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【ジョジョ】ゼロの奇妙な使い魔【召喚69人目】

1 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 01:28:01 ID:+8+A3OU/
携帯でご覧の方は携帯ビューアのorz もしくは携帯用2chブラウザiMona をご利用ください
【orz】http://orz.2ch.io/top.html
【iMona】http://imona.net/
     _      ここは「ゼロの使い魔」と「ジョジョの奇妙な冒険」のクロスSSスレよ。
    〃 ` ヽ     他にも避難所にしか掲載されてないSSとかもあるから一度見てみなさい 
    l lf小从} l /    投下中は空気読んで支援しなさいよ 荒らしはスルーだかんね
   ノハ{*゚ヮ゚ノハ/     職人さんは荒らし防止にトリップを付けてよね
  ((/} )犬({つ'      次スレは900か950を踏んだ人が立てること
   / '"/_jl〉` j      480KBを超えた場合も立てるのよ。 わかった?
   ヽ_/ィヘ_)〜′

【ジョジョ】ゼロの奇妙な使い魔【召喚68人目】
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1191130167/

●まとめサイト                               ,〜'´  ̄ヽ
http://www22.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1.html         ミハ^^ヽヽ(   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
●避難所.                           ____. -' ヽル::::д)ζ <批判は避難所だ!君の意見を聞こうッ!
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9292/     =='、 ̄ニ|::... . . . . ...::::: :: ::〉:::.:ヽ     |_________________
●ジョジョの奇妙なAA集               ' ´   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`!:::::::::::.. :i
ttp://jojoaa.web.fc2.com/                         `y::::::. ::ト、
●ジョジョスレUPローダ                            〉::::::::. .::`ヽ
ttp://vblave.hp.infoseek.co.jp/                        ハ:::::::: ..:λ:i
●アニメAA保管庫 ゼロの使い魔ページ                /:::::::::: .:/::::i´
ttp://aa.tamanegi.org/anime/zero-tsukaima/
******************************************************
*スレ運営について意見のある方は運営議論スレへどうぞ    .*
*http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9292/1184936505/ *
******************************************************

2 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 01:29:25 ID:+8+A3OU/
第一部+第二部
ジョナサン 卿 ブラフォード シュトロハイム シーザー スケコマシーザー
究極生命体カーズ様 スト様 石仮面+ブルりん+吸血馬

第三部
承太郎 法皇花京院 一巡花京院+平賀才人 メロン花京院
ジョセフ アブドゥル ポルナレフ イギー 
DIO様 ンドゥール ペットショップ ヴァニラ・アイス ホル・ホース
ダービー兄 ミドラー デーボ エンヤ婆 アヌビス神 ボインゴ 

第四部
東方仗助 仗助+トニオさん 広瀬康一 アンリエッタの康一 虹村億泰 ミキタカ+etc 間田
シンデレラ カトレアのトニオさん 岸辺露伴 静(アクトン・ベイビー)+露伴
デッドマン吉良 猫草 キラー・クイーン 

第五部
ブチャラティ ポルナレフ+ココ・ジャンボ(亀ナレフ) アバ茶 ナラ・アバ・ブチャ組
ルイズトリッシュ マルコトリッシュ ナンテコッタ・フーゴ アバ+才人 ジョルノ  ミスタ
ディアボロとドッピオ プロシュートの兄貴 リゾット ローリングストーン 偉大兄貴
ギアッチョ メローネ 俺TUEEEディアボロ ペッシ ホルマジオ スクアーロ
暗殺チーム全員 紫煙+緑日 ブラック・サバス セッコ 亀ナレフ+ジョルノ

第六部
引力徐倫 星を見た徐倫 F・F アナスイ ウェザー エルメェス エンポリオ ヘビー・ウェザー
プッチ神父 帽子 ホワイトスネイク 白蛇ホワイトスネイク

SBR
ジャイロ+才人 ジョニィ マイク・O
リンゴォ マウンテン・ティム Dio

バオー+その他
橋沢育郎 バオー犬 味見コンビ(露伴+ブチャ) 決闘ギーシュ タバサの奇妙なダンジョン

3 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 01:31:20 ID:+8+A3OU/
・スレッドが1000に満たなくとも、480kbをオーバーした場合には新スレを。
・行数は最大で60行。
・4096Byts、全角だと2048文字分。
・専用ブラウザなら文字数、行数を管理してくれるので目安がつけやすいかも。

これでいいのかな?間違ってたら訂正ヨロ

4 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 01:37:39 ID:X3VL9h+k
        , -―  ――-、
             /に    (ニ==\
         //')      に二) (ヽ   新スレを立てやがったなッ!
         〃____,r^)__,r、(ニユ|  よく立ててくれたよなぁぁぁぁぁぁ
         i!   ● / /●  ヾヽヽ,!      >>1鬱!……
          ヽニ⊃,// ⊂⊃}:}ソi   …じゃなくて>>1モツ!
        /⌒ヽ__ ヘ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~/⌒ヽ
      \ /:::::  >,、 __, イァ/   /
.          \     |三/ []「/__ /
         `ヽ「ミヾr‐ 、[]「ヾ三/


            , -―  ――-、
             /に   u (ニ==\   …は違う…
         //')  u    に二) (ヽ  うぐぐ………
         〃____,r^)__,r、(ニユ|  >>1己…じゃない……
         i!   ● / /● uヾヽヽ,!  >>1没でもなくて……
          ヽニ⊃,// ⊂⊃}:}ソi
           ヘ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~`=ーノ
           /⌒l,、 __, イー-<
.          /lilili/ |三/^ oOo,ヽ
          |三 lキヾr-、[] 「! (ニ }

5 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 01:40:21 ID:Mp9lqNLT
>>4
           _. -=ニ::_Z ̄ニ=-  .._
        / (:_: ;r'": :/:: ̄:7''ヽ:,r': ̄`ヽ、
        /: : : : : :ヽ、:_(_: : : (:: : : :\,r=‐':"⌒ヽ._
      / : : : : : ; ': : : : : : ̄::ヽ、__/: : : : : l: : :/ミノ
     ' : : : : : / : : : : : : :__:ヽ_: /:: :l: :l: : : : l : ゙‐'ヽ
     l: : : : : :;' : : : : : : (((//゙ハ、 : l: :l : : : l: : : l : ',
.    l: : : : : :l: : : : : : : : : : : :`Vノ : l: :l: : : ,' : : ;': l:ll   
    l: : : : : :l: : : : : : : : : : : l: :/:l :l: :l: :l:: :/ /::/: :;リ|    
    l: : : : : :l : : : : : : : : : : l: :l::ノ: }: :} l / /::/レj:/::|  
.     l: : : : : l: : : : : : : : : : :l: :|/_;イ_;イ_;リ、// .ノ/:|  
     '; : : : : l: : : : : : : : : ::l: :|ニニ ‐--ミ`' } ,ィチj゙ :|    >>1乙か?
    /´ヽ: : : :l; : : : : : : : : :l: :|z't'ツ"_>`` '" {^~ |: :|   
  / ¶′\: :ll : : : : : : : : l: :| `~¨´ (::"′   ',ノl: :j    
,r‐{   , \ll : : : : : : : :l: :| :.           ∨ノ:|
  ! ¶′',  r、\: : : : :::::l: :| :.      .._ /´): :l
 ¶′   \ ヾ>、\: : : ll: :|  :.       __-了:/::;'
エエエュ┬r 、\ `ヾ>、\:ll: :|   :   ‐.._'´¨´ノ:/::/
―‐ - 、 ̄`<〉、 ヽ、._`^‐-\ト 、 :      ̄「V/
 ¶′   \ `<〉、 \` ー==┬''^ヽ、 ...__ ノ
   ¶′  \ `〈>、 ヽ`:r'"||  ,タ ¶ }
¶′    ¶′ヽ  `〈>、ヽ i || ,タ  /


6 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 01:44:50 ID:4fIDWqpW

>>4
          ,r_.ェ-_、_
          /::と Z つ:::`ヽ、
         /::::::::::::(._フ" ):::::::::ヽ
       ':::::::/:::::::::`'''´::::::::::::tタ',
       l:::::::f:::(((ぅ:::l::::i:::l::::::l:::l:::',           何時までもツッコミ入れられるって思うなよ!
       l:::::::i:::::::l:_:_:|_:_凵⊥l-|:l::|          この究極萌え生命体がッ!
      ',:::::::!::::::|で6ラ')ノィ5ラ川
       ヽ::::i::::::l  ''"'( ::{;i::::j::リ`二ヽ-、   __  もう一ペン出てきたら
       {ヽ::l::::::l     、.ノ::://ニ二:.eヽ ヽ‐=' O)  てめーのスタンドひん剥いてやるぞっ!!
       ハ \:::::l  ∈=':〃ニニニ::.’i }e、ヽ ̄
      ム e,\ヽドェ.、二ノ=-‐'`iニFl |  e、\    それから>>1乙だっ!
     /ヾ〉  e、`r― - = 二⌒i lニF|e|、_e、
   /e、 ヾ〉 e、  \ _/ (r \| |-F|’| \ e、
  /  e、  ヾ〉  e、 //"   \rぅ|eF|el   \
 {e、\  e、ヾ>、/ l |l  \_.ノ´l’E|’!
  \._ `ミ>、/ ,イ[|l ll 、ヽ、.ノ, ,' 〃| l
   ヽ ,e´//e' rタ´e' `7''`r'' // (()j l
    \ /´{ rタ'´e' e'/ e、∨/ e、 ¨ l


7 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 02:35:05 ID:d2cGGmjd
>>6
ブチャラティさん>>5でツッコミ入れてるじゃないっすかwww

8 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 09:56:29 ID:06O9Xc8k
>>1乙!でもまた黒騎士と新アバッキオが入ってないw
あと>>3なんだけど、あのキャラ避難所の運営で

>・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字まで

ってあったんだけど、この数字が合ってるなら追加した方がいいのかな?

9 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 10:23:19 ID:BkxktsYU
            〃´  -゚-―‐゚―‐- 、0\
          l ̄` /            \ l
          | (0/               `ヽ、
          / y′  ./  j{    :.:.ヽ:.:.:.:ヽ :.:.:.:l
           ,' :/    .:.| .:八    .:.}.:.jl.::.:.:.|:. .:.:.:.|
.          | ,'.:.:..  .:./!.:./--\  :.jV-ハ.:.:.l.:.:.:j:. l 
        j.:l.:.:.:{.: .:':{ ヽ{ _  ヽ.:./ _  ∨.:.:/∨  >>1様、とっても乙です
        /./\:.\::.:.l x==ミ  ∨ ィ=、 ,':.;.小    既に召喚されているルイズの使い魔さんの
.        /:.,':.〃lヽ:.{\{ ′           イ.:.:.:.l::ヘ   お話は勿論、新たに召喚しようという方々に関しても
      /.:.:l :.:.: |.:.:.:.:ヘ        `    } .:.:.:|.:.:.ヽ このアンリエッタ、皆様からの投稿を
.     /.:.:.:.!.:.:.:.:l.:.:.:.:.:.:\    (ア   /.:.:.:/l:.:lヽ:', 心よりお待ちしておりますわ
     {.:.:.:.::|.:.:.:.:.lヽ.:.:.:.:.:.,:> 、     ,.イ:l.:.:.:.:/.:.|:.:! l:.:l (主にトリステインの世界制覇的な意味で)
       ',.:.:.:.l..:.{:.:.:!:.:\.:.:.:.{(!_.≧く|>!| l :./.:./l:/ V 
      \∧:.ヽ:.|ヘ:.}\.:.:}厂X⌒}0 j:! ! .:.!:.:{' /
          ̄ ̄_二>!:人ノ__>'´ ̄Vヘ :.W>
         _, イ    j/  /   '´  ヽ{ `ヽ、

10 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 11:55:57 ID:XBeY1Wq0
>>1>>1乙ゥ!
                            〆⌒'ヾ、
                          γ'《.::::...  'ヽ,
                      _    ミ/'⌒ヽ,::. ヽ
 ドッピオッ、新しい腕よッ!    ( ゚∀゚)  ヽヽヽ  ヾ,  ヾ,
                     (   J       丿' ..::丿
.                     |  x"⌒''ヽ、⌒ヾ/  .:::/ ヽ
          _, -‐'´〈〈 ̄`ヽ、   | イ ...::   Y-.、   ..:::/ ヽ ヽ
        ∠__     〉〉   \. し     ! :ヽ .:::::/ヽ ヽ ヽ    
       / .ヘt,'/ ̄ ̄ヾ/ ̄ヽ }    `ー=i;;::..   .:ト、 /  )  .)  .)
       レ'ハ/ミl         l-、!      ゝ;;::ヽ  :`i  /  /  /
          lミ! ⌒    ⌒ lミ、.|        >゙::.   .,) /  /  /
          lミl ○    ○ |^)!    ////:::.  /;ノ / /  /
          `ヽ⊃ (^ ⊂⊃i-'   ゞヽ、ゝヽ、_/::   /// /   
           /⌒l, (_, イ-、    `ヾミ :: :.  ゙  _/ 
.          /i~i,,/_|三/ニ/i^iヽ    `ー--‐''゙~
          | l l li i l l lェ=ュ}i l ,,|.  

11 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 13:57:21 ID:OcaJ28Id
  V          |)ノ/レi       ┃   ・     _人__人__人__人__人_
 (ゝ _   >ヽヽ | |ノ レi        ┃  ┃     )           (
_|ヽ <--、` `'ヽノ | ,.イ|| ∠-ツ-、,    ┃  ┃      ) 乙 は 乙  シ (
 \ _  ノ_,//r‐i~| レヘ ̄\    \ ・┃: ┃      ) し  :  し  ィ (
-- 、(゙)゙)_彡|.|:| |.!ィ'´/ノ_| 、\     ヽ┃‐┃.:・¨   ) て 早. て   ィ (
 ミミ_`フクへレハ、ヽ, /rtテiリ゙ヽ!     /_  \     ) く  く   く.  ザ (
ゞ>-‐rくノ _,=tテラ!ハヽ  |  ヽ   /r、 \  `'‐、  ) れ >>1 れ  ァ (
=彡/ 八ゞ、  ̄  l  Vl  |  ヽ,.ノ゙/ヽ\  `ヽ  ヽ  ) ッ に  ッ .ァ (
///( (:|`lーヘ u'  ,゙ニ゙ヘ .|::  ( 、ヽ_)/フ\ヽ |   | ) !    !.  ァ (
リ/  ヾ:| !  :\u ゞ‐''゙ ,'::::: ,く`'''  `⌒  ̄  フ  | )           (
/|   V   l :::::`''‐ 、,,ノハ:::_,.゙ニ〉    /  ∠--, ノ  ⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒
 !   \  l:l  :::::::::::::/ (ヽゞ、/   / ,.r'''>ラフ ノヽ、
 |    ヽヽ!::l   ::::: | / \ ̄  /  ノ_ ゙/フ'´∨/ハ
 ハ     \ `''ー---- \_____/:::::`レ゙::::::/::/:/ノ

12 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 19:02:20 ID:wjnY7mwP
                こ
 >>1             の
  乙             ラ
  し        う    ク
  て     ふ  し    ガ
  る  お  り  ろ    キ
     ま  向  を    を
 /l⌒l え  い       見
 l::: ̄l ら  た       て
 |:::  | は  時

13 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 19:02:52 ID:DV44Q+uu
ー-ニ _  _ヾV, --、丶、 し-、
ニ-‐'' // ヾソ 、 !ヽ  `ヽ ヽ
_/,.イ / /ミ;j〃゙〉 }U } ハ ヽ、}
..ノ /ハ  〔   ∠ノ乂 {ヽ ヾ丶ヽ    ヽ
 ノノ .>、_\ { j∠=, }、 l \ヽヽ ',  _ノ
ー-=ニ二ニ=一`'´__,.イ<::ヽリ j `、 ) \
{¨丶、___,. イ |{.  |::::ヽ( { 〈 (    〉
'|  |       小, |:::::::|:::l\i ', l   く  >>1乙って卑猥な形だなッ!
_|  |    `ヾ:フ |::::::::|:::|  } } |   )
、|  |    ∠ニニ} |:::::::::|/ / / /  /-‐-、
トl、 l   {⌒ヽr{ |:::::::::|,///        \/⌒\/⌒丶/´ ̄`
::\丶、   ヾ二ソ |:::::::/∠-''´
/\\.丶、 `''''''′!:::::::レ〈
   〉:: ̄::`'ァ--‐''゙:::::::/::::ヽ
\;/:::::::::::::/::/:::::::::::://:::::〉
::`ヽ:::ー-〇'´::::::::::::::::/-ニ::::(
           /    \

14 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 20:01:18 ID:Un43F0jD
どこだ康一君は
早いことAct3を解除してもらわんとな

15 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 20:48:13 ID:r4nLs1p3
人がいるなら投下させていただきたい世界

16 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 20:49:03 ID:5f1hezn2
支援の準備は出来ている

17 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 20:50:15 ID:2uy2EtmL
上に同じく支援するっ!

18 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 20:50:53 ID:4fIDWqpW
同じく出来ている

19 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 20:51:31 ID:ZVmkgCFf
読む準備もできている

20 :ゼロのスネイク0/31:2007/10/10(水) 20:52:28 ID:r4nLs1p3
大統領・・・9時になったら・・・「投下」の許可を・・・・・・



あとSSも書けてないのに何度もスレに顔出して焦らすような真似して本当にごめんなさい

21 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 20:54:42 ID:HNKBEThA
>>20
ビールの一気飲みの仕方もとい、投下の仕方を知ってるか?
イエス!イエス!

22 :ゼロのスネイク0/31:2007/10/10(水) 20:58:28 ID:r4nLs1p3
10話

月明かりが雲に隠れたのを見計らって、一人の男が音も無くトリステイン魔法学校の敷地に踏み入った。
いや、「踏み入った」と表現するのは正確ではない。
何故なら男は、敷地の土を自身の足で踏むことなく、「レビテーション」でも使っているかのように、
空中を滑るように渡って、学校の校舎の壁に取り付いたからだ。
その姿は、さながら自分が張った糸をするすると渡って移動する、蜘蛛のようであった。
無論、壁に取り付いた瞬間にも音は一つもしない。
吸盤へと変形した彼の両手足の指紋が、接触時の音を吸収したのだ。
そして自分が壁にしっかりと取り付き、誤って落っこちるなどということがない状態になったことを確認すると、
その男――ラング・ラングラーは、自分が受けた依頼の内容を反芻した。

シェフィールド、と名乗ったあの女がラングラーに依頼したこと。
それはここ、トリステイン魔法学校のある生徒を拉致することだった。

トリステイン魔法学校といえば、国内の名のある貴族がこぞって入学させる、トリステイン国内でも名門中の名門の魔法学校だ。
その中から適当に生徒を一人さらったとしても、ふんだくれる身代金は1000エキューは硬いと、裏業界では言われている。
だがそれを実行したものはいない。
その理由は、トリステイン魔法学校の教師のメイジとしての技量の高さ、そして生徒の優秀さにあった。
教師を務めるメイジは全員がトライアングル以上。
生徒の中にもトライアングルクラスがちらほらしている、という話だ。
メイジでもなければ言うまでも無く、ドットやライン程度のメイジでは、
そんなところへ誘拐に行ったとしてもあっさり返り討ちにされた上に市中引き回しに獄門は確実。
ハッキリ言って、リスクと危険が大きすぎて割に合わない。
普通に傭兵稼業でもした方がずっとマシなのだ。

そんな魔法学校に誘拐に行ってほしい、と依頼されたのは、やはりラングラーのメイジ殺しとしての実力が買われたためであろう。
彼が「メイジ殺し」ならぬ「魔法殺し」と呼ばれる、ラングラーの実力が。

さて、話を戻そう。
ラングラーが受けた任務は、トリステイン魔法学校の「ある生徒」の拉致。
そしてその「ある生徒」が寮のどこにいるかは、スデに確認済み。
本人の特徴もラングラーの頭にキッチリ入っている。

全てが完璧だ。
そう心の中で呟くと、ラングラーは音も無く壁を這い上がり始めた。
ターゲットの生徒が眠る、女子寮の一室の窓に向かって。
そしてお目当ての窓にたどり着いたラングラーは、自分の「力」を静かに呼び出した。

「ジャンピン・ジャック・フラッシュ・・・」

その呟きとともに、ラングラーの背後に奇妙な亜人が現れる。
その姿はマントの下のラングラーの格好に酷似しており、目には釘を打ち付けた鉄板のような目隠し、
腕にはいくつもの穴が等間隔で開いた、腕輪のような奇妙な物体。
ジャンピン・ジャック・フラッシュ。
ラング・ラングラーが「魔法殺し」たりえる、その力の理由。
ラングラーの意志のままに動く、ラングラーの半身とも言うべき存在だ。

そのジャンピン・ジャック・フラッシュが、窓へと手を伸ばした。
そして、まるで幽霊のように窓ガラスをすり抜けると、窓の内側から、鍵を静かに外した。
それを確認したラングラーは、両手の吸盤を窓ガラスにくっつけると、そっと窓を開いた。
夜風が、部屋の中に静かに吹き込んだ。
それに部屋の主である桃髪の少女が気づくことは無かった。
しかし、少女の使い魔たる亜人――ホワイトスネイクには、それが分かった。

23 :ゼロのスネイク2/31:2007/10/10(水) 21:03:12 ID:r4nLs1p3
突然室内に吹き込んだ風を感じ取ったホワイトスネイクは、瞬時に戦いの思考に移った。
部屋のドアが開いたのなら風など吹き込まない。
ならば、空いたのは窓。しかし窓には鍵がかかっていた。
ならばこの部屋に不法侵入したのは、魔法を使えない人間ではない。メイジだ。
そしてこの学校の生徒に、わざわざ窓から入ってくる理由が無い以上、このメイジは確実に学校外の存在。
つまり、ほぼ確実に敵。
実体化していないために、ホワイトスネイクは侵入者の姿を見ることは出来ない。
だが、今までの経験がそれを十分に補い、状況を把握させてくれる。

どうするべきか。
この七日間、自分を悩ませ続けた命題が、まさしく抜き差しなら無い状況で自分に向かってきた。
自分の存在意義たる「主人の守護」を実行すべきか。
自分を憎む主人が下した、「二度と出てくるな」の命令に従い、傍観するべきか。
一方を立てればもう一方は立たない。
選べるのは、一つだけだ。
一体、どうするべきなのか。

だが迷ってばかりではいられない。
こうして悩んでいる間にも、確実に侵入者は主人であるルイズに近づいているだろう。
迷えば迷うほど、余裕は無くなっていく。
どちらかを選ばなければならない。
しかし、どちらを選んでも、自分という存在は否定されることになる。
どうするべきか、どうしたらいいのか、どうするのが、最善なのか。

(ダガ・・・コレ以上決断ヲ迷エバ、本当ニ取リ返シノツカナイコトニナル。ソウナルヨリハ・・・・・・クソッ!)

半ばヤケクソになって、ホワイトスネイクは発現した。
そして流れるような動作で腕からDISKを抜き取り、そのまま窓の傍に立つ、見知らぬ「敵」に対してそれを投擲するッ!
命令の内容は「10メートル飛んだ後に破裂しろ」ッ!
主人の部屋を敵の血で汚すことなく、そして敵は確実に始末する。
まさにこの状況にうってつけの命令が、侵入者の頭部へと向かい――

「ジャンピン・ジャック・フラッシュッ!」

部屋中に響く叫びとともに、DISKは弾き飛ばされたッ!

「ナン・・・ダト?」

ホワイトスネイクは驚愕した。
さっきまでの苦悶がそれこそ月までぶっ飛び、ホワイトスネイクの脳裏から消え去ってしまうほどに。
そしてそうなったのは、自分の必殺を期した一撃が虚しくも弾かれた事からではない。
ジャンピン・ジャック・フラッシュ。
自分自身もよく知るその単語、そしてそれを叫んだ侵入者の、その声に驚愕したのだ。
その単語を知る者、そしてその「力」を扱えるものを、ホワイトスネイクは一人しか知らない。

「今のは・・・DISKだと?」

そして動揺したのはホワイトスネイクだけではない。
侵入者――ラング・ラングラーも、今の攻撃に驚愕していた。
DISKなどというものはこの世界――ハルケギニアには存在しない。
そして今の感触――壊れそうで、決して壊れない、自分自身もよく知る奇妙な感触。
そんなものを扱える存在など、ラングラーはたった一つしか知らない。

「貴様ハッ!」
「てめー、まさか・・・」

「ラング・ラングラーッ!」
「ホワイトスネイクかッ!」

24 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 21:04:30 ID:4fIDWqpW
支援だっ!

25 :ゼロのスネイク3/31:2007/10/10(水) 21:05:50 ID:r4nLs1p3
二人が驚愕に声を上げたのもつかの間、瞬時に、互いに間合いを取る。
ラングラーはジャンピン・ジャック・フラッシュを、腕を突き出すように構えさせ、
ホワイトスネイクは太極拳の型のような構えを取る。

(一体ドウイウ事ダ? 何故ラング・ラングラーガココニイル?
 イヤ・・・ソレハ本体ノ死トトモニ消滅スルハズダッタ私ニ関シテモ同ジカ。
 ダトスルナラバ、コイツモマタ私ト同ジク、メイジニ召喚サレルコトデ、コチラ側ヘ・・・?)
(クソッ・・・何故こいつがここにいる・・・・?
 それに今・・・こいつ・・・このガキの・・・すぐ傍から出てきやがった。
 ってことは・・・このガキがホワイトスネイクの本体・・・ってことか?
 ・・・ありえねえ。
 こいつの本体は・・・こっちの人間じゃあ・・・ねえハズだ。
 でも・・・状況から言って・・・このガキがホワイトスネイクの・・・今の本体なのは・・・確実だ。
 だとしたら・・・ホワイトスネイクは・・・一体どうやって・・・こっちにきやがった。
 俺とおんなじで・・・いきなりこっちに・・・飛ばされて来たのか?)
(トニカク・・・状況ヲ整理スルベキダ。
 コイツノ『ジャンピン・ジャック・フラッシュ』ハ中距離戦闘モ可能・・・パワーハ私ヨリ上。
 ・・・ドウ考エテモ不利ダ。
 幻覚デ騙シ討チヲカケルノガ最善カ・・・?)
(クソッ・・・こいつが・・・なんでここにいるかは・・・後回しだ。
 それにしても・・・こいつがいるとなると・・・話が厄介に・・・なってくる。
 俺がもらった・・・依頼は・・・『ルイズ・ド・ラ・ヴァリエールを無傷で確保すること』・・・。
 このガキが・・・ホワイトスネイクの本体である以上・・・ホワイトスネイクが受けたダメージは・・・ガキに反映される。
 そうなったら・・・依頼は完全成功とは言えねえ。
 ホワイトスネイクを・・・ヘタに殺す事は・・・できねえ。
 クソッ・・・厄介な事に・・・なってきやがった・・・・・・)

互いに状況を把握に努め、取るべき行動を策定する。
しかしこの状況はどちらにも不利であり、ありがたくない状況だ。
そして――

「もう・・・何なのよぉ・・・誰かいるのぉ?」

どちらにとっても、目覚めてほしくない人間が、目覚めた。

26 :ゼロのスネイク4/31:2007/10/10(水) 21:07:16 ID:r4nLs1p3
(シマッタ・・・サッキ、私トラングラーガ出シタ大声デ目ヲ覚マシタカ!)
(ちっ・・・寝てる状態で拉致った方が・・・楽だったろうに・・・もっと・・・面倒に・・・なりやがって・・・)

そして双方ともに、この状況に心の中で毒を吐く。

「・・・って、ホワイトスネイク! あんた、何で出てきてるのよ!」

ホワイトスネイクの姿を見たルイズが、寝起きの頭で、思わずそう言った。
そして、言ってしまってから、後悔した。

(って、それはダメだって自分で考えたばっかりじゃないの!
 そもそも『出てこないで』って言った事自体、感情任せだったのに・・・。
 でもアイツがわたしに召喚される前にやった事は、間違ってることだし・・・。でも・・・・・・)

一週間も自分を悩ませ続けてきた事実が、ホワイトスネイクが再び自分の前に現れたという現実を前に、重くルイズにのしかかる。
使い魔の主人として、やるべきことはしなくちゃいけない。
だけど、それがどちらなのかが分からない。
ホワイトスネイクを完全に封印することなのか、それとも形式上とはいえ、ホワイトスネイクを許すことなのか。

そしてホワイトスネイクの方は、この時点で一つの覚悟を決めた。
やはり主人は自分が現れることを、まだ許してはいなかった。
ならばこうして発現してしまったことに対して、何らかの形で責任を取らねばならない。

はたして、どのように責任を取るか。
それもまた、ホワイトスネイクはスデに決めていた。
そしてそれを実行するだけの覚悟も、今ここで決めた。

暫しの沈黙の後、ホワイトスネイクがルイズに話しかける。

「マスター。時間ガ無イノデ簡潔ニ説明スル。今、敵ノ襲撃ヲ受ケテイル」
「て、敵?」
「ソウダ。今、私ノ目ノ前ニイル」

ルイズはホワイトスネイクの言葉に従い、その前方の暗闇に目を向ける。
ルイズの鳶色の目に、見知らぬ男――ラング・ラングラーの姿が映った。
そしてその後ろにいるジャンピン・ジャック・フラッシュの姿も、ルイズには見えた。

「だ・・・誰かいるわよ? そそそれに、その後ろにも誰かいる・・・だ、だだ誰よ!?」
「ヤツノ名ハ『ラング・ラングラー』。『スタンド使い』ダ」
「スタンド使いって・・・あんたがわたしに召喚された日に言ってた・・・・・・」
「ソウダ。スタンド名ハ『ジャンピン・ジャック・フラッシュ』。私ガ知ル中デハ、コト戦闘ニオイテハ最も凶悪なスタンドダ」
「そ、その凶悪なヤツが、何でわたしの部屋にいるのよ! というか、なんであんたがアイツのことを知ってるのよ!?」
「ヤツノ目的ニツイテハ不明ダ。ソシテ私ガヤツノコトヲ知ッテイルノハ、私トヤツガ、同ジ世界ニイタカラダ」
「同じ世界? そういえばあんた、別の世界から来たとか何とか言ってたわね・・・」
「ツマリソウイウコトダ。ソシテココカラハ私ノ領域ダ。マスターハ下ガッテイロ」

そう言って、ホワイトスネイクはルイズの前に出た。
そしてこの光景に、ルイズは一週間前のことを思い出していた。
あの時もそうだった。
こいつはいつも何が一番正しいかが分かっているかのような振る舞いをしていた。
そして自分をどこか見下ろしたような目をしていた。
自分を、未熟なものとしてみるような目をしていた。
それを思い出したら、何か、頭の芯が熱くなるような、そんな思いがしてきた。
ホワイトスネイクが言うことが正しいのは分かる。
分かるけど、それに従いたくなかった。
従うのが悔しかった。
その悔しさで、さっきまでの悩みなど、どこかに吹き飛んでしまっていた。

「・・・・・・イヤよ」

27 :ゼロのスネイク5/31:2007/10/10(水) 21:10:36 ID:r4nLs1p3
自分の主人が発した言葉に、ホワイトスネイクは耳を疑った。

「何・・・ダト? 今、何ト・・・・・・」
「イヤ、って言ったのよ。アイツはわたしに用があるんでしょ? だったら私が決着をつけるわ。だから下がるのはあんたの方よ」
「・・・不可能ダ。ソレニヤツノ狙イハマスターナンダゾ? ソレデハヤツノ思ウ壺ダ」
「うっさいわね。『命令』よ、これは。そもそもあんたが出てくるのが間違いなのよ。こんなヤツわたし一人でどうにかできるわ」
「ダカラソレハ不可能ダト言ッテイル。落チ着ケ、マスター」
「落ち着いてるわよ、ホワイトスネイク。それにあんた、久しぶりに出てきたと思ったら随分わたしに反発するわね。
 私の命令に従えないの? 私を、ご主人様だって認めてないの?」

口を開くごとに自分の体が熱くなっていくのが、ルイズ自身にも感じ取れた。
言うことを聞かないホワイトスネイクに、無性に腹が立って。
そのホワイトスネイクが自分に背を向けているのが、余計に腹立たしくて。
自分を守るために、敵と向き合うために自分に背を向けているのは分かる。
頭のどこかでそれが分かっていても、今はそれが、無性に憎らしく思えた。
そのときだった。

「・・・始末ノ付ケ方ヲ見ツケタダケダ」

予想もしなかった返答が、ホワイトスネイクから返ってきた。

「始末の・・・付け方?」
「ソウダ。コウシテ主人ノ命令ニ反シテ実体化シタコト。
 ソレニ対シテドウヤッテ始末ヲツケルカ・・・ソレヲ見ツケタダケダ。ソシテ、覚悟シタダケダ」
「い、一体、何する気よ?」

心なしか、ルイズの声が震える。
同じ戦いでも、ギーシュと決闘したときとは全く違う、ホワイトスネイクの様子に、
そしてその身体から感じられる気迫に、ルイズは気圧されていた。

「例エ私自身ガ消滅スルコトトナッタトシテモ、マスターヲヤツカラ守リキル。
 アルイハ生キ延ビタトシテモ、ソノ後ニ自分デ自分ニ決着ヲツケル」

つまりこういうことだ。
この戦闘でホワイトスネイクは捨て身でラングラーと戦い、そこで戦死する。
また、仮に生き延びたとしても、自害する。
つまりどちらにしても死ぬ、と言っているのだ。

「な、何よそれ・・・それって、死ぬってことなの? あんた、自分で何言ってるか、分かってるの?」
「元々無カッタ命ダ。惜シム事ハ無イ。アワヨクバ、最後マデスタンドトシテ存在シ続ケタイ、ト思ウグライノ、ソノ程度ノ命ダ」

自分の名誉のために死ぬ。ホワイトスネイクが言っているのは、そういうことだった。
ルイズへの忠誠のためではなく、スタンドとして自分の存在を全うするため。
そのために、自分で自分の命を捨てる、と。
人から見れば、この時のホワイトスネイクは一種の悲壮さと勇敢さを持っているようにさえ見えたろう。
しかし、今のルイズには、ホワイトスネイクが身勝手であるようにしか見えなかった。
それに自分のためでなく、ホワイトスネイク自身の名誉のために死のうとしているのが、なおさら許せなかった。
自分はそこまで主人として出来が悪いのか。自分は、主人として認められていないのか。
そう思うと、怒りよりも悔しさがこみ上げてきた。

「も、もも、もういいわ。すす好きにしなさいよ! アンタなんか、もう知らないんだからッ!」

ルイズはヤケクソになってそう言い放ち、ホワイトスネイクの背中を強く蹴っ飛ばす。

ドゴオッ!

「グゥッ!」

その衝撃で、ホワイトスネイクがぐらりと正面によろける。
それがまずかった。

28 :ゼロのスネイク6/31:2007/10/10(水) 21:11:44 ID:r4nLs1p3
(今・・・あのガキ・・・ホワイトスネイクの背中を・・・蹴ったよな?
 なのに・・・あのガキが・・・背中を痛めたようには・・・見えねえ。
 そういう素振りが・・・全くねえぞ。
 どうなって・・・やがる・・・・・・)

ラングラーに見られたのは、まずかった。
これまでルイズとホワイトスネイクがしゃべくっているのも、
二者の間でのダメージの共有を恐れていたからこそ見逃していたラングラーである。
しかし今、そのダメージの共有が無いことが分かった。

「おい、ホワイトスネイク。お前・・・まさかとは思うが・・・お前が受けたダメージ・・・そのガキには・・・伝わらんのか?」

そう聞かれた瞬間、ホワイトスネイクは今までラングラーが攻撃してこなかった理由を悟った。
そして、ヤバイと思った。
しかしルイズにはそれが何を意味するのかも、それがヤバイってことも全く分からなかった。

「ええ、そうよ。ていうかそんなのあるわけ無いじゃない」

なので、それが言っちゃあマズイことだってのも、全く分かってなかった。

(ナンダトォーーーーーーーッ!?)

焦ったのは、ホワイトスネイクである。
まさかこんなにあっさりとカミングアウトをかまされるとは思いもしなかったからだ。
そして――

「そう・・・か。じゃあ・・・オレが・・・テメーを攻撃しない・・・理由はねえな。
 ええ・・・? ・・・・・・ホワイトスネイク」

ラングラーが、戦闘態勢に入った。
ジャンピン・ジャック・フラッシュの腕のリングが、グルグルと回転し始める。

29 :ゼロのスネイク7/31:2007/10/10(水) 21:14:05 ID:r4nLs1p3
「来ルカッ!」

ホワイトスネイクが拳を握り締め、太極拳の構えからボクサーのようなファイティングポーズへ移行する。
そして――

「ジャンピン・ジャック・フラッシュッ!」

ラングラーが叫ぶ。
それと同時に、JJF(ジャンピン・ジャック・フラッシュ)の腕のリングから、無数の小さい「何か」が放たれたッ!

ドンドンドンドンドンッ!

放たれたそれらは空気を切り裂き、銃弾並みの速度で、一直線にホワイトスネイクへと襲い掛かる。

「シャアァァーーーーーーーーーッ!!」

バギャギャギャギャッ!

咆哮とともに拳を縦横無尽に振るい、自分に向けて放たれた無数の「何か」を叩き落し、あるいは弾き飛ばすホワイトスネイク。
叩き落されたものはじゅうたんをぶち抜いて床にめり込み、
横方向へ弾き飛ばされたものは室内のタンスやクローゼットに突き刺さった。

「な、なに? 今アイツ、何を飛ばしたのよ!?」

ラングラーの後ろに控えるJJFが飛ばした「何か」と、それを明確に視認して弾き飛ばしたホワイトスネイク。
さらにホワイトスネイクが弾き飛ばしたがために、部屋の内装がかなり傷ついたことでパニックになるルイズ。

「アレガヤツノスタンド能力ダ。無重力ニヨッテ慣性ヲ味方ニツケ、鉄クズヲ加速シテ銃弾ノヨウニ放ツ」
「『むじゅーりょく』? 『かんせー』? 何よそれ!?」
「・・・・・・知ラナイノカ?」
「そんなの聞いた事も無いわよ!」
「そのガキが知らんのも・・・無理は無い。この世界は・・・科学が・・・全く発展してねえからな。
 無重力の概念も慣性も・・・だれも理解しようとはしない。
 だからこそ・・・・・・オレは無敵だった。
 誰にも理解できない力を・・・駆使し・・・相手を完全に・・・蹂躙するわけだからな・・・・・・」

この世界はちっとも科学が発展していないのだな、とホワイトスネイクは思った。

30 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 21:15:07 ID:K48M2trf
支援

31 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 21:15:45 ID:2uy2EtmL
支援
なんかすごいことになってるーっ!?

32 :ゼロのスネイク8/31:2007/10/10(水) 21:15:48 ID:r4nLs1p3
「ソウカ・・・ダガ貴様ノ能力ガ誰カニ理解サレル必要ハ、今日無クナル。
 無重力ヲ利用スルモノモ、慣性ヲ利用スルモノモ、今日ココデ、ソノ最初デ最後ノ一人ガ死ヌカラナ・・・」
「出来るのか? ・・・ガキのお守りを・・・したままで・・・・・・?」
「スタンドトハ、元来ソウイウモノダ」
「なるほど・・・な。じゃあ・・・再開と・・・いくか! JJF(ジャンピン・ジャック・フラッシュ)ッ!」

ドンドンドンドンッ!

ラングラーの声に応じ、再び無数の鉄クズを放つJJF。

バギョギョアッ!

それをホワイトスネイクは、正確に拳で弾き飛ばしていく。
避けることもせず、後方にいるルイズに当たらぬよう、全て自分の拳で弾き飛ばしてゆく。
弾き飛ばした鉄クズは、多くは部屋の内装に突き刺さり、そうでないものは扉を突き破って廊下に飛び出していった。

「また防いだか・・・だが・・・どこまで続くかな・・・・・・」

ドンドンドンドンドン!

そしてJJFの腕のリングから、第二波が放たれる。
今度は一点集中。
ホワイトスネイクの胸部目掛けて集中するように、角度を調整してきた。

「シャアアアアアッ!!」

バギャギャギャッ!

それをホワイトスネイクは両拳の、目にも留まらぬストレートの連打で正面から弾き飛ばしてゆく。
そして弾いたその何発かがラングラーに襲い掛かる。
ホワイトスネイクが、狙ってそのように弾き飛ばしたのだ。
しかしラングラーはそれを予想していた。

バギギィン!

鈍い音とともに、ラングラーを貫くはずだった鉄クズが床に叩き落される。
叩き落したのはJJF。
スデにラングラーの正面に回りこみ、そしてホワイトスネイクがやったのと同様に拳で防御を行っていたのだ。

「チッ・・・・・・」
「残念・・・だったな。その程度じゃあ・・・・・・オレのJJFは・・・倒せねえ。
 それに・・・前から・・・思ってたんだ」

33 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 21:16:13 ID:1tGkdQrx
読み耽って支援が追いつかない支援

34 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 21:16:28 ID:K48M2trf
熱い展開来る! 支援

35 :ゼロのスネイク9/31:2007/10/10(水) 21:16:54 ID:r4nLs1p3
そう言いつつ、JJFに鉄クズを撃ちまくらせるラングラー。
今度は先ほどのように集中するようなものではなく、部屋全体に、ばら撒くような射撃。
それをホワイトスネイクは、自分の方へ飛んでくるものだけを狙って弾き飛ばす。

「オレのJJFは・・・無敵かもしれねえ・・・ってことをな・・・・・・。
 テメーなんか・・・目じゃあねえぐらいに・・・オレのJJFが強いって・・・前からずっと思ってたんだ・・・・・・」

その直後、ホワイトスネイクの右足が鉄クズに撃ち抜かれた。
その衝撃に、ホワイトスネイクの体がぐらりと揺れる。

(跳弾・・・カ。無作為ニバラ撒イタヨウニ見セカケテ・・・
 壁ヤ天井ヲ跳ネ回リ、私ヲ襲ウ本命ヲ潜マセテイタノカ・・・・・・)

してやられた、という屈辱感がホワイトスネイクの胸を満たす。

そして今ホワイトスネイクが撃たれた事は、その後ろにいたルイズにも分かった。
思わず声を上げそうになるが、それを堪える。
ホワイトスネイクが戦っているのは自分のためじゃない。
ホワイトスネイク自身の名誉だ。
だから、ホワイトスネイクを心配するようなことを言っちゃいけない。
いや、絶対に言いたくない。
自分をご主人様だって認めないような使い魔の心配なんて、絶対したくない。
ルイズは生来、意地っ張りな気質だった。
だからこそこんなときでも、ホワイトスネイクの心配をしたいと思えなかった。
本当は、心配で心配でたまらないのに。

「さて・・・今度は真正面から・・・テメーを・・・穴ボコのチーズみてーに・・・してやるぜ」

JJFが両腕を真っ直ぐホワイトスネイクに向ける。
そしてッ!

ドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!

今度はマシンガンのように、一呼吸も置くことなく、大量の鉄クズをホワイトスネイクに集中して射撃したッ!
それをホワイトスネイクは――

「シャアアアアアアアアアアアアアアアアーーーーーーーーーーーーーーーー!」

バギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャッ!!

部屋中に響き渡る咆哮とともに、真正面からそれに立ち向かうッ!
自分に襲い掛かる鉄クズの全てを、拳で弾き飛ばしてゆくッ!

しかし、そのためにホワイトスネイクは一気に消耗していく。
JJFから弾丸並みの速度、そして威力をもって放たれる鉄クズを拳で弾き飛ばし続けたために、
その両拳にはダメージが次々と蓄積されていき、
拳で完全に弾ききれなかった鉄クズが自分の体を掠め、切り裂き、あるいは突き刺さる。
ガードが間に合わなかったために胴体にめり込んだ鉄クズも2、3ある。
だがホワイトスネイクは拳を振るうことを止めない。
スタンドとしての存在を完遂するため、拳を振ることを止める事は、決して出来ない。
そして――

36 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 21:17:48 ID:K48M2trf
支援

37 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 21:20:09 ID:21C3Dlbt
スゥイーエン

38 :ゼロのスネイク10/31:2007/10/10(水) 21:20:13 ID:r4nLs1p3
「ホワイトスネイク・・・随分・・・辛そうじゃあねえか・・・ええ? ・・・・・・おい」
「・・・・・・」

嵐のような集中射撃が終わったとき、ホワイトスネイクの身体はボロボロになっていた。
とりわけ両拳は、いまにも崩れ落ちそうな程に傷つき、ひび割れていた。
JJFから弾丸並みの速度、そして威力をもって放たれる鉄クズを、もう30発以上も弾き飛ばしていたのである。
これまで拳が持った事が幸運だったと言えよう。

おそらく、次の射撃をホワイトスネイクの拳は防げない。
次の一波の2発目、あるいは3発目、いや1発目を弾き飛ばした瞬間、ホワイトスネイクの拳は砕け散る。

「おそらくお前の拳・・・次で・・・壊れる。
 そうなったら・・・どうするつもりだ? テメーの身体で・・・そのガキを庇うのか?
 オレはガキを・・・無傷で確保できれば・・・それでいいからな。
 是非とも・・・テメーの身体で・・・ガキを庇って・・・・・・それで死んでくれ」

ウエストポーチから鉄クズを取り出し、JJFの腕輪に補給しながらラングラーが言う。
これで、JJFが弾切れを起こすことも期待できなくなった。
だがホワイトスネイクは表情を変えない。
何故ならホワイトスネイクには、自分が置かれている状況がこの場の誰よりも理解できているからだ。

後4回。
それだけ鉄クズを弾いたなら、自分の拳が砕ける。
それが今までの経験から割り出した、今の自分の限界だった。
その限界を迎えた後はどうするか。
そんな事は、言うまでも無いことだった。

39 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 21:21:41 ID:K48M2trf
支援

40 :ゼロのスネイク11/31:2007/10/10(水) 21:22:08 ID:r4nLs1p3
そして、JJFが腕を構える。
ホワイトスネイクが、ファイティングポーズをとる。
勝利を確信したラングラーの顔が、笑みに歪む。
そして、叫ぶ。

「くらえッ! ジャンピン・ジャック・・・」

バゴォォオン!

その瞬間、ルイズの部屋のドアが烈風の塊にぶち破られる。
風の魔法、「エア・ハンマー」だ。

ゴォオォアッ!

そしてそれに続くように、真っ赤に燃え盛る火球が部屋の入り口から放たれるッ!
火の魔法「ファイア・ボール」。
それが一直線に、今まさに攻撃をしようとしていたラングラーへと突進するッ!

「うおおぉおッ!!」

驚きに声を上げながら、床から飛び上がり、壁を蹴って部屋の隅へと逃げるラングラー。
だがその動きを追うように、10本以上の氷の矢――
――水・風・風のトライアングルスペル「ウィンディ・アイシクル」が、ラングラーへと殺到するッ!

ドシュシュシュシュッ!

空気を切り裂き、自分に迫る氷の矢の群れに、ラングラーが叫ぶ。

「ジャンピン・ジャック・フラッシュッ!」

ドンドンドンドン!

JJFの両腕から放たれた鉄クズが氷の矢を迎撃し、その全てを撃墜した。

「何者だ・・・テメーらは・・・・・・今の魔法・・・この威力・・・トライアングルクラスだぞ・・・・・・」

一瞬のうちに襲い掛かった強力な魔法の連撃に、顔をしかめるラングラー。
その顔に、ルイズにとっては聞き慣れた声がかけられる。

41 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 21:24:02 ID:640X45pn
支援
些細な?事からすれ違う二人の心強敵を前に男(?)が傷つき倒れたとき
少女は自分の本当の気持ちに(ry(違)

42 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 21:24:32 ID:E4Vq6be/
支援

43 :ゼロのスネイク11/31:2007/10/10(水) 21:24:52 ID:r4nLs1p3
「あ〜ら、ごめんなさいねえ・・・。でもレディの部屋にブ男が、呼ばれもしないのに土足で入るもんじゃあないわ」

そしてその声は、ホワイトスネイクにも聞き覚えのある声だった。

「あ、あんた・・・キュルケ!」

驚きを隠せず、声を張り上げるルイズ。
ホワイトスネイクは内心に驚きながらも、しかしラングラーへの警戒を緩めず、視線はラングラーに合わせている。

「どうしたのよ、ルイズ。こんなブ男が趣味だったってワケ?」
「ち、ちち違うわよ! っていうか、どこを見たらそんなこと・・・・・・」
「はいはい、分かってるわよ。理由は知らないけど、コイツに襲われたんでしょ?
 それと、タバサに感謝しなさいよ。この子がいなかったら、私も気づかなかったんだから」

そういうキュルケの横から、ひょいと青髪の女の子が顔を出した。
タバサである。
彼女の目はルイズたちにではなく、ラングラーへと向けられている。

タバサが部屋に訪れて「何か変」と言った後、寝巻きのままだったキュルケは学生服に着替え、
そしてこれからどうするか、というところだった。
タバサ自身も何か奇妙な違和感を感じた、というだけで、誰がどこにいるだとか、そういう細かいことまでは分からなかったのだ。
そうしたことを相談していたところに、ルイズの部屋のドアを突き破って、あの鉄クズが飛び出してきた。
言うまでも無くJJFが撃った鉄クズである。

その瞬間、キュルケとタバサはルイズの部屋のドアの両脇に回った。
そして互いに目で合図し、自分がすべきことを確認し、すぐさま行動を開始した・・・というわけだ。

タバサはこの未知なる敵にこれ以上に無い警戒をしていた。
鉄クズを飛ばすという謎の能力。
そして今の奇襲に対する立ち回り。
全てが、この敵の強さを物語っていた。

「キュルケ・・・気をつけて」
「分かってるわ。あなたの『ウィンディ・アイシクル』を一つ残らず叩き落すようなヤツですもの・・・油断なんか出来ないわ」

杖と、鋭い視線とをラングラーへと向ける、キュルケとタバサ。
その二人を、ラングラーは怒りを込めた目で見据える。

「あのガキ以外は・・・殺しても構わねーことに・・・なっている・・・・・・。
 オレをナメた事を・・・必ず・・・後悔させてやるぜ・・・・・・」

44 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 21:25:56 ID:1tGkdQrx
支援

45 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 21:25:58 ID:O7BQdP+c
支援

46 :ゼロのスネイク13/31:2007/10/10(水) 21:26:25 ID:r4nLs1p3
最初に動いたのはキュルケだった。
素早くルーンを唱え、杖の先に真っ赤な火球を膨らませる。
先ほどと同じ、ファイア・ボールだ。
そして火球が50サント程までに膨らんだところで、火球が杖を離れ、一直線にラングラーへと襲い掛かるッ!
しかも、今度のファイア・ボールは相手を追跡するようにしてある。
先ほどの、まだ相手が確認できないうちに撃ったファイア・ボールとはワケが違う。
相手を執念深く追いつめ、焼き尽くす。
これが本当のファイア・ボールだ。

しかし、ラングラーは先ほどとは違い、避ける素振りすら見せない。
それどころか、どういうわけか掌に唾を吐き、その掌を自分に向かってくるファイア・ボールに対して、
掌打でも打つかのように突き出した。
そして、自分の精神の力の名を静かに唱える。

「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」

その瞬間、ラングラーの掌を腕ごと焼き尽くすハズだった炎は、
その掌の10サントほど前で溶けるように「消滅」してしまった。

「な・・・何が起きたの?」

予想だにしなかった事態に虚を突かれ、思わずそう呟くキュルケ。
そこへ、ラングラーが容赦なく鉄クズを撃ち放つ。

ドンドンドンッ!

「しまった・・・」

鉄クズの群れは、ウィンディ・アイシクルのそれを遥かに上回る速度で殺到する。
今更ファイア・ボールを唱えたところで間に合わない。

「キュルケッ!」

それを後ろから見ていたルイズが悲鳴を上げる。
だが――

ドヒュゥゥン!

それらがキュルケの身体を貫く直前、巻き起こった一陣の烈風が鉄クズの軌道をそらしたッ!
キュルケを襲うはずだった鉄クズの群れは、それを僅かに外れて壁に突き刺さる。
風の魔法、「ウィンド・ブレイク」だ。

「あ・・・ありがと、タバサ」
「気をつけて」

キュルケの感謝の言葉に、タバサは言葉少なく答える。

47 :ゼロのスネイク14/31:2007/10/10(水) 21:27:36 ID:r4nLs1p3
「ホワイトスネイク。あいつが何したか、分かる?」
「アレモ『無重力』ノ産物ダ。触レルモノ全テ・・・空気デアロウト何デアロウト、全テ無重力ニスル。
 ソシテソコカラ、『真空』ガ生マレル。
 炎ガ燃エルタメノ酸素モ、風ノメイジガ風ヲ操ルタメノ空気モ、ソコニハ一切ナイ。
 言イ換エルナラ、『死の空間』トモ言ウベキモノダ」
「死の、空間・・・」

噛み締めるように、ルイズが言う。

「アノ二人・・・ラングラートハ、アマリニモ相性ガ悪イ。コノママデハヤラレルゾ」
「やられないわよ」
「・・・ナニ?」
「キュルケは、やられないわ。だって、学院の生徒でキュルケ以上に炎を使えるメイジなんて、一人もいないもの。
 それにあのタバサって子も強い。
 トライアングルスペルのウィンディ・アイシクルをあんなに簡単に使えるんだから。
 ・・・だから、あの二人はアイツなんかに負けない」

半ばJJFに手も足も出なかったホワイトスネイクへの当て付けのように、ルイズが言った。
ホワイトスネイクにもそれが感じ取れたが、気にかける事は無かった。
そして、ある疑問を脳裏に浮かべていた。

(シカシ・・・妙ダ。アイツガ真空ヲ利用シタニシテモ、唾液ヲツケテカラ真空ノ攻撃ガ始マルマデニハモット時間ガカカルハズ。
 ヤツノ能力ニ、変化ガ起キテイルトデモ言ウノカ・・・・・・?)

一方、キュルケを間一髪のところで助けたタバサは、キュルケにあることを告げた。

「あいつの周り、空気がおかしい」
「おかしいって・・・どういうこと?」
「キュルケのファイア・ボールを消したとき。あいつの掌の周りから一瞬だけ空気が無くなった」
「空気を無くす・・・? そんなことって、できるの?」
「系統魔法じゃ無理。多分・・・・・・先住の力か何か」
「先住の、力・・・・・・ね」

噛み締めるようにキュルケが呟く。
先住の力。
即ち、エルフの魔法。
系統魔法の限界を超えた、圧倒的で、そして強力な魔法だ。
それにそういえば、さっき自分の攻撃を避けたとき、人間とは思えないぐらい高く飛んだ気がする。
であれば、そういったものをあの男が使役しているのは、ほぼ確実・・・・・・。
そのことが、キュルケの背筋を冷やした。

「あいつが飛ばすものは、わたしじゃなきゃ防御できない。キュルケは攻撃をお願い」
「・・・でも、あたしの攻撃はアイツには効かないわよ?」
「工夫して。
「・・・・・・工夫、ねえ・・・」
「私が攻撃に加わった瞬間、あいつは遠距離攻撃をしてくる。
 あの攻撃はピストルの銃弾ぐらいの威力は十分ある。当たったら、ただじゃ済まない」
「そう・・・ね。分かったわ。こっちはこっちで何とかする。
 あなたはあなたの言ったとおり、防御をお願い」
「分かった」

その言葉と同時に、タバサが前に出て、キュルケがその後ろに回る。
JJFの動きによる風の細かな乱れから攻撃の瞬間を捉え、弾丸並みの速度の攻撃をウィンド・ブレイクでそらす。
そのためには、タバサが前衛で防御を担当するのが得策。
そしてキュルケは、タバサが作る即席の防御陣から、ファイア・ボールで攻撃する。
その場で作り上げただけの連携作戦だが、現状に対応するのにこれ以上のものは無い。

「さあて、リベンジといくわよ!」

48 :ゼロのスネイク15/31:2007/10/10(水) 21:29:25 ID:r4nLs1p3
場所は変わってトリステイン魔法学院の校庭。
そこにその女は潜んでいた。

女の名前はフーケ。ちなみに偽名である。
そして職業は泥棒。それも、世間ではかなり名の知れた方だ。
なので「大泥棒」と称してもいいかもしれない。
また「彼女」・・・とは言っても、世間では性別不詳ということになっている。
「仕事中」の彼女の顔を見たものは一人もいないからだ。

フーケは、この学院では「ロングビル」という名前で通っている。
そしてオールド・オスマンの秘書として、学院に勤務している。
しかし何故天下に名高い大泥棒のフーケが、魔法学院でスケベ学長の秘書をしているのか、というと、
それはこの学院の宝物庫に収められた「あるもの」を、フーケが狙っていたからである。

通称「破壊の杖」。
それがフーケが盗み出そうとしている品物だった。
噂にはどんな炎の魔法よりも強力な威力を持つとも言われ、先住の産物ではないかとさえ揶揄されるほどだ。
そして調べてみれば、それほどのものが王室の宝物庫でなく、この魔法学校の宝物庫に収められているというではないか。
これは買い・・・もとい、貰いだな、とフーケは考えた。
そしてロングビルとして学院に潜入し、現在に至るというわけだ。

そしてこの日は、盗みの決行の日である。
それを前にして・・・彼女はある問題にぶち当たっていた。
宝物庫が思いの外頑丈なのだ。
先日コルベールから言葉巧みに聞き出した情報に拠れば、物理的な威力には弱いとのことだったが、
それでも自分が作るゴーレムの一撃でもどうにもなりそうにないぐらい、壁が硬い。

フーケはこれまで色んな盗みをしてきた。
そしてその盗みの中で、ゴーレムを使って壁を破壊する、という手段もよく使ってきた。
つまり物理的なパワーで頑丈なものを壊すことに慣れているのである。
そんなフーケだからこそ分かる。
この壁は、自分のゴーレムでは破壊できない。
打撃の瞬間に拳を鉄に錬金したとしても、結果は同じだろう。

さて、どうしたものか。
フーケは空高く上った二つの月を仰いで、そんなことを考えた。
一人の女子生徒の部屋が、生死をかけた戦いの戦場になっていることなど、彼女には気づく由も無かった。

49 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 21:30:36 ID:wgSxiYYL
支援だ!!

50 :ゼロのスネイク16/31:2007/10/10(水) 21:31:05 ID:r4nLs1p3
ルイズの部屋では、勢いを盛り返したキュルケとタバサが、ラングラーを追い詰めていた。

「いくわよ、タバサ!」

キュルケの声とともに、いくつものファイア・ボールがラングラーに殺到するッ!
それと同時にラングラーは鉄クズの弾丸を二人に向けて放つが、タバサのウィンド・ブレイクがそれらを全て元の軌道からそらし、
自分達に当たらぬようにしてしまう。
ラングラーも自分に向かってきたファイア・ボールは、全て唾を吐きかけた掌で消滅させる。

だが、これではラチがあかない。
内心に愚痴りながら、ラングラーはそう思った。
それに補給もそのうちしなければならない。
さっきから撃ちまくっているため、残弾が心もとなくなってきているのだ。
そして今回持ってきた補給用の鉄クズは、補給二回分。
つまり次の補給で鉄クズは最後だ。
これ以上ハイペースで撃ちまくるのは、避けなければならない。

しかし、あの青髪の小娘。
あれがいる限り、こちらの攻撃が直撃する事は望めない。
かといって近づけば、逆に魔法で手痛いダメージを受けることも考えられる。

「なるほど・・・あの青髪のガキ・・・おれのJJFに対応しやがるとは・・・ナメた真似をしてくれる・・・・・・」

ラングラーは自分を追い込もうとしてる二人の小娘に、激しい怒りを覚えていた。
そして、決めた。
この二人のガキを、カラカラのミイラにしてやると。
こんなガキ相手に「これ」をやるのは腹立たしいが、やらずに負けるよりはずっとマシだ。

ラングラーはJJFの両腕のリングを開いた。
そしてそれらの中に、唾を二回ずつ吐いて入れる。
唾がリングの中に入ったのを確認すると、リングを閉じ、最大速度で回転させる。

「アイツ・・・マサカッ!」

ラングラーがしていることの正体に気づいたホワイトスネイクが声を上げる。

「ほう・・・気づいたか・・・ホワイトスネイク。だが・・・もう遅い」

そう言って、ラングラーが凶悪な笑みを浮かべる。
そしてJJFの腕のリングの中では、吐き入れられた唾が、
既に内部に収まっていた鉄クズを、コーティングをするかのように満遍なく濡らしていく。
この世界でラングラーが編み出した、JJFの究極にして最悪の戦術が、始まった。

51 :ゼロのスネイク17/31:2007/10/10(水) 21:32:27 ID:r4nLs1p3
そして一方、ルイズは激しい焦燥感に駆られていた。
元はといえば自分の問題だったのに、今ではキュルケと自分よりも小さい青髪の少女――タバサに戦いを任せてしまっている。
ホワイトスネイクもまた、拳に受けたダメージのために戦えない。
さっき「でぃすく」を投げられるかどうか聞いてみたが、指もボロボロになっているため、正確な投擲ができないのだという。
間接的にとはいえ、これでは二人の援護してやることも出来ない。
でも、自分も何らかの形で役に立ちたい。戦いたい!
そうルイズが思っていると、彼女の目に、枕元においてあった「それ」が入った。

それはルイズの杖だった。
さっきまで立て続けにいろんなことが起きすぎて、杖のことに頭が回らなかったのだ。
そして杖を手に取ったルイズは、それを部屋の隅のラングラーへと向ける。
自分の爆発なら、あいつを追い詰められる。
当たればほぼ一撃で再起不能、外れたとしても爆風であいつの動きを阻害できる。
自分の爆発だからこそ、それができる!

そう考え、小さな声でルーンを唱えるルイズ。
唱えるルーンは、ファイア・ボール。
しかしキュルケがやるように大きな火球にも、全てを焼き尽くすような炎にもならない。
ただの爆発にしか、ならない。
そうだとしても、今はいい。
この爆発だからこそ、二人を援護できる。二人と一緒に戦える!

そしてルーンの詠唱が完了し、ホワイトスネイクの背中越しに、杖を振り下ろす。
それを、ホワイトスネイクが視界の端に捉えた。
ホワイトスネイクは聡明だった。
だからこそ、それが何を意味するのかが分かった。
そして、叫ぶ。

「ヤメロ、マスターッ! 今コノタイミングデ、『爆発』ハマズイッ!」

52 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 21:33:31 ID:E4Vq6be/
支援

53 :ゼロのスネイク18/31:2007/10/10(水) 21:34:07 ID:r4nLs1p3
ホワイトスネイクが言い終わったのと同時に、ルイズの魔法は完成した。
そしてラングラーの頭上で、その爆発が起こった。

「があっ!」

頭上で起こった爆発で、頭をぶったたかれたような衝撃を後頭部にモロに食らうラングラー。
ここまではルイズの読みどおりだった。
しかしそのラングラーを、爆発によって生まれた煙が覆ってしまう事は、予想していなかった。
そして、衝撃によるダメージを受けながらも、ラングラーが攻撃を正確に行うことも。

爆発による煙で包まれたラングラーに、警戒するキュルケとタバサ。

ドンドンドンドンドンッ!

直後、二人がいる方向とはまったく別の方向に、鉄クズが放たれる。
ルイズの爆発で方向を誤ったか、と安堵する二人。

しかし、それが誤りだった。

「ソイツハ『跳弾』ダ! 警戒シロ!」

ラングラーの攻撃の正体に気づいたホワイトスネイクが声を上げるが、それは遅すぎたことだった。

ドシュシュシュシュシュシュッ!

そして二人が自分達のミスに気づいたとき、二人はその全身に、鉄クズの銃撃を受けられていた。

「がはっ・・・・・・」
「っ・・・く・・・・・・」

呻き声を上げながら崩れ落ちる二人。

「キュルケ! タバサ!」

ルイズが悲鳴を上げる。

「そんな・・・・・・なんで・・・・・・」
「『跳弾』ダ。鉄クズヲ撃ツ角度ヲ調節シ、壁ヤ天井デ鉄クズノ弾丸ガ軌道ヲ変エルヨウニシタノダ。
 サッキ私ガヤツノ攻撃ヲクラッタノモ、ヤツガソレヲ使ッタカラダ・・・・・・」

ホワイトスネイクが苦々しげに解説する。

「その通り・・・・・・だ。そして今の弾丸・・・ただ身体に・・・穴が開くだけじゃあ・・・ない。
 もっと・・・・・・面白く・・・なる」
「面白クナル・・・ダト?」
「そうだ・・・・・・見ていろ・・・・・・。
 奴らの血で、この床と天井に真っ赤な水彩画を描いてやるぞ・・・・・・」

54 :ゼロのスネイク19/31:2007/10/10(水) 21:35:11 ID:r4nLs1p3
場所は変わってまたトリステイン魔法学院の校庭。
ある者は命がけで戦い、ある者は盗みを働こうとするこの日の夜。
そんな夜に、二人の男女が校庭を歩いていた。
少女の方の名前はモンモランシー。
二つ名は「香水」。
そして一週間前に、恋人のギーシュに二股かけられた本人だ。
そして男の方は――

「ああ、モンモランシー! 君は本当に美しいよ!
 天高く輝くあの双月も、君の前ではその美しさが霞んでしまうほどに!
 いや・・・きっと彼らもわかっているんだ。
 どれだけ輝こうとも君の美しさには敵わないってね。
 だからああして輝きを弱めて、君の美しさを引き立てているのさ! 
 きっとそうだよ! 僕の愛しいモンモランシー!」

・・・一週間前、モンモランシーがいながら二股をかけた、ギーシュその人であった。

そもそも何故最悪な関係に陥っていたはずの二人がこうして一緒に歩いているのか、それを説明せねばなるまい。
事の発端はギーシュがモンモランシーを夜の散歩の誘ったことであった。
ギーシュは二股かけてたことがバレて傍に女の子がいなくなった状態が一週間も続いていた。
それで寂しくなったからモンモランシーに泣きついたのだ。
だが実際に傍に女の子がいなくなる、という状況に陥って、真っ先にモンモランシーのところに来る辺り、
ギーシュとしての本命はモンモランシーなのだろう。多分。
浮気ばっかりしてるけど、多分そうに違いない。多分。
そしてモンモランシーの方も、それまではホワイトスネイクとの決闘で死に掛けたギーシュを心配はしたものの、
二股をかけられたことが思い出されて、あまりギーシュとは一緒にいたくない気分だった。
だが「一週間経ったから許してあげようか」という気持ちと、
やはりギーシュに対するまだ捨てきれない気持ちがあって、夜の散歩を了承した。

そしてさっきからもう10分もの間、ギーシュの歯が浮くようなお世辞をノンストップで聞き続けているのだ。
普通の女の子なら耳が痛くなってくるようなお世辞の数々だが、
モンモランシーには、むしろそれが気分がよく感じられた。
モンモランシーはおだてに弱いタイプだった。
だからこそ、ギーシュが他の女の子にフラフラと近づいてそのままお近づきになるのを怒っても、
そのうちすぐに許してしまうのだった。

二股駆けるギーシュがダメダメなのは言うまでも無いことだが、モンモランシーも何だかんだでダメだった。
でもそうだからこそ、似合いのカップルなのかもしれないが。

ひたすらモンモランシーに愛の言葉を重ねるギーシュ。
それを頬を紅潮させながら聞くモンモランシー。
二人はまだ知らない。
今この瞬間も、この学院の中で死闘が続いていることを。

55 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 21:35:33 ID:wgSxiYYL
支援

56 :ゼロのスネイク20/31:2007/10/10(水) 21:37:22 ID:r4nLs1p3
「くぅっ・・・・・・タバサ・・・大丈夫?」
「・・・大丈夫。まだ、やれる」
「ウソ・・・でしょ、それ・・・。ギリギリのところで使えた魔法を、殆どあたしを守るために・・・・・・」
「・・・・・・大丈夫、だから・・・・・・」

そう言うタバサの顔は青ざめている。
無理も無い。
タバサが先ほどの攻撃で受けた傷は、鉄クズの直撃が右足に3つ、右腕に2つ。鉄クズのかすり傷が、脇腹に1つ、肩に1つ。
また、キュルケは鉄クズの直撃が左足に1つ、左腕に1つ。それのかすり傷が左大腿に一つ、頭に一つ傷が出来ている。

ラングラーの射撃が二人を襲う直前、タバサはウィンド・ブレイクを使っていた。
しかしそれは、魔力を殆ど込める間もなかった、いわば手加減して使ったのと同じ程度のもの。
その程度のものだったのに、タバサはそれの殆どをキュルケを守るために使った。
そしてそのために、彼女が受けたダメージはキュルケよりもずっと多いものになったのだ。

傷の激痛で奪われそうになる意識を必死に留めながら、タバサは思考を回転させる。
このままではまずい。
あの男・・・こちらが思っていたよりも遥かに強かった。
まさか、天井や壁で撃った鉄クズを反射させて、死角からこちらを狙うなんて。
ヴァリエールの女の子――ルイズといったか、あの子の失敗魔法の爆発で出来た煙幕であの男の動きを見失ったのは痛かった。
しかしそれを差し引いたとしても、あの攻撃を防げたかどうかは怪しい。
さっきの攻撃では、全方位からこちらに鉄クズの射撃が襲い掛かってくるのがかろうじて認識できた程度。
もう一度あの攻撃を仕掛けられたとして、果たしてどれだけ防御し切れるのか。

そう考えていると、ふと自分の体に奇妙な違和感を感じた。
体が、軽い。
まるで風に巻き上げられた落ち葉のように、まるで自分の体に重みを感じない。
さっきまで、あの男から受けた傷の激痛で体が鉛のように重かったのに・・・。

いや、違う!
「軽く感じている」などという程度ではない。
自分の体が浮いている!
風も無いのに、何かの力が働いているでも無いのに、自分の体が宙に浮き上がっている!
いや、そればかりではない。
手や足を動かすたびに体がグルグルと回転し、重心が定まらない!
これは、一体。

「タ、タバサ・・・こ、これ!」

声がした方を見ると、キュルケの身体も宙に浮き上がり、空中で二転三転している。
一体何が起きた?
さっきの弾丸に、何か特別な魔法でも仕掛けたのか?
でもこんなことができる魔法は、系統魔法の中には無い。
ならば、こいつが使っているのは――。

「エルフの先住魔法・・・か?」

突然タバサに、ラングラーから声がかかった。

「オレと戦ったものは・・・皆・・・そう言う。先住の魔法・・・エルフの魔法・・・とな。
 ・・・・・・当然だ。火の魔法・・・風の魔法は・・・使うことすら出来ず・・・・・・
 土の魔法・・・水の魔法は・・・まともにコントロールすることさえ・・・出来ない。
 このオレが・・・・・・『魔法殺し』と・・・呼ばれるのは、そのためだ・・・・・・。
 だが・・・オレが使うのは・・・そんなものではない。
 それらより強力で・・・それらより凶悪なものだ・・・。その力で殺されることを・・・誇りに思うがいい・・・・・・」

57 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 21:38:04 ID:ZVmkgCFf
しぇーん

58 :ゼロのスネイク21/31:2007/10/10(水) 21:39:40 ID:r4nLs1p3
先住の魔法ではない?
だとしたら、一体何がこれを引き起こしている?
考えても考えても、自分に起こったこの現象が説明できない。
とにかく自分の体を固定しなければ。
そう思い、杖を振ってレビテーションを唱える。

状態に変化が始まったのはその瞬間だった。

傷口から流れ出ていた血の勢いが、突然強くなった。
まるで傷口から血が噴出すように、溢れ出るように流血し始めた。
そして次第にそれすらも通り越し、瞬く間に流血の勢いは強くなり、まるで噴水のように傷口から出血しているッ!

