス神 ◆6Dp6kmr0yc :2007/10/24(水) 06:09:44 ID:8mN2o3K3
一応前もって言って置くと投下じゃないよ。
ちょっと忙しくて今月中は投下できるか怪しいので。

ふと気が向いて使ってるトリップでぐぐってみたんだ。

な ん か 被 っ て る ん で す

ゼロ魔関係、要するにこのスレとあのキャラが〜のスレ以外でこのトリップ使った事なんて勿論無い訳で。
流石にこれは何かと不味い感じ。精神衛生上も宜しくない。
って事で今度投下する時はトリップ変えてるかも知れないので一応前もって宣言しときますね。

378 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 07:16:45 ID:SOuvOPar
>>377

アヌビスさん投下まってます!

ぐぐったらたら秋葉原でおにーちゃん!と叫ぶオフ、とかでてきたw


379 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 07:49:26 ID:vKZ3AUka
>>377
自分も毎日楽しみにしてます
貴方のおかげでジョジョに興味を持ちました

380 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 10:21:15 ID:YuR6PrcC
>>377
誰が包茎だオラァ!


待ってるぜ
靴下と眼鏡以外は脱いで。

381 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 13:28:05 ID:zDCOZJwZ
そーいえばゲーム雑誌でゼロの使い魔のゲームがPS2で出ると読んだ
詳しい事は分からないけど、何か現代学園物らしいんだけど誰か詳しく知ってる人いますか?

382 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 13:43:21 ID:1nkJ9hpv
>>381
避難所
じゃなくてこっちにいけ
http://game14.2ch.net/test/read.cgi/gal/1183050051/

383 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 14:18:33 ID:ECkQxjh9
ヨシカゲGJ!
ご褒美といえば、やっぱり目で見て分かりやすいモノがいいよね!
小遣いもらえてよかったなヨシカゲw

384 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 15:58:26 ID:dO+EWYd7
>>351
フーケとワルドの再登場はまだかなぁ〜


385 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 18:38:53 ID:pi9sP1wJ
フーケ「ルイズっているよな…………ちっぽけな貧乳のルイズだよ!
    あの貧乳は我々巨乳で頭のいい人間にところかまわず攻撃を仕掛けて戦いを挑んでくるなあ!
    巨大なゴーレムに立ち向かうルイズ……………これは『勇気』と呼べるんだろうかねェ
ルイズのは『勇気』とはよべんなあ。
それではキュルケ!『勇気』とはいったい何か!?」
キュルケ「………?!」
フーケ「『勇気』とは『胸が大きい』ことッ!『巨乳』を我が物とすることだあッ!
    詠唱をみだすのは『貧乳』!だが『貧乳』を超越した時!詠唱は規則正しくみだれないッ!
    巨乳法の詠唱は『勇気』産物!!
    人間賛歌は『勇気』の賛歌ッ!!人間のすばらしさは巨乳のすばらしさ!!
    いくら強がってもこいつら貧乳は『勇気』を知らん!ルイズと同類よォーッ!!」

386 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 21:08:04 ID:CSgquKyU
話が全然進んでないけど12分から投下しますッ!

387 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 21:08:40 ID:lLHFvNKv
勇気が詰まっているんだ!

388 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 21:09:22 ID:uVfB45uu
こいッ!>>386ーッ!

389 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 21:13:31 ID:QwZDmTP8
俺は支援するぞジョジョォーッ!

390 :ゼロいぬっ!:2007/10/24(水) 21:13:43 ID:CSgquKyU

シルフィードが重なりかけた月を背に舞い降りる。
…どうやら上空にいた何者かには逃げられたようだ。
大きさからして人ではなかったらしいので竜か何かだろう。
恐らくはこの惨事の張本人、その乗騎。
今から追い掛ければ間に合うかもしれない。
しかしルイズ達の方が優先。
見失ったが向かう場所の見当は付いている。
この先にあるのは港町ラ・ロシェール。
それより先に向かう気ならどこかで宿を取っていた筈だ。
そう考えて彼女はシルフィードの背に乗ろうとした。
しかし、その彼女の耳に騒々しい声が響いた。
見れば縄で括られた男が衛兵に連行されている途中だった。
丁度いい、色々と確かめたい事もある。
タバサが衛兵の下へと歩み寄る。

「ん? 何者だ、そこで止まれ!」
彼女の姿を認めた衛兵が警戒する。
もう深夜に差しかかろうという頃。
そんな時間帯に人気のない森から少女が出てくれば誰でも不審に思うだろう。
最悪、吸血鬼と見紛われても仕方がない。
言われるがまま、足を止めたタバサが衛兵の前に何かを落とした。
それは傭兵の頭が持っていた金貨。
突然、金貨を投げ渡され困惑する衛兵にタバサは答える。
「森の奥で拾った。多分、まだ落ちてる」
「な…!」
その言葉に衛兵は唾を飲み込んだ。
下らない護送任務と思っていた仕事に金の臭いがしてきた。
恐らくはまだ誰にも知られていない筈だ。
今なら自分の金に出来るかもしれない。
しかし職務を放棄するのは少しマズイ。
衛兵の表情からその迷いを読み取ったタバサが囁く。
「木に括りつけておけばいい。その間、私達が見張ってる」
「だが…」
「急がないと他の人が取るかも知れない」
「わ、分かった。では後は任せたぞ」
そう言うと脱兎の如く衛兵は森の中へと消えて行った。
“金をちらつかせただけであの有様か…”
あまりの他愛の無さにキュルケがフンと鼻を鳴らす。
あの程度の危機意識でトリステインは本当に大丈夫なのだろうか?
まあ、今は他国の衛兵の練度について考えている場合ではない。
くるりと彼女達は取り残された傭兵へと向き直る。

391 :ゼロいぬっ!:2007/10/24(水) 21:15:11 ID:CSgquKyU
「お、俺に何の用だ?」
二人に問いかける男の声は上擦っていた。
突然現れた少女二人は夜の森の不気味なイメージと相まって、
この世の物とは思えない恐ろしげな物に見えた。
ましてや化け物に返り討ちにあったばかりである。
もう何が起きてもおかしくはない。
男の精神に刻み込まれたバオーの爪痕。
それが恐怖を喚起させるのだ。
「雇い主は誰?」
「……!?」
タバサの核心を突く問いに男が息を呑む。
自分達は盗賊を装って仕掛けたのだ。
勿論、連行する衛兵達もそう信じ込んでいる。
なのに、この少女はそれをあっけなく看破したというのか?
いや、きっとカマを掛けているに違いない。そうに違いない。
「何の事だかさっぱり分から…」
男が視線を外しながら言おうとした瞬間、
後ろで舌なめずりしている風竜に少女が話し掛ける。
「…まだ食べちゃダメ」
たった一言、それだけで男の心臓を凍らせた。
風竜の視線の先にいるのは自分だけ。
その眼は完全に標的をロックオンしている。
再び少女が自分へと向き直り、あえて聞き返す。
「よく聞こえなかった。もう一度」
もはや男に虚言を用いる気力は残されていなかった…。

雇い主の背格好や年の頃。
その人物が出してきた幾つかの条件。
あの馬車に関する情報は与えられたか等、洗いざらい全てを吐かせた。
タバサが一番気になったのは“使い魔は必ず焼き殺す”という条件だ。
それに彼女は一つだけ思い当たる節があった。
以前、フーケとの戦いでギーシュが辺り一面火の海に変えた時だ。
その時、彼は足を止め炎の中に飛び込もうとしなかった。
今にして思えばその行動には疑問が湧く。
あれだけの生命力を持っているなら多少焼かれても平気な筈だ。
それをしなかった…いや、出来なかったとしたら理由は唯一つ。
彼は火を恐れている、そしてこの襲撃を指示した人間もそれを知っていた。
だとすると雇い主はそれを目撃したフーケ……違う、彼女じゃない。
盗みの邪魔をされたぐらいで散財覚悟で報復するとは思えない。
幾つもの断片が組み合わさり雇い主の想像図が浮かび上がっていく。
こちらの内部事情に通じ自ら危険を冒す事無く行動する人物。
もしかしたら既に一行の中に潜入しているかもしれない。
不安を胸中にしまったまま、彼女達はシルフィードと共に空へと舞い上がる。
彼女の感じた悪寒は現実の物へと変わろうとしていた。


392 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 21:16:21 ID:0nLEudxY
支援の構え

393 :ゼロいぬっ!:2007/10/24(水) 21:17:51 ID:CSgquKyU

「………ふぅ」
ぱたりとアニエスはベッドに倒れ込んだ。
ふわりと柔らかい羽毛が彼女を優しく受け止める。
クッションが効いているばかりでなくシーツも上質。
あまりの心地良さにマタタビを嗅いだ猫のようにゴロゴロ転がる。
一泊幾らぐらいするのか怖くて子爵には聞けなかった。
大変な道中だったが、こんな役得があるのなら良しと思えてしまう。
(…こんな所で何泊もしたら二度と宿舎のベッドでは眠れんな)
ラ・ロシェールではないが岩から削りだしたのではないかと思うような固さだ。
同じ事を宿舎でやろうとしたら鼻を強打して血が止まらなくなる。
身を以って確かめたから間違いない。
きっと野宿しても大丈夫なように訓練してるに違いない。
そう確信しながら他のメンバーの事を思い耽る。
ミス・ヴァリエールは疲れていたので寝ているし、
ワルド子爵も寝込みを襲うような真似はしないようだ。
ミスタ・グラモンは下の階で酔い潰れている。
後でソリに乗せて運ぶとデルフが言っていたので放置しても問題ない。
やはりまだ学生、酒に頼らねばならない程に任務が怖いのだろう。
助けを求めているのか、時折魘されるように私の名を呟く。
情けなくも思うが頼られるのは悪い気がしない。
正直、戦力としては充実してもどこか頼りない。
その負担は余す所無く私に圧し掛かるだろう。
だが、この密命を果たせば私の信頼と評価は確実に高まる。
そうなれば届くのだ、村を焼き尽くした仇へと。
轟々と燃え盛る暖炉の火、彼女の瞳はその中にかつての故郷の姿を見出していた…。


「はぁ……読みが甘かったねえ」
酒場のカウンター席でボトル片手にフーケが愚痴る。
ワルドに頼まれた人集めは難航していた。
これだけ人が居るのだから苦労はしないと思っていたのだが、
前回の騒ぎが噂になっているらしく慎重な連中は話に乗ろうとしない。
そして、ここに居るのはアルビオンで一稼ぎ終えた連中ばかりだ。
高額の報酬とはいえ誰もそんな危険を冒そうとはしない。
仕方ないのでゴロツキまがいの連中一人一人に声を掛けて頭数だけは揃えた。
しかし、とても戦力と呼べる代物ではない。
ワルドはここで使い魔を置き去りにしていく計画を立てている。
まずは主を説得し、それから…という事なのだろうか。
その為の足止めをやらされる訳なのだが一人であの怪物の足を止めるのは自殺行為。
出来れば腕の立つ奴を掻き集めて挑みたいのだが…。
「けっ、なーにが“敵に手の内を見せたくない”よ。
アンタが偏在使ってくれりゃ済む話じゃないのさ」
期待の新戦力がこんな所でおっ死んでもいいんですかー?
それともスカウトしたのは足止めの為の捨て駒とか…あ、ちょっと有り得るかも。
酔いが良い感じに回ってやさぐれ気味になる。
もう既に深夜を過ぎた時間、今頃あいつ等は上質なベッドの上で横になっているだろう。
いくら盗賊だからって夜更かしが好きな訳ではない。
むしろ美容にとって非常に宜しくない。
かといって手持ちの駒がこんな状況で安心して寝られるほど図太い神経はしていない。

394 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 21:18:32 ID:0nLEudxY
アニエス可愛いよ支援

395 :ゼロいぬっ!:2007/10/24(水) 21:20:38 ID:CSgquKyU
「ん……?」
ふとフーケが酒場の片隅に目を向ける。
そこには剣を腰に帯びた一人の黒髪の男が居た。
椅子に座っているようにも見えたが腰は浮いたまま、
店全体を悠然と眺めながら客一人一人の所作に気を配っている。
恐らくはこの店の用心棒か、そう判断したフーケはチップを置きながらマスターに声を掛ける。
「マスター、あの人は?」
「ああ、あの男ですか。うちで雇っている用心棒でして」
「腕は立つんですか?」
「そりゃあ勿論。何しろ戦場帰りで血の気の多い連中が集まる所ですから」
(……やっぱりそうか)
用心棒から漂う只ならぬ雰囲気。
ゴロツキ共や傭兵達とも違うその空気にフーケは何かを感じていた。
例えるなら決闘に赴く騎士に近いものだ。
しかしあの男はメイジではない。
何故そんな錯覚を感じたのか、彼女は不思議だった。
「ただ変わり者なのが難点なんですがね」
「変わり者?」
「ええ。なんでも自分は異世界から来た剣士“サムライ”の末裔だとか言い張ってまして。
いずれ自分の流儀の剣術道場を興す為に金が必要だとか…」
マスターが苦笑いを浮かべながら語りだす。
確かに他の人間にしてみれば与太話もいい所だ。
しかし実際に“光の杖”や“異世界の書物”を目撃しているフーケは違う。
もしかしたら男の言っている事は事実かもしれない。
その話に興味を引かれ男の下へと歩み寄る。

「こんばんわ」
「……拙者に何用か?」
「貴方に割の良い仕事の話があるの。色々と要り様なんでしょ?」
男の視線がじろりとこちらに向けられる。
髪と同じく黒い瞳。シエスタというメイドも同じ色をしていた。
ハゲが言うには彼女の曽祖父も別の世界から来たらしい。
という事はこの男も同じように異世界の人間の血が混じっているのか。
考察に耽る彼女に用心棒が静かに尋ねる。
「では、件の兵を集めている女というのはお主の事か。
なんでも相手は傭兵を一蹴する程の手練の集まりだとか…」
「!!」
ちっ、とフーケは舌打ちした。
これだけ噂が飛び交っているのだ、情報の集まりやすい酒場なら当然知られている。
くそ、こんな事なら他の誰かに仲介させるべきだった。
警戒した相手は二度と話に飛びつくまい、そう思っていた。

396 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 21:21:38 ID:0nLEudxY
支援

397 :ゼロいぬっ!:2007/10/24(水) 21:22:01 ID:CSgquKyU
「……その依頼、お引き受け致そう」
「は?」
「それ程の相手を倒したとあれば我が流派の名も馳せよう。
相手は強ければ強いほど良い、それでこそ剣の振るい甲斐もある」
ニカリと笑みを浮かべ男は立ち上がった。
そして戦いの前の高揚感に身体を打ち震わせる。
恐らくはゴロツキ如きでは相手にさえならなかったのだろう。
(…戦闘狂って奴かね、こいつは)
何にせよ断る理由はない。
こちらもそれなりの笑みで返してやる。
「ああ、そうかい。そいつは良かった。
思う存分やってくれて構わないよ、相手は化け物だからね。
アンタと同じく異世界からやってきたっていう怪物さ」
「…物の怪の類か」
開祖である先祖より伝えられし数多の妖怪の姿を男は思い浮かべる。
幼少の折には夜には厠にも行けなくなるほど恐れたものだ。
しかし全ては元の世界に戻れず無念の内に散った先祖の為。
彼が生きた証を残す、それこそが我が一族の宿願。
その為にハルケギニア全土に我が流儀を知らしめん。

「んで、アンタの腕ってどの程度の物だい?」
「“剣は見世物に非ず”と言いたいが止むを得まい。
どれ、腕も剣も錆び付いてなければいいが」
スッとフーケが飲んでいたボトルに手を掛け、男がテーブルに置く。
それで何をするつもりなのかとフーケが口に出そうとした瞬間。
鍔鳴りの音と同時に風が舞い上がった。
それが無ければ彼女には剣を抜いたのかさえ察知できなかった。
しかし一体何をしたのか、テーブルの上に置かれた瓶に変化はない。
私の反応を楽しみながら男は柄尻でテーブルを叩く。
途端に袈裟に斬られたボトルの上半分がテーブルへと滑り落ちた。
唖然とする私の横で用心棒は満足そうに笑みを見せた。
「この程度の腕だが物の怪相手では不足か?」
「は……あはははははは、やるじゃないかアンタ!
気に入ったよ、報酬とは別に支度金を用意してやるから準備しな!」
「忝い。得物が些か傷んできていたのでな」
礼を言いながらフーケから金貨の入った袋を受け取ると男は店の入り口へと歩く。
ふと大事な事を聞き忘れたフーケが彼に問い掛ける。
「アンタ、名前は?」
「ケンゴウ。かつて開祖が呼ばれし称号だが、
それを皆伝した証とし名乗るが一族の慣わし故」


398 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 21:22:48 ID:0nLEudxY
こ、こいつは!? 支援

399 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 21:24:10 ID:QwZDmTP8
しえん!

400 :ゼロいぬっ!:2007/10/24(水) 21:24:48 ID:CSgquKyU
投下したッ!
出航どころか夜さえ明けていない!

401 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 21:29:05 ID:0nLEudxY
GJっしたー
アニエス可愛いよベッドの上でごろごろ可愛いよ。


402 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 22:09:22 ID:24CQfj2s
誰だァーッ、お前はァァーーーッ!? 強さはともかく正体を言えェーッ!!
そして既にッ、G・J(グッドジョブ)!

403 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 22:15:49 ID:v6Oc+9Ut
GJ!
>>402
オレはエロナレフにコッパゲの髪の毛十万本を賭けるぜ!

404 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 22:17:04 ID:+oS8CSf0
俺はチャカかカーンにアヴドゥルの魂を賭けよう!

405 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 22:20:02 ID:z4fuJzP4
>>404
だが断る

406 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 22:23:57 ID:rPOh4mhv
GJ!アニS可愛いよアニS
>>403
お前当てる気ないだろw


407 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 22:27:57 ID:881H2agF
俺は血管針カルテットにスト様の魂を賭けよう!

408 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 22:34:24 ID:ToLIVy9v
アニS可愛い面出したな…テメーは俺を萌えさした

アヌビス神だったら得物が傷んできたとか言わないし大体口調が違うしな…
まあいいか、アヌビスにアヴドゥルの腕を賭けるよ

409 :ゼロいぬっ!:2007/10/24(水) 22:50:04 ID:CSgquKyU
期待させてごめんなさい。
チャカでもカーンでもなくただ普通の一般人です。
まだ登場してないアレをこの機に出そうと思って…。
変な設定とか入れるべきじゃなかったですね。

410 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 22:54:10 ID:he7qbfJ7
GJ
今までキツイ面が多くでてたからよけいにね
アニS

アニSを訓練中、ちょっと尻に触っただけで
わたしの顔面はごらんのとおり
メチャクチャさ!
しかしカワイイやつよ…

411 :風と虚無と使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/10/24(水) 23:26:36 ID:+oS8CSf0
ふるえるぞ買い注文!燃え尽きてる売り注文!刻むぞ猿さん規制のビート!

アニキャラ総合の株買おうとしたら買い注文ばっかでびっくり
しょうがないから猿さん覚悟で投稿します 止まったらたぶん避難所に投下すると思います

412 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 23:27:50 ID:881H2agF
がんばれ

413 :風と虚無と使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/10/24(水) 23:27:53 ID:+oS8CSf0
「…で、俺はなにをすればいいんだ?」
あぐらをかく使い魔。

生徒たちが好き勝手な方向にクモの子を散らすように逃げ去っていった中、
歩いて少女の使い魔の部屋に到着したワムウと少女。

ワムウは、部屋に向かうまで真昼間であるはずの今、遮蔽物もなしに歩けることを不思議に思った。
しかし、それ以上に不思議に思ったのはッ!

(月がッ!月が2つあるッ!…どういうことだ?太陽の光も少し体の調子を下げる程度で十分に動ける…
長い間直射を浴びていればダメージを受けるだろうが…風のプロテクターを使うよりもスタミナは安上がりだな……
だが、油断はできんな…シーザーのやったように、鏡などで太陽の光を集中させれば、十分致命傷になりうる…
天敵である波紋使いが今のところ見当たらん…そのためにも唯一の『天敵』である太陽光…もっとも違う世界であるようだし
太陽とは呼ばないのかもしれないが…太陽光には十分気をつけなければいけないな…)


「さっきも言ったように…使い魔は主人の目となり耳となる能力を与えられるはずなんだけど…なにも見えないし聞こえないわね……
次に使い魔は主人の望むものを見つけてくるのよ。たとえば秘薬とかね。あんたどこの田舎に居たかしらないけど亜人なんだから
そういうの詳しくないの?」
「そもそもここはどこだ?それすらわかっていない…魔法学校などと言っていたな、ここはスイスではないのか?」
「スイス?そんなところ聞いたことないわ。トリステイン魔法学院くらいは知ってるわよね?」
「そもそも魔法自体俺は知らん。俺の知らない土地で人間は二〇〇〇年の間にそこまで成長していたのか?
……ああ、ここは違う世界だったな、まあ似たようなものだろう。」

一呼吸空く。

「あ、あんた?なに言ってるの?違う世界から来て、しかも二〇〇〇年前から生きてるなんて言わないわよね?」
「正確には二〇〇〇年前から眠っていたというところか。念のために聞いておくがここは『地球』という言葉を知らないよな?
もしくは『Tellus』『Earth』…それに似たような言葉でも構わん。」
「チキュウ?それがあんたのいた国?聞いたことないわね。大体二〇〇〇年間寝てて、ご飯とかどうしてたのよ?他にもいろいろ
生きてく上で必要あることあるでしょ?さすがに私でもそんな嘘にひっかからないわよ。」
「石と同化して二〇〇〇年間眠っていた。食料も二〇〇〇年程度いらん…が、こちらに来てなにも食べていないな。
お前ををまず食ってみようか?」

しばしの沈黙。

「きゃああああァアアアアアアーーッ!!」

大声で悲鳴をあげる。
窓を思いっきりあけ逃げようとする少女。

「冗談だ、それほど騒ぐな」
「冗談って、あ、あんた二〇〇〇年眠ってたってのも?」
「それは本当だ。人間を食うこともな」

「きゃああああァアアアアアアーーッ!!」
二度目の悲鳴。先ほどの悲鳴より強いようだ。

414 :風と虚無と使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/10/24(水) 23:29:07 ID:+oS8CSf0
「ルイズッ!うるさいわよッ!」
悲鳴を聞きつけたのか、赤髪のグラマーな女性が彼女の部屋に怒鳴り込んでくる。

「ひとりで逃げるのよキュルケ。あんたを逃がすのは私であり……そこのサラマンダーであり、あたしの魔法 爆発…
生きのびるのよ あんたは『希望』!来いッ!ワムウ!」
「あ、あんた、何を言ってるのよ…脳みそがクソになったの?」
「……なにを勘違いしているんだ。お前の使い魔になったといっただろう。起きている間でも二〇〇〇年やそこら人間を食わなくても済む。
他の…人間どもの一般的な食事があればな」
「な、なんだ……じゃあやっぱり私の使い魔で私を食べたりはしないのね」
「うむ。少なくともお前はとりあえずしばらくの間は食わないし、食う価値も今のところはなさそうだ」

「やっぱ逃げてええええキュルケェえええええッ!」

もう既に赤髪の女は居なかった。

 * * *

「先ほどの女はなんだ?そういえばお前の名前も聞いていなかったが。ルイズというのはわかったがな」
「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、由緒正しきヴァリエール家の三女よ」
「さっきの女、キュルケとやらは?」
「キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー。忌々しきツェルプストー家の尻軽女よ。
ああ、憎たらしい!あんな女逃がそうとなんかしなきゃよかったわ。とっくのとうにいなくなってるしね……」
顔を真っ赤にして怒鳴り散らす。

「ツェルプストー家になにか因縁でもあるのか?」
「数え切れないほどあるわよ!キュルケのひいひいひいひいおじいさんのツェプルストーはわたしのひいひいひいおじいさんの恋人を
奪ったのよ!今から二百年前に!それから、わたしのひいひいおじいさんは……」
「人間どものつまらん話など聞く必要はない。それより飯だ。まさか使い魔にはないとは言わないよな?」

先ほどの『食料は人間』という話を思い出す。
顔が青ざめていき、高ぶっていた心は一気に冷めていった。
彼女の口の動力機関はぴたっと止まった。

「え、ええ。食堂はこっちよ。」
(数段ランク落ちたものを食べさせて威厳を見せつけようと思っていたのに、こんなんじゃそんなものあげるにあげられないじゃないッ!
はあ、私なにを呼び出しちゃったのかしら……い、いえ!ポジティブに考えるのよ!『ゼロ』だってバカにしてた奴らを追い払うくらいの…)

「どうした、行くんじゃないのか?」
ワムウに声をかけられ、思考は中断する。

「ひゃっ、……は、はい。」

寮の出口へ2人は歩き出した。

415 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 23:29:44 ID:881H2agF
ちょwww支援

416 :風と虚無と使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/10/24(水) 23:30:30 ID:+oS8CSf0
 * * *

「うーむ、なんじゃあの使い魔は。あんなパワーを持った亜人みたことないぞい……多少鈍っているとはいえ、コルベール君、君が
本気を出して放ったファイヤーボールを片手で止めるとは……」

老人がいすの上で唸る。

「しかも、現状を一瞬で理解したことから、私たち以上といっても過言ではない判断力を持っているといっていいでしょう……
特に……戦闘の際の判断力は、私が見てきた軍人たちの中から探してもあれほどの人間は居ませんでした。」

髪の薄い男性も唸る。

「で、君が調べたあのルーンは間違いないのかね?」
「はい、私も何度も確かめましたが間違いないでしょう。喜ぶべきなのか困るべきなのか……」
「やれやれ、よりにもよって伝説の使い魔ガンダールヴとはな…」

老人はため息をつく。

「やれやれ、ミス・ヴァリエールもやっかいな者を呼び出したようじゃわい…」

外からノック音が聞こえる。
息を切らした様子の緑色の髪の女性が入ってくる。

「ミス・ロングビル、そんなに慌てていてどうしたんじゃ?そんなんだから婚期を逃すんじゃよ」
「婚期は関係ありません!そんなことより、ヴェストリの広場で決闘がおきて大騒ぎになっています!
止めに入った教師たちも、生徒たちに邪魔されて、止めるに止められないようです」
「なんじゃ、そんなことか暇を持て余した貴族ほど、性質の悪い生き物はおらんわい。で、誰が暴れておるんだね?」
「一人はギーシュ・ド・グラモン」
「あのグラモンのところのバカ息子か。オヤジも色の道では剛の者じゃったが、息子も輪をかけて女好きじゃ。
おおかた女の子のとりあいじゃろう。相手は誰じゃ?」

「そ、それが……ミス・ヴァリエールの使い魔です…」

老人は二回目のため息をついた。
「やれやれ、今日は厄日かのう……」

 * * *

数十分前の食堂。
ややにぎわっており、生徒たちであふれている。給仕たちや料理人たちもいそがしそうである。

そこに入っていったルイズとワムウ。
教室での騒ぎを知らない者の一部は好奇の目を向け、知っている者はそそくさと立ち去る、ルイズが座る席から離れる、気づかない振りをするなど
多種多様だが、多くは友人たちとの会話や食事を続けている。

ルイズ達が席について少し経つと料理が二人の前に運ばれてくる。
運んできたメイドは、ワムウの顔に少しおびえたのか、目の前に立った瞬間怯んだものの、何事もなかったかのように仕事を再開した。

「なあ、ギーシュ、お前、今誰とつきあってるんだよ!」
「誰が恋人なんだギーシュ!」

気障な少年が数人の友人に囲まれて話をしていた。
「つきあう?僕にそのような特定の女性は居ないのだ。薔薇は多くの人を楽しませるために咲くのだからね。」
今日も絶好調、気障なセリフが全快だッ!

417 :風と虚無と使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/10/24(水) 23:31:58 ID:+oS8CSf0
友人の一人がギーシュのポケットの中のふくらみに気が付く。
「なあギーシュ、お前のポケットに入ってるものはなんだ?見せてみろよ」
「や、こ、これはだめだって!」
「いいじゃねえか。見られて困るものじゃないだろ?困るならなにか教えろよ」
「そ、それは……」

友人たちに迫られて後ずさりする。
ギーシュには幸運が二つあった!
友人が迫るスピードが遅かったために彼の影を踏むときにギリギリまで彼から遠くに居たこと!
そして!
幸いにも回し蹴りが下半身に行ったこと!

そのどちらの幸運がなかったとしても彼の人生は老化して首の骨を折られる以上の悲しい死因だったであろう。しかし彼はその大きな幸運より
目先の不運を恨んだのだった。

「うわらばッ!」
容器が割れる甲高い音と、彼の断末魔に似た声がする。


「な、なにしてるのよワムウ!」
「すまんな、坊主。俺は影に入られるのが嫌いでな。反射的に攻撃してしまった。まあ生きているようだし次からは気をつけるんだな。」

「お、おいギーシュ、大丈夫か?」
「なにか割れた音がしたけど……あれは!」
「モンモンラシーの香水の入った小壜じゃないか!割れてるけど」
「そうか、ギーシュはモンモンラシーとつきあってたんだな!」

「ああああああ!モンモンラシーからのプレゼントがあああッ!」

その嘆きを無視し食堂を出ようとするワムウに少年、ギーシュは叫び声を突きつける。

「お前!貴族になにをしたかわかっているのかッ!そして、お前が割ったのは僕の最愛の人モンモンラシーからのプレゼント!
謝罪ではすまないぞ!」

「ふむ、ではなにをすればいいんだね?」
ワムウが振り向きギーシュを見据える。


「決闘!それがグラモン家の流儀ィイイイイッ!ヴェストリの広場に来やがれッ!」

  /|_________    _
/               | | ̄| | |
\  TO BE CONTINUED .. | |_| |_|
  \| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

418 :風と虚無と使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/10/24(水) 23:33:07 ID:+oS8CSf0
さるさん気にするほど長くなかったっすね〜ッ
まあ規制時間半減だけでも大分楽になるし買い注文入れとこう

ありがとうギーシュ お前のことは忘れないよ

419 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 23:41:53 ID:BePyNxz8
GJ!
しかし…………ワムウは並み居る他の召還中のジョジョキャラをぶっちぎりで超越する戦闘力だよな。
…………ギーシュ!フーケ!ワルド!……今のうちにさよならを言っておくよ。

420 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 23:41:58 ID:YKb0AtRC
支援したッ!
顔面に衛星がめり込みギーシュが見えたが気のせいだったようだ

421 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 23:43:15 ID:hHm4lq0l
ワムウとの決闘!!
生きるためにはワムウに勝つしかない!!!
ギーシュ死亡確定ですね☆

GJ!!

422 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 23:43:48 ID:OXQUWuWz
ドギャーとか言いながら登場するのかwww

423 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 23:52:46 ID:vaGrg0eg
ここは一つ、神砂嵐で。

424 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 23:55:40 ID:ToLIVy9v
GJ!
ワムウ、やり過ぎんなよ…ギーシュ消えちゃうから
つーか如何見てもギーシュに勝ち目無くね?
瞬殺されるか、優位に立ったとしても神砂嵐発動で消し飛ばされるし
…兄貴、DIO、番鳥に続く不幸か?

425 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/24(水) 23:59:04 ID:ahqDwPz+
8巻を見る限りワムウは二度目のチャンスを与えてくれるからな…。
シーザーのように喉か肺を潰されるだけですめば何とか。

426 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 00:00:50 ID:VgsdjDjQ
GJ!!
もしかしたら毒リングつけられるかもな

427 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 00:02:42 ID:QwZDmTP8
>食う価値も今のところはなさそうだ
酷い言い方なのか、それともルイズは幸運なのか
どっちにしろ笑ってしまった。
本編で生真面目なキャラだからこの会話がギャグに見える!GJ!

428 :名無しさん@どーでもいいことだが:2007/10/25(木) 01:22:38 ID:GqlKAkpJ
ワムウがいるだけであちこちぶっ飛び展開。
素晴しすぎる。

429 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 01:59:07 ID:XZlTpCI6
こいつぁホンマモンのワムウ様やでぇ〜〜
さすが柱の一族ッ!

430 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 02:45:22 ID:zTkzh54N
私がロムを始める以前から、
開かれなくなってた座談会だけど、再開しないもんかねぇ…。

431 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 03:22:59 ID:x232F8TK
召喚されたばかりで実は調子が悪く
ワルキューレの装甲とかに反射した太陽光が何かアレな角度とかで上手い具合に威力を増して
そんな状況でちょびっとだけ怯んだ隙を渾身の力で突く
そしてそれが偶然にもワムウの知られざる急所を射抜く
……そんな事態を狙えれば、ギーシュでもあるいは……多分……おそらく……

432 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 04:51:27 ID:IB2Rq8W/
サイト相手にすら噛ませ犬が存在理由の初期ギーシュに、あまり酷な事を要求しないでやってくれ。

433 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 06:23:49 ID:89RnfqNq
ワムウがワルドに腕を切り落とされる所を幻視した。

434 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 06:33:24 ID:IB2Rq8W/
読み返すとさりげなく「僕の最愛の人モンモンラシーからのプレゼント!」とカミングアウトしてるギーシュに萌えた。

435 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 06:41:22 ID:DhrqGRtc
通りすがりに腕どころか、半身持って行かれるワルドを幻視した

436 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 07:46:02 ID:QRgcG1p0
あまりにも弱すぎるギーシュにやる気をなくしそうだなワムウ

437 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 10:58:35 ID:uKFteugu
>>僕の最愛の人モンモンラシーからのプレゼント!
謝罪ではすまないぞ!」

決闘でうっかり傷でもワムウに負わせた日には、この話の中では
毒リングは在庫切れと宣言もしとるが、やっぱり心臓に『人生最恐のプレゼント』
を引っ掛けられてしまうのだろーか?

438 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 11:19:10 ID:kAxK+vjI
ワムウは戦いには真面目だから、誰が相手でも手を抜く事は無い。
ギーシュは良くて贈り物、それ以外なら死亡…。
このギーシュは兄貴に続いて何人目かの死者になるのか。

439 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 11:56:45 ID:noleXy8g
>>437
>決闘でうっかり傷でもワムウに負わせた日には
すみません、全然想像できませんww

ワムウは波紋の戦士の子供を殺したくないって言ってたから結構許してくれるんじゃあないかな?

