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あの作品のキャラがルイズに召喚されました part59

1 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 12:29:50 ID:n9Bppxee
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。

前スレ
あの作品のキャラがルイズに召喚されました part58
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1189772731/
まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/
避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/
--------------------------------------------------------------------------------

    _              ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
    〃 ` ヽ  .   ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
    l lf小从} l /   ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
   ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,.   ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
  ((/} )犬({つ'    ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
   / '"/_jl〉` j,    ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
   ヽ_/ィヘ_)〜′   ・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!
              ・議論や荒らしへの反応は、避難所でやりなさい!

--------------------------------------------------------------------------------
     _
     〃  ^ヽ      ・クロス元が18禁作品であっても、SSの内容が非18禁である場合は本スレへの投下で問題ないわ。
    J{  ハ从{_,     ・SSの内容が18禁な展開をする場合はクロス元に関わらず、本スレではなく避難所への投下をお願いね?
    ノルノー゚ノjし      ・クロス元が型月作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
   /く{ {丈} }つ     ・クロスはお互いを尊重しなきゃだめ。一方的なのはモテないわよ?
   l く/_jlム! |      ・不要な荒れを防ぐには、sage進行もいいんじゃないかしら。
   レ-ヘじフ〜l         ・次スレは>>950から。お願いね?テンプレはwikiの左メニューを参照よ




2 :前スレ949:2007/09/16(日) 12:34:16 ID:2VnAZWxB
>>1乙〜
危うく俺だったww

3 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 12:48:42 ID:KqWZN5Mp
1乙なのですよ

4 :前すれ998:2007/09/16(日) 12:54:26 ID:n9Bppxee
ちくしょおおおおおおおおお!
後4秒後なら1000取れたのにぃぃぃぃ999と結婚してくるぜ。

5 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 12:55:27 ID:tuPiy3Vw
>>1
そしてどうやら前スレ1000に呪われたようだ・・・

6 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 12:55:51 ID:2VnAZWxB
前スレで1000取った人は、以前5連続とか言ってた人じゃないか?

7 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 12:55:52 ID:36V+zJAK
でも、アニメ版あずまんが大王は原作者が否定的な評価を下してるんだよな。
だからよつばともアニメ化させる予定は無いとか。

8 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 12:56:26 ID:HJYOkgq5
しっかし前スレの>>950から後の連中は1000取りの名目で言いたい放題だなw
よくある事とはいえ酷いもんだわ

9 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 12:56:26 ID:xr5X1lfM
ちっちぱいぱんちっちぱいぱんぱいぱんちぱいぱん〜♪

10 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 12:57:35 ID:RHvLHq8W
>>6
確かに私が(ry

リロードしたら変なAA出てきたせいで2秒ほど思考停止したw

11 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 12:58:50 ID:GU/maqlH
>>986
あれは酷かったな、声優も微妙に外した人選だったし
隊長に玄田哲章使わないとは…

アニメ化して良かったと思ったのは最近ではうたわれるものかな
上手くスリムに纏めたと思った、大封印も原作より派手にやってくれたし。

12 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 13:05:39 ID:HfuYhzHB
スタッフを責めないでやってくれ。みんな寝ないで頑張ってるんだ。
悪いのはスケジュールと金だ。それが全てなんだ。

13 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 13:05:57 ID:qplbOGwk
>>11
確かにうたわれは良かったな
トウカ人形事件が無いのは頂けないが

14 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 13:06:41 ID:nJtbfOLo
ナルトのアニメ版とかいいんじゃないか?
原作があれな割に頑張ってる気がする

15 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 13:07:54 ID:bEqZJZF7
>>13
DVDの特典になかった?

16 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 13:08:32 ID:ypQA/bU/
大事なこと
1乙

17 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 13:10:22 ID:qplbOGwk
>>15
あったっけ?
>>16
そうだった
>>1

18 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 13:10:48 ID:KuGtZVJW
アニメの月姫もヘルシングも吸血鬼モノとしては中々面白い作品ですよ。

19 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 13:12:09 ID:n9Bppxee
ちょっとスレ違いになってないかい?話題。

20 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 13:12:34 ID:bEqZJZF7
>>17
あったよ。
一時期ニコニコにもアップされてた
まだあるかな?

そして>>1

21 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 13:14:51 ID:fxSR8xbR
>>20
お前は半万年ROMれ。

22 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 13:15:22 ID:qplbOGwk
>>20
そうか、少し漁って来る
>>19
確かに、そろそろ自重するか

23 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 13:15:41 ID:RHvLHq8W
そうだった。大事なことを忘れていた
>>1

24 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 13:16:42 ID:wHAzWyAV
>>18
桜美乙

25 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 13:18:16 ID:ESFpYAwt
>>1

ところで、瞬間移動って気を探ってその対象の所へ飛ぶんじゃなかったか?
誰も居ないところへ飛んだ描写ってあったっけ?

前者があっていたら知り合いの気が見当たらないから帰れないってことでOKだと思う

26 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 13:18:23 ID:X5E84m4f
>>24
>>18はたぶん吸血鬼モノは吸血姫美夕しか見たことが無いんだよ

27 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 13:20:37 ID:xm2YAb/4
最近の吸血鬼ものなら、ロザリオとヴァンパイアが好きかな?

28 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 13:23:20 ID:hNsBcMo8
>>1
>>25
知ってるところに……じゃなかったかな?

29 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 13:23:44 ID:tuPiy3Vw
投下してもいいかな?
小ネタで終わるか続くか微妙なんだけど・・・

30 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 13:26:18 ID:rXlTesha
かもーん!

31 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 13:26:21 ID:t7QTBYNa
>>1

何も考えず走れ!投下するんだ!

32 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 13:27:46 ID:NcCiPs5D
>>28
キビトの瞬間移動ならそうだが、ヤードラッド式は気を探らないとダメっぽい


33 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 13:27:54 ID:VPSNc9+E
>>28
あんま続けたくないから黙ってたけど瞬間移動は気で位置を探るから
知人が居ないと無理だしあまりに遠くに移動する場合は他者に方角の特定をしてもらう必要がある

34 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 13:28:53 ID:ypQA/bU/
支援です

35 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 13:28:56 ID:tuPiy3Vw
みんなありがとう。
では35分からいきます

36 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 13:35:07 ID:tuPiy3Vw
「あー、ミス・ヴァリエール?」
木の杖を持ち、真っ黒なローブに身を包んだ中年の男性が、微妙な表情で、近くにいる桃色の髪の少女に声をかけた。
辺りは既に薄暗い。

「はぁはぁ・・・何でしょう、ミスタ・コルベール?」
少女が荒い息を吐きながら答える。
「少し、休憩した方がいいのでは?そんなに息を荒げていては、成功するものも成功しないぞ」
しかし、少女は首を振った。
「いえ!このルイズ・ヴァリエール、まだまだやれます!」

コルベールはやれやれ、と溜め息をついた。
生徒が、自分で“やれる”と言った以上、教師としては止めるわけにもいかない。
まったく、この根性と熱意だけは、皆に見習わせたいものだ。
ただし、他の生徒はこの課題・・・“春の使い魔召喚の儀式”はとうに済まし、辺りで欠伸や雑談をしているのだが。
「そうかね。では頑張りたまえ」

「はい!」
少女は、一言返事をすると気合を入れなおし、こんどこそはと杖を構えた。

「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
 五つの力を司るペンタゴン。我の運命に従いし、使い魔を召喚せよ」
目の前の地面に、本日35回目の爆発、それも特別大きなやつ・・・が起こった。
今度こそは手ごたえがあったと思ったのに。

37 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 13:36:30 ID:tuPiy3Vw
「ああ、またダメなのかしら・・・え?え?」
土煙の中、天を突くような巨大な影がトリステインの夕日をバックに起ち上がる。
辺りで談笑していた生徒たちがざわめく。
コルベールは何事かと杖を構えた。

が、次の瞬間その巨大な影は気配ごと消滅し、ワンテンポ遅れて、何か軽いものが地面に落ちるような音がした。

煙が晴れると、そこには辺りを不安そうに見回している、色白でピンク色の髪をした少女が立っていた。

途端、ざわめきが爆笑に変わる。
「おい、平民だぞ、しかも子供だ!」
「さすがはゼロのルイズ!」
「でも、今の巨大な影は何かしら?」
「きっと失敗の効果だぜ、ギャハハ!」

ルイズと呼ばれた、先ほど爆発を起こした少女は頬を膨らせて答えた。
「ちょ、ちょっと間違っただけよ!・・・ミスタ・コルベール、これはさすがにやり直しできますよね?」
「残念だがそれは無理だ、決まりだからね。二年生に進級する春の使い魔召喚は、何よりも神聖な儀式なんだよ」
コルベールは即答した。ルイズは唖然とした。
「え、いやでもあの、この子と・・・?」
コルベールは諭すように言う。
「要するに、例外は認められないという事だよ、ミス・ヴァリエール。契約したまえ」

38 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 13:38:11 ID:7izA7zWF
支援

39 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 13:39:26 ID:ZQOzsioS
種のラクス?

40 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 13:39:57 ID:tuPiy3Vw
ルイズは、爆発の跡が残る地面にぼーっと立っている少女を観察した。
同年齢では色々と小さい方であるルイズより、更に小柄で痩せている。
おそらく五,六歳は年下だ。顔のつくりは整っていて、かなり可愛い。
唯一つ妙なところがあるとすれば、体に黄色の布を巻き、ピンク色のスカートという、不思議な服装だろう。
一体呼び出される前はどこに住んでいたのだろうか?

「さあ、契約の儀式を」
コルベールがルイズを急かした。
「・・・すぐ終わるから、静かにしてなさいよ」
「はい」

少女は素直に頷いた。うわ、可愛い。
平民でもこれはこれでまた・・・契約すれば留年しないことは確定するんだし、まあいいかしら。
手に持った小さな杖を再び振る。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」
少女は、微動だにせずルイズを見つめている。
二人の唇が重ねられ、そして離された。
「ふぇ?」
少女は不思議そうな顔をした。

「終わりました」
誇らしげなルイズの様子を見て、コルベールが嬉しそうに答える。
「“サモン・サーヴァント”は何回も失敗したが、“コントラクト・サーヴァント”はきちんとできたね・・・む、何だ?」

41 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 13:40:32 ID:qplbOGwk
ある意味ピンクの悪魔?支援

42 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 13:40:50 ID:i02V74r+
シンシアとオーバーデビル?

43 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 13:41:22 ID:tuPiy3Vw
直後、少女が輝きだし、ルーン文字が全身に現れる。
コルベールが目を見開く。使い魔のルーンは普通体のどこか一箇所である。
長い方である教師経験の中でも、こんな事はいまだかつて無かった。
しかし光が収まったとき、それらのルーンは完全に消失していた。

「おや、気のせいだったかな?」
きっと本来の使い魔の印は、服で隠れた部分にでも刻まれたのだろう。
コルベールはそう自分を納得させた。

「なんだぁー?ゼロはやっぱり“契約”も失敗か?」
「それも平民の子供に!」
その野次に、ルイズはすごい剣幕で怒鳴った。
「失礼ね、ちゃんと契約できてるわよ!ねー?」
「こらこら、貴族はお互いを尊重しあうものだ」
コルベールが溜め息混じりに皆を宥める。
少女が、いつのまにかルイズのマントの裾を掴んで横に立っていた。

「さあさあ、予定よりずいぶんと時間がかかってしまった。皆寮に戻り、しっかり明日に備えなさい。今呼び出した使い魔とも、できる限りコミュニケーションを取っておくように」
自身もいい加減疲れているコルベールが生徒達を追い散らした。
ルイズと少女を除いた全員が宙に浮き、建物の方に向かう。
ルイズは大きな溜め息をひとつ吐くと、側の少女に向かって口を開いた。
「わたしについてきなさい、話は部屋に戻ってからね。それと、できればその、マントを握り締めるの、やめてもらえないかしら?しわになっちゃうわ」
「わかりました」
少女がにっこり笑って頷く。
ああもう何でこんなに可愛いのこの子!まるで妹ができたみたい。

いつの間にか空には大きな二つの月が出ている。
てくてくと歩く、二人のピンク髪少女の影法師が長く延びた。

44 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 13:42:18 ID:t7QTBYNa
10歳前後のピンク髪・・・?

逃げてー!
魔王と魔王の嫁がくるわっ!!支援

45 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 13:42:32 ID:o38QVd+C
支援 誰だ?

46 :ゼロのちグゥ:2007/09/16(日) 13:43:40 ID:tuPiy3Vw
一回目は以上です。続く・・・かも?
ちなみにルーンは「記すことも憚られる奴」
あと、時系列は原作一巻より前です。ハレと会った後だと勝手に会いに帰りそうだし。

47 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 13:44:15 ID:i+LxAKDf
グゥかよwwwwwwww乙wwwwwwwwwwww

48 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 13:45:36 ID:t7QTBYNa
ちょwwww
そっちかwwwwww
喰wwwわwwwれwwwるwwww
乙!

49 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 13:47:01 ID:rXlTesha
確かに憚れるなww
ぜひ続けてくれ、GJ!

50 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 13:48:54 ID:ypQA/bU/
ガンガンの謎の人型きたーGJ

51 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 13:54:42 ID:CXuvJ64B
トビカゲ並になぞの人が来たぜ!

52 :ゼロのアルケミスト:2007/09/16(日) 13:58:19 ID:ZdJZwCh5
投下したいのだが〜どうかな?


53 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 13:58:51 ID:gyn9vClN
虚無の魔法でばらばらになった世界を戻すためにルイズの持ってる時空修正弾を……ごめん、言ってみただけなんだ。

54 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 13:59:26 ID:ZzP2kYvA
被った猫の皮を剥ぐのは……ギーシュにげてー

55 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 13:59:57 ID:IZBjQv2V
>52
いざ、参られよ!

56 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 14:00:37 ID:tuPiy3Vw
支援!支援!

57 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 14:00:40 ID:PsFW8K32
>>52
OK

58 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 14:00:47 ID:t7QTBYNa
Wizdom支援!

59 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 14:01:32 ID:ypQA/bU/
錬金術ときいて賢者の石で支援

60 :ゼロのアルケミスト 三話:2007/09/16(日) 14:01:32 ID:ZdJZwCh5
異世界から召喚された人外魔境のマッド・アルケミスト クラリス・パラケルススの一日は終始趣味の為に消費される。
元居た世界では組織の運営に関する書類仕事なども有ったのだが、ハルキゲニアのトリステイン魔法学院に不本意ながら居を移してからはソレすら無くなった。
故に今はほぼ全てを趣味(主に実験)に消費されているといっても過言ではない。

「どうぞ〜開いてるわよ〜」

今日も今日とてフラスコに満たした紫色の液体に、スポイトから群青色の液体を一滴ずつ加えていたクラリスは作業から目を離す事無く、ノックされたドアに答えた。
開け放たれた扉から無言で入ってくるのは青髪に眼鏡をかけ、小柄な身長と相反する長い杖を持った少女。

「あら? まだ授業中じゃなかったかしら」
「自習になった」
「なるほど。で? 何か御用」

フラスコの液体が爆発して実験は取り合えず終了したクラリスは、そこで始めて来客に視線を向ける。

「たしかタバサちゃんだったわね?」
「アナタの世界の文字を教えて欲しい」

タバサが指差した先にはクラリスが、数多い蔵書の内から幸運にも持ち込めた僅かな書物。
遠い世界でも貴重な魔術の書だが、全く魔法体系が違うハルキゲニアではそれ以上の価値を持つ。
タバサはそこに自分の目的を達成する為の手段が示されていないか?と踏んでいるのだ。
中には先週号のジ○ンプや十年前のボ○ボンのように役に立たないものも存在したが。

「別に構わないけど……私には此方の文字を教えてくれるかしら」
「解った」

タバサと同様の思考をクラリスも持っている。
ハルキゲニアと言う魔法が一般化され、総魔力量も多い世界での魔法を深く理解する事は魅力的だった。
ここで一人のメイジと一人の錬金術師の間に相互協力の関係が結ばれる。
ただ問題があるとすればメイジは氷のように無感動で、錬金術師は悪魔のように狡猾だと言う点だろう。

「じゃあこっちの机でやりましょうか?」

クラリスは自分が持ち込んだ机から離れ、やはり物置から引っ張ってきた長机へと移動。
そこにも既に無数の物品が散乱しているが、二人で語学を教授し合うにはスペース的余裕がある。
頷きながらもタバサはその室内を検分していた。いつの間にか料理で使うような釜や人が入りそうなガラスの立方体が並んでいた。
少なくとも最初にクラリスを見たときには無かったものである。此方で用意したとしたらあまりに早い。

「なにか興味が惹かれるものはあった?」
「得には」
「あらそう?」

テキトウな紙を引っ張り出して五十音の表をサラサラと描きながら、ふとタバサの顔をじっと見つめてクラリスは呟いた。



61 :ゼロのアルケミスト 三話:2007/09/16(日) 14:02:36 ID:ZdJZwCh5

「本当は活発な娘なのに」
「っ!?」
「大事な人の命がかかっている……慎重になるのは仕方が無いのかしら?」
「なんでっ!?」

思わず杖を強く握りなおして、タバサは搾り出すように呟いた。どうしてこの異国の客人はそんな事を言い当てられるのか?
確実に嫌な汗をかいている事を自覚しつつ、笑顔で自分を追い詰める言葉を続けるメイジを睨みつける。

「本を見るアナタの視線は間違いなく輝いていたわ。なのにそれ以外の時はまるで装ったように無感情な目をしている……そうしなければ成らない常態にある。
 自分は魔法学院に席を置いているし……見たところ健全。首に絞め殺す呪いもかかっていない……後は家族よね?」

タバサは苛立ちを募らせながらも、言語の基礎を説明するクラリスの穏やかな口調に耳を傾ける。
そこからは普通に言語学の授業になったが、タバサがあからさまに発する警戒の気配と、ソレを華麗に流すクラリスの穏やかな気配が室内に良く解らない空気を充満させていた。

「まっ! そんな事私には関係ないことだわ」
「……」
「もし貴方が私の助けを欲するならば、力を貸してあげても良いけど」
「!?」

本は確かに知識を得ることが出来るが、実際に行う事で得られる知識には遠く及ばない。本人曰く140年分の知識となればその量と質は凄まじいものであり、タバサの目的は大きく前進するだろう。

「そう……」

だがタバサは直ぐにそれに頼る事などできなかった。邪気や悪意が一切無いクラリスの笑顔は、逆に彼女に僅かな警戒心を与えていた。
この女はいつでも笑っている気がした。悲しい時も怒っている時も……人を陥れ、その命を奪っている時も。
その微笑は麻薬。甘い匂いで虫を堕すウツボカズラ。絡めて離さない蜘蛛の糸。心地よい雰囲気は地獄への手招き。

「何かあったら……お願いする」

しかしタバサは完璧に誘いを蹴る事はない。困難な目的に達する為に、あえて甘い匂いに誘われよう。
地獄への手招きも振り解いて走り、蜘蛛の糸など引きちぎる。これからの接触でどの程度信頼が置けるか、役に立つかを見極めれば良い。
そんな判断を何時もの鉄仮面の下に隠して、クラリスの説明をタバサは時々頷きながら聞いていた。


「お姉さま、アイツはクサイのね」
「?」

次の授業の時間が来たので、クラリスの小屋から出てきたタバサは突然そんな事を言ってきた自分の使い魔 シルフィードに首を傾げた。
基本的には他人に好意的な風韻龍が突然そんな風にタバサは驚きを感じつつ、どこか納得したものも得ている。
やはり野生の血は違和感のあるモノに敏感なのだろうと。

「薬と魔道と……人殺しの匂いがするのね」
「そう……」
「アイツは自分の目的の為ならなんでもする危ない奴なの。だからお姉さま……「シルフィード!」……」

『近づかないで』と言おうとしたのだろう使い魔の言葉を遮り、タバサはため息を一つ。

「目的の為になんでもするのは私も一緒」



62 :ゼロのアルケミスト 三話:2007/09/16(日) 14:03:49 ID:ZdJZwCh5
アルコールランプで薬草を加熱していたクラリスは、今日二回目のノックに顔を上げた。

「ミス・パラケルスス、ヴァリエールです!」
「あぁ、ルイズちゃんね。どうぞ」

ドアから入ってくるのは桃色の髪が美しいゼロのルイズ。その向こうに広がる外の景色は夕方のオレンジに染まっていた。
時間の感覚が麻痺するほどに集中する為、その景色でクラリスは久し振りに時間を認識しなおした。

「それで? アナタはどのような御用かしら?」
「えっと……ホムンクルスを呼び起こす呪文を成功させるコツか何かをお伺いしたいと」

ルイズの懐から取り出されたのは少し大きめな試験管。そこにはクラリスが授けた使い魔である人造生命体 ホムンクルスが待機状態で収まっている。
本来ならば人と同じ体躯と人以上の力で創造主を守るはずのホムンクルスは、未だに小さな体を人工羊水の中に浮かべて眠っていた。
その状態では勿論ルイズが使い魔とする為にコントラクト・サーヴァントを行う事も出来ない。

「あら? まだ起こしていないみたいね?」
「はい……」

契約を行うにはルイズが言う呼び起こす呪文を唱え、ホムンクルスを人間サイズの起動状態にしなければ成らない。
だがルイズは何せゼロのルイズ。しかもクラリス曰く簡単な魔法だが、それは彼女にとっての異国の魔法。
もし失敗して爆発などしたら手に収まる試験管と、そのうちに収まる小さな人造の命は木っ端微塵。
せっかく手に入れた使い魔を殺すのは心苦しく、だがやらなければ契約できずに留年と言う板挟みにルイズは陥っていた。

「失敗するのは怖い?」
「はい……私はずっとゼロだったから。こんな時まで失敗しそうで……あっ! 
ミス・パラケルススを召喚してしまったのも事故みたいなものですね、申し訳ありません!!」
「うぅん、私は随分楽しい思いをさせて貰っているわ。もし良かったら、アナタの事をもっと聞かせてくれる?」

身の上話なんて多くが失敗と恥の歴史であるルイズは出来れば喋りたく無かった。だがこの人の言葉は魔法が掛かっているのだろうと、同時に思う。
クラリスの優しい口調は逆に強制力を持っている。だけどその強制力を強制されていると認識できない感じ。

「私の家はゲルマニアとの国境沿いにあって……」

そんな所から始まったルイズの身の上話は多岐にわたった。
メイジとしても貴族としても優秀な家族とデキソコナイのゼロである自分について。
自分の失敗やその時の心境など、普通ならば決して語りたくない事も彼女の口からは容易く漏れた。

「大変だったのね」

まるで操られるように全てを語り切り、憔悴しきったルイズにクラリスが与えるのはそんな言葉と温かな微笑。
そして抱き寄せてその背中をポンポンと叩きながら、耳元でさらに囁く。

「いくら失敗しても貴女はメイジたることを、貴族であろうとすることを止めなかった」
「ウッ……ヒック……グス」
「ルイズ……貴女は立派よ」
「わっ私が……リッパ?」
「そう……貴女は立派でステキよ」

初めて言われた褒め言葉と、久し振りにかけられた優しい言葉。
どちらも焦り傷ついたルイズの心を癒し……捕らえるには充分だった。


63 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 14:06:00 ID:tuPiy3Vw
支援

64 :ゼロのアルケミスト 三話:2007/09/16(日) 14:06:13 ID:ZdJZwCh5

「ルイズちゃん、失敗を恐れてはいけない」

一体何分自分の胸で泣いていたか解らないルイズが、落ち着きを取り戻したのを確認して長机に向かい合うようにして座り、クラリスは語りだした。
それは教え子に言い聞かせる教師であり、子供に御伽噺を語る親のようでもあった。

「誰でも失敗はするの。完璧な人間なんて居ないわ」
「ミス・パラケルススも……失敗するんですか?」
「もちろんよ。本当の意味で成功する事なんて、むしろ少ないぐらいだわ。例えば……」

今度はクラリスが自分の失敗談を語りだした。140年分だからルイズの失敗回数など歯牙にもかけないほど多い。
その中でも生え抜きに面白い(ヒドイ)話を厳選して、彼女は語る。
初めて作ったホムンクルスは失敗で奇形だった事、間違えて混ぜた薬品で自分も大火傷を負ったこと、なぜだか呼べた魔王に居城を半壊させられた事。

「とまあ、こんな感じよ」
「ミス・パラケルススも苦労されているのですね……」
「私は失敗を苦労だと思った事は無いわ」
「そんなっ!?」

失敗が苦労でないのならば、自分は一体何の為に苦しんでいるのか?と息を荒げるルイズに、クラリスはさらに優しく言い聞かせる。

「なんで人は失敗するんだと思う?」
「間違った事をしたからですか?」
「それもあるけど……もっと根本的な問題ね。ならどうして人は成功すると思う?」
「正しい方法を選択したからですか?」
「それもあるけど……もっと根本的なことよ」

要領を得ない会話を一旦区切り、クラリスは彼女の原点とも言える真理を告げた。

「なぜ成功し、失敗するか? それは行動したからよ」
「?」
「何もしなければ失敗しないわ。でも成功も決してしない」

それはまさしく今のルイズの状態だった。失敗による爆殺を恐れる余り、成功してコントラクト・サーヴァントを行う事も遠ざけている。
なぜか無性に焦り、狼狽してきたルイズにクラリスは止めを刺した。

「恐れることなんて無いわ。進む事に代価は必要なものよ。それが自分の失敗でも、他人の命でも……」
「……ミス・パラケルスス」
「クラリスで良いわ」
「はい……クラリス様、私やってみます!」

一礼するとルイズは外へと駆け出した。その目に宿っていた輝きを思い出して、クラリスは笑みを深くする。
アレは自分と同じ探求者の輝きだ。己の目的の為に最大限の努力と無数の失敗を積み重ねる事を厭わない目。
彼女が自分のようなマッドになろうと、聖女のような人物のようになろうとクラリスとしては面白い未来に過ぎない。


65 :ゼロのアルケミスト 三話:2007/09/16(日) 14:08:10 ID:ZdJZwCh5
「やるわよ」

何時もの野次が周りから響くがルイズは気にも留めない。
手の内には杖と未だに絆無き使い魔(候補)が眠っている試験管。
いつの間にか集まっていたギャラリーたちはルイズの小さな宣言に、さらにどよめきを深くする。

「止めとけルイズ!」
「使い魔を殺してしまうぞ〜」
「お前は魔法を成功する可能性の方が低いんだからさ〜」

そんな野次に対してルイズが浮かべるのは笑みだ。そこに宿るのはある種クラリスと同じ輝き。
彼女ほど精錬され、巧妙に美しさだけを映し出すようなものではない。荒削りな探求者の輝き。

「魔法が使える者をメイジと呼ぶんじゃないわ」

息を小さく吸って吐き……宣言する。

「進む事を止めない者をメイジと呼ぶのよ!!」



その日、ルイズは人生において二つ目と三つ目の魔法を完成させ……仮初めの命を使い魔とした。


66 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 14:08:56 ID:tuPiy3Vw
ルイズがマインドブレイクされちゃう!

67 :ゼロのアルケミスト:2007/09/16(日) 14:09:39 ID:ZdJZwCh5
とりあえず今回はこれまで。
契約シーンとかギーシュとの決闘とか飛ばして、次は街に買い物に行きたいな〜
因みに失敗と言う単語の横には(他人の犠牲)と言う文字が見えたり見えなかったり(謎

68 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 14:15:44 ID:ypQA/bU/
GJ、周りの人達に影響与えてますね

しかし、善悪がない探求者な錬金術師、もっとも危険なタイプだ。
変態錬金術師を思い出す

69 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 14:16:38 ID:tuPiy3Vw
GJ
原作と大きく違う展開は大好きです

70 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 14:27:47 ID:v6dV3Bpw
GJ! GJ!!

71 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 14:29:01 ID:t7QTBYNa
GJ!
このルイズ、ブレイクしそうだw

72 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 14:43:04 ID:NcCiPs5D
素晴らしい変態ぶりだw

73 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 14:56:40 ID:TrPd8dUg
GJ
マッドの言う事なので素直に感動できない俺は汚れてるw

74 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 15:00:37 ID:/gEpnB20
アルケミスト氏GJ!
このテの自覚的にイカれた学者は大好きだw

>>68
誰のことだ?
とりあえず、
・一年で記憶がリセットされる少女に恋したから世界改変する術を身につけたロリコン錬金術師
・女神に恋したから賢者の石を紐解いて神を超えようとする変態ロリコン錬金術師兼死霊術師
が思い浮かんだんだが。

75 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 15:02:47 ID:NcCiPs5D
そういや通常版?プロモ版?どっちだっけ?
どちらかによってキャラが若干変わる言動がDQNなのは同じだけど。

76 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 15:21:20 ID:uw7IKoAN
かりあげクンが召喚されたら、それはそれは楽しいイタズラが起こるに違いない

77 :ゼロガー:2007/09/16(日) 15:43:42 ID:/jAHXRZH
バレスター・オパイスキィ・グラモンは四十二歳
往年のハリウッドスター、クラーク・ゲイブルに似たヒゲダンディである
「おお!まさかこのリュティスで会えるとは!!」
「お久し振りですバレスター少佐」
海兵隊員に付き添われて入室した一行を出迎えたバレスターは一歩前に出て一礼するギーシュをスルーして
背後に立つ植物の女神の両手を取る
「オシリス君だね、ギーシュからの手紙で君のことを知って以来ぜひ一度会いたいと思っていたんだが…」
一旦言葉を切ったバレスターはオシリスの全身−特に胸−をしげしげと眺めながら
「思ったとおり、いや想像以上に素晴しい!」
と破顔する
「あの〜叔父さん?」
「これは失礼。皆様、ディスカバリー号へようこそ!」
にこやかに挨拶するバレスターの視線はオシリスの胸の谷間にぴたりとロックオンされIBM社製の
スタピライザーがついているかのごとく体がどちらを向こうとも決して標的を外れない
流石ギーシュの血縁者だ
微妙に対抗意識が芽生えたのかキュルケがいつもよりブラウスのボタンを一つ多く外していたりするが
こちらは華麗に無視されている

「なるほど、つまり君はこう言いたいわけだな。『医者はどk…』」
「叔父さん!」
「軽いジョークだ。確認するぞ『自分達をトリスタニアまで密航させてほしい、理由は聞くな』これでいいな?」
頷くギーシュに思い切り顔を顰めるバレスター
二人が艦長室で密談をしている間ほかの者は士官食堂で名物の空軍カレーを振舞われている
「君は私に自分の経歴に自分で傷をつけろと言ってるんだぞ?」
「どのみち傷だらけじゃないですか」
「どういう意味だ?」
「『蒼き流星亭』のアンナって子、まだ十四歳ですってね?」
「ど、何処でソレを…?」
「それは秘密です」
実は情報局に勤める伯母のマニーペニィからいつか役に立つかもと軍に勤める親戚筋の個人情報を密かに
横流ししてもらっていたのだ
ちなみに報酬はモンモランシーの調合する香水である
「そうか、そっちがそう来るのなら…」
気のいい叔父さんから抜け目の無い軍人にモードチェンジするバレスター
「噂を聞いたぞ、オルレアン公の未亡人が誘拐されたというな。未確認情報だが犯人は見たこともない
奇妙な使い魔を連れた四人組の若いメイジだそうだ」
「…条件は何です?」
バレスターは身を乗り出しギーシュの耳に息がかかるほどの距離で囁いた
「君の使い魔のオシリス君、アレはいいねぇ…実にイイ……」

投下終了


78 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 15:48:14 ID:3WwfpMRx
>>77


そして、また変態オヤジw

79 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 15:50:21 ID:8izRwjNB
ゼロガーに出てくるおっさん勢は変態ばっかかw


SS書きたいが為にゼロ魔原作買おうか迷い始めた今日この頃

80 :ソーサリー・ゼロ:2007/09/16(日) 15:55:35 ID:KWTl8MRb
>>79
来たれ、来たれ!
こちらへ来たれ!
 
投下したいのですがよろしいですか?

81 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 15:58:29 ID:IZBjQv2V
>80
OK!

82 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 15:59:47 ID:za8Srtfp
君の前になんら障害は無い。
投下せよ

83 :ソーサリー・ゼロ:2007/09/16(日) 15:59:55 ID:KWTl8MRb
一一七
 
 オスマンとの話を終えた君たちは部屋に戻り、旅支度を整えることにする。
 君自身は今すぐにでも旅立てる状態だが、ルイズは部屋のあちらこちらをかき回しては、毛布や拍車のついた乗馬靴、
防水性にすぐれた素材で仕立てられた頭巾つきのマントなどを、引っ張り出している。
 
 君は夜明けとともに起き出し、荷物をまとめる。
 君の動く音に目を覚ましたルイズは、しょぼつく目をこすりながらいつものように君に着替えの手伝いを命じようと
口を開きかけるが、思い直したように口をつぐむとのろのろと衣装箪笥に向かう。
 自分の身の回りのことは自身でできるところを見せて、これから始まるアルビオンへの旅でも、自分が足手まといに
ならぬところを証明しようとしているのだろう。
 外では平民の奉公人たちが動き出し、夜勤の衛兵も日勤の者に交替しつつある。
 
 まだ多少ふらついているルイズを連れた君は厩舎に向かうと、そこで馬を二頭借り受け手綱と鞍をとりつける。
 手綱を引きながら学院の門まで歩く君たちを、何者かが後ろから呼び止める。
「ミス・ヴァリエール!使い魔さん!」
 息を切らして駆け寄ってきたのは奉公人の少女、シエスタだ。
「遠くから偶然お姿をお見かけして。あ、あの…こんな朝早くから、どちらへお出かけでしょう?」と尋ねてくる。
 旅の目的そのものはとくに秘密というわけではないが、『異世界への≪門≫を作り出す魔法使いを探しにアルビオンまで』
と言ったところで、相手を混乱させてしまうだけだろうと考えた君は、ちょっとした用でラ・ロシェールの町まで行くのだと答える。
「まあ、ラ・ロシェールまで!私もあの町の近くの出身なんですよ。タルブという小さな村なんですけど、葡萄の名産地で…」
 君はシエスタの故郷の話にしばらく耳を傾ける。
 早く出発しようと焦る気持ちはあるが、無事にリビングストン男爵を見つけ出せば、もはやこの学院に戻ることはなく、
彼女とも二度と会えないのだという思いが、君の足を止めている。
 考えてみれば、この学院で知り合った人々の誰にも別れの挨拶を済ませていないが、しょせん君は突然に現れた異邦人にすぎぬ。
 来たときと同じように唐突に姿をくらましたところで、誰も心配などしないだろう。
「ほら、もう行くわよ!いつまでもお喋りしない!」
 いつのまにか馬に乗っていたルイズが君に声をかける。
 シエスタは頭を下げると、仕事に戻ると言い、君たちの道中の安全を祈ってくれる。
 君はシエスタに手を振ると、馬に跨り、その首をめぐらせる。
 旅は始まった。一三七へ。

84 :ソーサリー・ゼロ:2007/09/16(日) 16:04:07 ID:KWTl8MRb
一三七
 
 道はやがて、王都トリスタニアと港町ラ・ロシェールとを結ぶ街道に合流する。
 街道には幾筋もの轍(わだち)と人や馬の足跡が残り、往来が盛んなことを示している。 
 
 ラ・ロシェールに向かう君たちの背後から、駈歩(キャンター)で進む馬の蹄の音が聞こえてくる。
 何事かと振り返ってみると、一頭の白馬とその乗り手が君たちに追いついてくるところだ。
 乗り手は黒いマントを羽織った、金髪の少年―――以前に君と決闘騒ぎを起こしたギーシュだ。
「ギーシュ!あんた、なにしに来たの!?」
 驚きに目を見開くルイズの問いにギーシュは、
「ルイズ、ぼくも姫殿下の役に立ちたいんだ!仲間に加えてくれ!」と、
わけのわからぬ答えを返してくる。
「な、なに言ってんの?この旅は姫様とはなんの関係も…」
「ああ、姫殿下から仰せつかった密命を明らかにできないのはわかるよ、ルイズ!だが、ぼくは知ってしまったんだよ!」
 ルイズの言葉を、興奮したギーシュがさえぎる。

 ギーシュによれば、昨夜、中庭に居たところ偶然にアンリエッタ姫の姿を見かけたそうだ。
 黒い長衣を羽織り目深に頭巾をかぶって正体を隠していたが、姫に間違いないという。
 一国の姫君が、夜遅くに供の者もつけずこそこそと動いていることが気になり、その後をつけてみると、彼女は女子寄宿舎に
入っていった。
 さすがに男子禁制(≪使い魔≫扱いの君は例外だが)の寄宿舎に忍び込むわけにもいかず、外で隠れ潜んで待っていたギーシュが
姫の帰りを見届けたのは、十数分後だったという。
 
「そこでぼくは考えたんだ」
 馬首を君たちに並べて進みながら、ギーシュは得意げに語る。
「姫殿下が、人目を忍んで宿泊所を脱け出しおひとりで来られたのだから、よほど重大な用件がおありに違いない。
そして、この学院の女子生徒で、姫殿下とそのようなお話ができる相手といえば…ルイズ、君しか居ないんだよ。
君は姫殿下と親しい間柄だそうじゃないか。それに≪土塊のフーケ≫を捕まえた功績もある。
姫殿下が内密の依頼を持ちかけるのに、もっともふさわしい相手だ。もちろん君は、謹んでお受けしたんだろう?
その証拠に、君たちは朝早く誰にも言わずに学院を出発したじゃないか。僕も大慌てで休学届けを出し、こうして追いつこうと
馬を飛ばしてきたわけさ」

 確かに、ルイズはトリステイン王家の親戚筋にあたる公爵家の令嬢であり、姫との面識さえあるらしい。
 しかし、王家の人間が一介の女生徒に秘密の任務を依頼するなど、およそありえぬ話だ!
 ルイズは
「オールド・オスマンに呼び出されている間に、そんなことが…?」と小さくつぶやいている。
「このぼく、ギーシュ・ド・グラモンもアンリエッタ姫殿下のお役に立ちたいんだ!
薔薇のように麗しき、トリステインの宝である姫殿下のためならこの命も惜しくはない!」
 ギーシュは熱に浮かされたような口調で、君たちに自分を同行させるよう訴える。
 君はこの、騎士道物語にかぶれた少年をどうしたものかと考える。
 ギーシュは、君の私用も同然の旅を、姫からの密命だと誤解しているのだ。
 事情を最初から説明して追い返すべきだろうが、思い込みの激しいこの少年に説明するのは、ひと苦労だろう。
 ルイズは、昨夜、姫が自室を訪れていたかもしれないということを知り、なにやら思いにふけっているため、君が判断しなければならぬ。
 誤解を解き、ギーシュを追い返すか(二九七へ)?
 それとも、利用価値がありそうだとこのまま連れていくか(八四へ)?

85 :ソーサリー・ゼロ:2007/09/16(日) 16:05:39 ID:KWTl8MRb
八四
 
 来てもよいが旅費の余分はないぞと冷たく言うと、ギーシュは
「大丈夫、金貨だけじゃなく換金できそうな宝石も持ってきたんだ!本当はモンモランシーへの贈り物だったんだけど…。
しかし、姫殿下のために必要ならやむを得ない!」
 そう言って、腰につけた雑嚢を叩く。
 君があらためて同行の許可を出すと、
「ああ、ありがとう!ぼくは決して君たちの足手まといにはならない。姫殿下のためにお役に立ってみせることを誓うよ!
…そしてヴェルダンデ、置き去りにしてすまない!だが、見ていてくれ。このギーシュ・ド・グラモン、次に会うときは必ずや
一人前の騎士になって帰ってくるから!」と、
 芝居がかった口調でおおげさに喜ぶ。
 ヴェルダンデとは恋人の名だろうか?
 だとすれば彼は、性懲りもなく二股をかけているわけだ。
 
 ギーシュを加えた君たち三人は、ラ・ロシェールに向けて馬を進める。二四四へ。

86 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 16:06:48 ID:079Rdr7T
支援

87 :ソーサリー・ゼロ:2007/09/16(日) 16:07:25 ID:KWTl8MRb
二四四
 
 日差しは暖かく風はさわやかで、旅は快適に進む。
 正午を過ぎたころ、君たちはいくつもの幌馬車とすれ違う。
 トリスタニアへと向かう商人たちのようだが、大勢の傭兵を護衛につけており、ものものしい様子だ。
 傭兵たちは甲冑に身を固め、槍や石弓を手にし、油断なく周囲を見回している。
 彼らは野盗のたぐいだけではなく、近頃この地を徘徊している怪物どもに対しても警戒しているのだろう。
 いったいどれだけの数の怪物どもが、カーカバードから、二つの世界を隔てる壁を越えて流れ込んだのだろう?
 
 さらにしばらく進むと、街道の真ん中の地面が奇妙な形に盛り上がっているのを見出し、君はルイズたちに馬を止めるよううながす。
 通行の多い場所に、このような不自然な盛り土ができるはずはない。
 地面の盛り上がった場所を迂回するか(二六一へ)?
 馬から降りて、盛り土を調べてみるか(三三へ)?

88 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 16:07:42 ID:e7atvtNh
sien

89 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 16:08:47 ID:sK+GueCm
支援

90 :ソーサリー・ゼロ:2007/09/16(日) 16:09:11 ID:KWTl8MRb
三三
 
 君は危険の兆候を見逃さぬよう、眼を凝らし、耳を澄ませながら、盛り土に近づく。
 いきなり目の前の盛り土が砕け、二本の長大な三日月形の牙が突き出す!
 運だめしをせよ。
 吉と出れば怪我はない。
 凶と出たら、牙の一撃を胸に受けてその場に倒れ体力点二を失う。
 盛り土は崩れ、その下から一三フィートはあろうかという巨大な姿が這い出し、君に近づいてくる。
 棘だらけの灰色の装甲に全身を覆われ長い大顎をもつ、六本脚のその姿は見間違えようがない。
 バドゥ甲虫(かぶとむし)だ!
 その名のとおり、カーカバードのバドゥ・バク平原を中心に棲息する、凶暴な肉食昆虫だ。
 どう闘う?
 魔法を使うか(一九〇へ)、それとも武器か(二三四へ)?

91 :ソーサリー・ゼロ:2007/09/16(日) 16:11:15 ID:KWTl8MRb
一九〇
 
 甲虫はカチカチと大顎を鳴らしながら向かってくる。
 術を選べ。
 
 DUD・四六九へ
 ZAP・三六九へ
 MAG・四一六へ
 BIG・五〇七へ
 NAP・四六〇へ
 
 どれも使いたくないなら、武器を抜いて二三四へ。

92 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 16:11:27 ID:sK+GueCm
モグラと思った支援

93 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 16:12:31 ID:qHwELzAV
支援

94 :ソーサリー・ゼロ:2007/09/16(日) 16:13:24 ID:KWTl8MRb
今回はここまでです。
ギーシュ…その推論はまんざら間違いでもないんだが、人の話はちゃんと聞こうよ。
バドゥ・ビートル(旧訳)は原作でもけっこう強敵です。
あなたならどう闘いますか?

95 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 16:20:50 ID:VcHlBvsu
>>94
答えはひとつです、市民
ZAP!ZAP!ZAP!

96 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 16:26:19 ID:IZBjQv2V
>94
乙です!
自分もZAPがいいかな〜と思ったんですが、ここはBIGで大きくなって裏返してからデルフでグサッ!がいいかとw

97 :使い魔初心者:2007/09/16(日) 16:34:28 ID:m71Sezph
前々から投稿しようか否か迷っていましたが、職人様方の作品読んでると
書いてみたいという気持ちが抑えられなくなってきました。
と言う訳で投稿したいのですが、いいですか?

98 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 16:35:45 ID:x7H5/uZG
支援しよう
ただ、sageてくれるとうれしいかもしれん

99 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 16:35:58 ID:7izA7zWF
道は空いている・・・が、まず下げよう



100 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 16:35:58 ID:AarQRC5c
>>97
OK
だがとりあえずsageろ

101 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 16:36:20 ID:cI+CIgfh
どうぞ。あとsageて

102 :使い魔初心者:2007/09/16(日) 16:36:45 ID:m71Sezph
ありがとうございます。
sageについては申し訳ないです、今後注意します。
それじゃ書いてきます。

103 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 16:37:48 ID:x7H5/uZG
>>99-101
結婚式はどこでしようか支援

104 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 16:37:57 ID:079Rdr7T
支援

105 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 16:42:23 ID:TtiXbNoS
今から書くのかよ。

106 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 16:43:29 ID:KA7gj6jT
原稿を用意してからコピペしろよと

で、これは支援いるのか?


107 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 16:43:54 ID:v6dV3Bpw
なんだ

108 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 16:47:31 ID:+9xXR4dc
これから書くのか
新規さんが増えるのは嬉しいけどね

109 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 16:48:12 ID:x7H5/uZG
とりあえず書きあがってから改めて予告してもらった方がいいな
期待はしておこう

110 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 16:57:41 ID:n9Bppxee
原作はくれぐれもしっかり読むんだぞよ。

111 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 17:01:07 ID:W9e6dYLk
このスレの住人は目が肥えてるからな……
俺も今書いてるが……ツッコミが怖いぜ

112 :使い魔初心者:2007/09/16(日) 17:03:28 ID:B1YviZ6h
異世界ハルケギニア トリステイン魔法学院

「な・・・・」
開いた口がふさがらない、とはまさにこのことなのだろう。
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは自分自身が春の使い魔召喚儀式で召喚した代物を唖然とした表情で見上げていた。
魔法が成功したことが1度もない彼女にとってこの使い魔召喚の儀式だけはなんとしても成功させたいものだった。
そんな彼女の願いが天に通じたのか、確かに召喚は成功した。
だが―いきなり空中に光の渦が浮かび上がったかと思うと、そこから出てきた"ソレ"はゆっくりと―ついでに魔法学院の外壁の一部を潰して―着陸した。
"ソレ"はまさに『鋼鉄の城』と呼ぶにふさわしい雰囲気をまとっていた。
なんとなく船舶系と言うのは分かるのだが、あんな巨大な砲塔は見たことがない。
艦首には菊の紋章があって、甲板では何事かと見慣れない軍服を着た兵士たちが戸惑っていた。
「なんなのよ、これは・・・」
当然だが、ルイズはこのフネの名を知る訳がなかった。
彼女にフネの名を教えるなら、多くの日本人はこう言うだろう。
戦艦『大和』、と。

113 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 17:04:33 ID:tCmQvJNf
これは直書きか?支援

114 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 17:06:56 ID:gUgjmmJD
おいちょっと待て
まさか書きながら投下してるのか?

115 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 17:08:10 ID:M3ElLKWH
投下はメモ帳にでも書いて、それから投下
それがマナー

116 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 17:09:08 ID:RHvLHq8W
>>前々から投稿しようか否か迷っていましたが、職人様方の作品読んでると
Wikiの方で見てたのかな?

117 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 17:12:15 ID:+9xXR4dc
直書きぽいね
今回はまあ仕方ないけど
これからはコピペ使ってくれ。
この投下スタイルでいく気なら予約がない時を狙うか避難所でたのむ

118 :使い魔初心者:2007/09/16(日) 17:15:22 ID:B1YviZ6h
すいません直書きです。家にPCがなくてネット喫茶から書き込んでます。
ご迷惑でしたら、また日を改めて今度はちゃんとコピペで書き込みます。

119 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 17:19:37 ID:W9v/oMNj
直打ちで何時間占領するつもりだ
打ち間違いの確認もできないしおとなしく書き溜めて来い

120 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 17:20:14 ID:HJYOkgq5
>>118
>また日を改めて今度はちゃんとコピペで書き込みます。

じゃあ、ソレでお願いします
お待ちしてます




121 :使い魔初心者:2007/09/16(日) 17:20:28 ID:B1YviZ6h
そうします、大変申し訳ありませんでした。
では自分はこれで・・・。

122 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 17:23:03 ID:UrGp7Bx5
まあ、今回は仕方ないね。
気落ちせず、いい作品を投下してくれ。あと、散財に気をつけてww
休日のネカフェは気付くと陽が暮れてるからな

123 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 17:23:23 ID:+9xXR4dc
どんまいよー
続きが気になる区切りだしなw
出先で投下に支障がある等の場合は
避難所の代理に依頼してまとめて投下してもらうという手もある。

124 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 17:24:56 ID:hKROwjnz
>>95
市民、それは幸福ですか?

125 :眼つきの悪いゼロの使い魔 オーフェン:2007/09/16(日) 17:27:06 ID:5izJUdGa
投下しても大丈夫でしょうか。

予定よりも早くあがりました、というか議事録書かずになにやってるんだろう俺?

126 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 17:28:25 ID:x7H5/uZG
モグリの金貸し支援

127 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 17:28:38 ID:WlOXnsjR
>>125
バッチこーい。待ってました

128 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 17:30:24 ID:GU/maqlH
我は放つ光の支援!

129 :眼つきの悪いゼロの使い魔 オーフェン:2007/09/16(日) 17:30:44 ID:5izJUdGa

 どこの魔境だ、ここは? 辺りを見回したオーフェンの率直な感想がそれだった。
 中庭より離れた棟の二階。その廊下を歩くオーフェンの横を、足が六本あるトカゲが通り過ぎていく。
他にも舌ではなく火をちろちろと覗かせる爬虫類や、手がある鳥といった奇怪な動物たちが、恐らくは
主だと思われる生徒たちの後ろへ忠実に従っている。数日前に使い魔を呼ぶ儀式とやら行われてから、
これが学院の日常となっていた。異邦人たるオーフェンにとって、これを日常と受け入れられるのは、
もうしばらくの時間が必要となりそうである。

 廊下を歩むオーフェンへ、視線を向けてくる者はいない。いずれも名家の子弟である学院生徒にとって、
一介の用務員など路傍の石と大差ない。だが、むしろその反応に感謝しながら、オーフェンは歩を進める。
厩舎の修繕に思ったよりも手間取ったため、昼の休憩がややずれ込んだ。坊ちゃん嬢ちゃん方に用件を
申しつけられ、これ以上貴重な休憩時間を削られてはたまらない。

「あら、ここにいたのですか」

 涼やかな高音の声が、オーフェンの耳に忍び込む。聞きなれた声であり、いまだに聞きなれぬ口調。
 振り向いた先にいるのは、学院長秘書ロングベルことマチルダだった。両手で上品に書類を抱えて、
控えめに微笑んでいる。

「そのしゃべり方、疲れねえか?」
「演じることを苦痛に感じる女などいませんよ」

 さらりと言うマチルダに何事か返そうとしたオーフェンの傍を大蛇が通る。空を飛ぶ大蛇が。
 ぎょっとして首を竦めるオーフェンを可笑しそうに笑いながら、

「蛇はお嫌い?」
「食えないやつと空中浮遊するやつはな。クソ、何なんだこっちの動物は」

 毒づくオーフェンの言葉に、マチルダは興味深げな色を瞳に乗せ、

「あなたの故郷にはいないのですか」
「ああ、いないよ。この建物くらいの全長のウサギや、一睨みで森を壊滅させる狼とか、一海里さきの
鉄鋼船を沈めるサイくらいしか……」
「……その、そちらのほうが凄いかと」
「うん。俺も言ってて思った。凄いな、何でまだ生きてるんだろう俺」

 あまり良い記憶ではないのか、追憶を払うように頭を振ってから、オーフェンは改めてマチルダの姿を
見つめる。

「秘書業が板についてきたじゃないか」
「それはどうも。ええ、お仕事に関しては全く問題ありません」
「それは、仕事以外で何かあるってことか?」

 また嫌味でも言われるのかと内心身構えるオーフェンへ、マチルダは実に忌々しげに告げた。

「いいえ、大したことではありません。オスマン老のセクハラには慣れましたし。二回り年上の殿方から
再三食事に誘われることも、一回り年下の子供から手紙をもらうことも、ええ、全く大したことではあり
ません」

 言葉ほどには平気そうではない彼女を、オーフェンはにやにや笑いながら、

「良かったな。おおモテじゃないか」
「あなたね、」

 何事か言いかけたマチルダを突然の歓声が遮る。二人は同時に視線を窓の外へ飛ばした。
 中庭に人だかりができている。その人だかりの中心は、何か円形の結界でもあるかのように無人だった。
いや、完全に無人ではない。二人の少年が距離を取って対峙している。やや興味を引かれたオーフェンは、
右手で日差しを作りながら窓に近寄った。


130 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 17:30:49 ID:kY5MhckF
なぜかコルベールに期待しつつ支援!

131 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 17:31:42 ID:t7QTBYNa
魔術を防ぐホーロー鍋支援

132 :眼つきの悪いゼロの使い魔 オーフェン:2007/09/16(日) 17:32:17 ID:5izJUdGa

「喧嘩、とその野次馬か?」
「当たりです。まあ、あの子たちは決闘と主張していますが」

 オーフェンの傍によって同じ方向を見つめながら、マチルダがオーフェンの推測を補足する。

「あの金髪の子が複数の女の子と付き合っていることが、あの黒髪の子のせいで発覚。それから謝れ謝ら
ないの問答の末、暴力で話をつけることになったそうです」
「なるほど、そりゃ確かに喧嘩だ」

 話すマチルダの顔が、少し意外なほど近くにある。鼻腔に香る彼女の髪からわずかにオーフェンは身を
反らし、中庭の様子に集中した。と、不意に思いついたようにマチルダが言う。

「どちらが勝つと思います」
「賭けるか?」

 問うオーフェンに、彼女はちらりとマチルダの顔を覗かせながら頷いた。

「では敗者は勝者に、王都で食事を奢るということでいかが?」
「てめ、俺の懐事情を知っててそれを言うか」

 週に一、二度見るマチルダの服(俺が買った。なぜだ)へ視線を落とし、ぼやきながらもオーフェンは
条件に同意する。そしてオーフェンは黒髪に、マチルダは金髪に賭けることとなった。
 それを待っていたわけでもないだろうが、少年たちの『決闘』が開始する。
 泥臭く突進する黒髪の少年に、オーフェンは思わず呻く。

「うげ、完全に素人かよ」
「あら、あの子ドット? しかもゴーレムが一体だけ?」

 互いに失敗したかと考えながらも、傍観者の気軽さで実に力の抜けた応援を始めた。

「うあーばっか、なんで正面から殴りに行くんだよ。逃げろ逃げろ走れ走れ。そのへんの野次馬捕まえて
盾にしろ」
「あーもうなに余裕ぶってるのかしら。勝ち目があるうちに決めればいいのに。平民の子供といっても
使い魔なんだから、どんな奥の手があるか分かんないでしょうが」
「だーかーらー金属の塊を素手で殴るなよなー……って、使い魔?」

 聞き逃せない単語を耳にしたと、オーフェンがマチルダに疑問の眼を向ける。

「あら? もう有名な話じゃありませんか。使い魔召喚の儀式で平民の少年が呼ばれたって。あの子の
ことですよ」
「ああ、あいつのことだったのか。ん? ってことはあいつ、ここのぼんぼんに顎で使われてんのか。
うわあー、ますます頑張れ少年」

 さきほどよりも若干熱のこもった声援をオーフェンは送る。しかしそれも虚しく、黒髪の少年は膝を
つく。少年の主だろうか、桃色の髪の少女(十二、三歳くらいかとオーフェンは見当をつける)が駆け
寄っていた。
 勝利の笑顔を見せるマチルダを憮然と見返し、オーフェンが何か逆襲の言葉はないかと考える。そして
口を開こうとした瞬間、中庭の状況が一変した。
 膝をついていたはずの黒髪の少年が剣を手にし、一体の女性型ゴーレムを切り捨てる。少年の攻勢は
止まらない。猫科の肉食獣を思わせる俊敏さで新手のゴーレムたちを次々と機能不能に追い込み、ついには
金髪の少年から降参の言葉を引き出した。
 さすがに唖然として、オーフェンとマチルダは顔を見合す。


133 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 17:32:41 ID:QVAzOQ5b
>>129
学院長秘書ロングベルことマチルダだった。
ロングベル→ロングビル
支援

134 :眼つきの悪いゼロの使い魔 オーフェン:2007/09/16(日) 17:33:40 ID:5izJUdGa

「おっどろいた。あの子、大した達人じゃない。猫を被ってたんだ」

 彼女はロングビルとマチルダの中間の口調で言葉を漏らす。次いで、からかうようにオーフェンへ訊ねた。

「ねえ、あなたとどっちが強いかしら?」
「……剣の勝負じゃ話にならねえな。技も速さも桁違いだ。百回やれば百回負けるだろう」

 その答えがよほど意外だったのか、マチルダが瞬きを繰り返す。それを気にした風もなく、オーフェンは
力尽き崩れ落ちた少年に注意を戻した。

(というか、あれは人間の筋組織で可能な動きじゃなかった、よな)

 主と思われる少女が魔法で何かしたのか、それとも使い魔としての特殊能力だろうか。何か不自然な物を
眼にしたと首を捻る。と、

「なあ、俺ら立場的に現場に行ったほうがいいんじゃね?」
「大丈夫ですよ。ほら、生徒想いの先生がすでに向かっています」

 口調をロングビルのものに戻し、マチルダが告げる先には禿頭の男がいた。裾の長いローブを揺らし
ながら、慌てた様子で騒動の中心に走っている。
 いい先生だなと感心するオーフェンと対照的に、マチルダは胡乱な眼つきで男を見つめていた。

「さっき話しましたよね。私を食事によく誘ってくるのがあの人です」
「そりゃ……」

 度胸があるなという言葉は寸前で飲み込んだ。誤魔化すように、気がついた事をオーフェンは口にする。

「あの男、従軍経験でもあるのか?」
「コルベールさんが? まさか」

 笑いながら否定するマチルダを横目に、オーフェンは改めてコルベールなる教師を注視する。ひどく
慌てたように走っているが、上体がほとんどぶれず、頭の高さも一定のままである。よほど足腰を鍛えて
いなければ、ああはいくまい。いや、それよりも気になるのは、いま耳にした彼の名前である。

 コルベール。それは、あの火使いが最後に残した名ではなかったか?