「こ・・・これは・・・・・・」
「・・・・・・」

自分の身に起こった現象に呆然とするキュルケ。
そして自分の体から血が吹き出るという現実に驚愕したのはタバサも同じだったが、
風のメイジであった彼女にはそれ以上のことが理解できた。

自分の周りから、極端に空気が少なくなっている。
それに呼吸もしにくくなっている。
このままでは窒息してしまう。
それ以前に全身の血液がなくなって、干からびてしまう!
どうすれば、どうすればこの状況から抜け出せる!
自分はまだ、死ぬわけにはいかないのに・・・・・・。

そしてその様子を、ルイズも見ていた。
ルイズは、自分を責めていた。
自分があの時魔法を使わなかったなら、アイツの動きが見えなくなることは無かった。
あいつの動きが二人に見えていれば、さっきの攻撃を防げたかもしれない。
なのに、それを台無しにしてしまった。
自分の浅はかな行動が、自分が役立たずじゃないと証明したい、それだけの虚栄心が、
二人が追い詰められるきっかけになってしまった。

「そんな・・・・・・どうすれば・・・どうすれば・・・・・・」

しかし自分がどうすればいいかも、何もルイズには分からなかった。
ただうわごとのように、「どうすれば、どうすれば」と繰り返すばかりだった。
そんなルイズに、ホワイトスネイクが声をかけた。

「マスター」
「・・・なによ。ホワイトスネイク」

出来ることなら今は話したくない相手からの言葉に、少々むっとするルイズ。
その相手から、ある言葉がかけられた。

59 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 21:41:29 ID:1tGkdQrx
支援

60 :ゼロのスネイク22/31:2007/10/10(水) 21:41:29 ID:r4nLs1p3
「アノ二人ノタメニ命ヲ賭ケラレルカ?」
「・・・当たり前よ。何でそんなこと聞くのよ」
「今アノ現象ハ、アノ二人ヲ中心ニ起コッテイル。
 ソシテ二人ヲ助ケルニハ、マスターモアノ近クヘ行カネバナラナイ。
 マスターガラング・ラングラーニ殺サレタナラ、二人ノ努力ガ無駄ニナル。
 デアル以上、マスターハ私トトモニ行動シ、私ガ護衛シナケレバナラナイ。
 故ニマスターモアノ症状ガ出ル空間マデ行カネバナラナイ。・・・ソレデモ助ケルノカ?」
「それでも、よ」

ルイズの言葉に、迷いは無かった。

「・・・キュルケトカイウ女ハマスタートハ不仲ダ。ソシテタバサトカイウ小娘ハ今日初メテ会ッタバカリ。
 命ヲ賭ケルニハ、アマリニモ安イ間柄ダ。
 ナノニ、何故ソノ二人ノタメニ命ヲ投ゲ出セル? 親友デモ、血族デモナイ相手ニ、何故ソコマデデキル?」

それは、ホワイトスネイクにとって率直な疑問だった。
以前ホワイトスネイクがいた世界――かつての自身の本体、プッチ神父とともにあった世界でのこと。
あの世界で戦った男――空条承太郎は、娘を守るために千載一遇の勝機を捨てた。
そしてその空条承太郎の娘、空条徐倫もまた、父親の記憶のために、プッチ神父を仕留めるための最大の好機を逃した。
何故そのようなことが出来るのか。
それは親子だからだ。互いに血を分けた存在だからだ、とホワイトスネイクは考えていた。

また、スタンドを探して世界中を巡った旅の中で、プッチ神父を友の仇、親友の仇として襲うスタンド使いもいた。
そうしなれば、プッチ神父にスタンドを奪われることも、その後にドロドロにされて死ぬことも無かったのに。
なのに彼らはプッチ神父に挑まざるを得なかった。挑まなければ、自分の心に決着を付けられなかった。
何故そのようなことが出来るのか。
それは親友だからだ。互いが互い無くしては生きては行けない存在だからだ、とまた、ホワイトスネイクは考えていた。

だが、この状況は違う。
今自分の主人の前で死に掛けている二人の小娘は、主人の血族でもなければ主人の親友でもない。
なのにこの小さな主人は、そんな二人のために命を賭けると言っている。
何故そんなことが出来る? 何故自分の命をそこまで簡単に扱える?
それが、ホワイトスネイクには理解できなかったのだ。

そんなホワイトスネイクに、ルイズは言った。

「わたしが二人が追い詰められる原因を作ったから・・・いいえ、それより、もっと根っこの方でそうしたいって気持ちがあるの。
 その・・・なんて言ったらいいのかしら。助けられるなら、助けたい。・・・何が何でも。そんな気持ちが、わたしの中にはあるの」
「ソレハ・・・自己満足カ? ソレトモ偽善カ?」

ホワイトスネイクは敢えて厳しい問いをぶつける。

「そう・・・かもしれない。でも今あの二人を助けられるのはわたしとあんたしかいない。だから、助けるのよ。
 そこに理由なんて無いし、何かお礼とか、そういうのがほしいわけじゃない。ただ、助けたいの」

それが、ルイズの真摯な思いだった。
確かにキュルケには気に入らないところもある。
タバサって女の子に至っては、助ける義理も何も無い。
それでも、見殺しには出来ない。
だから、助ける。
自分が助けたいから、助ける。
それが、ルイズの答えだった。

61 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 21:43:48 ID:7prNKw0C
いいやっ!限界だっ!支援するっ!

62 :ゼロのスネイク23/31:2007/10/10(水) 21:46:29 ID:r4nLs1p3
「ソウカ」

ホワイトスネイクはそう短く言うと、ルイズを片手で抱え上げる。

「覚悟ハイイナ?」
「いつでも」

ホワイトスネイクの問いに、ルイズが短く答える。

「承知ッ!」

その答えにホワイトスネイクが力強く応えるッ!
そして床を強く蹴り、二人の少女の下へと疾走するッ!

「なッ、なにしてやがるッ!!」

それに驚いたのはラングラーである。
無傷で確保しなければならない相手が、自分が作り出した死の空間へと、何のためらいも無く、
ホワイトスネイクとともに突っ込もうとしているのだ。
このままでは「無傷での確保」は不可能。ならば、阻止するしかないッ!
ラングラーは瞬時にJJFに腕を構えさせる。

ドンドンドンドンドンドンッ!

そしてホワイトスネイクの動きを追うように、JJFにありったけの鉄クズを撃ち放たせるッ!
計画性のカケラもない行動だった。
だが任務を完遂することの方が、ラングラーには重要だった。

しかしホワイトスネイクは速い。
放たれた鉄クズの半数はホワイトスネイクが通り過ぎた直後の空間を貫いてホワイトスネイクにはかすりもせず、
しかし残り半分はホワイトスネイクへと殺到する。
だがホワイトスネイクはそれらを拳で弾き飛ばそうとはしない。
逆にルイズを庇うようにガードを固める。

ドシュシュシュッ!

そのホワイトスネイクに、いくつもの鉄クズが突き刺さるッ!
その数、4発。
足に、脇腹、腕に、そして頭に着弾し、頭部に命中したものはその一部を吹き飛ばしたッ!
しかしホワイトスネイクは止まらないッ!
止まることなく、一直線に、苦しみもがきながら空中を漂うキュルケとタバサの元へ駆けるッ!

そして、キュルケとタバサを襲う症状――真空の魔の手が、ルイズにも襲い掛かる。
ルイズの鼻から、突然鼻血が噴出す。同時に、ルイズの呼吸も苦しくなってくる。
ホワイトスネイクが自身の腕からDISKを抜き取ったのはその瞬間だった。
そして抜き取ったDISKを間髪いれずにルイズの頭部に差し込むッ!

「命令スル。『体内気圧を限りなくゼロに近いレベルまで、一気に低下させろ』」

ホワイトスネイクが、静かにそう命令する。
と同時に、ルイズの鼻血が止まった。
外気圧と体内気圧の差のために体内から血液が押し出されるのを、この命令によって防いだのだ。
しかし、ルイズの呼吸が苦しいのは変わらない。
ルイズの周囲に殆ど酸素が存在しない状況を変えることは、あの命令ではできないからだ。
しかし、血液が全て体外に押し出されてミイラになるよりは、まだ死ぬのが遅い。
その僅かなタイムラグに、ホワイトスネイクは全てを賭けたのだ。

やがて、酸欠でルイズが意識を手放す。
ルイズは自分の意識が真っ白になっていくのを感じながら、ホワイトスネイクが、二人を救ってくれることを祈った。

63 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 21:48:25 ID:wgSxiYYL
鼻血はセーフ支援

64 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 21:59:55 ID:LTFjMk80
支援だっ!!

65 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 22:00:40 ID:06O9Xc8k
スネイク氏、サル喰らったようだぜ

66 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 22:04:34 ID:ZVmkgCFf
ここでさるさん喰らうとか
なんて恐ろしい分量……ッ!

67 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 22:19:52 ID:1tGkdQrx
避難所の代理投下依頼スレに来てるがどうするんだ
俺こういうのやったことないからよく分からんのだ…

68 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 22:22:20 ID:06O9Xc8k
じゃあやるわ。

69 :ゼロのスネイク24/31代理:2007/10/10(水) 22:24:54 ID:06O9Xc8k
そしてキュルケとタバサの元へ到達したホワイトスネイクは、ルイズにしたものと同じ命令を二人に差し込む。
スデに二人は意識を失っていた。
後数秒でも遅れていたならば、二人の命は無かっただろう。
しかしこれで二人の命はもう1、2分は稼いだ。
あとは・・・ラング・ラングラーを倒すのみ。
そう決意し、ラングラーのほうへ振り向く。

そして振り向いた先には、驚愕に顔を歪めるラングラーがいた。

「バカな・・・真空の中で・・・何故・・・血を吹き出さねえ・・・・・・。
 ホワイトスネイク・・・テメー・・・一体・・・何を、しやがった・・・・・・」
「何ヲシタカ・・・カ。ソレヲ貴様ガ知ル必要ハナイナ。
 何故ナラ貴様ハココデ死ヌカラダ・・・ラング・ラングラー。
 貴様ノ無重力ノ能力ガ作リ出シタ真空デナ・・・・・・。」

そう言い終わるや否や、ラングラーに向けて突進するホワイトスネイク。

「テメーッ! オレが作った真空で、オレを攻撃する気かッ!」

ホワイトスネイクの目論見を理解したラングラーは、すかさず後方に下がる。
だがすぐに壁に背がぶつかる。
もう後ろには下がれない。
正面から迫るホワイトスネイクは、自分を真空の範囲に捉えるまであと数歩の位置。
ならば――

「ジャンピン・ジャック・フラァァァッシュッ!!」

咆哮とともにJJFがラングラーの正面に回りこむ。
そしてコンマ数秒単位で腕を構え、ホワイトスネイクへと向けるッ!

「くらえッ!!」

ドンドン!

そして、その腕から鉄クズを撃ち放つ。
だが狙いは甘かった。
大半はホワイトスネイクに当たらず、その周囲へと逸れていった。
ラングラーがホワイトスネイクに抱いた恐怖が、その照準を正確なものにしなかったのだ。

だが、3つ。
それだけの数の鉄クズは、ホワイトスネイクへと向かった。
しかもその全てが、ホワイトスネイクへの直撃コース。
だがホワイトスネイクは避けようともしない。
自分を敵の弾丸が貫くのを承知で、真正面からラングラーのいる方向へと突っ込むッ!

ドシュシュッ!

そしてホワイトスネイクの胴体を、3つの鉄クズが撃ち貫く。
ホワイトスネイクの、膝が落ちる。
勝った、とラングラーは感じた。

70 :ゼロのスネイク25/31代理:2007/10/10(水) 22:26:14 ID:06O9Xc8k
だが、ホワイトスネイクは止まらなかった。
落ちかけた膝を無理やり引き上げ、床を蹴り、レスラーがタックルをかけるように、ラングラーへと襲い掛かるッ!
ホワイトスネイクはスタンドである。
そして今のホワイトスネイクは、本体の状態に一切左右されないスタンドであるッ!
そのため人間ならば致命傷の攻撃でも、まだ十分に活動可能ッ!

「バカなッ! こいつ、何故止まらないッ!?」

それを知らないラングラーは驚愕のままにタックルをモロに食らい、壁にたたきつけられる。
JJFで防御する余裕すらなかった。
そして、真空の範囲にラングラーが入った。
真空が、ラングラーに襲い掛かるッ!

「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

時間の経過のために、より強力になった真空がラングラーを襲う。
そして、ラングラーの体の組織を次々と破壊してゆくッ!

(マ・・・マズイ・・・ぞ・・・・・。このままじゃあ・・・オレが・・・ヤバイッ!
 壁に押さえつけられた・・・この体勢じゃあ・・・逃げられねえッ! くッ・・・こうなったらッ!!)

71 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 22:27:19 ID:LnLgSJ9y
sienn

72 :ゼロのスネイク26/31代理:2007/10/10(水) 22:27:24 ID:06O9Xc8k
完全に追い詰められた状況ッ!
そしてラングラーが、そこから脱出を図るッ!

「ジャンピン・ジャック・フラッシューーーーーーーーッ!」

ラングラーの絶叫とともに、JJFが部屋の壁に拳のラッシュを叩き込むッ!
追い詰められ、生きることへとしがみつこうとする精神によって昂ぶり強化された拳は、
壁を一瞬にしてベコベコに破壊し、そしてひび割れさせていくッ!

そしてラッシュが始まってから一秒経ったか経たないか、それだけの時間で、壁に大穴が空いた。
そこにラングラーは這いずるようにして逃げ込む。
ホワイトスネイクはそれを上から押さえつける。
だがダメージのためにホワイトスネイクはフルパワーを発揮できない。
反対に極限状況のために暴走に近い強化を受けたJJFのパワーは強く、そして荒々しい。
そしてラングラーの体がルイズの部屋から、空中に放り出された。
この瞬間を、ラングラーは待っていた。

ジャンピン・ジャック・フラッシュ解除ォーーーーーーーーーーーーーッ!!」

ラングラーの絶叫とともに真空が解除されるッ!
そして周囲の気圧は突然正常に戻り、ホワイトスネイクとラングラーの身体は、
その周囲にあった真空地帯へ吹き込んだ風に、木の葉のように吹き飛ばされるッ!
ラングラーの身体は上空へ吹き飛ばされ、ホワイトスネイクの身体は地上へと、一気に叩き落されるッ!
しかしホワイトスネイクは抱きかかえる3人の身体を手放しはしないッ!
手放す前に、やらねばならないことがあるからだ。

(解除・・・ダトッ!? マズイゾッ! コノママデハ、外気圧ニマスタータチノ体ガ潰サレルッ! ソノ前ニッ!)

ホワイトスネイクは素早くルイズの頭部から命令のDISKを抜き取る。
そしてキュルケ、タバサの頭部からも命令のDISKを抜き取り、3人の体内気圧を正常に戻す。

だがまだ油断は出来ない。
地上が、眼前に迫っている。
今の加速した状態で地面に叩きつけられれば、並の人間はただではすまない。
ましてや今の状況では重傷を負った人間が二人もいるのだ。
ホワイトスネイクが手を離し、勢いのままに地面に激突したならば、間違いなく死ぬ。

ホワイトスネイクは何も持たない状態なら自由に空中を移動できる。
そして軽いものならば抱えたままで空中を移動できる。
だが今ホワイトスネイクが抱えるのは、三人の人間。
抱えたまま空中に留まるのは不可能だ。

そうである以上、着地はホワイトスネイクがやらねばならない。
しかしホワイトスネイクの両足はJJFの射撃でダメージを受けている。
着地の衝撃に耐えられるかどうかは怪しい。
出来るか。
ホワイトスネイクは現在の自分の状況に相談し、そして覚悟を決めた。

その直後、ホワイトスネイクは3人を抱えたまま、地面に着地した。
そして着地の衝撃がホワイトスネイクの両足を襲う。
無重力解除による風圧、そして人間3人分の重力が生んだ衝撃が、ホワイトスネイクの足をズタズタに破壊してゆく。
だがホワイトスネイクは膝を突かない。
膝を突かず、衝撃に耐え、着地したままの状態を保ち続ける。

そして、耐え切った。
そのことを実感すると、ホワイトスネイクは3人の身体をそっと地面に横たえた。

ホワイトスネイクの身体に新たな衝撃が走ったのは、その瞬間だった。

73 :ゼロのスネイク27/31代理:2007/10/10(水) 22:28:46 ID:06O9Xc8k
衝撃の発生源は腹部。
そこに目を向ける。
自分の腹部から、握り拳が突き出ているのが見えた。
そして、やられた、と思った。

JJFの拳が、背後からホワイトスネイクの身体を貫いていた。

空中に飛ばされたラングラーは、手足の吸盤で校舎の壁に張り付き、風圧に耐えていた。
そして耐え切ると、間髪いれずに空中からホワイトスネイクの背後に迫った。
落下の音、衝撃は吸盤で吸収し、ホワイトスネイクに気づかれることは無かった。
そして、あの一撃をホワイトスネイクに叩き込んだ。

ホワイトスネイクの膝が、がくりと落ちる。
もはや両足で立つこともできない。
そしてボロボロの両手では、手刀を使うことも出来ない。
ホワイトスネイクの身体は、もう戦える身体ではなかった。

「これで・・・テメーは・・・もう・・・戦えねえ。
 あとは・・・ガキを・・・頂いていく・・・だけだ。
 だが・・・・・・その前に・・・テメーは破壊する。
 オレを散々ナメてくれたテメーを・・・・・・生かしておく・・・つもりはねえッ!」

そう言いつつ、JJFの拳をホワイトスネイクの腹から引き抜くラングラー。
それと同時にホワイトスネイクの体が崩れ落ちる。
ダメージは、あまりにも大きかった。
これ以上戦えぬほどに、これ以上立つこともできぬほどに。

そして床に倒れこむホワイトスネイクの頭部に、ラングラーはJJFの拳の狙いを定める。

「これで終わりだッ! 今度こそ、ここで死ねッ!!」

そして、JJFの拳が、ホワイトスネイクの頭部へ振り下ろされる。

「勝ったッ!!」

ラングラーが今度こそ勝利を確信し、叫ぶ。

74 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 22:29:34 ID:bgn3Rcwh
戦闘中に言ってはならない台詞その一支援

75 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 22:29:36 ID:E4Vq6be/
支援

76 :ゼロのスネイク28/31代理:2007/10/10(水) 22:30:14 ID:06O9Xc8k
ドグシャアッ!

ドシュンッ!

直後、二つの音が交錯する。
JJFの拳がホワイトスネイクを破壊する音、そしてそれとは別の音が、校庭に響いた。
そして視界が真っ暗になる。
何だ? とラングラーは一瞬首を捻りかける。
捻りかけて、理解した。
自分の額に、あの忌々しいDISKが突き刺さっている。
そのDISKに目隠しされているのだ、と。

そしてそうだ。
「これ」はさっき見ていた。
これはホワイトスネイクが、あの三人のガキの頭から抜き取ったものだ。
ホワイトスネイクはこのDISKで、自分の真空から三人を守っていた。
しかし、だとしたらその効果は一体・・・。

「ソノDISKノ効果・・・教エテヤロウ」
「!!??」

バカな!?
何故ホワイトスネイクが生きている!?
ヤツの頭部は、自分のJJFで完全に破壊したハズ。
手ごたえも十分にあった!

・・・いや、本当にそうだったのか?
本当に、自分が破壊したのはヤツの頭部だったのか?
インパクトの瞬間、オレはヤツのDISKで目隠しされたんだ。
だとしたら、そのときに・・・まさか・・・・・・。

「『体内気圧を限りなくゼロに近いレベルまで、一気に低下させろ』・・・ダ。
 ソレデ何ガ起コルカ・・・・・・貴様ニハ・・・スグ分カル」

暗闇の中で、ホワイトスネイクがこちらの意思とは関係ナシに喋り続ける。
『体内気圧を限りなくゼロに近いレベルまで、一気に低下させろ』・・・だと?
・・・何だとッ!?
じゃあまさか、これからオレはッ!?

「感ヅイタヨウダナ・・・。貴様ノ体ハコレカラ・・・外気圧ニ潰サレテ、ペシャンコニナル。
 セイゼイソレマデノ間、残サレタ命ヲ楽シメ・・・・・・」

77 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 22:30:54 ID:3GPz6C5U
支援

78 :ゼロのスネイク29/31代理:2007/10/10(水) 22:31:22 ID:06O9Xc8k
その言葉の直後、ラングラーの体に異変が起こる。
まず、息が出来なくなった。
正確には、肺から空気が一気に押し出されたッ!
そして破壊はさらに進行するッ!
ラングラーの体はあっという間に圧縮されていき、ラングラーの全身の穴という穴から血が噴出すッ!

「ガッ・・・ゴボ・・・・・・ガボ、ゴッ・・・・・・」

声にならない声を上げ、ラングラーが呻く。
呻きながらも、JJFに指示を出す。
自分をこんな目に合わせた奴らを、せめて一人でも道連れにするために・・・。

だが、それもすぐに止められた。
JJFの腕が、動かない。
ホワイトスネイクがJJFの両腕をガッチリと捕まえ、その腕輪の照準が三人の少女にそして自分へと向かぬよう、
そして照準が誰もいない上空へ向くように押さえ込むッ!

「ア・・・アガ・・・ゴバ、ガ・・・ガボバ・・・・・・」

しかしラングラーは止まらない。
JJFへの指示を止めはしない。
そして主人のダメージに従い、ボロボロとその身を崩壊させていくJJFは、主人の命令に忠実に、最後の足掻きを見せたッ!

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!

それは戦いの序盤でホワイトスネイクに対して行った、マシンガンのような集中射撃。
JJFはそれが自分の最後の輝きであるかのように、ホワイトスネイクに押さえつけられたまま、上空に向かって撃ち続けた。
今までで最大の威力を持った、鉄クズの射撃だった。
撃ち放たれた無数の鉄クズはその大半が校舎に辺り、そしてそれらを抉り、無数のひびを入れた。
ゴーレムの一撃ですら破壊できなかった壁にさえ、目に見える形で損傷を与えた。

そして残弾が完全に尽きたのと同時に、ラング・ラングラーは全身の血を外気圧に絞り取られて絶命した。
ジャンピン・ジャック・フラッシュの姿は、もうその傍らには無かった。


79 :ゼロのスネイク30/31代理:2007/10/10(水) 22:32:36 ID:06O9Xc8k
「終ワッタ・・・・・・カ・・・・・・」

ラングラーが死んだのを確認し、ホワイトスネイクはそう呟いた。
そして周りを見回す。
見回して、ひどい有様だと思った。

周囲一体がラングラーの血で染まって真っ赤になっている。
ルイズ、キュルケ、タバサの三人も例外ではない。
全員の衣服が、血で真っ赤になっていた。
もっともキュルケとタバサの衣服は彼女達自身の血でスデに赤く染まっていたが。

(シカシ・・・マズイナ。今ノ私ハ、ホトンド行動不能。
 ソレニ助ケヲ呼ブコトモママナラナイ。
 マスターハマダ大丈夫ダガ・・・コノ二人ハ応急処置ガ必要ダ。
 クソッ・・・・・・ドウスル・・・・・・?)

自身も再起不能寸前でありながらも、冷静に状況を判断するホワイトスネイク。
その時――

「ルイズの使い魔君ッ! 君の命がけの行動、僕は敬意を表するッ!!」

バカみたいにでかくて、それでいて妙に気取った声が聞こえてきた。
どこか聞き覚えがあった声だ、と思いながらホワイトスネイクがそちらを見る。

「ちょっとギーシュ! あんた分かってるの? あいつはあなたを殺しかけたようなやつなのよ?」
「黙っていてくれモンモランシー。僕は今猛烈に感動しているんだ!」

声の主はやっぱりギーシュだった。
そしてその後ろから、モンモランシーがギーシュを引きとめようとしている。
しかしギーシュはそれを引きずるようにしてこっちにやってきた。

「・・・・・・何シニ来タ」

ジト目でギーシュを見ながら言うホワイトスネイク。

「そんなことを連れないことを言わないでくれ、使い魔君。
 僕は君の命がけの戦いの一部始終を見ていた。
 それで・・・感動したんだ!
 不届き者から三人のレディーを守り、満身創痍になりながらも勝利した君の姿に!
 そして実感したよ! 君と僕は似たもの同士だったんだ!
 君は一週間前のあの日、僕と決闘したろう?
 それが何故なのか、ずっと気になっていたんだ。
 でもそれが分かったよ! 君は君の主人であるルイズのために、レディーのために戦ったんだね!
 はっはっは! そんな神妙な顔をしないでくれ!
 何も言わずとも分かる! 君のその行動こそが君の精神のあkガボゴババゴボ・・・・・・」

延々と喋り捲っていたギーシュが、突然彼を包み込んだ水によって黙らされた。
やったのはモンモランシーである。
しかしギーシュもなんと言うか、相当にアレだ。
一週間前に自分を危うく殺すところだった相手にここまでフレンドリーになれてしまうとは。
お調子者というべきか、能天気というべきか、とにかく見ているこっちが心配になってくる感じだ。

そしてギーシュを黙らせたモンモランシーがその前に出て、じろりとホワイトスネイクをにらむ。
ホワイトスネイクも、それを正面から見返す。

80 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 22:33:30 ID:2uy2EtmL
支援っ!

81 :ゼロのスネイク31/31代理:2007/10/10(水) 22:34:09 ID:06O9Xc8k
「・・・あんたがギーシュに決闘でしたこと。私は忘れて無いわ。
 でも・・・・・・」

そういって、地面に横たわる三人に目を向けると、短くルーンを唱える。
すると、キュルケとタバサの傷が、溶けるようにして浅くなっていく。
水のメイジにしか使えない、「治癒」の魔法だ。
ホワイトスネイクは驚いてモンモランシーを見る。

「この三人がケガをしてるのは別の話よ。
 応急処置をしてくれる人を探してたんでしょ?
 ・・・だったら私がしてあげるわよ。
 この三人のケガはどれも致命傷じゃないし、水のラインメイジの私なら応急処置が出来る。
 ただ、キュルケとこの青髪の女の子は相当に弱ってるから、魔法厄での治療が必要になるけど。
 ・・・別に、あんたがしたことを許したわけじゃないんだからね。勘違いしないでよ」
「・・・覚エテオク」

ホワイトスネイクがそれだけ言うと、モンモランシーはぷい、とそっぽを向いてギーシュのほうへ戻っていった。
そのギーシュが、何やらゴボゴボ言っている。

「どうしたのよ、ギーシュ?」
「ばべ! ばべぼびべぐべぼ!」
「・・・何言ってるかわかんないわよ、ギーシュ」
「ばばらばればぼ! ぼぼばび! びびぼぶびぼごべば!」

モンモランシーの魔法で水攻めにされたまま、ギーシュが指を差しながら何か言っている。
だがモンモランシーには何が言いたいのかも何がしたいのかも全く理解できない。
かろうじて言いたいことが理解できたホワイトスネイクが、ギーシュが指差す先を見ると――

「・・・・・・何ダ、アレハ?」

そこには、全長30メイルは下らない、巨大なゴーレムがいた。


To Be Continued...

82 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 22:34:11 ID:3GPz6C5U
支援

83 :ゼロのスネイク32/31代理:2007/10/10(水) 22:35:35 ID:06O9Xc8k
なんということだ・・・・・・投下が出来ない世界・・・・・・
お前は・・・投下を邪魔する「バイバイさるさん」

これで今日は終わりです
伏線というかそのあたりのものも山ほど残してしまってすいません
あとラングラーがやたら強かったりしたのは失敗だったかも
ちなみにルイズとホワイトスネイクの関係はまだ改善されてないので、次あたりにその話が入るかも

以上。職人氏、投下乙でした。

84 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 22:36:39 ID:d2cGGmjd
DISCなんだ…。DISKじゃ…ないんだ…!

85 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 22:41:55 ID:1tGkdQrx
職人乙!代理投下乙!!
ルイズとホワイトスネイクのすれ違いが切ない
次回の関係修復も楽しみだ

86 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 22:42:37 ID:4HIXDtTT
GJ!
でもタバサが威力を例えるのにピストルと表現したのはおかしくないかな
拳銃とか多分無いはずだし弓矢かそれ以上とかそういう表現のほうがハルケギニア的には近いんじゃないか
そこだけ気になった。スマン。

87 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 22:45:38 ID:m1cva+aZ
職人氏&代理人氏乙!

スネイクのルイズはツン期が長いな。意識のないルイズはホワイトスネイクの切腹を止められるのか?

88 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 22:49:32 ID:FeXJsfUc
いや、銃はある。かなり古いタイプの奴だから、ピストルという表現でもいいのかは分からんが。
いずれにせよ、GJスネイク!

89 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 22:51:49 ID:2uy2EtmL
投下&代理投下乙です
ボリュームのある辛く、実りのある戦いでしたねー
そして、ギーシュの空気の読まなさぷりに癒されたw

>>86
マスケット銃や火縄銃は有るんだし、裏家業にも精通してるタバサならうっかり知ってるかも?
まあ、長銃でさえ20mの位置から当てられない精度なので、普及はしてないでしょうけど。

90 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 22:53:54 ID:zLUPGy9z
乙!

>>89
一応、銃士隊もいるしな。
しかし、20m離れてたらあたらない銃なんて意味があるのか?
連射もできないだろうし……。

91 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 22:56:30 ID:d2cGGmjd
>>90
だからこそ普及しないんだろうな。

92 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 23:29:43 ID:jDEY/Yo1
それじゃあ35分から投下します。
次回はアルビオン編と言ったけど、間に挟まなきゃいけない話を忘れてました。


93 :ゼロいぬっ!:2007/10/10(水) 23:36:49 ID:jDEY/Yo1

「結論を出すのは早急過ぎるのでは?」
「いや、しかし『アンドバリの指輪』が盗み出されたとなれば…」
「そもそもクロムウェルという名だけでアルビオンの司教と断定するのは短絡的かと。
それに偽名を用いた可能性も否定できまい」
「アルビオンが我が国に侵攻してくると? バカらしい!
あの国とは長きに渡って友好関係を保ち続けている。
下らぬ疑惑は関係を悪化させるだけと心得よ!」

モット伯からもたらされた情報によって開かれた臨時会議は沸くに沸いた。
しかし、そのほとんどは否定的な意見が多く具体的な案を出す者はいない。
特に高等法院長のリッシュモンが中心に疑問の声は強まっていく。
一向に会議は進まず“今後の動向を窺ってからでも遅くないだろう”という結論で締め括られた。
次々と退室していく重臣の数々を見送りながらモットは席に着いたまま動かない。
「しかしモット伯がああも働き者だったとは」
「はは。明日は雨が降りますかな」
(…雨で済めばいいがな、事によっては砲弾が降り注ぐ結果になるぞ)
自分を揶揄する声を聞き流しながらモットは一人毒づく。
よくよく考えてみれば人望の無い自分の一言で腰の重い連中が動く筈がない。
せめて、もう少し発言力のある地位に就いておくべきだったか。
だが、今更言った所で何も変わりはしない。
打てるべき手は残さず打っておこうと秘書を呼ぶ。
「お呼びでしょうか?」
「アルビオンの動向を探る。
貴族派でも王党派でも構わん、内部に密偵を送り込め。
腕が立ち、かつ信用できる者から何名か選抜させよ」

秘書を差したつもりが、あさっての方向に向けられる指。
そういえば最後に睡眠をとったのは何時以来だったか。
ミス・ヴァリエールがやって来て即座に城下町へ。
その後、屋敷にとんぼ返りして休む間もなく薬の確認。
さらに材料を求めに国境を越えてラグドリアン湖に。
そして屋敷に舞い戻り、そのまま薬の調合。
それから王宮に赴き報を伝え、そのまま会議に参加。
…凄いぞ私。どう考えても丸一日近くフル稼働してるぞ。
これだけの激務で死なないのが不思議なぐらいだ。

94 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 23:39:23 ID:2uy2EtmL
犬支援
うん、このモット伯は絶対キロ単位でやせてるヨ

95 :ゼロいぬっ!:2007/10/10(水) 23:39:26 ID:jDEY/Yo1

「ワルド子爵などはどうでしょうか?
トリステインでも数少ないスクエアメイジにして枢機卿の信頼も厚い人物です。
多数の『偏在』を使いこなせる彼ならば危険を冒す事なく情報を収集できるかと」
「よし、彼でいこう。いや、もう彼しかない、そうとしか考えられない」
「しかし直属の衛士隊を動かすとなると姫殿下の許可が…」
「そうだったな。ではマザリーニ枢機卿との会談の席を設けてくれ」
「枢機卿はただ今、アンリエッタ姫殿下の婚礼の準備に追われていまして…とても時間を作れる状況では」
「じゃあ、この際だ。姫殿下でも構わんので会談の席を…」
「……………」

秘書が眉を顰める。
既にモット伯の眼は虚ろ、言動は支離滅裂。
姫殿下に拝謁出来ないからこそ枢機卿を橋渡しにという意味ではなかったのか。
もはやモット伯に判断能力は欠片も残っていない。
このまま放置してはただでさえ低い人望は底値にまで落ち、
最悪、変な事を口走って不敬罪で斬首刑になりかねない。
秘書は手を組み、心の中で偉大なる始祖に不忠を懺悔する。
「腕が立つなら平民でも構わん…そうだ、誰だったかな…けしからん乳の…」
「ていっ!」
びしっと首筋に鋭い音が響いたかと思った瞬間、モット伯は机に倒れこんだ。
背後に立つ秘書の手は手刀を形作っていた。
当身を試したのは初めてだが上手くいった物だと感心する。
主が少しぐらい休息を取った所で罰は当たらない。
それにしても実に楽しそうな寝顔だ。
あの少女との時間は余程充実していたのだろう。
彼女に感謝しつつ、よいしょと主人の体を抱えようとした瞬間だった。
ぐぎり!
横を向いたモット伯の首が捻じ曲がり破滅の音を立てる。
それを耳にした秘書の顔が見る間に青ざめていく。
視線の先にはプラプラと揺れる伯爵の頭。
大慌てで医者の所に運ばれたのが幸いしたのか、
モット伯は療養を余儀なくされたものの一命に関わる事はなかった。
『軽いムチウチですね』
医者の言葉に安堵しつつ、あんな音するムチウチがあるのか疑問に思う。
まあ、当分はこれでゆっくり休めるだろう。
白目を剥きながら安らかに眠る主を秘書は温かな視線で見守った。


彼はルイズの部屋の前でウロウロしていた。
ここ最近、彼女は忙しいのか構って貰えず、
周囲に当り散らすような仕草も取ったりしている。
力になりたくても「邪魔!」の一言で追い返されるだけ。
そのような状態のルイズにこんな事を頼むと叱られるのでは?
そう思って行動に移せないのだ。
「いつまでも迷ってんだよ相棒? さっさと言っちまえばいいじゃねえか」
ソリに戻ってきたデルフが無責任に背を押す。
ええいと意を決して専用の入り口からルイズの部屋へと入り込んだ。


96 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 23:41:20 ID:xnZVxcc2
ひ、秘書さんカッコいい……!支援

97 :ゼロいぬっ!:2007/10/10(水) 23:41:57 ID:jDEY/Yo1

事は少し前に遡る。
学院恒例の夏季休校。
その間は学生だけではなく下働きの平民も帰省する。
しかしオスマンやコルベールに料理をさせる訳にもいかず、
帰省の間も一部の平民は残って仕事をしていたらしい。
それで今度は戻ってきた人達と交代で帰省するというのだ。
その中にはシエスタも含まれていた。
「是非、使い魔さんにも来て貰いたいんです」
以前、助けたお礼なのか彼女は帰郷に彼を誘った。
断れば恩を返そうとしているシエスタも困るだろうし、元より好奇心旺盛な彼である。
学院の周辺を探検しつくした今、他の場所にも興味が沸く。
あまり良い思い出はないがラグドリアン湖も綺麗な景色だった。
加えて彼女の語る故郷の味『ヨシェナヴェ』は聞いてるだけで涎が出てくる。
しかし既に休みも終わり、授業が始まる時期である。
そんな中で勝手に休みが取れるものなのか悩んだ結果、ルイズに相談する事にしたのだ。

「…別にいいわよ」
実に簡潔な返答である。
いや、まさかこんな簡単に了承が得られるとは思わなかった。
しかし彼女は付いて行く気はないようで軽くあしらわれた。
というか彼女はそれどころではなかった。
会話の最中もルイズの視線は彼に向いていなかった。
彼女が目を通しているのは一冊の古ぼけた本。
それを前に必死に頭を悩ませる。
(…白紙の祈祷書が何の参考になるのよ)

彼女がこの状況に陥ったのは少し前、学院長に呼び出された日の事だった。
ゲルマニアとトリステインの間で同盟が締結される事となり、
それに伴いアンリエッタ姫とゲルマニア皇帝の結婚が決まったという。
今はまだ婚約という形だが近い内に婚姻が執り行われる。
オールド・オスマンは何の感傷も感じさせずにそう語った。
事実上の政略結婚である。
それが王室に生まれた者の定めであろうと望まぬ契りの辛さに変わりはない。
彼女の心中を察するとルイズも胸が苦しくなる。
しかし何故自分にそんな事を明かすのか、それが分からない。
それを察したのか、ここから本題と言わんばかりにオスマンは一つ咳払いをして区切る。
「王家には古くからの伝統で、王族の結婚式の際には巫女が詔を詠む事になっておる」
「はあ…」
「その巫女は貴族の中から選ばれる事になっておるんじゃが、
姫殿下はミス・ヴァリエール…君を巫女に指名したという訳じゃ」
「はぁ……はああああ!!?」
気のない適当な返事を相槌を打っていた私の口から驚愕の声が上がる。
学院長はさもありなん、さもありなんと髭を弄っている。
いや、ちょっと待って。
確かに小さな頃は一緒に遊んだりした仲だけど。
片や絶大な人気を誇る姫様、片や魔法を使えぬ『ゼロ』のルイズ。
その差は月とスッポンどころじゃない。
何故、姫様はそのような大任を私に与えるのか。
「ちなみに辞退は出来んぞ、そんな前例は一度もないからのう」
辞退しようとした瞬間、学院長は分かっていたようにそれを制す。

98 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 23:43:52 ID:LnLgSJ9y
しえん

99 :ゼロいぬっ!:2007/10/10(水) 23:44:19 ID:jDEY/Yo1
「で、でも私には荷が重過ぎます!」
「自分には務まらんとそう申すのか?」
「は、はい。とても私のような未熟者には…」
「しかし姫殿下の事を考えるなら引き受けるべきじゃと儂は思う」
「え…?」
叱るのでもなく諭すのでもなくただ静かにオスマンは語る。
その顔は穏やかで自分が慌てふためいているのが不思議に思えるくらいだ。
そして彼は言葉を続けた。
「望まぬ相手との結婚、ならばこそせめて自分の心からの友に送られたい。
それが姫様の切なる願いではないじゃろうか?」
「………!!」
返す言葉が無かった。
誰よりも姫様の事を理解しているつもりでいた。
それを大任の重圧で見失っていた。
そんな心を見透かすように学院長は私に姫様の真意を説いたのだ。
「分かりました。その命、謹んでお受けしたします」
「うむ。君ならばそう言うと思っていた。
ではこれを受け取りたまえ。それは『始祖の祈祷書』という。
巫女に選ばれた者はそれを肌身離さず持ち歩いて詔を考えるのじゃ」
にこりと人の良さそうな笑顔を浮かべ、オスマンは一冊の本を手渡す。
なんだ、やっぱり参考資料があるじゃない。
この中からそれっぽい小節を引用して詔にすればいいんでしょ? 簡単、簡単。
受け取って適当にどんな事が書いてあるのか目を通す。
「………………」
パラパラとページを捲る度に蒼白になっていく私の顔色。
いや、引用するも何もこの本、何も書かれてないんですけど。
ちらりと見やるとそこには視線を背ける学院長の姿。
「学院長。この本、白紙なんですけど何かの間違いですよね…?」
「……あー、その、なんだ。ミス・ヴァリエール。式の成否は君の双肩にかかっておる。
儂は信じておるぞ、君なら必ずこの大任をやり遂げると!」
「学院長ォォォォーーーー!!」
ミス・ヴァリエールの叫びが木霊する、平日の昼下がりの事。
この日から自室以外で彼女の姿は見た生徒はほとんどいなかったと言う。


100 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 23:46:21 ID:xnZVxcc2
指輪前に祈祷書が来るのは珍しい 支援

101 :ゼロいぬっ!:2007/10/10(水) 23:48:04 ID:jDEY/Yo1
以上、投下したッ!
次回は『猫に小判、犬に戦闘機、ゼロに祈祷書』って感じでほのぼのと。
しかし改めて見るとモット伯の働きぶりは某ジャックさんに匹敵する…。

102 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 23:55:37 ID:yI2VBzNY
GJ!!
モット伯が今までに無いほど活躍している!ヤバイけど
そしてルイズはどうなるんだ

103 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/10(水) 23:56:29 ID:df9SkoXy
乙。モット伯がんばれ、超がんばれ。でもとりあえず首治せ。

>>86
ピストルあるよ。アニエスが5巻で装備している。
普及しているかどうかはわからないけど、我々の世界でもマスケット銃が存在した時代には拳銃は結構普及していたから、普及しててもおかしくはない。

>>90
>20m離れると当たらない銃
三銃士やナポレオンの時代、あるいは日本の戦国時代の長銃も必中距離はそんなもんだよ。
ただ、必中距離はイコール射程距離でもなければイコール有効距離でもないわけで、一対一とかじゃなくて、敵集団に複数まとめてぶち込めば命中率は十分補える。
水のメイジがさっと治療してくれるんでもない限り、胴体に当たればほぼ無力化(胸に当たればほぼ死ぬ、腹に当たったら殆ど動けなくなった上苦しみまくって死ぬ)できるから、多少の命中率の悪さは十分補って余りある。
信長や秀吉がこう言う銃を使って戦国時代を制したんだと思えば少しは威力がわかってもらえるか。
ただ、それは魔法のない我々の世界だったからであって、やっぱり現状ではメイジ戦力に取って代わるもんじゃあなさげ。
しかし平民同志なら充分有効な武器な訳だし、ラ・ロシェールの夜襲の時のことを考えると多分射程も魔法より長い(無論狙っても当たらん距離だが当たれば死ぬ)。
多分メイジ戦力に乏しく技術の進んだゲルマニアとかで火力を補うべく開発が進められていて、後100年くらいしたら戦場の主役の地位も入れ替わったりするのではないか・・・と妄想してみる。

104 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 00:01:42 ID:r4nLs1p3
今スネイクのまとめ見てきた
・・・すげえな、スネイク
50以上のレス数だったサブ・ゼロさんよりも容量多いぞ

105 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 02:00:21 ID:Mbv8HFHv
昔の銃はあたれば死ぬってこととなによりでかい音で恐怖を煽り立てる効果が大きい
銃で斉射かまされるとよほど訓練された兵でもないとあっという間に士気壊滅して本能のままに壊走する
少なくとも馬や動物の類は暴走する

106 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 02:06:36 ID:bNWttL2R
スネイクGJ!こりゃすげえ格好いいと思ってたらギーシュで笑ってしまった。
真面目にもギャグにもなる温度差がいいな!

ゼロ犬GJ!
モット伯の奇妙な冒険から一転して今度は祈祷書編かあ、どうなるんだいったい。

107 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 02:22:47 ID:Rtz06/T4
最も初期の銃は射程、威力、連射性、コスト、どの点からでも
弓や石弓を下回っていたが、なぜこうまで発展したかといえば
それまで特殊な職業であった弓兵、石弓兵に比べ習熟が早く、簡単だったから。
銃兵への訓練でもっとも重要なのは機械的な動作(筒内の掃除、装填、発射)で
人間性を徹底的に排除し(個人差をなくし)上官に服従させることが容易になった。

108 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 02:24:30 ID:Rtz06/T4
で、何がいいたいかというと

雑談やめてGJしちゃえばイインダヨー!!

109 :仮面のルイズ:2007/10/11(木) 04:26:50 ID:bNWttL2R
サー・ヘンリー・ボーウッドは、自らが艦長を務めるアルビオンの旗艦「レキシントン」の弱点を知っていた。

ついこの間の艤装作業で、この戦艦の内部構造は数カ所の弱点を生み出してしまった。
『ロイヤル・ソヴリン』と呼ばれていた頃、この戦艦まさに無敵だと言えたのだが、新式の大砲を積み込み、砲弾、炸薬の収納庫を拡張したせいで、この戦艦は内部破壊に弱くなってしまった。
強くなったのは外に向けられた武装だけなのだ。

ニューカッスル城から脱出したという噂の『騎士』『鉄仮面』。
レキシントンに侵入したのがその『騎士』だとしたら、もしそれが噂通りの力を持っているとしたら、この戦艦はあと何分持つだろうか。
アルビオンの誇る竜騎兵を失った今、レキシントンの内部を守るメイジの数は限られていた。

そこに伝令の一人が飛び込んできた、伝令は息を切らせながら、悲鳴のような声で報告をした。
「『騎士』は、風石を狙っております!」



「KUAAAAAAAA!!」
ドカン!と、爆発音のような音を立て、火薬庫の扉が吹き飛ばされる。
ルイズが体当たりで扉ををぶち破ったのだ。
手当たり次第に壁をぶち壊し、扉を破壊しつつ、ルイズはウェールズから教わった風石庫の場所へと突き進んでいた。

風石の納められている部屋は火薬庫と同じぐらい丈夫な隔壁に包まれていた。
だが、吸血鬼の腕力で振るわれたデルフリンガーの前ではほぼ無意味、鉄の扉や壁がバターのように切り裂かれる姿を見て、レキシントンの乗組員達は戦慄した。

駆けつけてきたメイジ達が、背後からルイズに魔法を繰り出す。
だが、ルイズは自身に飛来する水、風、炎の固まりをデルフリンガーで打ち払った。
熱で溶けかけた鉄の仮面越しに、声を野太く変声させて、ルイズが叫ぶ。
「死にたくなければ失せろおッ!」
殺意と視線と怒声に射竦められ、メイジ達は、デルフリンガーの峰で小石を蹴飛ばすようになぎ払われていった。
「うおあああああああああああああッ!!!!!」
叫ぶ。
ルイズは一心不乱に叫び、火薬庫の扉を破壊し、壁を破壊し、大砲の発射台を破壊する。

アルビオンは木材資源が豊富であった。
戦艦にも木材が使われるが、固定化などの魔法で保護されており、魔法や火竜のブレスによって燃やされるということはほとんどあり得ない。
こと戦艦の事情はトリステインもガリアも同じであり、それを知っているからこそ、固定化のかけられた船体を打ち砕けるほどのカノン砲を使った戦闘に頼ることになるのだ。

今、レキシントンは、石仮面という名の大砲を船内に持ち込まれているのと同じ状態であった。

一心不乱にデルフリンガーを振るう、レキシントンの内部を破壊するためだけに振るう。
人間のことは考えない、人間はなるべく殺したくない。
吸血鬼の腕力でデルフリンガーを操るルイズ、その姿はまさに化け物だった。
それなのに内心では、人間を狙って殺さぬよう、船内の破壊に意識を集中させている。
飛び散った破片で人間がちぎれ飛ぶのは、仕方のない巻き添えなのだと自分に言い訳するために、「死にたくなければ去れ」と叫び続けていた。

「っぶ ぐ」
不意に何かが躰を貫いた、一瞬、ルイズの動きが止まる。
床から生えた何十本もの槍が、ルイズの躰を貫いていた、土系統のメイジが練金したものだと容易に想像できる。
動きの止まったルイズを焼き付くさんと、火球が襲いかかる。
だがルイズは躰に突き刺さった槍をものともせず、そのまま歩き出し、デルフリンガーを振るった。

110 :仮面のルイズ:2007/10/11(木) 04:28:39 ID:bNWttL2R
アンリエッタとウェールズが空を見上げる。
ラ・ロシェール上空で停泊していたレキシントンの艦砲射撃が止み、高度が落ちてきたのだ。
周囲に停泊する戦艦も艦砲射撃が止めている、おそらくレキシントンを巻き添えにするのを恐れているのだろう。

「お二人をお守りしろ!」「右翼は突撃体制に入れ!」「タルブ方……」

檄を飛ばす将軍達の声が聞こえなくなる、魔法衛士隊がアンリエッタとウェールズを囲み、筒状の風の障壁を繰り上げているせいだ。
その中央にはグリフォンにのったアンリエッタとウェールズがいる、二人は杖を掲げ、呪文を詠唱し、周囲に竜巻を巻き起こした。

この竜巻はただの風ではない、むしろ台風とも呼べるものであった。
アンリエッタが呪文を唱え、周囲の空気中から集められる限りの水分を集めていく。
ウェールズがそれに重ねて詠唱し、アンリエッタが集めた水分混じりの空気に竜巻状の動きを与えていった。

竜ではない、東方の『龍』を思わせる水の竜巻が、二人の周りをうねり始めた。
アンリエッタの『水』『水』『水』。
ウェールズの『風』『風』『風』。

トライアングル同士といえど、魔法を重ね合わせるほど息が合うことはほとんど無い。
しかし、選ばれし王家の血と、二人の思いがそれを可能にさせている。
王家のみ許された技術である『ヘクサゴン・スペル』が、今ここに発動していた。

二人の魔法が互いに干渉しあい、巨大に膨れ上がる、まるで大津波のようなエネルギーを持った竜巻が向きを変えて、居並ぶアルビオンの船を飲み込んでいった。

荒れ狂う。
風の力を借りた水滴が、戦艦の窓や隙間へぶつかり、船体をきしませていく。
何人もの人間が宙を舞って吹き飛ばされていくのが見える。
時には弾丸のように、時には巨人の腕のように、竜巻が船を破壊していった。

「これが王家の技か!」
地上で、誰かが叫ぶのをマザリーニが聞いていた。
マザリーニの心にも、希望という名の光明が感じられたが、すぐにそれを意識の外へと排除した。
全軍の指揮を任せられた以上、今やるべき事は決まっている。
浮かれている将軍達が油断と慢心を抱かぬよう、注意しなければならない。
もう一つは、『ヘクサゴン・スペル』を使い、魔力を使い尽くした二人をどうやって守るか。

先王亡き後、一手に政治を引き受けてきたマザリーニ枢機卿。
そんな彼だからこそ、冷静にこの戦況を見ていられたのかもしれない。

111 :仮面のルイズ:2007/10/11(木) 04:33:48 ID:bNWttL2R
ヘクサゴン・スペルが艦隊を飲み込む直前、レキシントンから飛び出した影があった。
レキシントンの砲座を、デルフリンガーで無理矢理広げたルイズが、トリステイン軍の方角とは逆方向に飛び出していたのだ。
「WWRYYYYYYYY!」
叫び声をあげつつ、きりもみ状態になって地上へと落下するルイズを、吸血竜が空中でキャッチした。
ドスン!と音を立てて、吸血竜の背中でキャッチされたが、人間なら五体がバラバラになっていてもおかしくない衝撃だった。
「グルルル……ゴアッ」
「く…あんたも酷くやられたわね」
よろよろと立ち上がりつつ、吸血竜の背中を見たルイズが呟く。
翼は3枚しか残されておらず、残った翼も穴だらけでボロボロになっている。
胴体にも穴を穿たれた跡や、切り裂かれた跡が残っている、吸血鬼化した生物でなければ既に死んでいただろう。

「ワルドはどうしたの?」
「グルルルル…」
『遊ばれた、って言ってるぜ』
デルフリンガーが吸血竜のうめき声を翻訳する。
「遊ばれた?」
ワルドの実力は、やはり並大抵ではないと気づき、ルイズは背筋に冷たいものを感じた。

ヘクサゴン・スペルで、戦艦の錨と、それを繋げていた鎖が吹き飛ばされていく。
吸血竜はそれを器用にかわしながら、ヘクサゴン・スペルの届かない距離にまで飛んでいった。
ルイズが後ろを振り向くと、戦艦がいくつも落ちていくのが見えた。
コントロールを失い斜めになって落ちていくものもあるが、落下速度が遅い。
風石にまで影響を受けていなかったのか、それともメイジの乗組員が『レビテーション』や『フライ』を用いているのか……。

(……馬鹿馬鹿しい、戦場で、敵の命を心配してどうするのよ……)

ルイズは、考えを振り払うように顔を上げた。すると上空に漂う雲の切れ目から、黒い影がこちらへ一直線に向かってくるのが見えた。

「デルフ!」
『あいよ!』
ルイズは慌てながら、その影にデルフリンガーを向けた。
次の瞬間、デルフリンガーに『エア・ハンマー』がぶち当たった。
「ワルドッ!」

上空から飛来した影は、風竜と、それに跨ったワルドだった。
羽を奪われ、体力を消耗し、飛行能力の衰えた吸血竜では風竜の機動力に敵わない。
ルイズはデルフリンガーを身構えつつ、腕の中にしまいこんだ杖に意識を向けた。

「石仮面! 貴様は、貴様はわたしの足かせだッ! 今、ここでッ、それを断ち切ってやる!」
ワルドが叫びつつ杖を振りかざす、ルイズは自身に降りかかる魔法の刃を警戒し、体勢を低くした。
『下だ!』
デルフリンガーが叫ぶと同時に、ルイズの足に吸血竜のたてがみが絡みつき、ルイズの体を固定した。
「!」
次の瞬間、翼を畳んだ吸血竜が、長い尾を鞭のように動かして大きく体をうねらせた。
突然のことに驚きながらも、デルフリンガーを離すまいと必死に耐えるルイズの眼前に、もう一人のワルドが姿を現した。
「やばっ」
遍在のワルドが放つエア・スピアーをデルフリンガーで逸らしつつ、自身の体勢を立て直す。
すかさずルイズはワルドの偏在に、デルフリンガーで斬りかかろうとした。
「ワルド!」
ガキン!と音が響く。
もう一人の遍在が『エア・ニードル』でデルフリンガーを受け止めたのだ。

「名乗っていなかったかな!私は『閃光』のワルド!貴様の再生能力と腕力は驚嘆に値するが、スピードでは私が上だ!」

ワルドの言ったことは事実だった、吸血竜が体の内に仕込んだ骨を飛ばしても、長い尾を鞭のように振り回しても、ワルドは風の障壁で防御しつつ風竜を操り回避していく。
そもそも、ニューカッスルの城で見たワルドの能力が全てだとは限らないのだ。
軍人として訓練されたスクエアを相手にするのが、どれほど困難なのか、ルイズは身をもって感じていた。

112 :仮面のルイズ:2007/10/11(木) 04:38:06 ID:bNWttL2R
空中で戦いを繰り広げながら、ちらりとラ・ロシェールの方向を見る。
既にアンリエッタとウェールズが繰り出したヘクサゴン・スペルは消滅しているが、レキシントンは船体にダメージを受けて高度を著しく下げていた。
マンティコア隊、グリフォン隊、ドラゴン隊がレキシントンに取り付いているのが見える。

だが油断はできない、いくつかの戦艦はまだ戦闘を続行しようとして方向を転換している。
アルビオン軍の地上部隊もある程度は混乱していたが、本陣はまだラ・ロシェールへと攻め込むべく突撃体勢をとっているようだ。

アンリエッタは無事だろうか?
ウェールズは無事だろうか?
アニエスは無事だろうか?

エア・カッターで脇腹を貫かれ、その傷口にウインド・ブレイクを放たれ、体が上下にちぎれそうになりながらも、考えは止まらない。
『気を散らしすぎだ!』
デルフリンガーがルイズを叱責する。
「…っ ……!!」
ルイズは返事もせず、ただひたすらワルドとその遍在の猛攻を防いでいた。
返事をしないわけではない、返事ができないほどに、ワルドが強いのだ。

「おおあああああッ!」
ワルドの遍在が雄叫びを上げながら飛来する、慌ててデルフリンガーでなぎ払おうとしたが、それをエア・ニードルで受け止められてしまった。
そして遍有は、ずぶり、と自身の体にデルフリンガーを突き刺しつつ、エア・ニードルを振りかざしてルイズに迫った。

エア・ニードルがルイズの左腕を払うと、螺旋状になった魔力の渦が、ルイズの左腕と仮面を巻き込んで破壊する。
遍在は次の瞬間にかき消えたが…ルイズの体には大きなダメージが残されていた。


腹部は大きく抉られ、内蔵はいくつか吹き飛ばされ、左腕はほとんど切断され垂れ下がっている。
血が足りない。
吸血鬼のボディが限界に近づいていた。

エア・ニードルで抉られた仮面がゆがみ、視界が塞がれる。
焼け付いて皮膚に癒着したを仮面を、ベリベリと音を立てて引きはがすと、かろうじて繋がった左腕でそれを投げた。

「フン!」
ワルドは軽く杖を振り、風を巻き起こして仮面をはねのけた。


ケロイド状になった顔が再生されていく、血を失い頬がこけてはいるが、その顔はワルドの記憶にある『ルイズ』の姿に酷似していた。
仮面の中に封じられていた髪の毛は、戦いの中で染料が落ち、元の桃色がかかったブロンドへと戻っていた。

「やはりか、石仮面よ! その顔だ、その顔が俺の決意を鈍らせる…!」
「………」

ワルドが、風竜の上でルイズを睨み付ける。
その視線を受けて、ルイズはある策を思いついた。
「私を見て、裏切りの決意が鈍るとでも言うの!」
「裏切りの決意か! 何とでも言うがいいさ!」

「私が婚約者に似ていると言ったわ!裏切るような人が、なぜあの時そんな話をしたのよ!」
「そうだ!貴様は似すぎている!」

風竜の上から、ワルドが絞るように叫んだ。

「私が母の教えに背いたとき母は死んだ!
 レコン・キスタの誘いを受けたときもルイズが死んだ!
 もはやトリステインに執着はないと思った時に貴様が現れたのだ!
 これが始祖ブリミルの導きならば、私が裏切ることを見越して残酷な運命を課したのか!?」

「ルイズの顔をして俺の前に立ちはだかる貴様こそが、立ち向かうべき運命の象徴だ!跡形もなく消し飛ばしてやるッ!」

113 :仮面のルイズ:2007/10/11(木) 04:41:08 ID:bNWttL2R
杖の先端がルイズに向けられる。
ルイズはすかさず鉄製の肩当てを外して、ワルドに投げつけた。
風の障壁を作り、それを防ごうとしたワルドは、凄まじい勢いで投げられたはずの肩当てが、風の障壁に干渉せず通り抜けたのを見て驚いた。
「な!?」
その肩当ては、風竜の体を貫通して、ワルドの背後へと飛んでいく。
しかし不思議なことに、風竜の体には傷一つ付いていなかっった。
「幻か!?」

そして次の瞬間、ワルドの左胸に、どこからか投げられた金属片が衝突した。
「ぐぶっ」
ボキボキと嫌な音を立てて、ワルドの体がきしむ。
衝撃に耐えきれず、跨っていた風竜から体を滑らせて、ワルドの体は地面へと落下していった。

「GOAAAAAAAAAAA!!」
目の前に見えているはずの吸血竜とは、別の場所から聞こえてきた雄叫びに、風竜がたじろいだ。
次の瞬間、眼下に広がる森林と、空の景色が裂け、その隙間から現れた吸血竜が風竜の首に噛みつく。
ベキベキと不快な音を立てて風竜の首の骨が破壊され、突き立てられた牙から血が奪われる。

鳴き声一つあげることなく、からからに干からびた風竜が、ワルドの後を追うように地面へと落下していった。


「げ、ほっ」
『大丈夫かよ』
ルイズは吸血竜の上で膝をついた。
「あっ、足が…た、立てない。ず、頭痛が、する…吐き気も…」
悪寒に襲われて、ブルブルと体を振るわせるルイズに、吸血竜は風竜から吸い取った血を吹きかけた。
「あり、がと、う……うう、あ、オエエエエッ!」
喉の奥からこみ上げてる嘔吐感が、ルイズの全身を振るわせた。
胃の中に何か残っているわけでもない、それどころか、先ほど細切れに吹き飛ばされた内臓も再生しきってはいない。
全身を襲う不快感の理由は、先ほど使った『イリュージョン』と、肉体的な疲労の両方だろう。

さきほど肩当てと一緒に引きちぎったベルトが、胸の前でだらんと垂れる。
デルフリンガーは、胸当ての隙間からルイズの胸を見る、するとそこには、唇と同じような形の裂け目が作られていた。
『おでれーたよ、こんな詠唱見たことねえ。無理しすぎだ』
「あ、っ、あたしだって、できるとおもってなかったわよ」

ルイズは体組織の再生能力をコントロールして、胸に口をもう一つ作り出したのだ。
右腕に隠していた杖を、ワルドから見えないように掌に露出させて握りしめる。
そして相手にわざと顔を見せつつ、もう一つの口でイリュージョンを詠唱。
翼を何枚も取り込み、異形の竜となった吸血竜からヒントを得たのだが、ルイズにとっては一か八かの賭と同じだった。

魔法の使いすぎで気絶しそうになりながらも、ルイズはワルドを退けることに成功し、安堵のため息をもらした。



114 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 04:41:22 ID:dCsxgKf+
支援

115 :仮面のルイズ:2007/10/11(木) 04:43:40 ID:bNWttL2R
『おい、ありゃなんだ?』
どうやって戦線に戻ろうかと考えていると、デルフリンガーが何かに気が付き、声を上げた。
「…?」
ルイズが顔を上げると、輸送船と思わしき一隻の船が、ラ・ロシェールに向かっているのが見えた。
既にレキシントンをはじめとするアルビオンの戦列間は戦闘行動を止め、ラ・ロシェール付近の地面に落ちていたが、その船だけは何かが違った。

何かが引っかかる。何かが。何かが…



『上層部からの命令で腑に落ちないことはなかった?』
『あった』
『それを答えなさい』
『しょ、食料を積み込まなかったのが、2隻ある、食料の代わりに火薬と脱出廷を多く積んだ』




「まずい!」
デルフリンガーと、吸血竜の鬣を強く握りなおして、ルイズが叫んだ。
『どうしたよ!』
「食料を積み込まなかった船は二隻よ!そのうち一つは自作自演で使われた!」
『じゃあ残る一隻は』
「あの輸送船よ!」

吸血竜が必死に羽ばたくが、すでに輸送船は落下を開始していた。
仮に火の秘薬が積み込まれているとしたら、ラ・ロシェールに衝突した場合ただでは済まない。
トリステイン軍は、ラ・ロシェールを本陣として布陣しているはずだ、そこに火の秘薬を満載した船が落ちたら……

「間に合わない」
ワルドとの戦いで傷つい吸血竜は、思うように速度を出せず、苦しそうに飛んでいた。
このままでは間に合わない。
ここまで来たのに、こんな土壇場でアンリエッタとウェールズを失うわけにはいかない。
失うわけには、いかないのだ。


「エオルー・スーヌ・フィル・ヤルンサクサ」

杖を掲げ、ルイズが詠唱する。
何よりもルイズの体に合うリズム、懐かしさを感じるリズム。
ルイズの神経はとぎすまされ、風の音も、何の雑音も聞こえなくなっていった。

『おい!? おめえの体は……』

だから、デルフリンガーの声も聞こえない。

「オス・スーヌ・ウリュ・ル・ラド」

体の中に生まれてくる力の波は、イリュージョンや忘却の比ではなかった。

「ベオーズス・ユル・スヴュエル・カノ・オシェラ」

渦巻く、体の中で波が渦になり、凝縮され、今にも暴れそうになる。。
力が行き先を求め、今にも暴発しそうな勢いで体の中を荒れ狂う。

『ジェラ・イサ・ウンジュー・ハガル・ベオークン・イル……』


ラ・ロシェールへ落ちていく輸送船めがけ、ルイズは杖を振り下ろした。

116 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 04:47:46 ID:XK0y7nkh
こんな時間にw

117 :仮面のルイズ:2007/10/11(木) 04:48:19 ID:bNWttL2R
アンリエッタは、ウェールズは、マザリーニは、信じられない光景を目の当たりにしていた。
勝ち戦の雰囲気になり、トリステイン軍の将兵達はうかれていた。

だが、そこに輸送船が落ちようとしているのを見つけ、トリステイン軍は一時混乱状態に陥りそうになった。
遠距離ゆえに、またその重量ゆえに、そしてほとんどのメイジが精神力を消費し尽くしていたがために、船を弾くことができなかったのだ。

ウェールズはルイズからの報告を思い出し、戦慄した。
二隻の船に積み込まれた火の秘薬、つまりは、自爆を前提にしている船が二隻あったはずなのだ。
そのうち一隻はトリステイン侵攻の名目を作るために自沈、もう一隻がまさかこんな時に出てくるとは思っていなかった。
完全に、油断していた。

だが、絶望に包まれかけたトリステイン軍の上空に、津波のような光の奔流が現れ、すべてを包み込んでいった。
光が収まった頃、辺りは恐ろしいほどの静寂に包まれていた。
アンリエッタも、ウェールズも、将兵達もみな呆然と空を見上げていた。

ラ・ロシェールめがけて落ちようとしていた船が、跡形もなくどこかへと消え去っていたのだから。

そしてしばらくして、気を取り直した誰かが「トリステイン軍万歳」と叫びはじめた。
全軍から見れば一滴の水滴でしかなかったその声は、波紋となって広がり、敵味方を全て包み込む。

後にタルブ戦と呼ばれるこの戦闘は、トリステインの圧倒的な勝利で幕を閉じた。



一方、その頃…

「ゴボ グボオオオオオッ」
ジュウジュウと音がする。
硫酸でも浴びたかのように体が溶け、骨を露出させた馬が、よろよろと森の中を歩いていた。
「ブルル…ア………ァ」
声にならぬ声を上げ、どたん、と音を立てて地面へと横たわる。
不自然に膨らんだ腹が破け、中から一人の少女が姿を現した。
艶やかなピンク色の髪の毛が、濡れた肌に張り付き、妖しくも美しい姿だった。
「…………」
体の大半が溶けた馬は、残った片目で少女の姿を確認すると、そっと目を閉じた。
溶けた体がシュウシュウと音を立てて気化し、骨が風化していく。

それを見ている一人の男がいた。
グレーの髪の毛と髭をたくわえた精悍な男だが、両足は着地のショックで砕かれ、左腕に着けていた義手も砕けていた。
這い蹲って少女に近づき、近くに転がっている石を掴む。
少女の頭ほどもある石を振り上げて、今まさに振り降ろさんとしたとき、少女の目が開かれた。

少女は夢を見ていた。
子供の頃、屋敷の庭に作られた小さな池に船を浮かべて、一人でそこに隠れていた。
いつの間にか小舟には、憧れの子爵様がいて、少女の隣に座っていた。
母に怒られるたびに、父に怒られるたびに、姉に怒られるたびに、家庭教師に怒られるたびに、少女は憧れの子爵様に助けられていた。


「……さま」
少女の呟きが、石を振り下ろそうとしていた手を止めた。
男は、見当違いの場所に石を投げると、少女の顔をのぞき込んだ。
「わるどさま」
少女の手が、ワルドと呼ばれた男の頬に触れる。

男は、声を上げて泣き崩れた。




To Be Continued→

118 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 04:51:50 ID:XK0y7nkh
GJ!

119 :仮面のルイズ:2007/10/11(木) 04:52:38 ID:bNWttL2R
投下したッ!
推敲してたらこんな時間…落ち着け、素数をかぞえるんだ。
羊が一匹、羊が二匹、羊が…ぐぅ。

120 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 04:57:07 ID:dCsxgKf+
どうする?どうするんだワルドッ!
俺はGJするぜっ!?

121 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 05:26:20 ID:/FX4KjL7
GJGJ
きれいなワルド、吸血鬼となったルイズと、どう向き合うのか?

それと、シエスタ無駄あs(ry

122 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 05:34:40 ID:xJXqWGAv
GJしかないだろう。

123 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 06:15:16 ID:dAn4+Soc
なんたる展開。GJ以外の何を言えと?

124 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 06:23:28 ID:EB+vC/sZ
GJ!
絶対出ないと言われていた黄金ワルド…来るか!?

125 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 06:32:33 ID:++Xwmiww
GJ!
ここで殺せるのか、ワルド?
そして1は素数じゃ(ry

126 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 07:14:37 ID:4srD0XIV
GJ
どうなるルイズ!
どうするワルド?
吸血馬を失い、シエスタが向かっているこの展開
先が楽しみでしょうがないぜ。

127 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 07:41:32 ID:KFHGFlLB
GJすぎる!!
こんな神展開ありえぇえええ!!!!ッッ

128 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 08:22:30 ID:ptofze3x
チキショー今から電車なのに
涙が出そうじゃねえか!
仮面の方GJ!

129 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 08:26:07 ID:ozrEJj7K
普通にワルドが格好いいうえに、さらにこれか。
まったくwktkさせるにも程があるぜ!!

130 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 10:36:09 ID:XHrjC1K1
涙が出てきそうだ。
GJ!!

131 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 10:56:54 ID:8dKqey80
仮面氏GJ!!
しかし、その時間に投下とはw


132 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 11:13:27 ID:flkm3xOf
感動のGJ

133 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 11:28:47 ID:+GISfdqa
来てたー!!!! GJ!!!!!!!
ルイズもワルドも悲しい。シエスタもそろそろ来てしまうし……
バッドエンドの臭いしかしないorz

134 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 12:08:57 ID:22XL4WC0
仮面さんGJ!!
皆素敵に無敵に格好良すぎる!!特に情熱思想理念頭脳気品優雅さ勤勉さを某兄貴も納得出来る程に備えている仮面ルイザーは蝶最高!!だけど。
畜生…ワルドまでも格好良いと思っちゃうなんて…くやしいっビクビク。

135 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 12:09:44 ID:Rtz06/T4
GJだ・・・
まったくあんたって人はGJだよ・・・

ところでこのIDを見てくれ、こいつをどう思う?