440 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 12:04:07 ID:Se7UKXYS
>>439

レベル1;半身食われました☆、レベル2;修行しなおして出直せ、レベル3;軟体避けでほぼシカト、レベル4;血時計でがんばれ

レベル5;神砂嵐を進呈します、レベル6;貴方の心臓に贈り物、ランク外;子供じゃん。殺すまでも無いYO。

言われて見れば、ランク外からレベル1くらいが、ギーシュ君には穏当かな。レベル6まで行けたら奇跡やね。

441 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 14:07:31 ID:zvKp1m1j
>>440
喰われて穏当かよ。

442 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 15:28:37 ID:bYOSlrDu
つまりギーシュが右手左足を食われて青銅の義手義足を着けるんですね?

443 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 15:48:03 ID:BehekPA0
ギーシュの義手

444 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 15:57:16 ID:8i1XtTvL
こういうダジャレ言うヤツってよー
ムショーに腹が立ってこねーか!?

445 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 16:00:55 ID:FlOdppse
ちょっと笑ってしまった。

446 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 16:19:28 ID:itFIySsw
>>443
もしかすると作者も考えてたかもしれんぞw
『露骨な肋骨』みたいなノリで。
折角の寒いネタを潰しちまいやがって、どーすんだよw

447 :風と虚無と使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/10/25(木) 17:45:55 ID:U1PsNe6Z
>>446
し、失敬な!

448 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 17:58:29 ID:eJfELG4S
何故どもる

449 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 18:09:13 ID:kgPzESg1
>折角の寒いネタ
>>446はもう少し言葉を選ぶべきwww

450 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 18:20:56 ID:zTkzh54N
ダークサイドギーシュが増えると期待してたのに、
手足をなくすか、それ以下ですんじゃいそーだなぁ。

451 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 19:15:55 ID:bYOSlrDu
泥のように濁った瞳で執念を燃やすギーシュというのもよさそうだ

452 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 19:18:07 ID:DhrqGRtc
そういえば、ワムウの一番の難関って………


デル公買いに町にの人混みのなかじゃね?

453 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 19:37:39 ID:yRkKx1pT
>>452

人混みで掠った皆さんが片っ端から「痛みが感じないんだぁぁ・゚・(ノД`)・゚・」になるわけだな。コワスww

454 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 19:45:06 ID:tWMwTdng
>>452
ワムウがお腹一杯になるなwww

455 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 19:55:43 ID:tfTXl8eQ
ジョウスケならタバサママを助けられそうな気がする、アンジェロの原理で
ただし、タバサ発狂しそうだけどな

456 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 19:59:14 ID:hFKio/8N
>>452
ワムウ駄目だぁぁぁ!そこら辺が血の海にィ!

457 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 20:35:29 ID:xFP+U9r/
ワムウに剣なんていらないだろ。
素手で十分すぎる。

458 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 20:38:21 ID:4Y100Dmq
>>457
んーー?
何を言っているんだ?

ワムウが剣を使う それは相手に対するハンデを意味しているのだよ

459 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 20:57:00 ID:2eREHKhs
>>455
毒取り出すために脳ブチ割ったら即死じゃないか?
まぁずっと触ってれば毒の効果を治し続けるとかはできそう

460 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 20:58:05 ID:LYShjczl
避難所にアンリエッタ+康一さんが来てる
誰か代理投下してあげてくれ
休憩時間が終わるから俺は無理だ

461 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 21:02:50 ID:INQwh07r
>>459
早人を直したシーンを見るに、
本当に一瞬なら何処がぶっ壊れようと問題なく生きたまま直せるんじゃないか?

462 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 21:26:13 ID:7x+iUHiA
>>442
我がトリスティンの魔法力はァァァァァァァアアア世界一ィィィイイイイ!!

463 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 22:00:25 ID:COww2UIv
>>457
必要ないだって?
本気衣装時に服を肌と縫い合わせるのに使ってたりするじゃあないか。

464 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 22:07:14 ID:Mnb9MqPc
>>458

ふむ。というか、ワムウが使う道具は昔から『吸血鬼が二匹ほど張り付いた折れた柱』
と相場が決まっているだろうに。というか、ワルキューレ霞みそうやね…ww


465 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 22:18:49 ID:pyXO2tLU
ワルキューレが2体ほど張り付いた折れた柱とな?

466 :風と虚無と使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/10/25(木) 22:22:19 ID:U1PsNe6Z
書き手です…
アニキャラ総合の株が高騰してて未だに買えてません
書き手です…

投下です…

467 :風と虚無と使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/10/25(木) 22:23:25 ID:U1PsNe6Z

「ちょっと!勝手になにやってるのよ!」
ルイズがワムウに喚き散らす。

ワムウは顔色一つ変えずに返す。
「あちらが申し込んできた決闘だろう?受けないで断れとでも言うのか?この世界にも決闘で優劣を決める風習があるとはな。
魔法使いとやらの能力もまだわかりきっていない、あの小僧で試させて貰おう。それとも、断れとでも言うのか?」
「断ってあたりまえでしょ!あんた、平民が貴族にかなう…」
ルイズは彼の戦闘能力を思い出す。

「そ、その、殺したり食ったりしちゃだめよ?」

「……」
ワムウは無言で返す。

「さあ、ヴェストリの広場とはどこだ、案内しろ。お前がしないならその辺の人間どもでも構わないがな」

周りの生徒たちはそそくさと出て行く。昼時の食堂だというのに一気に閑散とする。マルトー涙目だ。

ため息をついてルイズはヴェストリの広場へ向かい始めた。
「さあ、こっちよ。もう一度言っておくけど、私以外の人間も殺したりしちゃだめよ?
貴族を殺したりしたら、どうなるかわからないし、知らないからねッ!」

 * * *

ワムウが来る前のヴェストリの広場。既に野次馬が集まっている。
涙を流すモンモンラシーと胸を張るギーシュ。

「モンモンラシー、心配するな!君の愛の結晶を壊した野蛮な亜人は僕が退治してあげよう!」
「違うわよ!あんな香水いつだって作ってあげるわよ!でもね、あの亜人はね!その辺の使い魔とは段違いなのよ!」
召還したときのクラスにいたモンモンラシーが涙声で力説する。

「所詮『ゼロ』の使い魔だろ?大体、ドラゴンやエルフクラスの亜人ならともかく、魔法も使えない使い魔に『ドット』とはいえメイジの
僕が負けると思っているのかい?それは心外だな、モンモンラシー。心配しないで君は見守っててくれたまえ」
「あ、あのね!あの亜人はね!トライアングルはあるはずのコルベール先生のファイヤー・ボールを片手でかき消したのよ!」

「ははは、あの禿の昼行灯先生だ…えええええええッ!」
ギーシュの顔が青ざめる。

「そうよ!魔法を吸い取る能力とかあるかもしれないわよ!もしかすると新種のエルフかも知れないわ!ああ、恐ろしい」
「ちょ、ちょっと待ってくれよ、もう僕は決闘の約束してしまったよ?ど、どうすればいいんだあああ!」
「諦めて謝りなさい、いくらなんでも謝れば許してくれるわよ……たぶん」
「今たぶんって言ったなッ!?たぶん!?……それに、謝ることなんかできないよ!なんたって僕は青銅のギーシュ、グラモン家の長男として!
決闘で背を向けることは許されない!今考えることは、あの使い魔にどうやって勝つかだ!モンモンラシー、知ってることを教えてくれ!」

「はあ、あんたには何言ってもわからないみたいね……ケガならできる限り私が手当てならしてあげるから、絶対に…死なないでよ?まずあいつはね……」


468 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 22:24:37 ID:i8iQhaIF
代理投下を予約しつつ支援

469 :風と虚無と使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/10/25(木) 22:24:37 ID:U1PsNe6Z
 * * *

ヴェストリの広場にワムウが堂々と入ってくる。
遅れてルイズ。

「よよよよよよよく来たな!にに、逃げずに来たことは、ほほほほ誉めてやろうじゃないか!で、でも今なら逃げたかったら逃げてもいいぞ!」
ビビりまくりのギーシュ。

対してワムウは初対面の野次馬たちの野次をものともせず、怯むどころかむしろ風格さえ感じさせる。
「御託はいい、お前が逃げないのならば決闘の開始だ。決闘のルールはどうする?ナイフエッジデスマッチでも古代騎馬戦でもチェーン首輪デスマッチでも構わん…
と言いたい所だが、生憎、ご主人の命令で殺すなと言われているからな、デスマッチはできなさそうだ。最も貴様が望むなら、構わないがな」

ギーシュは殺すなという命令に従っていると聞いて少し顔色を戻す。
「…もっとも、『不慮の事故』は決闘にはよくあることだがな」

ギーシュの顔色が再び青くなる。
(こ、こうなったら奥の手しかない…!)

ギーシュは決心を固める。

「決闘のルールはッ!グラモン家に伝わるルール!『ナイトウィッシュ(騎士の願望)』で執り行うッ!」

そのルールを聞いて青色の髪の小柄な少女が反応する。
「『ナイトウィッシュ』!?」
「知っているのタバサ?」


『ナイトウィッシュ』とは
現在から遡るころ約2世紀前にトリステイン王国周辺で最も繁栄した決闘法である。そのころのトリステインでは魔法騎士の
全盛期でありながらその魔法騎士たちの経済状況が『タルブの悲劇』により困窮している時期であった。そのため彼ら騎士の中には
剣と杖両方持っていない者が少なくなく、片方の武器しか持たないものが普通の決闘法ではどうしても不利になってしまう。そのため
剣か杖どちらかを選び、その選んだ方の武器だけを持ちそれを先に落としたほうが負けだという非常に単純明快な決闘法である。この
決闘法の流行した中期には騎士の名誉であり象徴でもある剣と杖どちらか片方を落とすということで、落下した場合騎士が生きるか死ぬか
ちょうど半々の割合である高さ4.8メイルの円盤状のプレートの上で行い、負けたほうは即座にそのプレートから落ちると定められて
いた。この決闘法で円盤から落ちたものは死なないまでも非常につらい苦しみを味わうことから4.8メイルの4と8の数をとって
非常に苦しいことである『四苦八苦』の語源になっている。
現在ではこの風習は廃れているが、タルブ周辺で行われている剣も杖も持たない平民の間で素手で相手を突きとすか倒すことを目指す
『アフガンコウクウスモウ』のルーツではないかという研究が進んでいる。
(出典 ガリア書房刊「中世 18人の名騎士達」より)


「よ、要するに、相手の持ってる杖か剣を叩き落すなりなんなりすればいい、ってことね」
タバサと呼ばれた少女は無言でうなずく。

タバサが説明している間にワムウへの説明も済んだようだ。
「僕は魔法使いだ!よって、僕は杖を選ばせて貰おう。君は剣で構わないかね?」
「ああ、よかろう」

(ま、まずは第一関門突破だ!モンモンラシーの言う話では彼の身体能力は異常!それならば隙の大きくなる剣を持たせれば
動きも少しは落ちるだろう。多少リーチが長くなるが、魔法使いの側のほうがもともとリーチは非常に長い!
接近されるまで僕のワルキューレで時間を稼いで、接近をされたならば『奥の手』で奴を怯ませる!
あの巨体を倒せ、と言われたら無理だけれども怯ませることさえできればッ!接近している状態ならば剣を落とすくらいは可能ッ!)

「開始の合図は?」
ワムウが問い掛ける。

「あと数分で鐘が鳴る。鳴り始めたら決闘開始だ!剣を受け取れ!」

470 :風と虚無と使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/10/25(木) 22:25:50 ID:U1PsNe6Z
 * * *

(ふむ、『ナイトウィッシュ』か、片手が塞がってしまっていて神砂嵐が放てん……それに、いくらここの太陽光線が
弱いからといって、真昼間にはさすがに調子が悪い。神砂嵐は夜専用、と見てかまわんだろうな。だが、波紋戦士どころか
挙動を見る上戦闘のセンスも、経験ももっていないようだ。そんな小僧が多少魔法使ってきたところで、ハンデを背負っているとは言え
負けるとなれば今まで向かってきた誇り高き波紋戦士たちに申し訳がたたんな……これだけの人前だ、食うという能力を晒すことは
この先、非常に不利なものがあるかもしれんな。まだ魔法についてはわからんことも多い、とりあえずあの程度の相手ならば
主人の約束を守ってもいいだろう…事故の責任や面倒まではみれんがな……)

「開始の合図は?」
緊張している様子のギーシュにワムウが問い掛ける。

「あと数分で鐘が鳴る。鳴り始めたら決闘開始だ!剣を受け取れ!」
虚勢を張っているのがワムウにはわかる。投げてよこされた剣を見るためにつかむ。

(どれどれ、ナマクラというところか、!?なんだ、左手の甲が光っている…体が軽いぞッ!これは、まるで太陽を浴びていないかのようだッ!
片手が塞がっているために神砂嵐は放てんが…これが『契約』とやらの影響か?条件はまだはっきりとはしていないが…ついでにこの能力も試させてもらおう)


数時間にも感じるようなピンと張り詰めた空気が続く。


そして、学校の鐘が低い音を響かせた。

「ワルキューレッ!」
ギーシュが手を広げたゴーレムをワムウの前に出現させる。

「ギーシュ、あんな短い時間でゴーレムを出せるのか!?」
「小さくて青銅とはいえ、一瞬であの位置にゴーレムを出すなんてトライアングルでも難しいぞ!」
(ふふ、驚くのも無理はない!バカ正直に決闘開始の時間なんて誰が待つか!開始前に地面の中でワルキューレを錬金しておいたんだ!
地表のゴーレムを一瞬で出現させるくらいならわけはないッ!)

「ギーシュってかっけーなー でもゴーレムがいちげきで吹っ飛んで いったいどうなるんだろう ギーシュはおれのダチ」

ワムウが剣を持っていない左手でワルキューレを吹き飛ばした。腹の位置には無残にも穴があいていた。

「なにいいいいいィイイイッ!」
一撃で粉砕されたギーシュが驚きの声をあげる。

「ふむ、中身が詰まっていれば少々手ごたえがあるかと思ったが、外だけのブリキ人形か。人形ならアジアで出会った『オートマータ』の方が
まだ手ごたえがあったぞッ!」
ワムウの近くに青銅の粉が舞う。

(なんだあの化け物はァアアアアッ!一体目で数十秒稼ぐつもりがァアアアッ!ワルキューレの余裕はなさそうだ……
しょうがない、作戦変更だ、多少心もとないが2体目は『アレ』でいくッ!)

「もう一回だ!ワルキューレッ!」
「バカの一つ覚えか?もう一度破壊してやるぞッ!」

ワムウが左手を振ろうとする、しかしその瞬間!
ワルキューレの肩が輝く!

「モンモンラシーの話からお前が脱出よりまずコルベール先生を倒そうとしたことはわかっている!あれだけの戦闘センスなら囲まれた
状態よりまずは広い場所に出てから戦おうとするのは当然の考え!なぜそれをしなかったか!それは外に出てからでは倒す自信がなかったからだ!
『太陽の光』に弱い!この仮説は正しかったようだなッ!」

肩が反射した光をもろに浴び波長の弱い光といえワムウは怯んだ。
「MMWWWWWWWW!!!」
「剣ごと右肩もらったァーーッ!」

471 :風と虚無と使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/10/25(木) 22:27:01 ID:U1PsNe6Z

動きは鈍重とはいえここまで接近した状態でのパンチをかわせるわけがない。そんな常識にギーシュはとらわれていた。
しかし、『戦闘の天才』ワムウは伊達ではなかった。

2体目のゴーレムの破片がワムウの周りに降りかかった。
ゴーレムが振りかぶった瞬間、その拳が影になったのだ。


「どうした?もう終わりか?」
2体目を顔色も変えずに破壊したワムウがゆっくりと歩いてくる。


「もうやめてッ!」
観戦していたモンモンラシーが涙声でギーシュに向かって叫ぶ。

「ギーシュ、少なくとも今のあなたじゃかなわないわ!おとなしく降参しなさい!死んだらどうにもならないのよ!
決闘である以上、負けを認めればケガをさせることは認められないわ!」

ギーシュが振り向いて静かに話す。
「モンモンラシー、心配してくれることはうれしいけれど、それはできないね。
自分から申し込んだ決闘で命の危険を冒す前から降参するなんて、グラモン家として、いや男としてできないねッ!
ましてや好きな女の子の前ではッ!」

叫ぶが早いか、走るのが早いか。
ギーシュはワムウに向かって突っ込んでいく。
ギーシュに向かって歩くのやめたワムウの眼前に立つ。

「正真正銘…最後のワルキューレ達だ!もう小細工はしない!」
ゴーレムが4体出現する。

「4方向からだッ!これはかわせないだろう!」



一瞬であった。ゴーレムが粉みじんになるのは。
後ろのゴーレム2体を回し蹴りで、その回転をそのまま利用して左フックで前方のゴーレム2体も破壊。
ギーシュの精神力を込めた人形は、青銅のかけらへと変わりワムウの周りに散った。

「これで最後だといったな、命令を受けている以上殺すのも気が進まんし今のお前にはそこの女がいったように殺す価値もない。
今杖を置けば降伏を認めてやる。もっとも、これだけの戦力差を見せられて臆さなかったお前には少々興味があるが、
しょせんまだ坊主だ。大人しく負けを認めろ。これ以上続けるようならば、容赦はせんぞ」

ギーシュが顔色を変える。

「ほ、ほんとうに許してくれるのか?」
一瞬で虎の子のワルキューレをやられたからか、決闘前のおびえた表情に戻っている。

「ああ、とりあえず今はな」

しかし、ギーシュ顔色を戻した。

「だが断る。最後といったのはワルキューレだッ!まだ僕の精神力はつきていないぞッ!この距離が、すごくいいッ!『錬金』!」


472 :風と虚無と使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/10/25(木) 22:28:10 ID:U1PsNe6Z
ワムウを中心に爆発する。
ギーシュが錬金したのはゴーレムの残骸であった。
ゴーレムの残骸をバラバラにし、粉にすることによって『粉塵爆発』を起こしたのだ!
青銅はもともと融点が低く、加工しやすいために『青銅器時代』さえおこしたこともある金属。
晴れ晴れとしていたヴェストリの広場であれだけの青銅の粉が舞えば粉塵爆発は当然の結果ッ!
わざわざ壊されるかのようにワムウのごく近くにワルキューレを出現させていたのはこれが狙いだったのだ!

(モンモンラシーから聞いている!コルベール先生のファイヤーボールは簡単にかき消された以上、僕のワルキューレに多少小細工を
弄したところで適う訳がない!しかし、なぜかゼロのルイズの爆発魔法を食らった途端、彼は怯んだというのだ!
つまり、彼は『爆発』に弱い!間違いない!怯んでいる隙に剣を…)

着眼点はよかった。この距離ならば爆発に多少巻き込まれることも覚悟していた。彼ほど格上に善戦できるドットメイジは
この学院にはいないだろう。

しかし、その仮説は残念ながら間違っていた。

「むぐぁ!」
剣を奪い取ろうとしたギーシュの腹にパンチが入り、数メイル吹っ飛ぶ。

立ち上がろうした時には既にワムウは近づいており、首根っこをつかまれ、持ち上げられる。
怯んでいた様子はない。体を見ると多少ほこりでよごれているものの、火傷どころかかすり傷すら負っていない。

ギーシュは観念したかのように目をつぶり、杖を手から離した。
(さよなら、父さん、母さん、友人たち、そしてモンモンラシー。降伏を断った以上、彼は僕を許さないだろうし…許すべきではない…)

低い音とともに地面に叩きつけられる。


ギーシュの体は地面に横たわった。



「ハッ!?いき、いぎでる?」
ワムウはすでに出口方向へ歩き出していた。

「亜人…じゃなかった…ワムウ、なぜ僕を殺さなかった?情けか?命令に従ったのか?」

ワムウは振り向かずに語った。
「貴様のちっぽけな根性…そのタフさがある戦士に似ていたものでな……奴とやったときと違いケガなどは負わなかった…しかしその
ちっぽけな根性に免じて1度目は見逃してやる…だが、期限までに奴に並ぶほどの戦士になることを期待してやろう……」

「し、しかし、僕はどう考えても正々堂々と戦ったとは言えないぞ!自分に都合のいいようなルールを選び、君の弱点を狙った。
現に、君はその剣を使わなかったじゃないか!こんなアンフェアな戦いで完敗したんだぞ、僕は!」

「俺の…好敵手…俺を倒した奴もそんな奴だった…正々堂々、真っ向から攻めるなど考えもしないだろうな、奴なら。
弱点を狙って当然、狙わない奴がマヌケなのさといったしたり顔でレース開始前に車輪の下に瓦礫を置いて妨害するような奴だ。
だが、奴は誇り高き戦士であった。戦いを汚さない、それはお前も同じだ。決して人間のようにセンチになったのではない…
だが、まだこちらの世界を知らん。好敵手の候補が増えるのは俺としても本望だ」

振り向いていた首を戻し、再度歩き出す。

「もう一つだけ、聞かせてくれ。……『期限』はいつだい?」

ワムウは振り向かずに言った。
「指輪がないからな、お前が死ぬか、俺が死ぬまでで構わん」

ワムウは、歩き去っていった。

――ギーシュ、完全敗北。この後気を失った。複雑骨折により全治数週間の模様。再起可能
――ワムウ、無傷。

473 :風と虚無と使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/10/25(木) 22:30:02 ID:U1PsNe6Z
あーん!ギーシュ様が負けた!
ギーシュさまよいしょ本&ギーシュさまF.Cつくろー!って思ってたのに…
くすん…美形はかませ犬だ…

・゚・(ノД`)・゚・うっうっう…ひどいよお…ふえーん!!
この間「今、時代はギーシュだ!」の葉書を出してまだ2週間じゃないですか!
どーして、どーして!?あれで終わり!?嘘でしょ!?
信じられないよおっあんなワムウごときに負けるなんてっ!!
ジョジョと差がありすぎるわっ!!戦士になりますよね?ね?ね?
……泣いてやるぅ・゚・(ノД`)・゚・

私はあのおそろしく鈍い彼が(たとえド女好きでもさ!ヘン!)大好きだったんですよっ!!
ギーシュさまあっ!死んじゃ嫌だああああああっ!!
先生のカバッ!!え〜ん・゚・(ノД`)・゚・

474 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 22:32:35 ID:i8iQhaIF
>>473
ちょw まだ死んでないだろギーシュw
何はともあれGJ!
ただのかませで終わらなかった辺りこのギーシュはよいギーシュ。

475 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 22:33:54 ID:EQ1q06VK
うむ、GJ!!
ギーシュ、傷一つつけられなかったが、善戦したな……頑張ればジョセフのように……なれるかな?


476 :アンリエッタ+康一(代理):2007/10/25(木) 22:34:30 ID:i8iQhaIF
そして40分過ぎから代理投下すると予告しよう!

477 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 22:36:35 ID:bNDsnd0f
うは、民明書房(もどき)まで入ってる!GJ!!
そして康一君も期待ッ!!

478 :アンリエッタ+康一(代理):2007/10/25(木) 22:40:21 ID:i8iQhaIF
ざわざわ、と煌びやかな広間に喧騒が広がっていた。
今は双月がその姿を見せる頃。
今晩の舞踏会の豪華な会場に負けず劣らぬ、身を着飾った貴族や麗人が顔を揃えている。
その誰もが程度の差はあれ、名を知られた著名人。

そんな人一倍は自尊心がありそうな者達が、今か今かと待ち構えるように、視線を前方の重厚な造りの扉に向けている。
来賓達が見つめる向こう。つまりは、今夜の主役が扉の先にいるという事に他ならない。
これだけの視線を一身に受け止めるというのは、苦痛だろうか、それとも快感なのであろうか?
それは人それぞれだろうが、今夜の主役はどちらでもなかった。


色々と神経を使うが、いつもと変わらない事だと割り切っている。
これが自分の仕事であると割り切り、それを全力でこなす事が国の大事なのだ。
だから、どうという事はない。これはただの義務なのだから。
それに。こんな事で根を上げたら、こんな自分を助けてくれる者達に申し訳がたたないではないか。

そんな考えが脳裏を交錯していき。彼女、アンリエッタは秘めた瞳を表に現す。
見開いた瞳がまず見た物は、広間の視線が集まる重厚な扉。
相変わらず収まらない喧騒が、目の前の扉越しに伝わってくる。
少々物思いにふけって時間が経過してしまったようだが、特に問題はなさそうだ。

普段は可憐で清楚な白のドレスを身に纏った彼女だが、今夜は多少グレードアップ。
今夜の為に新しく仕立てられた、白の色は変わらないが豪奢なフリル増量のドレス。
どちらかというと、可愛くても動きやすい服の方が好みのアンリエッタには少し着慣れない感覚がある。
もちろん着慣れないというのは、普段着ているドレスよりもという意味で、実際はそれほど大差ないが。

当然ながら姫としての教育を受けた彼女の着こなしは完璧で、文句のつけようなど何処にもありはしない。
見られる為に作られたドレスなのだから、着こなす側にも相応の教養が必要だからだ。
言い方は悪いが彼女は「鑑賞」される為に、これから海千山千の者達の元へと出向かねばならぬのである。

有力者や権力者というのは実際問題、悪事をはたらいて権力や財を成した者も多い。
今日の来賓の貴族の中には、人様には言いにくい事をしていると思しき者も多数在る。
そんな狐狸ども相手に御機嫌を伺わなければならないのは実に面倒な事である。
アンリエッタとしても城へ招きたくはないのだが、招かねば無用な軋轢を生む要因にもなろう。

それに中身はどうであれ、相手は国の中枢に食い込むような者達なのだ。
排除しようとすれば混乱が生じ、国は荒れる。表面上だけでも友好的な立場を取っておくことに越したことはない。
「つくづく嫌な世界だこと」
アンリエッタは軽い溜息混じりに呟いた。

479 :アンリエッタ+康一(代理):2007/10/25(木) 22:41:27 ID:i8iQhaIF
『えェ?何か言いましたか。アンリエッタさん?』
アンリエッタに届いた声。自身の使い魔である彼の声だ。
背後から聞こえてきた、その声に応えようと優雅に振り返るアンリエッタ。
「いいえ。何でもありませんわ、コーイチ……さん?」

彼女の最後の言葉は微妙に上ずったものとなった。
何故なら彼女の振り返って見た視界の中に、広瀬康一は何処にもいなかったから。
「あら。おかしい…ですね?」
声はあれども姿は見えず。確かに彼の声が後ろから聞こえてきたと思ったのだが。

狐につままれたようなアンリエッタだが、そんな彼女の肩に小さな衝撃。
「あはははッ」
咄嗟に振り返った彼女の見た先には面白そうに笑う、先ほど後ろから声を掛けてきた筈の康一であった。

そしてアンリエッタは笑ってる康一を見て、ハッと閃く。
「コーイチさん。あなた今のは音の能力で…!」
つまりはそういう事だ。さっき後ろから声を掛けてきたのは、康一のエコーズACT1が音の能力で発した声。
そして康一はアンリエッタが振り向いて気を取られてるスキに、彼女の背後に回りこんだという訳である。

そうと気付いたアンリエッタは唇を尖らせ、悔しそうな瞳で康一を見つめる。
女の子がそういう事をすると、何だか微妙に可愛らしいものだ。
アンリエッタ自身は怒っているつもりなのだろうが、その人目を引き付けるであろう麗しい顔立ちが余計に可愛らしさに拍車をかけている。
そんな無言で素敵な圧力に、康一は素直に頭を下げた。

「どうもスイマセンでした。ちょっと能力の実験してたんですけど、やり過ぎちゃいましたね」
そんな言い訳じみた事を話す康一の傍にはACT1が浮いている。
一応康一も意味もなくそういう事をやった訳ではない。
今夜の舞踏会の間、アンリエッタと連絡を取るためにACT1を配置しておくので、その実験を兼ねACT1で声を掛けたのだ。
もちろん悪戯心が無かったか、と聞かれると言葉に詰まるだろうが。

「もうっ!次は許しませんよ」
誤魔化し笑いをする康一に向かって、アンリエッタがちょっぴりだけ怒ったような声で言った。
「それはそーと、今日結構人来てるみたいですけど大丈夫ですか?
ACT1で広間の中を見てきたんですけど、大人の人ばっかりですよ」

480 :アンリエッタ+康一(代理):2007/10/25(木) 22:42:29 ID:i8iQhaIF
少し話題を変えるように、康一が広間の来賓達の様子を語る。
「あんまりアンリエッタさんと同い年位の人っていないんですね。
あーいう大人の世界っていうの、僕ちょっと苦手だなァ」

確かに今夜招待に応じた来賓達は、皆アンリエッタより年を重ねた者達ばかりだ。
「わたくしと同じ年齢の有力貴族の子弟の方達は、皆さん魔法学院で寮生活をしておられます。
学業に加えて社交の為、王城に出向くのまでは難しいのでしょう」
今晩の舞踏会は有力貴族などしか参加していない。そういう訳で自然と貴族の子弟などは少なくなってしまうのだ。

「やっぱりコッチの人も勉強するのは大変なんですねー」
康一は微妙に遠い目をして、過去に自分が受けたスパルタ教育の事を思い出した。
誘拐されてクイズ形式の料理を出され、危うく「石鹸」や「英単語カードのコーンフレーク」などを喰わされそうになったのはいい思い出、かもしれない。
そんな感じで毎日食事時には阿鼻叫喚な世界へと変貌する魔法学院を想像して、康一はブルリと背筋が寒くなった。

……嫌過ぎる。こんな想像はするモンじゃあない。
瞬時にACT3を脳内に発現してドス黒い想像を粉砕ッ!
更には臭い物には蓋を的な考えで、想像を3・FREEZEで脳内の奥底へと沈める。

「てゆーか、魔法学院ってもしかして相当レベル高い学校なんですね。
という事はもしかしてタバサさんも、この国の結構良いトコのお嬢さんって事ですか?」
貴族の中でも一握りの有力な貴族の子弟だけが通える学校となると、
そこに通っているタバサもまた有力貴族の出身という事になる。

あまりお互いの事を話したりとかした訳ではないが、確かにタバサも相当整った顔立ちだし、
寡黙だが知性のある的確な判断をしたり、高い魔法の技量を持つ優れたメイジである。
康一にはあまり貴族の能力の基準が分からないが、それを持ってしてもタバサは非情に傑出した女の子だと思う。
ならばトリステインの有名な貴族の出自であると思うのは当然だ。

だがアンリエッタの答えは康一の考えとはちょっと違った。
「いいえ、ミス・タバサはトリステインの方ではありません。
依然読んだオールド・オスマンからの紹介状によると、彼女は他国からの留学生だとありました。
それにタバサという名は人につける名前ではありません。恐らくは偽名でしょう」

481 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 22:44:04 ID:nznIstCj
>473
ギーシュは末っ子だ

482 :アンリエッタ+康一(代理):2007/10/25(木) 22:44:48 ID:i8iQhaIF
「偽名、なんですか?」
別に康一としては変な名前には聞こえないのだが、アンリエッタがそう言うのならそうなのだろう。
「留学生の身分でこのような事件に協力して下さるということは、それだけ色々と事情がおありなのでしょう。
あの歳で、あれほどメイジとしての技量を持つ方はそうおられません」

確かにタバサには色々事情があるのだろうと察する材料は余りある。
あの胆力にしろ魔法の技量にしろ、一朝一夕で得られるものではない。
数々の経験に裏打ちされた、名前や肩書きではない「実の力」を感じられた。

ともすれば何か裏があるのではと疑ってしまいそうになる、タバサの歳に見合わぬ力。
だがタバサはそんなチンケな些事を補って余りある正しい心を持っていた。
「他国の方とはいえ実力もそうですが、彼女の心持ちは素晴らしいものがあります。
一人の人間として敬意を払うに値する方だと、わたくしは考えますわ」

康一としてもタバサは年下の女の子であるが、そんな事に関係なく尊敬できる子だと思えるのは間違いない。
「でもタバサさんって外国の人だったんですね。何処の国の人なんだろう?」
このトリステインどころか、首都のトリスタニアの事さえ満足に知らない康一にとっては、
タバサがどんな国に住んでいたのかを想像する事もできない。

そんな康一の素朴な疑問の呟きに、アンリエッタは思う。
(確かにそこまではオスマン老も教えては下さらなかった。一体何処の国の出身なのでしょう?
でもそれは、いつかミス・タバサから直接聞けるのが一番いいですね。
彼女とは、とてもいいお友達になれそうだから)

あの青髪の小さな少女の顔を思い浮かべて、少しアンリエッタは微笑んだ。
そしてそんな二人の後ろから一人の足音。康一はその足音に気付いて振り向く。
つられてアンリエッタも振り向いて、そこにいたアニエスを見た。
「姫さま。枢機卿がそろそろ会場に出る準備を、と」

礼を取りながら、アニエスがマザリーニからの伝言を伝える。
「あら、もうそんな時間かしら。アニエス殿、枢機卿は今どちらに?」
「はっ。一足先に広間に出て姫様をお待ちしております」

483 :アンリエッタ+康一(代理):2007/10/25(木) 22:46:07 ID:i8iQhaIF
それはいけないと、アンリエッタはパッと最後に衣装を確認して、良しと一つ頷く。
「それではアニエス殿、コーイチさんの事はよろしくお願いします」
「かしこまりました」
アニエスはそう言ってから、康一に向かって微妙に一つニヤリ。

康一は、間違いなく扱き使う気だ…、と思ったがアンリエッタの前なので何も言わない。
そんな感じでアンリエッタは扉の前にスラリと立った。
扉越しに聞こえてくる呼び出しの声。

康一は手順の邪魔をしないように後ろへと下がった。
アンリエッタと康一が、互いに手を軽く振って離れる。
そして一際呼び出しの声が大きくなり、広間から盛大な拍手が鳴り響く。
同時にアンリエッタの前の重厚な扉が重々しく開き、彼女の為の道を作る。

絶え間なく迎えの拍手は鳴り響き、最早引き返す事はかなわない。
康一と話していた時よりも、ずっと引き締まった表情でアンリエッタは扉をくぐる。
優雅に歩くアンリエッタの後姿を見つめる康一だが、ゆっくりと扉が世を隔てるように閉じられた。

ズン、と重みの篭った音で閉まった扉を、更に何秒か康一は見つめる。
そしてもう見えなくなったアンリエッタの後ろ姿を思い出して、背を翻した。
不思議な感覚が康一の身を包む。何だか寂しいような、アンリエッタが心配なような。

僕ってこんなに心配性だったっけ?、と思う康一。
何だか…今夜は長くなりそうな予感がした。

484 :アンリエッタ+康一(代理):2007/10/25(木) 22:47:34 ID:i8iQhaIF
392 名前:アンリエッタ+康一:2007/10/25(木) 18:57:15 ID:5DkJdK06
投下しようと思ったら規制喰らってました
どーいう理由で規制は実行されるのだろう、謎だ
どなたか代理投下していただけるとありがたいです

485 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 22:48:25 ID:Pf5IQNjf
支援

486 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 22:50:04 ID:i8iQhaIF
フゥゥーー・・・
初めて・・・代理投下をやっちまったァ〜〜〜♪
でも想像してたより、なんて事はないな。

そしてオレに向かって「マンモーニ」だなんて言えるヤツは、
もう、これで誰ひとりいねーからな・・・。

487 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 22:51:37 ID:89RnfqNq
乙です、マンモーニ。

488 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 22:58:47 ID:VgsdjDjQ
お疲れマンモーニ

489 :風と虚無と使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/10/25(木) 22:59:06 ID:U1PsNe6Z
代理さん、乙です

>>481
オーノーだズラ
指摘されちまったズラ
そういえば長男なわけないズラ

490 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 23:14:15 ID:zOBbUTXF
【漫画】“ジョジョ”の作者・荒木飛呂彦が“H×H”の冨樫を痛烈批判!「戻ってこなくてもいいのに」
http://society6.2ch.net/test/read.cgi/river/1191308543/




491 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 23:14:38 ID:INQwh07r
ワムゥの人、面白かった。面白かったからこそあえて言おう!