135 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 17:34:39 ID:HOAgSBc2
文句をつけるつもりはないが
名前に初心者なんてつけない方がいい
批判された時のいいわけともとれるから
題名だったと言うオチならスルーしてくれ

136 :眼つきの悪いゼロの使い魔 オーフェン:2007/09/16(日) 17:34:46 ID:5izJUdGa

 決闘騒動から数日後のこと。平賀才人は、それなりに上機嫌であった。いけすかない貴族に一発かます
ことができたし、自分をこの世界に呼んだ魔法使いの少女からは多少ましな扱いを受けるようになった。
自分と同じ色の髪をしたメイドの少女とはより仲良くなり、食事に困ることもなくなった。また、貴族の
報復に対処する道具、剣も手にすることができた。

 剣。包丁やナイフではない。映画でしかお目にかかったことのない、本物の剣である。男の子としては
気に入らざるを得ないだろう。赤毛の美女、キュルケから頂戴した大剣はさすがに日常で携帯するには
大振りすぎたため、今は古風な拵えの長剣を佩いていた。デルフリンガーなる大層な銘のインテリジェンス
ソードである。

 いつもの洗濯を終えた帰り道、デルフと雑談を交わしていると、一人の男が才人の視界に入ってきた。
黒髪、黒革のジャケット、黒色のズボン。二十歳ほどの、全身黒ずくめなひどく眼つきの悪い男である。
元の世界で遭遇すれば、必ず道を譲ったであろう手合いであった。こんなにファンタジーファンタジーした
世界にもこんな人種がいるのかと感心する。そしてなるべく視線を合わせないように通り過ぎようと、

「よう、そこの暇そうな眼つきのわるい兄ちゃん」

 とんでもない台詞が、自分を相棒と呼ぶ剣から飛び出した。慌てて刀身を鞘へ押し戻す。それから曖昧な
笑顔を浮かべて、才人は顔を上げた。
 青年は不思議そうにこちらを見ていた。次いで、顔つきに似合わぬ温和な笑顔を浮かべる。意外と優しい
人なのかもしれない。やはり外見で判断しては、

「初対面の人間を相手に、すごくいい度胸してるなぁ、少年」

 見た目通りの人だった。

「ちょ、ちょっと待ってください! 今の俺じゃないですよ!」

 青年が辺りを見回す。彼ら以外には誰もいなかった。青年はにこにこ笑っている。才人にはそれが何かの
攻撃色のように思えた。

「待って待って待って! 違うんですってば! ほら、こいつ! こいつが言ったんです!」

 必死の形相でデルフを指し示す才人に対して、青年は少しだけ怪訝な表情をする。そして、なるほど剣が
喋った主張しているのだなと得心したように手を打ち、再び周囲を見回した。人気のないことを心から安堵
して、朗らかな笑顔を顔一杯に拡げる。

「凄いなぁ少年。俺も今度から人に因縁つけるときは、君みたいな個性的なやり方にするよ」
「うわああああ落ち着いて! 指の骨を鳴らさないで! つーかデルフ! お前も何か言えよ! 肝心な
時だけ黙るなよな!」

 鞘から抜けばよいと才人が気づくのには、しばらくの時間を必要とした。


137 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 17:34:51 ID:x7H5/uZG
おお、因縁がつながっていくw 支援

138 :眼つきの悪いゼロの使い魔 オーフェン:2007/09/16(日) 17:35:55 ID:5izJUdGa

 食堂の一角でテーブルを挟み、オーフェンと才人は座っていた。なんとか弁解を終えた才人の誘いによる
ものである。
 オーフェンは、一振りの長剣を手に取っていた。これは才人ではなく、デルフの要望によるものであった。
 あまり興味を示した様子もなく、鋏の品定めをするようにオーフェンは刀身を眺めている。次いで完全に
鞘から引き抜き、右手で軽く振る。錆は気になるが、重心のバランスは悪くない。そして、専門家でもない
オーフェンに分かることは、その程度でもあった。
 オーフェンは刀身を三分の二ほど鞘へ戻し、デルフの言葉を待つ。自分がこの喋る奇妙な剣を握ることに
一体なんの意味があるのか?

「うーん、あれえ? 勘違いだったか? でもちびっとだけ感じるんだよなー。ううーん、でもなあ、
同時期に同じのが二人って有り得るのかねえ? ねーよなー普通」
「…………?」

 かなり意味不明なデルフの言葉であった。何一つ意味が分からず、二人は顔を見合わせる。オーフェンは
柄を才人に向けて返しながら、

「なんだったんだよ結局」
「おー悪い悪い。兄ちゃんも使い手かと思ってさあ、ちょっと試してみたんだわ」
「……順序立てて聞くぞ。まず使い手ってのは何だ?」

 しばらくデルフは口をつぐんだ後、軽い口調で言う。

「さあ? 忘れた」
「なあ才人君。こいつ非常階段に染み付いた痰をこそぎ落とすのに使いやすそうだと思わないか?」
「同感です」
「ごめんなさいごめんなさい待って待って」

 オーフェンの口調から本気を感じ取ったのか、デルフが真剣に慌てる。と、騒がしくしている彼らの下へ、
盆に水杯を載せて一人の少女が歩み寄ってきた。黒い短髪と白いカチューシャが印象的な女の子である。
清楚に微笑み杯を置く彼女に礼を言いながら、名前はなんだったかとオーフェンが頭を捻る。答えは才人が
口にした。

「ごめん。わざわざありがとうシエスタ」
「気にされないでください。ちょうど手が空いていましたから」

 親密気な少年少女の姿に、オーフェンは深く考えずに口を滑らす。

「見かけによらず手が早いんだな、少年」

 才人が赤面しながら何か否定の言葉を吐こうとする。しかし、より激烈な反応をしたのはシエスタと
呼ばれた少女のほうだった。

「やだもうオーフェンさん! まだ全然そんなんじゃありませよ! ほらほら才人さんが困ってらっしゃる
じゃないですかー!」
「ははは、痛いな。そんなに照れなくても痛て、いいんじゃ痛、ちょ、待て、マジで痛いってうがっ、
お盆を縦に使うなあ!」

 そんな騒動とも言えない些細な会話の後、彼らは互いに貴族ではないという気安さも手伝ってか、
しばらくの間談笑を交わしながら時間を潰しあう。
 知己が増えたことをオーフェンと才人は喜んだが、しかし、二人が再び出会うのはこの時よりかなりの
時間を過ぎてからとなる。


139 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 17:36:45 ID:zelujGpV
私怨

140 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 17:36:58 ID:kY5MhckF
支援

>>135
投下中自重

141 :眼つきの悪いゼロの使い魔 オーフェン:2007/09/16(日) 17:37:31 ID:5izJUdGa

 夜露が建物を濡らし、草木を湿らす。天上に浮かぶ双月の輝き。日はとうに暮れ、しかし深夜にはまだ
遠い時間帯。オーフェンは日課である夜間の見回りを行っていた。
 魔術で鬼火を作りたくなる誘惑を耐えて、手にしたカンテラで辺りを照らす。これは雇われ用務員の
業務の一環であったが、オーフェンとしては別の目的もあった。見回る場所は、宝物庫周辺に重点をおく
ことにしている。

 オーフェンは道化となったような心地で歩く。無論、自分の勘違いであれば一番いい。盗賊フーケは
まったくの第三者で、今も王都で潜入先の屋敷を下見している。それが自分にとって最も望ましい決着
である。ただ、そう思いつつも同時にオーフェンは、自身の幸運を欠片も信じていなかった。
 カンテラを掲げて、のんびりと歩く。慣れてしまった作業で緊張感を維持することは難しい。そして、
何か変化はないかと考えていたオーフェンを咎めるように、話し声が宝物庫の辺りから聞こえてきた。

 オーフェンはカンテラの火を落とし、足音を消しながら様子を窺う。等間隔で植えられている樹木の影に
隠れ、オーフェンが見た先には、一人の少年と三名の少女たちがいた。少年は昼に会った才人である。
少女たちの一人は恐らく才人の主だろうが、他の二人はよく知らぬ顔だった。なにやら才人が縄で縛られ、
吊るされているようにも見える。

 別にそれはいい。オーフェンも十五歳頃の時はたまに吊るされたりしていた。オーフェンが気にしたのは
屋根の上に見える人影であった。暗闇と距離のせいで性別は分からない。あるいはフードを被り、顔を
隠しているのかもしれない。
 懸念が当たったかと、オーフェンは嘆息する。そして正体不明の人影の背後を取れるよう、建物の裏手に
周り、小声で唱える。

「我は飛ぶ天の銀嶺」

 魔術が発動し、重力が中和される。そのままオーフェンは跳躍し、屋根に降り立った。人影はまだ気が
ついていない。ひどく寛いだ様子で屋根に横座りしている。仕事の前に余裕だなと胸中で皮肉りながら、
オーフェンはその人影に聞こえるように呟いた。

「我は生む小さき精霊」

 突然の声に体を震わせながら振り返る。その姿を晒すべく鬼火が宙を走り、『彼女』の顔を照らし出した。

(…………?)

 オーフェンの片眉がわずかに上がる。予想に反し、そこにいたのは彼の知らぬ女だった。

 長髪は夜気を結晶したように黒い。タイトな衣服がその完全な肢体を強調している。すでに落ち着きを
取り戻した女は、艶然と、毒花じみた微笑を唇に刻んでいた。


142 :眼つきの悪いゼロの使い魔 オーフェン:2007/09/16(日) 17:38:34 ID:5izJUdGa
投下終了です。
やばい。7話じゃ終わらない。

143 :sage:2007/09/16(日) 17:40:32 ID:433tFWy3
支援

144 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 17:41:31 ID:za8Srtfp
おつじゅしたー
殺人人形を下したこともあるオーフェンならサイト相手でも勝てるだろうとは思うなあ。
あとシエスタ、行動が調子に乗ったボニーみたくなってるから気をつけよう。取り返しがつかなくなるぞw。

145 :135:2007/09/16(日) 17:41:42 ID:HOAgSBc2
>>140
すまん
他のスレみて時がたつのを忘れていた

146 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 17:42:09 ID:kY5MhckF
乙です!
誰なのか気になるね。

147 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 17:42:45 ID:0ikpPxsh
乙。ここでまさかシェフィールドか?

148 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 17:43:23 ID:433tFWy3
うげ、間違えた

149 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 17:44:13 ID:WlOXnsjR
長くなる分には、一向に構いませんぜ
GJ!!

150 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 17:44:15 ID:ZzP2kYvA
>>144
魔術使えば割と余裕だろうな、デルフで吸い込むことも出来んだろうし
ただ近接戦闘のみでやったら基礎的な身体能力の差で……あれ?そう考えるとサイトについていけたワルドって実はすげぇ?

151 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 17:45:20 ID:KGSzP4al
乙っす!
ミョルたんが盗賊フーケ?

152 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 17:45:22 ID:TtiXbNoS
>>142


>やばい。7話じゃ終わらない。
当初の想定より量が増えるのはよくある事w
頑張ってくれ。

153 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 17:51:24 ID:kY5MhckF
>>147
あ、シェフィールドか。確かにあの格好はエロイw

154 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 17:51:41 ID:x7H5/uZG
乙だね!!
そういえばシエスタも姉だったっけ、って思ってしまった


155 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 17:55:04 ID:0vr6YaUe

そういや俺が姉スキーになったのはオーフェン読んだのがきっかけだったな

156 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 17:56:57 ID:o38QVd+C
>150
 だろうな、そもそも剣で闘う必要はないし、オーフェンも「剣」でなら何回やっても負けると言ってるだけだ
サイトがオーフォンに勝てる場面って想像できないんだよな

157 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 17:57:31 ID:RGvnvDBI
投下乙。
おっけーおっけー。
その調子でもっともっと長く話を続けてくれw

158 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 17:58:55 ID:hKROwjnz
仮にオーフェンが、剣ではなく、ポテンヒッターもとい横暴姉調停装置もとい、駄作破壊王を武器にしたならば正面からでも勝てるに違いない。

159 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 17:59:31 ID:RGvnvDBI
そういやこのオーフェン、サモンはされてるけど、コントラクトはしてないのかな?
描写はなかったよね。

160 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 17:59:59 ID:hKROwjnz
何か駄作破壊装置とヒュキオエラ王子が脳内で混ざってしまったorz

161 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:00:43 ID:x7H5/uZG
オーフェンだったらまずは無能主人を盾にすることから始めるんじゃないかな

162 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:02:01 ID:0c8Rdv3w
こかして踏みつける、が基本スタイルだから動きが超人でも戦闘思考が割と素人のサイトではむしろカモかも知れん。

163 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:02:59 ID:o38QVd+C
無能警官以外の「姉」を盾にするなんて彼にはできません

164 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:03:50 ID:vgz1ATx3
いやー 乳みたいなキャラは絶対盾にゃせんでしょう。

165 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:05:19 ID:hKROwjnz
とりあえずオスマン辺りなら盾にしても問題ないな。
あとギーシュとデルフ。

166 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:05:36 ID:i+LxAKDf
どっちかっていうとギーシュとかマリコルヌとかルイズとかで無能貴族バリアじゃなかろうかと

167 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:07:32 ID:UtoCSBeZ
問答無用調停装置やボンバー君シリーズの出番だ!

168 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:10:24 ID:bZcwS2El
無能部下調停装置な

169 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:10:32 ID:hKROwjnz
なんかちい姉さまがマリアベルに思えてきた。

170 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:15:28 ID:fDeH4Ll9
遅くなったけどGJ!
年上キラー発動でマチルダvsシェフィールドフラグかw

171 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:18:12 ID:o38QVd+C
オーフェンのヒロインって今回オーフェンを利用する「年上」の女性っていみじゃないのか?

172 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:18:38 ID:hKROwjnz
>>170
そこはマチルダVSシェフィールドVSエレオノールVSカトレア姉さまに決まっておろうが。

173 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:19:29 ID:UtoCSBeZ
>168

問答無用調停装置はエドゲイン君って読むんだけど……

174 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:20:48 ID:W9v/oMNj
問答無用調停であってるぞ
問答無用調停装置エドゲイン君
無能部下のは無能部下〜器シリーズ
焦がしとか捻じ切りとかだっけな

175 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:21:05 ID:t7QTBYNa
ここで流れを仏陀斬ってみる


もし、拳王様が召喚されたら……
ワルドは間違いなく木っ端微塵
そしてルイズもユリアの如く孕まされる

176 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:23:02 ID:0c8Rdv3w
無能部下シリーズはボンバー君だったか。
あごの骨砕き器とか身も蓋もなくて素敵だ。

177 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:23:46 ID:cfsnO3Yt
>>175
リュウの母親は作中でも不明だぞ。


178 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:25:49 ID:hKROwjnz
あれ?
そういえば鯖とかマグロを持ったら、武器扱いされるのだろうか?

死んだ魚でレスリングー

179 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:27:08 ID:o38QVd+C
サイトは無理だろうけどSSWや新SSWなら可能だろう

180 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:27:54 ID:hKROwjnz
やはり、サイトの腕では魚を使いこなすことは出来ないのか……

181 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:27:57 ID:NcCiPs5D
>>177
劇場版見たか

182 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:28:23 ID:fDeH4Ll9
>>178
先生!凍ったバナナは武器になりますか?

183 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:28:39 ID:t7QTBYNa
>>177
武論尊の設定ではラオウとユリアの子で
原先生が少年漫画にあるまじき設定だ、ということでボカしてる

184 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:29:44 ID:p2iA2jnZ
ところで、サイトVSギーシュの賭けはオーフェンの勝ちだけど、メシ奢って
もらえたんだろうか? 誤魔化された気がしてならないw

185 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:31:00 ID:GU/maqlH
ガンダールヴって本人が武器として見てないと反応しないの?
なんかアニメとごっちゃになって分からなくなって来た…

186 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:31:26 ID:hKROwjnz
>>182
おやつの300円以内で買ったバナナならばよろしい。

>>183
寝取(ry

>>184
多分、恨みがましい目でたかるに違いない。

187 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:33:39 ID:o38QVd+C
 もしサイトが無謀編を読んでたら 鯖もカジキも武器になるかもな
アニメは、実用的な武器でないとダメで原作はサイトの認識によるみたい

188 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:35:02 ID:QniWdYeF
とりあえずおまいらがオーフェン大好きなのはよく分かった
やはりラノベ繋がりで読んでいる割合が多いのだろうか


189 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:36:53 ID:GU/maqlH
>>187
dクス

190 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:37:25 ID:YAkx0xgf
>>176
それはむっつり詐欺師製作の拷問具じゃないか?
オーフェンが作ったのはレインボーカラーのボンバー君シリーズだったような。

191 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:37:34 ID:RGvnvDBI
>>183
すげーショックだ。

が、まぁ、それ以前にシンに既にヤられまくってるだろうしなぁ。

192 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:39:01 ID:KGSzP4al
ガンパレ系とかダイナマイト刑事とかマスターキートンとかがガンダールヴになったら、
あらゆるものは武器として使えるとか言い出しそうで困る。
実際に武器として使えるからさらに困る。
もしサイトがそれらのゲームや漫画を読んでたら、
決闘の時に食堂のフォークとかでギーシュ刺したりしそうで超困る。

193 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:39:28 ID:0ikpPxsh
死んだ魚しか武器に出来ない奴は居るな。
(血)生臭い殺し屋が。

194 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:39:59 ID:o38QVd+C
あごの骨砕き器は 原案:極貧金貸し黒魔術士
製作:ムッツリ詐欺師の派遣警察部長だ

195 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:40:17 ID:hKROwjnz
ユリア
ユリ ア
ユリ アッー
百合 アッー
つまり、こういうことだな。




あらゆる物を武器というと、ハード・デイズ・ナイツの巽玲もかな?
一通りのものは訓練してあるそうだし。

196 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:40:30 ID:hXZfQBAa
>>193
冷凍サンマ使いか。

197 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:40:37 ID:YgdtDPu2
>>192
魔法使い相手ならコショウも十分武器になるんじゃないかと思う俺

198 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:41:21 ID:NcCiPs5D
アルマンカー結界で大陸を閉じてるのに海の魚がいるのは何でだろ

199 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:41:59 ID:KGSzP4al
そう言えばゼロ魔世界にはサイレンスで呪文封じる魔術師居ないなと思う俺ソ厨。

200 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:42:21 ID:HQwGehZL
あぁ、地球防衛軍2の素敵で無敵なペイルウイングで書こうとしたけど文才無さ過ぎて無理っぽい…。
妄想なら対七万までできるのに…。
めちゃくちゃ歯がゆい。

201 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:42:29 ID:LK+YTLvN
宝物庫には問答無用調停装置が置いてある予感
でもゴーレムは倒せないかww

202 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:42:59 ID:i+LxAKDf
ゼロ魔のサイレンスって喋るの自体を封じるわけじゃなくね?

203 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:43:39 ID:nhLq0l/O
そういや魚武器にするやつの元祖ってモンティーパイソンだったな。
いや、武器ってのとはちと違ったか。

204 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:43:57 ID:o38QVd+C
単純に考えたら天人の遺産だろう

205 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:44:47 ID:ZQOzsioS
ここでハンガーを武器にするあの人を。


206 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:46:44 ID:hKROwjnz
>>198
微妙に海も結界内にあるんじゃないか?

>>200
じゃあ俺はミュートを使うよ。

207 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:48:50 ID:YAkx0xgf
>>198
キエサルヒマって元の世界から見たら島ぐらいの大きさじゃなかったっけ?
まぁ、大陸でも微妙に海があるところが結界内に入ってるかも。

208 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:49:25 ID:W9v/oMNj
>>203
フルーツを持った暴漢への対処だっけ?
昔のギャグというかコントはノリがいいよな

209 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:49:34 ID:hXZfQBAa
>>201
氷漬け+≪固定化≫されたミストドラゴンだったりして。
名付けて「破壊の魔獣」or「破滅の魔獣」

…そしてヴィンダールブ最強伝説が始まる

210 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:52:07 ID:JbHy+Lw0
>>207
つか確か蒸気船が走ってるぐらいは海も開拓されてたはずだぞ。

211 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:52:30 ID:ZzP2kYvA
>>207
一応オーストラリアぐらいの大きさ、って秋田がどっかで言ってた

212 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:59:22 ID:GU/maqlH
ダイの大冒険のマホトーンは口封じだったなw
本家DQでも仲間を呼ぶの防ぐからそういう設定なのか?

213 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 18:59:28 ID:kY5MhckF
>>198
排他的漁業水域外に出ようとすると結界界にぶつかります。とかかも知れんじゃないかw

214 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 19:04:59 ID:JvI3QS+I
>小声で唱える

小声じゃ屋根まで声が届かないんじゃ、と思った。
ぎりぎり屋根まで届く声、とか
口笛とか

215 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 19:05:51 ID:1Ma+J4CA
>>205
ジェド豪士?

216 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 19:09:18 ID:t7QTBYNa
>>192
>決闘の時に食堂のフォークとかでギーシュ刺したりしそうで超困る。
興奮しちゃうと刺しちゃうアルルゥと申したか

217 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 19:10:01 ID:za8Srtfp
>海
大きな入り江がある。というのも十分に考えられると思うんだけどなぁ。
対岸に渡るために蒸気船が開発されたというのもありうる話だし。

その入り江が重破斬で出来たとかでもなければ十分に魚はいるだろう。

218 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 19:10:09 ID:vuMNnj/h
>>192
セガール召喚と申したか?

219 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 19:15:38 ID:JbHy+Lw0
>>217
いやだから蒸気船っていうか海路があって
王都からトトカンタへの定期便とかなんかがあったはず。

そろそろスレ違いだし自重しよう。

220 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 19:18:01 ID:NcCiPs5D
>>214
音声魔術は声が媒介だから声が届かないと効果がないんだよなそういえば
利便性でもあり欠点でもある

221 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 19:18:03 ID:sUuiNqKO
>>215

「ザ・殺人術」を読んで、実践しようとした人じゃないのか。


222 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 19:19:42 ID:mV9QZenv
>>205
パッパッパーシャル解凍?

223 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 19:20:54 ID:ZQOzsioS
>>215
木製ハンガーじゃないと調子の出ないあの人。


224 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 19:20:55 ID:NcCiPs5D
SSWには遠洋の魚もいるけどまあそういうせかいなんだろ

225 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 19:23:15 ID:t7QTBYNa
ええい、貴様ら!落ち着け!!
そんなにオーフェンの設定考察したいのならオーフェンスレへ逝け!!!!

226 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 19:24:47 ID:HPtt+Gnr
オーフェンだって立派なパパになるんだから・・・

227 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 19:26:02 ID:GU/maqlH
>>205
違う、木のやつぅ〜!

228 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 19:27:28 ID:6JE/zv7A
>205
ええかげんなやつじゃけぇ〜♪

229 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 19:28:58 ID:WdWWZ+JH
そういやこのスレと姉妹スレ誕生のきっかけはベイダーだっけ?
スターウォーズから誰か召喚されないかと思ったが、あれってアメコミや小説の亜流が多くて話考えるのも大変そうだなあ
適任者いないかな

230 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 19:29:06 ID:hZCDHpZh
ふと思ったがソウルキャリバー2のシャレードなんかをガンダとして呼んだら何でも武器として反応するんだろうか?
使い魔としては大当たりかもしれんが意思の疎通で困るかな
目玉と変質した肉塊だし

231 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 19:43:49 ID:yU4zQNcx
何とかなるんじゃない、蛙やモグラが使い魔でも言うことは聞くんだし

232 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 19:45:26 ID:ZzP2kYvA
ベアードさまとかも使い魔になるんだし、何の問題があろうか

233 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 19:47:26 ID:M3ElLKWH
>>232
ありゃ? ビッグベアードなんてあったか。小ネタかな

234 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 19:47:54 ID:xrBv5QGn
>>227,228
このスレって年齢層広くてなんか安心したヨ

235 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 19:51:06 ID:M3ElLKWH
思い出せるがタイトル忘れた>>ハンガー

236 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 19:52:08 ID:ZzP2kYvA
>>233
原作自体でバグベア(バッグベアード)が使い魔として呼んでるよ、ルイズの同級生が

237 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 19:53:37 ID:M3ElLKWH
>>236
これは失礼、……見直してくるか

238 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 19:57:16 ID:hZCDHpZh
今思い出したがバグベアーやらカエルやらも使い魔になってるんだからコントラクトさえ出来ればあとはどうにかなるな
それにシャレードはたしか人間の死体+ソウルエッジの欠片だし多分知能もかろうじて残って……あれ?別に知能なくてもルイズが話動かせばいいのか
そういやシャレードは一応空飛べるけど(ゲームの演舞参照)速度どのくらい出るのか誰かわかる?

239 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 20:03:19 ID:t7QTBYNa
空が飛べる格闘系……







太史慈?

240 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 20:04:48 ID:TpUimbFj
>>239
ダルシムだろw

241 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 20:05:36 ID:i02V74r+
アフガン流れ星とか?

242 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 20:06:01 ID:n9Bppxee
マトリクスのネオとか。
仮想現実じゃなきゃ駄目か。

243 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 20:06:19 ID:xr5X1lfM
>>239
サイキックフォースとか

244 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 20:08:58 ID:YgdtDPu2
>>238
>シャレードはたしか人間の死体+『ソウルエッジの欠片』だし

ルイズが欠片の持つ邪気に汚染されてナイトメア化しそうだ

245 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 20:10:08 ID:yU4zQNcx
バグベアって創作的には熊の妖精だよね。

246 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 20:11:03 ID:sxS7+ijY
目玉妖怪は水木さんの創作だからな

247 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 20:12:21 ID:YSvwjL28
>>238
というかバグベアだのカエルだのが本来呼び出すべき使い魔で
人間や人間並みの知能持ってる方が本来イレギュラーだw

248 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 20:14:14 ID:DVRrFrDm
えー、でもベアード様(@鬼太郎)の知能はすげえ高いのに・・・。

249 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 20:15:21 ID:tuPiy3Vw
でも割とマヌケじゃね?

250 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 20:17:15 ID:e/D9x9d0
>>229
今ちょちょいと調べてみたんだが、一番早かったSS投下は姉妹スレ(3月)だった
んで次が傭兵(フルメタ)次いでベイダー

251 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 20:17:16 ID:VPSNc9+E
>>183
凄いショックだ……
ケンシロウは子孫を残せてないのになあ……

252 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 20:22:28 ID:0c8Rdv3w
>>251
つ北斗4in墓標

あー、足洗邸のバロネス教授とか出てこねーかなー。
ワルキューレは毎回時計塔の材料とか。

253 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 20:23:42 ID:t7QTBYNa
ベジータが召喚されたのもあったなぁ、VIPで
ドMベジータでギャグだったがw

254 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 20:32:29 ID:NUsAD4mG
姉妹→フルメタ→ベイダー→このスレを含む支流みたいな流れだと思う。
そういう意味ではこのスレは後発だよね。
ベジータは長編と言うよりは小ネタに近い気がするよ。
もう、性格がベジータじゃないし。

255 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 20:32:45 ID:pt7c0l9e
>>248
それは鬼太郎補正であって実際は西洋妖怪の纏め役だとかすごい力を持ってるとか
いったような設定は無いんだぜ


256 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 20:33:09 ID:0vr6YaUe
>>252
あのアインが削岩機としかスタッフに思われてなかったりするアレ?

257 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 20:38:10 ID:pt7c0l9e
>>192
武器としての目的で作られたものじゃなきゃ駄目なんじゃないっけ?
キュルケが持ってきた模造刀では発動しなかったような

258 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 20:41:26 ID:dMG3zwQN
ベイダー卿の小説読んだー
ヤベー、あのクォリティを維持させてなおかつ完結させるって、どんだけ凄いんだ作者さん

しかしあの小説の後でサイトが呼ばれてもカワイそうな気がしてきた・・・




259 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 20:50:32 ID:NcCiPs5D
>>258
本来サイトが積むべき経験をベイダーが浚ってしまったしなぁ
原作の9巻10巻めあたりで死ぬんじゃね

260 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 20:52:44 ID:gHpx45KP
投下良いでしょうか。
・・・つい最近元ネタが被っててちょいと戦慄しましたが、
キャラは違うので大丈夫かな、と。

261 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 20:55:08 ID:TpUimbFj
OK牧場

262 :封仙娘娘異世界編 零の雷 1/2:2007/09/16(日) 20:55:52 ID:gHpx45KP
  一

ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは今まさに、人生の転機を迎えようとしていた。
サモン・サーヴァント。すなわち使い魔召喚の儀式である。
召喚された使い魔は主人と一生を共にするのが定め。
使い魔次第で、主人のメイジとして、また貴族としての人生はどうにでも左右するのだ。
失敗は、許されない。

「宇宙の果てのどこかにいる、私の下僕よ! 強く、美しく、そして生命力に溢れた使い魔よ!
 私は心より求め、訴えるわ。我が導きに応えなさい!」

――呼びかけに応えたのは、いつもの爆発だった。
周囲を包むのは「あぁ、やっぱりな……」という空気と、言うまでもないが爆発による煙。
だが、失敗ではない。
ルイズは確かに、いつもとは違う手応えを感じていたのだ。

煙が、晴れる。

……そこには何も無かった。
――いや、よく見れば一振りの剣が転がっている。黒い鞘に納められた、細身の長剣。
それ以外は、何もない。
「さすがゼロのルイズだ、生き物ですらないとはねぇ! くっくっ」
「使い魔の分も自分で働けって事じゃない? あの剣使って」
「逆に考えるんだ。実は召喚に成功したんだけど今の爆発で吹っ飛んでしまった、と考えるんだ」
そんな嘲笑混じりの野次が飛び交うも、当事者たるルイズは涼しい顔で聞き流していた。

生き物ではない? だからどうした。
使い魔の分も自分で働け? 大いに結構!
――この剣は、紛れもなく私が召喚したものなのだ。
『ゼロのルイズ』などという不名誉極まる異名で呼ばれるのも今日で終わり。
とにもかくにも、この私が初めて魔法に成功したのだ。
それで出て来たのが剣だと言うのなら、私はこのハルケギニアで最強の剣士にだってなってやる!
剣などほとんど触れたこともないが、今から習い始めることだって今の私には苦にはならないだろう。
あぁ、いっそメイジなどよりそちらの方が向いているかもしれない。

263 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 20:57:40 ID:+q2ufYXr
殷雷剣来たか 支援

264 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 20:57:42 ID:QVAzOQ5b
支援

265 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 20:59:02 ID:u/aQWWQm
和穂がいないとなあ支援

266 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:00:14 ID:hZCDHpZh
えらく前向きなルイズ支援

267 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:00:17 ID:DVRrFrDm
先こされた支援

268 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:00:18 ID:QVAzOQ5b
支援

269 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:00:22 ID:NcCiPs5D
四本刀も二本目だな支援

270 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:02:08 ID:QVAzOQ5b
支援

271 :262:2007/09/16(日) 21:02:09 ID:xU/BdCEj
ご、ごめんなさい。
なんか「連打しすぎ」とか言われちゃったんで今携帯です。
もう少し待ってからにします・・・

272 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:04:24 ID:WdWWZ+JH
支援する!

273 :封仙娘娘異世界編 零の雷 2/2:2007/09/16(日) 21:04:43 ID:gHpx45KP
表情とは裏腹に、彼女の心は激しく高揚していた。
一分一秒でも早く契約してしまわなければ、血管が破裂しかねないほどに。
しかしそれでも、何故か声だけは冷静そのものだった。
「ミスタ・コルベール。使い魔は生物でなければならない、という規則は有りませんでしたよね?」
禿頭の教師は即答した。
「もちろんだ。君の召喚にその剣が応え、この場に現れた以上、その剣が君の使い魔となる。
 その剣は紛れもなく君の使い魔だよ、ミス・ヴァリエール」
ルイズは満足げに微笑んだ。
「では、コントラクト・サーヴァントを行います」
悠々と剣に歩み寄り、拾い上げた。
ルイズの口からほう、と溜息が漏れる。
遠目では気付かなかったが、黒い鞘には目立たないように複雑な模様が彫り込まれている。
製作者の優れたセンスを感じさせる、素晴らしい物だった。
これは蛇……いや、竜の一種だろうか? 架空の幻獣か、それとも――
(……まぁ、いいわ。後で調べてみましょう)
本の虫のタバサなら何か知っているかもしれないし。
ともかく、今は契約が先だ。
静かに、しかし力強く、ルイズは呪文を唱え始めた。

「我が名はルイズ。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール」

右手に杖、左手に剣。鞘を掴み、柄の方を上に。

「五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔と為せ」

杖の先で柄に軽く触れ、ゆっくりと顔を近づけ――

唇が触れる。


――そして、ルイズは爆煙に包まれた。

274 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:04:55 ID:TGFdSgFK
誰も突っ込まないから俺が突っ込む

>>216
エルルゥでっすぅ!

275 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:05:29 ID:xm2YAb/4
初投下一本目でいきなり規制とは―――ここは60秒だっけ?

276 :封仙娘娘異世界編 零の雷:2007/09/16(日) 21:06:59 ID:gHpx45KP
とりあえずここまでです。
・・・文の配分間違えて、何分の何だか分からなくなってしまいました・・・
すぐにまた次来るかもしれません。

あ、これは予約じゃありませんので。

277 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:07:25 ID:TpUimbFj
乙です

278 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:11:01 ID:6JE/zv7A
烈火より魔道具『風神』を召喚

ルイズ「エア・カッター(偽)」
ルイズ「エア・ストーム!(偽)」
ルイズ「エア・ハンマー!!(偽)」

ルイズ「風の遍在♪」

風神  ルイズ  風神

  風神    風神

キュルケ「……ねえ、あなたの遍在、おかしくない?」
       「何で幻獣みたいなのよ……」
ルイズ「の、能力は同じなんだから、べ、別に良いじゃない」
タバサ「……可愛い」

279 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:14:13 ID:aJHQ/BXJ
>>278
風神ちゃんのかわいらしさに撃墜されるルイズの姿が目に浮かぶw

280 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:14:40 ID:AarQRC5c
>>278
萌 え た

281 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:14:46 ID:An1kZnhV
前スレ1000に呪われたんでw、今日から長編書いてみた。
投下、よろしければ五分後に……

282 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:14:49 ID:cBc7aRNX
>>274
くそ、先に突っ込まれた!

>>216
駄目だねぇ名前を呼び間違えるっていうのは最も駄目だねぇ。

283 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:16:48 ID:p2iA2jnZ
GJ。鞘の文様からすると殷雷には違いないだろうけど、剣なのか刀なのか。

284 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:17:56 ID:TpUimbFj
>>281
かもん たつお

285 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:18:45 ID:HPtt+Gnr
抜刀斎でも呼ぶか・・・

286 :ZERO 輝く季節から:2007/09/16(日) 21:20:03 ID:An1kZnhV

 とても幸せだった。
 それが日常であるということを、つい忘れてしまうくらいだった。
 水溜りが撥ねて、ズボンの裾に泥がついたって、それは小さな幸せのカケラだった。
 ずっと、永遠に続くと思っていた。
 ずっと、水溜りで遊んでいられると思っていた。
 いつまでも、幸せのカケラを拾い集めていられると思っていた。
 でも、壊れるのは一瞬だった。
 永遠なんて、なかったんだ。
 知らなかった。
 そんな悲しい事を、ぼくは知らなかった。
 ……知らなかったんだ。

「えいえんはあるよ」

 誰かが言った。

「ここにあるよ」

 彼女は確かにそう言った。
 えいえんの世界。
 そこに今、ぼくは来ていた……。


 …………。
 ……。
 雨が降っている、と彼は直感的に思った。
 理由はない。ただ、そんな気がしただけだ。誰かに起こされずに目を覚ます日は、いつも雨だった気がする。重い瞼を、彼はゆっくりと開いた。
 ずいぶん長く眠っていたようだ。頭が重い。
 目を開けると、まぶしい光に目が眩んだ。青空が広がっている。

 雨は降っていなかった。

 周囲を見渡すと、そこは草原だった。どうやら仰向けに横になっているらしい。こんなところで昼寝してたかな? と彼は首をかしげた。まだ寝惚けている。
 と、自分を覗き込んでいる女の子と目が合った。

「……あんた、誰?」

 不審そうに尋ねてくる少女を、最初は長森だと思った。たいした理由はない。目覚めたとき、傍にいるのが大抵彼女だったからだ。
 次に、深山先輩かと思った。
 髪がピンク色だったからだ。
 どちらでもない、と理解して、彼はまた目を閉じた。ごろりと転がって丸くなる。

「おやすみ」
「こっ、こら! 起きなさい!」

 少女が騒ぐ。もしかしてみさおかな、と彼は意識の底で思った。これまた理由はない。

「あと3日寝かせてくれ」
「寝すぎよ! いいからとっとと起きなさい!」
「じゃあ、あと3匹寝かせてくれ……」
「意味わかんないわよっ!」
「ぐえ」

 蹴りが入った。なんてことしやがる、と思いつつ、これ幸いと気絶した振りをして彼は本格的に眠る事にする。
 遠くで、ゼロのルイズが平民を云々との囃子声があがった。どうも周囲に大勢いるらしい。

「ミスタ・コルベール! もう一度召喚させてください!」
「それはダメだ。ミス・ヴァリエール」


287 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:20:29 ID:hNsBcMo8
バージルとか…危険すぎるか。

288 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:21:10 ID:TpUimbFj
どうせなら夷腕坊(中身無し)を呼ぼうぜ。

289 :ZERO 輝く季節から:2007/09/16(日) 21:21:24 ID:An1kZnhV

 周囲の声をさほど気にせず、彼は微睡みながら記憶を辿る。
 ああ……。そうか、オレは消えたんだな。
 ということは、ここがえいえんの世界ってわけだ。
 本当に来ちまったんだな……。
 そう思うと、心に熱いものが込み上げてくる。たくさんのものを置き去りにしてしまった。多分、みんな自分の事は忘れてしまっただろうけど。
 幸せな日常が、そこには確かにあったのだ。
 それももう、遠くへ去ってしまった。もう戻れない太陽の牙の気分である。
 ウトウトしながらメランコリーな気分に浸っていると、突然彼は襟首を掴まれ、ぐっと引き起こされた。

「ぐあ、乱暴はよせ七瀬」
「ナナセってなによ。ああもう、どうでもいいわ。あんた、感謝しなさいよね。貴族にこんなことされるなんて、普通は一生ないんだから」

 少女は空いた方の手で杖を振り、呟くように文言を唱えた。

「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」

 続けて、ものすごい力で顔の両側をぐっと掴まれる。少女はきつく目を瞑り、おもむろに顔を寄せた。

「な、待――」

 抗う間もなく、唇を塞がれてしまう。彼は一瞬慌てたが、まあなんというか……折角である。
 腕を少女の肩に回し、もう一方の手は頭の後ろへ添える。そうして少女が逃げられない体勢を作り、彼は躊躇なく舌を伸ばした。

「んっ !? んむむー!」

 異変に気付いた少女が暴れるが、気にしない。そもそもキスしてきたのは少女の方である。
 しーん、と周囲は静まり返っている。
 やがて唇が離れた時には、おお〜というどよめきすら起こった。
 衆生監視の中、熱烈キスシーンを演じてしまった少女は、涙目になって怒鳴った。

「あああ、あんた、コントラクト・サーヴァントの儀式で、しし、舌入れてくるなんて、ななっ、なに考えてんのよっ !!」
「なにと言われても、紳士の嗜み……かな」
「わた、わた、わたしのファーストキスだったのに……!」
「まあ落ち着け、見知らぬ少女よ。たぐい稀に見る美男子のオレに惚れるのも無理はないが、そうは言っても実はオレにはもう心に決めた――んが、ぐっ」

 突如、焼け付くような痛みを胸に感じ、彼はうずくまって悶絶した。

「うっ、ぐぉ……なんだ…… !?」
「貴族に粗相したバチよ! 多分、使い魔のルーンが刻まれてるだけだから、我慢しなさい」
「ばかっ、刻むのはタマネギ、だけに、しとけっ……」

 熱い。たまらなく熱く、そして痛い。
 胸の痛みなんて慣れていたはずなのに、物理的なそれは耐えられないほど痛かった。
 全身から汗がどっと噴き出す。激しく厭な予感がする。
 なにか取り返しの付かないことになりそうなその予感に戦慄しながら、彼はその痛みに耐えていた。

 やがて――。

 痛みは唐突に、嘘のように消えた。
 ふう、と彼は嘆息し、大の字になって転がった。息を整えようと、深呼吸を繰り返す。
 見上げる空は青く、白い雲が流れている。平和な光景だ。さっきまでの厭な予感も、嘘のように消え去っていた。
 周囲は再び騒がしくなっている。先程の少女がなにやら誰かと言い争っているらしかった。


290 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:21:57 ID:TpUimbFj
おっと支援

291 :ZERO 輝く季節から:2007/09/16(日) 21:22:31 ID:An1kZnhV

 じゃり、という音がして、すぐ傍に誰かがやって来たのがわかった。見上げると、中年の男性が立っている。生え際がずいぶん可哀想な事になっていた。

「……あだ名はタマネギ太郎か、うでたまご先生か、どっちがいい?」
「なにを言ってるのかね? 私の二つ名は炎蛇だが……」

 ようやく、彼は気付いた。さっきの少女もそうだったが、みんな衣装がおかしい。
 漫画ならともかく、現実にマントなんて着ている人間を、彼は初めて見た。こっちの世界の習慣かな、と彼は思う。
 かっこ悪いから、できれば着たくないな、とも。
 そんな彼の思考を他所に、中年の男性は膝を曲げ、彼の身体をジロジロと眺めて言った。

「ふむ、胸を押さえていたね。ルーンは大抵身体の末端に刻まれるものだが……どれ、見せてみなさい」
「は? 見せて、と言うと?」
「脱いで」

 がばっと起き上がって胸元を押さえ、彼は声を裏返した。

「え、えっち!」
「ばか言ってないの!」

 いつの間にか戻って来ていた例の少女が、横から彼を怒鳴りつける。

「すまないが、使い魔に刻まれたルーンを確認して分類するのも私の仕事でね。見せてもらうだけだよ」

 ノリが悪いな、と思いつつ、仕方なく彼はシャツのボタンをはずした。
 最後の日は学校をサボっていたため、彼は私服である。地味なチェックの長袖シャツだった。
 胸を見ると、七つの奇妙な模様があった。文字のようにも見える。

「あーくそ。親からもらった大事な身体を傷物にしやがって。グレたらどーするんだ」
「ふむ……。珍しいルーンだな」

 そう言いながら、中年男性は手帳のようなものにサラサラとそれを書き写す。
 彼の呟きは無視されたようだった。
 模写が済むと、中年男性は振り返り、声を張り上げて周囲に呼びかけた。

「じゃあみんな、教室に戻るぞ」

 そして、杖を振って宙に浮いた。
 続いて、周囲にいた大勢の少年少女たちも同様に浮いた。
 さしもの彼も、これには驚いた。
 浮いたのみならず、少年少女たちは口々になにやら呼びかけながら、遠くへ飛び去っていく。あんぐりと口を開けてそれを見送った彼には、言葉の内容は届かなかった。
 後には彼と、例の少女だけが残された。


292 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:22:50 ID:GU/maqlH
また懐かしいの来たな支援w

>>288
ルイズが使うにはまず体鍛えないと

293 :ZERO 輝く季節から:2007/09/16(日) 21:23:34 ID:An1kZnhV

「……すげーな。ひこう少年とひこう少女の集団か。おそるべし、えいえんの世界」

 唖然と呟く。見ると、遠くには石造りの大きな建物が見える。どうやらみんなはそこへ向かったようだった。
 中年が「教室」と言っていたから、学校だろうか。えいえんの世界にも学校はあるのだろうか。
 そんなことを考えながら視線を巡らすと、例の少女が地面に蹲りながら、なにやらぶつぶつと呟いているのが見えた。
 正直、あまり声を掛けたくない風情である。しかし残念ながら、ここにはもう他に誰もいない。うーん、と彼は頭をひねった。
 多分、あの建物に向かえばいいんだろうとは思う。他は果てしなく地平線の広がる草原だ。さすがの彼も、弁当一つ持たずに当て所ない地の果てへ冒険に出るほど、考えナシではない。
 仕方なく彼は、イッちゃった目つきで地面と会話している少女に、恐る恐る声を掛けた。

「あー、見知らぬ少女よ、メッカはそっちにはないぞ、多分。時にあれはどうやるんだ? 飛べるんならオレも飛びたいんだが」
「……」
「いや、歩いてきゃいいんだろうが、飛べりゃそれに越したことはないし。楽するためにはどんな労力も厭わないというか……聞いてるか? おーい」

 肩をガクガクと揺さぶると、不意にガバリと少女は立ち上がった。首を廻らせ、少女は歯を剥いて彼を睨む。
 完全に目が据わっている。
 彼は思わず後ずさった。この迫力は、怒りを通り越して呆れたを通り越して、もう一度怒りに戻ってきた七瀬の如き威容だ。

「うるさいわね! わたしは今、世の不条理を嘆いて始祖さまに直訴してるところなんだから邪魔しないでっ! だいたい、わたしは飛べないの! ほっといてよっ!」
「あーなんだ、つまり飛べるやつと飛べないやつがいるってことか。えっと、オレは飛べないのか?」
「わたしが知るわけないでしょっ。あんたが貴族で飛び方知ってりゃ飛べるんじゃないの !? 自分で考えなさい! わたしに魔法の使い方なんか訊かないで!」
「魔法? ああ、魔法なのか。そうかそうか、魔法か。……魔法かよ!」

 びしっ、と彼はツッコミを入れる。
 しかし如何せん、彼はツッコミ属性ではなかった。弱い。
 案の定、あっさりとそれはスルーされた。

「だいたいあんたはなんなのよっ! 人間だし! 平民だし! わ、わたっ、わたしのファーストキス奪うしっ!」
「いや、奪われたのオレの方だし。あいにくファーストじゃないがな。あと、人間だって事に文句言われても困る」
「なんでノコノコ召喚されたのよっ !?」
「召喚? この世界に来た理由か? それこそ困るな。オレにはどうしようもない事だった……」

 若干眉を寄せながら、彼は答えた。
 それは彼にとって、根幹的な問題だった。抗えない事態だった。原因はなにかと問われれば、どうしても神妙な口調になる。
 二人の間を、微妙な空気が漂った。
 少女もなんとなくそれを察し、毒気を抜かれたらしい。怒らせていた肩を落とすと、薄い胸に手を当てて深呼吸をした。

「……いいわ。落ち着きましょ。貴族は人前で取り乱したりしないの」
「いや、むちゃくちゃ取り乱してたけどな」
「黙りなさい。――歩くわよ。結構かかるから」

 そう言うと、少女はさっさと踵を返して歩き出した。
 やれやれ、と肩をすくめて、彼もその後を続いた。

 二人並んで草原を歩く。向かうのはやはり、あの石造りの建物だった。
 午後だったのだろう。さっきと比べると、太陽が低くなっているのがわかった。
 草むらからは虫の声がする。季節はいつなんだろう、と彼は思った。慥か自分が消えたのは、三月だったはずだ。こっちにも季節があるのなら、今もそのくらいだろうか。
 しかし、えいえんの世界に季節があるというのも、何か妙な気がした。
 しばらく歩いていると、少女が話しかけてきた。


294 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:23:52 ID:TpUimbFj
支援はあるよ、ここにあるよ

295 :ZERO 輝く季節から:2007/09/16(日) 21:24:37 ID:An1kZnhV

「わたしはルイズ。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。で、あんたは?」

 自己紹介だった。そういえばまだだったな、と思う。
 しかし寿限無じゃあるまいし、と彼は思った。あまりにも長すぎる名前だ。

「オレはコーヘー。コーヘー・アマイモノスキー・トゥ・ワッフル・ザ・オリハラスター。で、お前は?」

 足は止めず、歩きながら答える。
 ルイズと名乗った少女は不愉快そうに眉を寄せた。

「言ったでしょ?」
「もう一回。ワンモア」
「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ! もう、何度も言わせないで!」
「おお……。偽名ではなかったか」
「当たり前でしょっ!」
「すまん、オレのほうは適当言った」

 ぴたり、と隣を歩く足音が止まった。
 振り向くと、ピンク色の鬼がいた。ややうつむき加減になり、杖を掲げた手は微かに震えている。

「……真面目に名乗りなさい。わたしの忍耐が尽きる前に。迅速に。素早く。丁寧に」
「姓は折原。名は浩平。字は孔明。出身は美男子星だ」

 さらりと浩平は答える。

「オリハラ? コーヘーコーメ? なんて呼べばいいのよ」
「浩平様と呼べ。あと孔明は憶えなくていい。忘れろ」
「コーヘー様ね。わかったわ。いいこと? もう二度とふざけないで」

 ギロリと睨みつけるルイズに、

「それは難しいな」

 と素っ気なく浩平は返した。
 再び、広い草原を並んで歩く。
 しばらく無言の行進が続いた。
 陽はすでに大きく傾いている。遮蔽物がないせいか、やけに夕陽が大きく感じる。浩平の採点では、75点の夕焼けだった。

「――って、なんでわたしが自分の使い魔に様付けすんのよ!」
「うおっ、時間差ツッコミか !? なかなかやるな……って」

 浩平は二三度瞬きしながら首を傾げ、今のセリフで少々気になった点を質問した。

「……使い魔って、なんだ?」
「そこから説明しなきゃなんないのね……」

 はぁ、とルイズは大きくため息をついた。


296 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:24:54 ID:WdWWZ+JH
支援なのよ!

297 :ZERO 輝く季節から:2007/09/16(日) 21:25:39 ID:An1kZnhV
今回はここまで。予定では夜寝るところまで行くはずだったんだが、キャラが言うこと聞かねぇww
PCゲーム「ONE 輝く季節へ」から、折原浩平召喚です。安直なタイトルを付けました。18禁の展開にはなりませんのでご安心を。
あと、ONEに関してはかなり古い記憶で書いてますので、「そのイベントとそのイベントは並立しない」などの厳し目のツッコミはご容赦願います。
ウチのXPだと、突然終了しちゃって再プレイできなかったorz
遅筆なので隔週連載くらいになるかも知れませんが、よろしく。

298 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:26:18 ID:NcCiPs5D
元世界からは忘れられまくりだな支援

299 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:26:29 ID:WdWWZ+JH
お美事にございまする。
そんなときはコンシューマーをプレイだ

300 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:26:54 ID:TpUimbFj
浩平の素っ頓狂なキャラが良く描けてる
期待大。

301 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:27:13 ID:u/aQWWQm
>>297
なにPS版をプレイすればいいんだ。

302 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:29:09 ID:GU/maqlH
GJ、確かに浩平ならそのルーンだw

>>299
コンシューマなんてなかったんだ…

303 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:29:42 ID:36Txs5A/
…いや、並立しないってアンタ、ONEのイベントをゼロでやる気なの?
私はメイジになるのよと騒ぐルイズとか雨の日に空き地に立つタバサとか朝起こしに来るシエスタとか。
浩平のキャラ自体はサイトとはかけ離れてるのでその辺は楽しみだな。
肉体スペックはサイトと同じくらいだが、浩平の場合はギャグ属性あるしなぁ。

304 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:30:01 ID:TpUimbFj
>>302
確かオリキャラが…

305 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:30:10 ID:wGhDWGaS
こいつが語るにはばかられる使い魔かよwww
……たしかに会うよな、この出鱈目男なら……GJ

306 :ZERO 輝く季節から:2007/09/16(日) 21:31:04 ID:An1kZnhV
ああ、追記。
清水なつき……だっけ? 彼女はカバーしておりませんのでご注意下さい。
持ってないのですよ、PS版ww
あと、並立シーンは浩平の回想での問題です。
支援、多謝ww

307 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:31:30 ID:u/aQWWQm
>>303
誰が大喰らいなんだろうか。

308 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:33:17 ID:TpUimbFj
>>303
掟破りのヒロイン同時攻略ルートを辿って来たってことでしょ。



あれ、帰っちゃう?

309 :夜天の使い魔 ◆Rein4tm63s :2007/09/16(日) 21:33:28 ID:tCmQvJNf
輝く季節で盛り上がっている所済まないが、投下予約をしたい。
40分辺りからで。

ところで、皆に謝らなければならない。
前スレ999で「1000を取ったら今日中に次の話を投下する」と書いたが……。
ごめん、あれ嘘☆
1000じゃなくても遠慮なく投下させてもらう!

310 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:33:34 ID:cfsnO3Yt
Q太郎だろう

311 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:34:08 ID:u/aQWWQm
>>308
マルチエンディングなADVじゃよくあることだな。

312 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:35:15 ID:hNsBcMo8
>>311
よくある中途半端に手を出して〜ってことだな

313 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:35:29 ID:QeQR8oGa
>309
待ってました

314 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:35:40 ID:TpUimbFj
>>309
オーダー入りま〜す!

315 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:35:54 ID:NcCiPs5D
>>306
買えばよろし中古でいくらでも売ってる
うろ覚えとかアウト、主人公の把握を蔑ろにして納得のいくもの書けるとご自分でもお思いか?