136 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 13:18:17 ID:i233lTEV
GJとしか言えない、そして哀しすぎる。
ルイズもワルドも、そして己の身を挺してルイズを庇った吸血馬も、だ……デルフ行方不明な訳じゃないよな。
戦は終わったがまだ、まだ最後の悪い予感が待っている。
彼女の対応がバッドな物しか思いつかない……次回も待ってる。

137 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 15:35:58 ID:7/jPmmbg
シブイねぇ…まったくおたくシブイぜ…
兄貴やっと五割なのに…

138 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 15:42:13 ID:9cPyjKu6
兄貴ガンバ

139 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 15:53:34 ID:8dKqey80
兄貴って色んなスレで大活躍なんですね
憧れちゃうな〜


140 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 18:31:02 ID:UsEKoijJ
馬ぁぁあああああああッ!!
最後の最後までルイズを見捨てなかったその忠義心!!僕は敬意を表するッ!!!

141 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 18:36:52 ID:ywkpQIuS
あんなにルイズの事気遣ってた馬なんだぜ……ルイズの人徳も有るだろうけどよォ。

142 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 18:37:19 ID:DhXiYxVj
仮面の人GJ!

吸血馬もワルドもルイズも……みんな格好良すぎる!

143 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 19:04:49 ID:V0udG6Zr
GJとしか言えない

144 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 20:04:18 ID:+hl9C9iW
馬死んだけどルイズはまたなんか呼ばないのかね?

145 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 20:18:15 ID:KaJs4F1T
>>144
・別れが辛いので呼ばない
・この悲しみを乗り越える
どっちもありそうで困る

146 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 20:21:59 ID:6hFn2VqZ
ルイズ「この宇宙の(ry」

ルイズ「あなたは………
元の世界に帰ったはずの…!
ブルート!!」

ブルりん「Yes,I am!!」


こうですか、分か(ry

147 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 20:23:42 ID:K1zj3vZ9
馬が居なくなってしまった…これは辛い。
だがこれはきっとブルりんが「ルイズのピンチに俺参上!!」する伏線…と信じたい。

148 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 20:30:24 ID:fH5qpUMr
遅めだがGJ!
吸血馬ぁぁあああ!!

次ルイズが召喚するとしたら……
今度はワムウとか究極生命体とかメキシコに吹く熱風とかくらってくたばれの脳とかしか思いつかない

149 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 20:37:04 ID:Lpi0quZO
柱の男達以上の存在は吸血鬼にとっての天敵だから召喚はないんじゃね?

矢か赤石がきてもいいかもな

150 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 20:38:26 ID:X2cHpvMX
なしてあんたはこうも泣ける話を書けるんだ?

G・・・J・・・

151 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 20:51:27 ID:F7dQYBjk
さすがに吸血馬は虚無の使い魔じゃなかったか…召喚直後の殺し合いからは
こんなナイスなパートナーになって散るとは想像も出来なかったよ

152 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 20:54:04 ID:L1tXlTHX
というかブルりんといい、吸血馬といい……仮面ルイズは良いヤツと出会って、そしてすぐに別離を経験しちまうんだよな。

153 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 20:59:35 ID:z+0FQHv5
これでようやくサイトの出番ですな。

154 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 21:05:07 ID:GhxSGMZg
ただし吸血殲鬼SAITO

155 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 21:16:50 ID:KFHGFlLB
なんというヴェドゴニア

156 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 21:22:38 ID:eP6318c7
年老いたアンアンが死ぬときに枕元にルイズが現れるのか、
ついに自分を知る者が1人もいなくなってしまったことを嘆くルイズに
サイトが俺がずっとそばに居るとかいうのか。

157 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 21:24:28 ID:TE44UqD6
>>152
何つーかワルドやフーケもルイズを庇って、シエスタ達の攻撃を喰らって死亡とかありそうなんだが
そうなったら本当の意味で人間やめるかもしれん…

158 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 21:25:11 ID:SAnfYkQ5
この仕事が終わったら静かに暮らそう。
子供の変わりに猫をたくさん飼おうよ。なあ、ルイズ。 

159 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 21:29:59 ID:K7ZhXLsR
↑>158 なんという涙腺決壊ものの死亡フラグ

160 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 21:31:43 ID:eP6318c7
>>158
ワルドの左の義手に杭打機が内蔵されたりしていませんか?

161 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 21:40:16 ID:K1zj3vZ9
誰か>>158の元ネタを教えて下さい。

162 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 21:42:51 ID:X2cHpvMX
杭打ちと聞くとアルトアイゼンしか思い浮かばん

163 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 21:52:34 ID:eP6318c7
>>161
吸血殲鬼ヴェトゴニア、モーラEND

164 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 21:58:03 ID:K1zj3vZ9
>>163
トンクス

165 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 22:03:43 ID:z+0FQHv5
ここの平均年齢いくつなんだよ、
なんで普通にヴェドゴニアが通じてるんだwwww

ああ、俺だって大好きだ!リアノーンエンドもグッとくる。

166 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 22:08:42 ID:KFHGFlLB
リアノーンENDのしわがれた香織がぐっとくる・・・小説で久しぶりに見たときは涙が出てきた

167 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 22:21:07 ID:dAn4+Soc
>>165
2ちゃんの構成人員のほとんどは、実は30代から40代というお話もありまして。

168 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 22:23:56 ID:FUzVcDN2
>>156
思わず、蝶々仮面のマスク+全身タイツ姿のルイズが月を見上げて
「これで…私の名を呼ぶ者は…誰もいなくなった…!」と吐き捨てる姿を連想しちまったぜ

中の人的には「私は一人でも生きて行けるって…」と呟く方なんだけどね

169 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 22:25:01 ID:sWGNV4LP
>>168
ジャック・バウアーとともに月へ

170 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 22:31:58 ID:gbucajYy
え?ヴェドゴニアってそんなこと言われるほど古い作品だったっけ?
俺の脳内ではまだまだ新しいほうに入る作品の分類に入ってたよ
年取ったのかなぁ……

171 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 22:33:48 ID:EgT1Sfn1
165が若いだけだ

172 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 22:35:56 ID:WeBRsb1I
ルイズ「しえ☆すた、あたしはかりそめの客なのよ」

173 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 22:39:51 ID:z+0FQHv5
ヴェドゴニア、2001年1月26日発売
もう6年半は経ってる・・・・

プレイ当時小学1年生だったら、今はもう中学生なんだぜ。

174 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 22:42:51 ID:3hr3NzD7
小説の方で読んだ俺のような奴もいるだろ
後書きでゲーム中の選択肢は一回しか出ないっていうのに吹いた覚えがある

175 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 22:43:08 ID:fH5qpUMr
>>173
当時学生だった俺にわからないネタなんだが

176 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 22:45:40 ID:DhXiYxVj
>>175
一言でいうと「半分吸血鬼の残虐仮面ライダーが吸血キメラ相手に大暴れ」

177 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 22:49:03 ID:83Bic5Ys
>>170初めて元ネタの名前聞いた。全く分かりませんでしたぜ………

178 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 22:49:13 ID:sTNkMTbL
>.>162も若い気がする

やはりベルゼルガかナイトスラッシャーズのジェイクだろう


179 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 22:49:49 ID:eP6318c7
>>175
銃と刃物がいっぱい出てきます。
旋風のカリギュラとか無茶な武器がいっぱい。

180 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 23:11:13 ID:K1zj3vZ9
因みにどんな経緯で>>158の台詞が出たのか、何方か簡単で良いから誰か教えてくれませんか。
まだ18歳未満でエロゲは買えないからエロゲネタを調べる時は苦労するんだぜ…

181 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 23:12:49 ID:KFHGFlLB
あとチタン製の刃がついたバイクね
もちろんエンジンは改造してあってベンツのが載ってるらしいw

182 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 23:13:56 ID:GhxSGMZg
>>180
エロゲのストーリー wiki
でググるといいかもしれない
あったかどうかは知らんがな

183 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 23:16:07 ID:KaJs4F1T
>>181
デスモドゥスだったか
ヒルドルヴフォークとかサド侯爵の愉悦とか素敵な武器沢山あるよな

184 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 23:18:00 ID:SAnfYkQ5
妹萌えなお兄ちゃんが無理矢理結婚しようとしてきたので、その妹が恋人と二人で
お兄ちゃんを殺してから愛の逃避行。
その後、吸血鬼を退治した報酬で念願のマイホームを購入する為に頑張ってる最中の台詞


185 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 23:19:09 ID:fH5qpUMr
みんなdクス
そしてつまりこういう事か?
『半吸血鬼が敵と刃物や銃器の類で殺し合いをするエロゲ…』。

186 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 23:19:41 ID:eP6318c7
>>180
エロゲのストーリーを教えてもらうスレから

>主人公伊藤惣太は部活の帰りに吸血鬼のリァノーンに血を吸われてしまう。
>リァノーンを追いかけていた吸血鬼ハンターに応急処置を受けたため、即座に吸血鬼になってしまわずにすんだが、
>2週間もすれば立派な吸血鬼になってしまうという。人間に戻る方法はただ一つ、自分を噛んだ吸血鬼を滅ぼすこと。
>噛んだ吸血鬼と噛まれた人間には精神的な繋がりが発生するので、それを追いかければ居場所を特定することができる、
>人間に戻りたければ狩りを手伝え、と吸血鬼ハンターのフリッツとモーラに言われ、背に腹は代えられずに手伝うこととなる。
>敵の吸血鬼を倒し人間に戻ったが
>吸血鬼になったフリッツがモーラに欲情。花嫁衣装にして結婚式に望もうとするが、
>駆けつけた主人公と血で血を洗う死闘を繰り広げることに。
>ただの人間になった主人公に吸血鬼フリッツを倒せるはずもなく、片腕をもぎ取られて追い詰められるが、
>目を覚ましたモーラの手で心臓に杭を打たれてフリッツ死亡。

> 数年後、シベリアの辺境で狩りを続ける二人の姿。「この仕事が終わったら二人でどこか平和に
>暮らそうとモーラの頭(肩?)に手をおく主人公。仕事の前に歪な義手を眺めて悦にひたる主人公を
>悲しげに見つめるモーラ。

ネタばれ回避の為に元の文章を一部改変しています。
子供の代わり云々は察してください。

187 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 23:22:25 ID:K1zj3vZ9
>>184>>186
情報有難うございます、本当に助かります。

188 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 23:28:24 ID:Uo1SnMgr
スレ違いも甚だしいが、これが石仮面の力か……

189 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/11(木) 23:47:39 ID:+hl9C9iW
吸血鬼退治といったらアンデルセン神父で杭といったら第七聖典な自分はまだまだ若いな

190 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 00:01:58 ID:uN+aQSFR
>>189
アンデルセンとDIOを対面させてみたいな
あとその杭はヤバい
作品的な意味で
吸血鬼と言ったらロングファング
反論は認める


191 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 00:04:38 ID:PFjDOD4S
お前ら吸血鬼を比べるのはよせ
確実に荒れるぞ
とりあえずフランは俺の嫁な

192 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 00:05:52 ID:xNGsvSo5
どこぞの男を女に変化させる必殺技を持った吸血鬼も忘れないでください

193 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 00:06:51 ID:DiJtV/Vp
デミトリとかモリガンも吸血鬼だったよね
あと荒木も・・・ん?誰だ、こんなじかn(ry

194 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 00:09:57 ID:L4zQZeHb
>>193!!応答しろッ>>193ッ!!

195 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 00:10:31 ID:xmGzG0GZ
        /´〉,、     | ̄|rヘ
  l、 ̄ ̄了〈_ノ<_/(^ーヵ L__」L/   ∧      /~7 /)
   二コ ,|     r三'_」    r--、 (/   /二~|/_/∠/
  /__」           _,,,ニコ〈  〈〉 / ̄ 」    /^ヽ、 /〉
  '´               (__,,,-ー''    ~~ ̄  ャー-、フ /´く//>
                                `ー-、__,|     ''

196 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 00:11:18 ID:uN+aQSFR
>>192
……ギーシュ・マルコメ・コッパゲが性転換……
 そ れ だ !

197 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 00:16:08 ID:V30ipH3p
姉妹スレの避難所の雑談スレで一時話題になってたなぁw<ゼロ魔キャラTS

198 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 00:30:46 ID:uN+aQSFR
>>193
モリガンはサキュバスじゃなかったか?
気のせいかもしれんけど。

よその作品の吸血鬼が石仮面かぶるとどうなるんだろう
吸血鬼としての潜在能力が引き出されてゴイスーなデンジャーになるのだろうか。

199 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 00:33:34 ID:DiJtV/Vp
実はヴァンパイアハンターはやった事無いんだ
ところでさっき俺のところに誰かきt(ry

200 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 00:48:30 ID:CcOoniAw
>>192
 誰? 女の顔が後ろにあるという、無敵の能力を持った男の吸血鬼ならわかるんだけど。

201 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 00:48:35 ID:QIrDOmuA
あのロリコン吸血鬼は魔界の覇権をかけて魔王とガチバトルできるからなぁ
モリガン倒したのが正エンドなんだろうか

202 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 00:59:48 ID:M8RYzXcL
ヒトオオカミなんか、怖くないィ

203 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 01:13:46 ID:P8r5eSJW
ロングファングも好きだが、触られてない>>172に敢えて言うぜ。
Dかよ!

204 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 01:15:25 ID:xYcQGPfX
>>198
ジョジョの吸血鬼は脳のある動物じゃないと成れないんじゃないかな?
それにして、銀も十字架もニンニクも胸杭も水も効かない吸血鬼って珍しいよな。

205 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 01:22:41 ID:KWcJGM6z
ヨーロッパ(キリスト教圏)産の吸血鬼じゃないからなジョジョの吸血鬼は

206 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 01:23:02 ID:Z1Jwrz/S
>>200
だまされると思ったか?
この、ヌケサクがーーーーッ!

207 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 02:02:41 ID:VakDSNqU
>>190
吸血鬼と言えばブラッドジャケットの方々だろ?
もちろん銀のポッドに入ってる方の。

208 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 04:15:45 ID:T8Lb2D9v
吸血鬼と言えば変態レスラーが真っ先に出てくる俺

209 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 06:25:13 ID:LzduJQIl
>>201
漫画ではゾンビに負けてたぞその吸血鬼

210 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 07:21:47 ID:uN+aQSFR
>>204
> それにして、銀も十字架もニンニクも胸杭も水も効かない吸血鬼って珍しいよな。
各種ホーリーシンボル無効で健康のために日光浴かます吸血鬼にして吸精鬼
その血統と技術で死者をほぼ問答無用で使役する
幽幻道士・馬 呑吐(マー トンツー)とか
八つ裂きにされて灰にされたあと七つの海にバラ撒かれても普通に復活します。

211 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 07:51:17 ID:T4Gwc0d7
え?荒木はどんな吸血鬼でも餌にしてると聞いたが

212 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 08:09:32 ID:XJlRtqYo
>211 (SYEtuKO)! 荒木は吸血鬼ちゃう! 究極生物や!

213 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 08:33:36 ID:Ipq88sI1
話が噛み合わない!
これは現実ではないッ!!

214 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 10:01:22 ID:yIrCmx+L
現実なら話が噛み合うはずだなんてのは大きなミステイクだぜ!

215 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 13:54:00 ID:jkPMeSad
>>208
もしそいつの師匠がガマでウホッ!な奴だったら、お前は俺のソウルブラザー。

216 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 14:05:15 ID:fdg/YT/j
>>204

素手でフルボッコにされた吸血鬼の伝承なんかもあるし。
血を吸って眷族増やす以外は釘バットと草野球の経験でもあれば、
一般人でも倒せそうなのは結構いたりもする。

ドラキュラ以降に随分後付された設定も多かったりもするが、そんな感じで
十字架や聖水効かないのも案外といたりする。

民俗学の課題で選んだ事もあったんだが、基本的には所属宗教を調べて、
そこの埋葬法でキッチリ葬儀しなおすか、それがダメなら力技で捻じ伏せるのが
共通規則みたいな感じよ?あと、河を渡れないっていうのは、見た感じではどこも共通っぽい。

渡る=死の川を越えただかの、意味づけになるとかで、死人の類には自爆になるとか。

217 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 14:17:11 ID:8V0Odm8g
吸血鬼が川を越えれないのはペストだかなんだかの伝染病から来てるんじゃなかったっけ?

218 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 15:08:16 ID:yGkL9RHO
>>217
ひょっとしたら狂犬病か?
他に水を恐れる病気の患者って知らないから断定できないが

219 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 15:16:48 ID:PQ2d4v90
狂犬病って脳を支配して、他の個体へ噛み付かせるんだよな。
感染経路といい、犠牲者が次の加害者になるところといい、吸血鬼にそっくりだな

220 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 15:30:52 ID:HaIE9+NJ
>>208>>215
アッー!
アッー!


アッーー!

221 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 15:32:39 ID:oUenZk3M
狂犬病に限らず色々混じってるからな
吸血鬼の元ネタは

222 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 16:31:10 ID:xYcQGPfX
吸血鬼の元のヴァンピールどっちかというと亡霊って感じだったそうだ。
死んだ人間が家族を道連れにするために戻ってくるとか、
不審な死に方(変死や殺人)をしたものが、夜な夜な暴れまわるとか。

因みに、↑ので何故吸血鬼といわれるようになったかというと、ヴァンピールと思わしき人物の墓を暴いたところ、
死後数ヶ月たってるのに腐敗が無く、血色が物凄く良くて、胸に杭を打ったらどす黒い血じゃなく、鮮血が流れ出たから
「そうか!こいつは血を吸ってたんだ!」ということになったらしい。

もちろん、流れ出たのは鮮血じゃなくて腐敗して赤みを取り戻した血だったわけだが、その事に気づく人間は居なかったそうだ。

223 :アンリエッタ+康一 ◆3D2JBRgybs :2007/10/12(金) 17:04:28 ID:onFHnpOF
吸血鬼話中に申し訳ないですが、10分から投下させていただきたい

224 :アンリエッタ+康一 ◆3D2JBRgybs :2007/10/12(金) 17:10:03 ID:onFHnpOF
康一の考え通りなら、この本に記されたルーンの記録は間違ってはいないということになる。
しかしそうなってくると話は複雑だ。
何故なら記録正しいならば、間違っているのは康一の右手のルーンということになってしまうから。
だが実際に今、康一の右手には一画欠けたルーンが存在している。

少々複雑すぎる状況にアニエスが頭を振りかぶった。
「あぁ。何か話が複雑すぎて頭が色々混乱してきたな…」
魔法とは余り縁のない平民出のアニエスは少し疲れた様子。

そんなアニエスを見て、自身も多少混乱してきているアンリエッタが提案した。
「そうですね。この辺りで少々休憩といたしましょう。
それに、そろそろマザリーニ卿が戻ってこられるはずですし。卿ともご相談してみましょう」
ちらりとアンリエッタが廊下と繋がるドアを見た。

康一はACT1を発現させ、ドアを透過して廊下の様子を伺う。
こういうとき視聴覚のある遠隔操作のスタンドは便利だ。席を立たずに外の様子を伺うことができる。
右左右と横断歩道を渡る小学生のように廊下を見たACT1が人通りを伺う。

ACT1の視界の先には特に何も見当たらない。
康一はマザリーニが向かった方向を思い出し、その方向の曲がり角を見た。
そしてその先から来る、特徴的な頬骨の浮き出た面相の彼を見取った。
「あ、マザリーニさん来ましたよ。……てゆーか、本当に僕も飲まなきゃあダメです?」
康一はアンリエッタにマザリーニが来たことを伝え、縋るような目で彼女を見た。

そんな康一にアンリエッタは微妙にイイ目をしながら、こう言った。
「ダメです」
目が据わっているアンリエッタを康一が見つめる。
「ダメです」
二度言われた。康一はもはや脱出不能であることを悟った。

よく分からないやりとりを交わしている主従。
今一つ状況が飲み込めないタバサが康一に聞いた。
「何かダメなの?」
ダメというか、何というか。康一としては一応モラルの問題なのだが。
康一は少々説明に困ったような表情で苦笑いするしかない。

そんな雰囲気にスルリと自然な感覚で入り込んでくる、ドアのノック。
「どうぞ」
アンリエッタが声で促し、外の彼はノックの音と同じように自然な感覚でドアが開く。
「お待たせいたしました」
ドアから居室へ入室したマザリーニは、瓶入りの小ぶりなバケツを抱えていた。

225 :アンリエッタ+康一 ◆3D2JBRgybs :2007/10/12(金) 17:11:11 ID:onFHnpOF
アンリエッタはマザリーニの持ってきたバケツ。
正確にはバケツに入った瓶を、少々頬を上気させながら見つめている。
「おやおや、姫さま。待ちきれませんでしたかな?」
普段あまり見せない、やや楽しそうな表情を浮かべてマザリーニは手に抱えたバケツをテーブルに置いた。

康一は余り縁のない物、バケツの名称は何だったかなと思う。
確かアイスバケツとかワインクーラーだとか言われてる物じゃあなかっただろうか?
ちなみにタバサは学院や生家で飽きるほどバケツを見てきたので、もう大方状況は掴んでいた。

アンリエッタはバケツの瓶を大事に両手で掴み、バケツの中から引き抜く。
そして瓶をゆっくりとテーブルへと置き、朗らかな笑みを浮かべた。
「それではお楽しみといきましょうか?」
その笑みは、どこか年相応の悪戯めいたものだった。

テーブルに置かれたワイン。
高価な大理石を磨いたテーブルにあっても、見劣りしない風格を備えた強者。
まさしく一国を代表しようかという人間が飲むに相応しい一品である。

康一に酒のことが分かるはずもないが、スゴイ高そうだなァ、と思うぐらいには分かった。
お酒は二十歳になってからと真面目に思っている康一がワインボトルを見つめる。
どうやらワインは白らしく、緑色付きの瓶に封印されていても見て取れる透明感がある。
ヤッパリお酒飲むのは異世界に来ちゃってもマズイんじゃあないかな〜、と思っている康一。
しかしボトルを見つめるその瞳が、ワインの中に僅かに浮かぶ気泡を捉えた。

「これ気泡ですよねェ。もしかして、これって……」
明らかに一つ、二つ、とボトルの口に浮かび上がっていく細かい気泡。
アンリエッタはボトルを手に取り、キャップシールを剥がして、栓を抑えながら針金をほどく。
そしてチョッピリ身構える康一に構わずに、栓を手で固定しながら瓶を回す。

アンリエッタが栓から手を離した。が。
「あれ…飛ばない?」
康一の予想に反して栓は飛ばず、口の部分を見てみるといつの間にか栓は無くなっていた。
アンリエッタが手を開いてみせる。するとそこにはすでに栓が収められていた。

「もしかしてアンリエッタさん。コレ開けるの慣れてます?」
「ええ、以前飲んだときに少々失敗しまして。でもコーイチさん、このワインの事をご存知で?」
アンリエッタが康一の言葉に軽く驚いたような反応をした。
中々珍しいワインのはずなのだが、アンリエッタにはコーイチが知っているとは思いもしなかったからだ。

226 :アンリエッタ+康一 ◆3D2JBRgybs :2007/10/12(金) 17:12:18 ID:onFHnpOF
「よく知ってるって訳じゃあないですけど、僕の国だと結構有名なんで」
感心したような顔でアンリエッタが頷いた。
異世界だと風土も違えば文化も違う。それなら知っているのも頷ける。

「でもこれ開けるのチョット緊張しますよね。栓が飛んできたら危ないですし」
「以前失敗したとき、それで危なかったです。結局天井まで飛んでいってしまいました。
その時、少しワインが目に入ってしまって凄く痛かったです」
苦笑してアンリエッタが自分の失敗談を語る。
そういえば康一はテレビで、アメリカの野球チームが優勝したらコレをブッ掛けまくってたのを見たことがあったのを思い出した。

何処からともなくマザリーニが人数分、五つのグラスをテーブルに差し出した。
そして手に持ったワインをアンリエッタ自ら、一つ一つグラスに注いでいく。
シュワシュワ、と泡立ち。気品高い香りを辺りに振り撒くワイン。
コレは康一の世界で言う、シャンパン。
否。シャンパンというのはヨーロッパの葡萄の原産地から取った名称らしいので、ハルケギニアでの呼び名は正確には違うだろうが。

それでも康一にしてみれば、ほぼシャンパンと変わりない。
久しぶりに見た、酒とはいえ炭酸飲料。これなら飲んでもいいかも、と甘い誘惑に駆られる。
本来は日本の高校生なのだ。スナック菓子は食べる。ジュースも飲む。炭酸でゲップする。
それがコーラを飲んだらゲップするぐらい確実な一般高校生の生活なのだ。
康一は酒を飲んでもバレなきゃいいか、と一歩不良精神に近づいた。

そしてこの発泡酒というものも初めて見る者というのも存在する。
おおっ、と初めて見た泡立つワインにアニエスが見とれていた。
初めてそれを見る者にとっては、これがいかに幻想的な光景なことか。
まさに原初の新鮮な、見る者を楽しませてくれる驚きである。

そうする間に自分がワインを注がれる番になってアニエスが慌てて言った。
「あっ、姫さま。わたしは自分で注ぎますので……」
さすがに姫自らの勧めとあれば、自分の年収では到底飲むことができないワインでも断るわけにもいかない。

しかしアニエスはアンリエッタ自らワインをグラスに注がれるのは、さすがに遠慮しようとする。
何だか何処に来ても、人って目上の人からお酒を注がれるのを遠慮しようとするもんだなぁ、と康一は思った。
アニエスの気分は、さながら無理やりお酒を酌される新入社員。

いやいや。ですが…。どうぞどうぞ。しかし……。
とかなんとか二人は、注ごうと、注がせまいと、やんわりとした攻防を繰り広げるが結局アニエスが折れた。
テーブルにグラスを置いたまま、ワインをアンリエッタに注がれるアニエス。
康一はこれって宴会じゃあないかと直感した。

227 :アンリエッタ+康一 ◆3D2JBRgybs :2007/10/12(金) 17:13:26 ID:onFHnpOF
康一達はマザリーニが、また何処からともなく取り出したチーズを摘んでいる。
そしてタバサが持ってきた本を、先ほどまでいなかったマザリーニに見せて事の次第を説明した。
「ふぅむ…確かにコーイチ殿の推測通りなら、右手のルーンと本に記されたルーン。
二つのルーンの紋様が違っているのは、何か理由がありそうですな。
それに今、何かわたしは取っ掛りのようなものを掴んだ気が………いたします」

マザリーニも康一の推測。記録が正しく、右手のルーンが欠けているという考えには同意すべき点がある。
そもそも、よくそのような些細な矛盾に気が付いたのかと感心さえした。
そしてこの物事の順序が逆になった矛盾は些細なことではあるが、何か大きな意味を持っているような気がする。

それはルーンだけの問題ではない。何か重大な閃きを示す意味。
この瞬間的な閃きというものはハズレることもあるが、時として途轍もなく大きな事柄を指し示す事がある。
それは今まで生きてきた中での経験であったし、経験が警鐘するサインだ。
警鐘がハズレても別に構うことはない。何も無ければ、それはそれで悪くないことでもある。

だが閃きの意味は、政治家としての長年の勘がマザリーニに何かを伝えようとしている。
されどマザリーニは、その意味を今一つ推し量ることができない。
しかし、何か一つ見つければ、見ている世界を全て引っくり返してしまう。そんな感覚が今マザリーニを包んでいる。
この閃きを見つけた時、間違いなく事は大きく動くであろうと、マザリーニは半ば本能的に悟った。

しかしジレンマ、後もう一歩で見つかりそうな倦怠感にも似たこの感覚の意味する事は一体何なのだろうか。
だが今はこの感覚について話し合う場ではない。話を本題に戻そう。
「ですがルーンの字画が記録より足りないということは、コーイチ殿のルーンの能力が使えない事。
それと関係があるということでしょうか?例えばルーンが欠けているので能力が使えない、または使うのに条件があるなどですが」

マザリーニは例えで出した程度だが、康一には結構当たっているような気がした。
「でも何かイイ線いってる気がしますね。僕のスタンド能力を発現するのも条件があったりしますし。
いや案外、能力使用に条件があるっていうのが正解なのかも…」

康一の能力の条件と聞いてタバサは、重くする能力の条件を思い出した。
「三番目の能力で重くできるのは「一撃一箇所」という事?」
「はい。あとACT3、スタンドの姿は皆に見えてないから分かんないでしょうけど。
僕のACT3は人型で、その拳で対象を叩くか触れるかしないと重くする能力は発現しないんです。
友達のスタンド使いや、前に戦ったスタンドにも同じ条件があったんで、結構よくある条件みたいですけど」

ちょっとしたスタンド能力の蛇足も付け加えながら、能力の条件を語る康一。
確かに自分の能力にも条件があるのだから、ルーンの能力にも条件があるというのは理に適う。
いや、康一の勘だが多分このルーンの能力の使用には条件がある。
意外と簡単で盲点な条件。とりあえずそれを探す事が今後の課題になりそうだ。

228 :アンリエッタ+康一 ◆3D2JBRgybs :2007/10/12(金) 17:14:35 ID:onFHnpOF
しかし現在これ以上情報が無い中で、結論を出すのは性急すぎるとマザリーニは考える。
「とりあえずその本は誰かに解読、或いは調査していただくのが一番よろしいでしょう。
して問題は誰、または何処に調査をお願いするかという事ですが」
専門の知識と設備・施設を有する魔法書解読が頼める人物というとやはり限られてくる。

順当なところだと魔法学院など研究機関の誰かという事になる訳だが、依頼するとなるともう一つ条件が出てくる。
「依頼するなら、なるべく手の内は明かしたくはありませんな。
姫様の使い魔のルーンの特殊能力となると、公に知られるのは少々問題があります」
そう。使い魔である康一の主人、アンリエッタの身分がここでネックとなる。

一国の姫の使い魔の能力を知られるとなると、警護や今追っている敵と相対する際などに危険が伴う。
もちろん公に知られるのにもメリットが無い訳ではない。
しかし先日の襲撃事件などで厳しい警護体制を敷いて、アンリエッタを守るという今の現状では、
ルーンの能力を知られるのは一枚守りの壁が薄くなるという事に他ならない。
この状況さえ脱せばあまり余人に能力が知られるのは問題無いが、今は時期がマズイ。

つまりタバサが持ってきた魔法書解読には、専門の解読知識・設備を持ち、
尚且つ調査内容を余人に知られぬような対策の打てる、口の堅い信用の置ける者でなくてはならないという事だ。
「そうなって来ますと、頼める方はかなり限られてまいりますわね」
アンリエッタの脳裏には、そのような人物は思い浮かばない。

元々アンリエッタは王族として国民の御旗となり、トリステインの顔となることが仕事である。
彼女の一番の力は文字通り、一国を動かすほどの権力。
当然ながら人には得手不得手があり、彼女の力はこういう事には向いていない。
この中で一番向いているのは、背の小さな魔法使いと、豊富な人脈を持つ枢機卿であるだろう。

アンリエッタの視線の先には、チーズをモクモクと食べ続けていたらしいタバサがいた。
「ミス・タバサ。魔法学院の方で、調査をお任せできそうな方はご存知ありませんか?」
その問いに、タバサは食べるのを止め、口に残ったチーズを嚥下してから言った。
「解読だけなら何人かいる。けど調査内容を止めて置けるかは疑問」

あまりいい内容ではないタバサの回答に、アンリエッタは思案気に眉根を寄せた。
そんなアンリエッタが問う前に、マザリーニも自身の回答を言った。
「申し訳ありませんが、わたしの方もあまり心当たりはございません。
調査を頼む人材は、できるならば姫様と面識があるか関係の深い方がよろしいのですが……」

マザリーニの答えも芳しくない。物事はそう上手くは運んでくれないのだ。
「じゃあどうするんです?それだと頼めそーな人がいないって事になっちゃいますけど」
康一としてもアンリエッタを守る力になりそうな、魔法書の解読は重要な問題だ。
しかし調べる前から行き詰ってしまってはどうにもならない。

229 :アンリエッタ+康一 ◆3D2JBRgybs :2007/10/12(金) 17:15:44 ID:onFHnpOF
だがマザリーニは焦らない。
何故なら自分の人脈で紹介できる者がいなければ、その人脈に紹介してもらえばいいのだから。
「いいえ。コーイチ殿。調査ができる方を「紹介していただけそうな方」は存知あげております。
それはミス・タバサもよくご存知ではないかと思いますが」

マザリーニが視線を送り、その視線を受けたタバサも同意するように鋭くなった視線を送った。
「タバサさん、ですか?……もしかしてタバサさんを紹介してくれた人です?」
康一がタバサがここに初めて来た時の理由を思い出した。
以前アンリエッタが魔法学院の学院長に協力を求め、その力となれるタバサを学院長が紹介してくれたのだった。

魔法学院の長ともなれば、魔法関連の研究者などにも顔がきく。
その中にはおそらく調査を依頼できる者も存在するであろう。
「なるほど。オールド・オスマンなら信用できる方を探していただけるでしょう」
アンリエッタも、その考えには同意する。

目の前のタバサを紹介してくれたのもオスマン老だ。
少女は先日の情報収集に魔法学院とのパイプ役など、その身をもって重要な働きを示した。
ならばオスマン老に力を借りるのに異論がある筈が無い。

マザリーニはアンリエッタが、この案に賛成したものと見て更に付け加える。
「それと調査を頼むにあたって都合のよろしいことが、もう一点。
数日後の舞踏会ですが、すでにオスマン老に招待状を送っております。
例年通りならオスマン老には直接城へとお越しいただけるでしょう」

アンリエッタにとっては、まさに朗報である。
数日前から舞踏会の準備をしていたが、これほどタイミングよくオスマン老と直接会えるとは思いもよらなかった。
「素晴らしいですわ、マザリーニ卿。それでは舞踏会の終了後。
オスマン老と直接お話をして、魔法書解読の件をお願いしてみましょう」

「分かりました。一応何か先方に不都合があられては不味いので。
ミス・タバサを通じ、オスマン老に用事があるので来ていただけるよう伝えていただきましょう」
マザリーニはタバサを見る。タバサもそれを了承してコクンと頷いた。

そして舞踏会と聞いて、フト思い出したように康一が言った。
「そーいえば、僕って結局舞踏会の時どうしてる事になりました?」
それは康一自身すっかり忘れてしまっていた事だ。
いや、結構色々あったし。ねェ?

230 :アンリエッタ+康一 ◆3D2JBRgybs :2007/10/12(金) 17:16:52 ID:onFHnpOF
しかし康一自身忘れていたことでも、この有能な枢機卿が忘れる筈がない。
「それに関しては、舞踏会の警護にアニエス殿がまわっていただきますので、
彼女と一緒に行動していただく事になるかと思われます」
すでに警護にアニエスをまわせるよう、マザリーニは手を打っておいたのだ。

その旨アニエスにも伝えておいたので、警護上の問題はクリア済みである。
「そういうことだ。お前の能力の射程距離が長い一番目の能力が、舞踏会中でも姫様に届く距離を保つ。
それなら多少離れても能力で姫様を視界に納めるつつ、音の能力で会話もできるだろう」
スタンドはスタンド使い以外には見ることができないので、余人には能力を使って会話するのはほぼ気付かれることはない。
音の能力を持つエコーズだからこそできる連絡方法だ。

康一の能力を把握して、その力を最大限に発揮させることがアンリエッタの身を守る事にも繋がる。
これがアンリエッタの警護を任されもするアニエスの仕事である。
「それなら大丈夫ですね。でも僕裏方でよかったですよ。舞踏会とかって堅苦しそうで緊張しそうだよなァ〜」

そもそも康一はそういったお堅い事には向いていない。
テキトーに友達や仲間とお喋りしていたりした方が、康一の性に合っているのだ。
そんな康一にアニエスも同感だ、といった感でもらす。
「確かに。今回の舞踏会は小規模だが、その分来賓の方々は有力な貴族が多い。
ヘタを打ったり、打ったりしなくても、こっちの首が飛びかねん。やれやれ…面倒な事だ。」

少々ゲンナリとした感じで首を振るアニエス。
しかし言ってから目の前にマザリーニや、この国の姫であるアンリエッタがいる事に気付いて、明らかにヤッテしまったといった顔になった。
そんな少し青くなった顔のアニエスを見て、おかしそうにクスクスと小さく抑えるように笑うアンリエッタ。
「構いませんわ、アニエス殿。わたくしも……そういった事があることは、承知いたしておりますし」
最後のアンリエッタの笑いは、少々苦い笑いになった。

マザリーニも澄ました顔ではあるが、内心アニエスと同じ事を思っているので文句を言う気にもなれない。
正直なところマザリーニとしても、そんな事で有能な人材が切られる事があるのは大きな損失だと考えている。
しかし現実ではそういった事が多い。これも苦労人な枢機卿の悩みの一つだ。

タバサも誰にも言わないが、自分の過去の事例ほどではないにしろ不快な気分になるのは間違いない。
自分と同じような運命を辿る者は見たくない。痛みはタバサ自身、よく知っている。
それは自分と同じ痛みであり、自分が共有する痛みだからだ。

だが彼らを尻目に、康一は何でもないように言ってのけた。
「でもこのお酒、その舞踏会で出すお酒なんですよね。
それだと、そんな堅苦しいトコでじゃあなくて、皆で楽しく先に飲めちゃってチョッピリ得した気分じゃあないです?」

奇妙な一拍の間が生まれた。

その間に康一はグイッとグラスに注がれたワインを飲み干した。
「あー、ヤッパリ炭酸って美味しいなァ」
微妙に顔が赤くなったような気がする康一が、ワインボトルを掴んでまたグラスに注いだ。

そんな康一を見ているアンリエッタ達も、あれよあれよとボトルを掴んでワインを注ぐ。
そして皆でグイーッと煽るように一気飲みした。摘みを手に取るスピードも止まらない。
この後、もう一本ワインをマザリーニがワインセラーから持ってきて、それもあっという間に空けた。
何だか皆、割と結構楽しんで飲んでいた。

ちなみに康一は途中で潰れた。

231 :アンリエッタ+康一 ◆3D2JBRgybs :2007/10/12(金) 17:21:27 ID:onFHnpOF
投下完了
前回から少々間が空いてしまいましたが、何とか投下できました
お酒の話のくだりは、自分は全く飲まない人なので間違ってたら教えていただけたらと思います
康一くんのエコーズでの連絡方法などは、ACT1が何気に持続力Bなので問題ないかなと思って入れました

次は何とか一週間以内で投下できるよう頑張ります

232 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 17:22:38 ID:SRP43Mkx
ああっ、支援遅れた!
いいなあこのふたり

233 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 19:01:32 ID:zOyYNMnx
GJ!
やっぱりK1君はいいなあ
ほのぼのした雰囲気が素晴らしい


234 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 19:11:30 ID:2RdRGsM4
今北GJ!
康一君とアン様、アニエス、マザリーニが良い感じィ

235 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 19:26:14 ID:xYcQGPfX
止まった時の中で投下されたぜGJ!
康一君…身長に見合った量を飲みましょうよw

236 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 20:13:00 ID:Yhkh+GGm
康一君大分吹っ切れって来たなあ(w`GJ!
>>234
タバサは良い感じィじゃないと申したか?

237 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 20:18:10 ID:ShZWbzFf
なんか原作よりさらに背が小さくなってそうな気がするw
アン康GJ

238 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 20:55:38 ID:5DnnrIWg
GJ!ルイズとコーイチ邂逅なるか?

239 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 22:34:40 ID:2RdRGsM4
>>234
しまったッ
雪風さんも良い感じッスよォ〜!

240 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 22:38:34 ID:RmdYUw/D
GJ! アン康はいつもキャラが立っていて素敵です。
さて、では自分も続けて45分から投下しますが構いませんねッ!? 

241 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 22:45:47 ID:2RdRGsM4
この時間、時間指定、吉良と見た!
支援しても構いませんね?

242 :ゼロいぬっ!:2007/10/12(金) 22:46:12 ID:RmdYUw/D

ベッドの上に寝転がり枕下に本を広げる。
いつ果てるとも知らない白紙の祈祷書との睨めっこ。
必要最低限の時間を除いて全ての時間を詔の作成に当てている。
しかし、それでも一向に節どころか句さえも思い浮かばない。
そして、ついには睡眠時間を削っての作業に入っていた。
眼は虚ろ、髪を振り乱し、かつての麗しい彼女の姿は失われていた。
そんな状態でマトモな詔が浮かぶ筈はないのだが、
今の彼女にはそんな単純な判断も出来なくなっていた。
まずは四大系統に対する感謝の言葉を韻を踏みながら詩的に表現。
要は各系統のイメージを形にすればいいのよね。
えっと…火は熱い、水は冷たい、風は涼しい、土は固い。
思いついた通りにノートに書き記してからビリビリと破り取る。
書いている時は気付かずとも再度目を通すとダメなのがすぐ分かる。
いわゆる客観的な視点というヤツだろうか。
いや、それ以前に書いた内容が子供の作文以下っていうのはどうだろうか。

そもそも四大系統に対する概念が曖昧すぎる。
もっと身近にいる人物の系統でイメージすればいいのだ。
そう、例えば…風は無口、火は色ボケ、水は色ボケ、土はただのボケ。
あ、火と水が被った。それに、これじゃただの悪口にしかなってない。
何で私の周りにマトモな人間はいないのだろうと、ぶつくさノートを破きながら文句を呟く。
そもそも人で考えるからおかしくなるのだ。
純粋に系統だけで考えるなら使い魔の方が適任だ。
よし、なんとなくイメージが沸いてきたわよ。
火はきゅるきゅる、風はきゅいきゅい、水はげこげこ、土は…もぐもぐ?
って、これじゃあ鳴き声を並べただけじゃない!
こんなの提出したら末代まで笑いものになるわよ。
よし、気を取り直して再挑戦。
火は影が薄い、風は皆の馬車代わり、土は…。
そこまでノートに書き留めて破き捨てる。
そうよね。マトモじゃない主人の使い魔だもの。
ああ、私ってばなんて巡り合わせが悪いのかしら…。


243 :ゼロいぬっ!:2007/10/12(金) 22:47:36 ID:RmdYUw/D

「火はボウボウ、水はバシャバシャ、風はビュウビュウ、土は……」
壊れかけた言動を繰り返すミス・ヴァリエール。
それを遠見の鏡で見ながらオスマンは溜息をついた。
やはり早めに伝えておいて良かった。
あまり詩的な表現は得意そうではなかったので考える時間を多くしたのだが、
缶詰になった所でいい詔は生まれまい。
せっかく時間があるのだから使い魔と気分転換にでも行ってくれば良かったのだが。
不安を紛らわすようにオスマンは一人パイプを吹かす。
それを咎める秘書は今はいない。
生徒達が里帰りしている間もミス・ロングビルは残っていた。
彼女の故郷がどこにあるのかは知らないし、
ミス・ヴァリエールのように帰りづらい理由もあるのかもしれない。
しかし、ずっと働き詰めというのは酷と気に掛けていたオスマンは彼女に休暇を勧めた。
だが、まだ決心はつかないようで彼女は学院に残っている。
落ち着かないんで、とりあえず秘書の仕事の方は休んで貰っているが。

そして同様に休暇を勧めたミスタ・コルベールは、
かねてから予定していた秘宝探しの旅に出て行った。
時間がないからこそ気分転換を味わって貰いたいものだ。
しかし宝探しとは、子供心というのはいくつになっても変わらない。
儂も若い頃は冒険に心を躍らせたものだ。
群がるドラゴンどもを千切っては投げ千切っては投げの大活躍。
それを自伝にしたら全63巻ぐらいはいくんじゃなかろうか。
題して『オスマンの奇妙な冒険』。
むむ、なんだか爆発的ヒットの予感がしてきたぞ。
思い立ったが吉日。さっそく執筆に取り掛かったオールド・オスマンが、
自分の文才の無さに気付いたのは数時間後に文章を読み直した時の事であった。


「…くぅん」
タルブ村に向かう馬車の中で彼が切ない声を上げる。
果たしてルイズは大丈夫なのだろうか。
朝一人で起きれるのか、ちゃんとご飯は食べているのか、色々と不安で仕方なかった。
なんか主と使い魔の立場が逆転してるが気のせいだろうとデルフは黙する。
「もうすぐですから我慢していてくださいね」
それを馬車旅に飽きてしまったと勘違いしたシエスタがフォローする。
まあ、それも間違いではない。ここ最近、馬車での移動が多かったのも確かだ。
風を切るように飛ぶシルフィードの背と違い、ゴトゴト揺られて走る馬車はどこか好きになれない。
ずっと前、まだ向こうにいた頃にもこうして運ばれていた。
窓も無い鉄の車両の中、自分は檻に入れられて何も分からないまま連れて行かれたのだ、
あの冷たく無機質な研究所の中へと…。
電車がレールの上しか走れないように、自分の運命も定められていた……この奇跡が起きるまでは。

「あ。見えましたよ! あれが私の故郷です」
シエスタの言葉に反応しピクリと耳が動く。
ようやく辿り着いたタルブ村は本当に田舎だった。
しかし彼にとっては物珍しく、それに何故だか心が和んだ。
シエスタと父親が再会を喜ぶ横で、水を差さないように探索に乗り出す。
ふんふんと鼻を鳴らし、あちこちの匂いを嗅いで回る。
その彼の上に影が差した。
見上げればそこにはコルベール先生の姿。
だけど先生がこんな所にいる訳はないから良く似た誰かなのだろう。
世界には似た人が三人居るらしいし……あ、匂いまでそっくりだ。
「君はミス・ヴァリエールの使い魔の…。ここで何しているのかね?」
あ、声も似てる。それに自分の事も知ってるなんて、ますますコルベール先生そのものだ。
「相棒。長旅の連続で疲れてるのは分かるけどよ…そろそろ目を覚ましてくれ」


244 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 22:48:41 ID:2RdRGsM4
しぃいぃぃいぃいいぃまったぁぁぁあああぁぁぁぁあぁぁあ!!
改めてバオー犬支援!両先生すみません!!

245 :ゼロいぬっ!:2007/10/12(金) 22:50:11 ID:RmdYUw/D

運ばれてきた鍋を囲みながら一行は歓談に沸く。
勿論、話題の中心はコルベールがここに来た目的についてだった。
「“竜の羽衣”ですか?」
「そうです。それを使えば自由に空を飛びまわれると聞き及んだので」
自分の問いに目を輝かせて答えるコルベールにシエスタが少し苦笑いを浮かべる。
彼の言う“竜の羽衣”とは自分の曾祖父の持ち込んだ物だ。
曾祖父は立派な人物ではあったが変わり者という認識は誰もが持っていた。
一度だけ“竜の羽衣”を見せて貰った事があったが、よく分からないガラクタだった。
そんな物を見せても落胆させるだけだとシエスタがやんわりと否定する。
「でも、アレはマジックアイテムとかじゃないですよ」
「…いや、だからこそ探しに来たんじゃねえのか?」
「はい。推察の通りです」
かなり省略したデルフの言葉をコルベールが肯定する。
意味が分からずシエスタは目を丸くさせる。
マジックアイテムでもなく、人間を自由に飛びまわらせるアイテム。
そんな物は“この世界”には存在しない。
だが、別の世界…相棒が来た世界ならばそういう物があってもおかしくはない。
そして、それに使われているのは魔法ではなく科学技術。
そこから得られる知識はコルベールにとっては何よりの財宝なのだ。
その隣で、彼はお椀に盛られた『ヨシェナヴェ』をガツガツと頬張る。
彼にとっては興味の無い話だったし、想像以上に料理は美味しかった。
しかし彼とは無関係な話ではなかった。
コルベールが注目したのはもう一点。
竜の羽衣の持ち主はそれを使ってこの世界に現れたという点だ。
彼や『異世界の書物』を初め、こちらに来るのは召喚されるケースがほとんどだ。
なのに、その人物は召喚されずに異世界から現れたのだ。
そこに彼を元の世界に帰す手掛かりがあるのではないかとコルベールは予想していた。
そして奇しくもその予想は的中する事となった。

「こちらです」
シエスタが案内する先には奇妙な形の寺院。
丸木を組んで形にしたような門。
何かで白く塗り固めた壁。
縄を巻いて左右に広げ紙を吊るした飾り。
なるほど。これならば風変わりな人物と言われるのも仕方ない。
今までに見た事もない物を拝んでいれば怪しまれるだろう。
だが、これが異世界の風習ないしは宗教だとすれば辻褄は合う。
期待を胸にコルベールは更に足を進める。
そして、不意に彼の足が止まった。
彼の眼前には緑に塗装された異形の巨体。
これを何と表現すればいいのかコルベールは思い付かない。
「相棒、これは……」
デルフの問いに答えず彼は機体へと前足を伸ばす。
確信があった訳じゃない、ただ漠然とした予感があった。
それを裏付けるように彼のルーンが輝き始める。
まるで自分の手足のように末端に至るまで意思が通る。
『零式艦上戦闘機』……それが“竜の羽衣”の正体だった。

246 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 22:52:02 ID:kRyB80gE
わんちゃん可愛いよ支援

247 :ゼロいぬっ!:2007/10/12(金) 22:53:29 ID:RmdYUw/D

「素晴らしい! つまり、これがあればメイジでなくとも空を飛べるのですね?」
「それがよ、相棒によると燃料…風石みたいなもんが無いから飛べないらしいぜ」
デルフの通訳を介し、目の前の物が空を飛ぶ機械と説明した。
コルベール先生が喜んでくれるのは嬉しいが、使い方が分かっても自分では動かせない。
てっきり失望するものだと思っていたコルベールだったが熱は収まるどころか激しさを増す。
「いやいや、これの動かし方さえ彼から教えて貰えば大丈夫。
燃料の方もまるっきり未知の物質という訳ではないようですから錬金で作り出せるでしょう。
それに飛べなくとも、ここから得られる技術はとても貴重な物ですよ!」
もう喜色満面のコルベールは買って貰ったばかりの玩具のように戦闘機を触りまくる。
正直、彼の技術に対する執着は凄いと思った。
彼なら必ずこの戦闘機を空へと運ぶだろう。
そして、いつの日か自分で飛行機を作り出し自由に舞うだろう。
それは人間にしか成し得ない偉大な奇跡。
ルイズとは違う人間の強さを垣間見た瞬間であった。

シエスタの父は呆気ないほど簡単に“竜の羽衣”を譲ってくれた。
価値の分からない人間が持つより分かる人間の方が良い。
それにシエスタを救ってくれた恩人へのお返しになるなら安い物だと笑っていた。
ただ祖父の遺言である“本来の持ち主への返却”は果たして欲しいと付け加えられた。
それにコルベールは同意し“竜の羽衣”は彼の手に渡った。
「ま、どうせ相棒には必要ない物だしな」
自慢の交渉術や唸るほどの金を保有していたデルフがつまらなそうに呟く。
それを聞き流しながら、彼は僅かな疑惑を感じていた。
何でそんな事を考えたのかは判らない。
ただ、なんとなく彼を見ているとそう思えて仕方がないのだ。
「ふう…ようやく運ぶ目処が立ったよ」
運搬の手続きを終えたコルベール先生が疲れたように隣に腰を下ろす。
その彼の顔を、伏せたままの姿勢で彼が見上げる。
確かに疲労の色は出ているが、それ以上に満足そうだった。
不意にコルベールが口を開く。
「知っているかい? 彼女の曾お爺さんはアレに乗ってやって来たんだ」
「………!」
彼の上体が跳ね起きる。
その言葉が秘める意味に彼もデルフも気付いたのだ。
だがデルフは口を挟まない。
コルベールは相棒に話し掛けているのだ。
そこに茶々を入れる余地など無い。
「こちらの世界に来た“竜の羽衣”は二つ。
一つは今、私達が持っている物。そしてもう一つは日食の中に消えたそうです。
もしかしたら…元の世界に戻れたのかもしれません」
かつてコルベールが言った言葉は実現しつつあった。
それが自分の為と信じ彼は力を尽くしてくれた。
喜ぶべき事だって分かってるのに何故か辛かった。
帰る方法など見つからなければ良いのにと思っていたのかもしれない。
そうすればこの世界にいる事を悩むなくて済むのに…。
苦悩する彼の心境を察してもなおコルベールは続ける。

248 :ゼロいぬっ!:2007/10/12(金) 22:56:08 ID:RmdYUw/D
「本当の事を言うと、これは私自身の為にしているんです。
私が君の元いた世界に行ってみたい…そんなワガママなんですよ」
何故?と不思議そうにコルベールを見つめる。
優しげな表情は変わらないのに、彼の顔がどこか悲しそうに映った。
「そうですね。君にとって此処は“楽園”なのかもしれない。
そんな場所から出ていくなんておかしいと思うのも無理ないでしょう」
心配しているように見えたのかコルベールの手が彼の頭を優しく撫でる。
ちょっと薬品の匂いがキツイ大きな手に視界が塞がれる。
むぅと少し離れようとした瞬間、冷たい声が響いた。
「でも此処は“楽園”なんかじゃないんだ」
背筋がゾクリと震えた。
最初は誰の声か分からなかった。
それが自分の良く知る人物から発されたとは思えなかった。
コルベールはそれだけ告げると背を向けて立ち上がる。
「次の日食までには“竜の羽衣”を飛べる状態にしておきます。
それまでに自分の答えを導き出してください。
最良の選択肢が常に最高の結果を招くとは限りません。
だからこそ自分の意思で、後悔のない選択を」
そのまま顔を見せることなくコルベールは立ち去った。

一人残された彼の頭に最後の言葉が残響する。
空を見上げる、そこにはもう馴染みになった二つの月が浮かんでいた。
今夜はやけに空が近くに見える。
前足を伸ばせば月にさえ届いてしまいそうだ。
自由がなかった頃は想像さえつかなかった。
どこにでも行ける事がこんなにも苦しい事だなんて…。


「……誰だい?」
自室で一人、退屈を満喫していたフーケが尋ねる。
無論、部屋には彼女以外誰もいない。
窓を開けると微かだった人の気配が濃密に変わった。
「流石は『土くれのフーケ』…いや、マチルダ・オブ・サウスゴータと呼んだ方が宜しいかな?」
「っ……! 姿も見せずにコソコソと、一体何の用だい!?」
風に乗って聞こえる声が挑発的に耳に響く。
熱くなっては負けなのだが、自分の通り名どころか本名さえ知られていた。
その事が彼女から冷静さを奪っていたのだ。
「これは失礼。夜分に女性の部屋を訪れるのはいささか無礼と思ったもので」
「はん! よく言うよ、勝手に女性のプライバシーを調べておいてさ」
悪態をついてみたが形勢は宜しくない。
わざわざフーケの名を最初に出したのは脅迫だ。
もし、ここで人を呼べば自分の正体を白日の下に晒す気だろう。
「争う気はない、君をスカウトしに来た。我々は優秀な人材を求めているのでな」
「お褒めに預かり恐悦至極、とでも言うと思った?
どこの組織か知らないけど名前ぐらい明かすのが筋でしょうよ」
「これは重ね重ね失礼した。我々の名はレコンキスタ。その行動目的は……聖地の奪還」
その目的を聞いた瞬間、私は笑い飛ばそうとした。
まるで夢物語のような目標を、そいつは絶対の自信を持って告げたのだ。
それが熱意なのか狂気なのか判断は付かない。
ただ学院で腐っているよりは面白そうな気がした、それだけだった。


249 :ゼロいぬっ!:2007/10/12(金) 22:57:14 ID:RmdYUw/D

「はぁ……暇ね」
投げ出したノートを横目に見ながら、ごろりと寝返りを打つ。
気分転換にキュルケ達の所に行ったのだが皆、留守だった。
ギーシュはモンモランシーのご機嫌取りの為だろうけど他の連中は何してんだか。
少し前までの冒険の日々が懐かしい。
戻ってきたらまたどこか一緒に探検に出掛けようか。
その妄想もすぐに尻すぼみに消えていく。
理由は簡単。あいつが傍にいないからだ。
あいつが現れてから一人で過ごす事が無くなったからか無性に寂しさを感じる。
ふと思う。もし、あいつが元の世界に帰ってしまったらどうするのか?
そしたら今居るキュルケ達とも疎遠になって一人ぼっちになってしまうのか。
「やめやめ」
枕を壁にぶつけて八つ当たり。
そんな事は有り得ない。
使い魔を帰す魔法なんて無い。
そんなものは悪い想像にしか過ぎない。
目を閉じて眠りに落ちようとする彼女の耳に窓が軋む音が響く。
「……嫌な音」
まるで嵐の前兆のような風の音に、彼女は何か予感めいた物を感じていた…。


250 :ゼロいぬっ!:2007/10/12(金) 22:58:46 ID:RmdYUw/D
以上、投下したッ!!
次回こそ本当にアルビオン編!

251 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 23:02:14 ID:kRyB80gE
GJ!
コルベール先生・・・言ってることが重すぎです・・・

252 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 23:08:50 ID:IAhXbF4s
惜しみないGJ!


253 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 23:09:10 ID:2RdRGsM4
GJGJ!
怖いなコルベール先生…初めてコルベール先生が怖いと思いました

254 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 23:15:24 ID:EcIDg0Lr
GJ
しかしコルベール先生の言葉は重いな
なんか一人でも竜の羽衣で世界を渡りそうだな

255 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 23:18:24 ID:lPvfNkvG
天国と地獄を分けるものがあるならそれは自己の意思だ
楽園とは何だろうね

256 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/12(金) 23:42:10 ID:TdxoMwvr
毛があるってことさっ!

257 :ショーも無い微ネタ思いついたんで:2007/10/13(土) 00:39:57 ID:TK1htwEG
神の左手ガンダールヴ。勇猛果敢な神の盾。左に握った大剣と、右に掴んだ長槍で、導きし我を守りきる。

神の右手がヴィンダールヴ。心優しき神の笛。あらゆる獣を操りて、導きし我を運ぶは地海空。

神の頭脳はミョズニトニルン。知恵のかたまり神の本。あらゆる知識を溜め込みて、導きし我に助言を呈す。

そして最後にもう一人……。「4つ」のものから、ひとつ選ぶのは、縁ギが悪いんだ!因って記すことさえはばかれる……。

三人の僕を従えて、我はこの地にやってきた……。

                                          ブリミル・ルミスタ・ユル・ヴィリ・ヴェー・ヴァルトリ

258 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 00:41:43 ID:CmTBZFAw
斬新な理由でハブられてるwww
四人目涙目www


259 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 00:44:11 ID:y8EQ1iJO
何処のミスタだブリミルッwwwww

260 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 00:48:19 ID:vw/33Irn
ブリミル・ル「ミスタ」・ユル・ヴィリ・ヴェー・ヴァルトリwwwwwwwww

261 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 00:48:46 ID:Pke9Jgxl
よく見たら名前にミスタが混ざってるwww

262 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 01:00:42 ID:4pLmtJWx
たった数行なのに感動したwwww見事な発想www

263 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 01:05:21 ID:Kpl6FMoH
6000年前………


ブチャラティ「恋人でも出来たのか?ミスタ。」
ジョルノ「ミスタ、何書いてるんです?」
トリッシュ「ケチらないで見せなさいよ、ミスタ。」
アバッキオ「おいおい、見せろよ、ミスタ。」
ナランチャ「ミスタがラブレターを………!?
あれ?目にゴミが(ry」

264 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 01:09:25 ID:neJ1KtNw
なんというミスタwwwこの(伝承の)臭さは本物のワキガwww

265 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 01:28:58 ID:+FykZ9BO
ルミスタめッ!www
>>263やはり途中退場の彼はいないのか

266 :来訪者:2007/10/13(土) 01:55:07 ID:8YnFeVZV
また投下が遅れてすまない。

それじゃあ気を取り直して投下しよう

267 :ゼロの来訪者:2007/10/13(土) 01:56:23 ID:8YnFeVZV
「…というのが、カトレアお嬢様のご病状です」
「はぁ」
育郎が初老を迎えたカトレアの主治医の説明に、生返事で答える。
そもそも育郎は医者でもなければメイジでもないのだ。その二つを要素をまざった
説明などされても、理解できるはずもない。
「どうかしましたか?」
「あ、いえ、凄い部屋だなと思って」
そう言ってごまかす。しかし、実際部屋の様子が気になっているのも確かだ。
治療はカトレアの部屋で行う事になったのだが、その部屋がまた凄いのだ。
ただ豪華だと言うのなら、育郎もそろそろなれてきたのだが、この部屋は
それだけではなかった。
「ほら、この子が貴方が学院に行く少し前に、道で倒れてたあの子よ」
「お、大きくなったのね…倒れてた?」
カトレアが頭をなでる蛇の大きさに、少し驚いた様子を見せるルイズ。
周りを見れば、他にもさまざまな動物の姿があった。
ハムスターらしきねずみ、リス、猫、犬、山羊、羊あたりはまあ良いとして、
子馬や子牛、さらにはサラマンダー程の大きさのあるトカゲや熊までいる。
「…カトレアお嬢様は動物がたいそうお好きで」
「そ、そうですか」
さすがに限度と言うものがあるんじゃないか?とは思ったが、思わず目を
そらした医者を前にして、さすがにそんなことは言えない育郎であった。
「まあ、それはそれとして…すいません。少し部屋からでてもらえませんか?」
「なんですと?」
育郎の言葉に、医者が軽い驚愕の声をあげる。
東方の医学がどのようなものかという興味は勿論、この医者と呼ぶにはあまりにも
変わったみなりをする平民の少年が、なにかおかしな事をしないかと、この医者は
見張るつもりでもあったのだ。
「その、いろいろ事情がありまして…人に見られてるとちょっと…」
「いや、だが何かあった時、主治医の私がいないと」
「ならドアの前で待ってれば良いじゃない」
育郎の事を察してくれたキュルケが、何とか食い下がろうとする医者に言い放つ。
「しかし…」
「私はかまいませんわ。ルイズが連れて来た方なんですもの」
「お嬢様…わかりました。カトレアお嬢様がそうおっしゃるなら」
カトレアの言葉に従い、渋々とだが医者は部屋をでる。

268 :ゼロの来訪者:2007/10/13(土) 01:58:33 ID:8YnFeVZV
「私達もでたほうがいい」
「そうね、じゃないと話がこじれるし」
そういってタバサとキュルケも部屋をでる。
「私は…主人だから良いわよね?」
そうしてルイズとカトレア、育郎の3人と無数の動物達が部屋に残った。
「それじゃ育郎。お願い…」
「うん、カトレアさん、目をつぶってもらえますか?」
「ええ」
「良いと言うまで目を開けないでください」
「はい」
育郎の言葉に素直に従うのを確認し、己の身を異形へと変える。
その様子を見た動物達の何匹かが鳴き声を上げる。動物達が暴れださないかと
心配するルイズが、育郎にはやく治療するように促そうとするが、当の育郎は、
何故かその場でじっと固まっていた。
「ねえ、どうかした」
「あらあら」
「………」
動物が騒ぎ出した事に驚いて…ではなくて、騒ぐ動物達が心配だったのだろう。
カトレアは何が起こっているかを知る為に、もっとも単純な手段を使っていた。
簡単に言うと、目を開けたのである。
つまり今カトレアは、しっかりと変身した育郎を目撃してしまったのだ。
「ルイズ…貴方の使い魔って悪魔さんだったのね」
「あ…あの、ちいねえさま。育郎は悪魔なんかじゃなくて」
学園で流れる噂を思い出し、もしカトレアが誰かをよびでもしたらと、ルイズの
背筋に嫌な汗が流れる。
「そうだわ!」
「ちょ!ちょっと待ってくださいちい姉さま!」
ポン、と目の前で手をたたき、何かに気付いた様子を見せるカトレアに、
ますます焦るルイズ。
「えっと、ちいねえさま。イクローは東方の…ってちいねえさま聞いてます?」
まったく話を聞いてない様子のカトレアが、困った顔をして動物達を指差した。
「あの…私はかまいませんが、この子達は食べないでくださいね?」
「食べません」「バル」

269 :ゼロの来訪者:2007/10/13(土) 01:59:58 ID:8YnFeVZV

「そういえば…どうやってあの人を治すのかしらね?」
カトレアの部屋の隣の部屋で待つことになったキュルケが、自分の隣で
いつものように本を読むタバサに話しかける。
「ギーシュを治すのは見てたけど、どうやってかはよくわからなかったのよ。
 何か飲ませてたみたいだけど…」
暇なので言ってみただけなので、特に返事は期待していなかったのが、タバサは
本を置いてキュルケを見た。
「彼の…」
血液と言いかけて、口を閉じる、
「か、彼の…なに?」
何故か興奮した様子のキュルケを見ながら、血を飲ませる等と言ったら、学院で
流れる噂を信じて、彼を悪魔などと思うのではないかと考え、言いなおす。
「彼の体液」

        「   体     液   !!!」


270 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 02:00:47 ID:6+jlKWSh
タバサはもっと言葉を選べwwwwwwwwwwww支援

271 :ゼロの来訪者:2007/10/13(土) 02:01:42 ID:8YnFeVZV

「じゃあ、目をつぶって…」
「あ、はい」
カトレアが目を閉じると、何処からともなく触手たちが現れる。
「それを舐めてください」
その一本をカトレアの唇に押し付ける。
「わ、わかりました…変なにおいですね、んちゅ」
注・治療の一環です。
「ち、ちい姉さま、よく舐めてくださいね」
身体に数本の触手を巻きつけられたルイズが、上気した顔でそう言う。
注・治療の一環です。こう、ルイズからパワーをもらってる的な。
「え、ええ…きゃあ!」
胸をまさぐる触手の感触に悲鳴を上げるカトレア。
注・治療の一環です。胸を刺激して何かを活性化させる的な。
「大丈夫…心配ありません。そのまま舐めていてください…
 もうすぐ薬が出ますから…とっても良く効く薬ですよ」
さらなる数の触手たちがカトレアの身体に…

じゅるり
「す、素敵な治療ね…」
「?」


272 :ゼロの来訪者:2007/10/13(土) 02:05:14 ID:8YnFeVZV

等とキュルケが妄想をしている時、カトレアの部屋では、既に治療が終っていた。
「これだけで…よろしいの?」
意外と抵抗なくバオーの血を飲んだカトレアが、育郎に尋ねる。
「ええ…というか、僕にできることはこれぐらいで…」
「ちいねえさま…どう?調子は?」
「そうね、今日はもともと調子がよかったから…ちょっと待って」
カトレアが懐から杖を取り出す。
「ちいねえさま、魔法を使うつもりなの!?」
驚くルイズに、カトレアが小さく頷く。
「ルイズ?」
「魔法はちいねえさまの身体には負担が大きいの…
 コモンぐらいなら大丈夫だけど、おおきな魔法を使うと」
「そんな…カトレアさん」
心配そうに自分を見る二人に、カトレアが心配ないと笑いかける。
「大丈夫よ、負担はちょっとだけになるように加減するから」
そう言って、窓にむかって歩き出し、呪文をとなえ、外に向かって杖を振る。
すると、かなりの大きさの土ゴーレムがその場にあらわれた。
「すごい…」
思わず感嘆の言葉を上げる育郎。
「15メイルはあるわ…え?」
突如ゴーレムが土に返る。
「ちいねえさま!?」
姉に何かあったのかとルイズが振り返るが、当のカトレアは無言で立ったままだ。
「カトレアさん?」
育郎の言葉を無視し、カトレアはもう一度呪文を唱え、杖をふった。

273 :ゼロの来訪者:2007/10/13(土) 02:08:08 ID:8YnFeVZV
「これは…さっきの倍はあるぞ!」
先程ゴーレムが立っていた場所に、30メートルはあろうかという巨大な
土ゴーレムが佇んでいるではないか。
「ちいねえさま…大丈夫なの?」
恐る恐る問うルイズに、カトレアは顔に満面の笑みを浮かべて答える。
「ええ、全然負担を感じないのよ!すごいわ!」
その言葉を聞いたルイズは、見る見るうちに顔を輝かせた。
「本当に?イクロー、ちいねえさまの身体が治った!治ったのよ!」
「ああ、よかったね。ルイズ」
イクローの顔にも、安堵の笑みが浮かぶ。
「それにしても…本当に調子が良いのが自分でもよくわかってきたわ。
 ンッン〜〜〜〜♪
 実にッ!スガスガしい気分ねッ!
 歌でもひとつ歌いたい気分だわ、ふふふふふふふ!」
「ちいねえさま、あんまりはしゃいだら…」
「大丈夫よルイズ!3年前に、国一番の水のメイジに診てもらった事があるけど」
そういって、おもむろに自分のこめかみに指を押し付けるカトレア。
「こんなにもッ!絶好調のハレバレとした気分はなかったわ………
 ふふふ、貴方の血のおかげね、本当に調子が良いッ!」
「あ、あの…カトレアさん?」
「ち、ちいねえさま?」
「最高に『ハイ!』ってやつよおおおお!うふふふふふふふふふふふふ!!!」
なんだか事情でないはしゃぎようのカトレアに、言いようのない不安を感じる
ルイズと育郎であった。

274 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 02:08:31 ID:VWMSt6SM
キュルケに変なフラグが立ってるww支援!

275 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 02:10:19 ID:h/30YStN
そのうちWRYYYYYYYYYYYYYYYとか奇声を上げだしかねん支援w

276 :来訪者:2007/10/13(土) 02:11:09 ID:8YnFeVZV
投下終了。

実は前回どうにも育郎のことを信用できなヴァリエール公に、
キュルケとタバサが自分の名前を名乗って、無事を保障する
なんて感じのやつを最初に書いたのですが…
今回がこれなのであんな感じになりました。

さて、次は暴走編です
お楽しみに

277 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 02:13:42 ID:+FykZ9BO
>>なんだか事情でない、尋常でない?かな支援

278 :来訪者:2007/10/13(土) 02:17:28 ID:8YnFeVZV
>>277

その通りです。
いやん

279 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 02:23:00 ID:Xj6Woc6N
カトレアさんのぽけぽけぶりに癒されたと思ったら…
キュルケェエエエエエエエエエエエッ!?

280 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 02:38:08 ID:+N5oh8ML
GJ!
毎度毎度思うが、あんたのとこのキュルケはもう駄目だw

281 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 02:51:32 ID:1si87ou+
むしろ一番輝いてるキュルケだと思う


明らかに黄金とは別の輝きで

282 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 03:12:42 ID:ds00wOjc
その輝きはラブホテルのネオンの如し。
乙乙。

283 :名無しさん@お腹いっぱい:2007/10/13(土) 03:14:44 ID:wid4b/3Z

 まさに小ネタ。

 だがそれがイイ!