粉塵爆発が何かを少しは調べようね。

492 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 23:17:54 ID:U1PsNe6Z
>>491
どうかご教授ください

493 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 23:25:24 ID:Pf5IQNjf
基本的に粉塵爆発って室内でおこるもんじゃね?
詳しくは知らんけど

494 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 23:27:45 ID:U1PsNe6Z
まあ、常識的に考えて青銅が金属にしては融点低くても周り爆破させるほどは無理だな
砂糖とかでも紙袋くらいの大きさの中でしか起こせないらしいし、そもそも点火してないし

495 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 23:27:46 ID:hFKio/8N
ワムウGJ!
ギーシュダークサイドに行かなくて良かった

アン+康一GJ!
イヤーな予感がプンプンするぜェ―――ッ!
そして代理投下乙マンモーニ

496 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 23:28:12 ID:ugmYL184
ワムウGJ!
性格丸くなったな、なんだかジョジョに倒されてから余裕?のようなものがあるみたいだ。
ギーシュもこれから成長してくれることだろうと思ったけど、ジョジョみたいにずる賢くなる気もする。


アン+康一GJ!
なんだこのほのぼのする二人は!
舞台裏の一幕はいいな、このアン様は精神的にバランスを取れそうだ

497 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 23:29:43 ID:3+OObVmH
ワムゥの人、オレも面白かった。
どうだろね、青銅でも凄い微粒子にすれば、粉塵爆発くらい起こせるかもね。
決して融点が低いからでは無いが。

498 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 23:30:02 ID:INQwh07r
ttp://www15.plala.or.jp/katya/hunnjinnbakuhatu.html

ここを読んでくれればわかるけどどんなものでも「粉塵」が舞っていれば爆発するってもんでもない。
銅を主成分とする青銅では粉塵爆発を起こすのはちと難しい。
ものすごく簡単に言うとそれなりによく燃える物体が燃焼させるのに必要な酸素(空気)とほどよく混じっていて
連鎖的に一気に燃え上がる現象が「粉塵爆発」なので
酸素とそれほど激しくは反応しない銅では厳しい、というわけ。

499 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 23:34:56 ID:j6vsC5op
>>498
言ってることはわかったし正しいよ
でも、魔法に科学的な根拠などいらん

500 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 23:35:32 ID:R1INKro6
>>498
だからワムウにも効かず爆発がショボかったのさ。

501 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 23:43:45 ID:3+OObVmH
>>499
それも間違ってないが、どうせ書くなら説得力のあるほうがいいやん。
こっちの世界の用語を使うなら正しい知識に基づいて書かないと、ああいうツッコミは入るもんだ。
もういっこのスレでも先日あったな…

502 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 23:46:01 ID:opL44/TR
静かはもう毎日投下じゃないのか・・・。

503 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 23:49:14 ID:nuzu26Z+
たまには穏やかに過ごさせてやろうぜ

504 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/25(木) 23:53:49 ID:GBzVsvV/
>>498

科学で妙に括っちゃうのもネタに広がりがなくなって寂しいよ。
だが、調べる事で新しいネタを思いつくことがあるのも事実ではあるな。
だから、その辺は避難所でやった方がいいと思う。

例えばマトリクスやスターウォーズの武術は、真面目に突っ込めば見せ芸
でしかないし、要らんもんが多い。

だが、確かにリアル追求型で面白い話も多いが、もう痛快娯楽として見るなら
その辺拘らんでも別に問題は無いわけだよ。それこそ『劇中描写でそうなってるなら
あっちの世界ではあれが達人なんだろうな』という見方でいいわけだ。

どっちも一長一短ではあるが、違う楽しみ方をしている人間もいるわけだから、
あえて抑え気味にしてくれると、非常に嬉しく思うのだが。

505 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 00:09:34 ID:wgURj/fV
例えばさ、スタンドを生身の人間が殴ってダメージを与えられる、としたら皆たたくよな?
そりゃそうだ、「スタンドはスタンドでしかダメージを与えられない」というルールであり設定なんだから。

なのに何故現実世界のルール・設定を紐解く「科学」の用語は
誤認されてたり曲解されるのが許されるんだ?
「粉塵爆発」という言葉を出した以上「スタンド」と同じく
それ自体の設定・ルールに縛られるべきだ。違うかい?

506 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 00:11:23 ID:UCybTOZi
逆に考えるんだ。
間違った科学説明もジョジョらしさの一つ、と考えるんだ。

血液から鉄を取り出せるとか、絶対零度で機関車も止められるとか、
体温が低い部分は病気に成るとか、生物が存在できる水温の限界が35度ぐらいとか、
低い位置に落ちたら発芽するカビがあるとか(高さは関係ないだろ…)、鏡の中の世界は無いとか、
体液を気化させただけで瞬間的に人体を凍結させられるとか、純粋な酸素は即効性の高い猛毒だとか、ほか多数。

507 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 00:11:51 ID:myEfV+O+
>>505
どうでもいいよ、そんな下らないこと。

508 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 00:15:27 ID:Qh9pVx0R
>>505
空想科学大戦でも読んでなさい。君の欲求は満たしてくれるだろうよ。

509 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 00:26:00 ID:00CHPtMv
>>505

じゃあ、君がその考えに基づき小説を書くしかないよ。
上でも言ったが、気にしない人も山といるんだって。

俺は君がそう思うのは否定はせんよ。だが、そっちよりキャラクター同士
の交流が見たいし、予想外の展開で驚かされたりする方が楽しいって人が
多いのも認めてほしい。

あんまりにも事前調査無さ杉で興ざめする話があるのは確かだが、学説バトル
のスレでもないんだからさ。避難所でやりな?興味ある人は反応するだろうからさ。

510 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 00:31:02 ID:eaV9qXx9
>>505
空気嫁

511 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 00:32:21 ID:hVUNe4BJ
まあとりあえず

>>506
>間違った科学説明もジョジョらしさの

>鏡の中の世界は無いとか、


あるのがデフォかよ!!


512 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 00:33:03 ID:WlUDl5gQ
スタンドはスタンドでしかダメージを与えられないってのもJOJO世界のルールだからな……。
スタンドが魔法でダメージくらってもおかしかーない。
いや、そういうこといいたいんじゃないっては分かるが。

513 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 00:50:09 ID:4dhSuF43
スゴ味でおk

514 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 01:04:11 ID:yDeRk0wg
>>502
自分のスタンドに苦しんでるんじゃね?

515 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 01:49:29 ID:0ZTyyHTf
なんか妙な議論になってるが、作者の人自覚して書いてるやん。 つ>>494
民名書房モドキとかと合わせて、狙った胡散臭さだろ?

516 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 02:02:32 ID:2rq6sp37
もーちょっとごまかしが効かせてさ、「いやそれはねーだろ。」って読者におもわせないようにしないと

517 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 02:19:05 ID:8Vjlhn9O
つまり、「鏡の中には世界なんて無かったんじゃないのか花京院!!」と
そういうわけですな?

518 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 07:06:53 ID:0ZTyyHTf
回転の力は無限だ!!

「いやその方向性は流石にないから」と言いたくなるあの感覚か

519 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 07:09:36 ID:Iusum+Hh
「粉塵爆発」の御都合的使われ方はもはや創作界のお約束ですよ
ツンデレ貧乳美少女と同じレベルのファンタジー

520 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 07:16:20 ID:Tf68Goxw
>>518
回転の力は銀河も次元も突破して俺を誰と思っている!な感覚か

521 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 07:32:21 ID:nG54NPqY
ギーシュの感情が爆発して一時的にラインに到達し
萌え易い金属粉(ギーシュは青銅と思い込んでいたが実はマグネシウムとか)
に錬金したんだよ決闘ギーシュはしばしばゴーレム7体以上作るしw

522 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 07:45:35 ID:QbRO5p/8
子供がおもちゃの鉄砲かまえて「ビーム発射!」とか言っても
科学的に否定とかしないだろ?
物語内の矛盾は流すのが大人の対応だぜ

523 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 09:03:48 ID:/NnNDS0e
なんだったかな、商業誌でもありえない粉塵爆発見たことある気がするよ。

>>522
ここで指摘するのも大人気ないが、あまり酷い間違いは読んでて違和感あるからね。
しかし、最初の人は軽くツッコミ入れただけなのに、引きずるなあ。

>ワムウの人
面白かったけど、粉塵爆発はちょっと唐突だったかもね。
あれがOKだと、今後は土メイジが無茶苦茶強くなりそうだ。

524 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 10:39:28 ID:EYcsN2fS
>>523

引き摺るも何も、薀蓄述べる場所じゃ無いって話なだけだと思うぞ。
他のスレでもライフルの弾の話を延々と薀蓄してた人が居たが、感心は
したよ?でも、悪いがトリビア以上のもんには思えんかった。

ぶっちゃけ知らないでも、気にならん。実際の実験や論文執筆するんなら
厳密にやらなきゃいかんが、そんなもんでも無かろ?避難所でやる話だよ。
参考にするかしないかは、書き手さん次第としか言いようが無い。







525 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 10:48:11 ID:aShHfhCZ
重い物の方が早く落ちるとかやられなければ気にしないよ、俺は
ただ矛盾を指摘してくれる人の意見も重要だよね
間違った知識を覚えて後で恥かくよりはマシ

526 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 11:27:18 ID:9CCpHCub
>>525
まあそれも程度問題だよ。気にする人が多いか少ないかだけで。
商業誌でさえ見ることあるからね>「重い方が速く落ちる」

オレも指摘まではOKだと思う。変な煽りや思わせぶりをせず、事実だけなら。
荒れる元にはなるけど、作者さん的には後で自分で気づく方が恥ずかしい気がするし。

527 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 11:27:36 ID:EYcsN2fS
>>525

>>間違った知識を覚えて後で恥かくよりはマシ

木の年輪でコナン君が誤った薀蓄述べてた話があったとのことだし
結構よく聞く話ではあるが、漫画や小説の知識を鵜呑みにするのは
相当に困った子だぞ?(汗)

興味の切欠としては、ドンと来いだが。ついでに、多くの指摘は大事と
いうのは俺も同意。だが、避難所に該当場所あろうよ。そこでやるべき
話だよ。

528 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 12:35:22 ID:svNarOKh
>>525
キン肉マンとクロスしたらそれは逆にやらないと駄目なことじゃないか!

529 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 12:52:00 ID:WMhUocQZ
>>517
花京院に「鏡の中に世界なんか〜」と言われて
涙目なイルーゾォが浮かんだ

530 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 13:33:31 ID:bAAGO+vr
"重い方が速く落ちる" すなわち、"軽い方が遅く落ちる"・・・おそらく勘違いの原因はコレだ!

あまりにも軽すぎると、空気抵抗が勝ってふんわり落ちるだろ?
その様子が「軽いと遅く落ちる」ように見えて、だから「重いと速く落ちる」と思ったのではないだろうか?

531 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 14:13:09 ID:zHogIhRy
ちょっと待て。ギーシュは着火ではなく錬金と言っていた…
つまりは、青銅の粉をナニかに錬金していたという可能性も…!

532 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 14:41:53 ID:xC7YfNnD
青銅の粉を無理やり酸素と融合させ、強烈な熱を発生させたという理論はどうかな?

533 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 15:23:56 ID:hKU24aij
作者さん……寂しいです……投下……ください……

534 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 15:34:27 ID:omu0fLbG
>>532
酸素扱ったら風の魔法が絡んじゃうんじゃね?


535 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 15:37:43 ID:zACTiboS
??534
       、--‐冖'⌒ ̄ ̄`ー-、
     /⌒`         三ミヽー-ヘ,_
   __,{ ;;,,             ミミ   i ´Z,
   ゝ   ''〃//,,,      ,,..`ミミ、_ノリ}j; f彡
  _)        〃///, ,;彡'rffッ、ィ彡'ノ从iノ彡
  >';;,,       ノ丿川j !川|;  :.`7ラ公 '>了
 _く彡川f゙ノ'ノノ ノ_ノノノイシノ| }.: '〈八ミ、、;.)
  ヽ.:.:.:.:.:.;=、彡/‐-ニ''_ー<、{_,ノ -一ヾ`~;.;.;)
  く .:.:.:.:.:!ハ.Yイ  ぇ'无テ,`ヽ}}}ィt于 `|ィ"~
   ):.:.:.:.:|.Y }: :!    `二´/' ; |丶ニ  ノノ
    ) :.: ト、リ: :!ヾ:、   丶 ; | ゙  イ:}    逆に考えるんだ
   { .:.: l {: : }  `    ,.__(__,}   /ノ
    ヽ !  `'゙!       ,.,,.`三'゙、,_  /´   「投下の有無に関係なく寂しいのは変わらない」と
    ,/´{  ミ l    /゙,:-…-〜、 ) |
  ,r{   \ ミ  \   `' '≡≡' " ノ        考えるんだ
__ノ  ヽ   \  ヽ\    彡  ,イ_
      \   \ ヽ 丶.     ノ!|ヽ`ヽ、
         \   \ヽ `¨¨¨¨´/ |l ト、 `'ー-、__
            \  `'ー-、  // /:.:.}       `'ー、_
          `、\   /⌒ヽ  /!:.:.|
          `、 \ /ヽLf___ハ/  {
              ′ / ! ヽ

536 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 16:01:36 ID:h7sCRR/Z
卿、つまり自分で慰めろ。ということなんですね?

537 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 16:34:06 ID:yJnUrimr
マンミラは鏡を接点とした鏡面世界を作り出す能力
これ豆知識な

538 :風と虚無と使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/10/26(金) 17:53:19 ID:6PksgmQe
だがちょっと待って欲しい。ギーシュが青銅をなにか爆発しやすいものに錬金したのではないだろうか。
もちろん後付けなのは多少気になるところだが

なんか荒れてるな俺のせいで
間違ってる以上はガンガン指摘してください ワダす もっともっと強くなれる・・・!

539 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 18:30:57 ID:5yUT+2um
もうギーシュが粉塵爆発の知識を間違って覚えてたってことでいいんじゃね?

540 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 18:38:36 ID:svNarOKh
ああ、ギーシュだしそれぐらいありそうだね
伊達に二年生の授業を半分も出てないだけある

541 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 18:44:56 ID:eTv391B6
とりあえず、『粉塵爆発の概念があるかどうか』から議論しようぜ。

542 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 18:47:15 ID:M9Uvqofn
そうだねプロテインだね

543 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 18:48:04 ID:qopQcePs
議論とかそういうのは避難所の方でやってくださいな。

544 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 19:05:40 ID:eaV9qXx9
議論は避難所逝け

545 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 19:15:59 ID:DsLfWy5j
作者はド−ンと構えてれば良い。
他人の意見は参考程度にね、
これは云々〜で有り得ないってのには心の中で
「ノンフィクションでも読んどけや!」
って思っとけば良いのよ。

546 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 19:30:19 ID:eh6JmQQ8
>>538
荒れてるのは作者さんのせいではなく、ちょっと細かい人と仕切りたがり屋のせいだから。
まあ気にせず次も書いてくださいな。

次に爆発させたくなったら油とかアルミ粉末くらいにしとくといいよ。

547 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 19:42:36 ID:6PksgmQe
だっていくらなんでも油とかアルミ粉末とか撒いてたら爆発起こすってバレバレになるじゃないかw
自分の無知が原因です どーもすいませんでした ただ肯定派も否定派もこれ以上話すようなら避難所でお願いしたいです

548 :ゼロいぬっ!:2007/10/26(金) 20:42:50 ID:L5YjEUUm
50分から投下したいんですが構いませんねッ!?

549 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 20:47:36 ID:ZRnd6/05
「許可」したッ!

550 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 20:50:53 ID:eaV9qXx9
支援だけを許可する!雑談は許可しないーーー!

551 :ゼロいぬっ!:2007/10/26(金) 20:51:28 ID:L5YjEUUm

「………………」
アニエスの目蓋が開く。
寝床から見上げた天井は宿舎の物より遥かに高い。
当然だ、ここは貴族専用の宿。平民のごった煮である宿舎とは違う。
窓を開けるとそこには朝靄の立つラ・ロシェールの町並み。
まだ陽は昇りきっておらず人の気配もない。
出航は夜なのだからまだ寝ていてもいいのだが、
体に染み付いた早起きの習慣がそれを許してくれない。
せっかくの高級ベッドを名残惜しそうに見つめながら彼女は支度を整えた。
不意に窓の外へと顔を向けた彼女が宿から外に出て行く影を目撃した。
それはソリを引いた犬。考えるまでもなくミス・ヴァリエールの使い魔だ。
まあ犬だから散歩ぐらいはするだろうとそのまま彼女は見送ろうとした。
しかし、その視界の端には彼の後に続くワルド子爵の姿があった。
(……マズイ!)
アニエスとて無神経な人物ではない。
彼とワルド子爵の仲が良くない事ぐらいは感付いている。
その二人が揃ってどこかに行くとなれば必ず良くない事が起きる。
その直感に従い、彼女はルイズの部屋へと走った。

「……んで話ってのは何だ?」
中庭にある寂れた練兵場でデルフが口を開いた。
目前に立つのは魔法衛士隊の隊長ワルド。
早朝、彼がいつもの訓練をしようと外に出た所、
待ち受けていたワルドに“付いて来い”と言われたのだ。
しかも連れてこられたのはこんな場所。
“こりゃ、どう見ても相棒に喧嘩売ってるとしか思えねえな”
それが分かった上で、あえてデルフは問いただす。
「ここはかつて砦でね、昔の貴族達はここで互いの魔法を練磨し競い合った。
貴族同士の決闘もしばしば行われたそうだ。
もっとも今あるようなお遊びではなく、互いの命を賭けた本当の決闘だ」
「はぁ?」
「古き良き時代の話さ。強く勇敢な王と誇り高き貴族達。
過ぎ去りし過去の栄華はこの中庭のように醜く朽ち果てた」
困惑するデルフの前でワルドは歴史の講釈を続ける。
まるで名残惜しむかのように練兵場へと向けられるワルドの視線。
彼はワルドの悲しげな瞳の中に憎悪を感じていた。
だが、それが何に対してのものなのか彼には理解できなかった。
「しかし時には下らない理由で決闘になる事もあった。
例えば……どちらが強いのか決着をつけたいなんて事でもね」
ワルドの杖に手が掛けられる。
それを見ながらハッとデルフが笑う。
「何だ、さんざ勿体つけて結局それか。
因縁つけて喧嘩吹っ掛けたいだけかよ。
犬に嫉妬なんざみっともなくて見てられねえな」
「ああ、そうだな。それも理由の一つだ」
デルフの悪態にもワルドは表情を崩さない。
それで相手が本気だとデルフは分かってしまった。
こちらにその気なかろうが向こうは平然と仕掛けてくる。
逃げようとすれば背中から斬り付けるだろう。
「…どうやらやるしかないようだぜ相棒」
それに黙って頷きデルフを引き抜こうとした瞬間。

552 :ゼロいぬっ!:2007/10/26(金) 20:53:08 ID:L5YjEUUm
「双方、そこまでだ!」
中庭に女性の声が響き渡った。
振り向くとそこには鋭い目をしたアニエスがいた。
視線の先に捉えているのはワルド。
まだ彼の手は杖に掛かったままだった。
アニエスは状況を推測し訊ねる。
「これはどういう事ですか子爵?」
「なに、同行相手の実力は知っておきたいだろう?」
「彼の実力は既に拝見しています。
無駄な争いで戦力を損耗させるなど愚行です」
ワルドとアニエスが口論する中、ルイズはどうするべきか戸惑っていた。
アニエスの言う事は正しい。
それに私は使い魔もワルド様も怪我して欲しくない。
だけど彼女の口調は強く、まるでワルド様を責め立てるようだった。
どちら側に付くべきか悩む彼女を余所に口論は激しさを増す。
だが、それはワルドの一言で終焉を迎えた。

「君はいつから貴族相手に命令できるほど偉くなった?」
「!!?」
刹那、アニエスの首筋に一筋の冷たい感触が走った。
恐る恐る自分の首に手を当てる。
ようやく頭と胴が繋がっている事を実感し息を漏らした。
竦む私の横を通り抜けて子爵はルイズの下へと歩み寄る。
そして彼女の頭を撫でながら彼に振り返り告げた。
「どうやらルイズを困らせてしまったか。勝負はお預けにしよう」
それだけ告げると私には一瞥もくれる事もなく彼は中庭から去って行ってしまった。
「はぁ…はぁ…は……」
止まっていた呼吸が猛烈な勢いで再会される。
ワルド子爵の殺気に当てられ流れ落ちる冷たい汗。
首を刎ねられたと思った…否、確実に刎ねられていた。
ここにミス・ヴァリエールがいなければ。
彼は並々ならぬ興味を彼女とその使い魔に抱いている。
そして、それ以外の者には目もくれない。
だが邪魔するのであれば容赦なく排除するだろう、それが平民なら尚更に。
(……貴族らしさ、か)
ワルド子爵を貴族の鑑と評する者は多い。
だが貴族であるが故に平民を何とも思っていないのだろう。
もし逆らえば平民の私に次は無い。
メイジ殺しと呼ばれても子爵との差は歴然。
情けない話だ、私は戦う前から敗れたのだ…。


553 :ゼロいぬっ!:2007/10/26(金) 20:54:29 ID:L5YjEUUm

夕方過ぎ、ワルド様がグリフォンに乗って戻ってきた。
既に船長と交渉しアルビオンに渡る手筈をつけたらしい。
出航は今夜、今すぐにでも船に乗って待機していた方がいいんだけど。
「うう……」
ちらりと視線を向けた先には二日酔いのギーシュ。
顔面は蒼白で今にも死にそうだ。
朝早くに私の部屋の扉を叩く音とアニエスの大声で
ただでさえガンガンと痛む頭が止めを刺されたそうだ。
そして何故か私の使い魔もいない。
「待っていても仕方ない。僕達だけでも先に船に…」
「いえ! 私が探してきます!」
ワルド様の声を遮り席を立ち上がった瞬間、大きな音と共に扉が開け放たれた。
期待と共に振り向いたその先にはボウガンを構える集団の姿。
何が起きたのか判らないまま立ち尽くす私に一斉にその矢は放たれた。

「危ない!」
周囲に展開される旋風の守り。
それが矢の軌道を捻じ曲げ標的から逸らす。
更に次の射撃に備えエア・カッターでテーブルの足を切り盾にする。
襲撃される事を知っていればこそ彼の行動は迅速で的確だった。
今回は何の指示もしておらずルイズもワルドも標的に含まれている。
だからこそ疑いを晴らす事が出来る。
たとえ相手が何人いようともワルドはルイズを守りつつ突破できる自信があった。
だが他の二人にはそれが出来ない。
平民と戦闘経験のないドットメイジ、どちらも身を守るので精一杯だろう。
「あいつらは一体…!?」
「恐らくは森であった連中と同じだ」
「じょ…冗談じゃない!」
ルイズの疑問にアニエスが答える。
まるで付け回すかのように繰り返される襲撃に、
ギーシュの顔が恐怖で真っ青になっていく。
ここに彼女の使い魔がいたならば、
目前の敵を蹴散らしてしまうのだろうがそうはいかない。
今頃、彼はフーケが引き付けている。
この状況ならば分断されても不自然には映らないだろう。
「奴等の狙いが任務の妨害だとすると船が沈められるかもしれない」
ワルドの言葉に一同が凍りついた。
確かに街中にまで仕掛けてくる連中だ。
それぐらいしてきてもおかしくない。
「急ぎ船に向かう必要がある。
僕とルイズだけなら何とか突破できる、その間敵を引き付けてくれ!」


振り下ろされる巨大な拳。
それが岩を打ち砕き、散弾さながらに破片を飛ばす。
大小入り混じった礫の中から彼は致命的な物だけを避ける。
これが地の利と言うものだろう。
かつてフーケと戦った時よりも彼は苦戦を強いられていた。
なによりも彼の焦りが一段と冷静さを奪っていく。
彼女と遭遇したのは町の散策に出た時だった。
突然、彼の嗅覚がフーケの敵意を感じ取ったのだ。
その臭いには明らかな誘いを感じた。
だがフーケのゴーレムは放置できない。
もし岩か何かを宿に投擲されたら彼には防げない。
先手を打って潰さない限り、ルイズ達は守れない。
そしてフーケの狙い通り、彼は一行から引き離された。
その直後に宿が襲撃されるなど想像もせずに。
今、彼はルイズの不安を感じ取っていた、
一刻も早くフーケを倒して合流しなければ…。

554 :ゼロいぬっ!:2007/10/26(金) 20:56:50 ID:L5YjEUUm

「ほらほら、どうしたんだい?
早くしないと嬢ちゃん達が死んじまうよ」
そんな事を言いながらフーケは内心ハラハラしていた。
ゴーレムの肩に掴まり自らの姿を晒しての戦闘。
それが逆に自分に攻撃を集中させる事で攻めの幅を狭めているのだ。
どこに隠れようと見つかるならという苦肉の策だったが、
焦る彼の心理と相まって絶大な効果を上げていた。
もしも冷静にゴーレムへの攻撃も視野に入れていたなら、
今頃は殺されていてもおかしくはない。
まだ変身もしてないし、この調子なら案外上手くいくかもしれない。
そう思っていたフーケに向かって突然、氷の矢が降り注いだ。
「チィ…誰だい!?」
彼女が上空を見上げる。
そこには力強く羽ばたく一匹の風竜。
そして、その背に乗った二人のメイジの姿。
瞬間、彼女の脳裏に思い浮かんだのはあの日の敗北だった。

「あら、いやだ。もうボケたの? 年取るのってイヤよね」
「っ…! 誰がオバサンよ、誰が!」
「……それは言ってない」
頭上で繰り広げられる口喧嘩を彼が呆然と見上げる。
いや、言葉が出なかったのだ。
一緒に戦った心強い仲間がまた再び戻ってきた。
その嬉しさを表現する言葉を彼は持っていない。
ただひたすら再会の喜びに尻尾を振る。
それに少しだけ微笑を返しながらタバサが告げる。
「フーケは私達が。貴方はルイズの所へ」
「そうそう。これぐらいしなきゃ借りは返せないもの」
「わんっ!」
それに彼は力強く返す。
そして二人に感謝ながら彼はルイズの下へと走った。
判っている、二人だけではフーケ相手には厳しいと。
だが、そんな事は二人も判っている。
それでも自分に行けと言ってくれたのだ。
留まる事は許されない、二人を信じてただひたすらに走る!

555 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 20:58:26 ID:eaV9qXx9
sien

556 :ゼロいぬっ!:2007/10/26(金) 20:58:31 ID:L5YjEUUm

その姿を見届けたタバサが振り返り告げる。
見据える先にいるのは土塊の巨人とその主。
「今度は貴方達が焦る番」
「さあ、そいつはどうだろうねえ?」
確かにここで逃したのは痛い。
しかしまだあの胡散臭い剣士がいる。
アイツなら勝てないまでも足止めぐらいは出来る筈だ。
それにこいつらを倒し、宿へ攻撃を仕掛ければ奴も戻らざるを得ない。
どの程度の実力かは前の戦いで把握している。
問題ない、確実に倒せる相手だ。
フーケの杖に合わせ巨人が両腕を掲げる。
「さあ掛かってきな! 力の差ってのを教えてやるよ!」
「あら、歳の差じゃなくて?」
「……殺す!」
まるで水を得た魚というべきか、
キュルケの挑発に感心しながらタバサがシルフィードを駆る。
万全のフーケ相手には勝ち目がない。
だが焦りと怒り更には慢心、これだけの隙を作った彼女ならば話は別。
いかに巨大な岩でもヒビが入れば脆くも崩れる。
それでも一人では無理、だけど二人なら…。
「さあ、やっつけるわよタバサ」
「…うん」
今なら言える。
彼女達を頼もしく思える気持ち。
それは私の弱さなんかじゃない、これが私の強さなんだと…。


「次!」
撃ち終わった銃をギーシュに渡し、
今度は装填の終わったものを受け取る。
盾から身を乗り出しアニエスが銃を構える。
放たれた弾丸が接近しようとした男の足を撃ち抜いた。
男の上げる悲鳴が他の連中の足を止めた。
銃と弓。互いに遮蔽物に隠れての撃ち合い。
膠着状態が崩れようとする度に起きる銃撃戦に膝が震える。
ギーシュのやっているのただの弾込め作業だけ。
この状況で多数の敵を押し込めているのはアニエスの技量に他ならない。
三丁の小銃を交互に使い射撃の隙を減らす彼女の知恵。
そして確実に敵を仕留める射撃。不利な戦況にも拘らずに冷静さを保つ胆力。
どれを取っても並の兵に出来る事ではない。

ギーシュには判らなくなっていた。
彼女のような人物が何故こんな地位にいるのか。
平民とメイジの差は大きいと思っていた。
だけど違う、平民だろうがメイジだろうが関係ない。
彼女は自分よりも遥かに優秀だ。
それが評価されないのが悔しかった。
でも、もしこの任務を達成できたなら彼女は認められる。
そして、いつかは兵を動かす立場の人間になるだろう。
知っていたんだ、僕には父上のような才能はない。
軍を指揮すればみすみす兵を無駄死にさせるだけだと。
だがアニエスなら…彼女なら出来る。
僕の代わりに王国と姫殿下を守ってくれる。
自分が信じられる人間に未来を託したいのだ。

557 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 20:59:33 ID:QYMsuDUB
逆に考える、爆発起こすとバレないように油やアルミ粉末を撒くにはどうすればいいか、から考えればよかったんだ。
ワルキューレが中身カラッポなら、前もって錬金しといたワルキューレの中に
油をたんまり詰め込んでおくとかな。
方向性は悪くなかったと思うので次の投下を楽しみにしているぜ!

558 :ゼロいぬっ!:2007/10/26(金) 20:59:46 ID:L5YjEUUm
「…子爵の後を追うんだ。今ならまだ追いつける」
なけなしの勇気を振り絞ってアニエスに告げた。
グリフォンと人の足では比べるべくもない。
だが船もすぐさま出航できるとは限らない。
それなりに手順を踏まなければならないだろう。
「バカを言うな。おまえ一人で何が出来る?」
「足止めぐらいなら」
「無茶に決まっているだろうが!」
「無茶でもやるんだ!」
頭から否定するアニエスを語気を強めて怒鳴る。
唖然とする彼女の目を見つめる。
彼女の目が白黒しているのが良く分かる。
まさか僕にこんな事言われるとは思いもしなかったのだろう。
当然だ、僕も言えるとは思わなかった。
今日の彼女は彼女らしくない。
ワルド子爵と何があったかは知らないけれど彼の言葉にあっさりと従った。
いつもならもう少し疑ったり否定したりした筈なのに。
だから怖くないと錯覚したのかもしれない。
「やらなきゃいけない事があるんだろ…?」
「…!!」
僕だってバカじゃない。
彼女ならゲルマニアに行った方が成功できる。
それをトリステインで頑張っているのは理由があるからだ。
だったら果たさなきゃいけない。
やるべき事があるなら…ここで止まっちゃいけないんだ。

「………………」
アニエスが黙って僕を見つめ返す。
互いに視線を外さぬまま時間だけが過ぎていく。
そして彼女は呆れたように溜息を漏らしながら口を開く。
「言ったからにはちゃんとやって見せろ」
「へ?」
「足止めだ」
アニエスが小銃の一つに手を掛け肩に背負う。
床に置いた火薬と弾丸も腰のポーチに戻す。
それは迎撃ではなく追跡の為の準備。
笑顔で頷く僕に彼女は続ける。
「そうだな。これは“私達”の任務だ。
ワルド子爵に横から指図される謂れはないし、
他人任せで任務を果たす気など更々ない」
真っ直ぐ見据える先にはワルド子爵が出て行った裏口。
その力強い眼差しを見てギーシュは確信した。
いつものアニエスが戻ってきたと。
「いいか、何人か足を撃って動けないようにしてある。
そろそろ誰かが助けようとする頃合だ、助けようとする奴を容赦なく撃て。
誰も助けようとしなくなったらもう一発、動けない奴に撃て」
…うん、本当にいつも通りの彼女だ。


559 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 20:59:58 ID:4dhSuF43
シエンスタ

560 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 21:00:00 ID:eaV9qXx9
支援・ボール・ラン

561 :ゼロいぬっ!:2007/10/26(金) 21:01:41 ID:L5YjEUUm

「最初に言っておく、私は貴族が嫌いだ」
「まあ、平民に好かれる貴族の方が珍しいよ」
矢がテーブルを叩く音を聞きながら彼女が脱出のタイミングを計る。
その間、残った銃に弾を装填しながら彼女の話に耳を傾ける。
これから一人で戦う事を考えると無駄話もいいものだ。
夕食を吐き戻したくなる緊張が紛れる。
しかし、それも途切れた。
タンッと床を蹴って彼女が躍り出たのだ。
「出てきたぞ! 今だ!」
連中の中で威張っている男が声を上げる。
しかし射掛けようにも連中の矢は装填中。
所詮は数がいても指揮が整っていなければ力は発揮されない。
悠々と裏口へと回る彼女が不意にこちらを向く。
また何か指示が来るのかと思った僕に彼女は囁いた。
「だが、おまえのような奴は嫌いじゃない…死ぬなよ」
たった一瞬だったけど確かにアニエスは微笑んでいた。
目の前の恐怖も間近に迫った死も全てどこかに消えていた。
もし勝利の女神っていうのが本当にいるなら、きっとあんな風に笑うんだろうな。
駆け抜けていく彼女の足音を聞きながら敵へと向き直る。
敵は多数、手持ちは小銃二丁にワルキューレが七騎。
圧倒的な不利な戦況にも拘らず気力が満ち溢れる。
「“殿は戦場の華”と父上は仰っていったな。
ならば、このギーシュ・ド・グラモンにこれほど相応しい役目はない!」

散るのを恐れて咲かぬ薔薇はない。
咲き誇るのは自分を見てくれる誰かの為。
たとえ、それが一瞬でも構わない。
それを貫き通すのが僕の『見栄』なのだからッ!