316 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:37:59 ID:GU/maqlH
夜天の人支援

>>315
やってないってわけじゃないから良いんじゃない?
浩平のキャラは把握できてるみたいだし
それにPS版追加キャラはなぁ…

317 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:39:25 ID:WdWWZ+JH
キタッ!支援だ

318 :夜天の使い魔 1/8 ◆Rein4tm63s :2007/09/16(日) 21:40:04 ID:tCmQvJNf
 双月の光のみが世界を照らす深い闇の中、アルビオン貴族派―彼等称する所による「レコン・キスタ」―が誇る巨艦・レキシントン号の周りを哨戒する竜騎兵達がまず最初にそれを目撃した。
眼下に広がる雲間より、雷が遡るかの如く昇り行く一条の影。それはニューカッスル城より高く舞い上がり、一瞬その身を留まらせた。
 竜だ。青い体躯の、おそらく風竜。その背には人が乗っている。王党派の竜騎兵か?
 戦場に於いて鍛え上げられた反応速度が、刹那の迷いも見せずにレコン・キスタの騎兵達を動かした。城に最も近い三騎が即座に竜の元へと、赤い矢の様に紅線を空に引き飛んでいった。
 
 雄大な大空の元、月光に照らされた竜の姿は幻想的な美しさを備えていた。王子様の居る城の空、浮かぶのは双月と偉大なりし竜。それはまさしく御伽噺の光景そのもの。
 最も、当人達にとってはそんな瀟洒な状況とは到底言えなかった。御伽噺も裏を見ればあっと言う間に俗世の笑い話に早変わり。
「うひぃぃぃぃぃぃぃ死ぬ死ぬぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!」
 一気に急加速したシルフィードの背中は阿鼻叫喚に彩られていた。顔を歪め必死に背中にしがみつくのが精一杯のルイズとキュルケ。
タバサも、今回ばかりはシルフィードの首をぎゅうと抱きしめて振り落とされないように身を縋りつかせていた。
 飛んでいる当のシルフィードも必死の形相で空を駆けていた。おそらく彼女の齢200年近くの歳月の中で、これ程まで全力で飛んだ事は今の一度まで無かっただろう。
この飛行は限界ぎりぎり、彼女の力の全てだった。
 時間にして、僅か三秒。しかし異常なまでに長く感じられる三秒だった。このほんの少しの時間で、両腕はじんじんと痛みを起こし、痺れたようにわなないていた。
 
 眼下には所々崩れかけ、今にも朽ちそうと思わせるニューカッスル城が見えた。その距離恐らく60メイル近く。
「ちょっと、行き過ぎたんじゃない!?」
「ごめんなさい、急に止まれなかったの!」
 本来なら城の高さすれすれまで上がり、直ぐに城内へと突入する手はずだったのだが……全力で走る人がいきなり止まれないように、急加速したシルフィードもまたその身を止める事が出来なかった。
タバサやシルフィードだってその位計算に入れていたのだろうが、その飛行速度が彼女達の想定以上のものだった事は完全に誤算であった。
 何時もと変わらぬ表情に見えるタバサであったが、その内には焦りが生まれていた。その眼は既にこちらに向かう竜騎兵の姿を捉えている。数は三騎、全てが火竜。
 ―早い。
 その反応の早さに驚きを隠せない。良く訓練されており、その上実践経験がそれに拍車をかけたのだろう。逡巡の類をまったく感じさせない、実務に忠実な動きだ。
はっきり言って分が悪い。万全の状態だったとしても、退けるのにどれ程の苦労が必要か。ましてや今シルフィードには自分の他に二人も乗せている。この状況での応戦は困難を極めるに違いない。

 シルフィード達が滞空していた時間は本当に極僅か、急上昇したそれよりも短いはずだ。しかし騎兵達はその僅かな時間を逃さず、牙を剥いてくる。
 次々と打ち込まれる早撃ちのファイアーボール。威力よりも速射を重視した、軍式の速読呪法。矢継ぎ早に呪文を唱え、相手を牽制し動きを制限する事を目的とした魔法の用い方だ。
連なるように火弾が飛んでくる様から見て、何れもライン以上の実力とタバサは判断した。
 火弾はシルフィードの機先を制するように、実に見事に打ち込まれていた。一つの火弾を避ければ次の火弾が鼻先を掠める。まるで火の檻のように、それはシルフィードの動きを縛っていた。
 不味い。巧みな連携の前に。タバサの焦燥が助長される。おそらく動きを制限しその場に釘付けにさせて、その隙に一人が大火力の一撃で沈めに来るつもりだ。
徐々に徐々に飛行範囲を制限させるかのような火線の引き方がそれを示していた。
「不味いんじゃない、これ」
 キュルケの顔にも不安が浮かぶ。このように一糸乱れぬ連携で魔法を運用する相手を見るのは初めての事だった。
自分達が何気なく用いているものが、使い手次第でこんなにも恐ろしいものに変貌するのだと彼女は初めて知る事になった。

319 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:40:49 ID:TpUimbFj
支援

320 :夜天の使い魔 2/8 ◆Rein4tm63s :2007/09/16(日) 21:41:09 ID:tCmQvJNf
 ―もう直ぐ、来る。
 一人が詠唱に専念しているのが見てとれた。僅かに弾幕が緩むが、数は減っても巧みに張り巡らされた火線が未だシルフィードの動きを縛り付けていて、逃げることは叶わない。
「攻撃を防ぐから、反撃お願い」
 タバサの思惑を汲み取ったのか、キュルケは無言で頷いた。
相手の全力の一撃を受け止めて、その隙にカウンターを入れて撃破、隙を作り一気にニューカッスル城に突入しようという腹積もりらしい、そうキュルケは受け取った。
 襲い来る数多の火弾の中、相手の呼吸の際を見極めようとタバサは神経を集中させる。僅かでもその瞬間を違えれば、全員が黒焦げだ。相手は必中を狙ってくるはず。その瞬間を、読む。
 微妙にテンポの違う二人の射手の弾丸、そのタイミングが合う刹那―そう、まるでその場に縫い付けるかのように撃たれた―
タバサの戦闘経験が警鐘を鳴らすこの瞬間、僅かな熱感を頼りに反射的に杖を以って敵を指し示す。第三の射手、止めの担い手の位置。それは、遥か天空の彼方、自分達の頭上!
 少女から放たれた暴風―ウィンド・ブレイク―は見事強大な火球を打ち消した。そして、そのかき消された炎を食らい尽すように、煌々と燃え盛る、さらに大きな火球が射手を襲った。
大技を繰り出し体勢を整える事に専念していた哀れな竜騎兵は、叫び声を上げる間も無く身を焼き尽くされ、アルビオンの夜闇へと落ちていった。
 タバサとキュルケ、二人の息の合い方は、熟練の兵士達を相手にしても揺るぐ事の無いものであった。まさに阿吽の呼吸で、見事敵を討ち取った。
 しかしそれを喜んでいる余裕は無い。まだ竜騎兵は二騎残っている。それにこのまままごついていては増援が来るかもしれない。一刻も早くニューカッスル城へ降り立たなければならなかった。
 
 一騎数を減らしたとは言え、未だ攻撃は苛烈であった。大分魔法を乱発しているのに、それが途切れる気配が無い。なんとか隙を突いて降下しようとしても確実に機先を制してくる。
 ルイズは状況に焦れて来た。まごついているという事よりも、己が何も出来ないというその事実に、だ。土メイジである彼女の本領は大地でなければ発揮出来ない。
今彼女が存在するのは空中、そこは地では無く風の領域。彼女の力のまったく及ばぬ場所であった。己の無力感にぎりり、と唇をかみ締める。
せめて、あと少し。あと10メイルで良いから降下してくれさえすれば。そうすれば、なんとか援護のしようもある。今の高さ―城より約40メイル―は余りにも遠すぎた。
もしフーケ程大きなゴーレムが作れるなら違ったのだろうが、彼女の作り出すゴーレムは10メイル強が少々であり、まったく手の打ちようが無い。
 
 このまま膠着状態が続くか、と思われた時、救いは以外な所から現れた。
 ニューカッスル城から放たれる矢、そして魔法。それらが竜騎兵達を翻弄し、連携を崩す。
「これって、もしかして援護してくれてるって事かしら?」
 意外な展開にキュルケは驚きを隠せなかった。
「そうみたい」
 ルイズもそれは同様だ。どうやら王党派の人々はルイズ達を敵とは見なしていないようだ。次々放たれる攻撃は何れも二騎の竜騎兵のみを狙っている。
「とにかく、これはチャンスよ! 今の内に!」
 攻撃の手は明らかに緩んでいる。シルフィードは体勢を整えると、一直線に降下した。狙いは城の中央にある広い庭だ。
「うひぃぃぃぃあああああぁぁぁぁぁ!?」
 その激しい速度に再び悲鳴を上げる事になるルイズとキュルケ。激しく上がったり下がったり、こんな経験はもう二度としたくない。今彼女達の気持ちは一つだった。

321 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:41:27 ID:TpUimbFj
支援

322 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:42:07 ID:NcCiPs5D
夜天つながりで劇ナデ敵役の人召喚も見たいぞ支援

323 :夜天の使い魔 3/8 ◆Rein4tm63s :2007/09/16(日) 21:42:13 ID:tCmQvJNf
 大地を揺るがせ、シルフィードはなんとか地に降り立った。
外壁はぼろぼろで今にも排城になるのでは無いかと思わせるニューカッスル城であったが、中に存在するこの庭園は立派に手入れされており、ここが人の生活する場であるという事を示していた。
 上空を飛び回っていた竜騎兵の内一騎は激しい攻撃の前に打ち落とされ、一騎はなんとか逃げ帰ったようだ。
激しい空中戦が繰り広げられていたニューカッスル城の夜空も、やっと平穏を取り戻したようだった。
 平穏を取り戻したのは一行の心もまた同様であった。
おそらく岬の下の岩陰から躍り出て三分と掛かっては居ないだろうが、一時間はぶっ続けで戦っていたのではないか、と錯覚してしまう程に長い時間だったとルイズには感じられた。
 落ち着いて冷静さを取り戻したところで、さてどうするかという疑問が彼女の内に浮かんだ。どうやら敵とは見なされていないが、今の自分達は夜半に竜で乗り付けてきた不審人物に相違ない。
これからなんとか弁明して、自分達がトリステインの王女の使いで来たものだと納得させなければならないだろう。いきなり牢に連れて行かれたりしたら眼も当てられないのだから。
 
 しかしそんな心配も杞憂に終わった。てっきり兵に回りを囲まれるか、と思っていたのだが、出てきたのは年老いたメイジと、その護衛と思われる兵士の二人だけ。
しかもその雰囲気は明らかにこちらを警戒していない。
「ようこそ、トリステインの勇敢な客人方。私めは皇太子殿下の侍従を勤めさせて頂いておりまするパリーと申します。
貴方方が如何様な用件で参られたのかは存じませぬが、まずは夜も遅い事ですし、ゆっくり休養を取られてからお話を伺いたいと存じ上げます。さあ、まずは中へ!」
 ルイズとキュルケは思わず顔を見合わせた。どういう訳か知らないがすっかり面が割れている。
「一刻も早く皇太子さまにお目通りを願いたい所だけど……確かにこんな夜分遅くにそれを申し出るのも不躾よね」
「それに今日はもうクタクタよ……あたしもう倒れちゃいそう」
 ルイズもキュルケと同感だった。今日はなんとも激しい一日だった。冒険小説の一幕のように、波乱万丈で危険と刺激に満ち溢れた旅路。
小さな男の子ならば喜びそうな話だが、当事者にしてみれば二度と勘弁と言いたくなる様な行程であった。
 ならばここは有り難く先方の申し出を受けよう。ルイズは淑女然として笑みを浮かべた。
「お心遣い、感謝致します。わたしはルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、トリステインのアンリエッタ王女殿下より大使としてウェールズ皇太子殿下への密書と言伝をお持ち致しました」
「なるほど、あのヴァリエール家の……」
 老メイジはなるほど、と合点がいった様に肯く。
「殿下には私めから話を通しておきましょう。まずはゆっくり、お休みなさいませ」

 それから城の客室に案内されたルイズは、着替えもする事を忘れてベッドに突っ伏すと、瞬く間に眠りに落ちた。疲労は既に彼女の限界を超えていたのだ。
眠りに落ちようとする自助努力すら必要としないまま、肌がベッドの柔らかな感触を覚えた瞬間、彼女の意識は闇へと落ちていった。
 泥のように眠ったルイズが眼を覚ましたのは日が昇り始めた頃、何時もの起床時間であった。週間というものは恐ろしい。どんなに疲労してようがお構いなしに眼を覚ましてくれる。
 寝起きにまずした事は、服を着たまま寝ちゃうなんて、と己を省みる事だった。なんてはしたない。薄汚れた格好のまま横になったので、白いシーツがやけに汚れているのもまた気恥ずかしかった。
 体を軽く動かすと、流石にまだ疲労が残っているのか、体の所々に倦怠感を感じる。流石にあれだけ立ち回ったのだ、次の日は元気溌剌、とはいかないだろう。
 椅子に腰掛け、そのまま暫くぼーっとしていた。昨日一日の出来事は思い返すに凄い。きっと一生に一度の大冒険だろう。椅子をぐらぐらと傾けながらそう思った。
 どれ程そうやっていたのか判らないが、その内侍女が朝食を運んできた。香ばしい香りが彼女の食欲をそそる。
(そういえば、昨日の夜は何も食べて無かったのよね)
 なにしろ夕食を準備する暇など無いままニューカッスルまで飛び続けたのだ。
当然飲まず食わずで進んできたのだったからして、現在のルイズはそれはもう筆舌しがたい程の空腹感に襲われていた。今のルイズの心情を一言で言うなら、「もう辛抱堪らん! 堪らーん!」。
侍女が部屋を出た途端、淑女の皮で押さえ込んでいた食欲が限界を超えあふれ出した。
ひたすらがっつき、貪り、あっという間に朝食を平らげてしまった。自分でも今の姿は人に見せられなかったな、と思うルイズ。

324 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:42:25 ID:TpUimbFj
支援

325 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:42:52 ID:wGhDWGaS
某所のやっちゃん召喚と申したか、支援

326 :夜天の使い魔 4/8 ◆Rein4tm63s :2007/09/16(日) 21:43:31 ID:tCmQvJNf
 朝食の後、なんとか身支度を整えそれなり見られるような格好になるように苦心した頃、侍女がルイズを客室へと案内するべく現れた。どうやらやっと皇太子にお目通りが叶うらしい。
 石造りの立派な客室では、既にキュルケとタバサがルイズよりも先に到着していた。
「おはようヴァリエール。……酷い顔よ、あんた」
「おはようツェルプストー。多分それはあんただって負けてないわ」
 お互いの顔には疲労が色濃く残っているのが一目で見て取れた。
唯一の例外はタバサで、あれだけの事があったにも関わらずまるで何時もと変わりない風貌を見せていた。まったく見た目に寄らず体力あるわねえ、と素直に感動した。
 逃げ落ちた先とは言え、王族の住まう城の客室らしく、調度品はどれも立派なものだった。こういった所で手を抜けば体面にも関わる。
恐らく戦火の中必死に調達したのだろう、使われるかどうかも判らないのに。
しかし今こうやって自分達がここを訪れたのだから、その苦労も無駄ではなかったのだろう、そんなとりとめの無い思考がルイズの頭に浮かんだ。
 がちゃり、とドアの開く音が思考の淵より現実へと意識を回帰させた。
入ってくるのは、金髪の見目麗しき青年だった。身形はこの城で見た誰よりも立派で、雰囲気は気品に満ち溢れていた。間違いない、この方こそ―。
 反射的にルイズは座っていたソファから立ち上がる。その様を見て苦笑しながらも、青年は「そんなに畏まらなくても良いんだ、楽にしてくれないか」と柔らかに言葉を紡いだ。
「お初にお目にかかる。私がアルビオン王国皇太子、ウェールズ・テューダーだ」
 端整に整った風貌、甘い声、どれもが市井で噂されるような王子様の姿そのものだった。
きっとどんな身形であろうと、どのような場所に居ようと、彼が自分を皇太子だと名乗ったならそれを信じてしまうだろうと、そう思わせるような傑物であった。
「さて、ラ・ヴァリエール嬢。君は昨日パリーにトリステイン王女からの使いだと名乗ったそうだが……どうやら真実そのようだね、こうして見えたなら一目で判ったよ」
「何故です? 皇太子さま」
「その『水のルビー』さ」
 ウェールズはルイズの指に輝く青いルビーを指し示した。
 これは昨日、荷物を捨てる際に何処にも入れる場所が無かったので仕方なしに指に通しておいたものだった。
「そのトリステイン王家に伝わりしそのルビーを持っているのならば、疑いようも無い。私はその実物を目にした事もあるからね、一目で判ったよ」
 そう言いながら、ウェールズは己の指に嵌められた緑色の―それは色意外はまさに水のルビーと同じものに見えた―指輪を外すと、静かにルイズに嵌められた水のルビーへと近づけてゆく。
距離を縮めた二つの宝石は共鳴しあい、その間に七色の美しい虹を映し出した。
「この指輪は『風のルビー』、アルビオン王家に伝わる秘石さ。こうして水と風は虹を作る、これが双方の王家の友愛の証なのだよ。
この虹がかかると言う事は、間違いなくその指輪は水のルビーであり、その持ち主であるならば王女の信頼の篤いものに違いない。そうだろう?」
 どうやらルイズは王子の信頼を得るのに成功したようだった。
この水のルビーを持っているというのは、想像以上に効果があったようだ。姫さまはこの事を見越してわたしに指輪を預けたのだろうか、と関心した。
「さて、早速で済まないが王女より預かった密書を拝見したい」
 ルイズは肯くと、懐より王女から預かった手紙を差し出す。ウェールズはそれを受け取ると封を破り、素早く一読した。
その表情が一瞬陰りを帯びたように見えたのは、果たしてルイズの錯覚だったのだろうか。
「……了解した、件の物は私の居室に保管されている。済まぬが、一緒にそこまでご足労願えないだろうか?」
「はい、皇太子さま」
 部屋を出るウェールズの後を、そのままルイズは追おうとする。
「あんた達は着いてこないの?」
 その言葉に、キュルケは肩を竦めながら答えた。
「王家の問題とかいうのには首を突っ込みたく無いわ……私、外国人だし」
 それはタバサも同様であるらしい。二人はまったく席を立つ素振りを見せなかった。
「あたしたちは、ここで待ってるわ」


327 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:43:41 ID:TpUimbFj
支援

328 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:43:49 ID:Wx5wsN4b
支援仕るっ!

329 :夜天の使い魔 5/8 ◆Rein4tm63s :2007/09/16(日) 21:44:37 ID:tCmQvJNf
 そう言って優雅に紅茶を飲む。すっかりくつろいだ様は動きたくない、という意思表示に見えた。
「判った。すぐに戻ってくるから、失礼の無いようにね」
「はいはい」

 部屋に二人を残し、ルイズは皇太子の後を着いて行く。どうやら貴族派の攻撃が始まったらしく、石造りの廊下に敵の巨艦が放つ大砲の音が木霊する。
こんな音を一日中聞いていたら気が狂うのではないか、と思わずにはいられない。この城の人々は一体何日この音を聞き続けてきたのだろうか。
 ウェールズ皇太子の居室は城でも最も高い天守の一角にあった。階段を上り、やっと辿り着いたそこへ導かれるままにルイズは足を勧めた。
 その部屋はとても皇太子が住まうとは思えない程質素なものであった。
先程の客室は豪華に飾り立てられ調度品も一流、流石王家と思わせるものがあったが、この部屋は粗末なベッドとテーブルに椅子が一そろい、
壁にはタペストリが一つ架けられているだけと簡素な作りで、そうと言われなければとても皇太子の居室だとは判らないだろう。
 
 ウェールズは椅子に腰掛けると、机の引き出しを開き、小さな箱を取り出した。部屋の質素さとは相反するような、宝石で飾り立てられた煌びやかな箱だった。
ウェールズは首からネックレスを外すと、その先に付けられた鍵を小箱の鍵穴に差し込んだ。かちり、という微かな音と共に錠が開けられた。
その箱の内側には小さな肖像画―美しく着飾った、ドレス姿のアンリエッタ王女の姿―が貼り付けられており、その内に収められていたのは一通の手紙であった。
 皇太子はその手紙を丁寧に、それこそ貴人を扱うかのように細心の注意を払い取り出した。
封からしてぼろぼろに破れたその手紙は、中に納められたものもまた同様であるらしく、何度も読み返されたものなのだろうと容易に想像出来た。
「これが姫から頂いた手紙だ。この通り、返却致す」
「ありがとうございます」
 王子の手から差し出された手紙を、ルイズは恭しく礼をしながら受け取った。
 二人の間にしばし、沈黙が流れる。部屋に響くのは、耳障りな大砲の音のみであった。
「……結婚するのだな。あの愛らしいアンリエッタが、私の可愛い従姉妹が」
 やがてぽつり、と言葉を零すようにウェールズが口を開いた。
「見よ、あの外に浮かぶ忌々しいフネを」
 そういって視線で外を指し示す。その先にあったのは、今もこの城に砲撃を加える巨艦の姿であった。
「あれは「ロイヤル・ソヴリン」号。かつてこのハルケギニアに名を轟かすアルビオンの本国艦隊旗艦であったフネだ。
両舷に備えられた砲門は計108、数多くの竜騎兵も搭載可能なこのフネは間違いなく最強の戦艦であろうよ。

しかし今や敵の手に落ち、「レキシントン」号と名を変え、我々を脅かす悪夢となって立ちふさがっている」
 そこまで一気に話すと、一息嘆息する。
「あのロイヤル・ソヴリンに乗って、アンと二人大空を往く。それがささやかな私の夢だった……しかし所詮夢は儚いものだ」
 砲撃音は止む事無く、ひたすら城壁を撃ち続けた。響き渡るそれはだんだん終末の訪れを告げる鐘の音のようにも聞こえてくる。
「夢は……叶わぬから夢なのだ」
 再び沈黙が二人の間を支配する。鎮痛な面持ちの皇太子に、ルイズは語りかける言葉を持たなかった。
 しかしやがてルイズの脳裏に天恵の如くある考えが首をもたげる。もしその推論が真実ならば、どうしても、聞いておかなければならない……事の、真偽を。
ルイズは意を決すると深々と一礼し、口を開いた。
「無礼を承知で、敢えてご質問させて頂きます」
 窓の外を見やっていたウェールズの瞳が、ルイズを射抜く。ルイズの様子を感じ取り、彼もまた身を固くしていた。
「この任務をわたくしに仰せ付けられた際の姫様のご様子は、尋常では御座いませんでした。それは、とても大切な人を案じるかのような……。
そしてその小箱の内側に張られた姫様の肖像画、殿下の物憂げなご様子。もしや、姫様と殿下は……」
「そう、その通りだよミス・ヴァリエール。私とアンリエッタは恋仲であったのだ」

330 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:44:38 ID:t7QTBYNa
朝ルイズが起きても隠れて寝てる使い魔かwwww

夜天支援

331 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:44:59 ID:TpUimbFj
支援

332 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:45:46 ID:t7QTBYNa
支援デバイス

333 :夜天の使い魔 6/8 ◆Rein4tm63s :2007/09/16(日) 21:45:49 ID:tCmQvJNf
 やはり、そうであったのか。ルイズは腑に落ちた。そうであるとするならば、今受け取った手紙が何であるかなど問うまでも無いだろう。
「その手紙は恋文だ。私の始祖の名で永遠の愛を誓うと、そう書いてある。もしこれがゲルマニア皇室に渡ったならば、婚姻は破談となってしまうだろう。
そうなれば二国の同盟は取り消され、トリステインは一国にてあの卑劣なる貴族派と戦わなければならなくなる」
 始祖の名に誓う愛は、婚姻の際に用いられなければならない。もしこの手紙が白日の下に晒されたなら、アンリエッタは重婚の罪を犯そうとしている事になり、当然の如く婚姻は破談となるだろう。
「我が望みは、アンの幸せ。それを妨げる事は本位では無い。これで良かったのだよ」
 本当にそうなのか、そう問いかける前に、まるで機先を制するようにさらに皇太子は言葉を続けた。
「それよりも、君に話があるのだ。お手数をかけるが、もうちょっとだけ付き合ってはくれないだろうか」

 城の最も高い天守から一転、次に案内されたのは城の地下だった。長い長い階段を抜けた先、そこに広がる鍾乳洞の中に、それはあった。
「これは……!」
 洞窟の中に建造された港が、そこにはあった。真白な発光性のコケに覆われたこの場所はまるで昼間のように明るく、とても屋内とは思えなかった。
「これがニューカッスル城が誇る秘密港だ。ここの存在は、貴族派の連中も知りはしない」
 港に停泊するフネは二隻。どちらもルイズの知る物であった事が、次の驚きを生んだ。
「あのフネは、空賊船じゃありませんか!」
 ルイズの驚愕に、ウェールズはばつが悪そうに苦笑いする。
「そう、紛うこと無き空賊船さ」
 そこに鎮座するのは、昨日遭遇した黒い海賊船の姿だった。隣には、ルイズ達が乗ってきたフネも係留されている。
「では、もしかして昨日わたくしたちが出会った空賊は」
「その通り。我々だったと言う事さ」
 あまりの展開に言葉も出ない。まさかアルビオンの王族が空賊に身をやつすなどとは!
 そういえば、そんな冗談を昨日キュルケが言っていたなあとふと思い出すルイズ。まさか本当にそうだったなんてね、と彼女もまた苦笑いをした。
「堂々と王軍だと旗を掲げれば、あっという間に撃沈されてしまうからね……戦も奇麗事だけでやっていける訳では無い。
それに、我々はどうしてもフネを調達する必要があったのだ。それで已む無く昨日のような凶事に及んだという訳なのだよ。四六時中略奪を繰り返しているのではない」
「一体どうしてなのですか?」
「明日の正午より、敵軍の総攻撃が始まる。律儀に連中はそう伝えてきた。舐めた事に一週間も前に、だ。
我らアルビオン貴族一同、既に死ぬ覚悟は終えている。あとは名に恥じぬよう戦い抜き、華々しく散るのみ」
 その瞳には覚悟があった。何物にも動かせぬ、揺ぎ無き覚悟。
「しかしそんな我らとて、女子供や平民を巻き添えにする事は出来ぬ。だが我らがフネは最早あのイーグル号一隻のみ。もしあのフネで脱出しようとすれば、あっという間にあのレキシントン号に撃墜されてしまうだろう。
どうしても、このイーグル号が囮となって連中をひきつけ、その隙に他のフネで皆を脱出させなくてはならなかった。その為に、どうしてもフネがもう一隻必要だったのだ」
「殿下は……その囮を自らが買って出るおつもりなのですね」
「ああ、そうだ」
 些かの逡巡もなく、そう答えた。ルイズはウェールズの覚悟の程を知った。
「私が率先してやらねば、誰がやると言うのか。民を巻き添えにした暗君などという誹りを受けたのではおちおちのんきに死んですら居られないよ」
「名誉に殉じる、と」
「例え死すとも、我らが勇敢な行いはきっと人々の中に残るだろう。それを残さずして死ぬのは、何より耐え難い屈辱だ、そうは思わないか、ミス・ヴァリエール?」

334 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:46:02 ID:TpUimbFj
支援

335 :夜天の使い魔 7/8 ◆Rein4tm63s :2007/09/16(日) 21:47:03 ID:tCmQvJNf
 それは、誇りに生きる彼女にとって、余りにも判りすぎる話だった。誰よりも誇り高く、名誉を貫き生きる。彼女の生き方と同じ道が、ここにあった。
 しかし、どうしても浮かんでしまうのだ。ウェールズの死を知ったアンリエッタが泣き伏せる顔が。きっと、愛する人の死を知った彼女は泣くのだろう。たった一人、誰にも知られないように泣くのだろう。
それを考える時、どうしてもルイズの心は乱れ、激しい痛みを引き起こすのだ。
「判ります、とても良く判ります殿下」
 ルイズは思わず顔を伏せた。耐え難い激情のうねりが身を支配するのを、止める事が出来なかった。
「でも……それでもわたしは……」
 小さく体を振るわせるルイズの肩に、ウェールズの手が乗せられる。
「君の言いたい事は判る。しかし、こうするのが一番良いのだ。愛するからこそ、こうするしか無いのだ。
だが一言だけ礼を言わせてくれ。たった一人でも、私たちを祝福してくれる、その事に。ありがとう、ミス・ヴァリエール」
 顔を上げたルイズの双眸には、涙は無かった。泣く事は出来ない。それはきっとウェールズの覚悟を穢す事になる。それだけは、出来なかった。
 
「話というのはね、その脱出の事なのだ。拿捕した「マリー・ガラント」号……そう、君の乗ってきたフネだ、このフネを、護衛して欲しいのだよ。無事に、ラ・ロシェールまでね。
我々は全員外の貴族派どもとの戦いに打って出る。故にあのフネの護衛に裂ける人員は無いのだよ。だからお願いしたい。君達三人が非常に優秀なメイジという事は、身を持って良く知っている。
君達が一緒にフネに乗ってくれるなら、きっと皆無事に辿り着く事が出来るだろう。このウェールズ・テューダー今生最後の願い、どうか引き受けては貰えないだろうか?」
 考えるまでも無かった。そうまで言われて、誰が断れよう。
「謹んで、その任務お受け致します。必ずや、全ての人を無事にラ・ロシェールへと送り届けます」
「本当に、感謝するよ。君がこうして今この場に居る事に、最大級の感謝を始祖に捧げよう」
 ウェールズの顔は、これで重荷が一つ降りた、と言うように晴れ晴れとしていた。民の心配が無くなった今、最後の仕事に専念できるからだ。
「やはり、君達は素晴らしい貴族だ。聞いていた通りだな」
「聞いていた?」
 その言葉に、ルイズは疑問を覚える。一体どのようにして自分達の事を聞いたと言うのか?
「随分と不思議そうな顔をしているね。我々が君達の事を聞いたのは、あの「マリー・ガラント」号の乗組員たちからさ。この港まで曳航した後、身分を明かし正式に協力を要請したんだ。
その時に、君達の話が出てね。皆口をそろえて誉めそやしていたよ。「あんなに立派な貴族は見たことが無い」とね。あのように、心底貴族を敬う眼差しを、私は久しぶりに見た」
 随分と持ち上げられているわね、とルイズは面食らった。そこまで褒めるような事をしたつもりは無い。
ただ己の矜持のまま、行動しただけだ。それの何処に褒める要素があるのだろう? 彼女は首を傾げた。
「君達がここを目指しているだろうことも勿論聞いた。だからこの城の上空に君達が現れた時、迅速に補佐する事も出来たという訳なのだ」
 成る程、と昨日の夜の出来事にようやく合点が言った。
パリーが自分達を信用していたのも、予め話を聞いていたからなのか。不思議な巡り合わせが作用したものだと、人の縁というものの不可思議さを知るルイズであった。

「そうだ、忘れてはいけない。もう一人、トリステインからの客人がこの城に居るのだよ。彼も一緒に連れて行っては貰えないだろうか」
「もう一人、ですか?」
「昨日の昼過ぎ、貴族派の連中から襲われてこの城に逃げ延びてきた所を保護したのだ。大分怪我をしていたから今は安静にして貰っている。
どうやら彼も何か重大な用件で私を訪ねてきたらしいがね、何かを聞き出す前に意識を失ってしまったのだよ。
今朝目を醒ましたら話を聞こうかとも思っていたのだが……良かったら、君が話を聞いてきてはくれないだろうか? 同国人の方が、何かと話をし易いだろう」

336 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:47:20 ID:TpUimbFj
支援

337 :夜天の使い魔 8/8 ◆Rein4tm63s :2007/09/16(日) 21:48:09 ID:tCmQvJNf
 それを聞いて、ふとアンリエッタの言葉が反芻される。
 ―先に信頼の置ける者を使者として向かわせたのですが、まったく音沙汰もなく……。
 確かにそう言っていた。もしかして、その人物なのではないだろうか。そうであろうとなかろうと、今や落ちようとしている城に置いていくなんて真似は出来はしないし、とりあえず話をしてみよう、そう思った。
 
 一方その頃、キュルケ達は暇を持て余していた。出てくる菓子も紅茶も美味であるが、食べるだけではすぐ飽きる。何か良い暇潰しは無いものか、と頭を悩ませていた。
 タバサも本を持ち込んでいなかった所為か手持ち無沙汰であるようで、ぼーっとしながらひたすら運ばれてきた菓子を口に詰め込んでいた。
あまりの食べっぷりに侍女がやや引きつった笑みを浮かべていたようだが、まったく気にせずひたすら食べていた。
外からは、定期的に激しい砲撃音が聞こえてくる。まったく、うるさいくて堪らないわ、とキュルケはうんざりする思いだった。
「いい加減暇ね……どこか散歩にでも行こうかしら」
 すっくと立ち上がるキュルケ。もう大分長い時間待たされたのだ、こうやって気晴らしに行くのも不可抗力よ不可抗力、そう自分に言い訳した。
「タバサも一緒にどう? 流石にこうやってるのも飽きてきたでしょ」
「美味しい」
 食べる手を緩めず、そう答えるタバサ。どうやら、お菓子を食べ続けたいらしい。確かにどれもこれも美味なものばかり出てきていた。
食べる事が趣味の一環とすら言えるタバサにとってみれば、天国のような状況だろう。
「判ったわ、それじゃああなたはここでヴァリエールを待ってて。あたしは適当に一回りしたら部屋に戻ってるから」
 一人、客室を後にする。まずは外の空気でも吸いましょうか、とキュルケは中庭に足を向ける事にした。
 
 昨日保護された者は医務室で治療を受けて、そのまま眠っているという話だ。どうやら今朝方目を醒ましたようだが、まだ詳しい話は何も聞いていない、そうウェールズ皇太子は語っていた。
 一体どのような人物なのだろう。たった一人、王女から密命を授かる程の人物であるからして、信頼篤く優秀な人材が選ばれたのだろう、とルイズは想像した。
 従卒に案内され、彼の人物が居る部屋に辿り着く事が出来た。扉を軽くこんこん、と叩きお伺いを立てる。
「どうぞ」と促す声は低い男性のものであった。ゆっくりとドアを開け、部屋へと足を踏み入れたルイズは、ベッドに横たわる人物の顔を見て思わず驚きに身を固まらせた。
 相手もまた、ルイズの顔を見て驚いたような表情を見せる。目を見開き、驚きを隠せないのが良く伝わってくる。
 二人は既知の間柄だった。それもただの知り合いでは無い。
「わ……ワルドさま……」
 自然と声が震える。まさかこんな所で出会うなんて、想像すらしていなかったからだ。
「ルイズ、ルイズ・フランソワーズなのか!?」
 男の声もまた、驚愕に満ちていた。
 ベッドに横たわる人物の名は、ジャン・ジャック・フランシス・ワルド。
 ―ルイズ・フランソワーズの許婚その人であった。

338 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:48:26 ID:TpUimbFj
支援

339 :夜天の使い魔 ◆Rein4tm63s :2007/09/16(日) 21:49:36 ID:tCmQvJNf
以上で投下終了。
やっと皆のヒーローワルドさんが出たよ!出たよ!
決して忘れていた訳じゃあないよ?

首尾よく筆が走ったらまた明日。
この話も転換期に入ってきたので、なるべく一気に走り抜けるように投下してきたいです。

340 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:50:40 ID:TpUimbFj
よし
光の速さで明日へダッシュだ

341 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:51:18 ID:t7QTBYNa
乙ー!


>>322
マジで暗殺者の蜥蜴男か

342 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:51:38 ID:Wx5wsN4b
若さって何だ乙
振り向かないことさ

343 :男達の使い魔:2007/09/16(日) 21:52:04 ID:yFhyKeW8
乙です!
それでは次あいてますか?

344 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:52:52 ID:TpUimbFj
ぽっかり穴が開いちまったよ

いつでもどうぞ

345 :男達の使い魔:2007/09/16(日) 21:53:25 ID:yFhyKeW8
それでは久しぶりに投下!

その日もアンリエッタは祈っていた。
自分の為に行ってくれた友人とその仲間達のことを思って。
そして……

言葉には出さなかったが、ウェールズのことを思って。

ふと外が騒がしいことに気がつく。
その中にルイズの声が混ざっていることに気がついたアンリエッタは、
少しだけ顔をほころばせると、騒ぎの起こっている場所へと向かった。


「ルイズ!」

アンリエッタがそう言って駆け寄る。

「姫さま!」

ルイズも同じく一声あげてアンリエッタの方へと向かった。
そうしてルイズと抱き合ったアンリエッタの目からは、一筋の涙がこぼれていた。

そんな様子を、虎丸は貰い泣きをしながら、Jと桃、ギーシュは暖かい目で、
キュルケとタバサはよくわからないという表情で眺めていた。

「くそ!目にごみが入っちまったぜ。」

虎丸の照れ隠しの台詞で、ようやくルイズとアンリエッタは我に帰った。
アンリエッタは一度咳払いをすると、詳しい報告を聞くために、ルイズとその使い魔達を中に通すことにした。

346 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:53:32 ID:TpUimbFj
支援

347 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:55:12 ID:rmh7+5L9
支援確認!

348 :男達の使い魔:2007/09/16(日) 21:55:59 ID:yFhyKeW8
一通り報告を受けたアンリエッタは、一瞬目の前が暗くなったのを感じた。
自分がつけたワルド子爵が、最愛の人の命を奪い、この得がたい友人とその使い魔達まで危機にさらしてしまったのだ。
無理もないことだろう。

そんな自分の不甲斐なさを友人に詫びようとして、ルイズ達の顔を見たアンリエッタは気づく。
彼女達は、そんな自分を恨むどころか、顔色が悪くなったことをたいそう心配しているのだ。
アンリエッタのやることは詫びることではない。
そうと思ったアンリエッタは、はっきりと言うことにした。

「ルイズ、そしてその使い魔の方々。わたくしのために動いていただいて、怒っていただいて、本当にありがとう。」

万感の思いを込めたその言葉に、場が静かになる。
そんな中アンリエッタが発言を続けた。

「それで、…ウェールズ様は、…その王大人という方が、…故郷に葬って下さる、…とのことでしたわね?」

その途切れ途切れの言葉からは、アンリエッタがいかに感情を押さえつけているかがわかる。
最初からそうなると見越していたアンリエッタであったが、実際にウェールズが死んだという報告は胸にこたえたのだ。

そんなアンリエッタの様子に応えるかのように、虎丸が言葉を発した。

「姫さま。俺には難しいことはわかりません。ただ、ウェールズ王子さまは、」

そこで、虎丸はアンリエッタの方をしっかりと見る。
アンリエッタがこちらを見つめていることを確認した虎丸は、話を続けた。

「自分は幸せだ、と言ってました。自分の惚れた女性のために命を張れるのは男子の本懐だ、とも。」

虎丸の言葉は短い。
だが、そこに込められた思いは、紛れもなくウェールズのそれであった。

「姫さま。これを。」

そう言ってルイズは、アンリエッタにウェールズのつけていた風のルビーを差し出した。

そうして夜は、静かに、そして優しくふけていった。
ただ、アンリエッタのウェールズとの思い出話を話す声と、それに相づちを入れるルイズの声だけが響いていた。

349 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:56:04 ID:TpUimbFj
支援

350 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:56:09 ID:UtoCSBeZ
支援

351 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:56:14 ID:0vr6YaUe
一つ、スレ住人は職人に忠義を尽くすべし
一つ、スレ住人は支援を旨とすべし

352 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:56:47 ID:t7QTBYNa
シ・エ・ン! シッ!エッ!ンッ!!

353 :男達の使い魔:2007/09/16(日) 21:57:07 ID:yFhyKeW8
「……これは、凄いな。」

大司教、否アルビオン皇帝オリヴァー・クロムウェルの声がむなしく響く。
隣に立っていたワルドの口から、歯をかみ締める音が聞こえる。
そう、ワルドは生きていたのだ。
顔はひどく焼け爛れ、失った左目には眼帯をしている。そして左手の袖は力なく揺れていた。

そんな二人に目の前には、かつてのニューカッスル城の礼拝堂後が『あった』
そう、そこは、まるで初めから何もなかったかのように綺麗に消失していたのだ。

(これでは、ウェールズの遺体も見つかるまいな。)

そう思ったクロムウェルだが、すぐに忘れることにした。
どうせ手はまだまだあるのだ。手札の一枚程度失ったところでどうというほどでもない。

「そう言えば子爵、余が思うにその手と目は無理にしても、その火傷は治せると思うのだが。」

意識を切り替えたクロムウェルは、気になっていたことを尋ねる。
その台詞に、ワルドは背筋の寒くなるような笑みを浮かべてから答えた。

「閣下のご温情痛み入ります。ただ、この傷は戒めです。
 少なくとも、あの者達を倒すまでは消すつもりはありません。」

その台詞に興がそがれたクロムウェルは、ワルドを伴いその場を離れることにした。
最後にワルドが、礼拝堂後をちらっと眺めたことに気づくことはなかった。

ワルドは気がついていた。多分に直感的にではあるが。
これがメイジの仕業ではないことに。

354 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:57:13 ID:TpUimbFj
支援

355 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:57:42 ID:0vr6YaUe
フラッシュ・ピストン・マッハ・支援

356 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:59:33 ID:t7QTBYNa
魁!支援塾

357 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 21:59:42 ID:UtoCSBeZ
支援

358 :男達の使い魔:2007/09/16(日) 22:00:15 ID:yFhyKeW8
「「「「「「桃(シエスタ)(J)(虎丸)(ギーシュ)!」」」」」」

アンリエッタの所に、ルイズを残して桃達は退出した。
途中、疲れたというキュルケとタバサは、自分の部屋へと戻っていった。
そんな桃たちを出迎える声が響く。

その様子に、思わずギーシュは涙ぐむ。
ぼやけた視界でよく見れば、モンモランシーとケティもこちらに近づいて来るのが分かる。
そして、

マリコルヌが力強い笑みを浮かべているのが分かった。
その手には、大きな、とても大きな幻の大塾旗がそびえていた。

これほどの友情はない。

抱きついてくるケティとモンモランシーの感触を堪能しながら、ギーシュはそんなことを思っていた。
そんなギーシュの様子を視界におさめたマリコルヌの体がぐらりと揺れる。
慌てて秀麻呂たちは、それを支える。重さ三百キロを優に超える大塾旗だ。意識のないまま倒れては、ただではすまない。

「よくやったぜ!マリコルヌ!」

秀麻呂がマリコルヌに笑いかける。マリコルヌの顔は、月明かりの中で、うっすらと笑みを浮かべていた。

「きゅいきゅい。私も混ぜて欲しいのね〜。るるるー。」

歌いながらシルフィードが乱入してくる。
帰り際に、アルビオンに行ったメンバーとルイズの使い魔達だけという条件ではあるが、
タバサから人前で探す許可をもらったシルフィードはご機嫌だった。
そう、話好きな彼女は、本当に会話に飢えていたのだ。
……思わず、モンモランシーとケティの存在を忘れてしまうほどに。

「「「シルフィードがしゃべったーー!」」」

事情を知らない一号生達と、魔法学院の学生二名が声をあげる。
シルフィードは気がついていないが、明日タバサの説教が確定した瞬間であった。

そんな中一人の男が声をあげる。

「ぬう!あれは!」

「知っているのか雷電!」

思わず虎丸が合いの手を入れる。

「うむ。まさしくあれこそ古代中国において伝わる音言龍(ねげんりゅう)に違いない!」

「わたしはそんな変な名前じゃないのねーーーーーー!」

シルフィードの絶叫が響く。それにしてもこの竜、ノリノリである。
そんな即興漫才に、我に帰った塾生達が、シルフィードの前に押しかける。

桃は伊達と酒を酌み交わしていた。

Jは飛燕と何か会話をしている。

疲れている、というシエスタは、新男根寮自慢の巨大浴場に行っていた。
覗こうなどという不埒者は、警護の一号生たちに星にされるので安心だ。

そんな騒がしくも楽しい夜がふけていった。

359 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:00:31 ID:TpUimbFj
支援

360 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:02:14 ID:0vr6YaUe
フッ、俺たちは全く恐ろしい職人を持ったもんだぜ支援

361 :男達の使い魔:2007/09/16(日) 22:02:32 ID:yFhyKeW8
(こ、ここは……?私は、生きているのか?)

ウェールズが意識を取り戻すと、そこは知らない天井であった。
そこに声がかかる。

「うむ。気がついたようだな。今、他の者を呼んでくるから少し待っておれ。」

王大人だ。もちろんウェールズとは認識はない。
そのことに気がついた王大人は、一言だけ告げてから席を立った。
自分はルイズの使い魔達の知り合いである、と。


(私は、生き残ってしまったのか。)

脱力感がウェールズを包む。
他の皆は当然死に絶えてしまっただろう。
それに、

(アンリエッタに迷惑をかけるかもしれない。)

そう思うと、気が気でなかった。
もし、今手元に自分の杖があったなら、風の魔法で自分の頭を吹っ飛ばしていたに違いない。

バタン

ドアを開け放つ音がする。
よほど勢いよく開けたのだろう。その音は建物中に広がっていた。

(誰だ?)

ウェールズがそう思うまもなく、飛び込んで来た人影はウェールズに抱きついてきた。

「……良かった。生きていてくれて。」

そう言って自分に抱きついたまま涙を流すような人物には心当たりがなかった。
これほど特徴的な人物を忘れろ、という方が無理である。
その時、窓から一陣の風が吹き、侵入者の被っていた帽子が舞い上がった。
そこに表れる特徴を見て、ウェールズは愕然とした。

「君は!ティファニア!」

そう、ウェールズの従姉妹、ティファニアであった。

362 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:02:49 ID:TpUimbFj
支援

363 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:03:15 ID:UtoCSBeZ
支援

364 :男達の使い魔:2007/09/16(日) 22:04:28 ID:yFhyKeW8
フーケは、マチルダは外で寝転がって月を眺めていた。

「マチルダよ。復讐はしなくても良いのか?」

そこへ王大人が声をかける。内容こそ厳しいが、その目には限りない慈愛がこもっていた。
ゆっくりとマチルダは振り向く。そして

「妹が喜んでいるのを邪魔する姉はいないさ。」

そう言って窓に視線を向けると、ウェールズとティファニアが泣きながら抱き合っていた。
マチルダが外にいたのは、ティファニアを陰から見守るためであったのだ。

(それに、)

マチルダは思う。自分には、命よりも大切な者達がいるのだ。
復讐なんかにかまっている暇はない。
ただ、

マチルダは月を見上げる。今日も二つの月は互いを祝福するかのように輝いていた。

そっと王大人がマチルダの顔を胸に抱く。

「泣きたい時は泣くがいい。」


マチルダは泣いた。今は泣き父のことを思って。
父の無念を晴らせないことを思って。

そうして誓ったのは一つ。
必ずテファが幸せになるまで見届けることを。
父が最もやりたかった事だけは必ずやり遂げると。

月達は優しく見守っていた。
父のように。母のように。

男達の使い魔 第十一話 完

365 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:04:42 ID:TpUimbFj
支援

366 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:05:48 ID:tCmQvJNf
GJ!
良い人だーマチルダさん。

367 :男達の使い魔:2007/09/16(日) 22:05:54 ID:yFhyKeW8
NGシーン

雷電「あ、あれまさか!」

虎丸「知っているのか雷電!」

雷電「あれぞまさしく古代中国において伝わる痕浄焼(こんじょうしょう)!」

かつて唐の時代、南浄寺と北浄寺という寺があった。
おのおの南浄拳、北浄拳という拳法を有し、その力を競い合ったという。
ある時、その寺を代表する二人の拳士が立ち会うことになった。
激闘の末に北浄寺の拳士は破れ、己の名誉も何もかもを失った。
しかし、その拳士はその後も修行を続け、ついには復讐を成し遂げたという。
なお、その際挫折しそうなときには、負けたときに付けられて焼印の痕を眺めて気持ちを高ぶらせたのだ。
そうして復讐を終えた彼は、己が痕は浄化された!と言うことで、己の痕を痕浄焼と名づけたという。
なお、この拳士の名前は今には伝わっていないが、そのあまりの脚力から暴走と言われていた。
この話が、日本とハルケギニアに伝わり、根性焼と暴走族に名を変えて言ったのは皮肉という他ないだろう。
民明書房刊 「暴走族の夜明け」(平賀才人著)

368 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:07:47 ID:UtoCSBeZ
GJ!
そしてサイトw

369 :男達の使い魔:2007/09/16(日) 22:07:55 ID:yFhyKeW8
ということで投下終了。
スレの皆様お久しぶりです。
思ったよりも時間がかかってしまいましたが、今後は流石に日刊は無理かと思いますがご容赦ください。
ちょっと仕事が忙しくなってきましたので。
なお、少なくとも第三巻までのプロットは完成しているので、連載を止めることはありませんのでご安心ください。

それではご支援ありがとうございました。

追伸 うちのヒロインはマリコルヌです

370 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:07:57 ID:+q2ufYXr
GJ!ウェールズが生きてるのは意外と多いけどテファと話をするのって初めてじゃね?
そして才人……!お前はどこまで行ってしまうんだw

371 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:08:18 ID:DVRrFrDm
GJ!
しかしサイトはもはや何をやってる人なのか存在自体が謎になってきたなw

372 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:08:45 ID:yjezq/Qu
GJ!サイト……

373 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:09:21 ID:uw7IKoAN
素晴らしい、素晴らしい過ぎる!
サイトww

374 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:10:04 ID:eibvXWEu
GJ!やっぱ王大人に診させるといけないと実感したww
そしてサイト、お前は…

375 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:11:15 ID:yjezq/Qu
ルイズがラティアス召喚するのキボン

376 :封仙娘娘異世界編 零の雷:2007/09/16(日) 22:11:24 ID:gHpx45KP
>>339
転換期が性転換期に見えた俺はとんだドエロ野郎だ!

そして男達もGJ!


で、続き予約させていただいてよろしいでしょうか。
今度はちゃんと配分計算しました故。

377 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:11:46 ID:n9Bppxee
GJ!ペースは他からみたらぜんぜん速いんですよwww
このスレが異常なの!毎日とか尋常じゃないでしょー。
期待してるからもっともっとがんばって!


378 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:12:03 ID:JIKllbDJ
GJ!
ギャグとシリアスのバランスが良い!
つい漢泣きしてしまうのもさすがだ

379 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:12:10 ID:TpUimbFj
>>376
よーそろー

380 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:12:23 ID:p8P/D/bh
投下乙です!

やっぱり生きてた!
男の使い魔のマチルダ姉さんはいいなぁ…

381 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:13:38 ID:t7QTBYNa
暁!GJ塾

熱すぎて全米が失神した

382 :封仙娘娘異世界編 零の雷 1/6:2007/09/16(日) 22:14:12 ID:gHpx45KP
  二


わけが分からない。

私は確かにその剣を召喚することに成功した。……爆発が起きたのはイレギュラーだったが。
そして、確かに契約のキスをした。無機物相手にファーストキスは適用されるか否か、などという話は
この際どうでも良い。

……何故そこで爆発するか。

召喚で爆発したのだから、契約の際にも爆発するのが道理、とでも言うのか。
そんなふざけた道理は野良犬にでも食わせてしまえ。

それより何より不快なのは、今まさに、己の首を締め上げているこの『腕』だった。


 *


今度の爆発は先ほどに比べればずっと小規模だったため、爆煙もすぐに消えた。
だが、状況は一変していた。

突然現れた謎の男が、ルイズを背後から拘束している。
男は射抜くような視線で周囲を見渡す。
周りの生徒達の中にも、この特異すぎる状況を理解できる者は居ないようで、
皆、呆然と成り行きを見守るばかりだった。
――結局、男は特に何をするでもなく、さっさと彼女を解放した。
自由の身となったルイズはその場にへたり込む。
男がルイズを拘束していた時間は三十秒にも満たない。だが、拘束されていた側にとっては永遠にも等しい三十秒だった。
文句を言ってやりたい気持ちでいっぱいだったが、今はまだ声が出ないのが腹立たしい。
ついでに、解放される直前に聞いた舌打ちも癇に障った。
ルイズは咳き込みつつも、恨みがましい視線を男に向ける。


383 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:14:25 ID:TpUimbFj
支援

384 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:15:27 ID:gHpx45KP
そこで初めて、男の姿を見た。
髪の長い、中肉中背の男だった。自分を締め上げていた太い腕から、もう少し大柄な男をイメージしていたが、
意外にも身長はルイズと頭一つ程度しか違わないようだ。
何より特徴的なのは、目だった。
黒の中にわずかに金色の入り混じった瞳は、猛禽類のように鋭い。

目が合う。

ルイズはその眼光に気圧されそうになりながらも、何とか口を開いた。
「あ、あんた……誰? 何なの?」
男は思いきり顔をしかめた。
「……自分から呼んでおいて『誰?』とは随分な挨拶だな」
呼んだ? 一体誰を? ……召喚?
「! 剣!!」

動転してすっかり忘れていた。今こそまさに、我が使い魔たる剣を活躍させる好機ではないか。
そしてこの目障りな男を斬り伏せて――斬り伏せ……

左手に握られているのは鞘だけで、肝心の剣は消失していた。

慌てて周囲を探るが、それらしい物体はどこにも見当たらない。
――まさか、先ほどの爆発で粉微塵に……? いやいやそんな規模ではなかったはずだ。
第一、それなら間近にあった自分の顔面もただでは済まないはず。
ああもう全然分からない!

……などと頭を捻り倒していると、いきなり男がルイズの手から鞘を奪い取った。
当然彼女は返しなさいよ、と文句を言おうとしたが、男の次の行動の方が早かった。

男が鞘を軽く揺すると、驚くべき事に、鞘は瞬時に黒い上着へと変じていた。
そして、そうするのが当然というように、それを羽織った。
呆然と口をぱくぱくさせるルイズに、黒い上着の男は告げた。

「まだ質問に答えてなかったな。

 我が名は殷雷刀。刀の宝貝だ」


その男の左手には、奇妙な文様が刻まれていた――即ち、『使い魔のルーン』である。

385 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:15:39 ID:UtoCSBeZ
支援

386 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:15:44 ID:TpUimbFj
支援

387 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:16:31 ID:QVAzOQ5b
支援

388 :封仙娘娘異世界編 零の雷 3/6:2007/09/16(日) 22:16:34 ID:gHpx45KP
  三


目を覚ますと、そこは異世界だった。
目を覚ます――つまりは気を失っていた訳なのだが、その辺りの記憶がどうにも曖昧だ。
全ての欠陥宝貝を回収し、仙界へと凱旋したのがおよそ七日前。
殷雷はひとまず戦いによって受けた傷を癒すため、つづらの中で休養を取ることにした。
祝宴はその後で、というのは彼の相棒の提案だった。
そして特に何事もないまま今日に至る。
そこまでは間違いない。

つづら、と言ってもただの箱ではない。その内側は断縁獄などと同じように一つの世界が形成されている。
休養中も何度か人の姿でその中を歩き回ったりしていた。
そして今日。はっきり言ってしまえばつい先ほどの事だ。

散策中、宙に浮かぶ鏡のような物を見た……が、それからのことは…?

……焼け付くような痛みで飛び起き、とりあえず目の前にいた小娘をふん捕まえてみた。

やはり記憶が飛んでいる。



389 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:16:37 ID:t7QTBYNa
やさぐれ和穂支援

390 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:16:40 ID:TpUimbFj
支援

391 :封仙娘娘異世界編 零の雷 4/6:2007/09/16(日) 22:17:37 ID:gHpx45KP
 *

「インライトー? カタナ? パオペー?」
彼の返答の中で、ルイズに理解できたのは『我が名は』だけだった。
「殷雷が個体名だ。刀の殷雷。つまり殷雷刀」
理解できないのは殷雷にとっても同じだった。何故こんな根本的なところから説明しなければならないのか。
「その、カタナって何よ」
「片側に刃の付いた、細長い武器だ。触ると切れて、痛い。分かるか? 武器」
「何よその言い方。馬鹿にしてんの? 大体それって剣のことじゃない」
彼の世界では剣と刀は違う武器なのだが、流石にそこまでいちいち説明するのは面倒だった。

「で、私が召喚したあの剣はどこに消えたの?」
「……お前、人の話全く聞いてなかっただろ」

ルイズは先ほど、間違いなく召喚した剣――いや、カタナ?――に対して契約のキスをした。
そして、目の前に居る殷雷とかいう男の左手の甲には、使い魔の証であるルーンが刻まれている。
……ところで、先ほどからミスタ・コルベールがこのルーンに興味を示しているようだが、今はそんなことに構っている精神的余裕はない。
「宝貝には、人間の姿に変化できるものもいる」
――インテリジェンスソードという物がある。己の意思を持ち、人語を解す剣のことだ。
『カタナのパオペー』というのも、そんなような物なのだろう。よく分からないが。
しかし人に姿を変えるインテリジェンスソードなど、聞いたこともない。
「……やっぱり信じられない」
「なら、その目で確かめろ」
言うが早いか、殷雷は小さな爆発に包まれ、ルイズが召喚した刀――殷雷刀が地面に転がった。
慌ててルイズはそれを拾うと、殷雷刀が心に語りかけてきた。
『どうだ。納得したか?』
……さすがにここまでされれば、この状況を受け入れるしかない。
「……納得したわ」
満足し、殷雷はまた人の姿に戻った。
「じゃあ今度は俺の番だな」
殷雷はそこで一度、深呼吸してから続けた。

「ここはどこだ? 俺は何の用事で呼ばれたんだ? ついでに左手のコレはなんだ?」

そう言えば、彼に対しては一切説明をしていなかった。

 *

「……分かった。使い魔とやらに、なってやるよ」
意外にも彼は素直に状況を受け入れた。表情は少しばかり苦々しげだが。
これにはルイズも驚いた。間違いなく拒絶されると思ったからだ。
「と言っても、契約を解除する方法が見つかるまでだがな」
この場にいたのが敵だったならば、殷雷は間違いなく破壊されていただろう。
これは平和ボケしていた己に対する罰でもある。
――ルイズにとっては喜ばしい事態のはずだった。
だが、彼女の心の中には先ほどまでとは全く違う感情が芽生えていた。

「……ミスタ・コルベール。召喚の儀のやり直しを要求します」
「却下」

つい数分前まであれほど燃えていた剣に対する情熱は、いつの間にやら綺麗さっぱり消えていた。

392 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:18:00 ID:TpUimbFj
支援

393 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:18:12 ID:u/aQWWQm
パートナーは和穂しかあり得ないけど支援

394 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:18:16 ID:uw7IKoAN
支援します!

395 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:19:04 ID:QVAzOQ5b
支援

396 :封仙娘娘異世界編 零の雷 5/6:2007/09/16(日) 22:19:05 ID:gHpx45KP
 *

「さて、問題もないようだし、じゃあ皆教室に戻るぞ」
問題はここにあります先生。聞いてんのかハゲ。
そんなルイズの目による訴えは、コルベールには届かなかった。
目は口ほどには物を言わないものである。
コルベールと生徒たちは宙に浮き、城のような石造りの建物へと向かっていった。
「……飛んでやがるな」
殷雷にとっては非常に不可思議な光景だった。
ルイズの話から大まかに理解はしたつもりだったが、やはり実際に目の当たりにするのには敵わない。
彼の作られた世界――仙界では、飛行術は道士から仙人に昇格して初めて伝授される高等仙術なのだ。
そこいらの人間がそう易々と使えるような術ではない。
(まさか、こいつら全員に仙人並みの実力があるとか言わねえだろうな……)
――と、上空から野次が飛んできた。
「ルイズ、お前は歩いてこいよ!」
「あいつ『フライ』はおろか、『レビテーション』さえまともにできないんだぜ」
「その使い魔――ええと、召喚したのが生き物じゃなかったことを笑えばいいのか、
 人間に化ける剣なんて珍しい物を召喚したのを尊敬すればいいのか、
 それともそいつにいきなり首締められてたのを笑うべきなのかわかんないけど、
 とにかくお似合いよ!」
……最後のは野次ではなかったかもしれない。

そして、ルイズと殷雷だけが残された。
「……お前は飛ばないのか?」
「……うるさい」
本当は言い返すだけの気力も残っていなかったし、いっそこのまま自室に戻って眠ってしまいたい気分だったが、
もちろんそういう訳にはいかない。まだ今日の授業は残っているのだ。
「……そう言うあんたは飛べないの?」
「刀が飛ぶわけなかろう。……そういえば槍の奴は飛んでいたな。
 ん、こっちの話だ。気にするな。」
ルイズは大きな溜息をつくと、肩を落として教室へと向かって歩き出した。
その姿に何か思うことがあったのか、殷雷はその背中に声を向けた。
「空は飛べんが、お前を走らせることは出来るぞ」
「……どういうこと?」
「刀の姿の俺は、所有者の身体を操ることが出来る」
「速いの?」
「それなりにはな」
ルイズの目にわずかだが輝きが戻ってきた。
「やるか?」
「やる」
その答えに満足したのか、殷雷はまた軽い爆発を起こし、殷雷刀へと変化した。
ルイズも今度は落ちる前に受け止める。
ゆっくりと、刀を鞘から抜く。その刀身は鏡のように美しく輝いている。
そしてその瞬間、ルイズの視界が一変した。いや、視界だけではない。
聴覚、触覚、嗅覚、そして恐らく味覚も。
今までは全く気にも留めなかった色、音、匂い、風の感触。それらがが信じられないほど鮮明に感じられる。
『すごい……これがカタナのパオペー』
ふと、左手がわずかに輝いている事に気が付いた。これも『パオペー』とやらの能力だろうか。
『では、行くぞ。手を離すなよ』
――そして、ルイズは駆け出した。

397 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:19:11 ID:UtoCSBeZ
支援

398 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:19:20 ID:TpUimbFj
支援

399 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:19:51 ID:t7QTBYNa
最強湯呑支援

400 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:20:07 ID:QVAzOQ5b
支援

401 :封仙娘娘異世界編 零の雷 6/6:2007/09/16(日) 22:20:20 ID:gHpx45KP
 *


右手に殷雷刀、左手に鞘と杖を携え疾走するルイズ。
軽く猫背になり、倒れ込むような姿勢。足は暴れ馬の如く激しく大地を蹴るが、上体はほとんど揺れていない。
それはまさに、神速と言っても過言ではないかもしれない。
『私がこんなスピードで走れるなんて、信じられない……!』
ルイズの機嫌は戻ったようだ。全く世話の焼けるご主人様だ。
これなら教室まではあっという間だろう。ついさっき、飛んでいた生徒を一人追い越した。
……少しくらい遠回りしていっても問題はなさそうだ。
『そういえば、肝心な事を聞いていなかった』
『何?』
『お前の名前だよ』
そうだったか? そうだったかもしれない。
『ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ』
『……あ?』
『……ルイズでいいわ』
『わかった、ルイズ』
『ルイズ様、よ!』
『……どうしろってんだ』

その異変には、実は最初から気付いていた。だが、確証がなかった。
しかし、こうして走り回っていれば嫌でも気付かざるを得ない。
『妙だな……』
『どうしたの、インライ』
『いや、少しばかり速すぎる――むっ』
『へっ?』
唐突に、足元に軽い衝撃が走る。石ころにつまずいたのだ。
考え事をしていたとは言えそこは武器の宝貝。
ルイズは空中でその身を一回転させ、見事に体勢を保った。
自身の思わぬ速度に若干の焦りはあったものの、それでも殷雷にとってはこの程度、トラブルの内にも入らない。

――だが、ルイズにとっては話は別だった。

殷雷刀に所有者を操る能力が備わっているのは、先ほど本人が述べた通りだ。
だが、そこに強制力はない。
所有者が望まぬ限り、殷雷刀はその身体を操る事は出来ないのだ。
そして、殷雷の感じたわずかな焦りは、そのままルイズにも伝わっていた。

一瞬、ほんの一瞬。ルイズはその身を強張らせてしまったのだ。
殷雷刀は、ルイズの手からすっぽ抜けた。

残されたルイズの身体はそのままの勢いですっ転び――壁際に積み上げてあった木箱に激突した。

人の姿に戻った殷雷は一筋の汗を垂らしつつも、一応言うべき事を言った。

「だから手を離すなと……いや、ええと、悪かった」

気を失ったルイズにはもちろん聞こえていないのだが。

402 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:20:33 ID:TpUimbFj
支援終了

403 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:22:42 ID:KqgNixE2
GJです。
使用者を危険にさらすとはかなりなまっていますね、殷雷……

404 :封仙娘娘異世界編 零の雷:2007/09/16(日) 22:22:55 ID:gHpx45KP
ここまでです。
支援有り難うございました。

あ、ちなみに。この殷雷が居たのは「雷たちの饗宴」の仙人和穂が居た世界、
――と似たような世界、ということでお願いします。

405 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:23:26 ID:n9Bppxee
GJ!!!!!!!

406 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:23:47 ID:yFhyKeW8
GJ!

407 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:26:07 ID:p2iA2jnZ
GJ。もしデルフが出るとしたら殷雷が使うのかね。
刀が剣を使うなんて性質の悪い冗談、とか言って嫌がりそうだが。

408 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:26:07 ID:WdWWZ+JH
このルイズは眼をぐるぐる渦巻きにして、ハラホロヒレハレと倒れているに違いない
GJ!

409 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:31:22 ID:hNsBcMo8
>>407
太刀の悪い冗談と申したか

410 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:33:37 ID:n9Bppxee
ダレがうまい事言えとwww

411 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:37:05 ID:ygETuiEz
ゼロ魔の世界には、機械式時計はあるのだろうか?