284 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 03:50:38 ID:8cNSKXHs
GJ
暴走といわれてまずキュルケを疑わなければいけない時点でもうだめだ
勿論治療的な観点で

あと、投下が遅れてるなんて思ってる奴はこの場にはいないぜ!

285 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 07:55:01 ID:CmTBZFAw
この下品な輝きは間違いなくキュルケ

286 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 09:42:53 ID:ZVF+R6Pm
キュルケ「あなた達は、私をはしたない女だと思うでしょうね」

287 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 09:47:17 ID:WqK1GD2/
キュルケの暴走っぷりに笑った
カトレアはいつの間にDIO様に…

288 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 09:52:58 ID:CtM2lYlY
というかキュルケ育郎がギーシュに何をのませたと思ったんだw

289 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 10:09:09 ID:LamYQSV5
それはその……

          「体 液 ! !」

だろ。イクロー君GJ!毎度おもしろいぜ。バオーに興味沸いたから買ってこよう。

290 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 10:15:28 ID:TK1htwEG
GJ!
キュルケの病気はバオーでも治せないなwww

291 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 11:14:02 ID:Em4jdrbp
キュルケが病気?
      ,/ ̄ ̄ ヽ
     /        ',
     {0}  /¨`ヽ {0},  いいえ、彼女(キュルケ)のスタンドです
     .l   ヽ._.ノ   ',   
    /   `ー'′   ',   
  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ コッパゲ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
  |                               |

                 /   /   i
                /   / !   !  
               /⌒) / /  /
             /(  ノノヽ,  /
            /    ̄   ', ノ
            |        ',
            {0}  /¨`ヽ  {0}, 
            |  |   |   ',
            .l   トェェェイ   ',   
            |   .|   |   ',
           /   `ー'′   ',
           |          ',
           ノ           ',
  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ ネ ピ ア / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
  |                               |

                 /   /   i
                /   / !   !  
               /⌒) / /  /
             /(  ノノヽ,  /
            /    ̄   ', ノ
            |        ',
            { }  /¨`ヽ  { }, バリッ
            |  |   |   ',
             ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

            ______
            .l   トェェェイ   ',   
            |   .|   |   ',
           /   `ー'′   ',
           |          ',
           ノ           ',
  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ ネ ピ ア / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
  |                               |

292 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 12:04:15 ID:kDreL0t6
>>291
途中からネピアのままじゃねーかw

293 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 12:08:28 ID:WBXnsAYw
>>291
トゥートゥー?トゥートゥーじゃないか!!


294 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 12:13:18 ID:0B7iY8wH
これが!これが!!これが!!!キュルケ、『エロ同人フェノメノン』!!
そいつに触れる者は「痴」を意味する!!!

295 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 13:50:11 ID:M3gce2Sm
これは……ハイ!になったカトレア姉様ラスボスフラグか。

296 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 17:38:38 ID:WBXnsAYw
でもなぁ…、
『体液』はないよなw

結局タバサは吐き捨てた形になって事態の収拾はルイズと育郎に丸投げになったわけだがw

297 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 18:34:19 ID:Em4jdrbp
         (<、,,> ":::::::::::::::::::::::::::: 、
      〜〈/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::)
       〃:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::<、    ど へ こ
     ~そ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,)   も ン の
  、_ ,, /::::::::::::::::::::::::、,ゝ===く:::::::,:::::ヽ  め タ
    `V:::::::::::::::::::::::::{0}::::::/¨`ヽ::::::{0}:::< ! イ
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 〜v,ん:::::::::::::::::::::::::::::::::::`ー'′`:::::::::::::/l/!/⌒Y
     l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
 、m,.. ,ゞ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
 ´ " ~ ヘ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

298 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 18:38:09 ID:tyHBThR2
キュルケにしろ、ギーシュにしろ、作品ごとに人物の描写というか、方向性が異なっていて面白いなwww

299 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 18:45:22 ID:Kpl6FMoH
ペット・ショップのキュルケの脳内もたしか………
(以下、R18)

300 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 19:04:34 ID:4pLmtJWx
カトレア「うふふふふふぅwWWWRRRYYYYYYYYY!」

皆キュルケに注目してるが、カトレアさんのハイっぷりも吹いたwww
原作でも「病弱なのに魔力は強大」って設定なのに病弱がなくなったらどうなるんだww
やべえ、このカトレアさんの魔力はそのうち時を止めるwww

301 :兄貴:2007/10/13(土) 20:51:36 ID:o0CgE9zq
最近、ガトー少佐(50kb)とかいうベリーメロン行為してアレだったけど
皆、生きてるかなー?九時からスタンド攻撃だ…ちと、能力の介錯が間違ってるかもしれんがこらえてくれ

302 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 20:54:08 ID:IzyR3/Ul
支援すると思った時ッ!既に支援は完了しているんだッ!!

303 :兄貴:2007/10/13(土) 20:59:38 ID:o0CgE9zq
石造りの床を鳴らしながら歩くのは、銃士隊隊長のアニエス・シュヴァリエ・ド・ミランだ。
この前の事件の傷は、アンリエッタの治癒魔法で綺麗サッパリ治っている。
王宮では珍しい剣士を見て、周りのメイジが聞こえよがしに中傷を投げかけるが、一瞥もせずに歩く。
まぁ言うと、前のアンリエッタが攫われた時に現れた男の事が気になっていたからだ。
「陛下をお助けになったのは、ヴァリエール家の御息女達だと聞いたが…ならばヤツは何処に行ったのだ」
途中で二騎が離れていったというから、恐らくそれと戦ったのだろうが、確証が無いし、何より姿を見せないと言うのが妙だ。
味方なら、姿を隠す必要が無いし、敵であるなら、自分達の命は無いはずだ。
死んだとは思えないし思ってもいない。メイジではないようだったが、何か別のような物があると感じた。
「考えたところで仕方無い…か」
そこまで考えて思考を打ち切った。
答えの無い考えをしても仕方ない。それよりは、今目の前にある問題を処理せねばならない。
ただ、次に会った時は、蹴りの一発でも入れてやらねばならないとは思うが
とりあえずは、当面の問題を解決すべく、執務室に向かう。
「陛下は今、会議中だ。改めて参られい」
「アニエスが参ったと伝えて頂ければ。私、いつ如何なる時でもご機嫌を伺える許可を陛下より授かっております」
衛士隊の隊員が不承不承の体で執務室に消えていったが、しばらくすると入室の許可がアニエスに与えられ中に入っていった。


「…ったく…なんで、ここはこんなに動物が居んだよ」
いい加減慣れてきたかと思ったが、心なしか数が増えている気がする。
小動物ならともかく、デカイのとかまで。
正直、勘弁してくれとカトレアに言ったのだが
「あら、あなたもその内の一つだったのよ」
「…オレも動物扱いか?洒落なんねーよ」
とのこと。

どうも、カトレアは苦手だ。本調子が全く出ない。
シエスタもストレートに突っ込んだとこまで聞いてくる時があるので、苦手な部類に入るのだが
こちらは、為す事全て綺麗に受け流されているような気がする。
正真正銘のド天然である。
頭を掻きながら、渋い顔をする。どうもこっちに来てから、こうする事が多くなった。
そろそろ暗殺チーム苦労人ナンバー1に昇格かもしれない。
(苦労を背負い込むのはオメーの役目だぜ?地獄で笑いながらこっち見てんじゃねーだろうな)
まぁ、そう思った本人ですらリゾットが笑っている姿なぞ一切見た事が無いから想像もできない。
これが他のメンバーなら容易に想像ができるのだが。リゾットだけはどう足掻こうが無理、無駄だ。
行ける場所ならすっ飛んで行って殴り飛ばすのだが、生憎自殺願望は無いし、ハイウェイ・トゥ・ヘルも発現していない。
(オレが行ったとき、オメーら全員ジジイじゃあ、グレイトフル・デッドの意味がねーぜ)
そこまで生きるつもりがあるというわけではないが、そう思わないとやっていけない。
こういう時は表と裏の切り替えが見事なホルマジオが羨ましくなる。
路上商人などをやらせたら右に出るものは居ないはずだ。

304 :兄貴:2007/10/13(土) 21:01:24 ID:o0CgE9zq
渋面をしながらそんな事を考えていると、逆に笑いながらカトレアが覗き込んできた。
いきなりだったので、さすがに怯む。
下の方を向いていたため、覗き込まれるような感じだ。
一般人なら、かなり動揺するとこだが、そこは元ギャング。その辺りは定評がある。
「あなたって、どこかエレオノール姉様に似てるわ」
「…あいつとか?」
ok。ペッシなら殴ってるとこだ。
「そうやって、難しい顔しながら考え事してるところとかそっくり」
「…オレはあいつ程良い趣味は…いや、気にすんな」
もちろん、この前の『妖精さん』の事だ。
中々に面白い光景だったのだが、一応は他言しないと言ってある。
まぁ、バレたらバレたでオレの知ったこっちゃあねー。という感じなのだが。

で、その妖精さんであるが、ここより離れたアカデミーにおいて、お仕事中である。
だが、明らかに何時もと違うと言うか、なんというか、燃え尽きている。
いつ、領地で妖精さんの件が広まるか分かったもんではないと気が気ではないからだ。
その心境たるや、水族館のある囚人の言葉を借りるとまさに「飛びてェーーーーーー」というところであろう。

「あら!もう姉様と仲良くなったのね」
もうマジにメローネでいいから変われと言いたくなる。
反論しても、妙な方向に話が進みそうだったので答えなかったのだが、カトレアが激しく咳き込んだ。
体が弱いという事は知っているので、別段慌てたりはしないが。
「そろそろか。大分読めるようになってきたからな。まぁ無理すんな」
「ふふ、いいのよ。結構楽しいんだから。外の事も教えてくれるし」
九割方情報目的なのだが、さすがに悪いと思わんでもない。
だが、利用できる物は利用する。そうでもしないとギャング界ではやっていけないのだ。
ただまぁ借りを作るというのも気に入らない。恩にしても仇にしてもだ。
「わたしより、わたしの可愛い妹をどうかよろしくお願いいたしますわ」
「…まだ何も言ってねーぞ」
勘が鋭いってLvじゃあない。メローネが見たらニュータイプだ!と言いそうである。
「戦が近いというのはご存知でしょう?そうなると、あの子は行ってしまいそうな気がする
  正直、行ってほしくはないけど、それは、あの子が決める事。だから、よろしくお願いしますわ。騎士殿」
「ハッ…!そんな上等なモンじゃあねーよ。オレは…」
そこまで言って、考える。
スデに使い魔でも無いし、命を救われた借りも返したと言ってもいい。
一般的に言えば、もうどうなろうが知ったこっちゃあないはずだが、関わろうとしている。
色々考えたが考えるのを止めた。考えるだけ面倒になっただけだが。
「…まぁそうだな…物好きな暇人ってとこだ」

305 :ゼロの兄貴:2007/10/13(土) 21:03:28 ID:o0CgE9zq
所変わって再び王宮になる。
やっとこさ自分の順番が回ってきて、アンリエッタの前へと出るが、頭を下げる前に、逆に下げられたのでテンパった。
「へ、陛下!?卑しき身分の私に頭を下げるなどとは!」
「わたくしのために…あなた達、銃士隊があんな怪我をさせてしまいました。いったいどうすれば赦しをこえるのか…」
「頭をお上げください陛下。陛下がやった事ではありません。それに赦せないというのならば、アルビオン連中ではありませんか…」
「そうでしたわね…もう大丈夫です。アニエス」
「それで、調査の件ですが…どうやら内通者が居るようです」
「その者が手引きしたと?」
「正確には王宮を出る際に、『すぐ戻るゆえに、閂を締めるな』と言い外に出た者が一人。
  その五分後に陛下をかどわかそうとした一団が。それともう一つ…陛下がかどわかされてからしばらくして、衛兵の装備を奪った者が一人」
後者は当然、我らがプロシュート兄貴の事である。
「装備を奪った者は、内通者に関与しているとお思いですか?」
「関与しているのであれば、時間を置いてわざわざ衛兵の装備を奪うのは妙です。ただ、我々の味方かと問われれば…行動が不自然すぎます」
「…理由は?」
「我々に危害を加えなかった以上、敵とは思えませんが、味方なら姿を現してもいいはずです。陛下を助けたとなれば、恩賞が出るのは確実ですし」
「つまり、現状では分からない…と?」
「残念ながら、そうなります。気にはなりますが…いかがいたしましょう」
「…事前の計画どおり、男の行動を追う事にしましょう。場所をつきとめフクロウで知らせなさい
    ただ敵にしろ味方にあるにしろ、正体が分からない者が居るかもしれない以上、気を付けて」
「御意。しかし、泳がすおつもりですか?」
「まさか…あの夜起こった事に関係する全ての者を許しませぬ。国も…人も…全てです」
アニエスは深く一礼し部屋を出たが、今の言を、プロシュートが、いや暗殺チームの誰でもいいが聞いたとすれば
間違いなく2〜3発殴られるところであるが、幸いな事に暗殺チームも、その生き残りも居ない。
ただ、今修正される事と、このまま突き進むのとがどっちが幸運なのかは誰にも分からないが…


もう恒例と化してきたトリスタニアでの情報収集であるが、当面のターゲットであるクロムウェルに関しては
どうも、虚無の使い手であるという情報がアルビオンから流れてきた傭兵から入ってきた。
「アレと同じの相手にすんのか…?厄介だな」
もちろん、確定情報ではないが留意しておくにこした事はない。
『ディスペル・マジック』はスタンドに関係無いため問題無いが、『エクスプロージョン』は厄介だ。
ただ、詠唱がクソ長いことも知っているので、即時発動のスタンドなら付入る隙はある。
なるべく、妖精さんのねぐら周りには近付かないでいたが、客が居る事に気付いた。
「VIP待遇ってわけか?バレてねーとは思うがな…」
後ろに二人。尾けてきている。素人ではないが、尾けた相手が悪い。
組織に目を付けられてからは、腐る程尾行を受けていた身である。
それこそ、敵組織と内側からのニ方向から。ある意味、そういう物で歓迎されるのは日常の中に組み込まれていたようなものだ。
チームで、ギアッチョとペッシ以外は、それを撒く術も心得ている。
ペッシは、未熟さから。ギアッチョは尾行でも受けようものなら、そいつを捕まえてブチ割っていたからであるが。
とりあえず、わざとらしく走って、適当な道を曲がる。
これで大抵反応が分かる。

306 :ゼロの兄貴:2007/10/13(土) 21:06:12 ID:o0CgE9zq
裏通りに面した人もあまり居ない一本道、普通なら尾行を撒くような場所ではない。普通ならだ。
気だるそうに上着を脱ぎ、壁に背を預け座っていると、二人の人影が、その通りに入ってきた。
「…ここを曲がったはずだが」
「隊長はメイジでは無いと言っていたからには、確かなのだろうが…行き止まりだ、この通りは」
顔は知らないが、装備に見覚えはある。銃士隊だ。
「おい、そこのお前。今ここを通って行ったやつはどこに行った」
「…駄目だな、聞こえていない」
そりゃあ、この今にもボケんばかりの老人が、追跡対象だと思うはずはない。
これでバレたら、そいつはメローネ並の変人だ。
「…仕方無い。隊長には見失ったと言うしかないか」
二人が背を見せると、逆尾行開始だ。尾行をしていると思っている方が、尾行されているというのは結構ある。

ランダムに年齢と、ついでに髪も弄ってたため、後ろを向かれても気付かれる事も無く、尾けれたのだが
やはり、この手の事は、メタリカ、マン・イン・ザ・ミラー、リトル・フィートに分がある。
しばらく尾けていると、特に覚えている顔を見た。
「首尾は?」
「すいません隊長。どうやら撒かれたようです」
「……そうか。お前達は引き続きヤツの周りを探れ」
「了解」

アニエスが一人になったが、なにやら考えている。
言っちゃあ悪いが隙だらけだ。
「VIP扱いってのは悪くねーが、接客がなってねーぜ。あんなんじゃ金も払えやしねぇ」
「な…っ!」
「まぁ、まずはリスタ(献立表)を見せて貰いてーな。アニエスだったか?何の用だよ」
後ろから、アニエスの肩に肘を置いて、銃を抜き取り、それを観察する。
「うお、単発の火打ち式かよ。こんな骨董品、映画でしか見た事ねー」
「貴様…!」
アニエスがもう片方の銃を抜いて銃口を向けてきたが、別段動じない。
「止めとけ。こっちはそうでもねーが、オメーに向けてる方は致命傷になんぜ」
頭に銃口を突きつけた零距離射撃と、体勢が悪い上、身体を捻られれば弾がそれるかもしれない二つの銃。
不利なのは、アニエスの方だ。撃つ気があるなら、とうに脳漿ブチ撒けられている。
ついでに言えば、グレイトフル・デッドで銃口を抑えてある。
「っ…!この間といい、今といい…何者だ貴様…!」
「さぁな。で、何か用か?殺る気があんなら、相手してやってもいいが、そうじゃあねーだろ?」
尾行者の反応を見る限り、襲撃や暗殺の類では無いだろうと思い、面倒なので直に聞き出す事にしたのだが、予想どおりというとこだ。

307 :ゼロの兄貴:2007/10/13(土) 21:07:54 ID:o0CgE9zq
「王宮に侵入した正体不明の者を放っておけると思うのか」
「……そりゃあそうだな。ほらよ、返すぜ」
別に銃自体はどうでもいい。スタンドがある分、こんな骨董品使うぐらいなら何も持たない方がマシだ。
「えらく騒がしそうじゃあねーか、何かあんのか?」
「貴様には関係無い事だ」
「まぁな。アルビオンの事なんざオレには関係ねー事だしよ」
「!?」
「…そこまで分かりやすい反応してくれっと、オレとしても引っ掛け甲斐があって逆に気持ち良いよ」
この時期だと、アルビオン関係の事と思いカマかけてみたのだが、いい反応だ。
やはり、このぐらい分かりやすい方が扱い易い。
最近は掴み辛いカトレアの相手が多かっただけに清清しさすら覚える。
「…ッ!謀ったな…!」
「騙される方が悪りぃんだよ。オレ達の世界じゃあ特にな」
なんだかんだ言っても、まだまだギャングである。そう簡単にその思考は変わりはしない。
アニエスを見るが、何かもう言葉を出そうとして出ないといった感じだ。
引っ掛ける事はあっても引っ掛けられるって事には慣れてないって感じの!
「それじゃあ、何やってんのか話してもらおうか。アルビオンの事だろ?ええ、おい」
もう完全にプロシュートのペース。スタンドバトルにしても、会話にしても、主導権を握るというのはいいものである。
「お前みたいな怪しいやつに話せるか」
「仕方ねー自分で調べるか。好きにさせてもらうぜ」

「な…ッ!」
マズイ。ここで、こいつに勝手に動かれては、作戦が破綻するかもしれない。
そうなっては、全て台無しだ。折角の復讐を遂げる機会が永久に失われてしまうかもしれない。
「……私と共にいろ。最低限の事ぐらいは教えてやる」
「オレの監視も兼ねるって事か。まあ悪くねー判断だな」
実際、自分で調べるといっても、確かな情報源なぞ持っていないので調べようが無いのだが
向こうから情報を提供してくれる事になった。スタンド能力とハッタリは使いようである。

「宮廷内の裏切り者の尻尾を掴むため動いている」
「そいつが、アルビオンの連中と繋がってるってわけか。分かりやすいな。…金か?」
「そうだ。最近になって、そいつは、軽く見て7万エキューという裏金をバラ撒いている」
「どこも変わんねーな」
パッショーネも幹部連中が裏金を作っているというのはあった。代表的なのはポルポであろう。
バレれば粛清の対象なのだが、ポルポの場合、ブラック・サバスの能力がそれ以上だった為、半ば黙認されていたようだが。
(しっかしこいつの目…こいつぁ捕獲する目じゃねーな。ハナっから殺す気か)
それは別に、こいつと対象の問題なのでどうこう言う気は全く無いが、繋がっているというだけで、殺すつもりというのは考えがたい。
逆手に利用すれば、アルビオンへの情報操作にも使えるからだ。
(ま…怨恨ってとこか。オレ達と同じってワケだ)
となると、残りは怨恨。復讐しか無い。それも、並の恨みでは無いのだろうと思う。

308 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 21:09:18 ID:4yb1BHEY
支援

309 :ゼロの兄貴:2007/10/13(土) 21:10:24 ID:o0CgE9zq
「そんで、オメーはこれから何すんだ?セオリー通りなら、これから探り入れんだろ?」
「夜を待って、そいつの屋敷に向かうが…妙な真似をしてみろ。即座に撃ち殺すからな」
「おい、オメーこの前といい、殺す殺すウルセーぞ…オレ達の世界では…ああ、オメーはギャングじゃねぇな。忘れろ」
つい習慣染みた言葉が出た。やはり当分の間ギャング気質は抜けそうに無い。
「やはり裏の世界の人間か、お前。日陰で大人しくしていればいいものを、何が目的だ」
「この前の、ツケの回収ってとこだ。あんな連中二度と相手にしたくねーぜ」
正直言えば、死体の相手なぞやりたくない。直喰らって動こうとする相手など初めてだ。
「…まぁいいだろう。来い」
プロシュートを前にして、アニエスが方向を指示しながら歩く。
後ろから何時でも撃てる体勢だが、結構感心している。
この稼業では、臆病なぐらい警戒するにこしたことはない。臆病すぎるのもペッシみたいになるので問題があるが、合格点というとこだろう。
「しばらく、ここで時間を潰す。私の視界から消えたら、どうなるか分かっているだろうな」
「信用されてねーな。ま…オレがオメーでもそうするがよ」
むしろ、ここで逆に簡単に人を信用するようなヤツの方が信頼できない。
そういう意味でこいつは、戦力になり得ると判断した。

特にやる事も無いので寝ていると、アニエスに起こされた。
もう夜だ。ついでに言えば雨が降っている。
「銃を向けられているというのに寝るか?普通」
「気にすんな、撃つ気があんならさっきやってんだろ?」
もちろんグレイトフル・デッドを控えさせ、急所は防御しているので問題は無い。
「抜けてるのか図太いのか分からんヤツだ…時間だ、行くぞ。ここから馬を使う。それとこれを着ろ」
そう言って渡されたのは、衛兵が装備する軽装の鎧と剣だ。
「メンドクセーな。このままでも構わねーだろうがよ」
「構うに決まってるだろうが!銃士隊と行動する平民という奇妙さを考えろ!!」
仕方ねーとして着替えたが、やはり軽装とはいえ鎧は嫌いだ。慣れるようなもんじゃあない。

310 :ゼロの兄貴:2007/10/13(土) 21:11:52 ID:o0CgE9zq
馬を進めると、高級住宅街に入る。
どれも、これも無駄にデカイ。その中の一角、二階建ての広く巨大な屋敷の前に着いた。
横でアニエスが唇を歪めている。
(やっぱ恨みか)
そこで、アニエスが大声で叫び来訪を告げると、門の小窓が開き小姓が顔を出してきた。
「こんな時間にどなたでしょう」
「女王陛下直属の銃士隊、アニエスが参ったとリッシュモン殿にお伝えください。急報ゆえ夜分に申し訳ないが」
首を捻りながら小姓が屋敷に消えていったが、少しすると戻ってきて門の閂を外された。
馬の手綱を小姓に預け屋敷に向かうと、暖炉のある部屋に通される。
そうすると、寝巻き姿のオッサンが現れた。
(ウサンクセー面してやがんな。ペリーコロのジジイといい勝負だぜ)
そんな思いをしているとは露知らず、話はどんどん進んでいく。
「女王陛下が、お消えになりました」
「かどわかされたのか?この前も似たような誘拐騒ぎがあったばかりではないか。アルビオンの陰謀かね?」
「調査中です」
(親父は親父でも…狸親父ってとこだな)
内通者というのがこいつの事なのだろうとは思うが、よくまぁこれだけ腹芸ができるもんだと感心する。
戒厳令が敷かれ、街道と港の封鎖が決まり退出しようとしたところで、アニエスが立ち止まった。
「閣下は…二十年前のあの事件に関わっておいでだと仄聞いたしました」
「ああ、あの反乱か。それがどうした」
「『ダングルテールの虐殺』は閣下が立件なさったとか」
低い、怒りを押し殺したような声だ。
「虐殺?冗談を言うな。アングル地方の平民どもは国家を転覆させる企てをしていたのだ。鎮圧されて当然だろう。昔話など後にしろ」
それを聞くと部屋から退出しようとするが、鳴き声が聞こえた。
「ほう…閣下は猫を飼っておいでで?」
「それが関係あるのか?つまらん事を聞く暇があるなら、陛下を探し出せ」
二人が外に出たが、部屋に猫はいない。ただ、植木鉢に植えられた草があるだけだった。

外に出たとこで、今まで黙って聞いていたプロシュートが口を開いた。
「オメーは、ダングルテールの虐殺ってやつの生き残りってわけだ」
それには答えない。苦虫を噛み潰したような顔をしている。
「ま、オレには関係ねーがよ」
言いながら空を見上げる。恨まれる事に関してなら、多分そのリッシュモンにも負けていないはずだ。
それだけ殺しもしてきたし、関係無いヤツも老化に巻き込んではいる。
まぁ、巻き込んだ方に関しては、そんなに死人出してないとは思うが。
実際、列車の中で巻き込んだものの、老死したヤツは居ないはずだ。
広域老化は範囲が広い代わりに、寿命が尽きるまでの時間が結構長い。
その弱った相手に止めを刺すのが、本体の仕事である。
色々骨とか曲がったりするだろうが、解除すれば戻るので問題無い。

311 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 21:11:53 ID:4yb1BHEY
支援

312 :ゼロの兄貴:2007/10/13(土) 21:14:38 ID:o0CgE9zq
小姓から馬を受け取り、アニエスが黒いローブを着るとフードを被り戦支度をすると馬に跨る。
すると、雨の中から誰かがこっちに走ってきたが
仕事柄夜目が利くプロシュートはそれを見てマジに辟易した。
「げ…悪ぃ。急用だ。後でな」
「お、おい!どこに行く!」
疾きこと風の如し。追う暇も無くプロシュートを見送るアニエスに、声がかかった。
「待って!待った!お待ちなさい!馬を貸して頂戴!急ぐのよ!」
白いキャミソールを泥と雨で汚し、靴を脱いで裸足で駆けてくるのは妖精さんこと、ご存知ルイズだ。
「断る、邪魔だ」
「わたしは陛下の女官よ!警察権を行使する権利を与えられているわ!
  あなたの馬を…って確か銃士隊隊長のアニエス!なにやってるのよ!おめおめと陛下をさらわれて!」
「陛下の女官…?しかし、なぜ私の名を?」
「この前、倒れているあなたを見たのよ!とにかく、馬を貸して頂戴!」
この前倒れているというと、あの時しかない。
となると、この少女は…
「では、あなたが…この前、陛下をお救い下さったド・ラ・ヴァリエール殿か。
  お噂はかねがね。お会いできて光栄至極。一頭しか無いので貸すわけにはいかぬが…乗られい。事情は説明いたそう」
ルイズに手を差し出すと、そのまま引っ張り上げる。
「陛下は無事だ。…それにしてもヤツめ…どういうつもりだ」
「陛下は無事なの!?そして、ヤツって誰!?」
「気になされるな。恐らく今回の件とは関係無い者だ」
そう言うと、馬を進め駆け出す。二人は夜の闇にと消えていったが、その後ろから一騎が出てくる。雨のおかげで足音は届いていない。
もちろんプロシュートだ。
「危ねー…マジどうなってんだよ」
まぁ、バレても問題無いっちゃあ問題無いが、確実な暗殺遂行にはなるべくこちらの存在を隠しておく必要がある。
敵であれ味方であれだ。
能力を知らないヤツには姿を見せてもいいが、能力を知っているヤツに知れるとスタンドという特殊な力だけあって、一気に広まりかねない。
それでなくとも、トリステイン貴族の中では『悪魔憑き』だの言われていたりするのだ。
「さて…オレとしては、どうすっか」
後を追ってもいいが、内通者の正体が明らかになった以上、そっちを張ってもいい。
というか、クロムウェルの情報が欲しいので、リッシュモンを張って、アニエスが殺る前に口を割らせねばならない。
とりあえずは、アニエス達が片割れを捕らえるなりして、親玉が動くのは明日だろうとして適当な宿に泊まる事にした。
安っい木賃宿を見つけると、金を払いニ階の部屋に通される
別に質はどうでもいい。ホルマジオなぞ、小さくなって下水で寝ていた事もある。それに比べりゃあ屋根があるだけマシだ。
塗れた鎧を捨て、楽な格好になる。服も濡れてはいるがそのうち乾く。
基本的に、どんな場所でも、どんな状態でも寝れるというのが暗殺者だ。今更気にしたりはしない。
ただ、夜になるまで寝ていたので、今は寝る気にはなれなかったが。
壁にもたれながらどうやって口割らせたものかと考え、結局パッショーネ伝統のアレにするかと思っていると、隣の部屋から声が聞こえてくる。
聞き耳立てる趣味はないが、知っている声だったのでもう引力か何かだと思って諦める事にした。

313 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 21:16:15 ID:4yb1BHEY
支援

314 :ゼロの兄貴:2007/10/13(土) 21:16:37 ID:o0CgE9zq
「あの夜わたくしが…自分を抑えきれずに、操られていたウェールズ様と行こうとしていた時…あなたは止めてくださいましたね」
声の主は、現在最も説教したいヤツランキング。ブッ千切ってナンバー1のアンリエッタだ。
「あの時、行ったら斬ると。嘘は許せないと。愛に狂ったわたくしに、そうおっしゃってくださいました
ならもう一人は誰かと思ったが、すぐ分かった。
「え、ええ。い、言いました。はい」
現在説教ランキングナンバー2のマンモーニこと才人だ。
ちなみにナンバー3は特に決まっていない。つまり現状対象はこの二人のみである。
「…これを見てください」
「どうしたんですか?少しだけ残ってるこの手の傷」
ああ、もうスゲー心当たりがありすぎる。というか実行犯。
「ある依頼をしようとした時に、ルイズの使い魔の方に踏まれたんです」
「姫様の手を!?なんっつー事を…」
そりゃもう、容赦なくグリグリと踏んだとも。むしろ、それだけで済んだのが奇跡的だ。
肘撃ちからの顔面蹴りが5発ぐらい入っても不思議じゃない。
「あの方は…愚かな事を言った、わたくしにも本気で接してくれました。
  それなのにわたくしは、あなた達を殺そうとした。あの方が見ていれば、また踏まれていたでしょうに」
実際のところ、その程度で済まない。
それこそ、『あなた…覚悟してる人ですよね?人を殺そうとするって事は殺されるかもしれないって覚悟してきてる人ですよね』
と言わんばかりに殺されても文句は言えないはずだ。
そう言った意味では、ものスゴクアンリエッタは運が良い。
「だから、お願いしますわ。新しい使い魔さん。また何か愚かな行為をしそうになったら…あなたの剣で止めてくださいますか?」
「なんだって!?」
ブチャラティかと言わんばかりの叫びが聞こえてきたが、まぁ当然だろう。
「その時は、遠慮なく斬ってくださいまし。ルイズは優しいから、そんな事はできないでしょう。ですから…」
「できませんよ!…そんな弱くてどうするんですか。あなたは女王様なんだ。自分の意思で皆を守らなくちゃ」
壁一枚隔てた壁から、そんな会話が聞こえてきたが、甘いなと思う。
上に立つからこそ、それに比例して責任が大きくなる。
まして、5万という大軍を私怨にも近い感情で動かすからには、ドジこいた時に一回死んだぐらいでは済まされない。
暗殺チームも私怨で離反したようなものだが、アレは全員がそうだったからで、こいつの場合そうではないのだから。
「どうなろうとオレの知ったこっちゃあねーがな…届く範囲で影響なけりゃあよ」
別に、侵攻作戦が失敗しようとも、周辺に影響が無ければそれでいい。
全部を面倒見てやれるほど、万能でもないし自惚れてもいない。

315 :ゼロの兄貴:2007/10/13(土) 21:18:06 ID:o0CgE9zq
「ただ、まぁトチったら…そんときゃオレがキッチリ始末してやんよ。オメーをな」
ルイズや才人が斬れないなら、オレが殺ってやる。大体、他人に止めてもらう事を前提にしてるってのがムカついてきた。
もうなんか、今こいつを殺っちまった方がいいんじゃあねーか?とも思ったが押し止める。
依頼もされてないし、廃業したばかりというものあるが
どうもこう、アンリエッタを見てると、ペッシとギアッチョを足してメローネで割ったような感じだ。
足した意味もよく分からんが、とりあえず今殺すようなタマでもないと判断した。
ギャングというものは基本的に自己中心的思考なのである。
正義感溢れるやつなら、この姫様のために。とか言って必死こいて頑張るか、責任の重さに対して熱く語るかだろうが
そこまで面倒見る気も無いし、責任なぞ自分で理解せにゃ一生分からんと思っている。
だからこそ、ペッシに厳しくしていた。
もっとも、出れる状況なら『ナメた事言ってんじゃあねーぞ、このクソガキが!』とマジに殴っているが。

特に聞くような情報も無かったので、眠気が襲ってきた。
常に襲撃があるかもしれない状況だったので、寝れる時に寝ておくという習慣みたいなものだが
これも、まだ抜けそうに無い。いい加減慣れにゃあならんと思って目を閉じると、隣から扉を叩く音と
『ズキュウウウウン』というような音が聞こえてきたが、まぁこっちは幻聴かなにかだろう。
そうして、しばらくするとこっちの扉も叩かれる。面倒なので放っていると破かれた。

「ウルセーな…なんの用だ」
「王軍の巡邏の者だ!犯罪者が逃げてな、順繰りに全ての宿を当たっている!さっさと開けんか!」
「で、ここに、その犯罪者ってのはいんのか?」
そりゃもう、世界が違えば特A級の犯罪者がここに。
しかしながら、この世界では未だフリーマン。真っ白である。ギーシュ殺ったけど。
「いや…邪魔をした。行くぞ」
「そう思うなら来んな」
「こっちだって好きでやってるわけじゃない。隣の部屋なんてお楽しみの最中だぜ」
「シケてんな、オメーらも。見てて哀れになってきたぜ。ほらよ。その代わり、何があったのか聞かせろ」
そう言って投げ渡したのは数枚の金貨。別段金に困ってるわけでもないし、余裕もある。伊達にヴァリエール家で働いているわけではない。
「お、悪いな。詳しくは言えないが、ある方がさらわれ、それを捜索中でこの雨の中駆けずり回ってんだ」
「…そういうわけか。ああ、もう行っていいぜ」
衛兵を見送ったが、どういう状況かを纏める。
隣に居るのがアンリエッタならば、捜しているのはそれだ。
そして同時に居るのが、才人ならかっさらわれたというわけではないし、アニエスの行動も妙だ。
「テメーを餌にしてるってわけで…その餌に喰らい付くのは明日ってとこか。随分とデケー狸狩りじゃあねーかよ」
そう結論付けると寝る事にした。衛兵が隣の部屋はお楽しみとか言ってたが、別にどうこう言う気も無い。
当人の問題だ。その結果がどうなろうともそいつの責任。基本この元ギャング。その手の事に関しては完全不干渉である。

316 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 21:18:50 ID:IzyR3/Ul
すまん、支援が遅れたッ!

317 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 21:19:26 ID:4yb1BHEY
支援

318 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 21:19:33 ID:KmCK1XZC
支援

319 :ゼロの兄貴:2007/10/13(土) 21:20:07 ID:o0CgE9zq
翌日、朝と昼の真ん中ぐらいの時間に宿を出る。
貰った軽装の鎧は放置して、若干生乾きのスーツを着てリッシュモンを張っていると、馬車が用意されどこかに向かう。
馬鹿正直に馬で追うわけにもいかんので、かなり距離を離しながら自身を老化させているが、やはりメタリカやリトル・フィートの方が便利だ。
鐘が11回鳴り時間を告げると馬車が劇場っぽい建物の前に止まった。
「勢揃いじゃあねーか。よっぽどこの狸狩りに力いれてんだな」
少し離れた場所から見えたのは、ルイズ、才人、アンリエッタ、アニエス。
魔法衛士隊もやってくると劇場の周りを取り囲む。中々の手際だ。
アンリエッタが中に入り、アニエスが馬でどこかに向かったので、アニエスの方へ向かう。
こいつの最終目標はリッシュモンの命だ。ならこっちを尾けた方が早いし、なにより身元が割れていない。

したがって尾ける気はなかったので走ってる横に付ける。
「よ、昨日ぶりだな」
「お、お前!どういうつもりだ!」
「ルセーな…こっちにも色々事情ってもんがあんだよ。ああ、鎧と剣だが宿に置いてあっから要るなら取りに行けよ」
「どれだけ自己中心的だ貴様!仮にも王宮の備品だぞ!」
「知るかよ。……今なんか悲鳴が聞こえたような気がするが気のせいか?」
「知らん。お前の気のせいだ」
実際のところ気のせいではなく、ルイズによる才人の調教が行なわれている真っ最中である。
「で、だ。殺るんだろ?」
「……ああ。お見通しか」
「殺るのは構わねーが、聞きてー事があんだよ、オレも。その後なら好きにしろ」
かなり物騒な会話だが、それだけの恨みがあるという事だろう。
しばらくすると、排水溝を介した通路が見える。多分どこかに繋がっているはずの通路だ。

通路に入り、しばらく無言で歩いていると明かりの中に人影が見えた。
「狸かと思ったがドブネズミ…いや、下水よりはマシか」
「おやおや、リッシュモン殿。変わった帰り道をお使いで」
アニエスはこの上なくドSな笑みを浮かべていたが、プロシュートの方は別に変わりない。
「貴様ら…どけぃ。貴様らと遊んでいる暇はない。この場で殺してやってもいいが面倒だ」
NGワード発動。この男の前で『殺してやってもいい』とかは禁句だ。

320 :ゼロの兄貴:2007/10/13(土) 21:23:17 ID:o0CgE9zq
「おい、てめー。殺してやってもいいだと?殺すとかいう台詞はな…終わってからいうもんだぜ?オレ達の世界ではな」
「私はすでに呪文を唱えている。あとはお前達に向かって解放するだけだ」
「能書きたれてねーで、一つ答えな。クロムウェルってのは何処にいる?」
「知ってどうする。貴様もトリステインを裏切る気か?だが、平民なぞ何の役にも立たんわ」
「生憎オレは、この国やアルビオンがどうなろうと知ったこっちゃあねーんだよ。答える気はねーか。ほらよ、オメーの好きにしな」
特に期待していなかったが、こいつも相手から見れば下っ端のようなものだろう。
裏切り者は寝返った相手にも大抵信用されないものだ。故に当面は危険な任務に付かされる事が多く、重要な情報なぞ与えられる事はまず無い。
用は無いとして、アニエスに促すと搾り出すように、言葉を切り出した。
「私が貴様を殺すのは、陛下への忠誠ではない。私怨だ…忘れたとは言わさんぞ、ダングルテールを」
「なるほど、うわはははは!貴様はあの村の生き残りか!」
「貴様に罪を着せられ……なんの咎なく反乱の汚名を着せられ我が故郷は滅んだ!
  ロマリアの異端審問『新教徒狩り』。ロマリアからいくら貰った?リッシュモン」
余裕を崩さない態度でリッシュモンが答える。かなり油断していると見えるが、裏稼業の人間としてなら失格というとこだ。
「賄賂の額なぞ、いちいち覚えておらんな」
「金しか信じておらぬのか。あさましい男よな」
「お前が神を信じる事と、私が金を愛する事と、如何ほどの違いがある。よければ講義してくれ」
アニエスは唇を噛み切らんばかりに噛み締めているが、この元ギャングの価値観からすれば、ややリッシュモンに近い。
むしろ神なぞ全くもって信じていない。信じるのはマジに信用できる仲間と己の能力と栄光のみ。
ただ一つ違うとすれば、目的を達成するために取った行動に伴う責任というか、降り注ぐ恨みを覚悟してやっているという事だ。
「金な。結構な事じゃあねーか。だが…当然恨みを買うってのは覚悟してやってんのか?それが出来てなけりゃあ話になんねぇ」
「貴族の技を使うのは勿体無いが…これも運命かね。殺してやる」
杖の先から巨大な火の弾が膨れ上がったが、好都合だ。これなら一瞬でケリが付く。
上も巻き込んじまうが、まぁ問題無い。わざわざ体温を上げてくれてるのだから利用しない手は無い。

「なが…馬鹿な…体が…」
「殺してやる。溜めた金は地獄で使え!」
老化した。まぁ元々年食ってたから分かり辛いが、弱ったリッシュモン向けアニエスが突っ込む。
そのまま、懐に飛びこんだアニエスがリッシュモンの胸に剣を突き立てた。

「…な…!何故、剣が…!」
突き刺した。現に切っ先はリッシュモンの胸に向かっているが、手前で何かに止まっている。
「チッ…限界か」
老化を解除。これ以上やれば上にも影響が出る。騒ぎになるのはマズイ。
「驚いたぞ…平民風情がよもや私を追い込むとはな。だが狙うなら胸ではなく首にするべきだったな」
リッシュモンがローブを脱ぐと中には空いた手で草が生えた植木鉢を持っていた。
「ギャァーーーーーース!」
「なんだこれは…!」
「命令も聞かんし、厄介なやつだが自分が攻撃されたと思ったみたいだな。怒っているぞ?」
ただの草かと思っていたが、目がある。口がある。そして、鳴声をあげている。猫そのものだ。
そして、こいつの目線は今、グレイトフル・デッドを追っている。
つまりこいつは…
「この前の猿といい、…こいつもか!」

321 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 21:23:46 ID:4yb1BHEY
支援

322 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 21:25:17 ID:9ekKg/Mj
まさかの猫草登場っ!支援だっ!!

323 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 21:25:20 ID:vw/33Irn
やはり猫草支援

324 :ゼロの兄貴:2007/10/13(土) 21:26:08 ID:o0CgE9zq
動物のスタンド使いは珍しくもないが、こいつは別だ。
ホワイト・アルバムのように装甲を身に纏っているわけでもない。かといって、こんな猫見た事すらない。
防いだ手段もまだ分からない。能力で防いだなら何らかの形で見えるはずだ。
明かりはリッシュモンが灯している光と、アニエスが用意した灯しか無く薄暗いとはいえ見逃すはずはない。
厄介な事になった。能力を隠しているのならまだしも、能力が見えないというのはマズイ。
対策のしようが無いというのがマズイ。スタンド使いとの戦いにおいては敵の能力をいち早く知るというのは必須事項だ。
スタンドバトルは情報戦でもあるのだ。

グレイトフル・デッドを身構えさせ備えるが、興味ねーといった感じに視線を外し、猫目をアニエスに向けている。
猫ゆえの気まぐれというやつだろうか。少なくとも攻撃しない限り攻撃されるという事は無さそうだ。
「…今何に止められた」
「わ、分からん…何なんだあれは…?猫か?草か?」
「両方…だろうが、本体が物質と一体化するなんざ聞いた事ねーぞ」
初めて見るタイプだけに余計困惑する。スタンドヴィジョンも本体その物と思った方がよさそうだ。
問題は能力だが、受けたアニエスにも分からないでいる。
能力が分からないというのは、メタリカなどの例があるように分からないでもないが、能力が見えずに攻撃を受けるというのが妙だ。
ホワイト・アルバムしかり、リトル・フィートしかり何らかの影響が必ず出る。
つまり透明でいて、直接触っても影響が無い物。そんな物は滅多にあるもんじゃあない。

「これは、並みのメイジ以上の風の先住魔法の使い手でな。扱いは難しいが、貴様ら平民などより余程役に立つ」
ok。こいつが馬鹿で助かった。スタンドバトルにおいて自分の能力をひけらかし話すなぞ自殺行為に等しい。
リッシュモンは風と言ったが、ただ、単純に風ではないと判断する。
風ならば、この狭い通路。こっちにも届くだろうし、アニエスを止めるのではなく吹き飛ばすはずだ。
もちろん、防御のためだけ。とも考えたが、その可能性は低い。
もう少しで何かに行き当たりそうだったが、考える時間を与えてくれそうにないらしい。
リッシュモンが杖を振っている。ただ、詠唱が恐ろしく短い。攻撃に使うような魔法じゃあないはずだ。
「うぉおおおおおおおッ!」
「何!?」
叫びに反応して横を見ると、アニエスが火に包まれている。
マントに仕込んだ水袋のおかげで再起不能というわけではないが、鎖帷子を熱く焼き、肉の焼ける嫌な臭いがする。
「馬鹿な…今のは…コモンマジックの着火のはず」
あれだけの火に包まれて倒れない精神力には感心したが、少しばかり妙だ。
リッシュモンが使った着火の魔法。
着火というからには何かに点火したという事だ。つまり、その点火物があの猫草(仮)の能力。

325 :ゼロの兄貴:2007/10/13(土) 21:28:24 ID:o0CgE9zq
「どうやって燃やされた。少しでもいいから思い出せ。ささいな事でいい」
「知るか。ヤツが杖を振ったら急に私の装備が燃え上がった。ただ…その時、さっき止められた時と同じような感触がした」
「そんだけ分かれば十分だ」
あの猫草が操っているのは、恐らく空気。
草だけあって光合成もするのだろうが、アニエスの周りに飛ばしたのは酸素の塊といったとこだろう。さしずめ酸素弾といったところか。
高濃度の酸素で包まれた状況で服にしろ何かに着火されれば一気に燃え上がる。
さっきアニエスを止めたのもその能力だろう。空気が見えないのも当然の事だ。
厄介なのが、猫草がアニエスに対してかなりの敵意を持っているという事。
草だけあって体温なぞがあるかどうか分からないし、植物に広域老化で効果が出るには時間がかかる。
それまで待っていれば、上なぞ阿鼻叫喚の事態になるはずだ。こちらに敵意を持っていない事は幸いだが、下手にリッシュモンにも攻撃できない。

「おい、オメー。殺す覚悟があんなら、殺されるかもしれねーって覚悟はあんのか?」
「…あいつを殺せず逃がすのなら死んだほうがマシだ」
「なら、行け。くたばったら骨ぐらいは拾ってやる」
火傷の痛みに耐えてアニエスがリッシュモンに突っ込む。
「ふん。無駄な足掻きを。畜生にやられて死ね」
「フギャァァアアア」
猫草が大砲のような形状をとっている。恐らく、空気弾を飛ばすためだ。
それに構わずアニエスが突っ込む。再びリッシュモンが呪文を唱え杖を振り下ろそうとした。

が、それより早く持っていた灯を消すと同時に、アニエスから抜き取っていた銃をリッシュモンが振り上げていた手目掛けブチ込んだ。
銃は扱いなれているが物が骨董品。一発勝負の上、外すかもしれんので破壊力Bのグレイトフル・デッドでブン投げる。
「うぐ…杖を…!だが私への攻撃は……」
衝撃で杖を手放した事で灯りが消え通路が闇に包まれる。
そして、リッシュモンの口から出たのは言葉ではなく鮮血。
「馬鹿な…なにをやっている…どうして防がない…」
「草っぽいからやってるんだろうが…知ってるか?光合成ってのは光がねーとできねーんだぜ」
これで猫草が大人しくなるかどうか怪しかったが成功したようでなによりだ。
ベースが草だけあって植物の性質が強いらしい。
「メ…メイジが平民ごときに……この貴族の私が…お前達のような平民に…」
「さっきから平民平民ウルセーぞ、てめー。さっさと」
「剣や銃がおもちゃだと抜かしたな?これは牙だ。貴様ら貴族に喰らい付くためのな。その牙で」
「「死ね」」

326 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 21:28:40 ID:FycXN26N
ね、猫草ッ!

327 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 21:28:55 ID:4yb1BHEY
支援

328 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 21:29:38 ID:CmTBZFAw
よく考えたらさほど驚く事でもないのか>動物のスタンド遣い
支援

329 :ゼロの兄貴:2007/10/13(土) 21:30:49 ID:o0CgE9zq
「さて…こいつ、どうすっか」
闇の中の視線の先には爆睡している猫草だ。こうしてみると普通の猫と変わりない。
枯らすというのも悪くはないが、何かに利用できそうとも考える。
少なくとも、攻撃しない限りは攻撃してこないヤツだ。暗くすれば活動が止まるというのもいい。
そんな事を考えていると、カチャリという音がする。銃の撃鉄を引いた音だ。
「お前がクロムウェルに近付こうとしている理由…聞かせてもらおうか」
「お前の知った事じゃあねーよ」
「トリステインがどうなろうとも知った事ではないと言ったな…二つ数える間に選べ。生か、死か」
頭に銃をつき付け、アニエスがカンテラに灯を付けたが、逆効果だ。
猫草は僅かな光さえあれば十分に活動できる。そしてさっきの事もまだ忘れてはいない。
「フギャアーーーーース!」
さっきと同じ大砲のような形を取る。どのぐらいかは分からないが、殺傷力ぐらいは持っているだろう。
放っておいてもいいが、こいつに死なれて騒ぎになっても厄介だ。
「面倒だが…後で礼ぐらいしろよ」
「ぐが…!貴様…ここで…死んでたまるか…まだ…ま…だ…」
かといって、唯一の光源を壊して闇の中道に迷うのも嫌なので、とりあえずスタンドで殴りアニエスを気絶させ弾丸を奪い投げた。

「ニャ!ニャ!ニャ!ニャ!」
「とりあえず、ここはこれで収まったが…こいつオレの事なんか勘違いしてねーか?」
崩れ落ちたアニエスを引っつかむと、弾にじゃれてた猫草を上着で覆って大人しくさせたが
どうもこう、状況が悪化しているような気がしてならない。
情報も特に手に入らなかったし収穫が草ってどうよと思いながら着た道を戻ると、アニエスを排水溝近くの場所に放置した。
これで見付からずに死んだらこいつの運の無さだが、昼だし多分見付かるだろう。
暇を得るために、また纏めて2〜3日徹夜で働らかにゃあならんと思いつつ人気の無い通りを進むと、路地から悲鳴のような叫びとかが聞こえた。
やはり気のせいではなかったらしい。
「へへ、陛下と一晩を共にしたですってぇ〜〜〜〜!?しかも抱き合ったって何考えてんのよこの犬!」
振るわれる鞭の動きに合わせ、犬のような悲鳴をあげている少年、いや犬が一匹。
成長してねーなと思いながら歩を進めると服の隙間から猫草が『ウニャン』と鳴いて犬を興味深そうに見つめていた。

猫草―持ち帰ると、やたらカトレアを気に入る。
   彼の行動理念は『本能にしたがって生きる』であるため、好きな時に寝れて、好きな時に食べれて、好きな時に遊べればなんだっていいらしい。

ちい姉様―こちらも猫草を見て「まあまあまあ、素敵な猫ちゃん」などとのたまい気に入ったようだが、マジにド天然だと思い知らされる。

330 :ゼロの兄貴:2007/10/13(土) 21:33:16 ID:o0CgE9zq
猫はちい姉様が好き!を投下したッ!
草の能力の一部を曲解しているが、こらえてくれ…

次回は挿絵を使うぞ、絵師ディシーーーー!
そしてマルコメも…

331 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 21:37:17 ID:vw/33Irn
画像投下スレの職人さん、HN絵師ディシで確定したのか?w
それはともかく猫草GJ! 一家に一匹(一苗?)欲しいぜ。猫草ならアパートでも飼えるからなぁァー!

332 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 21:41:26 ID:8NHZokcB
まずは乙!と言っておこう!


333 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 21:48:36 ID:eH11TYSU
兄貴の心労が天元突破しそうだな……GJ!

334 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 21:55:13 ID:Xo6wvPK7
GJ!

335 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 21:57:58 ID:Kpl6FMoH
GJ!!

(元タマ)猫草可愛いよ、猫草

336 :名無しさん@お腹いっぱい:2007/10/13(土) 22:02:09 ID:wid4b/3Z

 もうこれはHN絵師ディシ様できまりだッ!!!

 画像投下を正座して待つぜ・・・。

337 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 22:13:11 ID:6azXZvng
GJ!GJ!俺、兄貴になら全部捧げてもいいくらいGJ!な気持ちでいっぱいだ!

338 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 22:30:06 ID:y8EQ1iJO
猫草が出てくるとは…GJ!
兄貴とアニエスもGJ!

339 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 22:32:03 ID:xXWjayzJ
支援しようとした時にはな・・・既に投下は終わってるんだぜ!


乙!

340 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/13(土) 23:50:07 ID:PsSlSaUR
俺が時を(ry

341 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 00:36:47 ID:F/I3diMF
兄貴の後にこの量、質で恥ずかしいんだが、続きを投下したい。
一言でいい…また『許す』と投下の許可を与えて欲しい。
それだけでいいんだ…それだけで私は救われる。今の私には必要なんだ。
『許す』を…!

342 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 00:38:45 ID:uBmZMcke
歩道が広いではないか

343 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 00:39:26 ID:q1JhTEnF
>>341
だが断らない

344 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 00:40:57 ID:W+GPl8sv
何を躊躇う
支援する

345 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 00:52:03 ID:ZGqpkw9A
許可をしないをしない。 それが(ry

346 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 00:58:57 ID:F/I3diMF
あ、ありのまま今起こったことを話すぜ!
わ、私はこの世界に来ているのは私とジョルノと亀、それだけだと思っていた。
だが、奴が現れた。何を言ってるのかわからねぇと思うが、俺にも何が起こったのか理解できなかった奴はどこにでもいるとか生命力は高いとかそんなちゃちなもんじゃねー。
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ。
だがやられっぱなしってのは私の性分にはあわないんでな…チャリオッツも肉体も失ったが、私にはまだこの魂がある!
つまり−殺らせてもらうっ!
私は手近にある物を一つ掴み、即席の剣に見立てると胸元で垂直にも持つ。ビシッとポーズを一つ決めてから、私は奴を見据えた。
中世にいた決闘前の騎士のように、そう…言うなれば三銃士の一人ダルタニアンのように!
神経が、研ぎ澄まされていく…奴の動きを、ほんの微かな部分まで見逃さぬように。
「うおおおっ!」
雄たけびと共に私は突進する。
決心し、気合を込めた雄たけびと共に繰り出した私の突きが、かわされた!
だがそれはフェイントっ。

「かかったなアホがっ!!」

嘲りと共に私の手首が返され、剣先は今度こそ糞虫野郎に狙い違わず突き刺さる!

「フフン、私の剣の腕も錆びついていないようだな」
「…ゴキブリ一匹にどれだけ盛り上がるんです?」

得意げにゴキブリを即席の剣とした古新聞に包んで外に捨てる私の背に、ジョルノの声がかけられた。
我関せずとソファに座って読書中だったくせに余りに冷たい突込みだが、そんなことでめげる私ではない。
これが最後のゴキブリとも限らないしな。これからは注意が必要だぜ。

「もう一月も亀の中なんだ。この位はいいだろう? まだ私はお前のようにここの本も読めないんだからな」

この世界に来て一月。
ジョルノは既にこの世界、ハルケギニアの幻獣だの毒薬麻薬大全集だの簡単な本を読むまでになっているが、私はまだだった。
ガキども用の本を一冊ジョルノが借りてきたんだが、やっぱり私に勉強なんて性に合わん。
暇だが、やる気になるかどーかはまた別の話なんだ。
ジョルノは呆れたようだが、すぐにポルナレフさんだしとなぜか納得したようだった。

腹が立たないわけではないが、ここで見返してやるぜっ!といって絵本に集中するのは負けかなと思う。
所で話は変わってしまうが、最近ジョルノの奴が怪しい。
私が亀の中から余り顔を出さないからかもしれんが、何かこそこそやっているような気がするのだ。
昨日もテファが眠ってから私をほったらかしにして外にでていった。
怪しすぎる…これは戦闘者としての勘ではない。男の勘だが、ジョルノは何かまた私達を驚かせるつもりだぜ。

「そう言えば…ポルナレフさん、今度テファがお世話になっているお姉さんが帰ってくるそうです」

そんな事を考えていた私に、ジョルノが思い出したように言う。
ジョルノは、どうも重要な事をサラッと言うくせがあるように思えるぜ。
こんな重要な事をどーでも良さそうに言う位だからな。

「何!?テファのお姉さんが!?」
「はい。腕のいいメイジだそうですから、何か聞けるかもしれません」
突然ジョルノが言った言葉に私は戦慄した。
テファでアレだ。テファのお姉さんという事は…
それはつまり、もっとけしからん胸のお姉さんがいるという事かっ!?
けしからんっ!けしからんぞっジョルノ!
想像し、そう考えた瞬間、ジョルノの冷たい視線が私を貫いていた。
残念だけどアンタもうギャグキャラだなって感じの冷たい視線だ。
「お、おいジョルノお前何か勘「あっすいません。そういえば今日テファと晩御飯を探しに行く約束があるんでちょっと準備してきますね」」
白々しく聞こえる言葉を残してジョルノは立ち上がると、亀の天井へとジャンプして去っていった。
ぜ、絶望した!
年配に敬意を払わない今時の若造に絶望したっ!
…こっちに着てから敬意を払われるようなことをした覚えはないがな。

347 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 01:01:13 ID:F/I3diMF
「ジョルノ! 大変よ!」
「どうしたんです?」
「見て、今朝起きたら村の中にあの木が生えていたの」

木?
気がつけば、いつのまにか膝を突きOTLのポーズをとっていた私は外から聞こえてきたテファの言葉に首を傾げて、慎重に外を見る。
こんな時私の髪型は不利なのだが、そこは経験と俺のLUCKがカバーしてくれる。
気付かれずに見ることに成功した外は、そこはテファの家のジョルノに宛がわれた部屋ではなかった。
幾つかの小屋が立ち並ぶ村の中。朝日で光るコロネが眩しいぜ。
ジョルノがちゃんと私の入った亀を腰に括り付けていたお陰で私はジョルノの腰の高さから村の中を見ることができた。
村の中を見回してみると、成る程。確かに何本ものこちらでは見ない木がある。
村にいるガキどもが木に登ったり、あれ何?ってな具合にテファに尋ねたりしてる。勝手に実を食べてるアホもいるな。
私はその木に見覚えがあった。あれは…おお!
私は思わず歓声を上げていた。それほどに村に何本も見える木は私にとっては馴染み深い植物だった。

「あぁあれはオリーブの木です」
「オリーブって、ジョルノが前に言ってた木のこと? どうして突然ここに…昨日の夜ジョルノが植えたの?」

何を話してんだお前はと私は思ったが、ああそういやピザモッツァレラがどーとか話してたな。
私は納得した。つまりこのままオリーブを収穫してオリーブオイルを作っちまおうって腹だな!と確信したからだ。
私達の食卓に欠かせぬ物、それはオリーブオイル。イタリアで暮らす内に私も好きになっちまったんでこっちになくて困っていたんだ。
生粋のイタリア人であるジョルノはもっと飢えていたかもしれない。
そうか、! 昨日とかにこそこそ何かしてやがったのはこれだったんだな!
私はジョルノに視線だけで賞賛を送ったが、同時に疑問も沸いてきていた。
いや、だってよ。一夜にして何本もの見慣れない木をどこから持ってきたんだって話になるじゃねぇか。
テファもそこのところが気になってるみたいだ…ジョルノはどう答えるんだ?

まさか、スタンドの事を説明するのか?
私とテファ、二人に加えいつの間にか周りにいるガキどもの視線を一身に受けるジョルノは、輝くような爽やかささえ感じられる笑顔を浮かべていた。

「さあ? 神様がテファにくれたご褒美かもしれません」

思わず私は亀の中でコケた。
テメェ、そんな嘘いくらなんでも誰も信じないぞ!
もう知らんと、私はこの問題は丸投げしてこのオリーブからできるオリーブオイルで何をするかを考える事にした。
その方がよっぽど建設的だぜ!

「え?」

テファの戸惑ったような声が聞こえるが、無視だ。

「(こちらではどうか知りませんが)僕の国では、神が僕達を見ていてよい行いをしていればご褒美をくれるって教えがあるんですよ」

料理の仕上げに使ってよし。単純にバター代わりにパンにつけて食べるもよし。
夢は広がるな。これでここにトニオがいれば取れたばかりのオリーブオイルとここにある(保存があまりきかないから)新鮮な食材だけでんまぁい料理をこさえてくれるんだろうけどなぁ。
ここで気になってくるのは取れたオリーブオイルの色、香り、味わいなどの個性がどーかって事だ。
香り一つとっても、フルーティ(オリーブ果実の香り)、グリーン(草や葉のような青々しい香り)、ビタ ー(苦み)などに分けられるオリーブオイル。
どれが取れるかによってどう食うか色々と考えなくっちゃならねぇ。

「冗談はよしてっ。こんなできそこないの私に、おかしくなっちゃうわ」
「テファ…貴方が自分の生まれや、見た目にどんなコンプレックスを持とうと貴方の勝手です」

これから取れば…ジョルノの事だ。石臼もちゃんと用意してあるに違いない。そう決め付けてやる!
てことはだ。晩飯を遅くすれば今日はちょっとだけ向こうの世界に近い食事が出来るってことだな。
テファ達がこの森で手に入れるものはきのこや自生する野菜。テファ達もちょっとは作ってるようだが、森で取れる植物が主だ。
人目を避ける為と、テファが村を離れると本当に子供しかいなくなっちまうんで、ジョルノが来るまではあんまり狩りもできてなかったらしい。
テファにお金を送ってくれるお姉さんの知り合いが週に一、二度この村に来て色々持ってきてくれるんだが…冷蔵庫がここにはないからな。
まぁそのおっさんに今度骨付き肉を持ってくるよう頼ませるとして…今日はあぁ、オリーブオイルをきのことかの仕上げにかけてもいいな。

348 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 01:03:18 ID:lHDlnbiQ
ポルwww

349 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 01:05:55 ID:uBmZMcke
ほのぼのしてていいなぁ

350 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 01:07:06 ID:F/I3diMF
「ですがテファ。僕は貴方の生まれなどは素晴らしいし、羨ましいと思っています」
「えっ? ジ「(貴方のお話を聞く限り)貴方のご両親は確かに愛し合っていましたし、大事に育てられたと感じるからです」

おっと涎が…心なしか腹が減ったような気がするし、ここは一つ晩飯が出来るまで『Goldorak』でも見て時間を潰すとするか。
こいつは日本のアニメだが私にとっても馴染み深い作品、見ているとノスタルジーに浸ることも可能な作品だぜ。

「もしそうでなかったとしても、他のエルフや人間がどう言おうと貴方は可愛らしいシニョリーナ、…いえ、お嬢さんですよ」
「ジョルノ…」

な、なんだかわからんが、いつのまにか外からストロベリーな空気が流れ込んでくるような気がするぜ!
私は愕然とし、それに対抗するようにTVの音量を上げていく。
ったく素人はわかってないぜ。これは男の子のアニメなんだ。ストロベリーな空気は『Goldorak』を見てる時は自重しろ!

「テファお姉ちゃんに手を出すな! このコロネ!」
「フ、では収穫しましょうか。この実から作れるオイルには食用以外で色々と使い道があるんですよ。石鹸…動物の物でも構いませんが、子供達では難しいですから」
「石鹸?」
「ええ。(サウナでは余り使わないと思いますし、原理も説明し始めると切がないので省きますが…)僕の故郷では汚れを落とすのに使う道具です」

GoldorakのOPテーマ。『Goldorak le grand(ゴルドラック・偉大なる者)』が亀の中に響き渡り、私のテンションを上げていく。
フフっ懐かしいぜ。

「高い枝の実を取る為の台も用意しておきましたから使ってください。僕は臼を使って実を絞りますから…食材も探しに行かなければ行けませんから、忙しくなりますよ」
「そ、そうね! 今夜は、オリーブオイル?を使って作りましょ!」
「はい。時間的に厳しいですが、なんとかやってみましょう」

そんなジョルノ達が作ったオリーブオイルの出来は余りよくないとは思いもせず、私はGoldorakを見続けた。
所詮、ここはアルビオンとかいう異国。
地中海の気候が良く馴染むオリーブの木が良い実をつけるわけがなかった。
寒暖の差が激しすぎるとか、色々と問題があったのだ。だが、Goldorakを見て満面の笑みを浮かべる私もテファ達もそんな事は考えていなかった。
実を一つ二つとって置いてその細胞から品種改良を試みるジョルノはどーかしらねぇけどな。


今回は以上です。
基本的にポルナレフが外に興味を無くすと声しか聞こえない、ということにしてるのですが、間が難しくなってきたかも…

351 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 01:11:36 ID:L4PazPij
GJ!たまにはこういうほのぼのとした空気があっても
いいと思うんだ。

タイトルだけど、いっそ「黄金革命」と書いて
ゴールド・レボリューションにするのは?

…寝が足りなくてセンスある名前が書けなかったスマン。

352 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 01:18:37 ID:fXe1ZRbZ
乙!
ゴキブリ退治ワロタw

353 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 01:21:58 ID:q1JhTEnF
GJ!
オリーブオイル云々を読んでて涎が出てきたwww
焼いたジャガイモにオリーブオイルと塩を掛けると美味しいんだぜ!

354 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 01:26:34 ID:cw1USi1b
GJ! 実にいいほのぼの感。
では続けて30分から投下して構いませんねッ!?

355 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 01:30:22 ID:iMD9k8uD
おkおkかまーん

356 :ゼロいぬっ!:2007/10/14(日) 01:31:32 ID:cw1USi1b

シルフィードが空の色に溶け込むように大空を舞う。
その背にはタバサのみならずキュルケも同乗していた。
「んー、やっぱり風が気持ちいいわね。ねえタバサもそう思わない?」
「……………」
いつもならタバサも頷いて同意してくれるのだが今日は違う。
彼女の視線はじぃーと私の顔を見続けている。
分かっている、素直になれと彼女は言いたいのだ。
でも、それを口にしたら私が意固地になると分かってて彼女は言わない。
ったく、気心の知れた友達というのも楽じゃないわね。
こっちの考え、全部筒抜けじゃない。
この遠乗りには私がタバサに頼んだ物だ。
学院に居辛かったので気分転換を兼ねて空の旅を満喫している。
目的地も決めずにいたのでタバサにはすぐ勘付かれたようだ。

「分かってるわよ。でも恥ずかしいものは仕方ないでしょ」
フーケのゴーレムとの戦い、それに今回の惚れ薬騒動で彼女には大きな借りが出来てしまった。
どちらも私一人では解決できなかっただろう。
彼女がいなかったらどうなっていたか考えるだけでも恐ろしい。
ゴーレムの時には使い魔の力だと思って、あまり気にも留めていなかった。
だけど今回の事件でハッキリと彼女自身が変わりつつある事を認識した。
ライバルに先を越された悔しさと同時に彼女が成長した事を嬉しく思う。
だけど今までからかっていた相手に助けられたのが恥ずかしくて顔を合わせられない。
複雑と思うかもしれないが、乙女心とはそういうものなの。
そもそも借りを作りっぱなしというのは釈然としない。
貸しを作るのはいいけど逆はダメ。
「こう、パーっと一気に借りを返す機会とか無いかしらね」
「同感」
こくりと彼女がようやく頷く。
彼女も私ほどではないだろうけどルイズに貸しがあるらしい。
お互いの目的が一致し色々とアイデアを検討する。
第一弾、プレゼント大作戦…って前に私達の方が貰ってたわね。
第二弾、貴方の夢叶えます大作戦…って胸を大きくする方法なんて知らないし。
その言葉にタバサも反応を示す。
じとっとした目で見つめるのは私の胸元。
ついでに自分の胸にもぺたぺたと手を当ててる。
そんな顔されても本当に秘訣なんてないってば。
生まれつきよ、生まれつき。

「きゅいきゅい」
突然、シルフィードが何かを見つけたのかタバサに話しかける。
ふと視線を下に向けると疾駆する一台の馬車が目に入った。
装飾の施され様からして乗っているのは高級貴族だろうか。
このままの進路を取ると目的地は魔法学院だ。
勅使であるモット伯ならともかく、そんな所に何の用があるというのか。
それを追跡するようにタバサはシルフィードに指示を飛ばす。
目を丸くする私に彼女が簡潔に説明する。
「アカデミーかもしれない」
「何でそんなのが学院なんかに」
「彼の事を知られた可能性がある」
「っ……! どうやら思ってたよりも早く借りが返せそうね」
唇をきゅっと結び、シルフィードの加速に耐える。
壁のように感じる風圧を受けながら彼女達は学院へと舞い戻った。


357 :ゼロいぬっ!:2007/10/14(日) 01:33:03 ID:cw1USi1b

「そうか。ようやく決心が付いたか」
「はい。学院長の仰る通り、一度里帰りしてみようと思いまして」
オスマンの前に立つミス・ロングビル。
彼女の手にはやや大きめの旅行鞄がぶら下がっている。
オスマンは休みの期間も故郷の場所も問いはしない。
ただ黙って旅立つ彼女を見送る。
「うむ。故郷で一度、自分の原点に立ち返るのもいいじゃろう。
人は前だけを見て進むのではなく時折立ち止まり振り返る事も必要じゃ。
自分の歩んできた道、そして歩みべき道を見失わないようにな」
「……ええ、そうですわね」
何か過去の傷に触れてしまったのか。
餞別代りの言葉を聞いて彼女の表情が曇る。
それをはぐらかす為に下ネタを振ろうとしたが咄嗟に思い付かず、
気付けば彼女は既に扉に手を掛けていた。
「それでは失礼します」
「良い旅を」
結局は他愛も無い挨拶で幕を閉じた。
まあ、これが今生の別れではない。
もし彼女が帰ってこなくても、それはそれだ。
彼女が帰るべき場所を見つけたのならここにいる必要は無い。
新たな旅立ちを祝福すべきなのだ。
「ああっ、でもあの乳と尻が別の男のものになるのはイヤじゃな…」
旅行から帰ってきたコルベールは自分の研究室に篭りっきり。
一人寂しく悶々としていたオスマンは今度モット伯に頼み込んで、
『異世界の書物』を見せて貰おうかと本気で悩んでいた。


白紙の祈祷書、白紙のノート、ついでに私の頭の中も白紙。
詔なんて何も思い浮かばない。
勉強なら自信はあるんだけど詩や文学には疎かった。
モット伯やタバサなら簡単に浮かぶのだろうか。
ギーシュもやたらと歯の浮く台詞を言えるから得意そうだし。
ちょっと参考代わりに聞いてみようかな。
…ダメ、ダメよルイズ。まだ婚姻の事は公にされていない。
そんな事を聞いて知れ渡ったら私の責任だ。
それに、これは姫様立ってのお願い。
だから私がやり遂げなくちゃいけないんだ。

しかし、勢い込んで見たものの前途は闇。
まるで見通しが立たないというのは最悪というべきだろう。
私がそんなだからか使いの魔の顔もどこか憂鬱に見える。
その時、トントンと扉を叩く音が響いた。
全く…こんな時間に誰よ。
人がせっかくやる気を出したというのに妨害するなんて、このモチベーションの高まりをどうしてくれるのよ。
そんな言い訳じみた事を考えながら扉を開いた。
その時点でよく考えるべきだったのだ。
私の知り合いにノックをするような常識人はほとんどいないって事に。
開けた視界の前にはフードを被った二人組の姿。
どこかの押し込み強盗かと疑ってしまうような風体に顔を顰める。
「久しぶりね、ルイズ」
しかしフードの下から出てきたのは花も綻ぶような笑顔。
それを見間違える筈など無い。
幼き日を共に過ごした友であり自分の主である人物、アンリエッタ姫殿下を。
「ひ、ひ、ひ…姫様ーー!!?」
「ああ、ルイズ。会いたかったわ」
アンリエッタにとっては唯一ともいえる親友との再会。
その感動的な再会はバタンと閉じられた木造の扉に遮られた。

358 :ゼロいぬっ!:2007/10/14(日) 01:35:32 ID:cw1USi1b

「ル…ルイズ、一体どうしたというのですか? ここを、ここを開けてください」
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいっ!
まだ出来てないんです、でも期日中には間に合わせますからっ!」
「違うの。今日はその事ではなくて…」
「全く出来てないって訳じゃないんですけど。
でも、今出来ている分だけでも見せろと言われても困るんですっ!」
「だから違うの! お願いルイズ、話をちゃんと聞いて!」
トントンと叩いていたノックの音がドンドンと重く変わる。
その音に怯え室内から扉を押さえつけるルイズ。
話がまるで噛み合わない光景に溜息を漏らしアンリエッタの従者が動く。
フードを取り払い短く切り揃えた短髪を靡かせる。
「姫様。お下がりを」
「あ、アニエス。あんまり乱暴な事は…」
アンリエッタの顔には明らかな怯えがあった。
未だに収まらぬルイズの弁明にアニエスは限界気味だった。
扉が開かない事よりも彼女はルイズの安全を優先したのだ。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさ……」
「ええい、やっっっかましいィィィ!!」
しかし彼女が言い終わる間もなくアニエスは扉を蹴り飛ばす。
火薬で吹き飛ばされたように開け放たれる扉。
その威力の前には彼女程度の重しなど台風の前のぬいぐるみ。
抑え付けていたルイズが部屋の端までゴロゴロと転がって倒れた。
「……きゅう」
「だ、大丈夫? ルイズ」
目を回しているだけなのか、それとも頭を打ったのか。
倒れたまま起き上がろうとしない彼女の下にアンリエッタが駆け寄る。
ゆさゆさと揺するものの反応がない。
それはルイズの睡眠不足が故なのだが彼女はその事を知らない。
あわや感動の再会が悲劇の別れになるかと困惑する。
彼女が期待していたような感動の再会は完全に台無しだった。

突然の侵入者に彼が慌てふためく。
何しろ周りには悪意の匂いがまるでしなかったのだ。
それで無警戒だったのだがルイズは吹き飛ばされ部屋に踏み込んできた。
とりあえずルイズや自分に危害を加える様子はないようだが…。
念の為にもう一度匂いを確認する。
ちょっと鼻先にドレスの裾が当たってむず痒いんで前足で除けて、と。
「きゃっ…!」
「何をしておるか! このエロ犬ッ!」
「きゃうん!」
瞬間、首根っこを上から抑えつけられ潰された。
床に張り付けにされたまま、彼女達の匂いを嗅ぎ続ける。
二人とも悪意はない……無い筈なんだけどこのアニエスって人、ちょっと怖い。

「姫様。念の為にこの部屋にサイレントを」
「は、はいっ!」
ディテクト・マジックで監視の有無を確かめ一息ついたアンリエッタにアニエスが指示を飛ばす。
本来は主であるべきアンリエッタがアニエスに従う異常な光景。
人の良さ故か、それとも目の前の光景が余程恐ろしかったのか。
恐らくはその両方だろうとデルフは思った。
それよりも姫様がここに来たって事の方が遥かに重大だ。
いくら親友に会う為とはいえ、王宮を抜け出してくるなんて有り得ねえ。
ましてや婚姻を前にした重要な時期にだ。
(なにやら雲行きが怪しくなってきやがったぜ)

359 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 01:36:10 ID:bov1KBa/
GJ!
スタンドならばっちいってこともないから安心して素手でゴキブリ退治が出来るなと思ったがやはり新聞紙か
ピザ……?
アンチョビは!
アンチョビはないのか!
好みの問題だがキノコやピーマンなども欲しいな
チーズはモッツァレラなら1日で作れるが原料が必要だから牛や山羊をつくるところから始めてその餌に地面ガンガン殴って牧草生やして……
ああとにかくピザ食いてえ!