562 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 21:01:59 ID:eaV9qXx9
支援潮流

563 :ゼロいぬっ!:2007/10/26(金) 21:03:06 ID:L5YjEUUm

沈んだ夕日が地表と重なって地平線を赤く染める。
まるでそれはこの地で流れた鮮血のよう。
それを見上げながらケンゴウは一人思い馳せる。
(…逢魔ヶ時とはよく言ったものだ)
夕と夜を隔てるこの一時を開祖の世界ではそう呼んだらしい。
この世の者ならぬ怪物が姿を見せる刻限という伝承。
それは正しく現実の物に成ろうとしていた。
「来たか…」
口に剣を咥えた一匹の犬が駆ける。
獣から漂う気配は尋常の物ではない。
大枚を叩き手に入れた名工の逸品と今日まで磨き上げた剣の腕。
その両者を合わせても未だに腕の震えは止まらぬ。
ラ・ロシェールまで来た以上、船での渡航が目的なのは確実。
ましてや今宵はスヴェルの月夜。
襲撃されれば桟橋まで行こうとするだろう。
ならば、その途中で待ち伏せれば存分に戦えるという読みは的中した。
もはや互いに退く道はない。
開祖と同じ異世界から来たのも縁。
どちらかが敗者の屍を踏み越えて生きるが定め。

「往くぞ! 我が乾坤一擲の太刀、受けてみよッ!!」
走る獣の眼前に飛び出し抜き身の刃を一閃する。
しかし、それはデルフによって容易く受け止められた。
瞬間、刃に走ったヒビが剣を上下に分断する。
砕けた剣先は石床の上を滑るように飛んでいった。
「なっ……!?」
唖然とした表情で男は彼を見送った。
その間、彼は攻撃どころか見向きもしなかった。
彼の眼中に自分の姿など映っていなかったのだ。
自身の無力に打ちひしがれて男の膝が落ちる。
「まさか…鋼鉄を断ち切ると謳われたシュペー卿が鍛えし業物が…、
たった一合も持たずに打ち砕かれるとは…」
己の未熟ゆえか…否、今の一刀は比類なき一撃だと自覚している。
受け止められるだけならばまだしも剣をへし折られるなどと…。
「まさか!!」
ケンゴウが顔を上げる。
互いの剣が衝突して折れたのならば相手の剣が勝ったと見るが必然。
ならば、あの剣はシュペー卿の逸品を遥かに越える物なのか!?
そんな物は自分の知る限り一つぐらいしかない。
「では、あれが伝説の使い魔ガンダールヴが振るったという魔剣か…!」
(正に鬼に金棒というべきか…)
これでは勝ち目はない、と彼は立ち去った。
仕事は果たせなかったし支度金を返せと言われても困る。
フーケに気取られる前に彼はゲルマニアへの夜逃げを決意したのだった…。


564 :ゼロいぬっ!:2007/10/26(金) 21:05:13 ID:L5YjEUUm
投下したッ!!
次回はバオー対ワルド!

565 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 21:06:41 ID:rZwJCh76
シュペーの本気名剣なのかあの手抜きなのかで俺の中でケンゴウが変わる
GJ


566 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 21:12:02 ID:eaV9qXx9
乙!
ワルド露骨過ぎるぞw
ってか 犬に嫉妬→ルイズとわんこが○○○な妄想をした変態だと思われても仕方ないぞワルドww
そしてケンゴウへぼい癖に妙に物知りだなwww
次回もktkして待ってる!

567 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 22:02:40 ID:eHyxOpZg
一瞬ゼンガーかと思った

568 :サブ・ゼロ ◆oviEMgpce6 :2007/10/26(金) 22:10:28 ID:5DkjP8BO
GJ!
ケンゴウがどんな活躍をするのかと思ったらw

そして20分ぐらいから投下したいッ!

569 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 22:12:46 ID:4dhSuF43
きたぁ!こい!

570 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 22:15:43 ID:ZuAo/DPG
>>565
本物のシュペー卿の剣で、デルフと打ち合ったから固定化吸われたかもだぜ

571 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 22:17:11 ID:sOoEefcF
イチゴシロップが来るぞー!!皆カキ氷を準備しろ!!!

572 :サブ・ゼロの使い魔(1/16):2007/10/26(金) 22:21:15 ID:5DkjP8BO
モット伯は杖を振りながら、水の鞭を避け続けるギアッチョに嘲笑を
投げかける。
「クックック・・・貴様は全く平民の象徴のような男よ
そうやって何も出来ずに逃げ続けることしか出来ない平民のな」
優越感に酔う彼は気づかない。見下すことに慣れすぎた瞳には、
常人ならざるギアッチョの動きに違和感を見出すことさえ出来なかった。
「貴様ら弱者は実に面白い 強者と対峙した時、貴様らは逃げる
ことしか出来ないということをいつも証明してくれる 謝罪、懇願、
逃避・・・それが貴様ら弱者のお定まりのパターンだ その絶望が
実に面白い!ぬははははははははッ!」
「ほー、そいつぁ確かに面白ぇな ところで弱者ってなぁ誰の
ことを指してんだ?」
右上から飛来して来た水鞭を受け止めるかのように、ギアッチョは
スッと片手を差し出した。
「バカが!!」
ギアッチョが混乱したものと考えたらしいモット伯が暗い笑みを
浮かべると同時に、水の蛇はギアッチョの掌に命中し――

パキン。

頭から尻尾まで、全てが完全に、そして一瞬で凍りついた。
「・・・・・・へぇ・・・?」
状況を理解出来ず、モット伯は間抜けな声を上げる。次の瞬間、
重力に忠実に従った氷の蛇は地面に叩きつけられて粉砕した。
「・・・な、何が起きて・・・」
呆然と呟きながら、モット伯はじりじりと後ずさる。それに
合わせて、ギアッチョはずいと前に進み出た。彼の振り撒く
縮み上がらんばかりの殺気に、モット伯はようやく気がつく。
「おいおい、伯爵様よォォ〜〜〜〜〜 徒手空拳の平民如きに
何をそんなに怯えてんだァァ?」
ギアッチョの嘲りに、モット伯のプライドはかろうじて再燃した。
「だ、黙れ黙れ黙れッ!!平民風情が、もういい!今すぐ死ね!!」
再び血が上った頭を振って、短くルーンを唱える。掬い上げるように
振った杖に合わせて、砕けた氷の破片がギアッチョ目掛けて散弾の
如く襲い掛かったが、
「無駄だ その程度の低い脳味噌でしっかり理解しな・・・」
見えない何かに阻まれて――それらは虚しく四散した。そのまま
モット伯の目の前に上体を突き出して、ギアッチョはゆっくりと
宣告する。
「てめーは、弱者だ」

573 :サブ・ゼロの使い魔(2/16):2007/10/26(金) 22:23:06 ID:5DkjP8BO
恐怖と怒りと屈辱で、モット伯の顔は真っ赤に震えた。ぎりぎりと
握り締めた杖を力一杯振りかぶる。
「ラ、ラグーズ・ウォータルぶっげぁあぁ!!」
ギアッチョの拳を至近距離から顔面に叩き込まれ、モット伯は
壁際まで吹っ飛んだ。
「げほッ・・・き、貴様!!貴族の私を殴ったな!!死刑だ、
しし、死刑にしてやるぞッ!!」
尻餅をついたまま鼻血を片手で抑えて叫ぶモット伯に、ギアッチョは
侮蔑の眼を向ける。
「ああ?てめー・・・貴族だから殴られないと思ってたわけか?
人を殺そうとしておいてよォォォ〜〜〜 てめーは殴られる
『覚悟』すら出来てなかったっつーわけか?」
「黙れ黙れ黙れッ!!家畜がほざくな!私は貴族だ、伯爵だぞ!!
薄汚い平民如きがぐぶぉおッ!!」
言葉の途中で顎を容赦無く蹴り上げられ、モット伯はアーチのように
仰け反った。その前に屈み込んで、ギアッチョは世間話のような調子で言う。
「よぉ、知ってるか?その身を賭して領民を守るのが貴族ってやつ
らしいぜ つーことは、だ・・・てめーは貴族なんかじゃあねーって
ことになるなァァァ」
「は・・・はガッ・・・ よ、寄るな虫ケラが・・・私は貴族だ・・・
伯爵なんだ・・・」
「いーや違うね てめーは貴族でも平民でもねぇ・・・ただのゴミ屑だ」
「・・・な、何だと・・・ 平民のぶ、分際でこの私にうごぉォッ!!」
モット伯の顔面を裏拳で横殴りにブッ叩き、そのまま眼鏡の位置を直す。
「さっきから平民平民とうるせーがよォォォーーーー てめーは一体
何をして自分を貴族だと思ってやがるんだ?ええ?おい」
「そ、」
開きかけた口を、ギアッチョは掌底で強引に閉じさせる。
「当ててやろーか?てめーにゃあ誇りも信念も、倫理も道徳もねえ
あるのは運良く持って生まれた魔法と財産だけだ 違うか、オイ?
魔法が使えるから貴族で、財産があるから貴族・・・てめーの頭ン中に
あるのは、たったそれだけだ」
「そこで」と継いで、ギアッチョは左手を持ち上げる。まるで飲みかけの
ペットボトルに手を伸ばすような気安さでモット伯の杖を掴むと、
「・・・な、あ、ああぁああ・・・!!」
硬質的な音を立ててそれはあっと言う間に氷の柱へと姿を変え。

バキンッ!!

ギアッチョの手によって、容易くヘシ折られた。
「・・・さて、これでてめーの拠り所は消えちまったわけだ
おい、杖が無くなりゃあどうするんだ?お偉い伯爵様よォォォーー」
狩をする獣のような眼光で、ギアッチョはモット伯を見下ろした。

574 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 22:23:36 ID:sOoEefcF
ツンドラ支援

575 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 22:23:54 ID:4dhSuF43
しえん

576 :サブ・ゼロの使い魔(3/16):2007/10/26(金) 22:24:34 ID:5DkjP8BO
衛兵から隠れながら、迷路のような邸内をシエスタ達はおぼろげな
記憶と勘を頼りに出口へと走る。
「え、ええっと・・・多分こっちです!」
「あれ?確かこっちだったような気がするんだが」
「違う、こっち」
「ってどっちなのよ!」
ひょっとしなくても、彼女達は迷子だった。シエスタを除く三人は
先程の往路しか知らないし、シエスタとて似たようなものなのである。
埒があかなくなったタバサは、こんな時まで読んでいた本を閉じ、
動きを止めて目蓋を落とした。
「タバサ・・・?」
「・・・風はこっちから」
呟くように言って、タバサはまた走り出した。風のメイジの言葉を
信じない理由はない――シエスタとギーシュはすぐに後を追って
駆け出す。その後ろを、ルイズが少し息を荒げながら着いて行く。
その原因は、胸に抱えるデルフリンガー。「素手のほうが都合がいい」
ということで、ギアッチョに預けられたのだった。持ち運ぶだけならば
問題はないが、抱えて走るには彼女の細腕には重すぎる。だがルイズは
文句を言おうとは思わなかった。ギアッチョが自分に何かを頼んで
くれたことが、彼女は純粋に嬉しかった。
「わりーなルイズ 姿形は変えられても重さばかりはどうしようもねぇ」
「そんなのあんたが気にすることじゃないわよ 衛兵連中にメイジが
混じってたら働いてもらうんだしね」
「ま、そいつぁ任しとけ 旦那のお陰でこんな時ぐれーしか出番が
ねーからよ」
一人と一本は小声で笑い合う。デルフの軽口が、ルイズの緊張を
和らげていた。
「しっかし、さっきは随分と大胆だったじゃねーの お前さんも
やるときゃやるもんだね」
楽しそうに言うデルフと対照的に、ルイズはきょとんとした顔をする。
「大胆?」
「大胆も大胆、『あなたがいれば他には何もいらないわ!』なんて
中々言えるセリフじゃねーよ ありゃ一種の告白だね」
わざとらしく声を真似するデルフに、一瞬置いてルイズの顔はぼふんと
茹で上がった。

577 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 22:24:38 ID:+B1+6I2J
支援

578 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 22:25:57 ID:sOoEefcF
このルイズは大好きです的支援

579 :サブ・ゼロの使い魔(4/16):2007/10/26(金) 22:26:51 ID:5DkjP8BO
「だっ、な・・・ちち、違っ・・・!ああああれはそんな意味なんかじゃ
ないわよ!ていうかそ、そこまで言ってないでしょ!!」
「いーや言ったね、言ったも同然だね 俺にはひしひしと伝わったぜ
何てーの、ありゃ愛だね愛 溢れんばかりの恋情が、」
「な、なななな何恥ずかしいこと言ってんのよバカっ!!違うって
言ってるでしょ!?あ、あいつのことなんて全然全く一切これっぽっちも
気になってなんかないんだからっ!!」
「解ってる解ってる もう気になるなんて段階じゃないんだよな
しかしあのセリフじゃまだまだ弱いな 旦那はああ見えてかなりの
朴念仁だからな、もっとこう好きだの愛してるだのはっきりした言葉を
交えつつ――」
「・・・ち、ちち違うって言ってるでしょこのバカ剣ーーーーっ!!」
滔々と語るデルフリンガーを遮って無理矢理鞘に戻し、ルイズは肩で
はぁはぁと息をする。
もしかしたら、いや、認めたくはないが多分きっと、自分は恋をして
いる――それはデルフに言われなくとも、自分で理解していることだ。
しかしそんな恥ずかしいことを他人に知られることだけは出来ない。
ていうか無理。絶対無理。これが誰かに知れるぐらいなら、いっそ死んで
しまったほうがいくらかマシかもしれない。
そういうわけで、一つ溜息をついて上げた顔の先で三つの視線が自分を
凝視していると気付いた時――彼女は心の底から泣きたくなった。

慌てて姿勢を正して、シエスタはコホンと咳をする。
「え、えーと・・・ミス・ヴァリエール、その・・・ど、どうか
なさいましたか?そんな所で立ち止まられて・・・」
ぎこちない笑顔で問い掛けるシエスタに、ルイズは真っ赤に上気した
顔を少し和らげた。
――・・・あ、あれ もしかして聞こえてない・・・?
「そ、そうよね 結構距離が開いてたものね」と心の中で呟きながら、
恐る恐るタバサを見る。
「・・・・・・急いで」
そう言いながら、タバサはルイズに背を向けた。
――や、やっぱり・・・聞こえてないかも
ルイズはほっと胸を撫で下ろす。どうかそうであって欲しいと願う
彼女の眼には、タバサのほんの少し染まった頬は見えなかった。
「なんとかなった」と、三人は一様に独白する。しかしそんな彼女達の
苦心を見事にブチ壊す男が一人。
「安心したまえルイズ、最初は皆そういうものなのさ ある日突然、
雷に打たれるように、或いはふっと花の香りが届くように己の恋の
つぼみの存在に気付く、それが恋心というものなのだよ そう、
僕とあの可憐なモンモランシーも(中略)、だから今は解らなくても
いいのさ いつか君もハッと気付く時が来る、そしてその時こそが
二人の恋の――」
造花の薔薇を取り出してデルフリンガーの何倍もアレなことを
のたまうギーシュに、場の空気は一瞬で凍りついた。

580 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 22:27:29 ID:ijw/eTdV
支援!

581 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 22:29:30 ID:+B1+6I2J
支援

582 :サブ・ゼロの使い魔(5/16):2007/10/26(金) 22:29:31 ID:5DkjP8BO
「・・・あ、あのー・・・ミスタ・グラモン、少し空気を・・・」
「そう!空気のようにいて当たり前だと思っていた人間が、ある日
突然特別に感じられる、それが恋の萌芽なのさ!かく言う僕と
モンモランシーも(後略)」
水を得た魚のように得々と語り続けるギーシュにシエスタはこの世の
終わりのような顔をし、タバサはそそくさと読書に逃避した。
「・・・ち・・・ち・・・・・・」
真っ赤な顔で肩を震わせるルイズの様々な感情は、今静かに限界を
突破した。
「父?」
「違うって言ってるでしょうがぁあぁああーーーーーっ!!!」
直下型の地震のように爆発したルイズの叫びは、広大な館中に轟いた。
――そう、「館中」に。
「こっちから声が聞こえたぞ!」
「いたぞ!あそこだ!」

「「あ。」」

・・・そんなわけで、彼女達は一瞬にして大ピンチに陥った。何せ
屋敷中の衛兵達に前から後ろから一目散に取り囲まれたのである。
その数は十や二十では利かなかった。一方、ギーシュが自分達の
周囲に配置したワルキューレはたったの三体。タバサの魔法も、
衛兵全てを薙ぎ倒す程の力は出せない。満身創痍な彼らの、それが
今の限界だった。
「・・・ご、ごめんなさい・・・」
ルイズは悪戯が見つかった子供のような顔で謝るが、それは色々な
意味で遅すぎた。
「見つかってしまったものはしょうがないさ それよりも何とか
切り抜ける方法を考えようじゃないか」
この事態を引き起こした一因であるところの少年は、いっそ清々しい
程爽やかに言い放った。しかしこの場の誰にも、それに突っ込む気力は
残ってはいなかった。おまけに、言っていること自体は全く正しい
ものである。衛兵達のど真ん中に投げ込んでやりたい気持ちを抑えて、
タバサは簡潔に方策を告げた。
「強行突破」
一見強引に見えるが、なるほどそれは確かに最善の方法かも知れない。
全員をいちいち相手にしていればジリ貧になるだけである。ならば
思い切って後方を放置し、前方を突っ切るのが最も負担の少ない作戦だと
思われた。
――・・・でも
懸念はある。自身の無骨な杖に、衛兵達はさほどの怯えを示していない。
それはつまり、彼らはメイジに対して何ほどかの場数を踏んでいる――
或いはそれに抗する策が存在している可能性があるということである。
「・・・彼らの中に、メイジが混じっている可能性がある」
「――まかせて」
デルフリンガーを抱える腕に少し力を込めて、ルイズはしっかりと
答える。それを合図に、彼女達は一斉に走り出した。

583 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 22:30:28 ID:ijw/eTdV
支援〜

584 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 22:31:01 ID:sOoEefcF
ギーシュ空気嫁www的支援

585 :サブ・ゼロの使い魔(6/16):2007/10/26(金) 22:31:28 ID:5DkjP8BO
ルイズ達の意図を理解して、前方の衛兵達は刃を潰した槍を構える。
その後ろから、不可視の風の弾丸が空を切って飛来した。
「ルイズ!」とタバサが素早く叫ぶ。
「デルフ、お願い!」
「あいよ!」
すらりと魔剣を引き抜いて、ルイズは前方を薙ぎ払うように掲げた。
その瞬間、風は荒々しく逆巻きながらその刀身に飲み込まれた。
「っつ、重っ・・・こんなのよく片手で持てるわねギアッチョは
ごめんシエスタ、鞘持ってくれる?」
「は、はい ミス・ヴァリエール」
ふらりとよろけるルイズから、シエスタは慌てて鞘を預かる。ルイズは
両手で柄を握り直すと、再び虚空に突き出した。ギュルギュルと
渦巻きながら、ウィンド・ブレイクは二発三発とデルフリンガーに
飲み込まれる。ダメージ一つないルイズ達に、余裕を保っていた
衛兵達はにわかにざわつき始めた。その隙を突いてタバサが撃ち放った
ウィンド・ブレイクが衛兵達を弾き飛ばすが――如何せんその数が多く、
海を割るように道を開くことは出来なかった。
不味い、とタバサは独白する。自分の放てるウィンド・ブレイクは
あと数発もない。これでは埒を明けることは相当に難しいだろう。
「・・・タバサ、大丈夫なのかい」
それを悟ったか、ギーシュが不安げな顔で問い掛ける。彼のゴーレムは
後方のガードに手一杯で、とても前面の攻撃に向ける余裕はなかった。
「・・・・・・」
タバサは答えない。その沈黙が、言葉よりも雄弁に現状を語っていた。
「・・・よ、よし!ならばここは、ぼ、ぼぼ僕が囮になろうじゃないか!」
ギーシュの頭はあっさり玉砕一色に染まってしまったらしい。杖を
ぶるぶると握りしめて、彼は高らかに叫んだ。
「お、おおお前達!こっちを見ろ、この僕が相手になってやる!
我が名は青銅のはォッ!!」
タバサの杖を脇腹に、ルイズの蹴りを脛に受けて、ギーシュは奇声を
上げてうずくまった。
「素性明かしてどうすんのよ!」
「バカ」
タバサの一撃が予想以上に効いたらしく、ギーシュは二人の罵倒に
返答も出来ず呻いた。
「・・・でもどうするの?このままじゃ・・・」
ルイズはタバサに肩を寄せて呟く。その先を語るかのように、衛兵達は
じりじりと間合いを狭めて来た。タバサが僅か黙考して開いた口を
遮って、シエスタは悲痛な声を上げる。
「も、もうやめて下さいっ!」

586 :サブ・ゼロの使い魔(7/16):2007/10/26(金) 22:33:30 ID:5DkjP8BO
三色三対の視線を受けて、彼女は絞り出すように続けた。
「もういいんです、私が出て行けばきっとここは収められます・・・
お三方の気持ちは本当に嬉しいです、だけどこれ以上は」
「嫌よ」
「えっ・・・」
「こんな所で逃げ出したら、ギアッチョに・・・リゾット達に
笑われるわ」
きっぱりと言い放って、ルイズは真っ直ぐにシエスタを見つめる。
その眼差しに決闘の時のギアッチョと同じ光を見て、シエスタは
それ以上を続けることが出来なくなってしまった。
「・・・どうして、こんな・・・ただの平民の為に、ここまで
するんですか」
俯くシエスタに、ルイズは少しためらいがちに答える。
「・・・ギアッチョの友達は、わ・・・わたしの友達だもの
そ、そうでしょ、ギーシュ」
照れ隠しに眼を逸らして言うルイズに、ギーシュは屈みこんで
腹を押さえた体勢のまま応じた。
「ぐふっ・・・そ、その通りさ 友の窮地を、誰が見捨てるものか」
「・・・友、達・・・?」
シエスタは呆けたように繰り返す。貴族であるルイズ達の言葉に、
彼女は耳を疑った。
「・・・で、でも 私は平民で・・・」
「関係無い」
小さく首を振るタバサの横で、ギーシュはよろよろと立ち上がる。
「タバサの言う通りだよ ギアッチョと付き合うようになって、
僕はやっと理解した・・・貴族と平民の間に、違いなんて何も
ないんだ 魔法が使えるか使えないか、ただそれだけのこと
・・・皆人間なんだ、ただ生きてる人間なんだよ」
「ミスタ・グラモン・・・わ、私は・・・」

「武器を捨てろ!!」

野太い声が、シエスタの言葉を遮った。衛兵達のリーダーと思しき
メイジの男が、ルイズ達に杖を突きつけて怒鳴る。
「何者か知らぬがここまでだ 何やら怪しげな術を使うようだが、
まさかこの人数相手に逃げられると思わぬことだな」
ルイズ達は、無論武器を捨てたりはしなかった。背中合わせに
身を寄せて、彼女達は無言で杖を構え続ける。
「抵抗を続けるか ならば少々痛い目に遭ってもらうぞ」
男の言葉と共に、衛兵達は一斉に襲い掛かった。

587 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 22:33:52 ID:zz+cTq1f
支援致す

588 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 22:33:59 ID:ijw/eTdV
支援支援

589 :サブ・ゼロの使い魔(8/16):2007/10/26(金) 22:35:03 ID:5DkjP8BO

「ひかえおろう!」

この場にそぐわぬ時代がかった物言いに、衛兵達は思わず動きを
止める。ルイズ達までもが眼を点にして声の主を見つめた。
彼女――タバサは、長大な杖を掲げて口を開く。
「我らを何と心得る 東方の魔人、無窮にして絶対なる者、
偉大なるお方の配下である」
「は、はぁ・・・?」
衛兵達は腑抜けた声を上げる。
「我らが主はあらゆる物を凍てつかせる先住魔法の使い手である
その絶大なるお力は、荒海を一瞬にして氷海へと変えるものなり
その脚は一息に百メイルを駆け、その腕は鋼をも引き裂かん」
芝居がかった調子で、タバサは嘘八百を並べ立てる。常ならば一笑に
付されて然るべき大法螺だが、黒装束の奇異な出で立ちとデルフに
よる魔法吸収が功を奏したか、衛兵達は神妙な表情を浮かべている。
そんな彼らを眺めて、タバサは再び口を開いた。
「我らが主は、不逞かつ悪逆なるジュール・ド・モットを許しはせぬ
彼の者は今、主の手によって然るべき報いを受けているであろう」
衛兵達は僅かにざわつき始める。メイジの男は彼らの間に生まれ始めた
恐怖を切り裂くように杖を振った。
「バカバカしい、下らぬ言い逃れはやめよ!そのような嘘が
通用するとでも――」

「ぬわーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」

絶妙なタイミングで悲鳴が響く。その声は紛れも無くモット伯の
ものであった。冗談とは思えない叫びに、衛兵達の間からはついに
「ひぃっ」という声が上がる。
「え、衛兵共!何をしている、はやく助けぶごぁあぁぁ!!
がふッ、お、おい貴様らどこへ――ひぃいいぃい!!」
予想だにしなかったモット伯の悲鳴が、衛兵達の心に明確な恐怖を
植えつける。いつしかリーダーらしきメイジまでもが、じりじりと
後退を始めていた。

590 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 22:35:04 ID:4dhSuF43
しえん

591 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 22:35:57 ID:ijw/eTdV
しえん

592 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 22:36:10 ID:4dhSuF43
タバサw

593 :サブ・ゼロの使い魔(9/16):2007/10/26(金) 22:36:59 ID:5DkjP8BO
「我らが主は、頭を垂れる者には寛大である しかし牙を剥く者には
容赦せぬ その者の心臓を凍てつかせ、五臓六腑を割り砕くであろう」
杖を大げさに振り回して、タバサは好き放題に恫喝する。そうかと
思えば、彼女は急に杖の矛先を変えてデルフリンガーを指し示す。
「見よ、あれこそがあのお方の魔剣、エターナルフォースデルフリンガー
である ひとたび振れば魔法を喰らい、大地を穿ち、雷雲を呼ぶ悪魔の剣
ならん 相手は死ぬ」
勝手に付加された設定への突っ込みを、デルフは何とか堪える。素早く
目配せするタバサに気付き、ルイズは大げさに彼を構えてみせた。
それを確認して、タバサは周囲を見渡す。わずか三メイル程の近くに
迫っていた衛兵達は、今や十メイルを遠ざかっていた。
「このまま逃げるならばよし しかし我らと剣を交えるならば――」
タバサの声に合わせて、ルイズはずいと足を踏み出した。

「アトミックファイヤーブレードを使わざるを得ない」

言葉の意味はよく分からんがとにかく凄い自信を持って放たれたその
言葉に、衛兵達はもはや隠すことも忘れてガタガタ震え出す。
「精神集中、一刀入魂、仇敵殲滅・・・」
トドメとばかりにぶつぶつ呟かれた呪詛に、
「うわぁああああぁあああああああああああ!!」
衛兵達は蜘蛛の子を散らす如く我先に逃げ出した。
「ちょっ、貴様ら!止まれ!止ま、あわーーーーーーーっ!!」
人の濁流が喚くリーダーを突き飛ばし、踏み倒し、ついには彼諸共
流れ去って、怒号と殺気がひしめいていた廊下はあっと言う間に静寂を
取り戻した。こくりと一つ頷いて、タバサは眼鏡の位置を直す。
「今宵の地獄はここまでとしよう」
「何なの?それどういうキャラなの!?なあ!」


一方、こちらはモット伯の寝室。
「おい〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜・・・もう終わりか?ええ?杖一本
折られた程度でよォォォ」
ギアッチョはつまらなそうに、ボロ雑巾のように倒れ臥すモット伯を
見下ろしていた。
「・・・た、助けてくれ・・・」
「ああ?」
「い、いくら欲しいんだ・・・好きなだけくれてやる だ、だから
助けてくれ――ガブッ!!」
顔面をモロに踏みつけられて、モット伯はくぐもった悲鳴を吐く。
「言葉遣いがなっちゃあいねーな 助けて下さいだろうが ええ?」
「・・・・・・た・・・助けて・・・下さい」
プライドも捨てて哀願する彼を冷たい双眸で眺めて、ギアッチョは
口の端を歪めた。
「助けるわけねーだろーが」
「そんな・・・!!」
絶望に震える伯爵をもう一度壁に蹴り込んで笑う。
「てめー、さっき弱者は逃げることしか出来ねーと言ったが・・・
ちょっと違うんじゃあねーか」
「・・・う・・・」
「真の弱者はよォォ〜〜〜〜・・・逃げることすら出来ねえ」

594 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 22:37:16 ID:sOoEefcF
モット死亡確認!!

595 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 22:38:21 ID:ucDe3PGx
エターナルフォースデルフリンガーwww
相手は死ぬwww

タバサGJ!支援だ!

596 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 22:38:59 ID:hKU24aij
支援した!

597 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 22:39:27 ID:6NKHmfHi
タバカッコイイ支援

598 :サブ・ゼロの使い魔(10/16):2007/10/26(金) 22:39:29 ID:5DkjP8BO
ギアッチョの言葉通り、モット伯には逃げる気力も残っては
いなかった。うわ言のように、ただ命乞いを繰り返している。
「・・・フン」
鼻を鳴らして「下らねえ」と呟くと、ギアッチョはスッと右手を
差し伸べた。
「オイ 掴まりな」
よろよろと出されたモット伯の手を掴んで、彼を立ち上がらせる。
「た・・・助けてくれるのか・・・?あ、ありが・・・ハッ!?」
ギアッチョの握り込まれた左手に気付いて、モット伯は悲鳴に近い
声を上げる。
「ま、待て!やめてくれ!!ここは二階――」

バッギャアアァアアァアアッ!!

「うげあぁあああぁああぁッ!!」
ガラスの砕ける音が派手に響き、モット伯は中庭の噴水へ悲鳴と共に
落ちて行った。壊れた窓の奥から見下ろして、ギアッチョは心底
楽しそうにクククと喉を鳴らす。
「やりすぎよギアッチョ ・・・ま、提案したのは私だけど」
呆れた声を出すキュルケに、肩越しに眼を遣って尚笑う。
「まだ終わりじゃあねーだろ おめーの出番を忘れんなよ」
「そこは大丈夫よ ほら、行きましょう」
キュルケの声に押されて、ギアッチョは中庭へ飛び降りた。彼に
レビテーションをかけると、その後を追ってキュルケは同じく魔法を
使って舞い降りる。

「・・・う、あ・・・」
噴水に半身を沈めながら、モット伯はかろうじて意識を保っていた。
しかしその身体は動かない。叩き付けられた衝撃よりも、殺されることの
恐怖が心身を麻痺させていた。
ばしゃりと水が跳ねる音が聞こえ、反射的に閉じていた眼を開く。
あの忌まわしい男が、ゆっくりとこちらに歩いて来る。
「・・・あ・・・・・・!」
声にならない声が漏れる。必死に逃げようとするが、死が眼前に迫る
にも係わらず身体は言うことを聞こうとしなかった。逃走の意思を
察してか、ギアッチョは水面にスッと片手をつける。その瞬間、
噴水中の水がビキビキと音を立てて凍りついた。
「ひっ・・・ひ・・・・・・!」
身体をガッチリと氷に捕えられて、モット伯は恐怖にただ震えた。

599 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 22:41:41 ID:hKU24aij
ちょwww相手は死ぬwww支援

600 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 22:42:06 ID:ijw/eTdV
支援

601 :サブ・ゼロの使い魔(11/16):2007/10/26(金) 22:42:18 ID:5DkjP8BO
一体何なんだ、この化け物は。
己に恨みのある人間などいくらでもいるだろう。そんなことなど
誰に言われずとも理解している。だからこそこれだけの警備を雇って
いるのだから。
しかし。
一体、この化け物は何なんだ。
こんなことは聞いていない。こんな平民が、こんな化け物が存在する
ことなど聞いていない。魔法は絶対なのではなかったのか?我々は
絶対なのではなかったのか?こいつは、こいつは一体――
「何・・・なんだ・・・!!」
掠れた声が、思わず口をついていた。しかし男は答えない。つま先が
触れ合う程の距離から、氷よりも冷たい瞳で己を見下ろしている。
「そのお方は――」
彼の後ろから声が響いた。今まで事態を傍観していた黒装束の女が、
朗々たる声音で語り始める。
「遥か東方、ロバ・アル・カリイエの魔人 能う者無き無限の魔力を
持ち、深遠なるお心で過去と未来を見通すお方――私達など足元にも
及ばぬ存在よ」
「・・・・・・!」
モット伯は絶句する。そんなバカな、等とは言えようはずもなかった。
呪句も唱えずにただ触れただけで飛び交う水や噴水までも一瞬で
凍結させる、そんな凄まじい力を眼の前で見せられたのだ。一体
どんなメイジならそんなことが出来るというのか――いや、例え
始祖であろうと出来はすまい。
「・・・嫌だ・・・」
氷に絡められた身体で必死にもがこうとするが、その指の一本すら
動かすことは叶わなかった。
「だっ・・・誰か・・・!!」
恥も外聞もなく助けを乞うモット伯を眺めて、黒いローブの女は
形のいい唇を笑みの形に歪めた。
「・・・ねえ あなた助かりたい?」
「は、はい!はいィィッ!!」
モット伯は一も二も無く返事をする。少し考え込むような素振りの
後で、黒衣の女は静かに口を開いた。
「そうねぇ・・・今から言うことに従うなら、助けてあげなくもないわ」

602 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 22:42:29 ID:nG54NPqY
支援!