412 :ゼロのアトリエ:2007/09/16(日) 22:38:27 ID:b16MnDRx
投下しますよ

413 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:38:39 ID:NcCiPs5D
>>407
剣(ダイソード)は刀(サンジュオウ)をつかうがその逆か

414 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:39:06 ID:TpUimbFj
カモン

415 :ゼロのアトリエ(1/5):2007/09/16(日) 22:39:32 ID:b16MnDRx
トリステインの城下町、ブルドンネ街では派手に戦勝記念のパレードが行われていた。
聖獣ユニコーンにひかれた王女アンリエッタの馬車を先頭に、高名な貴族たちの馬車が後に続く。
その周りを魔法衛士隊が警護している。
そして、荷馬車を装飾して急遽作られたお立ち台の上に、イーヴァルディの勇者。
アンリエッタの馬車のすぐ後に、引きつった愛想笑いを浮かべて手を振るシエスタと、
豪華に着飾り、不承不承笑みを返すマチルダ・オブ・サウスゴータの姿があった。

狭い街路にはいっぱいの観衆が詰め掛けている。
通り沿いの建物の窓や、屋上や、屋根から人々はパレードを見つめ、口々に歓声を投げかけた。
「アンリエッタ王女万歳!」
「トリステイン万歳!」
「我らがイーヴァルディに栄光あれ!」
観客達の熱狂ももっともである。
なにせ、王女アンリエッタが率いたトリステイン軍は先日、
不可侵条約を破って侵攻してきたアルビオン軍をタルブの草原で打ち破ったばかり。
あの伝説の『イーヴァルディの勇者』と共闘し、
数で勝る敵軍を完勝に近い勝利で叩きのめした王女アンリエッタは、
まさに『聖女』と崇められ、いまやその人気は絶頂であった。
この戦勝記念のパレードが終り次第、アンリエッタには戴冠式が待っている。
母である太后マリアンヌから王冠を受け渡される運びであった。
これには枢機卿マザリーニを筆頭に、ほとんどの宮廷貴族や大臣達が賛同していた。

隣国のゲルマニアは渋い顔をしたが、皇帝とアンリエッタの婚約解消を受け入れた。
一国にてアルビオンの侵攻軍を打ち破ったトリステインに、強硬な態度が示せるはずもない。
ましてや、イーヴァルディの勇者の存在を力技で証明されては、同盟の解消など論外だ。
アルビオンの脅威に怯えるゲルマニアにとって、トリステインは今やなくてはならぬ強国である。
つまり、アンリエッタは自分の手で自由を掴んだのであった。



賑々しい凱旋の一行を、中央広場の一角でぼんやりと眺める敗軍の一団がいた。
捕虜となったアルビオン軍の貴族たちだ。捕虜といえど、貴族にはそれなりの待遇が与えられる。
杖こそ取り上げられたものの、縛られる事もなく、思い思いに突っ立っている。
周りには見張りの兵が置かれたが、逃げ出そうなどと考える者はいなかった。
貴族は捕虜となる際に捕虜宣誓を行う。その宣誓を破って逃げ出そうものなら、名誉と家名は地に落ちる。
何より名誉を重んずる貴族たちにとって、それは死に等しい行為なのだ。

その一団の中に、日焼けした浅黒い肌が目立つ精悍な顔立ちの男の姿があった。
ルイズの『二重奏』の中で炎上沈没した巨艦レキシントン号の艦長、サー・ヘンリー・ボーウッドである。
彼はやはり同じく捕虜となった傍らの貴族をつついて言った。
「見ろよホレイショ。ぼくたちを負かした『聖女』たちのお通りだぜ」
ホレイショと呼ばれた貴族は、でっぷりと肥えた体を揺らしながら答えた。
「ふむ…イーヴァルディの勇者とやらがどんな化け物かと思えば、可愛らしいものではないか。
女王の即位は前例のない事でもあるし、大丈夫なのかね?未だ戦争が終ったわけではないのだがな」
「君は歴史を勉強すべきだよ。かつてガリアで一例、トリステインでは二例、女王の即位があったはずだ」
ボーウッドにそう言われて、ホレイショは頭をかいた。
「歴史か。してみると、我々はあの『聖女』たちの輝かしい歴史の一ページを飾るに過ぎない、
リボンの一つと言うべきかな。戦場を包んだあの虹と、我らを操った何とも心地よい旋律!驚いたね!」
ボーウッドは頷いた。レキシントン号の上空に輝いた虹の魔法陣は、見る間に拡大し…
その後にやって来た二重奏が、全てを決した。彼等は自ら艦を壊し、戦いを放棄したのだ。
何より驚くべき事は…その二重奏は誰一人として殺さなかった事である。
艦隊は彼ら自身によって破壊されたが、艦に乗っていた者は全て生きながらえている。
「まさに『奇跡』だね、全く。あんな魔法は見たことも聞いたこともない。
いやはや、我が『祖国』は恐ろしい敵を相手にしたものだ!」

416 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:39:35 ID:v6dV3Bpw
アトリエ来たぁぁぁぁあ!!!

417 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:39:45 ID:TpUimbFj
支援

418 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:40:16 ID:uw7IKoAN
支援させて

419 :ゼロのアトリエ(2/5):2007/09/16(日) 22:40:38 ID:b16MnDRx
ボーウッドは呟いた。そして近くに控えた、大きなハルバードを持ったトリステインの兵士に声をかける。
「きみ、そうだ、きみ」
兵士は怪訝な顔をしたが、すぐにボーウッドに近寄る。
「お呼びでしょうか?閣下」
敵味方を問わず、貴族には礼が尽くされる。至極丁寧な物腰で兵士はボーウッドの言葉を待った。
「ぼくの部下達は不自由していないかね。食わせるものは食わせてくれているかね?」
「兵の捕虜は一箇所に集められ、トリステイン軍への志願者を募っている最中です。
そうでない者は強制労働が課せられますが…ほとんど、我が軍へ志願するでしょう。
あれだけの大勝利ですからな。まあ、胃袋の心配はされなくても結構です。
捕虜に食わせるものに困るほど、トリステインは貧乏ではありませぬ」
胸を張って兵士は答えた。ボーウッドは苦笑を浮かべると金貨を取り出し、兵士に握らせる。
「これで聖女達の勝利を祝して、一杯やりたまえ」
兵士は直立して、にやっと笑った。
「おそれながら閣下の健康のために、一杯頂く事にいたしましょう」
立ち去っていく兵士を見つめながら、ボーウッドはどこか晴れ晴れとした気持ちで呟いた。
「もしこの忌々しい戦が終って、国に帰れたらどうする?ホレイショ」
「もう軍人は廃業するよ。なんなら杖を捨てたってかまわない。あんなものを聴かされてしまったあとではね」
ボーウッドは大声で笑った。
「気が合うな!ぼくも同じ気持ちだよ!」


枢機卿マザリーニはアンリエッタの隣で、にこやかな笑顔を浮かべていた。
ここ十年は見たことのない、屈託のない笑みだ。
馬車の窓を開け放ち、街路を埋め尽くす観衆の声援に、手を振って答えている。
彼は自分の左右の肩に乗っかった二つの重石が軽くなった事を素直に喜んでいた。
内政と外交、二つの重石である。その二つをアンリエッタに任せ、自分は相談役として退こうと考えた。
マザリーニはそのために、残った懸案を――
まず、すぐ後で手を振っているマチルダ・オブ・サウスゴータをちらりと見て、アンリエッタに問うた。
「殿下。かの者の処遇ですが…本当によろしかったのですか?事情があったとはいえ、盗賊は盗賊。
彼女を公的に許し、『イーヴァルディの勇者』の仲間と認めるということは、国法の原則を曲げること。
将来的に禍根を残す結果になりはしないかと…」
「マザリーニ」
アンリエッタは国民に優しげな笑顔を向けたまま、きっぱりと告げた。
「わたくしはかの錬金術師の献策を採用すると決めました。土くれのフーケはあの戦場のいずこかで死に、
通りすがりのマチルダ・オブ・サウスゴータが『イーヴァルディの従者』となったのです」
言い切ったアンリエッタの自信と威厳に満ちた態度に、マザリーニは思わず追従したくなったが、
この場はこらえてもう一つ、本命の懸案事項を問いかけた。
「その『錬金術師』とやらにしてもです!ヴァリエール殿の発案とはいえ、未知の『錬金術』とやらを公的に認め、
国家としての支援を約定するなどあまりにも厚遇が過ぎまする!他の貴族たちに示しが…」
「マザリーニ」
アンリエッタは一瞬国民に答える手を止めると、マザリーニに向き直って宣告する。
「わたくしにルイズを信じよと言わなくて、誰を信用しろというのです?
これが以前のルイズであれば、わたくしもあのような提案を受け入れはしません。
戦場で見事に己を示し、確固とした芯を持った今のルイズだからこそ言えるのです。
それに、救国の伝説に対する答礼としては、これでもあまりに過小だとは思いませんか?」
それだけ言うと、アンリエッタは道を埋め尽くす国民に再度、挨拶を返し始めた。
「姫様!だとしても、おさまらぬ事情というものがあるのです!政治というものを知っていただきませんと、
これから先は『姫』であるだけではやっていけない事態も待ち構えているのですぞ!」
「まあ、大変ですね。でも、その調整のためにあなたたち政治家という職があるのでしょう?頑張ってはくれないのですか?」
「姫様!」
冗談か本気か。くすくすと含み笑いを漏らすアンリエッタに釣られて笑っている自分に気付き、
おそらく生涯現役を貫かねばならぬなと、決意を新たにするマザリーニ。
「どうせルイズに救われた国。ならば、そのルイズに未来を託してみるのも良いかもしれません」
アンリエッタの誰に言うでもない呟きを聞きながら、窓の外を見上げる。
そこにはあの日とは違う、雲ひとつない青空が当たり前のように広がっていた。


ゼロのアトリエ 34 〜望郷の小夜曲〜

420 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:41:25 ID:TpUimbFj
支援

421 :ゼロのアトリエ(3/5):2007/09/16(日) 22:41:56 ID:b16MnDRx
さて一方、こちらは魔法学院。戦勝で沸く城下町とは別に、表面上はいつもと変わらぬ雰囲気の日常が続いている。
タルブでの王軍の勝利を祝う辞が朝食の際に学院長のオスマン氏の口から出たものの、
他にはとりたてて特別な事も行われなかった。やはり学び舎であるからして、一応政治とは無縁なのだ。
ハルケギニアの貴族にとって、戦争はある意味年中行事であり、いつもどこかとどこかが小競り合いをしている。
始まれば騒ぎもするが、戦況が落ち着いたらいつものごとくである。

そんな中、学院外の草原でとある儀式が行われようとしていた。
巨大な魔法陣と、そこここに配置された竜の砂時計。
あの勝利から既に何日経っただろうか、ヴィオラートたちが協力して作り上げた秘儀の祭壇。
キュルケ、タバサ、コルベール。ギーシュと使い魔、そしてルイズとヴィオラート。
ヴィオラートに縁があり、また、錬金術に興味を持った彼らが一堂に会し、行うのは…召喚の儀式。
ヴィオラートは美しい鈴を鳴らし、その動作を確かめていた。
一人だけ錬金術に縁のなかったギーシュが、自分だけ心持ち浮いているような感触を味わいながらも問う。
「それで、その…『神の浮船』ってやつを操るわけかい?」
「うん、エスメラルダさんから受け取った『フォルグロッケ』に、効果を上乗せしてあるから…」
ヴィオラートは効果に納得したのか、その『フォルグロッケ』をしまいこむと、まずコルベールに向き直った。
「コルベール先生、お世話になりました」
「あ、ああ。うん。貴女が行ってしまうと寂しくなりますね…ああ、いや、別にその、
残って欲しいとかそういうのではなく、技術の発展に有意義な話ができたというのが、
私としても正直稀なる僥倖であったわけですが」
コルベールは奥歯に物の挟まったようなつかみどころのない言葉を連ねると、
ヴィオラートと魔法陣をちらちらと見比べ、他の皆の視線に気付いて、取り繕うように言った。
「えーおほん!それでは、実証試験を執り行いましょう。皆さん、砂時計を取ってください」
ルイズ達は肩をすくめると、それぞれ一つの砂時計を手に取り、何かの呪文を唱え始める。
魔法陣が輝き、その上空…魔法学院の塔の先端より遥かに高い空に、天を隠す巨大なゲートが姿を現す。
「開いた…これが、『時空の扉』というものですか…」
感嘆するコルベールをよそに、ヴィオラートは開かれた『扉』に『フォルグロッケ』を向け、
一定のリズムで鳴らした。
まるでそのリズムに操られたかのように、中から巨大な船が音もなく現れて、進み出る。
「すごい…」
言葉を失う一同の中で、コルベールだけがようやく一言を発して、その船を観察する。
その船…『神の浮船』は皆の驚きなどどこ吹く風でゆるゆると降下を始め、
学院そばの草原に船底を横たえる。
かの『レキシントン』の何倍あるのだろうか。

皆が『神の浮船』の大きさ、あるいは神秘的なたたずまいに心奪われる中、
ヴィオラートはしずしずと歩を進め、巨大な船の傍らに手を触れる。
手を触れた場所に穴が開き、ちょうど人が通れるぐらいの大きさに広がって、固定化した。
ヴィオラートが開いた『入り口』の前に立ったその時、
最後の最後まで迷っていたコルベールの口をついて、秘めていた言葉が飛び出した。
「私も…連れて行ってはくれないだろうか?」
「先生!?」
ルイズ達は驚いて、コルベールとヴィオラートを交互に見比べる。
「私も、錬金術というものの全てを学んでみたいのです!ミス・プラターネ!」
熱の篭ったコルベールの言葉は、それを見る者の心に例外なく彼の覚悟を感じさせたであろう。
だが、しかし。ヴィオラートは黙って首を振る。
「コルベール先生には、頼みたいことがあるんです」
コルベールに真摯な眼差しを向け、ヴィオラートは言った。
「ルイズちゃんを、支えてください」
コルベールが、いやこの場にいる皆がその意味を図りかねて、沈黙が辺りを包む。

422 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:42:23 ID:gHpx45KP
支援

423 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:43:01 ID:TpUimbFj
支援

424 :ゼロのアトリエ(4/5):2007/09/16(日) 22:43:03 ID:b16MnDRx
「そうだ。タバサ、あなた、ヴィオラートに報告したい事があるって言ってたわよね?」
空気を変えるキュルケの提案にタバサがぴくっと反応し、
そのまま、迷いを振り切るように前に進み出て、
独特の鱗のような模様の付いた容器を両手で掲げ、ヴィオラートに見せた。
「できた」
短く言って、ヴィオラートの反応を待つ。
「うわあ、タバサちゃんが作ったの?凄いじゃない!秘薬ウロボロスを作るのは、もっと後になると思ってたけど…」
にこやかに喜ぶヴィオラートを前に、タバサは小さな唇を震わせて、呟いた。
それは、親しい人間を作ろうとしなかったタバサが一歩踏み出すことを決めた、ほんの少しの勇気。
「…が…とう…」
「ん?」
ヴィオラートのいる間、命がけの戦いの最中でさえ表情を変えなかったタバサの顔が崩れた。
「…あり…が…とう…」
眼鏡に溜まるしずくを一顧だにすることなく、目の下を手でこすって、幼子のように泣いた。
「ど、どうしたの?タバサちゃん?」
しゃくりあげるタバサをどう扱っていいかわからず、ヴィオラートは思わずキュルケに助けを求めた。
「貴女の錬金術が、タバサを救ってくれたって事よ。あたしからもお礼を言わせてもらうわ。ありがとう、ヴィオラート」
「そ、そうなの?なんだかよくわからないけど、どういたしまして」
なんだか要領を得ないので、とりあえずタバサの頭に手を置いて、優しく撫でてみる。
少しずつ泣き声はおさまり、タバサはまた、いつもの無表情に戻る。こころなしか、顔を赤らめているようだ。

425 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:43:15 ID:TpUimbFj
支援

426 :ゼロのアトリエ(5/5):2007/09/16(日) 22:44:17 ID:b16MnDRx
また、しばしの静寂の後、ルイズが我に返って呼びかける。
「…ヴィオラート!」
ヴィオラートはあらためて振り返り、ルイズの顔に浮かぶ別離の哀しみを見て取って、ある魔法を使った。
それは、魔法でない魔法。知恵と優しさを兼ね備えた者だけが使える、ありふれた魔法のタネ。
「もう、そんな顔しなくてもいいじゃない」
「でも…この世界には帰ってこないんでしょ?元の世界で、暮らすんでしょ?」
泣いてこそはいないが、悲しみをこらえてうつむくルイズに、
ヴィオラートはこれまでにない慈しみを含ませた声で、語りかけた。
「うん。あたしは、自分が帰るだけで精一杯。自分でもう一度この世界に来ることは、多分ないと思う」
ヴィオラートの言葉を待ち、ルイズは俯くのをやめる。
「あたしにはできなかった。それなら…」
そこで言葉を切ると、ヴィオラートは顔に満面の笑みを浮かべて、タネを明かす。
「ルイズちゃんが、あたしを超える錬金術師になったら?」
世の人はそれを『希望』とでも言うのだろう。
それ一つで、今生の別れを予感していた場の空気が一変した。
その言葉に、ルイズははっとなって顔を上げる。
コルベールもキュルケもタバサも、ヴェルダンデさえ空気を読み取って、一斉にルイズへと視線を向けた。
「皆、少なくとも、この鈴と砂時計を作る技術を身につけることはできると思うんだ。
これの作り方はちゃんと錬金術書に残してあるから、それが理解できるようになって、材料を揃えられたら…ね?
これが、あたしがルイズちゃんに教えられる最後の課題。言ってみれば、卒業試験ってとこかな?」
そうだ。ヴィオラートにできなくても、未来永劫できないと諦めることはない。
ヴィオラートがせっせと書き溜めた錬金術書に、要素は全て残されている。
それさえあれば、少なくとも今行っている儀式を再現する事は可能かもしれない。
再現できなければ代用となる手段を探し、また、新たな可能性を作る。

そうだ、あの日悟った可能性に満ちた世界、ルイズがそれを体現できるかどうか。
それを改めて実証する機会がやってきたのだ。
「別の何かに理想を求める前に。ルイズちゃんなら変えられるはずだよ、この世界を!」
一度忘れたはずの諦めに侵食されていた事に気づいたルイズは、ぷるぷると頭を振って答える。
「そう。そうよね。貴女にできなくても、私にできないとは限らないわよね。
見てなさい、貴女がいなくたって、この世界の皆で乗り越えてみせる」
ルイズは…ヴィオラートに出会う以前とは別人のように成長したルイズは、
ヴィオラートに挑むような視線を送りつけて、全身全霊をかけた誓いを世に放った。
「きっと創り出してみせるわ!二つの世界の架け橋を!」
ルイズのその言葉にヴィオラートは勇気付けられ、
初めて出会った時のような…お日さまのような微笑を浮かべると、
しずかに…音もなく、神の浮船に足を踏み入れる。
「皆、今までありがとう。それじゃ…」

「またね」

神の浮船は ゆっくりと空を巡り、掌に収まるぐらい小さくなって…
そして…消えた。

ルイズの進む道は、この日決められた…いや、ルイズ自身が、己のあるべき姿を選び取った。
皆が寂寥感を漂わせながら一人、また一人と去って行き、草原が静寂と二つの月の光に包まれた後も。
ルイズだけが、神の浮船が消えた空の彼方を見つめていた。いつまでも、いつまでも。

427 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:44:34 ID:TpUimbFj
支援

428 :ゼロのアトリエ:2007/09/16(日) 22:45:26 ID:b16MnDRx
投下終了、以下次回

429 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:45:58 ID:yFhyKeW8
GJ!!
アトリエはあいかわらず良いですね!

430 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:47:47 ID:hH9MH9PO
GJでした!

もうすぐ完結ですかね
ちょっと寂しい気もするなぁ…

431 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:50:20 ID:GU/maqlH
アトリエの人GJでした
相変らず読みふけってしまうなw

432 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:53:06 ID:pyuxWnjC
めがっさ亀だが、
>「オレはコーヘー。コーヘー・アマイモノスキー・トゥ・ワッフル・ザ・オリハラスター。で、お前は?」
に茜スキーの俺が噴いた。泣けるでぇ!!
まさかこんな所でおねネタを見る事になるとは思わなかった…感謝する!

433 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:53:22 ID:n9Bppxee
GJ!もうすぐ終わりなんだね。さびしいなあ。
ヴィオラーーートォォォォォォォォォォォォォォ!!!

434 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:53:29 ID:v6dV3Bpw
GJ!GJ!GJ!

435 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:54:29 ID:TrPd8dUg
心の底からGJ

>>431
よお、俺

436 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:55:26 ID:p8P/D/bh
GJ!それしかないっす!

437 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 22:59:33 ID:t7QTBYNa
GJ!


438 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 23:02:34 ID:YAkx0xgf
GJ!
ヴィオラートが帰ったらルイズはもう一度召喚するんだろうけど、
今度は誰が呼ばれるのかな。

439 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 23:06:13 ID:tuPiy3Vw
GJ!
>>438
アトリエの場合ルイズ自体が強くなったから誰が来てもBADENDにはならなそう

440 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 23:06:55 ID:u/aQWWQm
妖精さんだろ

441 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 23:08:14 ID:GU/maqlH
次はすっとこどっこいな人が来たりしてw

442 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 23:09:50 ID:v6dV3Bpw
そういやシエスタがガンダールヴだからサイトが呼ばれる事って無いんだな

443 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 23:11:11 ID:vgz1ATx3
>>441
危険だ。すっとこどっこいは感染する。
そーいや、新装版と続編こないだ出たね。

444 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 23:15:12 ID:GU/maqlH
>>443
新装版は買ったんだけど近くの書店に続編が売ってないorz

445 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 23:16:39 ID:lp7eg0wN
続編はマジキューコミックから発売。
そして、マジキューは休刊…!
あ、あの人また発動したのか……

446 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 23:19:30 ID:WdWWZ+JH
アトリエGJ
別れは寂しいけどあえて描くその姿勢にGJ

>>442
まあ待て…ニョズニトニルンの力で、どんな遠くの女湯も遠見の鏡で覗き放題なサイトなんて…どうだい?

447 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 23:20:08 ID:0c8Rdv3w
まずは着地の練習から!

448 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 23:24:01 ID:vgz1ATx3
>>444
俺は逆に新装版が売ってなくてあちこち回ったよ。ファイトだ。

>>445
大丈夫。今回のは全て書き下ろしだったし、雑誌は関係ない、はず。

449 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 23:27:05 ID:hZCDHpZh
>>447
着地と聞いて上空に召喚されて完璧な五接地転回方で着地するグラップラー想像した
召喚でちょっと間違えて上空に呼んで墜落死したとかいしのなかにいる!とかありそうだよね

450 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 23:27:29 ID:LzYKjpuU
>>443
ここで言うことではないが、情報感謝する。存在を感知してなかったので、速攻konozamaに発注した。
しかし、すっとこどっこいが感染したルイズ……なんか良い感じがするんだがw

451 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 23:28:10 ID:0ikpPxsh
ヴィオ乙。
また一つ完結だと思うと寂しいもんだな……。

>>445
掲載雑誌を潰して自分の作品のメディア展開を促進させるアメリカお化けの事か?

452 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 23:31:51 ID:hNsBcMo8
今度はユーディーが来たりして……

453 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 23:32:25 ID:hZCDHpZh
>>451
別れとは終わりではない
新たなる出会いの感動を彩るスパイスだ

454 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 23:33:17 ID:lp7eg0wN
>>451
それより(掲載誌の)死亡率が高いマリエリの作者の人さ……


455 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 23:33:29 ID:JIKllbDJ
アトリエさんGJ!
積み重ねてきたものの大きさが感じられるお話だ
ルイズがヴィオラートの存在を超えていこうとするのが素晴らしい
依存とかではなくて昇華を選択した物語はいい

456 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 23:38:25 ID:wsvjC9vr
帰った所を呼び出され出戻りの形に

457 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 23:42:49 ID:eB3NSM66
>>452
間違ってコーディーが(ry

458 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 23:43:47 ID:7Kh0fEFl
>>456
台無しスグルwwww

459 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 23:46:58 ID:q8bRbY5Y
予約はあるかな?

460 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 23:48:43 ID:WdWWZ+JH
濃いッ!

461 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 23:48:59 ID:TpUimbFj
いつでも来いや〜俺は待ってるぜ

462 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 23:49:07 ID:AOPxhwCr
ここのSSランキング誰か作ったらどうだ?

463 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 23:49:28 ID:TpUimbFj
>>462
荒らしたいの?

464 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 23:50:08 ID:q8bRbY5Y
ここはトリステイン辺境の貴族の屋敷。
時は真夜中、見回りの兵隊が船をこぎ始めるそんな真夜中。
双子の月の月光射すそこへ黒い巨大な影が現れる。
それは土のゴーレム、どでかいどでかい土のゴーレムだった。
誰もが見上げ、そして驚く。
そのでかさ、その雄大さ、何より力強さに。
肩に乗る女はそんな彼らを見てにんまりと笑む。
そして自分用にあしらえた奇怪な眼鏡をくい、と直して深呼吸。
そして、
「やいやいやいやい! お前ら聞きな! 私はフーケだ、『土くれ』フーケだ!」
天を指差し、
「物を盗ませたなら天下一! スクエアだって土にする! そんな私が
 てめえらのお宝いただきにただいま参上だよ!」
力いっぱい叫んだ。
それは大地を貫き天を突く雄叫び、女とは思えぬ豪快な咆哮。
盗賊フーケ、その名を聞き屋敷中から衛兵達が、ガーゴイル達が
メイジたちが大慌てで出てくる。
そして、向かいかかってくる全ての者達がこちらに武器を向けてくる。
それにフーケは気持ちの良い笑みを浮かべてそれを見やる。
「おう、上等だよあんた達! そうでなきゃつまんないってね!」
顔は隠すが身は隠さず、両者は大激突する。
フーケはひたすらに真っ直ぐ突っ込む、真っ直ぐ、真っ直ぐ。
屋敷の宝物庫を狙って真っ直ぐ、真っ直ぐ。

――ただ、真っ直ぐ

氷の矢が飛ぼうと火の玉が飛ぼうと構いやしない。
ニッカリ笑って貴族に逆らって、道理を蹴飛ばし信念突き通す。
狙った宝はがっちりいただき、気に食わない奴等もまとめてぶっ飛ばす。
「土くれのフーケ! 今度はチミルフ様のお屋敷も狙うとは!」
「はん、黙りなアホ貴族! アンタらみたいに偉ぶってる奴等はどうにも
 気に食わないのさ!」
飛びかかってきた男を鞘に入った奇妙な形の剣で叩き落す。
ガーゴイルはゴーレムの腕で殴り飛ばす。
意地で支えて、気合で進む。
でかい顔面(がんめん)のさばる奴は、拳で殴って退かせてみせる。
スクエア・トライアングルなんて関係ない。
ただ一体のゴーレムを操って彼女は盗みを行いそしてやってのける。
彼女はただの盗賊ではない、真っ直ぐな盗賊。
技術も何もあったもんじゃない、盗みをする前には真正面から宣言する。
そして真っ直ぐぶつかって毎回大乱闘の大活劇。
屋敷一つを丸ごとぶっ飛ばすその戦い方は大雑把極まりない。
しかし、そんな彼女の盗みを人は歓迎した。
なぜなら、フーケは皆が気に食わない奴等をぶっとばすからだ。
誰もが気に食わない、でかい顔をのさばらせる傲慢貴族どもを
ぶっ飛ばすからだ。
そんな女の喧嘩花道、使うゴーレム顔二つ、後に残すは一つのマーク、
とんがり眼鏡をかけた弩派手な髑髏。
去るときに彼女は謳う、いつもこの一言を。


「私を誰だと思っていやがる! 私はフーケだ、土くれのフーケだ!」



465 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 23:50:23 ID:hNsBcMo8
>>456
さすがにまずいwww

466 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 23:51:08 ID:0ikpPxsh
>>453
忘れていたよ、その事を。
>>454
なるほどな。相乗効果かもしれん。
そして同人誌でこつこつ出てるみたいだからマリエリの人の二冊買って来た。

そして道がry

467 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 23:53:21 ID:t7QTBYNa
支援いたす!

468 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 23:53:44 ID:q8bRbY5Y
これは、永劫連なる運命においてそれに風穴を開けた女の物語
没落貴族になっても尚、己の不幸を嘆かなかった女の話だ
真っ直ぐ理不尽を蹴っ飛ばし、逃げず引かず振り向かなかった女の話だ
そんな彼女の胸に生きる一人の男、その背中、その言葉
彼は一度死んだ男だった
欲望に忠実に奔放に生き、仲間を愛して自由を目指し、散った
これはそんな女の、一度死んだ男との物語だ



―――――9年前



アルビオンはサウスゴータ、当年14歳のマチルダ・オブ・サウスゴータ
は非常に、凄まじく、とてつもなく、暇だった。
貴族の生活は退屈というのが常だ。
父は名ばかりの太守、治めているのは議会なので大してする事はない。
食事は心配せずとも出てくる。
服は召使が出してくれて着替えさせてくれる。
そんな暇と退屈だらけの日々、彼女がそんな退屈しのぎを紛らわすのに
サモン・サーヴァントに手を出すのはそう遠くなかった。
「トリステイン魔法学院………ねぇ」
ベッドの上で寝転がりながら取り寄せた教科書を流し読む。
この教科書はあの高名なトリステイン魔法学院でも御用達の教科書とか
言うが、特にめぼしいと思えるものがない。
トライアングルに近いレベルの魔法の腕を持つマチルダは大体の
魔法をこなすことができる。
系統は『土』、たまにメイドを脅かしたりするのにゴーレムを使ったり
したこともある。
すぐにつまらなくなってやらなくなったが。
そんな彼女が教科書を流し読みし、ようやくおもしろそうだと思えたのが
『サモン・サーヴァント』の項だった。
「ふぅん、使い魔ね。召使がいるし要らなかったけど、おもしろそうよね。
 …………うん、よし!」
ベッドから跳ね上がるように飛び降りると、マチルダは窓際の机に置いた
タクトを取った。
「さて、呪文呪文………っと」
タクトの代わりに机の上に置いた本をめくりながらサモン・サーヴァント
の唱え方をぱらぱらと流し読む。
魔法の腕には自身があるので失敗なんてまず在り得ない。
というかコモン・マジックなのだ、失敗したらよっぽどの能無しだ。
「ま、大体唱え方も分かった事だしやってみますか!」
タクトを振り上げ、呪文を唱える。
さて、どんな使い魔が現れるのか。系統に沿った使い魔がでてくると
いうのでグレートモールか?
それとも、ミミズ?ああ、それは嫌だな。もっと可愛いのが良い。
もしできるのならドラゴンとかなら最高だ。
空を自由に飛びまわりたい。

469 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 23:55:12 ID:NcCiPs5D
妖怪土暮の封祁支援

470 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 23:55:44 ID:TpUimbFj
支援

471 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 23:56:10 ID:q8bRbY5Y
そんな期待の入り混じった気持ちを胸にいっぱいにしてマチルダは
その呪文を唱えた。
「我が名はマチルダ・オブ・サウスゴータ! 五つの力を司るペンタゴン!
 我の運命に従いし使い魔を招喚せよ!」
だが、この時マチルダは僅かなミスをしていたのに気づかなかった。
それはほんのちょっと、ちょっぴりの間違い。
だが、それこそが彼女の運命を大きく変えることになる。
ただの盗賊フーケになる運命を大きく変える。
「きゃあ!?」
開くゲート、鏡が眩く光り、マチルダの部屋を閃光が満たした。
そのあまりのまぶしさにマチルダは驚き目を瞑った。
そして、続いて聞こえる何かが倒れる音。
ゆっくり瞳を開き、マチルダはその正体を見た。
「あ―――ッ!?」
息を呑み、少女はその場にへたり込む。
そこにいたのは血まみれの男、今にも息絶えそうなズタボロの男。
「お、お母様! お母様ァァーーーー!!」
叫び、マチルダは部屋を飛び出した。


「う………」
そんな彼女の声を、男は微かにだが聞いていた。
その声を遠くに聞きながら彼は思う。
痛みよりも、生きている喜びよりも、何故ここにいたのか不思議に思う。
自分の死に悲しむ兄弟や仲間達の姿を思う。
今頃あいつらはどうしているのだろうかと思う。
いや、心配する事はないな。
男はそいつの顔を思い出し、にんまりと笑んだ。
あいつならきっと皆を引っ張っていけるはずだと確信していた。
なぜならアイツは、自分の大事な弟分でかけがえのない相棒なのだから。
安心すると、急に力が抜けるのを感じた。
また死ぬのか、そう考えるが頭が朦朧としてはっきりしない。
誰かが駆け寄る音がするが、目を開ける力もない。
そんな脳裏に唯一つ浮かぶのは惚れた女と大事な相棒。
「なんか眠てえぜ………シモン、ヨーコ」
はぁ、と溜息をつき男は―――――カミナは気を失った。

472 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 23:56:26 ID:hZCDHpZh
支援

473 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 23:56:30 ID:TpUimbFj
新機軸を支援

474 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 23:56:44 ID:mtleBH1F
>>297
http://www.force-x.com/~tactics/support/sup_nexton.html

FullVoiceじゃない旧版かな?
互換モードは試してみた?>http://www.microsoft.com/japan/windowsxp/pro/using/itpro/compatibility/apcompatmode.mspx

475 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 23:56:53 ID:DVRrFrDm
まさか兄貴召喚か!?支援

476 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 23:57:01 ID:p8P/D/bh
あ、兄貴ぃ!? 支援!

477 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 23:58:09 ID:hZCDHpZh
なんだとぉ!?
支援

478 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 23:58:39 ID:q8bRbY5Y
ゼロの使い魔異聞〜お前の魔法で天を突け!〜 

クロス先:天元突破グレンラガンよりカミナ


投下終了です。
一応フーケさんのIFということでちょっとした短編になるかと
思います。

479 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 23:58:40 ID:ZQfK0nCi
兄貴!!!!!!

480 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 23:59:00 ID:VDanDPEH
やっべぇ、無条件で燃えさせてくれるぜ支援!

481 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/16(日) 23:59:33 ID:yFhyKeW8
GJ!

482 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 00:00:07 ID:ZbArbsWA
一発じゃなくて続いてくれるのか!
頑張ってくれ!
GJ!

483 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 00:00:16 ID:cRML5ZRP
ちゃんとリロードしろ、雑音!支援

484 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 00:01:14 ID:mtleBH1F
>>297
追記
http://www.eonet.ne.jp/~babel/winxp_game_list_w.html
互換モードのほうを先に試すべきだとは思うけど

485 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 00:01:45 ID:8yrBqQ6c
短編と言わず連載して欲しいんだぜGJ!
関係ないが今朝のグレンラガンは燃えた。鳥肌たった。ボロボロ泣いた。

486 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 00:03:08 ID:Gbxkeyb9
ミス:グレートモールじゃなくてジャイアントモールでした


あと、超銀河グレンラガンと英雄に敬礼

487 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 00:03:08 ID:GU/maqlH
GJ
グレンラガン面白いらしいな、見とけば良かった。

488 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 00:05:11 ID:cRML5ZRP
GJ!
グレンガラン見てなかったなぁ…
今度見てみよう

あと>>474=>>484
お前は空気を読め

489 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 00:11:07 ID:Qhbo/MDB
残すところあと二話!クライマックスだぜぇ!

490 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 00:13:34 ID:w0bgHvSJ
>>489
その30分前の番組は最初からクライマックスだぞ

491 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 00:16:10 ID:ZMF6a6kb
熱い!熱い盗賊GJ!

492 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 00:19:04 ID:0W96O2fX
肛門アニメ乙

493 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 00:20:57 ID:70iyaHeS
グレンラガンはテンプレートをなぞってるだけ、って感じだがな。
劣化版トップをねらえというか。

494 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 00:21:35 ID:YKdV/eCj
>>493
人、それを王道と言う!

495 :薔薇の人:2007/09/17(月) 00:24:48 ID:6clrARZ+
>>492

肛門と聞いたら黙ってられねえなッ!!
進路は開いてるかい。

496 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 00:25:40 ID:E1WJcXTn
一部がスパロボで二部がリアルロボのテンプレを意識したとか何とか聞いたな
三部でヤマトになるとは思わなかったが

497 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 00:25:49 ID:Gbxkeyb9
おうおうおう!やってきな!!

498 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 00:26:01 ID:mdTTepPl
開いてないといったらどうするつもりかね・・・と、辛口で答えてみよう
一発目のインパクトのせいで後続が・・・

499 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 00:26:32 ID:1q97Awvo
俺は薔薇だろうと百合だろうとホイホイ読んじゃう男なんだぜ

500 :薔薇の人:2007/09/17(月) 00:27:26 ID:6clrARZ+
拝啓・母上様。

お使いに行かせた使い魔が、子分を作って帰って来ました。
彼等は一応熟達した傭兵らしいのですが、
肉と肉とのぶつかり合いで彼に敗北したので弟となったのだそうです。
どいつもこいつも頬を赤らめて僕の使い魔を崇めていやがっています。
彼等が連呼しているイイオトコイイオトコとは何の呪文なのでしょうか?

筋骨隆々の人々が曳く人力車でラ・ロシェールに着いた僕等は、
出発時に間に合わなかった増援を待つ為に『女神の杵』亭に宿泊しています。
キュルケが使い魔だからと彼を僕の部屋に割り振ろうとしたので、抵抗するのが大変でした。
彼と一緒にお使いから戻って来て以来、彼女の僕を見る目が変わった様な気がします。

正直、胃に穴が開きそうです。

それでは、お母さんも頑張って下さい。

(投函寸前にギーシュごと爆破された手紙より抜粋)


【薔薇男と穴を掘る使い魔】〜白の国の罠(その3)〜



501 :薔薇の人:2007/09/17(月) 00:28:50 ID:6clrARZ+
【薔薇男と穴を掘る使い魔】〜白の国の罠(その3)〜


胃が痛むので水のメイジに見て貰うと、胃潰瘍になり掛けていると言われたよ。
原因である強いストレスがあるならそれから離れる様にと勧められた。

悲しいけど、これ原因は使い魔なのよね。

胃薬を貰った帰り道、
増援である魔法衛士隊隊長のワルド子爵が無事に合流出来たと僕のストレスの原因が伝えに来た。

魔法衛士隊の隊長と言えば、僕達少年達が一度は憧れる名誉ある地位だ。
ストレスを完全に忘れ去って走って戻ると、宿の主人に彼の居場所を尋ねる。




502 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 00:29:05 ID:ZbArbsWA
>>498
あいてなければあけるまで
ぬっぷぬっぷ的な意味で
支援

503 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 00:29:39 ID:1q97Awvo
支援

504 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 00:30:18 ID:Gbxkeyb9
ワルドォォォォオォォ!支援

505 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 00:30:54 ID:ZbArbsWA
支援

506 :薔薇の人:2007/09/17(月) 00:31:05 ID:6clrARZ+
ストレスを忘れて走って戻ると、宿の主人に彼の居場所を尋ねる。



「それで、この惨状は何なのかね?」

宿の主人から聞いた昔の練兵場に辿り着くと、
其処には倒れている才人と彼に縋って泣きじゃくるルイズがいた。
心配そうにキュルケが見ている脇で、タバサが簡単な治療を行っている。

その少し離れた所には、杖を仕込んでいるらしいレイピアを持った髭面の男がいる。
彼が噂のワルド子爵だろうと当たりを付ける。

「子爵、この惨状は何なのですか?」

ルイズ達が何も答えないので、今度は彼に尋ねてみる。

「決闘さ。 彼の実力を一寸試してみたくなってね。」

冗談の様に、僕の友人を傷付けた事を笑っている。

決闘?
仮にも戦闘のプロなら、実力差等直ぐに見抜ける筈だ。
僕が言えた義理じゃ無いけど……こんな物は只の虐めだ。

かくなる上は、僕が仇を取る。

「子爵!! ケッ……ケッ……ケッ……。」

だが、自分よりも遥かな高みにいる男への恐怖が最後の2文字を僕が口にする事を許さない。

泣きたい。
自分の無力さに。

動けない。
かつての自分が如何に醜かったかを見せられた事に。

ポツポツと僕の足元にだけ雨が降る。


「子爵さん………俺とも決闘を や ら な い か ?」

そんな臆病者の脇を抜け、僕の使い魔が子爵に歩み寄る。

『俺は怒っている。』

彼の背中はそう語っている気がした。

507 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 00:31:17 ID:1q97Awvo
世界で一番不幸?なワルドに支援

508 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 00:31:23 ID:E1WJcXTn
あかぬならあけてくれようきくのはな支援

509 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 00:31:24 ID:tGqofKKX
アッー支援

510 :支援:2007/09/17(月) 00:31:26 ID:XoVDu/IM
ワルドが・・・

511 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 00:33:10 ID:mUuSrC4A
ワルド逃げてー!逃げてー!!

512 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 00:33:12 ID:ECR1Z0Vh
支援

513 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 00:33:15 ID:6ik7Rv85
自業自得とはいえワルドも大変だな

514 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 00:33:30 ID:ZbArbsWA
咲かぬなら
散らせるまでよ
菊の華
支援

515 :薔薇の人:2007/09/17(月) 00:33:44 ID:6clrARZ+
本日は以上です。
胸革命は私の嫁かつ夢。

516 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 00:34:11 ID:Gbxkeyb9
ちょww生殺しかwww!

乙!

517 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 00:34:23 ID:ItvUw73C
Support is Mandatory.

518 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 00:35:19 ID:K6UOkA4H
>>515
>胸革命は私の嫁かつ夢。
嘘 だ ッ!!

それはそうと、乙。

519 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 00:37:14 ID:cRML5ZRP
GJ!
いい男、怒る
阿部さんのお仕置きにwktk

520 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 00:37:53 ID:1AUTr+fh
ワルド「俺もうこんな役やだよ……みんなと仲良くやりたいのに。」

ともあれ乙

521 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 00:43:43 ID:6ik7Rv85
なんだかんだ言って愛される(ネタキャラとしてだが)のがギーシュで
本気で道化芝居させられがちなのがワルド

522 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 00:45:28 ID:rer5iq/G
ベトナムで鳴らした俺たち特攻部隊は、光る鏡をくぐって異世界に召喚されたが、
魔法学院を脱出し地下に潜った。
しかし、地下でくすぶってるような俺たちじゃあない。
筋さえ通りゃ金次第でなんでもやってのける命知らず、
不可能を可能にし、巨大な悪を粉砕する、
俺たち特攻野郎0チーム!

    チャーッチャッチャー チャッチャーチャー チャラチャーラチャッチャー チャーラチャラーラー

俺はリーダーのジョン・スミス大佐。通称“ハンニバル”。奇襲戦法と変装の名人。
俺のようなガンダールヴでなけりゃ、百戦錬磨の兵どものリーダーは務まらん。

俺はテンプルトン・ペック。通称“フェイスマン”。自慢のルックスに、女はみんなイチコロさ。
ハッタリかまして、水兵服から零戦まで、何でも揃えてみせるぜ。

よぉ、お待ちどう!俺様こそマードック。通称“クレイジーモンキー”。風竜使いとしての腕も天下一品!
奇人?変人?だから何。

B・A・バラカス、通称“コング”。ミョズニトニルンだ。始祖ブリミルでもぶん殴ってみせらぁ。
でも、風竜だけは勘弁な。


俺たちは、道理の通らぬハルケギニアに敢えて挑戦する、頼りになる神出鬼没の


           特 攻 野 郎 0 チ ー ム!


助けを借りたい時はいつでも言ってくれ!



続かない てか元ネタ分かる世代いるのか

523 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 00:45:49 ID:aHiPUGhL
最近姿を見せない原作ワルドが、逆風を吹かせてくれることを祈ろうぜみんな
そして乙

>>252
お前は俺か

でも、教授って召喚ありにしちゃうと自力で自宅に帰れるぜ?
最新刊でやってたし

524 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 00:46:37 ID:mUuSrC4A
>>522
ちょwww
その調子で冒険野郎も頼む。


525 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 00:48:16 ID:1q97Awvo
>>522
いや、そんなに古くない、古くないぞ。




リアルタイムで見てたのが20年前か…

526 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 00:48:21 ID:ZMF6a6kb
ワルド無惨支援

527 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 00:49:01 ID:xW2/MM2E
>>522
ガンダールヴとミョズニトニルンが逆だろうにw

528 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 00:49:50 ID:cRML5ZRP
特攻野郎Aチームwwww
通称エンジェルはルイズですか?wwwww

529 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 00:50:41 ID:mUuSrC4A
>>527
いや、コングは飛行機以外の乗り物の名手だからミョズで良いんじゃね?

>>528
エンジェルというにはこう、色気がn(虚無


530 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 00:50:56 ID:ZbArbsWA
>>523
自宅と行き来してもいいじゃない
知的好奇心を満たすためと思えば教授だって使い魔扱い……
いやまて。
そもそも教授が人間とまともに会話出来るのか?

531 :薔薇の人:2007/09/17(月) 00:56:09 ID:6clrARZ+
(誤)
>動けない。
>かつての自分が如何に醜かったかを見せられた事に。



(正)
情けない。
かつての自分が如何に醜かったかを見せられて。

この部分は推敲ミスですので、下の方に置き換えて下さい。

>>522

あれ、おかしいな?
私と世代が合わない筈なのに、何で知ってるんだろ。

何はともあれGJ

532 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 00:57:06 ID:70iyaHeS
マクガイバーは解説のおかげで博識野郎としか思えなくなってるのがあれだなw
ナイト2000あたりを召喚したらコルベールは大喜びだろうな。

533 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 00:59:18 ID:rer5iq/G
>>532
ナイト2000の召喚は妄想してるんだが
どう考えてもデルフがいらない子

534 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 01:01:21 ID:JWdRVhc3
つボン太君

つ関東だと2年前にお昼に再放送してた

535 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 01:03:00 ID:yzgyoEY/
パイロットが脱出して、貨物列車がぶつかる寸前に召還される映画版ブルーサンダー…ごめん、古杉だな…orz

536 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 01:03:09 ID:ItvUw73C
>>522
昔、
Aチームを召喚する猛者はおらぬか?なんて書き込んだ事もあったが・・・
もしや貴方が神か?


537 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 01:06:34 ID:1q97Awvo
ナイトライダー、ブルーサンダー、エアーウルフ、

懐かしいのうw

538 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 01:07:31 ID:Z+ZR4k/+
ここはアニメより原作準拠の方が都合がよさそうだな。>>作品を書くとき
アニメは寄り道が多いような

539 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 01:07:33 ID:70iyaHeS
>533
シルフィードがいるから、見せ場のブーストジャンプを活かすのも難しそう。
キャラ的には面白そうなんだが。

540 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 01:12:20 ID:ItvUw73C
>>537
(゚∀゚)人(゚∀゚)ナカーマ
それに冒険野郎を加えるんだが・・・懐かしいなぁ。


541 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 01:16:10 ID:wOBQk/IC
ナッシュ・ブリッジスは要らない子ですか?
ところでソニー&タブスだとマチ子とソニーの悲恋フラグが立つな


542 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 01:26:13 ID:8Ly5SoLU
>539
馬車がジャンプするようなものだからいくらでも使いではあるかと。
問題はロボものと同じ燃料と修理、補給だな。
ここを何とかする理屈をひねり出せば面白くなりそうな予感。

543 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 01:37:10 ID:7dEgBCf0
バイオニック・ジェミーと600万ドルの男も忘れないでくれ〜
あとは、ハイランダーとか

544 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 01:40:32 ID:ItvUw73C
ナッシュ・ブリッジスは相棒の小さいのがいないと面白くないのでは?



ハッ!?
ルイズがジョー・ドミンゲスをやるのか?


545 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 01:44:36 ID:wBA5pZwy
フランク・ウエストがルイズに召喚されました

ふぁーんたーすてぃっく

546 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 01:46:43 ID:H08yAmKa
>542
燃料は水素ガスだったから、補給は無理でしょう。
無補給で何十年も動く発電機を、実験的に搭載したとすれば別だけど。
ちなみにナイトライダーにはマイケルが引退した後の後日話がある。
KITTの後継機である4000(KIFTになるのかな?)が出てくる。
デボンが殺されたりマイケルの代りが女性だったりするんでお薦め。

547 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 01:47:34 ID:sG4Dxelm
>ナッシュ・ブリッジスは要らない子ですか?
YO、俺

548 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 01:47:46 ID:1q97Awvo
>>546
GSでハイオクを給油したりもしてたけどねw

549 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 01:48:41 ID:sG4Dxelm
>546
錬金で水が分解できるか、それがカギだ

550 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 01:55:17 ID:ItvUw73C
>>545
ピローリーリーピローリーリーカチャ
Colbert《町の酒場で屈強そうな男が暴れてるらしいから…オウッ!

ピローリーリーピローリーリーカチャ
Colbert《おいおい、切るなよ・・・》

コッパゲうぜぇw


551 :侍の人:2007/09/17(月) 01:58:29 ID:BnKvBic7
投下しても良いですか。

552 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 02:00:54 ID:rer5iq/G
>>546
その辺気になって調べてたんだけど>>548みたいな事もあるし液体燃料なら何でも可って説も
てかナイト4000はちょっと・・・赤いし・・・

>>551
かもん

553 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 02:01:02 ID:WtAxNure
ヤッチマイナー

554 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 02:01:03 ID:Z+ZR4k/+
支援は任せろ

555 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 02:02:13 ID:tGqofKKX
道は空いているなら、突き進めばいいじゃあないか。支援

556 :侍の使い魔:2007/09/17(月) 02:03:48 ID:BnKvBic7
では投下します。

「どした、ルイズ!!」
 銀時は剣を手に取り、外のほうを見る。
 その瞬間小屋の屋根が吹き飛んだ。
「マジでか」
 吹き飛んだ屋根の上から、巨大なゴーレムがこちらを睨んでいる。
 最初に反応したのはタバサだった。すぐさま呪文を唱えるがゴーレムはびくともしない。
「ファイヤボール」
 キュルケも同じく呪文を唱えたが結果はやはり同じだった。
「無理よ、こんなの」
「退却」
「ちっ・・」
 キュルケとタバサの言葉に銀時は思わず舌打ちをした。
 逃げるのは癪だが今はそれしかない。

 ルイズはどこだか確認する。
 ルイズはゴーレムの背後で失敗魔法をぶつけていた。
 爆発はするものもゴーレムには傷一つつかない。
「逃げろ!ルイズ!」
 銀時はルイズに向って思いっきり叫んだ。
「いやよ、あいつを捕まえれば、誰ももうわたしを馬鹿にしないわ。ゼロのルイズなんて呼ばないでしょ!」
「無茶すんじゃねー!!逃げろっつの」
 ルイズの目は真剣だ、銀時に止められそうにない。
「私にだってささやかだけど、プライドってもんがあるのよ。ここで逃げたらゼロのルイズだから
 逃げたって言われるわ」
「いいじゃねえか、他人の言うことなんざ気にするな、自分に恥ねえように生きればいい」
「私は貴族よ、魔法を使える者を貴族って呼ぶんじゃないわ」
 ルイズは杖を構える。
「敵に後ろを見せない者を貴族って呼ぶのよ!」
 ゴーレムはルイズにを踏み潰そうとする。
 ルイズは呪文を唱えるがゴーレムにはやはり通用しない。
 ゴーレムの足がルイズの眼前に迫る。
「待てェェェ!!」
 銀時は駆け出した。
「待て待て待て待て待てェェェ!!」
 疾風のごとく駆け込んだ銀時がルイズを抱きかかえそのまま地面に転がる。
「馬鹿野郎!!死ぬ気ですかお前は!!」
 銀時の激昂にルイズは涙目になる。
「だって、悔しくて・・・。私いつも馬鹿にされて・・」

557 :侍の使い魔:2007/09/17(月) 02:05:55 ID:BnKvBic7
 銀時はやれやれとため息をついた。
 ルイズの頭をポンと優しく叩く。
「悪かったよ、おめーにも貫き通したい武士道があるんだな」
「え・・」
 ルイズの顔はくしゃくしゃになってる。
 しかし、再びゴーレムが襲い掛かってきた。
「ちっ、空気よめねえ野郎だな、もてねえぞ」
 銀時はルイズを抱きかかえて逃げ回った。
「今まで苦しかったんだろ、誰からも認められなくて辛かったんだろ。
 それでも歯喰いしばってがんばってきたんだろうが。
 俺はお前を認めてやるよ、魔法が使える使えない関係ねえ、おめえはすげえ奴だ」
「ギントキ・・あんた・・」
 ルイズの心は初めて軽くなったような気がした。
 目の前の男は今まで一番言ってほしかった言葉をくれたのだから。
「世界中がお前の事笑っても俺はぜってえ笑わねぇ
 世界中がお前の敵に回っても俺はお前の味方だ。
 たいした事はできねえかもしれねえけど、お前が泣いた時その涙ぐらいは吹いてやるよ」
「ギントキ・・」
 ルイズは銀時の胸で泣いた。
 悔し涙じゃない、胸から沸き起こる暖かい感情が涙になって湧き上がるのだ。

「乗って」
 タバサはシルフィールドで銀時の前にあらわれた。
 銀時はすぐさまルイズをシルフィールドに押し上げた。
「あなたも早く」
 タバサは珍しく焦ったように銀時に言うが、銀時は首をふりゴーレムに向き直った。
「ルイズ、よく見とけよ、俺はおめーの武士道も護ってやるよ」
「ギントキ、まさか!」
「使い魔の功績は主の功績なんだろ、俺があれを倒したら誰もおめえのこと馬鹿にしねえよな」
「ダーリン、無茶よ」
 キュルケも止めようとするが銀時は動かない。
「さっさと行け、貴族が敵に後を見せねえって言うんならな、
 侍はいざって時他人を護れる奴のことを言うんだよォォォ!!」
 銀時は剣を抜いてゴーレムに向って走り出した。
 タバサは無表情で銀時を見ていたが 迫ってくるゴーレムにやむなくシルフィールドを
 飛び上がらせた。

558 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 02:06:52 ID:rer5iq/G
支援

559 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 02:07:13 ID:XoVDu/IM
支援します

560 :侍の使い魔:2007/09/17(月) 02:09:44 ID:BnKvBic7
銀時は剣をゴーレムの足にあてるが。
 ガッキーン!!
 あっさり折れた。
「やっぱりナマクラじゃねえかよ、あの武器屋の親父マジで死ね」
 ゴーレムの拳が降ってくるが寸前でかわす。
 銀時は折れた剣を投げ捨てる。
「やっぱ俺にはこいつが似合うな」
 そして銀時は『洞爺湖』を手に取った。
 再びゴーレムの拳が銀時に襲い掛かる。
 今度は『洞爺湖』を思いっきりゴーレムの拳に振りぬいた。
 今度はゴーレムの拳のほうが打ち砕かれた。
 銀時は間髪いれずにゴーレムに向って『洞爺湖』を打ち続ける。
「すごい・・」
 ルイズ達は30メイル以上あるゴーレムに一歩も引かず戦う銀時を
 見ていた。
 ゴーレムは崩れていくがその度に再生していく。
「ちっ、これじゃあ埒があかねえ」

 ルイズは何とか銀時を助けようと『破壊の杖』を取り出した。
 タバサにレビテーションをかけてもらい破壊の杖を振る。
 しかし何も起こらない。
「本当に『破壊の杖』なの、これ」
 銀時は地面に降り立ったルイズを見て舌打ちをする。
「あの馬鹿」
 しかし、あれならゴーレムを倒せるかもしれない。
「ルイズ!貸せ!」
 銀時はルイズから半ば無理やり『破壊の杖』を奪い取った。
「使い方が分からないのよ」
「こいつはな・・こう使うんだよ」
 銀時は一回だけこれを使ったことがあった。
 すぐさま『破壊の杖』を肩に乗せ、スコープで標準をゴーレムの頭部に合わせた。
「どっせい!!」
 銀時はトリガーを引くとゴーレムの上半身は大爆発を起こした。
 上半身は消滅し下半身も動かなくなり土に戻っていく。
 ルイズは腰が抜けたのかへなへなと地面に崩れ落ちた。

561 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 02:10:06 ID:Z+ZR4k/+
支援

562 :侍の使い魔:2007/09/17(月) 02:15:37 ID:BnKvBic7
「やったわ、ギントキ!さすがダーリン!」
 キュルケが抱きついてきたのを思いっきりかわす銀時。
「フーケはどこ」
 タバサの声に一同ははっとする。
 ミス・ロングビルは草むらから現れるが分からないと首を振った。
 銀時は『破壊の杖』を見ながら、何故これがここにあるのか考えた。
 でもいくら考えても分からなかったのであっさり考えるのをやめた。
 不意にミス・ロングビルが銀時から『破壊の杖』を取り上げる。
「美人秘書の姉ちゃん?」
 ミス・ロングビルはそのまま『破壊の杖』をそのまま4人に向けた。
「ご苦労様」
「ミス・ロングビル!」
 キュルケが叫んだ。
 銀時は今日何度目かのやれやれと顔をして頭をかいた。
「つまりこの姉ちゃんが、『ささくれ』のブスっていうことだ」
「そう・・って違うわよ、『土くれ』のフーケよ、あんたわざと間違えてるでしょう!!」
 銀時にボケられ、思わず突っ込むフーケ。
 それまでのミス・ロングビルの優しいそうな雰囲気から一変して猛禽類のような表情に変わる。
「はー、意外に好みのタイプだったんだけどな、やっぱ第一印象良い奴に限ってろくな奴がいねえ」
「そう、残念ね、私も貴方みたいなタイプは好みだったんだけど」
「そいつは光栄だ、世の中ままならねえな」
「ちょっとそんなこと言ってる場合」
 軽口を叩き合う銀時とフーケにルイズはイライラしたように言った。
 タバサは杖を振ろうとした。
「おっと、動かないで全員杖を遠くへ投げなさい、『破壊の杖』はぴったり貴方達を狙ってるわ」
 ルイズ達は杖を投げた。
「そこの使い魔の貴方もよ、その木刀を投げなさい、あんたは武器を持つとすばっしこくなるから」
 この時フーケは少し勘違いをしていた。
 銀時は言われた通り『洞爺湖』を投げた。
「どうして!?」
 ルイズはそう怒鳴る。
 それにフーケは妖艶な笑みを浮かべる。
「そうね、ちゃんと説明しなきゃ死にきれないでしょうから、私ね、この『破壊の杖』奪ったのはいいけど
 使い方がわからなかったのよ、どんな物でも使い方がわからなかったら宝の持ち腐れ、そうでしょう」
 ルイズは飛び出そうとしたが銀時に止められる。
「ギントキ!」
「やめとけよ」
「ずいぶん物分りが良い使い魔ね、だからこれを貴方達に使わせようとしたの。
 実際こうやって使い方教えてくれたし、じゃあそういうことだから短い間だったけど楽しかったわ、さようなら」
 フーケは『破壊の杖』を構えた。

563 :侍の使い魔:2007/09/17(月) 02:18:42 ID:BnKvBic7
皆目を瞑るが銀時だけが人を馬鹿にしたようなニヤニヤとした笑みを浮かべている。
「貴方勇気あるのね」
「そうじゃねえよ、本当に追い詰められたのはどっちかって言う話だ」
 銀時はどこから取り出したのかメガホンを持ち出した。
「あー、『土くれ』のフーケ、お前は完全に包囲されている。武器を捨てて出てきなさい。
 故郷でお袋さんも泣いてるぞ、今日はそのお袋さんも来てくれている。
『もう知らないから、母さんあんたは3年前に死んだとものと思っているから』(銀時裏声)」
 一人芝居を始めた銀時にルイズ達は唖然としている。
 フーケの頭には青筋が出ている。
「貴方私のこと馬鹿にしてるでしょう!!そうなんでしょう!!」
「あ、やっぱりわかる」
「貴方から先に死になさい」
 フーケは『破壊の杖』のトリガーを引いた。
 しかしそれはうんともすんとも言わない。
「な、どうして」
「だから言ったじゃん、本当に追い詰められたのはどっちかって。
 そいつは単発だから魔法なんかでねえよ」
「単発、どういう意味よ」
「言ってもわからねえよ、そいつは魔法の杖でも何でもねえ」
 銀時はいつの間にかフーケのすぐ横にいた。
 フーケの勘違いは銀時は武器を持たなくてもすばしっこいということだ。
 元々『洞爺湖』もフーケのほうに向って投げたので銀時はすでにバットのように構えていた。
「そんなことよりさ、ウチの母方の祖父が『仁義を介さない醜い奴は顔面いっとけ』って
 それって坂田家の家訓なんだ、じゃ、そういうことだから」
「ちょ・・まっ・・」
 フーケは破壊の杖を投げ捨て杖を握ろうとしていたがすでに遅かった。
 銀時はイ○ロー並のバットスウィングを見せた。
「ふぎゃぁぁぁ!!」
 フーケの顔面には思いっきり当て、フーケは5mほど吹っ飛んで動かなくなった。
「こいつは確か機械大砲(からくりおおづつ)っていったかな、詳しい型番は忘れちまったけど
 ってもう聞いてねえか」
 銀時は『破壊の杖』を拾う。
「ギントキ!」
 ルイズはあまりの状況の変化についていけず混乱していた。
「とりあえずこれで任務完了ってとこか」
 そのことばを合図にルイズ、キュルケ、タバサは銀時に駆け寄った。
 とりあえず銀時は3人と抱擁することにした。

564 :侍の使い魔:2007/09/17(月) 02:20:28 ID:BnKvBic7
投下終了です。
あと一話二話で一巻分終了。
サブタイトル募集中

565 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 02:20:39 ID:BWujiIIh
が、顔面て…

566 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 02:22:43 ID:Z+ZR4k/+
乙ー

567 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 02:29:14 ID:l4YNeveW
改心したフーケが猿飛あやめ化するのに200エキュー

568 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 02:29:35 ID:cRML5ZRP


フーケ…
頭蓋骨粉砕骨折かなぁ……

569 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 02:32:35 ID:70iyaHeS
銀時「石をおとせ」

570 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 02:33:12 ID:hG24WjiC
>頭蓋骨粉砕骨折
それ死んでねぇか?