360 :ゼロいぬっ!:2007/10/14(日) 01:39:47 ID:cw1USi1b

「お久しゅうございます姫殿下」
膝を付き頭を下げ恭しく礼をするルイズ。
その傍らには頭を押さえつけられて伏せられた彼の姿。
親友の跪く姿を見てアンリエッタが動揺する。
「止めてルイズ! 私たち友達じゃない、そんな堅苦しい行儀なんて必要ないわ」
「しかし姫様」
「まあ今更体裁を取り繕った所で意味はないかも知れんがな」
先程の光景を思い出してかアニエスがふふんと笑う。
アンリエッタの横に立っているアニエスからルイズは見下すような視点になる。
別に彼女に傅いている訳ではないのだが何故か無性に腹が立つ。
本当なら平民と公爵家では同じ空気を吸う事さえ許されない程の差があるというのに。
もっともルイズは権力を振るかざすつもりは毛頭ない。
すくと立ち上がると彼女を指差しながら問う。
「うるさいわね。何でアニエスが姫様と一緒にいるのよ?」
「あ、彼女はマザリーニ枢機卿から私の監視役として…」
そこまで口にしてアンリエッタはハッと気付いた。
「どうして彼女の名前を知ってるの?」
「う……」
実はですねー、私、違法な魔法薬を盗み出してる所でアニエスと会ったんです。
その時、男の子の格好してたから分からないと思うんですけど。
あ、その時一緒にいたモット伯は脅して共犯者にしました。
…そんな事、言える訳が無いでしょうが!!
百年の友情も一瞬でブッ壊れます。
今後は敬語で話しかけてくださいねと笑顔で言われかねない。
ある意味、その方が気楽かもしれない。詔も考えなくて済むしね。

「ルイズと知り合いだったの?」
「いえ、私には覚えがありませんが」
突然、言葉に詰まったルイズから今度はアニエスに振る。
彼女はルイズをよく観察し思い起こしながら答える。
しかし、どこか引っかかる物があるのか顎に手をやって悩む。
「ああ、町でちょっと見かけたのさ。派手にやってるって噂になってたからな」
それを遮ったのはデルフの一言だった。
この場には他に誰もいない状況で突然響いた声にアニエスの警戒心が高まる。
しかしカタカタと鍔元を鳴らす剣の姿を認めると彼女の気配が和らぐ。
そして、それを確かめるようにデルフに語り掛ける。
「インテリジェンスソードか?」
「おう。デルフリンガー様だ、よろしくな。
ところで姉ちゃん。一つ聞きたいんだが裏路地寄りにあった武器屋、知ってるか?」
「剣如きに姉ちゃん呼ばわりされる筋合いはない。
それに、そんな場所に武器屋など無かった筈だが?」
「ありゃ、じゃあ潰れちまったかな」
もしくは親父が夜逃げしたかだ。
前に何度か貴族相手に名剣だってホラ吹いて観賞用の剣を売り飛ばしたからな。
査察が入ってたら捕まっているかもって思ったんだが。
まあ、殺したって死ぬようなタマじゃねえか。



361 :ゼロいぬっ!:2007/10/14(日) 01:41:21 ID:cw1USi1b

不思議な質問にアニエスが首を傾げる。
それを見ながらルイズは心の中で親指を立てた。
(ナイス、デルフ!)
完全に話題は別の物に切り替わった。
もはやアニエスが思い出す事は無いだろう。
だが念を入れて最後の駄目押し!
「姫様。一体何があったんですか!?」
ルイズは自ら本題を切り出した。
いくらなんでも姫様が自分に会う為だけに来る筈が無い。
何かしらの相談や悩み事があると見るのが普通だろう。
それが分かるぐらいにはルイズは大人になっていた。
その言葉でアンリエッタの表情に僅かに浮かぶ喜色。
しかしそれを押し込めるような仕草をした後、彼女は決心して口を開いた。

「ルイズ、私を助けて!」


362 :ゼロいぬっ!:2007/10/14(日) 01:44:14 ID:cw1USi1b
以上、投下したッ!
次回でチーム結成と旅立ちです!


363 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 01:52:58 ID:tPTH4XOO
支援するまえに終わっていた…
GJ!
アニエスやっぱドSだなおいw

364 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 02:27:18 ID:xcbvcncc
つまり、プロシュート兄貴、エレオノール姉様、アニエスのドSトリオ結成という事だな?

365 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 02:35:45 ID:bov1KBa/
>>364
「敵かッ!」
「敵かッ!」
「敵かッ!」
と無心に無関係の貴族を蹴り続ける三人が浮かんだ


366 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 03:07:03 ID:DNlQJcz9
その3人に「どうやら違うようだ」と言うのは誰だwww

367 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 03:12:26 ID:SVC2c1do
>>366
烈風のカリン様じゃねぇか?
プロシュート兄貴はきかなそうだけど

368 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 03:51:47 ID:Ai2yaadN
もう何かジョルテファの人は建国するといいと思うよ!

369 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 03:58:51 ID:B5GLGe+S
ジョルノ&ポルナレフの人GJ.
あまり意識してなかったけどそういやタイトルってまだ無かったんだな。
おれは勝手にジョルポルファーって呼んでたぜ。

370 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 08:29:37 ID:j8KYZ2EL
ジョルナレフ&犬GJ!!



俺(私)の名はジョルノ、
プロシュート、
アニエス、
エレオノール。

 超 ド S 攻 撃 ! !

371 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 08:35:51 ID:xePXOZBw
>>369韻がトランスファーに似てる気がする

372 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 12:03:40 ID:F/5HZibl
迂濶なことを言うとタイトルが決まる恐れがある。

373 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 15:53:10 ID:QOOkaKmS
正直俺はピッツァよりチーズ単体のほうが好きだ

あれ何でこんなところに亀が・・・・うげぁっ

374 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 16:02:12 ID:1LZA8aIq
ピッツァはこんがり焼きたてでなくてはな。

375 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 17:11:59 ID:eik0BGCU
熱いとベリー美味。冷めるとマズマズな不思議な食い物だなピッツァって。
日本の宅配ピザはトッピングがウザいくらい多くてゲンナリするときがある。
マルガリータが一番いいな。



……たまにはエビマヨもいいけどな。

376 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 17:16:02 ID:e1qnTXxD
何故かスモークチーズと冷凍ピザが常備されている我が家の冷蔵庫
時々モッツァレラもあるけどな

377 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 18:20:51 ID:tPTH4XOO
食べ物談義?
冷蔵庫に常備されている物は茶。若武者とかお〜いお茶とか色々と…

378 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 19:17:58 ID:rtObII81
ピザか。たまに食うのは良いわな。
TVで兄貴の乗ったピザのCMが流れる昨今だし。
個人的にだけど、タバスコぶっかけて食うのは許せん感じ。

379 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 19:23:15 ID:SsHCrmcp
イタ飯屋に行ってメニューにある
“プロシュート”や“リゾット”という単語に
一々反応するのは絶対俺だけじゃない

380 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 19:36:49 ID:F+KXmvxK
ここからまた草だのティッシュだのサバイバル談義にシフトチェンジしそうで怖い

381 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 19:37:26 ID:xcbvcncc
ピザ頼む時に『プロシュート兄貴で』と言いそうになったな…

382 :名無しさん@お腹いっぱい:2007/10/14(日) 19:50:53 ID:/Ys1RWD/
とりあえずジョルノがいれば食いっぱぐれは無いよな
そこらへんの石や土を食料に変えればいいから

383 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 19:55:35 ID:e1qnTXxD
噛んだときダメージが返ってくるという欠点が

384 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 20:12:45 ID:q1JhTEnF
>>378
タバスコの真の美味さは、酸っぱく感じるほど掛けないと発揮されないのだよ

385 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 20:17:04 ID:SVC2c1do
>>379
大学の入試問題にプロシュートハムが出たのを思い出した

386 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 20:48:43 ID:wSrnp87C
ジョジョ読む前→ピザ
ジョジョ読んだ後→ピッツァ

読む前→「いいじゃないか」
読んだ後「いいじゃあないか」

読む前→ため息「ふぅ・・・」
読んだ後→「ブフゥ〜」

387 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 21:03:44 ID:TuVdn3ly
いやいや「ブフゥ〜」は無いぞw

388 :サブ・ゼロ ◆oviEMgpce6 :2007/10/14(日) 21:04:11 ID:71jWn9uz
随分と遅くなってしまったが・・・投下しても?

389 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 21:09:54 ID:vuDZmklX
>>388
投下することを許可するッ!!

390 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 21:11:42 ID:tno4kva4
歩道が広いではないか

391 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 21:12:07 ID:SsHCrmcp
待ってたぜェ〜ッ!支援するッ!

392 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 21:12:29 ID:W+GPl8sv
支援する11!

393 :サブ・ゼロの使い魔(1/10):2007/10/14(日) 21:13:17 ID:71jWn9uz
「なるほど、事態は把握したよ」
シルフィードの背中、身元を隠す黒いローブの下でギーシュは頷いた。
その隣で、同じくタバサが頷く。双月の光が降り注ぐ夜空を、ルイズ達は
モット伯の屋敷へと飛んでいた。
「だけどどうするんだい?」
「止めるの」
「・・・止める?何をだね?」
「ギアッチョをよ」
「・・・何だって?」
意味がよく分からず、ギーシュはぽかんとした顔でルイズを見る。
少し俯いた顔で、ルイズは話し始めた。

「・・・そういうことなら、協力しないわけにはいかないね」
ルイズの説明に、ギーシュは納得したという顔で答える。
それを受けて、しかしルイズは「だけど」と返した。
「今回のことは冗談じゃ済まないわ 最悪の場合、あんた達の
家名にまで係わることになる・・・無理をする必要は、」
ルイズの言葉を遮って、彼女の頭にぽんと掌が乗せられる。
「それで、私達が帰ると思ってるわけ?」
「・・・キュルケ」
ルイズの頭をぐりぐりと撫でながら、キュルケは一見皮肉めいた
笑みを見せる。
「あなた達を助けるって『覚悟』してるから皆ここにいるんでしょう?
いらない思量はしなくていいの」
ギーシュとタバサは片や鷹揚に、片や静かに頷いた。ルイズはそれを見て、
「・・・・・・うん」
少し恥ずかしげに――しかし満面の笑みを浮かべた。
――あ・・・
キュルケは気付く。この少女は、こんなにも綺麗に笑うことが出来たの
だと。もう二度と、この子の笑顔を裏切りはしない。言葉にこそしないが
――それはキュルケだけではない、この場の全員の決意であった。

394 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 21:14:49 ID:W+GPl8sv
支援支援

395 :サブ・ゼロの使い魔(2/10):2007/10/14(日) 21:15:33 ID:71jWn9uz
地図を頼りに森を行くギアッチョの眼前に、大きな屋敷が姿を現した。
「おう、旦那 どうやらここみてーだぜ」
「ほぉ こりゃまた大層なお屋敷じゃあねーか」
夢に出てきたあの屋敷よりは幾分小さいが、と心の中でどうでもいい
ことを付け足すギアッチョにデルフリンガーは一つ疑問を投げかける。
「しかし旦那、具体的にはどうするんだ?嬢ちゃん掻っ攫ってとんずら
っつーわけにもいくめぇ この警備じゃあよ」
木陰から伺えば、確かに門前と庭内には数人の衛兵。そして彼らと
共に、蝙蝠のような翼を生やした犬という悪魔合体の産物の如き
生き物が数体庭を闊歩している。それらをちらりと一瞥して、
ギアッチョは詰まらなさそうに息を吐いた。
「奴らを排除してモットの野郎を殺す それで仕舞いだ」
「・・・そうかい ま、俺ァ人殺しの道具だ とやかくは言わねーよ」
「・・・とやかく言いたいことがあるってわけか?」
「いんや、俺ァ旦那の相棒だかんな ――ただ、ま・・・
ルイズは悲しむんじゃねーかと思ってよ」
「・・・・・・」
呟くようなデルフの声で――ギアッチョの口は数秒動きを止めた。
「チッ・・・」
何故か脳裏をよぎったルイズの泣き顔を掻き消そうと一つ舌打ちして、
ギアッチョは無理矢理に言葉を吐いた。
「・・・それだけか?言いたいことはよォォーー」
人の身であったならば溜息の一つもついただろう。それが敵わぬ
デルフリンガーは、ただ淡々と質問を続ける。
「いや、もう一つ スタンド・・・だったよな そいつを使う力、
もう殆ど残ってねぇんだろ?大丈夫なのかと思ってよ」
そう。確かに自分のスタンドパワーは今にも底をつこうとしている。
誰にも言いはしないが、少しでも気を緩めようものならがくりと
膝を落としてしまいそうだった。彼の心身は、今それ程までに
疲弊しているのである。しかし、
「問題はねえ」
ギアッチョがそれ以外の言葉を口にすることなど有り得なかった。
「旦那・・・」
納得し兼ねるといった声を出すデルフに目を向けて、ギアッチョは
面倒臭そうに言葉を継ぐ。
「オレの目的はあくまでシエスタとモットだ 雑魚共をいちいち
相手にしてる程暇じゃあねーぜ ・・・そもそもだ、わざわざ
スタンドを出すまでもなくこっちにはてめーがいるんだからな」
「へ?・・・お、おおよ」
いきなりの不意打ちに、デルフリンガーは少々上擦った声を上げた。
考えてみれば、ギアッチョが己への信頼をこうして言葉にしたのは
初めてのことなのである。力の化身のようなこの男が口にした
信頼の言葉に、デルフリンガーは密かに感動していた。
喋れるように鞘から少し露出させていた刀身をすらりと引き抜いて、
ギアッチョはその心中も知らず彼を無造作に肩に担ぐ。隠れていた
木陰から数歩歩み出て、不機嫌そうな顔のまま口を開いた。
「行くぜオンボロ」
「任しとけ・・・ってうぉい!結局オンボロ呼ばわりかよ!」

396 :サブ・ゼロの使い魔(3/10):2007/10/14(日) 21:17:02 ID:71jWn9uz
それは、彼女のような平民は眼にしたこともないような巨大な
浴場だった。モット伯の邸内に設けられたそこに、シエスタはもう
随分長く浸かっている。身体が茹だってゆくにも構わず、彼女は
その最後の安息地から腰を上げることを頑なに拒んでいた。
「・・・どうして・・・」
震える肩を抱きながら、シエスタは一人呟いた。呟いてから、その
先に何を続けたかったのかを考えて自己嫌悪に陥る。どうして
こんな目に遭わなければならないのか、どうして自分なのか、
どうしてこれが許されるのか――考えれば考える程に出てくる
それらは、まるで己の卑小さを嘲る刃のようにシエスタ自身に
突き刺さった。
「そうよね・・・」
シエスタはその口に、諦念混じりの自嘲を浮かべる。そうだ、
恨み言をいくら吐こうが何も変わりはしない。この世界は
「そういうもの」なのだから。平民にとってメイジは天災。それは
比喩ではなく、正しく言葉通りの意味でそうなのだ。平民如きが
何をどう足掻こうが覆らない災禍。洪水や嵐と違うのは――彼らが
意思を持っているということだけだ。そしてそれ故に、メイジは
時として災害よりも凶悪な存在にすらなる。
だから。そういうものだと割り切るしかないのだ。例え彼らに
襲われようが、奪われようが、そして殺されようが・・・それは
仕方の無いことなのだと。メイジとは、貴族とは、そういうもの
なのだから。

…ぽたりと。伏せた瞳からこぼれた一滴の雫が、水面を震わせる。
心を抑えることは出来ても――涙を抑えることまでは出来なかった。
我知らず漏れていた嗚咽と共に、シエスタの綺麗な瞳からは次々と
涙がこぼれ落ちる。
「お金なんていらない・・・ 皆と仕事をして、マルトーさんや
ギアッチョさん達と色んな話をして、たまに故郷へ帰って・・・
それでよかったのに・・・ それで幸せだったのに・・・」
止めようとして止まるものではなかった。何も変わらないと
知りながら、シエスタは静かに泣き続ける。

最後の安息、その終焉を告げたのは、シエスタと同じくこの館で
働く侍女の一人だった。浴場の入り口から一言、「伯爵が寝室で
お待ちです」そう淡々と伝えると、老境の侍女はそのまま立ち去った。
「・・・・・・」
永遠にも思える時間を、シエスタは祈るように沈黙した。それが
無駄だということは、誰より己が解っている。それでも、何かに
祈らずには居られなかった。
そうして数秒、震える両肩から手を離し、彼女は静かに閉じていた
眼を開く。
「・・・最後に、ギアッチョさんにお別れを言いたかったな・・・」
もはや叶わぬことを呟くと、シエスタはごしごしと涙を拭い――
諦観に染まった表情で、ゆっくりと湯船から立ち上がった。

397 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 21:18:53 ID:pTfCyuV4
支援疾走

398 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 21:19:10 ID:J+hMLAdq
久々のサブちゃんではないか!
これは全力で支援しなければ!!!

399 :サブ・ゼロの使い魔(4/10):2007/10/14(日) 21:19:27 ID:71jWn9uz
「うぐっ」
「あがっ」
屋敷の門外、高い塀の向こうからからくぐもった声が二つ続けざまに響き、
庭内を巡回していた三人の衛兵は不審げに顔を見合わせた。視線の先、
格子状の門の外には何者の姿も見えない。静かに目配せし合うと、彼らは
その手の槍を素早く構えて門へと駆け出した。

一分後。塀に身を隠すギアッチョの目の前に、合わせて五人の衛兵達は
折り重なって倒れていた。
「とりあえずは、こいつらで全部だな」
「意外だね、気絶でとどめるたぁ」
左手の先で笑うデルフリンガーに、ギアッチョはいつもの仏頂面で答える。
「オレは別に殺人鬼じゃあねー」
デルフリンガーは、そう言いながら自分を鞘に戻そうとするギアッチョに
向けて早口に口を開いた。
「旦那、あの犬コロ共はどうすんだ?あいつらァすばしっこい上に空を飛ぶ
相手してる間に騒ぎに気付いた衛兵連中が集まってくるぜ」
「・・・問題はねえ」
対するギアッチョの反応は、実に淡々としたものだった。そのままデルフを
鞘に納めて、彼は開きっ放しの門から躊躇無く庭内へと侵入する。
「ぐるるルるる・・・」
一歩足を踏み入れたその途端、六匹の怪物犬は唸りを上げながらギアッチョ
目掛けて走り出した。そう訓練されているものか、彼らは一瞬にして
ギアッチョの周囲を逃げ場無く取り囲む。翼の生えた黒い犬が血走った
眼で獲物を囲んでいるその光景は、正に地獄の様相と言うに相応しかった。
常人ならば失神してもおかしくないそれを、ギアッチョはただ面倒臭げに
一瞥する。自分達に恐怖を感じていないその様子が気に入らないのか、
黒い獣達は一斉に刃のような牙を剥き出した。そのまま怒りに任せて獲物を
引き裂かんとするその瞬間、
「ああ?」
ギロリと。圧倒的な怒気と殺意を宿すギアッチョの凶眼に刺し貫かれて、
六匹の魔物はまるで石像のように硬直した。
「・・・ぐ・・・ぐるるる・・・」
怯えるはずの人間に、今恐怖を感じているのは紛れも無い彼らだった。
直接ギアッチョの双眸と対峙していない後方のニ匹でさえ、ギアッチョの
放つ極寒の炎の如き殺意に身動き一つ取れなかった。
魔眼の巨人や魔除けの籠目を例に出すまでもなく、古来より「眼」に
ある種の力を認める類の譚話は世界中に散見するが――今、彼ら六匹の
魔犬は正にそれを実演するかのように停止していた。
それを何でもないような様子で確認して、ギアッチョは一言低く、
「行け」
と呟く。その瞬間、彼らはきゃんきゃんと喚きながら我先に空へと
逃げ出していった。
「・・・すげーな、旦那」
呆けたような声を出すデルフリンガーに、ギアッチョは無感動に答える。
「急ぐぞ」

400 :サブ・ゼロの使い魔(5/10):2007/10/14(日) 21:21:05 ID:71jWn9uz
ルーンの刻まれた左手ですらりと魔剣を抜き放つと、邪魔者のいなくなった
前庭を、ギアッチョは眼にも留まらぬ速さで駆け抜けた。
「何だきさ・・・はぐぉッ!!」
右の拳で玄関の番人の一人を問答無用で殴り飛ばし、同時に左手の剣は
もう一人の喉元へ流れるように突きつける。
「なッ・・・!?」
「ちょっと訊きたいんだがよォォォ〜〜〜 モット伯とか言う野郎はどこだ」
突然の状況に眼を白黒させている番兵を、ギアッチョは静かに問い詰めた。
「き、貴様・・・何のつもりだ こんな狼藉が許されると――」
言い終わらない内に、ギアッチョはデルフリンガーの刀身を番兵の喉に
軽く触れさせる。
「ぐッ・・・」
「聞こえなかったっつーわけか?ええ、おい?」
ギアッチョは、「三度目はねぇぜ」と低く呟いて繰り返した。
「モット伯はどこだ」
「・・・・・・は、伯爵は・・・」
諦めたように口を開く男の右手の動きを、ギアッチョは見逃さなかった。
虚を突いて繰り出された槍の穂先をデルフリンガーがまるでバターを
切るように両断すると、右手で男の首を掴んでそのまま館の壁に叩きつける。
「ぐッ・・・!」
「いい返事だ 下衆野郎に殉じな・・・」
ここまで倒して来た衛兵達と違い、この男にははっきりと顔を見られている。
首を掴む右手にぎりぎりと力を込めるが、苦しげにもがくだけで何かを
喋ろうともしない。この様子では懐柔も難しいだろう。
「大した根性じゃあねーか・・・そいつに敬意を表して一瞬で終わらせてやる」
そう言いながら、しかし躊躇なく剣を構える。胸に狙いを定め、一気に
貫こうとしたその時、

「待って!!」

上空から聞きなれた声が響き――同時に放たれた風がデルフリンガーを
弾き飛ばした。
「・・・何のつもりだ」
気絶させた番兵から手を離すと、デルフを拾いながらギアッチョは
シルフィードを見上げる。返事の代わりに、ルイズ達はひらりと地上に
飛び降りた。ルイズはそこから一歩を進み出て、曇りの無い瞳で
ギアッチョを見つめる。小さく息を整えて、彼女はゆっくりと口を開いた。
「ギアッチョ・・・もう誰も殺さないで」

401 :サブ・ゼロの使い魔(6/10):2007/10/14(日) 21:24:13 ID:71jWn9uz
「・・・ああ?」
見ようによっては恫喝的にも感じられるギアッチョの視線に、
ルイズは臆さず向かい合った。
「もう十分よ・・・お願い、これ以上殺さないで」
「今更だな 何人殺そうが何百人殺そうが、オレには同じことだぜ」
「・・・違うわギアッチョ あんたが殺してるのは――自分の心よ」
「・・・・・・」
かぶりを振ってそう言うルイズに、ギアッチョはわずか絶句した。
「ギアッチョ、もういいのよ もう誰も殺さなくていいの 今の
あんたは暗殺者なんかじゃないんだから」
「・・・御主人様らしく命令でもするってか?」
「――命令することは簡単だわ だけどそれはわたしの意志
それじゃ何の意味もないのよ わたしじゃない、ギアッチョ自身の
意志でそうして欲しいの!だからギアッチョ、お願い・・・もう
誰も殺さないで!」
ルイズの懇願に眩暈のような錯覚を覚えて、ギアッチョは思わず壁に
片手をついた。それ程までに、ルイズの言葉は今のギアッチョには
眩しすぎた。
「・・・今更、オレにどう生きろっつーんだ」
「人生」、表現を変えればそれは個人の歴史と言えるだろう。歴史とは
即ち記憶――ならば人生もまた、記憶の集積であるはずだ。そして
ギアッチョは、真っ当な人間であった頃の記憶など、とうの昔に捨てて
いた。彼の記憶は暗殺者の記憶、彼の人生は暗殺者の人生。それは
殺人を生業とする異常極まりない世界で自己を保ち続ける為の手段で
あった。異常な世界で生きるには、それを異常だと感じる原因を
抹消してしまえばいい。ギアッチョはそうして、身も心もその全てを
殺戮に染めていた。
存在する理由を、手段を失くした時、人には何も出来なくなる。
正に暗殺という二文字で成立していたギアッチョの自己同一性は、
今届かぬ蜃気楼のようにその姿を揺らめかせていた。
「・・・オレは暗殺者だ 人殺しだからオレなんだよ」
「それは違うわ!!」
ルイズは怒ったように否定する。
「何が違う?暗殺者っつー事実だけがオレの全てだ オレは殺す為に
生まれ、殺す為に生きてんだ そいつを取り上げりゃあよォォーー
オレにゃあ何も残りはしねえ」
「違う・・・そんなことない!!」
吐き捨てるギアッチョに、ルイズは更に語気を強めて遮った。
何かを言おうと同時に口を開いていたギーシュ達は、互いに顔を
見合わせて言葉を飲み込む。今はギアッチョの主に全てを任せて
おくべきであろうと思われた。
「そんなことない・・・!ギアッチョはいつもわたしを助けてくれた、
わたし達を導いてくれた・・・あんたが何を否定しても、それだけは
変わらない事実だわ!」
「ハッ・・・そんなもんはおめーら他人が作り上げたただの幻だろーが」
話にならないとばかりに笑い捨てるギアッチョから、ルイズは尚も
眼を逸らさずに言い放った。
「幻で何が悪いのよッ!!」

402 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 21:25:15 ID:SsHCrmcp
支援!

403 :サブ・ゼロの使い魔(7/10):2007/10/14(日) 21:27:01 ID:71jWn9uz
双眸の深奥まで深く見通すようなルイズの眼差しに、ギアッチョは
再び言葉を失った。
「・・・貴族が、どうして平民の上に立っているか分かる?
魔法が使えるからよ 力ある者は、敵に背を向けてはいけないの
天に授かったその力で、身を挺して弱者を守る者・・・それが
本当の貴族なのよ」
「・・・・・・」
「・・・だけど、わたしは魔法を使えない ねえギアッチョ、
あんた今『殺す為』って言ったわよね それは自分に生きる理由が
あるってことでしょう?・・・わたしにはそれがなかった
魔法の使えない貴族に、存在価値なんてない・・・わたしは
ずっと叱られ、疎まれ、蔑まれてきたわ ゼロのルイズとは
よく言ったものよね・・・誰の役にも立たない、貴族の務めも
果たせない、誰にも必要とされない、生きる理由も意味もない
――わたしは何もかもがゼロだったわ」
凛として己を見つめながらそんなことを言うルイズに、ギアッチョは
眉をひそめる。ルイズの口から、ギアッチョは後ろ向きな言葉など
聞きたくはなかった。半ば話を中断させるように、その口を開く。
「・・・一体何が言いた――」
「だけどッ!!」
それすらも遮って、ルイズはギアッチョに言葉を投げかけた。
「だけどこんなわたしを友達と呼んでくれてる人がいるの!!
彼女達がわたしに抱いている感情は幻だわ、だけどキュルケ達は
その為に命を賭けてくれた!!それが悪いことなの!?違うわ、
絶対に違うッ!!」
「・・・ッ」
「・・・ねえギアッチョ わたしを必要としてくれてる人がいる
ように、わたしにもあんたが必要なの 暗殺者なんかじゃない、
使い魔でもない・・・ギアッチョという一人の人間が必要なのよ!」
ルイズの叫びは、ギアッチョの心に激しく響き渡った。彼女の言葉、
そのどこにも偽りはないのだろう。だからこそ、ルイズ達はここへ
やってきたのだから。だがそれでも、ギアッチョは言葉を返せない。
己に向けられた幾多の信頼に、友愛に応えるべきだとギアッチョは
今そう思えていた。しかし、それでもその口からは言葉が出ない。
暗殺者であることを辞めることは、リゾット達への裏切りではないかと
いう思いが、彼の心を縛していた。

『・・・お前は振り向くな 過去に囚われるな』

ルイズの声の残響に合わせるかのように突如リゾットの声が聞こえ、
ギアッチョはハッとして顔を上げる。

『オレ達の影に――縛られるな』

――・・・そうだったな
誰にも聞こえない声で、ギアッチョは静かに呟いた。
――迷わねーと誓ったばかりじゃあねーか・・・オレはよォォーー
夢中に聞いたリゾットの言葉は、ギアッチョの迷いを容易く打ち砕いた。
口角を皮肉めかせてつり上げると、ギアッチョはがしがしと頭を掻いて
ルイズに向き直る。
「・・・勘当されてもしらねーぞ」
「わたしには家柄なんかより――ギアッチョのほうがよっぽど大切だわ」
応えてくれたギアッチョに向けて、ルイズは吹っ切れたように笑った。

404 :サブ・ゼロの使い魔(8/10):2007/10/14(日) 21:30:00 ID:71jWn9uz
「――で、どうする気なんだおめーら」
静かな玄関前で、彼らは額を寄せ合って会話を交わす。当然の疑問を
発したギアッチョに、代表してキュルケが返答した。
「別に殺すことだけが口封じの手段じゃないわよ?」
キュルケは意味ありげに笑うと、ギアッチョに作戦内容を開陳した。

数分後。全てを聞き終えて、ギアッチョは凶相を面白そうに歪めた。
「おめーらもよォォ〜〜 中々えげつねーこと考えるじゃあねーか ええ?」
「だ、だってそれしか手段がないってキュルケが・・・」
渋々といった顔のルイズに眼を向けて、キュルケはしれっと言い放つ。
「あら、他に策がないこともないわよ だけどあんな下衆にはこれで
丁度いいわ」
「ま、違いねーな」
ギアッチョとキュルケは互いを見合わせてニヤリと笑う。不安げな表情の
中に「オラわくわくしてきたぞ」という心境が見て取れるギーシュと
本に眼を落としながらもどこか楽しそうなタバサを見遣って、ルイズは
「もうどうにでもなれ」とばかりに溜息をついた。

ギイと音を立てて、軋んだ扉が開く。打ち合わせもそこそこに、
ギアッチョ達は邸内へと侵入した。その瞬間、
「貴様ら何者だ!」
警備兵の野太い声が響いた。黒装束に身を隠した人間が勝手に侵入して
来たのである。それを見咎めない者などいようはずもなかった。
心臓が飛び出る程に驚いたルイズやギーシュを制して、キュルケは
平然と口を開く。
「あなた、モット伯から何も聞いていないのかしら?私達は"アレ"を
届けに来たのだけれど」
「・・・納入は来週だと聞いているが」
「予定より早く用意出来たのよ 納品は早ければ早い方が、伯爵も
お喜びになるでしょう?」
「・・・そういうことなら、こっちだ」
キュルケの言葉をあっさり信じ込み、警備の男はモット伯の部屋へと
先頭に立って歩き始めた。
"アレ"が何かなど、キュルケは勿論知る由も無い。モット伯のような
男ならば、口に出すのも憚られるような禁制の品を取引していたと
しても何もおかしくはないと読んでカマをかけたのだった。そんな
品物の配達人なら、身元を隠す姿をしていることに何の問題もない。
そこまでの判断を一瞬の内にやってのけるキュルケに、ルイズ達は
舌を巻いた。

扉の向こう、廊下の方で「ぶがッ!?」という間抜けな声が聞こえ、
一拍置いて何かが倒れるような音。部屋の主には聞こえなかったらしい
それら小さな音の後に、今度は扉がコンコンと大きく音を立てる。
モット伯は鬱陶しげに眉をひそめて、やって来たばかりのシエスタに
ぶっきらぼうに手を振った。
「出なさい」
「・・・はい」
シエスタはいつもの快活さからは想像出来ない緩慢さで扉へ向かう。
がちゃりと扉を開けて、
「何用ですか?」
言い終わったと同時に、驚きで固まった。
「帰るぞ」
あちこちに巻かれた包帯の上からでもはっきりと分かる、無愛想な
顔の男がそこにいた。
一目会いたかった人が、自分を救いに来てくれた。それが――どれ程
残酷なことか。ここでギアッチョに縋ってしまえば、逃げてしまえば。
彼はきっとモット伯への罪で処断されてしまうだろう。シエスタに
そんな選択が出来るわけはなかった。ギアッチョの眼を見ないように
俯いて、シエスタは冷たい声で言い放った。
「・・・お引き取りください」

405 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 21:31:27 ID:SsHCrmcp
>「わたしには家柄なんかより――ギアッチョのほうがよっぽど大切だわ」
これなんてプロポーズ?支援!

406 :サブ・ゼロの使い魔(9/10):2007/10/14(日) 21:32:31 ID:71jWn9uz
拒絶の意志を表したシエスタを、ギアッチョもまた冷厳と見下ろす。
彼女の細い肩がか弱く震えていることに気付かないギアッチョでは
なかった。
「断る」
「・・・っ」
シエスタは一瞬見せた泣きそうな顔をすぐに正して、ドアの握りを持つ
手に力を込める。
「・・・お引取り、ください」
そう言いながら扉を閉めようとするが、

ガンッ!

ギアッチョは素早く片足を滑り込ませてそれを止める。
「断る、って言ってんだろーが」
ギアッチョの断固たる声に、シエスタは半ば諦めたように顔を上げた。
「・・・ダメです、それじゃギアッチョさんが」
「問題はねー オレを信用しな」
「・・・だけど」
尚も抵抗するシエスタを読めない瞳で見つめて一つ溜息をつくと、
ギアッチョは身体を半身にずらした。その後ろに見えた数人の顔に、
シエスタはハッと息を呑む。
「・・・オレで足りねーなら――こいつらの分の信用も足してくれ」
ミス・ヴァリエールとミス・ツェルプストー、ミスタ・グラモンに
ミス・タバサまでがそこにいた。ここに来ることがどれだけ危険か、
彼女達が知らぬわけがない。家名にまで累が及ぶ危険を冒して、
彼女達は自分を助けに来てくれたのだ。それは彼女達の誠実さを、
何よりも雄弁に物語っていた。
「・・・・・・はい」
シエスタはおずおずと頷いた。貴族であっても、彼女達は信じられる。
彼女達の瞳、そのどこにも欺瞞の色などなかったから。

「何だ貴様ら・・・何をしている!!」

突如聞こえた怒号に、ギアッチョ達の視線はシエスタの背後に集まる。
不機嫌さを隠しもせずに、モット伯がそこに立っていた。
「・・・シエスタを頼んだぜ、おめーら」
シエスタの肩を抱いて、ギアッチョは彼女をルイズ達へ押しやった。
そのまま一歩進み出し、黒装束の下の顔を暴かんとするモット伯の
視線を身体で遮る。一連の流れで、モット伯には大体の事情が掴めた
ようだった。怒りに顔を歪ませて、モット伯は手元の呼び鈴を乱暴に
鳴らした。
「許さんぞシエスタ・・・ 衛兵!!何をしている、はやくこやつらを
捕えよ!!私は置物に金を払っているつもりはないぞッ!!」
その瞬間聞こえ始めたどたどたという多数の足音に軽く舌打ちして、
ギアッチョはルイズ達に追い払うように手を振った。
「行け」
答える代わりに、タバサはシエスタに向けて何事か呟いた。それを
理解したシエスタとタバサが先頭に立ち、ギーシュを引き連れて
長大な廊下を走り出す。それを追いかけようとするルイズを、
ギアッチョは何の気なしに皮肉った。
「今日はいつもみてーにしつこく念押ししなくていいのか?ええ?」
ギアッチョの背中を向けながら、ルイズは肩越しに顔を覗かせる。
「・・・必要ないもの わたしはあんたを信じてるわ」
そう言い切って刹那笑うと、彼女は今度こそタバサ達を追って走り去った。
「・・・調子が狂うぜ 全くよォォォ」
ギアッチョは頭を掻きながら、ぎゃあぎゃあと何かを怒鳴り散らす
モット伯へとキュルケと共に向き直った。

407 :サブ・ゼロの使い魔(10/10):2007/10/14(日) 21:35:07 ID:71jWn9uz
「このような夜更けに・・・薄汚い平民風情がよくも我が楽しみを
邪魔してくれたな」
嗜虐に満ちた表情で、モット伯は呼び鈴を投げ捨てる。
「貴族の前で剣を抜いた平民は、殺されて文句は言えぬ 覚悟は
出来ているのだろうな?」
「剣?オレはそんなもんを持った覚えはねーぜ」
ひょいと両手を上げて、ギアッチョは無手をアピールする。彼の
身体のどこにも、デルフリンガーの姿は見当たらなかった。しかし
モット伯はそんなことはどうでもいいといったように哂う。
「分からんか?『どうとでもなる』ということだ・・・特に貴様らの
ような身元も知れぬ平民の場合はな 女共なら再利用してやるが、
男に用は無い・・・ここで死ね」
「・・・身も心も腐り切ってるっつーわけか?やれやれ、これで
無くなったな・・・仏心を出してやる理由はよォォォ〜〜〜」
この場にデルフがいれば「ハナっから許す気なんざさらさらねーだろ」と
でも突っ込まれそうなセリフを吐いてポキポキと拳を鳴らすギアッチョに、
モット伯は心底愉快そうに下卑た笑いを上げた。
「ぬはははははははッ!!これは面白い!トライアングルの私に、この
波濤のモットに素手で挑もうと言うのかね!ふふふははははは!
こんなところで命を賭けた寸劇が見られるとは思わなかったぞ!!
もっとも、平民風情がいくら矢弾を持ってこようがこの私に傷一つ
つけられはせぬがな!」
「波濤だか佐藤だかしらねーが・・・ごちゃごちゃ抜かしてねーで
とっととかかってきなよ ええ?おい オレは出来てるんだぜ・・・
『覚悟』はいつでもな」
余裕の挑発にピクリと眉を上げかけるが、モット伯は口よりも魔法で
黙らせることを選んで杖を構えた。キュルケが数歩後退すると同時に、
モット伯は杖で空を切る。飾られた花瓶がコトリと倒れ、注がれていた
水が赤い絨毯にぶちまけられた。続けてルーンを唱えると、こぼれた
水は映像を巻き戻すように宙に浮かぶ。細長い水の鞭と化したそれは、
杖の動きに合わせてギアッチョに襲い掛かった。
「便利な魔法じゃあねーか 寝たきりになっても自分で水が飲めるぜ」
「寝るのは貴様よ、ただし土の中でだが・・・なッ!!」
言葉尻に篭った気合と共に、水鞭はギアッチョの右手を打たんと
飛来する。ひょいと手を上げてそれを回避するが、凶器と化した水は
生き物のようにくねり、しつこく右手を追いかける。身体を捻って
避ければ次は左手に襲い掛かり、飛び避ければ今度は右。次は左手、
また左手、右手、左手、右、右、右。水の蛇は執拗にギアッチョの手を
狙い続ける。
「いい趣味してやがるぜ」
モット伯の意図を理解して、ギアッチョは悪鬼の如き表情で笑った。
まずは両手を壊し、次は恐らく両足を狙う。そうして敵を無抵抗に
しておいて、後はたっぷり嬲るつもりなのだろう。
「どうやらしっかり教えてやる必要があるらしいな ええ?」
まるでダンスのようなステップで攻撃を躱しながら、喉の奥で笑う。
「てめーが戦ってんのは一体誰なのかを、な・・・」
ギアッチョの纏う空気が――鋭く冷たい刀剣のようなそれに変じた。

408 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 21:40:13 ID:W+GPl8sv
uooooooooo!
ここで続くのか!なんて所で着るんだッ!
このモット伯はギアッチョの錨を本格的にかってしまったのか…おつです!

409 :サブ・ゼロ:2007/10/14(日) 21:41:05 ID:71jWn9uz
以上、久しぶりに投下したッ!

某軍記ファンタジー打ち切りのショックで筆がさっぱり進まなかった
・・・というのは冗談だが、どうにも上手くいかなかったぜ。
ゼロいぬさんと正反対の下衆モット編、次回(多分)完結!

410 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 21:46:04 ID:t1/lyOJg
乙!ここまでルイズが可愛いと思ったのはいつ以来だろうか……凄くGJした!

411 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 21:52:08 ID:IUZTZM24
>>409
サブ・ゼロGJ!
「サブモット伯の死亡確率が90%を超えました」

412 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 21:57:06 ID:SsHCrmcp
ギアッチョがツンな分ルイズのデレが際立つな
ルイズ可愛いよルイズ
そしてモット伯は相手が悪すぎw

413 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 22:12:55 ID:QOOkaKmS
         ,. -‐'''''""¨¨¨ヽ
         (.___,,,... -ァァフ|       あ…ありのまま 今 起こった事を話ゅぜ!
          |i i|    }! }} //|
         |l、{   j} /,,ィ//|    『4代目が暑ゅい暑ゅいと言いながら急に倒れたと
        i|:!ヾ、_ノ/ u {:}//ヘ     思ったらいつのまにか鳥類が5代目住職に納まった』
        |リ___}  ,ノ___,!V,ハ |
       /´fト{0}{ル{,ノ{0} , タ人      な… 何を言ってるのか わからねーと思ゅが
     /'   ヾ|宀| {\⌒`/ |<ヽトiゝ      おれも何をされたのかわからなかった
    ,゙  / )ヽ i| {  i u' | | ヾlトハ〉
     |/_/  ハ.Lレ'ノ '/::// /::ヽ      頭がどうにかなりそうだった…
    // 二二二7ー'' /u// /::::::/`ヽ
   /'´r -―一ァ‐|T´/:/ ./::::/   \   mottoだとかDIOだとか
   / //   广¨;|  | y' ./ ./::::/ヾ    ヽ そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
  ノ ' /  ノ:::::::`ー-、∠ ./::::/リ   ,  ⌒ |
_/`丶 /:::::::::::::::::::::::::::: ̄`ー--{:::... /    | もっと恐ろしいものの片鱗を味ゅわったぜ…

414 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 22:18:32 ID:5XLbc6AQ
真っ白に萌え尽きました

415 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 22:22:14 ID:j8KYZ2EL
GJ!!

ギアッチョに対して水と火は厳禁だろ………
てか、土での直接攻撃以外ほとんどくらわなくね?


と、言うことで…
さよなら、モット伯…

416 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 23:00:45 ID:i6K3anMO
お犬さまのモット伯は確変起こしてるのになぁ…
ま、なかなか起こらないから奇跡というのかw
そしてルイズにGJ

417 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/14(日) 23:33:45 ID:xcbvcncc
相性が悪いってレベルじゃあないなw
常時デレルイズにGHだッ!
うちは今、マルコメが覚醒してるよ…悪い意味でな!
祭りだ!祭りだ!

418 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 00:07:34 ID:NdwodVHn
サブゼロGJ!

ルイズの常時デレにニヤニヤさせられっぱなしの世界だ。

419 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 00:51:04 ID:SyfD9nBV
GJ!!
モット伯...哀れだな

420 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 01:38:09 ID:8z+6MPyk
サブゼロ乙!

どいつもこいつも満身創痍だってのに頑張ってやがる。
これは黄金の精神に目覚めつつあるってことか!

そんでもって、ルイズが可愛いし。
GJすぎるぜぇー!


421 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 06:13:21 ID:0gDTvY9j
俺が時を止めた…
しかしまぁ、深夜でもお構いナシに投下や雑談しまくってた勢いはもうさすがにないか

422 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 07:43:08 ID:6CWfIw6R
秋だしな

423 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 07:52:32 ID:DQMzygYm
秋だなぁ

424 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 08:24:39 ID:sRLagbWn
秋でももう寒くなってきたし………
もうすぐ冬だなぁ…

425 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 10:29:20 ID:6ytni+9n
いまだ部屋着はTシャツに短パンだぜ・・・
どこの小学生だよ

426 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 10:50:10 ID:BoNhcMC5
その格好で寝たら風邪ひいて
鼻水が止まらなくなったから、毛布を出したぞ。
めんどくさがらずに衣替えはちゃんとしよう。

427 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 10:56:01 ID:t70bKCeM
>>425
新手のスタンド使いかッ!

428 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 12:49:30 ID:nYi8AUJ7
俺もうっかりパンツ一丁に毛布一枚で寝たら風邪引いた
衣替えは大事だねえ(葛根湯飲みながら)

429 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 12:49:38 ID:Im4BDtE0
いいや、既出のスタンド使いと見たッ!>>425=アラビアファッツにポルナレフを一個賭けようじゃあないか

430 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 13:35:07 ID:MKBdlEU3
>>417
まさか、そのマルコメミソは刺激的なマルコメミソじゃあないでしょーね?

431 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 15:28:15 ID:d9GdN39c
>>425
甘い甘い!!
俺なんていまだに部屋ではいつもTシャツにトランクスだぜ!!




死にたくなってきたorz

432 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 15:29:30 ID:d9GdN39c
すまんsage忘れた
ちょと吊ってくるorz

433 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 15:41:31 ID:6ytni+9n
熱くなってきたから窓開けてた

まさかこれが俺のスタンド能力・・・!!!ッッ

434 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 15:52:33 ID:kAnvrOvC
おちつけおまえら、スタンド能力は一人一つだ
ちょっと水道をディティクト・マジックで調べてみろよ
先住の水魔法の可能性があるぜ

435 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 16:49:14 ID:ud8ITkBg
いや、単に暖かい沖縄在住とか、暖房が完備された雪国在住かもしれない…ッ!

436 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 17:03:15 ID:kRyl8ptM
>>434
なら石油タンクとかストーブとかコタツとか囲炉裏とか調べてみるのもいいかもな
火の先住魔法が沢山!

437 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 17:19:13 ID:fuxEAlgc
俺なんて年中黒の長袖長ズボンなのに
夏に職質されたときはビビった

438 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 17:39:33 ID:Yt84hvn/
されいでか

439 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 18:23:15 ID:XpxmT9rX
>>437
夜ならオールシーズン職質対象だなw

440 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 18:35:37 ID:GQvqtS8L
>>439
去年の12月、上下スーツ姿と言う当たり前の格好で20時くらいに仕事から帰る途中帰る途中、警察に
「中学生がこんな時間に、そんな格好でどうしたんだ?」と声をかけられた事を思い出した……。
俺、今年でもう28だよ……。軽いトラウマ。

441 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 18:37:51 ID:firx2PNy
>>440
まさか・・・姉妹スレのあの人か・・・?

442 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 18:42:59 ID:GQvqtS8L
>>441
心当たりが無いから、たぶん違うと思う。
ちなみに、高校3年生時に小学6年生と間違われたり、大学入学時に入学生の弟だと間違われた事も有り。
これからは正々堂々、いい加減にしろと抗議する所存である。

443 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 18:46:54 ID:4kuZ4xdU
見た目は子供、頭脳は大人!

444 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 18:58:26 ID:+E9Qqbqb
見た目は子供、頭脳は大人、下半身は中年親父!

445 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 19:13:34 ID:gg17GWs6
その名も

446 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 19:22:49 ID:av6JhSSb
迷探偵

447 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 19:26:26 ID:Zs07Z7hO
チンポリオ!

448 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 19:33:25 ID:7jDOQDTz
お前ら自重w

449 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 19:42:05 ID:nYi8AUJ7
なんでそんなコンビネーション抜群なんだお前らwwwwww

450 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 20:06:18 ID:gC4xOC33
うめぇwww

451 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 20:09:25 ID:Im4BDtE0
もうお前ら結婚しろw
つ祝福

452 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 21:00:46 ID:lqUW8O2W
素晴らしい流れだなwwwww

453 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 21:27:28 ID:e8hdahQr
>>442
16歳の時点で、
スーパーで買い物してたら「お一ついかがですか」って酒の入った紙コップ渡されそうになるわ
寝台列車でちょっと仲良くなったオバちゃんから「タバコすわんの?」って聞かれるわ
知らない小学生に、いたって真面目な顔で「おじさん」て言われるわで…若く見られる方がずっとマシですよorz

454 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 21:53:42 ID:rtfcF+LY
ミ ζ゚ We can fly.
ミ ζ゚日本語でおk
ミ ζ゚ WRYYYY
ミ ζ゚ wannabyyyyy
ミ ζ゚ イミフww
ミ ζ゚ UNO!

455 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 22:36:54 ID:hN3BjQWc
>>453
あれ…?
なんでオレの偏在がそこに?( つдT)

456 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 22:46:28 ID:3Y1PCdcp
>>453>>455
お前らを一人にはさせないぜ
黒のロングP着ているだけで職質くらいまくる俺も入れてくれよ

457 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 22:49:43 ID:rACY4jkF
何処の国の人ですか?とお客から聞かれた回数なら負けねー

458 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 22:51:02 ID:+sTjbTsO
そろそろ自分語りは自重した方がいいんじゃないかな……?

459 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 22:51:03 ID:fuxEAlgc
俺なんて初対面の人間にまともに名前読まれた例がないぜ

460 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 22:53:15 ID:3Y1PCdcp
>>459
更に俺の登場か
普通読めない読み方使わないで欲しいぜ
昔学生だった頃教師の名簿には必ず振り仮名がふってあったわ

461 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 23:03:03 ID:wHEsaf1r
小、中、高、大、会社と同姓同名が最低3人以上いた俺から言わせると、贅沢な悩みだぜ >>459 >>460

462 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 23:07:31 ID:kRyl8ptM
贅沢な悩みかも知れんけど、住んでいるところからすぐ近くに自分の苗字と同じ市がある
だからそこからのバスが近くを通ったり自分達の住んでいる近くを調べると絶対囃し立てられる

463 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 23:10:03 ID:terDXb1j
久しぶりに投下しようと思っている

464 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 23:10:35 ID:hN3BjQWc
the支援

465 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 23:10:53 ID:YYsT69wj
道はがらがらだ

466 :見えない使い魔:2007/10/15(月) 23:11:39 ID:terDXb1j
タバサの使い魔であるシルフィードが地上に近づくと、フーケはスタ

コラサッサと逃げていった。キュルケは他の面々と比べ無傷であった

が、止めようとはしなかった。魔力がない、というのもあったがそれ

よりも、気力が微塵も残っていなかったからだ。船倉にぶち込まれ、

最後の宴に招かれ、級友の結婚式に出たかと思うと裏切り者との戦い

になった。そして最後にアルビオンの崩壊を目の当たりにした。その

瞬間は、胸の奥に虚無感が広がっていた。王子の誇り、国民への思い、
散っていたものたちの忠誠心、すべてが走馬灯のように脳裏を過ぎ

った。こんな状態では、戦うことなどできようはずがなかった。
彼女らはそのまま空を疾駆していき、トリステインの王宮へと向かった。
怪我人が三人もいて内二人は重体なので一刻もはやく治療しなければ
ならないのだが、任務の完了も即座に伝える必要がある。しかし、着い
てみれば多くのマンティコアにのった警備隊に囲まれてしまった。彼ら
は大声で飛行禁止だと叫び、どこか遠くに行くよう命じた。
「……な、なんだね? ここは、どこだい?」
「あれ? キュルケ?」
「あら、ギーシュにルイズ、起きたの? ここは王宮の上空よ。タバサ、
無視して降りちゃいましょ」
「わかった」
タバサがシルフィードを中庭に下降させた。そしてルイズたちは地面

に降り立つのだが、もちろん衛兵に囲まれてしまった。
「杖を捨てろ!」
隊長らしき男に命令される。ルイズが少し顔をしかめていたがすぐに

四人とも杖を地面に放り投げた。
「……何者だ貴様らは。えらく若いようだが」
その問いに、ギーシュが答えた。

467 :見えない使い魔:2007/10/15(月) 23:14:05 ID:terDXb1j
「僕はトリステイン魔法学院に通うギーシュ・ド・グラモン。グラモン
元帥の息子であります。アンリエッタ王女より与えられた密命を終

え、いましがた帰還したしだいであります」
「なるほど。確かにグラモン元帥によく似た瞳をしている。だが、な

ぜ王女からそんなのものを受けたのだ?」
「こちらのラ・ヴァリエール公爵が三女、ルイズ・フランソワーズが

アンリエッタ王女と幼少のみぎりより親しいものであったことでその

命を受けたのです。僕らは彼女の級友であられます」
ルイズが小さくうなずいた。
「……嘘は言っておらぬようだが、確認をしなければならない。貴公

らは一応拘束させてもらう」
隊長がそう言って杖を向ける。周りの者たちもそれに倣ったが、その

行為を止めるかろやかな声が届いてきた。
「おやめなさい」
その声を知らぬものはここにはいない。警備隊の面々が背後に振り向

くと、そこに彼らが敬愛するアンリエッタ王女がいた。彼女はやや早

足でルイズたちに駆け寄った。
「姫様……」
「ルイズ、よくご無事で」
アンリエッタはそう言って小さな身体を抱きしめようとしたが、キュ

ルケとタバサに止められる。
「怪我人」
「そういうわけだから、まずは医務室に運んでくださる?
 まだ竜の上に怪我人はおりますから」
「……わかりましたわ。あなたたち丁重にお運びして」
「かしこまりました」

468 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 23:15:01 ID:hN3BjQWc
生首水筒支援

469 :見えない使い魔:2007/10/15(月) 23:16:00 ID:terDXb1j
数時間後、ルイズが目覚めるとそばにはキュルケとタバサがいた。彼

女は目を何度かしばたたかせると、ゆっくりと重たそうに身体を起こ

した。
「……キュルケ、ここどこ?」
「忘れたの? 王宮よ。あなた治療の最中にまた眠ったのよ」
「手紙は?」
「急がないの。いまお姫様を呼んでくるわ」
キュルケはそう言って部屋を出て行った。ルイズはベッドから降りよ

うとしたが、タバサに止められる。
「安静」
ほんの一言だけだったが力のある言葉だ。ルイズも自身の体が思った

より言うことを聞いてくれなかったのでもう一度横になった。そうしたら、
すぐにキュルケがアンリエッタを伴って戻ってきた。
「姫様……こんな格好で申し訳ありません」
「何を言ってるの。私こそ一番のお友達をこんな目に合わせてしまって
詫びなければなりませんわ。ごめんなさい。ルイズ」
アンリエッタが頭を下げた。
「……いけません。頭を下げては」
「いいえ。ルイズ、私はあなたに謝らないといけないわ。彼女から聞

きました。ワルド子爵が裏切り者だったということを。ごめんなさい。
あなたの婚約者だというから任せたのですが」
「……頭をお上げください。姫様。かまわないのです。それよりも、

お手紙は、」
「はい。確かに、受け取りました」
「よかったです。ほとんど気を失っていたので、落ちてはいないかと

気が気でなりませんでした」
ルイズは小さく笑った。と、そこで大事なことを知らないことに気づ

いた。
「キュルケ、ウェールズ皇太子は……」
「そのまま戦いに向かったわ。おそらく生きてはいないでしょうね」
なんの含みも持たず、彼女はあっさりと残酷な事実を告げた。キュル

ケも直には見ていないのだが、そうに違いないと思っていた。
ルイズが見ると、アンリエッタは小さく震えていた。胸の内がどうな

っているのか、心の中にどれほどの嵐が巻き起こっているのか、それ

は彼女本人しか感じることができなかった。
涙を数滴、手の甲に落として尋ねた。
「ルイズ、あの方は勇敢でありましたか?」
ルイズはウェールズの顔を思い出し、答えた。
「誰よりも勇敢でした」

470 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 23:18:44 ID:fuxEAlgc
支援

471 :見えない使い魔:2007/10/15(月) 23:18:56 ID:terDXb1j
ルイズが授業に復帰したのは一週間後であった。彼女の傷は深く、完

治に時間が掛かったのだ。ンドゥールも、そう傷が深かったわけではな
いが精神力を使い果たしたためか意識を取り戻すのに時間が必要だった。
そうして復帰一日目、ンドゥールを伴って教室に入ると一斉にクラス

メイトの視線が二人に集中した。今までのものとは違う。嘲りもある

にはあるのだが、それよりも疑いが強かった。それを不審に思いなが

らもンドゥールといつもの席に向かって教師を待った。その時間にも

なんだかこそこそと噂話みたいなものをしていてルイズは肌がムズム

ズした。ここで彼女は適当な人間に問い詰めてみようとしたがまとも

な答えを返されるとは思いがたい。そのため、隣のンドゥールに小声で
尋ねた。
「ねえ、一体何の話をしてるの?」
「……欠席していた期間についてのことだ。詳しくはわかっていない

ようだが、なにか重大な任務を受けていたということを知られている」
ルイズの頭にすぐさま思い浮かんだのはキュルケ、タバサ、ギーシュ

の三人だった。このうちの誰かがちょろっと口を滑らせてそれが熱病

のように伝播した可能性がある。それが誰なのかを考えてみる。
まずタバサは除外。彼女はべらべらと話して回ることなど予想ができ

ない。もう一人はキュルケだ。彼女なら微熱がどうたらこうたらで上

級生にも下級生にも粉をかけている。付き合いの最中にそういうこと

を言ってしまったのかもしれない。しかし、その割には早すぎる。彼

女もアルビオンから帰ってすぐさま男と遊ぶようなことはしないだろ

う。たぶん。そうなるとギーシュが残る。彼なら恋人であるモンモランシー
に自慢をして、ギーシュってばかっこいい、なんて言われて有頂天になっ

てるんじゃなかろうか。
そう結論が出たのでギーシュを見つめる。と、なんだかおかしなこと

に彼の表情からいつもと違う感じを受けた。取り巻きとの会話にも適

当に返事をしていて女の子とも話をしていない。ぱらぱらと教科書を

めくっている。
(あんな熱心だったかしら)
ルイズは結局、ギーシュも違うみたいだと思い、犯人探しを諦めた。

472 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 23:20:02 ID:hohMausY
初の支援

473 :見えない使い魔:2007/10/15(月) 23:20:30 ID:terDXb1j
昼休み、食堂でルイズはキュルケとタバサたちと一緒だった。ちなみに
ンドゥールも隣に座って彼女たちと一緒の食事を取っている。主人

であるルイズは食堂に入った当初、彼をいつものように床に座らせよ

うとしたが、それはなんとなく気が咎めた。
「あのさ、なんであれが広まってんの?」
「私にもわからないわよそんなの。戻ってきたときにはもう私たちが

なにかをやったって話があったのよ」
「まずいわよねえ……」
「そうでもない」
タバサがサラダを食べながら言った。
「誰も核心には近づいていない。大丈夫。例のことは明るみにならない」
「そうだな」
ンドゥールが同意を示した。
「誰も結局答えにはたどりつけていない。ただの噂の域を出ない。
しばらくすれば消えるだろう」
「なら、いいんだけど」
ルイズたちは、改めて誰にも話さないことを約束した。回りまわって

ゲルマニアの王に届いたら婚約破棄の可能性も出てくるのだ。しかし、
噂話はその数日後にはあっさり掻き消えてしまった。なにしろもっと
大きな事件が起こったのだ。

474 :見えない使い魔:2007/10/15(月) 23:21:48 ID:terDXb1j
朝一番の授業を受けるためルイズたちが教室に向かうと、扉の前に人

だかりができていた。彼女は先に来ていたキュルケにどうしたのかを

尋ねた。
「あれ、見なさいな」
「どれよ」
「あれ。扉に張り紙されてるじゃない」
ルイズは見ようとした。しかし、背が低いので見えなかった。ぴょん

ぴょんと跳ねるも無意味。それを見かねてキュルケが教えてやった。
「全部の授業が中止になったの。なんか厄介ごとみたいよ。理由がな

いんだもの」
キュルケがそう言った意味がルイズにはわかった。休講する場合、普

通は教師が病気になったり急な出張だったりする。だが今回は全授業

が中止、しかも理由がない。つまり、生徒たちに教えられるようなこ

とではないということだ。
「まさか、手紙が関係してるんじゃあ、」
「ないでしょ。それなら真っ先に私らが呼ばれるわ。気になるならダーリンに
頼めばいいわ」
「だからダーリンって呼ぶんじゃないわよ。でも、あんたの言うとおりね。
ンドゥール、頼めるかしら」
「かまわん」
三人はその場を離れ、図書館に向かった。そこは広さの割にはほとん

ど人はおらず、静かである。本の貸し出しも自由ではあるが、滅多に

学生はやってはこない。そのため秘密の相談ごとにはうってつけの場

所だ。

475 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 23:21:49 ID:hohMausY
紫煙

476 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 23:23:02 ID:SA4IWqDQ
支援携帯からか?なんかずれて見えるが

477 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 23:23:03 ID:hohMausY
ageてしまったorz

478 :見えない使い魔:2007/10/15(月) 23:23:19 ID:terDXb1j
ルイズとキュルケは適当に棚から本を抜き取り、テーブルに着いた。

そこでぱらぱらと本を開いて読む振りをする。誰かに見られていると

いうわけではないが、念のため熱心な学生を演じているのだ。
そして数分経過すると、ンドゥールがルイズのいすを叩いた。状況が

わかったというサイン。
「で、どうだったの?」
決してンドゥールに視線を向けず、本を睨んだまま小声で尋ねる。
「どうということはない。この学院に多額の寄付をしていたモットと

いうメイジが襲われた。ここの教師が何らかの形でその事件に関わっ

ていないか取調べを受けているらしい」
「なんでわざわざ怪しまれるの?」
「その襲った人物が土系統のメイジだからだ」
二人が大声を出さなかったのは奇跡的なことだった。
メイジを倒せる土系統のメイジ、そんなやつは一人しか思い浮かばな

い。『土くれ』のフーケ。彼女ならそこらのメイジなんざ簡単に倒し

てみせるだろう。しかし、ンドゥールはこうも続けた。
「フーケではないな」
「どういうこと?」
「下手人は二人組み。そして逃げる際に館に火を放っている。あやつ

の手口にしてはおかしい」
「ま、そうね。あの女にしちゃ派手だわ。やるとしたら、もっと小ばかに
やるでしょうよ」

479 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 23:23:39 ID:VXwC3op+
支援!支援!

480 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 23:26:50 ID:hN3BjQWc
支援スタ

481 :見えない使い魔:2007/10/15(月) 23:27:37 ID:terDXb1j
学院を騒がせている事態が自分たちに関係ないことを知り図書館を出
て行こうとしたが、ルイズたちの目にギーシュが映った。彼はテーブル
に座って本に目を通している。その眼差しにはいつもの軽薄さはなく、
なんというか『必死さ』があった。
「ねえ、あいつどうしたの?」
先に授業に復帰していたキュルケにルイズが尋ねる。
「私も知らないわよ。でも、フーケにコテンパンにされたのがさすが

に堪えたんじゃない? あいつ、皇太子のことを随分気にしていたもの」
「……そう」
ルイズの胸にちくりと針が刺さった。任務を果たせたとはいえ、愛しい友
の本当の願いは叶えられなかったのだ。アルビオンが消えたことから
おそらくあの皇太子も死んでいるはず。生き延びるなどということはしない
だろう。
彼女は父のことを思い浮かべる。貴族であるため戦争になれば戦いに

借り出されることもあるだろう。金を払えばそうでないが。それでも、
やはり最悪のことを想定せざるにはいられない。力、困難を打ち返

せる力が必要だ。薬指にしている水のルビーがきらりと光った。そう、
あの愛しい姫のためにも。
「それでルイズ、あんたこれからどうするの? 暇でしょ。自習でもする?」
「……そうね。練習、するわ」
「練習?」
ルイズは人気のない広場にやってきた。そこで適当なゴミを地面にばら撒き、
杖を振るい、呪文を呟く。そして、これはもういつもの光景ではあるが、
爆発した。
黒煙が舞い上がり、ルイズの顔には煤がこびりついた。彼女はぺっぺ

とつばを吐いて口に入ってきた砂を出した。それでももう一度呪文を

唱える。またしても、爆発。いま彼女が唱えている魔法はどの系統に

も属さない初歩的なものだ。そんな簡単なものさえ成功しない。だが、
何度も何度もルイズは魔法を唱えた。何度も何度も煤を浴び、顔ど

ころか鮮やかな桃色の髪をも真っ黒にしてしまった。やがて、ゴミが全て
爆発で粉々になってしまったところでキュルケが声をかけた。
「大丈夫?」
「んなわけないでしょ。あんたより黒くなっちゃってるんだもん」
「褐色を飛び越えて炭よね。これじゃあ」
「うるさい」
ルイズは邪険にあしらい、今度は地面に転がっている石に向かって魔法を
唱えた、ところで杖を奪われた。
「ちょっと! 返しなさいよ!」
「駄目よ。ちょっとは休憩しなさい。体に毒だし、それ以上汚くなる前に
顔を拭きなさい。ダーリン、こっちよ」
キュルケが呼びかけた先には、布巾を持ったメイドのシエスタと湯を

張った桶を持って歩いてくるンドゥールがいた。

482 :見えない使い魔:2007/10/15(月) 23:28:52 ID:terDXb1j
なんでずれるんだかわからん。携帯じゃないのに。
投下は続けるけど。

483 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 23:29:48 ID:fuxEAlgc
Janeならプレビュー使って確認してみれば?