603 :サブ・ゼロの使い魔(12/16):2007/10/26(金) 22:44:19 ID:5DkjP8BO
モット伯は首をブンブンと取れそうな勢いで振って肯定の意を示す。
女の口元に浮かぶ笑みが、一段大きくなった。
「いい心がけね・・・それじゃまず一つ」
「ひ、一つ!?」
「ご不満かしら?」
「いっ、いえ滅相もない!」
「よろしい まずはあなたが強引に買い取った女の子達を全員解放して
もらおうかしら」
全員、という言葉にモット伯は凍ったように固まった。「ぜ、ぜんいん
・・・?」弱く呟くが、女は許しはしない。
「出来ないのなら――」
「し、しますッ!解放します喜んでぇぇ!!」
「ならいいわ さて、それじゃ次だけど・・・あなたの所持している
禁制品、あれを全て始末なさい」
「そんなッ!?」
青ざめた顔をするが、女はやはり許さなかった。
「そう、一つ残らず 一応言っておくけれど、このお方に隠し事なんて
通じはしないわよ」
「一つ・・・残らず・・・?」
この世の絶望を集約したような顔のモット伯を、それでも女は許さない。
「あら、この期に及んでまだ私達を騙すつもりだったのかしら?」
「と、とんでもございませんッ!!」
「結構 さて、それじゃあ三つ目だけど」
「ひィッ!?」
男の片手が、モット伯の首を無造作に掴んだ。
「オレ達のことをよォォォ〜〜〜〜〜〜・・・誰かに言ってみろ」
「か、あ・・・!!」
ビキビキと音を立ててモット伯の首が凍り出す。獣のような双眸で己の
顔を覗き込む悪魔に、モット伯はこれまでで最高の戦慄を感じた。
「――殺すぜ」
男の手は、言い終えて尚離れない。このまま首を砕かれるのでは
ないかという恐怖に、
――た・・・助けて・・・神様、ブリミル様・・・!
モット伯は生まれて初めて本気で神に祈った。
無限に思える数秒を経て、男はようやくその手を離した。瞬間、
モット伯の首はまるで何事もなかったかのように元に戻る。
「・・・あ・・・・・・あ・・・」
肺腑から漏れ出た呼気と共に、彼の全身からへなへなと力が抜けていった。

604 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 22:44:22 ID:hKU24aij
ただがむしゃらに支援

605 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 22:46:02 ID:kC92f+X4
間に合え支援

606 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 22:46:09 ID:ijw/eTdV
これはいいトラウマになるな的支援

607 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 22:46:15 ID:+B1+6I2J
しえん

608 :サブ・ゼロの使い魔(13/16):2007/10/26(金) 22:46:21 ID:5DkjP8BO
「さて、それじゃあ最後だけれど」
「は・・・い・・・」
モット伯は力なく答える。もはや怯える余裕すら残ってはいなかった。
「二度と平民の女の子に手を出さないこと 禁制品にも手を出さないこと
その他一切の非道を止めること・・・解ったわね」
「・・・わかりました もうにどとなににもてはだしません・・・なにも
しません・・・」
魂の抜けた声で繰り返すモット伯を見遣って、黒装束の女は満足げに笑う。
「いいこと?もしこの先同じようなことをした場合――今度はその命を
手放すことになるわよ 永遠にね」
最後にそう言って、女は黒いローブを翻してモット伯に背を向ける。
立ち上がった男がそれに習うと、二人は驚く程あっさりと立ち去った。

男の姿が宵闇に消えると同時に、凍った噴水はばしゃんと音を立てて
一瞬の内に水へと姿を戻した。しかしモット伯はその場を動こうとは
しない。情けなく崩れ落ちた格好のまま、冷えた身体を温めることも
忘れて虚脱していた。

「・・・は ははははは・・・」
何分が過ぎただろうか。彫像の如く微動だにしなかったモット伯の
口から、唐突に笑い声が漏れた。
「ははは・・・生きてる・・・生きてるぞ・・・」
身体にかかる水を跳ね除けて、モット伯は勢いよく立ち上がる。
満天の星空に両の拳を突き出して、心の底から笑った。
「生きてる・・・俺は生きてる!うはははは、生きてるぞッ!!
ははははははははッ!!」


――後年、彼は聖人の一人に列されることになる。この日を天啓に
神職の門を叩いた彼は、私財を投げ打ってその生涯を窮する平民達の
為に捧げ、「慈雨のモット」と呼ばれるに至った。他人の非を咎める
時、彼は決まってこう言った。「神は全てを見ておられる 我らが
悪を為した時、神は人を遣ってその罪を罰されます」と。

609 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 22:46:46 ID:sOoEefcF
カキ氷うめえwww的支援

610 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 22:46:47 ID:imevNCEt
ディ・モールト支援

611 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 22:47:22 ID:tgqcSKj7
支援

612 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 22:47:35 ID:4dhSuF43
エターナルフォース支援
スレは死ぬ

613 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 22:47:39 ID:ErKooQao
支援が間に合った!
サブちゃんお久しぶりです

614 :サブ・ゼロの使い魔(14/16):2007/10/26(金) 22:48:18 ID:5DkjP8BO
モット伯に買われた女性達の解放はつつがなく完了した。彼女達を
全員解放させた理由は勿論善意によるものだったが、ギアッチョには
もう一つ、目的がシエスタ一人だったと悟らせないことで身元の判明を
防ぐという狙いもあった。従ってギアッチョは彼女達に感謝される
理由など自分にはないと思っていたのだが、それでも何度も頭を下げる
彼女達にどうにも居心地が悪くなり、一番歳若い少女に乗って来た馬を
寄越して早々にシルフィードの背中へ乗り込んだ。当然馬は学院の
備品なのだが、あんな任務をこなした後なのだからオスマンもその
くらい大目に見てくれるだろうと彼は適当に考える。
「・・・えっと、本当に私が乗ってもいいんでしょうか」
ギアッチョに続いてシルフィードの元へとやって来たシエスタが、
遠慮がちに問い掛けた。
「オレに聞かれてもな ま、そう大した距離でもねー 多少定員
オーバーでも頑張ってくれるだろうぜ」
言いながら、ギアッチョはシルフィードの背中をばしんと叩く。
「きゅい!」
「ほらな」
「言葉が分かるんですか?」
「そういうことにしとけ」
適当に答えるギアッチョに少し相好を崩して、シエスタはおずおずと
背中へ乗り込んだ。
「じゃあ・・・お、お邪魔します・・・」
応じるように、シルフィードはもう一つ鳴いた。

「・・・あの、本当にありがとうございました」
全員を乗せて夜空へ舞い上がったシルフィードの上で、シエスタは
土下座せんばかりに頭を下げる。
「もう何度も聞いたわよ」
苦笑交じりに返すキュルケに首を振って、彼女は尚も頭を下げた。
「どれだけ言っても言い尽くせません 本当に・・・本当に感謝
してるんです 家名まで賭けて助けに来ていただけたなんて・・・
ギアッチョさんも、そんな満身創痍で・・・私、一体どうやって
お返しすればいいのか――」
「この程度は怪我の内に入らねーぜ 一宿一飯の義理っつーやつだ」
何でも無いという風に手を振るギアッチョに続いて、薔薇の杖を
取り出しながら口を開いたギーシュをルイズの言葉が遮る。
「見返りが欲しくてやったんじゃないわよ わたし達はあんたを
助けたかっただけ それが叶ったんだから、他に何かを求める必要
なんてどこにもないわ」
「で、ですが・・・」
シエスタはしかし食い下がる。彼女にとっては、ルイズ達は己の人生を
救ってくれた救世主なのである。何千何万頭を下げても足りるものでは
なかった。

615 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 22:49:07 ID:hKU24aij
「支援」もする「かき氷」も食べる。両方やれるのが『サブゼロ』好きのいいところだ。

616 :サブ・ゼロの使い魔(15/16):2007/10/26(金) 22:50:58 ID:5DkjP8BO
「そうねぇ」
思案顔でシエスタを眺めていたキュルケが、思い立ったように口を開いた。
「それじゃ、今度厨房でご馳走でもいただこうかしらね?」
「・・・はしばみ草」
「それはやめろ」
タバサの小さな呟きを、ギアッチョは速攻で否定する。
「あ・・・」
キュルケ達の暖かな気遣いを感じて――シエスタはようやく、いつもの
笑顔を見せた。
「・・・はい」

遥か後方に小さく見えるモット伯の屋敷を眺めて、ルイズは呟くように
口を開いた。
「・・・ねえギアッチョ」
「ああ?」
「わたし、知らなかった」
ギアッチョは静かに隣に眼を向ける。少女は桃色の髪をなびくに任せて、
はにかんだ笑みを浮かべた。
「誰かを助けることって――こんなにも気持ちのいいことなんだって」
人はそれを、偽善であると言うかも知れない。しかし一体それが何だと
いうのだろう。ギアッチョは、リゾット達は、そしてルイズ達も――
彼らはいつだって、信じたことを貫き通しているだけなのだから。
「・・・」
ルイズに答えずに、ギアッチョは彼女の視線の向こうへと眼を移す。
彼方に薄く延びる山々の稜線から、朝を告げる光が射し込み始めた。
全てを赦す曙光を眺めて、眼鏡の奥の双眸を細める。
「――眩しいな」
そう言いながらも、ギアッチョは眼を逸らさずに呟いた。
「だが、ま・・・ 悪くねー気分だ」

617 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 22:52:21 ID:ijw/eTdV
このモット伯、生きてるだけ運がいいよね

618 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 22:53:00 ID:BjL3AGhw
支援

619 :サブ・ゼロの使い魔(16/16):2007/10/26(金) 22:53:42 ID:5DkjP8BO
程なくして一行は学院へと帰還した。シエスタをルイズ達に送らせて、
ギアッチョは一足早く部屋へと向かっている。彼女達の前で言いは
しなかったが、ギアッチョの疲労はもはや限界に近かった。
極力疲弊を隠す足取りで女子寮を歩く。包帯を巻いた身体でガンを
飛ばしながら早朝の女子寮を闊歩する長身の男というのは傍から見れば
かなり危ない絵面だが、彼は幸いにして誰の悲鳴も浴びることなく
ルイズの部屋まで辿り着けた。倦怠感溢れる動きでドアを開き、
「あでっ!」
デルフリンガーを投げ捨てるように置く。
「・・・あー・・・」
半ばもつれるような足取りで中に入ると、そのまま数歩ふらふらと進む。
「流石に、つれぇ・・・な」
ギアッチョはそのまま、力無く前方に倒れ込んだ。

「あれ?」
遅れること数分、戻ってきたルイズは開きっ放しの扉に首を傾げた。
キュルケと別れて、扉を閉めながら声を掛ける。
「ちょっと、扉ぐらい閉めなさいよ・・・って」
ベッドに倒れ伏すギアッチョに、ルイズは僅か動きを止めた。
「ギ、ギアッチョ!?大丈夫!?」
「あーあー、静かにしてやんな」
駆け寄るルイズを、デルフが静止する。よく見れば別に死んでいる
わけではなく、相変わらずの仏頂面で彼はかすかに寝息を立てていた。
「な、なんだ・・・ もう、心配して損したわ」
一つ溜息をつくと、「わたしも寝よう」と呟いてルイズはマントに手を
掛ける。するりと肩から落とした所で、ハッと顔を上げた。そっと
後ろを伺うと、ギアッチョが眼を覚ます様子はどうやらないようだった。
「・・・う〜・・・」
ルイズは少し恨めしげにギアッチョを見たが、すぐに背を向けて
そそくさと着替えを済ませた。
いざや就寝という段になって、
「・・・あ」
ギアッチョが寝ているのは自分のベッドだと、ルイズはようやく
気がついた。
「ど、どうしよう・・・」
ギアッチョを起こすわけにはいかないが、しかし自分も相当疲れている。
出来ればベッドで横になりたい所だが、ギアッチョの隣に潜り込むと
いうのは、
――・・・その ま、まだはやいっていうかなんていうか・・・
ルイズは真っ赤な顔で考える。
考える、考える、考える。
十分以上堂々巡りを繰り返して、ルイズの頭はそろそろ湯気が出そうに
茹り始めた。熱と眠気でよく分からなくなって来た意識の中で、ルイズは
自棄になって呟く。
「・・・ああ、もう・・・!」
言うが早いか、ギアッチョの隣にぼすんと飛び込んだ。
「わ、わたしのベッドだもん・・・!」
ぼそぼそと呟いて、枕に顔をうずめる。すぐに昼夜を徹した疲労が
襲い掛かり、ルイズはそのまま――まどろみの中に落ちていった。

夢と現の境で、ルイズは今日を思い返す。
・・・ああ。こんな気持ちになったのは初めてだ。

皆といる明日が――とても楽しみだなんて。



<==To Be Continued...

620 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 22:56:04 ID:nG54NPqY
GJ!クールキャラがはっちゃけるとすごいことになるのはもはや定番w

621 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 22:57:33 ID:ijw/eTdV
GJ!たっぷり支援させてもらったぜ!

622 :サブ・ゼロ:2007/10/26(金) 22:57:37 ID:5DkjP8BO
支援に感謝しつつ以上、投下したッ!

今回は正直やりすぎた感が否めない。裏タイトルはジュール・ド・モットの回心。
とにかくこれで漸く間章終了、次回から第三章に突入ッ!

623 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 22:57:59 ID:RDTRHQAH
GJ!笑いが止まらないwww

624 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 22:58:22 ID:hKU24aij
GJ!GJだぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!
やべ、感想とか色々あったが、最後のルイズの独白を見て泣いてしまい忘れてしまった。
読み終わってすぐ「続きが……読みたいです」なんて思った俺は、なんて欲張りなんだろう。
ともあれ、お疲れ様した!

625 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 22:58:25 ID:kC92f+X4
超G・J!


626 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 22:58:51 ID:tgqcSKj7
GJです!

627 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 23:00:45 ID:sOoEefcF
GJ(ゴッド・ジョブ!!!)!!!
ギアッチョもルイズもキュルケもタバサもギーシュも皆大好きなんだぜ!!!

628 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 23:02:17 ID:6PksgmQe
乙!
ギアッチョ結婚してくれえええええええ

629 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 23:02:17 ID:n4JnD06v
GJ!すぐる

630 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 23:06:49 ID:4dhSuF43
GJ(ギアッチョジョブ)

631 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 23:12:00 ID:zz+cTq1f
ゼロいぬGJ!
>鋼鉄を断ち切ると謳われたシュペー卿が鍛えし業物が…
ちょっと!それ騙さ(略

サブゼロGJ!
モット泊はやられすぎてついに精神が反転したのか。
タバサといい、最後のデレルイズといい輝いてるな!

632 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 23:14:31 ID:BlfMfuV/
GJと言わざるをえない

633 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 23:27:30 ID:PzFU3fxr
G J !

634 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 23:38:26 ID:zz+cTq1f
投下だッ!

635 :仮面のルイズ:2007/10/26(金) 23:39:49 ID:zz+cTq1f
トリステインの王宮で、アンリエッタはため息をついた。
女王に即位したはよいものの、その激務に疲れ切っていたのだ。
父王、祖父王の姿を思い浮かべれば、確かに玉座に座っている姿はあまり覚えていない。
バルコニーで手を振る姿よりも、執務だと言って誰かと会って話をしている姿ばかりが目に浮かんできた。
戴冠式を終えて女王となったアンリエッタは国内外の客と会うことが格段に多くなった、内政と外交の重荷がどれほどのものだったのか、それを実感した。
今までそれを担ってきたマザリーニの苦労は如何ばかりかと、心底マザリーニを尊敬できる気がした。
その上、女王となった事でウェールズ皇太子が王宮に居られなくなってしまった、理由はよく分からないが、政治とはそういうものらしい。
ウェールズの立場は極めて微妙だと、理屈では分かっているが心情ではそれを受け入れられない。
自分を支えてくれた支えていたウェールズとの逢い引きも出来なくなってしまい、アンリエッタは途方にくれていた。
そしてもう一つ、ルイズの行方が知れないのだ、ルイズの存在は誰にも気づかれてはいけない、特にラ・ヴァリエール家に知られることだけは絶対に避けなければならなかった。
隠密での調査は思うようにいかず、遅々として進まなかった。

この後、ウェールズ皇太子の亡命政権について、聴きたくもない政治の腹黒い駆け引きを聴きつつ、会議をしなければならない。
もし、自分にルイズのような力があれば、もし自分とウェールズにルイズのような力があれば、誰にも邪魔されることなく二人で生きていけるのではないか…
そこまで考えて、アンリエッタは頭を振った。
『食屍鬼は作らない』そう約束して、吸血鬼の恐怖を世に撒き散らさぬよう務めているルイズに申し訳ないと思ったからだ。

ある意味ではウェールズ以上に身近な存在、ルイズの帰りを、アンリエッタは心底から待ち望んでいた。


636 :仮面のルイズ:2007/10/26(金) 23:41:39 ID:zz+cTq1f
一方、アニエスを乗せた馬車が、魔法学院へと砂埃を立てつつ進んでいた。
王宮からの勅使を乗せるきらびやかな馬車ではなく、中流の貴族がプライベートで使うような、必要最低限の装飾が施された黒塗りの馬車だった。
黒は光を反射して紫檀のように紫色に反射している、貴族の間では珍しくもない馬車かもしれないが、平民に威圧感を与えるには十分なものであろう。
馬車の中から外を見つめ続けているのは、先日シュヴァリエの称号を賜ったアニエスだった。
どこか居づらそうにしているのは、貴族用の馬車に乗っているからではなく、別の理由があるようだった。
ちらりと、同乗者を見やる。
魔法衛士隊の服を着た男は、目を閉じて沈黙していたが、その雰囲気はどこか重々しかった。



魔法学院に到着した馬車から、アニエスともう一人の男が降りる。
それを見た魔法学院の衛兵は驚きつつご用の向きを聴いたが、アニエスは「学院長に取り次いでくれ」としか言わなかった。
もう一人の衛兵が慌てて学院長へ知らせようと、本塔に走っていく。
アニエスは残った衛兵に「王宮からの急務だ」と言い放つと、先に走っていった衛兵の後を追うように魔法学院の中へと入り込んでいった。

あらかじめマザリーニが手配した魔法学院の見取り図を頭にたたき込んでいるため、案内が居なくとも場所は分かっている。
魔法学院の学院長はかなりの高齢だと聞いている、昼寝でもしているかも知れない、だがそれならそれで好都合だ。

「王宮より勅使が参りました!アニエス・シュヴァリエ・ド・ミランと名乗っておりますが…あっ」

オールド・オスマンは廊下から聞こえてきた衛兵の声に顔をしかめた。
アニエスという名は何度か耳にしている。
王宮に入り込んだ卑しい粉ひき娘がいると、旧知の者から聞いていたのだ。
ゲルマニアと違って貴族至上主義のトリステインでは珍しい、と思っていたのだが、その人物がシュヴァリエを名乗り、魔法学院にやって来る理由が想像できなかった。

扉越しに、今度は女性の声が聞こえてきた。
「アニエス・シュヴァリエ・ド・ミラン、女王陛下の勅使として参上致しました」
「お勤め、ご苦労さまなことじゃな」
オールド・オスマンは扉の向こうに聞こえぬ程度の声で呟くと、席を立った。
同時にロングビルが扉を開き、廊下にいるアニエスを迎え入れる。

部屋に入ってきたアニエスと、魔法衛士隊の服を着て帽子を深くかぶった男、なんとも奇妙な組み合わせだった。
どちらかといえば、シュヴァリエとはいえ平民出のアニエスよりは、メイジである魔法衛士の方が勅使として適切ではないだろうか。

疑問に思っているロングビルを横目に、オールド・オスマンとアニエスは話を進めていた。
ロングビルは、気を利かせて退室すべきかと考えたが、それを見かけたアニエスがロングビルを引き留めた。
「ああ、マチルダ…いや、ミス・ロングビルにも関わりのある話なのだが」

ロングビルの瞳が大きく見開かれた。
冷や汗がドッと吹き出る、逃げるべきか、それともしらを切るべきか…と考えたところで、自分の狼狽えぶりに気が付いた。
これでは疑ってくれと言っているようなものだ、ロングビルはドアノブに伸ばした手を引き戻し、アニエスが指さしているソファに座った。
オールド・オスマンとロングビルが並び、アニエスはオールド・オスマンと向かい合わせに座る。
もう一人の魔法衛士はソファに座らず、アニエスの後ろで黙って立っていた。

「それで、ご用の向きとは」
オールド・オスマンが静かに口を開く。
あえて先ほどの『マチルダ・オブ・サウスゴータ』という名には触れないでおいた、オールド・オスマンも、ロングビルという名が偽名であると気づいていたが、本名を探るほど野暮なことをしても意味がないと思っていたのだ。
それに、ロングビルは否定するだろうが、オールド・オスマンにとってロングビルは誰よりも有能な秘書だった。

「昨日、モンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシ、並びにシエスタの両名に、シュヴァリエが下賜されることに決定しました」
「ほう、それは実に、いやまったく有り難いですな」
「野戦病院と化したタルブ村で実に340名を治癒し、その功績は多大なり……ということです。 翌々日に王宮から使いが来ますので、オールド・オスマンにも参列して頂きたい」
「それは願ってもないことですな、女王陛下のお姿も一目直に見たいと思っておりました」

どこか、相手を探るような雰囲気を漂わせたアニエスとオールド・オスマンは、お互いの腹を探りつつ話を進めていた。

637 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 23:42:51 ID:+B1+6I2J
支援

638 :仮面のルイズ:2007/10/26(金) 23:43:56 ID:zz+cTq1f
日程や準備などの打ち合わせが終わるまで、ロングビルはじっと黙っていた。
先ほど呼ばれた本名、捨てたはずの本名、しかしティファニア達の前では名乗っているマチルダという名前。
なぜそれを言ったのか、気になって気になって仕方がなかった。

「ところで、もう一つの用ですが……」
ハッとなって顔を上げる。
アニエスがじっとマチルダの顔を見つめていた、その表情に油断はない。
床に置いた剣をいつでも抜けるのか、腰に下げた銃をいつでも発射できるからであろうか、それとも後ろにいる魔法衛士を信頼しているからであろうか、アニエスはまるで威嚇するかのようにロングビルを見つめていた。
「タルブ草原で王家ゆかりのものを探し、届けてくれた礼にと、ミス・ロングビルにも王宮に来て頂きたいのです。それともマチルダ・オブ・サウスゴータとして来て頂いても構いません」
ロングビルは、アニエスを白々しい奴だ、と思った。
「……私はロングビルです、マチルダなどという者は知りません」
「いや、貴方は確かにマチルダ・オブ・サウスゴータだ。オールド・オスマンはそのことをご存じで?」
「はて、ミス・アニエスが何を言いたいのか、よくわかりませんな。彼女は優秀な秘書、それ以上でもそれ以下でもありませんぞ」
オールド・オスマンの瞳はとても深い気がした、アニエスはその得体の知れない雰囲気に、視線を外しそうになったが、尻と背筋に力を入れて我慢した。
先ほどより少しだけ低い声で、オールド・オスマンが呟く。
「王宮に出頭させる理由は他にあるのでしょう。何をお疑いになっているのか知りませんが、彼女はここにいる限りは優秀な秘書ですな」

飄々としている、スケベで下世話な老人。それがオールド・オスマンを取り巻く噂だった。
アニエスは老メイジとして尊敬されるオールド・オスマンと、スケベ爺として嫌われるオールド・オスマン、そのどちらが本当のオスマンなのか、見極めるつもりでいた。
だが、どちらでもない。
エルフ並みに長く生きていると呼ばれているのは伊達ではないのだろう。
もしかしたら、人間の中では一番『石仮面』に近いのではないかと思わせるほど、オスマンの雰囲気は不気味だった。

「……アルビオン出身の貴族、それもレコン・キスタ以前のアルビオンから貴族の立場を逐われた者です。疑うなと言うのは無理があります」
少し間を置いてから、絞り出すようにアニエスが言葉を放つ。
オールド・オスマンはソファに背を預け、口ひげを撫でつつつ、ふむ、と呟いた。
隣に座るロングビルの表情はあくまでも硬い。

ロングビルは、デルフリンガーが何か喋ったのではないかと不安になっていた、少なくともタルブ草原でアニエスに出くわした時は、デルフリンガーはロングビルを『偶然拾った人』と位置づけていた。

『いやー、悪かったな姉ちゃん!俺はそこの騎士さんに用があったんだ、王宮に届けるまでもなかったなあ』
大げさに喋るデルフリンガーを思いだし、少しだけ気が紛れた。
沈黙が重い。
ロングビルは、なぜ自分はこんなにも困惑しているのか、ふと気づいた。
今の立場が、存外に楽しかったのだ、それなりの給料、気だてのいいシエスタ、美味い料理を作るマルトー、情報収集、裏でのルイズとの繋がり。
なんだかんだと、自分はこの環境に慣れてしまっていたのだ、むしろ気に入っていると言えるほどこの環境に落ち着いている。
オールド・オスマンが自分をかばってくれるのは有り難いが、王宮に睨まれては、ここには居られない。
また盗賊生活に戻ろうか……そこまで考えたところで、アニエスが意外なことを言井、ロングビルを驚かせた。

「しかし、オールド・オスマンが信頼されているのでしたら、こちらも目を瞑りましょう。その代わり一つ条件があります」
「条件とは?」
オスマンが呟くと、アニエスが間髪入れず答える。
「ミス・マチルダへの質問。およびその内容の秘匿」
「どうやら、その質問とやらが本題みたいじゃの。別室を用意させた方が良いかのう?」
「ここで結構です、むしろ、オールド・オスマンにも知って頂かねばならぬ事だと認識しておりますから」

オールド・オスマンは手を髭から離し、臍の上で両手を重ねた。隣に座るロングビルを見て、同意を取る。
「ミス・ロングビル。かまわんかね?」
「はい。どうせ拒否権なんて与えないつもりでしょうから」

ロングビルの言葉にアニエスが苦笑しつつ、アニエスは席を立った。
アニエスは剣を腰に下げ直しつつ、いつでも剣を抜けるような気構えでロングビルの脇に立った。
そして、魔法衛士がアニエスの代わりにロングビルと向かい合う席に座り、ゆっくりと帽子を取った。


639 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 23:45:21 ID:y9PtDIN3
支援するしかない

640 :仮面のルイズ:2007/10/26(金) 23:45:31 ID:zz+cTq1f
「久しぶりだね、マチルダ」
帽子の下から現れた顔を見て、ロングビルは…いや、マチルダは息をのんだ。
そこにいるのは魔法衛士などではない、旧アルビオン王国皇太子、ウェールズだった。
「……!!」
袖の中に隠した杖を手にしようとして、マチルダは思いとどまる。
隣に立つアニエスはマチルダがルーンを詠唱する前に剣を振り下ろすだろう。
既に自分は動きを封じられているのだと悟り、深く呼吸をして、こわばった体をほぐした。
隣に座るオールド・オスマンは知らんぷりをしているが、目の前にいる人物が何者であるか知らぬはずがない。
皇太子を前にして、顔色一つ替えないあたり、オールド・オスマンはだてに長生きしていないらしい。

「家名を失った私に何のご用ですか」
震えそうになる声を必死に押さえつつ、マチルダは呟いた。
「……本当のことを教えて欲しいんだ。僕は、大公が反逆を企てていたとしか聞いていない。だが僕にはどうしてもそれが信じられないんだ」
「今更、今更そんな話を!」
立ち上がろうとしたマチルダを見て、アニエスは剣の柄に手をかけたが、その刃を見せることはなかった。
オールド・オスマンがマチルダの腕を掴み、波紋で静止していたのだ。
「落ち着きなさい」
低くて柔らかい声で、オールド・オスマンが呟く。
息を荒げて、怒りに身を任せようとしていたロングビルも、自分の体が動かないことを悟り、無理に動こうとせず呼吸を整えることにした。

「ミス・ロングビルには辛いことかもしれんが、いまいち話が飲み込めん。そこでじゃ、まずはそちらから事の経緯を説明してくれんかな」
オールド・オスマンの言葉を聞いて、ウェールズは静かに頷き、静かに語り出した。

ウェールズの話は、アルビオン王家で起こったお家騒動の話だった。
王弟である時の大公が国家への重大な反逆を企てていたので、時の王ジェームズ一世が大公を出頭させようとした。
ところが、大公は別荘地に私兵を集め、徹底抗戦の構えを見せたため、やむなく討伐したという話だった。
ウェールズが世話になった乳母や、子供の頃に遊び相手として遊んだ者達も、皆反逆の片棒を担いだという理由で、殺されたのだ。
ウェールズはそれがどうしても納得いかず、独自に調査をしていたが、それに関係する資料は極めて乏しかった。
大公の邸宅から没収されたとされる王家の宝物目録にも、手を加えられた跡があったが、それが何を意味するのかよく理解できなかった。
ある日ウェールズは、父親であり、王であるジェームズ一世に直接質問をした。
大公は本当に反逆を桑田立てていたのか、反逆だとしても、どんな理由があって処刑などしたのか、と。

ジェームズ一世はただ一言、『始祖ブリミルに対する重大な反逆である』としか語らなかった。

それから幾年月が過ぎ、アルビオン王家はレコン・キスタによって、まるでその時の報いを受けるかのように、滅ぼされてしまった。
今では王家の血を引く者は自分一人だと、ウェールズは寂しそうに言った。

「それで、あたしにそんな話を聞かせてどうしようって言うのさ」
マチルダの口調が秘書としてのものから、盗賊『土くれのフーケ』に変わっていく。
オールド・オスマンに聞かれてしまうにも関わらず、口調は荒くなっていった。
「君が今までどんな目にあったのか、僕には分からない。力を貸してくれとも言えない。だが、せめて君の立場から、サウスゴータ太守の視点からあの事件を説明して欲しい」
「今更そんな話をしてどうしろって言うんだい!みんな殺されちまったんだ、あんた達に!何もかも遅すぎるんだよ!!」
オールド・オスマンの波紋による制止を振り切って、マチルダが立ち上がり、袖に隠し持った杖を向けた。
すかさず隣に立つアニエスが剣を抜き、ロングビルの喉元に突きつけようとする。
「アニエス、やめたまえ」
ウェールズがそれを咎めた。
「…しかし」
「いい。当然の事だ」
「はっ」

マチルダの怒りは膨れあがり、何らかの魔法でウェールズを殺す一歩手前だった。
アニエスに喉を切り裂かれようが、一呼吸あればウェールズを殺せるはず。
服であろうが装飾品であろうが、あるいはこのテーブルであろうが、何もかも金属の槍に練金して、ウェールズを刺し貫くことができるはずなのだ。

641 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 23:47:17 ID:+B1+6I2J
支援

642 :仮面のルイズ:2007/10/26(金) 23:48:25 ID:zz+cTq1f
だが、あと一歩、あと一歩のところで踏みとどまってしまう。
ウェールズは杖にも手をかけず、アニエスを下がらせている、これではまるで殺してくれと言っているようなものだ。
にもかかわらず、ウェールズはなんの恐れも無く、堂々としてマチルダの殺意に満ちた視線を受け止めている。
「……ッ! 何か言いなさいよ!」
どう見ても優位にあるのはマチルダだったが、その手は震えていた。
対してウェールズは静かに一言、答えた。
「やりたまえ、君にはその権利がある」

今ウェールズを殺せば、復讐が果たせる。
両親を殺され、貴族の立場を奪われた自分が、今まで土くれのフーケとして貴族達から財産を奪い続けてきたのは何のためだったか。
すべては復讐のためだった、アルビオン王家に復讐するために、盗賊として生きることを決心したのだ。

本当にそうだろうか。

自分は、復讐しようにもアルビオンには手が届かなかったから、トリステインにやってきたのではないか。
いや、復讐を果たすことよりも、ティファニアを守るために盗賊になったのではないか。
ティファニアのために盗賊になったのか、復讐のために盗賊になったのか、そして今自分がロングビルと名乗り魔法学院にいるのは何のためか。

何年か前、マチルダは、アルビオン王家を打倒しようと目論む貴族派の存在を知り、ティファニアにその話をした。
別に、貴族派に協力したいわけではない、ただ、貴族派が王党派を困らせてやればいいのに、という軽い気持ちで話しただけだ。
しかしティファニアは違った、軽い気持ちで言ったとか、そんなことは関係なく、マチルダに『復讐なんて危ないことはやめて』と言ってきたのだ。
王家の人を恨んではいない、財産も何もいらない、ただマチルダ姉さんと子供達と一緒に暮らしていければそれでいいのだからと、何度も何度も言っていた。
復讐が復讐を生み、恨みは恨みを生む、だから自分でその恨みを終わらせればいいと言っていた。
マチルダはそんなティファニアを、心底から愛おしく、そして不憫に思った。


今、ウェールズを殺せば、敵を討ったことにはなるかもしれない。
たとえウェールズが何も知らなくても、旧アルビオン王家の生き残りである彼を殺せば、敵は討ったことになるはずだ。
殺してやりたい、殺してやりたい殺してやりたい……

……けど、本当にそうだろうか?