571 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 02:39:38 ID:MVlgKZ2o
ファミコン版のDQ3の勇者の父オルテガとか
面白いと思うのだが
武器が使える>でも覆面パンツ一枚
魔法も使える>でも覆面パンツ一枚
勇者だ>でも覆面パンツ一枚

572 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 02:47:53 ID:cRML5ZRP
ロトの系譜って変態覆面パンツ男の系譜でもある事になるのかorz

573 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 03:05:23 ID:yIWbbVv8
だれかデルフの事時々でいいから思い出してあげてください・・・・

574 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 03:09:50 ID:6clrARZ+
>>570

ヘルメットを被ってたら大丈夫さ。
脱いだら崩れて死ぬが。

>>573

デル……フ………?

575 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 03:12:12 ID:cRML5ZRP
でるふりんがあ?

6000年を隔てた初代ガンダールブの…

576 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 03:13:43 ID:Z+ZR4k/+
>>573
戦闘物のクロスをするとどうしても固有の武器持ちになるからなあ

577 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 03:14:28 ID:0anHTaUK
>>569
武士道はシグルイなり。

578 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 03:18:25 ID:3TZhAZoS
>>541
ナッシュやその兄貴とかブリッジスよりも「天使のおっさん」呼んで欲しい
言ってる事もやってる事もイカレ野郎だけど
生徒や先生・王国の人々がどうにもならねえ問題にぶち当たった時
その言葉や行動思い出して少しずつだけど救われていくとか…

もしくはシエスタの爺さんが実は天使のおっさんだったりとか

579 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 03:18:51 ID:XCA/6PcF
「速攻魔法発動!サモン・サーヴァント!」
「さあ行くぜ!まず一回目!サモン!失敗魔法、怪我人を救護室に放り込み、見なかったことにして追加詠唱!」
ドーン
「二回目サモン!失敗魔法!」
ドーン
「三回目!失敗魔法!」
ドーン
「サモン!失敗魔法!」
ドーン
「サモン!失敗魔法!」
ドーン
「サモン!失敗魔法!」
「サモン!失敗魔法!」
ドーン ドーン
「サモン!失敗魔」
「もうやめて!ルイズ!とっくに魔法学院のライフは0よ!」
「HA☆NA☆SE!」

580 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 03:49:27 ID:C6VE3Jjz
この時間帯になると、誰もいないようですね

581 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 03:50:47 ID:2sX+GXkX
一応、いるぞ。
書き込んでないだけ。

582 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 03:52:54 ID:C6VE3Jjz
一場面を抜粋したような短編、投下よろしいですか?

583 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 03:55:03 ID:Z+ZR4k/+
支援はいるかい?

584 :ゼロの審判の矢を射る者:2007/09/17(月) 03:56:03 ID:C6VE3Jjz
お願いします

「くっ!」
ワルドは甲板に着地した振動で顔を歪めた。なくなった左腕とナイフが貫通した左足を自分で治癒したが痛み止めにもならなかった。
早く水の秘薬と魔法で治癒してもらわねばと動くが、血を流しすぎたせいで倒れこんでしまう。
グリフォンはそんなワルドを心配したように小さくなくが、ワルドにとってそれすらも煩わしかった。
「ワルド子爵どうなされましたか!?」
「おい、腕がないぞ!早く水の使い手を呼べ!」
甲板で掛けずりまわっていた兵士やメイジがワルドに気づく。
風のスクウェアのメイジであるワルドの片腕を奪った敵兵に恐怖しながらも手当てを続ける。
水の秘薬と治療魔法により、痛みが引いていくのがわかる。
それにより、痛みがなくなり気を失いそうになるが、ワルドはそれを寸前で引き返した。
痛みが引いたことにより、自分の左腕を奪った相手のことを鮮明に思い出してしまった。
この負の感情は…身体が震えてることはなんだ?
我が『レコン・キスタ』の大群が王統派を蹂躙していることによる喜びから。
否!
ウェールズを亡き者にできたことの達成感からか。
否!
この感情は恐怖だ……
左腕を奪ったあの男から感じた、死の恐怖だ!
出血による体温低下からくる震えではなく、恐怖からくる震えで怯えながら、ほんの十数分前の事が脳裏を過ぎった。

585 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 03:56:04 ID:/ALhY3me
ルイズの胸より多いよ、みてる人は

586 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 03:56:53 ID:Z+ZR4k/+
じゃあ支援だ

587 :ゼロの審判の矢を射る者:2007/09/17(月) 03:59:19 ID:C6VE3Jjz
『エア・ハンマー』を避け、白金に光る剣で吸い取り、『エア・ニードル』をその剣技で受け、弾き、そして避ける。
風が最強たる所以である『偏在』を含めた五人がかりで囲み、再度『エア・ニードル』で攻撃をしかけるが、
それまでも同様に剣で受け、弾き、避けてしまった。
一体、また一体と『偏在』が消失していくのが夢のように感じられる。
信じられないと思いながらも杖を掲げ、呪文を唱えるが言葉よりも早く奴は動き、また一体を消失させる。
奴の目は怒りに震え、血のように赤く染まっていた。
それは偶然にも『エア・ニードル』が避けたときに掠ってできた頭部裂傷で出血したものが目に入り、
赤く染まっているように見えただけだが、ワルドは恐怖により見えていなかった。
何故当たらない!何故だ!私は最強たる風のスクウェアメイジだ!なのに何故だ!
恐慌状態に陥るが、自分は王となるべき男だ!こんなところで失敗するわけにはいかない。
ワルドは卑怯にも魔法により石畳を砕き煙幕をはった。これで視界はなくなり、奴は私に攻撃ができないだろう!
自分は砂埃で視界を無くさないために、気流を身に纏いながら倒れているルイズの元に悠々と歩く。
気絶しているルイズを奪えば、一つ目と二つ目の目的も達成される。
恐怖から逃れられることと、目的すべてが達成される喜びにより、ワルドは小さく笑いを漏らした。
肉を切るような音と、金属が骨を砕く音が聞こえた。
何だと思い、左腕を見ると小さな投げナイフが二の腕に刺さっているのが見えた。
痛みにより苦悶の声を喉からかすれた様に搾り出す。

588 :ゼロの審判の矢を射る者:2007/09/17(月) 04:00:38 ID:C6VE3Jjz
さらに血が噴出す。今度は左太ももだった。
何故だ!視界がまったくないにも関わらず、私の位置が正確にわかるのだ!?
この攻撃が奴からの攻撃だと理解した。
視界が無くとも、彼にはワルドが何処に居るのか察知できた。気流により自分の視覚を確保していることにより、
その周りだけ砂埃が不規則に動いていたことと、ワルドがもらした小さな笑いにより、正確に位置を把握したのだ。二度目の投擲も同様に。
痛みによりワルドは膝をついた。それはグリフォン隊に入隊してきた時から、いやそれ以前から、
トリステイン王国軍に入隊したときから一度もなかった。
そのいわば生きた伝説としていたワルドが膝をついたのだ。
どこだ?どこからやってくる?
ワルドは慌てて呪文を完成させる。どこからきてもいいように偏在を二体を作り上げ、互いの背中を合わせるように構える。
足音が聞こえる。それも高速で移動している音だ。
薄れてきた砂埃の中から何かが突進してきた。
「『ライトニング・クラウド』!」
偏在を含めた三人のワルドたちが一斉に魔法を放つ。だが、それは人ではなかった。
「相棒!俺を囮にするたぁひでぇじゃねぇかよ!」
それは彼が持っていたインテリジェンスソードのデルフリンガーだった。
三発分のライトニングクラウドを吸収したデルフリンガーは石畳の上に突き刺さる。
「やつはどこだ!」
別方向から奴が現れた。デルフリンガーとはまた違った鋭利なナイフを右手に持った死神が。
偏在ワルドが盾のようにワルドを庇うようと杖を突き出しながら呪文を唱えるが、その腕をつかまれ首を切られる。
消失する前に、魔法吸収したデルフリンガーを持ち、偏在の身体を踏み台にし、前方回転。
その回転力にあわせデルフリンガーでワルドを斬りつけ、着地と同時に最後の偏在を左手で首を握り、握力だけで喉を潰し消失させた。
死神が振り向く。逃げ出そうと身体を反転させるが躓いて転倒する。杖を持っていない左手をとっさに出したが顔から石畳にぶつかった。
おかしいと思い左腕をみてみるが、そこには何もなかった。振り向き死神の足元をみると、自分の左腕が血を流しながら落ちていた。
ワルドは悲鳴を上げながら逃げ出した。誇りをすて貴族の恥じになろうとも、ワルドはその場から逃げ出した。

589 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 04:01:33 ID:Z+ZR4k/+
更に支援

590 :ゼロの審判の矢を射る者:2007/09/17(月) 04:02:17 ID:C6VE3Jjz
子爵ともあろう者がまさか左腕を奪われるとはね」
治療を終えたワルドのもとに聖職者のような格好をした男がやってきた。『レコン・キスタ』の総司令官を務めているクロムウェルだった。
クロムウェルはワルドが負傷して戻ってきたことを伝令兵にきき、甲板まで出てきたのだ。
出て来た理由はワルドの任務結果が知りたかっただけである。
「すみません閣下。任務の遂行はウェールズ暗殺だけしか実行、確認しかできませんでいした。
虚無の使い手の確保は出来ませんでしたが、手紙はこの作戦が終わってから死体から回収となります」
跪きながら、うやうやしくクロムウェルに報告する。
「何をいうか、ワルドくん!君は敵軍の勇将を一人討ち取る働きをしたじゃないか!見たまえ、燃えていくニューカッスルを!絶景ではないか!」
立ち上がったワルドはクロムウェルの一歩後ろからその景色を眺める。
燃え盛る炎は消えることなく、風が炎を大きくしていた。
目を細め、教会がある場所をみつめる。そこでさきほどまで死神と死闘を広げていた。いや、一方的な虐殺だった。
震えるワルドにクロムウェルは声をかける。
「どうしたのかね?子爵。奪われた左腕により血が少なくなったのであろう。休むがいい」
「いえ、閣下。私はここで最後まで戦場を見ています。我らが『レコン・キスタ』の力を」
「そうか、ならば共に見ようではないか」
天を仰ぎながらクロムウェルは高らかに笑った。


ニューカッスル周辺で掃討戦を繰り広げている兵士やメイジ達は上空をなにかが通過する音を、轟音とびかう中、確かに聞いた。


「あっはっはっはっはっはっはっはッ!」
破裂。そしてワルドの頬を何かが通過した。ワルドは顔についた血を手に取りながらそして、
横を見てみると周囲を警戒していたメイジの一人の頭に孔が空いていた。


591 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 04:03:32 ID:Z+ZR4k/+
小隊支援火器

592 :ゼロの審判の矢を射る者:2007/09/17(月) 04:04:25 ID:C6VE3Jjz
額から後頭部にかけて空いた孔からワルドは空をみた。青々とした空を。
「閣下!お下がりください!敵からの攻撃です!」
慌てたようにクロムウェルを自分の背中に隠し、周りのメイジに指示を出す。
「な、何がおきたのだ!何故、メイジが死んでおるのだ!」
「『遠見の鏡』で周辺を警戒していたメイジは何をしている!」
今まさに敵からの攻撃を受けたのだ。一人、また一人と頭に孔を開け、メイジが倒れていく。
「そ、それが…半径2リーグに敵は見えません。前方のニューカッスルからの攻撃だと思われますが、
何も『遠見の鏡』は敵を写しだしてません」
「そんな事があるものか!もっと広げろ!いるはずだ!」
「し、しかしそんな遠距離からの魔法攻撃や、頭に開いたくらいの砲撃など私は知りません!」
「えぇい、口答えをするな!私が見る!」
ワルドはメイジから『遠見の鏡』を奪い、精神力を使い、無意識にあの場所を見た。
そこは死神がいるであろう、教会を。
「……………なっ!」

『遠見の鏡』は映し出した。教会で。死神を。
その死神は鈍色に輝く鎧に身をつつみ、赤い瞳でこちらを見つめていた。
「そんなバカな!なんなのだあれは!!」

キュン!

「閣下!お逃げください!ここは危険です!」
「あ、あぁ!そうだな!『レコン・キスタ』の総司令官であり、新しい国家の王となるこの私が死んでしまったら、
誰が『レコン・キスタ』を引張るというのだ」
「そうです、閣下!」
「後は任せた、子爵!」
「お任せください閣下!」
振り向き、船内に入ろうとした瞬間、クロムウェルの頭から綺麗な赤い花が咲いた。
後頭部から額にかけ、大きく孔があき、甲板に赤い花を。
「か、閣下ぁ!」

593 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 04:05:14 ID:Z+ZR4k/+
荒よっと

594 :ゼロの審判の矢を射る者:2007/09/17(月) 04:05:42 ID:C6VE3Jjz
キュン!


「っは!」
ワルドはその音を聞き、振り向くが遅かった。
頭蓋骨の抉り、脳漿をかき回し、また頭蓋骨を抉った矢はワルドにも花を咲かせた。
それを目の当たりにし、へたり込んだメイジは見えない敵からの攻撃にこう呟いた。
「し、審判の矢だ……」


ワルドたちが乗っていた船より約3リーグ地点、ニューカッスルの教会の前で彼は審判の矢を放った銃をもち、鎮座していた。
その横には胸を赤く染めたウェールズが眠っていた。そして、銃の引き金を持っているピンク色をしている少女がすがる様に座っていた。
「終わったのね?」
ルイズは彼の視覚から、ワルドの最後を見た。打ち抜く瞬間は彼の配慮により強引に見えないようにしたが。
「あぁ、ルイズ。ウェールズ皇太子の仇は取った。」
「……そう。ねぇバロス。バロスは何でこんなことが出来るの?」
「おでれーたぜ、相棒!こんな神業みてぇなの、なんでこんな鎧着ただけでできるんだよ!」
ルイズはワルドが乗っている船を見つめる。肉眼から見えるのは小さな豆粒のようなものだった。それよりも小さい人の頭を打ち抜くなんて。
平民がもってるような銃や、船に積んであるような大砲。スクウェアクラスのメイジでもこんなことは無理だ。
それを、ルイズの使い魔たるバロスは成し遂げてしまったのだ。
「まぁ、壊れてるっていってたが、俺がいなきゃできなかったことだがな」
「デルフには感謝している。使用できない光学スコープの代わりをしてくれたんだからな」
「あたぼうよ、触れば大抵の事はわかるけどよ、生まれてこのかた六千年。あんな遠視をしたのは初めてだ!それが出来るこの鎧は異常だな」
「まぁな。俺専用に特化した機体だから。それに」
バロスはライフルを背中に固定すると、立ち上がった。
「不可能を可能にする。それが特殊部隊(レッドアイズ)ジャッカルだ」
そういう彼の顔には誇り高い達成感と悲しい表情が見え隠れしたいた。
ルイズはバロスの鎧につつまれた手を握った。金属の冷たさが手に伝わるが、離れないようにしっかりと。
バロスはそれに応えるようにルイズを抱えると、その場を後にした。
教会内に開いた大きな穴を通り、空の躍り出た。バロスは降下用の落下傘を広げると降下速度が落ちた。
その周りを、ヴェルダンデを掴んだシルフィードが背にタバサ、キュルケ、ギーシュをのせ、旋回していた。
バロスにしがみつきながらルイズは戦争や逝ってしまったウェールズたちを想い悲しみ、小さく泣いた。

595 :ゼロの審判の矢を射る者:2007/09/17(月) 04:07:35 ID:C6VE3Jjz
くつもの上空を高速で飛んでいったものを兵士達は「始祖ブリミルが放った審判の矢」だとうわさした。
現に『レコン・キスタ』の総司令官であるクロムウェルが、その矢に貫かれ死んだのだ。
他にもその矢に貫かれ死亡したメイジが数人確認されている。
『レコン・キスタ』は総司令官をなくし、クモの子を散らすように崩れ落ち、数週間後にトリステイン王国軍により滅ぼされた。


その後、ルイズは虚無の魔法を習得し歴史に名を残す。その横には審判の矢を放ったとされる使い魔の名前も記された。
『虚無の審判の矢を射る者(ジャッジメント・アーチャー)』のバロス・ウォードと。

596 :ゼロの審判の矢を射る者:2007/09/17(月) 04:09:09 ID:C6VE3Jjz
以上、投下終わりです。
最後が強引すぎると、思ってます。

前にレッドアイズの誰を召喚ってのが出てたので、それをもとに書いてみました。

597 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 04:09:12 ID:Z+ZR4k/+
乙ー、そしてネタのわからん俺はgoogle先生の世話になってくるorz

598 :ゼロの審判の矢を射る者:2007/09/17(月) 04:10:49 ID:C6VE3Jjz
>くつもの上空を高速で飛んでいったものを兵士達は「始祖ブリミルが放った審判の矢」だとうわさした。

訂正
いくつもの上空を高速で飛んでいったものを兵士達は「始祖ブリミルが放った審判の矢」だとうわさした。

文字が一つ抜けていました。申し訳ありません

599 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 04:14:05 ID:/1gsUTbh
カムイ召還

ルイズ「あんたみたいな平民、召還するんじゃなかったわよ!」
カムイ「おれは夙のカムイ。平民ですらない非人さ」


ルイズ「あのインテリジェンスソードをあんたに買ってあげるわ」
カムイ「おれには夙流変移抜刀霞斬りがある、長い太刀はいらない」

コルベール「エシャエシャ・・・イヒヒイヒヒ・・・」

600 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 04:16:41 ID:0Qv33Zbx
GJ!!
バロスつえー
近接戦闘でそんな神業みたいなこと出来たっけ? と思ったけどジャッカルでガンダールヴだったらむしろ出来て当然かw
バロスって作中のインフレがあんまない時に死んじまったからそこまで強いイメージないんだよな・・・

601 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 04:28:19 ID:Coa5TWyV
GJ狙撃

602 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 04:50:09 ID:0anHTaUK
俺が言いたいのはたった一言のシンプルなGJ。




バロスwwwww

603 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 05:09:30 ID:YPJJqGX/
目がぁ、目がぁの人しかうかばねぇほどGJ。

そういえば敵方に召喚されたキャラの視点で書かれたのは無かったよね?
例えばバルスの人をワルドあたりが召喚したって視点で書かれたら
アルビオンで「人がゴミのようだー」ができるのに。

最後はエクスプロージョンで目がぁ、目がぁ

604 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 06:45:18 ID:Pk3XrHpi
人間を召喚出来るのは虚無だけだろ?

605 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 06:51:28 ID:XypM2zFO
そもそも螺旋の民は人間なのでせうか?

606 :『無』茶が好きな人:2007/09/17(月) 07:31:48 ID:uzOB6iNu
イザベラに 『覇王道』とか、『人望の集め方』とかを教え(叩き込み)、
父親を退け 後世に名を残す賢王になりました
って話を書こうかと思っているですが。

ぶっちゃけ、適切な使い魔候補が思い浮かばん。
思いつくのは、封神演戯の紂王しか・・・。

そこで みなさんの意見をお聞きしたい。
王の指南役、もしくは かつての賢王と称えられた事のある人物を
教えていただきたい。

お知恵を拝借。


607 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 07:39:44 ID:GdmkdxHd
原作の改変とか蹂躙が目的でその都合にいいのを探そうとかなんか違わないかい?

608 :『無』茶が好きな人:2007/09/17(月) 07:42:04 ID:uzOB6iNu
違うかな?
うーん、やっぱ 邪道かな・・・

609 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 07:45:53 ID:KSqyWUj3
>>606
ラオウとか思い浮かんだが、これじゃあ恐怖政治になっちまうな。


610 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 07:49:46 ID:XypM2zFO
鳥の骨を召喚するんだ!
善政が敷かれるガリアと反比例するように内政がガタガタになっていくトリスティンwww

611 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 07:54:18 ID:GdmkdxHd
>>608
そりゃ自分で思いつきもしない思い浮かびもしないキャラを使おうとか、その時点で愛も無ければ作品への理解も無いじゃない

612 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 07:57:40 ID:Obh9j1Uu
歴史上の英雄で漫画に登場してるというと
ジハードのサラディンが思いついたけどあの人息子がぼんくらぞろいなのよね


613 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 08:11:01 ID:8njLHdJ2
蒼天航路の曹操
だが、あの人も息子は別路線だしな

614 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 08:17:48 ID:oNQ3FkHg
こんなこと言っちゃ悪いが話の根幹にかかわる部分で他者に
助言を請う辺りで何か間違ってると思わないか?

自分で書く以上「根っこ」の部分は他者に何かを求めてはいけな
いと思うぞ、第一書く意欲がまず続かないだろうし内容もアレにな
るのが関の山だと思うんだが。

615 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 08:20:50 ID:NIeMlR2o
遅ればせながらもバロスの人GJ!

>>600
微妙に同意
近接戦闘の描写自体ないし、ミルズさんが強さの基準になる所為かな?

616 :ゼロの大魔道士:2007/09/17(月) 08:39:15 ID:ZKiDDzYM
五分後に投下させていただきます。

617 :ゼロの大魔道士(1/4):2007/09/17(月) 08:44:29 ID:ZKiDDzYM

「ほいよっ、こっちのカゴは終わったぜ」

皮を剥き終わった果物や野菜が入ったカゴを隣のおっちゃんに渡しつつ、ポップは次のカゴへと取り掛かる。
しゅるるっ、と慣れた様子で皮を剥くその手つきは本職には及ばないものの、明らかに素人の域を脱している。
その様子を見たマルトーは驚きの目を向けながらも思わぬ戦力に喜び、声をかけた。

「おお、早いなにーちゃん!」
「いやー、これでも料理には手馴れてるもんで」

あははと照れ笑いを浮かべながらもポップの手は止まらない。
元々、師であるアバンと二人旅をしていた頃からポップは料理には慣れていた。
アバンの料理の腕前はプロ級で、彼に任せていれば日々の食には全く困らなかったのだが、それでは弟子の面子にかかわる。
そうアバンに申し出たポップは彼から魔法を教わる傍らで料理の授業も受けていたのである。
その後も、ダイやマァムなど料理の出来ない面子とパーティーを組んでいたため彼の料理の腕は上がりこそすれ下がることはなかった。

(しっかし異世界に来て最初にやった仕事が皮むきか…ま、おれらしいといえばおれらしいけど)

苦笑いを浮かべつつポップは自嘲する。
既に現在いる世界が自分が元いた世界とは全く違う世界であるということは疑いの余地がなかった。
――昨夜見た夜空には月が二つあったのだから。

(さて、これからどうしたもんか…)

昨日の使い魔の儀式を契約を断ち切った上で逃走という前代未聞の事件を引き起こしたポップ。
オスマンとコルベールには遠方に身を隠したと思われていた彼だが、実は学院内に潜伏していた。
まあ、潜伏とはいっても食堂の厨房で下働きをしているだけなのだが。

「しかし運がよかったな」
「え、何がですか?」
「いやあ、最初におれを見つけたのがシエスタだったってことがさ」
「ふふふっ、確かにそうですね」


618 :ゼロの大魔道士(2/4):2007/09/17(月) 08:46:26 ID:ZKiDDzYM

くすくすと目の前で笑うメイド服の少女――シエスタにニカッと笑いかけながらポップは昨日のこと思い出していた。
使い魔の儀式の後、ルイズ達をこっそりとつけていたポップは無事にトリステイン魔法学院へと潜入を果たした。
だが、見つからないようにと気を使いすぎた結果、ルイズ達を見失ってしまったのである。
そうなってしまうと、生徒ではないポップは服装も相まって非常に目立つ。
ポップの着ている旅人の服+マントはそれほど異常な格好というわけではなかったのだが、人目のあるところにずっといるのは危険。
そして今自分が迷い込んだ場所は洗濯場らしき区域。
そう判断したポップは素早く頭を働かせ、一つの案を導き出した。

――制服を拝借しよう。

ポップの世界にも一応学校という施設は存在する。
田舎育ちのポップは通ってはいなかったものの、世界中を旅してきた以上、どんな施設なのかは知っていた。
である以上、制服を着込めば怪しまれることはないだろうと結論を下したのである。
しかし、多少の罪悪感と共にいざ拝借という段で彼は致命的なミスを犯した。

『あの、何をしていらっしゃるんですか?』

なんと、盗みを働こうとした場面を一人の少女に見られてしまったのだ。
すぐさま、こりゃまずいとばかりに逃走を開始しようとしたポップ。
だが、その足はすぐに止まった。
何故なら、少女は誰かを呼ぶ気配も、自分を責める気配も見せなかったからだ。



数分後。
ポップは少女に案内されて食堂に向かっていた。
シエスタと名乗った少女は根が素直なのか、あっさりとポップの説明
『自分は旅人でたまたまこの学院に迷い込んだ』を信じ、
更に、彼女は親切にも宿がないというポップに一宿の宿を提供するべく食堂へと案内を引き受けたのである。
そして時は現在に戻り、ポップは一宿一晩の恩を返すべく下働きを行っていた。


619 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 08:47:38 ID:apqcQZkA
しえ☆すた

620 :ゼロの大魔道士(3/4):2007/09/17(月) 08:49:04 ID:ZKiDDzYM

(しかしこの世界の人は皆こんなに親切なのか?)

見ず知らずの怪しい男を恐れもせず、職場に案内したシエスタ。
いきなり連れてこられたひ弱そうな少年を疑いもせず料理と寝床を提供した食堂の料理長マルトー。
元の世界でも親友のダイを筆頭として数々のお人よしを見てきたポップだったが、それでも彼らのような善人はそうはいない。
それに、僅かな時間話をしただけのルイズやコルベールも悪い人間には見えなかった。

(まー、そう判断するのは早計か。しかし運がよかったなホント)

自分を見つけたのがシエスタでなかったら、今頃どうなっていたかなど想像もしたくはない。
例え異世界といえどもおたずね者になどなりたくはないのだから。

(…話を聞いた限りでは、文化レベルは同じくらい。基本的なルールもほぼ同じか。
 助かったといえば助かったけど、都合がよすぎて逆にハメられてる気がするな…ていうか言葉は通じるのになんで文字は違うんだ…?)

シエスタやマルトーに話を聞いた結果、ポップはそれなりにこの世界の情報を吸収していた。
魔法やモンスターの類が存在するという類似性は勿論、国の形態や人々の生活様式など似た部分は多い。
それはむしろ良いことなのだが、あまりの都合のよさが不気味といえば不気味だった。

(貴族と平民ねぇ…)

その中でポップが気になったのは貴族、つまり魔法使いとそれ以外の人々との身分格差だった。
魔法使い――こちらではメイジと呼ばれている、と平民との絶対的ともいえる身分差。
ポップの世界にも貴族や王族は存在しているし、実際に話をしたこともある。
だが、魔法が使えるから貴族でそうでないから平民というのはありえない。
その理屈が通用するならば自分の師マトリフは世界の貴族ということになるし、自分も貴族ということになる。

(師匠やおれが貴族…?)

冠を頭にのせて金銀財宝と美女たちに囲まれている自分やマトリフを想像する。
…激しく似合わない上にアホにしか見えない。


621 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 08:50:29 ID:wiJqAt40
支援

622 :ゼロの大魔道士(4/4):2007/09/17(月) 08:51:46 ID:ZKiDDzYM

「クスクス…」
「ん? どうかしたのか?」
「あ、ごめんなさい。ポップさんがころころ表情を変えるものだから、つい…」
「うわっ、そりゃ恥ずかしいな…」
「ふふっ、それじゃあお仕事頑張ってくださいね」

考え込んでいたせいか一人百面相をしていたらしい。
指摘されたポップは去り行くシエスタを見送りながら照れくささを隠すために髪をぐしゃぐしゃとかき混ぜた。

(まあ、もう少し色んな人から情報を集めたいところだな。できれば貴族からがいいんだが…)

話を聞く限りでは貴族とは総じてロクなもんではないようだった。
マルトーの偏見と、シエスタの平民観点が少々混じってはいるものの、貴族が平民を相手にもしないのは間違いないらしい。
となると、実際のところはともかく見た目的に平民である自分が貴族に話を聞ける可能性は低い。
昨日話したコルベールあたりならば話は別だろうが、今彼に見つかるのはまずかった。

「さて、どう…」
「おっ、もう全部終わったのか!? ちょうどいい、悪いがこれを運んでもらえないか?」
「へ?」

これからのことを考えようとした瞬間、目の前に突き出されたトレイにポップは目を白黒させる。
気がつけば皮むきは担当分全て終わっており、手が空いてしまっていたのだ。

「手は空いたんだろ? これをあっちのテーブルに運ぶだけでいいから」

ぽんぽんと肩を叩いてくるマルトーにポップは苦笑しながらも了承の意を示した。
出会って一日もたっていない自分にここまで気安く声をかけてくれるマルトーの存在はありがたかったし
何よりも彼はどことなく性格が父のジャンクに似ている。
親近感を覚える相手の頼みごとを断る理由は無かった。
ただ、食堂に出るとなると顔を覚えている者がいるかもしれない。
ポップは念のためにとバンダナを引き上げて髪をオールバック気味にし、簡易の変装を施して厨房を後にした。

――このすぐ後に起きるちょっとした事件に首を突っ込むことになるなど知る由もなく。


623 :ゼロの大魔道士:2007/09/17(月) 08:53:19 ID:ZKiDDzYM
投下終了。
ダイ大世界に学校があるのかは実際不明ですが、あの文化レベルならあるだろうとしておきました。

624 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 08:55:39 ID:GdmkdxHd
まー、家庭教師なんて言葉もあるし、家庭じゃ無い教師も居るんだと判断できるね

625 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 09:10:16 ID:lM1K16f3
 GJ!!

 ようやくポップがでてきたとおもったら・・・まさに灯台下暗し

626 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 09:16:54 ID:Qhbo/MDB
シエスタもマルトーも学園に雇われている身だから不審者を職場に招き入れることはしない常識的に考えて
そんなことをすれば首になるよりも恐ろしいことになるぶっちゃけ死刑。
サイトは使い魔であると身元が保証されていたから受け入れられたし行動が許されているわけだが、
なんでフーケがロングビルとして雇われるという回りくどいことをしたのだと思う?
貴族の子弟だらけちなみに衛兵いる仕掛けもある、あとオスマン自身も察知してるだろう。

627 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 09:22:29 ID:dxDOfamG
テンプレないの?ここ

628 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 09:23:04 ID:zlQGTj8v
>>626
句読点とか改行をちゃんとやれー

629 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 09:24:33 ID:YPJJqGX/
アルバイター感覚なんじゃね?
旅人なんだしすぐに出てくだろ、みたいな。

まあ優しい云々ではフォローがキツイくらい危機管理意識がすっ飛んでるけどさ


630 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 09:26:39 ID:Qhbo/MDB
食堂で毒をもったり貴族の子弟を暗殺に来た殺し屋だったりテロリストだったりしたら

誰が責任を取るのかな、

ちなみにメイジ崩れはフーケに限らずたくさんいる
平民風情が「こいつの目はそんなことをするやつじゃない」とか青臭いことを抜かして勝手に判断できるわけがない
魔法で誤魔化せるしね、一生徒に過ぎないギーシュを恐れていたのはメイジであるからだけじゃない
恐れているのは万が一危害を加えた場合、家族やら故郷にまで累が及ぶ

モット伯の例をとるまでもなく学園ではかばいきれませんよ不審者を招き入れた罪をね

631 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 09:29:16 ID:FM2vgFKE
Qhbo/MDB
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/

632 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 09:29:42 ID:kGUYTY0/
言いたいことはわかるが、空気読んで避難所へどうぞ。
空気読めないなんてことは無いよな?

633 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 09:37:49 ID:Qhbo/MDB
ダイの世界みたいに貴族や王制がぬるい世界じゃない
アルビオン変を見れば明白

アルバイト?
アニメでも原作でもよく見るといいが責任者であるオスマンの許可なくして
不審人物を雇えると思っているのマルトーをお人よしと思っているなら原作読んでいない証拠
平民だからといって無条件に招き入れるような間抜けじゃない
捕らえて衛兵に突き出すか、人を遣って通報するさ

もういちどいうけど

貴族の子弟が殺されたり、自分たちが殺されたりするようなことになったらどうするのか
マルトーやシエスタがそんなことを考えない馬鹿ではないということと


暗殺が横行している世界観だということをお忘れなく

634 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 09:41:59 ID:t0PF3u/d
まぁ一つ言えるのはお前の考察なんぞわりとどうでもいいって事か

635 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 09:42:24 ID:NH/+RqhW
ご都合主義が嫌いならファンタジーなんて読まなければいいのに。

636 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 09:43:54 ID:+QSIsNsv
>>626

まあそれを言い出すとフーケも多分に運任せなんだけどな。
オスマンと仲良くなるのはエロ親父と知った時点で十分に可能だろうけど、だからって=雇われるとは普通ならないだろうし。
むしろ>>626の言う身元の保証が無い人間を簡単に雇って何か有ったらオスマンの所為なんだから普通雇わないだろ。
でも実際はフーケの責任をオスマンは負ってない。
仮にも組織のトップがそんなんなんだから、シエスタやマルトーが一夜の寝床と対価の労働を受け取ったくらいは許容範囲じゃね?
確かに貴族・平民の問題は有るけどさ、責任云々の話ならオスマンの方が相当酷いぞ。

637 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 09:44:14 ID:mdTTepPl
ダラダラと無駄口抜かす行為に意味など無いと言う事もお忘れなく

638 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 09:44:30 ID:1AUTr+fh
>>633
どうでもいいけど避難所でやれ。ウゼェんだよアホ。


639 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 09:47:34 ID:FM2vgFKE
>>633
Qhbo/MDB
もうスレ見るんじゃねえよカスが

640 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 09:48:44 ID:cvz6C9aC
こんな言い方するとアレだが……所詮、ラノベですから。
それにゼロ魔はそこまでガチガチにハードな作品に見えないし思えない。

641 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 09:50:41 ID:fP7WViq7
>>636で結論が出てるじゃん。
Qhbo/MDBはもう100回くらい原作を読み直して半年くらいROMってから発言しろカス。

642 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 09:55:49 ID:WHmrFGNf
さぁさぁ、皆様 荒らしは無視していきませう

643 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 10:00:14 ID:9OsXbHPY
>>633の考察は普通に頷ける
>>636はご都合展開の穴をほじくっているだけで>>633の否定には繋がっていないぞ。

つうか脊髄批判大杉
読み手がバカだと書き手も苦労するなぁ。

644 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 10:05:16 ID:t0PF3u/d
今の場合中身は問題じゃないのさ
ほんと考察厨って馬鹿が居ると本当に困るわ

645 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 10:09:43 ID:KSqyWUj3
どうでもいい話だがハルケギニアの農業ってどんな感じかね?

646 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 10:14:02 ID:aZ7J0EWx
>>645
頼むからこのタイミングでその手の話振るなら避難所の設定・考察スレでやってくれ

647 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 10:16:28 ID:m/37pmPm
>>646
脳内補正で「農業」を「おっぱい」に変換するんだ!

648 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 10:22:17 ID:TBDr2Lep
とりあえず、ルイズの乳についてかたるか。

649 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 10:23:43 ID:idNNkLB8
そーいや巨乳キャラ召喚されたことってあったけ?

650 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 10:24:58 ID:eAt5osIe
暗殺し放題ってのは正論だけど、そこはご都合主義ということでスルーしろよw
んなこと言ってたら、そもそも最初にルイズが契約のキスできてる時点でほとんどの作品がおかしくなる。

651 :サイヤの使い魔:2007/09/17(月) 10:25:58 ID:mU9+wUoe
この流れでやっていいのかどうかわからんけど、10時30分過ぎに投下

652 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 10:28:05 ID:JgE0BzCl
ルイズの乳なんてえぐれ乳でFAじゃないの?

653 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 10:28:43 ID:GbyTKijd
支援

654 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 10:30:15 ID:KSqyWUj3
>>646
すいません。
流れを読まずに書き込んでしまいました。

655 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 10:31:17 ID:Az4hlvm4
>>650
荒らしはスルーしろよ・・・

>>651
流れ? 確かにおっぱい談義に興じていたけど、職人のSS投下は何時も全力で支援。

656 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 10:31:20 ID:NIeMlR2o
支援準備完了

657 :サイヤの使い魔:2007/09/17(月) 10:33:01 ID:mU9+wUoe
トリステイン魔法学院、朝。
コルベールは、次から次へと涌き出る疑問のせいで一睡もできぬまま朝を迎えた。
ミス・ヴァリエールの説明によると、彼女の使い魔は幽霊なのだそうだ。
しかし、一度死んだ人間が、使い魔になどなれるのだろうか?
いや、それ以前の問題として、人間がメイジの使い魔になった話など聞いたことも無い。
それで、あの騒ぎの後からずっと図書室に篭り、過去に似たような事例は無かっただろうかと、文献をあれこれと調べていたのだ。
結果、それらしき事例は全く無し。
だが…

「ガンダールヴ!?」

…予想だにしなかったところから手がかりが現れた。
あの使い魔の左手に刻まれた見慣れない紋章。
それは紛れも無く、始祖ブリミルの使い魔『ガンダールヴ』の紋章に瓜二つだった。
ということは、まさか―

「あのお方は、あああのお方こそ『ガンダールヴ』の幽霊!!」

理屈は通らないが筋は通る。
失われた系統『虚無』の使い手であるブリミルの使い魔だったのだ、きっと死んだ後も幽霊となって別のメイジと契約できるような魔法があったのだろう。
ジャン・コルベール、42歳。
この新たな発見に年概も無くハッスルしていた。今なら女性の一人や二人、軽くナンパできそうな勢いである。
一刻も早くオールド・オスマンにこの事を伝えなければ。
浮力を発見した時のアルキメデスに勝るとも劣らない興奮で足をもつれさせながら、図書館のドアの前へ辿りつく。
と、コルベールは図書館の扉がしっかりと閉ざされているのに気付いた。
昨夜、閉館時刻を過ぎても一向に帰る気配の無いコルベールにあれこれ苦言を呈していた司書が最後には堪忍袋の緒を切れさせ、
抗議のつもりか、自分以外には開けられないよう扉に厳重な『ロック』の魔法をかけておいたのだ。
押してもダメ引いてもダメ、ダメ元で本来は校則により禁止されている『アンロック』の魔法をこっそりかけてもやっぱダメ。
ダメダメ尽くしで文字通り八方塞がりの状況にコルベールは凹んだ。
あの司書、けっこう好みのタイプだったのに…。
悩むべきはそこじゃない。



ところ変わってルイズの部屋。
悟空は空を舞う飛竜の鳴き声で目を覚ました。
かつて、息子の悟飯がハイヤードラゴンをペットにしていた頃も、こうやって朝は目覚し時計代わりになってくれたっけ。
そんなことをどこか懐かしく思い出しつつ、ベッドの上でくーすか寝ているルイズに目を向ける。

「起こせって言われたのはいいけど、どうやって起こすかな…」

とりあえず肩を揺する。

「ルイズ、起きろ。朝だぞ」
「…ん。う〜……」

効果無し。
頬をぺちぺちと叩く。
これも駄目。


658 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 10:33:20 ID:NIeMlR2o
支援

659 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 10:34:35 ID:KSqyWUj3
支援

660 :サイヤの使い魔:2007/09/17(月) 10:35:07 ID:mU9+wUoe
「…しょーがねーなー…」

少々荒っぽいが、これで行くか。
悟空はベッドの両端をぽんと叩いた。
反動でルイズの身体が40サントほど飛びあがる。

「にゃぶっ!?」

落下の衝撃で、ようやくルイズは目覚めた。
何が起こったのかわからぬまま、きょろきょろとあたりを身回し、ベッドの縁にしゃがんでこちらを見る悟空に気がついた。

「誰よあんた!」

まだ寝ぼけている。

「オッス、オラ悟空」

律儀に自己紹介。

「ああ…使い魔ね。昨日、召喚したんだっけ」

ルイズは起き上がると、あくびをした。そして悟空に命じる。

「服」
「脱がすのか?」
「着せるのよ」
「もう着てるじゃねえか」

ルイズは自分の身体を見下ろし、そして昨夜のやりとりを思い出した。

「…しまった」

着たまま寝たので皺になっている。このまま下着だけ履き替えて授業に出ることは可能だが、貴族たるもの、常に
身だしなみは整えておかねばなるまい。
だるそうに脱ぎ、それを悟空の方へ放る。

「んじゃこれ洗濯する分。あとあっちのクローゼットに下着と替えの服が入ってるから持ってきなさい」

しょっちゅう魔法の失敗で服がボロボロになるので、替えの制服は常に確保している。
悟空は言われた通りにクローゼットから下着や服を出した。昨日ルイズの記憶を読んだので、何処に何があるかは大体把握している。

「ほれ」

ルイズの方へ放る。
ルイズは下着は自分で着けたが、制服は着ない。

「着せなさい」
「使い魔ってのはそういうのもするんか」
「そうよ」

この世界における一般常識がルイズから得た知識しかない悟空、素直に納得。
特に文句も言わず、妙に手馴れた手つきでルイズに服を着せる悟空にルイズが口を開く。


661 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 10:35:18 ID:NIeMlR2o
支援

662 :サイヤの使い魔:2007/09/17(月) 10:36:34 ID:mU9+wUoe
「やけに素直ね」
「考えたんだけどよ、この星にも強えヤツはいるんだろ?」
「いるわよ」
「そんでもって、おめえの家って結構有名なんだろ?」
「まあね」

まあね、どころではない。
ルイズの実家はかの名門ヴァリエール家である。

「それがどうだっていうのよ」
「だったらよ、おめえと一緒にいればそのうち強えヤツと戦えるんじゃねえかと思ってさ」
「あんた幽霊でしょ」
「確かに死んでっけどよ、あの世でも修行できるようにって、特別に肉体つけてもらったんだ」
「な……」

ルイズは眩暈を覚えたが、その説明にふと思い当たる節があった。
いつだったか図書館で読んだ、戦死した勇士を向かい入れる天上の宮殿と、そこで飽くなき戦いを続ける戦士達の話。
今目の前にいる男はまるでそれに登場する戦士だ。
だったら死んでも肉体があることの説明がつく。
だとしたら、もしやこいつはただの平民ではなく…

「ほれ、終わったぞ」

ルイズに服を着せ終えた悟空が立ち上がり、脱ぎ捨てられた服を拾い集める。
と、悟空の腹から竜の唸り声のような音が漏れた。

「なに今の音!?」
「オラ、ハラ減った…」

力の抜けた声で悟空が訴える。本当は死人なので食事は採ろうが採るまいがあまり関係ないのだが、死んで日が浅い悟空の身体は、
生前の生理機能を色濃く残していた。
あの世でも珍しい、ハングリーな死人である。
あんたお腹減るの? とルイズは思わず声に出しかけたが、肉体があるのだからそんなこともあるのかもしれない、と思い直し、
それ以上は追求しなかった。

「朝食の時間はまだ先よ。それまでにそいつを洗濯して、私が顔を洗う水を汲んで来なさい」



「どうすっかな…」

ルイズの部屋を出てしばらく歩きまわった悟空は、道に迷っていた。
学院の何処に行けば洗濯場があるかは知っていたが、何処をどう通ったらそこに辿り着けるかが判らない。
自分では洗濯などしたことも無く、悟空が来るまでは各部屋を巡回するメイドに任せていたルイズの知識だけでは、
部屋から洗濯場までの直通ルートが入ってこなかったのだ。
とりあえず屋外にある事は判っているので、何とか校舎の出口を探そうと探索する。
途中、食堂の前を通りがかった悟空は、中から漂う美味しそうな匂いに惹かれてフラフラと迷い込んでいった。

「すんませーん」

厨房で生徒に出す朝食の準備をしていたシエスタは、聞き慣れない声を聞きふと顔を上げた。
見覚えの無い服を着た平民が、制服を抱えて食堂内を歩き回っている。


663 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 10:36:43 ID:NIeMlR2o
支援

664 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 10:38:16 ID:mdTTepPl
あの声で脳内再生されるんですが支援

665 :サイヤの使い魔:2007/09/17(月) 10:38:34 ID:mU9+wUoe
「どうなさいました?」

厨房から出て声をかけると、平民の頭に白い輪が浮いているのに気付いた。
確かミス・ヴァリエールが、天使を召喚したって噂になったっけ。
よく見ると、確かに左手の甲にルーンが刻まれている。

「あなた、もしかしてミス・ヴァリエールの使い魔になったって言う…」
「オラの事知ってんのか?」
「ええ。なんでも、召喚の魔法で天使を呼んでしまったって。噂になってますわ」

悟空の屈託の無さに、思わずシエスタはにっこりと笑った。
天使のはずなのに、まるで平民と変わらない人懐っこさだ。それにこの人はどことなく、懐かしい感じがする。

「おめえも魔法使い…じゃねえな。おめえがシエスタってヤツか」
「私をご存知なのですか?」
「ルイズに教えてもらったんだ」

記憶を読むのは、悟空にとって教えてもらうと言う事らしい。

「そうなのですか…。あの、もし宜しければお名前を教えていただけますか?」
「オラ悟空。孫悟空だ」
「変わったお名前ですね」

その時、悟空のお腹が鳴った。

「お腹が空いてるんですね」
「ああ。あとこいつを洗濯しねえといけねえんだ」

といって、両腕に抱えたルイズの制服をひょいと持ち上げる。

「それはミス・ヴァリエールの?」
「何でも、主人の服を洗濯するのも使い魔の仕事なんだってよ」

それを聞いたシエスタはくすくすと上品に笑った。

「そんなわけないじゃありませんか」
「違うのか?」
「だって、普通は私達平民が貴族の方々をお世話するんです。洗濯だって私達の仕事のうちなんですよ」
「へえ」
「きっと、貴方みたいな人が使い魔になったので、やらせてみようと思ったのでしょうね」

あながち間違ってもいないシエスタ。


666 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 10:38:46 ID:KSqyWUj3
支援

667 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 10:38:59 ID:NIeMlR2o
支援

668 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 10:39:36 ID:EZXt+tW6
そういや悟空は子育て経験者だったな

669 :サイヤの使い魔:2007/09/17(月) 10:39:45 ID:mU9+wUoe
「宜しければ、私が後で洗濯しておきましょうか? いつもやっている事ですし。それと、もう少しお待ち頂ければお食事も
 ご用意できますが」
「ホントか? サンキュー!」
「貴族の方々にお出しする料理の余りもので作る賄い食ですが、それで良ければ」
「オラ食えるもんなら何だっていいぞ!」
「では、こちらにいらして下さい」

シエスタは歩き出した。
洗濯物を抱えたまま、シエスタについて行く悟空。
文字通り美味しい話を前にして、ルイズが言った2つめの命令「顔を洗う水を汲んで来なさい」をあっさり忘れている。
さすがだ。



「遅い」

悟空が外を出てからどのくらい経っただろう。
あまりにも遅い帰りにイラついていたルイズは、使い魔に洗濯場への道筋など教えていない事をこれっぽっちも自覚していなかった。

「まったく、朝食の時間になっちゃうじゃない!」

あとでお仕置きしてやる。
そう心に誓い、ルイズは自室のドアを開けた。
部屋を出た瞬間、時を同じくして部屋を出たキュルケにばったり遭遇する。

「あら」
「げ」

二人の声がハモる。
キュルケはルイズを見ると、胡散臭そうに顔を歪めた。

「…おはよう、ルイズ」

ルイズも顔をしかめ、嫌そうに挨拶を返す。

「…おはよう、キュルケ」
「あの使い魔は?」
「…えっと」

ルイズは言葉に詰まった。
まさか「服の洗濯を命じたけど、帰って来ない」という訳にもいかない。
そんな事を言ったら「なあに、貴女早速使い魔に逃げられたの〜?」と馬鹿にされるに決まってる。

「何?」
「…校舎の散策を命じたわ。そのうち帰って来るわよ」
「ふーん…。…ねえ、あいつ何だと思う?」
「何って?」
「平民かと思ったら天使だし、天使かと思ったら幽霊だし、だいいち幽霊って頭に輪っか付いてたっけ?」
「知らないわよ」

キュルケが知っているのは、夜毎鎖やら何やらをジャラジャラと鳴らして徘徊する賑やかな奴だけだ。


670 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 10:40:30 ID:GbyTKijd
支援

671 :サイヤの使い魔:2007/09/17(月) 10:41:08 ID:mU9+wUoe
「第一、平民なのあれ?」
「だから知らないって」
「少なくとも貴族には見えないわよねえ」
「独り言なら一人の時に言いなさいよ」
「それにしても『サモン・サーヴァント』で平民の幽霊喚んじゃうなんて、貴女らしいわねえ。流石はゼロのルイズ」
「うるさいわね」
「あたしも昨日、使い魔を召喚したのよ。誰かさんと違って、一発で呪文成功よ」

流石というか、もういつもの調子を取り戻している。

「あっそ」
「どうせ使い魔にするなら、こういうのがいいわよねぇ〜。フレイムー」

キュルケは、勝ち誇った声で使い魔を呼んだ。キュルケの部屋からのっそりと、彼女ご自慢のサラマンダーが姿を表す。
大きさは、トラほどもあるだろうか。尻尾が燃え盛る炎で出来ていた。口元からは時おりチロチロと火炎がほとばしる。
どこぞの金持ちのボンボンが名前だけ借りて造った98式AVのパチモンとは大違いだ。

「見てこの尻尾。ここまで鮮やかで大きい炎の尻尾は、間違い無く火竜山脈のサラマンダーよ? ブランドものよー。
 好事家に見せたら値段なんかつかないわよ? ってあれぇ!?」

いつの間にか、ルイズの姿が無い。
キュルケがフレイムを自慢している間に、ひとりでさっさと食堂に行ってしまったのだった。

「あ…あたしを無視するなんてイイ度胸だわ、ゼロのルイズ…!」

微熱が憤怒の炎へと変わる。生きる事への憤怒だ。
覚えてなさい、と吐き捨てて、キュルケも食堂に向かう。



朝食を食べている間、ルイズはずっと不機嫌だった。
足元には使い魔に利用させる予定だった皿が置いてある。
本来、使い魔が食堂で生徒に混じって食事を採る事など有り得ないのだが、別に校則で禁じられている訳でもないので、
ルイズは自分に使い魔が出来たら是非やってみようと思っていたのだ。
それがどうだろう。
いざ呼び出してみれば、現れたのは何処の馬の骨ともつかぬ平民。
おまけに何の冗談か、生身の幽霊ときたもんだ。
それだけならいざ知らず、肝心の朝食の時間に自分の傍にいやしない。
負のオーラを漂わせながら、ルイズは食事と怒りを噛み締めていた。

一方そのころ、厨房では。

「うんめー! オラこんなうめぇシチュー食ったの初めてだ!!」

悟空が超ハイペースで、巨大な寸胴鍋になみなみと用意された賄い食を胃袋に収めていく。
厨房で働いている人員全員分の賄いを用意してから食事が始まったのは不幸中の幸いだった。
そうでなければ、彼らの分もあっという間に悟空が食い尽くしていた事だろう。
まるで胃袋にオークを2、3匹飼っているのではないかと錯覚させる食いっ振りに唖然とする厨房の面々。
そんな中、幸せそうな顔で次々と悟空におかわりを注ぐシエスタ。
その後ろで、こちらも惚れ惚れと悟空を見つめる当厨房のコック長、マルトー。


672 :サイヤの使い魔:2007/09/17(月) 10:42:32 ID:mU9+wUoe
「おう、どんどん食え! いやあそれにしても見事な食いっ振りだ! 正直今日はちと多めに作り過ぎたくらいだったんだが、あんたがいて助かったぜ!」

この人は悟空がいなかったら余った賄い食をどうするつもりだったのか。
ニコニコと心からの笑顔を浮かべながらシエスタも同調する。

「私、こんなに幸せそうにご飯食べる人初めて見ました」
「全く貴族のアホウ共は素材からほんのちょっぴりずつしか取れない高級な部分しか食いたがらねえから、毎度毎度
 処分しなきゃなんねえ食材が多くてウンザリしてたんだ!」

賄いで少しでも無駄が出ないよう残った材料を最大限に生かした料理を作っているのだが、それでも大部分の食材は捨てなければならない。
これを作るのにいったいどれだけの平民が汗水たらして頑張っているのかと、マルトーは憤懣やるかたない思いだったのだ。

「ちょ、ちょっとそれじゃまるでゴクウさんが生ゴミ処理してるみたいじゃないですか!」
「オラ別に気にしてねえぞ」

そんな事を言っている間に、とうとう大鍋が空になった。

「おかわり!」

シエスタの笑顔がひきつる。
今、何と言った?
今、何杯目だ?
今、この厨房にシチュー残ってたっけ?
ゆっくりと背後のマルトーを振り返り見る。
冷や汗を顔に貼りつけ、真面目な顔でぶんぶんと首を横に振るコック長。

「あ、あの…もう今ので全部です……」
「あ、そう?」

続く言葉に、

「ま、いいか。腹八分目っていうしな」

悟空を除く厨房の全員がズッこけた。
しかし、

(よ、余裕じゃねえか……。よぉし見てろ、昼飯の時は余った食材をひとつ残らず使って食い切れないくらい用意してやるぜ!!)

マルトーの料理人魂に、火が点いた。



「あんた、洗濯はどうしたのよー!!」

朝食の後、食堂で悟空と再会したルイズは開口一番詰問した。
悟空の手には何も無い。
厨房でシエスタにルイズの服を預けてきたのだ。

「シエスタって奴がよ、洗濯やってくれるっつうから預けてきた」
「わたしは、あんたにやれと命令したのよ!」
「そりゃそうだけどよ…悪かったな、次からちゃんとオラが自分でやっからよ」

「やる」と言った以上、やらなきゃいけない気がした。
後に、ルイズはそれを後悔する事になる。


673 :サイヤの使い魔:2007/09/17(月) 10:43:37 ID:mU9+wUoe
今回は以上です。
支援ありがとうございました。

674 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 10:45:08 ID:vqzSbSxZ
悟空が洗濯したらボロボロになりそうだなw

675 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 10:45:31 ID:mdTTepPl
あじゅじゅしたー

若き日と何も変わってねーぞ悟空w

676 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 10:46:10 ID:NIeMlR2o
支援投了
サイヤの人乙です
読み耽ってしまって支援が追いつかなかった……orz

677 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 10:49:48 ID:KSqyWUj3
GJ。
そのうちマルトーが悟空専属のコックになってしまいそうだ。

678 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 10:52:36 ID:7pjRy3Wt
悟空さにそんな繊細な素材の洗濯は…

679 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 10:55:41 ID:Pk3XrHpi
GJ!

シエスタの爺ちゃんはいったい誰だろうなぁw

680 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 10:56:19 ID:BnKvBic7
GJ!!あと乙
悟空の大喰らいは相変わらずか。
やっぱりマルトーの料理人魂に火がつきましたね。


681 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 11:01:04 ID:hG24WjiC
寧ろ塵になりそうだな洗濯物

682 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 11:06:13 ID:ZbArbsWA
悟空にやらせたら握って擦ったその瞬間にもうボロボロの布きれになっちゃうぞ
……妙に張り切った悟空が次々に挑戦して下着が全滅したりしてな

683 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 11:08:28 ID:cRML5ZRP
乙ー
流石恐竜サイズを食い尽くす男ゴクウだwww

あれ?
ルイズが亀仙流使えるようになったら無敵じゃね?

684 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 11:10:23 ID:SxunY9bB
箸が折れないんだからちゃんと調節できるさ。たぶん。
ただし安くて頑丈な素材と同様の洗い方しかできません、とか。

685 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 11:21:15 ID:A0xHBC+t
お前ら悟空を何だと思ってるんだw
時期が死んでるときなら、悟空は車の運転だって出来るんだぞ。
幼少時代はブルマに会うまで完全に一人で生活してたわけだし。
だから洗濯の一つくらい出来るはずだろ。
…自分で言っててまったく説得力がないと思うがw

686 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 11:22:10 ID:tC9yaw2W
巨乳か…
「アトリ抄」のアトリ呼んでみたいかなーとか思ったことはあるが、
アトリよりもミツルギの方が好きだったりするんだよな。

687 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 11:28:23 ID:+QSIsNsv
とりあえずオスマンに亀仙人を思い出すのはデフォだな

688 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 11:28:26 ID:Pk3XrHpi
亀ハウスでクリリンと修行してた時代に、洗濯板とたらいで洗濯はしてたね。

ただ、どう考えてもシルクの下着とかのもみ洗いなんて出来そうにはないけどw

689 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 11:28:40 ID:eCVAENyl
召喚されてから24時間経ったら悟空消えちゃったりしない?
別の世界とはいえ、生きてる人間の世界にいるんだし

690 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 11:41:05 ID:7AISwFQc
>>687
ジャッキー・チュンのほうじゃね

691 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 12:03:52 ID:ysv784Am
>>689ルイズ達の世界なら大丈夫とかルーンの効果で大丈夫とかで納得するんだww
細かい事気にしないで楽しもうぜ

692 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 12:07:16 ID:QR0I7puC
>690

きゃわいいあの娘は女の子♪
へへっへいっ!!
へへっへいっ!!
チチはあるけど
チンがないっ♪

の迷曲を歌った人か……

でも、ルイズはチチも無いな……

693 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 12:17:50 ID:3HCI1Ahm
>>692
なんてこった・・・

694 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 12:38:09 ID:yKCk07vl
小ネタ予約

695 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 12:39:20 ID:KPQllTOw
締め切りました

696 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 12:39:41 ID:yKCk07vl
締め切られたのか残念(´・ω・`)

697 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 12:40:54 ID:aZ7J0EWx
なんだこの流れw

698 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 12:41:06 ID:6GyAwmY3
締め切るなよw

699 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 12:41:38 ID:B3Gi3E4t
そんなわけありません 大丈夫ですよ 

700 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 12:41:42 ID:0j7OH7nN
>>694
GOGO!