484 :見えない使い魔:2007/10/15(月) 23:30:18 ID:terDXb1j
ルイズは濡らした布巾で顔をぬぐい、うがいなどをした。それでも髪

はどうにもならないのでシエスタに洗ってもらっている。ルイズはそ

んな必要はないといったのだが、キュルケとシエスタが女として駄目

だと言ったのでそうさせている。
「それで、成功したのか?」
「見たらわかるでしょ」
「見えん」
「……そうね。相変わらず『ゼロ』よ」
ルイズは不貞腐れた声だったが、それでも気落ちはしていなかった。

それどころかこのときでさえも杖を弄くっている様から、今すぐにで

も練習を再開したいのだろう。
はあ、と、大きなため息をルイズはついた。
「でも参るわ。さすがに。どうして成功しないのよ」
「さあねえ。こればっかりは感覚的なものだから、助言もできないわ」
そんなことはルイズも知っている。だから無我夢中で繰り返し魔法を

唱えているのだ。それでも一向に上達の兆しが見えない。
「あの、お聞きしてもいいですか?」
ルイズの髪を洗っているシエスタが問いかけた。
「どうしたの?」
「失敗した場合は全て爆発なんですか? その、単純に気になっただ

けなんですが」
「私は全部爆発よ」
ルイズは即答した。表情に変化はない。しかし、そばのキュルケは眉

間にしわを寄せ、腕を組んでいた。何かを考えているようだ。大きさ

を強調された胸を憎憎しげに睨みながらルイズが尋ねる。
「どうしたのよ」
「ん、そういえば、私が失敗した場合は爆発しなかったのよね。単に

魔力が霧散しただけだわ。たぶん他の連中も同じはず。ねえ、ルイズ。
本当にいままで失敗したときは爆発だけ?」
「だけよ」
「おかしいな」
ンドゥールが言った。

485 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 23:32:14 ID:Q34ZKWEp
支援

486 :見えない使い魔:2007/10/15(月) 23:33:02 ID:terDXb1j
「ダーリンもそう思う?」
「ああ。キュルケ、お前は同じ失敗をすることができるか? 同じ爆発
を起こせるか?」
「無理よ。私の系統は火。燃やし尽くすことは得意だけど、任意の対象
を爆発させることはできないわ。もちろん風も水も土も無理。そうなると、
考えられるのは……」
「ねえ、結局どういうこと?」
ルイズが我慢できずに尋ねてきた。自分が話題になっているのに仲間はずれ
にされているようで嫌だったみたいだ。キュルケは推測と前置きしてから
教えてやった。
「あんたの系統、もしかしたら虚無じゃないのかって話よ」
「……あんた馬鹿にしてんの? 虚無って言ったらもう失われた系統じゃない。
使ってるメイジなんか一人もいないのよ」
「違うわよ。卑屈にならないの」
キュルケはルイズの額にデコピンした。
「ま、聞き流してもいいんだけど。念のために先生に聞いてみましょうか。
適当に誰か呼んでくるわ。もう暇な人は何人かいるでしょ」
そう言ってしばらくたち、ルイズの髪がもとの鮮やかな桃色を取り戻した
ころにキュルケは一人の教師を伴って戻ってきた。遠くから見ても頭の
テカリ具合でわかる。コルベールという教師だ。


487 :見えない使い魔:2007/10/15(月) 23:35:20 ID:terDXb1j
「どうしたのかね改まって聞きたいことというのは」
「一度見せてやりなさい。ほら」
キュルケが小石を投げた。目の前に落ちたそれに向かい、ルイズは魔法
を掛けた。爆発。煤で黒くなった顔を拭き、ルイズはコルベールに尋ねた。
「これについてです。先生、なぜ爆発が起きるんです?」
「爆発、ですか。そういえばおかしいですね。気にも留めませんでしたが」
「先生も確か火のメイジですわよね。あれと同じことはできますの?」
「いえ、できません。爆炎という魔法はありますが、それは空気を錬金で油
にして火をつけるといった手法ですからあのような結果にはなりません」
「それでそこのミス・ツェルプストーが言ったのですが、」
「なにかね?」
「私の系統が、もしかしたら虚無ではないかと……」
コルベールは口をつぐみポリポリと光る頭をかく。それがルイズにはどうも
馬鹿にされているようにしか見えなかったので強くキュルケを睨んだ。
だが、コルベールが答えたものは彼女の予想とは大違いだった。
「そうですね。その可能性はあります」
「マジで!?」
「ルイズ、言葉」
キュルケに窘められる。
「ああ、いえ、その、本当ですか? 到底信じられるものではないのですが」
「そうでしょうね。ですが、その可能性が一番高いのは事実です」
「で、でで、でも、そんな失敗したときに爆発するだけでそう結論を出すのは、
尚早じゃあないでしょうか」
「いえ、それだけではありません。情勢が情勢なので知っておくべきかも
しれませんので言いましょう。あなたの使い魔について、です」
「かまわんのか?」
ンドゥールがコルベールに尋ねる。
「ええ、学院長の考えには理解も納得もできますが、生徒に進むべき方向を
教えてやるのも教師の務めです。ミス・ヴァリエール、あなたの使い魔は、
始祖ブリミルが使役したという使い魔、ガンダールヴです」
「……はあ?」

488 :見えない使い魔:2007/10/15(月) 23:37:18 ID:terDXb1j
あまりのことにルイズは目が点になっている。キュルケはンドゥールに
じっと目を寄せる。
「彼の左手に刻まれたルーン、それはあらゆる武器を使いこなしたと言われる
ガンダールヴと同じものです。心当たりはありませんか?」
ルイズ、そしてその場にいたキュルケの脳裏にフーケのゴーレムを倒した
ときのことが浮かんだ。ンドゥールは誰にもわからなかった破壊の杖を
使用していた。それはどうしてだ。どうしてそんな、見えもしないのに
扱えたというのか。
「ガンダールヴの主、それは知っているでしょう。始祖ブリミル。虚無の
使い手でありましたね」
「じじ、じゃあ、ほんとのほんとに、私は虚無の系統、なんですか?」
「それは、わかりません。情報が少なすぎますから。ですが、その可能性に
ついては考慮しておくべきです」
ルイズは自分の杖を見つめ、使い魔を見た。彼女はちょっとこんなことを
思っていた。もしかしたら大きな力が手に入るかもしれない。もう守られる
ことがなくなるかもしれない、と。
「しかし、ミス・ヴァリエール」
「は、はい!」
「虚無の力は伝承に残っているだけですが、強大であることは間違いありません。
決して、その力に呑みこまれることのないように、気をしっかり持っていてください」
彼の口調にどこか真に迫るものがあった。そのまま続ける。
「よろしいですか。力というのは獣です。それも獰猛で暴れたがりです。
貴族の誇りと矜持を持って、理性という鎖で繋ぎとめておかなければなりません。
昔、私の部下の一人が己の力に溺れたことがあります。あなたたちは
決してそのようなものになってはいけません。いいですね」
「き、胆に銘じます」
「私も」
「よろしい。ああ、他言無用ですよこのことは。もしアルビオンに伝われば
ミス・ヴァリエール、あなたの命が狙われます。それでは」
コルベールはそう言ってその場を離れた。
姿が見えなくなってからルイズは、ためしに石ころに向かって呪文を唱えた。
また爆発した。
「……本当に、本当に虚無なのかしら」
「さあな」
ポン、と、ンドゥールがルイズの頭に手を置いた。
「しかし、あの教師の言葉は真実だ。気をしっかり持っていろ」

489 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 23:37:59 ID:hN3BjQWc
支援

490 :見えない使い魔:2007/10/15(月) 23:40:47 ID:terDXb1j
実はここで切ろうとしたけど、以前より勢いが弱くなっていたのでいっそ溜めてたぶん放出しようかなとも思うんだが、どうでしょうか。

491 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 23:42:43 ID:Q34ZKWEp
兄貴、よろしくお願いします

492 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 23:45:08 ID:57gw9B5/
流れもそんな早くないし、いいんじゃなかろうか

493 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 23:46:17 ID:VXwC3op+
タライを持ってくるンドゥールの優しさに心打たれつつコルベール先生の教師らしい態度に塗れつつ支援します

494 :見えない使い魔:2007/10/15(月) 23:47:15 ID:terDXb1j
それじゃあいきます


アルビオンが消えてから数日、フーケはワルドが雇ったが
あっさり死んでしまった傭兵の金で適当に町を回っていた。
しばらくは休暇、というつもりだったがそんなわけにはいか
ない。彼女には彼女の、盗賊行為をしなければならなかった
理由があるのだ。しかし、派手に動き回っていたらまた討伐
されるかもしれないのでもっと大人しい方法で金を手に入れ
なければならない。そんなわけで、彼女がとった手段は、
実に真っ当な怪物退治だった。
ハルケギニアには人間、動物、それと亜人と呼ばれるものがいる。
この最後のものは知能は低いが人間より力が強く、徒党を組み、
時には小さな村を滅ぼしたりする種族もいるので非常に迷惑な存在
なのだ。通常は領主が自腹を切って兵隊を出すのだが、ケチはいる。
いつか出すといっていつになっても出さず、村人が逃げ出すしかならなく
なったりするのだ。そのため賞金を出してでも、近くに住み始めた亜人を
倒してもらう町や村があったりする。
ちなみにどこが困ってるのかはお触れが出ているので簡単に知られる。
ある日の朝、フーケは宿屋の食堂で軽い食事を取ったあと、壁の張り紙を見た。
近隣の森でオーク鬼が住み着いている。そんなものがいくつもあった。彼女は
そのうち、謝礼金が一番高いものに目を付けた。二、三人の子供がすでに
食われているらしい。危急。
フーケは店員からペンを借りてその張り紙に丸印を付けた。こうすることで
ダブルブッキングを防ぐのだ。あとはこの村に向かい、村長などの代表と話を
つける。失敗した場合はまた新しい張り紙が張られるという仕組みになっている。
どこぞより失敬してきた馬を駆り、フーケはその村に向かった。

495 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 23:49:14 ID:VXwC3op+
おマチさん支援

496 :見えない使い魔:2007/10/15(月) 23:49:22 ID:terDXb1j
到着したのは正午過ぎ、被害はまだ甚大ではなく、家屋は綺麗なままだった。
だが、村は太陽の輝かしい光でも払い去ることのできない重苦しい雰囲気に
包まれていた。もうこれだけでも災厄に襲われたというのがわかる。その上、
村の人々はみな自分の家に隠れこんでいて誰一人出てこない。
フーケはため息をつきながら馬で村の中を進んでいき、代表者の住居らしい、
一番大きな家屋の前で止まった。馬を降り、扉を叩く。
「ノックしてもしも〜し。村長さ〜ん、いる?」
少しして、扉が静かに開いた。中にはやつれた老婆がいた。警戒心丸出しで
扉に手を掛けたままだ。
「なにようですか? 近くにオーク鬼が住み着いてますんでお嬢さんみたい
なのはとっとと逃げたほうがよろしいですよ」
「そういうわけにはいかないんだよね。そのうっとおしいのを退治しにきたんだから」
フーケは懐から杖を取り出し、ひょいひょいっとまわした。メイジであるとの表現。
これで普通の平民ならばひれ伏すのだ。目の前の老婆もえらくすばやい動きで
頭を下げた。フーケは彼女に尋ねた。
「それで、どこにいるの? そのオークどもは」
「はあ。この村から東に行ったら山がありまして、そのふもとにある泉の近くにきゃつらは
住み着きました。ですが、その、」
「なに? どうしたんだい?」
「いえ、あなたさまはお一人で来られたのですか?」
それは、予想をしていた質問だった。オークというものは人間よりはるかに力が強く、
頑強な身体を持っている。メイジであれば一対一であればまず負けることはないが、
相手の数は二桁を越えているとの話だ。詠唱中に攻撃をされるか、魔力切れにでも
なればそこで終わりである。
「そんなに不安かしら」
「いえ、そうではないんです」
あれ? フーケは疑問に思った。
「さきほど、剣士さまがオークどもの住処を尋ねてきたのです。その方のお仲間だと
思ったのですが、違うのですね」
「……ええ。まあ、違うわね。にしても、剣士なんだね?」
「はい。腰に剣を差していたので違いないかと」
「ふーん。ま、行ってみるさ」
フーケは老婆と別れ、その住処に向かった。

497 :見えない使い魔:2007/10/15(月) 23:51:06 ID:terDXb1j
泉に着くと、フーケは周りを探った。醜悪な外見をしているオーク鬼の姿はないが、
嗅ぎなれた匂いが鼻腔をくすぐった。それは血と脂が混ざり合った匂いだ。死体を
見たり作ったりしたことは何度もある。だから瞬時にそうだとわかるのだが、妙だと
彼女は思った。
フライで空に浮かび、ぐるーっと森を上空から探索する。と、すぐに大きく広がって
いる血だまりを発見した。それが一つであれば、老婆の言っていた剣士のものだと
当たりがつくが、驚くことに二桁はあった。若干高度を下げると、豚の顔によく似た
頭部も転がっている。間違いなくオーク鬼のものだった。
これは、とんでもない腕前のやつがいるもんだねと感心していたが、もう一つ奇妙な
ことに気づいた。オーク鬼の体の断面が、切ってできるものではないのだ。なんというか、
潰したというのがしっくりとくる。滅茶苦茶切れ味が悪ければこうなるのもわかるが、
そんな鈍らを持ち歩くような腕とは思えない。一体何者だろうか、彼女が推理をしていると
オーク鬼の鳴き声が聞こえてきた。フーケはすぐさま呪文を唱えて再び空に舞い上がり、
声のした方向へ向かった。
そして、彼女が見た光景はこれまで見てきたものよりも不可思議なものだった。
まず彼女は剣士を見つけた。黒い眼鏡をかけ、深緑色のコートを羽織り、腰には
剣を差している。しかし、抜いてはいない。手ぶらのままだ。
彼の前方にはオークが三体いる。だが、うち傷だらけの一体、A、は背を向け、仲間B、Cと
対面している。そして、Aは手に持っていた棍棒でBに殴りかかったではないか。
Bは肉体からは想像のできない俊敏な動きでそれを避けるが、それにも勝る動きでAは
追いすがり、再度棍棒を振るった。しかし、背後からCに攻撃を食らいばったりと倒れてしまった。
そこからはBとCのたこ殴り。Aはすぐさまミンチにされ、息絶えた。

498 :見えない使い魔:2007/10/15(月) 23:52:55 ID:terDXb1j
BとCは興奮していたために気づいていなかった。Aが攻撃された際、
口からひも状の何かがずるりと抜けていったことに。二体のオーク鬼は
息を荒くして剣士を睨んだ。Aにこういう行動を取らせたのがそいつだと
わかっているからであろう。フーケは、いよいよ抜くのか、と、期待したが、
男は一切剣に手を触れることはなかった。ポケットからさくらんぼを出して、
レロレロと舌の上で転がし始めた。挑発しているのだった。
オークたちは激昂し、男に走っていった。しかし、目の前に奇妙な人のようなものが
浮かび上がり足を止めてしまった。それは緑色のなにか、人の形ではあるが、人間ではない。
質感からしてゴーレムでもない。得体の知れない何か、若干透けていることから像とも呼べる。
フーケは興味の視線をそこに向けていた。
これから何が起こるのか、子供みたいにわくわくしていたのだ。
緑の何かが手を胸の前で合わせた。その中央に、宝石のようなものが出現する。
そして、打ち出した。
オーク鬼たちはその銃弾のようなものを無数に食らい、背後に吹っ飛んだ。だが威力は
さほど大きくはないようで、血だらけになりながらもオーク鬼は起き上がった。
加勢してやろうかしら、そうフーケが考えたがその必要はなかった。またしても宝石を
その緑の何かは打ち出したのだ。今度は頭に集中的に食らい、脳漿を巻き散らかして
死亡した。もう一体も同じ末路をたどる。
なんともあっけないことに、剣士は村人を苦しめていたオーク鬼を一掃してしまったのだった。
フーケは迷ったが、男の目前に降りた。文句もあることなので話をしてみる。

499 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 23:53:40 ID:av6JhSSb
  。

500 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 23:54:15 ID:KY34khR4
支援

花京院?


501 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 23:54:33 ID:VXwC3op+
マッ、マジか!?マジであの人か支援!

502 :見えない使い魔:2007/10/15(月) 23:54:38 ID:terDXb1j
「あんた、ちょっといいかい?」
「ああ。いいよ。なにかなメイジの人」
男はさして動揺した様子はなかった。フーケが覗いていたことに気づいていたの
だろう。
「さっき、オークになにをやったんだい? 緑色の何かが宝石みたいなものを
打ち出していたけど」
「まあ、ちょっとした技みたいなものかな。魔法ではないよ。あれは僕の使い魔
というか友達みたいなものだけどね」
「ふーん」
フーケはじろじろと男を舐めるように見つめた。上から下、どこをみても杖を持っては
いない。となると、メイジではないということだ。詠唱を唱えていなかったことからも
そう推測できる。
「念のために確かめるけど、村の依頼でこいつらを片付けに来たんだよね」
「そうですが?」
「あんた、マナーを知らないの? 印をつけてなさいよ。被っちゃったじゃない」
「それはすみません。なにぶん、最近こういうことを始めたもので。文字はなん
とか読めるようになったんですが」
フーケは考える。最近始めたというのはどうでもいい。それよりも文字をなんとか
読めるようになった、この点だ。体格や顔つきからして青年、二十を越えていると
思われる。それなのに、文字を読めなかったとはどういうことだ。まともな教育を
受けていなければそういうこともあるが、彼の服装やたたずまいからしてそこらの
農家の息子とは考えられない。それに身にまとう雰囲気、物静かではあるが奥に潜む
気高さは隠せない。貴族ではなく戦士だ。
「ま、いいわ。とりあえず村に戻ったら? オーク鬼も片付けたんだから」
「いや、まだ終わってはいない。親分が残っています」
「親分?」

503 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 23:54:38 ID:Wf8VqK0e
キター!

504 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 23:55:04 ID:6unnLw3P
花京院!? 支援

505 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 23:55:37 ID:VXwC3op+
支援支援!


506 :見えない使い魔:2007/10/15(月) 23:57:16 ID:terDXb1j
男は緑色の人を出した。
「このオーク鬼どもも、風雨を凌ぐ必要がある。洞窟。そこにまだ
何体か残っています」
「へえ。まあそうだわね。んじゃあそこへ行くか。案内しておくれ」
「あなたも来るんですか?」
「そりゃあね。このままあんたに任せてもいいけど、それだとここまで
来た意味がなくなっちまうんだよ。誰かさんが決まりごとを守ってくれ
なかったんでね」
フーケの言い分を男は聞き入れ、案内を始めた。距離はそうなく、すぐに二人
はその洞窟にたどり着いた。中からは独特の腐臭が漂ってきている。
獲物をここで食い散らかし、死骸をほったらかしにしているのだろう。
フーケは脳裏に、子供が食われている場面を想像して胸糞悪くなった。
そりゃあ、こいつらだって生物なのだ。生きるためには飯を食わなければならない。
それがたまたま人間だっただけ。自然の摂理といえばそこまでだが、それでも
嫌なものは嫌なのだ。
「そんじゃあ退治を始めようじゃないか。あたしがやってもいいかい?」
「どうぞ。油断をしないように」
「わかってる。女だてらに経験はあるんだ」
フーケはまず、人間大のゴーレムを作り出して中へ向かわせた。戦えば簡単に
やられてしまうだろう。案の定、フーケはゴーレムが破壊されたことをすぐさま察した。
しかし、これで目的は達せられた。
あとは、仕上げだけだ。

507 :見えない使い魔:2007/10/15(月) 23:59:04 ID:terDXb1j
中から豚に似た鳴き声とともにオーク鬼がやってきた。複数、ゴーレム
をけしかけてきたメイジをぶち殺すため。だが、彼らの目の前には広い
空間があるだけだった。メイジはいない。どこだ、と、彼らが首を回し探し
始めていると、大きな拳で叩き潰された。
赤と黒と透明な液体が飛び散った。即死。
地響きを聞き、さらに奥からオーク鬼がやってくる。それらも続々と
ゴーレムの拳に圧殺されていった。

フーケは、オーク鬼がやってこなくなったので、最後に洞窟を埋めることに
した。最初からこれをやってもよかったのだが、馬鹿力を使って掘削作業を
始めることもある。数をだいぶ減らす必要があったのだ。
「見事。あなたはメイジでもなかなかの実力者のようですね」
「まあね。これでもトライアングルなんだよ」
「トライアングル?」
「強さの基準だよ。ドット、ライン、トライアングル、スクウェア、その順番だ。
あんたはそんなのも知らないの?」
男は肯定した。
本当に奇妙な男だ。魔法と縁も所縁もなければ知らなくても当然ではあるが、
彼は妙に戦いなれている。これほどの力があれば傭兵になったりしたことも
あるのではないか。彼女はそう思っている。
「まあ、とにかく村に戻るかい。金を払ってもらう必要があるからね」
「分け前はどうします?」
「五分五分ってことにしたいけどほとんどあんたがやってくれたからねえ。六:四でいいさ」


508 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/15(月) 23:59:31 ID:wn4QXBQV
レロレロ支援

509 :見えない使い魔:2007/10/16(火) 00:01:36 ID:terDXb1j
村に戻り、フーケと男は金銭を受け取り、それだけでなく瑞々しい果実も渡された。
お礼の気持ちだと、オーク鬼に息子を殺された夫婦からのものだった。旅をしていると
保存食料ばかりになるので、こういうものは非常にありがたい。男と分け合い、
お互い馬に乗って村を離れていった。
「あんた、これからどうするんだい?」
フーケがさくらんぼを食べている男に尋ねた。どうやら好物らしく、レロレロと舌の上で
転ばせていた。
「ん……そうだな、特になにもありません。目的はあっても、当てはないんです」
「目的?」
「帰郷です。僕は、信じられないでしょうけどこことは違う世界から来たんです」
男は空を見上げた。青い空に、薄っすらと白い二つの月があった。
「ふーん。じゃあ、どうやってこの世界に来たんだい。まさか知らないのかい?」
「知りませんね。気づいたらここにいたんです。最初はあの世とさえ思ったもの
です。なにせ、死ぬほどの怪我をしていましたから」
「あんたが? まだ戦いなれていなかったとかで?」
「いえ、相手が強力すぎました。時間を止める能力を持っていたもので」
フーケは信じられない、といった視線で男を見つめた。彼もそれに気づいた、
と、再び緑色の人型をした像を出現させた。
「これはスタンド。名前は『法王の緑―ハイエロファント・グリーン』です。あなたも見たでしょうが、
さっきの宝石を撃ちだす技や身体をひも状にして生物の体内に潜り込むことができます。
仲間には考えを読み取ることができる人、炎を操る人、尋常ならざるパワーとスピードをもったやつ、
様々です」

510 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 00:02:27 ID:RTj/o8+w
いいのかい?
知り合ったばかりの人間にほいほいスタンド能力明かしちゃって。

511 :見えない使い魔:2007/10/16(火) 00:02:44 ID:qEasUGHB
なんと荒唐無稽な話だろうか、とはフーケは思わなかった。
世の中には人知を超えたやつがいる。それに彼の話に出てきた、
炎を操る人物が気になった。そんなやつがいるのなら、逆の場合も
ありえるのではないか?
「あんたさ、戦った連中はその時間を止めることができるやつだけなの?」
「いや、違います。その男にはたくさんの部下がいました。夢を操るやつ、ギャンブルをして
敗北者から魂を抜き取るやつと。中でも一番印象深かったのは、水を操る男でしたね」
フーケは心臓が飛び跳ねてしまいそうだった。やはり、そうなのだろうか。
二人は面識があるというのか。
「どうして、印象深かったんだい?」
「誇り高かったからと、それと、」
男は黒のメガネを外した。両目に複数の傷があった。
「こんなものを残してくれましたから。仲間がいなかったら、僕は殺されていたでしょう」
「へえ。そいつってどんな名前だったの?」
「たしか、ンドゥール」
やはり、そうだった。人差し指を奪ったあの使い魔とこの男とは繋がりがあった。

512 :見えない使い魔:2007/10/16(火) 00:04:37 ID:qEasUGHB
フーケは考える。ンドゥールのことはもう憎んではいない。かといって
忘れ去ることができたわけではない。どういうわけか別れてから日増しに
彼の顔を思い出す回数が増えてきていた。できたらもう一度顔を合わせて
みたい。なぜそんなことを思うのか、おそらくそうすることで自身の感情に
気づくことができる。とはいえ、学院に出向いてしまえば捕まってしまう。
お尋ね者なのだから。
そこに現れたこの男、こいつとンドゥールには因縁がある。その、運命ともいうべきものに
身を任せていたらいつか、また、相まみえることができるかもしれない。
「ねえ、ちょっと話があんだけどさ」
「なにかな?」
「あんたさ、あたしと一緒に仕事してみないかい? 地理とか詳しくないんだろ?」
男はメガネを掛け直し、尋ねた。
「それはありがたいことですが、理由がわからない。あなたにとってメリットが
ないように思えます」
「そんなことはないさ。あんたのその、スタンド。それのことを知りたいのさ。
詳しくね。ま、好奇心さ」
「好奇心は猫を殺す、とも言いますが。まあいいでしょう。これからよろしく
お願いします。それで、なんと呼べばいいんですか? メイジの人」
「そうだねえ」
フーケ、と呼ばれるわけにはいかない。ロングビルも偽名として
使っていたことで知っているやつはいる。ならば、一つしかない。
「マチルダ。そう呼びな。で、あんたの名前は?」
「花京院。花京院典明」
「それじゃあ、ノリアキ。これからよろしく頼むわね」

513 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 00:07:23 ID:/hTpBzDy
支援

514 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 00:09:43 ID:O7jXyFkF
花京院支援

515 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 00:09:45 ID:Brwg6qCo
これが本体のハンサム支援だ

516 :見えない使い魔:2007/10/16(火) 00:10:38 ID:qEasUGHB
フーケ、もといマチルダが花京院という旅の仲間を得てから数日が経った。
短い間だが、彼女は彼を信用できる人物だと評価した。ワルドのように、
己のためだけに行動する悪人ではない。直感といわれればその通りでは
あったが、それでも経験という裏打ちがある。マチルダはアルビオンを
追い出され、ある理由で金を稼ぐことをしていた。
最初はそれこそ食堂や酒場の給仕だったがそんなものではとても足りず、
そのため盗賊に身をやつしていた。どこぞの屋敷に潜伏することもあった。
そこでは身体を求めてくる男もいた。偶然自分がメイジだと知った人物は、
あくどい取引を持ちかけてきたりもした。ひどい目に遭ったことは一度や二度
ではない。そのたび意地と誇りで乗り越えてきた。
だから、わかる。花京院は悪人とは程遠い性質の男だと。なおかつそこらに
いる高慢な貴族とも、卑屈な平民とも違う。理不尽が存在する世界と対等に
戦おうとする高潔な精神を持っている。
それがゆえに、恐ろしいとも感じた。
死ぬときはあっさり死ぬのだこういうやつは。
「飲まないんですか?」
「いいや、飲むさ。ただ考え事をしていただけだよ」
マチルダは目の前のジョッキを煽った。度数のきつい酒を一気に嚥下する。
大きくゲップをする。
「あんたこそ飲まないのかい?」
「僕は遠慮しておきますよ。故郷だと二十にならないと酒はだめでしたので」
「なんだいつまらないね。ま、あたしもへべれけになって食われちゃたまらないから程ほどにしとくけど」
そう言ってジョッキを下ろし、店員につまみを頼んだ。盛況なため時間は掛かる。
来るまでゆっくり待とうと彼女が背筋を伸ばしたとき、食堂の扉がけたたましく開かれた。

517 :見えない使い魔:2007/10/16(火) 00:11:47 ID:qEasUGHB
客も店員も扉を見た。入ってきたのは、まだ年端もいかない男の子
だった。少年は店内を見回し、ぴたりとマチルダの席で視線を止めた。
「なんだろうね」
マチルダが花京院に尋ねる。
「わかりませんよ」
花京院が答える。
少年は荒い息のまま二人に近づいてきた。そして、両手を
テーブルにたたきつけた。
「なんだい坊や」
「あ〜……あなたた、ちい〜………」
花京院が水を出した。少年はそれをぐっぐと飲み干し、
二人を睨むほど目を尖らせて言った。
「あの、あなたたちに、是非ともお願いがあるんです! 聞いてください!」
「……そうだね。言ってみなよ」
そう尋ねると、少年は周囲を見回した。
「ここではちょっと、その、できません」
「ふうん」
マチルダは立ち上がり、店員に金貨を放った。
「ま、部屋で話そうじゃないか。ノリアキ、行くよ」
「はい」
少年は瞳を子供らしく、らんらんと輝かせた。

518 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 00:14:03 ID:7Hkg3AvP
追いついたッ!
支援する!

519 :見えない使い魔:2007/10/16(火) 00:14:10 ID:qEasUGHB
マチルダの部屋に着くと、少年がまずどこから来たのか尋ねた。なんでも、
彼は以前亜人を退治した村の一人であるらしい。小声で用件を話し始める。
「俺の村、実は亜人が住み始めたとき、すぐに領主になんとかしてくれって
請願したんだ。だけど、あの領主は金がもったいないからって、兵隊なんか
送っちゃこなかった。それで、もう逃げるしかないって時に、あなたたちが
倒してくれたおかげで、生活に不安はなくなったんだ。けど、」
「けど?」
「その、亜人がいなくなってから、領主のやつがやってきたんだ。
よくわからないけど、視察だとかいってた」
マチルダは、なんとなく彼が抱えていることに気づいた。
それでも最後まで聞く。
「あいつは、領主は一通り村の中を回った後、俺の家に来て、
姉ちゃんを差し出せっていったんだ」
「正確に言えば、奉公に来いっていったんだろ?」
「うん。でも、俺、聞いちまったんだ。あの領主のところにいった女の人は、
誰一人帰ってこないって。だから、」
「だから、あたしたちにその領主から姉ちゃんを助け出してくれ。こういいたいのかい?」
少年は大きくうなずいた。マチルダは、しゃがみこんで少年と視線を合わせた。
「いいかい。仮にその領主の話が本当で、あんたの姉さんが二度と帰ってこないとする。
それで、なんであたしらが行かなくちゃならないんだ」
「お金なら払う! あいつが、姉ちゃんと引き換えに置いていった金貨があるから!」
「いくらだい?」
「エキュー金貨で十枚!」
「足りやしないよ。全然足りやしない」
少年の瞳が潤み出した。水が流れる。
「いいかい坊や。この国でメイジに逆らうってことがどうなるか、わからないほど馬鹿じゃない
だろ。大体その領主の館だって警備はしっかりしてるから命の危険だってある。
仮に成功して、上手く逃げおおせてもあたしらはお尋ね者になって国を追われちまう。
もうここじゃあ生きていけない」
「な、なんでもする! 俺が全部けしかけたんだって言えば――」
「馬鹿言ってんじゃないよ!」
マチルダの一喝で空気が震えた。
「あんたみたいな子供の言い分なんか誰が聞くもんかね。笑われるのがオチさ。
それにね、なんでもするって言ったね。あんた、なんにもできないからあたしらに
頼みにきたんだろ。大事な姉さんを助けることができないから、自分が無力だから、
ガキだから!」
「マチルダ」
花京院が肩を叩いた。彼女はようやく興奮していたことに気づき、少年の顔を見た。
涙と悔しさ、無力さでくしゃくしゃになっていた。
懐からハンカチを取り出し顔を拭いてやる。
「あのね、坊や。あたしらは正義の味方でもなんでもないんだよ。世の中には
そんなのいやしない。救いが欲しかったら、自分が救わなくちゃならないんだ」
そう言って、マチルダは少年の手を握った。真っ黒に日焼けしてまだ幼いのに
関節は節くれだち、肉刺もつぶれている。ところどころ皮もはげていた。
彼は、いや、彼が住む村の人々は毎日毎日懸命に生きていただけだろう。
気まぐれな天気に悩まされ、虫に果実を食われないように注意をする。
大収穫の年もあれば不作の年もあっただろう。飢饉だってあっただろう。それでも
ひたすら生きるために農耕に精を出していた。それだけなのに、亜人の恐怖に曝され、
絶対的上位に位置するくそ貴族に家族を奪われていく。
まじめに、ただまじめに生きていただけなのに、不幸は襲ってくる。
世界は理不尽だ。
くそったれだ。
「坊や。お家に帰りな」
「そんな――」
「帰るんだよ。残念だけど、あたしらはなんの力にもなれやしないんだ」

520 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 00:16:43 ID:x3mahk14
支援

521 :見えない使い魔:2007/10/16(火) 00:18:08 ID:qEasUGHB
少年が宿を去ってしばらくしてから、マチルダは部屋を抜け出した。代金を
布団に置き、地上にレビテーションで降り立つ。そして音を出さないように厩舎に
入って自分の馬を連れ出し、町を出た。
空を見上げると二つの月が輝いていた。昔、彼女が少女だったころ、
助けをあれに求めたことがあった。もちろんなんの返事も返ってこなかった。
残酷な現実が襲ってきたのだ。
「なにしんみりしてんのかしらね。あたしは」
馬を走らせながらぼやいた。誰に言うでもない。自分に向けての質問だったのだが、
答えが真後ろから返ってきた。
「わかりません」
マチルダはぎょっとして後ろを振り向いた。半馬身ほど遅れて花京院が走ってきていた
のだった。考え事に集中していたあまりに蹄の音に気づけなかったとは。
馬の速度を少しずつ落とし、花京院に尋ねる。
「あんた、あたしがこれからどこへ行くかわかってんのかい?」
「ええ。わかっています。領主の館に向かうのでしょう?」
「……そうだよ」
舌打ちをした。なぜ数時間悩みまくった答えを見抜かれているんだか、
はなはだ不可解なことだった。
「悔しそうな顔をしてましたからね。あんな顔をするのはいい人ですよ」
悔しくなるほど嬉しそうに笑っていた。マチルダはぷいと顔を逸らす。
「あたしゃ、結構悪いことしてるんだけど」
「悪いことをするから悪人ではないでしょう。罪人ではありますけど。僕の友達に
教師を脅かしたり食い逃げしたりするやつがいましたけど、そいつはいいやつでした」
「いまらするのはそんなもんじゃないんだけどね」

夜明け近くになると二人は森に入り、休息を取った。別にそのまま走り続けて
いてもよかったのだが、先に馬のほうが限界になった。睡眠中をたたき起こされた
ので疲労がたまっているのだ。
マチルダは適当なところにマントを敷き、その上にごろんと寝転がった。さっきまでは
存在してなかった睡魔がにじり寄ってきている。寝ると決めればすぐに眠れるように
なったのは便利なことだった。もういい年だからこれは重要なこと。
滲む視界の端に花京院がいる。寝付く前にたずねることにした。
「あんた、抵抗ないの? これからするのは押し込み強盗みたいなもんなんだよ?」
「常識的には許されることじゃない。けども、圧倒的強者が弱者を踏みにじることも
許されることじゃないでしょう。僕の友達なら、むしろ進んで殴りこみにいきますね。
僕も一緒にいきますが」
「ぶっ飛んでるわね」
「同感です」
花京院の笑いを耳にし、マチルダは眠った。
古い夢を見る。いまだアルビオンの貴族であった夢。
母に甘えていただけの夢。蝶を追いかけ回していた夢。
それを、一歩引いた視線で見ている。
このときは想像もしていなかった。全てが変わるとは。

522 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 00:20:34 ID:7Hkg3AvP
支援

523 :見えない使い魔:2007/10/16(火) 00:21:05 ID:qEasUGHB
目覚めたとき、まだ太陽は真上にあった。マチルダは身体を起こし、
固まった筋肉をほぐした。首を回すと花京院がスープを作っていた。
彼女が目を擦り、近づいて中身を見ると野菜や肉が詰め込まれている。
「なんだいこれ?」
「寄せ鍋です。そこらに生えていた野草と、ウサギの肉を煮込んだだけ。
調味料は入ってますけどね」
「毒草はないよね」
「ありません」
器に盛ってもらい、マチルダは受け取った。食べてみると珍しい味だが、
まずくはない。むしろ美味かった。マチルダが野宿で料理をせずにすんだのは
初めての経験。誰かとともに旅をするというのも初めてか。
食べ終えた後に水を飲み、腹をこなすと馬に乗り、二人して領主の館に出発した。

絢爛豪華な館、門柱も立派なものだ。細かい銀細工が施されている。よく磨かれており、
夕日の赤い光がきらきらと反射していた。
そこへ、一台の馬車がやってきた。二頭の白馬に引かれ、手綱を握っているのは黒尽くめの
御者だ。窓はあるが、カーテンが引かれているため中のものが外を覗けないようになっていた。
鉄門が開かれ、馬車は敷地に入っていった。マチルダと花京院はその様子を物陰に隠れて
見ていた。
「いつ行動を起こしましょうか」
「夜だね。別にあそこにいる子だけを助けるのならいまでもいいんだけど、たぶん被害者は
まだ館の中に残ってる。全員を助けないと意味がないからそれまでは調査だね」
マチルダは杖を振り、地面から小さなゴーレムを生み出した。手の平サイズのそれは
とことこと塀に近づき、見掛けからは想像できない握力で上っていった。そして、中に入るが、
「チッ」
「どうしました?」
「犬型のガーゴイルがいるね。生物か魔力をこめられたものを自動的に襲っているみたいだ。
これじゃあ調査ができないよ」
「なら、僕がやりましょう」
花京院は『法王の緑』を出現させた。
「あんた聞いてなかったのかい? 魔力に感知するんだからそれでも結果は同じだよ」
「いえ、これは魔法じゃないんです。だから大丈夫だと思いますよ。それにいざ狙われたら
消せばすむことです」
そう言って彼はスタンドを向かわせた。
ひゅるひゅるとひも状になり、物陰から中に入っていった。花京院の推測は当たっていた
ようで、ガーゴイルの足音は聞こえてこない。少し時間が経過すると、花京院はスタンドを消した。
「どうだい?」
「……衛兵は数名いますが、むしろガーゴイルというやつの数が多いです。射程距離の
問題で深く潜ることができなくて、すいません」
「かまわないさ。で、女の姿はあったかい?」
「……ありません。キッチンにも潜り込ませましたが、それも男でした」

524 :見えない使い魔:2007/10/16(火) 00:22:50 ID:qEasUGHB
なるほどね。マチルダは奥歯をかみ締めた。多くの奉公人を集めておきながら
女性は誰一人見えなくなっているということはどこぞに監禁されている可能性が
高い。おそらく人目につかない地下。
「ノリアキ、やりかたは決まったよ」
マチルダは杖を一振り。地面に穴を開けて花京院ともぐる。
「なるほど。ガーゴイルもモグラなんかにまで反応するわけにはいきませんからね」
「そう。抜け穴ってのはあるもんなのさ」
マチルダは崩落が起こらないように天井を鉄に変えて補強していく。そうしてゆっくりと
館の真下に近づいていった。
やがて、二人の目前に大理石の壁が現れた。マチルダは耳を当て、拳でドン、と、叩く。
音の響きで中が空洞か、それとも違うかを調べるのだ。
まるであの男みたいだ、と、マチルダは思った。
「ここ、なんかの部屋だわね。入るよ」
「わかった」
花京院がスタンドを出現させたことを確認し、魔法を唱えた。たちまち壁の一部が
砂になり、人が一人通れるほどの穴が開いた。と、二人の鼻に吐き気をもよおす
悪臭が漂ってきたではないか。
マチルダは、次に現れる光景を想像しながら、歩み入った。まさしく、予想していた通り
だった。
そこにあったのは、人の群れ。一人ではなく、十を越えている。それも全て裸の女。やせ細り、
瞳はくぼみ、唇や髪からは水分が失われていた。無傷のものは一人もおらず、細かな傷が
幾重にもつけられていた。何度も責め苦を与えられていたのだろう。心はとうに擦り切れ、
意識はあるものの彼女らに視線を向けるものはほとんどいない。
生かされているだけ、殺しはしていない。
コレクションだ。
マチルダの心は震えた。表と裏、国に尽くし、平民を守ろうとするものがいれば逆のものもいる。
世界各国、こういう連中はどこにでもいる。特別なことではない。特別なことではないからこそ、
腸が煮えくり返る。なぜ悪が栄える。なぜ善が虐げられる。
「花京院……頼むわ。この子達を外に連れ出して」
「わかった。あなたはどうする?」
「ここで、報いを受けさせる」
マチルダの声は静かだった。静かであるからこそ、その怒りは空気中によく浸透した。
土の系統でありながら、心は燃えていた。地獄の業火が暴れていた。

525 :見えない使い魔:2007/10/16(火) 00:24:46 ID:qEasUGHB
音のよく響く地下の廊下を男、モット伯が歩んでいる。肥え太った身体。
服は着ておらず、杖を差した黒光りしているパンツだけを身に着けている。
おかげで白豚のような肉体が露になっていた。
彼の後ろには、一人の少女が付き従っていた。彼女は衣服、下着すら
身に付けていない。しかし、彼女はかわいらしい顔に華やかな笑みを浮かべて
いた。もちろん喜んでいるわけではない。『魅了』をかけられているのだ。
そのため彼女は恥辱を感じることなく、透き通るような肌や淡い茂み、
膨らみ始めた柔らかな胸を晒していられるのだ。
「ここだ」
モット伯は廊下の行き止まりにある扉を開いた。後ろの少女を中に入るように促し、
自身も一緒に入った。中は彼に痛めつけられ、張り裂けんばかりの悲鳴を
上げていた女性の成れの果てがいる。反応をしなくなれば、その都度彼は新たに
女性を花のように摘んでくる。殺していないのは常人であれば鼻を曲げたくなる悪臭、
この男にとってはどのような香水にも勝る甘美な香りのもとである排泄物を出させるためだ。
男は杖を抜き取り『魅了』を解く。少女の顔は寝起きのようにぼんやりとしていたが、
ゆっくりと目の前のモット伯に焦点を合わせた。
そしてすぐに一糸纏わぬ己の姿に気づく。
「―――イヤアアア!」
両腕で自身を抱きしめてしゃがみこむ。次に悪臭に気づき、周りの女たちを目にした。
かわいらしい顔が恐怖に歪む。モット伯は下品な笑みを浮かべていた。
「どうした。先輩たちにあいさつをしないといけないだろ」
「そ、そんな、こんなのって………」
声が震えていた。周りの女たちが心を破壊されているのは一目瞭然だった。虚ろな視線を
向けるもの、ピクリとも動かないもの、死人ではないだけ。
「さあ、私のために泣いておくれ。心を奮わせる歌を歌ってくれ」
彼が腕を掲げた。

526 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 00:25:09 ID:7Hkg3AvP
支援

527 :見えない使い魔:2007/10/16(火) 00:26:07 ID:qEasUGHB
モット伯は詠唱を始めた。目の前の可憐な少女からの叫びを心から期待し、
いざ魔法を使おうとした。が、杖がひょいっと奪われてしまった。
「ああ?」
背後を見た。そこに、見知らぬ女がいた。
彼は疑問に思う。自分はこんな女を買ってはいない。好みは成長期に入りかけた
年頃なのだ。こんなすでに熟してしまった女は必要ない。まて、それよりもなんで
この女は服を着てるんだ。
「貴族様。あたしはさあ、別に正義の味方ってわけじゃないんだよ」
突如女が語りだした。いきなりなんなんだ。
「でもさあ、こんなくそったれな悪行を見過ごせるほど人でなしでもないんだよ」
女は歩み寄り、股間を蹴り上げた。モット伯は激痛に悶え、地面を転げまわった。
少女はこの豹変した事態を喜べばいいのか、わからなくなっていた。
「これを羽織っておきな」
女はマントを少女に渡し、ゆるりと無表情のままモット伯に近づき、顔を蹴っ飛ば
した。歯が飛んだ。
「さて、耳が腐るような悲鳴を上げられて気分を害しちまったね。黙りな」
喉仏を爪先で潰す。余計大きな悲鳴が上がった。彼は一方的に与えていた恐怖を、
逆に与えられる立場となった。
「醜いったらありゃしないね。あとは、あんたたちがやっちまいな」

528 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 00:26:17 ID:YFx5pt5D
投下がきたら支援する
誰だってそーする、俺だってそーする

529 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 00:26:53 ID:7Hkg3AvP
よりによってスカトロかモット
支援

530 :見えない使い魔:2007/10/16(火) 00:27:32 ID:qEasUGHB
あんたたちとは誰のことだ。モット伯は痛みに苦しみながらも考えることができた。
考え、考え、答えは出なかった。それでも知ることはできた。女の言うあんたたちに
殴られたからだ。
ひい、と怯えて周りを見るとなんと自分がとことん破壊した女どもがこちらへ虚ろな
眼球を向けているではないか。使い物にならなくなったというのに、なぜこんな気力がある。
彼の首が後ろから締め付けられる。それを振りほどくも、今度は前から左右から女の手が
伸びてくる。鈍重な動きであることが余計に恐怖を掻きたてた。
まるでアンデッドだ。
女のような悲鳴をあげ、彼は必死の形相で部屋を飛び出していった。赤絨毯の廊下を
犬のように四足で這っていく。やがて階段に着き、必死で登ったら金で雇った衛士を
見つけることができた。息も絶え絶えに彼はそいつに今起こったことを話して地下に向かえと
命令したが、動こうとはしなかった。顔を向けず、じっと外を見ていた。モット伯が激昂して
掴みかかろうとした瞬間、二の腕に鋭い痛みを加えられた。
ナイフで切られたのだ。
いま、彼の目の前に衛士の顔が映った。
黄土色の粘土でこねられた顔だった。
「ゴゴ、ゴーレムか!」
「その通りだよ」
けつを蹴られた。

531 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 00:27:35 ID:/hTpBzDy
支援

532 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 00:27:48 ID:Uvd6I2Nq
久々に見えない人が来てる支援

533 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 00:28:45 ID:Mj+NPn9E
しえん

これは黒いモット
汚いな、さすがモット汚い

534 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 00:29:05 ID:BhL1XI3M
いままで見た中で一番汚いモット伯
支援

535 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 00:29:29 ID:7Hkg3AvP
支援

536 :見えない使い魔:2007/10/16(火) 00:29:35 ID:qEasUGHB
モット伯は強烈な痛みに飛び上がり、尻を押さえながら振り向いた。女がいた。
己の杖を取り上げた女が。よくよく目を凝らすと、どこぞで見たような顔だった。
というよりも、誰かの特徴と一致しているのだ。モット伯は思考を巡らし、ようやく
彼女の右の人差し指が欠損していることに気づいた。
それは絶望を意味していた。
「つつ、つつつ、『土くれ』のフーケ!?」
「大正解だよ!」
女、フーケは衛士の服を着たゴーレムからナイフを奪い、モット伯の足に
投げつけた。太腿に深く刺さる。
「痛いいいい! なんで、どうして!?」
「言ったはずだよ。あたしゃ、正義の味方でもなんでもないけど、人でなしでもないってね」
フーケの瞳には炎と氷があった。焼き尽くされてしまいそうな炎の怒り、覆ることはない、
絶対零度の意思。明確な殺意。
モット伯は理解する。己の死が間近に迫っていることを。
「ガガ、ガーゴイル!」
叫んでも返事はない。青銅の犬の足音は聞こえてこない。
「あたしの仲間がやっておいてくれたよ。さあ、仕上げだ」
フーケはパチン、と、指を鳴らした。
途端、館が火に包まれた。外の塀も中庭も、赤一色の世界が出来上がった。
「ここ、こんなことをして、一体お前になんの利益があるんだ! お前は盗賊だろ!」
「少なくとも、腹の虫は治まるね」
そう言って杖を振るうと、彼女のゴーレムがモット伯を抱え上げ、歩き出した。
行く先は地下である。
「よ、よせ! 助けてくれ! 金を払う! 二度とこんなこともしない! だから、だから、命だけは!」
「駄目だね。どんだけ詫びてもあの子達の心は戻ってこない。だから、」
フーケは恐ろしく冷たい声で命令した。
「地獄で詫び続けな」
「待て! 待って! まってくれ! たすけて! いのちだけは――」
モット伯の声は止んだ。
轟々と燃え盛る館の中、フーケ、マチルダはため息をついた。


537 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 00:31:55 ID:7Hkg3AvP
支援

538 :見えない使い魔:2007/10/16(火) 00:32:38 ID:qEasUGHB
一夜明けた朝、マチルダと花京院は館に勤めていた衛士、それと料理人などに
向けてこう脅した。
「この子達を元々住んでいた村に戻しな。もし、どっかで売ったり捨てたりして
家に帰れなかったら、あんたたちを殺しに行くからね。それもただ殺すだけじゃない。
指を潰し、腕を潰し、足を潰し、性器を切り取って亜人に食わせてやるからね。肝に銘じな」
全員がその言葉にはい、と、うなずいた。
なにしろ相手は大盗賊である『土くれ』のフーケ。逆らおうはずもなかった。
幽閉されていた女子たちは館に連れてこられたときの服を着込み、予め盗んでいた
馬車三台にバラバラに乗り込んだ。足も弱っており、精神も壊されていたためそれだけでさえ
難儀なことだった。
「じゃあいきな。くれぐれも、事故を起こすんじゃないよ」
「はい!」
馬車が順に出発していった。マチルダと花京院がそれを眺めていると、
一番後方の馬車の窓が開き、少女が顔を出した。彼女はなにがしかの言葉を
大きな声で言い、頭を下げた。マチルダは小さく手を振った。
彼らの視線の先にあるものが広い草原だけになってから、マチルダは花京院に尋ねた。
「あんた、これでよかったと思うかい?」
「と、言うと?」
「あの子達、村に戻ったところでどうにもなんないわ。同情はされるだろうけど
すぐに厄介者扱いにされるかもしれない。そうでなくても心がまともになるのに
どれだけかかるかわかったもんじゃないわ」
殺してやったほうが、あの子達のためだったかもしれない。世の中はまこと理不尽でくそったれ。
マチルダは髪をかきあげた。風になびいた。左手の薬指にあるルビーが朝日を反射する。
「ねえ、ノリアキ。どうなの?」
花京院は答えた。
「わかりません」
「ずるいわね」
「ですが、彼女たちには無数の選択肢が生まれました。これから生きていくのは
困難でしょうが、それでも未来があります。それを与えたあなたは、立派なことを
したと僕は思いますよ」
マチルダは小さく笑い、言ってやった。
「あんたもでしょ。それは」

539 :見えない使い魔:2007/10/16(火) 00:37:28 ID:qEasUGHB
まだまだいっくよー


特に何も無い毎日が過ぎていった。大盗賊が襲撃してきたりすることはなく、
王女が訪問してきたりすることもなく、どこぞに冒険に出かけるようなことも
ない。極めて平和な日々が続いていた。それに不満があるわけではない。
しかし、そこに大きな満足もない。いや、ほんの数ヶ月前までなら彼はそれに
満足していたのだ。授業を適当に聞き流し、昼休みや放課後には女子に
ちょっかいを出してみる。本命にばれやしないかというスリルにゾクゾクしながら
なんてことのない日々を送っていた。
だが、もう以前の彼ではない。世界はそんな生ぬるいものではなく、いつか
襲い掛かってくることを知っている。それなのにどうして学院という籠の中に
いられるというのだ。時間はあるようで、ない。戦わなければいけないときは、
前兆なくやってくる。そのときのために強くなりたい。
敗北を知り、彼はそう思うようになった。

「決闘だ!」
「あんたいきなり何言ってんの?」
キュルケが馬鹿にするような声で言ってやった。ルイズも呆れた目でギーシュを見た。
「だから決闘を申し込むんだよ。受けてくれるかい?」
「誰によ」
この場にいるのは先にあげた二人とシエスタ、そしてンドゥールである。この四人で
何をしていたかというと、またあいかわらず魔法の練習だ。爆発の余波を受けていた
おかげで真っ黒になったルイズはシエスタから濡れ布巾を受け取り顔をぬぐう。
「まさかンドゥールとやるの?」
「その通り!」
「やってあげてンドゥール」
ルイズがそう言うと、ンドゥールは懐から手袋を取り出し、投げた。それは
丸めてあったので空気抵抗が弱く、ひゅるひゅるとギーシュの顔に向かって
いった。そして当たる直前、その手袋に向かって水が突き上げた。
ギーシュは背筋が寒くなった。その手袋はなんかやばい。彼はとっさに後ろに
下がった。すると、彼の少し前に落ちるはずの手袋が突如動き出して喉元に
掴みかかってきた。
「ぐえええ!」
水が詰まった手袋に首を絞められた。ギーシュは暴れるも水の力は強く、手袋は
離れない。声が出ないので魔法も使えない。
つまり、どうしようもないということである。
決着。




540 :見えない使い魔:2007/10/16(火) 00:38:42 ID:qEasUGHB
「というかだね、始めの合図も何もなしに仕掛けるのは反則だと思うんだよ。
だからあれは僕の」
「負けよ」
「負けね」
「負けです」
「うん。そうだね」
アハハと乾いた笑いをしてギーシュは水を飲んだ。いまはちょっと小休憩、
ルイズも精神力はともかく体力が限界に近かったので食事を摂っている。
疲労があるので食べやすい一口サイズのサンドイッチだ。
「それで、いきなり決闘なんてどうしたの?」
「いやだね、その、アルビオンではフーケに負けてしまったからね。今度は
勝てるように鍛えようと思ったんだ。それで本とかを読んだりしてて、次は
実戦だと、ね」
「相手が悪いわ。ダーリンが手加減してくれたのもわかるでしょ? もうちょっと
実力が近い相手と戦いなさいな」
容赦ない言葉。しかし、それは事実。ギーシュは涙を堪えた。
「しかしだね、他のものと決闘しても普通の魔法ぐらいしかやってこないじゃないか。
もっとこう、こっちが驚くようなことをする相手じゃないと」
「なんで?」
「ガチンコでやりあっても仕方ないじゃないか。裏を掻くようなことをしないと
フーケのように実力がはるか上の相手には勝てないだろ?」
「なるほどね」
彼の言うことももっともである。キュルケも実戦の経験、といってもちょっと
した喧嘩のようなものであるが、単なる力押しで勝ったのは相手が弱く、
馬鹿なときぐらいだ。時には頭を使わなければならないときもある。ギーシュは
フーケとの戦いで魔法以外を使うことを知ったのだろう。
「それじゃあ、あんたこの子とやってみなさいな」

541 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 00:39:29 ID:O7jXyFkF
花京院かっこいい支援

542 :見えない使い魔:2007/10/16(火) 00:40:06 ID:qEasUGHB
キュルケが言ったこの子とは、シエスタ、ではもちろんなくルイズのことで
あった。
「ちょ、正気かい? 君、ルイズは、その」
「成功率ゼロよ。でもねギーシュ、やりようによっては彼女はあんたに勝つかも
しれないわよ」
「なんか腹立つわね。その通りだけどゼロゼロ言わないでよ」
「ルイズ、君はやる気なのかい?」
「当たり前よ。舐めてんじゃないわ。シエスタ、離れてちょうだい」
ルイズはまだ乾いていない髪をゴムで縛り、上着を脱いだ。煤で真っ黒になるため
安いマントを羽織っていたのだ。
「さあ、始めましょう。負けは杖を落としたらでいいわよね」
「ああ、まあ、いいよ。けど本当にやるのかい?」
「くどい! さっさと構えなさい」
ギーシュはルイズの剣幕に押され、杖を懐から抜いた。だが、彼は心の中でこの
決闘にまったく乗り気ではなかった。それは相手が女性だということもあるが、
明らかに力が弱いということが大きな原因だった。大体強くなりたいために決闘を
申し込んだのだ。弱いものイジメをしたいためではない。
しかし、彼は気づいていなかった。これとまったく同じ状況に以前遭遇していたことに。
そのとき完膚なき敗北を喫したというのに。
「ワルキューレ!」
まず手始めとして、いつかのように自慢のゴーレムを生み出した。
だが本気ではない。
たったの一体だけだ。

543 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 00:40:47 ID:yPzCP1Rl
人はいないのか?支援

544 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 00:42:21 ID:t6JUbyil
>543 いる。 支援

545 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 00:43:06 ID:O7jXyFkF
おマチさんと花京院のコンビを読みふけってるんだろうさ支援

546 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 00:43:57 ID:3OY+4YVJ
俺にも支援させてください

547 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 00:44:36 ID:pW65gnwF
支援
このギーシュはルイズによって
凡骨☆爆殺されるだろうな

548 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 00:44:42 ID:7Hkg3AvP
スマン読みふけってた支援
気に入った言い回しなんかを繰り返し眺めるクセ直さないとな……

549 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 00:46:01 ID:f4wUEpvA
きれいなモットも好きだけど、ゲスモットはモォをットスキです。
後、花京院も好きです。

550 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 00:46:15 ID:7Hkg3AvP
支援

551 :見えない使い魔:2007/10/16(火) 00:46:39 ID:qEasUGHB
爆発が起こった。それはワルキューレを軽々と吹っ飛ばした。
失敗には違いない。しかし、威力は十二分にある。ギーシュはようやく
本気で掛からなければいけないと、理解した。
「すまないルイズ。僕は君を舐めていたよ」
「不愉快ね」
「ああ。これからは全力だ」
詠唱し、杖を振った。すると今度は四体のゴーレムが生まれでた。それぞれ
手には短めの棒が握られている。
「行け!」
先ほど倒されたものも起き上がり、合わせて五体ものゴーレムがルイズへと
襲い掛かっていった。シエスタが悲鳴を上げるが、ンドゥールもキュルケも
ルイズ本人も動じることはなかった。
爆発が起きる。ゴーレムが吹っ飛んだ。一体ずつとはいえ詠唱は速く、ゴーレムは
近づくことができない。正面からは。
「きゃあ!」
ルイズが羽交い絞めにされた。後ろに振り返ると、ギーシュのゴーレムがそれを
していた。前方に意識を集中させ、背後から忍ばせていたのだ。
「降参したまえ」
「い、や、よ」
ギーシュに応じず、彼女は魔法を唱えた。今度の爆発は超小規模で、ルイズを
押さえているワルキューレの肩で起こった。それをさらにもう一度することで、
拘束は簡単に解かれた。おまけに止めとばかりに

頭と胴体を爆発で抉る。
「さあ、いくわよ」
ルイズは走り出した。その進行を止めようとギーシュはまだ動けるワルキューレを
向かわせた。だが、それすらも爆発で吹っ飛ばされる。これは彼女なりの成長である。
最近の練習のおかげで爆発の規模を調整することと対象を選択することがかなり
細かくできるようになったのだ。

552 :見えない使い魔:2007/10/16(火) 00:48:31 ID:qEasUGHB
「食らいなさい!」
ルイズが杖を振るう。ギーシュは腕で守りを固めたが、無意味。爆発は彼を
吹き飛ばした。
「ぐあっ!」
地面に転がる。全身が痛みに呻いていた。馬鹿と鋏は使いようとはよく言った
ものだなあ、と、ギーシュは思いながら身体を起こす。と、彼の目に走り寄って
くるルイズが見えた。
このままでは敗退、それは嫌である。三連敗など情けない。ギーシュはどうすべきか
頭を悩ませ、逆転の方法を思いついた。
「降参なさい!」
彼の目の前にやってきたルイズがそう命令した。彼女を見上げながら、ギーシュは
言ってやった。
「い、や、だ、ね」
「――ッア、」
ルイズの腹を青銅の棒が突いていた。それはギーシュの手に握られている。
彼は土の中に錬金でそれを作り上げていたのだ。
「僕の、勝ちだ!」
そして彼はそのままルイズの杖を弾き飛ばした。くるくると宙を舞い、あとは
地面に落ちるだけ。完全な勝利、だと彼は思った。しかしルイズは、勝利を逃す
のが我慢ならなかったのか頭が興奮していたのか、
おもむろにギーシュをぶん殴った!
「オラァ!」
「へぶ!」
さすがにその反撃は想定できなかった。ギーシュはまともに顎に食らい、杖を放して
地面にぶっ倒れた。と、ルイズの杖も地面に落ちた。
「勝ったわ! ちい姉さま、私やりました!」
「いい、いや、ちょっと待ちたまえ! 杖を放したのは明らかに君が先だった
じゃないか! これは僕の勝利だ!」
「何言ってるの。勝負は先に杖を地面に落としたほうが負けって決めてたじゃないの」
「そうは言ってもだね、君が殴りかかってきたときにはもう勝負がついてたんだ。
潔く、敗北を認めたまえ」
「潔く? あんたが負けたのよ。あ、ん、た、が!」
「いいや、君だ。勝ったのは僕だ。君が負、け、た、の、だ!」
「違うわ。勝ったのは私。わ、た、し、よ!」
「ぼくだ!」
「わたしよ!」

553 :543:2007/10/16(火) 00:49:35 ID:yPzCP1Rl
これだけ人がいるなら安心だ。
最後の支援です。受け取ってください。zzz

554 :見えない使い魔:2007/10/16(火) 00:50:39 ID:qEasUGHB
口論は続くよどこまでも、というわけにはいかないのでキュルケは軽い炎を
浴びせてやった。
「落ち着いたかしら。二人とも」
ルイズとギーシュはこっくりとうなずいた。シエスタが急ぎ濡らした布巾を渡す。
結構見た目は悲惨なことになっているがダメージは軽いものであった。
「で、ダーリン、この勝負はどうだった?」
「引き分けだろう」
『そんな馬鹿な!』
「私もそう思うわ。納得しなさい。大体勝ち負けを争うのは二の次でしょ。違う?」
ルイズは口を尖らせ、ギーシュはうつむいた。その通りなのだ。こんな小さなことで
争っているのではない。なんとか胸のむかつきを二人は抑えた。
「にしても、二人ともよくやったわよ。強い強い」
「私はあんなもんじゃないもの。手加減してやったんだもん」
「それを言うなら僕だって。わざわざ羽交い絞めしてやったんだぞ。本当なら
あの時点で勝負はついていたんだ」
「あら、それを言ったら最初の爆発であんたをぶっ飛ばしてもよかったのよ?」
「なんだと?」
「なによ」
「また口論?」
『イイエソンナコトハアリマセン』
二人は息がそろっていた。

555 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 00:51:28 ID:8lypKaVV
これは嫉妬を買う一幕、支援

556 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 00:51:34 ID:Brwg6qCo
支援

557 :見えない使い魔:2007/10/16(火) 00:52:09 ID:qEasUGHB
「でもやっぱり修行するにしても全力を出せないんじゃあちょっと問題ありよね」
「そうだな。互いの命を取らないという約束があれば腕は鈍らなくても上達するには
時間が掛かる。アルビオンでのような戦いができればそれに越したことはないのだが」
ンドゥールの言葉にルイズとキュルケ、ギーシュがないないと手を振った。あんな
ものが何度もあれば修行云々どころの話ではなくなってしまう。
「でも、それに似たようなことならできるわ。ちょっと待ってて」
キュルケはそう言ってその場から離れていった。そして数分後、彼女はどっさりと
紙束を持ってきた。
「なんなのそれ」
「これはね、宝の地図よ」
「……また怪しいものを持ってきたね君は」
ギーシュの言葉は全員の心を代弁していた。そんな宝の地図なんていうものは
九割九分偽物と決まっているのだ。森林で一枚の葉っぱを探し出すようなもの
である。
「そんなもの、大抵亜人の巣の奥に宝石が眠ってるとかそんなのだろ?」
「そうよ。だからいいんじゃない」
ギーシュはキュルケの真意がわからなかった。しかし、ンドゥールは理解した。
「その亜人とやらを退治するのが本当の狙いということか」
「正解。さすがダーリン、話が早いわ。チューしましょいだ!」
「寝言は寝て言いなさい」
キュルケの額をルイズが杖で突いたのだった。先は尖っているので痛みは
ある。キュルケは涙目になりながらも改めて説明した。
「宝探しのついでに亜人と戦って経験を積みましょうってことよ」
「ああ、なるほどね。それなら決闘よりは有効だろう。よし、行こうじゃないか。
亜人退治に」

558 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 00:52:19 ID:f4wUEpvA
支援

559 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 00:53:35 ID:O7jXyFkF
オラァってオイ!いいのかルイズ支援

560 :見えない使い魔:2007/10/16(火) 00:53:51 ID:qEasUGHB
話はとんとん拍子に進み、シエスタもついて行くと言い出しどうせだから
タバサも呼ぼうとなり、大所帯で冒険に出かけることになった。ルイズも
最近は訓練と学業だけの生活だったので気晴らしができることが嬉しく、
ちょっとわくわくしながら荷を纏めていた。だが、その最中に学院長に
呼び出されてしまう。
「何の御用でしょうか?」
学院長室にルイズが入る。中にはオスマンがおり、口にくわえていたパイプを
取って声をかけた。
「よく来たの。先日はご苦労じゃった。疲れは癒せたか?」
「は、はい。もう大丈夫です。それで、」
「ああ、呼び出したのは他でもない。アンリエッタ王女に関してのことじゃ。このたび
公式に発表されることじゃが来月、王女とゲルマニア皇帝の結婚式が執り行われる
ことになった」
喜ばしいこと、とは一概に思えない。ルイズはあの勇敢なウェールズ皇太子を
知っている。姫君は彼を愛していたのだ。その人物が散った矢先に好きでもない男と
結婚など。ルイズの脳裏に愛しいアンリエッタが思い浮かんだ。
少しも笑ってない。苦しくなった。先ほどまでの心の躍動は消えていた。
オスマンは顔を曇らせているルイズを見やり、思い出したように一冊の本を差し出した。
「これは?」
「始祖の祈祷書じゃ」
それは王室に伝わる伝説の書物。なぜそんなものを、とルイズが尋ねるとオスマンは
説明してくれた。
なんでも王族の結婚式では貴族から選ばれし巫女が『始祖の祈祷書』を手に、式の詔を
詠みあげる習わしがあるという。その巫女に、ルイズは姫から指名されたのだ。
「その、詔は」
「おぬしが考えるんじゃ」
「わ、私がですか!?」
「そうじゃ。ま、草案は王宮の連中が考えるじゃろうがの。だが名誉なことじゃぞ。
王女自らが示してくださったのじゃ。普通の貴族では式に立ち会うこともできんのにの」
ルイズはアンリエッタのことを思うと胸が締め付けられた。彼女のためなら嫌だとは
いえなかった。
「わかりました。謹んで拝命いたします」

561 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 00:55:04 ID:7Hkg3AvP
ホットレモネードに牛乳混ぜてどろどろした何かを作りながら支援

562 :見えない使い魔:2007/10/16(火) 00:55:23 ID:qEasUGHB
「そういうわけで、いけなくなったわ」
ルイズはいざ出発しようとしているキュルケたちに向かって言った。事情を説明
すると、彼女らもさすがにそれじゃあ仕方ないかと納得してくれた。肝心の巫女が
行方不明になっていては結婚式の段取りに問題が生じる。
学院でじっとしていなくてはいけないのだ。
「それじゃあ、その、ンドゥールさんはどうされるのですか?」
「そうねえ。私としては来てもらいたいんだけど」
「だ、そうだ。ルイズ、俺はどうしたらいい?」
いきなり問われて、ルイズは困った。別にンドゥールがずっとそばにいる必要は
ない。十分働いてくれたのでここいらで羽を伸ばさせてあげたほういいかも
しれないし、亜人と戦いにいくのに彼女らだけではいささか不安。トライアングルが
二人にドットが一人とはいえ、魔力が切れてしまえば全員ただの人。
そうなったときにンドゥールがいれば守れるかもしれない。
だから、行かせるべきかもしれない。
「ンドゥール、あなたはどうしたいの?」
「そうだな。どちらでもいいが、強いて選ぶとするなら外へいくほうがいい。いまだに
俺はここのことをよく知らないのでな」
その言葉にルイズの胸にぽっかりと穴が開いた。
「そう。なら、行ってきて。ちゃんとキュルケたちを守りなさいよ」
「わかった」
ルイズの心を切ないなにかが走りいく。
あれ、どうしたのかしら、これは。

563 :見えない使い魔:2007/10/16(火) 00:57:18 ID:qEasUGHB
翌日、ルイズは朝日とともに起き上がり、服を着替えて寝癖を直す。そうして
ベッドに座り、チコチコと時計の音を聴いて時間を待つ。だが、いつになっても
使い魔は入ってこない。
これじゃあ朝食に遅れてしまう、と思ったときに気づいた。
「そっか、いないんだ」
ルイズは小さく呟き、マントを羽織って部屋を出た。始祖の祈祷書をもつことも
忘れない。肌身離さず持ち歩かなければならないのだ。とぼとぼと床を見ながら
食堂まで歩いていき、時折彼女はハッとなって後ろに振り向いた。けれども
そこに背の高い男はいない。そのたびに違和感が生まれる。
歯車が噛みあっていないような。
食堂で祈りを捧げ、朝食を取り、今度は教室に歩いていくのだがそのときにも
何度も後ろを振り向いた。だがいない。当たり前のはずなのに、なんだか気分が
悪い。あの音が聞こえないからかもしれない。
ンドゥールの規則正しい、杖の音が。
教室でいつもの席に座り、授業を受けてもまともに集中することができない。
そばにンドゥールがいない、それだけでなにかがおかしい。
「ミス・ヴァリエール、聞いていますか」
「あ、はい。大丈夫です」
「本当ですか? なら――」
そのときの教師はルイズに問題を出した。それを彼女はすらすらと答えた。
授業は聞いていなくともとっくに予習していたのだ。

564 :見えない使い魔:2007/10/16(火) 00:58:28 ID:qEasUGHB
その日の授業が終わり、風呂にも入ってルイズは自室に戻った。ばったりと
ベッドに倒れこみ、ごろごろと回ってから起き上がる。
「ンドゥール」
名前を呼んでも返事はない。この部屋にいるのは自分だけだ。いつも藁束の上で
耳を澄ましている男はいない。元々彼とは話すこともほとんどなかった。静けさも
何もかわらない。ただ、自分の部屋が異様に広く見えていた。
あの男がいない、それだけ。
それだけであるが、ルイズの心には途方もない寂しさが広がっていた。まるで
世界でたった一人しかいないような気分であった。いや、それは真実でもあった。
彼女はゼロのルイズと蔑まれ、いつしか殻に閉じこもるようになっていた。それが、
ンドゥールの出現で変わった。

彼女の生活に入り込んできたあの男は静かに殻を壊し、外の世界へ連れ出して
くれた。そのぶんフーケやワルドといった危険が迫ったが、彼が守ってくれた。
そして、気づかぬうちに孤独からも救ってくれていたのだ。そのことに気づくと、
ルイズはベッドに潜り込み、毛布に包まった。そして名前を呼んだ。
ンドゥール、ンドゥール、と。

565 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 01:00:55 ID:7Hkg3AvP
支援

566 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 01:03:21 ID:t6JUbyil
sien

567 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 01:03:54 ID:7Hkg3AvP
支援