不意に、ルイズの言葉が脳裏に浮かぶ、ルイズと戦ったあの時の映像と共に、鮮明な映像がフラッシュバックした。



『…ねえ、あなた、欲しいものは何? 貴方は何が欲しかったの?』
『貴方はきっとお友達を作るわ、だって、貴方が言った『平穏』は『家族と過ごす平穏』でしょう? 貴方は寂しがりや…私と同じ…』



カラン、と音を立てて、マチルダの手から杖が落ちた。
足から力が抜けてしまい、どすんと音を立ててソファに腰を下ろしてしまう。
「うっ…ううう……何で、何で今更……何で……」
両手で顔を覆い、マチルダは泣いた。
「あたしに、あたしにどうしろって言うのさあっ……!」

本当は復讐など何にもならないと解っていた、人を何人殺しても、この世の帝王になったとしても、家族は二度と帰ってこないのだ。
それを知っていたはずなのに、なぜ自分は『復讐』にこだわって、土くれのフーケとして貴族相手に盗みをはたらいていたのだろうか。
何の意味もないことだと解っていたが、意味がないと気づいてしまうと、それこそ自分の生きる目的が無くなってしまう気がしていたのだ。

マチルダのつけていた仮面、『土くれのフーケ』の仮面、『復讐者』の仮面が、今この瞬間に崩れて消えた。





To Be Continued→

643 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 23:48:50 ID:4dhSuF43
しえん

644 :仮面のルイズ:2007/10/26(金) 23:51:40 ID:zz+cTq1f
投下した!
ゴージャスアイリンかっこいいよ


645 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 23:55:59 ID:Ov+ARJaP
更新乙であります
あたし残酷ですわよ
あの頃の荒木はなんかエロい

646 :風と虚無と使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/10/26(金) 23:58:08 ID:6PksgmQe
おつおつおつおつお疲れだ

さて仮面さんが終わってすぐで気が引けるが投下させてもらう

647 :風と虚無と使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/10/26(金) 23:59:28 ID:6PksgmQe
決闘が終わり、もう夜。
月が2つ並んでいる。

「…まったく、無茶しちゃって……あんたまだ召還されて一日目よ!?よくもこんな問題おこせるものね!」
「無茶だというが、俺の実力は知っている。多少魔法が使える程度の小僧に負けるとは思えん。もし負けたとしたらそれほどの男であった、ということだ」

ルイズが声を張り上げる。
「ダー―ッ!違うわよ!別にあんたみたいな田舎の亜人が負けて怪我することは心配してないわよ!あんたの恐ろしさは召還してすぐわからせてもらってるわ!
お生憎様!まったく、まだギーシュは決闘という形だったからよかったけど、あんたみたいな亜人が貴族を傷つけたりしたら即刻処刑よ!
しょ・け・い!もし次傷つけたりしたら、運がよくてもアカデミーってところで輪切りにされるくらいは覚悟しときなさいよ、まったく」
まくしたてるように話し、終わった後ためいきをつく。

「それにしても、あんた異世界から来たって本当?確かにあんたみたいな亜人見たことも聞いたこともないけど。太陽の光に少し弱い、って
実は吸血鬼もどきじゃないの?人間食べるっていうのが本当なら吸血鬼以上ね……ああ、頭痛くなってきた」
「吸血鬼、か。こちらの世界にも居るのだな。だが、世界が違う以上部下になるかどうかはわからんな。カーズ様が居ない以上石仮面も作れんし」

「……ああ、もうなんでもいいわ、あんたの話にいちいち驚いてたら身が持たないわ…異世界からっていうと色々と説明がめんどくさいから
……そうね、東方のロバ・アル・カリイエから来たってことにしておいて。いい『ロバ・アル・カリイエ』よ。覚えた?」
「その程度の語、我々の知力ならば覚えるのはわけない。それより、そろそろ就寝しなくていいのか?俺は寝なくても構わんが寝れるならば寝ておきたい」
「あんた、いちいち物言いがムカつくわね…わかってるわ、もう寝るわよ。あんたは床だけどね!屋根があるだけ感謝しなさい!」

勝ち誇ったようにルイズが唸った。
「ゆか、だと?」
「そうよ、床よ」

(まあ亜人だしそんなもんよね、屋根があるところで寝れるってだけでも十分私は恩人だわ!ああ、なんて慈悲深いのルイズったら!)

「……狭いではないか」
「はぁ?」

まさかそういった返答が来るとは思っていなかったが、よくよく見てみると確かにあの巨体が寝るにはスペースが多少、いやかなり心許ない。

「どこで寝ても俺の勝手だろう、俺は外で寝かせてもらう」
「あ、ちょっと待っ…」

ワムウは窓を開けて外に飛び出していった。

外を見ると林の方向に飛び去るという感じで向かっていき、地面から木の上に数歩で上っていった。
どうやら木の上で寝るらしい。

「いっちゃった……色々としもべとして頼もうと思ったのに、どうしろっていうのまったく…」

ルイズは再度ためいきをついた。今日ほど幸せが逃げた日はないな、などと思いながら意識は薄らいでいった。


648 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/26(金) 23:59:54 ID:aBDEh4Tw
GJ&支援

649 :風と虚無と使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/10/27(土) 00:01:13 ID:eSv4SnkD
 * * *

「シン……帰ったら俺の部屋の電気消しといてくれよな…むにゃむ……ハッ!」

「おい、起きろ」

ルイズは鈍い音で目を覚ます。

「なに!?なにがおこったの!?」
「使い魔らしく起こしてやったんだ、感謝するんだな」
「い、今の鈍い音はなに?」
「小型の真空竜巻をお前の頭上に放った」

ルイズが起き上がって枕を見ると無残にも羽毛がはみ出ていた。

ルイズが杖を持って立ち上がる。
「こ、この……」
「どうした?なにか不満か?」

ルイズは叫んだ。
「この汚らしいバカ犬がァーーーッ!」

ワムウは爆発で吹っ飛んだ。本日第一号だ。


「よくわかんないけどあんたが私の爆発に弱いのは割れてるのよ……いい、次こんなことやったら、全精神力をつぎこむわよ」

何事もなかったかのように立ち上がるワムウ。
「ふん、主人は主人でもカーズ様とは偉い違いだな、だがまあ今は頭を垂れておいてやろう」
「それで垂れてるつもりなの?まあ、いいわ。まずは着替えさせて。」
「着替えだと?俺の世界ではそれは自分でやるものだったが、こっちにはそんな風習があるのか?」

ルイズが肩をすくめる。
「あのね?田舎者のあんたは知らないだろうけど、貴族は下僕がいるときは自分で服なんか着ないのよ」
「そうか、俺は使い魔になるとはいったが下僕になった覚えはない、自分で着替えるんだな」

うー、と低い声で唸り返す。
「あんた、朝ご飯抜くわよ?」
「好きにしろ。我々は多少食わなくても構わないし、なんならどこかから『調達』してきても構わんしな」

ワムウは外を見る。
(昨日少し見回ったが、あそこの林には割と動物がいる。野兎くらいはいるだろう、むしろ昨日のようなこぎれいな料理では
足りん。どうにかして補充しなければならない以上、どれが食えるかくらいしっておいた方がいいのだろうな)

外を見ているワムウを見る。
(あ、あいつ飯を抜かれるって言ったとたん外を見てるわ!『調達』…ってもしかして…あ、あいつの目!生徒を見てるに違いないわ!
『号外 トリステイン魔法学院から行方不明者が頻出!』ってことも………そ、それだけは避けないと!)


「わ、わかったわよ!自分で着替えるわよ、自分で!朝飯も食べさせてあげるから待ってなさい」
「食堂の位置は覚えている。先に行っているぞ」
「ま、待ちなさいよ!つーかお願いだから待って!あんた一人で行動させたらろくなことがないから!」

そういえば、扉も窓もカギを閉めていたはずなのに、どこから入ったんだろうと思ってふと窓を見て…
無残にも割れているのを見て…泣いた

650 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 00:01:19 ID:zz+cTq1f
支援のファイナルモード!

651 :風と虚無と使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/10/27(土) 00:02:29 ID:6PksgmQe
 * * *

朝食を終え、食堂を出て教室へ向かう。

よっぽど昨日の決闘とその前のイザコザが広まったのか、昨日以上におびえてる人間が多かった。
特にワムウの影だけは踏んではならない、ということを身にしみてわかっているギーシュの取り巻きたちは太陽がどこに転移しても
影が届かない位置を常にとるように過敏に反応していた。

(とりあえず朝食は終わったわ…ああ、なんで朝食くらいでわたしがこんなにビクビクしなきゃいけないの!)

「魔法の授業、とやらはなにをやるのだ?」
「今からやるのは土の授業よ、あの先生の授業は最初だから初歩からやるだろうしあんたのその自慢の『知力』なら理解できるんじゃない?」
皮肉げに言ってみるが、軽く流される。


2人は教室に辿り着き、入り口のドアを開けた。
騒がしかった教室が静まる。

「や、やあルイズ、おはよう」
いつも『ゼロのルイズ』とバカにしているマリコルヌが乾いた声で挨拶してくる。

ルイズは無視して席につく。みなワムウの一挙一投足を注視し、影を踏まないよう気をつけている。
ワムウがルイズの後ろに立ってから数分後、シュヴルーズ先生が入ってくる。

「皆さん。春の使い魔召還は、大成功のようですわね。このシュヴルーズ、こうやって春の新学期に、様々な使い魔達を見るのが
とても楽しみなのですよ」

先生はルイズの方向に目を向ける。
「ミス・ヴァリエールは大分変わった亜人を召還したようですね。なんでも人語を解する上に…とてもお強いとか…」
「は、はあ…」
「まあいいですわ、では授業を始めますよ」

授業が始まる。ワムウはその内容をだいたい整理する。
(魔法の系統は『火』『水』『土』『風』『虚無』があり、そのうち『虚無』は今は失われているというわけか…
そして、土はこの世界ではいわゆる土木技術などを担っているらしいな)

ミセス・シュヴルーズが真鍮の錬金を成功させると、ワムウも感嘆の声をあげた。
「ゴゴ、ゴールドですか?ミセス・シュヴルーズ?」
「違います、ただの真鍮です。ゴールドを錬金できるのは『スクウェア』クラスのメイジだけです。私はただの…『トライアングル』ですから」

(ふむ、あの言葉から察するにこちらでもそれなりに黄金には価値があるらしいな…だが、我々の世界と違い、採掘量が少ないからではなく、
錬金が難しいから価値が高騰している、とみたほうが良いようだな…我々の世界では黄金以上に価値が高かった銀も錬金できるのだろうか…)

「おい、ルイズ」
「なによ」
「気になっていたんだが、お前の属性はなんなんだ?」

ワムウの一番後方の席のマリコルヌが吹き出しかける。自分では隠しているつもりだろうがルイズにすらバレバレだ。
「爆発、ということはやはり火、か?エシディシも熱によって物体を爆発などさせていたが…」

「ミス・ヴァリエール!」
教師から叱責される。

「授業中の私語は慎みなさい」
「すみません……」
「おしゃべりをする暇があるのならあなたにやってもらいましょう」
「え?わたし?」
「そうです。ここにある石ころを、望む金属に変えてごらんなさい」

652 :風と虚無と使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/10/27(土) 00:03:31 ID:6PksgmQe
すると後ろの方から声があがる。
「先生、『ゼロのルイズ』にやらせると…」
声を出した生徒をワムウが睨む。

「おい小僧」
「ひッ!」

怯えて震えだす。
「なぜ主人は『ゼロのルイズ』などと呼ばれているのだ?」
「え、あ、それは…」

ルイズから声が飛んでくる。
「うるさいわねっ!ワムウもそんなこと聞かなくていいのよ!先生、やります、やらせてください!」
ルイズは前に歩いていく


「ヒッ!」
「このルイズ、容赦せんのか!」
「今週の山場ーっ!」

色々なところから声が漏れる、が無視してルイズは教卓の前に立ち、杖をかかげる。

「ミス・ヴァリエール。錬金したい金属を、強く心に思い浮かべるのです。」
ルイズはうなずき、杖を向ける。

生徒たちは、できるだけ教卓から離れ、机の下に逃げ込む。
数人こっそりと出て行く。

ルイズは短くルーンを唱え、杖を振り下ろす。


その瞬間、教卓ごと石ころが爆発した。
爆風をモロに受けたルイズとミセス・シュヴルーズが倒れる。


「HEEEEYYYY!!あんまりだァアアアアアッ!」
「ここはまだ地面だからな!ここには確実な生がある!!」
「芸術は爆発だ!」
「机の下に顔があっても良いじゃないか!」
「やられたまんねーん!」
「おしおきだべェーッ」


まさに阿鼻叫喚、地獄絵図。

煤をハンカチでふき取りながらルイズが言った。
「ちょっと、失敗したみたいね」


(なるほど、成功率『ゼロ』のルイズか…)
机の下に隠れていなかったためモロに食らったワムウは座り込みながらそんなことを考えていた。

653 :風と虚無と使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/10/27(土) 00:04:39 ID:eSv4SnkD
投下終了
もうちょい書き溜めた方がいいんだろうか
早漏れで平場で1000点のみであがるようなせっかちさんだからしょうがないのかもしれないけれど

654 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 00:18:40 ID:SBy5VOsy
GJ!!

655 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 00:19:03 ID:YtbE1Ez7
書き方は自分の好きなようにすればいいんじゃね?
あとちょっと言うとワムウはエシディシにも様付けしてるよ。
まあなにはともあれGJ!

656 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 00:20:31 ID:/mCu883H
>>655
ワムウとサンタナにとってはカーズとエシディシは育ての親だからな…。
あの二人が育児経験ありってのが驚きだがw

657 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 00:20:50 ID:IYPLO8NI
エシディシはあとで編集すればいいとしてGJ!

658 :初代スレ506:2007/10/27(土) 00:21:24 ID:Gm8rffEJ
GJ!ワムウ自由だな。

そして30分に投下予定。

659 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 00:25:16 ID:6kn2Tp+a
うひょう!今日は投下デーだな!
一番槍支援

660 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 00:25:40 ID:YtbE1Ez7
実は壁画の並び順的に見ると身分関係はエシディシ>カーズ>ワムウ>サンタナだったりするんだよね

661 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 00:29:02 ID:IYPLO8NI
いつのまにかカーズが一番になってたんだよな…。

662 :使い魔は静かに暮らしたい:2007/10/27(土) 00:31:49 ID:Gm8rffEJ
私たちは学院からアンリエッタが用意した馬車に乗って王宮までやってきた。だから当然のように帰りも馬車だと思っていた。なのに、何故、馬車が、用意されてないんだ。
歩いて帰れとでも言うのか?学院から城下まで馬で3時間は掛かるんだぞ?まあ、常識的に考えて歩いて帰れはありえないだろうな。
なんせ、ルイズは貴族だ。そして女王の友人だ。いくらなんでも歩いて帰れなんて言うわけが無い。だとしたらなぜ馬車が用意されていないのか?……さっぱりだな。
もし本当に歩いて帰れってことなら犯人がヤスってぐらい意外だぞ。
そう思いながらもらった金貨や宝石をポケットに突っ込みながら、隣にいるルイズのほうを見てみ……ってあれ?ルイズがいない?
「ヨシカゲ、何してるのよ。早く行くわよ」
「え?」
声の聞こえたほうを向くと、ルイズは馬車のことなんて全く気にした様子もなく歩き出していた。どういうことだ?
心に疑問を抱えながらも、一応ルイズのもとへ追いついておく。ルイズは馬車が無いことに何も不思議に思わないのだろうか?というかどこへ行くつもりだ?
帰らないのかよ。そう思いルイズの様子を見るが、見る限りルイズに帰る意思は無いようだ。
「おいルイズ。馬車はどうした?」
「まだ来ないわよ」
「まだ?どうして?」
「わたしが後で来るように言ったから」
……お前のせいかよ。なに勝手なことしてるんだよ。私はさっさと帰りたいんだよ。早く帰ってこの金貨やら宝石を安全な場所に置いておきたいんだ。
せっかく手に入れた私だけ、私だけの金だ。落としたり取られたりしたら堪らない。
「なにかすることでもあるのか?街が賑わってるから見てまわりたいなんて思ってるんだったら止した方がいい」
今城下は戦勝祝いのお祭り状態だ。いや、実際お祭りなのだろう。屋台や露店がひしめき合い、大勢の人間が賑わい通りを埋めている。本当にすごい騒ぎだ。
愉快な見世物、煌びやかな品物に衣服、うまそうな料理。とても楽しそうだ。見て回りたいと思うのもわかる。しかしだ、
「こういった祭り騒ぎってのは、大抵羽目を外しすぎて他人に迷惑をかける連中がいるもんだ。お前なら絡まれるのは確実、だからやめとけ」
今のルイズの格好は誰が見ても貴族だ。そして無駄に顔のいい。迷惑な連中ってのは大抵目立つ奴に絡むもんだ。ルイズなんかまさに絶好の対象だな。
私がこうまでして学院に帰ろうとしているのは何も金のためだけじゃない。もう一つの理由は、私が人混みが嫌いだからだ。
幽霊だったとき、生命に触られるのは本当にやばかった。なんせ体を持っていかれてしまうんだからな。だから私は必ず人混みを避ける生活をしていた。
何年も何年も人混みを避け続けてきた。人混みに巻き込まれた奴らの末路は悲惨なものだった。あんな風になるのは絶対にごめんだといつも思っていた。
幽霊にとっては生命の群れである人混みはまさに天敵だったってことだ。今は人間だが、やはり幽霊として過ごしてきた期間の方が圧倒的に長い。
だから幽霊だったころの意識が完全には拭えない。朝寝惚けて壁をすり抜けようして、そのまま壁にぶつかったことがあった。幽霊のときの行動が無意識に出た結果だ。
あのときのように、私は無意識に人混みを拒絶している。人間になって多少人混みというものを体験したが、ここまで人が多いのは論外だ。
「……あのね、だれが街を見てまわるなんて言ったのよ」
「じゃあ一体何をするんだ?」
そう言うと、ルイズは私のほうに体を向ける。そして私を指差すと、
「あんたの服を買いにいくのよ」
そう言った。
……私の服?今ルイズは確か『あんたの服』と私を指差しながら言った。ってことは当然私の服を買いに行くってことだよな?

663 :使い魔は静かに暮らしたい:2007/10/27(土) 00:33:06 ID:Gm8rffEJ
「なんでいきなり?」
「はあ?あんた前に服を買ってくれって言ったじゃない。自分の言ったことなのに忘れたの?」
「……そういえばそうだったな」
そういえばの戦いの直前、ヴォンドボナへ行く予定だったころに服を買ってくれと頼んだんだった。その後の戦争騒ぎのせいですっかり忘れてたな。
言った張本人が忘れていたのに、ルイズはよく覚えていたものだ。
「ホントなら学院まで送ってもらえばいいけど、どうせ街まで来たんだから自分で取りに行くほうが早いでしょ?」
「まあ、確かにな」
「わかったならさっさと行くわよ」
ルイズが人混みに向かって歩き出す。こんな人混みの中を歩くのか……。確かに服は欲しい。しかしこの人混みを歩くのは嫌だ。
だがこの人混みの中を歩かなければきっと服は手に入らない。ルイズ一人に行かせてもいいが、そんなことを言ったら機嫌を損ね服を買うのをやめるだろう。
もう行く気満々だしな。後日学院に送ってもらうって考えは無いんだろう。結局、服が必要な私には選択肢が残されていないということか。
覚悟を決め帽子を目深に被り足を一歩踏みしめる。そしてデルフの鞘を数回ほど撫でるとルイズの後を追い始めた。
それほど離れていなかったので15歩ほど歩いた程度ですぐに追いつく。ルイズに追いつくと同時にある疑問が頭に生じる。
「おい、ルイズ。確かお前は服を買ってくれるって言った時に、同じ服を作らせるとか言ってたな。私は寸法を測られた覚えが無いんだが」
オーダーメイドなら服を作るのに寸法を測らなくちゃいけないはずだ。まさかルイズが私の寸法を知っているわけが無いし……
「前に服を直してあげたことがことがあったでしょ?あのとき直すのを頼んだお店に服を作るように頼んだのよ。同じ服を作る自身があるって言ってたし」
「なるほど」
私の服を直したのなら、そのとき服の寸法やら形やら記録しているはずだ。その記録があるから同じサイズ、形のものが作れるということだろう。
しかし、これだけの人混みの中を歩くのはやはり気分が悪い。吐き気すらしてきそうだ。
やはり体が、心が拒絶するものを無理やり押さえつけて行動しているのだから当然かもしれない。
「それにしてもホントすごい騒ぎね。こんなに賑やかな街を歩いたのなんて初めてよ」
気分が悪い私とは対照的に、ルイズの明るく楽しげな声が聞こえてくる。ルイズは辺りを見回しながら歩いている。その顔はだれが見ても楽しそうだ。
腹が立つ顔だ。私はこんなに気分が悪いのに自分だけ楽しみやがって。お前だけ力を手に入れやがって。『幸福』になりやがって!
お前が満足すればするほどに、私はどんどん『幸福』から遠のいていく!こんなことになったのは全部お前のせいなんじゃないか?
そうだ、そうに違いない!『幸福』に辿り着けないのは全部ルイズのせいだ!チクショウ!やっぱり殺すしかない!今ルイズは浮かれてて隙だらけだ。
そして幸いにもここは人が多い。スタンドで殺せば誰が犯人かなんて特定できるはずが無い。まさか嫌いなものの中にこんなチャンスがあるとはな。
嫌いだ嫌いだと近づかないより、嫌いなものを知って利用価値を探すほうがいいってことか。為になったよ。じゃあな。
黙って『キラークイーン』を発現させる。

664 :使い魔は静かに暮らしたい:2007/10/27(土) 00:34:14 ID:Gm8rffEJ
「あ、ここよ。入りましょ」
ルイズを攻撃する直前、ルイズはタイミングよく店の中へ入っていった。私は振り上げた状態のキラークイーンの腕と共に暫らく立ち尽くす。
「……馬鹿らしい」
さっきまでの気分が嘘のように褪めていく。まったく、何を馬鹿なことを考えているんだ。確かにルイズはムカつくが、殺すって程じゃない。
殺したほうがいいんじゃないかってレベルだ。気分が悪かったせいで考えが増長して早まったことをしてしまうところだった。そうだ、ルイズにはまだ利用価値がある。
さっき学んだだろ、嫌いなものの中にチャンスがあるって。ルイズにもそれは当てはまる。私が『幸福』になる要因を持っているかもしれないのだ。
まだだ、まだ見限るには早すぎる。まだ自分が安全を確保する準備をしていない。ルイズを殺すときは、万全の準備をしてからだ。
思いを心のうちに秘めたまま、私は店の扉を開き中へ入っていった。


665 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 00:34:53 ID:DYjT9hwI
支援

666 :初代スレ506:2007/10/27(土) 00:35:43 ID:Gm8rffEJ
以上。

この季節、仕事や病院で安静にしたりで毎日投下はなかなかできないんです……。

667 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 00:40:28 ID:0h3zYjnZ
>>656
フリーダムな種族だから、そこらに転がしておけば勝手に育つだろ。

668 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 00:45:20 ID:6kn2Tp+a
GJ!
病院で安静ってちょw
ところでそのレス番は悪魔の数字ーッ!

669 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 00:49:40 ID:m8yijmHg
GJ!
吉良コワイよ吉良。

身体や体調崩さない程度にがんばってくだせぇ

670 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 00:52:48 ID:gm8SRBg9
吉良恐ろしいよ吉良
そしてGJ

671 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 00:58:37 ID:aPRXEnvV
GJ!
健康には気をつけてくだせぇ

672 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 01:32:40 ID:zOmpn59a
キラGJ!
健康の方が大事なので無理しないでください

673 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 01:56:52 ID:g8o9LlO2
ルイズ死ななくてよかったね

674 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 02:10:12 ID:kcxJ98Cz
胃潰瘍で倒れるのが先かルイズを足の付かない方法で殺って幸せを手に入れるのが先か・・・
キラの苦悩GJ!

675 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 03:45:35 ID:WpE6gdRc
な、なんかの日か?昨日はなんかの日だったのか?
ああもう、みんなGJだっ!

676 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 08:12:17 ID:r8iwnt5O
いい日だ……
いぬにサブに仮面に吉良……
朝から読めるなんていい日だ……

677 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 09:56:42 ID:IqKH2aMO
>さっきまでの気分が嘘のように褪めていく。まったく、何を馬鹿なことを考えているんだ。
>確かにルイズはムカつくが、殺すって程じゃない。

地道にルーンの効果(主人に対して好意を抱く)が働いているように見える漏れ

678 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 10:01:13 ID:/x+XAAon
そうだな。今日は実に良き日だ。天恵だ。

679 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 12:29:08 ID:XkZpA0lz
かき氷食ったから次はレバー食って鉄分を…

680 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 12:33:49 ID:svq+Axp9
そこはカエルでしょw

681 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 13:27:34 ID:PKjwk4Q6
メメタァ

682 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 13:30:21 ID:I0RZQf3B
バカな!?カエルが潰れて岩が割れてない!!
これでは辻褄が合わない!!

683 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 13:42:21 ID:ihqTOdOs
合ってるだろ。あれはツェペリさんがおかしいだけだw

684 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 13:44:36 ID:XHBKRRVV
波紋戦士たち「・・・・・・・・・・・」


685 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 13:46:58 ID:XDbDimom
空から潰れたヤドクガエルが降ってきた!

686 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 14:22:39 ID:6u4Y1ARi
>>685
最初から潰してあるなら
パープルヘイズ並の危険物じゃあないか

687 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 15:30:37 ID:vpeVEUKp
ついでに虹が出てカタツムリも降ってきた

688 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 15:33:52 ID:RLDh1gVG
ついでにパープルヘイズも降ってきた

689 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 15:34:45 ID:PKjwk4Q6
そして投身自殺する女性も

690 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 15:41:46 ID:cqDPWBMM
跳ね返せッ!エコーズAct2!
 <<ボヨヨン>>

691 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 15:45:48 ID:+xAKIGkp
そして跳ね返った先にはボスが

692 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 15:52:28 ID:XDbDimom
ボス「カエルおいしいです^^」

693 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 16:08:05 ID:+xAKIGkp
キラークイーンは既にカエルに触れている!!

694 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 16:08:18 ID:cKFg+KJD
ジョルノ「きがくるっとる」

695 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 16:43:06 ID:BlJETwZO
天気予報はマジで味方の能力とは思えないほど強力だよな
広域攻撃も接近戦もこなすし毒蛙とかカタツムリとか酸素とか
えぐい技多いし(あれ酸素減らして窒息とかできるのかね?)

696 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 17:15:17 ID:gXGnecvO
なんだこの流れwww

697 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 17:21:22 ID:XDbDimom
多分俺のせいだな

698 :使い魔は刺激的:2007/10/27(土) 17:21:56 ID:ihqTOdOs
流れを変える為に久々に投下。

699 :使い魔は刺激的1/6:2007/10/27(土) 17:23:03 ID:ihqTOdOs
 『商品』を治療する貴族の姿を、男は物陰に身を潜めてじっくりと観察する。
 死角から覗いているので何をしているのか解らないが、おそらく治療を施しているのだろう。
 あの『商品』を見捨てるのであれば、とっくに逃げて出している筈だが、その素振りもみせない。
 致命傷には至らない場所に傷を与え、貴族の女に治療させる。
 精神力を消耗させる為の策だったが、正直なところ如何でも良かった。
 相手に恐怖を与えるのが本当の目的だったのだから。
 自分が置かれた状況を考えるなら、『商品』を傷つけた者が誰なのかは明白だ。
 そして、逃げてきた『商品』を追いかけて来ることも当然予測出来るだろう。
 大抵の人間は逃げる。あの女も脇目も振らずに逃げると、そう思っていた。
 だが違った。
 自分に危険が迫っているような状況にも拘らず、意外にもあの女は『商品』を助ける方を選んだ。
 彼女のように自らの身の危険も顧みずに弱き者を助ける者こそ、本当の貴族というのだろう。
 そうして暫く様子を窺っていると、精神力が切れたのか、貴族の女が服の袖を破って止血をしている。
 僅かに見えた顔は焦燥に駆られていた。
 芝居かもしれないと考えたが、此方に気付いているのなら、もっと別の反応をする筈。
 本当に治療に手一杯なのだろう。
 男は立ち上がり、天を仰いで運命に感謝した。
 暇潰しに平民を殺していた自分を父が怒り、家から追い出さなければ今日の出会いは無く、
 こんな素晴らしい貴族と出会い、その誇りと尊厳を汚し、嬲り尽す機会は訪れなかっただろう。
 口中より人差し指程の長さの杖を吐き出し、付着した胃液を拭って摘むようにそれを持つと、
 その無防備な背中に杖を向けて呪文を唱える。
 杖の先端に仄かな光が灯り、それが徐々に大きくなり拳大の大きさで膨張を止める。
 そして、男はゆっくりと狙いをつけ、それを撃ち出した。


700 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 17:23:37 ID:7xy1PgXJ
おお!カーズ様が!カーズ様がーッ!
支援体勢に入ったァーッ!

701 :使い魔は刺激的2/6:2007/10/27(土) 17:24:15 ID:ihqTOdOs
 背後から迫る火球を身を翻して回避した女は、そのまま後ろを振り返ることなく
 守ろうとしていた『商品』を置き去りにして、一目散に逃げ出した。
 その背に男は幾度も火球を撃ち込むが、まるで後ろに眼がついているように、
 無様に何度も地面を転がりながらも、その全てを辛うじて避けて詰め所の裏手へと走る。
 男も物陰から抜け出し、その背を追って駆け出す。
 途中、倒れ臥した『商品』を人質に取ろうかとも考えたが、それを止めた。
 やはりあの女も『貴族』だった。
 見捨てられた『商品』を人質に取っても、あの貴族が戻ってくる事は無いだろう。
 男は、ほんの僅かだが憐憫の眼差しで『商品』を一瞥し、続けて火球を撃ち出す。
 火炎放射で焼き払っても良かったが、流石に焦げた死体相手には欲情できない。
 何度目かの火球を避けた女が、此方を僅かに振り返る。
 怯えた眼をしていると思っていた。だが、しかし、僅かに見えたその眼は決意に満ち溢れていた。
 誰かを守るために戦う事を決めた、勇気と僅かな恐怖を湛えた眼だ。
 最も好ましく、最も踏み躙りたい眼だ。
 男は背筋に電流が走るのを感じ、肉体を内から破って飛び出しそうな、混沌とした欲情を持て余し、
 押さえるように両手で自分を抱きしめ、女の後を追った。


702 :使い魔は刺激的3/6:2007/10/27(土) 17:25:23 ID:ihqTOdOs
 怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
 怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
『次!左前方に飛べ!!』
 怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
 怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
『良し!そのまま転がって…今だ!立ち上がれ!!』
 怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
 怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
『そのまま走り抜けろ!!』
 頭上を、脇を、足元を、男が放った炎が身体を掠めて飛んでいく。
 揺れる髪が、マントが焼かれ、焦げた臭いが鼻を衝く。
 あの男をやっつけてジェシカ達を助けると自分に誓った。だけど…怖くて堪らない。
 喉の奥から込み上げる悲鳴を何とか押さえ込みながら、私は全力で走る。
 怖くて怖くて仕方が無いけど、あの角を曲がれば、ほんの少しの間だけど、コレから逃げられる。
 一呼吸分あるかないかの安息だけが、今の私を走らせている。
『そのままの速度で角を曲がるんだ!コケたりするなよ!』
 建物の角までもう少し、そこまで行けばという思いが、心を縛った恐怖という名の鎖を緩ませた。
 ジェシカの安否を確かめようとする、その心が鎖を緩ませた。
 ロビンには絶対に振り向いてはいけないと言われていたが、私は振り向いてしまった。
 そして見てしまった。あの男の眼を。様々な、考えたくも無い感情を湛えた眼を。
 身体の内側で、何かが折れる音が、聞こえた。


703 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 17:25:29 ID:7xy1PgXJ
『支援した』なら使ってもいい!

704 :使い魔は刺激的4/6:2007/10/27(土) 17:26:33 ID:ihqTOdOs
 角を曲がって少し歩いた所で、お嬢さんが突然立ち止まり、座り込んだまま泣きだした。
『どうした?どこかやられたのか?』
 私の呼びかけにも答えずに、地面に腰を下ろしたまま、子供のように泣いている。
 やはり思っていた通り、この状況に耐えられなかったか。 
 一時的な幼児退行を起こしているみたいだな。
 しかし、普段気の強い女がこうやって泣いているのを見るのも、中々にオツなものだ。
 もう暫く見ていたい気もするが、そんな余裕は何処にも無い。非常に残念だが。
 だが、今からする事を考えればこの方が都合が良い。
 今の彼女ならちょいと希望を見せてやれば何でも言う事を聞くに違いない。  
『大丈夫かい?随分怖い思いをしたね。でもあと少しだけ頑張ってくれないかな?
 このままだと、君も私もジェシカ達もみんな死んでしまうんだ。
 ホラ、あそこに小屋があるだろ?あそこに隠れよう。アイツをやり過ごすんだ』
 子供が考えそうな、その場しのぎで先を見ていない非常に甘い説得を受け入れたのか、
 お嬢さんが泣きながら、身体を震わせて立ち上がり、頼りない足取りで小屋へ向けて歩き出す。   
 扉を開けて中に入る。予想通りここは物置小屋だった。
 様々な雑貨があるが、この狭さがベリーグーだ。
『お嬢さん、ちょっと魔法を使ってくれないかな?アイツから逃げるには必要なんだ。
 ほら、覚えてるだろ?授業で習った『錬金』だ。私の言う物を作って欲しいんだ』 
 言うがままにお嬢さんが杖を振るい、残り少ない精神力が無くなって倒れこんだ。
 だが、目当ての物は出来た。
 思っていた通りだ。私が寄生している分だけ精神力に余裕が有ったみたいだな。
 さて、意識が無い今がチャンスだ。少しの間だけ身体を借りよう。


705 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 17:27:13 ID:7xy1PgXJ
ホワイトスネイク!『支援』を1レスこの職人にッ!

706 :使い魔は刺激的5/6:2007/10/27(土) 17:27:41 ID:ihqTOdOs
 周囲に立ち込める大地が焦げた臭いを掻き分け、爛々とした眼で女の後を追う。
 建物の角を曲がって杖を構えると、女が物置小屋の中に入って行くのが見えた。
 意味が解らない。
 あれだけ炎を見ているのに、小屋ごと焼かれると考えなかったのだろうか?
 精神力が残っているなら何処からか奇襲を仕掛けてくる事も考えられるが、
 それなら何故自分から追い詰められるような事をする?
 男は杖の先に火を灯し、ゆっくりとした足取りで小屋へ向けて歩を進める。
 その間に女が小屋へと隠れた理由を考えたが、考えれば考えるほど理解できない。
 仮に何がしかの罠を物置小屋までの地面に仕掛けてあると考えたが、詰め所の周囲は
 誰かが隠れて近づけないように、草が刈り取られて見晴らしが良くなっている。
 何かを仕掛けられるような、そういった物は何も無い。
 全く持って解らない、意味不明の行動だ。
 そうしている内に、物置小屋の前まで辿り着いた。
 安全策を取るなら、このまま焼いてしまった方が良い。
 しかし、男は被りを振りその考えを否定する。
 獲物を恐れる狩人はいない。なによりも顔が火傷を負っては楽しめない。
 それをするのは一番最後だ。
 男は扉を開け放ち、杖を小屋の内へと向けて、突如巻き起こった爆風に内と外をから肉体を
 焼き尽くされ、何が起こったのかも理解できずにこの世から消え失せた。


707 :使い魔は刺激的6/6:2007/10/27(土) 17:28:44 ID:ihqTOdOs
 ジェシカは御者台に腰掛け、街へと向けて馬車を走らせる。
 その横には顔中が痣だらけになった、自分を刺した男が縛られて転がされている。
 その殆どは馬車の中にいる子と、自分がやったものだ。
 “これだけ酷い事をされたんだ。やられっ放しじゃ気が済まないだろう?”
 そう言って、モンモランシーさんは笑顔のまま角棒で男を殴りだした。
 勿論、私達もそれに続いた。
 私は、他の子達もだけど、殴りながら、ザマミロ&スカッとさわやかな笑いが出てきてしょうがなかった。
 街に着いたら衛兵に男を引き渡して、後ろの子たちと一緒にうちの店でご飯を食べよう。
 パパ、きっとビックリするだろうな。ううん、きっとビックリする。後ろの子たちが。
 そう言えば、最後にモンモランシーさんが変のことを言っていたな。
「モンモランシーさん、ありがとうございました」
「済まないが今は違う。『私』の事は、そうだな―――」
 『FF』って呼んでくれって言ってたけど、モンモランシーさんの渾名なんだろうか?
 まぁいいか、今度うちの店に来てくれた時にでも聞いてみよう。
 街の門が見えてきた。やっと帰って来れたわ。
 本当にありがとう。FFさん。 


708 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 17:29:15 ID:7xy1PgXJ
支援すんだよォーーースモーキィーッ!