701 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 12:47:18 ID:ItvUw73C
щ(゚Д゚щ)カモォォォーン

702 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 12:49:29 ID:B3Gi3E4t
695以外皆が694を待っている

703 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 12:53:22 ID:mdTTepPl
案外695も待っているのかも知れない

704 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 12:53:58 ID:1q97Awvo
>>695はツンデレメイド

705 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 12:57:15 ID:2cdptt79
ツンデレはそろそろ食傷気味だなぁ……

706 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 12:57:25 ID:lc32q2Wi
あれ、20分近く経ったよ…?
695は責任を持って694を呼んできなさい

707 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 12:57:58 ID:KPQllTOw
予約受付再開しました

べっべつに>>695の為に再開したわけじゃないんだからね

708 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 12:58:39 ID:lc32q2Wi
いや、695は君だしww

709 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 13:00:03 ID:2cdptt79
どじっ子乙w

710 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 13:02:58 ID:yKCk07vl
昼ごはんはパンと麦茶で終わった私が再度小ネタ予約(`・ω・´)

711 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 13:03:44 ID:ZbArbsWA
>>710
しっかり食いなさいよ
そして支援

712 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 13:03:53 ID:KPQllTOw
          ' ̄ヾv/ ̄`
          /  ̄ ̄ ̄ \
        / ::::::::::::::::: \ 
      /-(<●>)-(<●>)-\.  
  W   |      (__人__)      |  W
  弋辷夊、      ` ⌒´     , 攵丞タ  
      /               \
予約受け付けました!

713 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 13:04:21 ID:lc32q2Wi
おかえり〜支援!

714 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 13:04:57 ID:8Ly5SoLU
なあ、>694失意のままどっかにいっちまったんじゃないのか

715 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 13:04:59 ID:mdTTepPl
弾薬補充完了!支援射撃を開始する!

716 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 13:05:17 ID:yKCk07vl
では、投下しますね〜

717 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 13:06:21 ID:CcurCgvo
バイオエタノール全盛期のこの世の中で無謀なお人よ。щ(゚Д゚щ)カモォォォーン

718 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 13:06:31 ID:yKCk07vl
フーケのゴーレムと対峙したルイズは震えながらも杖をつきつけ失敗魔法を繰り出していた。ゴーレムの身体に何発もの派手な爆発が上がるものの大した傷もつけることなくルイズの方に歩いてくるのだった。
友人達の声も聞こえてはいたが、それでもルイズは近づいてくるゴーレムから逃げようとはしなかった。
「貴族とは、魔法が使えるから貴族じゃないの。敵に背を向けないから貴族なのよ!!」
ルイズは自分で出来る一番大きな魔法を詠唱しゴーレムに対して放った。いつものごとく失敗し盛大な爆発を上げるのだが、ゴーレムの身体の一部を削っただけですぐに再生されてしまうのだった。
ゴーレムの様子を見て恐怖にへたり込んでしまったルイズを抱えてその場から跳躍する人物が居た。彼女の使い魔だった。
ルイズは当初、彼を呼び出した事を酷くがっかりしていた。なぜならば、どう見ても平民……しかも身なりからして蛮族と思しき人物だった。しかも使い魔だと言うのにルイズの事を『トモダチ』と言い。
また、決闘したギーシュの事でさえ許し『トモダチ』となった(生身でギーシュのゴーレムに勝ったのは驚いたが) それなりに強い事もわかり、「まぁまぁかな?」とは思うようになっていたのだが……
使い魔はルイズを抱えゴーレムからの攻撃を避けると、その上空でタバサ達が乗るシルフィードまで跳躍して飛び乗りルイズを下ろすのだった。
呆然とするキュルケとタバサを他所に使い魔は微笑みながらルイズの頭を撫でるのだった。
「ルイズの覚悟、とても偉かったぞ」
真っ赤になるルイズに背を向けると俺が倒すと一言言い残しまた地上まで跳躍するのだった。


719 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 13:06:41 ID:bdSIcbUC
さあこい、道は空いている

>>686
『アトリ抄』とはまた渋い所を突いてきたな
ヒーさんやジライヤだとルイズは喜ぶだろう
当人は嫌がるだろうけど

720 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 13:07:00 ID:ZbArbsWA
よく考えたらハチミツとスポーツドリンクで昼飯済ませたから人の事言えんわ
支援

721 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 13:09:17 ID:c+rg9E/Q
友情マンを思い出した支援

722 :Zero Amazon:2007/09/17(月) 13:09:31 ID:yKCk07vl
使い魔が地上に降り立ちゴーレムに対峙すると、いつの間にかゴーレムの肩の上に立つフーケが笑い声を上げながら叫ぶのだった。
「生身の身体でこの『土くれのフーケ』のゴーレムに勝てると思ってるのかい? 潰されて死んじまいな!!」
ゴーレムの腕が高く振り上げられた時、使い魔の顔に怒りが満ちその怒りに反応するように左手のルーン・ギギの腕輪・ガガの腕輪が光り始めたのだった。
「アー・マー・ゾーン!!」
使い魔の叫び声をかき消すようにゴーレムの腕が振り下ろされる。しかし、その腕は地面に到達する事は無かった。
なぜならば、使い魔……いや異形の男「仮面ライダーアマゾン」が振り下ろされたゴーレムの腕を自身の両腕で支えていたからであった。
ゴーレムの腕を片手で持ち直したアマゾンが、奇声を発しながらゴーレムの腕にチョップを炸裂させるとゴーレムの肘から先が爆散するのだった。
フーケはやや焦りながらもゴーレムの腕を再生させアマゾンを探そうとするがどこにも姿を見つける事が出来ない。まさかと思い空を見上げるとアマゾンが空から急襲をかけてきていたのだった。
「大切断!!」
フーケがゴーレムに腕で防御させようとした時にはすでにアマゾンは背後の地面に到達していたのだった。
顔面蒼白となったフーケが恐る恐るゴーレムを見ると真ん中から二つに割れていたのだった。急いで錬金しようと考えたときにはすでに爆散巻き込まれ意識が遠のくのだった。

ルイズは、フーケの正体に驚く友人達を他所にゴーレムを倒した使い魔の背中に何故か寂しさを感じるのでした……


723 :Zero Amazon:2007/09/17(月) 13:10:37 ID:yKCk07vl
投下終わりです

短くてごめんよ(´・ω・`)

724 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 13:10:40 ID:WHmrFGNf
バイクつきじゃなかったのか 支援

725 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 13:11:12 ID:ZbArbsWA
生身の身体能力一番高そうなライダーじゃないか支援

726 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 13:15:05 ID:lc32q2Wi
あの顔見たらルイズ泣くんじゃね?ww
昔とある番組で山瀬まみが半泣きになってたのを思い出した。
GJ!

727 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 13:20:34 ID:bdSIcbUC
アマゾンGJ!
昭和ライダーの中で一番やさしいのはこいつだろうと思うんだぜ

728 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 13:21:15 ID:LYscLowW
アマゾンライダーwwwww

729 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 13:22:24 ID:GlD6pNb1
だが同時にライダー随一の残虐ファイト

730 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 13:22:26 ID:v/vjJpmY
先を越されてしまったんだぜ>>アマゾン
GJだ

731 :眼つきの悪いゼロの使い魔 オーフェン:2007/09/17(月) 13:22:28 ID:8+8Y4Akc
投下しても大丈夫でしょうか。

今話のネタは、
・原作の裏側でこんなことがあったら楽しいなといいう妄想
・アダルトチーム頑張れ
・魔術と魔法の戦い方の差異
です。

732 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 13:23:33 ID:GlD6pNb1
目つきが悪いマチルダさん可愛いよ支援

733 :眼つきの悪いゼロの使い魔 オーフェン:2007/09/17(月) 13:24:21 ID:8+8Y4Akc

 学院棟の屋上で、オーフェンは腕組みをし、鬼火で青白く照らされた女の姿を見る。黒絹のような長髪。
切れ長の双眸が印象的な、白く端正な容姿。やはりそれらに見覚えはない。
 沈黙を嫌ってか、女は優雅に一礼してみせた。そして静かにその唇を動かし、言葉を紡ぐ。

「今晩は。夜の散策ですか?」

 場違いに平静な声である。対するオーフェンは、どのような反応をするべきか悩んでいた。むろん彼女は
生徒には見えない。教師にも見えない。だが、その立ち振る舞いは盗賊のようにも見えなかった。そんな
彼を、女は礼儀正しく嘲る。

「どうやら舌をどこかに忘れられたようですね。それとも緊張なさっておいでですか?」
「……今までの経験論でね。君くらいの歳で、見た目の良い、特に黒髪の女は警戒したほうがいいと学んだ
んだよ」

 半眼で言葉を遊ばせるオーフェンにユーモアを感じたのか、女は淡い笑みを零してみせる。

「なにやら酷い経験がおありと見えます」
「長話をするつもりはないぜ?」
「あら、狭量な殿方ですこと。ではどうなさるおつもりで?」

 オーフェンは答えず、腕組みをしたまま重心を移す。わずかに踵を浮かせ、全身の筋肉を弛ませた。その
緊張を弄うように、女は流麗な仕草で右腕を動かす。

「あの『白炎』を退けられた方と喧嘩をするつもりはありません。非力な女ですもの」
「女が非力とは初耳だ。それに早耳なことだな」
「私の鏡に見通せぬものはありません」
「目もいいらしい」

 腕組みを解き、オーフェンは半身となって構える。向かう女は、右腕で複雑な軌跡を描いていた。女の
周囲に、石造りの小さな石像が落ちてくる。女は丸腰のはずだった。だというのに、右腕が振られるたびに
石像が現れ、女を守護する位置でその身を膨張させていく。数は十あまり。剣や槍といった古風な武装を
した、戦士の像である。背丈はオーフェンと同じほど。

「ですから代役です。私ではなく彼らメイジ殺しがお相手いたしましょう」
「……ほらな。警戒しといて正解じゃねえか」
「私もこんな荒事を起こすつもりはありませんでしたよ? 今回は偵察だけのはずだったのですから」

 偵察の対象は何かと疑問にオーフェンは思ったが、それを素直に訊ねることへの間抜けさに下腹が痛む。
 両者の間で言葉が途切れた。もはや激突は避けられないと悟り、互いに緊張を高めていく。しかし、その
緊張は彼ら以外の原因によって絶たれることとなった。

 唐突な爆音が屋根の下、宝物庫のあたりで起こる。そしてそれに呼応するかのように、巨大なゴーレムが
出現した。ゴーレムの全長は、以前オーフェンが見たものの六倍はあるだろうか。
 素早く女に視線を走らせる。女は初めて見せる動揺の表情を浮かべていた。ということは、あのゴーレム
は彼女の物ではない? 
 ゴーレムは淡々と宝物庫の壁に拳を打ちつけ始める。それが宝物庫の中を目的としたものであれば――
オーフェンは思わず舌打ちをした。フーケの正体についての推測が当たっていたらしい。あまり嬉しくは
ないが。
 オーフェンは思考を切り替える。女の注意はいまだに逸れている。それを好機と捉えて呪文を唱えた。


734 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 13:24:25 ID:ECR1Z0Vh
支援

735 :眼つきの悪いゼロの使い魔 オーフェン:2007/09/17(月) 13:25:30 ID:8+8Y4Akc

「我は弾くガラスの雹」

 力場を生み、対象を転ばせる単純な魔術である。まずは石像群の一角を崩し、女への突破口を開けるため
にオーフェンはこれを唱えたのだが……

 ――さて、今は夜である。建物は夜露で濡れている。それはこの場、屋根の上ももちろん例外ではない。
すっころんだ一体の石像は他の石像を巻き込み、巻き込まれた石像はさらに別の石像を巻き込み、ドミノ
倒しのように連なって屋根から落ちていく。湿った屋根はとても滑りやすかった。ごろごろがこんがこんと
かなり間抜けな音を立てながら、石像は全て姿を消す。そして下からなにやら悲鳴が聞こえてきた。

 きゃーまた変なのが現れた。ルイズ危ないって下がれよ。使い魔だけに任せておけないでしょ。しょうが
ねえな俺が今てやーってギャー剣が折れた。あらナマクラだったのかしら高かったのに。ツェルプストー
あんたほんと余計なことしかしないんだから。

 大惨事であった。石像たちはある程度の自立意識があるのか、最も強敵と思われるゴーレムに向かって
いっているのが唯一の救いとはいえる。
 気まずげに視線をあちこちに飛ばしていたオーフェンは、気を取り直すように咳払いをして、義憤に
燃えた瞳で女を刺す。

「いたいけな少年少女たちによくも!」
「……少しだけあなたの性格が掴めてきました」

 どこか白い視線を返しながら、女は呟いた。



 才人たちのことについて、改めて書き記す必要はない。明日おこるべきことが一日早まっただけである。
ルイズがゴーレムに立ち向かい、才人がその主人を庇い、宝物庫にあった『破壊の杖』によりゴーレムを
撃破する。一人の異分子が彼らに与えた影響とは、結局その程度のものに過ぎなかった。



 やる気を削がれたオーフェンが、頭を掻きながら提案する。

「なあ、帰るってんなら止めないんだが」
「私を見逃すと?」
「俺は官憲じゃない。ついでに言えば正義感もあまりない。個人的な迷惑が振りかからなければ、
どうでもいい。……いや、そうだな、交換条件として少し話を聞かせてもらえないか?」

 値踏みする目をオーフェンに向けた後、彼女は小声で呪文を唱える。オーフェンの知らぬことだが、
それは石像の動きを停止させる呪文だった。そして女は魔具の力を借りて宙に飛び浮く。

「郊外の森で。長くは待てませんよ」

 夜気を切り飛翔する彼女を見送りながら、オーフェンは屋根の下を見る。騒動は一段楽したようだ。
マチルダの姿もあった。どうもゴーレムに立ち向かった石像が、マチルダの手によるものだということに
なったらしい。よく機転のきくことだ。
 才人が破壊の杖は火薬式の大砲であり、使い捨ての道具だと説明しているのを聞き流して、オーフェンは
学院外へ向けて跳躍した。


736 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 13:26:50 ID:ECR1Z0Vh
支援

737 :眼つきの悪いゼロの使い魔 オーフェン:2007/09/17(月) 13:26:53 ID:8+8Y4Akc

 夜の森はあまり気味のよいものではないなとぼやきながら、オーフェンは鬼火を先行させて歩く。森の
入り口、さほど分け入らなくとも、彼女の姿は発見できた。大樹の枝に腰をかけている。オーフェンの頭
よりわずかに高い位置だ。
 浮かび上がる姿に、いちいち絵になる女だなと感心しながら立ち止まり、声をかけた。

「待たせたか?」
「それなりに」

 退屈そうにぶらぶらと足を揺らしながら女が答える。それから特に言は継がず、視線でオーフェンの質問
を促した。

「たいしたことじゃないんだが、ちと気になってな。偵察だって言ってたよな? 対象は人か物か?」
「人です。我が主の邪魔になりそうな私の同類を。……ガンダールヴという言葉に聞き覚えは?」

 女は、無言で首を振るオーフェンに吐息を一つ送り、

「そう。あなたも候補の一人だったのですけれど、まあ構いません。本命は見つかりましたから」
「ガンダールヴが何で、本命が誰かと聞いたら答えてくれるか?」
「前者についてはご自分で調べなさいな。後者についてはお断りいたします」

 素っ気無く言葉を切り、今度は女がオーフェンに訊ねた。

「王都での『白炎』との一戦は拝見しました。卓越した魔法使いと見受けられます。なのに、あなたは
ここまでフライを使わずに歩いて来られた。……不自然なものを感じます」

 表情で何者かと問う彼女からは、不審よりも純粋な好奇心のほうが目立っている。

「遠い異国の魔法使いさ」
「杖を使わぬ?」
「隠し持ってるんだよ」

 韜晦するオーフェンを不満げに見つめ、すぐに肩を竦めて、彼女は枝の上で立ち上がる。話は終わりと
いう事らしい。特に改めて訊ねることも思いつかずオーフェンは見送ろうとし、――背後に気配を覚えて
注意を向ける。まだ遠い。一人か、多くとも二人だろう。

「早く行ったほうがいいんじゃねえか?」
「そうですか? ではお言葉に甘えて」

 そのまま彼女は、なぜか大きく息を吸い込み、

「それでは同士よ、殿はお任せします」

 そんな奇妙な台詞を大声で告げた。周囲、例えば未だ遠い気配の持ち主にまで聞こえる大声である。
 女の姿はすでにない。先ほどまでいた枝のあたりを呆気に取られてオーフェンは見つめ、すぐに気づいた。
あの石像はマチルダの物ということになっていた。では、巨大なゴーレムは誰の物ということになって
いるのだ? 自分たちが学院外へ出て行くところを誰かに見られていたとすれば……

(あんの女!? クソッ、つくづくあの歳の女はろくなことしやがらねえ……ッ!)

 心中の悲鳴を聞くものは誰もおらず、オーフェンは背後の気配に振り返った。いたのは一人。

 夜闇に溶けるように、禿頭の男が静かに立っていた。


738 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 13:27:02 ID:bdSIcbUC
支援支援

739 :眼つきの悪いゼロの使い魔 オーフェン:2007/09/17(月) 13:28:04 ID:8+8Y4Akc

 鬼火の光量を上げる。鬼火の寿命が縮むが、今は視界を確保するとこが先決だ。照らし出された男、
コルベールは静謐な瞳でオーフェンを見ている。気負いはまるで感じられない。
 コルベールは意識の七割をオーフェンに、残る三割を周辺の捜索に当てている。瞬時の後、視線を
合わせて訊ねてきた。

「お一人ですか?」
「ああ、今はな」

 そうですかと返し、コルベールは杖の先をオーフェンに向ける。これから自分が何をするべきかを全て承知
している、そんな顔をしていた。

「あー、ちょっと言い訳させてもらえると助かるんだが」
「後ほどにしましょう。私は人を見る目に自信がありませんので、一人であなたのお話に耳を傾ける訳には
まいりません」

 それは捕らえて連れ帰るとの意思表示だった。冷や汗がオーフェンの背を伝う。今の彼の立場は全て、
素性も何もかもが作られた紛い物である。百万言費やしたところで理解など得られるはずがない。しかし、
目前の男と戦うというのも、オーフェンにとっては気の進まぬことであった。よく知っているわけでは
ないが、随分とまともで真面目な教師であるらしい。まさかナイフを突き立てて逃亡するわけにもいかない
だろう。そして、なによりも、

 ――我が生涯二度目の感謝をここに捧げよう。
      炎蛇コルベールに続き、俺の前に俺で敵わぬ二人目の男を――

 この男が、もしも『そう』だとするのならば。

 判断に迷うオーフェンに頓着せず、コルベールは構える。片腕ほどの長さの細い杖だ。それを右手で軽く
握り、杖の先をオーフェンの咽喉下に向ける。重心は高い。スタンスを広くとり、両足の踵を浮かせている。
それはまるで、剣士が刺突剣を構えるかのようだった。……その連想が、オーフェンを救う。

 コルベールが地を蹴る。五足は必要と見えた間合いを三足で詰める。小細工の隙は与えぬと、杖が蛇の
如くオーフェンの咽喉仏を襲った。
 オーフェンに思考に割く時間はない。だが、黒魔術士の戦闘訓練とは、思考せずとも反射で論理的な行動
を行うためのものである。積み上げられた鍛錬と、幾多の経験が自動的に体を動かす。
 左足を摺り足で左に動かす。重心を左足に移す。右手側等で杖を払い、オーフェンは体を九十度右側に
向ける。刺突をいなされたコルベールの動きが流れる。結果、オーフェンはコルベールの右側に位置取り、
構えることとなった。
 自然と体は連動していく。オーフェンは右足を踏み込む。鉄骨で補強されたブーツが踏み込んだ先は、
コルベールの右ふくらはぎだ。コルベールは強制的に片膝をつかされる。そのままオーフェンは杖を取り
上げるべく、彼を引き倒そうとして、

 突然生まれた白熱がオーフェンの意識を奪った。一秒に届かぬ空白。再び視界に色が戻ったとき、
オーフェンは宙にいた。状況が掴めないままも、オーフェンは受身を取って立ち上がる。自身の傷を確認
するよりも、コルベールの姿を探すことを優先する。
 ほどなく見つかる。コルベールも同じく受身を取って立ち上がるところだった。二人の間合いは元のもの
に戻っている。


740 :眼つきの悪いゼロの使い魔 オーフェン:2007/09/17(月) 13:29:08 ID:8+8Y4Akc

(至近距離で火球を爆発させて、てめえごと吹き飛ばしたのかッ)

 オーフェンは左腕が、コルベールは右腕が力なく垂れている。そして、オーフェンはこの世界の魔法の
特性を思い出していた。

「……ここへ来る前に、すでに呪文は唱え済みだったわけか。そういや、魔術の発動は声と同時に、なんて
常識はこっちじゃ通用しないんだったな」

 痛む左腕を無視して、オーフェンは双眸を細める。脳裏に警鐘が鳴り響いていた。片腕を犠牲にして命を
留めるといった戦闘方法。まるでそれは暗殺者、スタッバーのようではないか。それに、これはただの
オーフェンの直感だが、

 ――この男は、恐らく、人を殺し慣れている。

 鬼火の青白い光の下。コルベールの顔からごっそりと感情が抜け落ちていく。片腕は焼け爛れ、片足は
今も力の入らぬままだというのに、その能面のような表情は、寧ろより圧力を増していた。

「あなたに、謝罪を」
「…………」
「あなたが相手では、とても加減ができません」

 一度だけ、オーフェンのこめかみから流れた汗が顎を伝い、雫となって落ちる。そして彼らは全ての雑念
を排し、互いのことのみに集中した。
 オーフェンはいつもの半身の構え。コルベールは先ほどとは異なる構えを見せている。杖を左手に握り、
腰の辺りに置く。右足を前に、左足を後ろに。重心を後方に移したべた足の構えだ。
 二人は微動だにせぬまま、ただ時間だけが過ぎていく。先手を取るべく正面の男へ注視する。極限の集中
は彼らの体力を消耗していく。だがそれを焦るような未熟は互いにない。

 そうして二人の卓越した戦闘技能者は、双月が雲に蔭った瞬間を好機と捉え、全く同時に――

「双方それまで!!」

 遠雷の如き一喝が、二人の動きを凍らせた。


741 :眼つきの悪いゼロの使い魔 オーフェン:2007/09/17(月) 13:30:10 ID:8+8Y4Akc

 彼らは構えを解かぬまま、声のした方向を探る。その場にいたのは、

(……鼠?)

 オーフェンは思わず顔をしかめる。見間違えようもない、尾の長い小さな鼠が後ろ足で立ち上がり、
こちらを見つめていた。まさか鼠が声を張り上げているのかと疑ったが、声は鼠の首にかけられたコイン
から聞こえてくる。

「なかなか眼福物の勝負であったが、さすがに殺し合いはまずかろう。双方退くが良い。この勝負はわしの
預かりとする」
「しかし学院長」

 コルベールの言葉で、オーフェンは鼠を遣わした者の正体を悟る。魔法学院長オールド・オスマンか。
数歩後退して、オーフェンは鼠を睨む。

「爺さん、いつから見てた」
「お前さんが別嬪さんと密会している頃からかの」
「完璧最初からじゃねえか……」

 呻くオーフェンにオスマンは笑いを返す。コルベールは、先ほどまでの様子が何かの幻だったかのように、
いつもの頼りなげな表情でオーフェンと鼠を見比べていた。

「学院長、説明してくださいますか?」
「後での。こんな所で話し込むこともなかろう? ただでさえ男同士でむさ苦しいというのに」

 呑気な老人の声が、辺りに高まっていた緊張を吹き飛ばす。
 まあ、助かったことは助かったかと大きく息を吐くオーフェンの肩に、鼠が身軽に飛び乗った。
 薄気味悪そうに見るオーフェンの耳元に体を寄せて、オスマンは内緒話をするように小声で話しかける。

「わしは美女の味方じゃからの。もうアホなことをなさせないと誓うのなら、目を瞑ってやらんことも
ないぞ?」

 この爺さん、ひょっとして全部承知してるんじゃないかと、オーフェンは背筋を寒くした。


742 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 13:30:40 ID:r85GuePw
目つきの悪さが不幸を呼ぶ支援

743 :眼つきの悪いゼロの使い魔 オーフェン:2007/09/17(月) 13:31:12 ID:8+8Y4Akc
投下終了。
先生はゼロ魔一の男前だと思います。

744 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 13:33:54 ID:2cdptt79
投下乙。舞台裏みたいな感覚で良し!

745 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 13:33:59 ID:92xjAYft
GJ
コッパゲ男前だよコッパゲ
決め台詞がまたカッコイイww

746 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 13:34:44 ID:bdSIcbUC
コルベール先生は男前だよGJ!
この人も主人公としてやっていける経歴の持ち主なんだけどなぁ
外伝書いてくれないかなノボル神

747 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 13:41:17 ID:B3Gi3E4t
コルベール対オーフェンかこの勝負だと、
オーフェン逃げの一手で死なないことしか出来そうにないなあ
コルベール先生基本的に自分の命<生徒の命な人だから
オーフェンにとっては闘いにくいタイプだ

748 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 13:49:35 ID:5YSS+wPw
>>747
死んでも殺すって感じだからねぇ

749 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 13:50:30 ID:0Qv33Zbx
GJ!!
とことん年上の女に振り回されてるオーフェンに乾杯

戦闘技術はともかくとして殺した人数が全然違う分暗殺者としてはコルベール先生のほうが格が上か

750 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 13:52:21 ID:JHTTaYq8
だからそういう順位づけの類は不毛だといつになったら理解してくれるのか

751 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 13:56:01 ID:mE9VXaaB
グロ魔術士殿に殺人はできません
意味もなく吹っ飛ばすことはできるけど

752 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 13:56:59 ID:bdSIcbUC
ちょっと話が逸れるが、サイヤの使い魔の孫悟空はセル編直後なんだよな?
とするといくつなんだっけ?たぶん30代くらいだと思うんだが…。

753 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 14:02:03 ID:ggQTEqqf
>>752
wiki見る限りだとたぶん29歳

754 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 14:02:06 ID:0Qv33Zbx
>>750-751
すまん
あんま深く考えて書いたわけじゃないんだが不快にさせたみたいだな
謝るわ

755 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 14:28:07 ID:PAEEQqbA
コッパゲ先生の立場だと、ロングビルの弟が悪い仲間と切れてなかったように見えたんだろうか。

756 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 14:36:51 ID:bdSIcbUC
>>753
wiki見てきた。29歳って意外と若いなぁ。
というか、悟飯がナメック星編で5歳ということにより驚いたわけだが。
考えてみたらラディッツ来たときに3つか4つだったんだからそんなモンなんだけどな

757 :眼つきの悪いゼロの使い魔 オーフェン:2007/09/17(月) 14:54:17 ID:8+8Y4Akc
すみません、少し補足させてください。

>>751
一応原作最後のあたりでは、殺すべき相手は殺せるようになっていたようです。
それでも先生を殺す気にはなれないでしょうから、マチルダさんのことがなければ逃げていたと思われます。
>>755
土製のゴーレムがシェフィールドとオーフェンのものであると、先生は誤解しています。
生徒たちの命が危なかったため、やや頭に血が上っています。
これは本文中の地文に入れておくきでした。すみません。

758 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 14:59:51 ID:kiSrUDTk
だれか、ピッコロを召喚してくれないかな?

759 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 15:03:17 ID:mU9+wUoe
>>758
オスマンの声聞いて神様と勘違いしそうな予感

760 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 15:04:50 ID:0CaYK+Qf
>>758
パワーバランスを考えると……卵の状態で召喚→契約?


761 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 15:04:58 ID:bIcvn8Cx
あのー。スレ住民に質問ですが、アトラスの隠れゲー【黄龍妖魔學園記】の主人公にして、
『料理も泥棒も出来る、トレジャーハンター】こと、緋勇龍麻氏(24)の参戦入ってた有りですか?


762 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 15:07:13 ID:Ty1m6opL
>>761
日本語でおk

763 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 15:12:03 ID:EZXt+tW6
>>758
じゃじゃまるとポロリは一緒じゃないのか?

764 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 15:14:17 ID:cV2tqyC4
       / ̄ ̄ヽ     / ̄ ̄ヽ
       l i'´~`ヽ|   l /~`ヽ |
       ヽ.\  ,レ-――-'<、 _ノ /
         `‐/_____\- '         人_ト、__ノ、_,ヘノ\_ノヽノ、
          / ,-、      ,-、 ヾ、       人/                \__
           l  ,..、       ,..、  l     _ノ                    (
     __l  i 0} ,.●、 !0 i  l__  _)
  / ̄| | . |  `~ /___\`~´   |  | __ノ  絶対に許さんぞ虫ケラども!!!!!!!
/     | | |l    ‘-イ !_|_!`r’     !|  | ノ
\\   | |. |`、   r{     h   ,/リ <    じわじわとなぶり殺しにしてくれる!!!!!!!
  \\.| |   ヾ\ ヽ二ニ二.ノ  /〃 |  )
、   \ノ^,ニ‐-ァ  ̄`ー-----一' ̄/  | ^ヽ
\  // ,/⌒i、_\\_____//  .|  |  ⌒)
   {   i   |  iヽ`ー-----― '    |  |    ̄ヽヘ/⌒ヽ/\i'\へ/⌒Yヽ'^
    i          }         _|  |
    〉       ノ二二二二二二.-‐|
   /       /            |

765 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 15:19:46 ID:6clrARZ+
>>750

コルベールの頭と申したか。

766 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 15:21:44 ID:0CaYK+Qf
>>765
不治の病です。

767 :ゼロガー:2007/09/17(月) 15:22:16 ID:ohGcuqwj
リュテイスを後にしたディスカバリー号は順調に航行を続け次の寄港地であるアルビオンまであと半日というところまで来ていた
出港以来毎夜オシリスが艦長室を訪れ中から肉を打つ音と歓喜の叫び、そして「女王様」あるいは「卑しい豚」といった謎の言葉が途切れ途切れに漏れ聞こえる以外順風満帆と言ってよい
連日に渡って深夜の呼び出しを受けるオシリスがバレスターにナニをさせられているのか
オシリスは黙して語らず他の者も何となく聞くのを憚る雰囲気の中この話題に触れることは自然とタブーになっていった
そんなある日
「お早うギーシュ君、いやあ実に爽やかな朝だねえ!」
艦橋に呼び出されたギーシュににこやかな笑みを浮かべるバレスターの前歯が朝日を反射してキラリと輝く
うおっ!まぶしっ!!
「ところで困ったことになった」
悪戯の現場を見つけられた子供のような表情のバレスターの視線の先ではガリア空軍のヒッパー級巡洋艦がディスカバリーの進路を塞ぎ舷側にずらりと並んだ二十五ポンド砲の狙いをつけている
「もうすぐ臨検隊が乗り込んでくる、抵抗したら直ちに撃墜すると通告してきたよ」
いやー拙い、非常にマズイと頭を振りながらギーシュの首を抱え艦橋の隅へと引き摺ってゆく
「実はこの艦の船倉にはアルビオンの商人に引き渡す予定の精霊石が積んであるんだがね、アレがガリア軍に見つかると色々とヤバイのだよ」
「叔父さん密輸までしてたんですか?」
「今までは問題なかったのだよ、君が厄介事を持ち込んでくるまではね…」
じわじわとギーシュを抱える腕に力を込めてゆくバレスター
なんか瞳に危険な光が宿っている
「今回に限って外交問題になるの承知で臨検してくるなんてどういうこったこの疫病神!資金が溜まったら軍を辞めてアンナとホテルをやる計画だったのにどうしてくれるコンチクショウ!!」
「ちょ…叔父さ……」
興奮のあまりギーシュにネックハンギングツリーをかけようとして周囲の白い目に気付いたバレスターはギーシュを開放すると深呼吸三回、どうにか平静を取り戻した
「とにかくここで船倉の荷が見つかっては私は破滅だ、そこで…」
バレスターは軍人というよりは犯罪組織のボスといったほうが似つかわしい獰猛な笑みを浮かべた
「本艦は今から三分後に“突然風石が制御不能になって”ヒッパー級のどてっ腹にぶちかましをかけた後自爆する、君らは総員退艦に紛れて救命艇でどこへなりとでも消えてくれたまえ」

投下終了

768 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 15:38:01 ID:B3Gi3E4t
>761
魔人の方の彼なら考えたことがある
話かけられると、頭の上に「愛」とか「悲」とかでてきて、それで意思疎通

769 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 15:58:03 ID:9OKAzez3
>761
ああいう一切しゃべらない主人公だと、ほぼオリジナルの性格になっちゃうからなあ…
魔人の京一(ゲーム版)で考えたことあるけど、俺の筆力ではサイトとの大きな
差が出せず断念…
魔人のアニメ?そんなものありませんよ…ファンタジーやメルヘンじゃないんだから・・・

770 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 16:03:15 ID:OvBel2tx
龍龍だったか?設定改変がひどいし絵が全然違うし何であんなもん作ったんだか・・・
ガンガンWでやってた喜名魔人も改変は多かったがマシだったな

771 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 16:28:28 ID:Pk3XrHpi
オーフェンの人乙。

オールドオスマン格好良いなぁ

>>752
年齢はあんまり関係ないと思う。
サイヤ人は全盛期の肉体年齢を維持し続ける民族だからな。

772 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 16:46:38 ID:lSFslJM8
>>761
アロマとおっぱいと小物召喚で小ネタを考えたことがある
オチがつかんかったんでやめたが
>>770
「あ…ありのまま今起こったことを話すぜ!
『原作では徳川家に追われた者の子孫だったヒロインが
アニメでは何故か徳川所縁のお嬢様になっていたり
真面目で堅物なメインキャラ達のまとめ役が
何故か料理好き以外にまともに描写されないエターナルエアーになってたり
元気っ子が沸点がドライアイス以下のキレっ子になってたり(ryなっていた』
な…なにを言ってるのかわからねーと思うが(ry」
そんな感じだったな
まあこの辺にしとこう

773 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 16:47:20 ID:8Ly5SoLU
>769
喋らない主人公の性格はサイトにしちまうとかってのも考えられるが・・・
やっぱむりか

774 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 16:51:42 ID:Pk3XrHpi
>>770
喜名魔人の主人公は男も股を濡らすような超絶美形設定だったな
まぁ、ある意味菊池テイストに忠実ではあるんだが

775 :零魔娘娘追宝録の代理投下の人 :2007/09/17(月) 17:05:17 ID:yKCk07vl
予約がなければこれから代理投下します〜

776 :零魔娘娘追宝録の代理投下の人 :2007/09/17(月) 17:06:39 ID:yKCk07vl

         親切心が仇となり決闘を申し込まれた
                   静嵐刀はいかにして
                    『青銅のギーシュ』
                との戦いを渡り合ったか?


 静嵐が使い魔としてルイズに召喚され、宝貝について長々と説明をしたその翌朝。
 静嵐がルイズとともに部屋を出ると、部屋の前には二人の女がいた。
 一人は健康的な褐色の肌をした美しい女、ルイズと同級生の「微熱のキュルケ」、
 もう一人はそんなキュルケの後ろに隠れるようにして立つ青い髪の小柄な少女「雪風のタバサ」である。
「あら、おはようゼロのルイズ」
「…………おはようキュルケ」
 にこやかに挨拶をするキュルケに対し、ルイズはどこか不機嫌そうだった。
 その原因はキュルケの足元にあった。
「ほら、フレイムも挨拶なさい」
 きゅるるる、とキュルケの使い魔――サラマンダーのフレイムが鳴く。
 その姿はトラほどの大きさもある巨大なトカゲとでも言えばいいだろうか。尻尾がメラメラと火を灯している。
「はぁ、珍しいものですね。こんな仙獣見たことないですよ」
 感心したように静嵐は言う。いろいろと珍奇な仙界の生き物は見てきたが、こんな生き物は見たことが無い。
 それでも驚かないのはさすが宝貝というとこだろうか。
 なにせ仙界に跋扈する魑魅魍魎に比べればオオトカゲくらい可愛いものである。
「ふふ、そうよ。この子は火竜山脈のサラマンダー、ちょっとその辺じゃお目にかかることはできなくてよ。
――それで貴方がゼロのルイズの使い魔ね?」
「はい。使い魔なんかをやらせてもらうことになった静嵐刀です。よろしく」
「そう、よろしくね。私の名前はキュルケ、キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー。
それでこっちの娘が――」
「タバサ」
 タバサは手に持っていた本に目を落す。キュルケはじろじろと値踏みするように静嵐を観察する。

「ふうん。ホントに平民の使い魔なんだ――貴方にお似合いじゃない? ゼロのルイズ?」
「うっ……」
 ルイズは悔しげに歯噛みする。言い返してやりたいが、何せキュルケの使い魔はサラマンダー、最上級の使い魔だ。
 それにひきかえこいつときたら――

「わぁ、こいつ人なつっこいですねえ。はははは、おっと、服を引っ張らないでおくれよ。ああ、痛い痛い、指を噛まないで!」
 フレイムにじゃれつかれて(傍目には襲われているように見えるが)
 ガジガジとあちこちを噛まれている間抜けな――欠陥宝貝なのである。
 しかも武器の宝貝だという。この緊張感の無さのどの辺りが武器なのか説明してもらいたい。

「おイタしちゃ駄目よフレイム」
 キュルケの言葉に、フレイムは静嵐の頭をかじるのをやめる。すでに躾も行き届いているようだ。
「貴方も大変ねえ? ゼロのルイズ。こーんな貧弱な平民が使い魔だなんて。
何かお困りのことでもあれば遠慮なく言ってくれてかまわないわよ?
――ああ、気にしないで。私と貴方の仲じゃない? ねえ、ミス・ヴァリエール」
「お断りよ! 誰がアンタなんかに頼むもんですか、ツェルプストー!」

 怒鳴り返すルイズに、静嵐は諭すように言う。
「駄目だよ、ルイズ、そんなこと言っちゃ。
キュルケさんはルイズが僕みたいなのを召喚して困ってやしないか心配なんだよ。
でももし困ってても正面から手助けするのが照れくさいからこうやってからかってるんだ」
「………………!」
 意外な言葉に、驚いたような顔をするキュルケ。
 タバサは相変わらずの無表情で、誰にも見えない角度でほんの少しだけコクリとうなずく。



777 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 17:06:45 ID:0anHTaUK
>>679
絵のない小説だから出来ること。





昔、ナメック星という惑星が異常気象に見舞われたときにな(ry

778 :零魔娘娘追宝録の代理投下の人 :2007/09/17(月) 17:07:59 ID:yKCk07vl

「ルイズも。かまってくれる人がいて嬉しいからってそんなに悪態ついてちゃいけないと思うよ」
「………………!?」
 押し黙るルイズ。タバサは誰にも聞こえない声で「図星」と囁く。
「喧嘩するほど仲が良いとは言うけどね、そんなんじゃ――あ」
 二人は無言で杖を振りかざす。よくわからないが何か危険なものを感じて、静嵐は慌てて訂正する。

「嘘! 嘘です、二人とも険悪だなぁ! こんなに仲の悪い人達なんて見たことないよ!」
 とってつけたような訂正は当然聞き入れられることなく、
 キュルケの「火」とルイズの「爆発」(無論、失敗魔法である)が見事な連携で静嵐に炸裂した。
 タバサは爆風で乱れた髪を直しながら、「いい連携」と呟いた。

                  *

「酷い目にあったなぁ」
 ガリガリと人参をかじりながら静嵐は呟いた。
 二人の魔法で寮の窓から吹き飛ばされた時の傷が痛む。
 地面に落ちる寸前タバサが何か魔法をかけてくれたようで、幸い地面に激突はしないで済んだため重傷というわけではない。
 それでも静嵐に備わっている「損傷度を示すための痛みを感じる機能」はズキズキと痛みを訴え続けている。
 そんな彼を心配して、メイド服姿の少女が心配そうに声をかける。
「大丈夫なんですか? セイランさん」

「あ、シエスタ。うん。まぁこう見えても頑丈でね、ちょっとやそっとくらいじゃ破損したりしないよ。
二人ともなんだかんだ言っても手加減してくれてたみたいだし、あれでけっこう優しいところあるのかなぁ」
 魔法で吹っ飛ばされておいて優しいも何も無いだろうと思ったが、
 本人がそれで納得しているならいいかとも思ったシエスタは何も言わなかった。
 彼女の名はシエスタ。学院でメイドとして働く平民の少女である。

 キュルケとルイズに爆風で吹っ飛ばされ、折悪しくその下を歩いていたシエスタの目の前に落ちたのだ。
 驚いたのはシエスタだ。いきなり目の前にボロボロの男が吹っ飛ばされてくれば吃驚するどころの騒ぎではない。
 とりあえず人を呼んで医務室に運ばなければと思った矢先、男はむっくりと起き上がってきた。
 どう見ても無事では済まないような事態にあっさりと回復してきた男にシエスタは卒倒しかけた。
 とまぁそれが、静嵐とシエスタの出会いであった。

「……生のままでよかったんですか? 人参」
「平気だよ。美味しいね、この人参」
 時刻は昼。午前の授業はすでに済み、広場では貴族の生徒たちが使い魔を連れてお茶を楽しんでいた。
 静嵐はその広場の隅っこに座り、昼食代わりの人参をがりがり齧っているのである。

 もとより宝貝である静嵐は食事を必要としないが、食事をとることもできる。
 本来毒見や味見のための機能なのであるが、
 人間の形をしたものが食事もしないでいるという不自然を誤魔化すためのものでもある。
 とりあえず己が宝貝であるということを無理に触れ回る必要がないため、静嵐は見かけだけの食事として人参を齧っているのだ。
 それが余計に不自然であるということも気にせずに。

779 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 17:08:51 ID:JWdRVhc3
支援

780 :零魔娘娘追宝録の代理投下の人 :2007/09/17(月) 17:09:12 ID:yKCk07vl

 シエスタは静嵐を観察する。
 変わった人だ、と思う。服装や雰囲気もそうであるが、何よりこの掴みどころの無い性格はなんなんだろう。
 気が抜けているといえば気が抜けているが、なんだかそれだけではないように思わせ、
 それでいてそんな裏を期待するとひどく裏切られそうな裏表の無さを感じさせる。
 そんな妙な違和感がつきまとう。

 聞けば彼は使い魔として召喚されたのだという。
 人間が、それも平民が使い魔になどなるのだろうか? 魔法のことなどさっぱりわからないシエスタであったが、
 それは何か間違っているのではと思わなくも無い。辺りを見回せば、貴族の方々が連れている使い魔たちが見える。
 犬や猫、鳥と言った普通の動物や、竜などといった幻獣たち。そういうのが普通なのではないだろうか?
 不思議ではあるが、そういうこともあるのだろうと自分を納得させる。

 それに、奇妙ではあるがこうして異国の人間と知り合えたのだ。その縁は大事にしよう。
 そういえば、こうしていきなり召喚されたということは、静嵐は貴族について何も知らないのではないか。
 もし貴族に対して何か失礼があれば取り返しのつかないことになるだろう。


 静嵐はふと気づいた。
 テーブルの下、金髪の顔立ちの整った貴族の少年の足元に何か小瓶が落ちている。
 中に入っているのはただの液体ではないと見て取れる。何かの薬品だろう。
 あれを踏んづけたりしたら困るのではないだろうか?
 静嵐は特別お人よしでもないが、予想される他人の窮地を見過ごすほど非情でもない。
 拾ってやっても罰は当たらないだろう。そう思いながら立ち上がる。
 遠くから、誰かを探すように茶色のマントを羽織った少女が歩いてくる。
 その気配を察知してはいるが、深く注意はせず静嵐は小瓶を拾う。
 その少女が、小瓶を落した少年を探しているであろうことはよく見ればわかることだった。
 にも関らず静嵐はそれに気づかなかった。そして口を開く、
「あの、もし――」


 しかしまぁ彼の物腰は穏やかであるし、人相も言葉遣いも悪いというわけでも無い。
 普通にしていれば貴族の逆鱗に触れるようなこともないだろう、とシエスタが思ったその矢先に、
「これ落しましたよ」
 静嵐はあっさりと地雷を踏んていだ。

                  *

「遅れちゃったなぁ……全く、なんで私がゼロのルイズの後始末なんか……!」
 モンモランシーは広場への道を急いでいた。
 先ほど行われた錬金の授業。そこでルイズがやらかした大失敗の後始末のため、教室に取り残されていたからだ。
 片付け自体はルイズが行ったものの、清掃の一部などは水の魔法の使い手である彼女が駆り出されたのだった。
 そうして広場にやってきたモンモランシーであるが、広場の中央で何やら人だかりができているのに気づいた。

 人だかりの中心には、えらい剣幕で誰かに怒鳴りつけているギーシュの姿がある。
 普段は努めて優雅に振舞おうとして(上滑りしているのだが)いる彼女の『恋人』には珍しい怒りようである。
 眉間に皺を寄せ、口角泡を飛ばすといった風情である。その顔は何故か頬が妙に腫れている。
 不思議に思い、喧嘩をオロオロとしながら見守っているメイド、シエスタに問いかける。
「そこのメイドの貴方、何があったの? ギーシュは何をあんなに怒っているの?」
「あ、ミス・モンモランシ……。ええと、あそこに居るセイランさんが……

781 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 17:09:37 ID:9LvITmsi
支援

782 :零魔娘娘追宝録の代理投下の人 :2007/09/17(月) 17:10:44 ID:yKCk07vl

 そう言ってシエスタは、ギーシュが詰め寄っている人間を示す。
 見たことの無い服装をした青年が困ったような顔でギーシュの怒りの言葉を受けていた。
 その顔には見覚えがある。あれはたしか、
「ああ、あのゼロのルイズが召喚した使い魔の平民ね。彼が何かやったの?」
「その……ミスタ・ギーシュが落された香水の瓶を拾って差し上げたんです、
でもそれが何か女性からの贈り物か何かみたいだったようで」
「香水? ならそれは私の贈り物だわ。私が作ってギーシュに贈ったのよ」

 彼女は自身の持つ『香水』の二つ名の通り、香水を始めとしたポーション作りを得意としていた。
 シエスタの言っているのは先日彼に告白された時、その返事として贈ったものだろう。
 自分でもなかなかの自信作だと思っているが、持ち歩いてくれていたというのは少し嬉しかった。
 だがそんなささやかな幸せも、シエスタの次の一言で打ち砕かれる。

「はぁ。それでですね、その香水の瓶を見た一年生の生徒の方がどうやらミスタ・ギーシュから誘われていたらしく……」
「二股かけていたことがバレてフラれたってわけね――アイツ!」
 想像するのは容易い。大方自分には恋人がいないとでも言ってナンパしたんだろう。
 モンモランシーはギーシュ同様怒りに満ちた表情で人だかりの中心へと向かっていく。


「どうしてくれるんだよ平民くん。君が空気を読まないせいで
ケティは怒ってしまったじゃないか。どう責任をとってくれるんだね!」
「いや、あの、責任と言われてもですね。僕はただ良かれと思って……」
「それが余計なお世話だと言うんだ!」
 ギーシュという貴族の少年に詰め寄られ、静嵐は困惑していた。
 本当に、自分は親切心で小瓶を拾ったのに、何故かこうして怒られている。

 元はと言えば二股をかけていたギーシュが悪いのであるが、それを指摘したところで火に油であることは目に見えていた。
 困った。おろおろとしているシエスタの態度を見るに、この貴族というのを怒らせるのは相当にマズイことであるようだ。 
 そんな静嵐であったが、意外なところから助け舟が入る。
「ギーシュ! 貴方何やってるの!」
「モンモランシー……!」

 金色の髪をひっつめたようにしている、モンモランシーと呼ばれた少女が二人の間に割って入る。
 既に彼女が事情を知っていると察知したギーシュは、先ほどまでの剣幕とは打って変わって気弱に言い訳を開始する。
「こ、これはだね、誤解なんだよ。この平民が……」
「そんなことは聞いてないわ。何をしているのかって聞いてるの!」
 哀れなにもギーシュの言い訳をモンモランシーは一蹴する。

「それは……こ、この愚かな平民に貴族として注意をだね」
「あっきれた! それってただの八つ当たりじゃない! 元はと言えば貴方の浮気が原因なんでしょう?
彼は親切で貴方に落し物を届けたのに、それで怒鳴りつけるなんて最低ね!」
 別に彼女は平民である静嵐をかばっているわけではない。
 ただ、自分の恋人が権威を笠に着て弱いものに居丈高と怒鳴りつけるのが情けなかっただけだ。

 だがギーシュとしてもここまできてしまった以上引き下がるわけにはいかない。
 平民に頭を下げては貴族としての沽券に関るし、何よりこのままではモンモランシーとの仲も終わってしまう。
 ケティに振られてしまった今、それだけは避けたい。
 あのマリコルヌのように、恋人のいない学院生活を送ることは一分一秒でも我慢できない。
 それがギーシュという少年だった。ある意味では天晴れと言えるほどの自己主張である。



783 :零魔娘娘追宝録の代理投下の人 :2007/09/17(月) 17:12:21 ID:yKCk07vl
「っ、ならば正々堂々と決闘で勝負をつけようじゃないか。それなら文句はないだろう、モンモランシー!」
 平民との決闘。そんなものは有り得る話ではない。
 だが、無茶とも言える主張を正式に相手に認めさせるには決闘という前時代的な手段は有効である。
 それも、貴族という存在に対してはなおさらであり、モンモランシーもまた貴族であった。
「平民……セイランとか言ったわね」
「はい」

 それまで蚊帳の外に置かれていたが、いきなりモンモランシーから話しかけられ静嵐はつい素直に返事をしてしまう。
 そこで悪態でもついて見せればいいものだろうが、そういうことができない性質であるのが静嵐であった。
 モンモランシーは平坦な声で言う。
「貴方の骨は拾ってあげるわ。正々堂々戦って死になさい」
「……え?」
 言ってる意味がわからない。たしか彼らは決闘がどうとか言っていた。誰と誰が?

 ひょっとしてギーシュという少年と自分が決闘するのだろうか?
 そんなことを了承した覚えはないし、しなければならない謂れもない。
 なのに何故? 自分が決闘を?
「平民!」
「は、はい?」
 今度はギーシュが静嵐を呼ぶ。またもや素直に返事をしてしまった。

「あとでヴェストリの広場に来たまえ。そこで勝負といこう。――逃げるんじゃないぞ?」
「じゃああとは頼んだわ」
 吐き捨てるようにいい、ギーシュは去っていく。モンモランシーも、任せたと言って去っていく。
 取り残された静嵐は未だに状況が掴めない。
「え。えええ?」
 なんでこんなことになってしまったんだろう。
 
                  *

「セイラン!」
 息を切らせ、ルイズが走りこんでくる。どうやら騒ぎを聞きつけてやってきたらしい。
「やあルイズ。もう食事は済んだの?」
「やあルイズ、じゃないわよ!何勝手に決闘の約束なんかしてんのよ!」
「いや、僕もそんな約束した覚えはないんだけど。何かいつの間にかそんなことになっちゃって」
 そう言って静嵐は頭をかく。言葉通り、彼は一言も決闘をするとは言っていない。
 ルイズは声を潜め、ささやくようにして問いかける。
 彼がただの平民ならいざ知らず、その正体は宝貝であるのだ。
 ひょっとすれば、という思いもある。
「で? あんたどうなのよ。勝てる見込みはあるの?」

「こう見えても武器の宝貝だからね。前にも言ったけど、僕の体には様々な武術が仕込まれてるんだ。
だから普通に戦えば人間相手に負けるつもりはないけれど……」
 間が抜けているとは言え、静嵐は武器の宝貝だ。
 訓練を積んだ武人が相手ならいざ知らず、普通の少年相手に戦いで遅れをとるなどということは絶対に無い。
 だが、相手もまた普通の少年ではない。ギーシュはメイジなのだ。

「あの達人の技が使えるっていうやつ? ……でもそれだけじゃ無理よ。
ギーシュはドットクラスとはいえメイジであることに間違いないわ。いくらあんたが凄くても……」
「はあ。勝てませんかね、やっぱり」
 いまいちメイジというのが理解できていない静嵐には、己の敗北がピンとこない。
「単に力や技がすごくても、それをひっくり返せるのがメイジよ。でなければ貴族なんて存在になれないもの」
 たしかに、今朝のキュルケのような攻撃を本気で食らえば静嵐とて危ない。
 頑丈な刀形態に戻れば耐えられるだろうが、今の姿ではそれほどの耐久力は期待できそうにない。

「参ったなぁ。謝っても許してもらえそうもないし。……破壊されないように上手く負けるのが一番かな」
「……なんとか先生を引っ張ってきてあげるから、それまでなんとか死なないように頑張りなさい」
 どうしようも無く静嵐は気が重くなった。

784 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 17:12:34 ID:9LvITmsi
支援

785 :零魔娘娘追宝録の代理投下の人 :2007/09/17(月) 17:13:38 ID:yKCk07vl
静嵐がヴェストリの広場と呼ばれる場所にやってくると、
 そこにはギーシュたちの諍いを見ていた貴族たちが押し寄せていた。
 平和で退屈な学院生活に、決闘という血なまぐさいイベントは格好の暇つぶしなのだろう。
「逃げずに来たことだけは誉めてあげようじゃないか、平民くん」
 そんな観衆を意識してか、大仰に、芝居がかった仕草でギーシュは語る。

「さて、勝負の方法だが……ここはシンプルにいこう。
勝敗の決着は参ったと言って相手にそれを認められるか、それとも戦闘続行不可能になるかだ」
 自分が絶対有利であることを見越しての発言であることは明白であった。
 試しに静嵐は言ってみた。
「ええと、参りました」
「認めると思うかね?」
 あっけなく却下される。
 つまりこれは、死ぬ寸前まで痛めつけられて無様に命乞いをするか、
 それとも意地を張って再起不能を選ぶかどちらかしかないということだ。

「さて、それじゃあ勝負開始といこうじゃないか!」
 そう宣言してギーシュは薔薇の花のついた杖を振るう。花びらの一枚が飛び散り、地面に落ちる。
 花びらは地面に触れると同時に掻き消え、それともに地面から人形が浮かび上がる。
 武装した女性を模した青い人形。その表面には金属の光沢があり、その人型が金属製であることはわかった。
「これは!」
 驚く静嵐。魔法というのはこんなこともできるのか?