568 :見えない使い魔:2007/10/16(火) 01:04:38 ID:qEasUGHB
モット伯の屋敷が焼け落ちてから数週間が経過したが、大きな動きは
なかった。王宮としても現在はアルビオンへの対処に頭を悩ませなければ
ならないのでそんな一メイジ、それも悪評が立ちまくりなやつなどどうでも
よかったのだ。
領地で働いている平民には事故だと知らされ、もうしばらくすれば複数の
領主がその土地を分割する手はずになっていた。
「運がよかったわね」
「そうですね。お尋ね者になってしまえば僕も困ってました」
マチルダと花京院はトリステインとゲルマニアの国境付近にある街の酒場で
食事をしていた。二人が顔を合わせるのは久しぶりのこと。マチルダが屋敷から
盗み出した宝石などの貴重品を闇市場で金に替えて分配すると、二人組が
どうたらこうたらと手配をされた場合に備えて別々に行動していたのだ。
それも杞憂だった、ということだが。
「さて、無事に再会したのを祝したところで、これからどうする?」
「個人的に、行きたいところがあるんですが」
「どこだい?」
「魔法学院、というところです」
マチルダはあからさまに嫌そうな顔をした。そんなところに行けば水が
襲ってくるからである。仮にンドゥールが興味なかったとしてもオスマン当たりなどの
実力者に発見されれば手痛い目にあうかもしれないのだ。
勘弁願いたいところである。いくら運命に身を任せたといっても急すぎる。
「とりあえず、理由を聞いてくれませんか?」
「ああ。言ってみな」
「この数週間、そこらの書店を見て周り、この世界にやってきた原因を僕なりに
調べていました。それで有力なものが見つかりました」
「なんだい?」
「サモン・サーヴァント、というものです」
マチルダは、そういえばンドゥールもルイズの使い魔であったなと思った。
目の前の男もどこぞのメイジがやったそれの失敗で召喚された可能性は
大いにある。
「僕の考えはどうですか?」
「……ああ。正しいと思うよ。ま、どこの阿呆がやってくれたのかは知らないけどね」
「いえ、あのまま死んでいた僕を助けてくれたのだから感謝してますよ」
笑っていた。
マチルダは自分も昔、使い魔召喚の儀式を一人で行ったことを思い出した。失敗したが。
「でもねえ、あんた、学院に行ってどうするの? まさか図書館に入らせてくださいって
頼んで、やすやすと入らせてもらえると思ってる?」
「駄目でしょうかね」
「そりゃもちろん。だってこの前、盗みが入ったんだもの。注意深くなるに決まってるじゃないか」
「本人が言いますか」
マチルダがかっかと笑った。彼女はすでに花京院に自分の素性を話している。というよりも
『土くれ』のフーケなんですか、と、尋ねられたので肯定しただけだが。手配書のまんまで
あるため気づいて当たり前だった。
「ですが、それでも駄目もとで尋ねてみます」
「仕方ないねえ……」
花京院は放っておいたとしても一人でいくだろう。マチルダとしてもンドゥールにもう一度
顔を合わせて自分の感情を整理させておきたい。そこまで考え、マチルダは最初から
決まってるじゃないと心の中で笑った。
「いいわ。明日にでも行きましょう」
「ありがとうございます」

569 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 01:04:47 ID:Bdf0fbw4
やっと追いついた支援

570 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 01:04:53 ID:O7jXyFkF
読みふけっちゃうな支援

571 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 01:06:05 ID:Brwg6qCo
SIEN

572 :見えない使い魔:2007/10/16(火) 01:06:33 ID:qEasUGHB
二人は馬を駆り、整備されている街道を走っていった。急ぐ旅でもないため
村や街に立ち寄り、時には亜人を退治して金を稼いでもいた。
そして出発してから数日後の夕暮れ、タルブという村に二人は着いた。亜人退治のために
訪れたわけではない。単に休息のために立ち寄っただけである。なんでも、変わった料理が
あるらしいので、ものはついでと食いたくなったのだ。
マチルダが。
「いやしんぼッ! このいやしんぼめッ!」
「お黙り! 別にいいじゃないのさ。そう急ぐもんじゃないだろ」
「まあそうですけどね。それに、景色もいいですし」
二人の視線の先には草原が広がっている。ところどころ朱に染まった花が咲き乱れ、
風が吹くと草が波打っていた。
花京院がその光景を眺めながら笑みを浮かべ、語りはじめる。
「この世界に来る直前も旅をしていたんですが、過酷なところばかりでした。海中、砂漠、飛行機は落ちるし……」
「ひこうき?」
「空を飛ぶもんです。ここにはありません」
竜かなにかかしら、と、マチルダは思った。
花京院はかすかな笑みを浮かべてこう付け加える。
「それでも楽しかったものです」
「なんだか羨ましいね。ほら、さっさと宿を探すよ」
マチルダは草原から離れ、村に入っていった。花京院もあとに続く。
タルブの村はこれまで何度も訪れた農村と同じものだった。果樹園があり、畑があった。
手入れを欠かしたことがないのだろう。いまにも収穫できそうに膨らんだ果実があった。
小さな喜びを積み重ねている村の歴史が想起できた。花京院が仕事帰りの人間に声を
かける。
「すいません。どこか泊まれるようなとこはないですか?」
「ん、なんだ、あんたら旅人か? それなら村長のところにいけばいいぜ」
「ありがとうございます」
二人は礼をした。
村長に話をすると、快く招いてくれた。商人をいつも泊めているらしく、離れの客室は
立派なものだった。しかし、マチルダは一つだけ不満があった。
「なんで布団が一つなんだい」
「まあ男と女の二人旅ですからね。そう勘違いされるのも仕方ないでしょう」
「あんたと恋仲になったつもりはないんだけどね。飯時にでも言うか。で、
これからどうする? 寺院でも見に行くかい?」
寺院というのは本来、始祖ブリミルを祭るものであるがこの村ではちっと違うとのことだ。
いや、ブリミルを崇めることには変わりないが、大昔にふらっとやってきてそのまま
居ついた人物が妙な寺院を建て、『竜の羽衣』と呼ばれる御神体を飾っているとのことだ。
興味は引かれる。
花京院は外を見た。夕日がまた落ちていない。
「そうですね。行ってみます。マチルダさんはどうします?」
「あたしも行くさ。ノリアキ」
村長にすぐ戻ると言いつけ、外れの寺院に向かった。

573 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 01:07:18 ID:7Hkg3AvP
支援

574 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 01:07:27 ID:Bdf0fbw4
タルブの村だと?! 支援

575 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 01:08:22 ID:O7jXyFkF
先が読めん期待しちまう支援

576 :見えない使い魔:2007/10/16(火) 01:08:32 ID:qEasUGHB
その寺院は村長の言葉通り、妙な形をしていた。丸木で組み立てられた門に
石ではなく板と漆喰で作られた壁、木の柱、白い紙と綱で作られた紐飾り。
一般的なものとは大きく変わっている。
「確かに珍しいねえ。どういう流れでこんな形を取ってるんだろうね」
ブリミルを祭るとはいえ、始祖が降り立ってから数千年が経過しているため地方や
国ごとに形は変わっている。とりわけここ最近のものは新教徒などというものが
出てきたため古い寺院と形が大きく変わっているところがあった。
しかし、この目の前のものをマチルダは見たことがない。可能性があるとしたら東方かと、
彼女が頭を悩ませていると隣の花京院が地面に崩れ落ちた。
「急にどうしたんだい」
「……あまりに驚いて、その、腰が抜けました。すいません」
マチルダの手を借り、花京院が立ち上がる。彼は額に大粒の汗をかいていた。
「戻って休むかい?」
「いや、それには及びません。中の御神体を見てみましょう」
「わかったよ」
花京院は別に体調が悪くなったようではなかった。マチルダは気に掛けながらも
寺院に近づいていった。
ところが、彼女はある奇妙なことに気づく。門がゆれているのだ。それも風に。
脳裏にある男の影が過ぎった。
すぐさま杖を引き抜く。精神を戦闘のできる状態にまで引き上げる。
「ノリアキ、スタンドで中を探って」
マチルダの強い声に、花京院はすぐさま『法王の緑』を出現させる。
しゅるしゅると身体をひも状にして中へ伸ばしていく。
「誰かいる?」
「いえ。ですが痕跡があります。ついさっきまで誰かがここにいました」
「そう。ノリアキ、スタンドを戻して」
マチルダは周囲を見やる。誰もいない。気のせいだったかと思いかけたとき、
視界の隅に見覚えのある帽子を被った男がいた。そいつは草原の近くにある
森の中に隠れるように走っていった。
なぜあいつがここにいる。マチルダは、背筋に冷たいものを感じ、即座に走り出していた。
「ついてくるんじゃないよ!」

577 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 01:09:33 ID:Ep3vtoZR
こういう展開になるのかよ?!支援

578 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 01:10:33 ID:Uvd6I2Nq
読み入ってしまう
支援

579 :見えない使い魔:2007/10/16(火) 01:10:50 ID:qEasUGHB
マチルダが森の中に入り、歩き回るうちに日は完全に落ちてしまっていた。それでも
彼女が見た人影は見つかっていない。見間違い、だったとは思えない。寺院の中から
吹いた風、あれは間違いなくあの男のものだったのだ。
しかし、どうやら完全に見失ってしまったようであった。彼女はひとまずタルブに戻るべきか
と踵を返した。その目前に、男はいた。
「久しぶりだな。マチルダ」
「やっぱりあんただったんだね。ワルド」
男、ワルドは木の幹に背を預けている。右手に影に溶け込む黒の手袋をしていた。
あれはおそらく義手だ、と、マチルダは当たりをつけた。
彼女は杖先を向け、全身にじわりと殺意の熱を伝導させる。
体と心を構えた。
「いまさらこの国に何の用だい」
「下見だ。近々侵攻作戦が行われるのでな」
「へえ。ま、あたしは全然興味ないけどね。勝手にやってたらいいさ。でも、
わざわざ顔を出したってことはそれだけじゃないんだろ?」
「話が早くて助かる」
ワルドは杖を抜いた。
「マチルダ。レコン・キスタに来い。我らには優秀なメイジが必要だ」
「いやだね。貴族やらなんやらは懲り懲りだよ」
「そうか」
風が襲い来る。強風ではなく暴風、木をへし折りマチルダを軽々空に舞わした。彼女は
それでも慌てない。宙を舞いながらしっかりとワルドを見つめ、魔法を唱えた。
ワルドのそばにゴーレムが生まれ、土の拳で殴りかかった。それは顔面に命中、したが、
彼は霞になった。風の遍在。
マチルダは地面に着地し、身体を思い切り捻った。
肩に痛みが走る。血が飛ぶ。歯を食いしばり蹴りを見舞う。
「――さすがだなマチルダ」
「それはどーも。あんたのせこさに敵いはしないけどね」
マチルダは肩を押さえる。即座に反転したおかげで傷は浅い。
彼女の目の前には脇腹を押さえているワルドがいる。最初から背後に隠れ、
遍在で攻撃させたのだ。だがマチルダも経験は豊富。相手の能力がわかって
いればどういう作戦を立ててくるかも想像がつくもの。本物が顔を見せるとは
砂粒ほども思っていなかった。
「やはりお前の力は欲しい。魔力だけではなくその判断力。レコン・キスタに入れ。
お前ほどのものであればそれなりの地位に着ける」
「いやだっつってんでしょ」
「お前の意見は聞いていない」

580 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 01:11:43 ID:7Hkg3AvP
俺、この投下が終わったら見えない使い魔を最初から全部読むんだ……
支援

581 :見えない使い魔:2007/10/16(火) 01:12:57 ID:qEasUGHB
杖が唸りを上げて迫った。マチルダはそれを避けながら詠唱を始める。
だが、ワルドもそれは同じ。
『エア・カッター』
『ゴーレム』
ワルドの魔法をゴーレムで防ぐ。錬金が甘かったため簡単に真っ二つになったが
その隙にマチルダはナイフを投げた。
「ちい!」
外したマチルダ、かろうじて避けたワルドが発する。
「姑息だな」
「そうさ。あんたみたいにね」
「そう言われれば、もっと卑怯な手を使うことにしよう」
マチルダを暴風が襲う。砂が巻き上げられ、地に踏ん張ることもできなくなり空を飛ぶ。
フライで体勢を変え地上に降り立とうとするが、彼女の視界に杖を差し向ける四人の
ワルドが見えた。
「マッズイわね、こりゃ」
風が幾重にも重なりマチルダに襲い掛かる。無数の刃に切り裂かれ、細かい傷が
つけられる。愛用のコートもずたボロだ。どうにかレビテーションで着地をするも、
畳み込むように魔法が向かってきた。殴られ切られ、弱い電撃を浴びせられる。杖は
離していないが詠唱する暇がない。このままでは、なぶり殺しにされてしまう。
ちくしょう――
「ぬおあ!」
急にワルドの悲鳴がした。魔法も止む。
マチルダは痛む身体を起こした。見ると、ワルドの遍在が一体消し飛んでいた。そして
彼らが睨むその方向には、深緑の男が立っていた。この短い旅で親交を深めた、
花京院。
「やはり、きたか」
ワルドが呟く。
花京院は黒眼鏡を外し、懐に収める。
「まるで予測がついてたようですね」
「そうさ。だから、お前の相手も用意している」

582 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 01:13:00 ID:Bdf0fbw4
マチルダ頑張れ、支援

583 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 01:14:22 ID:7Hkg3AvP
支援

584 :見えない使い魔:2007/10/16(火) 01:15:11 ID:qEasUGHB
地より水が突き上げた。
「これは……」
それは花京院へ向かう。蛇のような不規則な動きで襲い掛かる。しかし、
マチルダの知るものよりはるかに速度が遅い。花京院も『法皇の緑』で宝石を
打ち出し水を散らした。
「遅いぞ」
「すいませんね。いや、ちょっと準備に手間取りまして」
そう言って、もう一人姿を現した。顔の半分が火傷に覆われている。マチルダと花京院にも
見覚えがあった。先日仕置きをしてやった水のメイジである。
名前は、モット。
「なんであいつが生きているんだい」
「ああ、彼は予備の杖を地下に隠しておいたのだよ。それでも、あの火災で気を失っていたようだがね」
詰めが甘かった。マチルダは悔いるが、遅い。
「よくもまあ、あっさり仲間になったもんだね。女を渡してやるとかいったのかい?」
「ああ。性格は誰よりも醜いが、力だけはある。モット殿、そっちの男は任せましたぞ」
「おお!」

585 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 01:17:27 ID:7Hkg3AvP
支援

586 :見えない使い魔:2007/10/16(火) 01:17:33 ID:qEasUGHB
モット、すでにレコン・キスタに魂を売った男は花京院を森の奥に引き寄せた。彼にとって
予想外だったのは水を使った攻撃をいとも簡単に打ち払われること、それだけだ。
作戦はすでに進行している。
人がいい、その弱点を突く。
「エメラルド・スプラッシュ!」
緑の像から宝石が打ち出される。モットは俊敏さが皆無のため氷を盾にしてそれを
防ごうとする。しかし、なにぶん数が多いため二つほど身体に当たってしまった。
しかし彼も水のトライアングル、すぐさま治癒は完了する。
と、続けざまに宝石が飛んできた。魔法使いではない。詠唱を必要としないのだから
厄介な相手である。まともにやりあえば力押しされて今度こそ殺されるか再起不能に
されてしまう。だが、モットはただの悪党ではない。腐った悪党であった。モットは
物陰に隠していたものを引っ張り出した。
「貴様……」
花京院が攻撃を止めて怒りをもらす。モットの腕の中に、裸の女がいた。
その人物はモットの毒牙にかからずにすんだものだった。
「わかってるだろうなあ。お前が動いたら、この女を見るも無残な姿に変えてやる」
「人質とは、随分汚い手を使う」
「なんとでもいえ。俺を舐めてくれた代償だ。お前たちはぜっっったいに、許さん!
出て来い!」
モットの声に応じ、木の陰から武器を持ったものが何人も出てきた。着ている服から
傭兵などではなく農民だというのがわかる。しかし、タルブの村のものではなかった。
彼らの中に、姉を救ってくれと懇願してきた少年がいた。彼は顔面に大きな痣がついている。
「……ごめん、にいちゃん。俺は、」
少年の瞳には涙が溜まっていた。恩人に刃を向ける、そのことがどれほど辛いことか。
そして、己に逆らってきたものたちが苦しむさま、それらがどれほどモットに心地よいものか。
「いいか! さっきの使い魔を出すんじゃないぞ! 出したら即刻この女を殺してやるからな!」
花京院はおとなしくスタンドを消した。
「やれ!」

587 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 01:19:24 ID:Bdf0fbw4
こんなところにゲスモット伯が! ゲロ以下の臭いがするぜ! 支援

588 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 01:19:44 ID:Uvd6I2Nq
なんというゲス支援

589 :見えない使い魔:2007/10/16(火) 01:19:53 ID:qEasUGHB
少年とその親であろう者たちは襲い掛かった。慣れていない武器を
ふるって花京院を殺そうとした。しかし鍬やカマとは使い勝手が全然
違ううえ心が拒否をしている。この男を、恩人を殺したくないと。
標的の身のこなしもあって、いつまでたってもこの戦いは終わりそうに
なかった。だが、モットはここで一つのゲームを提案する。
懐から短い蝋燭を取り出した。
「いいか。これにいま火を点ける。この蝋燭が溶けきって、それでもまだ
毛ほどの傷も男になかったら、この女の胸をえぐる」
「人間、ではないな。罪悪感はないのか」
「ざいあくかんんん〜? 虫けらどもにそんなものが湧くか! お前たちは
ただ俺を楽しませればいいのだ!」
甲高い、醜い笑いがこだまする。
「さあ、スタートだ!」
火をつけられて女の家族はもう心の枷を外した。一心不乱で花京院に襲い掛かる。
何よりも大事なのだ。かけがえのないものなのだ。そのためには罪をも犯す。
涙を流し、喚き、剣を振るった。しかし、花京院にはそれでも当たらなかった。
かすりもしなかった。
「おいおい、当たってあげたらどうなんだ?」
「断る。貴様の思い通りにはならない」
「聞いたか? お前たちの姉がどうなってもいいんだとよ。ほら、早く殺してしまえ」
モットはそういうが、花京院は軽々と避けていく。少年たちは何度も当たってくれと
泣き叫んだ。
やがて時間が進み、ろうが溶けきろうとしていた。そのときになって、ようやく花京院は
己の足を止めた。
「観念したようだぞ! はやくやれ!」
女の家族たちは武器を握り締め、彼を囲んだ。にげようとしなくなったので
心の火が急速に勢いを弱めたようだった。
「ほらほら時間がないぞ。早くしないか」
憎い男の声がした。できることならあの人物を切り刻みたい。みなそう思っていた。
しかし、できない。無力であるから、力がないから言われたとおりにするしかない。
じりじりと、女の弟である少年が花京院に近寄っていった。ナイフの切っ先を向ける。
「――ごめん」

590 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 01:20:10 ID:7Hkg3AvP
支援

591 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 01:20:51 ID:f4wUEpvA
ポコか!支援

592 :見えない使い魔:2007/10/16(火) 01:22:11 ID:qEasUGHB
少年のナイフは当たるどころかかすりもしなかった。花京院は
すっと彼を避けて歩みだした。拍子抜けしたモットだったが、すぐに
水を花京院の目の前に突き出した。
「なんのつもりだ? この女がどうなってもいいのか?」
「いや、よくない」
「なら後ろに下がれ。下がって狩られろ!」
「それはやめておく。痛いのは嫌だ」
「ふざけてるのか!」
「ふざけてない。僕は、たんに貴様の思い通りになるのが嫌なのだ。貴様みたいな
小物に従わせられることが。誇りがあるからな」
「誇りだあ? お前みたいな平民がなにを言っているのか。そんなものを口にして
いいのは貴族だけだ。俺のような、魔法を使えるメイジだけだ!」
花京院は笑った。
「なにがおかしい」
「おかしいさ。こんなことをしておいて、まだ自分に誇りなんてものがあると
思い込んでいるんだからな」
馬鹿にした笑いだった。見下された笑いだった。
それはモットの怒りに薪を注ぎ足す行為だった。
「もう……もういい。お前たちは、泣け。泣き喚け。絶望に身をよじろおおおお!」
花京院の眼前にあった水がモットに飛び掛った。それは女を、身動きのできぬ女を
狙ったものだった。
刃はやすやすと肉を突き刺した。

593 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 01:22:20 ID:MPB7FoPH
かれこれ2時間近く・・・支援

594 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 01:22:58 ID:7Hkg3AvP
支援

595 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 01:24:28 ID:7Hkg3AvP
支援

596 :見えない使い魔:2007/10/16(火) 01:24:49 ID:qEasUGHB
「なあ、なあああああ、なんんでえええ水が俺を刺したんだよおおおおおおおお!」
モットの手から杖が落ち、彼の身体を突き刺していた水は形を成さずに
地面に流れた。押さえが外れたためその上に血が流れ落ちる。
人質になっていた女は、モット自身が直前に放したので無事だった。花京院は彼女を
抱えて少年たちに向かって歩いていった。
そして大柄な体格をしたもの、恐らく父親に渡した。
「さて、おまえをどうするかだが、どうなりたい。モット」
「ひ、ひぎいい、痛いんだ。痛いんだよおお。な、治してくれええ。杖を取ってくれる
だけでもいいからよおおおお」
「そうか助かりたいか」
花京院はモットのところに戻った。
「何も知らないままではかわいそうだ。せめてもの情け、どうして水がお前を突き刺したか、
それぐらいは教えてやる。僕のスタンド、法王の緑は紐状になることができる。そして人の
身体の中に侵入して操ることができる。僕はお前の意識だけを残し、身体を操った。
さて、それで、これからどうすると思う?」
「た、助けて、助けてくださいいいい。いのち、命だけは、命だけはああ……」
「お前はいままでそう懇願してきたものを助けてきたか?」
いいや、痛めつけて悲鳴を奏でさせた。
「や、やめて、やめて、やめてくれえええ」
「だめだね」
花京院はモットに背を向けた。
「絶望に身をよじり、死ね」
言葉が終わると、モットの中で何かが切れた。彼の人生はここで終結した。

597 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 01:25:22 ID:Bdf0fbw4
読み返しつつ、支援

598 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 01:27:15 ID:7Hkg3AvP
支援


599 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 01:30:00 ID:7Hkg3AvP
支援

600 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 01:32:27 ID:7Hkg3AvP
支援

601 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 01:32:38 ID:MallTqmp
畑に捨てられカビが生えてハエもたからねーカボチャみたいに腐りきったモット支援

602 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 01:33:05 ID:O7jXyFkF
やった!支援

603 :見えない使い魔:2007/10/16(火) 01:35:37 ID:qEasUGHB
花京院のもとに少年がやってきた。痣だらけの顔には、またしても涙が
流れていた。だけど言葉は、生まれてこなかった。謝罪をするべきだ。
礼を言うべきだ。
でも、彼の口からは何も出てこなかった。
「俺、俺……」
花京院は布を当てる。
「その顔、君はあの男に殴られたものだろう?」
縦にうなずいた。片目がつぶれていて腕や足にも傷がついている。
「よくやった。敵わなかったが、それでも君は、この『世界』と戦ったんだ。
誇りに思えばいい。貴族でもないし、魔法も使えないけれども、君は立派だよ」
「……」
「それじゃあね。僕はあの人のところにいかないといけない。今回は駄目だったかも
しれないけど、生き残ったんだ。次こそ、いつか危ない目にまたあったとき、
守ってやればいい。がんばれ」
「……がんばる」
ぽんぽんと少年の頭を叩き、二人は別れた。

604 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 01:37:33 ID:f4wUEpvA
支援

605 :見えない使い魔:2007/10/16(火) 01:37:58 ID:qEasUGHB
ワルドは改めて杖を構える。花京院とモットは少し離れたところで戦いを始めていた。
「さて、お前の頼みの綱は切れたぞ。フーケよ、まだ下らんか」
「当たり前じゃないか!」
マチルダは地面の土を蹴り上げた。それは魔法で鋭利な刃と化しワルドを襲った。
不意を突いたおかげでいくつか掠めるが軽傷だ。
勢いと重量が足らない。
「どこまで刃向かうつもりだ?」
「そうさね。どこまでもか、ね」
風の拳に殴られる。胃液を吐く。血が出ないことから内臓は大丈夫のはずだ。
打撲ぐらいにはなってたりするかもしれなかったが。
ワルドが近寄り、マチルダを見下ろした。感情のこもっていない瞳。
「お前は、なぜ頑なに拒否をするのだ」
「わからないのかい?」
マチルダは立ち上がる。ふう、ふう、と、荒い呼吸を繰り返す。全身から血が流れ、
顔も土に塗れている。圧倒的な敗北、それを前にしている。それでもなお、彼女は
以前戦った少年のように強く気高い視線を向けた。
「あんたってさあ、一つのためになりふりかまわず、どんなことでもするでしょう。
どんな汚いことでも、ね」
「ああ。もちろん」
マチルダは笑う。
「だからさ。こんな盗人で、どうしようもないあたしだけど、大切なもんがあるんだよ。
もし、あんたたちに与して、そういうことをして、そこそこの地位を得て、金を得たところで、
その大切なもんはきっとあたしから遠ざかっていくんだよ。だから、あんたの仲間に
なっちゃいけないのさ。だから、あんたたちに――」
マチルダは後ろに下がった。
「負けやしないんだよ!」
杖を振り魔法を使う。その呼びかけに応じ、彼女の足元から大型のゴーレムが生まれ出てきた。
「ふん。くだらん感傷だ。マチルダ、お前には失望した」
「結構だね! やっておしまい!」

606 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 01:38:43 ID:80ptMekz
支援

607 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 01:39:57 ID:WSEb+pmL
マチルダさーーーーん

608 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 01:39:58 ID:Bdf0fbw4
マチルダ格好良い! 支援

609 :見えない使い魔:2007/10/16(火) 01:40:23 ID:qEasUGHB
命令を受け、ゴーレムは腕を振るった。木々をなぎ倒しワルドを狙う。だが
その質量のため動きは遅い。ワルドも風の扱いは一流、蝶のように避け
魔法を放つ。それは直撃しないもののマチルダに新たな傷を作っていく。
さらにワルドの遍在も四体に戻り、彼女をペンタゴンのように囲んでしまう。
逃げ場所は、ない。
「まずはその煩わしいゴーレムからだ!」
五人のワルドが同時に魔法を放った。五つの風がゴーレムに食らいかかり
巨体を揺らす。破壊力を逸らすこともできず、ゴーレムは粉みじんに砕け
散る。土が地面へ降り注いだ。
ワルドはここで気づいた。マチルダがいない。彼女はゴーレムの破壊に
乗じてその身を隠したようである。
逃げた、わけではない。土を被り息を殺しているのだろう。ワルドの顔に笑みが
浮かんだ。心底滑稽だといわんばかりの。
彼は魔法を使った。風が周囲の土を巻き上げていく。マチルダごと巻き上げて
しまいそうな暴風だった、が、彼女は地面に蟻のように張り付いていた。
「無様だな。マチルダよ」
そう言ってワルドは歩み寄る。マチルダはうつぶせになって睨み上げていた。
その瞳にまだ諦めはない。用心をする。
「なにか、まだあるのか?」
ワルドがすぐそばに近寄り、見下ろした。瞬間、マチルダは身体を捻りワルドの
身体を剣で切り上げた。錬金で作り上げた剣を地面に埋もれさせていたのだ。
しかし、
「惜しいな。それも遍在だ」
そう言い、ワルドはマチルダの腕を剣杖で貫いた。
「ああ、あああああ!」
「ふむ、妙齢の女の悲鳴か。モットが喜びそうだが、俺にとってはただうるさいだけだ」
マチルダの腹を踏んだ。彼女は息がつまり、悲鳴も止んだ。
ワルドは杖を引き抜いた。
「さて、最期の勧誘だ。レコン・キスタに入れ」

610 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 01:44:09 ID:Bdf0fbw4
支援だ!

611 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 01:44:29 ID:t6JUbyil
支援

612 :見えない使い魔:2007/10/16(火) 01:45:45 ID:qEasUGHB
勝敗は決した。兎が虎に勝てぬように、トライアングルはスクウェアには
何があろうと勝てはしないのだ。
ワルドはそう思っていた。
マチルダは見上げた。
「あんた、あんたが――………」
「聞こえん。大きな声で言え」
マチルダはつばを飲んだ。
「………あんたが、やったんだ」
「はあ?」
「不思議に、思わないかい?」
「なにをいっている……」
ワルドは気づいた。この最期のときにおいて、マチルダの瞳に絶望というものがない
ということを。
マチルダは続けた。
「あんたが巻き上げた土。あれは、どこに――」
ワルドは聞けなかった。己の絶叫と、痛みで。
彼の肩に一本の剣が突き刺さっていた。杖が落ちる。
「――な、なんだこれは!」
続けて遍在にも剣が突き刺さり、消えていった。ワルドは上空を睨んだ。空には、
信じがたい光景が広がっていた。
剣、ナイフ、それが宙に浮いていた。種類はそれだけだ。だがその数は、
空を覆わんばかり。
それほどの無数の刃が彼らに向けて落ちてきていた。
「は、はは、さしずめ『ソード・レイン』っていったところかね」
ワルドはこの土がどこから出てきたのか、すぐに勘付いた。
「貴様、俺が巻き上げた土に錬金を――」
「正解。あたしの風だけじゃ心もとなかったからね。あんたのを利用させてもらった、よ!」
懐のナイフでワルドの足を刺した。
「逃がしはしない。この雨を、受けきりな!」
「よせ! 剣を変えろ! お前も死ぬぞ!」
「それもいいんじゃないかい?」
「そんな! そんな馬鹿な! この俺が、こんなところで――」
ワルドの声が途絶えた。喉を貫かれたからだ。さらに続けて全身を刃が貫く。
剣と血の雨が降った。

613 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 01:46:08 ID:MallTqmp
無敵のハイエロファント・グリーンでなんとかしてくださいヨォ〜、花京院さんッ! 支援!

614 :見えない使い魔:2007/10/16(火) 01:47:10 ID:qEasUGHB
マチルダはワルドを蹴っ飛ばした。
彼女の身体には無数の傷がつけられていたが、大きなものは一つもなかった。
自身が作り上げた剣やナイフは当たりはしたが、深くはならなかったのだ。これは
運がよかったというのではなく、盾を使ったからだ。
ワルドという肉の盾を。
もはや物言わぬ死体を見下ろし、マチルダは呟いた。
「こういうとき、なんていうのかね」
「正義は勝つ、でいいのでは?」
その声に振り向くと、花京院が立っていた。満身創痍のマチルダと対照的に
無傷である。完勝したようであった。
「そっちはどうだったい?」
「少々疲れました」
「あたしはもう動けないぐらいだよ」
花京院が手を差し出した。マチルダはちょっと考えたものの、土と血で汚れたままの腕を
差し出した。そのとき、花京院は予想外の行動に出た。
「ちょちょ、ちょっと!」
「どうしました?」
「どうしましたじゃないよ! なんでかかえる必要があるのさ!」
その通り、花京院はマチルダを立たせたのではなく俗に言うお姫様抱っこをしたのだ。
二十を過ぎてこんなことをされては彼女も恥ずかしい。だが、いくら叫んでも彼は彼女を
降ろそうとはしない。
「動けないっていったのはあなたじゃないですか」
「それはそうだけど、あたしゃいい年だよ。ちょっとキツイ……」
「我慢してください」
やがてマチルダも体力がないので暴れることをやめ、花京院に身を預けることにした。
しかし、最期に一つ。
「あたしなりの敬意だよ」
魔法を使い、ワルドの体を土に埋めた。墓標はない。
「ああ、もうこれでスッカラカンだ。とりあえず眠るから、説明は頼むわ」
「わかりました」
マチルダは花京院の首に顔をうずめ、静かに眠りについた。

615 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 01:48:34 ID:Bdf0fbw4
凄い展開だ支援

616 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 01:48:47 ID:7Hkg3AvP
おいカキョーインちょっと代われ支援

617 :見えない使い魔:2007/10/16(火) 01:49:04 ID:qEasUGHB
まだまだあるけど、本人が眠くなってきちゃいました。
そんなわけで今回の投下はこれで終わりです。正直やりすぎたと思ってます。

618 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 01:49:15 ID:MallTqmp
ああ、お姫様だっこして欲しいのだぁーーーッ! 支援

619 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 01:51:03 ID:WSEb+pmL
お疲れ様〜

620 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 01:51:11 ID:y2GyoJSU
GJ!!マチルダさんかわえええ」

621 :見えない使い魔:2007/10/16(火) 01:51:12 ID:qEasUGHB
支援ありがとうございました。
中の人は十代も好きだけど二十代とか三十代のほうが好みなんでマチルダさんの扱いがいいんです。
おやすみなさい

622 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 01:51:46 ID:Uvd6I2Nq
乙。そしてGJ

623 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 01:53:18 ID:Bdf0fbw4
>>617
ナニィーーーーーーーッ?!
まだあったなんて、見えない使い魔……恐ろしい子……

それはおいといて最高にGJです!
ルイズたちやンドゥールもよかったけれど、花京院とマチルダのコンビもイイネ!
展開に物凄く感動しました

624 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 01:55:12 ID:oZMPgmMt
GJ! 凄まじいまでのボリュームに圧倒!
終わったら投下しようかなーって思ってたんですけど、
構いませんかね?

625 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 01:57:02 ID:3OY+4YVJ
見えないの作者さんGJ&乙でした

626 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 01:57:24 ID:t6JUbyil
投下乙。 ひさびさの投下がここまでの長編とは…

627 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 01:58:55 ID:/hTpBzDy
見えない人GJ。そしてまだまだ見えない量を残してあるとは……この作者にはスゴ味が有るッ!
そして>>624氏を前哨支援だ、恐らく俺の予想では……。

628 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 01:59:22 ID:Ep3vtoZR
乙でしたー
次の人も支援したいが、限界だッ 寝るッ

629 :ゼロいぬっ!:2007/10/16(火) 02:02:30 ID:oZMPgmMt

「本当はこんな危険な任務などさせたくない。
でも私には貴方以外に頼れる人間がいないのです」
頼れるというのは実力としてではない。
信頼できるかどうか、つまりは密命の類だとルイズは理解した。
『ゼロ』であるが為、あまりに人に頼られる事も無かったルイズにとって、
親友、それも姫様が頼りにしていると言われればその気になるのも当然。
たとえ命の危険があろうとも躊躇する者は貴族ではない。
誇りの後押しを受けて彼女は自信満々でその依頼を引き受けるつもりでいた。
だが彼は鼻を鳴らす。
危険な場所に自ら踏み込む事はない。
親友の頼みといっても相手は姫様、他にも頼れる人間はいるだろう。
例えば……。
「ダメです」
突如としてアニエスがキッパリと反対を表明する。
いきなり話の腰を折られた形になったアンリエッタがむくれるが、
子供のワガママと取り合う気は毛頭無いようだ。
「私は枢機卿から姫様の動向の監視を仰せつかりました。
故に、姫様であろうとも私の意見に耳を貸して頂きます」
『意見に従わせる』の間違いじゃねえのか?とデルフは考える。
(まあ、嬢ちゃんが国を治めるなんざ無理だと思ってたが、やっぱりただのお飾りか)
ちらりと彼女達を見回すアニエスの視線。
まずはミス・ヴァリエール。メイジではあるが場数を踏んでいるようには見えない。
どうみても甘やかされて育った貴族のお嬢様だ。
仮にトライアングルクラスの実力があったとしても問題なく制圧できる。
次に、使い魔である犬。使い魔の中にはグリフォンや竜など強力な物もいる。
が、これを戦力として数えるのは無理があるだろう。
最後に良く喋るインテリジェンスソード。
ところで、これは誰の持ち物なのか?
よく見ると犬のソリに取り付けられているが犬が剣を振れる訳もない。
ミス・ヴァリエールの細腕ではあの大剣は扱い切れまい。
よって、これも戦力外。
見れば見るほど任務とか密命とは程遠いメンバーだ。
友人としてはともかく、戦力としては全く頼りにならない。
それを把握した上でアニエスは姫殿下に諫言する。
「学生如きに密命を与えるなど無謀にも程があります。
友人をみすみす死地に追いやるようなものです」
「しかし他に誰がいると言うのですか?」
「ならば私が同行します。それならば構いませんでしょう?」
本当なら一人の方が望ましいのだが、それでは姫様が納得しない。
ならば例え足手まといと分かっていても彼女を連れて行くしかない。
「……でも」
しかしアンリエッタは困惑を隠せない。
彼女の王宮に対する不信は根強い。
ましてや彼女の嫌うマザリーニの監視役だ。
こちらでも護衛を手配をしようとしているのだから必要ない。
そう断ろうとした時、アニエスは己の懐に手を伸ばした。
次の瞬間、彼女が取り出したのは拳銃だった。

630 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 02:04:06 ID:MallTqmp
花京院の野郎…たった一話で登場早々フーケとフラグを立てやがった…!
この無駄のないフラグの立て方……間違いないぜ。奴はエロゲをやりつくしている。
日本の若者なら「もうあきたよ」と言うものばかり制覇し、フーケの乙女心を掌握したに違いないぜッ!
何を言っているのかわからねえと思うが、お姫様抱っこした嫉妬だとか花京院ちょっと俺と代われとか
そんなチャチな考えじゃ断じてねえ!
もっと深刻な俺の嫁をさらわれた気分を味わったぜ……GJ

631 :ゼロいぬっ!:2007/10/16(火) 02:04:14 ID:oZMPgmMt
「!!?」
部屋にいた全員が凍りつく。
突如として起こった事態に誰も反応できなかった。
彼女は銃を手の内で反転させると目の前に差し出した。
銃口はアニエスに向けたまま、引き金をルイズへと向ける。
「私の銃を貴殿に預ける。
もし私が不審な行動を取っていると判断したなら、その時は容赦なく引き金を引け」
ルイズへと手渡される拳銃。
ずしりと腕全体に掛かる重みがどことなくアニエスの覚悟を感じさせた。
そしてルイズに背を向けると今度はアンリエッタと向かい合う。
彼女はアニエスの見せた覚悟に安心よりも恐怖を覚えた。
もしかしたら殺されるかもしれないというのにアニエスは平然としている。
これから臨む任務とは命懸け、だからその程度の覚悟は当然なのだが、
世間と隔離された彼女はその事を本当に理解していなかったのだ。
「これでご満足ですか姫様?」
「あ…あの…私は…」
まるでアニエスに責められているような気がして彼女は狼狽する。
あれだけの覚悟を見せられた今、もはや反対する事など出来る筈が無い。
会話が途絶えた二人の間に緊張感が漂う。
いつまでも続くかのような沈黙、それを打ち破ったのは一発の甲高い銃声だった。

「姫様!!」
「きゃっ…!?」
咄嗟にアンリエッタを押し倒して伏せさせる。
今のは狙撃か!? しかし、ここにいる事を知っているのは王宮でもごく一部。
内部、それも深い所に内通者がいる…!
伏せたままアニエスが室内に視界を巡らせる。
扉には弾痕なし、それに窓も割れていない。
どこから撃ってきたのか思案する彼女の目に飛び込んで来たものは。
「わっ、びっくりしたぁ」
「あーあ、俺知らねえっと」
白煙を吐く銃口を上に向けたルイズの姿だった。
その光景に思考が停止し固まりかけたアニエス。
だが、それも一瞬の事。
すぐさま湧き上がる激情が彼女を突き動かす。
つかつかとルイズの前まで歩むと手にあった銃を取り上げる。
「何をしているか! 何を!」
「だ…だって、銃の扱い方なんて知らないもの」
いきなり発砲してしまった事に戸惑ってはいたが、
フンと鼻を鳴らしルイズはあくまで自分は悪くないという態度を崩さない。
その態度にアニエスの頭からブチブチと何かが断線していく音が響く。
公爵家のご令嬢と男勝りの女剣士、これ以上相性の悪い物があるだろうか。
「なら弄るな! 撃鉄を下ろすな! 引き金に指を掛けるな!」
「何よ! 大体あんたがこんな物騒な物預けたのが悪いんじゃない!」
二人の間で飛び散る火花。
それを見ておろおろとうろたえるアンリエッタと、
完全に観戦モードに入った彼とデルフリンガー。
女同士の争いに首を突っ込む危険性を彼らは熟知していたのだ。
「ったく…今度からは気をつけろ。懐にでもしまっておくんだな」
「はいはい、言われた通りにすればいいんでしょう」
更に悪態を付くルイズにアニエスの拳がプルプルと震える。
もし、ルイズが公爵令嬢ではなく彼女の部下だったら、
『おはようからおやすみまでランニング』か『城下町・下水道一人大掃除』の刑である。
勿論、彼女の手で直に二、三発焼きを入れた後の話だ。

632 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 02:04:45 ID:/hTpBzDy
支援ッ!

633 :ゼロいぬっ!:2007/10/16(火) 02:05:52 ID:oZMPgmMt
なんとかケンカは避けられたとアンリエッタが胸を撫で下ろした瞬間。
突如、扉が大きな音を立てて開け放たれた。
全員の視線が入ってきた人間に注目する一瞬、相手もこちらを視認した。
姫様がいる事に驚愕した侵入者の隙をアニエスは見逃さなかった。
「何をするんだルイズ! いきなり君の部屋から銃弾が…」
喋り終わる前に扉を開けようとした手を掴み、体勢を前へと崩す。
さらに重心の乗った足を払い、そのまま体落としで床に叩きつけた。
そして受身も取れずにのたうつ男の首に膝を落として制圧した。
電光石火の早業におおっ!と二人と一振りの感嘆の声が上がる。
何が起きたのか分からずに悶絶するギーシュの目前に剣が突き立てられた。
「……貴様、見たな」
心底震えているギーシュがぶるぶると首を振る。
喉が押し潰されて弁明の声も出せないのだ。
しかし、この状況は一体何だろうか?
いきなり銃弾が飛んできたと思ったらルイズの部屋に姫様がいて、
そしたら急に投げ飛ばされて剣を突きつけられて…。
「返答がないという事は答える気はないという事か?」
「…………!」
勝手に話を進めるアニエスにギーシュは必死で首を振ろうとする。
しかし首を動かそうとした瞬間、膝の圧力が増し床に縫い止められた。
「口を割る気はないか。しかし、そのような態度を取られると密偵と見なされても仕方ないが?」
「!!?」
「そうか、見上げた覚悟だ。私も拷問など掛けたくはないのだが止むを得んな」
そう告げる彼女の顔はとても楽しげで愉悦に歪んでいた。
まるで猫が鼠をいたぶるかのようにアニS、もといアニエスは目を輝かせる。
これからどうやって男を虐めてやろうかという妄想に身を震わせる。
怒りのやり場がなく極限まで溜め込んだ彼女の前に飛び込んできた獲物。
それが今のギーシュだった。

艶のある唇を舐め取り、己の悪意でメイクする女。
その女に囚われ、ギーシュは絶望の淵にいた。
(話が噛み合わない! というよりも、させてもらえないッ!)
しかし、彼はある意味納得してしまった。
ありえない光景に、理不尽な展開。
抵抗する事も許されずに身動きが取れない状況。
これらの条件から導き出される答えは唯一つ。
その答えに彼は僅かな安堵を得た。

なんだ、よくよく考えればただの悪夢じゃないか。
目が覚めると僕は草原に寝転んでいて、
ふと上を見上げるとモンモランシーの顔があるんだ。
それで気付くんだ、頭の下の柔らかい感触は彼女の太ももだって…。

だが、そんな淡い期待はアニエスの拳一つで容易く打ち崩された。


634 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 02:06:24 ID:O7jXyFkF
見えないにGJを送りつつ犬を支援する


635 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 02:06:59 ID:MallTqmp
アニエス=ド=エス 支援

636 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 02:07:00 ID:/hTpBzDy
なんか姉妹スレでも犬?の使い魔が来ておる……奇妙なシンパシーだ支援

637 :ゼロいぬっ!:2007/10/16(火) 02:07:35 ID:oZMPgmMt

「アニエス! ストップ、ストップ!」
抑え込まれたギーシュへの連打をルイズが止める。
ち、とアニエスが舌打ちしたものの、ギーシュが二目と見れない顔になる前に阻止できた。
彼女はようやくギーシュを介抱すると姫の傍まで下がる。
「う…うう…なんで僕がこんな目に…」
肉体的なものより精神的なダメージが大きかったのか、ギーシュが泣き崩れる。
惚れ薬を飲まされたせいでモンモランシーとは疎遠になるし、
あの光景を目撃した一部生徒の間でとてつもない性癖の持ち主って噂されるし。
もうダメかもしれない、と体育座りのまま現実に打ちひしがれる。
そんな彼に優しく手を差し伸べる者がいた。
ルイズではなくアニエスでもない。
「あの、大丈夫ですか?」
声に気付いたギーシュが顔を上げる。
そこには後光を背にした美しき女神がいた。
スイカに降りかけた塩の辛さが甘みを引き立てるように、
アニエスという地獄の後で見たアンリエッタがギーシュには女神に見えたのだ。
同時にむくむくと湧き上がる気力と根拠の無い自信。
「もちろんですとも! このギーシュ・ド・グラモンがこの程度の事で」
「グラモン…、では貴方はグラモン元帥の?」
「はい。息子です」
姫殿下の前で恭しく頭を下げる。
それを聞いたアニエスが眉を顰める。
まだ会話の内容を聞かれた訳ではないが姫様が来た事を知られたのだ。
口封じの為に殺すとはいかなくとも監禁するつもりでいた。
しかし相手が元帥の息子ではそうもいかない。
だが、どこをどう見ても軽薄そうな男だ。
すぐにでも姫殿下の事を口外する恐れがある。
ならば、どうするべきか…?
ギーシュの今後の処理に頭を悩ます横で本人は更に調子に乗る。
「姫様の為ならば僕は命を投げ出す事さえ厭いません」
「…今の言葉に二言は無いわね」
「はっはっは。当たり前じゃない…か…」
ギーシュが振り向くと同時に凍りついた。
たった一瞬の出来事だったが彼にはルイズの鋭い目が光ったように見えた。
「ありゃりゃ、運が無かったな坊主」
ご愁傷様、と呟くデルフの声がやけに鮮明に耳に届いた。
彼はこの日ほど自分の口の軽さを後悔した事は無かった…。

先だって伝えられたようにアンリエッタ姫殿下とゲルマニア皇帝の間で婚姻が決まった。
これは向こう側が同盟締結の条件として提示してきたもので断れなかった。
この同盟が結ばれればトリステイン・ゲルマニアは軍事的に頂点に立つだろう。
しかし、それを黙って各国が見逃す筈が無い。
その同盟を破棄させる為の手段を講じてくるに違いない。
モット伯の報告を信じるならアルビオンの貴族派の動向も怪しい。
だからこそ迅速に対応しなければならないのだ。
「ルイズ、この手紙をアルビオンの皇太子ウェールズ様に届けて欲しいの。
詳しい事はこの中に書いてあるわ、彼に見せれば全て判って貰えるはず」
「分かりました、一命に懸けても任務を遂行します」
姫様から封をされた手紙を受け取る。
何が書かれているかなど知る必要はない。
アンリエッタは詳細な内容もルイズに伝えるつもりだった。
しかしアニエスやギ−シュを信じ切れずに押し隠した。
未だに彼女の不安は拭えない。
いくらフーケを撃退したといってもまだ学生の身。
内乱の最中にあるアルビオンに潜入し無事に帰って来られる保証はない。
しかし同時に仄かな期待もしていた。
ルイズがウェールズを連れ帰って来てくれるという都合のいい夢を。


638 :ゼロいぬっ!:2007/10/16(火) 02:10:23 ID:oZMPgmMt

内戦中のアルビオン。
戦いの趨勢は決まり圧倒的な戦力差で押し潰されようとしている王党派。
その彼等に接触して手紙を渡して帰還する。
考えるだけでギーシュの膝はがくがくと震えていた。
どうやってこの場から逃げ出そうか頭脳を最高速度で回転させる。
しかし、それをルイズの一言が遮った。
「ここは女子の寮塔よ、上の部屋で何やってたのかしらね」
「っ……!!」
「部屋割りを全部把握してる訳じゃないけど、モンモランシーの部屋じゃないわよね」
「そ、それは…!」
自分とて男である。
モンモランシーに冷たくされご機嫌取りもなしのつぶて。
そうなれば他の女に目が向くのも自然な事。
自分が辛い時に優しくされれば、ホイホイ付いていってしまうのだ。
決して節操無しなどではない、と必死に自己弁護する。
だが一度掴んだ弱みをルイズが見逃す筈が無い。
「あとアニエスに襲われた時も助けてあげたから借りは二つね。
必死になって返しなさいよ、期待してるわギーシュ」
ドンとギーシュの胸を拳で叩く。
これから戦地に放り込まれるというにルイズは笑っていた。
ああ、そうだな。
美人二人に期待されたんじゃ裏切れないよな。
いいだろう、戦場に咲く薔薇というのも悪くない。
せいぜい死なない程度に頑張るとしよう。
この時、ギーシュの胸には期待に応えようという強い意思があった。
されどルイズの言う期待とは囮役とか弾除けの類。
ギーシュの活躍などこれっっぽちも期待していなかった。
悪いのはルイズではない、ギーシュの過去の実績の積み重ねである。

「はぁ……」
居並ぶ面子を眺めアニエスが溜息をつく。
足手まといがまた増えた。
置いていけない以上、連れて行くしかないのだから仕方ない。
自分が何とか指揮していくしかないが貴族の子弟を死なせたとなれば大問題だ。
一人なら大抵の窮地は切り抜ける自信はあるのだが…。
ふとアニエスがルイズのベッドに視線を向ける。
いいなぁ、ふかふかしてそうで。
宿舎のベッドって硬くて寝ているだけで痣が出来そうになる。
そんな事を考えていた彼女の思考がぶっ飛んだ。
柔らかそうなベッドの上、そこに投げ出されているのは自分の拳銃。
それをカチャカチャと犬が興味深そうに弄り回している。
「犬の玩具にするなーー!!」
きゃうーん、と勢い良く奪い取られ転倒する。
アニエスは“あげちゃってもいいや”とは考えない。
顔を怒りで紅潮させたままルイズに詰め寄る。
「アホかお前は! 銃をそこらに置いておくな!」
「弾入ってなんでしょ? だったらいいじゃない!」
「それでもだ!!」
正直、アニエスは頭を抱えたくなった。
いっその事、途中で全員事故に見せかけて始末して、
自分一人でやった方が確実に任務を遂行できるんじゃないだろうかと、
本気でルイズ達の命と使命を天秤に掛けていた。

639 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 02:12:55 ID:/hTpBzDy
アニSもバオー犬の真価を見るまではその恐ろしさがわからんのだろうなぁ……支援

640 :ゼロいぬっ!:2007/10/16(火) 02:12:57 ID:oZMPgmMt

「あともう一人、護衛をつけますので…」
「要りません」
アニエスがまたもやキッパリと断る。
どんな人物を選んだのか知らないがルイズを見る限り信用は出来ない。
このままズルズルとメンバーが増えていったら修学旅行の引率だ。
頼むからこれ以上心労の種を増やさないでと心で懇願する。
「下手に数が多いと悟られやすくなります。ここは少数精鋭でいくべきかと」
「そ…そうですか。では仕方ありませんね、貴方に任せます」
「はい」
精鋭と呼ばれて鼻高々なアホ二人を背にしホッと一息つく。
まあ、私一人では限界があるのも確かだ。
これで護衛がスクエアクラスのメイジとかなら話は別だが、
どんなのが来るか分からないなら断った方が得策だろう。
しかし、このメンバーで本当に大丈夫なのか不安になってきた。
「トリステインの未来は貴女方に懸かっています。どうかよろしくお願いします」
「はっ!」
全員の掛け声が一致する。
それを見てルイズはおかしそうに笑った。
これじゃあ、まるでフーケの時と同じだと。
全く変わらない自分達の姿がどこか愛しく思えた。


「くしゅ!」
「大丈夫か? 仕事前に風邪を引かれると困るのだが」
「いいや、心配ないよ。ったく、誰かに噂されたのかね?」
まあ、私の噂するようなのはあの子ぐらいか。
フーケとロングビルの方だったら心当たりが多すぎるけどね。
ラ・ロシェールの酒場はかなりの賑わいを見せていた。
近々やってくるアルビオンへの渡航客がほとんどだろう。
酒場にいる客の多くが傭兵や商人といった連中ばかりだ。
それを証明するように、これでもかと柄の悪そうな顔が並んでいる。
そんな連中ばかりだからこそ今度の商談相手も探すのに苦労は無かった。
もっとも悪名と腕じゃ私の足元には及びもしないんだけどね。
まあ上品とは程遠い飲み方をする私には周りの奴等の品性が無くとも関係ない。
こんな酒場でワインなんて嗜むこいつにとっては不味く感じるのかもしれないけど。
元から表情の読めないヤツだけにマスクをつけていても違和感を感じない。
一人で飲むのにも飽きて話を振る。
「手土産はちゃんと届けてくれたのかい?」
「ああ。雇い主も喜んでいたよ」
「…分からないね。中身が分からなきゃ、あんなのただの紙切れと同じだろ?」
「そうだな。何が書かれているのか分からなければ、な」
「……! それって」
「話はここまでだ。どうやら相手が来たようだ」
ガタリと空いていた椅子に厳つい男が腰掛ける。
体にはあちこち刀傷や銃創などが付いており、いかにも歴戦といった感じを醸し出す。
もっとも本当に強ければ傷なんて負わないんだろうけど。
「あんたかい? 俺達を雇いたいってのは」
「そうだ。とりあえず前金でこれだけ、残りは仕事の後だ」
すっと差し出された袋からジャリジャリと金貨の擦れ合う音が響く。
その中身を確認した後で男から呆れるような声が漏れる。
「前に俺達はアルビオンの王党派で仕事をしてたんだが…その時の報酬と同額はあるぞ」
「仕事に見合った報酬を払う、それが自然の流れだろう?」
傭兵の額から汗が流れ落ちる。
高額の報酬は確かに魅力的だがそれは危険と比例する。
仮面で顔を隠している事からヤバイ仕事というのは分かっていた。
下手したら王族を暗殺しろなんて内容かもしれない。

641 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 02:13:48 ID:f4wUEpvA
オ… オレ…
お姫様抱っこをするのが夢なんだ…

「何考えてるんだか」って、苦笑されるのもけっこう いいかもな…
一緒にハイテンションになってはしゃいでくれる子もいい!


女の子はオロカ、ワンリョクモ、デアイモナイケドサ… orz

642 :ゼロいぬっ!:2007/10/16(火) 02:14:37 ID:oZMPgmMt
だが躊躇してももう遅い。
最悪、受けなければ消される可能性だってあるのだ。
意を決して傭兵の頭がマスクの男に尋ねる。
「…内容は?」
「ある場所で馬車を待ち伏せし襲撃して欲しい」
「たった、それだけか…? 相手はどれぐらいいる?」
「数人、メイジもいるが大した腕じゃない」
「…どういう事だ? これだけの数を揃えなくても十分だろう」
「僕はね臆病なのだよ。必ず勝てる状況を作らなければ安心出来ない、そんな小心者でね」
仮面の男が自虐そうに笑う。
もっとも顔が見えない以上、声と雰囲気で判断するしかないが。
「いやいや、あんたは賢い。戦場で生き残れるのは臆病者だけさ」
提示したいくつかの条件を承諾した後、頭領は受け取った金貨の袋を背後のテーブルにいた男に回す。
それを黙って受け取ると数人の男が金貨を運んで行った。
その後に頭領は私達を残し席を後にした。
すでにこの酒場に多くの手下を忍び込ませていたのだろう。
もし何かあれば私達を消すつもりだった。
そして足元を見られていれば脅されて身包みを剥がされていただろう。
抜け目の無い男だが道具として使うには最適だ。
「あの連中、生きて帰れるかねぇ」
「どちらでも構わんさ、どちらでもな」
仮面の男の返答にフーケは笑う。
この男がやろうとしているのは前の私と同じ事だ。
私以上の念の入れ様と手際。
そして犠牲を躊躇わない非情さを兼ね揃えている。
あるいはこいつなら成し遂げるかもしれない。
あの死を運ぶ魔獣、その打倒を……!


643 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 02:15:17 ID:/hTpBzDy
>これで護衛がスクエアクラスのメイジとかなら話は別だが、
噛ませ犬とか色々言われてますがトリスティンでも有数のメイジだったのに。獅子身中の虫だが支援

644 :ゼロいぬっ!:2007/10/16(火) 02:16:31 ID:oZMPgmMt
投下したッ!!
次回はVS傭兵戦で!

645 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 02:17:40 ID:/hTpBzDy
乙ッ。アニSさんも大変だな。

646 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 02:27:13 ID:7Hkg3AvP
ぐっじょー
ギーシュをどうにかしようとした瞬間のアニエス実に生き生きしてる
>>641
適当に友人に協力してもらってお姫様抱っこに挑戦したが意外と人間軽いよ
肉体労働系のバイトでもやれば腕力は嫌でも付く
出会い?
……まあ、その、なんだ。頑張れ

647 :641:2007/10/16(火) 02:37:22 ID:f4wUEpvA
>646
引っ張る話題じゃないことはわかってるんだけどさ、
『出会い』の部分が絶望的、というか女の子と仲良くなる辺りが、
『私、ダメ人間』てあたりでもうダメなんだよ…

648 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 03:02:15 ID:4pUAp6eI
なに?フーケ……もとい、おなごをお姫様抱っこしたい?
それは高望みし過ぎだよ兄弟。
逆に考えるんだ。
おなごがいないなら、(肉体的に)逞しい兄貴に告白して、自分がお姫様になっちゃえば良いんじゃね?と、考えるんだ。

649 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 03:22:37 ID:f1hpNc7I
アニエスやりたい放題w

650 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 13:08:53 ID:k37VnGRF
テンメイとフーケに(*´Д`*)ハァハァ

651 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 16:31:39 ID:txn7mUnR
ここでの渾名がアニSで確定したなwwwwそして見えないのマチルダさんとてもナイス!

652 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 17:54:03 ID:QvUOOcRA
なにジョジョ?アニエスがアニS?
逆に考えるんだ「他の作品のアニMで中和すればいいや」
と考えるんだ

653 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 18:16:31 ID:rfAG5Rw2
すなわちアン康のアンアンにいじられるアニエスさんを見れば良いんだな!?

654 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 18:58:28 ID:QvUOOcRA
康一にアンアン言わされるアニエスに見えた

655 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 20:07:29 ID:32D8gKrI
          ,... -‐'''ニ ̄三二ヽ
       ,∠二二∠..--――/|         / ̄ ̄ ̄ ̄ヽ
     ∠__――_,,... -‐''"///|    ∠ >>1よ… |
     |―三'''" ̄||| ノノ,,ノ//|     ヽ____ノ
     ヽノ  ミ、、/-''""`ヾ//ニト、_     /ミ''ヽ
     ///  /     l  ヾ /^i/// ̄`ーj |.| ト-'┴-
    く〈〈  〔__^   ^`'  〈_//ヘ|j_j_jj_jノ_ノノ/:::
   ./ \_/丶  ,r,=-、  .2 /  ヽ::::::   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
   /   / |ィ'。`>ソ { ィ'。`'ァ::. |‐'| !、 .|:::  < スレは画像を貼ってこそ  |
.   |   |  |`~´/ ,l、  ̄´./ :| |__| o|――-| 立てる価値ありと      |
  |   |   :|  (、 っ)   l:  | /.o.V'::    | 何度も言ったで      |
  ヽ.   |   ::::l ,.,__、    l //`―/::::......... | おじゃるよなあ…………  |
  /   |  :::::::::lf{二ミァ ,),/二二========= \__________ノ
  ヽ   l:::::::::::::/|__/:::: 〇::
   / ::  ヽ:::::::::| |::::::::::::::::
   `l::::  ::::ヽ::::| |::〇::
   | ::::  ::::::::`ヽヾ::::
.   | ::::   ::::::::::\ヽ――――――

656 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 20:43:54 ID:6MzQd0Yu
誤爆か?

657 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 21:00:30 ID:4pUAp6eI
>>652
兄貴のアニエスも、潜在的なMな気がしますぜ卿!

658 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 22:30:42 ID:qVQtJMJL
見えない&ゼロいぬGJ!
カキョーイン出てきて間も無くフラグ立てやがったなああああああ
アニSさん苦労キャラ+ドSキャラ確定だあああああああ

ゼロいぬ→アニS
アン+康一→アニM
だが、兄貴のアニエスは両方多めな感じがするぜ!

659 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 23:00:56 ID:4JbI6ty4
花京院はどの世界でも塾女好き!そこにしびれる憧れるぅ!

660 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 23:06:36 ID:SJokH/89
>>659
マチルダ姐さんはまだ23歳だ!
熟女とか呼ぶんじゃねえ!

661 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 23:07:31 ID:O7jXyFkF
>>660
まて、よく見ろ、塾女だ。
これはつまり私塾の女講師とか家庭教師とかそこらへんの…ゲフンゲフン

662 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 23:20:13 ID:yBegSWSg
>>659>>660>>661
タバ茶でも注文して落ち着きたまえ

663 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 23:24:23 ID:4JbI6ty4
ギーシュとかマチルダとかと違ってルイズ動かしにくいのはわかる・・・よくわかる・・・すっげーわかる・・・
だが主人公をさしおいてなにが「ギーシュさん」だああ〜ッ!?花京院フラグだああ〜ッ!?
なめやがってこのサブキャラ超イラつくぜぇ〜ッ!決闘中に老化で死んじまえってんだッ!クソックソッ!


664 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 23:26:25 ID:RwGR9SZb
まあアバ茶でも飲んで落ち着け

665 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 23:28:02 ID:Brwg6qCo
       、--‐冖'⌒ ̄ ̄`ー-、
     /⌒`         三ミヽー-ヘ,_
   __,{ ;;,,             ミミ   i ´Z,
   ゝ   ''〃//,,,      ,,..`ミミ、_ノリ}j; f彡
  _)        〃///, ,;彡'rffッ、ィ彡'ノ从iノ彡
  >';;,,       ノ丿川j !川|;  :.`7ラ公 '>了
 _く彡川f゙ノ'ノノ ノ_ノノノイシノ| }.: '〈八ミ、、;.)
  ヽ.:.:.:.:.:.;=、彡/‐-ニ''_ー<、{_,ノ -一ヾ`~;.;.;)
  く .:.:.:.:.:!ハ.Yイ  ぇ'无テ,`ヽ}}}ィt于 `|ィ"~
   ):.:.:.:.:|.Y }: :!    `二´/' ; |丶ニ  ノノ
    ) :.: ト、リ: :!ヾ:、   丶 ; | ゙  イ:}    >>663よ、逆に考えるんだ
   { .:.: l {: : }  `    ,.__(__,}   /ノ
    ヽ !  `'゙!       ,.,,.`三'゙、,_  /´   「絶頂の後には絶望の道が続いてるのさ」と
    ,/´{  ミ l    /゙,:-…-〜、 ) |
  ,r{   \ ミ  \   `' '≡≡' " ノ        そう考えるんだ
__ノ  ヽ   \  ヽ\    彡  ,イ_
      \   \ ヽ 丶.     ノ!|ヽ`ヽ、
         \   \ヽ `¨¨¨¨´/ |l ト、 `'ー-、__
            \  `'ー-、  // /:.:.}       `'ー、_
          `、\   /⌒ヽ  /!:.:.|
          `、 \ /ヽLf___ハ/  {
              ′ / ! ヽ

666 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 23:31:26 ID:qVQtJMJL
>>663
ちょw兄貴ギーシュwwwwww
恨みつもってるのはわかるが落ち着いて冥土に逝ってくれwww

667 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/16(火) 23:32:35 ID:4JbI6ty4
>>665
フフフ・・・その現象に名前がほしいな 「絶頂の後には絶望の道が続いてるのさ」じゃいまいち呼びにくい
このシュトロハイムが名付け親(ゴッドファーザー)になってやるッ!
そうだな……『神引きの後の餓死!』という意味の「ピッツァ」というのはどうかな!

668 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/17(水) 00:16:39 ID:ij8HvTts
メイド・イン・ヘヴン!
世界が一巡しIDが変わる!

669 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/17(水) 00:17:41 ID:3nYaQDmf
>667
どちらかと言えば『ドジュゥウ』では?

670 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/17(水) 00:25:29 ID:/AD+V/87
いや・・・・ギーシュのアレはそんなに生易しい絶頂ではないのではないか?
俺にはもはや、噂や評判といったものを超越しているように思えてならない。

世界丸ごと巻き込んで、豪快に轟きうねる濁流のような『流れ』と化しつつあるのではないかと。
当事者が、いや、世界の誰が否定しても、最早覆す事の叶わない『価値観』。『常識』と言い換えてもいい。

つまりこういう事だ。

「絶頂こそが絶望そのものである」と。

671 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/17(水) 01:18:05 ID:U/1gayZf
絶頂ってもうこれ以上昇っていくことがない訳だし、確かにそれはあるかもしれん

672 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/17(水) 04:37:17 ID:009e2BPZ
今日はもう寝るッ!



俺、この周終わったら、SS書くんだ・・・



673 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/17(水) 07:27:49 ID:G6tDMyb/
>仲間には考えを読み取ることができる人、炎を操る人、尋常ならざるパワーとスピードをもったやつ、様々です
ポルナレフ「あれぇ?オレの事は〜?」
イギー(フン!てめーは花京院の前で役に立ったためしがねーだろ。…ってオレもでしたァぁぁぁ!いつの間にかぁぁぁー!)