709 :使い魔は刺激的:2007/10/27(土) 17:31:02 ID:ihqTOdOs
以上。
なんでFFが生きてる人間に取り付けているかはその内作中で。
ちなみにこのFFは殺人マシーンの方でジョリーンと出会ってないです。
やっとプロット全部できた。

710 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 17:32:50 ID:7xy1PgXJ
GJ!GJゥ!
何ィーッFFだってェーッ!?

711 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 17:33:29 ID:/mCu883H
うおおおおおおおん!?
意外ッ!! それはFFッ!!

712 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 17:38:01 ID:CWa+wR8G
乙!
でも動物園の檻の中のグリズリーを怖がる子供はいなくても獲物を恐れる狩人はいっぱい(ry

713 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 17:52:04 ID:YtbE1Ez7
GJです!
まさかFFとは

714 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 18:25:44 ID:yB8A49et
                   / ̄ ̄ ̄'',                 ? ? ?????■??〓?? ? ? … .
                  /         ',    .'  , .. .??■? ? ? ?¨ ∵? ? ・
                  |  {゚} /¨`ヽ {゚}    ・;`.∴ ' ???? ¨???????■■〓????
                 .l   トェェェェイ  ',  ,:;・,‘? ?????????■〓?? ?? ∴ ? .
                 .|   |-ー?????????? ? ∴ ….? ?  ??
                 リ   ヘェェェノ    ',    ?  ¨ ???■??? ? ?


715 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 19:46:05 ID:ANx0iUr3
久しぶりの香辛料にGJしながら50分からの投下予告!

716 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 19:48:37 ID:6kn2Tp+a
>>715
支援だッ!
それにしても昨日今日と投下が半端ねー

717 :ゼロいぬっ!:2007/10/27(土) 19:50:24 ID:ANx0iUr3

「船は出航できないのか?」
「風石の積み込みがまだです」
「必要最低限でいい、後は私の魔法で補う」
船員に手短に指示を伝えて甲板の上を見渡す。
そこにはワルドに命じられるまま準備を進める船員達の姿。
賊に狙われているという虚報、それが彼等を動かしていた。
言葉だけでは信じては貰えなかっただろうが、
街中で暴れ回るフーケのゴーレムを見た後なら話は別だ。
後少しでこの船は他の連中を置き去りにしてアルビオンに向けて発つ。
その予定だったのだが…。
(フーケの奴、しくじったな)
いや、ミスではなく予定外の敵が現れたせいだ。
ゴーレムの周りを羽ばたく一匹の竜。
アレに邪魔されて足止めが出来なくなったと見るべきか。
偏在の眼がこちらに近づく彼の姿を捉えていた。
もはや出し惜しみしている場合ではない…!

「相棒、あの世界樹だ!」
デルフに言われるままに坂道を駆け上がってきた。
そして見えてきた物は一本の樹。
そこには果実が成るように船が停泊していた。
桟橋までの距離感が狂ってしまいそうなほどの巨大さ。
船は出ていない、まだルイズはあそこにいるのだ。
刹那、その彼の行く手を一陣の風が切り裂いた。
「な…!? 風のメイジか!」
デルフが驚きを隠せず声に出す。
咄嗟に足を止めた彼の眼前には地面に出来た裂け目。
土のメイジが岩より削り出した石床は固定化も掛けられている。
もし、これが人間相手なら鎧を着ていようが容易く両断されただろう。
視線を感じて彼が頭上を見上げる。
そこには薄っすらと浮かぶ重なり合う月を背にしたメイジの姿。
顔には白い仮面、手にはワルドと同じ戦闘用の杖。
風に外套をなびかせながら男は杖を下に向けて飛び降りる。
自重と風の加速を乗せた突きの一撃。
避け切れないと判断した彼は咄嗟に迎撃の構えを取った。
『シューティング・ビースス・スティンガー』
無数に放たれる針は地面に辿り着く前に男を焼き尽くす筈だった。
それが男を取り巻く風に散らされていく。
いかに勢いがあろうとも重さのない針では風の壁は貫けない。
剣と杖、互いの得物が相手へと向けられる。
交錯する一瞬、両者の間に鮮血が散った。

718 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 19:50:40 ID:zOmpn59a
よろしい、ならば支援だ!

719 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 19:51:06 ID:zj1Z7Q2K
支援だッ!

720 :ゼロいぬっ!:2007/10/27(土) 19:51:50 ID:ANx0iUr3

着地と同時に反転しワルドは彼へと振り返った。
ぽたりぽたりと零れ落ちる鮮血。
それは額を抉られた彼の傷口より落ちた物。
そのままエア・ニードルで脳を突き刺すつもりだった。
だが直前で自ら首を捻り突きを逸らしたのだ。
そんな判断を戦闘経験の浅い犬が出来る筈がない。
つまりは…これがガンダールヴの力か。
あらゆる武器を使いこなし達人の域に引き上げる伝説のルーン。
人間ならまだしも犬までもとは何とも規格外な代物だ。 

もう少し深く踏み込んでいれば避けようはなかった。
しかし、それはこちらも同じか。
半ばまで裂かれた外套を邪魔にならぬように自ら破り捨てる。
完全に振り切られていれば両断されてもおかしくなかった。
辛うじて制したのは直線である刺突と曲線を描く斬撃の差のみ。
剣を咥えている相手には突きは出来ない。
純粋な剣技となれば僕に分がある。
加えて魔法を組み合わせれば敗北はない。
だが、それは相手がただの犬であったならばの話。

ワルドの眼前で彼の姿が変形していく。
金色の瞳を輝かせる蒼い異形の怪物。
異世界の錬金術師が創り出した狂気の産物にして、
文字通り世界を破滅へと導く魔獣。

その姿を前にして覚悟を決めた。
先ほどの攻防など前哨戦に過ぎない。
……ここからが本当の勝負だ。
こちらの常識など何も当てには出来ない。
己が持つ全ての能力を駆使し討ち果たす。
最悪、時間稼ぎが出来るならそれでいい。

721 :ゼロいぬっ!:2007/10/27(土) 19:53:18 ID:ANx0iUr3

「バルバルバルバルッ!!」
バオーが吼える。
飛び掛る彼の両足には刃。
『リスキニハーデン・セイバー』
同時に迫る三本の刃を杖で受け流し捌く。
鋼鉄も切り裂く刃を相手にしても、
相手の杖が両断されないのは強度によるものではない。
刃筋を風でずらして受けているのだ。
その技量を間近で見たデルフは感嘆の声を漏らした。
相手は並のメイジではない。
しかし、それを言うなら相棒は並の生物ではない!

「くっ!!」
ワルドの足が徐々に後退していく。
既に次の魔法の詠唱を終えているというのに、
バオーの苛烈な攻めは彼に杖を振る暇を与えない。
普通の人間ならとっくに酸欠になっているだろう。
だが暴走した馬車のように相手は止まる事を知らない。
両足のセイバー・フェノメノンを受け止めた直後、
とん、と軽い音を立ててワルドの背が民家の壁に衝突した。

「しまっ……!」
逃げ場を失ったワルド。
そこに渾身の力を込めたデルフの横薙ぎが放たれた。
固定化を掛けた岩を裂きながら迫る刃を地に這い蹲り避ける。
続けて襲い来る前足のメルティッディン・パルムを躱し宙へと逃れようとした。
だがその刹那、縫い止められたように動きが封じられた。
見れば壁に突き刺さった刃を離し、自分の外套に喰らいつく怪物の姿。
目に映った光景に戦慄が走る。

「うおおおおおお!!」
瞬間、世界が凄まじい勢いで回転した。
まるで人形で扱うかのようにワルドを振り回す。
知らされていたが、これほどのパワーだったとは…!
このまま叩き付けられれば壁面を彩る赤い塗料と化すだろう。
意識が吹き飛びそうな加速の中、咄嗟に外套を切り離し今度こそ宙へと逃れる。
そして民家の屋根に飛び乗ったワルドへと再び彼が襲い掛かる。
しかし、それは放たれたエア・ハンマーに弾き飛ばされた。
(……やはりそうか)
迫り来るバオーを迎撃しながらワルドは勝利を確信した。
彼の決定的な弱点、それは対空能力の低さだ。
空を飛べず、高く飛び上がれば無防備な姿を晒す。
その状態では魔法を避ける事さえ出来ない。
唯一の飛び道具である『針』も風に阻まれれば届かない。
火竜や風竜は彼にとって天敵となる。

722 :ゼロいぬっ!:2007/10/27(土) 19:54:52 ID:ANx0iUr3

「大丈夫か相棒!?」
壁に食い込んだままのデルフの下へと彼が歩み寄る。
剣を手にした所で今更この圧倒的優位は揺るがない。
そう思いながらワルドは眼下の敵を見下ろす。
しかし彼はデルフを引き抜かなかった。
前足を壁へと当てたまま動こうとしない。
何をしているのか?と疑問に思うも下手に動くのはマズイ。
誘っているのかもしれないと警戒しワルドは様子を窺う。
しかし突然、彼の足元がぐらついた。
安普請だったのかという考えは瞬時に否定された。
自分の足下だけではない、天井そのものが崩壊していく。
「まさか…!?」
フーケから聞かされた話を思い出す。
怪物の出す溶解液、それは触れている部分だけではなく全体にも浸透する。
奴はそれを利用して足場を破壊したのか。
触れてさえいれば城でも船でも溶かせるというのか。
何というデタラメ…!
崩れ落ちる民家から離れようとした直後、
剣を咥え弾丸のように迫る蒼い怪物の姿が目に入った。
フライもレビテーションも間に合わない。
咄嗟に受けようとした杖を両断しデルフリンガーが縦に一閃された…!

「っ……!」
偏在から送られてくる感覚が途絶えた。
その直後に見えた映像に自身が裂かれたような錯覚を覚える。
やはり想像以上に恐ろしい怪物だ。
万全の状態で挑んでいても勝てたかどうか…だが!
「…私の勝ちだ」
索を外され船が桟橋より離れていく。
空を飛べぬ身ではもはや追いつけはしまい。
そして私はアルビオンで手に入れる、ルイズと虚無の力を!
着けられなかった奴との決着はその時だ。
奴の弱点と急所を知った今では無敵の存在には成りえない。
次こそ確実に奴を討ち取ってみせる。


723 :ゼロいぬっ!:2007/10/27(土) 19:56:47 ID:ANx0iUr3

切り裂かれた男の身体が風と共に消える。
血飛沫どころか屍も残さずに消滅したのだ。
やはり人ではなかった。
彼は男から異質な感覚を感じ取っていた。
それはフーケの使うゴーレムに近い物。
人の姿を真似ていても人とは決定的に何かが違う。
だからこそ彼は躊躇なく破壊したのだ。
「これは偏在ってヤツだな、多分」
風のメイジが使う分身みたいなもんだ、とデルフは説明する。
それはつまり本体が別にいる事を意味する。
今度は勝てたが次はどうなるかなど予想は付かない。
だが、それは後でもいい。今は一刻も早く桟橋に…!

そうして彼が目にしたのは桟橋より離れていく一隻の船。
他に船はない、ならばアレにルイズは乗っているのか。
雄叫びを上げるも届いているのかさえ判らない。
自身の跳躍力を以ってしても船に飛び移るのは不可能。
見上げた彼の視界の端に何かが映った。
それは天にまで届かんとする巨木。
…いや、まだ出来る事はある!

桟橋である世界中の根元に彼は走った。
それに遅れるようにアニエスも桟橋へと到着した。
彼女もまた去っていく船の船尾を見上げて下唇を噛む。
「くっ…間に合わなかったか」
ギーシュから託されていながら何たる体たらく。
次の便はいつになるか判らない。
再び彼女達と合流できるかは疑わしい。
(私にはこのまま見送る事しか出来ないのか)
悔しがる彼女の目に飛び込んできたのは見た事もない蒼い獣。
それを恐れて桟橋にいた連中は次々と逃げ出していた。
「あれも連中の手先か…?」
剣に手を掛ける彼女の下に獣は走り寄る。
来ると警戒した彼女に掛けられる親しげな声。
「よう! アンタも無事だったのか?」
「その声は…デルフか! だとするとコイツは…」
「相棒に決まってるだろ」
「………!?」
デルフの言葉にアニエスは驚愕した。
ただの犬ではない事は知っていた。
だが、目の前にいるのは正しく怪物。
こんな生物、彼女は見た事も聞いた事もない。
彼の変貌した姿に歴戦の勇士である彼女も怯んだ。
それを判ってか、それとも判らずにかデルフが続ける。
「俺達はあの船を追うけど、アンタはどうする?」
その一言で彼女は我に帰った。
たとえ、ミス・ヴァリエールの使い魔が何者だろうと関係ない。
彼等もまた私やギーシュと同じ任務を果たそうとする仲間。
今考えるべきはこれからの事だ。
つまらない事にこだわっている余裕はない。
「是非もない」
「よっしゃ! じゃあ相棒に掴まりな!」
言われるがままに彼の背に飛び乗り、しっかりと腕で身体に掴まる。
きっと振り落とされないようにしろという意味だろう。
(あれ…?)
よく見るまでもなく彼には翼など生えていない。
それで一体どうやって追いかけるというのか。

724 :ゼロいぬっ!:2007/10/27(土) 19:58:27 ID:ANx0iUr3

その疑問は目の前で起きた大惨事に掻き消された。
ラ・ロシェールの象徴ともいえる世界樹が地響きを立てて傾いていく。
「な……なななな…!?」
「地盤は十分に溶けてたみたいだな、これなら行けるぞ!」
アニエスは知らない、この惨事を引き起こしたのは彼等である事を。
メルティッディン・パルムで樹の根元を既に溶かしていたのだ。
そしてアニエスを乗せたまま、樹の幹に飛び乗る。
「行くってどこへ!?」
「船の上に決まっているだろう」
「どうやって!?」
「どうって…飛ぶんだよ」
そこで二人の会話は途切れた。
樹の天辺を目指し彼は幹を駆け上がる。
瞬く間に彼は空気が壁と化す速度に到達した。
筋肉・骨格・腱に与えられた圧倒的な力。
それを総動員し彼は弾丸と化した。
そして助走をつけて空へと撃ち放たれる…!


「引き返して! まだ皆が…」
「落ち着くんだルイズ!」
船員に掴み掛かる彼女をワルドが止める。
涙ぐむ彼女の瞳を見て心苦しく思うが致し方ない。
これが最善の処置だったと自分を諭し説得する。
「君も判っている筈だ、これは任務なんだ。
優先されるのはその達成、他の事に構っている余裕はない」
「でも、それじゃあ…」
「彼等だってそう思っている筈だ。
ここで引き返すのは彼等の思いを踏み躙る事になる。
僕達には一刻の猶予だって残されていないんだ」
「……………」
それで納得してくれたのか俯きながらルイズは口を閉ざした。
彼女も判っているのだ。
今もフーケのゴーレムと戦っている友人達、
宿で足止めをしているミスタ・グラモンとアニエス。
彼女等が何の為に、誰の為に戦っているかという事を。
慰めようとルイズの肩に手を掛けようとした瞬間、轟音が周囲に響き渡った。
船に乗った誰もが甲板に上がり外の様子を窺う。
巨大な世界樹、ラ・ロシェールの桟橋が傾いている。
一体何が起きたのか戸惑う中、それは現れた。
桟橋の上を走る一匹の蒼い獣、その背には女性、口には剣を咥えている。
それを見ていた彼女の表情に喜色が戻る。
自分には見せた事がない本当の笑顔。

そして獣は飛んだ。
恐らくは誰もが目を疑っただろう。
羽ばたく翼も滑空する羽も持たずに宙を舞う。
そんな非現実的な光景を目にしているのだから。
だが、私はそれを受け入れた。
アレは自分の知る常識など通用しないのだ。
だから何が起きようとも驚く必要はない。
そういう生物なのだ、あれは…!

砲弾が描く軌跡のように彼は船上へと舞い降りた。
彼を迎え入れたのは恐怖に慄く船員達でも、
覚悟も新たに見つめるワルド子爵でもなく、
涙を零し自分を抱きしめてくれた主の姿だった…。


725 :ゼロいぬっ!:2007/10/27(土) 20:01:18 ID:ANx0iUr3
投下したッ!!
次回はラ・ロシェールでの戦い!

726 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 20:05:31 ID:6kn2Tp+a
GJバオー犬!
なんという無茶苦茶な飛び移り方
これは間違いなくラ・ロシェール大損害

727 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 20:08:32 ID:YtbE1Ez7
GJです

728 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 20:41:31 ID:PKjwk4Q6
GJ!

729 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 21:03:32 ID:CCjGzbVk
いぬGJ!何気に世界樹にここまで被害出した作品は初?

730 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 21:12:18 ID:6u4Y1ARi
>>729
そもそも現段階で世界樹に被害が出た作品なんてあったっけ?

731 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 21:19:49 ID:CWa+wR8G
半分はそもそも世界樹なんて気にもとめてない気が

732 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 21:57:24 ID:4bT+0INv
むしろ船に乗り遅れた作品はいぬが初だ

733 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 22:02:56 ID:BlJETwZO
姉妹スレで世界樹を破城槌に使った作品無かった?

734 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 22:28:17 ID:BkqWM2sA
>>733
超1級歴史資料〜ルイズの日記〜だな
ニューカッスル城も空を飛ぶしな

735 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/27(土) 22:48:24 ID:yB8A49et
                     _,,,,_(⌒)
                    /、., ``'ヽ、,
                     //ィェァ``ヽ 、., ヽ       (⌒)
                  / ``ヽ 、., ィェァ//    /´ ̄ ̄ ̄`ヽ
                  /     ``' ‐'/     |         ', |
                    i       :::/      | __ __ _|
                  ト、     ::;/      .{[ィェァ  ,ィェァ ]|
                 /j ヽ、/_;;;;;: イ       .l  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |
                , イ〈    .:;;;;;:.:/     _ _」 ',     ,' i!
               ,イ / !    ,.'´ト、   ,r'´子タ ト、     /:.!L,.-──- 、
         _,.-‐''´ / ! ,jr‐<´   ,イ `ヽ/。 。 。  _」;;:ヽ _l_,ィ ,r'´  ,r''"´ ̄`フ\
     ,r─''"´     /  |/L_ハ。/// ̄ノ   ,rュ_」7,イj!;:;:;:;:;::.:.:,ノ, イ7′  , '´/7rェヽ
    / i         `フ ! /;.;i   ,//  ,/q /ハ レ'ヾヾ\;;:;:.:.:: .: . ./´ー==イ、, 弋夲/i
    ! |       「 ̄  l i;;;;;|   リ  ,イl   L_」l  レ'´     _ノ二ニヽ  ヾヽ  `¨7
    | ゙i       i   | |;;:;;| _,ハ__ノ^|」 o o oト、/  ,.-‐'"´\  _」」_」_」、  /
    ,〉、 ゙i、       |   ,| ,!;;;::;|ノ-、/, イ:; ̄ ̄`¨`Y;:,r'"´二ニヽ,.-‐''"´`ヽ   ヽi| /
   ,ハ \ト、     l    !,!;;::;/ー-/  / .:.:    _,リ´   ̄`\\   ヽ  \  ,j!,イ
   / iヽ  ハ    |   i!;r'ー=,/  /  .:.:  _/        / ゙i\   `,   !/.:;:;!
  ,/  ! \,! ト、   l   ,r'´  ̄i  i  / ̄         /  |  !   i /   /
 /    !ヽ   iト、.   |,イ     |  \/       _,, '´  ヾ  | ,/;:::.:.:.,r'"´  ,/
,/    |  \ | ゙、  ,l ハ、    \  ,/__    , '´      ≧j/;;;:r:;"´    ,/

の予感

736 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/28(日) 00:15:23 ID:xWntB2G7
吉良が投下されるって事か?

737 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/28(日) 00:17:49 ID:NRKk74MV
>>736
首から下はどっちも吉良だし
首から上もいちおー爆弾魔だから
その解釈で宜しいんじゃあないかと

738 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/28(日) 00:21:22 ID:K/IusNtV
ゼロいぬっ、次回レコンキスタ壊滅か・・・。

739 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/28(日) 11:18:35 ID:nb45MHyl
>>735が誰だか分からんかっただが、
>>736>>738のお陰で分かったw

爆弾野郎の登場か?

740 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/28(日) 11:20:50 ID:NJm88dNK
時飛びすぎwww

741 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/28(日) 11:27:52 ID:pWTWJ31t
11時間弱・・・時を吹き飛ばした訳だな・・・・
あの爆弾魔・・・・

742 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/28(日) 12:20:20 ID:83HDa6Ou
いや、実はン年ぶりに時を止められたものの、今度は動かせなくなった丈太郎さんの仕業かもしれん

743 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/28(日) 12:36:04 ID:095fWsPF
やれやれだぜ。久しぶりに時を止めたが動かし方を忘れちまうなんてな。
とりあえずこのスタンドをブチのめして娘を連れて帰るか。

こうですか?!わかりません!

744 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/28(日) 12:43:13 ID:SU6oLiIv
アナスイ、チンポ、兄貴「さすが承太郎さん!
俺たちに出来ないことを平然とやってのけるッ!
そこにシビれる!憧れるゥ!」

745 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/28(日) 13:02:15 ID:PP0C1zas
アナスイもついでにブチのめされるんじゃねえの?

746 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/28(日) 17:52:34 ID:NJm88dNK
最近時飛びすぎwww

747 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/28(日) 17:59:03 ID:awld1VA8
さすがにジョジョキャラも召喚しつくして新規召喚は難しくなってきたからな
つーかこれくらいが普通だ
お前ら加速した時に馴れすぎだ

748 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/28(日) 18:06:30 ID:oB+pJotz
紫のポエム、待ってます。

749 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/28(日) 18:30:58 ID:kzE0WM3+
つまり神父が少年に倒されたわけですな

750 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/28(日) 18:32:49 ID:uFtgd0os
なるほど、次はアイリンが召喚されるわけか

751 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/28(日) 18:35:32 ID:CQPIe7vD
ギーシュの見せ場がふと思いついちまったんだが、奴が出るのがまだ先だった。
…というわけで私に『投下』させていただきたいんですが、かまいませんね!?

752 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/28(日) 18:38:45 ID:rn1bGZUh
問題ない、支援するッ!!

753 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/28(日) 18:44:40 ID:CQPIe7vD
あ、ありのまま今起こったことを話すぜ!
私はジョルノの横にマジシャンズレッドを使って亀を置いて眠りについた。
だが起きてみると部屋には誰もいなかった…部屋は綺麗に片付けられており、ここから出て行ったのかどうか判断がつかなかった。
殆ど私物は亀の中に仕舞い込んじまうんですっきりしてるのが仇になった形だ。
嫌な予感がするぜ。
ジョルノは私を置いていくのはかわいそうと思うより先に、『少しがらんとしちまったが、まぁすぐに馴れるさ』と思うタイプ!
…あ、ありそうだ。
な、何を馬鹿なことをって言う奴もいるかもしれねぇが、お、俺にはありそうって気がして判断できねぇ。
今俺の頭はうまく働いてねぇのはわかってるが、こんな気持じゃあ仕方がないだろう。
お、置いてきぼりとか戦力外通知とかそんなちゃちなもんじゃねー!
もっと恐ろしい…あん?
思わず燃え尽きるほどHeatしちまった私だったが、テーブルに書置きがあるな。

『マチルダさんに街を案内してもらってきます』
…私も連れて行けよ。ジョルノ。
いや待てよ。
綺麗なお姉さん&邪魔者は排除…これはもしや、デートってことなのかもしれん。
奴に浮いた噂はあんまり聞かなかったが、奴もイタリア野郎だ。

奴らは侮れん…一つ私が見聞きした話をしよう!
とあるイタリアの街角での会話だ。
私はそれをカフェでカプチーノを飲みながら聞いていた。

『ペッシ。お前さっきチラチラ見てたが、ああいう綺麗なお姉さんが好きなのか?』
その伊達男の声がなんともダンディでなんとなく私は見ていた。
伊達男の視線の先には去っていく綺麗な後姿…コートを着たパイナップル頭が純情そうにテレていた。
そして普通そう聞かれたら答えるであろう台詞『大好きっすよ兄貴っ!』と言った。
そう答えるのは当然。至極当然だ。私だって大好きだ。
お近づきになりたいと思う!
だが、そこでイタリア野郎ならっ!
『このマンモーニがっ!』
殴られても仕方ねぇっ!ようだ。
『イテテッ兄貴!いきなりなにすんか!もう…!』
『ペッシ!だからお前はマンモーニなんだよ! いいか! 俺達のイタリアには『ああいうタイプの女性が大好きです』なんて言葉は存在しねぇんだ!』
伊達男は殴られて椅子から転げ落ちたパイナップル頭の胸倉を掴み片腕で持ち上げていく。
困ったようにする周りの人と、同意する数人の男達が印象的だった。
『何故なら! 『好みのタイプ』そう心で思った時には、既に口説き終わっているからだ! 愛してるぜ…そう囁いて熱いキスを交わすか強烈なビンタを食らってる! だから存在しねぇ!』
そう言った伊達男は自分の鬼気迫る様にビビっているのパイナップルの首筋から後頭部を優しく撫でてやる。
あの流れるような手つきっ、あれは、(何のとはあえて言わないが)恐ろしく扱いになれた動きだったぜ。
『わかるよなぁペッシ。俺の言いたい事…勿論、お前もそうなるよなぁ、ペッシ!』
『わかったよ兄貴! 兄貴の言葉が頭じゃあなく、心で理解できた!』
先ほどまでのマンモーニとは思えない覚悟を秘めた表情で、パイナップルは去っていった。
様子を見ていた仲間らしき男の一人が納得いかなさそうな顔で伊達男を見る。
『そういうお前がナンパしてる所はみたことねえぇんだがよぉお、それはどー説明すんだ?』
『俺の好みのタイプは老いて尚美しい女。そうは見かけねぇだけだ』
目を閉じて淀みなく答えた伊達男はそれ以上は何も言わず食べかけのスイーツを齧る。
『なるほどな…あいつだけじゃあぁ不安だからよぉぉ、俺も一緒にいってやることにするぜ』
返事に納得したらしい仲間の一人が椅子から立ち上がり歩き出した。
隣のテーブルで一人パソコンを弄っていた服装は普通に見えるが、どこか変態っぽい男が笑い声を上げる。
『…お前が行った方が不安だろう。仕方ないから俺も一緒に行くぜ』
パソコンを鞄に仕舞い、その変態っぽい野郎も後を追っていく。
伊達男はため息を一つ零してコーヒーを飲み干すと、食べかけのスイーツ片手に立ち上がる。
代金は全員の分が纏めてテーブルに残されていた。
『チッ、あいつら。てめーらが俺達の中で一番危ねぇのを忘れてんのか?』
そうしてそいつらは街の雑踏の中に消えていった。
俺の話は以上だぜ。

754 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/28(日) 18:50:24 ID:CQPIe7vD
…マチルダお姉さんは、今そんな(主に性的な意味で)戦闘民族と一緒にいる。
な、なんて勿体無…いや危険!

先ほどとは違う意味で雄たけびを上げそうになった私の気分に水を差す形で、部屋の扉が開く音がした。
「ジョルノ? いないの?」
マジシャンズレッド!
我に返った私は思わずスタンドを出して亀の外を確認した。
このけしからん胸、テファだな。
ジョルノの奴、テファにも何も言わなかったのか?
仕方ねぇ奴だな。

なんか用があったみたいだが、テファが困ったような顔をして出て行くのを私は見送った。
スタンドが見えるなら慰めようもあるのだが、テファには見えないし顔を出して驚かせたりってのも面倒だ。
ガキどもにもすぐ見つかっちまうだろうしな。
そんなわけで放っておく事に決めた私はマジシャンズレッドに私が入っている亀を持ち上げさせ、窓を開けた。

空は快晴。実にいい散歩日和だ。
今日はジョルノがいない…ついていきたかったって気持は勿論あるが、ここは逆に考えよう。
監視役がいねぇから俺はやりたい放題と考えるんだ!

「オオオオッ!!」
マジシャンズレッドは私の指示に従い投球フォームに入る。
一旦足を持ち上げ、大きく踏み出しながら咆哮、そして体を捻りながら亀を森の方へと投げる!
投げた瞬間、私は一旦マジシャンズレッドを仕舞う。
マジシャンズレッドのパワーは亀を遠くに投げるには十分!
亀は簡単に投げ飛ばされ、回転しながら森の上空へと突っ込んでいく!
徐々に失速していく亀…放物線を描き森へと落下していく。
このままでは木とかに当たっちまうが、何も問題はない。
私は再びマジシャンズレッドを出して、木に激突する直前でしっかりとキャッチさせた。
され、これで距離は稼いだ。
ここからは散歩と洒落込もうか。
だが私はまだ空飛ぶ亀の姿をテファらに目撃されている事には気づいていなかった…ウホッ美味そうな木の実とかに夢中でな。
どうもマジシャンズレッドに気合の雄たけびをあげさせたのが不味かったらしい。
その後私は帰ってきたジョルノに説教を食らった。
抜け駆けしたんだから普通逆だと思うんだがな?
私は神妙に反省するようなふりをしながらそう思っていた。

「…どうやら反省してないらしいな」

ジョルノが不意にため息をついてそう言った。
正座した体勢のまま私は意外な言葉に間抜けな顔をしてジョルノを見上げる。なんというか、ある意味爽やかな笑顔だった。

「え?」
「声に出てましたよ?」

指摘を受け冷や汗が流す私の脳裏に一つの言葉が思い出された。

『本来、笑みとは攻撃的なものである』



ポルナレフさんは何か勘違いしてるような気がするしいい加減落ち着けよと思うジョルノだったが、説教をしてから散歩程歩いてどーでもいいかと忘れる事にした。
少し忙しくなるので毎度毎度行われるポルナレフのうっかりに長時間を割いているわけにはいかなくなってきている。
マチルダはジョルノにとても都合の良い人間だった。
良い人だが腕の立つ犯罪者でもある、という点が実に良い。
ジョルノの目的を果たす為には裏社会への窓口を探さなければならないが、テファ達にはそれを教えたくない。
マチルダは貴族相手に盗みを働いているがそれをテファには隠しているので、彼女からばれることはないと考えられるのだ。

755 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/28(日) 18:55:22 ID:CQPIe7vD

このアルビオンが内戦状態になりかけた為、もしもの時を考えてテファに使い魔を召喚させたらしいマチルダとしては…
その大事なテファが召喚したのがギャングで、こちらでもそれをやるつもりだと言うのはとても不服だろうが、ジョルノにはジョルノの夢がある。

そんなわけでジョルノは今日最初の一仕事を終えてきた。
ジョルノの考えでは、これで大きく進展する予定。
うまく行かなかった場合の為の手も幾つか打ってあった。
この世界とジョルノ達の世界の大きな違いの一つは速さだとジョルノは考えているからだった。
電話やメールがなく、手紙も街道には傭兵兼任の賊が多数いる為それなりの手段を使わなければ確実には連絡が届かない。
お陰で輸送費は案外高いようだ。
それにメイジ頼みだった為、量産技術などが予想よりもかなり低い。
ゲルマニアは平民でも金があれば爵位が手に入れられたりするので、事情が変わってくるようだが…ゲルマニアには百メートル程度の金属柱位は作り出せそうな程度の製造技術などがあるそうで、他の技術も発展している可能性がある。
その分、メイジの数や虚無とかいう系統を扱ったブリミルを神とする宗教などは余り振るわないそうだが。

「ゲルマニアには、いつかいかなければなりませんね」

ポルナレフが住んでいる亀から出て一人、石ころから生み出して収穫したオレンジからオレンジジュースを絞りながら考えていたジョルノは、そう言って100%オレンジジュースを飲み干すとココ=ジャンボとはまた別の亀を用意し、中に入っていく。
ゴールドエクスペリエンスの能力で生み出されたココ=ジャンボの細胞を持つ亀の一匹。
ココ=ジャンボの中にもこっそり何匹か用意してあるのだが、それとはまた別に携帯用に小さい固体を生み出してあるのだった。

中にはアンティーク調のベッド、テーブル。薄型液晶などの家電。
ブチャラティ達の写真。それに亀の入った大きめのケースが並んだ棚。
亀の世話は案外大変で、自動化するのに多くの手間と費用を費やしたが、今のところうまく行っている。
その中の一匹に、ジョルノは更に入っていく。
中は先ほどと似た部屋だが、こちらはさながら倉庫のように並んだ棚しかない。
番号が降られた棚に入っているのは特定の生き物を生み出す必要が出てきた時の為に用意された生き物の一部が入った保存用ケース。

一応どこに何があるか程度は覚えているジョルノは迷いのない足取りで棚の間を進み、棚の一つから小さなケースを取り出す。
中身について書かれたラベルを確認し、目的の物を手に入れたジョルノは自分のスタンドを出してケースから細胞を出させる。

『ゴールドエクスペリエンス!』

ジョルノのスタンド、ゴールドエクスペリエンスが触れた細胞から今にも生命が生まれだしそうなのが、ジョルノにはわかった。
これを離し、能力を発現させれば新たな生命が生まれ…時間を置けばその生命はジョルノの能力が及ばない一個の生命となる。
だがそれをジョルノは「…解除」する。
解除された細胞はまたただの物質に戻り、棚に戻された。
元来た道をジョルノは戻り、ブチャラティ達の写真を一瞥して亀から出る。

「ブチャラティ、貴方達の死を乗り越えて…僕はちょっぴり成長できたらしい。今なら、もっと色々な種類の大型の生き物も生み出せる気がしますよ」

昼間いなかったせいで日課の力仕事が残っているジョルノはそう言って外に出た。
風呂に入るようになったと聞き驚いているマチルダの手を引いて、テファが皆で川の傍に作った風呂へと連行していくのが見える。
飛んでいるように見えないように中腰で亀を運ぶマジシャンズレッドの姿がギャグだったが、風呂の準備は万端なようだ。

「テファ、今日はゆっくり入ってきてください。僕は風呂上りの飲み物で準備しておきます」

ジョルノはそう言って、隠れて石ころを果物に変えていった。
この世界にはない果物もあったが、飲み物になってしまえばばれる事もない。
用意された果汁100%ジュースが何から出来ているのか湯上りで肌を上気させたテファ達はおいしそうに飲んでいった。
(普段は振舞われるのだが、)勿論その日ポルナレフの分は用意されなかった。

今回は以上です。
そろそろ一巻の時間帯に入りたいかもしれない…

756 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/28(日) 18:58:46 ID:OWwsMWpg
ココ・ジャンボ量産済みなのか…便利だな!