(まるで仙術だなぁ)
 仙術には化修という泥の人形を作り出す術があるが、それはかなり高等な仙術である。
 それにも似たような魔法を、この少年は難なく行って見せた。
 周囲の観客も歓声こそあげ、さして驚きの声を挙げてはいない。
 つまりこれは魔法としてはそれほど大したことではないということだろう。
「僕は土のメイジ、『青銅のギーシュ』さ。ゆえに君のお相手はこの僕の作った人形、ワルキューレがつとめよう」

 これは仙術、いや、
(どちらかというと宝貝だな)
 ある意味では宝貝は仙人よりも大きな力を持っている。ある一つの機能に特化した宝貝ならば、
 高等仙術に匹敵する現象を造作も無く行うことができる。
 思い出すのは砂兵巻という宝貝だ。
 字の通り巻物の宝貝で、巻物から零れ落ちる砂で人形を作り出すという機能を持っている。
 ただ前述の通り人形は砂でできているため、衝撃に対して非常に脆いという欠陥を持っていた。

 だが、このギーシュの作り出した人形は、
(青銅製、脆いなんてことはないよね。……砂兵巻の能力を青銅でやったようなものか。こいつは強敵だぞ)
 静嵐にしてみれば自分ならば耐えられる火や氷を飛ばして攻撃されるよりもよほど厄介な相手だった。
「さぁ行くよ、平民くん!」
 言うや否や人形は静嵐に踊りかかる。
(速い!)
 鈍重な外見からは想像もつかないほど素早い動きで静嵐に迫り来る。
 しかしそれは、武器の宝貝であり、速さを得意とする刀の宝貝である静嵐にしてみれば回避できない速さではない。

 ワルキューレの一撃を回避し、静嵐はその腹に掌底を叩き込む。
「!」
 やはり硬い。自分の攻撃が通用しないことを悟った静嵐は、掌底の反動をそのまま利用して後ろに跳ぶ。
 ワルキューレはすぐに間合いを詰めようとはせず、様子を伺うように立つ。
(まずいなぁ。こちらの攻撃は通用しない、そして敵の攻撃は重くて速い。
なんだ、こいつのほうがキュルケなんかよりもよっぽど強敵じゃないか)

786 :零魔娘娘追宝録の代理投下の人 :2007/09/17(月) 17:14:47 ID:yKCk07vl
単純に、硬い鎧を着込んだ相手だというのならば、鎧の隙間を狙うなり、関節をとって極めるなりすればいい。
 だが文字通り全身が青銅製で、かつ人間のように有機的に動く人形相手にそれが通用するとは思えない。
 静嵐は考える。ならばどうすれば勝つことができるか? 
 答えは簡単だ、術者にして決闘相手であるギーシュ本人を打ち倒せばいい。
 青銅製人形をすり抜け、ギーシュの鳩尾に拳を叩き込めばそれで終わりだ。

 だが、そんな作戦はとれなくなる。何故なら、
「へえ? なかなかやるじゃないか。ならばこれでどうかね?」
 ギーシュが杖を振ると、先ほどと同じようにして六体の人形が続けて浮かび上がる。
「計七体の青銅製ゴーレム、僕の美しい戦乙女たちさ。
どうやら少しは腕に覚えがあるようだが、その程度では僕に勝つことはできないね」
 七体の敵が一挙に静嵐へと殺到する。

                  *

 静嵐の戦いを遠くから見守っている娘が二人いた。キュルケとタバサである。
 気性の激しいゲルマニア人らしく、キュルケは面白がるように見ている。
 だが珍しいのは、キュルケの友人であるタバサがこれを見物していることだ。
 いつもならば我関せずと読書を決め込むのだが、今日に限ってはどういう風の吹き回しか
 手に持った書物には目もくれずじっと真剣に静嵐の動きを見ている。

 それを不思議に思ったキュルケが問う。
「貴女がこういうのを見物するなんて珍しいわね。興味あるのかしら?」
「無い。だけど……」
 気になるという言葉を飲み込む。まだ彼女自身、それを口に出すべきか迷っていた。

 今この場で戦況をもっとも的確に見ているのはタバサであった。
 それは彼女のこなしてきた『任務』の経験で培ってきた、冷静な兵士としての観察眼ゆえである。
 その彼女の分析は告げる。このままでは遠からずあのセイランという平民は負ける。
 もし逆転勝利を狙うのならば『アレ』が必要だ。
 そう思い、タバサは誰にもわからぬよう密かに杖を掲げた。

                  *

 これは詰め将棋だ、と静嵐は考える。
 敵の手の中には7枚の『歩』があり、こちらは自分自身、すなわち『王』の駒のみがある。
『王』は『歩』よりも多彩な動きが出来る。だが『歩』には七という数がある。
 七枚の『歩』は『王』を詰もうと動き回り、『王』は全ての動きを七枚の『歩』からの回避に使う。
 ただ一つ、普通の将棋と違うのは自分の『王』は相手の『歩』を取ることができない。

 それは大きな違いであり、現実問題として静嵐を追い詰めようとしている。
 宝貝である静嵐に疲れは無い。そして戦術・戦略的なことでならいざ知らず、
 こと戦闘中においての状況判断を誤ることは(彼に限っては無いとは言い切れないが)無い。
 考えるより先に体が動く、そういう風に静嵐たちは『造られて』いる。
 だがそれは相手のゴーレムたちとて同じことだ。

 一度作り出してしまえば術者であるギーシュに負担は少ない。
 だからこの戦いは膠着状態に陥っているように見えるだろう。
 だがこれは詰め将棋なのだ。ゆっくりと、だが確実に静嵐は追い詰められている。
 ほんの少し小さなことでいい、偶然の作用する要素がギーシュに味方すれば、
 それが積もっていきやがては静嵐の致命傷へと至る。
 真綿で首を絞められるように静嵐は危地へと向かい続けている。
 それほどに、生身の状態の静嵐刀にとって『青銅のギーシュ』とは相性の悪い敵だった。

787 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 17:15:18 ID:9LvITmsi
支援

788 :零魔娘娘追宝録の代理投下の人 :2007/09/17(月) 17:15:59 ID:yKCk07vl
(せめて武器があればいいんだけどな)
 青銅製のゴーレムを破壊できるほどの硬度をもった武器か、さもなければ鋭い刃のついた刀や剣があれば、
 ゴーレムを倒してギーシュに近づくことができるようになる。
 あるいは静嵐がその本性を現し、刀として誰かが使用してくれればいいのだが、
 この一対一(と呼ぶには不当なものがないではないが)の決闘で助太刀してくれる人がいるわけがない。
 終わりの無い回避戦に飽きたのか、ギーシュは髪をかき上げて告げる。

「よく粘ったね、平民にしてはよくやる。正直僕は感心したよ。……だがここまでだ」
 ギーシュはワルキューレの駆動を揃え、一気に連携した動きで静嵐を襲わせる。
 ワルキューレたちの剣が雨のように静嵐に降り注ぐ。
 ここまでか、と思った時。静嵐の左手に違和感が走る。
 気がつけば、地面から生えるようにして剣が伸びている。その剣の柄が自分の左手に触れたのだ。
(これは、太刀……いや剣かな)
 考えるより早く静嵐はその剣を掴み、引き抜いた――そしてさらにその勢いをそのままにワルキューレ一体を斬りつける。
 斬りつけられたワルキューレは呆気なく両断され消滅した。

「使えそう――だね」

                  *

「先生、こっちです!」
「ま、待ってくれたまえミス・ヴァリエール!」
 息を切らせながらルイズとコルベールがヴェストリの広場に走りこんでくる。
 広場に多くの貴族の生徒たちが決闘を観戦している。皆口々に歓声を上げている。
 刺激に飢えた貴族の子弟たちは、生意気な平民が血祭りにあげられようと止めはしない。

(こんな馬鹿騒ぎ早くやめさせなきゃ!)
 焦るルイズは一人暇そうにしていたコルベールを捕まえて急いできたのだ。
(あんな欠陥使い魔でも私の使い魔なんだから)
 不満が無いではない。だが初めて出来た自分の使い魔に愛着もある。
 ギーシュなんかに殺させるわけにはいかなかった。
「アンタたち! どきなさいよ!」

 人垣になっている生徒たちが邪魔で、背の低いルイズは決闘がどうなっているか見ることができない。
 だが今だ響く歓声とその合間の剣戟音が、決闘がまだ続いていることを教えている。
 ようやく人ごみを掻き分け、ルイズとコルベールが前に出たとき。
 決闘は意外な様相を見せていた。
「何、コレ……」

                  *

 言い訳をしてしまえば、ギーシュは「自分は本気ではなかった」と言うだろう。
 ギーシュとて静嵐を殺すつもりなど無い。
 少し派手に痛めつけてやって無様に『平民らしく』命乞いさせてやりたかっただけであり。
 それでもし意地を張るというのなら仕方無い。大怪我をさせて再起不能にするだけだ。
 何、ここには水魔法の使えるメイジも大勢いる。少しくらい痛めつけても寝覚めの悪い結果にはならない。

 それは全く貴族らしい歪んだ愉悦感への欲求であるが、人間としてはそれほどおかしな話ではない。
 自分とケティ、モンモランシーとの仲に不要な亀裂を入れた生意気な平民。
 それを少し痛い目に合わせてやったところで何が悪い? というだけだ。

 誤解されがちであるが、ギーシュは馬鹿ではあっても頭が悪いわけではない。
 ギーシュはそれが言いがかりであることを自覚している。
 だがそれが自分の言いがかりであっても、それを通すことができるのがメイジであり、通そうとするのが貴族という生き物だった。
 加えて悲しいことに、ギーシュはメイジであり、そして貴族であったのだ。
 故にこれは貴族としての正当な権利であるとも言えた。だが、現実は……。

789 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 17:16:18 ID:ZbArbsWA
そうか
相性的な意味では強キャラがギーシュに負ける事もあり得るんだよな
支援

790 :零魔娘娘追宝録の代理投下の人 :2007/09/17(月) 17:17:29 ID:yKCk07vl
 三体目のワルキューレが無惨にも両断される。
 残りのワルキューレは四体。まだ四体、否、もう四体。既に数による絶対的有利は揺らぎつつある。
 ギーシュは考える。何故あの平民はこれほどまでに戦える?
 これでもギーシュは軍人の一族である。元よりあの平民の体術が優れていることは承知していた。
 あの動き、今まで見たことも無いような体捌きは賞賛に値すると素直に感心した。
 だが、あくまでもそれは体術でしかなく、自分のワルキューレに対抗できるものではない。
 現に最初、あの平民は硬い青銅のゴーレム相手に攻めあぐねていた。

 だが、あの剣を手にしてから一変した。
 四体目。ワルキューレが消滅した。
 あの剣。あんなものを平民は持っていなかった。となれば自分以外の誰かが『錬金』の魔法で平民に与えたことは間違いない。

 誰だ? 観客を見回すがそれらしい素振りを見せた人間はいない。
 観客の中にはピンクの髪が見える。あの平民の契約者、ルイズだ。
 彼女か? いや、そんなはずはない。今日も錬金の授業で派手に失敗した彼女にそんなことはできないはずだ。
 では自分を焚きつけたモンモランシー? だが彼女は水のメイジだ。
 錬金を使えないわけではないだろうが、無動作で剣を作り出すことなど不可能だ。
 それを出来るとすれば、自分より数段上のトライアングルクラスのメイジしかいない。

 だが誰だ! 誰がやった! ギーシュの混乱は頂点に達する。
 そして五体目のワルキューレが切り裂かれた。


 驚いているのは静嵐も同じであった。
 六体目の人形を切り裂いた時静嵐は確信した。自分の動作がいつもより数段速く、強いと。
 静嵐の『技』であればこの剣――地面から生えていた謎の剣――でも青銅の人形を斬る事はできる。
 だがそれはあくまでも、気勢を乗せた一撃を的確な場所へ的確な速さで打ち込むことによって成しえる、達人の神技に他ならない。

 どだい、それが青銅であっても金属製の物体を両断することなど常識的には不可能なのだ。
 しかし、今の静嵐はその『技』を使用していない。
 純粋な、力と速さでもって青銅製の人形を斬っているのだ。

 剣の切れ味がよほど優れているのかと思っているが、
 今だ魔法というものを完全に理解していない静嵐には判断がつかない。
 ただ、左手が熱く燃えているようだった。その熱さを感じるたびに剣を振るう力が増していく。
 それだけが確かに判ることだった。 
 ――七体目のワルキューレが音を立てて崩れた。

 七体全てのワルキューレを斬り、静嵐は片手に剣を携えギーシュの前に立つ。
 ギーシュにはもはや戦闘能力は残されていない。文字通りの身一つだけだ。
「ま、参った」
 それは先ほど彼が自分に言ったことであるが、自分はそれを認めなかった。
 だが彼はあっさりとうなずいて、

「うん。じゃあこれでお仕舞いということで」
 剣を収める。散々自分に追い込まれておいてなお恨みの一つも零さない静嵐の姿に、
 ギーシュは単純な敗北以上の感情を覚える。
「負けた……」

 本当に、どうしようもなく敗北してしまった時。
 不思議と人間は悔しさを覚えないのだとギーシュは悟った。
 ここに、ギーシュと静嵐の決闘は終わりを迎えたのだった


791 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 17:17:52 ID:9LvITmsi
支援

792 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 17:19:36 ID:yT2CDBHX
支援

793 :零魔娘娘追宝録の代理投下の人の代理:2007/09/17(月) 17:20:40 ID:9LvITmsi

 静嵐は剣を下ろし、気を抜く。弛緩と脱力の間の加減で力を緩める。
 そんな彼の元に心配そうな顔をしたルイズが走りこんでくる。
 そんなご主人様に使い魔である静嵐は声をかける。
「あ、ルイズ。危なかったけどなんとか勝てたよ。というか、見てたんなら止めて欲しいんだけど」
「止めようとしたころにはすでに決着がつきかけてたのよ。……何よ、けっこう楽勝だったじゃない」

「うーん、最初はそうでもなかったんだけど。この剣のおかげかな?」
 剣をルイズに見せてみる。ルイズはその剣を良く見てみるが、何の変哲もないただの剣だった。
「あんた、そのルーンは……」
 それよりもむしろ気になったのは、剣を持った左手に輝くルーンだった。
 使い魔の印かとも思ったが、それが武器に反応して光り輝くとは聞いたことがない。
「これ? なんか光ったと思ったらいつもよりよく動けてさ。これもこの剣の魔法なのかい?」

「貸してみたまえ」
 遅れてやって来て、様子を見ていたコルベールがディテクトマジックを使用する。
 そしてその反応を見て、ううむ、と唸る。
「錬金で作られたことは間違いないが、これはただの剣と同じようだ。その証拠に」
 剣はボロボロと形を失い、その材料であったであろう広場の土に戻っていく。

「砕け……ちゃった?」
「術者が魔法を解除したのだろう。これはどこで?」
「さぁ? 危ないと思ったときに足元にいきなり現れたから使ってみたんですけど」
 使用していた本人である静嵐も、それがどこから現れたかはわからないようだった。
 ルイズは首をかしげる。誰かが魔法で手助けしたことは間違いない。
 だが一体誰が?

                  *

「決闘の手助けしちゃったわね。ギーシュが知れば怒るかしら?」
「関係ない」
「そうね。別に貴女が造った剣じゃなくても、結果は同じだっただろうし」
 キュルケはそう言って友人の顔を覗き込む。
 その顔はいつも無表情な彼女にしては珍しい、険しいものとなっていた。

(鼻持ちならない貴族様を颯爽と打ち倒した謎の平民君に一目惚れ、なんていう目じゃないわね……)
 タバサは未だ首をかしげているルイズたちに背を向け、歩き出す。
「もういいの?」
 キュルケが聞くと、コクリとタバサはうなずいた。その顔はすでにいつもの無表情に戻っている。

 そして二人は寮へと戻っていく。
 その去り際、タバサは歓声に沸くヴェストリの広場に向けて振り返り、一言。
「……似ている」
 と呟いた。


794 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 17:21:06 ID:ZbArbsWA
支援

795 :零魔娘娘追宝録の代理投下の人の代理:2007/09/17(月) 17:21:53 ID:9LvITmsi
以上です。ちっと長くなりましたがギーシュ編終了。
シエスタが空気、モンモンが絡んでくる、タバサの援護と
ようやく道筋から離れてきました。このままデルフ編、フーケ編と続ければいいなぁ。
-------------------------
以上、投下代理の方。ありがとうございます。


代理の方お疲れ様でした。さるさん乙

796 :761:2007/09/17(月) 17:37:23 ID:bIcvn8Cx
うーん…。やるとしたら、なかなか難儀そうだなァ……。
今は【布教】の為に、手元にはないけど、もしやるとしたら、前提として、
・考えや立場は基本、中庸で原典尊重の為、余り前にも出ないし、口出しもしない。ーーが、
怒るべき時はきっちり怒る(元ゲーも、否定感情を使わないと仲間にならんしな)し、失敗もやらかす。
・割と現実主義で、過去の経験から、戦いとそれについて回る諸々の『覚悟』は在る。
・(一応)各女性陣からは親愛、信頼から始まる、好意を寄せられるけど、
生臭い仲にはならない(手のかかる妹に接する様な感じ?)。
・基本は不愛想ながら義理堅いが、ときおり毒気の無いぼやきや、愚痴をこぼす。
…てな、具合かな。


797 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 17:38:07 ID:EMM+feen
静嵐の人乙。

798 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 17:39:00 ID:3hHXgALO
GJ。武器の宝貝は人型だと武器としての機能は使えないから、思わぬ苦戦に
なったと。殷雷みたく真鋼の棍があれば楽勝だったんだろうけど。

799 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 17:42:13 ID:cV2tqyC4
おちかれ

800 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 17:52:03 ID:8+8Y4Akc
GJでしたー
デルフを手に入れたら問題解決ですね
あとこのギーシュは綺麗なギーシュになりそう

801 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 18:07:35 ID:Cqz4HmFm
ゼロの大魔道士

・・・・何もかもがスゲーつまらねえ

ポップを主役にしたSSって尽く内容が厨臭いのばっかだよなぁ

802 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 18:09:15 ID:UPkb4AkA
>>801
気持ちは激しく分かるが、毒吐き行こう、なっ

803 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 18:10:06 ID:92xjAYft
>>801
真の主役はコルベールなんだぜ?
ゼロの毛髪として読めばスゲー面白いww

804 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 18:10:35 ID:VdK2nRGQ
>>801
毒吐きで……毒吐きで言ってくれ……

805 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 18:12:26 ID:coWc/FqI
【毒吐きスレ】:http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1189670017/
                 -――- 、
                , ‐'´         \
             /            、 ヽ
             |l l /〃 ヽ ヽ} |  l  ',
    \          .ljハ トkハ  从斗j │ ハ
     \          l∧}ヾソ V ヾソ !  ! ヽ \
      \ __  __ リ.人  v‐┐ /" ト、  ヽ ヽ  べ、べつに毒吐きに来て欲しいわけじゃないからね!
        {心下ヽ /"  >ゝ-'<{   Vl   } } ただの誘導よ、誘導! 勘違いしないでよっ!
        ゝ<}ノ \  (:::::Y Y:::::!   ヽヘ  { {
           7´ ̄ )   )::∨::__::ヽ   }::\ \丶、
          /  /  /ィ'´ヽ:::::::::ノ  /:::::::::ヽ ヽ `ヽ
          ! ≦∠__ノ:::| /ハ::::/   ゝ、:::::::::`、 リ ノ
           |   .:.:::::::::::l  __ヾ\    ≧:::::::::'、ヽ {
          l_ .:.:::::::::/ >v'  l \::ヾ  ̄::::::::::::::::', }>
            ヽ.:::::::::V  |  ! l∧::::::::::::::::::::::::::::Vリ
             i::::::::::::`ドー rL.」 厶::::::::::::::::::::::::::::!
             l::::::::::::::j ̄ 7:::::├‐ ト、::::::::::::::::::::::::!
               \::::::/  :/::::::::::!   !:::`、:::::::::::::::::::!
               `/  :/ー‐‐┤  「¨¨ ヽ::::::::::/
               ,′ :/      !   !   レ' ´
               ┴‐┴━━━ゝ-┴


806 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 18:13:34 ID:pAGn6FZD
>>805
次スレでテンプレに組み込んだ方がいいかも

807 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 18:13:54 ID:UPkb4AkA
いや、それはだめだろw

808 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 18:14:34 ID:tWcT2joh
>>801
そういうことは毒吐きで

809 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 18:15:30 ID:Az4hlvm4
単発IDで荒らしたいだけのクズは誘導には従わんでしょ常考

810 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 18:19:30 ID:kIl3ZxGH
ポップな人もクズは気にせずスルーしてほしいな、少なくとも俺は読んでる。

811 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 18:29:04 ID:ajAmvkUX
>>796
お願いですんでやめてください。

812 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 18:29:38 ID:Pk3XrHpi
>>805
つーか、「避難所の毒吐き逝け」でいいのにURLまで貼り付けるなよ
おまえのやってること、>>801と同レベルだぞ

813 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 18:29:38 ID:zogjPjV4
市民、あなたは虚無ですか?

814 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 18:35:19 ID:5YSS+wPw
>>812
ちゃんと誘導してあげることのなにが悪いんだい?

815 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 18:36:08 ID:tWcT2joh
おっと、何やら不穏な空気が
そろそろこの話題はやめようや

816 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 18:40:45 ID:2C7aDFWn
>>814
どうせ同一人物の粘着アンチなんだから誘導したって行く訳無いだろうに、好き放題叩くような毒吐きスレを本スレでリンクさせるなよとは俺も思う。

817 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 18:41:33 ID:NIeMlR2o
今ふと思ったけど、透明だったり、透明になれたりするキャラって喚ばれてたっけ?


818 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 18:42:18 ID:0anHTaUK
>>814
キの字に触るな危険!(><)

>>812は「外部板だから誘導すんな」とかぬかすつもりかもしれんな。
むしろそのための外部板・隔離スレだというのに……。

819 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 18:43:58 ID:lGj9yopp
なぁ、もうこういうやつ呼んでも良いよな?

狂戦士(そのまんまの意味で)

820 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 18:48:48 ID:EMM+feen
>>817
姉妹スレのドラゴンズ・ドリームは見えてない。
こっちだと伊吹萃香とか?透明と言うか、認識できないという意味で。

821 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 18:49:13 ID:ZbArbsWA
>>819
ガッツと西条玉藻しか浮かばない
どんなやつ?

822 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 18:49:28 ID:n1n57u6+
おと×まほ の
白姫 彼方(しらひめ かなた)のように
女キャラ以上に美人な男キャラとか面白そう


823 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 18:53:13 ID:ytaMfcGE
>>819
(あ〜るの兄弟)来たか
セイバーハーゲンのだと、メイジ達が知恵を絞っていい戦いになりそうだなぁ

824 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 18:53:45 ID:Nn3OcmWN
>>813
虚無とは何のことですか、市民。セキュリティクリアランスがレッドである私には何のことだか分かりません、市民

825 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 18:55:28 ID:ECR1Z0Vh
>>817
姉妹スレで透明になれる赤ちゃんと、人の記憶を読める漫画家がセットで召喚されてる

826 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 18:58:11 ID:/ptLTu2R
ゼロの大魔道士は終わらせなきゃいけない駄作
あれはダイの冒険を愚弄してるよ
ポップ厨に死を

827 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 18:58:39 ID:lGj9yopp
>>821
某ラノベのキャラなんだが書き途中
ちなみに型月とは関係ないから荒れないでください

828 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 19:01:35 ID:wZIvlKSA
スレチだが
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このスレを見ている人はこんなスレも見ています。(ver 0.20)
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829 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 19:03:23 ID:cRML5ZRP
キチガイが涌いたなぁ…

宝貝の人乙
セイランが何時暴走するのかwktkしてるww

830 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 19:03:42 ID:SBcBKC8m
>>827
執筆頑張れ、健闘を祈る

831 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 19:05:10 ID:fgTRPHf4
ドサマギで一発ネタ。

「ちぇっ、貴様までルイズルイズかよ」
「見てたのか。怒るなよ、ワルド。
 あんたはオレの命の恩人で、頼りになるメイジとも思ってる。友人ともな。
 それじゃ、いけないか?」
「……あの小僧が現れて以来、全部が狂いっぱなしなんだ。
 学院を出てからはずっと一人でやってきたし、中退ってことで他の連中にはやっかまれてな。
 俺は、別にそれでもよかった。俺は他と違うからな。それが、今じゃめちゃくちゃだ」
「焦ってんだ」
「なに?」
「オレと同じさ。
 どうしたらいいか、何をしたらいいか、わからなくて、焦ってる。
 状況の変化に、対応できてない」
「……俺は、貴族だ」
「貴族も人間って事だろ?」
「……」

832 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 19:06:43 ID:bRQGoKya
>>826
そういうのやめろって
お前の評価と一般の評価は同じわけじゃないんだから

833 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 19:06:56 ID:wZIvlKSA
>>827
型月じゃないと注意していてなおかつラノベ・・・
もしかして・・・9S?

834 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 19:08:30 ID:TYteHVAH
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        .: .: .: .:`"'' - 、,.,. ,,.,.,;'  ;'.: .: .: .: .: .....
           ...: .: .: .: .: .: .: .: 、,.,.;'.: .: .: .: .:.....
             ....: .: .: .: .: .: .: .: .: .:.....


835 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 19:10:53 ID:TYteHVAH
ごめん誤爆した

836 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 19:11:08 ID:aiTAiKlj
>>819
サムライチャンプルーのムゲンとか。
個人的にはいっそジンとフウごとよんでしっちゃかめっちゃかに引っ掻き回して欲しいんだが(w`

後はTEXHNOLYZEの櫟士とか。
こっちもヴィンダールヴ大西さん、ミョズ吉井さん、憚られるイカロノ様とか妄想。
…他は兎も角最後のはバッドエンド直行かorz

837 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 19:11:21 ID:7AISwFQc
>>826
『愚弄』とまでほざくならタイトルを間違えるなよ。
「ダイの『大』冒険」だぜ。
気にいらなけりゃ読まなきゃいいのに余計な事書き込むから恥かくんだぜ。

838 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 19:11:39 ID:1AUTr+fh
なんか和んだw

839 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 19:11:43 ID:fr44wZFx
一体どこの誤爆だw

>>831
スパロボかよ、分かりづらいぞそのネタはw

840 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 19:11:59 ID:KWBoU5iu
この空気の中、余計な誤爆すんなよ……

841 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 19:12:59 ID:bzRFaDu5
ラノベでバーサーカー……
ロードス島?

まーさーかー!

842 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 19:15:28 ID:tWcT2joh
>>832
>>837
スルーすればおk


843 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 19:18:13 ID:GlD6pNb1
狂戦士の仇名を持ちながら劇中屈指の常識人、
ゼルディガスだったかゼガルディスだったかだな。

844 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 19:18:46 ID:UPkb4AkA
>>834
なごんだw

845 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 19:19:02 ID:B3Gi3E4t
オルソンならゆっくり休んで欲しいなあ
BADだけはやめてほしい

846 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 19:20:10 ID:SxunY9bB
>>831
SRWDのジョッシュとかこの板で何人分かるよw?
確かに屈指の常識人主人公ではあるけどさ。

847 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 19:22:20 ID:Nn3OcmWN
>>845
オルソンの場合七万の軍隊相手に自分の意思でバーサーカーになって特攻する結末しか浮かばない

848 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 19:25:45 ID:OJTC/7pJ
>凶戦士

捨てプリの魔法『ベルセルク』のかかった兵士とか?

849 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 19:26:48 ID:2oRW11Fg
犬鎧ガッツ召還

850 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 19:28:11 ID:cRML5ZRP
バーサークオルソンはロードス最高の萌えキャラ
シールスはビッチ

851 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 19:29:42 ID:Quqks99p
最悪のビッチだったよな>シーリス

作者の歪んだ恋愛観とかが、この頃から見え隠れしてたわ。

852 :831:2007/09/17(月) 19:30:47 ID:fgTRPHf4
>>839
>>846
彼ならばワルドともうまくやれそうな気がしてやった。
そして、思いのほかジョシュアがマイナーと認識されてることに泣いた。
歴代主人公の中でも一番好きな奴なんだけどなぁ……

853 :DOD&M:2007/09/17(月) 19:31:10 ID:Z3kCfQAh
閑話を一手投下させていただきたく……

854 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 19:33:17 ID:cRML5ZRP
進路クリア、発進どうぞ!

855 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 19:33:19 ID:TYteHVAH
コォ━━━━щ(゚Д゚щ)━━━━イ!!!!

856 :DOD&M:2007/09/17(月) 19:34:03 ID:Z3kCfQAh
したらば。


 翌日。朝もやの中、タバサはシルフィードを引き連れて魔法学院の玄関先で本を手に佇んでいた。
 一日経っても戻ってこないキュルケ達が心配でならないのだ。
 二人きりとあらばいつも喧しいくらいに声をかけてくるシルフィードも、今は固唾を飲んで昨日アンヘルが飛んでいった先の空へと目を向けている。
 もしや、あの黒い竜にやられてしまったのではないか。
 最悪の事態を思い浮かべ、タバサはふるふると首を横に振った。

「お姉さま、どうしたの?」
「何でもない」

 一度空に向けた視線を、本に移してタバサはシルフィードに返した。
 昨日も何度かこうしてキュルケ達の帰りを待っていたのだが、やはり一晩を越えた今こうして待つ身となると、不安が先立つ。
 タバサはふぅ、と溜息を吐き、散漫な意識で本を読み続けた。
 しばらくそのままでいると、学院の方から朝もやに紛れて二つの人影がこちらに向かってくるのをシルフィードが確認した。
 きゅい、と一つ鳴き声を上げ、タバサの服の裾を引っ張る。

「随分と早くからいるのね……」

 大小二つの影の一つが、ほんの少しの呆れを込めた声をタバサにかけた。
 ざっざっと、聞こえる足音が止まった時には、既に二人の顔は判別出来ていた。最も、もやにかかっていた時から、誰であるかは分かっていたのだが。

「まだ帰ってきてないのかよ」

 タバサの前に現れたサイトが、ルイズに続けて言った。その視線はシルフィードのそれと同じ方向に向けられる。
 サイトが先日事情を聞いたのは、キュルケ達がブラックドラゴンを追って飛んでから、随分と後の事だった。同行できなかったのが余程悔しかったのか、昨日一日は随分と沈んだ様子を見せていたのが印象的であった。
 サイトは一時止めていた歩みを再開し、タバサの隣に行くと、そのまま腰を下ろした。

「……もう少し当てにして欲しかったよなぁ」


857 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 19:34:20 ID:1AUTr+fh
かもおおォおおおおおおおおおおおおおおおんああああああアッ!

858 :DOD&M:2007/09/17(月) 19:35:27 ID:Z3kCfQAh
 遠い目をして言うサイトをちらりと横目で見た後、何事も無かったかのようにタバサは本に目を落とす。
 その間に、何故か不機嫌そうな様子を見せるルイズが割り込み、座り込んだ後、何か言いたそうな視線をサイトに向けた。

「?」

 じとーっとした目の意味する所を図れぬサイトは、困った様な顔で傍らであくびをしているシルフィードを見た。
 こういう場合、無口なタバサよりもおしゃべりなシルフィードの方が場の空気を緩和させてくれる。そう思ったサイトを、シルフィードは二度目のあくびと共にこう切り捨てた。

「くぁ……にぶちんにぶちん〜」
「はぁ?」
「何しに来たの」

 シルフィードの言葉に眉を顰めたサイトに、タバサはようやく口を開いた。
 ちょっと外に出るには、多い手荷物を二人は持っている。こうして自身と同じ様にキュルケ達を待つのが目的ではあるまい。

「王宮からの馬車を待ってるのよ」
「そう」

 ルイズの簡単な一言を受け、理解する。ゲルマニア皇帝とトリステイン国王女の結婚式が間近であった。確か、詔を読み上げる大役を仰せつかったと、以前いつもの面子で駄弁っている時に、ルイズ自身がそんな事を言っていた。
 一人納得した様に頷くタバサに、ルイズは言葉を続けた。

「にしても、何やってるのかしらね、あいつら。人にいらない心配させないで欲しいわ」
「…………」

 こういう事をストレートに言葉に表すのはルイズとしては珍しい。まして、常日頃から仇敵と呼ぶキュルケを相手にとあらば、それこそ今までに無かった事かも知れない。
 サイトはほんの少し目を丸くした後、不意に彼女に微笑んで見せた。こういう面をたまに見せるからこそ、この少女は放っておけないのだ。
 惚れた弱みかね、と心中で呟くサイト。

「……さっきから何にやにやして見てんのよ」
「何でもねえよ」

859 :DOD&M:2007/09/17(月) 19:36:43 ID:Z3kCfQAh
 ルイズは若干頬を赤く染めながら、サイトの笑みにじと目で答える。
 鞘から少し顔を覗かせたデルフリンガーが、くつくつと笑って言った。

「初々しいというか、おぼこいというか。やれやれだぜ」
「「うるさい!」」

 声を揃えるルイズとサイトと、それを冷やかすデルフリンガーのドタバタした様子を他所に、タバサはひたすら空と本との両方に目を行ったり来たりさせている。
 学院の外から息せき切って駆けて来る男の姿を見咎めたのは、またもシルフィードであった。

「きゅい、一体こんな時間に誰なのかしら?」

 来るとすれば、ルイズの言っていた王宮からの馬車くらいのものの筈だ。だが、男は一人。
 服装を見るに王宮からやって来たのには間違いなさそうだった。それが余計に皆を混乱させる。

「オールド・オスマンの居室はどこでありましょうか!?」

 タバサ達の前で立ち止まった男は、肩で息をしながらも、はっきりとした口調でこう尋ねて来た。
 何事かとこちらが尋ねようにも、男の剣幕はどうもそれを許しそうに無い気配である。
 若干のどもりを見せたルイズが男の質問に答えると、彼はここまでやって来た勢いのままに、学院内へと猛然と駆け出した。

「……何あれ?」

 尋常ならざる様子に、皆が顔を見合わせる。王宮で何か起こったとでも言うのだろうか? そこで、昨日現れたブラックドラゴンとワルドの姿を思い浮かべる。
 もしや、あれは何かの呼び水であったのだろうか。
 真っ先に走り出したのはタバサであった。それに少し遅れてルイズとサイトがそれに続く。
 何が起こっているのか、この耳で確かめなくてはなるまい。走る三人の考えは、一様に同じであった。

「アンヘルお姉さま……」

 一人残ったシルフィードは、遠い空を眺めながらその無事を祈った。

860 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 19:36:47 ID:TYteHVAH
支援

861 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 19:37:28 ID:1AUTr+fh
フタエノキワミ
支援

862 :DOD&M:2007/09/17(月) 19:37:59 ID:Z3kCfQAh
 学院長室から事の成り行きを盗み聞きしていた三人は、再び顔を見合わせていた。
 戦争と言う、予想範囲内での最悪の出来事に、ルイズは顔面を蒼白にさせ、タバサはきっと唇を一文字に結んだ。
 戦争と言う言葉に実感の湧かないサイトは、少しばかり混乱した様子を見せていたが、その後に耳に飛び込んできた情報に、目を剥いた。
 ラ・ロシェールとタルブの平原を挟んで睨み合う両軍だが、不思議とタルブの村の一角だけが、奇妙な程に被害を受けていないというのだ。
 ただ、村の入り口には山の如く積み上げられたアルビオン兵の死体が転がっているそうだ。
 それも恐ろしいほどの力で両断したと見られる物や、炎に焼かれて無惨な様相を呈する物ばかりらしい。
 さらに、その下手人は誰の目にも明らかにされてないとの話である。
 攻め入る度に恐ろしい手口で被害を受けるタルブの村は、たった一日の内に忌避の対象となったとか。
 これだけの情報があれば、この面子にはもう分かる。キュルケ達の居所は思わぬ形で明らかになった。

「……タルブに行こう」
「…………」

 サイトの言葉に、タバサが頷く。一人で向かおうと思っていたサイトだが、キュルケが関わっている以上タバサが付いて来ないわけがないのは百も承知だ。
 それにタルブに向かう足が必要である。
 ベルクートの修理はまだ完全には終わっていないし、ジェット燃料の練成には相当に時間がかかるという状況だ。悔しいが今はタバサとシルフィードを頼らざるを得ない。

「勿論わたしも行くわよ」

 本来であれば、ルイズは反対する所であったが、今の状況でそんな無粋な真似を出来るほど彼女のプライドは安くなかった。
 トリステイン魔法学院に籍を置いているとは言えど、キュルケはゲルマニアの民である。それが、トリステインを守る為に戦っているのだ。少なくともその事実を前にして引くわけにはいかない。

「…………」

 ルイズの決断にサイトは若干の逡巡を見せた。出来れば連れて行きたくは無い。危険がすぎる。
 だが、やはり関わっている者が者だけに、彼女の性格から言って引く事はないだろう。いざとなれば自分には守る力がある筈だ。そう言い聞かせて、数拍の間を置いて彼はルイズに言った。

「本当にいいんだな?」
「当然よ。っていうより、あんた使い魔なんだから、ご主人様と一緒にいるのが普通でしょ? 前みたいに置いてきぼりなんて、許さないんだからね?」

 力強い返答を受け、サイトは少しの後悔を浮かべた後、ルイズに向けて頷いて見せた。

「急ぎましょう」

 総意が決まり、率先して動きを見せたのはタバサだった。小さく呟くと同時に、校舎の外へと向かい早足で駆け始めた。
 ルイズの手を取ってそれを追うサイトは、その最中こう言い放った。

「俺がどこまで役に立つか分からないけど……待っててくれ……」

863 :DOD&M:2007/09/17(月) 19:40:04 ID:Z3kCfQAh
はい、つなぎでした。
んだば、あじゅじゅしたー。

864 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 19:42:04 ID:cRML5ZRP
乙ドラゴン

865 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 19:42:17 ID:BWujiIIh
GJ!GJ!!!

866 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 19:42:35 ID:TYteHVAH
本当に本当に乙でした

867 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 19:43:08 ID:1AUTr+fh
乙エノキワミ アッーーーー!

868 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 19:47:03 ID:ZbArbsWA
乙!
ようやくアリオーシュ仲間になったよ
「じゃあ大人でいいわ」にビビった

869 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 19:47:29 ID:VDRylSJe
乙様!

870 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 19:52:26 ID:HtVrOxLk
そういやバスタードのガラ召喚とか誰か書かんかな?
偏在vs分身とかいいかも。
ガラもエロいし。

871 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 19:53:04 ID:cRML5ZRP
>>870
自分で書け

872 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 19:54:02 ID:J5cIEQLs
ゼロの大魔道士
恥を知っているならもう書かないで欲しい。

873 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 20:05:32 ID:U5XcSI0+
蒸し返すなよ…

874 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 20:07:04 ID:tWcT2joh

>>870
>>872
まずは乙を言おう

875 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 20:07:04 ID:ttmg3SBU
単発IDの粘着だからスルーしとけよ

876 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 20:19:06 ID:J3O9AfRQ
アンヘルねえさま可愛いよ乙。

2→1の順にプレイしたら精神的ダメージが甚大だったよ……
カイム……
涙腺崩壊した

877 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 20:20:28 ID:VDRylSJe
一発ネタで済ますつもりが続編ができつつある

878 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 20:20:34 ID:cRML5ZRP
>>874
……いや、真っ先に乙してるんだが?

879 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 20:24:19 ID:CuAnWsi/
>>878
>>870>>872 は乙言うとらんぜ?

880 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 20:24:46 ID:tWcT2joh
>>878
>>871に対しては言ってないが…

881 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 20:24:59 ID:TYteHVAH
>>878
オーケイブラザー、ときに落ち着け

882 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 20:25:00 ID:0anHTaUK
>>878
お前は一体何を言っているんだ?

883 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 20:25:13 ID:BWujiIIh
>>878
お前じゃないやい

884 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 20:25:36 ID:qZkk8bbL
>>878
落ち着くんだ、IDとアンカー見る限り誰もあんたのことを言ってないぞ。

885 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 20:26:21 ID:fr44wZFx
>>878の人気にS・H・I・T!

886 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 20:26:53 ID:m0/33w9c
某ss投稿掲示板も見てるが、正直ここより辛辣な意見多いな。
なんか意外な感じだ、にちゃんねるなのに。
台本書きは論外だが、地の文で「〜た。」を多用してるだけで叩かれたりしてるんだがなあ。

887 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 20:30:46 ID:fr44wZFx
>>886
そういうのは避難所でやった方がいい。


そして忘れていたがDODの人GJ!

888 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 20:34:19 ID:cRML5ZRP
すまん、2徹で頭がぼけてるようだ
仮眠してきましあ

889 :魔法少女リリカルルイズ:2007/09/17(月) 20:35:33 ID:8Ly5SoLU
投下したいのですがよろしいでしょうか

890 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 20:35:49 ID:JWdRVhc3
某投稿SS掲示板だと、荒らし認識喰らうと書き込みどころか観覧することすらできなくなるからな

891 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 20:35:55 ID:hOokyHXD
支援させてもらうッ!

892 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 20:36:15 ID:7SYGAnSU
>>886
その批判用の板が避難所の毒舌スレだ
その某掲示板がどこかは知らんが、投稿用の板と批判用の板は別だろ?

893 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 20:37:01 ID:GbyTKijd
支援

894 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 20:37:55 ID:tWcT2joh
支援

895 :魔法少女リリカルルイズ:2007/09/17(月) 20:37:58 ID:8Ly5SoLU
トリステインの城下町についたキュルケはタバサをつれて、まず駅に走った。
案の定、タバサの使い魔のシルフィードが見つけていた学院の馬がいた。
城下町に入ってからはシルフィードはルイズ達を見失っている。
壁と人混みに紛れて見分けがつかなくなった、とタバサが言っていた。
駅の警備の衛兵にこの馬に乗ってきた学院の生徒はどこに行ったかと聞いてみると、大通りの方に歩いていったと答えが返ってきた。
というわけで、今は大通りを歩きながらルイズを探している。
大通りには綺麗な店が多い。
値段は高いが学院の生徒が遊ぶにはちょうどいいところだ。
適当な店に入って値切り交渉を楽しむのもいいが、今日はでパス。
お上りさんみたいになるがあちこちきょろきょろしながらルイズを探していた。
前をあまり見ていないのでときどき人にぶつかりそうになるがその度にタバサが服を引っ張って教えてくれる。
そういえば今日は衛士がやたら目につく。
何かあったのだろうがキュルケには関係ない。
とりあえず無視して探し続ける。
またタバサが服を引っ張ってきた。
人にぶつかりそうになったのだろう。
前を見て確認・・・。
茶色い壁が目の前にあった。
「だれよ、こんなもの大通りの真ん中に置いたのは」
憤慨しているとタバサが杖でその壁を指し示した。
よく観ろ、ということだ。
見てみると壁ではなかった
壁に見えるほど大きい木が大通りの真ん中に生えている。
「なによ・・・これ」
見上げるほど、空高くそびえ立っている。
魔法を使っても1年や2年でこんな大木が生えるなんてのはあり得ない。
実際ちょっと前に来たときにはこんな所に木は影も形もなかった。
足下で固い物がぶつかる音がした。
根が生えてきている。
植物の根が石畳を下からめくり上げているのだ。
しかも、目で見てわかるような速さで。
上に伸びきった根が重量に耐えきれずに落ちてくる。
「わぁっ、わっ」
後ろに伸びのくが、その足下でも同じように生えてくる。
今度は大きな音がする。
そちらでは、建物が太い蔓に押しつぶされていた。
その蔓がキュルケとタバサめがけて落ちてくる。
「タバサ!走るわよ!」
返事を聞く前に回れ右をしてダッシュ。
大通りを歩いていた他の人間もキュルケたちと同様に走って逃げている。
キュルケたち少しで遅れてしまったらしい。
下から生える根が足を取ろうとし、上から振る蔓が押しつぶそうとする。
「来た」
タバサがつぶやく。
風を切る音と共にシルフィードが走る2人のそばに降りてきた。
タバサはフライの魔法でシルフィードの背中へ。
キュルケもそれに続く。
タバサの伸ばした手を掴んだキュルケの重みを感じたシルフィードは足と翼を伸ばして空高く飛び立つ。
「どうなってるのよ」
シルフィードは蔓に捕まらない高度で森が広がりつつある城下町を旋回し続けた。

ケーキ屋から飛び出たユーノの目に飛び込んできたのは遠くに生えている大木だった。
巨大なんて物じゃない。
城と同じくらいの大きさに見えるほどだ。
周囲では急速に生える木や根、うねて跳ねる蔓が石畳や建物をめくりあげたたきつぶしている。
人々はそれから逃れるべく通りを走っている。
今、ユーノとルイズが出てきたケーキ屋にいた人たちもそれに気づいたらしい。
我先にと店から飛び出て来る。
「ユーノ・・・こういうときはどうしたらいいの?」
ユーノはルイズに振り返る。

896 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 20:38:16 ID:hOokyHXD
支援

897 :魔法少女リリカルルイズ:2007/09/17(月) 20:39:01 ID:8Ly5SoLU
「ルイズ・・・!?」
レイジングハートが輝き、ルイズの体は細かく震えている。
後ろ姿でもよくわかる。
ルイズは怒りで震えている。
「ユーノ!」
「あ・・・うん。封印するには、接近しないとだめだ。まずは元となっている部分を見つけないと。でも、これだけ広い範囲に広がっちゃっているとどうやって探したらいいか・・・」
「元を見つければいいのね」
ゆらり。
魔力を溢れさせたままルイズはレイジングハートを構える。
「Area Search」
レイジングハートはルイズの意志に応じて使うべき魔法を選び出す。
ルイズが魔力を振れば、立ち上る魔力は地面に向かい魔法陣を描き出す。
「リリカル、マジカル!災悪の根源を探しなさい!」
魔法陣は光の玉となって四方へ散り、八方へ飛ぶ。
その全てが魔法で作られたルイズの目となる。
魔力の強い場所の光景がルイズの頭に浮かぶ。
節くれ立った木。
不気味なまでに茂る枝葉。
うごめく蔓。
そして・・・
「見つけたわ!」
「ほんと?」
ルイズは見つめる。
ジュエルシードが隠された巨木を。
「すぐ封印するわ」
「ここからじゃ無理だよ。近くに行かなきゃ」
「できるわ!」
空にレイジングハートを掲げる。
「できるわよね!レイジングハート」
「Shooting Mode.Set up」
レイジングハートが形を変える。
魔力をより遠くに届けるための形。
ギーシュのワルキューレから変貌したゴーレムをを打ち抜いた形だ。
ルイズはレイジングハートを構える。
その先は、ピタリとジュエルシードの隠された巨木へと向けられている。
「リリカル、マジカル・・・」
途端、ルイズの足下が持ち上がる。
「え?」
地面を割って蔓が溢れでる。
その一本はルイズの足にからみつき、たちまちのうちに天高く小さい体を持ち上げた。
「きゃーーーーーーー」
「ルイズ!!」
蔓は空中のルイズの手に、足に、体に、巻き付く。
「きゃあああっ。ゆ、ユーノ、ユーノ、助けてっ。キャアアーーー」
「ルイズ!すぐ行くよ」
ユーノはマントを翻し飛びたつ。
ルイズを振り回す蔓に取りつき引っ張り、引きちぎろうとするが取れない。
「く・・・固くて・・・とれない」
「ユーノ!後ろ!」
別の蔓がユーノを背中から遅う。
「うわぁあっ」
シールドを展開して直撃を防ぐ。
「わーーーーっ」
空中に体を固定できない。
蔓の威力はユーノをはじき飛ばす。
「ユーーーーノーーー!」
吹き飛ぶユーノは煙を挙げる瓦礫の中に消えた。

898 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 20:39:18 ID:hOokyHXD
支援

899 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 20:39:37 ID:JWdRVhc3
全力全開の支援

900 :魔法少女リリカルルイズ:2007/09/17(月) 20:40:03 ID:8Ly5SoLU
今日はここまでです

ルイズにナニカをからみつかせてあんなことやこんなことやそんなことをしてみたってことで

901 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 20:40:58 ID:hOokyHXD
リリカルさん乙ッ!!

ナニカを絡みつかせてあんな事やこんな事なんて、リリカルさんったらいけない人ッ!

902 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 20:43:08 ID:H3WIaUgX


903 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 20:56:51 ID:3Wkvr101
乙でした

904 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 20:59:55 ID:yzgyoEY/
乙っす!!
ではその何かは、世の中の少年少女のためにも、常にヌルヌルさせておくべきでありますな!

905 :ルイズ! ザ・使い魔ストーリー ◆NPqig7Jvw. :2007/09/17(月) 21:08:23 ID:hMu9QGXs
乙です

続いて投下していいですか? ギーシュ決闘まで

906 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 21:14:05 ID:yzgyoEY/
絡みつかれつつ支援いたす!

907 :ルイズ! ザ・使い魔ストーリー1/9 ◆NPqig7Jvw. :2007/09/17(月) 21:16:23 ID:hMu9QGXs
ではおとこばにあまえて。
=================================================================================================
「――まあ、あんたが魔法を使えるっていうのはわかったわ」

ぶすっ、とした顔でルイズは呟いた。朝からあのツェルプストーに爆笑されて不機嫌なのだ。
その原因を作った張本人である黒猫は机の上に丸まったまま澄ました声で返してきた。

「最初から言ってるだろ」
「だからといってあんな方法で証明することないじゃない……でも、韻竜とかなら知ってるけど、韻猫なんて聞いたことないわね」
「だからネコじゃないー!」
ふー、と毛を逆立ててうなってくる。今は授業中なのだが、誰もこちらを気にしてこない。なんでも、姿隠しの呪文とやらで、
他の人たちからは姿を見ることも声を聞くこともできなくしているらしい。四系統魔法にそのような魔法は聞いたことがないので、
少なくとも自分たちの使う魔法とは別の系統のものなのだろうということは理解できた。

しかし、かわいくない使い魔である。外見は愛くるしい猫の姿なのに。

「もうちょっとかわいげ見せなさいよねー」
「いやだね」
ぷいっとそっぽを向いてしまった。しばらくそのままの姿だったが、ぴくんと耳をそばだてて再び顔を上げた。
「今の話、なんだって?」
「今の話? ……ああ、”トライアングル”とか”スクウェア”とか?」
シュヴルーズ先生の話のことらしい。授業など聞いていないのかと思っていたのだが、意外と意識を傾けていたようだ。
ルイズは簡単に、四系統魔法の仕組みとメイジのランクについて説明してやった。
「……魔法と魔法を掛け合わせる? ちょっと聞いたことがないな……いや、その四系統をまとめて一つの魔法と考えれば
 あるいは。でも、それなら中心になるもうひとつの系統が必要なはずだな」
「あら、そのとおりよ。”虚無”って系統があるけど、始祖ブリミルだけが使えた伝説の系統だから、今ではあまり語られないのよね」
「ブリミル……ブリミルね」
再び押し黙ってしまった。一見聞いていないように見えるが、よく見ると耳がピンとたっている。
本人(本猫)の言うことに寄れば、別の世界の魔法使いだという話だから違う系統の魔法には興味があるのだろう。
そんなことを考えていると、シュヴルーズが生徒の誰かに”錬金”の実演させようとしているところだった。
「それでは……、そうですね。ミス・ヴァリエール。こちらにきてお願いしますわ」

「待った!」「異議あり!」「シュヴルーズ様お許しを!」

いっせいに抗議の声が上がる。その声が嘲笑するというよりもむしろ真摯なものであることが余計に敵愾心を掻き立てた。
絶望の声を上げる級友たちを尻目に、ルイズは教壇へと降りていった。

908 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 21:18:00 ID:yzgyoEY/
黒ヌコ支援!

909 :ルイズ! ザ・使い魔ストーリー2/9 ◆NPqig7Jvw. :2007/09/17(月) 21:18:00 ID:hMu9QGXs
ブリアンは教壇へと降りていくルイズの後姿を興味なさげに見下ろしながら、別のことを考えていた。
どうも、妙だった。
ガンバンワロウンが多頁世界への道を開いてから、他の世界から星の数ほどの魔法使いがやってきて、その数だけの魔法が生み出されてきた。
しかし、そのすべてに共通することが二つある。


魔法とは、力の元を見つけ出してそれを使うこと。これはいい。

もう一つは、悪意あるものに触れられては、魔法が使えないということだ。


しかし彼らの魔法には、そんな要素は全く見当たらないようだった。魔女ですら、その法則には逆らえないというのに。
今の講義とルイズの話を聞いてるうちにその疑惑はさらに深まった。そもそもが、不死秘法を求めないシーカー、こうして
仲良く和気藹々と共に学ぶシーカーというのが異常すぎるのだ。そして。
(ブリミル……ブリミルだって? まさか……)

ふと気づくと、教室は静まり返っていた。教壇ではルイズが妙に神妙な面持ちで杖を構えている。
よく見回すとルイズとシュヴルーズ以外の生徒はみな机の下に隠れている。いやな予感がした。
ルイズが小さくルーンを唱え、杖を振る。そして大爆発が起きた。
呪文を唱える暇もなく爆風にあおられて吹き飛ばされる。
壁にたたきつけられる直前に見た光景はまさに地獄絵図とかした教室と、ぼろぼろになりながらも淡々としたルイズの姿であった。

「ちょっと失敗したみたいね」
(どこがちょっと!?)

消え行く意識の中で思わず突っ込みつつ、彼女のはなった魔法の異質さをどこかで感じながら、ブリアンは気絶した。

910 :ルイズ! ザ・使い魔ストーリー3/9 ◆NPqig7Jvw. :2007/09/17(月) 21:19:20 ID:hMu9QGXs
「……ん?」

ブリアンはバスケットの中で目覚めた。なかに布が詰め込まれている。
ルイズの部屋かとも思ったが、どうやら違うらしい。もっと粗末な部屋だ。
「お目覚めですか?」
声をかけてきたのはカチューシャで纏めた黒髪とそばかすが可愛らしい、メイドの姿をした少女だった。

「ここは?」
「私の部屋です。ミス・ヴァリエールが……その、ちょっと授業で魔法を失敗してしまったそうで。
 ミス・ヴァリエールは教室の片づけを命じられたのですが、あなたが目を覚まさないので彼女が心配して
 その間介抱するように頼まれまして」
「……そう」
気絶するだけでも屈辱なのにさらに介抱まで受けたとは、魔女の名が泣く。もっとも、使い魔などにされた時点で泣いてるというものだが。

「あの……あなた、魔法が使えるんですって?」
「なんでそれを?」
「ミス・ツェルプストーが言ってましたよ」
そういえば、あの赤毛のシーカーはブリアンの使った魔法を見ていた。彼女が言いふらしたのか。
メイドはほう、とせつなげにため息をついた。
「すごいなあ。猫なのに、魔法が使えるなんて」
「猫じゃない」
何度目かわからない抗議をするが、聞いていないようだった。どこか遠い目で呟く。

「わたしたち、平民は魔法が使えないから。力がないから、怖いんです。貴族の方々が。ちょっとした気まぐれで、
 あっさり殺されるんじゃないか……そんな、恐怖が」
「……」
「こんなことを言ったら不敬ですけど……ブリミル様って、不公平ですね」
ブリアンは思い出した。そういえば、この世界の魔法使いはその力で持って、支配層として君臨しているらしい。
くだらないことだと思った。魔法使い、シーカーとは力を求めるからこそその名を冠する。それが、そんなちっぽけな
低俗な自尊心を満足させるために使うなどと。

「魔法使いは、力の元を探し出し、行使する。魔法に携わらないものが、敵うはずがない」
「ですよね……」
「でも、アイツはそんな奴らに立ち向かって、出し抜くんだ。たいした役にも立たないくせに」
「え?」
ブリアンは失言をもらしたことに気づいた。不思議と余計な言葉を漏らしてしまったことを恥じ、立ち上がって部屋を出ようとした。
「大丈夫ですか?」
「ああ」
そういえば、このメイドの名前も知らない。特に聞く必要もなかったが、タイミングよく向こうから名乗ってきた。

「私、シエスタって言います。なにかあったら、いつでも御用を申し付けてくださいね」

911 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 21:19:44 ID:yzgyoEY/
もしかして、ここで気絶するパターンは珍しいのでは?支援。

912 :ルイズ! ザ・使い魔ストーリー4/9 ◆NPqig7Jvw. :2007/09/17(月) 21:20:52 ID:hMu9QGXs
ブリアンは食堂にいた。
用がないときは、いつも隠れ身の魔法を掛けている。だから、どこにいても咎められることはない。
先ほどのメイドやそのほかのメイドたちが、せわしなく給仕をしている。今現在ブリアンの主となった少女――非常に不本意だが――の姿は見えない。

ふと、真正面の奥に座った少年――異様にキザな格好をした少年だ――のポケットから、何か小壜が落ちたのが目に入った。
それはたまたまだったが、その紫色の液体に少し興味を引かれた。どうやら何かの魔法薬のようだ。
この距離でそんなことまで判別できたことにちょっとした違和感をおぼえながら近寄って拾い上げた。猫の手で拾うのは
少し困難だったが、しげしげと見つめた。こちらの世界の魔法で作られたものだろう。大したレベルのものではないにせよ、
全く異質な魔法でできた薬というものには興味がわいていた。

「……あれ、なんでこんなところに猫が?」
「しかもなんか壜を持ってるぞ。って、それさっきギーシュが落としたやつじゃないか」
その声にぴくん! と顔を上げると、周りの目がブリアンに集中していた。

「あ、あれ? なんで?」
ブリアンの掛ける姿隠しの魔法は強力である。あえて注意して見ようとするものでなければけっして意識することはできない。
あえて注意して見ようとするものでなければ……
そのときはじめて、ブリアンは己の額のルーンが光り輝いていることに気づいた
「なんだこれ?」
そんなブリアンをみて周りはさらに騒ぎ立てた。

「猫がしゃべってる……ああ、ゼロのルイズの使い魔か」
「おい、その壜ってひょっとしてモンモランシーの使ってる壜じゃないか?」
「そうだよ、モンモランシーが魔法薬を入れるのに使ってる壜だよな」
「ていうかギーシュが落としたんだよなそれ。なんで拾わないのかと思ってたら……さては!」

ビシリ、と一人の少年がキザな少年に指をつきつけた。

「そう! 被告はモンモランシー嬢と付き合っていたのです!」
「違う、ナルホドー。これはだね、モンモランシーに頼んで作ってもらったただの眠り薬さ。最近、ちょっと寝つきが悪くて……」
なぜか、ブリアンにはその壜の中身がどのようなものか、文字通り手に取るようにわかった。
わかると、生来の性格がつい口を開かせていた。

「いいや、これ幻覚薬だね。飲むか体に降りかけるかすると獣の雌が美女に見えるようになる類のものだ」

シーン、と場が静まり返る。やがて、ギーシュと呼ばれたキザな少年がギギギ、と音を立てるようにして首だけこちらに振りむく。
「……えーと?」

ガタ、と少女が立ち上がる。それに続くようにガタガタガタと次々と何人もの少女たちが立ち上がる。
「モ、モンモランシー……それにケティにマリーに……」
モンモランシーと呼ばれた、最初に立ち上がった少女はにっこりと邪気なき笑顔で微笑むと応えた。

「みんなに手を出していたんですってね」
「え、いや、そのだね。手を出していたって言うか、僕は薔薇で、君たちも薔薇で、
 薔薇はみんなに愛でられるのがというか『手』はつけてな……」
「そんなに節操がないのなら獣にでも発情してればいいのに」
強烈な毒を吐くとテーブルのワインをとりギーシュの頭から振りかけた。そして他の少女たちも同じようにすると食堂を出て行ってしまった。

色々とアレな展開にしばらく場は固まっていたが、やがてワインの海に沈んだギーシュがハンカチを取り出し、顔をゆっくりとぬぐった。
はっきりいって意味がないし、そのハンカチ自体ワインでぬれきっていたのだがそれでもキザな態度を崩そうとはしなかった。
「美しい薔薇たちには、棘がある……五寸釘くらいの棘が」
すこしばかり本音が出ているようだったが、それでも本人は体面を整えたつもりらしい。首をやれやれと振るとこちらに話を振ってきた。
「さて、どうしてくれるんだい? 君が軽率に壜を拾ったせいで、ぼくだけでなく彼女たちの名誉をも傷つけて……って待ちたまえよ!」

正直、つきあっている義理はなかったので立ち去ろうとしたのだが、すでに注目されているため姿隠しの呪文は役立たない。
あっさりと見つかってしまい、ち、と舌打ちをして振り向いた。

913 :ルイズ! ザ・使い魔ストーリー5/9 ◆NPqig7Jvw. :2007/09/17(月) 21:22:05 ID:hMu9QGXs
「ぼくの知ったことじゃない」
「言ってくれるじゃないか、猫のくせに。……ああ、猫だからか。猫じゃあしょうがないな、その小さな頭で機転を利かせろと
 言うほうが無理か。そういえば君はゼロのルイズの使い魔だったな。ゼロのルイズの猫なら仕方ないか」
相手の言葉には応えず。
ただ無言で堪忍袋の緒を切って、ブリアンは椅子に座る魔法使いを睨みつけ唱えた。

「我、羊の群れの中に贖える者の位置を示しその力に乞う」
ごう、とギーシュの身体が炎に包まれる。一応、手加減はしたが炎に包まれた少年は暴れ狂った

「あちちちっちっちちちっちちあっちちちちちぃあああ!」
「このぼくを何度も猫呼ばわりしたのも許せないが」
まなざしも言葉も冷たく、告げる。
「自分の起こした始末の責任をこのぼくになすりつけてなじるのは、もっと許せないね」

ぽしゅっ、と火が消えた。魔女に対してしたことを考えれば殺されても文句は言えないところだが、
軽い火傷程度ですませてやった。
そのまま倒れ伏すかと思ったが、意外な根性で立ち上がりほこりを払うと、こちらを睨み返してきた。

「なるほど……ゼロのルイズの、使い魔が猫のメイジだという話は聞いていた。たわ言だと思っていたが……どうやら、本当のようだね」
「だったらどうする?」
ギーシュはそれには応えず、別の問いを投げかけてきた。
「念のため聞いておくが、君は貴族じゃないんだな?」
「そんなものと一緒にしないでもらいたいね」
「なら、いいだろう。これだけの力を持っているなら猫だろうと相手として不足はない」
その言葉にすっと、ブリアンは目を細めた。
「へえ。ひょっとして、やろうっていうのか?」
「そうとも。こんな真似をして、何もお咎めなしで済むとは、君も思っているまい。
 君に貴族に対する礼儀って言うものを教えてやろう。
 ――決闘だ」
シエスタが、小さくか細い悲鳴を上げた。


ギーシュが指定したのはヴェストリ広場という場所だった。既に話を聞きつけた生徒たちが群がっている。
半分ぐらいは猫に決闘を仕掛けたギーシュを馬鹿にする声と、もう半分ぐらいは魔法を操る猫との決闘に対する好奇心の声である。

決闘に赴こうとしているブリアンだったが、それを抑えようとするものが二人いた。シエスタとルイズだ。
「無茶です! いくら魔法が使えるからって、その身体じゃ簡単に死んじゃいますよ!?」
「何考えてんのよあんたは!」

しかしブリアンは聞き流していた。あの小僧は自分を侮辱するだけでなく決闘まで挑んできたのだ。
シーカー同士の決闘において、相手の生死はたいした意味を持たない。他人が死のうが生きようがどうでもいい……
大事なのは、生き残った後に勝った気分になれるかどうかだ。他に意味はない。
相手だけが敗北を噛み締め、自分は勝利を勝ち誇る。そうしてはじめて、シーカーとの決闘に勝ったといえるのだ。

「あんなせこい魔法で、ほんもののメイジに敵うわけないじゃない!」

ルイズの知っているブリアンの魔法は本気でせこいものだけだったが、実のところ彼女の言葉は的外れでもなかった。
しょせん、呪いで猫のような姿に身をやつしたブリアンに使える魔法など、本物の魔法から見れば手品のようなものだった。
だがブリアンは負ける気などしなかった。ほんの10年少ししか生きていないこわっぱなどよりはるかに、魔法のことに関しては
熟知している。そしてもう一つ。あまり認めたくないことだが、アイツとあの辺境で旅して身につけたことがある。

「魔法使いの出し抜き方は、よく知っている」

ブリアンは一言だけ呟くと、中央で待ち構えるギーシュの前へと立ちふさがった。

914 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 21:22:42 ID:yzgyoEY/
ヌコをいじめちゃいかんよ支援

915 :ルイズ! ザ・使い魔ストーリー6/9 ◆NPqig7Jvw. :2007/09/17(月) 21:23:29 ID:hMu9QGXs
「逃げずに来たとは、まずは褒めてやろうじゃないか」
こんなときにもキザな態度で尊大に言葉を掛けてくる。だがいちいちそんな言葉に反応はしなかった。今からその思い上がりを正してやるのだから。
ギーシュが薔薇を模した杖を振ると、花びらが七枚舞う。するとその花びらがそれぞれ人間大の青銅製のゴーレムへと変化した。女騎士の姿をしたゴーレムだ。