時に、ンドゥールと花京院ってお互いの顔知らないよな…
ンドゥールは花京院の「僕だって嫌だ!」が聞こえていたかもしれないが…

674 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/17(水) 07:44:27 ID:jTCa4Nh2
花京院の方はンドゥールの遺体を見てるかも。

675 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/17(水) 08:00:00 ID:U/1gayZf
>>674その前に花京院はンドゥールからゲブ神で目を攻撃されて潰されてる
ンドゥール戦後は目の治療のために入院もしてたし、ンドゥールの遺体を見る機会は無かったと思う

676 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/17(水) 12:56:51 ID:F/i+dcAD
誰もいない…投下するなら今のうちっ

677 :仮面のルイズ:2007/10/17(水) 12:58:14 ID:F/i+dcAD
少し時間はさかのぼり、タルブ戦が開戦する前日。

ロングビルは、学院を飛び出してタルブ村へと向かったシエスタを追いかけていた。
シエスタが馬に乗って魔法学院を出てすぐ、具体的には10分ほど遅れてロングビルは魔法学院を発った。
ロングビルは自身の体に『レビテーション』をかけて馬の負担を減らし、少しでも早く追いつこうしていたのだが、おかしなことにシエスタの姿が見あたらない。
もしかして、私の知らない裏道でもあるのだろうか?と考えはじめたところで、ロングビルは空を飛ぶ竜騎兵に気がついた。
トリスタニアの方角から、ラ・ロシェールに向かってトリステインの軍隊が移動しているのだ。
「道をあけろーっ!」
ロングビルの背後から声が聞こえてきたので、馬を街道の脇に寄せて軍隊の邪魔をしないように努めた。
彼女の騎乗した馬には魔法学院の紋章のついた鞍と鐙(あぶみ)がつけられているので、特に疑われもせず軍隊は通り過ぎていったが、それでも軍隊をみると気分が悪くなる。

軍隊の大部分がロングビルを追い抜いた後、しばらくしてシエスタの乗っていった馬を発見した。
尻に押された焼き印から、魔法学院の厩舎から持ち出されたものだと一目でわかる。
だが、馬の様子は戦争の行く末を暗示するかのように悲惨なものだった。
体の水分をほとんど失い、舌を垂らしてもがいたのが、白目をむいて苦悶の表情で息絶えていた。
蹄は砕け、足は折れ曲がっており、この馬は自身の意志に反して走らされていたのが想像できる。
「これじゃ、どっちが吸血鬼か分からないね」
そう言いながら、ロングビルは倒れた馬に杖を向けてルーンを詠唱し、馬の遺骸を街道の脇へと移動させた。

それからまた馬を走らせ、数時間。
途中で何度も「レビテーション」をかけ、馬の負担を減らしていたが、それでもラ・ロシェールまでの道を一日で駆けていくには無理があった。

換えの馬がある宿場で馬を替えようとしたが、ラ・ロシェールから避難する人間が多かったせいか、元気に走れそうな馬など一頭もいなかった。

それにしても奇妙だ、これだけ走っているのにシエスタに追いつけない。
もしかしたらシエスタを追い抜いてしまったのではないかと考えたが、この街道を通らなければラ・ロシェールにもタルブ村にも行くことはできないはず。
そう考えて、宿場を通りかかる人にシエスタの容姿を説明し、見かけてないか聞いてみることにした。
幾人かに話しかけたところで、背中に大きな包みを背負った男が、その少女に心当たりがあると言い出した。
「ああ、一時間ぐらい前に見かけたよ。すごい勢いでラ・ロシェールに向けて走っていったさ」
「どのあたりで見かけたの?」
「ちょうど中間地点だよ、その後すぐ軍隊とすれ違ったんだから、よく覚えてら」
「…わかったわ、ありがと」
ロングビルは内心の焦りを隠しつつ、礼を言った。

(冗談じゃないよ、ラ・ロシェールまで早馬で二日はかかるんだよ、それを半日で半分も走り抜くだって?)
疲れ気味の馬に乗るのは得策ではない、ロングビルは手綱を握り、馬を歩かせることにした。
ラ・ロシェールとその近辺はすでに戦場と化しているかもしれない。
だが、そんなことよりも恐ろしい考えがロングビルの頭に渦巻いていた。
波紋と吸血鬼、オールド・オスマンは相反する性質を持つと言っていたが、もしかしたら人間からみて異端なものには変わりないのではないだろうか…と。

678 :仮面のルイズ:2007/10/17(水) 13:00:09 ID:F/i+dcAD
ロングビルが、シエスタを見つけたのは翌日朝のことだった。
タルブ領の騎士に先導されたタルブ村の人々は、トリスタニアに続く街道に避難していたのだ。
馬を乗り捨ててからここまで、全速力で走ってきたにもかかわらず、シエスタはあの馬のようにやせ細った訳でもなければ足が折れているわけでもなかった。
シエスタの父の話によれば、シエスタは街道に取り残され途方に暮れているタルブ村の一団を見つけ、兄弟達のなを叫びながら近づいてきたらしい。
家族の無事を確認したシエスタは、疲れが限界にきていたのかそのまま眠ってしまった。
翌朝になってロングビルが追いついたのだが、ロングビルの乗ってきた馬が疲弊しきっているのに対し、シエスタは数時間の睡眠で体力を回復していた。

話を聞いているうちに、徐々に砲撃の音が激しくなっていった。
ラ・ロシェールに陣取っているトリステイン軍に向けて、巨大な戦艦から砲撃が加えられているらしい。
皆が恐れおののく中、ロングビルは学院長から寄越される予定の伝書フクロウをじっと待っていた。
戦争は嫌いだが、こちらには地の利がある。
それに魔法学院の秘書などという立場などいくらでも捨てられるのだから、ロングビルは戦場が近くても悠長にものを考えていたのだ。

そして、砲撃がやみ、遠目でも確認できる巨大な竜巻が巻き起こった頃、伝書フクロウがロングビルの元に届いた。
フクロウの持ってきた手紙には、オールド・オスマンからのメッセージが書かれており、ロングビルはそれをシエスタにも伝えた。

『トリステイン敗北の場合はフクロウに返事を持たせず、シエスタをつれて即時魔法学院に逃げ込むべし。勝利の場合はシエスタを傷病兵の治療に当たらせよ。』

トリステイン万歳を叫ぶ声が、風に乗ってロングビルの耳にも届く。
それを聞きながら、ロングビルはシエスタにもメッセージを伝える、するとシエスタは力強く、その役目を果たしますと答えた。
ロングビルは、その様子に心強さではなく、無理して強くなろうとしているような危うさを感た。





そして翌日から、遅れて到着したモンモランシーと共に、シエスタは傷病兵の治療に当たった。
奇跡的にタルブ村は被害を免れ、シエスタの曾祖父が乗ってきたという『竜の羽衣』も無事だった。
タルブ村に近い草原では、連金で作った支柱に布をかぶせた簡易テントが並べられており、今回の戦争で傷ついた者達はそこで治療を受けている。
「ミス・ロングビル、昼食ができましたよ」
「ああ…じゃなかった。 ええ、ありがとうございます。すぐに行きますわ」
疲れているせいか、ついつい地が出てしまいそうになる。
お淑やかな秘書に徹していられればボロを出すこともないが、あの学院長のセクハラに反撃するときはいつも地が出てしまう。
もしかしたら見透かされているのか?と疑問に思いながら、ロングビルはタルブ村の村長宅へと入っていった。


「疲れたー」
情けない声を出して机に突っ伏しているのは、『香水』のモンモランシー。
出されたヨシェナヴェを食べる気力もないようだ。
彼女はシエスタがタルブ村に向かったと聞いて、ひどく心配していたのだ。
タバサのシルフィードに乗せてもらおうかと思ったが、タバサは不在、行方を知ってそうなキュルケもいない。
何かよからぬことでも起こっているのではないかと、不安になったところで、オールド・オスマンから呼び出された。
そしてタルブ村に行きシエスタと共に傷病兵の治療に当たってくれないかとお願いされたのだ。
ロングビルから更に二日遅れて、モンモランシーがタルブ村に到着すると、初めて見る戦場の跡に血の気が引く思いをしたそうだ。
波紋と水系統の治癒を併用することで、劇的に回復効果が高まり、本来なら死ぬような傷を負った人も見事なまでに回復していく。

たった二人で200人ほどの兵士を治癒したという話が、傷病兵と兵士の間で広まっていく。
三日経った今ではもう、魔法学院には優秀な治癒のメイジがいるという噂が、兵士達の間で囁かれていた。

679 :仮面のルイズ:2007/10/17(水) 13:02:14 ID:F/i+dcAD
「大丈夫ですか?」
シエスタがモンモランシーを気遣うが、モンモランシーは返事の代わりに手をひらひらさせるばかりで、それが余計にシエスタの不安をあおる。
「あの、疲れているのでしたら食事はやめて、ベッドを準備しますけど」
「……そんな気にしなくていいわよ、寝ても覚めても治癒ばかり。こんなにたくさんの人を治癒したのは初めてだから、精神的に疲れてるのよ……」
そう言ってモンモランシーはため息をついた。

二人は、片方が元平民とは思えないほど仲がよい。
モンモランシーがシエスタを対等な立場の存在だと認めているからだろう。
平民と貴族、その境界線が、ここはとても希薄だった。
その雰囲気と、ヨシェナヴェを味わいながら、ロングビルはウエストウッド村で生活しているティファニア達を思い出していた。
(あの子達は、元気だろうか…)
もう少し状勢が落ち着いたら、里帰りでもしようか?
ついでにこのヨシェナヴェのレシピを持って帰れば喜んでくれるに違いない。
人里に出られない彼女のために、土産話とか、料理のレシピとかを伝えてあげるべきだろうかと考えていた。

食事を終えて一息ついているところに、村長が駆け込んできた。
アニエスという人がシエスタに用があるとかで、村長はシエスタを連れて外に行ってしまった。
窓から外を見ると、忙しそうに走り回っている村民の中に、軽装鎧にマントを羽織り、腰に剣を下げた女性が見えた。
タルブ村方面に侵入しようとする敵兵を、平民の身ながら何十人も打ち倒し他という平民の騎士で、メイジに劣らぬ功績を挙げたと噂されている女性だ。
おそらく「メイジ殺し」というやつだろう。
鉄砲、罠、火薬……メイジよりも遙かにハングリーな平民の傭兵、その中でもメイジを殺すだけの技術と知恵を持った者はメイジ殺しと呼ばれる。
陽光に輝く金髪を短く切り、青い瞳で周囲を見渡しているその女性の姿は、シエスタではなく何か別の者を探しているようにも見えた。

しばらくしてシエスタが戻ってくると、治療の続きをしてくると言い残して村長の家を出て行ってしまった。
モンモランシーもため息をついていたが、自分で自分の頬をピシャリと叩くと、よしっ!とかけ声をかけてシエスタの後をついて行った。

本来なら魔法学院の生徒であるシエスタとモンモランシーが、傷病兵の治療に当たるということは無い。
だが、オールド・オスマンは『波紋』を治癒の力であると印象づけるために、あえてモンモランシーをここに寄越したのだそうだ。
シエスタにシュヴァリエの爵位を賜るよう申請するには、それなりの功績がなければ必要だと考えた上での行動だった。

その上でもう一つの目的がある、それは、ラ・ヴァリエール家とのパイプを太くするという目的。
オールド・オスマンが調べた話では、ルイズの姉エレノオールは魔法アカデミーで研究を続けているそうだ。
アカデミーで行われている研究は多岐にわたる、時々『アカデミーに送られたら解剖されてしまう』と冗談混じりに噂されるが、それも本当なのではないかと思わせるほどに研究が盛んなのだ。
エレノオールは妹のカトレアを治療するために、アカデミーで研究を続けているらしい。

傷病兵の治療で『波紋』の効果を確かめてから、カリーナ・デジレの耳に「特殊な治癒能力」の話を届けるのだ。
シエスタの立場を強くしなければ、アカデミーの研究材料として捕らえられてしまう可能性があった。
そのため、オールド・オスマンはシエスタの立場を強くすべく、苦手な(本人談)根回しに奔走しているのだ。


そこまで考えて、ロングビルは椅子から立ち上がり、背伸びをした。

「一応見回りでもさせてもらおうかね」
そう言うと、懐にしまった杖の感触を確かめる。
シエスタを監視し続けるのにも少し疲れたので、気分転換をかねて外を歩くことにした。
ロングビルは上着を羽織ると、食器をひとまとめにして、村長の家を出ていった。


680 :仮面のルイズ:2007/10/17(水) 13:03:27 ID:F/i+dcAD
タルブの草原は戦場となり、美しかった草原はほとんどが焼け焦げていた。
だが野草の生命力は強い、何年かすれば元通りの草原が姿を見せてくれるだろうと、シエスタの父から聞いた。
ロングビルは戦場跡を整理する平民の兵士を見つめた。
うち捨てられた剣や鎧、弓矢などを拾い集め、荷車に乗せていく。
ただ、じっとその様子を眺めていた。

『おい』

死体からものをかっぱらうのは趣味ではない、土くれのフーケと呼ばれた盗賊は、貴族の鼻をあかす盗みしかしないのだと心に決めていた。

『おーい』

それに戦場で武器防具を拾っても、マジックアイテムの類などほとんど期待できないと知っている。
この戦いで、高級貴族のほとんどは前線に出ていないだろう。
宝石や貴金属を身につけて死ぬような輩は、この戦場にはいないだろうと考えつつ、ロングビルは辺りを見回した。

『おい、行き遅れ』
「あぁ!?何だってェ?」
ロングビルは、つい、学院長の秘書ではなく、チンピラのように目を細めて声のした方を睨んでしまった。
慌てて顔を笑顔に戻し、取り繕うようにホホホと笑って、ロングビルの後ろで荷車を引いている少年と目があった。
「ボウヤ、いい度胸だね、将来大物になるよ」
こめかみに血管を浮き出させたまま、ロングビルは少年に笑いかける。
「ち、ちがいます、こ、こいつが喋ったんです!」
そう言って少年が指さしたのは、荷車に積まれたくず鉄と剣だった。
「冗談じゃないよ、剣が喋る訳…」
『ひでーな、俺のこと忘れたのかよ』
カチャカチャと鍔を慣らして、剣が喋る。
まさかとは思ったが、そのまさからしい。
ロングビルは荷車に積まれた剣を手に取ると、懐からほんの少しの貨幣を取り出し、少年に渡した。
それを受け取ると、少年は怖いものから逃げるように、荷車を引いてどこかへと走っていってしまった。

『いやー、助かったぜ』
「…あんたさっき何て言った」
『綺麗なお姉さん』

ロングビルは喋る剣…デルフリンガーを地面に放り投げると、とりあえず踏みつけた。


681 :仮面のルイズ:2007/10/17(水) 13:04:49 ID:F/i+dcAD
『ちょ、ちょっと待てよ、だってあのまま無視されたらデルフどうすればいいか分かんない伝説困ったなあって』
「いい加減におし!」
オールド・オスマンを蹴ることで、しなやかな足は見た目からは想像できないほど鍛えられていた。
全体重を乗せた踏み蹴りがデルフリンガーの柄に命中し、デルフリンガーは兵士達が踏み固めた大地へとめり込んだ。
「で、アイツはどうしたんだい、ここにはシエスタもいるんだよ」
『それなんだけどよお、俺にもよく分からねえんだ。馬っころが俺を盾にして嬢ちゃんを守ったのは分かるんだが、その後がちょっとなあ』
「どういうこと?」
『嬢ちゃんは、ラ・ロシェールに落下する船を魔法で吹き飛ばしたのさ、その余波で自分まで大怪我しちまった』
「…魔法って、あの爆発かい。怪我の程度は?」
『よく分かんね、でも意識は当分の間失ってるかもしれねえぜ。それと頼みがあるんだけど、俺を王宮まで連れて行ってくれねーかな』
「王宮?冗談じゃないよ…」

ロングビルは辺りを見回した、剣と喋っていて不審がられないかと思ったのだ。
周囲には鉄くずを集めている平民がぽつりぽつりと見える程度で、ロングビルを気にしている人などは居なそうだった。

地面にめり込んだデルフリンガーを持ち上げ、タルブ村へと向けて歩き出す。
「直接届けるのはごめんだよ、他人に任せるけどそれでいいかい?」
『いやー、悪いね』
「あんたも一応命の恩人だしねえ」

ロングビルは、ルイズがどれほどの怪我をしているか分からないが、今はデルフリンガーの言うとおりにした方が良さそうだと判断した。
ルイズと一緒にいたのはこのデルフリンガーなのだ、緊急時にどんな行動をとればいいのか、心得ていることだろう。
ロングビルはてくてくと歩きながら、デルフリンガーを適当な布にくるんで、時期を見て王宮に届けてやろうと考えていた……が。

「そこの女、その剣をどこで拾った?」
ロングビルは、背後からかけられた声にギョっとして振り向いた。
するとそこには、殺気に身を包んだ女騎士、アニエスが、まるで威嚇するかのような目つきでロングビルを睨んでいた。


682 :仮面のルイズ:2007/10/17(水) 13:06:40 ID:F/i+dcAD
場面は戻り、ワルドとルイズ。


「うう…おおおおっ……」
ルイズの顔に、ぼたぼたと涙の粒が落ちた。
ワルドの視界はにじみ、ルイズの姿がぼやけて見えていた。
自分の頬に伸ばされたルイズの手を握りしめ、ワルドは泣いた。
「ルイズ、ルイズなのか。君はルイズなのか?」
興奮のためか、歯ががちがちと音を立てて震える。

つい先ほどまで死闘を繰り広げていた「石仮面」は、ルイズと瓜二つだったが、雰囲気はまさに戦士の風格を持っていた。
だが、地面に倒れたまま自分を見上げているこの少女は、石仮面の時とは違い体に埋め込まれた骨も消滅し、ルイズ本来の身長に戻っている。
それどころか、死を臭わせる雰囲気などみじんも感じさせない。
そのギャップがワルドの心を乱していた。

ルイズは死んだはずだが、今、この少女は自分を「ワルド様」と言った。
親同士が決めた許嫁であり、ある意味では公爵家との血筋と地位を欲した政略結婚だと十分に理解していた。
ルイズを異性として意識したことはない、それどころか恋愛対象だとも思っていなかった。
だが、いざルイズの死を聞かされた時には、ワルドの心によく分からない感情が渦巻いた。

子供の頃、ワルドは風のメイジとして優秀だった。
だが年月を重ね、思春期を迎える頃、自分が井の中の蛙だったことを思い知らされた。
ある日母がワルドに告げた、ラ・ヴァリエール家の三女と婚約しなさい、と。
そこで一つ問題が起こった、ワルドは優秀ではあるが、飛び抜けて優秀ではない。
このままではラ・ヴァリエール家から一方的に婚約を破棄されるおそれがあった。
そこでワルドの母は、ワルドを魔法衛士にすべく尽力した、ワルドもまた期待に応えようと必死になって魔法の訓練を積んだ。

その甲斐あってか、ワルドはめきめきと実力を上げ、同世代の貴族からも魔法の腕前では一目置かれるほどになっていた。

ある日のことだ、ワルドは魔法衛士隊の見習いとして、将来の魔法衛士を約束された。
その時の母のうれしそうな顔と、涙をよく覚えている。

だが、その母はなぜか、突然に、何の前触れもなく自殺した。
ワルドは悩んだ、何があったのか、母は殺されたのではないかと思い、何度も母の身辺を調べた。
だが、ワルドに向けて残された一枚の遺書が決定的な証拠となり、自殺として扱われてしまったのだ。
ワルドにはどうしてもそれが納得できなかった、遺書にはワルドに向けて謝るような内容が書かれていたが、謝られるような心当たりなど一切ないのだ。

だから、ワルドは自分が悪かったのではないかと、自分が何かミスをしたのではないかと、ひたすら自分を呪った。
魔法衛士隊の一員となったワルドは、その不満と悩みをごまかすかのように、ひたすら任務に励んだ。
達成困難な任務に挑戦し、いつしかワルドは魔法衛士隊随一の使い手と呼ばれるようになっていた。

どんな栄誉も、ワルドの渇いた心を癒してくれることはなかった。
母の言いつけ通り、誇り高く、そして強くなったワルドだが、王宮の中枢に近づくにつれてその腐敗ぶりが目に入るのだ。

ワルドの領地はトリステインの中でも大きくはない、むしろ小さい部類に入るだろう。
小さいからこそ、ワルドの母は、ワルドを虚飾や汚職に近づけることなく育てることができたのだ。

純粋培養で育てられた花が、王宮の毒に毒され、その心を病ませていくのは時間の問題だった。
そんな時、アルビオンで起こった反乱の噂を耳にした。
レコン・キスタという組織がアルビオン王家に反旗を翻したのだという、しかもその首謀者オリヴァー・クロムウェルは、自らを始祖ブリミルに選ばれた虚無の後継者だと自称している。
虚無の力は、支社をも生き返らせるらしい…

ワルドの心が、レコン・キスタへと傾き始めた頃、レコン・キスタからワルドに接触があった。
そして、アンリエッタ姫から、アルビオンのウェールズ皇太子が持っているという手紙の奪還を依頼された時、ワルドはトリステインを裏切る決心をしたのだ。


裏切る決心をして、その情報をレコン・キスタに流したワルドは、王宮に出入りしているトリステイン魔法アカデミーの研究者から、魔法学院で起こった事件の話を聞いた。
アカデミー研究員のエレオノール・アルベルティーヌ・ル・ブラン・ド・ラ・ブロワ・ド・ラ・ヴァリエール。

彼女の口から、ルイズが死んだことを聞かされたワルドは、心が砕けていくのを感じた。

683 :仮面のルイズ:2007/10/17(水) 13:07:42 ID:F/i+dcAD
「君は何なのだ、君は何なのだ?答えてくれ…」
砕けた足と、折れた肋骨が痛む。
その痛みをこらえつつ、ワルドはルイズの頬に手を伸ばした。
頬をなでられたルイズは嬉しそうにほほえむばかりで、何も答えてはくれなかった。

突然、ガササササと音がした。
「!」
ワルドが音のした方を向くと、そこには豚のような鼻を持った亜人、すなわちオーク鬼が群れをなして、ワルドとルイズの二人をみていた。
「くっ」
ワルドはまさに血の気が引く思いだった、左手の義手は砕け、両足の骨も折れ、肋骨は砕かれている。
杖は砕かれどこかに落ち、予備の杖も落下のショックでどこかに飛んでいってしまった。
杖のないメイジは平民と同じ、しかもほとんど動けないような怪我をしているのだ。
ワルドは咄嗟にルイズを抱きしめると、芋虫のように体を動かして、なんとか逃げようとした。
だが、反対側にもオーク鬼が待ちかまえており、逃げ道は無いのだといやでも理解できた。
肘から先が失われた左腕でルイズを抱きかかえ、右手で地面に落ちている石ころを握りしめる。

『なぜ、私はこんなことをしているのだろう?』
ふとそんな疑問が頭をよぎる。
一度ならず、二度も殺そうとした「石仮面」。
それを守ろうとしている、あまりにも滑稽だなと、ワルドは自嘲した。

「フゴォッ」
一匹のオーク鬼がワルドの後ろから近づくと、無造作にワルドの肩をつかんだ。
そのまま軽々と腕を振ると、ワルドの体はまるで紙切れのように宙を舞い、そばに立つ木へと衝突した。
「ぐ はっ!」
体を打ち付けられた衝撃で呼吸が乱れ、ゲホゲホと血が混じった咳が出てきた。
痛みで朦朧とする意識の中、ルイズの姿を探す。

オーク鬼はルイズの髪の毛をつかみ、ルイズを持ち上げて、舐めるようにその体を吟味しているようだった。
ゴフゴフと鼻息をたてつつ、人間にも理解できる下卑た笑みを浮かべ、オーク鬼はルイズの首に手をかけた。
「る…るい…ず…………ルイズーっ!」

ワルドの叫びもむなしく、オーク鬼の手に力がこもる。
そしてルイズの首はめきめきと音を立てて、引きちぎられた。
バキバキと骨の砕ける音と、心臓の鼓動にあわせて頸動脈から吹き出す血。
無造作に投げられ、地面に転がるルイズの首。

「ーーーーーーー!!!!」
ワルドの叫びは声にならなかった。

それをあざ笑うかのように、四匹のオーク鬼は、フゴフゴと鼻息をならしていた。
もう一匹のオーク鬼がルイズの腕に手をかけ、引きちぎろうとした時、異変が起こった。
オーク鬼たちはその異変に気づいていなかった。

ただ、離れたところから、まるで虫けらのように地面に放り投げられたワルドだけが、その一部始終を見ていたのだ。

首が、浮いている。

投げ捨てられたルイズの首が、髪の毛と血管を触手のように伸ばして、宙に浮いている。

ワルドはその光景に恐れを抱かなかった。
むしろ、神々しいとさえ思えた。

ルイズの首に背を向けていたオーク鬼が、ブギッ、と短く悲鳴を上げた。
背中にはルイズの首からのびた血管が突き立って、びくんびくんと震えながら血を吸っているようだった。
隣にいたもう一匹のオーク鬼がその異変に気づくと、手に持っていた棍棒をルイズの首に振り下ろそうとした。
だが、その腕はルイズの首にではなく、地面へと落ちた。

ルイズの髪の毛がオーク鬼の腕にからみつき、文字通り握りつぶしたのだ。
突然のことに反応できず、失った腕を不思議そうに見つめていたオーク鬼だったが、次の瞬間には顔面に突き立った幾本もの髪の毛に血を吸われ、瞬く間に干からびていった。

684 :仮面のルイズ:2007/10/17(水) 13:09:11 ID:F/i+dcAD
「ビギイイ!」
「ゴフ、フゴオッ!」
残った二匹のオークが、ルイズの体から手を離した。
その瞬間、首のないルイズの体がびくんと跳ね起きて、オーク鬼の心臓を右手で突き刺した。

ルイズの頭からのびた血管が、体の首へと突き刺さり、二つに分かれていた体が一つになっていく。
「ビキイイイイイイ!」
悲鳴を上げて逃げようとしたオーク鬼が、背中を向けた瞬間、ルイズの腕がオーク鬼の背中に突き刺さった。
動きの止まったオーク鬼の体から、勢いよく背骨を引き抜きつつ、もう片方の手で血を吸っていく。

いつの間にか、ルイズの首は完全に再生し、傷跡一つ残されていなかった。

あたりにまき散らされたオーク鬼の血、肉片、干からびた体。

ワルドはただ、呆然とそれを見ていた。

空を見上げていたルイズが、髪の毛を書き上げて背中に流すと、全裸のまま堂々とワルドに近づいた。

地面にはいつくばり、ルイズを見上げているワルド。
見下ろすもの、見上げるものが逆になっていたが、ワルドは不思議と恐れを感じなかった。

ルイズはワルドの体を仰向けにすると、脇腹に指を当てて、ずぶりと突き刺した。
「ぐ…」
体の中に何かが侵入する違和感に顔をしかめたが、ワルドはそれ以上何も言わず、ルイズにされるがままになっていた。
指が引き抜かれた時には、肋骨から感じられていた痛みが消えていた。
次にワルドの足に指を差し込む、右足は単純骨折だったが、左足は複雑骨折になっており、一部は皮膚を突き破っていた。
慎重に、やり直しのきかないパズルを組み立てるように、骨の位置を調節していく。

しばらくすると、痛みこそまだ残っているものの、無理をすれば立てるぐらいにワルドの足は回復していた。
内出血が酷いため、ワルドの上着を脱がせてそれを破り、足に添えた添え木と一緒に巻き付けた。

ワルドはずっと黙ってそれを受けていた。
一通りの処置が終わると、ルイズは吸血馬の遺骸…といっても風化して砂になった骨だが、その中からかろうじて原形をとどめている短い円筒形の骨を拾い集めた。
その骨を手首と足首に差し込むと、ルイズの体は骨の分だけ伸びる。

さきほどより身長が5サントほど高くなっただろうかと、ルイズの姿を見ながらワルドが考えた。

「ここは戦場に近すぎるわ」
そう言ってラ・ロシェール方面の空を見る。
フリフォンや竜がラ・ロシェールの高台から飛び立ち、周囲を旋回しつつ警戒しているのがわかる。
ルイズは自分より背の高いワルドを背負い、森の奥へと足を進めていった。

ルイズの背に揺られながら、ワルドがつぶやく。
「なぜだい?」

その一言には、ワルドを殺さなかったこと、石仮面と呼ばれている傭兵の存在、そして吸血鬼化した理由など、思いつく限りのすべての疑問が込められていた。

それが何となく感じられたから、ルイズは短く、一言だけ答えた。
「運命が残酷なのは、貴方だけじゃないわ」

背負われているワルドからは、ルイズの表情は見えない。
ルイズは歩きながら、ほんの少しだけ、涙を流していた。




To Be Continued→

685 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/17(水) 13:09:55 ID:utfw7mUY
支援

686 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/17(水) 13:16:37 ID:CCnoJVvt
果てしなくGJ

687 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/17(水) 13:16:49 ID:UbdQbfw7
支援するのも忘れて読みふけってしまいました。
お美事でございます。

688 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/17(水) 13:17:22 ID:U/1gayZf
仮面の方……マジで泣いてもいいですか?GJ……うぅ

689 :仮面のルイズ:2007/10/17(水) 13:18:56 ID:F/i+dcAD
投下したッ!
おマチさんとアニエスさんはギャグシーンが似合うと思う。

690 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/17(水) 13:30:01 ID:utfw7mUY
GJ
仮面さんがきてるじゃないか、取りあえず支援だーって
書き込んだら、投下が終わってました……


691 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/17(水) 14:06:00 ID:n6faLBvV
支援するっ!と思った時には、スデに投下は終わっていたんだッ!

マジで仮面氏GJです!やべ……目から変な汁が垂れてきた。続きが無茶苦茶気になるぜ!

692 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/17(水) 14:16:51 ID:pTRZScyd
あぁ!分かった言ってやるよ!僕だって感動したさ!悪いか?えぇ!!

693 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/17(水) 14:23:02 ID:009e2BPZ
GJ!
果てしなくGJ

694 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/17(水) 16:36:46 ID:X8euTrJI
昼は投下が無い。そう思っていた時期が私にもありました。仮面GOODJOB!!

綺麗なワルド、生還。これはルイズといいカップルになりそうな予感。
シエスタ、なりふり構わない姿は人間らしいが、波紋が認められるか怪しくなってきた。
世界で一番優しい吸血鬼ルイズ、アニSとおマチさんとデルフと合流できるのか。

695 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/17(水) 16:43:45 ID:+er86xyJ
仮面の作者さんGJ!

696 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/17(水) 16:58:15 ID:/AD+V/87
GJ!
シエスタと会う時が不安だ・・・

697 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/17(水) 18:21:09 ID:2cyiW2Xj
仮面氏GJ!!

ルイズがグールを造らない代わりに
シエスタが波紋戦士を増やしていくんですね?わかります!

698 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/17(水) 18:32:58 ID:GNFNRBal
GJ、しかし、ひとつ言っていいでしょうか?
『ルイズが服を着た形跡が無いのだが?』

699 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/17(水) 18:51:59 ID:ij8HvTts
眼が見えねぇ…
眼から熱い汁が流れてるんだぜ
つまりはGJ!ってことさ!

700 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/17(水) 18:56:48 ID:utfw7mUY
>>698
裸マントは吸血鬼のお約束さ

701 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/17(水) 18:57:05 ID:9uVtBGnP
待ち焦がれていましたGJ!ルイズもシエスタも突然強大な力を
得てしまったんだなあとしみじみ感じる今日この頃

702 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/17(水) 19:22:59 ID:wVamDLR0
馬…さすがに骨からの復活は無かったか
シエスタ、ずっと自分で走っとけば良かったんじゃね?
と、もう一頭にも黙祷しつつGJ

703 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/17(水) 19:31:09 ID:n6faLBvV
そういえば、アニ・ド・Sとマチルダって同い年なんだな。
マチルダさんは作品によっては恋する女だが、アニ・ド・Sさんは……

704 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/17(水) 19:36:08 ID:jw73+BtB
アニエスは自分のことでいっぱいいっぱいだからな

705 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/17(水) 19:40:39 ID:BE/rHVyp
目玉がふやけるくらい泣いた!GJ!

そしてフーケ姉さんとアニエスの邂逅というレア展開に期待

706 :アンリエッタ+康一 ◆3D2JBRgybs :2007/10/17(水) 19:42:15 ID:U/1gayZf
短めですが50分から投下します

707 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/17(水) 19:42:49 ID:HFPL0Why
アニSさんの恋愛物が見たけりゃ、
エロパロ板行くといいんじゃね?


708 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/17(水) 19:43:38 ID:qeVgzdpX
アニM来た

709 :アンリエッタ+康一 ◆3D2JBRgybs :2007/10/17(水) 19:50:06 ID:U/1gayZf
世界は変じる。どんな些細な事であろうと、その流れは緩やかだが、停滞することなく進んでゆく。
たとえ昨日までと同じ朝日を拝んだとしても、世界は新しき日常に埋もれる。
それが人の在り方でもあり、生きる意味にも繋がる。
そうやって世界は廻り、昔日を積み重ねてきたのだから。

アンリエッタの居室に集まっての、あの夜の会合から数日が経過していた。
康一は会合の終わりで酔いつぶれ、生まれて初めての二日酔いというものに苦しんだ。
だがさすがにそれから頭痛も無くなって、心行くまで空気の清清しさを実感したものである。
しかし治るまでの一日の間に、もう軽々しく酒は飲まないと心に決めたが。

そんな康一の生活する王城だが。今日はいつもと違い、慌しい空気が多分に含まれていた。
潮が満ちるように人が溢れては、潮が引くように人が去ってゆく。
溢れる者は皆忙しそうに動き回り、その行動が生み出すエネルギーが他の者へと伝播し、更に活気を生んでいた。
その繰り返しが今日の城の中を駆け巡り、一時とて同じ風景のない世界を作り上げているのである。

「こーゆーのって、何か見てるだけでウキウキしてきません?」
康一が実に楽しそうな声で言った。
「確かに。何か理由がある訳ではないのですが、見てると自然と楽しくなってきますわね」
アンリエッタも城の奉公人達が、小走りに走り去ってゆく姿を見ながら微笑んで言う。

本日はかねてより準備していた舞踏会の開催日。
舞踏会。いわゆるパーティー、つまりお祭りみたいなモンである。
康一の気分は何だか文化祭とか、近所のお祭りだとかの準備を見ているようなものだ。
実際縁日の屋台が匂わせてくるような、舞踏会で出すらしい料理のいい匂いがプンプンしている。

祭りは始まる前が最も楽しい。それは世界何処でも共通のこと。
皆とこれから始まる楽しみを想像して、それが実現することが人はとても楽しいのである。
何故楽しいのか自分達でさえ分からないことな訳だが、それでも楽しいものは楽しい。
だから活気に溢れるその光景を見ているだけでも、何だかワクワクと胸がうずいてしまうのだ。

現在、アンリエッタと康一は舞踏会の会場となる広間にいた。
広間のそこかしこには装飾が施され、過大なほど華美に彩られた空間が視界を埋め尽くしている。
もちろん普段も一国の主が住まう城ゆえに、それに相応しい環境が維持されているのだが、今日は桁が違った。
今晩開催の舞踏会にはトリステインの有力貴族・名のある実力者などの豪華な面々が顔を揃える。
その面々を迎え、もてなす為の用意がこれであった。

710 :アンリエッタ+康一 ◆3D2JBRgybs :2007/10/17(水) 19:51:21 ID:U/1gayZf
しかし康一は少々残念そうな顔をしている。
「でもヤッパリ準備を手伝わせてはくれないんですよね〜。イヤ、分かってはいるんですけど」
自分もお祭り気分に浸りたいと康一は思うのだが、周囲がそれを許してはくれない。
使い魔である康一は、立場的にアンリエッタの傍にいなくてはならないのだ。
そもそも一国の姫のたとえ平民だろうと使い魔を、城の奉公人達は手伝いに使おうなどとは絶対考えもしないだろう。

それほどの権威をアンリエッタ、その後ろにある王室は持ち合わせているのだ。
「でもわたし、そういう雑事は一切やったことがないので少しやってみたい気がしますわ」
アンリエッタもちょっぴり残念そうな表情をした。
康一から見えるその横顔には、普段あまり見せる事のない年相応の少女らしい柔らかさが見て取れる。

いつもは姫としての顔で生活しているアンリエッタが、こういう表情を人前で見せる事は珍しい。
知らず知らずの内に自然な顔を出す少女がそこにいた。
康一は自分が少しはアンリエッタの役に立てたのかなと思う。
このたくさんの悩みを抱え込む彼女の役に。

康一も短い期間だが城の中で生活するに従って、アンリエッタの柔な双肩に掛かる大変な重圧に気が付いていた。
自分をハルケギニアに召喚した女の子は、大変な荷物を生まれながらに背負った人なのである。
そして彼女自身それを重荷に思っているところが、無きにしも非ず。

国を代表するような立場というのは、想像の及ばぬほどに重いのだろう。
ハッキリ言って康一には無理だ。最後まで続けられる自信はないし、その覚悟もない。
普通の少年少女ならそれが当たり前だ。だがアンリエッタは普通ではない。
否、「普通」を求められてはいないのだ。

トリステインの象徴として大きな力を持たされ、代わりに当たり前を失った女の子。
姫という立場は危険も多いだろう。
実際に康一が召喚された、まさにその日に命を狙われもした。
後から聞いた話しでは、そんな大事件は早々ある訳ではないらしいが、それでも危険であるのは間違いない。

しかしそんな事があっても、姫の立場を降りることは許されはしない。
元々降りるための階段は何処にも架かっていないので、その選択肢さえも生まれついて無い。
だからといって同情している訳じゃあないが、やはり康一は困っている人を放っておけない性格なのだ。
博愛主義なんかじゃあなく、ただとてもアンリエッタが良い人だから。

711 :アンリエッタ+康一 ◆3D2JBRgybs :2007/10/17(水) 19:52:34 ID:U/1gayZf
ちょっとした事でいい。アンリエッタがほんの少しだけでもいいから、お姫様であることを忘れてほしい。
杜王町で友達とダベるような、バカな話でもしてみよう。それとも一緒にチェスやゲームでもやってみようか。
彼女にはそんなちっぽけな事が必要なんだ。
そんな事で気持ちが楽になるなら、康一は幾らでもしようと思う。

とりあえず手始めに何からやってみよう?
「さっきから今晩の舞踏会に出す料理のいい匂いがしてて、何かお腹が空いてきちゃいましたよ。
ちょっぴりつまみ食いしに厨房へ行ってみません?」
康一はそう悪戯っぽく言ってみた。ちなみにお腹が空いてきたのは本当だ。

そんな食い意地の張った康一に、アンリエッタは苦笑した。
「つまみ食いなどしなくても。コーイチさんが厨房に行って、食べさせてくれと頼めば食べさせてくれますよ?」
「違いますよ。つまみ食いだからいいんじゃあないですか。何となくシテやったって感じがいいんです」
あらあら、とアンリエッタは再び苦笑してしまう。

しかしそんなアンリエッタだが強く止めはしないようで、意外と乗り気な感じである。
「でもつまみ食いといっても、どうやって気付かれずに食べるのです?
厨房にはたくさん料理人がいて調理をしています。誰にも気が付かれないのは不可能ですよ」
そしてどうやってつまみ食いするかまで決め始めた。

元々おてんばなアンリエッタで、日頃の苦労で溜まったストレスもあるのか、結構ノリノリである。
「エコーズを厨房に送り込んで取ってくるのもいいんですけど、それだと面白みがない気がするなァ〜。
とりあえず厨房の近くまで行ってみて作戦を練りません?」
アンリエッタが頷き、それに同意した。

「舞踏会が始まるまで、まだ少々時間があります。では行って見ましょう」
そう言ってアンリエッタが厨房の方へ歩き出し、康一も後に続く。
「どうせなら、僕はお肉が食べたいかな〜」
「わたくしはフルーツにしておきます。………それに食べ過ぎると、これから着るドレスが」

最後の方は康一にも聞き取れない、ちっちゃな声でアンリエッタは呟いた。
主人としても女の子としても、そんなことを聞かれたら赤面モノである。
実に乙女チック。だが中々男の子にはそーゆーのは伝わらないものだが。

そんな感じで二人は談笑し続けながら廊下を歩いてゆく。
年頃の少年少女らしい、和やかな雰囲気を醸して。
二人の足取りはとても軽快であった。

712 :アンリエッタ+康一 ◆3D2JBRgybs :2007/10/17(水) 19:53:47 ID:U/1gayZf



ソコは薄暗く、湿気を肌で感じる場所であった。

誰もいない、いるのはこれから人に呑まれゆく運命の物達。
彼らは何も言わずに、光も差し込まぬソコで静寂を保つ。
この場所は彼らにとっては最高に居心地のよい場所であり、文句を言う筈もないのだ。
そもそも口はあるが、喋る為の口ではない。

カツン。カツン。カツン。カツン。カツン。

音がした。硬い音だ。硬い物同士が当たってする音。
断続的にする音がソコを目指して響いてくる。
この暗い世界と相まって想像力豊かな者なら、深き淵から響いてくるような錯覚をおこすかもしれない。
カツン、と最後に一つ。音は響いて消えうせた。

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

そしてボンヤリとした光が差す。薄い光だ。
どうやら扉が開いたらしい。そしてその扉を開けた人物がソコに入ってきた。
人物の手には光の源であるランプ。
ランプの揺らめく光が、この場所にいる物達の姿を描き出した。

一面に広がる棚の群れ。そしてその棚にしっかりと置かれた瓶。
大小幾つもの瓶が一面に保管され、眠りについていた。
そして明かりを持った人物は、少し眺めるように棚を見てから歩を進める。
再び、カツン、カツン、と硬い音が響く。

だが今度の音は短いものとなった。その者はすぐに足を止め、一つの棚を見る。
その者が見つめる棚には二十数本の緑色の瓶。
瓶に張ってあるラベルは、その者が探す品物であることを指し示す。
ランプが瓶を見つめる者の手から離れ、床に置かれた。

そして空いた手で懐を探り、すぐに手は懐から抜けいでる。
何かが手に握られていた。キラリ、と握られた物が光る。
さらにもう一度手が懐に潜り込む。

713 :アンリエッタ+康一 ◆3D2JBRgybs :2007/10/17(水) 19:55:13 ID:U/1gayZf
今度は別の物を取り出したようだ。あまり大きくもない透明な小瓶。
しっかりと蓋がされており、中には無色の液体が納められている。
その者は先に取り出した物の端の細長い部分を掴み、引っ張った。

スポン、と音がするように先の部分が取れ、取れた部分の下に鋭く細長い物があった。
ランプの明かりで映し出されるソレは、刺し貫く為に生まれた針。
針に繋がる部分は、また細長い筒の形状。
注射器であった。先ほど取った物は、針に付けたカバーだったようだ。

注射器。小瓶に入った液体。そして棚に収められた瓶。

棚の緑の瓶がこれから起こることを予見してか、小さな気泡を悲鳴を上げるが如く吐き出す。
その者が手に持った小瓶の蓋を開けた。
小瓶に入っている液体に、注射針を浸し、それを吸い上げる。

その者は棚に向き直り、緑色のシャンパンが封印される瓶を見つめた。
注射器を片手に持って、もう一方の手でシャンパンの瓶を掴む。
液体で濡れた注射針がランプの明かりを浴びて、妖しく光った。

祭りは始まる前が最も楽しい。納得するような理由は無いが。ただ、そういう事なのだ。
カツン、カツン、と足音が。誰もが気が付かぬ静かな唸りを上げている。
硬く、重く、暗い、悪意の足音は。アンリエッタと康一。

二人の背後からヒシヒシと、緩やかに、停滞する事なく近づいていた。

714 :アンリエッタ+康一 ◆3D2JBRgybs :2007/10/17(水) 19:58:03 ID:U/1gayZf
投下完了
今回はちょっと繋ぎ部分なので短いです
それと注射器の事を調べたら割と近世の発明品だということで、
出すかどうか悩みましたが簡単な物でも銃があるので、出してしまえといった感じでだしました

715 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/17(水) 20:05:41 ID:F/i+dcAD
し、支援しようと思ったときには投下が終わっていた…
注射器で混入されるものというと、避難所でもアレでナニな例のクスリしか思い浮かばない。
乙です!

716 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/17(水) 20:08:11 ID:7MANU9ot
つまみ食いがどうのから注射器なんて言われるとドーピングでコンソメなスープが脳裏をよぎる
GJ!


717 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/17(水) 20:25:06 ID:pUb8OoYV
フゥ〜フゥ〜クワッなアン様とな!?

718 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/17(水) 21:11:46 ID:9uVtBGnP
アン+康GJ!
ところで朝オカルト板見てたせいで仮面シエスタの疾走シーンが
某高速道路の都市伝説っぽく脳内で再生されて困っている

719 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/17(水) 22:13:14 ID:Lq4HYxcA
GJ!!

>>716
「静脈注射してもいいようなスープ」は荒木の短編、「バージニアによろしく」の方がネウロより先なんだぜ。

720 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/17(水) 22:35:37 ID:7MANU9ot
>>719
実はそれ前から気になってたんだがそれ単体で単行本とかあるのかな
それとも短編集とかに収録なのか?

721 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/17(水) 22:47:37 ID:8QVi9upy
ゴージャスアイリンに収録されてるよ

722 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/17(水) 23:08:26 ID:7MANU9ot
>>721
サンキュー
ゴージャスアイリンに入ってたのか
知らずに探してた
……ざっと一年探して未だに見つからないんだけどね

723 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/17(水) 23:16:09 ID:i4A8ui2I
>>721
ゴージャスアイリンの愛蔵版持ってるけど静脈注射云々は書かれてないよ
それは「変人偏屈列伝」の方じゃないか?

724 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/17(水) 23:27:24 ID:8QVi9upy
>>723
そんな馬鹿な、俺のにはちゃんと載ってるぞ

725 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 00:27:46 ID:OBFEq5iO
ずいぶん遅くなったがお二人ともGJ!
仮面ルイズときれいなワルドに全俺が泣いた。
あとデルフとおマチさんとアニSさんが非常に気になる。ギャグ的な意味で。

そして康一ときれいなビッチことアンアンに和んだ。
が、このままじゃ終わりそうにないようで。
どっちも次回にwktkするしかないぜ。

726 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 01:08:31 ID:LvidlrVT
誰も居ないな? よし、15分に投下だ!

727 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 01:13:32 ID:DjlKlPvR
なんという投下ラッシュ

728 :ゼロいぬっ!:2007/10/18(木) 01:16:49 ID:LvidlrVT

宮廷の一角、そこに魔法衛士隊の宿舎は存在した。
もっとも宿舎といっても衛兵のものとは比較にならないほど立派な物だ。
主に王族の警護を務めているのだから宮廷の傍にあるという訳だ。
それに外部の人間との接触を絶つという目的もあるのだろう。
単純だがつくづく合理的だと感心しながら宿舎の扉をノックする。
「こほん」
モット伯の秘書が軽く咳払いして呼吸を整える。
主人を(半強制的に)休ませた後、彼女は詰所に立ち寄った。
とてもではないがマザリーニ枢機卿との会談は不可能。
だがワルド子爵の他に思い当たる人物はほとんどいなかった。
優れたメイジならば何人もいるが、それは強さと同義語ではない。
たとえトライアングルのメイジでも戦い慣れした傭兵に討ち取られる事だってあるのだ。
そういった意味で実力のある者はトリステインには数えるほどしかいない。
しかし『烈風のカリン』しかり『閃光のワルド』しかり、その数名が抜きん出た者達である事が多い。
多くのメイジに恵まれているが故に、中にはそういった突出した才の持ち主が見つかるのだ。
だが逆にその陰に隠れて平民の実力者が見つけにくいのも事実。
眠りに落ちる前にモット伯が指名しようとしていた人物は見つからなかった。
探しようにも名前さえ分からず特徴も不明瞭、そもそもその特徴というのが…。
「…けしからん乳ってなんですか? 私へのあてつけですか?」
泣きそうな声で呟きながら自分の胸に手を当てる。
視線の先に広がるのは丘無き平原。
同世代の人間と比べる度に落ち込まざるを得ない。
まあ、そのおかげでオッパイ好きなモット伯の毒牙に掛からなかった訳なのだが。
「あの、父が何か?」
「ひゃん!?」
突然、背後から掛けられた声に悲鳴を上げる。
振り返るとそこには厳しい顔つきの男性が立っていた。
彼もまさか声を掛けただけで驚かれるとは思っていなかったようで、
すまなそうにこちらに視線を向けてくる。。
「ああ、すみません。脅かせるつもりはなかったのですが…」
「い、いえ、こちらこそボケてたみたいで…あの衛士隊の方でしょうか?」
「はい。グリフォン隊で副長を務めさせて貰っておりますが」
副長と名乗った男の言葉を反芻する。
グリフォン隊、ワルド子爵が隊長を務める部隊だ。
彼女は枢機卿を通さず、直接本人にコンタクトを取ろうとしていた。
そして彼を説得し、密偵としての任務を果たして貰うつもりだった。
本来はあまり宜しくない行為だが、それも止むを得ない。
ゲルマニア皇帝との婚姻が迫る中、王宮の護衛を手薄にするのは危険だ。
しかし、水面下での見えない動きを放置する訳にはいかない。
「私、モット伯の秘書を務めておりますが、主人からの伝言があります。
グリフォン隊隊長のワルド子爵に至急お取次ぎ頂きたいのですが」
私の言葉を聞いた副長が眉を顰める。
やはり宮中の人間といえど衛士隊に接触するのはまずかったのか。
しかし彼の返答は私の想像とは違っていた。
「申し訳ありません。隊長は今その所在が不明でして目下、隊員が捜索に当たっております」
「え…? 行方不明、という事ですか?」
「はい。マザリーニ枢機卿からも隊長に伝言があるという事だったのですが」
「…………」
おかしい。こんな時期に衛士隊が持ち場を離れるなんて。
何かの密命を受けた? それだったら枢機卿が知らない筈が無い。
まさか殺された? あのワルド子爵を何の痕跡も残さずに? 無理に決まってる。
幾つもの答えを否定する度に浮き上がってくる最悪の想像。
彼女は何故、モット伯があれほど懸命に危機を訴えていたのか理解した。
胸を締め付けるような嫌な予感。
これに駆り立てられたら何かせずにはいられない。
今、私の胸に湧き上がる恐怖、これがモット伯を突き動かしたのだ。


729 :ゼロいぬっ!:2007/10/18(木) 01:18:49 ID:LvidlrVT

窓も無い広めの荷馬車の中、やる事もないルイズは自分の日記を読み直していた。
日記を書くのは彼女の習慣であり、厚めの日記帳には彼との出会いまで記載されている。
それをペラペラ捲りながら考える。
ルイズは他の学生では考えられない程の体験をしてきた。
時には命の危険さえ伴ったが、それでも今回の件と比べ物にはならない。
初めて与えられた任務、それに懸ける意気込みは人一倍だろう。
しかし、これから踏み込む場所は文字通り戦場なのだ。
生きて帰れる保障などどこにも無い。
フーケのゴ−レムに踏み潰されそうになった恐怖、あの感覚が胸の奥から甦ってくる。
アンリエッタから貰った指輪をルイズはそっと撫でる。
それだけで姫様が励ましてくれる気がしてきた。
それを見ていたアニエスが仰天する。
彼女の視線の先にはルイズの指に嵌められた国宝『水のルビー』があった。
それはアンリエッタ姫殿下が肌身離さず持っている筈。
咄嗟に彼女の手首を掴み問い質す。
「何故、おまえが『水のルビー』を持っている!! 姫様から盗んだのか!?」
「な…なんて事言うのよ! これは姫様から貰ったの!
何かあったら売り払って旅の支度金にしなさいって…」
「デタラメを言うな! そんな物を国庫も通さずに売り払ってみろ!
即座に憲兵隊が押し寄せて裁判も受けられずに拷問後打ち首になるわ!」
「へ?」
キョトンとしたルイズの顔。
その表情はどう見ても自分が盗んだ物の重さに震える罪人ではない。
まさか本当に姫様があげちゃったのでは…、としきりに顔を顰める。
指輪とアニエスの顔を交互に眺めた後、アニエスに聞き返す。
「捕まるの?」
黙ってアニエスは頷いた。
しばらく沈黙が続いた後、ルイズは大声を上げた。
「ええーーー!? だって姫様は…」
「……やはりそうなのか。だが怨むな、あの方は良くも悪くも宮廷で生まれ育った身。
ちょっとばかり世間とは認識がずれているだけなのだからな」
天を仰いだ顔に手を当てアニエスは泣きそうになるのを堪える。
他にお金に替えられそうな物を持っていなかったからだろうが、
よりにもよって国宝を渡してどうするつもりだったのか。
今更、姫様に返しに行く余裕は無いし、姫様から彼女に与えられた物だ。
とりあえずミス・ヴァリエールに預かって貰う事にした。
この時、彼女は本気で『大丈夫なのか? この国』と思いつつあった。
ちらりと視線を横に向けると退屈そうにしてる使い魔が二匹。
ギーシュは自分から御者に志願した。
理由は簡単。アニエスと顔を突き合せたくないからである。
ルイズも御者は無理だろうからアニエスとの交代での行軍となる。
そうなれば最低限の接触だけで済むという彼の判断は正しかった。
しかし彼女は御者を交代する気はなく彼は既に半日以上、馬車を一人で走らせている。
本当なら馬車など使うつもりはアニエスには無かった。
馬が三頭あればそれで事足りるのだ。
それを使い魔を連れて行けと連中は駄々をこね始めた。
ならまだ使い道のあるジャイアントモールの方だけをと譲歩を示したのだが、
二人とも犬の方も連れて行けと言うのだ。
使い魔の安全を考えるなら置いていった方が確実なのだが彼女達は譲らなかった。
しかし、この犬を連れて行ってどうなるというのか、甚だ彼女は得心がいかなかった。

730 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 01:20:09 ID:3dbQqV/w
支援

731 :ゼロいぬっ!:2007/10/18(木) 01:21:22 ID:LvidlrVT

カラカラと車輪が立てる音を聞きながら、彼はあくびを押し殺した。
横ではアニエスが目を光らせていてあくびをする度に、
「このバカ犬、緊張感のかけらも無いのか。
全く主が主なら、使い魔も使い魔だな」という視線を向けてくるのだ。
いや、何回かは実際に口に出していたかもしれない。
ルイズと何度か口喧嘩してたのを目撃している。
アニエスは『メイジ殺し』と呼ばれる戦士とデルフから聞いた。
よく分からないがメイジを倒す事に特化した人間らしい。
つまり、穴熊猟のダックスフントや水鳥猟のレトリーバーのようなものだろうか。
それならルイズにとって天敵な筈だが彼女は恐れる様子は無い。
ああ、そうだった。ルイズは魔法が使えないんだった。
そして魔法が使えるギーシュは怯えている、とそう考えると納得がいく。
しかし、それを口に出さない程には彼はルイズの扱いに慣れていた。

ハッキリ言って馬車にはもう飽きた。
しかもこれから向かうラ・ロシェールはタルブ村の手前にあるという。
もう既に行きと帰りで二度も見た景色を楽しめる筈が無い。
食べる?とヴェルダンデから差し出された大ミミズを丁重に断る。
これがシルフィードだったら…と何度思った事だろうか。
あの風を切る爽快感。どこまで広がる世界を収める視点。
たとえ何度乗ろうとも飽きる事など無いだろう。
しかし、最近は主従共に姿を見せない。
それはキュルケとフレイムも同じだ。
今頃、彼女達は何をしているのだろうか?


「くしゅ!」
さすがに空の上で肌を露出するような格好は寒かったのか。
うー、と鼻をハンカチでかみながらキュルケは下を見下ろす。
そこには街道を疾駆する一台の馬車。
言わずもがなルイズ達の物だ。
それを学院から彼女達は付け回していたのだ。
彼女達と合流しようとタバサは風竜に低空飛行を指示した。
しかし、それをキュルケが止めさせる。
「どうして?」と問いかける彼女にキュルケは胸を張って答える。
「だって今行ったら暇だから遊びに入れてって感じじゃない。
それで追い返されたらどうするのよ? なんか極秘の任務っぽいし。
ここはもうしばらく様子を見てチャンスを待つのよ!
ルイズがいかにもなピンチに陥った時に都合よく現れて
“イーヴァルディの勇者”のようにジャジャーンと登場して“待ってました!”と間一髪助けるのよ!
そうすれば借りも返せるし、登場の仕方としては最高でしょ? ね?」
「………分かった」
しばらく考えてから私は頷いた。
大人しく従う私を彼女は“よしよし”と撫でる。
内心、友達の危機を期待するのはどうかと思うが、
そういう時に別行動をしていれば彼女が言うような事態にも対処できる。
それに借りを返したいのは私も一緒。
何より“イーヴァルディの勇者”というのが気に入った。
地上と空、二つに分かたれても彼女達は今もルイズ達と一緒だった。


732 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 01:21:56 ID:DjlKlPvR
支援

733 :ゼロいぬっ!:2007/10/18(木) 01:25:09 ID:LvidlrVT

彼が不意に外に視線を向けた。
外に誰かの気配を感じたのだが誰もいない。
日が沈み切り景色も何も闇に溶け込んでいる。
何でもこのままラ・ロシェールまで強行軍、食事と睡眠はそこで取る予定だという。
せっかくタルブ村で手に入れたアイテム『ドナヴェ』を試す機会と思ったのに。
なんでも『ドナヴェ』は焼き物の鍋らしく、長年使っている内にほとんどが熱で割れてしまうらしい。
だが、その年月を耐え抜き使い込まれた『ドナヴェ』は味が染み込んでおり、
それでお粥を作るだけで『ヨシェナヴェ』の風味を与える事が出来るという。
正にマジックアイテムも真っ青の名品である。
ああ、こうしているだけでも良い匂いがしてきそうだ。
『ドナヴェ』の匂いをフンフンと嗅いでみる。
その時、彼の鼻が『ある臭い』を捉えた。
それは自分が変身した時に良く感じるもの…『敵意』の臭いだ。
吠えるのはマズイ、距離が近すぎて相手にも気付かれる。
すぐさまソリに付けられたデルフに伝言を頼む。
「おい、気をつけな。この先に待ち伏せしてる奴等がいるってよ」
「……なんだと?」
デルフの警告にアニエスは即座に反応し、前の幕をわずかに開けて外を窺う。
既に日は落ち、目前には生い茂った森が広がっている。
奇襲を仕掛けるには絶好のポイントだ。
あながちデタラメではないようだと判断しギーシュに指示を出す。
「伏兵がいる可能性がある、馬車の速度をゆっくりと落とせ」
「…! 伏兵だって!?」
その言葉に驚いたギーシュが慌てて馬を止める。
敵の仕掛けた待ち伏せに入らないようにする為の行為。
だが、それは明らかな失策だった。
「バカ! 馬を止めるな!」
「え?」
何故アニエスが怒ったのか、ギーシュは一瞬理解できなかった。
しかし直後にそれを思い知らされる結果となった。
突然、森の中から飛来した何かが馬車の近くに叩き付けられる。
それは一瞬にして燃え上がり馬を混乱させた。
(……火炎瓶。こちらを燻り出す気か)
張り巡らせた待ち伏せの前で相手が突然止まったらどう思うか。
当然、罠に気付いたと判断し仕掛けてくるだろう。
しかも運悪く待ち伏せの外にあろうとも相手は攻撃できるだけの戦力を有していた。

734 :ゼロいぬっ!:2007/10/18(木) 01:26:36 ID:LvidlrVT

再び投擲される火炎瓶。
それは馬車の背後、退路に向かって放たれた。
もはや馬のコントロールを取り戻すのを待っている余裕は無い。
手に盾代わりになる物を掴んでアニエスは外へ飛び出す。
彼女の予想通り、馬車から出てきた相手を狙い打つ火矢。
それを彼のソリで受け止めて森の中に飛び込む。
火矢を使った為に矢の出所の見当は付いていた。
薄暗い森の中で次々と上がる賊の悲鳴。
それが途絶えた直後にアニエスから指示が飛ぶ。
「こっちだ! 幌を破いて横から抜け出せ!
馬車を盾にしながら森の中に身を潜めろ!」
既に片側の弓兵は仕留めた。
注意するべきは逆方向からの射撃のみ。
それを踏まえてアニエスは的確な指示を送る。
ギーシュも馬を駆るのを諦め、アニエスの指示に従い車内に戻る。
盾として配置したワルキューレも既に数騎失っている。
だが彼が無事で済んだのはそのおかげだ。
相変わらずルイズは逃げずに徹底抗戦を訴えているが聞く耳は持たない。
馬車の床板をワルキューレでブチ抜いてヴェルダンデを送り込む。
主の命を受け、すぐさま馬車と森とを繋ぐトンネルを掘り進む。
これで連中にはまだ馬車にいるように錯覚させられる。
すぐには森の中を探し回ろうとはしない筈だ。
そこに有無を言わさずルイズを押し込み、ギーシュも後に続く。
その彼の視界の端に移ったのはルイズの使い魔の姿。
「何しているんだ? 君も早く…」
ギーシュの声も届かない。
彼の視線は砕け散った焼き物の破片に集中している。
それは彼のソリに積まれていた『ドナヴェ』の成れの果て。
一度として味わう事なく砕け散った夢の残骸。
これは誰の責任だろうか?
馬車に『ドナヴェ』を持ち込んだ自分か?
それともソリを持って行ったアニエスか?
否。断じて違う!
悪いのは馬車を襲い主人に凶刃を突きつけた賊!
然るべき報いを食らわしてやるッ!
食べ物の恨みはどの世界共通で恐ろしいのだ!

馬車から躍り出た彼が吼えた。
それをギーシュが慌てて止めようとした。
彼の力は知っている。
だが、それはデルフがいるか瀕死に至った時だけ。
もしも即死したらどうなるかなど判らない。
その彼に一斉に射掛けられる火矢。
それを彼は見えているかのように避けた。
「な……!」
変身する前の彼はただの犬の筈だった。
それは以前の決闘で目にしている。
だが今の彼の動きはどうだ?
まるで変身する前と遜色ないではないか。
フーケとの時にも段々と強くなっていく姿を目撃したが、
あれでさえまだ彼の全てではないというのか。
まるで底の見えない強さ。
ギーシュは彼がいる事を心強く思っていた。
しかし今は違う、ただひたすらに怖い。
どこまでも際限なく強くなっていく彼が何よりも恐ろしいのだ…。


735 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 01:28:15 ID:DjyeqsnZ
投下中に吹く風という意味で…シ・エーンというのはどうかな!?

736 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 01:28:21 ID:BHoMBUZg
支援

737 :ゼロいぬっ!:2007/10/18(木) 01:29:29 ID:LvidlrVT

闇に紛れようと森に息を潜めようと彼の触角からは逃れられない。
彼は射手その全てを射程に収め、今度は自分から攻撃を繰り出す。
彼の全身から放たれる毛の針が一斉に賊の弓へと突き刺さる。
そして、それは音も立てずに燃え広がった。
目には目を、火矢には火矢をという意趣返しを込めた『シューティング・ビースス・スティンガー』!

突然の異常事態に混乱する傭兵達。
燃え広がる火に過剰反応する者、慌てて消そうとして火を広げる者。
弓を投げ捨てて他の武器で応戦しようという者。
その彼らの下に一斉にギーシュの攻撃が仕掛けられた。
「我が道を阻む賊どもめ。このギーシュ・ド・グラモンの魔法に屈するがいい」
武器を失った弓兵を包囲し生き残ったワルキューレが殴り倒していく。
実に嬉々とした表情で自分の活躍をアピールする。
その彼を狙って背後から賊が忍び寄る。
この混乱の中でも正常な判断を保った相手はいたのだ。
しかし彼等が剣を抜こうとした瞬間、真横から誰かが飛び掛ってきた。
先立って森に息を潜めていたアニエスである。
一瞬の内に剣に掛けた男の手を捻り上げ間接を極める。
そして、そいつを盾にしながら残りの連中に銃を突きつける。
「大人しく武器を捨てて腹這いになれ」
冷たく言い放つアニエスの声に男達は動けない。
銃に込められた弾は一発、全員で掛かれば勝てるだろう。
だが最初に動いた一人と盾になった男は確実に死ぬ。
誰も捨石などにはなりたくはない。
だが時間を掛ければ仲間が助けに来てくれるかもしれない。
その期待を込めて時間稼ぎをしようとした瞬間。
「ふむ。私一人ではお願いを聞けないそうだ。
おまえからも私に従うように頼んでくれないか?」
「あ……え?」
突然、アニエスに耳元で囁かれ盾にされた男が戸惑う。
こんな美人に甘い声を掛けられた経験など無い。
正しく天にも上る気持ちになった直後だった。
べキッと乾いた音が響き渡り男は身の毛もよだつ絶叫を上げた。
「うん、実にいい嘆願の声だ。これで従う気になってくれたか」
「…………………」
男達が次々と武器を捨てて腹這いになる。
従わなければ次は逆の腕、もしくは指を一本一本へし折っていく気だ。
とてもじゃないがそんな光景と悲鳴を前にして正気ではいられない。
彼等は悟った、世の中には決して逆らってはいけない相手がいるという事を。


738 :ゼロいぬっ!:2007/10/18(木) 01:30:58 ID:LvidlrVT

「よし、来たわよ! チャンス到来!」
キュルケが火の手が上がったのを見て叫ぶ。
すぐさまタバサに急速降下を命じたが彼女は動かない。
どうしたのか尋ねるキュルケに彼女は答える。
「…他に誰かがいる」
それはシルフィードからの警告。
自分達以外にいない筈の空に別の存在があると知らせてきたのだ。
それが何かまでは分からない、だが警戒すべきだと彼女は判断した。
シルフィードが進路を変える。
目指すは森の奥、未だ見えぬ相手へと向かう。

「はぁ……はぁ……」
息を切らせながら頭領は走る。
自分の部下がどうなったのか、どこまで逃げたかも分からない。
辺りに気を配る余裕を無くして頭上を風竜が追い越した事さえ気付かない。
頭領の男は歯噛みをしながら木に苛立ちをぶつける。
……話がまるで違う。
確かに相手は二、三人だったし、メイジの腕は大した事は無かった。
だが、あの犬は何だ?
随所に配した伏兵を事も無げに察し焼き払った怪物は!
あの男の出した条件の一つ、使い魔は必ず焼き殺すようにという指示。
その時は気にも留めなかったが今にして思えば明らかにおかしい。
奴は知っていたんだ、連れている使い魔が一番危険だという事を。
その上で俺達に伏せていやがったんだ。
「誰だ!?」
冷静さを取り戻した男が気配に気付き振り返る。
襲撃の相手ではない、気配は森の奥からしてくる。
殺意も敵意も無く、ただ悪寒が空気を満たしていく。
溜め込んだ唾を飲み込みながら注視する。
やがて、そいつは闇の中から月明かりの下へと姿を見せた。
美丈夫と言ってもいい顔立ちに腰に差した杖。
見覚えの無い顔だがその身形には覚えがあった。
「ま…まさか! アンタは!」
頭領を前に男は微笑む。
それを目にして頭領が凍りつく。
その笑いは仮面を捨てても尚、変わる事は無かった。
彼は理解した、この男は今も己の心に仮面を被り続けていると…。


739 :ゼロいぬっ!:2007/10/18(木) 01:32:45 ID:LvidlrVT
以上、投下したッ!
次回はワルドとルイズの婚前旅行!

740 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 01:34:29 ID:JnEUVPVF
支援だッ!

741 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 01:35:50 ID:DjlKlPvR
GJ!

742 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 01:36:06 ID:JnEUVPVF
お犬様GJ!
支援間に合わなかったよ…

743 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 08:41:51 ID:amspOGgM
モットの秘書女性かよ!?
モットに対してちゃんと秘書として仕えてたからダンディな執事みたいな人かと思ってた…
そしてアニS容赦ねぇwwwwww

744 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 10:18:08 ID:KQCnOrqu


http://www.youtube.com/watch?v=mtluQgZBhiU
http://www.nicovideo.jp/watch/sm774543

 ↑リアルスタンド使い



745 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 10:47:38 ID:hH9VtTfr
ゼロいぬgj!
アニエスさんといいモット伯といい苦労人が多いなあ

746 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 17:26:12 ID:kYccCruf
そろそろ次スレの季節ですかい?

747 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 18:55:26 ID:AC5h+w8S
げぇーっ、気が付けば残り10KBを切ってるだとォーッ!?
ここは>>750に期待するしかない。

748 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 19:18:28 ID:Grjd4I7a
建ててくる

749 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 19:25:52 ID:Grjd4I7a
無理でした

750 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 19:30:49 ID:hbUbKIJW
では俺が

751 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 19:44:17 ID:hbUbKIJW
駄目だた

752 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 19:50:01 ID:nSq8FjqR
jyaa
orega

753 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 19:55:52 ID:Eu1KwOMW
やっぱり序盤のスネイクと中盤の見えないの鬼投下でかなり容量を食ったみたいだな

754 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 20:01:55 ID:nSq8FjqR
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1192704728/l50


755 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 20:04:59 ID:AC5h+w8S
>>754乙、ディ・モールト乙!

756 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 20:12:59 ID:hOYeUvMx
埋めるべ

757 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 20:16:56 ID:Su6g15ah
エボニーデビルUME

758 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 20:33:24 ID:hbUbKIJW
         ┌――-- ....__     ____,,_
          | : : : : : : : : : : : : ̄フ三ニ__≠ニ_;彡イ
           |: : : : : : : : : :    {〃//\/\,.ィ′
            | : : : : : : :       Y´         |     ヘブンズドアーーッ!!
          :|: : : : : :        トイ^lヘ/\/∨
           :| : : :           〉.!リ ヽミ ミ ミ:ソ      このレスを見た住人は>>754に乙しつつ
         |: :          ∠ソ!}丶,.ニ=-(__         このスレを僕のAAで埋め尽くす!
          |  _         / Lノ/_.ニ"- ┴'フ⌒\
       ,.イレ' ノ          / ┌'/´     /,    ヽ
        ||  イ       _// ,'        // {    ヽ ,ノ
       .イ-‐ '''' ""~ ̄ r'7′ l      ヽヽ.〉ノ   |八
      彡 へ       ノ〈   l   ,. -‐'''_二=〉     | }
     /彡   〈/    /ヘ. ヽ   ヽ/  '"´   |     |,ム
     /|/   彡  / ==ー \ / `l、,.     |     ヽ!
      /|/   〈 ノ     __ニ-└┐ ハ ,. '"´ノ.|       }
      /〉  ,ィイ{  ,_, -''"/     ヽ ∧ /  `)    ノ八-、_
        X/  '   /フ′      .〉  V    ヽ、     ヽ   ̄\―ュ__


759 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 20:38:37 ID:3+qrMS4F
500kbいくなんて初めてじゃないか?

760 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 20:38:59 ID:ier3W+MD
>>758
             ___,,,,,..... -一ァ
         / ̄;;;´;;、;;;ヾ;;;, -──--、,!
.        /'´|;;;;,、;;;;;;;;;;/      ,!
.         /:.:.:.レ´:.ヾ;;;;;;i   断  だ ,!
       /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヾ;i  る  が ,!
.      /:.;.イ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..ヽ       ,!
.       /レ' ;|:.:.:.:.:.:.:,:ィ:.:.:.:〉 __,.,!
     /-、ヽ,:|:.:.:,/ /:.:.://.:,:ィ:.:.:.,!
      /'ヽ、ヾi ゙´.:   /__;:;:-'"´ ,;|:.:.:.,!
.    /ゝ-`';:/ .:〈ニ=-=ニ二 ̄ヽレ',!
   /::::;;;;;/  ' ,, ニ`ー-,、__\〉ィ,!
.   /;:::::/ ::.    ::.,,\_ゞ;'> 〈;,!
  /i!:::::iヾ-'、::..       '';~ ,;:'/,!
. /;;;i!fi´l_、,.`        .: ,;:'  ,!
/;;;;;i' ('ー、ヽ      ..: ,;:''   ,!
ヽ、jゝ、`ヾ:、゙、   ,..:'.:'"    .: ,!
   ``ヽ.、_ ¨`  ,:'      (_r:,!
       ``ヽ.、..    ノr;ソ~,!
             ``ヾ、 / 7,!
                 ``ヽ,!

761 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 20:39:08 ID:AC5h+w8S
>>758
             ___,,,,,..... -一ァ
         / ̄;;;´;;、;;;ヾ;;;, -──--、,!
.        /'´|;;;;,、;;;;;;;;;;/      ,!
.         /:.:.:.レ´:.ヾ;;;;;;i   断  だ ,!
       /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヾ;i  る  が ,!
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.       /レ' ;|:.:.:.:.:.:.:,:ィ:.:.:.:〉 __,.,!
     /-、ヽ,:|:.:.:,/ /:.:.://.:,:ィ:.:.:.,!
      /'ヽ、ヾi ゙´.:   /__;:;:-'"´ ,;|:.:.:.,!
.    /ゝ-`';:/ .:〈ニ=-=ニ二 ̄ヽレ',!
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ヽ、jゝ、`ヾ:、゙、   ,..:'.:'"    .: ,!
   ``ヽ.、_ ¨`  ,:'      (_r:,!
       ``ヽ.、..    ノr;ソ~,!
             ``ヾ、 / 7,!
                 ``ヽ,!

762 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 20:40:08 ID:33UWa6VH
>>754
スレ立て乙の波紋疾走!

763 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 20:40:20 ID:AC5h+w8S
>>760
馬鹿な……『キッス』のスタンド攻撃を喰らっているのか!?

764 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/18(木) 20:42:52 ID:3+qrMS4F
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無     駄無   駄無    駄 無駄無 駄     無
駄無駄無             駄 無駄無駄 無駄 無 駄無 駄 無駄 無駄 無駄 無
無駄無駄             無 駄無駄無 駄無 駄 無駄 無 駄 無駄無 駄無 駄
駄無駄無             駄     無  駄無 駄 無駄 無  駄無駄無    駄無
無駄無駄             無駄無駄 無 駄無 駄 無駄 無 駄 無駄無 駄無 駄無
駄無駄無             駄無駄無 駄 無駄 無 駄無 駄 無駄 無駄 無駄 無駄
無駄無駄             無     駄無   駄無    駄 無駄無 駄     無駄無
駄無駄無 \         / 駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無
無駄無駄 | \      / | 無駄無駄無駄無駄無駄 無駄無駄無 駄 無駄無駄無駄無駄
駄無駄無 (  \   /   ) 駄無駄無駄無駄無         駄無 駄 無駄無駄無駄無駄
無駄無駄 | \  \/  / | 無駄無駄無駄無駄無駄  無駄無駄無駄無駄無駄無駄   無駄
駄無駄無 \C ̄| | | ̄C/ 駄無駄無駄無駄無駄無  駄     無駄無駄無駄無駄   無駄
無駄無 ((\  ̄ ̄||| | ||| ̄ ̄/))))無駄無駄無駄無駄  無駄無駄無駄無駄無駄無駄無   駄無
駄無駄無| | ̄ ̄\|/ ̄ ̄| / ̄ ̄ ̄ ̄\無駄無駄  無駄無駄無駄無 駄 無駄無駄   無駄
 ̄ ̄ ̄ ̄| |          |/ ̄ ̄ ̄ ̄//⌒⌒ーヽ無駄 無駄無駄無駄 無 駄無  駄  無駄
 ̄ ̄ ̄ ̄| |  <⌒⌒>  / ̄ ̄ ̄ ̄/        \無       駄無駄無駄無  駄無駄無駄
 ̄ ̄ ̄/ |    ⌒⌒  / ̄ ̄ ̄ ̄/           無駄無駄無駄無駄無駄無  駄駄  無駄
 ̄ ̄/   | \( ̄V ̄)/ ̄ ̄ ̄ ̄/            無駄無駄無駄無      駄無駄  無駄
 ̄/ ⌒ |   \_// ̄ ̄ ̄ ̄/  ノ           無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無

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