757 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/28(日) 19:05:06 ID:tYfdTB+B
ほんまイタ公はおフランス人もビックリの戦闘民族(もちろん性的な意味以外にありえない)やでー
GJ!
ココジャンボ軍団便利すぎw

758 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/28(日) 19:21:10 ID:IAR4+ZzW
GJ!もうすぐ次スレの季節か?

759 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/28(日) 20:53:46 ID:kcDaoX6c
      /  , -''"´     \
  / /  /  ,. ‐'''""~´ ̄ ̄\
 V /   /  /             }
  ∨ /  / ,,.. -一ァ',二二二{
   V  ,..,/ ,.ィ彳 f==<r'二二二{、    | ̄ ̄              __|__ |
   ∨| ヘ`<=''~   弋ッ-ミ'''テ~ナ/    |ー― \/ ´ ̄| 「 ̄`  |   | \/
    〉'| | ト、   i{   ,..`二/ =|/''′     |__ /\ 匚]__ !__,  |_ |  __/
   //ヽヽぅ   ヽ     {   =|
   //匚 ̄]〕       丶,-‐ ,>      ( そ の と お り で ご ざ い ま す )
  /´r┐|__,|ト、       、____`7´
__人..二.」'   l>、    ヽ`,二/
     ´"''ー-論\  ∠三ノ
―-、__        ``ヾニ='′
     `ヽ      /、
       |‐- ...__   /ヽ\_
         \    ̄   `ヽ \

760 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/28(日) 21:29:58 ID:EZEHzIeW
亀の中に亀がいて、その亀の中にまた亀がいて…。
無限ループって怖くね?

761 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/28(日) 21:36:53 ID:IAR4+ZzW
ココ・ジャンボ・レクイエム

762 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/28(日) 22:02:08 ID:XCnEfjJw
終わりの無い亀、それがココ・ジャンボレクイエム!

どうでもいいけど、ココ・ジャンボって
何処がジャンボなんだよ
亀だし、なんか卑猥だな
と思ってた小学生の時の自分

763 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/28(日) 22:08:45 ID:PP0C1zas
>>762
なかなかに早熟でよろしい

764 :sage:2007/10/28(日) 22:26:24 ID:zVOFzk3Z
亀量産www
ジョルノのスタンド便利すぎwww

765 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/28(日) 22:31:55 ID:yqrrywQb
35分から埋めつつ投下します

766 :ゼロいぬっ!:2007/10/28(日) 22:36:48 ID:yqrrywQb

私の目から涙が溢れた。
使い魔の前で無様な姿は見せられない。
そんな事は百も承知していたはずなのに止まらない。
それで判ってしまった、私は心細かったんだ。
使い魔を召喚した日から今まで築き上げてきた物。
言葉では語り尽くせない日々に、
自分一人では触れ合う事さえなかった友人達。
それを前にして自分が成長してる気分になっていた。
でも皆と離れてしまった途端、急に恐怖が込み上げた。
今までの出来事が全部夢で自分は変わらないまま。
そんな錯覚が頭から離れなくなった。
私の自信なんて誰かが居なければ確かめる事も出来ないもの。
でも、もう大丈夫。
私の使い魔はここに居る。
どこにいようとも必ず駆けつけてくれる。
私達は二人で一つのパートナーだから。

ようやく落ち着きを取り戻しルイズは涙を拭う。
その間、微動だにせず受け入れていた彼は元の姿に戻っていた。
アニエスはまだ着地した事に気付いてないのか、目を閉じたまま震えていた。
声を掛けても聞こえてないのか、始祖への祈りを続ける。
仕方ないので彼女は放置して彼に訊ねる。
「……ねえ、一つだけ聞きたいんだけど『アレ』貴方の仕業?」
彼女の指差す先は見るまでもなく傾斜した世界樹。
その下ではランプや松明を手にした町の人がわらわらと集まってるのが見える。
彼等の悲鳴や絶叫が空を往く船にまで届いてくる。
倒れた訳ではないので怪我人や死人は出ていないだろうが、
恐らくはラ・ロシェール始まって以来の大惨事だ。
心なしか問い質す彼女の顔も引き攣って見える。
“違うよ、違うよ”と必死に前足と首を振って誤魔化す。
それを見て彼女も安堵の息を漏らした。
「そうよねー、そんな訳ないわよね」
あははは、と笑う彼女は笑みはどこかぎこちない。
状況から見ると八割方こいつの仕業で間違いない。
だけど、それを認めるのが怖くなって拒否したのだ。
弁償となれば一体どれぐらいの金額を支払う事になっただろうか。
あるいはヴァリエール家が没落していたかもしれない。
となれば誰の所為にするのがベストか?
ちらりと視線を向けると町で暴れ回るゴーレムの姿。
一人と一匹と一振りの頭に電球が浮かぶ。

「許せないわ『土くれのフーケ』! 
貴族の財産ばかりか、人々の共通の財産を破壊するなんて!」
「ああ、全くだぜ!」
「わふっ!」
だんっと船の縁に足を乗せてルイズがゴーレムを指差す。
それに続き、彼も両前足を縁に掛けた。
突然の彼女の言動にざわめく船員達。
しかし貴族の令嬢と盗賊、信じるべきがどちらかなど言うまでもない。
僅かな疑念を残しながらも即座に手旗信号で『フーケの仕業』と下に伝えられた。

767 :ゼロいぬっ!:2007/10/28(日) 22:39:31 ID:yqrrywQb
未だに混乱が収まりきらぬ中での新情報。
目の前の怪異に慄いていた人々の前に捧げられた『真犯人』。
それは集まっていた町民の間に瞬く間に広がっていった。
「聞いたか? 犯人は『土くれのフーケ』だ!」
「おのれ! 奴の仕業だったのか!」
「俺の家を破壊したのも奴の仕業に違いない!」
「冗談じゃない! 船が来なくなったらこの街は終わりだ!」
「許せねえ! 血祭りに上げてやる!」
彼等の恐怖と混乱はやがてフーケへの怒りに変貌を遂げていく。
それはさながら魔女狩りのように人々を駆り立てた。
手に松明と武器、口々に怨嗟の言葉を吐きながら彼等はフーケの下に向かう。
それはまるで町全体が熱病に掛かったのかのようだった。


「ちっ…! しつこいんだよ、アンタ達!」
ひらひらとゴーレムの拳を避ける風竜を前に毒づく。
互いに決め手を欠いた勝負は泥沼と化していた。
以前のような平坦な場所と違い、ここでは思うように動きが取れない。
少し距離を取られてしまえば手が届かなくなる。
しかし向こうの攻撃もゴーレムを破壊するには至らない。
風竜より交互に放たれる炎と氷。
そこからすぐに相手の狙いは読み取れた。
加熱と冷却による物質疲労、それが小娘達の策だ。
判ってしまえばどうという事はない。
時には避け、時には防ぎ、決して同じ箇所への連続攻撃は受けない。
それさえ注意していれば簡単に潰せてしまう。
仮にゴーレムを破壊されたとしても修復できる。

だが問題は勝つ事じゃない。
もう船が出港している頃合だ。
つまり頼まれていた時間稼ぎは終わり。
だからとっとと撤退するのが賢い選択というもの。
その隙を見つけ出すのが重要なのだ。
でないと、いつ人が集まってくるか知れたものではない。
ちらりと下を向くとこちらに向かってくる人影が見えた。
(これだけ騒げば、そりゃあ野次馬の一人や二人来るわよね)

しかし、その予想は大きく覆された。
まるで山火事のように映る無数の明かり。
数人どころではない、老若男女問わず町中の人間がこちらに向かって来る。
それも各々持参した武器を手に持ってである。
しかも何故か自分の名を叫んでいるのが下から聞こえる。
状況の判らぬフーケに群衆の一人が松明を投げつけながら怒りをぶつける。
「貴様! よくも桟橋を壊してくれたな!」
「ちょっと…! 何言ってるか全然分からな…」
「とぼけるな魔女め!」
フーケの弁明など聞く耳も持たない。
それも当然か、盗賊である自分が何を言っても無駄。
貴族のみを標的にしたとはいえ義賊でもない自分に民衆の支持などある筈もない。
否。罵倒されて然るべき存在なのだ。

768 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/28(日) 22:39:32 ID:MsxEWxOg
可哀想なフーケ、支援

769 :ゼロいぬっ!:2007/10/28(日) 22:42:17 ID:yqrrywQb
「降りて来い! 絞首刑に掛けてやる!」「いや、針串刺しの刑だ!」
「年増!」「それじゃ済まされねえ! 火炙りだ!」
暴言を吐き掛けながら石や武器を投げる町民達。
そんな物はゴーレムの力で一蹴できただろう。
しかし無駄な殺しなど彼女とてしたくはない。
どうせ連中には何も出来はしない。
全て耳から耳へと聞き流す…つもりであった。
「誰だい!? 今、中に紛れて年増って言った奴はッ!!」
ゴーレムの一蹴りで粉砕される屋台。
誰が言ったか分からないNGワードが彼女の逆鱗に触れたのだ。
宙に舞い散る破片に人々がきゃーきゃー言いながら逃げ惑う。
その光景は正に怪獣映画のワンシーン。
ゴーレム大地を揺らしながら民衆に襲い掛かる阿鼻叫喚の地獄絵図。

「チャンス!」
最初は状況に付いていけなかったキュルケだが、
我を忘れたフーケの姿を見て勝機を見出す。
既に仕込みも上々、後はいつ仕掛けるか機を待っていたのだ。
タバサへ目を向けると彼女も頷いて同意を示す。
そして杖を掲げ最後の『ウィンディアイシクル』を放つ。
無論、フーケとて完全に彼女達の事を忘れていた訳ではない。
咄嗟にゴーレムで両腕の防御を固めて防ごうとした。
だが放たれた氷の矢はゴーレムを通り越し背後の岩壁へと命中する。
外したのか? いや、そうではない。
初めから狙いはゴーレムではなかった。
振り返った彼女の目の前で岩壁に亀裂が入っていく。
思えばいかに俊敏といっても、この巨体ではそうそう魔法は避けられない。
なのに連中との交戦では直撃をほとんど受けていなかった。
それが相手の未熟と彼女は疑っていなかったのだ。
ゴーレムへの攻撃、それが全てカモフラージュ。
本当の目的は物質疲労で背後の岩壁を打ち砕く事…!

根元を砕かれて岩壁が崩れ落ちる。
その崩落は津波と化して瞬く間にゴーレムを飲み込んだ。
どんなに力があろうとも押し寄せる土砂の前では無力。
フーケもろとも巨人を麓まで押し流していく。
「さよーならー続きはまた今度ねー」
「アンタ等! 覚えてなさいよ!」
ぱたぱたとハンカチを振るキュルケにフーケが怒鳴る。
しかし、それも束の間。
見る見るうちにゴーレムの巨体も小さくなり視界から消えてしまった。
普通、これだけの土砂災害に巻き込まれたらまず助からない。
しかし相手は『土くれのフーケ』だ。
その内、またひょっこりと顔を出してくるだろう。
二人の大勝利に民衆が大歓声で彼女達を讃える。
それにキュルケが機嫌良く手を振って応えた。
なるべく被害が出ないようにしたつもりだが町の一部を破壊したのだ。
お咎めがあるのでは?という不安は解消された。
“土塊の巨人を倒した英雄”として彼女達は迎えられた。
笑顔で応じながらキュルケが背後のタバサに訊ねる。
(ねえ、ひょっとして世界中が傾いたのって私達の所為?)
(違うと思う……多分)


770 :ゼロいぬっ!:2007/10/28(日) 22:44:37 ID:yqrrywQb

「はぁ……はぁ…はっ…」
息を弾ませながらギーシュは銃を手に取る。
彼の周りには幾多もの矢と青銅の残骸。
アニエスが去った後、膠着を脱出するべく彼等は弓を持ち出した。
ボウガンではない、通常の弓だ。
威力こそ劣るがボウガンにはない利点がある。
それはこの盾を迂回して僕を攻撃できる事。
やや上向きに放たれた矢が盾を迂回し頭上から降り注いだ。
防ぐにはワルキューレを使うしかなかった。
自分に直撃するものだけを防ぎながら反撃を繰り返す。
そして気が付けば戦力は僕一人になっていた。
弾の装填に使うワルキューレもいない。
今手にしている銃を一発撃てば僕は丸裸だ。
そして頼みの綱のヴェルダンデも宿の下の岩盤を破壊できず、
地下道を通じての脱出も不可能となった。
魔力もなく銃も撃てない、最後に残されるのは命と誇りだけ。
(それで…十分だ!)
もうどれぐらい経ったか分からない。
向こうも痺れを切らし突入してくる頃だろう。
ならばみすみす殺されるのを待つ必要はない。
こちらから打って出てやる!

「うおおおおぉおおお!!」
雄叫びを上げて入り口へと突進する。
盾から飛び出した瞬間、予想された攻撃は来なかった。
ならばもっと引き付けてからか…?
だが、さらに前進を続ける僕の前に敵は姿を現さない。
既に目前には入り口が迫っている。
「っ………!」
そうか、読めたぞ。
僕が店から出てきた直後、四方八方から攻撃する気か。
それは正に総攻撃。どんな策があろうとも決して防げない。
だが、こちらの覚悟は決まっている!
一人でも多く道連れにして華々しく散ってやろう…!

「トリステイン王国に栄光あれーー!!」
店から飛び出しながら地面を転がる。
それは少しでも被弾を避ける為の回避運動。
そして待ち構えているであろう敵へと銃口を向けた。
しかし…。


771 :ゼロいぬっ!:2007/10/28(日) 22:47:04 ID:yqrrywQb

「あれ?」
そこには誰もいなかった。
敵どころか人の気配さえしない。
あっちこっちに視線を向けるがやはりいない。
真っ暗闇の中でぽつりとギーシュ一人が取り残されていた。
彼は知らなかったが既に傭兵達は逃げ出していたのだ。
何しろ世界樹の傾斜騒ぎに武装した町民の行進。
果ては大規模な土砂崩れまで。
ラ・ロシェールの町で起きた異常現象に恐れをなした彼等は我先に逃げ出していた。
それを知らないギーシュはずーーっと一人で存在しない敵を待ち構えていたのだ。
無人となった通りで腕を組みながら彼は首を傾げる。
そして一応の結論を導き出し口にしてみる。
「ひょっとして…勝った、のかな?」
とりあえず銃を掲げ、えいえいおーと鬨の声を上げる。
しかし誰も周りには居らず自分の声だけが残響する。
勿論、手応えもないのに勝利の喜びなどある筈もない。

その後、脳内で歓声を受ける自分の姿を想像するも、
虚しくなったギーシュは店に戻って勝利の美酒という名の自棄酒を煽った…。


772 :ゼロいぬっ!:2007/10/28(日) 22:48:05 ID:yqrrywQb
投下したッ!!
次回はもう少しシリアスで!

773 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/28(日) 22:52:41 ID:XF0Pqbdc
GJ!
ギーシュ…お気の毒♪

774 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/28(日) 22:53:40 ID:uFtgd0os
GJ!!
ギーシュ哀れww

775 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/28(日) 23:53:46 ID:XMQ4+WvI
GJ!
ギーシュ…お前は誇っても良いくらいがんばったよ。

776 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/29(月) 00:22:39 ID:8UZwYox4
GJ

ギーシュ涙目wwwwww

777 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/29(月) 00:32:42 ID:iHq0UTsh
GJ!!
ギーシュ完全にギャグ要員ww

778 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/29(月) 00:40:25 ID:cRvkb5Ug
見事な責任回避だなルイズw

779 :名無しさん@お腹いっぱい:2007/10/29(月) 00:59:05 ID:ythOgig3
ルイズ・・・恐ろしい子ッ!!!まさに外道!!!
おマチさん、まじカワイソスw

780 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/29(月) 01:20:59 ID:NRy6GTFV
話をぶった切って悪いんだが
皆今日発売のジャンプSQ買うよな?

781 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/29(月) 01:48:13 ID:U3lc1CZA
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1193590003/
いつの間にか480KB超えてるじゃないか。
次に書き込んだ人が、次スレを立ててくれ……ハッ!?

782 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/29(月) 01:51:49 ID:DnCanIbb
>>780
買わないわけがないッ!
>>781


783 :仮面のルイズ:2007/10/29(月) 02:14:20 ID:P4AURGbt
残り容量超えちゃってるんで新スレに投下しまっす。

784 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/29(月) 03:22:57 ID:X2xkIsKY
>次スレ仮面
最後に待つのは、ともに誇りもつ『決闘』か、獣に堕ちた者同士の『殺し合い』か、
人間対、それが生きることを認めない者の『けじめの戦いか』、
人に帰りたい、帰れないルイズ 戦士から、人へと帰りたくないシエスタ。
堕ちる要素は十分すぎる二人、
GJです。

785 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/29(月) 03:23:49 ID:cRvkb5Ug
>>781
次スレを立ててくれと思った時には!
すでに立て終わっている!
流石だぜ兄貴ィーー!!

786 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/29(月) 04:04:16 ID:MUJod5PK
さあ、埋めるとしようか・・・!

787 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/29(月) 04:10:43 ID:hsELObci
ダイバーダウンで掘り返せないものかね、色々と

788 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/29(月) 04:14:40 ID:8dRIwihj
もしかして:アンダーワールド

789 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/29(月) 04:21:22 ID:cRvkb5Ug
うっかり下水道とか地下鉄とか地下水脈とか温泉とかマグマとかに当たっちゃったら、と思うと
怖くて使えないよな、ダイバーダウン

790 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/29(月) 05:22:36 ID:vmTLWEuD
埋め

791 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/29(月) 12:13:42 ID:hIkgCsOR
埋め

792 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/29(月) 12:49:04 ID:BNumCKJn


793 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/29(月) 14:39:49 ID:DhdDcx9z
埋め埋め埋め埋め埋め埋め

794 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/29(月) 17:00:01 ID:hsELObci
>>789
スマナイ、素で間違えてた

795 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/29(月) 17:06:05 ID:9vhVR0IP
>>769
>(ねえ、ひょっとして世界中が傾いたのって私達の所為?)
世界を傾けるとは恐ろしい…。

796 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/29(月) 17:31:24 ID:MOADGgY3
宇宙紐理論
世界は平面である、球体などというバカな意見があるがそんなものは間違いである。
下に居る人間は落ちてしまうではないか。
世界とは伏せた皿状の平面的な世界であるが、それがどのように支えられているか様々な説があげられていた。
だが、こうして世界が傾いたことによってその議論には決着が付いたのだ!
そう、世界は太陽や月、星といったものと同じように宇宙天井から紐で吊るされているという私の説が証明されたのだ!!
こうして世界が傾いたのは世界を吊るしている紐のうち一本が切れたからであり、(ry

by.ファンタジー世界のとある学者

797 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/29(月) 17:40:19 ID:TLP5kYCm
紐なんてありませんよ
ファンタジーやメルヘンじゃあないんですから

798 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/29(月) 17:56:42 ID:esVnpFHR
超ひも理論はこんなところにまで応用できたのか!!111

799 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/29(月) 20:15:26 ID:gVbBITES
>>796
巨大ブーメラン投擲実験、自重。

800 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/29(月) 20:41:08 ID:dnvKDkg3
>>796
何でもないさ研究所職員、自重。

801 :ゼロいぬっ!:2007/10/29(月) 22:02:04 ID:5D48gAm3
誤字は…何度チェックしてやっても、
文章の下から…ミミズのように這い出てくる…。
>>795
すみません、世界中⇒世界樹のミスです。
他にも誤字とかありそうなので完結したらまとめてチェックします。
ネタにされて美味しいのか悲しいのか。
とりあえず>>801だったら、レス番から想像されるような展開は回避。

802 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/29(月) 23:10:00 ID:P0z2fQR3
>>801
なるほど、つまりアニSさんとジュール・ドMさんによる特殊な嗜好の展開がされるのですねッ!

803 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/29(月) 23:32:17 ID:m1g6fb78
埋め

804 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/29(月) 23:52:41 ID:CVyuecY4
               __
           ,...-‐ '´::::::::: `ヽ、  
             /::::/ヘry∧:::::::..::\
         /...:/〈/レ'^ 'V\:::::..:::::ヽ    埋めたりかーん
         i:::::{Nノ    `ヽ |l:::. ::.: |
         !: : l ●    ●. |i:::::.. ::i|
       (Z)ノ:,、:l⊃ 、_,、_, ⊂⊃::::::::::ヽ(Z)
        /⌒ヽ_::!ヘ   ゝ._)   j /⌒i ::ハ:ヘ
      \ /:::::|::::l>,、 __, イァ/  /(R) (I)
.        /:::::: |_/:::i'  |三/::{ヘ、__∧、|     r―y、
       `ヽ<::::::.. ::!ヾ、__//:::::::...::/    \|^oメ^|/

805 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/30(火) 00:18:28 ID:gEEp+b6u
埋めると思ったときには!
もう既に埋め終わっているんだ!

806 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/30(火) 00:28:44 ID:/MOl5N0P
それは単に出遅れただけだって

807 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/30(火) 01:08:29 ID:l6xHisuM
うめめーん

808 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/30(火) 01:10:27 ID:wlQCD0CS
>>806の冷静なツッコミに笑ったw

809 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/30(火) 01:12:47 ID:PIkjpjSV
うめうめ

810 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/30(火) 01:14:24 ID:3gn89jZg
埋め

811 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/30(火) 01:16:30 ID:NIHXa2wL
埋め

812 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/30(火) 01:19:53 ID:ekp3EShD
梅梅

813 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/30(火) 01:41:25 ID:+LHarFO8
__、_、ヽ`ニ、ニ`二、ニ`ニ`、=、=ヾァー:-:ー丶、,、、,,_,.,、
⌒>\丶\ヽヽ ',!|/〃/ //,. ゙ : ' .: ゙ ,: ゙ ,/
 ⌒丶\丶ヽ`、', 《〈 〃ノ/. ' . '_;.,;._ ;.' , ゙ //
   __\ヽヾ:ヾ_ヾミ[]―‐[〕-''''"~´ 彡 . ゙ .゙〃
   ⌒\ ミ|{「己川ロ后叨:.: し___! 彡 ;' . ゙ /     う ・ ・ ・
      ヾレュ三<´{(厶ニニ-‐、>ヽ ; : . ,゙i
  ⊂   ,{ {(j  } }==Y∠r:ュ.ヾ,  く;/^ヽ!
   c    { ト >-<ン ,'  ~厂 ̄´`ヽ  ,ィ个 }     うろたえるんじゃあないッ!
   '   {〔!厂〈ー‐、 '":::...  u  }  )丿,ハ      まだ埋め終わってなくても
       )|h `-'"       / (__/,/       スレ住人はうろたえないッ!
.        !|  「r三三ヽ J   l  /⌒l !
        l |    } ,. ―-| u   ,/ 、_,ノj  ,r一''"~´)
         !.ハ  ノノ二ニ二!     ノ `7〈 /  ゝ''"´ __
.        | .ハ ヽ-r―‐-    ,f 、__// ヽ/-‐''(´  _,,ノ、
_,,.. -ー―ノ / ヽ  ゙ー‐  / ! `゙{'′ ノ  >‐'''(´_,,/
       ー-、 ヽ-r―‐< ,r'゙{:___ノ`ー(、__/ >''"´
   、_,,,,,,,,,,,,,,,}!,,___{  ;' /´ '゙ ̄´ ̄´  丶イ  __
  \     r―ー>''"/~"''ーく⌒ヽ._,,ノィ´   `)
    \    /  /7゙ <´      ノ  /〈   ><~´
      ヽ,/   { ヽr、\   ''"    ,. -''"―-ヽ `'ー- 、
    //     \ \ヽ、`丶、__,,..ィ´}! ,iリ    ``丶、 \


814 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/30(火) 04:58:41 ID:i0KHmtuL
ウメタァ

815 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/30(火) 07:58:38 ID:AkuVslpo
市民講座で気功が安かったから受講したんだよ。そうしたら「吸う、吸う、吐く」でワンセットで、
その呼吸をずっと続けていると、何でも体に気が満ちるんだそうだ。

ジョジョラーの魂が萌えてしまったはいいんだが、最大の問題は…おいら、鼻炎気味だということなんだよ。すごい音がするんだっ!
ということで、暇な住人の方で、ウォーキングでもしようって香具師は、なんかやってみたらいいかもね埋め

816 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/30(火) 08:04:02 ID:wlQCD0CS
埋めちゃいますね

817 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/30(火) 08:18:48 ID:l6xHisuM
埋め立て埋め立て

818 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/30(火) 10:47:27 ID:JjHWWLCt
埋めるぜ

819 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/30(火) 10:52:05 ID:mXjYCMXY
1000と容量どっちが早いかな

820 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/30(火) 11:17:02 ID:AkuVslpo
>>820 要領よくやればいいさ

821 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/30(火) 11:20:14 ID:IiVnrzOv
敢えて自己レスとは、要領のいい奴

822 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/30(火) 12:55:48 ID:nN7eakDl
マジシャンズレッドだけ召喚されたら

823 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/30(火) 13:06:37 ID:AkuVslpo
>>822 用量を守って正しく服用してください

824 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/30(火) 14:49:35 ID:UqJxXAo8
>>815
つ蛙

825 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/30(火) 16:23:04 ID:WYCxPY0x
カトレア姉様とフラグ立つキャラ召喚希望埋め
……居なさそうだな

826 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/30(火) 16:49:32 ID:WHirucmB
ヨーヨーマッ

827 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/30(火) 17:33:37 ID:7rRj24BP
>825
保管庫にトニオがカトレア落としたのがあったけど。

828 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/30(火) 17:51:28 ID:WYCxPY0x
カトレアとエレオノール間違えてた\(^o^)/
埋め

829 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/30(火) 17:55:12 ID:7rRj24BP
>828
ジョセフ(第2部)がフラグたててる話があった。
エレオノールの一人称で。

830 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/30(火) 18:27:37 ID:qNBEy4Hg
ウメ

831 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/30(火) 19:43:27 ID:2EAm+8NU
強制的に立ちかねないのが来訪
ヴァリエール公爵がなんか妄想と企みを…

832 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/30(火) 19:57:15 ID:AkuVslpo
>>妄想と企みを…

彼を、妄想っとしておいてあげて埋め

833 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/30(火) 20:29:59 ID:2EAm+8NU
>>832
誰が埋めい事言えと

834 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/30(火) 20:55:42 ID:YjjO1Jfy
500なら生ハム兄貴が踊りながら登場

835 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/30(火) 20:57:32 ID:suyNZcqC
生ハムかな覚悟じゃ兄貴には勝てまい埋め

836 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/30(火) 21:06:18 ID:XrzGA3x3
俺、このスレが埋まったら執筆しようと思うんだ

837 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/30(火) 21:06:34 ID:nN7eakDl
輸入雑貨屋でプロシュート買ってきた。これからピザ作るよ

838 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/30(火) 21:17:38 ID:l6xHisuM
>>836
なら早く埋め立てて、スレ住人を安心させてやりな。

839 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/30(火) 21:55:17 ID:+wefQ7rI
埋めるんだよぉぉぉぉぉ!

840 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/30(火) 22:01:09 ID:LRk3N0UJ
もしここが1000を迎えたら、神父は蘇り、スレは再び加速を始める・・・・。

841 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/30(火) 22:02:59 ID:ekp3EShD
嘘だろ承太郎!

842 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/30(火) 22:03:36 ID:2EAm+8NU
あと4KBしかないのにどうやって160レス埋めるんだよw

843 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/30(火) 22:08:28 ID:XrzGA3x3
25b/回でok

844 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/30(火) 22:10:08 ID:+EKFUgSS
「ねえええあんたあああ 埋めてほしいんだよおオオオ 新しいスレが好物だったのにさああああ 
急に埋めたくなくなったんだ・・・ さっぱりした埋めがよくってさあああ オレどうおおおなっちまってんだよオオオ〜〜〜〜〜〜」

「おい!どいてろッ! すぐにまた新スレがよくなるからよォ―――――ッ」

「いいや・・・もう埋まるさ! ただしおまえがだ・・・・・・・・・『>>845』」

845 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/30(火) 22:24:55 ID:B1aaC0kT
             ___,,,,,..... -一ァ
         / ̄;;;´;;、;;;ヾ;;;, -──--、,!
.        /'´|;;;;,、;;;;;;;;;;/      ,!
.         /:.:.:.レ´:.ヾ;;;;;;i   断  だ ,!
       /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヾ;i  る  が ,!
.      /:.;.イ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..ヽ       ,!
.       /レ' ;|:.:.:.:.:.:.:,:ィ:.:.:.:〉 __,.,!
     /-、ヽ,:|:.:.:,/ /:.:.://.:,:ィ:.:.:.,!
      /'ヽ、ヾi ゙´.:   /__;:;:-'"´ ,;|:.:.:.,!
.    /ゝ-`';:/ .:〈ニ=-=ニ二 ̄ヽレ',!
   /::::;;;;;/  ' ,, ニ`ー-,、__\〉ィ,!
.   /;:::::/ ::.    ::.,,\_ゞ;'> 〈;,!
  /i!:::::iヾ-'、::..       '';~ ,;:'/,!
. /;;;i!fi´l_、,.`        .: ,;:'  ,!
/;;;;;i' ('ー、ヽ      ..: ,;:''   ,!
ヽ、jゝ、`ヾ:、゙、   ,..:'.:'"    .: ,!
   ``ヽ.、_ ¨`  ,:'      (_r:,!
       ``ヽ.、..    ノr;ソ~,!
             ``ヾ、 / 7,!
                 ``ヽ,!


846 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/30(火) 22:40:51 ID:SNrPPJ+i
スレを埋め終えるのはこのオレだッ!!以前変わりなく!!

847 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/30(火) 22:44:42 ID:l6xHisuM
  l / /
  l / /        ,,.. --‐--ニ二    ./ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    /¨i  i/!         ミ    | お ス 今 お
  、、./-ソ ./ / \ 、 _二ニミ     | ぼ レ  ま ま
 ミ   / /   ! \、ヾシ;;;/        | え .の で え
 ヽ.  !、 \ ヽ、._,,,;';;/ ,.,.レ         | て .枚 埋 .は
  l.  l l゙ヽリ .,;;;;;;/__,ィイ/ミ        | い .数  め
. ,、/   l l/ !,,,;;;;/r'´iヘツ          | る  を .た
 !!゙丶,,,,..ヽ,';;;// ',.-‐'" _         | の
 ヽミニ=;;ヽ ‐- 、  ̄ ̄        < か
 . ヽヽ-ツ/    ',            | ?
  ヽ ', !./.:                 \______
   ヽ', / .j ,.._
     ',ヽ¨´::::ノ
     ', `¨__,.. __,.
     ',  、.ニフ'´
 .      ', ヽ_,.-‐-'
     /ミヽ、  ,       ,.. -
 .  /--' !ヽ i     /:::::;:::::
 .  /=、 /  ', ヽ    _,.!::::::':::::::
  /    i   ヽ、  _/:::::;::::::/
  /=-' ノ  _,,. ''" ̄ノ:::;::'::/:_;;;;
   / //:::::::;;:-‐':::/::/:://:::

848 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/30(火) 22:46:26 ID:ekp3EShD
  _,ヘ:::::ヽノ//,.イ ト、ヽ_::::// ト'¨/ィ'´   ̄二>  i ハ // __ == .ハ
. / j`ヽ<//,.イ::::::i ヽハ i  l / ./  ,.イ〉 ,.-‐ヽヽ 、 ,.-、 ! イ f,.、ヘ 、   ヽ__.、
└l‐-、リ//i::/、`、'  ソ⌒マ / /  /::::ヽ..i  ,  、  ソ  iヽテ、 l.ヒ ', }、  \ 、 _\  ,.. -
 └─ヽi . ,';'tア  ヽ {  ノ / .〈::::::/ ハ i  ¨゙ r 'リノ /,ィ  ヾ ,リ.ノ \ヽト、ヽ\\>'::::::::
     ヽシ^'ー、ヘィiヘf⌒ヽi   l::/  ./:::::\!i i. !、i._,./ィiソ   ヽヘ、  >'´::\:'´::::::::::::::::
      `',     ', i  ノj   ド  /:,.-、::::::ヽ  几ミ ^'´     V゙’/:::::::/:::;.::-─::、::::
.        ヒフ_ ,ォ   >'⌒ヽ.  ! i.l';::-ツ'::::::::l リ八 l _   ,.  V;、::::/;.ィ´:::::::::::::::::::\
         ヽ-'"  i    }  ヽィ `¨¨ヽ:::::i  {i:::::. ヒ´イ_,.イ    / 〉,. -‐ニ¨ ̄¨゙ヽ:::::
           `ー‐'/ヽ、__ノ   ハ,.‐-' _ノ人  \::.  `ヽ'"  ,.イ::>''´::::::::::::::::::::::::::::::)
           // /  `}     `ー ' `¨ヽー--、ヽ  人.ノ'´`!::::::::::::::::::::::::::::::::::: :. .
          / └、ゝ.._ノ\          \  リ        i:::::::::::::::::::::::::::::::::.:.: : :.
         i   -=i  `i__l ヽ                    l:::::::::::::::::::::::::::::::.:.:.: : : :
        / ̄  _..人._ノ    \.                 l::::::::::::::::::::::::::/,.、
      /                                i::::::::::::::::::::::// /








   : 埋    ア イ. 花
   : ま    ヴ ギ 京
     っ.     ド.  l  院
   .  た      ゥ ! !
   .  よ.     ル
          !
        Fネ!     /ス!
       _上コ..__ /¨´ニ{,...、
      f´ヽ   i l }i:::::l::::f:::::l
      Kヽ、i__.⊥ィ'^i:::::ト:::〉::ク、
     ,人テ -i‐.i^l゙i }::::::::::ヽ:::::',
    ./ ノ l`¨ニi_,ィ ヒヒ!:::::::::::`ト、入
   └'/  // /:゙┘::::::// ヽ'

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