「ぼくの二つ名の由来、この青銅のワルキューレが相手をしよう」

「――だが、いかにメイジといえど猫相手に本気を出したとあっては、グラモン家の名がすたる。
 そこで、こうしよう。僕は、このワルキューレたちで君を捕まえたら勝ち。君はぼくに触れたら勝ちだ」

ブリアンは憤った。この小僧は、自分にハンデをつけようというのか。
「ハンデのつもりか? このぼくに。百年早い」
ギーシュが眉を上げる。

「お前は勝手にそうすればいい。だが、ぼくにそんなハンデはいらない。宣言しておこう。
 ぼくは君ご自慢のゴーレムをすべて打ち倒して、君を屈服させる」

ギーシュが、表情を消した。かまわずブリアンは続ける。
「君たちのような田舎者はシーカー同士の決闘の作法など知らないかもしれないが、名乗っておこう。
 このムーンウォーカー、ブリアンが挑もう。太古よりの決闘の作法だ」

「ならばぼくも正式に名乗るとしよう。ぼくの名はギーシュ・ド・グラモン。青銅のギーシュだ」


同刻。
コルベールは昨日最後にルイズが召喚した使い魔のルーンについて調べ、驚愕の事実を知りオスマンの元に駆けつけていた。
「――ですからあの使い魔こそ、伝説の虚無の使い魔、ミョズニトニルンに違いありません!」
「わしにはどこぞの月のお姫様の使い魔のルーンに見えるがのう……」
オスマンは胡乱げにそのスケッチを見やった。よくわからないことを呟いてしまったが、確かにそれは彼の記憶の中にある”ミョズニトニトン”のそれと同一の形状をしていた。
「しかし、ルーンが同じだからとそう決め付けるのは早計だろうて」
「まあ、それもそうですな」
そんなことを話し合っていると、秘書のロングビルがヴェストリの広場で起きている事柄を報告してきた。
”眠りの鐘”の使用許可を求める彼女を適当にあしらうと、すぐさま大鏡に広場の様子を映し出した。遠見の鏡である。
件の”ミョズニトニルン(仮)”とメイジが決闘。かの使い魔が本当に”伝説”なのか、確かめる格好の機会である。
オスマンとコルベールは鏡を覗き込んだ。


916 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 21:24:37 ID:yzgyoEY/
ルナwww…支援。

917 :ルイズ! ザ・使い魔ストーリー7/9 ◆NPqig7Jvw. :2007/09/17(月) 21:25:30 ID:hMu9QGXs
最初に動いたのはギーシュのゴーレム――ワルキューレだった。
彼は七体のワルキューレを前衛と後衛にわけ、まず三体のワルキューレを差し向けた。


中央のワルキューレがブリアンに襲い掛かり、残りの二体が逃げ道をふさぐように両翼に展開する。
足の間の隙間を抜けられることを恐れてか、中央の一体だけあまり動かない。ブリアンはまずそこを狙った。

「我、羊の群れの中に贖う者の位置を示しその力に乞う!」

火球が膨れ上がり、中央の一体を巻き込んで爆裂した。その思わぬ威力にギーシュはおろか観客まで驚きに息を呑んだ。
ブリアンはその隙を見逃さず、火炎がギーシュの視界をふさいでいるうちに立て続けに呪文を唱える。

「我、羊の群れの中に贖う者の位置を示しその力に乞う」

次にしとめたのはブリアンから見て右翼に展開した一体だった。呪文はそのワルキューレの足元を砂と化し、地中奥深くまで落とし込む。


突然熱気が迫った。振り向くと、先ほど炎を浴びせかけたゴーレムがこちらへとほとんど倒れ掛かるように突進してくる。ギーシュだ。
即座に炎に巻かれたゴーレムを切り捨て、こちらの行動を追い立てる牽制として利用したのだ。炎の向こうに見える彼の表情からは、驕りが消えている。
既に彼は最初の約束を捨て、こちらを叩き潰すことを目的としている。初めてブリアンはギーシュのことを認めた。もっとも恐るべきは、慢心を捨てたシーカーである。


炎のゴーレムを機軸に、ブリアンを包み込むようにゴーレムが迫る。一度にではなく、僅かな時間差をつけてだ。

三度ブリアンは呪文を唱える。視界が変わり、ゴーレムの輪の中から外へと瞬間移動する。すぐ横には、予想外の行動に度肝を抜かれたギーシュがいた。
その表情に気分をよくし、四度目の呪文を唱えた。

「我、羊の群れの中に贖う者の位置を示しその力に乞う!」


先ほどまでブリアンがいた場所に、粘性の透明膜が現れる。対処しきれずに、三体のゴーレムが突っ込み、動きが取れなくなる。
もしすべて同じタイミングでゴーレムをつっこませていたらその時点で全滅だったであろう。だがどちらにせよ、三体のゴーレムが膜に絡みとられ、無力化される。


ブリアンはすぐに移動した。ブリアンの魔法は、敵意あるものに触れられると効果を失う。ギーシュが一瞬判断を考慮しているうちにその場を離れ、
追撃を掛ける。残りは二体。ブリアンは呪文を唱えた。


ワルキューレは対応し即座に散開した。同時に始末されるのを防ぎ、そして目標を一つに絞らせないためだろう。

「我、羊の群れの中に贖う者の位置を示しその力に乞う!」

六度目の呪文。虚空から緑の液体を矢の形にしたものが一体のゴーレムに突き刺さる。毒の矢は青銅すら溶かす。


だが、最後の一体が残っていた。ブリアンは、魔法を発動するのに一息分の呪文を必要とする。

そして最後のワルキューレがブリアンに触れるまで瞬きほどの時間も要らない。ワルキューレがブリアンに低空からタックルをかまして――ぶちあたった。
ルイズとシエスタが、息を呑んで見つめた。

918 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 21:27:03 ID:yzgyoEY/
ヌコいじめはらめぇぇぇえ!!支援。

919 :ルイズ! ザ・使い魔ストーリー8/9 ◆NPqig7Jvw. :2007/09/17(月) 21:27:42 ID:hMu9QGXs
「勝ったぞ!」
ギーシュが勝ち誇る。だが……ブリアンを弾き飛ばすと見えたワルキューレが、すり抜けた。


「な、なにぃ!?」

「我、羊の群れの中に贖う者の位置を示しその力に乞う……」

最後の呪文が響き渡った。最初のゴーレムと同じように、爆炎に包まれ、最後のゴーレムが崩れ落ちる。主の誇りを守らんとするがごとく、
ワルキューレはひざを持ち上げたが……足が熔け、地に倒れ伏す。ここで勝負がついた。



そして、ワルキューレに突撃されたブリアンが姿を消した。幻覚である。本物のブリアンはギーシュの後ろに潜んでいたのだ。
呆然としたギーシュを呪文で転ばすと、その顔にぺし、と前足をのっけて、勝ち誇る。

「勝ったぞ。宣言どおり」
「ぐっ……」

負けた。猫に。それも、自慢のゴーレムを、すべて撃破されて。屈辱に身を震わせたが、不思議と悔いはなかった。
「爆炎に”錬金”……それに瞬間移動、幻覚だって? ははは……これが先住魔法ってやつなのか」
ブリアンは訝しんだが、すぐに納得した。この世界では、人間が使う四系統魔法とやら以外は、先住魔法というものしか知らないらしい。


「まぁそれはそれとして」
「はぁ」


敗北に呆けたようなギーシュの顔は、ブリアンを高揚させる。止めといわんばかりに、告げる。

「ぼくがこれで勝者であるからして」
「あるからして?」
「あるからして、勝者の特権として呪いをかけさせてもらった。獣の雌に惚れられる呪い。とりあえず一週間」
「え……?」

何か熱い視線みたいなものでも感じたのか、ギーシュが顔をひねらせて横を向いた。先ほど言ったとおり、ここには多くのメイジの生徒が集まっている。
彼らの多くは使い魔を引き連れている。そのなかには約半分の割合で、雌がいた。

ギーシュの視線の先をたどっていくと……その雌の使い魔たちが寄り集まってじっと彼を見つめていた。
動物の表情などよくわからないが、こころなしその瞳が潤んでいるのは気のせいだろうか。
ギーシュは悲鳴をあげた。


鏡の中で始まった惨劇から目をそらし、オスマンとコルベールは困惑していた。
「あの猫、飼ってしまいましたが……」
「ううむ……」
二人は顔を見合わせ眉をしかめた。

「ああいう勝ち方じゃと、ミョズニトニルンなのかわからんではないか」
「というか、猫が魔法を使っていることのほうが驚きですが。韻竜ですかね?」
「猫じゃから韻猫じゃろう」


920 :ルイズ! ザ・使い魔ストーリー9/9 ◆NPqig7Jvw. :2007/09/17(月) 21:29:02 ID:hMu9QGXs
――そんな騒ぎが、学院で持ち上がっているころ。
下町のとある路地裏の武器屋に、三人の少年少女の姿があった。

「それでいいのか?」
「ああ。面白いじゃないか、喋る剣なんて。それにそっちこそ、なんで斧なんだ? 剣差してるじゃないか」
「これなら太刀筋もばれない――じゃなくて、その、斧っていいじゃないか。斧を構えてたたずむ村長とか。血まみれで」
「それのどこがいいんだ……?」

そう語り合うのは赤毛の少年と、黒髪の少年。どちらも、それぞれ腰と背中に剣を差している。
と、黒髪の少年が抜いている剣がカタカタと喋りだした。

「おうともさ。俺をそんじょそこらの口開くだけが能の連中と一緒にしないでもらいたいね。なんたって6000年も生きてるんだからよ」
「ほんとかなぁ……」
「……6000年も生きてるんなら、俺らをそれぞれの世界に帰す方法ぐらい知っていてもらいたいけどなぁ……」
「贅沢言うんじゃないよ、おめ」
「ま、まあ、それについてはなんとかして私も見つけ出しますから……」

とりなすように、目深にフードをかぶった少女が微笑みかける。その少女に赤毛の少年が尋ねる。

「でも、よかったのか? あいつらおいてきちゃって……」
「上の子たちも、しっかりしてきましたから。それに、いつもならそろそろ姉さんが来るころのはずですし」
「すまないな、ティファニア」


そう感謝の言葉を呟く黒髪の少年の左手の甲には、文字のような刻印が煌々と光り輝いていた。

921 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 21:29:33 ID:yzgyoEY/
>韻猫
言い得て妙で支援。

922 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 21:38:47 ID:ko4U7xi/
ん?呪文の数あわなくね?
それにいつの間に幻覚作ったんだ?

923 :代理:2007/09/17(月) 21:39:02 ID:yzgyoEY/
避難所に終了宣言の投下があったので、代理にて書き込みます。

※最後の投下終了報告でさるさん規制くらいました。いちおう投下終了報告

以上です。
ミョズニトニルンの能力ですが、ちょっとだけ付け足して
・魔道具(薬含む)を見ただけで性能をみわける
を付け足しました。物語の展開させやすくー。

あと、最後がなんか意味ありげですが、原作終了後で黒猫ひとりだけゼロ魔世界に呼び寄せるのは
可哀想だから出しただけですので、特に何も考えてないです。


それと、ブリアンの魔法については基本的に「原作で使用したもの」を基準にしてます。
+αしてますが。

924 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 21:42:37 ID:Qhbo/MDB
>>923
オリキャラ誕生

925 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 21:42:38 ID:qIu3oL3f
シンシアルータ様乙

>「あの猫、飼ってしまいましたが……」

ヒゲを見てるシャンクにとって、デルフリンガーは珍しくないだろうな。

926 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 21:48:42 ID:3pxj9U1a
>>924
お前いい加減消えろよ

927 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 21:50:46 ID:SBcBKC8m
スルーだ、スルーしろ
それしかない

928 :つかわれるもの:2007/09/17(月) 21:51:15 ID:3AESP3Rl
投下乙ですー。

さて、次は自分が行かせてもらいますが宜しいでしょうか?

929 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 21:52:39 ID:9LvITmsi
投下前支援

930 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 21:53:03 ID:pSGMalS/
お疲れ様でした。
それにしても、微妙に人が少ないのは皆さん剣闘士を見てるからなのかな(´・ω・`)


931 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 21:53:11 ID:9To6+RPs
フォーク片手に支援。

932 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 21:53:20 ID:ECGg7rrd
come on


933 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 21:53:33 ID:zogjPjV4
>>920
ちょwww
エンハウかよwwwww

934 :つかわれるもの:2007/09/17(月) 21:53:35 ID:3AESP3Rl
それでは行きます。
――――
第03話 語られるもの
――――

その日の夜、トウカは空に浮かぶ二つの月を見つめながら、深い溜め息をついた。

(聖上……某は最後の御命令を、全うする事が出来ぬやもしれません……)

トウカはどこか悲しげに、窓の外を見つめる。
その隣で、ルイズとカルラの情報交換は続いていた。

「別の世界から来た……か。俄かには信じられないわね……」
「わたくしだって信じたくありませんわ。でもこの月を見て、この世界がわたくし達の世界だ、と認識するのは難しいですもの」
「こっちだって信じられないわよ……月が一つしかなくて貴族が居ない世界なんて」

ルイズの溜め息とカルラの溜め息が重なる。
ふと、窓から月を見つめていたトウカが口を挟んだ。

「ルイズ殿……某達がトゥスクルに帰る方法はあるのか?」

トウカ達にとって、今現在もっとも重要な問題。
『トゥスクルからトリステインまで一方通行です』などと言われたら、もうどうする事も出来ないのだ。

「判らないわ……だって別の世界なんて聞いた事も無いし、それを繋ぐ魔法なんてある訳が無いわよ」
「だとしたら!何故某達がこの世界にやって来れたのだ!?」
「そんな事、私に判る訳が無いでしょう!?」

段々と部屋が険悪な雰囲気に包まれて行く。
今にも喧嘩に発展しそうな二人の間に、やれやれといった様子のカルラが割って入る。
そして、睨み合う両者の頭をわしわしと撫でた。

「二人とも落ち着きなさい。頭に血が上っていては、冷静な考えなど浮かぶ訳がありませんわ」

カルラは笑みを崩さないまま、二人を交互に見つめる。
頭を撫でられた気恥ずかしさによる物もあるのだろうか、無言の笑みには妙な迫力を感じた。
ルイズとトウカは大きく息を吸い込み、溜め息と共に頭の熱を押し出す。

「すまない、某としたことが……ついカッとなってしまった」
「べ、別に良いわよ……。ただでさえ良く判らないところに連れて来られて、混乱してたみたいだしね」

まるで手の掛かる妹みたいだ、とカルラは思った。もっとも弟こそ居るものの、自分に妹は居ないのだが。
妹達、もとい戦友とご主人の二人を見てカルラは満面の笑みを浮かべる。
そして、ふと思い出したかのようにルイズに向かって一つの事を尋ねた。

「それで、使い魔っていうのは具体的に何をすれば良いのかしら?」


935 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 21:54:16 ID:VDRylSJe
支援

936 :夜天の使い魔 ◆Rein4tm63s :2007/09/17(月) 21:54:28 ID:apqcQZkA
うっかり侍支援、そして投下予約

937 :つかわれるもの:2007/09/17(月) 21:55:07 ID:3AESP3Rl
カルラの思惑はこうだ。
今現在の状況で帰る方法が判らないのであれば、この国で生活していく他無い。
この世界やルイズについても興味はあるし、色々と退屈はしないだろう。
しかしいずれはトゥスクルへ帰らねばならないのだ、その為に必要な情報を集めなければならない。
その点、この国で一番の学び舎ともすれば、情報の収集に役立つものがあるだろう。
それに、ここに居れば少なくとも寝床と食事の心配をする必要が無い。
とすれば、使い魔として生活する事が帰る方法を探すのにもっとも都合が良い、という事だ。

「えーっと、そうね……」

そんなカルラの思惑など露ほども知らぬルイズは、少し頭を捻りつつ使い魔に与えられる能力について考える。

「……まず、使い魔は主人の目となり、耳となる能力を与えられるわ」
「某の見ているものが……見えるのか?」
「……何も見えないわね」

ルイズは残念そうに顔を俯かせるが、すぐに顔を上げて言葉を続ける。

「えーと、それから使い魔はね、主人の望むものを見つけてくるの。例えば秘薬の材料とか……でも無理そうね」
「んー、薬の材料ならたまーにエルルゥの手伝いなんかもしてましたし、多少は判りますわよね?」
「そうだな。もっとも、こちらにそれがあるのかは判らないが」
「本当!?エルルゥが誰かは判んないけど、そんな事も出来るんだ!」

まぁハルニレやトゥレプといった薬草類や、紫琥珀といった鉱物類が存在するのかも判らないし、仮にそれらが見つかったとしても、ルイズに調合できるのかと言えばそういった訳でもないのだが。
しかしながら予想だにしていなかったその答えに、ルイズの機嫌が上方修正されたのは言うまでも無い。

「それで最後の一つ、これが一番重要なんだけど……、使い魔は主人を守る存在でもあるの。その能力で主人を敵から守るのが一番の役目!」
「特に能力なんてありませんけど、護衛なら充分可能ですわよ」

余りにも軽いカルラのその発言に、ルイズは少し意外そうな声をあげた。

「へぇ……コルベール先生は魔力反応があるって言ってたし、てっきり何か出来るのかと思ってたわ」
「……魔力とやらは良く判らないが、某達には一人につき神が一体宿っている。恐らくその影響だろう」

神が宿っている?それは一体何なんだろう?こっちの神とは違うのよね?などと頭に疑問符を浮かべていたルイズだが、一先ず思考を中断する。

938 :ZEROMEGA:2007/09/17(月) 21:56:21 ID:pSGMalS/
支援です!

そして、私も投下予約です!

939 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 21:56:40 ID:GbyTKijd
支援

940 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 21:56:44 ID:ko4U7xi/
支援

941 :つかわれるもの:2007/09/17(月) 21:56:47 ID:3AESP3Rl

「ふーん……それについてはまた今度説明してもらうけど、魔法とかが出来る訳じゃないのね」
「……確かに某達はオンカミヤリュー一族のような術法を持ち合わせている訳では無い。だが某とて武人の端くれ、ルイズ殿に降りかかる火の粉位は払ってやれるさ」

先程までとはうって変わって、優しい表情で声を掛けてくるトウカ。
余りにも不意打ちに見せられた表情に、ルイズは少々顔を赤らめてしまった。
その恥ずかしさからだろうか、トウカに向かって思い切り怒鳴りつける。

「と、当然でしょ!私の使い魔なんだから!もう、グダグダ言ってないでさっさと寝るわよ!」

ルイズは宣言と同時に服を脱ぎ始め、大きめのネグリジェを纏ってベッドに飛び込む。
それを呆然と見ていたトウカは、申し訳無さそうにルイズに問う。

「ところで……某達の寝床は?」

あ、といった表情をベッドから覗かせるルイズ。暫くして申し訳無さそうに呟いた。

「また今度用意してあげるから、今日は床で寝てくれない?」

てへっと擬音が付かんばかりに舌を出し、トウカ達に毛布を投げる。
そしてそのまま頭から布団を被ったと思うと、すぐに寝入ったようだった。
その様子を生暖かい目で見つめていたカルラとトウカは顔を見合わせると、大きく溜め息をついた。

「大変な子に召喚されちゃいましたわねー……」
「全く……先行きが不安になるな……」
「ま、あるじ様が起きる前に帰れば良いんですから、気楽に行こうかしらねー」
「カルラ……少しは危機感というものを持ったほうが良いのではないか?」

暫くの間トウカは小言をこぼしていたが、いつの間にかカルラは寝息を立てていた。
もう全て割り切るしか無いのだろうな……などと考えながら、トウカは座ったままカルラと一緒の毛布にくるまり、ゆっくりと夢の世界に落ちていった。



942 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 21:57:19 ID:kRRETVQj
支援します

943 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 21:57:55 ID:GbyTKijd
支援

944 :つかわれるもの:2007/09/17(月) 21:58:32 ID:3AESP3Rl
さてさてこれにてトウカ終了です。
そんでもって暫くの間、資格試験の勉強をするので、次回のトウカは大幅に遅れると思われます。

945 :夜天の使い魔 ◆Rein4tm63s :2007/09/17(月) 21:59:46 ID:apqcQZkA
投下乙です。
後もつかえてるので5分から投下。

946 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 22:00:19 ID:GbyTKijd
支援

947 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 22:01:28 ID:H/z24PE1
乙。けど貴族は居ない……と言えるんだろうか?等と。

948 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 22:01:37 ID:1q97Awvo
あの作品のキャラがルイズに召喚されました part60
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1190034058/


次スレは立てた
心置きなく投下&支援をGO!

949 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 22:02:28 ID:GbyTKijd
支援

950 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 22:02:38 ID:wZIvlKSA
>>948
候乙

951 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 22:02:48 ID:1AUTr+fh
スレ立て乙!

952 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 22:03:57 ID:H/z24PE1
っと、>>948乙だ!

953 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 22:04:08 ID:VDRylSJe
スレ建て乙
投下も乙!

954 :夜天の使い魔 1/8 ◆Rein4tm63s :2007/09/17(月) 22:05:04 ID:apqcQZkA
 幼かったルイズには「許婚」という言葉の意味など判らなかった。でもその人がとても自分に優しくしてくれる人だ、と言う事は理解出来ていた。
 彼女は良く叱られた。魔法が上手く出来ず、何時も何時も失敗ばかり。そんな不出来な娘を厳しい母は良く叱り付けた。
上の姉二人が優秀な魔法の使い手だった事もまたそれに拍車をかけていたのだろう、母の怒りは何時も激しく、それが幼い身にはとても恐ろしくて、一人逃げ出し木陰で泣くのが習慣となっていた。
 母だけでは無い。父も、姉も、使用人すらも、皆彼女を罵るのだ。名門ヴァリエール家の娘にあるまじき、出来の悪い子だと。それが悔しくて、涙は止まる事を知らなかった。
 ―わたしはこんなにがんばっているのに。誰よりもがんばっているのに。
 その努力が結果に結びつかない現実に、何時も彼女は苦しんでいた。
 
 しかしそんな彼女の苦しみを癒してくれる人が二人居た。一人は彼女の次姉。いつも笑みを絶やさず優しい姉。彼女は決してルイズを叱り付けたり罵ったりする事は無かった。
悲しい時はただその両腕で包み込んでくれるのだ。少しでも、妹の苦しみが和らぐようにと。姉は体が弱く、外に出る事すらおぼつかない体であった。
きっとそれは本当に辛い事だったはずなのに、何時も自分の身を案じてくれた。ルイズはそんな姉が大好きだった。
 そしてもう一人。彼はルイズが悲しみにくれる時、何時の間にか現れて彼女を慰めてくれるのだ。大きな手で優しく頭を撫でて、泣き止むまでずっと一緒に居てくれた。
「君はとても頑張っているじゃないか。きっと何時か、誰もが驚くようなメイジになるさ」」
「ほんとうですか、子爵さま」
「ああ、そうさ! わき目も振らず、真っ直ぐに、全力で。そうやって頑張れば、叶わない事なんてない。僕はそう思っている」
 その時の言葉が、今の彼女の一端を形作っているのは間違いない。頑張れば、叶わない事なんて無いと。その言葉は今に至るまで一瞬だって忘れた事は無い。
 ジャン・ジャック・フランシス・ワルド。その人は、ルイズにとって本当に特別な人だった。許婚であり、初恋の人であり、そして彼女の心の支えであった。
 
 ワルドは驚きの顔を見せたものの、即座に破顔し満面の笑みを見せ、ベッドから跳ね起きて喜びを全身で表した。
「おお、ルイズ! 僕のルイズ! まさかこのような場所で再会しようなどとは、まさに始祖のお導きに違いない。始祖ブリミルよ! 素晴らしき計らいにこのワルド、最大の感謝と賛辞を貴方に捧げましょう!」
 包帯だらけの己の体も省みず、大袈裟に両手を掲げて歓喜する男の姿がそこにはあった。
「お久しぶりでございます、子爵さま」
 ルイズの頬は紅潮し、思考は乱れに乱れ、この思わぬ再会に混乱していた。ワルド子爵とはもう何年も会っていなかった。
彼の父が戦死した後、その穴を埋めるように率先して従軍し、数々の戦功を立てたというのは風の噂で聞いていた。今や栄えある魔法衛士隊のグリフォン隊隊長、気軽に会える身では無くなっていたからだ。
「さあ、もっと近くにきて顔を見せてくれないか。その愛らしい笑顔をもっと近くで見せておくれ」
 ルイズはしずしずとベッドに近寄ると、脇に置かれたあった椅子に―淑女然と、たおやかに―座った。
 近くで見る己の許婚の顔は、記憶の中のものよりも一層精悍さを増し、より魅力を蓄えたようだった。綺麗に切りそろえられた口髭と長く靡く髪もそれをさらに際立たせているように思えた。
 胸の高鳴りが増していくのを、ルイズは自覚していた。緊張のあまり、何をしていいのかまったく判らない。ただおろおろと俯き加減に、子爵の動向に場を任せていた。
「最後にあった時は、まだ小さかったのに、今や立派な淑女になったね。もう何年の月日が流れたのだろう」
「六年です、子爵さま」
「六年!」
 おお、と思わず手で顔を覆い天を仰ぐワルド。
「我武者羅に任務をこなす内、そんなにも時間が流れていたとは。すまないルイズ、決して君を蔑ろにしようと思っていた訳では無いのだ」


955 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 22:05:36 ID:1q97Awvo
支援

956 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 22:06:06 ID:GbyTKijd
支援

957 :夜天の使い魔 2/8 ◆Rein4tm63s :2007/09/17(月) 22:06:08 ID:apqcQZkA
「勿論存じ上げております。子爵さまは決死の覚悟でお国に尽してきた事、わたくしの耳にも届いておりました。それの何を咎める事が出来ましょう」
「だがな僕のルイズ、それでも君に寂しい思いをさせてしまったのは事実。申し訳ないと思っているよ。
ところでルイズ。喜びの余り気が回らなかったのだが、何故君がこのような場所へ? この危険なアルビオンに、一体どのような用事があると言うのだい?」
「それは、」
 ルイズはワルドに説明する。王女からウェールズ皇太子の下にある手紙を回収してくるように頼まれた事、その波乱に満ちた旅路の事、このニューカッスル城は明日総攻撃をかけられるであろう事等。
「どうやら僕の力不足が君を危険に晒してしまったようだな」
 そう言ってワルドは少し肩を落とす。
「僕が首尾良く任務をこなせていれば、こんな事にはならなかったのに」
「ではやはり、姫さまが先んじて任務を託されたのは……」
「そう、僕だ。密命でただ一人、このアルビオンに赴いたのだがね、貴族派の動きが活発で思うように動く事が出来なかったのだよ。
ルイズ、君がスカボローに立ち寄らなかったのは正しかった。もしあそこに赴いていたのなら、僕同じように足止めを食っていただろうからね。
そんなこんなでなんとか連中の間隙を突きニューカッスルへと向かったのだが途中で追撃にあってね、あえなくこの様だ。まったく、少しは腕に自信があったつもりだったのだが、とんだ自惚れだったようだ」
 自重気味に笑うワルドに思わず慰めの言葉をかけようと思うが、なんとかそれを思いとどまった。安い同情は時に蔑みよりも辛い。
ルイズはただそっとワルドの手に自分の手を重ね合わせるのみに止めた。
「ああ、ありがとう僕のルイズ。こうして決死の覚悟で城に向かった褒美がこの再会ならば、僕の努力もまったく無駄ではなかったと実感出来るよ」
 嬉しそうに笑うワルドに釣られてルイズも笑った。昔と変わらぬ、優しい笑顔がルイズの胸を喜びで満たして行く。
 
 ワルドはベッドから立ち上がろうとする。すこしぎこちない動きがルイズの心配を煽った。
「お体は大丈夫なのですか?」
「ああ、この程度なんて事無いさ。優秀な水メイジ達がしっかり治療してくれたよ。お陰でもう全然大丈夫だ。
それよりもルイズ、せっかく再会したんだ、こんな辛気臭い部屋の中にずっと居ても面白くないだろう?
 少し一緒に外を回らないか。こう、どかんどかんとうるさくては風情も無いが、ここよりは大分ましさ。どうだい?」
「勿論喜んでご一緒します」
 はにかみながらルイズは答えた。かつてヴァリエール邸の庭を手を引かれながら回ったことを思い出し、さらに胸が高鳴って行く。
「さあ、手をどうぞレディ」
 差し出された手を、そっと握る。温もりもまた、記憶のまま。まるで昔に戻ったようだ。今何処に居るのかも忘れ、ルイズはただただその幸せを噛み締めていた。
 
 暇を持て余したキュルケ・ツェルプストーは城の中庭に散策に来ていた。
外に出て砲撃の音は一層強まり、それが彼女の耳を刺激して気に障らせるが、こうして外の瑞々しい空気を吸うとそれでも気分が晴れやかになっていくのを感じることが出来た。
戦いの最中だと言うのにきちんと手入れされた庭園は目を喜ばせるのには十分だ。おそらく、こういう事態だからこそ逆に手入れをかかさないのだろう、そうキュルケは思う。
厳しい戦いの中、癒しが何も無いのでは人は生きていけない。こういったささやかな所で少しでも心を和ませようと、そういう努力が見て取れた。
色鮮やかな花達は、例え戦場の最中でも見事なまでに己の美しさを誇示し、高らかに生命を歌い上げていた。
 そっとしゃがみ込み、花に手を添える。赤く燃えるような花弁と芳しさがまるで自分の二つ名「微熱」のようであり、思わず顔を綻ばせる。
何時もの妖艶さは成りを潜め、まさに淑女そのものと言えるような雰囲気が、今の彼女にはあった。
もし魔法学院の誰かがこの姿を見たのなら、きっと驚きを隠せないであろう、そう言った姿だった。

958 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 22:06:42 ID:H/z24PE1
祝福のエール支援

959 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 22:06:46 ID:9LvITmsi
支援そして>>948GJ

960 :夜天の使い魔 3/8 ◆Rein4tm63s :2007/09/17(月) 22:07:15 ID:apqcQZkA
「あら?」
 誰かの話し声と、歩み寄る靴音が聞こえる。瞬く間に何時もの調子を取り戻したキュルケは、誰かしら?と首を傾けた。そしてその姿を認識した時―反射的に物陰に身を潜めてしまった。
 これは信じられない、と眼前に写る光景を、未だ頭は受け入れようとはしなかった。だって、だって。
(だってあのヴァリエールが男連れ? これは何かの前触れかしら?)
 凛々しい男性と、それに連れられるように歩いているルイズ。頬を染め、伏目がちにした視線、そっと握られた手。どういう状況かは言うまでも無かった。
(何してるかと思ったら男と逢引? なかなかやるじゃない)
 会話の内容を盗み聞きする限り、どうやら男―トリステインの子爵らしい―とルイズは旧知の仲であるらしかった。楽しそうに昔話に花を咲かせている。
学院では見せた事の無かった、屈託の無い笑顔。それはキュルケが初めて目にするものだった。何時も仏頂面で怒ったような表情をしているばかりだったので、このような笑顔は実に新鮮味があった。
(あんまりこうしているのも野暮かしら)
 他人の逢瀬を盗み見るというのはあまり気持ち良いものでは無い。物音を立てぬよう細心の注意を払い、キュルケはその場を後にした。
 
 客室に戻ってきたキュルケを、やや意外そうな面持ちでタバサが迎えた。
「ちょっと驚きの光景を目にしてね……喉が渇いちゃって」
 そう言って侍女が煎れた紅茶を口にした。隣にはうず高く菓子が乗せられていたであろう皿が積まれている。その数10を軽く超えるだろう。
そして今も、タバサは菓子を食べ続けている。これだけ食べてどうして太らないのだろう? 本人曰く「体質」らしいが、実に羨ましいとキュルケは思う。あたしも何も気にせずお菓子をぱくつきたいわ。
 しばらく無言で紅茶を啜る。やがて、ルイズが何食わぬ顔で客室に戻ってきた。
「待たせたわね」
 顔を赤らめ、肩で息をしている事から、急ぎ走って戻ってきたのは明白であった。
楽しく歓談中に、すっかり忘れてたあたしたちの事を思い出してすっ飛んできた、という所かしら?とキュルケは推論を立てた。
「無事に旅の目的は果たしたわ。あとは帰るだけ」
「そりゃあ良かったわ。こんな物騒な所、早速おさらばしましょ?」
「……そうしたいのは山々なんだけど、皇太子さまから頼まれごとがあって」
「……あんた、また厄介事を引き受けて」
 一体何度嘆息すれば良いのだろう、キュルケの溜息は底を尽きそうだった。
「明日の昼、貴族派の連中がここを総攻撃してくるらしいの。で、その前の早朝、この城の平民達がフネで避難するんですって。わたしたちはその護衛をしてくれないかって」
「判るわよ、判るわよヴァリエール。あんたの性格からして、もう引き受けちゃったんでしょ、それ」
「うっ」
 思いっきり見透かされている。ルイズの頬を冷や汗が伝った。
「まあ良いわ。どうせスカボローの街でまた船待ちしなきゃならないんだし、それから考えれば同じ位の時間でしょ。
むしろラ・ロシェールまで直通なんだからこっちの方が楽ちんね。とりあえず、この城が落ちる前に出られるなら何も文句無いわよ。タバサはどうなの、賛成かしら、それとも反対?」
「依存無い」
 ルイズはほっと胸を撫で下ろした。これでなんとか皇太子との約束は守れそうだ。
「でもそうなるとあと一晩泊まる事になるのよねえ」
 キュルケが頬に手を当て思案顔になる。
「こんな何もする事が無いような所じゃ、退屈で仕方ないわ」
 今や攻め落とされようとしている城の中、娯楽なんてあるはずも無い。彼女が好むのは刺激、好まざるのは倦怠。
最も、昨日のような刺激的すぎる一日は勘弁願いたいのだが、適度な刺激は望む所なのが彼女であった。
「皇太子さまが仰っていたんだけれど、今夜祝宴が開かれるらしいわ。
わたしたちも是非出席してくれって」


961 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 22:07:22 ID:GbyTKijd
支援

962 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 22:07:29 ID:1q97Awvo
支援

963 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 22:08:10 ID:H3WIaUgX
支援

964 :夜天の使い魔 4/8 ◆Rein4tm63s :2007/09/17(月) 22:08:20 ID:apqcQZkA
「成る程、最後の晩餐って訳ね」
 皮肉気にキュルケは笑う。華々しく散る前の最後のご馳走、と言う訳だ。実に良く判る成り行きだった。
「そういう事なら、出ない訳には行かないわねえ。このあたし、キュルケ・ツェルプストーがパーティーに華を添えましょうか」
 おほほ、と笑うキュルケの脇で、タバサの目もまた妖しく輝く。その瞳は語っていた。―ご馳走を、食い尽くしてやる、と。
 
 このまま客室に残っていても埒が開かないので―というか、城の菓子を食い尽くす勢いのタバサを止める意味合いもあり―三人はそこを後にした。
 キュルケは「早速ドレスを選ばなくちゃ」と心弾ませているようだった。ルイズはぼーっとしながら廊下を歩いており、タバサもぼーっとしながら同じように歩いていた。
傍目にはテンションの高い姉とそれに従う妹の図である。
「ところでさあ」
 不意に、キュルケがルイズに声をかける。あまりにも不意な事だったので、ルイズはびくり、と体を振るわせた。
「な、何かしら?」
「あの素敵おじさまとは一体どういった関係なのかしらぁ?」
「なっ!」
 にんまりと笑うキュルケを前に、ルイズはあからさまに動揺した。目は激しく泳ぎ、わたわたと両手をせわしなく動かしていて彼女が激しく驚いているのが誰の目から見てもはっきりと判った。
「ななななな、なあんのことかしら。ささささささ、さっぱりわからないわ」
「あたし見ちゃったのよねえ。お髭の凛々しいおじさまと、あ・な・たが楽しそうにお話してる所をねぇ」
「ううう……」
 一生の不覚、まさかこんな場面を見られていたなんて。よりによって最も見られたく無い奴に見られてしまった、とルイズは歯噛みした。しばらくはこの事でからかわれるに違いない。
「ねえ、話しなさいよ。あたし、とっても興味あるわあ」
 追求の手を緩めないキュルケに、いよいよ困り果てた時。
「やあやあ、それは僕の話かね?」
 背後から、救いの手は差し伸べられた。
「子爵さま!」
 彼女達の背後には、何時の間にかワルド子爵の姿があった。姦しく騒いでいた為どうやら接近に気付かなかったようだ。
「あら、近くでお顔を拝見すると一層素敵ね。あなた、情熱はご存知?」
 良い男と見れば声をかけずには居られない、奔放に自由に心のままに生きるツェルプストーの女の性であった。熱っぽい視線を向け、己の色香を存分に見せ付ける。
「お褒め頂き光栄だがね、あまり近付かないでくれないか」
 静かに拒絶の意を示す子爵に、キュルケは残念そうな表情を浮かべた。
「どうして? あたしの魅力では不足かしら?」
「大切な婚約者の目の前で、他の女性と親しげにするというのは紳士の振る舞いではない、と思うのでね」
「なんですって!? ルイズ、あんたの婚約者なの?」
 ルイズはもじもじと恥ずかしそうにしながら小さく肯き、それを肯定した。その様はまったくもってキュルケの知るルイズのものとは違う。
まるで外見はそのままに中身を別人に入れ替えたのではないか?と思えるような変貌ぶりだった。正直、恐ろしい程の猫の被りようだ。
「あんたも公爵家ご令嬢ですものね、婚約者の一人も居ておかしくないか。もう、早く言いなさいよ。誘惑損よこれ」
 キュルケの情熱は一瞬で冷め。つまらなそうな表情で溜息をついた。
「友達と歓談中に済まないがねルイズ。大事な用件なんだ。殿下からの預かり物はきちんと持っているかい?」
「ええ、無くさないように懐にしまってありますわ」
「そうか、それなら結構。しかし先程聞いたのだがね、今夜は祝宴が開催されるそうじゃないか。万が一と言う事も有り得る、僕に預からせてくれないか?
 幸い僕は淑女の方々と違ってあまり着飾る必要も無いのでね、紛失の機会は無いと思うのだよ」

965 :夜天の使い魔 5/8 ◆Rein4tm63s :2007/09/17(月) 22:09:26 ID:apqcQZkA
「確かに」
 ルイズは思案する。パーティーに出席する以上、まさかドレスの下に手紙を忍ばせておく訳にも行かない。それに荷物は全て捨ててしまったので、保管しておくべき入れ物も無い。
そうなると、パーティーの間中手紙は無防備になってしまうだろう。それならば信頼の置ける子爵に預けてしまうのは最も良い手段とは言えないだろうか?
 それに彼が元々最初に任務を引き受けたのだ。苦労してこのニューカッスル城まで来たのだからして、その名誉は彼が受け取るのが筋ではないかという婚約者への贔屓心が働きもした。
「では子爵さま、お願いできますでしょうか」
 ルイズは懐より手紙を取り出すとワルドに手渡した。
「確かに。絶対に王女殿下の下に辿り着くまで、誰にも触れさせない事を確約しよう。それでは、また今夜」
 そう言って踵を返す子爵。
 タバサはその姿を見て僅かに目を細める。振り返る刹那、僅かに唇の端が歪んだように見えたのは、果たして気のせいであったのだろうか?
 その事に疑問を呈そうとしても、ルイズの様子を見るとそのような気持ちも萎えて行く。
自分の婚約者を、身内を疑われて喜ぶ者など居ない。ここは気持ちを抑えておく事にした。勿論、あの子爵への注意を忘れずに。
 タバサの隣ではルイズが一人、名残惜しそうに子爵の後姿を見送っていた。
 
 夕刻を過ぎた頃、城の中央にある広大なホールでは、アルビオン王家最後の祝宴が開催されようとしていた。
テーブルには贅を凝らしただろうご馳走が並び、参加する貴族達はは皆これでもかと着飾ってこの最後の祝宴に参加していた。
場の一角には簡易の玉座が設けられ、そこに座る老王ジェームズ一世がパーティーの様子を目を細めて見守っていた。
 それはまさしく花火の様であった。散る一瞬が最も輝くように、彼等は最後の時を楽しんでいたのだった。
 ルイズ・タバサ・キュルケの三人もまた各々ドレスに着飾ってこのパーティーに参加していた。
ルイズとタバサはそれぞれ白と薄緑の標準的とも言える癖のないパーティードレスを着ていたが、キュルケは一人燃えるような真っ赤で大胆な赤のドレスに身を包み会場の視線を独り占めにした。
 美しいトリステインからの客人を最大限にもてなそうと、皆が彼女達を歓待した。料理やワインを勧め、楽しげにアルビオンの様子を語り、今この時を楽しもう、楽しませようとしていた。
ルイズ達もまた、それに己の力の限り答えた。それが礼儀だと、各々が自覚していたのだ。最後の時に訪れた客人として、精一杯もてなされる。それこそが、死に行く彼等への餞だった。
 やがてウェールズ王子が場に現れると貴婦人達が一斉に歓声を上げた。他国にもその名声轟くプリンス・オブ・ウェールズ、その人気は絶大のようだ。
手を振るたびに黄色い歓声がそこかしこから上がるのが聞こえた。そのどれもに律儀に答えながら、ウェールズは父である王の横に侍る。

 ルイズは一人、バルコニーで物憂げに月を眺めていた。彼女は激しく葛藤していた。
 ―名誉のままウェールズ皇太子を死なせるべきなのか、それとも無理矢理にでも連れ帰ってアンリエッタ王女の下へ送り届けるべきなのか。
 貴族としての誇りと、友人への友愛とが激しく彼女の心を締め上げ、容赦なく苦しみを与える。
どちらが大事なのか、天秤にかけてもそれは一向にどちらへも傾かない。そのどちらもが、比べられない位重要なのだ。
だがどちらも取る、などという都合の良い事は出来ない。どちらかを捨て、どちらかを選ばなくてはならない。そしてその役目は今、彼女に委ねられているのだ。
(姫さまは、きっと殿下の亡命を望んでいらっしゃる)
 言葉にこそ出さなかったけれど、あの密書にはそう書かれていたのだろうとルイズは確信していた。
 選ぶべきはウェールズの誇りか、アンリエッタの愛情か。
(一体、わたしはどうすれば良いの?)
 二つの月はただ大地を照らすのみで、何も答えてはくれなかった。

966 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 22:09:34 ID:1q97Awvo
支援

967 :ZEROMEGA:2007/09/17(月) 22:09:43 ID:pSGMalS/

つかわれるものの作者さん、GJ!

次スレを建ててくださった方、乙!

夜天の作者さん、支援!!
そして、

968 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 22:09:49 ID:H/z24PE1
このワルド……演技過剰の臭いがするぜ支援

969 :夜天の使い魔 6/8 ◆Rein4tm63s :2007/09/17(月) 22:10:30 ID:apqcQZkA
やがて楽団の奏でる楽曲が流れ、ホールでは男女が思い思いのパートナーとダンスを踊り始めた。誰も彼もが、最高の笑顔を浮かべ、舞っていた。そこには煌びやかにして儚い美しさが存在していた。
「こんなところに居たのかい、ルイズ」
 一人黄昏るルイズの元を訪れたのは、ワルド子爵であった。彼は特に着飾っている様子はなく、衛士服の外套を外したのみという彼の普段通りの格好でこの場に現れた。
「こんな格好じゃ場違いだったかな、少し恥ずかしいよ」
 アルビオン貴族達の着飾った様子を見てか、少々照れている様子だった。
「いいえ、それが子爵さまの礼服ですもの、何も恥じる事はありませんわ」
「そう言って貰えて心が軽くなったよ」
 ほっと胸を撫で下ろすワルド。
 そして軽く咳払いをすると、身を正しすっと手を差し出す。
「せっかくの美しい夜、どうか僕と踊っていただけませんか、レディ?」
「喜んで」
 ルイズとワルドは二人、楽曲に乗るがままに踊る。六年ぶりの再会であるとは思えぬように、息がぴったりとあっていた。軽く腰に触れる手の感触に、どこかこそばゆいものを感じながら、ルイズはこの時間を楽しんだ。
 六年ぶりにあった許婚は、何も変わっていなかった。それどころか、もっと素敵になって自分の前に現れた。まるで夢のよう、とぼうっとした思考の中ルイズはワルドの顔を熱っぽく見つめる。
ワルドもそれに気付いたのか、優しげな笑みを彼女に返す。それだけでもう、ルイズは満たされるのだった。こんなに幸せな思いをしたのは、きっと人生で初めてだわ、とルイズは思った。
苦労を重ねてこのニューカッスルまで来たご褒美なのかしら。
 やがて曲が終わりを告げ、名残惜しそうに離れる二人。
「僕は少し、夜風に当たってくるよ。君はこのまま祝宴を楽しんでいてくれ」
 そう告げるとワルドは風のように去っていった。
 ルイズが己の頬を触ると、僅かに熱が残っているような気がした。芯は、言うまでもなくまだ熱い。彼女はワインを軽く口に含みながらも、心の中では先程のダンスを今もまだ反芻していた。
 ぼうっとしていた彼女の元へ人ごみを掻き分け、やってくる者の姿があった。ウェールズ皇太子その人である。
「やあ、どうやら楽しんでもらえているようだね」
「殿下……」
 ウェールズの顔もまた、満面の笑みに彩られていた。彼もまた最後の時を演出しようと必死になっているようだった。
「先程のダンス、実に見事であった。聞けば子爵とミス・ヴァリエールは許婚どうしだとか。なんとも奇妙な巡り合わせもあったものだ」
「ええ、この奇跡のような再会を与えてくれたニューカッスルの地と、この日の事は決して忘れえぬ思い出となるでしょう」
「……それは、我々にとっても何より嬉しい事だ」
 ウェールズがその言葉に少し目を伏せる。握られた拳は、僅かに震えているようだった。
「ミス・ヴァリエール。アンリエッタに伝えてくれないか、「ウェールズは勇敢に戦い、そして死んだ」と」
「それだけで、宜しいのですか?」
 ああ、と彼は肯いた。
「それ以外に、伝える言葉は持たぬ」
 嘘ばっかり、とルイズは思う。今だって、必死に耐えているのだ。伝えたい言葉、伝えたい気持ちが数え切れない程あるというのに、それを必死に制している。
彼は聡明であった。それが故に、己の心情をそのまま伝える事の害を良く理解していたのだ。本当の気持ちすら伝えられない、それは堪らなく悲しい事だとルイズには思えた。
「亡命なさいませ、と申しても、聞き入れてはくれないのでしょうね」
 ルイズは儚げに笑った。
 そして許婚と再会して浮かれあがっていた自分を恥じる。一方で引き裂かれようとしている恋人がいるというのに、なんという恥知らずか、と。

970 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 22:10:49 ID:1q97Awvo
支援

971 :夜天の使い魔 7/8 ◆Rein4tm63s :2007/09/17(月) 22:11:34 ID:apqcQZkA
「もし私がトリステインに亡命しようものなら、貴族派がトリステインに攻め入る絶好の口実を作ってしまう。それはなんとしても避けなければならない。
あのアンの居る美しいトリステインを戦火に巻き込むなど、それは死すら生ぬるい程の恐怖と苦しみであろうよ。だから」
 きっとウェールズは顔を上げる。
「だから私は名誉ある死を選ぶ。その事が、愛する者を守る事になるのならば、躊躇無く地獄の旅路へと向かおう。それが、私に出来るたった一つの事なのだから」
 ああ、済みません姫さま。私には、この覚悟を止める権利などありません。
 ルイズは、今も彼の無事を願うであろう友人へ謝罪の念を送る。これ程の覚悟を曲げてまで、無理に亡命を請うなんて、出来るはずが無かった。
ならばわたしは見届けよう。ルイズ・フランソワーズが、その勇敢な生き様を、見られる限り目に納めて行こう、そう決意した。
せめて、愛する人が高潔に生きて死んだという事を、友人に伝えてあげたいと、そう思ったから。
 ルイズの眼光に感じ入るものがあったのか、再び太陽のような笑顔を顔に浮かべると陽気にウェールズは言葉を続けた。
「申し訳ない、場を湿らせてしまったね。まだまだ祝宴は続く。どうか最後まで楽しんでいって欲しい」
 明るく振舞う後ろ姿が、やけに悲しいと、その時初めて思えた。どうしても、そこから目を離せない。
 ウェールズは、そのまま己の居室に戻るのだろうか、ホールを出て行く様子であった。その事にはなんら疑問の余地は無いのだが。
「あれは、子爵さま……?」
 ホールを出てゆく皇太子の後に続くように、ワルドがその後に続いてゆくのが目に入った。何か殿下に用でもあるのかしら?と小首を傾げるルイズ。
 好奇心か、それとも胸騒ぎか。
(ちょっと、後を着いていってみようかな)
 そんな考えが頭を過ぎったのは、何故なのだろうか。
 ―後にこの時の事を述懐した彼女は、こう表現している。それはきっと必然だったのだと。知らぬ間に、何かに導かれていたのだと。
 僅かな逡巡の後、ルイズはワルドの後を着いていこう、と決めたのだった。
 
 己の居室に戻ったウェールズは一人、小箱の内に密かに隠された想い人の肖像画を見つめていた。
「アン……」
 亡命。それはなんと甘美な言葉か。生きて、あのアンリエッタの下へ行く事が出来る。その事に誘惑を覚える事が、果たして罪であるだろうか?
 誰しも愛する人と添い遂げたいと思う気持ちは止める事は出来まい。
 国の事も何もかも投げ出し、そうしてしまいたい。心の奥底ではそんな気持ちが渦巻き、はちきれんばかりに暴れている。
 ―だがそうすれば、きっと彼女は不幸になるだろう。
 その一念が、なんとか彼の激情を押さえつけていた。
 私は勇敢に戦い、死なねばならない。その事が、彼女の一番の幸せに繋がるのだから。欲望に流されようとする心を必死に制し、萎え欠ける闘志を必死に鼓舞させる。
私はウェールズ・テューダー。アルビオン王国の皇太子だ。皆に率先して戦場に立ち、散る。それこそが王族の義務だ、と。
 物思い耽るウェールズの耳に、扉を叩く音が聞こえる。このような時分に、一体誰がやってきたのだろう。
「誰だ?」
「ワルド子爵です、殿下。お話したい事があり参上致しました」
「鍵は掛かっていない、入ってくれ」
 きい、と蝶番の軋む音と共に、するり、とワルドが部屋へと入ってきた。音も無く入ってくるその様子に、僅かな違和感を覚えるが、すぐに笑みを浮かべると喜んで客人を迎えた。
「やあワルド子爵、パーティーの方はもう良いのかい?」
「ええ、十分に楽しませて頂きました」
 ワルドもにっこりと笑い返礼する。
「先程、ミス・ヴァリエールに亡命しないかと聞かれたよ……彼女は優しいな、そして真っ直ぐだ。私の誇りを理解した上で、それでも尚問いかけてきてくれた。
子爵、君は果報者だ。あのような素晴らしい才媛を妻に迎えられるのだから」

972 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 22:12:16 ID:1q97Awvo
支援

973 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 22:12:27 ID:gkM5t1s2
支援

974 :夜天の使い魔 8/8 ◆Rein4tm63s :2007/09/17(月) 22:12:53 ID:apqcQZkA
「ええ、本当に私は果報者です。彼女は実に良く出来た婚約者ですよ。なにしろ……」
 その時、ウェールズは気が付いた。僅かづつ、ワルドがこちらににじり寄ってきているのを。これは、距離を測っているのだ。何の距離か?
「彼女のお陰で、こうして貴方にまったく疑われる事無く、こんなに近付く事が出来たのですから」
 ―それは、自分を打ち倒す為に最適な距離!
 刹那に見切る事が出来たのは、彼が欠かさぬ鍛錬を行っていたからなのか、それとも僥倖であったのか。
 閃光の如く繰り出された鉄杖の突きを、ウェールズは辛くも避ける。とっさに捻った際に杖が胸を霞め、容易く上着を切り裂いた。
「ワルド子爵、一体何を!」
 怒声を上げるウェールズをまったく気にも留めず、ふむ、と一言不思議そうに唸るワルド。
「今の間合いならば必中かと思ったのですがね……これは箱入りぼんぼんの王子さまと判断したのは誤りでしたかな」
 先程までの笑みはとうに消えうせ、今のワルドの顔はまるで能面のように冷たく、感情を感じさせないものに変貌していた。鋭い眼光は、ただ脇目も振らずウェールズを射抜いていた。
「では本気で行かせて貰いましょう。この「閃光」のワルド、獲物を逃した事が無いのが自慢の一つでしてね!」
 驚異的な詠唱速度で―間違いなく、熟達した高速呪法―スペルを唱えたワルドの杖が一閃される。同時に繰り出されるのは足元を狙ったエア・カッター。
ウェールズはそれを素早く横に飛んで交わすが、まるで行動を知っていたかのように繰り出された杖の刺突が彼の胸を激しく殴打する。胸の空気を無理矢理吐き出されながら、その体は暗い廊下へと放りだされた。
 ひっ、という短い悲鳴がウェールズの耳に届く。思うように動かない首を動かすと、目に入ったのは白いドレスを来た少女の姿。
「ミス……ヴァリエール……」

 一体何が起こっているの!? ルイズの頭は激しく混乱した。
 ちょっとした悪戯心で子爵の後を着いていったら、辿り着いたのは皇太子の居室。
男同士で密談でもしてるのかしら?と思っていたらいきなりドアをぶち抜いて皇太子が飛び出してきた。何がなんだか理解出来ない。
 それでも素早くウェールズの下へと駆け寄れたのは、彼女の気丈さが為せる技か。
「しっかりしてください、殿下! 一体なにが……」
 皇太子を抱きかかえながら、部屋の中を覗き込んだルイズの双眸が見開かれる。
「子爵……さま……?」
 そこに居たのは、杖を構え仁王立ちするワルドの姿だった。
 ―これではまるで、子爵さまが殿下を襲ったみたいじゃない。
 そんな事有りえない、自分にそう言い聞かせる。
「ああ僕のルイズ、こんな所を見られたくは無かったよ」
 そういうワルドの声は実に残念そうで、後悔の色を滲ませていた。
「こうなっては君まで―」
 そして、その声は、今までルイズが聞いた事の無い暗い酷薄で、その瞳は、余りにも冷たくて、際限の無い恐怖を彼女の内に湧き上がらせた。
「殺してしまわなくてはならないじゃないか」
 思いを寄せる許婚から出た言葉が余りにも信じられなくて、これは夢だと言い聞かせたかったけれど。
 無常にも彼女を打ち据える冷たい杖の感触が、これが現実なのだと、悲しく告げていた。

975 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 22:13:08 ID:1q97Awvo
支援

976 :夜天の使い魔 ◆Rein4tm63s :2007/09/17(月) 22:15:47 ID:apqcQZkA
以上で投下終了。
13話を長くお待たせしてしまった代わりに、連休は連日投下しよう、とがんばってみました。
なんとか自己目標を達成出来てとりあえずは一安心。

ところで高速呪法ってなんぞや?と言う疑問にお答えしましょう。
一言で言うとたんなる早口だったり。
早く唱えれば有利になるだろう、きっと連中は早口の練習をしてるに違いない、と思った次第。
……想像するとなんか間抜けな光景だなあ。

977 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 22:15:52 ID:GbyTKijd
しえん

978 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 22:16:36 ID:1q97Awvo
乙です〜

次の投下は次スレかな?

979 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 22:18:00 ID:H/z24PE1
乙。ルイズもウェールズも良いな……次回とうとう彼女が完全覚醒なんだろうか。
楽しみに待ってるッ!

魔法使うのに詠唱が必要ならそりゃ早い方が良いだろうなとは思うが……
早口の練習をしている場面は間抜けに見えてしまう気がするw

980 :ZEROMEGA:2007/09/17(月) 22:18:14 ID:pSGMalS/

夜天の人、GJでした!
ゼロ魔の世界ではきっと早口言葉が軍属魔法使い達の必須科目に違いない(w)

981 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 22:19:20 ID:yT2CDBHX
夜天の人GJです。
訓練場では「あめんぼあかいなあいうえお」とか聞こえてくるのか?

982 :ZEROMEGA:2007/09/17(月) 22:19:21 ID:pSGMalS/

>>978

はい、投下は次スレで行います。
遠慮なく千取り合戦をはじめてください。

983 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 22:20:01 ID:9LvITmsi
さあ今日も1000取り合戦の時間がやってまいりました。

…ほんとに毎日だな。

984 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 22:20:24 ID:hMu9QGXs
>>980
あれか、火竜の末裔で一家そろって自分勝手なライカさん一家みたいなもんか

985 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 22:20:53 ID:gkM5t1s2
>>983
休みになるとペースが上がるもんだね。

986 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 22:21:21 ID:H/z24PE1
>>1000取りで支援疎かにしてしまいそうな自分に自嘲

987 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 22:22:20 ID:hMu9QGXs
夜天さんもつかわれるさんも乙です。


1000ならドロヘドロのカイマンが召喚される
そしてオーバ・ギョーザをハルケギニアに広めた料理人として名を残す

988 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 22:23:24 ID:GlD6pNb1
皆さん乙
まあ…早口が必須科目というのはファンタジー界じゃそう珍しい事じゃないんですけどね。
練習風景を想像してはいけない。

989 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 22:23:29 ID:E8q0sIcS
1000ならリリアーヌを召喚するSSを書き始める

990 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 22:24:10 ID:Yfn53Fbd
ではお言葉に甘えて。

>>1000なら創竜伝の天使のなっちゃん召喚。


「をっほほほほほほほほほ!!」


ルイズ逃げて!!

991 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 22:24:17 ID:SxunY9bB
>>1000なら前期のコルム・ジャエレン・イルゼイ召喚

992 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 22:24:27 ID:UMN7H1tX
>>1000ならプリンセス・カレルナ召喚。

993 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 22:24:39 ID:QR0I7puC
シルフィがお姉さまの為に>1000を取るのね!!
きゅいきゅい

994 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 22:24:43 ID:wm6gnAsa
夜天の人乙

見事なまでにリィン激怒&蒐集フラグを立てたワルドのご冥福を祈りません。

995 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 22:24:59 ID:+t6owg+M
夜天の人GJ!

早口はファンタジーな魔法使いの必須技能です。
研究所では早口のために、早口のための理論が日夜研究され、
学校では早口の授業として、早口のための理論が生徒へと伝えられています。

996 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 22:25:09 ID:gkM5t1s2
>>1000なら
たのしい甲子園の太田さん召喚。
そしてなぜか野球部結成。

997 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 22:25:20 ID:oiyGuWey
>>1000なら画太郎召喚

998 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 22:25:25 ID:apqcQZkA
>>1000なら最強のムエタイファイター・サムチャイ召喚。
世界の果てまでティーカウコーン。

999 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 22:25:26 ID:7nuiyZ5H
夜天の人GJです!

1000なら次スレはロボットアニメ祭り

1000 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/09/17(月) 22:25:26 ID:H/z24PE1
>>1000なら真面目にアナスタシアさん召喚を書いてみる。アガートラーム無しで。

1001 :1001:Over 1000 Thread
このスレッドは1000を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。

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